(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】冷暖切換装置
(51)【国際特許分類】
F25B 41/20 20210101AFI20240319BHJP
F25B 13/00 20060101ALI20240319BHJP
F24F 1/32 20110101ALI20240319BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
F25B41/20 Z
F25B13/00 S
F24F1/32
H05K7/20 A
H05K7/20 Q
(21)【出願番号】P 2019190540
(22)【出願日】2019-10-17
【審査請求日】2022-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】廣内 優
(72)【発明者】
【氏名】木村 悠
(72)【発明者】
【氏名】藤田 尚起
【審査官】笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-163657(JP,A)
【文献】特開2011-013819(JP,A)
【文献】特開2018-189286(JP,A)
【文献】特開2013-024304(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 13/00
F25B 41/20 ~ 41/28
F25B 41/345
F25B 41/42 ~ 41/48
F16K 31/06 ~ 31/11
F16K 39/00 ~ 51/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の冷媒配管と、前記複数の冷媒配管に設けられた複数の開閉弁と、前記複数の開閉弁を駆動する駆動部と、を備え、
前記駆動部は、前記複数の開閉弁の各々に対応して設けられて前記各々の開閉弁を開閉する複数の開閉機構を有し、
前記開閉機構は、電磁コイルと、前記電磁コイルが発生する熱を放熱する放熱部材と、を有し、
前記開閉機構は、前記電磁コイルに電力を供給することで作動し、
前記駆動部は、一方の開閉機構に電力が供給されるときに他方の開閉機構に電力が供給されない一対の開閉機構を有し、前記一方の開閉機構と前記他方の開閉機構とが隣り合って配置され、
前記一方の開閉機構の放熱部材の
外周部における一端部と前記他方の開閉機構の放熱部材の
外周部における一端部とは、
互いに隣り合って配置され、
前記一端部の各々は、互いに隣り合う
一部分を有し、当該一部分同士
のみが、伝熱部材により熱的に接続される、冷暖切換装置。
【請求項2】
前記放熱部材は、前記電磁コイルの熱を放熱する放熱フィンと、当該放熱フィンに隣り合って
前記一端部に形成されて前記伝熱部材が固定される連結部と、を有し、
前記伝熱部材の両端は、前記
外周部における前記連結部の前記一部分
のみに固定されている、
請求項1に記載の冷暖切換装置。
【請求項3】
前記駆動部が収容される筐体を更に備え、
前記伝熱部材は、前記筐体と連結されている、
請求項1または2に記載の冷暖切換装置。
【請求項4】
前記一対の開閉機構の前記各放熱部材と前記伝熱部材は、一体に形成されている、
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の冷暖切換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷暖切換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の室内機及び室外機を備える空気調和装置(冷凍サイクル装置)において、複数の室内機の冷房及び暖房の稼働状態をそれぞれ切り換えるための集合型冷暖切換装置が知られている。この種の冷暖切換装置には、複数の室内機及び室外機に接続された複数の冷媒配管と、複数の冷媒配管に設けられた複数の開閉弁と、を有する配管部と、複数の開閉弁をそれぞれ開閉する複数の開閉機構を有する駆動部と、配管部及び駆動部が収容される筐体と、を備えるものがある。各開閉機構は、開閉弁を作動させる電磁コイルを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の冷暖切換装置は、1つの冷暖切換装置に接続される室内機の個数を増やした場合、開閉弁の個数も増加するので、駆動部において、多数の開閉弁が密集して配置されることになる。このため、各開閉機構の電磁コイルが発生する熱の放熱性が低下することで、開閉機構の信頼性が損なわれるおそれがある。
【0005】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、開閉弁の開閉機構の放熱性を高めることができる冷暖切換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の開示する冷暖切換装置の一態様は、複数の冷媒配管と、複数の冷媒配管に設けられた複数の開閉弁と、複数の開閉弁を駆動する駆動部と、を備え、駆動部は、複数の開閉弁の各々に対応して設けられて各々の開閉弁を開閉する複数の開閉機構を有し、開閉機構は、電磁コイルと、電磁コイルが発生する熱を放熱する放熱部材と、を有し、開閉機構は、電磁コイルに電力を供給することで作動し、駆動部は、一方の開閉機構に電力が供給されるときに他方の開閉機構に電力が供給されない一対の開閉機構を有し、一方の開閉機構と他方の開閉機構とが隣り合って配置され、一方の開閉機構の放熱部材の外周部における一端部と他方の開閉機構の放熱部材の外周部における一端部とは、互いに隣り合って配置され、一端部の各々は、互いに隣り合う一部分を有し、一部分同士のみが、伝熱部材により熱的に接続される。
【発明の効果】
【0007】
本願の開示する冷暖切換装置の一態様によれば、開閉弁の開閉機構の放熱性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施例の冷暖切換装置を備える空気調和装置を示す概略図である。
【
図2】
図2は、実施例の冷暖切換装置を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、実施例の冷暖切換装置を下側から示す斜視図である。
【
図4】
図4は、実施例の冷暖切換装置における筐体の内部を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、実施例の冷暖切換装置における筐体の内部を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、実施例の冷暖切換装置を示す冷媒回路図である。
【
図7】
図7は、実施例の冷暖切換装置の配管部及び駆動部を示す側面図である。
【
図8】
図8は、実施例における駆動部の伝熱部材を示す正面図である。
【
図9】
図9は、実施例における駆動部の伝熱部材の変形例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願の開示する冷暖切換装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施例によって、本願の開示する冷暖切換装置が限定されるものではない。
【実施例】
【0010】
(空気調和装置の構成)
図1は、実施例の冷暖切換装置を備える空気調和装置を示す概略図である。
図1に示すように、実施例の冷暖切換装置1は、空気調和装置2に設けられている。
図1は、実施例の冷暖切換装置1が設けられている空気調和装置2を示す概略図である。空気調和装置2は、冷暖切換装置1と、複数の室外機3-1~3-2と、複数の室内機5-1~5-4と、低圧ガス管6と、高圧ガス管7と、液管8と、を備える。複数の室外機3-1~3-2のうち、室外機3-1は、低圧ガス管6、高圧ガス管7及び液管8を介して冷暖切換装置1に接続されている。
【0011】
室外機3-1は、図示しない圧縮機、室外熱交換器及び四方弁を備える。圧縮機の一端は、低圧ガス管6に接続されており、圧縮機の他端は、高圧ガス管7に接続されている。圧縮機は、低圧ガス管6を介して室外機3-1に供給される低圧気相冷媒を圧縮することにより高圧気相冷媒を生成し、高圧気相冷媒を高圧ガス管7に吐出する。室外熱交換器の一端は、液管8に接続されており、室外熱交換器の他端は、四方弁に接続されている。四方弁は、高圧ガス管7及び低圧ガス管6に接続されている。四方弁は、第1モードと第2モードとに切り換えられる。四方弁は、第1モードに切り換えられたときに、低圧ガス管6を高圧ガス管7及び室内熱交換機に接続せずに、高圧ガス管7を室内熱交換機に接続する。四方弁は、第2モードに切り換えられたときに、高圧ガス管7を低圧ガス管6及び室内熱交換機に接続せずに、低圧ガス管6を室内熱交換機に接続する。複数の室外機3-1~3-2のうち、室外機3-1と異なる室外機3-2も、室外機3-1と同様に形成されており、低圧ガス管6、高圧ガス管7及び液管8を介して冷暖切換装置1に接続されている。
【0012】
また、空気調和装置2は、複数の室内機液管11-1~11-4と、複数の室内機側ガス管12-1~12-4と、を備える。複数の室内機液管11-1~11-4は、複数の室内機5-1~5-4に対応している。複数の室内機5-1~5-4のうち、室内機5-1は、複数の室内機液管11-1~11-4のうちの室内機5-1に対応する室内機液管11-1を介して冷暖切換装置1に接続されている。複数の室内機側ガス管12-1~12-4は、複数の室内機5-1~5-4に対応している。室内機5-1は、複数の室内機側ガス管12-1~12-4のうちの室内機5-1に対応する室内機側ガス管12-1を介して冷暖切換装置1に接続されている。
【0013】
室内機5-1は、図示しない膨張弁及び室内熱交換器を備える。冷媒の流れ方向における膨張弁の一方側は、室内機液管11-1に接続されており、膨張弁の他方側は、室内熱交換器の一端に接続されている。室内熱交換器の他端は、室内機側ガス管12-1に接続されている。複数の室内機5-1~5-4のうちの他の室内機も、室内機5-1と同様に形成されており、複数の室内機液管11-1~11-4のうちの1つと、複数の室内機側ガス管12-1~12-4のうちの1つとを介して冷暖切換装置1に接続されている。
【0014】
また、空気調和装置2は、13台以上の室内機を備える場合、他の冷暖切換装置14と、低圧ガス管15と、高圧ガス管16と、液管17と、をさらに備える。冷暖切換装置14は、冷暖切換装置1と同様に、13台目以降の室内機に接続されて、低圧ガス管15、高圧ガス管16及び液管17を介して冷暖切換装置1に接続されている。空気調和装置2は、12台以下の室内機を用いる場合、冷暖切換装置14を備える必要がなく、冷暖切換装置14、低圧ガス管15、高圧ガス管16、液管17が省略されてもよい。
【0015】
(冷暖切換装置の構成)
図2は、実施例の冷暖切換装置1を示す斜視図である。
図3は、実施例の冷暖切換装置1を下側から示す斜視図である。
図4及び
図5は、実施例の冷暖切換装置1における筐体の内部を示す斜視図である。
【0016】
図2~
図5に示すように、冷暖切換装置1は、複数の室内機5-1~5-4(以下、室内機5とも称する。)及び少なくとも1つの室外機としての2台の室外機3-1、3-2(以下、室外機3とも称する。)に接続された複数の冷媒配管30(
図6参照)と、複数の冷媒配管30に設けられた複数の開閉弁31~34と、を有する配管部51を備える。また、冷暖切換装置1は、複数の開閉弁31~34をそれぞれ開閉する複数の開閉機構53を有する駆動部52と、複数の開閉機構53を制御する制御部54と、配管部51、駆動部52及び制御部13が収容される筐体55と、を備える。なお、駆動部52は、筐体55内の後述する機構収容空間56Bに収容された複数の開閉機構53全体を指す。
【0017】
配管部51は、
図4及び
図5に示すように、12台の室内機5の各々に対応する複数の配管群24-1~24-12を有する。複数の配管群24-1~24-12のうち、配管群24-1は、複数の冷媒配管30と、複数の開閉弁31~34と、複数のキャピラリーチューブ35~36と、を備える(
図6参照)。また、複数の配管群24-2~24-12についても、配管群24-1と同様である。配管部51は、1台の室内機5毎に2つの冷媒配管30が接続されており、この2つの冷媒配管30(
図4、
図5中の破線参照)が、1台の室外機3に接続された室外機側低圧ガス管21及び室外機側高圧ガス管22に接続されている。室外機側液管23は、配管部51内を通過するように配置されている。1台の室内機5に接続された2つの冷媒配管30には、合計4つの開閉弁31~34が、1つの冷媒循環回路(冷凍サイクル)における冷媒の流れ及び圧力を調節するための吐出弁、吸入弁、加圧弁、減圧弁として設けられている。開閉弁31~34は、いわゆる電磁弁であり、開閉機構53の電磁コイル53bによって開閉される。
【0018】
(駆動部の構成)
駆動部52は、1台の室内機5毎に4個の開閉機構53を有しており(
図7、
図8参照)、合計48個の開閉機構53を有する。各開閉機構53は、開閉弁31~34を作動させる駆動軸53a及び電磁コイル53b(
図7参照)を有しており、電磁コイル53bを介して制御部54と電気的に接続されている。本実施例における駆動部52の要部については後述する。
【0019】
筐体55は、冷媒配管30及び開閉弁31~34が収容される配管収容空間56Aと、開閉機構53が収容される機構収容空間56Bと、後述する基板収容空間56Cとが内部にそれぞれ独立して仕切られて設けられている。筐体55は、
図2及び
図3に示すように、基板収容空間56Cと機構収容空間56Bとを仕切る仕切り壁である一側面部55aを有する。また、筐体55は、基板収容空間56Cを開閉可能とする蓋体57(
図2、3参照)を有する。蓋体57は、筐体55に対して着脱可能に設けられており、ネジ等の締結部材(図示せず)によって筐体55に固定されている。
【0020】
図6は、実施例の冷暖切換装置を示す冷媒回路図である。
図6に示すように、冷暖切換装置1は、室外機側低圧ガス管21と、室外機側高圧ガス管22と、室外機側液管23と、複数の配管群24-1~24-12と、複数の室内機側ガス管25-1~25-12と、複数の室内機側液管26-1~26-12と、を備える。室外機側低圧ガス管21は、低圧ガス管6に接続されている。室外機側高圧ガス管22は、高圧ガス管7に接続されている。室外機側液管23は、液管8に接続されている。複数の室内機側ガス管25-1~25-12は、複数の配管群24-1~24-12に対応している。複数の室内機側液管26-1~26-12は、複数の配管群24-1~24-12に対応している。
【0021】
複数の配管群24-1~24-12のうち、配管群24-1において、複数の開閉弁31~34と複数のキャピラリーチューブ35~36は、複数の冷媒配管30を介して互いに接続されている。すなわち、複数の開閉弁31~34のうち、第1開閉弁31は、冷媒の流れ方向における一方側が、室外機側低圧ガス管21に接続されており、第1開閉弁31の他方側が、複数の室内機側ガス管25-1~25-12のうちの配管群24-1に対応する室内機側ガス管25-1に接続されている。複数の開閉弁31~34のうち、第2開閉弁32は、冷媒の流れ方向における一方側が、室外機側高圧ガス管22に接続されており、第2開閉弁32の他方側が、室内機側ガス管25-1に接続されている。複数の開閉弁31~34のうち、第3開閉弁33は、冷媒の流れ方向における一方側が、室外機側低圧ガス管21に接続されており、第3開閉弁33の他方側が、第1キャピラリーチューブ35の一端に接続されている。複数の開閉弁31~34のうち、第4開閉弁34は、冷媒の流れ方向における一方側が、室外機側高圧ガス管22に接続されており、第4開閉弁34の他方側が、第1キャピラリーチューブ35の一端に接続されている。第1キャピラリーチューブ35の他端は、室内機側ガス管25-1に接続されている。第2キャピラリーチューブ36の一端は、冷媒の流れ方向における第1開閉弁31の一方側に接続されており、第2キャピラリーチューブ36の他端は、第1開閉弁31の他方側に接続されている。
【0022】
複数の配管群24-1~24-12のうちの配管群24-1と異なる他の配管群24-2~24~12も、配管群24-1と同様に形成されている。例えば、複数の配管群24-1~24-12のうちの配管群24-12は、複数の開閉弁31~34と、複数のキャピラリーチューブ35~36と、を備える。配管群24-12は、複数の室内機側ガス管25-1~25-12のうちの配管群24-12に対応する室内機側ガス管25-12に接続されている。
【0023】
複数の室内機側ガス管25-1~25-12は、複数の室内機5-1~5-4に対応している。例えば、複数の室内機側ガス管25-1~25-12のうちの室内機5-1に対応する室内機側ガス管25-1は、室内機側ガス管12-1に接続されており、室内機側ガス管12-1を介して室内機5-1に接続されている。複数の室内機側ガス管25-1~25-12のうちの室内機5-2に対応する室内機側ガス管25-2は、室内機側ガス管12-2に接続されており、室内機側ガス管12-2を介して室内機5-2に接続されている。複数の室内機側ガス管25-1~25-12のうちの室内機5-3に対応する室内機側ガス管25-3は、室内機側ガス管12-3に接続されており、室内機側ガス管12-3を介して室内機5-3に接続されている。複数の室内機側ガス管25-1~25-12のうちの室内機5-4に対応する室内機側ガス管25-4は、室内機側ガス管12-4に接続されており、室内機側ガス管12-4を介して室内機5-4に接続されている。
【0024】
複数の室内機側液管26-1~26-12の各々は、室外機側液管23に接続されている。複数の室内機側液管26-1~26-12は、複数の室内機5-1~5-4に対応している。例えば、複数の室内機側液管26-1~26-12のうちの室内機5-1に対応する室内機側液管26-1は、室内機液管11-1に接続されており、室内機液管11-1を介して室内機5-1に接続されている。複数の室内機側液管26-1~26-12のうちの室内機5-2に対応する室内機側液管26-2は、室内機液管11-2に接続されており、室内機液管11-2を介して室内機5-2に接続されている。複数の室内機側液管26-1~26-12のうちの室内機5-3に対応する室内機側液管26-3は、室内機液管11-3に接続されており、室内機液管11-3を介して室内機5-3に接続されている。複数の室内機側液管26-1~26-12のうちの室内機5-4に対応する室内機側液管26-4は、室内機液管11-4に接続されており、室内機液管11-4を介して室内機5-4に接続されている。
【0025】
冷暖切換装置1の室外機側低圧ガス管21は、空気調和装置2が他の冷暖切換装置を備える場合に、低圧ガス管15に接続されており、低圧ガス管15を介して冷暖切換装置14の室外機側低圧ガス管21に接続されている。このとき、冷暖切換装置1の室外機側高圧ガス管22は、高圧ガス管16に接続されており、高圧ガス管16を介して冷暖切換装置14の室外機側高圧ガス管22に接続されている。冷暖切換装置1の室外機側液管23は、液管17に接続されており、液管17を介して冷暖切換装置14の室外機側液管23に接続されている。すなわち、冷暖切換装置14の室外機側低圧ガス管21、室外機側高圧ガス管22及び室外機側液管23は、冷暖切換装置1を介して、低圧ガス管6、高圧ガス管7及び液管8にそれぞれ接続されている。さらに、冷暖切換装置14は、冷暖切換装置1と同様に、複数の室内機側ガス管25-1~25-12と、複数の室内機側液管26-1~26-12とを介して、13台目以降の室内機に接続されている。
【0026】
(駆動部の要部の構成)
以下、本実施例における駆動部52の要部の構成について説明する。
図7は、実施例の冷暖切換装置1の配管部51及び駆動部52を示す側面図である。
図8は、実施例における駆動部52の伝熱部材を示す正面図である。
【0027】
図4及び
図7に示すように、1台の室内機5に接続された2つの冷媒配管30における4個の開閉機構53は、室内機5を冷房または暖房で稼働するときに制御部54から電力が供給されることで一方の開閉機構53が作動状態となり、制御部54から電力が供給されずに他方の開閉機構53が作動停止となる一対の開閉機構53A、53B(一対の開閉機構100とも称する。)を含む。具体的には、一対の開閉機構100(53A、53B)は、開閉弁34としての加圧弁を開閉する開閉機構53Aと、開閉弁33としての減圧弁を開閉する開閉機構53Bである。1台の室内機5に対応する4個の開閉機構53のうち、他の2個の開閉機構53は、開閉弁31である吸入弁と、開閉弁32である吐出弁をそれぞれ開閉する開閉機構53である。
【0028】
図7及び
図8に示すように、一対の開閉機構100(53A、53B)は、電磁コイル53bが発生する熱を放熱する放熱部材80を有する。一対の開閉機構100(53A、53B)と同様に、開閉弁32である吐出弁を開閉する開閉機構53にも、放熱部材80が設けられている。1つの室内機5に接続された複数の冷媒配管30における複数の開閉機構53において、一対の開閉機構53A、53Bは、筐体55内において隣り合って配置されている。
【0029】
放熱部材80は、例えば、アルミニウム、銅、真鍮等の高い熱伝導性を有する金属材料によって円筒状に形成されており、開閉機構53の電磁コイル53bの外周側に取り付けられている。放熱部材80は、放熱部としての複数の放熱フィン80aと、後述する伝熱部材82が連結される連結部80bと、を有する。放熱フィン80aは、円筒状の放熱部材80の一端部における周方向に沿って複数の溝が設けられることによって形成されている。放熱部材80の他端部には、放熱フィン80aが形成されていない連結部80bが設けられている。放熱部材80は、上述の放熱フィン80aを有する構造に限定されず、任意の形状に形成されてよい。
【0030】
一対の開閉機構100(53A、53B)の各放熱部材80は、放熱部材80同士を熱的に接続する伝熱部材82によって連結されている。伝熱部材82は、例えば、アルミニウム、銅、真鍮等の高い熱伝導性を有する金属材料によって板状に形成されている。伝熱部材82は、一端部が開閉機構53Aの放熱部材80の連結部80bに接続されており、他端部が開閉機構53Bの放熱部材80の連結部80bに接続されている。伝熱部材82の両端部は、溶接やネジ等の締結部材によって放熱部材80に接続されている。伝熱部材82の両端部は、円筒状の放熱部材80の連結部80bの外周面に合わせて湾曲されてもよく、伝熱部材82と放熱部材80との接触状態を適正に確保できる。あるいは、円筒状の放熱部材80における連結部80bの外周面の一部が平坦面に形成されてもよく、平板状の伝熱部材82と連結部80bとの接触状態を適正に確保できる。
【0031】
このように伝熱部材82が放熱部材80の連結部80bに接続されることで、伝熱部材82によって各放熱部材80間で熱を伝達することが可能になる。また、一対の開閉機構100(53A、53B)は、隣り合って配置されているので、伝熱部材82によって一対の開閉機構100(53A、53B)を容易に連結することが可能になり、伝熱部材82の形状が簡素化される。
【0032】
伝熱部材82は、放熱フィン80aの位置以外の連結部80bに連結されることで、放熱フィン80aによる放熱性を損なうことなく、一方の開閉機構53A(53B)の放熱部材80から、他方の開閉機構53B(53A)の放熱部材80に熱が伝達される。言い換えると、一方の開閉機構53A(53B)の電磁コイル53bが発生する熱が、伝熱部材82を介して一対の開閉機構100(53A、53B)の各放熱部材80の放熱フィン80aによって放熱することが可能となる。また、伝熱部材82は、冷暖切換装置1に接続された全ての室内機5における一対の開閉機構100(53A、53B)にそれぞれ設けられている。
【0033】
また、駆動部52における後述する機構収容空間56Bは、例えば、筐体55の通気口(図示せず)を介して筐体55の外部と連通されて、外部の空気が機構収容空間56Bに流れるように形成されてもよい。これにより、機構収容空間56B内に配置された放熱部材80による放熱性が適正に確保される。なお、放熱部材80の適正な放熱性が確保される場合には、筐体55が通気口を有する構造に限定されない。
【0034】
また、結露による液滴が開閉機構53に付着した場合には、開閉機構53を損傷するおそれがあるので好ましくない。このため、図示しないが、冷暖切換装置1が使用環境に設置された姿勢において、各開閉機構53の位置は、開閉弁31~34よりも上方に位置するように配置されており、開閉弁31~34に結露して付着した液滴が開閉機構53に伝わって付着することを防いでいる。
【0035】
(伝熱部材による放熱作用)
以上のように構成された駆動部52の一対の開閉機構100(53A、53B)において、各放熱部材80の熱が、伝熱部材82を介して放熱される作用を説明する。例えば、室内機5を冷房で稼働させるときに作動する一方の開閉機構53Aの放熱部材80の熱が、作動停止する他方の開閉機構53Bの放熱部材80に、伝熱部材82を介して伝熱される。このため、作動する一方の開閉機構53Aの電磁コイル53bが発生する熱が、一方の開閉機構53Aの放熱部材80の放熱フィン80aと、他方の開閉機構53Bの放熱部材80の放熱フィン80aの両方によって放熱されるので、放熱面積が増えて放熱効率が高められる。その結果、室内機5を冷房で稼働させるときに作動する一方の開閉機構53Aの放熱部材80の温度を低下させることができる。
【0036】
これと同様に、室内機5を暖房で稼働させるときに作動する他方の開閉機構53Bの放熱部材80の熱が、作動停止する一方の開閉機構53Aの放熱部材80に、伝熱部材82を介して伝熱される。これにより、室内機5を暖房で稼働させるときに作動する他方の開閉機構53Bの放熱部材80の温度を低下させることができる。
【0037】
ここで、上述のように伝熱部材82を用いた本実施例と、伝熱部材82を用いていない比較例(図示せず)とを比較する。伝熱部材82を用いた本実施例は、伝熱部材82を用いていない比較例と比べて、室内機5が冷房または暖房で稼働するときに作動する開閉機構53における放熱部材80の温度が9.8℃低下した。したがって、伝熱部材82によって開閉機構53の放熱部材80の放熱性が高められる。
【0038】
(伝熱部材の変形例)
図9は、実施例における駆動部52の伝熱部材82の変形例を示す正面図である。上述した実施例の構造(
図8)において、伝熱部材82は、筐体55と連結されてもよい。この場合、
図9に示すように、伝熱部材82は、筐体55と熱的に接続される接続部83を有しており、接続部83が、例えば、機構収容空間56Bにおける筐体55の内壁や、開閉機構53を支持する支持フレーム等に接続されている。図示しないが、接続部83は、伝熱部材82の両端部と同様に、溶接やネジ等によって連結されている。このように一対の開閉機構100(53A、53B)の放熱部材80同士が連結されると共に、接続部83によって筐体55と接続されることで、作動する開閉機構53の放熱部材80の放熱性を更に高めることが可能になる。
【0039】
また、他の変形例としては、
図9に示すように、一対の開閉機構100(53A、53B)の各放熱部材80と伝熱部材82は、一体に形成されてもよい。この場合、放熱部材80と伝熱部材82は、熱伝導性を有する金属材料等によって一体成形される。この場合、伝熱部材82を各放熱部材80に溶接やネジ等で接続する工程を省くことが可能になり、駆動部52の組み立て工程が簡素化される。また、例えば、伝熱部材82は、放熱部材80の連結部80bと一体に形成されて、連結部80bと別部品の放熱フィン80aが、連結部80bに接するように取り付けられてもよい。
【0040】
(空気調和装置2の動作)
冷暖切換装置1は、室内機5-1に冷房運転を行わせる場合、室内機5-1に対応する配管群24-1の第1開閉弁31を開き、配管群24-1の第2開閉弁32を閉じることにより、低圧ガス管6を室内機側ガス管12-1に接続する。このとき、液管8を流れる高圧液相冷媒は、室内機液管11-1を介して室内機5-1に供給されて、室内機5-1から室内機側ガス管12-1を介して流出される低圧気相冷媒が、低圧ガス管6に供給される。冷暖切換装置1は、室内機5-1に暖房運転を行わせる場合、配管群24-1の第1開閉弁31を閉じて、配管群24-1の第2開閉弁32を開くことにより、高圧ガス管7を室内機側ガス管12-1に接続する。このとき、高圧ガス管7を流れる高圧気相冷媒は、室内機側ガス管12-1を介して室内機5-1に供給されて、室内機5-1から室内機液管11-1を介して流出される低圧二相冷媒が、液管8に供給される。
【0041】
配管群24-1の第3開閉弁33と第4開閉弁34は、第1開閉弁31と第2開閉弁32が開閉するときに配管群24-1を流れる冷媒の圧力が均圧されるように、すなわち、第1開閉弁31と第2開閉弁32が適切に開閉されるように、開閉される。冷暖切換装置1は、複数の室内機5-1~5-4のうちの室内機5-1と異なる他の室内機15-2~15-4に冷房運転または暖房運転を行わせるときも、配管群24-1と同様に、複数の配管群24-1~24-12を動作させる。
【0042】
室内機5-1は、冷暖切換装置1から室内機液管11-1を介して高圧液相冷媒が供給されることにより、冷房運転が行われる。このとき、室内機5-1の膨張弁は、室内機液管11-1を介して供給される高圧液相冷媒を膨張させて、高圧液相冷媒から液リッチ状態の低圧二相冷媒を生成する。室内機5-1の室内熱交換器は、凝縮器として機能する。すなわち、室内熱交換器は、低圧二相冷媒と室内の空気とを熱交換することにより、室内の空気を冷却し、低圧二相冷媒の圧力が一定のまま低圧二相冷媒の乾き度を上げ、低圧二相冷媒から過熱状態の低圧気相冷媒を生成する。
【0043】
室内機5-1は、冷暖切換装置1から室内機側ガス管12-1を介して高圧気相冷媒が供給されることにより、暖房運転が行われる。このとき、室内機5-1の室内熱交換器は、凝縮器として機能する。すなわち、室内熱交換器は、高圧気相冷媒と室内の空気とを熱交換することにより、室内の空気を加熱し、高圧気相冷媒の圧力が一定のまま高圧気相冷媒を冷却し、高圧気相冷媒の乾き度を下げ、高圧液相冷媒を生成する。室内機5-1の膨張弁は、高圧液相冷媒を膨張させ、高圧液相冷媒から液リッチ状態の低圧二相冷媒を生成する。
【0044】
複数の室内機5-1~5-4のうちの室内機5-1と異なる他の室内機も、室内機5-1と同様に、冷房運転が行われたり、暖房運転が行われたりする。
【0045】
また、複数の室外機3-1~3-2のうちの室外機3-1の四方弁は、冷房運転が行われる室内機に利用される冷媒の量が、暖房運転が行われる室内機に利用される冷媒の量より多いときに、第1モードに切り換えられる。このとき、低圧ガス管6を流れる低圧気相冷媒は、圧縮機に供給され、室外機3-1の圧縮機で圧縮された高圧気相冷媒は、高圧ガス管7に供給されて、四方弁を介して室外熱交換器に供給される。室外機3-1の室外熱交換器は、凝縮器として動作する。すなわち、室外熱交換器は、室外機3-1の圧縮機から四方弁を介して供給された高圧気相冷媒と外気とを熱交換することにより、高圧気相冷媒の圧力が一定のまま高圧気相冷媒を冷却し、高圧気相冷媒の乾き度を下げ、高圧液相冷媒を生成する。高圧液相冷媒は、液管8に供給される。圧縮機は、低圧ガス管6を流れる低圧気相冷媒を圧縮し、低圧気相冷媒から過熱状態の高圧気相冷媒を生成する。
【0046】
また、2つの室外機3-1~3-2のうちの一方の室外機3-1の四方弁は、暖房運転が行われる室内機に利用される冷媒の量が、冷房運転が行われる室内機に利用される冷媒の量よりも多いときに、第2モードに切り換えられる。このとき、低圧ガス管6を流れる低圧気相冷媒と、室外熱交換器により生成された低圧気相冷媒は、圧縮機に供給され、室外機3-1の圧縮機により圧縮された高圧気相冷媒は、四方弁を介して室外熱交換器に供給される。室外機3-1の室外熱交換器は、蒸発器として動作する。すなわち、室外熱交換器は、液管8を流れる低圧二相冷媒と室内の空気を熱交換することにより、低圧二相冷媒の圧力が一定のまま低圧二相冷媒の乾き度を上げ、低圧二相冷媒から過熱状態の低圧気相冷媒を生成する。圧縮機は、四方弁から供給された低圧気相冷媒と低圧ガス管6を流れる低圧気相冷媒とを圧縮し、低圧気相冷媒から過熱状態の高圧気相冷媒を生成し、高圧気相冷媒を高圧ガス管7に供給する。
【0047】
複数の室外機3-1~3-2のうちの他方の室外機3-2においても、室外機3-1と同様に、動作する。
【0048】
(実施例の効果)
上述のように実施例の冷暖切換装置1における駆動部52は、一方の開閉機構53A(53B)に電力が供給されるときに他方の開閉機構53B(53B)に電力が供給されない一対の開閉機構100(53A、53B)を有する。一方の開閉機構53A(53B)の放熱部材80と他方の開閉機構53B(53A)の放熱部材80とは、伝熱部材82により熱的に接続される。これにより、電磁コイル53bが作動する一方の開閉機構53A(53B)の放熱部材180から、伝熱部材82を介して、電磁コイル53bが作動停止する他方の開閉機構53B(53A)の放熱部材80に伝熱させることが可能になり、開閉機構53の電磁コイル53bが発生する熱を2つの放熱部材80の両方によって放熱することができる。このため、筐体55内における多数の開閉機構53の配置間隔が狭く、多数の開閉機構53が密集して配置される場合であっても、一対の開閉機構100の放熱性を高めることができる。その結果、一対の開閉機構100による開閉弁33、34の開閉動作の信頼性を高めることができる。
【0049】
また、実施例の冷暖切換装置1における一対の開閉機構100(53A、53B)は、筐体55内において隣り合って配置されている。これにより、伝熱部材82によって一対の開閉機構100を容易に連結することが可能になり、伝熱部材82の形状を簡素化することができる。
【0050】
また、実施例の冷暖切換装置1の駆動部52の伝熱部材82は、筐体55と連結されている。これにより、放熱部材80の熱を、伝熱部材82を介して筐体55に伝えることが可能になり、電磁コイル53bが作動する開閉機構53A(53B)の放熱部材80の放熱性を更に高めることができる。
【0051】
また、実施例の冷暖切換装置1の駆動部52の放熱部材80は、電磁コイル53bの熱を放熱する放熱フィン80aと、伝熱部材82が固定される連結部80bと、を有する。これにより、一対の開閉機構100(53A、53B)の各放熱部材80の放熱性を維持しながら、伝熱部材82によって各放熱部材80間で熱を伝達することができる。
【0052】
また、実施例の冷暖切換装置1の駆動部52において、一対の開閉機構100(53A、53B)の各放熱部材80と伝熱部材82は、一体に形成されている。これにより、伝熱部材82を各放熱部材80に溶接やネジ等で接続する工程を省くことが可能になり、駆動部52の組み立て工程を簡素化できる。
【符号の説明】
【0053】
1 冷暖切換装置
3 室外機
5 室内機
30 冷媒配管
31~34 開閉弁
51 配管部
52 駆動部
53 開閉機構
53A、53B、100 一対の開閉機構
53b 電磁コイル
54 制御部
55 筐体
80 放熱部材
80a 放熱フィン(放熱部)
80b 連結部
82 伝熱部材