(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】蓄電装置、制御装置及び蓄電システム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20240319BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
H02J7/00 K
H02J7/00 303Z
H01M10/48 P
(21)【出願番号】P 2019148392
(22)【出願日】2019-08-13
【審査請求日】2022-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】高井 正巳
(72)【発明者】
【氏名】岸 和人
(72)【発明者】
【氏名】大島 淳
(72)【発明者】
【氏名】今井 崇尋
【審査官】右田 勝則
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-236506(JP,A)
【文献】特許第7095331(JP,B2)
【文献】特開2015-154627(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H01M 10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力を蓄電する複数の蓄電デバイスを有する蓄電部と、
前記複数の蓄電デバイスの接続を直列又は並列の何れか一方に切り替える直並切替部と、
前記直並切替部による切替を制御する直並切替制御部と、
前記蓄電部の出力電流に基づいて、前記複数の蓄電デバイスの接続が並列から直列に切り替わるよう前記直並切替制御部を制御する直列復帰制御部と、を備え
、
前記直並切替制御部は、ヒステリシス生成回路で生成されたヒステリシスを含み、
前記ヒステリシス生成回路は、入力電圧が上昇して所定の第1電圧値に達すると、前記直並切替部を制御する制御信号をHighレベルからLowレベルに切り替え、前記入力電圧が下降して前記第1電圧値とは異なる所定の第2電圧値に達すると、前記制御信号をLowレベルからHighレベルに切り替える
蓄電装置。
【請求項2】
前記直並切替部は、
前記蓄電部による蓄電時に、前記複数の蓄電デバイスの接続を直列にし、
前記蓄電部からの給電時に、前記複数の蓄電デバイスの接続を並列にする
請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項3】
前記蓄電装置への入力電圧を監視する電圧監視部を備え、
前記直並切替部は、
前記
蓄電部による蓄電時に、前記入力電圧が第1電圧値以上になった場合に、前記複数の蓄電デバイスの接続を、直列から並列に切り替え、
前記
蓄電部からの給電時に、前記入力電圧が前記第1電圧値よりも低い第2電圧値以下になった場合に、前記複数の蓄電デバイスの接続を、並列から直列に切り替える
請求項1、又は2に記載の蓄電装置。
【請求項4】
前記直列復帰制御部は、
前記複数の蓄電デバイスが並列に接続された状態で、前記出力電流が第1電流値以下になった場合に、前記直並切替制御部に、前記複数の蓄電デバイスの接続を並列から直列に切り替えさせる
請求項1乃至3の何れか1項に記載の蓄電装置。
【請求項5】
前記蓄電装置に接続される負荷回路に、電圧を出力する出力部を備え、
前記直並切替制御部、前記直並切替部及び前記出力部のそれぞれのインピーダンスの合計が、前記電力を発電する発電素子の内部インピーダンス以上である
請求項1乃至4の何れか一項に記載の蓄電装置。
【請求項6】
前記ヒステリシス生成回路は、
抵抗器と、インバータと、トランジスタとを備える
請求項
1乃至5の何れか1項に記載の蓄電装置。
【請求項7】
前記直列復帰制御部は、
抵抗器と、Nチャネルトランジスタと、コンデンサと、を含む
請求項1乃至
6の何れか1項に記載の蓄電装置。
【請求項8】
前記直列復帰制御部は、
ディプリージョン型トランジスタと、Nチャネルトランジスタと、コンデンサと、を含む
請求項1乃至
7の何れか1項に記載の蓄電装置。
【請求項9】
電力を蓄電する複数の蓄電デバイスと、
前記複数の蓄電デバイスの接続を、直列又は並列の何れかに切り替える直並切替部と、
前記直並切替部による切替を制御する直並切替制御部と、を有する蓄電装置を制御する制御装置であって、
前記蓄電装置の出力電流に基づいて、前記複数の蓄電デバイスの接続が並列から直列となるよう前記直並切替制御部を制御する直列復帰制御部と、を備え
、
前記直並切替制御部は、ヒステリシス生成回路で生成されたヒステリシスを含み、
前記ヒステリシス生成回路は、入力電圧が上昇して所定の第1電圧値に達すると、前記直並切替部を制御する制御信号をHighレベルからLowレベルに切り替え、前記入力電圧が下降して前記第1電圧値とは異なる所定の第2電圧値に達すると、前記制御信号をLowレベルからHighレベルに切り替える
制御装置。
【請求項10】
発電素子と、
前記発電素子に接続される整流部と、
前記整流部に接続される請求項
9に記載の前記制御装置と、
前記蓄電装置から給電される負荷回路と、を備える
蓄電システム。
【請求項11】
発電素子と、
前記発電素子に接続される整流部と、
前記整流部に接続される請求項1乃至
8の何れか一項に記載の蓄電装置と、
前記蓄電装置から給電される負荷回路と、を備える
蓄電システム。
【請求項12】
前記蓄電システムが前記負荷回路から前記蓄電装置に対して送る信号は、
前記直並切替制御部に備えられたヒステリシス生成回路で生成されたヒステリシスの入力に対して電圧を変化させる信号である
請求項
11に記載の蓄電システム。
【請求項13】
前記発電素子による発電量は、
発電電圧10V~1000Vであり、発電電流は50nA~100μAである
請求項
10乃至
12の何れか一項に記載の蓄電システム。
【請求項14】
前記発電素子は、
剥離の力、摩擦の力、振動の力、又は変形の力の少なくとも何れか1つによって発電する
請求項
10乃至
13のいずれか一項に記載の蓄電システム。
【請求項15】
前記発電素子は、
剥離の力、摩擦の力、振動の力、又は変形の力の少なくとも何れか1つによって発電する発電ゴムを含む
請求項
14のいずれか一項に記載の蓄電システム。
【請求項16】
前記発電素子は、圧力によって発電する
請求項
10乃至
15の何れか一項に記載の蓄電システム。
【請求項17】
前記発電素子は、静電誘導によって発電する
請求項
10乃至
16の何れか一項に記載の蓄電システム。
【請求項18】
蓄電した電力を前記負荷回路に給電する負荷駆動蓄電装置を備える
請求項
10乃至
17の何れか1項に記載の蓄電システム。
【請求項19】
前記負荷駆動蓄電装置は、
前記蓄電装置から給電された電力を蓄電する
請求項
18に記載の蓄電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電装置、制御装置及び蓄電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
IoT(Internet of Things)技術の進展に伴い、エッジデバイスへの給電をエネルギーハーベスティング技術により電池レス化する取り組みが進んでいる。圧電素子や発電ゴムによる剥離帯電及び摩擦帯電、或いはエレクトレット等による静電誘導により発生した電力でLED(Light Emitting Diode)等を駆動させる応用が実現されている。
【0003】
しかし、圧電素子や摩擦帯電、静電誘導による発電では発生電圧が高く、発生電流が小さいため、LEDを直列に接続して瞬間的に光らせる等といった用途には向いているが、IoTのエッジデバイスに求められるCPU(Central Processing Unit)動作やセンサー駆動、無線伝送に必要な電圧、電流を満足することができない。そのため、発電電圧が高く電流が小さくても、効率よく発生した電力を活用する技術開発が求められている。
【0004】
一般的に、微小な発電電力量の場合、発電電力をコンデンサに蓄電し、DC/DC(Direct Current/Direct Current)コンバータでエッジデバイスに必要な駆動電圧に変換している。しかし、圧電素子や静電誘導による発電デバイスは出力インピーダンスが高いため、インピーダンスの低いコンデンサに直接蓄電すると、蓄電時の低電圧状態で蓄電することになり、蓄電効率が低くなる場合がある。
【0005】
そのため、特許文献1等には、高出力インピーダンスで、低電流を出力する発電素子によって発電された微小電力を用いて、電気回路の動作電力を生成する電源回路が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の電源回路には、電力の蓄電効率又は給電効率の向上という点で改善の余地があった。
【0007】
開示の技術は、電力の蓄電効率及び給電効率を向上させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
開示の技術の一態様に係る蓄電装置は、電力を蓄電する複数の蓄電デバイスを有する蓄電部と、前記複数の蓄電デバイスの接続を直列又は並列の何れか一方に切り替える直並切替部と、前記直並切替部による切替を制御する直並切替制御部と、前記蓄電部の出力電流に基づいて、前記複数の蓄電デバイスの接続が並列から直列に切り替わるよう前記直並切替制御部を制御する直列復帰制御部と、を備え、前記直並切替制御部は、ヒステリシス生成回路で生成されたヒステリシスを含み、前記ヒステリシス生成回路は、入力電圧が上昇して所定の第1電圧値に達すると、前記直並切替部を制御する制御信号をHighレベルからLowレベルに切り替え、前記入力電圧が下降して前記第1電圧値とは異なる所定の第2電圧値に達すると、前記制御信号をLowレベルからHighレベルに切り替える。
【発明の効果】
【0009】
開示の技術によれば、電力の蓄電効率及び給電効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係る蓄電システムの構成例を示すブロック図である。
【
図2】比較例に係る蓄電システムの構成を示すブロック図である。
【
図3】蓄電システムの備える発電素子の動作例を示す図である。
【
図4】発電素子に接続されるコンデンサを示す図であり、(a)は発電素子を用いた蓄電時の等価回路図、(b)はコンデンサに蓄電する条件による蓄電効率例を示す図である。
【
図5】発電素子に接続される抵抗負荷を示す図であり、(a)は発電素子を用いた抵抗負荷による給電時の等価回路図、(b)抵抗負荷に給電する条件による給電効率例を示す図である。
【
図6】2つのコンデンサの直列接続例を示す図である。
【
図7】2つのコンデンサの並列接続例を示す図である。
【
図8】直並切替制御部の第1構成例を示す図である。
【
図9】直並切替制御部の第2構成例を示す図である。
【
図10】実施形態に係る蓄電装置の回路構成例を示す図である。
【
図11】実施形態に係る蓄電装置における電流の流れの一例を示す回路図であり、(a)は蓄電時を示す図、(b)は給電時を示す図である。
【
図12】実施形態に係る蓄電システムの回路構成例を示す図である。
【
図13】通信モジュールによる制御回路を含んでIC化された蓄電システムの構成例の図である。
【
図14】実施形態に係る蓄電装置の動作例を示すタイミングチャートである。
【
図15】比較例に係る蓄電、給電の際の電流の推移を示す図であり、(a)はコンデンサ容量を固定した回路図、(b)は蓄電電流及び蓄電電圧、給電の際のコンデンサ端子間電圧の推移を示す図である。
【
図16】実施形態に係る蓄電、給電の際の電流の推移例を示す図であり、(a)はコンデンサの直並列を切り替える回路図、(b)は蓄電電流及び蓄電電圧、給電の際のコンデンサ端子間電圧の推移を示す図である。
【
図17】4つのコンデンサを直列接続する回路の構成例を示す図である。
【
図18】コンデンサ多段接続回路の構成例を示す図である。
【
図19】第1実施形態に係る蓄電システムの構成例を示すブロック図である。
【
図20】第1実施形態に係る蓄電装置の回路構成例を示す図である。
【
図21A】第1実施形態に係る蓄電装置の蓄電時電流の流れを示す回路図である。
【
図21B】第1実施形態に係る蓄電装置の給電時電流の流れを示す回路図である。
【
図22】第1実施形態における蓄電装置の動作例を示すタイミングチャートである。
【
図23】第1変形例に係る蓄電装置の回路構成例の図である。
【
図24】第2実施形態に係る蓄電システムの構成例を示すブロック図である。
【
図25】第2実施形態における蓄電装置の動作例を示すタイミングチャートである。
【
図26】第2変形例に係る蓄電システムの構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。下記、各図面において、同一構成部には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0012】
なお、実施形態の用語において、「電力」は「電気エネルギー」と同義とする。また、「電力の使用」、「電力の供給」、「給電」、「放電」は同義とする。
【0013】
また、実施形態の用語において、「直並切替」は、電気回路を直接接続から並列接続に切り替えること、又は電気回路を並列接続から直接接続に切り替えることをいう。
【0014】
<実施形態に係る蓄電システム100の構成例>
まず、
図1を用いて蓄電システム100について説明する。
図1は、蓄電システム(エネルギー蓄電システム)100の構成の一例を示すブロック図である。
図1に示すように、蓄電システム100は、蓄電装置1と、発電素子2と、負荷回路3と、整流回路4とを備える。
【0015】
これらのうち、蓄電装置1は、直並切替制御部5と、直並切替部6と、蓄電部7とを備える。蓄電部7は、複数の蓄電デバイスの一例としてのコンデンサC1、C2によって構成されている。直並切替部6は、直並切替制御部5の制御下で、コンデンサC1、C2の接続を、直列又は並列の何れか一方に切り替えることができる。
【0016】
発電素子2は、発電ゴムや圧電素子、静電誘導によって発電する素子であり、高電圧で、また低い電流の電力を生成する。発電素子2による発電については、別途
図3を用いて詳述する。
【0017】
負荷回路3は、例えば、LED(Light Emitting Diode)や、CPU(Central Processing Unit)機能を有するIC(Integrated Circuit)、センサー、無線伝送IC等から構成される負荷である。一例として、IoTデバイスが挙げられる。
【0018】
蓄電システム100は、発電素子2により発電された電力を、整流回路4により整流した後、蓄電部7において直列に接続されたコンデンサC1、C2に蓄電する。蓄電された電力は、直並切替部6により並列接続に切り替えられたコンデンサC1、C2によって負荷回路3に給電される。
【0019】
より詳しくは、整流回路(整流部の一例)4は、発電素子2より発電された交流の電力を整流する。直並切替部6は、直並切替制御部5の制御下で、蓄電部7におけるコンデンサC1,C2を直列接続の状態にし、コンデンサC1、C2は、整流回路4から入力される電力(蓄電電圧)を蓄電する。
【0020】
その後、蓄電電圧が所定の電圧値(第1電圧値)に達した場合に、直並切替制御部5の制御下で直並切替部6が作動して、コンデンサC1、C2が並列接続に切り替えられる。コンデンサC1、C2は、並列接続された状態で負荷回路3に給電する。
【0021】
その後、コンデンサC1、C2から給電される電圧が所定の電圧(第2電圧値)以下になった場合に、直並切替制御部5の制御下で直並切替部6が作動して、コンデンサC1、C2が直列接続に切り替えられる。コンデンサC1、C2には、コンデンサC1、C2が直列接続された状態で、再び発電素子2が発電した電力が蓄電される。
【0022】
<比較例に係る蓄電システム100Xの構成例>
ここで、比較例として、環境発電素子により発電された電力を蓄電し、負荷回路に給電するシステムを説明する。
図2は、比較例に係る蓄電システム100Xの構成を示すブロック図である。なお、
図2において、
図1に示した蓄電システム100と同様の機能を備える構成には、便宜的に同じ部品番号が付されている。
【0023】
蓄電システム100Xは、一般的なエネルギーハーベストシステムである。蓄電システム100Xは、環境発電素子が発電した電力を、整流回路4を介して蓄電装置1Xに蓄電し、蓄電した電力を負荷回路3に給電する。
【0024】
図2に示すように、蓄電装置1Xは、発電側蓄電部である第1蓄電部101と、電力変換回路102と、給電側蓄電部である第2蓄電部103とを備える。
【0025】
第1蓄電部101に蓄電された電圧は、DC/DCコンバータ等の電力変換回路102により負荷回路3の動作電圧に変換された後、第2蓄電部103に蓄電される。その後、第2蓄電部103に蓄電された電力は、負荷回路3に給電される。
【0026】
このような蓄電装置1Xでは、以下の問題が生じる場合がある。
(A):電力変換回路102における消費電流によるロスの発生
(B):変換効率によるロスの発生
(C):インダクタ等の構成部品の増加
【0027】
より詳しくは、蓄電システム100Xでは、第1蓄電部101に蓄電される電圧と第2蓄電部103に蓄電される電圧の関係で、電圧を昇圧変換または降圧変換する必要がある。例えば、第1蓄電部101の蓄電電圧より第2蓄電部103の蓄電電圧が大きい場合は、昇圧変換が必要になり、低い電圧で電力を蓄電するため、下記(式1)に基づき、蓄電装置1Xの第1蓄電部101を大きくする必要がある。
【0028】
【数1】
ここで、Wは蓄電電力、Cはコンデンサ容量、Vは蓄電電圧である。
【0029】
また、蓄電電力は蓄電電圧の2乗に比例するため、圧電素子や発電ゴム、静電誘導により発電された高電圧で低い電流の電力を出力する発電素子2による蓄電では、蓄電電圧の上昇効率が悪く、かつ電力変換回路102における消費電流によるロスが発生することで、蓄電効率は低くなってしまう(A)。
【0030】
次に、第1蓄電部101の蓄電電圧が第2蓄電部103の蓄電電圧より大きい場合は、降圧変換が必要になる。この場合は(式1)に基づき、高い電圧で第1蓄電部101に蓄電できるため、蓄電装置1Xの第1蓄電部101を小さくして高い電圧で蓄電できる。しかし、第1蓄電部101の蓄電電圧と第2蓄電部103の蓄電電圧の差が発生するため、電力変換回路102における消費電流がロスとなり、電力変換効率が低下する(B)。
【0031】
以上のように、蓄電システム100Xでは、電力変換回路102における電流消費量が大きくなってしまうロスと電圧変換によるロスが大きくなるとともに、構成部品が増加する分、蓄電装置が大型化する場合があった。
【0032】
これと比較して、実施形態に係る蓄電システム100では、複数のコンデンサを有する蓄電部7を蓄電時と給電時とで共通して用いることで、電圧変換時の電力のロスを抑制することができる。
【0033】
<発電素子例>
次に、蓄電システム100の備える発電素子2の動作を説明する。
図3は、発電素子2の動作例を示す図である。
【0034】
発電素子2は、発電ゴム等で構成され、剥離の力、摩擦の力、振動の力、或いは変形の力がかかることで、電荷を発生させて発電を行なう。また、発電素子2は、圧力によって発電してもよい。
【0035】
発電素子2の発電量は、発電電圧10~1000V(例えば、40V)、発電電流50nA~100μA(例えば6μA)である。
【0036】
図3に示すように、発電ゴムや圧電素子で構成される発電素子2は、高抵抗で、所定の電荷による電流を出力するため、電流源21と、内部抵抗22で近似できる。内部抵抗22の抵抗値は、1~100MΩ(メガオーム)(例えば、10MΩ)である。
【0037】
ここで、発電素子2に接続されるコンデンサと抵抗負荷について、
図4及び
図5を用いて説明する。
【0038】
図4(a)は、発電素子2を用いた蓄電時の等価回路図であり、
図4(b)は、コンデンサに蓄電する条件による蓄電効率について説明する図である。
【0039】
図4(b)は、最大時の蓄電電力を100%とし、発電素子2により発電されて蓄電される電力の、コンデンサ容量に伴う比率(%)の変化を表している。
【0040】
コンデンサ容量を
図4(b)の白抜き矢印の部分に設定した場合、コンデンサと、定電流源と内部抵抗からなる発電素子2(出力側)と、インピーダンス整合が取れて、最も効率よく蓄電できる。
【0041】
図5(a)は、発電素子2を用いた抵抗負荷による給電時の等価回路図であり、
図5(b)は、抵抗負荷に給電する条件による給電効率について説明する図である。
【0042】
図5(b)は、最大時の給電電力を100%とし、発電素子2により発電されて給電される電力の、負荷抵抗の抵抗値に伴う比率(%)の変化を表している。
【0043】
負荷抵抗の抵抗値を
図5(b)の白抜き矢印の部分に設定した場合、負荷抵抗と、発電素子2の内部抵抗とが等しい状態となり、内部抵抗=負荷抵抗のときに、負荷回路3(出力側)とインピーダンス整合が取れて、最も効率よく給電できる。
【0044】
<コンデンサの接続例>
次に、蓄電部7におけるコンデンサC1、C2の接続例について、
図6~
図7を参照して説明する。
図6は、コンデンサC1、C2の直列接続の一例を示す図であり、
図7は、コンデンサC1,C2の並列接続の一例を示す図である。
【0045】
図6に示すように、直並切替部6は、3つのスイッチSw1、Sw2、Sw3を備える。蓄電部7は、2つのコンデンサC1、C2を備える。コンデンサは蓄電デバイスの一例であって、電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ、リチウムイオン電池、又は鉛蓄電池等の各種蓄電デバイスを用いることができる。
【0046】
図6に示すように、直並切替部6のスイッチSw2がオンで、スイッチSw1及びSw3がオフであることで、蓄電部7のコンデンサC1、C2は、直列接続状態になる。
【0047】
また、
図7に示すように、直並切替部6のスイッチSw1及びSw3がオンで、スイッチSw2がオフであることで、蓄電部7のコンデンサC1、C2は、並列接続状態になる。
【0048】
<直並切替制御部5の構成例>
次に、直並切替制御部5の構成について、
図8~
図9を参照して説明する。
図8は、直並切替制御部5の第1構成例について説明する図である。
図8に示すように、直並切替制御部5は、直並切替スイッチ制御部50と、2つの抵抗R1、R2と、2つのスイッチSw4、Sw5とを備える。
【0049】
直並切替スイッチ制御部50は、直列又は並列の切替えの基準となる入力電圧Vinを監視し、制御信号S1を出力する電圧監視回路(電圧監視部の一例)として機能する。そして、直並切替スイッチ制御部50は、端子11への入力電圧Vinの検出結果に応じて、制御信号S1を生成し、生成した制御信号S1で、スイッチSw4及びスイッチSw5を制御する。
【0050】
また、直並切替制御部5では、抵抗R1及びスイッチSw4がハイインピーダンス駆動のインバータ51を形成し、抵抗R2及びスイッチSw5がハイインピーダンス駆動のインバータ52を形成している。スイッチSw4、Sw5は、例えば、FET(Field Effect Transistor)等のNch(Nチャネル)トランジスタによって構成されている。
【0051】
直並切替制御部5は、直並切替部6を制御する制御信号φ1を生成し、これを端子53から出力する。また、直並切替制御部5は、直並切替部6を制御する制御信号φ2を生成し、これを端子54から出力する。
【0052】
直並切替制御部5において、直並切替スイッチ制御部50及びインバータ51は、ヒステリシス生成回路Hとして機能する。ヒステリシス生成回路Hは、入力電圧Vinの変化を素早く検出するとともに、一旦Lowレベル→Highレベル(或いはHighレベル→Lowレベル)に切り替わった信号が不安定に切り替わることを防ぐように、切り替え閾値にヒステリシス(差)を設けている。実施形態では、ヒステリシス生成回路Hは、入力電圧Vinが上昇して所定の第1電圧値に達すると、制御信号φ1をHighレベルからLowレベルに切り替える。また、第1電圧値から入力電圧Vinが低下して所定の第2電圧値に達すると、制御信号φ1をLowレベルからHighレベルに切り替える。より詳しくは、
図14とともに後述する。
【0053】
実施形態では、インバータ51にハイインピーダンスの抵抗R1を使用し、インバータ52にハイインピーダンスの抵抗R2を使用することで、圧電素子や静電誘導により発電された高電圧で低電流であるハイインピーダンス出力の発電素子2でも、蓄電装置1の回路を駆動することができる。抵抗R1及びR2の抵抗値は、1MΩ~500MΩ等である。
【0054】
次に、
図9は、直並切替制御部5の第2構成例について説明する図である。
図9に示す直並切替制御部5Aは、直並切替スイッチ制御部50と、2つの定電流源IC1、IC2と、2つのスイッチSw4、Sw5とを備えている。
【0055】
また、直並切替制御部5Aでは、定電流源IC1及びスイッチSw4がハイインピーダンス駆動のインバータ51Aを形成し、定電流源IC2及びスイッチSw5がハイインピーダンス駆動のインバータ52Aを形成している。スイッチSw4、Sw5は、Nch(Nチャネル)トランジスタ等によって構成されている。
【0056】
直並切替スイッチ制御部50により生成された制御信号S1で、スイッチSw4およびSw5を制御し、直並切替部6を制御する制御信号φ1を生成して端子53から出力し、また、直並切替部6を制御する制御信号φ2を生成して、54から出力する。直並切替制御部5Aにおいて、直並切替スイッチ制御部50及びインバータ51Aは、ヒステリシス生成回路Hとして機能する。
【0057】
実施形態では、インバータ51Aにハイインピーダンスの定電流源IC1を使用し、インバータ52Aにハイインピーダンスの定電流源IC2を使用することで、圧電素子や静電誘導により発電された高電圧で低電流であるハイインピーダンス出力の発電素子2でも、蓄電装置1の回路を駆動することができる。定電流源IC1、IC2のそれぞれが生成する電流値は10nA~100μA等である。
【0058】
<蓄電装置1の回路構成例>
次に、蓄電装置1の回路構成について説明する。
図10は、蓄電装置1の回路構成の一例を示す図である。
【0059】
図10に示すように、蓄電装置1は、直並切替制御部5Bと、直並切替部6と、蓄電部7と、出力スイッチ部8(出力部の一例)とを備える。なお、蓄電装置1は、1つのICにまとめて蓄電ICとして構成してもよい。
【0060】
直並切替制御部5Bには、直並切替スイッチ制御部50Bと、2つのディプリージョン型トランジスタTr1、Tr3と、2つのNchトランジスタTr2、Tr4とを備える。
【0061】
実施形態では、直並切替スイッチ制御部50Bは、NchトランジスタTr5、及び3つの抵抗R3、R4、R5によって構成されている。3つの抵抗R3、R4、R5は高い抵抗値(高インピーダンス)を有する高抵抗の抵抗器である。NchトランジスタTr5は、ヒステリシス生成スイッチであり、負荷回路3の状態を示す信号が入力されてもよい。
【0062】
直並切替スイッチ制御部50Bは、直列接続を並列接続に切り替える電圧である入力電圧Vinを監視し、制御信号S1を出力する。
【0063】
直並切替制御部5Bは、直並切替スイッチ制御部50Bにより生成された制御信号(S1)で制御される、2つのインバータ51B、52Bを備えている。
【0064】
インバータ51Bは、ディプリージョン型トランジスタTr1と、NchトランジスタTr2で構成されている。インバータ51Bからの制御信号φ1は、端子53で取り出される。
【0065】
直並切替スイッチ制御部50B及びインバータ51Bは、ヒステリシス生成回路Hを構成する。インバータ52Bは、ディプリージョン型トランジスタTr3と、NchトランジスタTr4で構成されている。インバータ52からの制御信号φ2は、端子54で取り出される。なお、インバータ51B、52Bのそれぞれは、Nchトランジスタと抵抗器とを含んで構成されてもよい。
【0066】
なお、ディプリージョン型トランジスタTr1、Tr3は、
図9の定電流源IC1、IC2として機能する。NchトランジスタTr2、Tr4は、
図9のスイッチSw4,Sw5として機能する。
【0067】
直並切替制御部5Bは、蓄電期間中は、複数のコンデンサC1、C2を直列接続させるように、Highレベルの制御信号φ1及びLowレベルの制御信号φ2を出力する。そして、入力電圧Vinが、所定の第1電圧値に達した時点で、コンデンサC1、C2を並列接続させるように、Lowレベルの制御信号φ1及びHighレベルの制御信号φ2を出力する。
【0068】
その後、負荷回路による電力使用により、電圧Vinが低下して所定の第2電圧値より小さくなると、コンデンサC1、C2を、直列接続させるように、Highレベルの制御信号φ1及びLowレベルの制御信号φ2を出力する。
【0069】
また、直並切替部6はPch(Pチャネル)トランジスタTr6、NchトランジスタTr7、アナログスイッチTr8、Tr9で形成されている。
【0070】
直並切替部6において、PchトランジスタTr6は、
図6、
図7のスイッチSw1に対応し、NchトランジスタTr7はスイッチSw3に対応し、スイッチSw2は、2つのトランジスタTr8,Tr9からなるアナログスイッチで構成されている。
【0071】
直並切替部6及び出力スイッチ部8を、アナログスイッチであるトランジスタで構成することで、電圧損失(電位差)が発生しない。比較としてダイオードでスイッチを構成すると、電圧損失が発生する。直並切替部6及び出力スイッチ部8を、アナログスイッチであるトランジスタで構成することで、電位差なく、スイッチを作動させることが可能となる。
【0072】
直並切替部6において、PchトランジスタTr6及びNchトランジスタTr7をダイオードに置き換えてもよい。PchトランジスタTr6に対してはダイオードのカソードをVinラインに、アノードをアナログスイッチの一方の端子に接続し、NchトランジスタTr7に対してはダイオードのカソードをアナログスイッチの一方の端子にアノードをGNDのラインに接続する。
【0073】
また、直並切替部6において、PchトランジスタTr6及びNchトランジスタTr7をダイオードと並列に接続してもよい。PchトランジスタTr6に対してはダイオードのカソードをVinラインに、アノードをアナログスイッチの一方の端子に接続し、NchトランジスタTr7に対してはダイオードのカソードをアナログスイッチの一方の端子にアノードをGNDのラインに接続する。
【0074】
なお、上述した
図1では示さなかったが、蓄電装置1は、
図10のように、並列接続時に負荷回路3に給電するための出力スイッチ部8を備えていてもよい。出力スイッチ部8は、PchトランジスタTr10とNchトランジスタTr11のアナログスイッチで形成されている。
【0075】
蓄電装置1において、並列接続時に負荷回路に給電する出力スイッチ部8は、PchトランジスタTr10のみで構成してもよい。
【0076】
蓄電装置1において、高抵抗や定電流トランジスタは高い抵抗を有するものを用いるため、直並切替制御部5Bは高いインピーダンスを有している(ハイインピーダンスである)。そのため、発電素子2から発電される、高電圧で、低電流(例えば、400V、6μA)な発電素子2よりも、さらに低い電流(例えば、60nA)でも蓄電装置1を駆動できる。
【0077】
また、
図10の構成において、直並切替制御部5B、直並切替部6、及び出力スイッチ部8を構成する素子が有するインピーダンスの合計を、発電素子2の内部インピーダンス以上にすることができる。これにより、蓄電装置1の直並切替に必要とする駆動消費電力を抑えることができ、蓄電効率を高めることができる。
【0078】
直並切替部6、及び出力スイッチ部8を構成する素子はMOS(Metal Oxide semiconductor)トランジスタで構成されているため、直並切替制御部5Bにより制御される、直並切替部6及び出力スイッチ部8で消費される電力は、スイッチ部オン、オフ時のMOSトランジスタゲート駆動電力のみであり、蓄電効率を高めることができる。
【0079】
さらに、蓄電時の蓄電装置1のインピーダンスは、給電時の蓄電装置1のインピーダンスよりも高くなっている。従って、蓄電装置1は高電圧、低電流で蓄電が可能となり、蓄電効率を高めることができる。また、給電時には蓄電装置1の給電電圧は例えば3Vであり、数mAの消費電流を必要とするCPU等の電子機器を駆動することができる。
【0080】
なお、
図10においてディプリージョン型トランジスタとNchトランジスタで構成されるインバータ51B、52Bは2段構成になっているが、ゲインが必要な場合は同様のインバータの段数を増やしても良い。その場合は、インバータ51Bの制御信号φ1及びインバータ52Bの制御信号φ2のそれぞれ信号変化のタイミングを、直並切替部6のスイッチ切替えタイミングに合わせると好適である。
【0081】
ここで、
図10の蓄電装置1における電流の流れを、
図11を参照して説明する。
図11は、蓄電装置1における電流の流れを示す回路図であり、(a)は蓄電時のコンデンサC1、C2が直列接続された状態を示す図、(b)は給電時のコンデンサC1、C2が並列接続された状態を示す図である。
【0082】
スイッチSw1を構成するPchトランジスタTr6のゲートには、制御信号φ1が入力されているため、制御信号φ1がLowレベル、即ち給電時にオンになる。
【0083】
スイッチSw3を構成するNchトランジスタTr7のゲートには、制御信号φ2が入力されているため、制御信号φ2がHighレベル、即ち給電時にオンになる。
【0084】
スイッチSw2を構成する、PchトランジスタTr8のゲートには、制御信号φ2が入力され、NchトランジスタTr9のゲートには、制御信号φ2が入力されている。よってスイッチSw2は、制御信号φ2がLowレベル且つ制御信号φ1がHighレベル、即ち、蓄電時にオンになる。
【0085】
また、出力スイッチ部8のスイッチSw4において、PchトランジスタTr10のゲートには、制御信号φ1が入力され、NchトランジスタTr11のゲートには、制御信号φ2が入力されている。よってスイッチSw4は、制御信号φ1がLowレベル且つ制御信号φ2がHighレベル、即ち、負荷回路3への給電時にオンになる。
【0086】
直並切替部6に含まれるスイッチSw1、Sw2、Sw3と、出力スイッチ部8のスイッチSw4には、直並列の切り替え時のみ、スイッチの状態を変化させるために電流が流れる。そのため、蓄電時及び給電時の消費電流を小さくすることができる。
【0087】
<蓄電システム100の回路構成例>
次に、蓄電システム100の回路構成について、
図12を参照して説明する。
図12は、蓄電システム100の回路構成の一例を示す図である。
【0088】
整流回路4は、4つのダイオードD1、D2、D3、D4から成るダイオードブリッジによって構成されている。整流回路4は、発電素子2から出力された交流電力を全波整流する。
【0089】
整流された電力を、蓄電装置1で直列接続されたコンデンサC1、C2に蓄電し、第1電圧値に達すると、
図11(b)のコンデンサC1、C2が並列に接続された状態に切り替えられ、コンデンサC1、C2に蓄電された電力は負荷回路3に給電される。
【0090】
<IC化の例>
次に、蓄電システム100をIC化した場合の一例を、
図13を参照して説明する。
図13は、通信モジュール31による制御回路を含んでIC化された蓄電システム100Cの構成の一例を示す図である。
【0091】
図13に示すように、蓄電システム100Cにおける負荷回路3は、通信モジュール31と、センサー32とを備える。また、蓄電装置1Cは、直並切替制御部5、直並切替部6、及び出力スイッチ部8が一体化された直並切替IC9を備えている。
【0092】
直並切替IC9は、マイコン搭載の通信モジュール31と連係して、直並切替のタイミングを制御する機能を備えている。蓄電システム100Cは、直並切替IC9の出力電圧Voutにより通信モジュール31と、センサー32に給電する。
【0093】
直並切替IC9は、コンデンサC1、C2が並列接続状態になった時に、通信モジュール31に備えられたマイコンに並列状態になったことを示す信号SSTを出力して、通信モジュール31に給電が可能であることを通知する。
【0094】
通信モジュール31のシステム動作が完了した後、所定のタイミングで、通信モジュール31から直並切替IC9に、マイコンに給電が必要なくなったことを示す信号S
ENDを出力して蓄電に移行させるように指示する。当該指示を受けた蓄電装置1は、コンデンサC1、C2を直列接続状態に切替えて充電を開始させる。ここで、信号S
ENDは、
図11の直並切替制御部5のNchトランジスタTr5のゲートに電圧を制御することでコンデンサC1、C2の接続を並列から直列に変化させる信号である。
【0095】
蓄電システム100Cの構成により、蓄電装置1Cは、負荷側のCPUと連携することで、蓄電効率を向上することができる。
【0096】
また、蓄電システム100Cは、センサー32からの信号が通信モジュール31に備えられたマイコンで信号処理された結果を、無線等の通信手段を通じてIoTエッジ端末として活用することもできる。
【0097】
<蓄電装置1の動作>
次に、蓄電装置1の動作について、
図14を参照して説明する。
図14は、蓄電装置1の直並切替動作の一例を示すタイミングチャートである。
【0098】
発電素子2により発電された電力は、整流回路4で整流され、蓄電装置1に入力される。
【0099】
時刻T0では、コンデンサC1、C2は蓄電されていない状態である。
【0100】
時刻T1において、整流された電力が蓄電装置1に入力され始めると、直並切替制御部5Bがハイインピーダンス構成となっているため、発電素子2よりハイインピーダンスで出力された電力により回路が起動し制御信号φ1及びφ2が生成される。
【0101】
蓄電が開始されると、制御信号φ1はHighレベル、制御信号φ2はLowレベルとなり、直並切替部6が作動してスイッチSw1、Sw3がオフで、スイッチSw2がオンとなり、蓄電部7のコンデンサC1、C2が直列に接続される。
【0102】
コンデンサC1、C2が直列接続された状態で、発電素子2からの電力である入力電圧Vinが10V(第1電圧値)に達すると、時刻T2において、直並切替スイッチ制御部50Bが動作し、制御信号φ1がLowレベル、制御信号φ2がHighレベルに切り替わる。これに応答して直並切替部6が作動し、スイッチSw2がオフで、スイッチSw1、Sw3がオンとなり、蓄電部7におけるコンデンサC1、C2が並列に接続される。コンデンサC1,C2が直列接続から並列接続に切り替わると、(Vin=VC1+VC2)の状態から(Vin=VC1=VC2)の状態へ電圧が変化するため、蓄電電圧(入力電圧Vin)は半分に減る(10V⇒5V)。ここで、VC1はコンデンサC1の蓄電電圧、VC2はコンデンサC2の蓄電電圧である。
【0103】
時刻T3において、負荷回路3が駆動すると電力(出力電圧Vout)が負荷回路3に給電され、入力電圧Vinも低下していく。
【0104】
なお、ここでは、時刻T2~T4までは発電素子2からの電力の入力は無いものとする。
【0105】
入力電圧Vinが低下して2V(第2電圧値)に達すると、時刻T4において、制御信号φ1がHighレベル、制御信号φ2がLowレベルとなり、スイッチSw1、Sw3がオフで、スイッチSw2がオンとなることで、蓄電部7のコンデンサC1、C2が直列接続となり、発電素子2からの電力は蓄電される。
【0106】
この後、入力電圧Vinが上昇して10Vに達すると、コンデンサC1、C2は並列接続に切り替えられる。
【0107】
以上の動作が継続して行われる。
【0108】
ここで、
図14では、入力電圧Vinが10Vになるタイミングを時刻T2とし、入力電圧Vinが2Vになるタイミングを時刻T4とする例を示したが、時刻T2及びT4に対応する第1電圧値及び第2電圧値は、これらに限定されるものではない。直並切替スイッチ制御部50Bの抵抗R3、R4、R5の抵抗値を変えることで、第1電圧値及び第2電圧値のそれぞれを、任意の電圧に設定できる。
【0109】
また、並列状態で発電素子2からの電力の入力を継続することも可能である。その場合は時刻T3~T4までの入力電圧Vinの電圧低下は緩やかになるか、上昇する場合もある。
【0110】
次に、蓄電システム100C(
図13参照)の動作例について、
図14の右側を参照して説明する。蓄電システム100Cにおいても、時刻T0~T5までの動作は同じである。
【0111】
時刻T6のタイミングで、直並切替IC9は、通信モジュール31に備えられたマイコンに、並列状態になったことを示す信号S
STを出力して通信モジュール31に給電が可能であることを通知する。なお、
図14中、時刻T3~T4及び時刻T6~T7の期間は、蓄電装置1が通信モジュール31と同期して通信モジュール31へ給電している、負荷回路動作期間(給電期間、システム動作期間)に該当する。
【0112】
時刻T7で通信モジュール31のシステム動作が完了した後、時刻T8のタイミングで、通信モジュール31から直並切替IC9に信号SENDが入力されると、コンデンサC1、C2は直列接続状態に切り替えられ、充電が開始される。
【0113】
蓄電装置1が通信モジュール31と連携して動作する場合は、給電期間中、電圧が2Vまで低下するか、信号S
ENDが出力されるか、何れか早い方で給電が停止される。
図14の例では、電圧が2Vまで低下する前に信号S
ENDが出力されたため、その時点で給電が停止され、コンデンサC1、C2の接続状態が直列に切り替えられて、蓄電動作に移行されている。
【0114】
<蓄電電力例>
ここで、コンデンサに蓄電する電力について説明する。
【0115】
コンデンサに蓄電できる電力W(J)は、以下の(式1)で表せる。
【0116】
【数1】
また、コンデンサをn個、直列接続すると、容量Csnは、以下の(式2)で表せる。
【0117】
【数2】
コンデンサをn個、並列接続すると、容量Cpnは、以下の(式3)で表せる。
【0118】
【数3】
コンデンサn個直列接続で蓄電できる電力Wsは、以下の(式4)で表せる。
【0119】
【数4】
コンデンサn個並列接続で蓄電できる電力Wpは、以下の(式5)で表せる。
【0120】
【数5】
例えば、具体的に、n=2、C=1(μF;マイクロファラッド)、V=5(V;ボルト)とすると、コンデンサ2個を直列接続で蓄電できる電力Wsは、以下の(式6)のように計算できる。
【0121】
【数6】
コンデンサ2個並列接続で蓄電できる電力Wpは、以下の(式7)のように計算できる。
【0122】
【0123】
以上のように、Ws=Wpになり、同じ容量のコンデンサをn個直列で蓄電しても、並列で蓄電しても同じ電力量をコンデンサに蓄電できる。n個直列に接続したコンデンサに蓄電するためには、高電圧n×V(V)の状態で蓄電する必要がある。
【0124】
一方、蓄電された電力はIoTのようなシステムでは、CPUを駆動したり、センサー等を接続する電子機器に給電することが求められる。これらの機器はリチウム電池1~3本程度、例えば3~10V程度の電圧、数μA~数mA程度の電流で駆動することが求められる。
【0125】
ここで、同じ容量Cのコンデンサをn個直列に接続した高インピーダンスの状態で蓄電し、それらのコンデンサを直列接続から並列接続に切り替えることで、コンデンサに蓄電された電力を保持したまま、低い電圧で低インピーダンスの状態でIoTシステム等を駆動できる。
【0126】
回路上に設けられる抵抗の抵抗値をRとすると、インピーダンスZは以下の(式8)で定義される。
【0127】
【数8】
コンデンサをn個直列にした場合の回路のインピーダンスZsnは、(式2)のように表されるため、以下の(式9)のように表すことができる。
【0128】
【数9】
コンデンサをn個並列にした場合の回路のインピーダンスZpnは、(式3)のように表されるため、以下の(式10)のように表すことができる。
【0129】
【数10】
となる。ここで、回路上に設けられる抵抗の抵抗値Rを小さくすると、直列時のインピーダンスZns(式9)が高く、並列時のインピーダンスZpn(式10)が低くなる。
【0130】
以上のように、コンデンサの直並切替を行なうことで、蓄電時は(式4)と(式9)から高電圧n×V(V)で高インピーダンスで蓄電し、給電時は(式5)と(式10)から低い電圧V(V)で負荷回路に効率よく給電できる。
【0131】
圧電素子や発電ゴムの静電誘導による発電では数10V~数100Vという高電圧が発生する。また、出力電流はnA~μAといった単位の低電流であり、出力インピーダンスの高い定電流電源と見ることができる。このため、圧電素子や静電誘導により高電圧でコンデンサに蓄電した電力を、3~10V程度の電圧で数μA~数mA程度の電流で駆動する負荷回路への給電電力に、高効率で変換する回路が必要となる。
【0132】
ここで、
図15に比較例として、コンデンサの容量を固定した場合の蓄電、給電の際の電流の推移を示し、
図16に実施形態のように、コンデンサの容量を直列と並列で切り替える場合の蓄電、給電の際の電流の推移を示す。
【0133】
より詳しくは、
図15(a)は、コンデンサの容量を固定した回路図、
図15(b)は、
図15(a)の状態での蓄電電流及び蓄電電圧、給電の際のコンデンサ端子間電圧の推移を示す図である。
【0134】
図15では、0.25μFの容量のコンデンサを1つ用いて、充電時、給電時ともに、容量0.25μFで動作させる例を示している。
【0135】
一般的に、CPU動作、センサー駆動、無線伝送ICの駆動電圧は、2~5V程度である。
図15(b)に示すように、比較例では、給電時にコンデンサに蓄えている容量が少ないため急激に電圧値が降下し、電圧値が、2~4.5Vの範囲にある時間は、20msである。そのため、20msしか電力を使用できない。
【0136】
これに対して、
図16(a)はコンデンサの直並列を切り替える回路図、
図16(b)は、
図16(a)の状態での蓄電電流および蓄電電圧、給電の際のコンデンサ端子間電圧の推移を示す図である。
【0137】
図16では、0.5μFの容量のコンデンサを2つ用いて、充電時は直列状態にして容量0.25μFで動作させ、給電時は並列状態にして容量1.0μFで動作させる例を示している。
【0138】
図16(b)に示すように、実施形態では、給電時はコンデンサを直列接続から並列接続に切り替えることで、切り替え時に電圧値は半分になるが、その後、容量が大きいコンデンサを用いた給電により電圧値が緩やかに降下する、そのため、電圧値が、2~4.5Vの範囲にある時間は、84msである。
図15(b)と比較すると、充電時のコンデンサの容量は同じながら、直列接続から並列接続への切り替えにより、給電時に電力を使用できる時間が4倍以上に増える。
【0139】
図16に示したように、実施形態に係る蓄電システムでは、コンデンサの直列接続又は並列接続を切り替えることで、蓄電時に、高電圧、高インピーダンスでインピーダンス整合して蓄電できる。一方、給電時は、IoTシステムなどに対して必要な電圧で、低インピーダンスでインピーダンス整合して給電できる。
【0140】
<蓄電装置にコンデンサを多数設ける例>
上記は、蓄電装置1に2つのコンデンサを含む構成について説明したが、複数のコンデンサの数は2つに限られない。
図17は、4つのコンデンサを直列に接続する回路の構成例を説明する図である。
図17は、4つのコンデンサを備える蓄電部70と、4つのコンデンサの接続を切り替える4直並切替IC90の内部ブロックを示している。
【0141】
直並切替スイッチ部60は、
図10の直並切替部6と対応しており、スイッチ群61、62、63で構成される。スイッチ群61、63は、コンデンサC1、C2、C3、C4を並列接続にするときにオンとなり、直列接続にするときにオフとなる。スイッチ群62は、コンデンサC1、C2、C3、C4を直列接続にするときにオンとなり、並列接続にするときにオフとなる。また、スイッチ80は
図10の出力スイッチ部8に対応する。
【0142】
直並切替制御部5B'は、
図10の2つのコンデンサ切り替え用の直並切替制御部5Bに対応するが、
図18のようにカスコード接続してコンデンサを多段直列接続する場合には、マスター側とスレーブ側の切替えをするためのマスター/スレーブ切替回路55を備えている。
【0143】
次に、
図18は、コンデンサ多段接続回路の構成例を示す図である。
図18において、コンデンサ多段接続回路90Eは、4直並列切替マスターIC91と、4直並列切替スレーブIC92、93、94、95で構成される。
【0144】
マスターIC91に、
図17のマスター/スレーブ切替回路55を設けることで、4つのIC92、93、94、95はスレーブICとしてカスコード接続できるよう構成し、それぞれの出力電圧Vout出力を4直並列切替えマスターIC91に接続でき多段接続が可能である。
【0145】
このように、多段接続する場合、カスコード接続をマスタースレーブ方式で多段接続制御する。これにより、より多段のコンデンサを接続することができ、更なる高効率化が可能になる。
【0146】
以上説明したように実施形態に係る蓄電装置は、高電圧、低電流で切替え電圧を検出でき、高電圧、低電流で動作して直並接続を切替え、高効率で蓄電できる。
【0147】
なお、上述した実施形態では、直並切替制御部5が、ヒステリシス生成回路Hを内部に備えることで、制御信号φ1に対してヒステリシスを設けていたが、直並切替制御部5でヒステリシスを設けることができれば、ヒステリシス生成回路は直並切替制御部5以外に設けられてもよい。
【0148】
[第1実施形態]
次に、第1実施形態に係る蓄電システム100aについて説明する。
【0149】
上述した実施形態に係る蓄電システム100では、給電時に並列接続に切り替えられたコンデンサC1、C2は、蓄電電圧が第2電圧値以下になるまで並列接続の状態を維持する。そのため、負荷回路への給電が終了した後で蓄電を行う場合に、蓄電電圧が第2電圧値以下になるまで直列接続に切り替えることができず、蓄電効率が上がらなくなる場合がある。
【0150】
例えば、蓄電装置1(
図1参照)において、コンデンサC1、C2が並列接続されて負荷回路3に給電している時に、負荷回路3が動作を停止し、出力電流が0A(アンペア)になった場合、蓄電電圧が第2電圧値以下になるまで、コンデンサC1、C2は並列接続の状態を維持する。この状態で発電素子2から電力が入力された場合、コンデンサC1、C2は並列接続状態で蓄電するため、蓄電効率が上がらなくなる場合がある。
【0151】
これに対し、本実施形態では、複数の蓄電デバイスを有する蓄電部の出力電流に基づき、複数の蓄電デバイスの接続を並列から直列に切り替えさせる。例えば、複数の蓄電デバイスが並列に接続された状態で、出力電流が第1電流値以下になった場合に、複数の蓄電デバイスの接続を並列から直列に切り替えさせる。これにより、蓄電電圧が第2電圧値以下になるのを待たずに、直列接続された複数の蓄電デバイスで蓄電でき、蓄電効率を向上させる。
【0152】
<蓄電システム100aの構成例>
蓄電システム100aの構成について、
図19を参照して説明する。
図19は、蓄電システム100aの構成の一例を示すブロック図である。
【0153】
図19に示すように、蓄電システム100aは、蓄電装置1aを備える。また、蓄電装置1aは、出力電流検出部13と、直列復帰制御部14とを含む出力電流直列復帰制御装置15を備える。
【0154】
蓄電システム100aは、上述した蓄電システム100と同様に、発電素子2により発電された電力を、整流回路4により整流した後、蓄電部7において直列に接続されたコンデンサC1、C2により蓄電する。そして、蓄電電圧が第1電圧値に達した場合に、直並切替制御部5の制御下で直並切替部6が作動して、コンデンサC1、C2は並列接続に切り替えられる。コンデンサC1、C2は並列接続された状態で負荷回路3に給電する。
【0155】
また、出力電流検出部13は、蓄電装置1aから負荷回路3に出力される電流を検出し、検出結果を直列復帰制御部14に出力する。直列復帰制御部14は、出力電流検出部13により検出された出力電流が所定の電流値(第1電流値)以下になった場合に、直並切替制御部5により、コンデンサC1、C2の接続を並列から直列に切り替えさせる。直並切替制御部5の制御下で直並切替部6は作動し、コンデンサC1、C2の接続は並列から直列に切り替えられる。コンデンサC1、C2は、直列接続の状態で、発電素子2による電力を蓄電する。
【0156】
<蓄電装置1aの構成例>
次に、蓄電装置1aの回路構成の一例を、
図20を参照して説明する。
図20は、蓄電装置1aの回路構成の一例を示す図である。
【0157】
図20に示すように、蓄電装置1aは、直並切替制御部5Bと、直並切替部6と、蓄電部7と、出力スイッチ部8と、出力電流検出部13と、直列復帰制御部14とを備える。なお、蓄電装置1aは、直並切替制御部5B、直並切替部6、蓄電部7、出力スイッチ部8、出力電流検出部13、及び直列復帰制御部14が一体化されたICを備えてもよい。
【0158】
出力電流検出部13は、出力電流Ioutが出力されている期間中にオンしているSw5であるPchトランジスタTr12と、出力電流Ioutを検出するPchトランジスタTr13と、電流コンパレータを構成するPchトランジスタTr14と、ディプリージョン型トランジスタTr15とを備えている。ここで、PchトランジスタTr13は「モニタトランジスタ」の一例である。また、出力電流検出部13は、ディプリージョン型トランジスタTr15の代わりに抵抗器を備えてもよい。
【0159】
ここで、ディプリージョン型トランジスタTr15に流れる電流は、定電流Itr15となり、PchトランジスタTr14とディプリージョン型トランジスタTr15は電流コンパレータとして動作するため、PchトランジスタTr14の電流Itr14が定電流Itr15より大きい時に、出力信号φ3はHighレベルとなる。一方、電流Itr14が電流が定電流Itr15より小さい時に、出力信号φ3はLowレベルとなる。PchトランジスタTr14とディプリージョン型トランジスタTr15のトランジスタサイズ比により、第1電流値を設定することができる。
【0160】
さらに、蓄電装置1aの出力電流は、Sw4であるPchトランジスタTr10のサイズに依存するため、PchトランジスタTr10とPchトランジスタTr13のサイズ比を調整することで、第1電流値を設定できる。但し、PchトランジスタTr13とPchトランジスタTr14は、カレントミラー回路で構成されているため、PchトランジスタTr13とPchトランジスタTr14とのサイズ比を調整してもよい。
【0161】
直列復帰制御部14は、出力電流Ioutが出力されている期間中にオンしているSw6であるNchトランジスタTr17と、直列復帰信号φ4を生成するインバータを構成するディプリージョン型トランジスタTr16と、NchトランジスタTr18と、コンデンサC3と、直並切替制御部5Bを制御するNchトランジスタTr19とを備えている。直列復帰制御部14は、ディプリージョン型トランジスタTr16の代わりに抵抗器を備えてもよい。
【0162】
ここで、出力電流Ioutが第1電流値より大きい時は、出力信号φ3がHighレベルで、直列復帰信号φ4がLowレベルであるが、出力電流Ioutが第1電流値より小さくなると、直列復帰信号φ4がHighレベルとなり、NchトランジスタTr19がオンされる。これにより、直並切替制御部5Bに、コンデンサC1、C2を直列接続させるためのHighレベルの制御信号φ1及びLowレベルの制御信号φ2が出力される。
【0163】
また、直並切替部6は、PchトランジスタTr6、NchトランジスタTr7、アナログスイッチTr8及びTr9を含んで構成されている。
【0164】
【0165】
スイッチSw1を構成するPchトランジスタTr6のゲートには、制御信号φ1が入力されているため、制御信号φ1がLowレベル、即ち給電時にオンになる。
【0166】
スイッチSw2を構成するNchトランジスタTr7のゲートには、制御信号φ2が入力されているため、制御信号φ2がHighレベル、即ち給電時にオンになる。
【0167】
スイッチSw3を構成する、PchトランジスタTr8のゲートには、制御信号φ2が入力され、NchトランジスタTr9のゲートには、制御信号φ1が入力されている。よってスイッチSw3は、制御信号φ2がLowレベル且つ制御信号φ1がHighレベル、即ち、蓄電時にオンになる。
【0168】
また、出力スイッチ部8のスイッチSw4において、PchトランジスタTr10のゲートには、制御信号φ1が入力され、NchトランジスタTr11のゲートには、制御信号φ2が入力されている。よってスイッチSw4は、制御信号φ1がLowレベル且つ制御信号φ2がHighレベル、即ち、負荷回路3に給電時にオンになる。
【0169】
スイッチSw5を構成するPchトランジスタTr12のゲートには、制御信号φ1が入力されている。スイッチSw5は、制御信号φ1がLowレベル、即ち、負荷回路3に給電時にオンになる。
【0170】
スイッチSw6を構成するNchトランジスタTr17のゲートには、制御信号φ2が入力されている。スイッチSw6は、制御信号φ2がHighレベル、即ち、負荷回路3に給電時にオンになる。
【0171】
直並切替部6に含まれるスイッチSw1、Sw2、Sw3と、出力スイッチ部8のスイッチSw4と、出力電流検出部13のスイッチSw5と直列復帰制御部のスイッチSw6には、直並列の切り替え時のみ、スイッチの状態を変化させるために電流が流れる。そのため、蓄電時及び給電時の消費電流を小さくすることができる。
【0172】
<第1実施形態における蓄電装置1aの動作例>
次に、蓄電装置1aの動作について、
図22を参照して説明する。
図22は、本実施形態における蓄電装置1aの動作の一例を示すタイミングチャートである。
【0173】
発電素子2により発電された電力は、整流回路4で整流され、蓄電装置1aに給電される。
【0174】
時刻T0では、コンデンサC1、C2は蓄電されていない状態である。
【0175】
時刻T1において、整流された電力が蓄電装置1aに給電され始めると、直並切替制御部5Bがハイインピーダンス構成となっているため、発電素子2よりハイインピーダンスで出力された電力により、回路が起動し、制御信号φ1及びφ2が生成される。
【0176】
蓄電が開始されると、制御信号φ1はHighレベル、制御信号φ2はLowレベルとなり、直並切替部6が作動して、スイッチSw1、Sw3がオフで、スイッチSw2がオンとなり、蓄電部7のコンデンサC1、C2が直列に接続される。また、出力電流検出部13による出力信号φ3はLowレベルとなり、直列復帰制御部14による直列復帰信号φ4はLowレベルとなる。
【0177】
コンデンサC1、C2が直列状態で、発電素子2からの電力である入力電圧Vinが10Vに達すると(第1電圧値以上になると)、時刻T2において、直並切替スイッチ制御部50Bが動作し、制御信号φ1がLowレベル、制御信号φ2がHighレベルに切り替わる。これに応答して、直並切替部6が作動し、スイッチSw2がオフで、スイッチSw1、Sw3がオンとなり、コンデンサC1、C2が並列に接続される。コンデンサC1、C2が直列接続から並列接続に切り替わると、(Vin=VC1+VC2)の状態から(Vin=VC1=VC2)の状態へ電圧が変化するため、蓄電電圧(入力電圧Vin)は半分に減る(10V⇒5V)。
【0178】
時刻T3において、負荷回路3が駆動されると電力(出力電圧Vout)が負荷回路3に給電される。また、出力電流検出部13による出力信号φ3はHighレベルとなり、直列復帰制御部14による直列復帰信号φ4はLowレベルとなる。また、入力電圧Vinも低下していく。
【0179】
なお、ここでは時刻T2~T4までは、発電素子2からの電力の入力は無いものとする。
【0180】
入力電圧Vinが低下し、時刻T4において、2V(第2電圧値)に達すると、制御信号φ1がHighレベル、制御信号φ2がLowレベルとなり、スイッチSw1、Sw3がオフ、スイッチSw2がオンとなる。これにより、コンデンサC1、C2が直列接続となり、発電素子2からの電力が蓄電される。また、出力電流Ioutの負荷回路3への出力が停止され、出力信号φ3がLowレベル、直列復帰信号φ4がLowレベルとなる。
【0181】
コンデンサC1、C2が直列接続状態で、発電素子2からの電力である入力電圧Vinが10Vに達すると、時刻T5において、直並切替スイッチ制御部50Bが動作し、制御信号φ1がLowレベル、制御信号φ2がHighレベルに切り替わる。これに応答して、直並切替部6が作動し、スイッチSw2がオフ、スイッチSw1、Sw3がオンとなり、コンデンサC1、C2が並列に接続される。蓄電部7のコンデンサC1、C2が直列接続から並列接続に切り替わると、(Vin=VC1+VC2)の状態から(Vin=VC1=VC2)の状態へ電圧が変化するため、蓄電電圧(入力電圧Vin)は半分に減る(10V⇒5V)。
【0182】
その後、時刻T6において、負荷回路3が駆動されると電力(出力電圧Vout)が負荷回路3に給電され、出力電流検出部13の出力信号φ3はHighレベルとなり、直列復帰制御部14による直列復帰信号φ4はLowレベルとなる。また、入力電圧Vinも低下していく。
【0183】
その後、時刻T7において、負荷回路3の電流が変化すると入力電圧Vinは出力電流Ioutの大きさに対応して低下していく。
【0184】
なお、ここでは時刻T5~T11までは、発電素子2からの電力の入力は無いものとする。
【0185】
その後、時刻T8において、負荷回路3の動作が停止し、出力電流Ioutが0Aになった場合、或いは負荷回路3の電流が0.5mA以下(第1電流値)以下になった場合、出力電流検出部13はPchトランジスタTr13に流れる電流を検出し、時刻T9において、出力電流検出部13の出力信号φ3がLowレベルとなる。
【0186】
その後、時刻T10において、直列復帰制御部14による直列復帰信号φ4がHighレベルになる。
【0187】
その後、時刻T11において、直並切替スイッチ制御部50Bが動作し、制御信号φ1がHighレベル、制御信号φ2がLowレベルに切り替わる。これに応答して、直並切替部6が作動し、スイッチSw2がオン、スイッチSw1、Sw3がオフとなる。そして、コンデンサC1、C2が直列に接続され、発電素子2からの電力が蓄電される。
【0188】
その後、時刻T12において、出力電流検出部13の出力信号φ3は、Lowレベル、直列復帰制御部14による直列復帰信号φ4はLowレベルとなる。
【0189】
このようにして、蓄電装置1aは、発電素子2により発電された電力を、直列接続されたコンデンサC1、C2により蓄電し、蓄電電圧が第1電圧値に達した場合に、コンデンサC1、C2を並列接続に切り替えることができる。また、蓄電装置1aは、出力電流検出部13により検出された出力電流が第1電流値以下になった場合に、コンデンサC1、C2の接続を並列から直列に切り替えさせることができる。
【0190】
<蓄電システム100aの作用効果>
以上説明してきたように、本実施形態では、コンデンサC1、C2を有する蓄電部7の出力電流に基づき、コンデンサC1、C2の接続を並列から直列に切り替えさせる。例えば、蓄電装置1aによる給電時にコンデンサC1、C2が並列に接続された状態で、出力電流が第1電流値以下になった場合に、コンデンサC1、C2の接続を並列から直列に切り替えさせる。これにより、蓄電電圧が第2電圧値以下になるのを待たずに、直列接続されたコンデンサC1、C2によって発電素子2による電力を蓄電でき、より効率よく蓄電を行うことができる。
【0191】
実施形態は、発電ゴム等の低周波の発電素子による電力を蓄電、給電する場合に特に好適であるが、これに限定されるものではない。エネルギーハーベスト等の高周波の発電素子による電力の蓄電、給電にも適用可能である。
【0192】
なお、上述した例では、出力電流検出部13の第1電流値を0.5mAとしたが、これに限定されるものではなく、任意に変更可能である。
【0193】
また、
図20では、蓄電装置1aが2つのコンデンサC1、C2を備える例を示したが、コンデンサの数はこれに限定されるものではなく、さらに増やしてもよい。以下に、本実施形態の変形例として、4つのコンデンサを備える蓄電装置1bについて説明する。
【0194】
(第1変形例)
図23は、第1変形例に係る蓄電装置1bの回路構成の一例を説明する図である。
【0195】
図23は、4つのコンデンサを備える蓄電部70と、4つのコンデンサの接続を切り替える4直並切替IC90bの内部ブロックを示している。
【0196】
直並切替スイッチ部60は、
図20の直並切替部6に対応しており、スイッチ群61、62、63で構成される。スイッチ群61、63のそれぞれは、コンデンサC1、C2、C3、C4を並列接続にするときにオンとなり、直列接続にするときにオフとなる。また、スイッチ群62は、コンデンサC1、C2、C3、C4を直列接続にするときにオンとなり、並列接続にするときにオフとなる。スイッチ80は、
図20の出力スイッチ部8に対応する。
【0197】
直並切替制御部5B'は、
図20の2つのコンデンサ切り替え用の直並切替制御部5Bと同様であり、出力電流検出部13と直列復帰制御部14は、
図22と同様である。
図18のようにカスコード接続してコンデンサを多段直列接続する場合には、マスター側とスレーブ側の切替えをするためのマスター/スレーブ切替回路55が搭載される。
【0198】
マスター/スレーブ切替回路55を設けることで、スレーブICとして複数のICをカスコード接続できるよう構成し、それぞれの出力電圧Vout出力を4直並列切替えマスターICに接続でき多段接続が可能である。
【0199】
このように、多段接続する場合、カスコード接続をマスタースレーブ方式で多段接続制御する。これにより、より多段のコンデンサを接続することができ、更なる高効率化が可能になる。
【0200】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係る蓄電システム100eについて説明する。
【0201】
上述した実施形態に係る蓄電システム100では、蓄電及び給電が可能な負荷駆動蓄電装置と蓄電装置1とを接続し、蓄電装置1の蓄電した電力を負荷駆動蓄電装置に蓄電させる場合、負荷駆動蓄電装置の蓄電電圧が第2電圧値以下になるまで、蓄電装置1は複数のコンデンサが並列接続された状態を維持する。そのため、負荷駆動蓄電装置の蓄電電圧が第2電圧値以下になるまで、蓄電装置1を複数のコンデンサが直列接続された状態に切り替えることができず、蓄電効率が上がらなくなる場合がある。
【0202】
また、蓄電システム100では、複数のコンデンサが直列接続された状態では、負荷回路に給電できず、給電効率が上がらなくなる場合がある。
【0203】
これに対し、本実施形態では、第1実施形態と同様に、複数の蓄電デバイスを有する蓄電部の出力電流に基づき、複数の蓄電デバイスの接続を並列から直列に切り替えさせる。例えば、複数の蓄電デバイスが並列に接続された状態で、出力電流が第1電流値以下になった場合に、複数の蓄電デバイスの接続を並列から直列に切り替えさせる。そして、負荷駆動蓄電装置と蓄電装置1とを接続する場合にも、負荷駆動蓄電装置の蓄電電圧が第2電圧値以下になるのを待たずに、直列接続された複数の蓄電デバイスで蓄電でき、蓄電効率を向上させる。また、複数のコンデンサが直列接続された状態で負荷回路に給電可能にし、給電効率を向上させる。
【0204】
<蓄電システム100eの構成例>
蓄電システム100eの構成について、
図24を参照して説明する。蓄電システム100eの構成の一例を示すブロック図である。
図24に示すように、蓄電システム100eは、蓄電装置1aと、負荷駆動蓄電装置10とを備える。蓄電装置1aの構成は、第1実施形態で説明したものと同様である。
【0205】
蓄電システム100eでは、発電素子2により発電された電力を整流回路4により整流した後、蓄電部7において直列接続されたコンデンサC1、C2に蓄電する。その後、コンデンサC1、C2を並列に接続した状態で、負荷駆動蓄電装置10及び負荷回路3の両方に並行して給電する。
【0206】
蓄電装置1aは、蓄電部7に蓄電された電力を、負荷回路3とともに負荷駆動蓄電装置10に給電する。
【0207】
負荷駆動蓄電装置10は、電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ、リチウムイオン電池、又は鉛蓄電池等の各種蓄電デバイスを備え、蓄電及び給電が可能な装置である。負荷駆動蓄電装置10は、負荷回路3を駆動させるための電力を、負荷回路3に給電する。
【0208】
負荷駆動蓄電装置10による負荷回路3への給電の制御方法は特に限定されないが、例えば、外部装置からの制御信号に基づき制御されてもよいし、負荷駆動蓄電装置10にタイマーを備えさせ、タイマーによる計測時間に基づき、所定の時間周期で給電されるように制御されてもよい。
【0209】
上述したように、直列接続されたコンデンサC1、C2の蓄電電圧が第1電圧値に達すると、直並切替部6が作動してコンデンサC1、C2が並列接続される。そして、Vin=VC1=VC2=Vochになるように、コンデンサC1、C2に蓄電された電力は、負荷駆動蓄電装置10に給電されて蓄電されるとともに、負荷回路3に給電される。ここで、Vochは負荷駆動蓄電装置10の蓄電電圧である。
【0210】
但し、負荷回路3の起動電圧を設定した場合は、蓄電電圧Vochが負荷回路3の起動電圧より低い場合は、負荷駆動蓄電装置10のみに給電され、蓄電電圧Vochが負荷回路3の起動電圧以上になった場合に、負荷駆動蓄電装置10と負荷回路3の両方に給電される。
【0211】
その後、蓄電部7の蓄電電圧が第2電圧値以下になると、直並切替制御部5の制御下で直並切替部6が作動して、コンデンサC1、C2は直列接続に切り替えられる。コンデンサC1、C2は直列接続された状態で、発電素子2による電力を蓄電する。
【0212】
また、出力電流検出部13は、蓄電装置1aから負荷回路3及び負荷駆動蓄電装置10に出力される電流を検出し、検出結果を直列復帰制御部14に出力する。直列復帰制御部14は、出力電流検出部13により検出された出力電流が第1電流値以下になった場合に、直並切替制御部5に、コンデンサC1、C2の接続を並列から直列に切り替えさせる。直並切替制御部5の制御下で直並切替部6が作動して、コンデンサC1、C2の接続は並列から直列に切り替えられる。コンデンサC1、C2は、直列接続の状態で、発電素子2による電力を蓄電する。
【0213】
蓄電装置1aは、負荷回路3及び負荷駆動蓄電装置10に給電し、蓄電部7の蓄電電圧が第1電圧以下になった場合、又は出力電流が第1電流値以下になった場合の何れか一方の場合に、コンデンサC1、C2が直列接続に切り替えられて、発電素子2による電力を蓄電できるため効率よく充電できる。
【0214】
また、蓄電システム100eが蓄電中で、蓄電システム100eから負荷回路3に給電できない時にも、負荷駆動蓄電装置10が蓄電した電力を負荷回路3に給電することができるため、負荷回路3を継続して駆動させることができる。
【0215】
<第2実施形態における蓄電装置1aの動作>
次に、本実施形態における蓄電装置1aの動作について、
図25を参照して説明する。
図25は、本実施形態における蓄電装置1aの動作例を示すタイミングチャートである。時刻T1までの動作は、
図22で説明したものと同様であるため、重複した説明を省略する。
【0216】
コンデンサC1、C2が直列状態で、発電素子2からの電力である入力電圧Vinが10V(第1電圧)に達すると、時刻T2において、直並切替スイッチ制御部50Bが動作し、制御信号φ1がLowレベル、制御信号φ2がHighレベルに切り替わる。これに応答して直並切替部6が作動してスイッチSw2がオフ、スイッチSw1,Sw3がオンとなり、蓄電部7のコンデンサC1、C2が並列に接続される。蓄電部7のコンデンサC1、C2が直列接続から並列接続に切り替わると、(Vin=VC1+VC2)の状態から(Vin=VC1=VC2)の状態へ電圧が変化するため、蓄電電圧(入力電圧Vin)は半分に減る(10V⇒5V)と同時に、負荷回路3と負荷駆動蓄電装置10へ蓄電部7のコンデンサC1、C2に蓄電された電力が給電され、負荷駆動蓄電装置10の電位が上昇する。
【0217】
また、時刻T2において、蓄電装置1aの出力電流Ioutが流れ始め、時刻T3において、出力電流検出部13の出力信号φ3はHighレベルとなり、直列復帰制御部14による直列復帰信号φ4はLowレベルとなる。また、入力電圧Vinも低下していく。
【0218】
なお、ここでは時刻T2~T4までは、発電素子2からの電力の入力は無いものとする。また、負荷回路3への給電はないものとする。
【0219】
入力電圧Vinが低下し、時刻T4において2Vに達すると、制御信号φ1がHighレベル、制御信号φ2がLowレベルとなり、スイッチSw1、Sw3がオフ、スイッチSw2がオンとなることで、蓄電部7のコンデンサC1、C2が直列接続となり、発電素子2からの電力を蓄電する。
【0220】
また、時刻T4において、出力電流Ioutは負荷回路3と負荷駆動蓄電装置10への出力が停止され、時刻T5において、出力信号φ3がLowレベル、直列復帰信号φ4がLowレベルとなる。
【0221】
コンデンサC1、C2が直列状態で、発電素子2からの電力である入力電圧Vinが10Vに達すると、時刻T6において、直並切替スイッチ制御部50Bが動作し、制御信号φ1がLowレベル、制御信号φ2がHighレベルに切り替わる。これに応答して、直並切替部6が作動し、スイッチSw2がオフ、スイッチSw1、Sw3がオンとなり、蓄電部7のコンデンサC1、C2が並列に接続される。蓄電部7のコンデンサC1、C2が直列接続から並列接続に切り替わると、(Vin=VC1+VC2)の状態から(Vin=VC1=VC2)の状態へ電圧が変化するため、蓄電電圧(入力電圧Vin)は半分に減る(10V⇒5V)と同時に、負荷回路3と負荷駆動蓄電装置10へ蓄電部7のコンデンサC1、C2に蓄電された電力が給電され、負荷駆動蓄電装置10の電位が上昇する。
【0222】
負荷駆動蓄電装置10の電圧Vochの電位の上昇に伴い、時刻T8において、入力電圧Vinが2V以上になる。その後、蓄電装置1aの出力電流Ioutが減少し、5mA以下になると、時刻T9において、出力電流検出部13の出力信号φ3はLowレベルとなり、時刻T10において、直列復帰制御部14による直列復帰信号φ4はHighレベルとなる。
【0223】
その後、時刻T11において、制御信号φ1がHighレベル、制御信号φ2がLowレベルとなり、スイッチSw1、Sw3がオフ、スイッチSw2がオンとなる。これにより、コンデンサC1、C2が直列接続となり、発電素子2からの電力が蓄電される。
【0224】
その後、時刻T12において、直列復帰制御部14による直列復帰信号φ4はHighレベルとなる。
【0225】
なお、ここでは、時刻T6~T11までは、発電素子2からの電力の入力は無いものとする。また、負荷回路3への給電は5mAより小さいものとする。
【0226】
以上の動作が継続して行われる。
【0227】
このようにして、蓄電装置1aは、負荷駆動蓄電装置と蓄電装置1とを接続する場合にも、負荷駆動蓄電装置の蓄電電圧が第2電圧値以下になるのを待たずに、直列接続された複数の蓄電デバイスで蓄電できる。また、複数のコンデンサが直列接続された状態で負荷回路に給電できる。
【0228】
<蓄電システム100eの作用効果>
以上説明してきたように、本実施形態では、負荷駆動蓄電装置と蓄電装置1とを接続する場合にも、負荷駆動蓄電装置の蓄電電圧が第2電圧値以下になるのを待たずに、直列接続された複数の蓄電デバイスで蓄電でき、蓄電効率を向上させることができる。また、複数のコンデンサが直列接続された状態で負荷回路に給電可能にし、給電効率を向上させることができる。
【0229】
なお、上述した例では、出力電流検出部13の第1電流検出値を5mAとしたが、任意に変更可能である。また、負荷回路3の消費電流に合わせて、蓄電部7のコンデンサC1、C2の容量値、第1電圧値、第2電圧値、負荷駆動蓄電装置10の蓄電電圧、を調整し負荷回路3の動作電圧範囲に設定することができる。これにより、負荷回路3は発電素子2により発電されるタイミングによらず、負荷回路3を継続的に動作させることができる。
【0230】
[第2変形例]
上述した例では、負荷駆動蓄電装置10による負荷回路3への給電制御について外部装置からの制御信号に基づく方法やタイマーによる時間計測に基づく方法を示したが、ノーマリーオフ回路を用いて給電制御を行うこともできる。
図26は、このようなノーマリーオフ回路を備える蓄電システム100fの構成の一例を示すブロック図である。
図26に示すように、蓄電システム100fは、負荷回路3fと、ノーマリーオフ回路36とを備える。また、負荷回路3fは、メモリ33と、MPU(Micro Processing Unit)34と、無線装置35とを備える。負荷回路3fとしてIoTデバイス等が挙げられる。
【0231】
メモリ33は、各種プログラムやデータ、IoTデバイスで取得される計測データ、画像等の種々の情報を記憶する。メモリ33は、揮発性又は不揮発性の半導体メモリ等の記憶装置で構成される。なお、メモリ33が、ROM(Read Only Memory)及び/又はRAM(Random Access Memory)を含んでもよい。
【0232】
MPU34はプロセッサ等で構成され、負荷回路3の各部の動作及び全体動作を制御する。
【0233】
無線装置35は、他の装置又はデバイスと接続され、情報を送受信するためのインタフェースとして機能する。無線装置35は、USBコネクタ等を含んでもよい。
【0234】
ノーマリーオフ回路36は、通常時は、蓄電装置1a及び負荷駆動蓄電装置10から負荷回路3fへの給電を遮断し、動作すべきタイミングで給電させる電気回路である。ノーマリーオフ回路36は、MOSFET等を含んで構成される。
【0235】
蓄電システム100fの構成により、通常時は給電を遮断し、動作すべきタイミングのみ給電を行うことで、消費電力を削減できる。通常時は給電を遮断し、予め定められた周期や条件下のみに、データ取得やデータの送受信を行うことが多いIoTデバイス等において、特に好適である。
【0236】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の実施形態の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【0237】
上述した例では、全ての構成要素を電気回路等のハードウェアで構成するものを示したが、一部の機能をソフトウェアで実現する構成としてもよい。
【0238】
また、実施形態は、制御装置も含む。例えば、制御装置は、電力を蓄電する複数の蓄電デバイスと、前記複数の蓄電デバイスの接続を、直列又は並列の何れかに切り替える直並切替部と、前記直並切替部による切替を制御する直並切替制御部と、を有する蓄電装置を制御する制御装置であって、前記蓄電装置の出力電流に基づいて、前記蓄電装置により、前記複数の蓄電デバイスの接続を並列から直列に切り替えさせる直列復帰制御部と、を備える。このような制御装置により、上述した蓄電装置と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0239】
1、1a 蓄電装置
2 発電素子
3 負荷回路
33 メモリ
34 MPU
35 無線装置
4 整流回路(整流部の一例)
5 直並切替制御部
50 直並切替スイッチ制御部(電圧監視部の一例)
51、52 インバータ
55 マスター/スレーブ切替回路
6 直並切替部
60 直並切替スイッチ部
61、62、63 スイッチ群
7 蓄電部
8 出力スイッチ部(出力部の一例)
9 直並切替IC
91 マスターIC
92、93、94、95 スレーブIC
10 負荷駆動蓄電装置
13 出力電流検出部
14 直列復帰制御部
15 出力電流直列復帰制御装置
31 通信モジュール
32 センサー
100、100C、100a、100e、100f 蓄電システム
C1、C2、C3、C4 コンデンサ(蓄電デバイス)
H ヒステリシス生成回路
Tr1、Tr3 ディプリージョン型トランジスタ
Tr2、Tr4 Nchトランジスタ
φ1、φ2 制御信号
φ3 出力信号
φ4 直列復帰信号
【先行技術文献】
【特許文献】
【0240】