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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】車両用スライドレール装置
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/075 20060101AFI20240319BHJP
【FI】
B60N2/075
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019208183
(22)【出願日】2019-11-18
(65)【公開番号】P2021079792
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 明弘
(72)【発明者】
【氏名】村上 雄太
(72)【発明者】
【氏名】田中 新
(72)【発明者】
【氏名】西田 晃洋
【審査官】松江 雅人
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-137009(JP,A)
【文献】特開2017-072235(JP,A)
【文献】特開2017-132424(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0174103(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/06-2/08、2/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のフロアに取り付けられるレールと、
収容部が設けられ、前記レールに沿って移動可能に前記レールに取り付けられる、スライダと、
雄ネジを有し、前記レールに取り付けられた、ロッドと、
前記雄ネジと噛み合うことが可能な雌ネジを有するナットと、
前記ナットを、前記ロッドから離間した離間位置と、前記雌ネジと前記雄ネジとが噛み合う係合位置と、の間で移動させる切替機構と、
前記収容部に少なくとも部分的に収容され、前記ナットと、前記切替機構の少なくとも一部と、を収容する、筐体と、
記ナット回転させて当該ナットを前記ロッドに沿って移動させる駆動機構と、
を具備する車両用スライドレール装置。
【請求項2】
前記駆動機構は、モータと、前記モータから伝達された第1の回転中心まわりの回転を前記第1の回転中心に対して捩れの位置にある第2の回転中心まわりの回転に変換して前記ナットに伝達する伝達機構と、を有し、
前記筐体は、前記伝達機構の少なくとも一部を収容する、
請求項1の車両用スライドレール装置。
【請求項3】
前記筐体は、前記スライダに取り外し可能に取り付けられた、請求項1又は請求項2の車両用スライドレール装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、車両用スライドレール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のフロアに設けられるロアレールと、シートに固定されるとともにロアレールに移動可能に取り付けられるアッパレールと、を備える車両用スライドレール装置が知られる。また、モータの駆動によりアッパレールとロアレールとを相対的にスライド移動させる、いわゆるパワーシートも知られる。
【0003】
パワーシートの機構は、例えば、ロアレールとアッパレールに取り付けられるスクリューロッドとナットとを有する。スクリューロッド又はナットがモータにより駆動されることで、アッパレールとロアレールとが相対的にスライド移動する。
【0004】
ナットをスクリューロッドから取り外すことが可能なパワーシートも知られている。例えば、ナットをスクリューロッドから取り外すことで、アッパレール及びロアレールは、モータの駆動によらず、手動で相対的にスライド移動することが可能となる(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平4-71937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の構成では、ナットをスクリューロッドから取り外すための機構がアッパレール及びロアレールの外部に配置される。このため、スライドレール装置が大型化してしまう。
【0007】
そこで、本発明は上記に鑑みてなされたものであり、大型化することを抑制可能な車両用スライドレール装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施形態に係る車両用スライドレール装置は、一例として、車両のフロアに取り付けられるレールと、収容部が設けられ、前記レールに沿って移動可能に前記レールに取り付けられる、スライダと、雄ネジを有し、前記レールに取り付けられた、ロッドと、前記雄ネジと噛み合うことが可能な雌ネジを有するナットと、前記ナットを、前記ロッドから離間した離間位置と、前記雌ネジと前記雄ネジとが噛み合う係合位置と、の間で移動させる切替機構と、前記収容部に少なくとも部分的に収容され、前記ナットと、前記切替機構の少なくとも一部と、を収容する、筐体と、前記ロッドと前記ナットとのうち一方を回転させる駆動機構と、を備える。よって、一例としては、レール及びスライダの内部に切替機構の少なくとも一部が収まるため、車両用スライドレール装置が大型化することが抑制される。
【0009】
上記車両用スライドレール装置では、一例として、前記駆動機構は、モータと、前記モータから伝達された第1の回転中心まわりの回転を前記第1の回転中心に対して捩れの位置にある第2の回転中心まわりの回転に変換して前記ナットに伝達する伝達機構と、を有し、前記筐体は、前記伝達機構の少なくとも一部を収容する。よって、一例としては、レール及びスライダの内部に切替機構の少なくとも一部及び伝達機構の少なくとも一部が収まるため、車両用スライドレール装置が大型化することが抑制される。
【0010】
上記車両用スライドレール装置では、一例として、前記筐体は、前記スライダに取り外し可能に取り付けられる。よって、一例としては、ナット及び切替機構を備えるスライドレール装置と、ナットの移動が行われない他のスライドレール装置と、の間で、レール、スライダ、及びロッドを共通化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、一つの実施形態のシート装置を概略的に示す斜視図である。
図2図2は、実施形態のスライドレール装置の一部を示す断面図である。
図3図3は、実施形態のスライドレール装置の一部を分解して示す斜視図である。
図4図4は、実施形態のスライドレール装置の一部を図2のF4-F4線に沿って示す断面図である。
図5図5は、実施形態のナット、ガイド部材、及びウォームホイールを示す斜視図である。
図6図6は、実施形態のスライドレール装置の一部を図4のF6-F6線に沿って示す断面図である。
図7図7は、実施形態のナットが離間位置に位置するスライドレール装置の一部を示す断面図である。
図8図8は、実施形態のスライドレール装置の一部を図7のF8-F8線に沿って示す断面図である。
図9図9は、実施形態の切替機構の一部及び筐体の一部を示す斜視図である。
図10図10は、実施形態のスライドレール装置の一部を図4のF10-F10線に沿って示す断面図である。
図11図11は、実施形態のスライドレール装置の一部を図7のF11-F11線に沿って示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、一つの実施形態について、図1乃至図11を参照して説明する。なお、本明細書において、実施形態に係る構成要素及び当該要素の説明について、複数の表現が記載されることがある。複数の表現がされた構成要素及び説明は、記載されていない他の表現がされても良い。さらに、複数の表現がされない構成要素及び説明も、記載されていない他の表現がされても良い。
【0013】
図1は、一つの実施形態のシート装置10を概略的に示す斜視図である。シート装置10は、四輪自動車のような車両1に搭載され、スライドレール装置11と、シート12とを有する。シート12は、シートクッション12aと、当該シートクッション12aに回動可能に取り付けられたシートバック12bとを有する。
【0014】
各図面に示されるように、本明細書において、便宜上、X軸、Y軸及びZ軸が定義される。X軸とY軸とZ軸とは、互いに直交する。X軸は、車両1の左右方向に沿って設けられる。Y軸は、車両1の前後方向に沿って設けられる。Z軸は、車両1の上下方向に沿って設けられる。
【0015】
さらに、本明細書において、X方向、Y方向及びZ方向が定義される。X方向は、X軸に沿う方向であって、X軸の矢印が示す+X方向(右方向)と、X軸の矢印の反対方向である-X方向(左方向)とを含む。Y方向は、Y軸に沿う方向であって、Y軸の矢印が示す+Y方向(前方向)と、Y軸の矢印の反対方向である-Y方向(後方向)とを含む。Z方向は、Z軸に沿う方向であって、Z軸の矢印が示す+Z方向(上方向)と、Z軸の矢印の反対方向である-Z方向(下方向)とを含む。
【0016】
スライドレール装置11は、二つのロアレール21と、二つのアッパレール22とを有する。ロアレール21は、レールとも称され得る。アッパレール22は、スライダとも称され得る。
【0017】
ロアレール21は、Y方向に延びるように車両1のフロア1aに取り付けられる。フロア1aは、略+Z方向に向く。なお、フロア1aは、他の方向に向く部分を有しても良い。二つのロアレール21は、X方向に互いに離間して配置される。
【0018】
アッパレール22は、Y方向に延びるとともに、ロアレール21に沿うY方向にスライド移動可能に、ロアレール21に取り付けられる。Y方向は、スライド方向とも称され得る。例えば、ロアレール21とアッパレール22との間に転動体が配置されることで、アッパレール22はロアレール21に対して滑らかに移動可能である。二つのアッパレール22は、シート12を支持する。
【0019】
図2は、実施形態のスライドレール装置11の一部を示す断面図である。図2に示すように、ロアレール21は、例えば、曲げ加工された一つの板金により作られ、略C字状の断面を有する。なお、ロアレール21はこの例に限られない。ロアレール21は、底壁31と、二つの外側壁32と、二つの連結壁33と、二つの内側壁34とを有する。
【0020】
底壁31は、X‐Y平面上に広がる略板状の部分である。底壁31は凹凸を有しても良い。底壁31は、例えばボルトにより、フロア1aに取り付けられる。底壁31は、例えば、ブラケットを介してフロア1aに取り付けられても良い。
【0021】
二つの外側壁32は、X方向における底壁31の両端部から、+Z方向に延びている。二つの内側壁34は、二つの外側壁32の間に位置し、Z方向に延びている。X方向において、二つの内側壁34は、互いに離間するとともに、二つの外側壁32からも離間している。連結壁33は、+Z方向における外側壁32の端部と、+Z方向における内側壁34の端部との間で延びている。-Z方向における内側壁34の端は、底壁31から離間する。
【0022】
アッパレール22は、例えば、曲げ加工された一つの板金により作られる。なお、アッパレール22はこの例に限られない。アッパレール22は、上壁41と、二つの挿通壁42と、二つの曲壁43とを有する。
【0023】
上壁41は、X‐Y平面上に広がる略板状の部分であり、Y方向に延びている。上壁41は、ロアレール21の外に位置する。二つの挿通壁42は、X方向における上壁41の両端から、-Z方向に延びている。
【0024】
二つの挿通壁42は、ロアレール21の二つの内側壁34の間の隙間を通されている。曲壁43は、ロアレール21の内部に位置する。曲壁43は、-Z方向における挿通壁42の端部から大よそ、ロアレール21の連結壁33に向かって延びるよう曲げられている。
【0025】
図3は、実施形態のスライドレール装置11の一部を分解して示す斜視図である。図3に示すように、スライドレール装置11は、ロッド51と、ナット52と、駆動機構53と、ガイド部材54と、切替機構55と、筐体56とをさらに有する。ロッド51は、スクリューロッドとも称され得る。
【0026】
ロッド51、ナット52、駆動機構53、切替機構55、及び筐体56は、例えば、金属によって作られ、又は金属によって作られた部品によって構成される。なお、ロッド51、ナット52、駆動機構53、切替機構55、及び筐体56は、合成樹脂のような他の材料によって作られた部分を有しても良い。
【0027】
ロッド51は、略円柱状に形成され、Y方向に延びている。例えば、二つの端ブラケット57が、ロッド51の両端をロアレール21の底壁31に固定する。これにより、端ブラケット57は、ロッド51の回転を制限する。本実施形態では、ロッド51は、ロアレール21に対して回転しない。なお、ロッド51は、ロアレール21に対して所定の範囲内で回転可能であっても良い。ロッド51は、ロアレール21の内部に位置し、ロアレール21から離間している。ロッド51は、雄ネジ51aを有する。雄ネジ51aは、ロッド51の外周面に設けられる。ロッド51の雄ネジ51aが設けられた部分は、Y方向に延びている。
【0028】
ナット52は、複数のナット部材58を有する。本実施形態におけるナット52は、三つのナット部材58を有する。なお、ナット部材58の数は、一つ、二つ、又は四つ以上であっても良い。
【0029】
三つのナット部材58は、ロッド51の中心軸Ax1の周方向に並べられる。中心軸Ax1は、第2の回転中心とも称され得る。中心軸Ax1は、Y方向に延びている。中心軸Ax1の周方向は、中心軸Ax1まわりに回転する方向であり、ロッド51の周方向とも称され得る。別の表現によれば、三つのナット部材58は、ロッド51の中心軸Ax1まわりに並んでいる。
【0030】
図4は、実施形態のスライドレール装置11の一部を図2のF4-F4線に沿って示す断面図である。図5は、実施形態のナット52、ガイド部材54、及びウォームホイール67を示す斜視図である。図4及び図5に示すように、ナット部材58はそれぞれ、内面58aと、第1の外面58bと、二つの第2の外面58cと、二つの第3の外面58dと、二つの端面58eと、雌ネジ58fとを有する。第2の外面58cは、第1の面とも称され得る。第3の外面58dは、第2の面とも称され得る。
【0031】
内面58aは、ロッド51に向くとともに、Y方向に延びる略半円筒状の曲面である。言い換えると、内面58aは、中心軸Ax1の径方向の内側に向く。径方向は、中心軸Ax1と直交する方向であり、ロッド51の径方向とも称され得る。第1の外面58b、第2の外面58c、及び第3の外面58dは、内面58aの反対側に位置する。
【0032】
第1の外面58b及び第2の外面58cは、Y方向に延びる略半円筒状の曲面である。第1の外面58b及び第2の外面58cは、中心軸Ax1の径方向の外側に向く。第1の外面58bは、第2の外面58cよりも内面58aに近い。言い換えると、第1の外面58bの曲率半径は、第2の外面58cの曲率半径よりも小さい。二つの第2の外面58cは、Y方向に互いに離間している。Y方向において、第1の外面58bは、二つの第2の外面58cの間に位置する。
【0033】
第3の外面58dは、Y方向の一方側における第1の外面58bの端と、Y方向の他方側における第2の外面58cの端と、の間で延びている。第3の外面58dは、Y方向と斜めに交差する方向に延びる略半円錐状の曲面である。なお、第3の外面58dはこの例に限られない。
【0034】
端面58eは、Y方向におけるナット部材58の両端に位置する。端面58eは、Y方向に向く略平坦な面である。なお、端面58eは、Y方向と斜めに交差する方向に向いても良い。
【0035】
雌ネジ58fは、例えば、内面58aから突出する複数の突起である。雌ネジ58fは、ロッド51の雄ネジ51aと噛み合うことが可能なように形成される。例えば、雄ネジ51aと雌ネジ58fとにおける種類、内径、外径、及びピッチは、略同一に設定される。
【0036】
複数のナット部材58は、例えば、雌ネジ58fを有する一つのナット52を、中心軸Ax1の周方向に分割することで作られる。なお、ナット部材58は、他の方法で作られても良い。
【0037】
ナット部材58に、二つの凹部58gが設けられる。凹部58gはそれぞれ、対応する端面58eに設けられる。凹部58gは、例えば、中心軸Axの周方向に延びる有底の溝である。
【0038】
ナット52は、種々の部品を介して、アッパレール22に取り付けられる。ナット52は、アッパレール22に力を伝達可能に、アッパレール22の内部又はアッパレール22の近傍に配置されていれば良く、アッパレール22に固定されている必要は無い。本実施形態では、ナット52は、アッパレール22に対し中心軸Ax1の径方向に相対的に移動可能に、アッパレール22の内部に配置されている。
【0039】
上記のように、本実施形態におけるナット52は、アッパレール22に対して所定の位置に保たれることが可能なように、支持、保持、締結、又は他の方法により取り付けられていれば良い。所定の位置は、複数の位置を含んでも良い。
【0040】
図2に示すように、駆動機構53に含まれる各要素は、直接、又は種々の部品を介して、アッパレール22に取り付けられる。駆動機構53は、アッパレール22に力を伝達可能に、アッパレール22の内部又はアッパレール22の近傍に配置されていれば良く、アッパレール22に固定されている必要は無い。
【0041】
駆動機構53は、モータ61と、ギヤボックス62と、シャフト63と、伝達機構64とを有する。モータ61は、例えば、サーボモータであり、車両1のECU(Electronic Control Unit)の制御に応じて駆動させられる。
【0042】
ギヤボックス62は、例えば、モータ61の駆動軸の回転を、他の方向の回転に変換する。また、ギヤボックス62は、減速機を含んでも良い。シャフト63は、X方向に延びている。モータ61の駆動軸の回転は、ギヤボックス62を介してシャフト63に伝達される。言い換えると、モータ61は、ギヤボックス62を介してシャフト63を回転駆動させる。
【0043】
図3に示すように、伝達機構64は、ウォーム65と、中間ギヤ66と、ウォームホイール67とを有する。なお、伝達機構64はこの例に限らず、ウォーム65とウォームホイール67とを含み、中間ギヤ66を省略しても良い。
【0044】
ウォーム65は、シャフト63の端部に取り付けられる。ウォーム65は、シャフト63と一体に、図2に示すシャフト63の中心軸Ax2まわりに回転する。中心軸Ax2は、第1の回転中心とも称され得る。
【0045】
シャフト63の中心軸Ax2は、X方向に延びている。さらに、シャフト63の中心軸Ax2は、ロッド51の中心軸Ax1から、+Z方向に離間している。このため、ロッド51の中心軸Ax1と、シャフト63の中心軸Ax2とは、互いにねじれの位置にある。
【0046】
図4に示すように、中間ギヤ66は、ウォーム65とウォームホイール67との間に配置される。中間ギヤ66は、中心軸Ax2と略平行な回転中心Ax3まわりに回転可能である。
【0047】
ウォームホイール67は、筒67aと、内面67bと、外歯67cと、端歯67dとを有する。筒67aは、Y方向に延びる略円筒状に形成される。ロッド51が、筒67aの内部を通る。言い換えると、筒67aは、ロッド51の一部を覆う。内面67bは、略円筒状に形成され、ロッド51に向く。内面67bは、ロッド51から離間し、又はロッド51に部分的に接触する。
【0048】
ロッド51とウォームホイール67とは、互いにY方向に相対的に移動可能である。さらに、ロッド51とウォームホイール67とは、中心軸Ax1まわりに相対的に回転可能である。ウォームホイール67は、ロッド51の雄ネジ51aと直接的に噛み合う歯を持っておらず、ロッド51との間で直接的には回転を伝達しない。ただし、後述するように、ナット部材58の雌ネジ58fとロッド51の雄ネジ51aとが噛み合うことで、ロッド51とウォームホイール67とは、ナット52を介して間接的に回転を伝達することができる。別の表現によれば、ウォームホイール67は、ナット52の雌ネジ58fを介して、ロッド51の雄ネジ51aと間接的に噛み合うことができる。
【0049】
外歯67cは、筒67aから中心軸Ax1の径方向の外側に突出する。外歯67cは、中間ギヤ66と噛み合っている。さらに、中間ギヤ66は、ウォーム65とも噛み合っている。このため、中間ギヤ66は、ウォーム65の回転を、ウォームホイール67に伝達する。
【0050】
端歯67dは、+Y方向における筒67aの端から突出している。端歯67dは、中心軸Ax1まわりに互いに離間して配置された複数の凸部を含む。端歯67dは、例えば、ウォームホイール67とガイド部材54との間の回転の伝達に用いられる。なお、例えば、ウォームホイール67とガイド部材54との間で回転を伝達する他の部分が設けられれば、ウォームホイール67から端歯67dが省略されても良い。
【0051】
駆動機構53において、モータ61により駆動された駆動軸の回転は、ギヤボックス62により、シャフト63に伝達される。シャフト63と、ウォーム65とは、一体に中心軸Ax2まわりに回転する。シャフト63の回転は、ウォーム65及び中間ギヤ66により、ウォームホイール67に伝達される。ウォームホイール67は、中心軸Ax1まわりに回転する。以上のように、伝達機構64は、モータ61から伝達された中心軸Ax2まわりの回転を、中心軸Ax1まわりの回転に変換する。
【0052】
ガイド部材54は、種々の部品を介して、アッパレール22に取り付けられる。ガイド部材54は、アッパレール22に力を伝達可能に、アッパレール22の内部又はアッパレール22の近傍に配置されていれば良く、アッパレール22に固定されている必要は無い。
【0053】
図5に示すように、ガイド部材54は、第1のフレーム71と、第2のフレーム72と、複数の柱73とを有する。第1のフレーム71、第2のフレーム72、及び柱73は、一体に形成される。
【0054】
第1のフレーム71及び第2のフレーム72は、中心軸Ax1の周方向に延びる略円環状に形成される。第2のフレーム72は、第1のフレーム71から、+Y方向に離間している。ロッド51が、第1のフレーム71及び第2のフレーム72の内部を通る。言い換えると、第1のフレーム71及び第2のフレーム72は、ロッド51の一部を覆う。
【0055】
第1のフレーム71は、内面71aと、外面71bと、端面71cとを有する。内面71aは、略円筒状に形成され、ロッド51に向く。外面71bは、内面71aの反対側に設けられる。端面71cは、+Y方向における第1のフレーム71の端部に位置し、+Y方向に向く略平坦な面である。
【0056】
第1のフレーム71に、複数の溝71dが設けられる。溝71dは、外面71bから窪んでいる。本実施形態では、第1のフレーム71に、三つの溝71dが設けられる。なお、溝71dは、この例に限られない。三つの溝71dは、中心軸Ax1まわりに互いに離間して並んでいる。溝71dは、Y方向における第1のフレーム71の両端に開放されている。
【0057】
第2のフレーム72は、内面72aと、外面72bと、端面72cとを有する。内面72aは、略円筒状に形成され、ロッド51に向く。外面72bは、内面72aの反対側に設けられる。端面72cは、-Y方向における第2のフレーム72の端部に位置し、-Y方向に向く略平坦な面である。第1のフレーム71の端面71cと第2のフレーム72の端面72cとは、間隔を介して互いに向かい合う。
【0058】
第2のフレーム72に、複数の溝72dが設けられる。溝72dは、外面72bから窪んでいる。本実施形態では、第2のフレーム72に、三つの溝72dが設けられる。なお、溝72dは、この例に限られない。三つの溝72dは、中心軸Ax1まわりに互いに離間して並んでいる。溝72dは、Y方向における第2のフレーム72の両端に開放されている。
【0059】
第1のフレーム71の溝71dと、対応する第2のフレーム72の溝72dとは、中心軸Ax1の周方向において、略同一位置に設けられる。言い換えると、第1のフレーム71の溝71dと、対応する第2のフレーム72の溝72dとは、間隔を介してY方向に並んでいる。
【0060】
複数の柱73はそれぞれ、Y方向に延びている。本実施形態では、ガイド部材54は、三つの柱73を有する。なお、柱73は、この例に限られない。三つの柱73は、中心軸Ax1まわりに互いに離間して並んでいる。中心軸Ax1の周方向において、柱73はそれぞれ、隣り合う二つの溝71dの間に位置する。
【0061】
図6は、実施形態のスライドレール装置11の一部を図4のF6-F6線に沿って示す断面図である。図6に示すように、柱73はそれぞれ、二つの側面73aと、突起73bとを有する。
【0062】
二つの側面73aはそれぞれ、中心軸Ax1の径方向と略平行に延びている。一つの柱73において、一方の側面73aが延びる方向と、他方の側面73aが延びる方向とは、互いに異なる。これにより、柱73が略三角形の断面を有し、柱73の強度が向上する。突起73bは、中心軸Ax1の径方向の内側における側面73aの端から、中心軸Ax1に向かって突出する。言い換えれば、突起73bは二つの側面73aの間に配置されている。
【0063】
上述のように、ロッド51は、略円筒状のガイド部材54の内部を通る。ロッド51とガイド部材54とは、互いにY方向に相対的に移動可能である。さらに、ロッド51とガイド部材54とは、中心軸Ax1まわりに相対的に回転可能である。ロッド51とガイド部材54とは、直接的には回転を伝達しない。ただし、ロッド51とガイド部材54とは、ナット52を介して間接的に回転を伝達することができる。
【0064】
ロッド51は、ガイド部材54がロッド51に対して中心軸Ax1の径方向に移動することを制限するように、ガイド部材54に挿通され、ガイド部材54を支持する。さらに、ロッド51は、ガイド部材54がロッド51に対して相対的に中心軸Ax1まわりに回転可能なように、ガイド部材54に挿通され、ガイド部材54を支持する。
【0065】
図5に示すように、隣り合う柱73の間に、ガイド空間75が設けられる。ガイド空間75は、隣り合う柱73の間の空間である。本実施形態では、ガイド部材54に、三つのガイド空間75が設けられる。三つのガイド空間75は、中心軸Ax1の周方向に間隔を介して並んでいる。
【0066】
ガイド空間75に、ナット部材58が配置される。ナット部材58はそれぞれ、二つの側面58hをさらに有する。側面58hは、中心軸Ax1の周方向におけるナット部材58の両端に設けられる。側面58hは、中心軸Ax1の径方向と略平行に延びている。
【0067】
ナット部材58の一方の端面58eは、第1のフレーム71の端面71cと向かい合う。ナット部材58の他方の端面58eは、第2のフレーム72の端面72cと向かい合う。端面58eと、端面71c,72cとは、互いに略平行に配置される。端面58eは、端面71c,72cと接触しても良いし、端面71c,72cから僅かに離間していても良い。
【0068】
ナット部材58の一方の側面58hは、一つの柱73の側面73aと向かい合う。ナット部材58の他方の側面58hは、他の柱73の側面73aと向かい合う。側面58hと側面73aとは、互いに略平行に配置される。側面58hは、側面73aと接触しても良いし、側面73aから僅かに離間していても良い。
【0069】
ガイド部材54は、ナット部材58を支持する。例えば、端面58eと、端面71c,72cとが向かい合う。これにより、ガイド部材54は、ナット部材58が当該ガイド部材54に対して相対的にY方向に移動することを制限するように、Y方向にナット部材58を支持する。Y方向は、ロッドの軸方向とも称され得る。
【0070】
さらに、側面58hと側面73aとが向かい合う。これにより、ガイド部材54は、ナット部材58が当該ガイド部材54に対して相対的に中心軸Ax1の周方向に移動することを制限するように、中心軸Ax1の周方向にナット部材58を支持する。
【0071】
図7は、実施形態のナット52が離間位置Psに位置するスライドレール装置11の一部を示す断面図である。図8は、実施形態のスライドレール装置11の一部を図7のF8-F8線に沿って示す断面図である。ガイド部材54は、ナット部材58が、当該ガイド部材54に対して相対的に、図4及び図6に示す係合位置Pcと、図7及び図8に示す離間位置Psとの間で、中心軸Ax1の径方向に摺動(移動)可能なように、ナット部材58を支持する。
【0072】
図4に示すように、係合位置Pcにおいて、ナット部材58の雌ネジ58fと、ロッド51の雄ネジ51aとが噛み合っている。図6に示すように、係合位置Pcにおいて、ガイド部材54の突起73bが、ナット部材58に接触し、ナット部材58がロッド51にさらに近づくことを制限する。係合位置Pcにおいて、ナット部材58の内面58a、第1の外面58b、及び第2の外面58cの中心は、中心軸Ax1と略一致する。
【0073】
図7に示すように、離間位置Psは、ロッド51から中心軸Ax1の径方向に離間している。すなわち、離間位置Psにおいて、ナット部材58は、ロッド51から中心軸Ax1の径方向に離間している。
【0074】
図8に示すように、離間位置Psにおいて、ナット部材58の内面58a、第1の外面58b、及び第2の外面58cの中心は、係合位置Pcに比べて中心軸Ax1から径方向に離間している。なお、離間位置Psは、この例に限られない。
【0075】
以上のように、ナット部材58は、ガイド空間75において、離間位置Psと、係合位置Pcとの間で平行移動可能である。係合位置Pcにおけるナット部材58と、ロッド51とは、互いに回転を伝達する。離間位置Psにおけるナット部材58と、ロッド51とは、回転の伝達を伴わず、互いに相対的に中心軸Ax1まわりに回転可能である。
【0076】
ナット部材58の側面58hと、ガイド部材54の側面73aとは、略平行に配置され、且つ中心軸Ax1の径方向と平行に延びる。このため、ガイド部材54の側面73aは、ナット部材58を、中心軸Ax1の径方向にガイドする。すなわち、ガイド部材54は、ナット部材58がガイド部材54に対して相対的に中心軸Ax1の径方向に直線的に摺動(移動)可能なように、ナット部材58を支持する。別の表現によれば、ナット部材58は、ガイド部材54に支持されながら、ガイド部材54に対して相対的に中心軸Ax1の径方向に直線的に移動することができる。なお、ナット部材58の移動方向は、この例に限られない。
【0077】
図4に示すように、第1のフレーム71に、端歯71eが設けられる。端歯71eは、端面71cの反対側に位置する。端歯71eと、ウォームホイール67の端歯67dとが噛み合う。これにより、ガイド部材54とウォームホイール67とは、互いに回転を伝達し、中心軸Ax1まわりに一体に回転する。なお、ガイド部材54とウォームホイール67とが、例えば圧入又は接着により、中心軸Ax1まわりに一体に回転可能であっても良い。
【0078】
上述のように、モータ61の回転は、ウォームホイール67に伝達される。ガイド部材54は、ウォームホイール67と一体に、中心軸Ax1まわりに回転する。さらに、ガイド部材54の側面73aがナット部材58の側面58hを支持することで、ナット部材58がガイド部材54と一体に、中心軸Ax1まわりに回転する。
【0079】
以上のように、駆動機構53は、ガイド部材54を介して、ナット52を回転させる。また、伝達機構64は、モータ61から伝達された中心軸Ax2まわりの回転を、中心軸Ax1まわりの回転に変換してナット52に伝達する。
【0080】
切替機構55に含まれる各要素は、直接、又は種々の部品を介して、アッパレール22に取り付けられる。切替機構55は、アッパレール22に力を伝達可能に、アッパレール22の内部又はアッパレール22の近傍に配置されていれば良く、アッパレール22に固定されている必要は無い。
【0081】
図3に示すように、切替機構55は、二つの板バネ81と、二つの保持部品82と、コイルバネ83と、二つの移動部材84と、レバー85と、を有する。板バネ81は、第1の弾性体又は支持部材とも称され得る。コイルバネ83は、第2の弾性体、弾性体、又は第2の弾性部材とも称され得る。
【0082】
図5に示すように、板バネ81はそれぞれ、環部81aと、複数の突出部81bとを有する。環部81aは、移動制限部とも称され得る。突出部81bは、変形部とも称され得る。環部81a及び突出部81bは、一体に形成される。これにより、板バネ81の製造が容易となるとともに、板バネ81が小型化され得る。
【0083】
環部81aは、中心軸Ax1の周方向に延びる略円環状に形成される。ロッド51が、環部81aの内側を通る。これにより、ロッド51は、環部81aが当該ロッド51に対して中心軸Ax1の径方向に移動することを制限する。
【0084】
図4に示すように、本実施形態では、ガイド部材54又はウォームホイール67が、環部81aの内側を通る。このため、環部81aは、ガイド部材54又はウォームホイール67に支持され、ロッド51から離間している。
【0085】
図5に示すように、本実施形態では、板バネ81は、三つの突出部81bを有する。突出部81bは、中心軸Ax1の周方向に互いに離間して配置され、環部81aから突出する。言い換えると、突出部81bの端部は、環部81aに接続されている。
【0086】
突出部81bは、例えば、荷重が作用しない自然状態において、環部81aから遠ざかるに従って中心軸Ax1から遠ざかるように延びている。突出部81bは、環部81aと突出部81bとの接続部分を支点として、中心軸Ax1の径方向に曲がるように弾性変形することができる。二つの板バネ81のバネ定数は、略同一である。
【0087】
突出部81bは、環部81aから遠ざかるに従って先細る略三角形状に形成される。これにより、突出部81bの弾性変形時に、環部81aと突出部81bとの接続部分における応力集中が緩和される。
【0088】
二つの板バネ81は、Y方向に互いに離間して配置される。二つの板バネ81の突出部81bは、互いに近付くように延びている。Y方向において、二つの板バネ81の環部81aの間に、ガイド部材54及びナット部材58が位置する。言い換えると、環部81aとナット52とが、Y方向に並んでいる。
【0089】
一方の板バネ81の突出部81bは、ガイド部材54の第1のフレーム71の溝71dを通る。他方の板バネ81の突出部81bは、ガイド部材54の第2のフレーム72の溝72dを通る。図4に示すように、二つの板バネ81の突出部81bの先端部は、ナット部材58の二つの凹部58gに挿入される。これにより、板バネ81の突出部81bは、ナット部材58を、少なくとも中心軸Ax1の径方向に支持する。
【0090】
板バネ81の突出部81bは、例えば、荷重が作用しない自然状態において、ナット部材58を図7の離間位置Psに保持する。一方、ナット部材58が係合位置Pcに位置する場合、突出部81bは弾性変形している。突出部81bは、復元力により、ナット部材58を、係合位置Pcから離間位置Psに向かう方向に押す(付勢する)。別の表現によれば、突出部81bは、ナット部材58に、係合位置Pcから離間位置Psに向かう力を作用させる。このように、突出部81bは、ナット部材58を係合位置Pcから離間位置Psに向かう方向に付勢するように弾性変形可能である。なお、付勢は、押すことだけでなく、引くことも含む。
【0091】
自然状態ではなく弾性変形している突出部81bが、ナット部材58を離間位置Psに保持しても良い。この場合、ナット部材58が離間位置Psに位置するときの突出部81bの変形量は、ナット部材58が係合位置Pcに位置するときの突出部81bの変形量よりも少ない。このため、突出部81bが離間位置Psのナット部材58に作用させる力は、突出部81bが係合位置Pcのナット部材58に作用させる力よりも小さい。
【0092】
保持部品82は、中心軸Ax1の周方向に延びる略円環状に形成される。別の表現によれば、保持部品82は、Y方向に延びる略円筒状に形成される。二つの保持部品82の中心軸Ax1の径方向内側に、ガイド部材54及び三つのナット部材58が配置される。言い換えると、保持部品82は、ガイド部材54及びナット部材58を囲む。二つの保持部品82は、Y方向に互いに離間して並べられる。二つの保持部品82はそれぞれ、内面82aと、第1の端部82bと、第2の端部82cと、角部82dとを有する。
【0093】
内面82aは、Y方向に延びる略円筒状の曲面である。内面82aの半径は、ナット部材58の第1の外面58bの曲率半径よりも長く、且つ第2の外面58cの曲率半径と略等しい。例えば、内面82aの半径は、ナット部材58の第2の外面58cの曲率半径より僅かに長い。
【0094】
第1の端部82bは、Y方向における保持部品82の一方の端部である。第2の端部82cは、Y方向における保持部品82の他方の端部である。一方の保持部品82の第1の端部82bと、他方の保持部品82の第1の端部82bとは、間隔を介して互いに向かい合っている。
【0095】
角部82dは、内面82aと第2の端部82cとの間に設けられる。角部82dは、Y方向と斜めに交差する方向に延びる略円錐状の曲面である。例えば、角部82dは、ナット部材58の第3の外面58dと略平行に設けられる。
【0096】
二つの保持部品82は、ナット52に対して相対的に、図4及び図6に示す保持位置Phと、図7及び図8に示す解除位置Prとの間で、Y方向に移動可能である。すなわち、保持部品82が移動可能な方向は、ロアレール21とアッパレール22とが相対的に移動可能な方向、及びロッド51の長手方向と、略等しい。なお、保持部品82の移動方向と、ロアレール21及びアッパレール22の移動方向が異なっても良い。
【0097】
図6に示すように、保持位置Phにおいて、保持部品82は、ナット部材58を係合位置Pcに保持する。例えば、保持位置Phにおいて、保持部品82の内面82aが、係合位置Pcに位置するナット部材58の第2の外面58cに直接当接する。係合位置Pcに位置するナット部材58の第2の外面58cの中心は、中心軸Ax1及び保持部品82の内面82aの中心と略一致する。
【0098】
上述のように、板バネ81は、ナット部材58を係合位置Pcから離間位置Psに向かう方向に押す。しかし、保持部品82は、ナット部材58の第2の外面58cに接触することで、ナット部材58が係合位置Pcから離間位置Psに移動することを制限する。これにより、保持位置Phにおける保持部品82は、ナット部材58を係合位置Pcに保持する。
【0099】
図7に示すように、解除位置Prにおいて、保持部品82は、ナット部材58が離間位置Psに位置することを許容する。例えば、解除位置Prにおける保持部品82の内面82aと、ナット部材58の第1の外面58bとは、互いに向かい合う。解除位置Prにおいて、内面82aは、第1の外面58bから離間しても良いし、第1の外面58bに接触しても良い。また、内面82aとナット部材58の第3の外面58dとが向かい合っても良い。
【0100】
保持部品82の内面82aの半径は、ナット部材58の第1の外面58bの曲率半径よりも長い。また、第1の外面58bは、第2の外面58cよりも内面58aに近い。このため、解除位置Prにおける保持部品82は、少なくともナット部材58が板バネ81の弾性付勢力により係合位置Pcから離間位置Psに移動するまでの間、ナット部材58の移動を制限せず許容する。これにより、解除位置Prにおける保持部品82は、ナット部材58が離間位置Psに位置することを許容する。離間位置Psにおけるナット部材58の第2の外面58cは、保持部品82の内面82aよりも、ロッド51から遠ざかっている。
【0101】
コイルバネ83は、二つの保持部品82の間に位置する。コイルバネ83の両端は、保持部品82の第1の端部82bに接触している。コイルバネ83は、二つの保持部品82を、互いに離間する方向に押す(付勢する)。別の表現によれば、コイルバネ83は、二つの保持部品82に、互いに離間する方向の力を作用させる。
【0102】
解除位置Prにおける二つの保持部品82の間の距離は、保持位置Phにおける二つの保持部品82の間の距離よりも短い。このため、コイルバネ83は、保持部品82を、解除位置Prから保持位置Phに向かう方向に付勢する。
【0103】
例えばコイルバネ83の復元力により、保持部品82が、解除位置Prから保持位置Phに移動する。当該移動中に、保持部品82がナット部材58の第3の外面58dに接触する。
【0104】
保持部品82が解除位置Prから保持位置Phに移動する間、保持部品82は、ナット部材58の第3の外面58dを、中心軸Ax1の径方向の内側に向かって押す。言い換えると、保持部品82が解除位置Prから保持位置Phに移動する間、保持部品82は、三つのナット部材58の第3の外面58dを離間位置Psから係合位置Pcに向かう方向に押す。保持部品82が保持位置Phに到達するとき、ナット部材58は係合位置Pcに位置している。
【0105】
コイルバネ83のバネ定数は、二つの板バネ81のバネ定数よりも大きい。このため、コイルバネ83に押される保持部品82は、板バネ81の復元力に抗して、ナット部材58を離間位置Psから係合位置Pcに移動させる。なお、コイルバネ83及び板バネ81のバネ定数は、この例に限られない。
【0106】
図9は、実施形態の切替機構55の一部及び筐体56の一部を示す斜視図である。図9に示すように、二つの移動部材84はそれぞれ、支持環84aと、ガイドフランジ84bと、操作柱84cと、二つのガイド突起84dとを有する。ガイドフランジ84b及びガイド突起84dはそれぞれ、第1のガイドとも称され得る。
【0107】
支持環84aは、中心軸Ax1の周方向に延びる略円環状に形成される。図4に示すように、二つの移動部材84の支持環84aの中心軸Ax1の径方向内側に、ガイド部材54が配置される。言い換えると、支持環84aは、ガイド部材54を囲む。二つの移動部材84の支持環84aは、Y方向に互いに離間して並べられる。
【0108】
支持環84aの内面84eは、Y方向と斜めに交差する方向に延びる略円錐状の曲面である。例えば、内面84eは、ナット部材58の第3の外面58d及び保持部品82の角部82dと略平行に設けられる。内面84eの最小の半径は、保持部品82の内面82aの半径と略等しい。例えば、内面84eの最小の半径は、保持部品82の内面82aの半径より僅かに長い。
【0109】
二つの移動部材84の支持環84aの間に、二つの保持部品82及びコイルバネ83が配置される。Y方向における支持環84aの一方の端部84fは、保持部品82の第2の端部82cに接触する。
【0110】
ガイドフランジ84bは、+Z方向における支持環84aの端に接続される。二つの移動部材84のガイドフランジ84bは、支持環84aから、互いに近付くようにY方向に延びる。ガイドフランジ84bは、+Z方向における支持環84aの端から、X方向に突出している。ガイドフランジ84bは、例えば、X-Y平面上に広がる略板状に形成される。
【0111】
操作柱84cは、ガイドフランジ84bから、+Z方向に突出している。操作柱84cは、例えば、円柱状に形成される。なお、操作柱84cは、他の形状に形成されても良い。Y方向において、操作柱84cは、支持環84aから離間している。
【0112】
図9に示すように、ガイド突起84dは、支持環84aから、中心軸Ax1の径方向の外側に突出している。二つのガイド突起84dは、中心軸Ax1の周方向に互いに離間している。二つのガイド突起84dはそれぞれ、略三角形状に形成される。なお、ガイド突起84dは、この例に限られない。
【0113】
二つの移動部材84は、ナット52に対して相対的に、図4及び図6に示す第1の位置P1と、図7及び図8に示す第2の位置P2との間で、Y方向に平行移動可能である。移動部材84は、保持部品82と略一体的に移動することができる。第1の位置P1及び第2の位置P2において、移動部材84の支持環84aの端部84fは、保持部品82の第2の端部82cに接触している。
【0114】
図4に示すように、第1の位置P1は、保持部品82が保持位置Phに位置する場合の、移動部材84の位置である。図7に示すように、第2の位置P2は、保持部品82が解除位置Prに位置する場合の、移動部材84の位置である。第1の位置P1における二つの移動部材84の間の距離は、第2の位置P2における二つの移動部材84の間の距離よりも長い。
【0115】
図10は、実施形態のスライドレール装置11の一部を図4のF10-F10線に沿って示す断面図である。図11は、実施形態のスライドレール装置11の一部を図7のF11-F11線に沿って示す断面図である。図10及び図11に示すように、レバー85は、取付部85aと、延出部85bとを有する。
【0116】
取付部85aは、Z方向と略直交する略円盤状に形成される。延出部85bは、取付部85aの外縁から突出する。延出部85bは、例えば、ハーネス又はリンクを介して、ハンドル又はストラップに接続される。ユーザが当該ハンドル又はストラップを操作することで、レバー85は、図10に示す第1の姿勢A1と、図11に示す第2の姿勢A2との間で、取付部85aの中心軸Ax4まわりに回転する。中心軸Ax4は、Z方向に延びている。
【0117】
レバー85の取付部85aに、操作孔86が設けられる。操作孔86は、取付部85aをZ方向に貫通する孔である。二つの移動部材84の操作柱84cが、操作孔86を通っている。
【0118】
レバー85は、操作孔86を形成(規定)する二つの第1の縁86a、二つの第2の縁86b、及び二つの第3の縁86cを有する。第1の縁86a、第2の縁86b、第3の縁86cはそれぞれ、操作孔86を形成(規定)するレバー85の縁(内縁)の一部である。
【0119】
図10に示すように、レバー85が第1の姿勢A1に位置する場合、操作孔86がY方向に延び、二つの第1の縁86aがY方向に間隔を介して並ぶ。図11に示すように、レバー85が第2の姿勢A2に位置する場合、操作孔86が略X方向に延び、二つの第2の縁86bがY方向に間隔を介して並ぶ。第3の縁86cは、第1の縁86aと第2の縁86bとの間で延びている。
【0120】
レバー85が第1の姿勢A1に位置する場合、移動部材84の操作柱84cが、第1の縁86aに接触する。レバー85が第2の姿勢A2に位置する場合、移動部材84の操作柱84cが、第2の縁86bに接触する。
【0121】
二つの第1の縁86aの間の距離は、二つの第2の縁86bの間の距離よりも長い。このため、レバー85が第1の姿勢A1に位置する場合における二つの移動部材84の間の距離は、レバー85が第2の姿勢A2に位置する場合における二つの移動部材84の間の距離よりも長い。
【0122】
図4に示すように、レバー85が第1の姿勢A1に位置するとき、移動部材84は第1の位置P1に位置し、保持部品82は保持位置Phに位置し、ナット部材58は係合位置Pcに位置する。図7に示すように、レバー85が第2の姿勢A2に位置するとき、移動部材84は第2の位置P2に位置し、保持部品82は解除位置Prに位置し、ナット部材58は離間位置Psに位置する。
【0123】
レバー85が第1の姿勢A1から第2の姿勢A2に移動する間、Y方向における操作孔86の長さが減少する。すなわち、レバー85が第1の姿勢A1から第2の姿勢A2に移動するほど、二つの移動部材84の間の距離が短くなる。なお、レバー85が第1の姿勢A1から第2の姿勢A2に移動する間に、二つの移動部材84の間の距離が一時的に長くなっても良い。
【0124】
レバー85が第1の姿勢A1から第2の姿勢A2に移動する間、第1の縁86a、第3の縁86c、及び第2の縁86bが順に、移動部材84の操作柱84cを押す。これにより、二つの移動部材84が互いに近づき、第1の位置P1から第2の位置P2へ移動する。二つの移動部材84は、コイルバネ83の復元力に抗して、二つの保持部品82を互いに近づくように押す。
【0125】
移動部材84に押されることで、保持部品82は、保持位置Phから解除位置Prに移動する。このように、移動部材84は、第1の位置P1から第2の位置P2に移動することで、保持部品82を保持位置Phから解除位置Prに移動させる。
【0126】
解除位置Prにおける保持部品82は、ナット部材58の第2の外面58cから離間し、第2の外面58cを保持しない。このため、板バネ81の復元力により、ナット部材58が係合位置Pcから離間位置Psへ移動する。
【0127】
レバー85が第2の姿勢A2から第1の姿勢A1に移動する間、Y方向における操作孔86の長さが増大する。すなわち、レバー85が第2の姿勢A2から第1の姿勢A1に移動するほど、二つの移動部材84は、互いにより離間することができる。
【0128】
レバー85が第2の姿勢A2から第1の姿勢A1に移動する間、コイルバネ83が保持部品82を介して移動部材84を押す(付勢する)。コイルバネ83は、二つの移動部材84を、互いに遠ざかるように付勢する。これにより、二つの移動部材84が互いに遠ざかり、移動部材84の操作柱84cが、第2の縁86b、第3の縁86c、及び第1の縁86aに、順に押し付けられる。
【0129】
二つの移動部材84が互いに遠ざかることで、コイルバネ83は、保持部品82を解除位置Prから保持位置Phに向かって押す(付勢する)。保持部品82は、解除位置Prから保持位置Phへ移動する間に、ナット部材58の第3の外面58dを、離間位置Psから係合位置Pcに向かう方向に押す。
【0130】
レバー85が第1の姿勢A1に到達すると、コイルバネ83の復元力により、移動部材84が第1の位置P1に移動するとともに、保持部品82が保持位置Phに移動することができる。さらに、保持部品82に押されたナット部材58が係合位置Pcに移動する。
【0131】
以上のように、切替機構55は、ナット部材58を、離間位置Psと係合位置Pcとの間で移動させる。別の表現によれば、切替機構55は、移動部材84が第1の位置P1に位置するときにナット部材58を係合位置Pcに配置し、移動部材が第2の位置P2に位置するときにナット部材58を離間位置Psに配置することができる。
【0132】
図11に示すように、レバー85が第2の姿勢A2に位置するとき、操作孔86の第2の縁86bが、移動部材84の操作柱84cに接触する。第2の縁86bは、第3の縁86cから窪む曲面状に形成される。
【0133】
レバー85が第1の姿勢A1から第2の姿勢A2へ回転するとき、操作柱84cは、第2の縁86bの端部を乗り越える。これにより、ユーザは、ナット部材58が離間位置Psへ移動したことを間接的に感知することができる。
【0134】
操作柱84cは、第2の縁86bに引っかかり、コイルバネ83の復元力によりレバー85が第2の姿勢A2から第1の姿勢A1に望まれぬ回転をすることを制限する。言い換えると、操作孔86の第2の縁86bは、レバー85を第2の姿勢A2に、移動部材84を第2の位置P2に、保持部品82を解除位置Prに、ナット部材58を離間位置Psに、それぞれ保持することができる。
【0135】
例えば、ユーザが、レバー85に第2の姿勢A2から第1の姿勢A1へ向かう方向の力を作用させると、操作柱84cが、第2の縁86bの端部を乗り越える。これにより、レバー85は、コイルバネ83の復元力により第2の姿勢A2から第1の姿勢A1へ回転をすることができる。
【0136】
図4に示すように、筐体56は、ナット52と、駆動機構53の伝達機構64と、ガイド部材54と、切替機構55とを収容する。筐体56の内部に、挿通孔90と、第1の部屋91と、第2の部屋92と、第3の部屋93と、第4の部屋94とが設けられる。
【0137】
挿通孔90は、Y方向に筐体56を貫通する孔である。挿通孔90に、ナット52、ガイド部材54、ウォームホイール67、板バネ81、保持部品82、コイルバネ83、及び移動部材84の支持環84aが収容される。さらに、ロッド51が挿通孔90を通る。言い換えると、ロッド51は、筐体56の内部を通される。
【0138】
筐体56は、挿通孔90を形成(規定)する内面90aを有する。内面90aと、ウォームホイール67との間に、第1の軸受95が設けられる。さらに、内面90aと、ガイド部材54との間に、第2の軸受96が設けられる。挿通孔90の内面90aは、第1の軸受95及び第2の軸受96を介して、ウォームホイール67及びガイド部材54を、筐体56に対して中心軸Ax1まわりに回転可能に支持する。第1の軸受95及び第2の軸受96は、例えば、ブッシュである。
【0139】
ロッド51は、ウォームホイール67及び第1の軸受95を介して、又はガイド部材54及び第2の軸受96を介して、筐体56に支持されることができる。ロッド51は、ウォームホイール67及びガイド部材54から離間しても良い。すなわち、筐体56は、当該筐体56に対して相対的に回転可能にロッド51を支持しても良いし、ロッド51から離間しても良い。
【0140】
挿通孔90の内面90aは、ナット52、ガイド部材54、ウォームホイール67、板バネ81、保持部品82、及びコイルバネ83から離間している。なお、内面90aが、ガイド部材54、ウォームホイール67、保持部品82、及びコイルバネ83を支持しても良い。
【0141】
第1の部屋91は、挿通孔90と+Z方向に連通する。第1の部屋91に、ウォーム65及び中間ギヤ66が収容される。中間ギヤ66は、挿通孔90と第1の部屋91との接続部分を通って、ウォームホイール67と噛み合う。
【0142】
第2の部屋92は、挿通孔90と+Z方向に連通する。第1の部屋91と第2の部屋92とは、Y方向に間隔を介して並んでいる。第2の部屋92に、移動部材84のガイドフランジ84bが収容される。
【0143】
第3の部屋93は、第2の部屋92と+Z方向に連通する。第3の部屋93に、移動部材84の操作柱84cの一部と、レバー85の取付部85aとが収容される。第3の部屋93は、X方向に筐体56の外部と連通している。レバー85の延出部85bは、第3の部屋93から筐体56の外部へ突出している。
【0144】
第4の部屋94は、第3の部屋93と+Z方向に連通する。第4の部屋94に、移動部材84の操作柱84cの一部が収容される。第4の部屋94は、Z方向に筐体56の外部と連通している。このため、移動部材84の操作柱84cは、第4の部屋94から筐体56の外部へ突出している。
【0145】
図3に示すように、アッパレール22は、ブラケット101をさらに有する。ブラケット101は、アッパレール22の上壁41に取り付けられる。ブラケット101に、孔101aが設けられる。孔101aは、ブラケット101をY方向に貫通する。ロッド51が、孔101aを通る。
【0146】
アッパレール22に、収容部103が設けられる。本実施形態における収容部103は、上壁41に開く有底の窪みである。挿通壁42及びブラケット101は、収容部103の内面を形成する。なお、収容部103は、この例に限られず、アッパレール22の内部に設けられた他の空間であっても良い。
【0147】
筐体56は、収容部103に少なくとも部分的に収容される。筐体56は、アッパレール22に、圧入又はネジ留めのような種々の方法により、取り外し可能に取り付けられる。筐体56とブラケット101との間に、例えば、緩衝材105が設けられる。緩衝材105は、例えば、合成ゴムのようなエラストマーにより作られる。緩衝材105は、筐体56と収容部103の内面との寸法公差を吸収するとともに、アッパレール22と筐体56との間における振動の伝達を低減する。
【0148】
スライドレール装置11は、姿勢保持機構110をさらに有する。姿勢保持機構110は、二つのブロック111と、二つのガイドバー112と、二つのコイルバネ113と、第1のガイド部115と、二つの第2のガイド部116とを有する。コイルバネ113は、第1の弾性部材とも称され得る。第1のガイド部115及び第2のガイド部116はそれぞれ、第2のガイドとも称され得る。
【0149】
図4に示すように、ブロック111、ガイドバー112、及びコイルバネ113は、筐体56の第4の部屋94に収容される。このため、ブロック111、ガイドバー112、及びコイルバネ113は、筐体56の挿通孔90に収容されたコイルバネ83から、+Z方向に離間している。
【0150】
二つのブロック111はそれぞれ、第1の取付部111aと、第2の取付部111bとを有する。第1の取付部111aは、対応する移動部材84の操作柱84cに取り付けられる。第2の取付部111bに、ガイドバー112が取り付けられる。
【0151】
図6に示すように、例えば、第2の取付部111bに、二つの孔111cが設けられる。孔111cは、第2の取付部111bを、Y方向に貫通する。二つの孔111cは、X方向に間隔を介して並べられる。X方向において、二つの孔111cの間に、第1の取付部111aが位置する。
【0152】
ガイドバー112は、孔111cに通される。ブロック111とガイドバー112とは、Y方向に相対的に移動可能である。このため、二つの移動部材84に取り付けられた二つのブロック111が、Y方向に互いに近付き又は遠ざかることができる。
【0153】
図4に示すように、ガイドバー112は、コイルバネ113の内側を通る。コイルバネ113は、二つのブロック111の間に位置する。ガイドバー112は、コイルバネ113が二つのブロック111の間の空間から移動することを制限する。
【0154】
コイルバネ113は、ブロック111を介して、二つの移動部材84を互いに遠ざかるように押す(付勢する)。別の表現によれば、コイルバネ113は、ブロック111を介して、第1の位置P1から第2の位置P2に向かう方向の反対方向に移動部材84を付勢する。
【0155】
上述のように、コイルバネ83は、二つの保持部品82を互いに遠ざかるように押す(付勢する)。さらに、コイルバネ83は、保持部品82を介して、二つの移動部材84を、互いに遠ざかるように押す(付勢する)。このため、コイルバネ83と、コイルバネ113とが、Z方向に互いに離間した位置で、略同一方向に移動部材84を付勢する。
【0156】
コイルバネ113は、レバー85から+Z方向に離間している。さらに、コイルバネ83は、レバー85から-Z方向に離間している。このため、Z方向において、レバー85は、コイルバネ113とコイルバネ83との間に位置する。なお、コイルバネ83,113は、レバー85に接触(隣接)していても良い。
【0157】
レバー85が回転する間、レバー85から移動部材84の操作柱84cに力が作用する。レバー85から操作柱84cに力が作用する位置は、Z方向において、移動部材84の重心から離間している。このため、レバー85から作用する力により、移動部材84が傾く可能性がある。しかし、コイルバネ83とコイルバネ113とが、Z方向に互いに離間した位置で移動部材84を付勢することで、移動部材84が傾くことが抑制される。言い換えると、コイルバネ83,113は、弾性力により移動部材84を支持する。
【0158】
以上のように、コイルバネ113は、移動部材84が第1の位置P1から第2の位置P2に移動する間に、移動部材84の姿勢が、当該移動部材84が第1の位置P1に位置するときの姿勢に近づくように、移動部材84を押す(支持する)。本実施形態では、コイルバネ113は、移動部材84が第1の位置P1から第2の位置P2に平行移動するように、移動部材84を支持する。
【0159】
図9に示すように、第1のガイド部115及び第2のガイド部116は、筐体56に設けられる。第1のガイド部115は、第2の部屋92を形成(規定)する筐体56の内面92aに、凹部を形成する。第2のガイド部116は、挿通孔90を形成(規定)する筐体56の内面90aに、凹部を形成する。
【0160】
第1のガイド部115は、移動部材84のガイドフランジ84bと係合する。第1のガイド部115は、移動部材84が第1の位置P1から第2の位置P2に移動する間に、移動部材84の姿勢が、当該移動部材84が第1の位置P1に位置するときの姿勢に近づくように、移動部材84を支持する。
【0161】
第2のガイド部116は、移動部材84のガイド突起84dと係合する。第2のガイド部116は、移動部材84が第1の位置P1から第2の位置P2に移動する間に、移動部材84の姿勢が、当該移動部材84が第1の位置P1に位置するときの姿勢に近づくように、移動部材84を支持する。さらに、第2のガイド部116は、移動部材84が中心軸Ax1まわりに回転することを制限する。
【0162】
以上説明したように、切替機構55は、ナット部材58を係合位置Pcと離間位置Psとの間で移動させる。例えば、ユーザは、ナット部材58を係合位置Pcに配置することで、アッパレール22をロアレール21に対して、モータ61により自動的に移動させることができる。これにより、シート装置10は、パワーシートとして利用され得る。さらに、ユーザは、ナット部材58を離間位置Psに配置することで、アッパレール22をロアレール21に対して、手動で移動させることができる。これにより、シート装置10は、マニュアルシートとして利用され得る。
【0163】
ナット部材58が係合位置Pcに位置する場合、モータ61から、伝達機構64及びガイド部材54を介して、ナット52に回転が伝達する。ナット52は、雌ネジ58fと雄ネジ51aとが噛み合った状態で、ロアレール21に対して回転不能に取り付けられたロッド51に対して相対的に中心軸Ax1まわりに回転する。
【0164】
アッパレール22に取り付けられたナット52が回転することにより、アッパレール22は、ナット52の回転方向に応じて、ロアレール21に対してY方向に移動する。言い換えると、ナット52の回転が、アッパレール22のY方向における直動に変換される。これにより、アッパレール22がロアレール21に対して自動的に移動する。
【0165】
保持部品82は、ナット部材58と一体に回転可能である。保持部品82は、移動部材84とは異なる部材である。このため、保持部品82が中心軸Ax1まわりに回転する間、移動部材84は中心軸Ax1の周方向において略静止することができる。
【0166】
ナット部材58が離間位置Psに位置する場合、ナット52がロッド51から離間する。このため、ロッド51とナット52とは、Y方向に相対的に自由に移動することができる。このため、アッパレール22がロアレール21に対して手動で移動することができる。
【0167】
本実施形態のスライドレール装置11において、切替機構55を収容する筐体56が、アッパレール22の収容部103に収容され、アッパレール22に取り外し可能に取り付けられる。当該筐体56の代わりに、切替機構55を収容しない筐体が収容部103に収容され、アッパレール22に取り付けられても良い。すなわち、自動又は手動でアッパレール22を移動可能な本実施形態のスライドレール装置11と、自動でアッパレール22を移動可能なスライドレール装置との間で、ロアレール21、アッパレール22、ロッド51、及び駆動機構53が共通化され得る。
【0168】
以上説明された実施形態に係るスライドレール装置11において、ロッド51は、雄ネジ51aを有する。ナット52は、雄ネジ51aと噛み合う雌ネジ58fを有し、ロッド51から離間した離間位置Psと、雌ネジ58fと雄ネジ51aとが噛み合う係合位置Pcと、の間で移動可能である。板バネ81は、ナット52を係合位置Pcから離間位置Psに向かう方向に付勢する。これにより、板バネ81の弾性力によりナット52が係合位置Pcから離間位置Psに移動することができる。従って、ナット52を係合位置Pcから離間位置Psに移動させるためにネジによる進退機構やリンク機構のような複雑な機構を有する場合に比べ、スライドレール装置11の構造が簡素化されるとともに、ナット52が短時間で移動し得る。
【0169】
離間位置Psは、ロッド51から、当該ロッド51の径方向に離間している。これにより、係合位置Pcから離間位置Psへのナット52の移動距離が短くなる。従って、板バネ81を小型化することが可能となるとともに、ナット52を係合位置Pcから離間位置Psへ短時間で移動させることが可能となる。
【0170】
保持部品82は、ナット52を係合位置Pcに保持する保持位置Phと、ナット52が離間位置Psに位置することを許容する解除位置Prと、の間で移動可能である。保持部品82は、解除位置Prから保持位置Phへ移動する間にナット52を離間位置Psから係合位置Pcに向かう方向に押す。コイルバネ83が、保持部品82を解除位置Prから保持位置Phに向かう方向に付勢する。すなわち、コイルバネ83の弾性力により、保持部品82は、ナット52を離間位置Psから係合位置Pcへ向かう方向に押す。これにより、ナット52を離間位置Psから係合位置Pcに移動させるために複雑な機構を有する場合に比べ、スライドレール装置11の構造が簡素化され得る。また、コイルバネ83の弾性力がナット52を離間位置Psから係合位置Pcへ移動させるため、ナット52が簡単に且つ短時間で係合位置Pcへ移動することができる。従って、ユーザが、雄ネジ51aと雌ネジ58fとが噛み合った状態と、雄ネジ51aと雌ネジ58fとが離間した状態と、を簡単に切り替えることができる。
【0171】
コイルバネ83のバネ定数は、板バネ81のバネ定数よりも大きい。これにより、保持部品82の解除位置Prから保持位置Phへの移動が、板バネ81により妨げられることが抑制される。
【0172】
板バネ81は、内側をロッド51が通る環部81aと、環部81aから突出してナット52を支持する突出部81bと、を有する。ナット52と環部81aとは、ロッド51の軸方向に並ぶ。突出部81bは、ナット52を係合位置Pcから離間位置Psに向かう方向に付勢するように弾性変形可能である。これにより、ロッド51の径方向において、ナット52及び板バネ81を含む機構が大型化することが抑制される。
【0173】
ロッド51は、ロアレール21に取り付けられる。切替機構55は、ナット52を、離間位置Psと係合位置Pcとの間で移動させる。筐体56は、アッパレール22の収容部103に少なくとも部分的に収容され、ナット52と、切替機構55の少なくとも一部と、を収容する。これにより、ロアレール21及びアッパレール22の内部に切替機構55の少なくとも一部が収まるため、スライドレール装置11が大型化することが抑制される。
【0174】
駆動機構53は、モータ61と、モータ61から伝達された中心軸Ax2まわりの回転を当該中心軸Ax2に対して捩れの位置にある中心軸Ax1まわりの回転に変換してナット52に伝達する伝達機構64と、を有する。筐体56は、伝達機構64の少なくとも一部を収容する。これにより、ロアレール21及びアッパレール22の内部に切替機構55の少なくとも一部及び伝達機構64の少なくとも一部が収まるため、スライドレール装置11が大型化することが抑制される。さらに、切替機構55及び伝達機構64は、共に筐体56に収容され、アッパレール22の移動に伴ってロアレール21に対して相対的に移動する。このため、アッパレール22がロアレール21に対していかなる位置にあっても、切替機構55によるナット52の移動、すなわち、パワーシートとしての利用とマニュアルシートとしての利用の切替が可能となる。従って、ナット52が簡単に且つ短時間で係合位置Pc又は離間位置Psへ移動することができる。
【0175】
筐体56は、アッパレール22に取り外し可能に取り付けられる。これにより、本実施形態のナット52及び切替機構55を収容する筐体56の代わりに、移動しないナットを収容した筐体がアッパレール22に取り付けられることができる。従って、本実施形態のナット52及び切替機構55を備えるスライドレール装置11と、ナットの移動が行われない他のスライドレール装置と、の間で、ロアレール21、アッパレール22、及びロッド51を共通化することができ、スライドレール装置11のコストを低減することが可能となる。
【0176】
ロッド51は、筐体56の内部を通される。筐体56は、当該筐体56に対して相対的に回転可能にロッド51を支持し、又はロッド51から離間する。例えば、スライドレール装置11の組立時に、レバー85の操作孔86の第2の縁86bがナット52を離間位置Psに保持する。これにより、組立のためにロッド51が筐体56の内部に通される際に、筐体56及びナット52がロッド51に干渉することが抑制される。従って、スライドレール装置11の組立が容易となる。
【0177】
ロッド51は、ロアレール21とアッパレール22とのうち一方に回転を制限されて固定される。ナット52及び切替機構55は、ロアレール21とアッパレール22とのうち他方に取り付けられる。ナット52が、駆動機構53により回転させられ、且つ切替機構55により離間位置Psと係合位置Pcとに移動させられる。これにより、ナット52の雌ネジ58fとロッド51の雄ネジ51aとの位置の調整を、ロッドの操作を伴わず、ナット52の操作(移動又は回転)によって行うことが可能となる。従って、ロッド51が回転する場合に比べ、ナット52の雌ネジ58fとロッド51の雄ネジ51aとの位置の調整が容易となる。例えば、ナット52が離間位置Psから係合位置Pcへ移動する間に、雌ネジ58fの先端部と雄ネジ51aの先端部とが接触することがある。この場合、ナット52を僅かに回転させることで、又はアッパレール22をロアレール21に対してY方向に僅かに移動させることで、雌ネジ58fと雄ネジ51aとが噛み合うことができる。
【0178】
切替機構55は、保持部品82と、コイルバネ83と、を有する。保持部品82は、コイルバネ83の弾性力により、ナット52を離間位置Psから係合位置Pcに向かう方向に押す。例えば、保持部品82がナット52を離間位置Psから係合位置Pcに向かって押す間に、雄ネジ51aの先端部と雌ネジ58fの先端部とが当接することがある。この場合、コイルバネ83が弾性変形したままでいることにより、ユーザがハンドル等を介して雄ネジ51aと雌ネジ58fとが噛み合っている状態に戻そうとする場合に比べて、雄ネジ51aと雌ネジ58fとが互いに作用させる荷重が低減される。従って、雄ネジ51aと雌ネジ58fとが損傷することが抑制される。
【0179】
ロッド51は、ロアレール21に回転を制限されて固定される。ナット52、駆動機構53、及び切替機構55は、アッパレール22に取り付けられる。これにより、ロアレール21に対してアッパレール22が相対的に移動可能な距離を長く設定することが可能となる。また、ロッド51を回転させるためには、ロッド51を駆動する機構をフロア1a側に設置する必要がある。しかし、フロア1a側には他の機構が配置されるため、設置スペースが制限される。これに対し、本実施形態では、ロッド51が回転せず、ナット52を回転させる駆動機構53がアッパレール22(シート12)側に設置される。このため、設置の自由度が向上する。
【0180】
ロッド51は、ロアレール21とアッパレール22とのうち一方に取り付けられる。ガイド部材54は、ロアレール21とアッパレール22とのうち他方に取り付けられる。ナット52は、ガイド部材54に支持される。ガイド部材54に、ロッド51が挿通する。ガイド部材54は、ナット52がガイド部材54に対して相対的に離間位置Psと係合位置Pcとの間で移動可能なように、ナット52を支持する。すなわち、ナット52とガイド部材54との二つの部材に着目した場合、ガイド部材54は、離間位置Psと係合位置Pcとの間での、ガイド部材54の動きを伴わないナット52の移動をガイドする。このようなガイド部材54をロッド51の周りに配置することができるため、スライドレール装置11の大型化が抑制可能となる。
【0181】
ガイド部材54は、ナット52がガイド部材54に対して相対的にロッド51の軸方向及び周方向に移動することを制限し、ナット52が離間位置Psと係合位置Pcとの間でロッド51の径方向に移動可能なようにナット52を支持する。これにより、ナット52を支持するとともにナット52と共に移動するような部材と、当該部材が径方向に移動するための空間と、が不要となる。従って、スライドレール装置11の大型化が抑制可能となる。
【0182】
ガイド部材54は、ナット52がガイド部材54に対して相対的にロッド51の径方向に直線的に移動可能なように、ナット52を支持する。例えば、第1のフレーム71及び第2のフレーム72の端面71c,72cと、柱73の側面73aとが、ロッド51の径方向に直線的に延び、ナット52を支持する。これにより、ナット52が離間位置Psから係合位置Pcに移動する際に、雌ネジ58fと雄ネジ51aとをより確実に噛み合わせることが可能となる。
【0183】
駆動機構53は、ガイド部材54を介して、ナット52を回転させる。これにより、ガイド部材54の他にナット52に回転を伝達するための部品が不要となり、スライドレール装置11の構造が簡素化され得る。
【0184】
板バネ81は、ロッド51に対して相対的にロッド51の径方向に移動することを制限された環部81aと、環部81aに接続されるとともに変形可能な突出部81bと、を有する。突出部81bは、ナット52を、ロッド51の径方向に支持する。すなわち、本実施形態では、全体的に移動する部材ではなく、突出部81bが変形し且つ環部81aが静止可能な板バネ81が、ナット52を径方向に支持する。これにより、ナット52を支持し且つ全体的に移動する部材と、当該部材が径方向に移動するための空間と、が不要となる。従って、スライドレール装置11を小型化することが可能となる。
【0185】
アッパレール22は、ロアレール21に対してY方向に移動可能である。ロッド51は、Y方向に延びる。保持部品82は、保持位置Phと解除位置Prとの間でY方向に移動可能である。すなわち、ナット52を離間位置Psと係合位置Pcとの間で移動させるための保持部品82の移動方向が、アッパレール22の移動方向、及びロッド51の長手方向と同一である。一般的に、スライドレール装置11では、ロッド51の長手方向(Y方向)において利用可能なスペースは、ロッド51の短手方向(X方向又はZ方向)において利用可能なスペースよりも大きい。従って、保持部品82が移動するスペースを設けることが容易となり、スライドレール装置11が大型化することを抑制可能となる。
【0186】
保持部品82は、ナット52に直接当接する。これにより、保持部品82とナット52との間に介在する部品が不要となり、スライドレール装置11の部品点数が増加することを抑制することができる。
【0187】
離間位置Psは、ロッド51から、Y方向と直交する方向に離間している。ナット52は、Y方向に延びる第2の外面58cと、Y方向と斜めに交差する方向に延びる第3の外面58dと、を有する。保持部品82は、保持位置Phにおいて第2の外面58cに接触し、解除位置Prから保持位置Phに移動する間に第3の外面58dを係合位置Pcに向かって押す。これにより、Y方向に移動する保持部品82が、他の部品を介することなく、ナット52を係合位置Pcに向かって押すことができる。従って、スライドレール装置11の構造が簡素化され得る。さらに、保持部品82に押される第2の外面58cが設けられることで、解除位置Prと保持位置Phとの間でナット52の位置を滑らかに切り替えることができる。
【0188】
ナット52は、ロッド51の周方向に並べられた複数のナット部材58を有する。複数のナット部材58はそれぞれ、雌ネジ58fを有し、離間位置Psと係合位置Pcとの間で移動可能である。保持部品82は、ロッド51の周方向に延びる環状に形成され、解除位置Prから保持位置Phへ移動する間に複数のナット部材58を離間位置Psから係合位置Pcに向かう方向に押す。これにより、一つの保持部品82が複数のナット部材58を一括して係合位置Pcに移動させることができる。
【0189】
切替機構55は、第1の位置P1と第2の位置P2との間で移動可能な移動部材84を有する。切替機構55は、移動部材84が第1の位置P1に位置するときにナット52を係合位置Pcに配置し、移動部材84が第2の位置P2に位置するときにナット52を離間位置Psに配置する。姿勢保持機構110は、移動部材84が第1の位置P1から第2の位置P2に移動する間に、移動部材84の姿勢が、当該移動部材84が第1の位置P1に位置するときの姿勢に近づくように、移動部材84を支持する。これにより、移動部材84が傾くことが抑制され、ナット52が係合位置Pcから離間位置Psへ滑らかに移動することができる。
【0190】
姿勢保持機構110は、第1の位置P1から第2の位置P2に向かう方向の反対方向に移動部材84を付勢するコイルバネ113を有する。これにより、姿勢保持機構110の構造が簡素化され得る。
【0191】
切替機構55は、保持部品82とコイルバネ83とを有する。移動部材84は、第1の位置P1から第2の位置P2に移動することで、保持部品82を保持位置Phから解除位置Prに移動させる。コイルバネ83は、保持部品82を介して、移動部材84を付勢する。すなわち、移動部材84には、コイルバネ113の弾性力(付勢力)と、コイルバネ83の弾性力(付勢力)とが作用する。例えば、コイルバネ113のバネ定数とコイルバネ83のバネ定数とを調整することで、移動部材84が傾くことが抑制され、ナット52が係合位置Pcから離間位置Psへ滑らかに移動することができる。
【0192】
筐体56が、ナット52と切替機構55とを収容する。コイルバネ83,113は、筐体56の中に収容される。これにより、コイルバネ83,113から、移動部材84及び保持部品82に、ロス無く付勢力を作用させることができる。
【0193】
移動部材84は、ガイドフランジ84bを有する。姿勢保持機構110は、筐体56に設けられた第1のガイド部115を有する。第1のガイド部115は、ガイドフランジ84bと係合することで、移動部材84が第1の位置P1から第2の位置P2に移動する間に、移動部材84の姿勢が、当該移動部材84が第1の位置P1に位置するときの姿勢に近づくように、移動部材84を支持する。これにより、移動部材84が傾くことが抑制され、ナット52が係合位置Pcから離間位置Psへ滑らかに移動することができる。
【0194】
以上説明した本実施形態では、ロッド51がロアレール21に取り付けられ、ナット52、駆動機構53、ガイド部材54、及び切替機構55がアッパレール22に取り付けられる。また、ナット52が回転する。しかし、ロッド51がアッパレール22に取り付けられ、ナット52、駆動機構53、ガイド部材54、及び切替機構55がロアレール21に取り付けられても良い。さらに、ロッド51が回転し、ナット52が固定されても良い。
【0195】
以上の実施形態において、複数の突出部81bを有する板バネ81の代わりに、複数のナット部材58に対応する複数の板バネ又はコイルバネ、合成ゴムのようなエラストマー、又は磁石が、ナット部材58を移動させても良い。また、コイルバネ83,113の代わりに、板バネ又はエラストマーが設けられても良い。
【0196】
以上、本発明の実施形態を例示したが、上記実施形態及び変形例はあくまで一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態や変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各実施形態や各変形例の構成や形状は、部分的に入れ替えて実施することも可能である。
【符号の説明】
【0197】
11…スライドレール装置、21…ロアレール、22…アッパレール、51…ロッド、51a…雄ネジ、52…ナット、53…駆動機構、54…ガイド部材、55…切替機構、56…筐体、58…ナット部材、58c…第2の外面、58d…第3の外面、58f…雌ネジ、61…モータ、64…伝達機構、81…板バネ、81a…環部、81b…突出部、82…保持部品、83…コイルバネ、84…移動部材、84b…ガイドフランジ、84d…ガイド突起、103…収容部、110…姿勢保持機構、113…コイルバネ、115…第1のガイド部、116…第2のガイド部、Ax1,Ax2…中心軸、Pc…係合位置、Ps…離間位置、Ph…保持位置、Pr…解除位置、P1…第1の位置、P2…第2の位置。
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