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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】用紙搬送装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 5/02 20060101AFI20240319BHJP
【FI】
B65H5/02 S
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019149260
(22)【出願日】2019-08-16
(65)【公開番号】P2021031199
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137752
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 岳行
(74)【代理人】
【識別番号】100085040
【弁理士】
【氏名又は名称】小泉 雅裕
(74)【代理人】
【識別番号】100108925
【弁理士】
【氏名又は名称】青谷 一雄
(74)【代理人】
【識別番号】100087343
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 智廣
(72)【発明者】
【氏名】田中 敬
【審査官】松林 芳輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-262537(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 5/02
B65H 5/22
B65H 29/00-29/18
B65H 29/24
B65H 29/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
循環移動するチェーンと、
前記チェーンを循環移動させる駆動手段と、
前記チェーンに設けられ用紙の搬送方向に沿った端部を保持する保持手段と、
前記チェーンが前記駆動手段に沿って移動している間、前記保持手段を前記用紙の搬送方向及び前記用紙の幅方向の双方と交差する方向に沿った両側で位置決めする第1位置決め部と、
を備え、
前記第1位置決め部は、前記駆動手段に沿って設けられた第1案内溝に沿って移動可能に案内され、
前記第1案内溝の周長は、前記駆動手段の周長よりも短い用紙搬送装置。
【請求項2】
循環移動するチェーンと、
前記チェーンを循環移動させる駆動手段と、
前記チェーンに設けられ用紙の搬送方向に沿った端部を保持する保持手段と、
前記チェーンが前記駆動手段に沿って移動している間、前記保持手段を前記用紙の搬送方向及び前記用紙の幅方向の双方と交差する方向に沿った両側で位置決めする第1位置決め部と、
を備え、
前記チェーンが前記駆動手段に沿って移動している間、前記第1位置決め部と異なる位置において、前記保持手段を前記用紙の搬送方向及び前記用紙の幅方向の双方と交差する方向に沿った両側で位置決めする第2位置決め部と、
備える用紙搬送装置。
【請求項3】
前記第2位置決め部は、前記駆動手段に沿って設けられた第2案内溝に沿って移動可能に案内される請求項2に記載の用紙搬送装置。
【請求項4】
前記第1位置決め部は、前記駆動手段に沿って設けられた第1案内溝に沿って移動可能に案内され、
前記第2案内溝の周長は、前記第1案内溝の周長よりも、前記駆動手段の周長に近い請求項3に記載の用紙搬送装置。
【請求項5】
前記第1及び前記第2位置決め部は、前記保持手段の重心位置を挟んで前記用紙の搬送方向に沿った両側に配置される請求項4に記載の用紙搬送装置。
【請求項6】
前記チェーンが前記駆動手段に沿って移動している間、前記保持手段を前記用紙の搬送方向と交差する方向且つ前記用紙の幅方向に沿った方向の両側で位置決めする第3位置決め部と、
を備える請求項1または2のいずれかに記載の用紙搬送装置。
【請求項7】
請求項1または2のいずれかに記載の用紙搬送装置と、
前記用紙搬送装置によって搬送される用紙に対して画像を形成する画像形成手段と、
を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、用紙搬送装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用紙搬送装置に関する技術としては、例えば、チェーングリッパーを用いて記録用紙を搬送するよう構成したものが既に提案されている(特許文献1)。
【0003】
特許文献1は、チェーンに枢設されている各チェーングリッパーの左右のホルダーに、フレームにチェーンガイドと並設したグリッパーガイドの内周面に係合案内される上下方向位置決め用ローラーフォロアーと、印刷胴に固設したVブロックに係合される前後方向位置決め用カムフォロアーと、印刷胴に、その周方向へ開口する如く固設した凹溝状ブロックにスライド自在に係合される胴軸方向位置決め用ピンとを夫々設けるように構成したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平06-047283号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明の目的は、チェーンに設けられた保持手段を用紙の搬送方向及び用紙の表面の双方と交差する方向に沿った両側で位置決めする第1位置決め部を有しない場合に比べ、保持手段に保持されて搬送される用紙の搬送精度を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載された発明は、循環移動するチェーンと、
前記チェーンを循環移動させる駆動手段と、
前記チェーンに設けられ用紙の搬送方向に沿った端部を保持する保持手段と、
前記チェーンが前記駆動手段に沿って移動している間、前記保持手段を前記用紙の搬送方向及び前記用紙の幅方向の双方と交差する方向に沿った両側で位置決めする第1位置決め部と、
を備え、
前記第1位置決め部は、前記駆動手段に沿って設けられた第1案内溝に沿って移動可能に案内され、
前記第1案内溝の周長は、前記駆動手段の周長よりも短い用紙搬送装置である。
【0009】
請求項2に記載された発明は、循環移動するチェーンと、
前記チェーンを循環移動させる駆動手段と、
前記チェーンに設けられ用紙の搬送方向に沿った端部を保持する保持手段と、
前記チェーンが前記駆動手段に沿って移動している間、前記保持手段を前記用紙の搬送方向及び前記用紙の幅方向の双方と交差する方向に沿った両側で位置決めする第1位置決め部と、
を備え、
前記チェーンが前記駆動手段に沿って移動している間、前記第1位置決め部と異なる位置において、前記保持手段を前記用紙の搬送方向及び前記用紙の幅方向の双方と交差する方向に沿った両側で位置決めする第2位置決め部と、
備える用紙搬送装置である。
【0010】
請求項3に記載された発明は、前記第2位置決め部は、前記駆動手段に沿って設けられた第2案内溝に沿って移動可能に案内される請求項2に記載の用紙搬送装置である。
【0011】
請求項4に記載された発明は、前記第1位置決め部は、前記駆動手段に沿って設けられた第1案内溝に沿って移動可能に案内され、
前記第2案内溝の周長は、前記第1案内溝の周長よりも、前記駆動手段の周長に近い請求項3に記載の用紙搬送装置である。
【0012】
請求項5に記載された発明は、前記第1及び前記第2位置決め部は、前記保持手段の重心位置を挟んで前記用紙の搬送方向に沿った両側に配置される請求項4に記載の用紙搬送装置である。
【0013】
請求項6に記載された発明は、前記チェーンが前記駆動手段に沿って移動している間、前記保持手段を前記用紙の搬送方向と交差する方向且つ前記用紙の幅方向に沿った方向の両側で位置決めする第3位置決め部と、
を備える請求項1または2のいずれかに記載の用紙搬送装置である。
【0014】
請求項7に記載された発明は、請求項1または2のいずれかに記載の用紙搬送装置と、
前記用紙搬送装置によって搬送される用紙に対して画像を形成する画像形成手段と、
を備える画像形成装置である。
【発明の効果】
【0015】
請求項1及び2に記載された発明によれば、チェーンに設けられた保持手段を用紙の搬送方向及び用紙幅方向の双方と交差する方向に沿った両側で位置決めする第1位置決め部を有しない場合に比べ、保持手段に保持され搬送される用紙の搬送精度を向上させることができる。
【0016】
また、請求項1に記載された発明によれば、第1位置決め部は、駆動手段に沿って設けられた第1案内溝に沿って移動可能に案内されない場合に比べ、保持手段を確実に位置決めできる。
【0017】
更に、請求項1に記載された発明によれば、第1案内溝の周長は、駆動手段の周長よりも長い場合に比べ、第1位置決め部を駆動手段の内周で位置決めすることができる。
【0018】
請求項2に記載された発明によれば、第2位置決め部を備えない場合に比べ、保持手段を第1位置決め部と異なる位置で位置決めすることができる。
【0019】
請求項3に記載された発明によれば、第2位置決め部は、駆動手段に沿って設けられた第2案内溝に沿って移動可能に案内されない場合に比べ、保持手段を確実に位置決めできる。
【0020】
請求項4に記載された発明によれば、第2案内溝の周長は、第1案内溝の周長より駆動手段の周長に近くない場合に比べ、第2位置決め部を駆動手段の周長に沿った近い位置で位置決めすることができる。
【0021】
請求項5に記載された発明によれば、第1及び第2位置決め部は、保持手段の重心位置を挟んで用紙の搬送方向に沿った両側に配置されない場合に比べ、保持手段を重心位置の用紙搬送方向に沿った両側で位置決めできる。
【0022】
請求項6に記載された発明によれば、第3位置決め部を備えない場合に比べ、保持手段を用紙の搬送方向と交差する方向且つ用紙幅方向に沿った方向の両側で位置決めできる。
【0023】
請求項7に記載された発明によれば、請求項1または2のいずれかに記載の用紙搬送装置を備えない場合に比べ、保持手段に保持されて搬送される用紙の搬送精度を向上させることができ、用紙に形成される画像の画質が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】この発明の実施の形態1に係る用紙搬送装置を適用した画像形成装置を示す概略構成図である。
図2】この発明の実施の形態1に係る画像形成装置の作像装置を示す概略構成図である。
図3】この発明の実施の形態1に係る用紙搬送装置を示す断面構成図である。
図4】この発明の実施の形態1に係る用紙搬送装置の一部を示す概略斜視構成図である。
図5】この発明の実施の形態1に係る用紙搬送装置の転写胴を示す斜視構成図である。
図6】この発明の実施の形態1に係る用紙搬送装置の転写胴を示す側面構成図である。
図7】チェーンを示す斜視構成図である。
図8】転写胴の要部を示す拡大斜視図である。
図9】取付部材を示す構成図である。
図10】取付部材を示す正面図である。
図11】爪部材を示す断面構成図である。
図12】作動部材を示す断面構成図である。
図13】作動部材の動作を示す断面構成図である。
図14】作動部材の動作を示す断面構成図である。
図15】チェーングリッパーの動作を示す説明図である。
図16】この発明の実施の形態1に係る用紙搬送装置の要部を示す側面構成図である。
図17】この発明の実施の形態1に係る用紙搬送装置の要部を示す断面構成図である。
図18】この発明の実施の形態1に係る用紙搬送装置の動作を示す構成図である。
図19】比較例に係る用紙搬送装置の要部を示す構成図である。
図20】比較例に係る用紙搬送装置の要部を示す構成図である。
図21】この発明の実施の形態2に係る用紙搬送装置の要部を示す構成図である。
図22】この発明の実施の形態2に係る用紙搬送装置の要部を示す斜視構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0026】
[実施の形態1]
図1は、実施の形態1に係る用紙搬送装置を適用した画像形成装置の全体の概要を示している。
【0027】
<画像形成装置の全体の構成>
実施の形態1に係る画像形成装置1は、例えば電子写真方式を採用したカラープリンタとして構成されたものである。画像形成装置1は、図1に示されるように、現像剤を構成するトナーで現像されるトナー像を形成する複数の作像装置20と、各作像装置20で形成されたトナー像をそれぞれ保持して最終的に記録媒体(用紙)の一例としての記録用紙5に二次転写する二次転写位置T2まで搬送する中間転写装置30と、中間転写装置30の二次転写位置T2に供給すべき所要の記録用紙5を収容して搬送する給紙装置40と、給紙装置40から供給される記録用紙5を保持した状態で、中間転写装置30からトナー像が二次転写される二次転写位置T2へと搬送するとともに、トナー像が二次転写された記録用紙5に未定着トナー像を定着する定着装置を兼ねた用紙搬送装置60等を備えている。
【0028】
この実施の形態1では、複数の作像装置20と中間転写装置30が、記録用紙5にトナー像を形成する画像形成手段を構成している。なお、画像形成手段は、単一の作像装置を備え、中間転写装置を介さず作像装置から記録媒体にトナー像を直接形成するよう構成しても良い。
【0029】
画像形成装置1は、図1に示されるように、水平方向に沿って1列に並べた状態で配置される4つの作像装置20を備えている。4つの作像装置20は、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)及びブラック(K)の各色に対応したカラートナー像をそれぞれ専用に形成する作像装置20Y,20M,20C,20Kからなる。
【0030】
各作像装置20(Y,M,C,K)は、基本的に同様に構成されている。各作像装置20(Y,M,C,K)は、図2に示されるように、矢印Aで示す方向に沿って回転する像保持手段の一例としての感光体ドラム21と、感光体ドラム21の像形成が可能な周面(像保持面)を所要の電位に帯電させる帯電装置22と、感光体ドラム21の帯電された周面に画像の情報(信号)に基づく光LBを照射して電位差のある(各色用の)静電潜像を形成する露光手段の一例としての露光装置23と、その静電潜像を対応する色(Y,M,C,K)の現像剤のトナーで現像してトナー像にする現像手段の一例としての現像装置24と、その各トナー像を中間転写装置30に転写する一次転写手段の一例としての一次転写装置25と、一次転写後における感光体ドラム21の像保持面に残留して付着するトナー等の付着物を取り除いて清掃するドラム清掃装置26等を備えている。なお、図1中の破線は、画像形成装置1の内部において記録用紙5が搬送される搬送経路を示す。
【0031】
各作像装置20(Y,M,C,K)の下方の位置には、図1に示されるように、中間転写装置30が配置される。中間転写装置30は、各作像装置20(Y,M,C,K)の感光体ドラム21の下方に位置する一次転写位置T1を通過しながら矢印Bで示す方向に循環移動する中間転写手段の一例としての中間転写ベルト31を備える。一次転写位置T1においては、一次転写装置25(一次転写ロール)が中間転写ベルト31を介して感光体ドラム21の周面に接触している。一次転写装置25には、感光体ドラム21上のトナー像と逆極性の一次転写バイアス電圧が図示しない高圧電源により印加される。中間転写ベルト31は、複数のベルト支持ロール32~34によってその内周から所望の状態に保持して循環移動可能に支持されている。複数のベルト支持ロール32~34は、駆動ロールとしてのベルト支持ロール32と、中間転写ベルト31の走行位置などを保持する従動ロールとしてのベルト支持ロール33と、二次転写のバックアップロールとしてのベルト支持ロール34から構成されている。
【0032】
ベルト支持ロール34に支持されている中間転写ベルト31の外周面(像保持面)には、中間転写ベルト31上のトナー像を記録用紙5に二次転写させる用紙搬送装置60が配置されている。
【0033】
用紙搬送装置60は、二次転写位置T2においてベルト支持ロール34に支持されている中間転写ベルト31の外周面部分に接触して回転するよう配置される転写胴61を備えている。用紙搬送装置60の転写胴61は、二次転写位置T2において中間転写ベルト31を支持するベルト支持ロール34とともに接触型の二次転写装置を構成している。
【0034】
この実施の形態1では、用紙搬送装置60の転写胴61が接地処理されている。また、ベルト支持ロール34には、トナーの帯電極性と同極性であるマイナス極性の所要の二次転写バイアス電圧が図示しない高圧電源から供給される。中間転写ベルト31の二次転写位置T2を通過した下流側には、その表面に残留して付着するトナー、紙粉等の付着物を取り除いて清掃するベルト清掃装置35が配置されている。
【0035】
用紙搬送装置60は、二次転写位置T2の上流側において給紙装置40から供給される記録用紙5の先端部を保持しつつ搬送するとともに、記録用紙5上に転写された未定着トナー像を定着する定着装置を兼ねている。用紙搬送装置60は、その記録用紙5の搬送方向Cに沿った下流側の端部に定着装置の加圧手段を構成する加圧胴62が配置されている。加圧胴62には、表面温度が予め定められた温度に保持されるよう加熱手段(熱源)50によって加熱される加熱ロール51が圧接されている。用紙搬送装置60では、加熱ロール51と加圧胴62が接触する接触部が所要の定着処理(加熱及び加圧)を行う定着ニップ部となる。定着装置としては、加熱ロール51と加圧胴62の組み合わせからなるもの以外に、用紙搬送装置60によって搬送される記録用紙5上の未定着トナー像を輻射熱によって定着するフラッシュ定着装置などを適宜組み合わせて用いても良い。なお、用紙搬送装置60については、後に詳述する。
【0036】
給紙装置40は、中間転写装置30の下方の位置に存在するよう配置される。給紙装置40は、所望のサイズ、種類等の記録用紙5を積載した状態で収容する単数(又は複数)の用紙収容体41と、用紙収容体41から記録用紙5を1枚ずつ送り出す送出装置42と、送出装置42から送り出される記録用紙5を二次転写位置T2まで搬送する単数(又は複数)の用紙搬送ロール対43や図示しない搬送ガイド材で構成される給紙搬送路44で主に構成されている。給紙搬送路44において二次転写位置T2の直前の位置に配置される用紙搬送ロール対43は、例えば記録用紙5の搬送時期を調整するロール(レジストロール)として構成されている。
【0037】
記録用紙5としては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンタ等に使用される普通紙やトレーシングペーパー等の薄紙、あるいは合成樹脂(PETなど)製の透明なフィルム状の媒体からなるOHPシート等が挙げられる。定着後における画像表面の平滑性をさらに向上させるには、記録用紙5の表面もできるだけ平滑であることが好ましく、例えば、普通紙の表裏両面又は表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等の坪量が相対的に大きい所謂厚紙なども好適に使用することができる。
【0038】
用紙搬送装置60の下流側には、トナー像が定着された記録用紙5を、図示しない用紙排出部に排出するための用紙排出ベルト45が配置されている。
【0039】
なお、中間転写装置30と用紙搬送装置60との間には、加熱ロール51の熱が中間転写装置30や作像装置20(Y,M,C,K)へ伝わるのを抑制するアルミニウム等の金属板からなる遮蔽板46が設けられている。なお、熱の伝達を抑制するものであれば、材質が金属である必要はない。
【0040】
<画像形成装置の動作>
以下、画像形成装置1による基本的な画像形成動作について説明する。
【0041】
ここでは、前記4つの作像装置20(Y,M,C,K)を使用して、4色(Y,M,C,K)のトナー像を組み合わせて構成されるフルカラー画像を形成するときの画像形成動作について説明する。
【0042】
画像形成装置1は、画像形成動作(プリント)の要求の指令情報を受けると、4つの作像装置20(Y,M,C,K)、中間転写装置30、給紙装置40、用紙搬送装置60等が始動する。
【0043】
そして、各作像装置20(Y,M,C,K)においては、図2に示されるように、まず各感光体ドラム21が矢印Aで示す方向に回転し、各帯電装置22が各感光体ドラム21の表面を所要の極性(実施の形態1ではマイナス極性)及び電位に帯電させる。続いて、露光装置23が、帯電後の感光体ドラム21の表面に対し、画像形成装置1に入力される画像の情報を各色成分(Y,M,C,K)に変換して得られる画像の信号に基づいて発光される光を照射し、その表面に所要の電位差で構成される各色成分の静電潜像をそれぞれ形成する。
【0044】
続いて、各現像装置24が、感光体ドラム21に形成された各色成分の静電潜像に対し、所要の極性(マイナス極性)に帯電された対応する色(Y,M,C,K)のトナーをそれぞれ供給して静電的に付着させて現像を行う。この現像により、各感光体ドラム21に形成された各色成分の静電潜像は、その対応する色のトナーでそれぞれ現像された4色(Y,M,C,K)のトナー像として顕像化される。
【0045】
続いて、各作像装置20(Y,M,C,K)の感光体ドラム21上に形成された各色のトナー像が一次転写位置T1まで搬送されると、図1に示されるように、一次転写装置25が、その各色のトナー像を中間転写装置30の矢印Bで示す方向に回転する中間転写ベルト31に対して順番に重ね合わせるような状態で一次転写させる。
【0046】
また、一次転写が終了した各作像装置20では、ドラム清掃装置26が付着物を掻き取るように除去して感光体ドラム21の表面を清掃する。これにより、各作像装置20は次の作像動作が可能な状態にされる。
【0047】
続いて、中間転写装置30では、中間転写ベルト31の回転により一次転写されたトナー像を保持して二次転写位置T2まで搬送する。一方、給紙装置40では、作像動作に合わせて所要の記録用紙5を給紙搬送路44に送り出す。給紙搬送路44では、レジストロールとしての用紙搬送ロール対43が記録用紙5を転写時期に合わせて二次転写位置T2に送り出して供給する。
【0048】
二次転写位置T2においては、用紙搬送装置60の転写胴61が、中間転写ベルト31上のトナー像を記録用紙5に一括して二次転写させる。また、二次転写が終了した後の中間転写装置30では、ベルト清掃装置35が、二次転写後の中間転写ベルト31の表面に残留したトナー等の付着物を取り除いて清掃する。
【0049】
続いて、トナー像が二次転写された記録用紙5は、中間転写ベルト31から剥離された後に用紙搬送装置60によって加熱ロール51と対向する定着位置まで搬送される。定着位置では、回転する加熱ロール51と加圧胴62との間の定着ニップ部に二次転写後の記録用紙5を導入して通過させることにより、必要な定着処理(加熱及び加圧)をして未定着のトナー像を記録用紙5に定着させる。
【0050】
定着処理が終了した後の記録用紙5は、用紙排出ベルト45により図示しない排出収容部へ排出される。
【0051】
以上の動作が行われることにより、4色のトナーT(Y,M,C,K)からなるトナー像を組み合わせて形成されるフルカラー画像が記録用紙5に形成される。また、複数枚の画像形成動作の要求指令を受けた場合は、その枚数分だけ上記画像形成動作が同様に繰り返して行われる。なお、上述したように、フルカラー画像以外に、1乃至3つの作像装置においてトナー像を形成することにより、1乃至3色のトナー像を適宜組み合わせた画像も、同様の画像形成動作によって記録用紙5上に形成される。
【0052】
<用紙搬送装置の構成>
この実施の形態1に係る用紙搬送装置60は、図3に示されるように、二次転写位置T2の記録用紙5の搬送方向Cに沿った上流側において、記録用紙5の先端部を保持して転写胴61の外周面に巻き付けた状態で搬送し、二次転写位置T2において記録用紙5に中間転写ベルト31からトナー像を転写すると共に、当該用紙搬送装置60によって搬送される記録用紙5に未定着トナー像を定着する定着装置を兼ねている。
【0053】
用紙搬送装置60は、図3及び図4に示されるように、記録用紙5の搬送方向Cに沿った上流側の端部に配置される二次転写手段の一例としての転写胴61と、記録用紙5の搬送方向Cに沿った下流側の端部に配置される定着手段の一例としての加圧胴62と、転写胴61及び加圧胴62の軸方向に沿った両端部にそれぞれ配置され、転写胴61及び加圧胴62を回転駆動する駆動手段の一例としてのスプロケット63,64,65,66と、転写胴61の両端部に配置されたスプロケット63,64と加圧胴62の両端部に配置されたスプロケット65,66の間にそれぞれ巻き掛けられた2本のチェーン67,68と、2本のチェーン67,68の間に掛け渡すように設けられ、記録用紙5の先端部を保持する保持手段の一例としてのチェーングリッパー70とを備える。図3中、符号69は、用紙搬送装置60によって搬送される記録用紙5の背面を支持する支持板を示している。また、図4では、転写胴61と同様に構成される加圧胴62及び加圧胴62の両端部に配置されたスプロケット65,66の符号を併せて付している。
【0054】
転写胴61は、図5に示されるように、外周面に導電性が付与された合成樹脂や金属等によって略円筒形状に形成されている。転写胴61は、図示しないアースに接続(接地)されている。転写胴61には、その周方向の一部に外周面が開口された凹部611が軸方向に沿って全長にわたり設けられている。転写胴61の凹部611には、スプロケット63,64の回転と同期して記録用紙5の搬送方向Cに沿った先端部を保持するチェーングリッパー70が収容される。別言すれば、転写胴61の凹部611は、チェーングリッパー70が収容される収容部であるということもできる。転写胴61は、ベルト支持ロール34により支持された中間転写ベルト31に接触する部材であり、凹部611に収容されたチェーングリッパー70は、転写胴61の外周面から突出することはない。ただし、チェーングリッパー70による記録用紙5の保持は、二次転写位置T2の上流側で行われるため、記録用紙5の保持動作においてチェーングリッパー70の一部が転写胴61の外周面から突出しても支障はない。
【0055】
転写胴61の凹部611は、周方向に沿った一箇所に限定されるものではなく、例えば、周方向に沿って180度異なる位置など複数(2つ以上)設けても良い。なお、加圧胴62には、図3に示されるように、転写胴61の凹部611と同様に凹部621が設けられている。図示例では、加圧胴62の凹部621が転写胴61の凹部611と対称な位置関係になるよう180度位相が異なる位置に配置されている。
【0056】
転写胴61には、図5及び図6に示されるように、その軸方向に沿った両端部に回転軸612がそれぞれ固定した状態で設けられている。転写胴61の回転軸612は、軸受部材613を介して用紙搬送装置60の図示しないフレームに回転可能に支持される。転写胴61の回転軸612には、スプロケット63,64がそれぞれ取り付けられている。スプロケット63,64は、その片面に設けられたボス部631,641を介して回転軸612のフランジ部612aにネジ止め等の手段により固定されている。
【0057】
転写胴61は、その回転軸612を介して図示しない駆動モータ等の駆動源及びギア等からなる駆動力伝達手段によって所要の回転速度で回転駆動される。転写胴61の回転駆動力は、スプロケット63,64,65,66及びチェーン67,68を介して加圧胴62に伝達され、加圧胴62が回転駆動される。なお、転写胴61を回転駆動する場合に限らず、加圧胴62を駆動モータ等の駆動源により回転駆動するよう構成しても勿論良い。
【0058】
加圧胴62は、基本的に、転写胴61と同様に構成されている。ただし、加圧胴62は、定着装置の加圧手段としての機能を備えている。そのため、加圧胴62は、その外周面にシリコーンゴムやフッ素ゴム等の耐熱性を有する弾性体からなる弾性体層、或いは弾性体層及びポリテトラフロオロエチレン(PTFE)やパーフルオロアルコキシアルカン(PFA)等からなる離型層を備えることが望ましい。
【0059】
転写胴61の軸方向に沿った両端部に配置されたスプロケット63,64と、加圧胴62の軸方向に沿った両端部に配置されたスプロケット65,66との間には、図4に示されるように、2本のチェーン67,68がそれぞれ掛け渡されている。尚、図5及び図6においては、チェーン67,68の図示が省略されている。
【0060】
チェーン67,68は、図7に示されるように、その移動方向と交差する方向である幅方向に沿って互いに平行に配置された一対の内プレート81,82の間に、ブッシュ83により回転可能に支持された2つのローラ84を長手方向に沿った両端部にそれぞれ配置したチェーン構成体85を備えたローラチェーンである。チェーン67,68は、隣接するチェーン構成体85をブッシュ83に挿通されたピン86と、ピン86の端部を抜け止め状態に固定する一対の外プレート87,88により順次連結して、ピン86を中心に屈曲可能な無端状に形成されている。チェーン67,68は、隣接するローラ84の間にスプロケット63,64,65,66の歯63a,64a,65a,66a(図4図8参照)が噛み合うことで回転駆動される。
【0061】
チェーングリッパー70は、図5及び図8に示されるように、その長手方向に沿った両端部にそれぞれ配置された一対の取付部材(ホルダー部材)71,72を介してチェーン67,68に取り付けられている。取付部材71,72は、チェーングリッパー70をチェーン67,68に取り付ける部材であると同時に、チェーン67,68に取り付けられるチェーングリッパー70を保持する部材でもある。チェーングリッパー70の数は、循環移動するチェーン67,68の長さや搬送される記録用紙5の長さ等に応じて適宜設定される。
【0062】
チェーン67,68に取り付けられるチェーングリッパー70の数は、任意であり、特に限定されない。用紙搬送装置60における記録用紙5の搬送性等を考慮すれば、チェーングリッパー70の数は、複数であることが望ましい。
【0063】
この実施の形態1では、チェーン67,68に取り付けられるチェーングリッパー70の数は、転写胴61の凹部611と加圧胴62の凹部621にそれぞれ対応して1つずつ配置された合計2個に設定されている。ただし、チェーングリッパー70は、3個以上設けても勿論良い。なお、チェーン67,68の長さは、例えば、スプロケット63,64,65,66の外周長の整数倍に設定される。
【0064】
チェーングリッパー70の取付部材71,72は、図9(a)(b)に示されるように、ステンレス等の金属や合成樹脂等によって正面略矩形状且つ側面略L字形状のブロック体として構成されている。取付部材71,72は、同様に構成されている。ここでは、一方の取付部材72について説明する。
【0065】
取付部材72は、図8に示されるように、チェーングリッパー70の爪部材73を回転駆動するための爪駆動軸74の両端部を回転可能に支持する支持部721と、チェーングリッパー70の爪部材73の先端が当接して記録用紙5を保持する爪受部材75の長手方向に沿った両端部を固定する固定部722を備えている。
【0066】
チェーングリッパー70に保持される記録用紙5は、転写胴61の回転方向に沿った上流側から給紙される。そのため、チェーングリッパー70の爪部材73は、記録用紙5を保持する爪受部材75より記録用紙5の搬送方向に沿った下流側に配置されている。
【0067】
取付部材72の支持部721は、図10に示されるように、正面略矩形の平板状に形成されている。取付部材72の支持部721は、爪駆動軸74を回転可能に支持するための支持孔723を有している。支持部721の支持孔723には、合成樹脂等からなる環状の軸受部材724を介して爪駆動軸74が回転可能に支持される。取付部材72の支持部721は、爪駆動軸74を回転可能に支持することができる形状であれば、正面略矩形の平板状に限らず、円筒形状などに形成しても良い。
【0068】
爪駆動軸74は、図5に示されるように、例えば、ステンレスや真鍮等の金属によって転写胴61の軸方向に沿った長さより長い円柱形状に形成されている。爪駆動軸74には、軸方向に沿って所要の間隔を隔てて複数(図示例では、12個)の爪部材73が取り付けられている。爪駆動軸74は、図11に示されるように、その外周において爪部材73の取付位置と反対側に平板状に固定された固定部741を有している。
【0069】
爪部材73は、図8及び図11に示されるように、爪駆動軸74の固定部741に回転可能に挿通され、軸方向に沿って所要の距離を隔てて配置された軸固定部731と、軸固定部731に一体的に連結される平板状の連結部732を有している。連結部732の上端には、爪駆動軸74の接線方向外方へ向けて短い平板状に形成された爪固定部733が一体的に設けられている。爪固定部733の表面には、金属や合成樹脂等によって形成された爪板734がネジ735止めされている。爪板734は、その後端部が爪駆動軸74の固定部741に挿通固定された長尺な固定ネジ736によって爪駆動軸74の周方向に沿った位置が規制されているとともに、固定ネジ736に圧縮された状態で挿通されたコイルスプリング737によって時計回り方向に付勢されている。爪板734は、その先端が爪固定部733の端部から所要の長さだけ突出するよう配置されている。
【0070】
また、爪駆動軸74の軸方向に沿った両端部には、図8に示されるように、当該爪駆動軸74を所要のタイミングで回転させることで爪部材73による記録用紙5の保持及び開放動作を行うための作動部材76が固定した状態で設けられている。作動部材76は、図12に示されるように、爪駆動軸74の端部を挿通する円形状の開口部761を有している。また、作動部材76の開口部761は、半径方向に沿ったスリット状の切欠き部762によって上端部が2つに分割されている。切欠き部762の外側端には、切欠き部762に沿って挿通した状態でネジ763により爪駆動軸74を締め付けるフランジ部764がそれぞれ設けられている。
【0071】
爪駆動軸74の外周には、図10及び図12に示されるように、取付部材72の支持部721と作動部材76との間において、爪駆動軸74に対して時計回り方向に回転させる付勢力を作用させる付勢手段の一例としてのコイルスプリング77が巻き付けられている。コイルスプリング77の一端77aは、取付部材72の支持部721の外側面に植設されたピン725に係止されている。また、コイルスプリング77の他端77bは、作動部材76の内側面に植設されたピン765に係止されている。その結果、爪駆動軸74には、コイルスプリング77によって図12中時計回り方向に回転する付勢力が常時作用している。また、取付部材72の支持部721には、作動部材76の時計回り方向への回転を規制する細い棒状のストッパー726が作動部材76へ向けて突出するよう設けられている。爪駆動軸74に取り付けられた爪部材73には、図11に示されるように、コイルスプリング77の付勢力によって爪受部材75に押圧されることで、記録用紙5の先端部を銜えた状態で保持する保持力が作用している。なお、ストッパー726は、作動部材76の時計回り方向への回転を規制するよう設けられていれば、必ずしも細い棒状である必要はない。
【0072】
作動部材76には、図12に示されるように、当該作動部材76を記録用紙5の保持位置及び開放位置へと回動させるためのカムフォロワー766が設けられている。カムフォロワー766は、作動部材76の下端部に下方へ向けて突出するよう設けられた腕部767に回転可能に取り付けられたローラからなる。カムフォロワー766は、図13に示されるように、チェーングリッパー70の移動に伴って用紙搬送装置60に固定した状態で設けられたカム部材768に当接することで、作動部材76を予め定められたタイミング及び予め定められた角度だけ回転させ、記録用紙5の保持及び開放動作を行う。
【0073】
転写胴61のチェーングリッパー70には、図1に示されるように、転写胴61の回転方向に沿った二次転写位置T2の上流側における給紙位置において、給紙装置40により記録用紙5が給紙される。チェーングリッパー70は、図14に示されるように、所要のタイミングで爪部材73が爪受部材75に対して開閉され記録用紙5の先端部を銜えた状態に保持する。
【0074】
チェーングリッパー70に先端部が銜えた状態に保持された記録用紙5は、図15に示されるように、転写胴61の回転に伴って当該転写胴61の外周面に巻き付けられる。その後、記録用紙5は、二次転写位置T2において、中間転写ベルト31からトナー像が二次転写された後、転写胴61の回転に伴って中間転写ベルト31から剥離され、チェーン67,68に伴って移動するチェーングリッパー70により搬送方向Cに沿って加圧胴62へと搬送される。
【0075】
一方、取付部材72の固定部722は、図9及び図10に示されるように、支持部721の一側に略V字形状の溝部を介して当該支持部721と一体的な平板状に形成されているとともに、支持部721よりも上方に位置する上端部が爪駆動軸74の軸方向に沿った外側へ向けて水平方向に沿って側面略L字形状に配置された水平板部722aを構成している。
【0076】
取付部材72の固定部722には、爪受部材75の長手方向に沿った両端部751が固定されている。爪受部材75は、所要の厚さを有する平板状に形成されている。また、爪受部材75は、その両端部751の幅が狭く形成されている。爪受部材75の両端部751は、取付部材72の固定部722に沿って傾斜した状態で配置され、固定部722の水平板部722aに下方へ向けて突出するよう傾斜して設けられた支持部722b(図10参照)に裏面からネジ752止めされている。爪受部材75の幅が広く形成された本体部753は、図9(b)に示されるように、その長手方向に沿った端面が取付部材72の支持部721にネジ754止めされている。爪受部材75の上端部には、爪部材73の先端が圧接する凸状の受部755が爪部材73の配置と等しい間隔で複数設けられている。
【0077】
取付部材72の固定部722は、図9に示されるように、その水平板部722aが爪駆動軸74の軸方向に沿った外側に延在するよう配置されている。固定部722の水平板部722aには、図10に破線で示されるように、その外側の端部にチェーン67,68の通常のピン86より長く形成された2本の延長ピン861,862が外周面に形成された雄ネジ部を介した締結等の手段により長手方向に沿って固定されている。2本の延長ピン861,862には、図9に示されるように、ストッパー726を介してチェーン67,68の取付用の外プレート871が挿通されている。取付用の外プレート871は、断面L字形状に形成されている。取付用の外プレート871は、図9(b)に示されるように、水平方向に折り曲げられた水平板部871aが、取付部材72の固定部722下面の先端にネジ728止めされている。
【0078】
2本の延長ピン861,862には、チェーン67,68のチェーン構成体85が挿通されている。また、2本の延長ピン861,862の中間位置には、チェーン67,68の他方の外プレート88が抜け止め状態に挿通されている。
【0079】
このように、取付部材72の固定部722は、2本の延長ピン861,862及び取付用の外プレート871を介してチェーン67,68に固定されている。その結果、チェーングリッパー70は、左右の取付部材71,72を介してチェーン67,68と共に循環移動する。
【0080】
ところで、上記用紙搬送装置60では、図4に示されるように、チェーン67,68を介してスプロケット63,64,65,66の回転に伴ってチェーングリッパー70が循環移動する。このとき、チェーングリッパー70の姿勢は、2本の延長ピン861,862を介してチェーン67,68に固定されているため、チェーン67,68の移動状態によって変化する。チェーン67,68は、図7に示されるように、隣接するチェーン構成体85をブッシュ83に挿通されたピン86と、ピン86の端部を固定する一対の外プレート87,88により順次連結して構成されている。
【0081】
チェーン67,68には、内プレート81,82と外プレート87,88との間の間隙(遊び)や、ピン86と内プレート81,82及び外プレート87,88との間の間隙、ブッシュ83とローラ84との間の間隙、あるいはピン86とブッシュ83との間の間隙などが存在する。そのため、チェーン67,68は、転写胴61の外周に沿ってスプロケット63,64の歯63a,64aと噛み合って移動する際、スプロケット63,64の外周形状である円形の軌道に沿って精度良く移動する訳ではなく、スプロケット63,64の半径方向等に沿って部分的に傾斜するなどの変位が生じる場合がある。
【0082】
このように、チェーン67,68にスプロケット63,64の半径方向等に沿った変位が生じると、チェーン67,68に取り付けられたチェーングリッパー70も同様に変位する。そのため、用紙搬送装置60では、チェーングリッパー70に記録用紙5の先端部が保持される際や、チェーングリッパー70によって記録用紙5が搬送される際など、チェーングリッパー70にスプロケット63,64の半径方向等に沿った変位が生じると、記録用紙5の先端部におけるチェーングリッパー70の保持位置のずれや傾斜、記録用紙5の搬送方向やスプロケット63,64の半径方向等に沿った位置ずれや傾斜などが生じ、二次転写位置T2において記録用紙5上に転写されるトナー像(画像)にレジずれや斜行などの転写不良が発生する虞れがある。
【0083】
そこで、この実施の形態1に係る用紙搬送装置60では、チェーン67,68がスプロケット63,64に沿って移動している間、チェーングリッパー70を記録用紙5の搬送方向X及び記録用紙5の幅方向Yの双方と交差する方向Zに沿った両側で位置決めする第1位置決め部を備えるよう構成されている。ここで、記録用紙5の幅方向とは、チェーングリッパー70の爪部材73が配列されている方向をいう。
【0084】
すなわち、この実施の形態1に係る用紙搬送装置60では、図4に示されるように、チェーン67,68がスプロケット63,64に沿って移動している間、チェーングリッパー70の移動方向、つまり記録用紙5の搬送方向Xは、スプロケット63,64の外周形状に沿った方向である。また、記録用紙5の幅方向Yとは、チェーングリッパー70の爪部材73が配列されている方向であり、文字通り記録用紙5の幅に沿った方向である。そして、この実施の形態1では、記録用紙5の搬送方向X及び記録用紙5の幅方向Yの双方と交差する方向Zとは、スプロケット63,64の半径方向を意味している。
【0085】
この実施の形態1に係る用紙搬送装置60では、図16に示されるように、取付部材71,72に保持されたチェーングリッパー70の爪駆動軸74の軸方向である記録用紙5の幅方向Yに沿った両端部に第1位置決め部の一例としての第1ガイドローラ90がそれぞれ回転可能に取り付けられている。チェーングリッパー70の爪駆動軸74の両端部は、その軸方向に沿って作動部材76の外側に延長されている。爪駆動軸74の延長された両端部には、第1ガイドローラ90を回転可能に取りつけるための回転軸743が一体的に設けられている。回転軸743には、所要の外径を有する円筒形状の第1ガイドローラ90が回転可能且つ抜け止め状態に装着されている。また、第1ガイドローラ90は、爪駆動軸74の軸方向に沿った位置が規制されている。第1ガイドローラ90の外径は、爪駆動軸74の外径より小さく設定されている。
【0086】
第1位置決め部の一例としての第1ガイドローラ90が取り付けられる爪駆動軸74は、爪部材73が直接取り付けられる部材である。そのため、第1ガイドローラ90を爪駆動軸74に設けることにより、爪駆動軸74に取り付けられる爪部材73の位置が直接規制される。
【0087】
第1位置決め部の一例としての第1ガイドローラ90は、爪駆動軸74以外に設けることも可能である。しかしながら、爪駆動軸74は、文字通り軸状の部材である。そのため、第1ガイドローラ90を爪駆動軸74の軸方向に沿った端部に設けることにより、第1ガイドローラ90の取付が容易となるとともに、第1ガイドローラ90の位置精度が容易に確保される。
【0088】
また、用紙搬送装置60には、図8及び図16に示されるように、爪駆動軸74の第1ガイドローラ90を案内する第1案内手段の一例としての第1ガイド部材91が設けられている。第1ガイド部材91は、合成樹脂や金属等によって所要の厚さを有する略円弧形状に形成されている。第1ガイド部材91は、図6に示されるように、転写胴61の軸方向に沿った両端部にそれぞれ対応した位置において用紙搬送装置60に固定した状態で設けられている。
【0089】
第1ガイド部材91の内側面には、図16及び図17に示されるように、第1ガイドローラ90を回転可能に案内する第1案内溝の一例としての断面コ字形状の第1ガイド溝911が形成されている。第1ガイド溝911は、断面コ字形状に限定されるものではなく、第1ガイドローラ90を案内可能な形状であれば、金属板に打抜加工等を施すことによりスリット状に形成しても良い。第1ガイド溝911の幅は、第1ガイドローラ90の外径より僅かに大きく設定されている。第1ガイドローラ90は、記録用紙5の搬送方向X及び記録用紙5の幅方向Yの双方と交差する方向Zに沿った内周側及び外周側の両側で第1ガイド溝911により位置が規制されている。第1ガイド溝911は、その外周径がスプロケット63,64の外径より小さい。その結果、第1ガイド溝911の周長は、スプロケット63,64の対応する領域の周長よりも短く設定されている。
【0090】
第1ガイド部材91の第1ガイド溝911は、図17に示されるように、第1ガイドローラ90の外径に対応した開口幅を有する略半円形状に形成されている。また、第1ガイド溝911は、その周方向に沿った中心角が180度より大きく設定されており、スプロケット63,64の上端部より反時計回り方向に沿って半円形よりも所要の角度だけ大きな角度を成す円弧形状に形成されている。さらに、第1ガイド溝911の出口部には、チェーン67,68の移動方向に沿って平行に配置された直線部911aが連続して設けられている。そのため、第1ガイド部材91は、スプロケット63,64の外周を通過した後も、チェーングリッパー70を直線部911aに沿って所要の姿勢を保持した状態で案内可能に構成されている。
【0091】
また、この実施の形態1に係る用紙搬送装置60では、チェーン67,68がスプロケット63,64に沿って移動している間、第1位置決め部と異なる位置において、チェーングリッパー70を記録用紙5の搬送方向X及び記録用紙5の幅方向Yの双方と交差する方向Zに沿った内周側と外周側の両側で位置決めする第2位置決め部を備えるように構成されている。
【0092】
この実施の形態1に係る用紙搬送装置60は、図9及び図10に示されるように、チェーングリッパー70の取付部材71,72をチェーン67,68に取り付けるための2本の延長ピン861,862が、当該取付部材71,72の軸方向に沿った外側に延長されている。2本の延長ピン861,862のうち、記録用紙5の搬送方向Xに沿った下流側に位置する延長ピン861には、図16に示されるように、チェーン67,68の外側に第2位置決め部の一例としての第2ガイドローラ92が回転可能且つ抜け止め状態に取り付けられている。第2ガイドローラ92の外径は、チェーン67,68のローラ84の外径と同等か又はローラ84の外径より大きく設定されている。
【0093】
また、用紙搬送装置60には、図8及び図16に示されるように、第2ガイドローラ92を案内する第2ガイド部材93が設けられている。第2ガイド部材93は、合成樹脂や金属等によって所要の厚さを有する略円弧形状に形成されている。第2ガイド部材93は、図6に示されるように、転写胴61の軸方向に沿った両端部に対応した位置において用紙搬送装置60に固定した状態で配置されている。
【0094】
第2ガイド部材93の内側面には、図16及び図17に示されるように、第2ガイドローラ92を回転可能に案内する第2案内溝の一例としての第2ガイド溝931が形成されている。第2ガイド溝931の周長は、第1ガイド溝911の周長よりも長く、スプロケット63,64の対応する領域の周長に近い値に設定されている。
【0095】
第2ガイド部材93の第2ガイド溝931は、図17に示されるように、第2ガイドローラ92の外径に対応した開口幅を有する略円弧形状に形成されている。また、第2ガイド溝931の出口部には、チェーン67,68の移動方向に沿って平行に配置された直線部931aが設けられている。
【0096】
第1及び第2ガイドローラ90,92は、チェーングリッパー70の重心位置を挟んで記録用紙5の搬送方向Xに沿った両側に配置されている。
【0097】
更に説明すると、チェーングリッパー70の重心Gの位置は、図10に示されるように、チェーングリッパー70を構成する取付部材71,72や爪駆動軸74、爪受部材75等の材質(重量)や形状によって異なるが、概ね金属等の重量が大きい部材からなり且つ長尺な爪駆動軸74とやはり長尺な爪受部材75の中間の位置であって、爪駆動軸74の外周よりやや爪受部材75寄りの斜め上方に位置する。
【0098】
この実施の形態1におけるチェーングリッパー70は、第1ガイドローラ90が爪駆動軸74の軸方向に沿った端部に配置され、第2ガイドローラ92が固定部722の水平板部722aの上端部である延長ピン861の軸方向に沿った端部に配置されている。
【0099】
そのため、第1及び第2ガイドローラ90,92は、図10に示されるように、チェーングリッパー70の重心Gを原点とした座標を考えた場合、重心Gに対して記録用紙5の搬送方向Xに沿った下流側であって且つ記録用紙の幅方向Yと交差する方向Zに沿った下方に第1ガイドローラ90が位置し、重心Gに対して記録用紙5の搬送方向に沿った上流側であって且つ鉛直方向に沿った上方に第2ガイドローラ92が位置している。つまり、第1及び第2ガイドローラ90,92は、チェーングリッパー70の重心Gを原点とした座標において対角線上にそれぞれ配置されている。
【0100】
したがって、チェーングリッパー70は、第1及び第2ガイドローラ90,92に沿って案内されて移動する際、第1ガイドローラ90と第2ガイドローラ92の中心を結んだ直線に近い位置に重心Gが存在することになる。よって、チェーングリッパー70には、第1及び第2ガイドローラ90,92に沿って案内されて移動する際、重心Gを中心にした回転モーメントが作用することが抑制され、チェーングリッパー70を第1及び第2ガイドローラ90,92により案内した場合であっても、チェーングリッパー70を安定して移動させることが可能となる。
【0101】
さらに、この実施の形態1に係る用紙搬送装置60では、チェーン67,68がスプロケット63,64に沿って移動している間、チェーングリッパー70を記録用紙5の搬送方向Xと交差する方向且つ記録用紙5の幅方向Yに沿った方向の両側で位置決めする第3位置決め部を備えるよう構成されている。
【0102】
チェーングリッパー70の取付部材71,72には、図10及び図16に示されるように、固定部722の下端部に第3位置決め部の一例としての第3ガイドローラ94がそれぞれ回転可能に取り付けられている。固定部722の下端部には、転写胴61の中心へ向けて第3ガイドローラ94を回転可能に取りつけるための回転軸729が一体的に設けられている。回転軸729には、所要の外径を有する円筒形状の第3ガイドローラ94が回転可能且つ抜け止め状態に装着されている。第3ガイドローラ94の外径は、固定部722の厚さと同等に設定されている。
【0103】
第3ガイドローラ94は、図10に示されるように、2本の延長ピン861,862の中間に下した垂線の延長上に配置されている。そのため、チェーングリッパー70は、2本の延長ピン861,862を介して連結されたチェーン67,68の移動力が作用する位置の直下において第3ガイドローラ94により案内される。そのため、チェーングリッパー70は、チェーン67,68によってスプロケット63,64に沿って移動する際、チェーン67,68の移動力が作用する位置において記録用紙5の幅方向Yに沿った変位が直ちに規制される。
【0104】
また、用紙搬送装置60には、図6及び図16に示されるように、固定部722の第3ガイドローラ94を案内する第3ガイド部材95が設けられている。第3ガイド部材95は、合成樹脂や金属等によって所要の厚さを有する円形状に形成されている。第3ガイド部材95は、図6に示されるように、転写胴61の軸方向に沿った一端部にのみ固定した状態で設けられている。第3ガイド部材95は、転写胴61と共に回転する。
【0105】
第3ガイド部材95には、図16及び図17に示されるように、第3ガイドローラ94を回転可能に案内する第3案内溝の一例としての第3ガイド溝951が外周端面に形成されている。第3ガイド溝951の開口された上端部は、テーパー状に形成されている。第3ガイド溝951の周長は、第1ガイド溝911の周長よりも短く設定されている。
【0106】
第3ガイド部材95の第3ガイド溝951は、図16及び図17に示されるように、第3ガイドローラ94の外径に対応した開口幅を有する凹形状に形成されている。
【0107】
<用紙搬送装置の動作>
この実施の形態1に係る用紙搬送装置60を適用した画像形成装置1では、次のようにして、チェーン67,68に設けられたチェーングリッパー70を記録用紙5の搬送方向X及び記録用紙5の幅方向Yの双方と交差する方向Zに沿った両側で位置決めする第1位置決め部を有しない場合に比べ、チェーングリッパー70に保持されて搬送される記録用紙5の搬送精度を向上させている。
【0108】
すなわち、この実施の形態1に係る用紙搬送装置60を適用した画像形成装置1では、図1に示されるように、中間転写ベルト31上に転写されたイエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)及びブラック(K)等のトナー像が、二次転写位置T2において用紙搬送装置60により搬送される記録用紙5上に二次転写される。
【0109】
その際、用紙搬送装置60は、図15に示されるように、チェーン67,68に取り付けられたチェーングリッパー70が、チェーン67,68が巻き掛けられたスプロケット63,64に沿って移動する。
【0110】
チェーングリッパー70は、図4に示されるように、転写胴61の軸方向に沿った両端部にそれぞれ取り付けられたスプロケット63,64にチェーン67,68が巻き掛けられる際、図16及び図17に示されるように、取付部材72に設けられた第1ガイドローラ90が第1ガイド部材91の第1ガイド溝911により案内され、記録用紙5の搬送方向X及び幅方向Yの双方に交差する方向Zに沿った内外周両側の位置が規制される。
【0111】
同時に、チェーングリッパー70は、取付部材72に設けられた第3ガイドローラ94が第3ガイド部材95の第3ガイド溝951により案内され、記録用紙5の搬送方向Xと交差する方向且つ記録用紙5の幅方向Yに沿った両側(内外)の位置が規制される。
【0112】
その後、チェーングリッパー70は、取付部材72に設けられた第2ガイドローラ92が第2ガイド部材93の第2ガイド溝931により案内され、記録用紙5の搬送方向X及び幅方向Yの双方に交差する方向Zに沿った両側の位置が規制される。
【0113】
さらに、チェーングリッパー70は、図18に示されるように、スプロケット63,64の回転に伴って記録用紙5の保持位置及び二次転写位置T2へと移動する。
【0114】
チェーングリッパー70は、記録用紙5の保持位置及び二次転写位置T2のいずれにおいても、上述したように、取付部材72に設けられた第1ガイドローラ90が第1ガイド部材91の第1ガイド溝911により案内され、記録用紙5の搬送方向X及び幅方向Yの双方に交差する方向Zに沿った両側(内外)の位置が規制される。
【0115】
同時に、チェーングリッパー70は、取付部材72に設けられた第3ガイドローラ94が第3ガイド部材95の第3ガイド溝951により案内され、記録用紙5の搬送方向Xと交差する方向且つ記録用紙5の幅方向Yに沿った両側(内外)の位置が規制される。
【0116】
さらに、チェーングリッパー70は、取付部材72に設けられた第2ガイドローラ92が第2ガイド部材93の第2ガイド溝931により案内され、記録用紙5の搬送方向X及び幅方向Yの双方に交差する方向Zに沿った両側の位置が規制される。
【0117】
このように、チェーングリッパー70は、第1及び第2ガイドローラ90,92によって記録用紙5の搬送方向X及び幅方向Yの双方に交差する方向Zに沿った内外周両側の位置が規制されるとともに、第3ガイドローラ94によって記録用紙5の搬送方向Xと交差する方向であって記録用紙5の幅方向Yに沿った内外周両側の位置が規制される。
【0118】
そのため、チェーングリッパー70は、当該チェーングリッパー70が取り付けられるチェーン67,68に、内プレート81,82と外プレート87,88との間の間隙(遊び)や、ブッシュ83とローラ84との間の間隙、あるいはピン86とブッシュ83との間の間隙などが存在した場合であっても、スプロケット63,64の半径方向等に沿った変位が生じることが防止乃至抑制される。
【0119】
したがって、この実施の形態1に係る用紙搬送装置60では、チェーン67,68に装着されたチェーングリッパー70を記録用紙5の搬送方向X及び幅方向Yの双方と交差する方向Zに沿った両側で位置決めする第1及び第2ガイドローラ90,92を有しない場合に比べ、チェーングリッパー70に保持されて搬送される記録用紙5の搬送精度が向上する。
【0120】
そのため、この実施の形態1に係る用紙搬送装置60では、二次転写位置T2において記録用紙5上に転写されるトナー像(画像)にレジずれや斜行などの転写不良が発生するのを防止乃至抑制することができる。
【0121】
比較例
比較例は、図19及び図20に示されるように、チェーン67,68がスプロケット64に沿って移動している間、チェーン67,68の外周に配置されローラ84と接触してチェーン67,68を案内するチェーンガイド200を備えるように構成したものである。この比較例では、チェーン67,68の移動経路が当該チェーン67,68の外周に配置されたチェーンガイド200によって規制される。
【0122】
しかしながら、この比較例の場合は、チェーングリッパー70の位置を直接案内するものではなく、チェーンガイド200によりチェーン67,68の位置を規制するものであるため、チェーン67,68を構成する内プレート81,82と外プレート87,88との間の間隙(遊び)や、ブッシュ83とローラ84との間の間隙、あるいはピン86とブッシュ83との間の間隙などが存在すると、チェーングリッパー70にスプロケット64の半径方向等に沿った変位が生じるのを抑制することができない。
【0123】
[実施の形態2]
図21は、実施の形態2に係る用紙搬送装置を示すものである。この実施の形態2に係る用紙搬送装置は、第3ガイド部材を転写胴に取り付けるのではなく、第3ガイド部材を用紙搬送装置に固定して配置するよう構成されている。
【0124】
すなわち、この実施の形態2に係る用紙搬送装置60は、図21に示されるように、チェーングリッパー70の固定部722に設けられた第3ガイドローラ94を案内する第3ガイド部材95が、第1及び第2ガイド部材91,93と同様、用紙搬送装置60の図示しないフレームに固定した状態で設けられている。第3ガイド部材95は、合成樹脂や金属等によって所要の厚さを有する略半円形状に形成されている。
【0125】
また、第3ガイド部材95の入口部及び出口部には、チェーン67,68の移動方向に沿って直線状に延長された入口及び出口の第3ガイド溝951a,951bがそれぞれ設けられている。第3ガイド部材95の入口に設けられた第3ガイド溝951aは、図22に示されるように、その先端部がテーパー状に溝幅が拡大されており、加圧胴62から転写胴61へと移動するチェーン67,68に記録用紙5の幅方向Yに沿った多少の位置ずれが存在する場合であっても、チェーングリッパー70の第3ガイドローラ94を第3ガイド部材95の第3ガイド溝951へと確実に案内することが可能となっている。
【0126】
その他の構成及び作用は、前記実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0127】
なお、前記実施の形態では、画像形成装置としてイエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)及びブラック(K)の各作像装置20(Y,M,C,K)を有するフルカラーの画像形成装置について説明したが、画像形成装置としては、モノクロの画像形成装置についても同様に適用することができることは勿論である。
【0128】
また、前記実施の形態では、画像形成手段として、電子写真方式を採用した作像装置を用いた場合について説明したが、これに限定されるものではなく、画像形成手段としては、印刷により用紙に画像を形成するものや、インクジェット方式などにより用紙に画像を形成するものなど、用紙に画像を形成可能な手段であれば、任意の手段を採用することが可能である。
【0129】
さらに、前記実施の形態では、第1乃至第3位置決め部のすべてを設けた場合について説明したが、必ずしも第1乃至第3位置決め部のすべてを設ける必要はなく、第1及び第3位置決め部のみを設けるなど変形が可能であることは勿論である。
【0130】
また、前記実施の形態では、爪駆動軸の端部に設けた位置決め部を第1位置決め部とし、取付部材の固定部に設けた位置決め部を第2位置決め部としたが、爪駆動軸の端部に設けた位置決め部を第2位置決め部とし、取付部材の固定部に設けた位置決め部を第1位置決め部としても勿論良い。
【符号の説明】
【0131】
1…画像形成装置
60…用紙搬送装置
61…転写胴
62…加圧胴
67,68…チェーン
70…チェーングリッパー
71,72…取付部材
90…第1ガイドローラ
91…第1ガイド部材
図1
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