IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士通株式会社の特許一覧

特許7456133通信監視装置、通信監視方法及び通信監視プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】通信監視装置、通信監視方法及び通信監視プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04L 43/00 20220101AFI20240319BHJP
   H04L 47/00 20220101ALI20240319BHJP
【FI】
H04L43/00
H04L47/00
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019218101
(22)【出願日】2019-12-02
(65)【公開番号】P2021090101
(43)【公開日】2021-06-10
【審査請求日】2022-08-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】笠 幸一郎
(72)【発明者】
【氏名】長井 秀紀
(72)【発明者】
【氏名】宮本 美子
(72)【発明者】
【氏名】鑛山 英彦
(72)【発明者】
【氏名】内山 佳憲
(72)【発明者】
【氏名】畠山 邦之
(72)【発明者】
【氏名】矢口 健一
(72)【発明者】
【氏名】長澤 真由美
(72)【発明者】
【氏名】桑原 孝輔
(72)【発明者】
【氏名】嶽 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】藤本 要
【審査官】中川 幸洋
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/068879(WO,A1)
【文献】特開2012-248927(JP,A)
【文献】特開2003-188905(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 43/00
H04L 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のシステム毎に通信で接続する複数のコネクションのうち、複数の予備コネクションを確立した状況において、インターバルを挟んだ複数の時間帯のそれぞれで各システムの無通信状態の予備コネクションに分散して無通信監視パケットを送信する送信部と、
前記無通信監視パケットに対する応答の有無に基づき、当該無通信監視パケットが送信された予備コネクション毎の通信状態を監視する監視部と、を有し、
前記送信部は、
前記無通信監視パケットが同時に送信可能な数の範囲内で、前記無通信監視パケットを各システムの予備コネクションに分散して送信した後、全てのシステム内の全ての予備コネクションに対する前記無通信監視パケットの送信が完了したか否かを判定し、全てのシステム内の全ての予備コネクションに対する前記無通信監視パケットの送信が完了するまで、各システムの残り予備コネクションに対して同時に送信可能な数の範囲内で前記無通信監視パケットを分散して前記時間帯毎に順次送信すると共に、
前記監視部が前記予備コネクションの通信状態の異常を検出した場合に、当該通信状態が異常の予備コネクションを確立している前記システムを異常と判断し、異常と判断された前記システム内の無通信状態の予備コネクションに対して同時に送信可能な数の範囲内で優先的に前記無通信監視パケットを送信する、
ことを特徴とする通信監視装置。
【請求項2】
情報処理装置が、
複数のシステム毎に通信で接続する複数のコネクションのうち、複数の予備コネクションを確立した状況において、インターバルを挟んだ複数の時間帯のそれぞれで各システムの無通信状態の予備コネクションに分散して無通信監視パケットを送信し、
前記無通信監視パケットに対する応答の有無に基づき、当該無通信監視パケットが送信された予備コネクション毎の通信状態を監視し、
前記送信する処理として、
前記無通信監視パケットが同時に送信可能な数の範囲内で、前記無通信監視パケットを各システムの予備コネクションに分散して送信した後、全てのシステム内の全ての予備コネクションに対する前記無通信監視パケットの送信が完了したか否かを判定し、全てのシステム内の全ての予備コネクションに対する前記無通信監視パケットの送信が完了するまで、各システムの残り予備コネクションに対して同時に送信可能な数の範囲内で前記無通信監視パケットを分散して前記時間帯毎に順次送信すると共に、
前記予備コネクションの通信状態の異常を検出した場合に、当該通信状態が異常の予備コネクションを確立している前記システムを異常と判断し、異常と判断された前記システム内の無通信状態の予備コネクションに対して同時に送信可能な数の範囲内で優先的に前記無通信監視パケットを送信する、
処理を実行することを特徴とする通信監視方法。
【請求項3】
複数のシステム毎に通信で接続する複数のコネクションのうち、複数の予備コネクションを確立した状況において、インターバルを挟んだ複数の時間帯のそれぞれで各システムの無通信状態の予備コネクションに分散して無通信監視パケットを送信し、
前記無通信監視パケットに対する応答の有無に基づき、当該無通信監視パケットが送信された予備コネクション毎の通信状態を監視し、
前記送信する処理として、
前記無通信監視パケットが同時に送信可能な数の範囲内で、前記無通信監視パケットを各システムの予備コネクションに分散して送信した後、全てのシステム内の全ての予備コネクションに対する前記無通信監視パケットの送信が完了したか否かを判定し、全てのシステム内の全ての予備コネクションに対する前記無通信監視パケットの送信が完了するまで、各システムの残り予備コネクションに対して同時に送信可能な数の範囲内で前記無通信監視パケットを分散して前記時間帯毎に順次送信すると共に、
前記予備コネクションの通信状態の異常を検出した場合に、当該通信状態が異常の予備コネクションを確立している前記システムを異常と判断し、異常と判断された前記システム内の無通信状態の予備コネクションに対して同時に送信可能な数の範囲内で優先的に前記無通信監視パケットを送信する、
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする通信監視プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信監視装置、通信監視方法及び通信監視プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、TCP(Transmission Control Protocol)/IP(Internet Protocol)の通信プロトコルを用いて、相手先システムとの間でコネクションを確立して通信する通信システムが広く普及している。TCPプロトコルでは、相手先システムとの間のコネクションを確立した後、パケットの送受信を行い続ける必要はなく、必要な場合だけパケットを送信し、パケットの送受信を行っていない無通信状態のままコネクションを維持し続けることができる。従って、通信装置は、無通信状態に相手先システムがダウンしていたとしても気付くことはなく、その後のパケット送信が失敗した場合に初めて相手先システムの異常を検知することになる。
【0003】
そこで、TCPプロトコルでは、確立されたコネクションが無通信状態の場合に、コネクションの生存を監視する無通信監視機能がある。無通信監視機能では、コネクションから一定時間以上継続してパケットを受信しなかった場合に、当該コネクションに対して無通信監視パケットを送信し、無通信監視パケットに対する応答が検出されなかった場合に、当該コネクションの異常を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-4487号公報
【文献】国際公開第2017/010079号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通信装置は、相手先システム毎に大量の予備コネクションを事前に確立しておき、通信中の運用コネクションに異常が発生した場合に異常発生の運用コネクションを予備コネクションに切替えることで通信断を抑制する通信システムが知られている。
【0006】
しかしながら、通信装置では、大量の予備コネクションの確立後、大量の予備コネクションに対して一斉に無通信監視パケットを送信することになるため、無通信監視パケットの大量同時発生によってネットワーク負荷が瞬間的に集中する。その結果、例えば、無通信監視パケットの送信側の通信装置や受信側の通信装置のバッファ不足や、無通信監視パケットが通過する通信経路上のルータ内のバッファ不足によってパケットロスト事象が発生し、コネクション断や通信遅延が生じる。
【0007】
1つの側面では、無通信監視パケット送信で生じる集中負荷を軽減できる通信監視装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
1つの側面の通信監視装置では、送信部と、監視部とを有する。送信部は、複数のシステムとの間を通信で接続する複数のコネクションを確立した状況において、インターバルを挟んだ複数の時間帯のそれぞれで各システムの無通信状態のコネクションに分散して無通信監視パケットを送信する。監視部は、無通信監視パケットに対する応答の有無に基づき、当該無通信監視パケットが送信されたコネクション毎の通信状態を監視する。
【発明の効果】
【0009】
1つの側面によれば、無通信監視パケット送信で生じる集中負荷を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本実施例の通信システムの一例を示す説明図である。
図2図2は、通信監視装置の一例を示す説明図である。
図3図3は、順序テーブル内の送信順序の一例を示す説明図である。
図4A図4Aは、1回目の同時送信時(正常時)の送信順序の一例を示す説明図である。
図4B図4Bは、2回目の同時送信時(正常時)の送信順序の一例を示す説明図である。
図4C図4Cは、3回目の同時送信時(正常時)の送信順序の一例を示す説明図である。
図5図5は、通信状況が正常時の無通信監視パケット送信動作の一例を示す説明図である。
図6A図6Aは、1回目の同時送信時(異常時)の送信順序の一例を示す説明図である。
図6B図6Bは、2回目の同時送信時(異常時)の送信順序の一例を示す説明図である。
図6C図6Cは、3回目の同時送信時(異常時)の送信順序の一例を示す説明図である。
図7図7は、通信状況が異常時の無通信監視パケット送信動作の一例を示す説明図である。
図8図8は、送信順序登録処理に関わる通信監視装置の処理動作の一例を示すフローチャートである。
図9A図9Aは、監視パケット送信処理に関わる通信監視装置の処理動作の一例を示すフローチャートである。
図9B図9Bは、監視パケット送信処理に関わる通信監視装置の処理動作の一例を示すフローチャートである。
図10図10は、送信順序更新処理に関わる通信監視装置の処理動作の一例を示すフローチャートである。
図11図11は、応答監視処理に関わる通信監視装置の処理動作の一例を示すフローチャートである。
図12図12は、通信監視プログラムを実行するコンピュータの一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面に基づいて、本願の開示する通信監視装置等の実施例を詳細に説明する。尚、各実施例により、開示技術が限定されるものではない。また、以下に示す各実施例は、矛盾を起こさない範囲で適宜組み合わせても良い。
【実施例
【0012】
図1は、本実施例の通信システム1の一例を示す説明図である。図1に示す通信システム1は、自システム2と、複数の相手先システム3と、ネットワーク4とを有する。自システム2は、複数の通信監視装置5を有する。尚、通信監視装置5は、例えば、自システム2内の通信装置が有するものである。相手先システム3も、複数の通信監視装置5A(5)を有する。また、通信監視装置5Aも、例えば、相手先システム3内の通信装置が有するものである。自システム2内の各通信監視装置5は、相手先システム3との通信運用を開始する際に複数の相手先システム3との間に複数のコネクションを一斉に確立する。通信監視装置5は、TCPプロトコルを用いて相手先システム3毎に複数のコネクションを確立し、複数のコネクションの内、例えば、一のコネクションを運用コネクションに使用する。更に、通信監視装置5は、複数のコネクションの内、運用コネクション以外の残りのコネクションを予備コネクションに使用する。そして、通信監視装置5は、運用コネクションの異常を検出した場合、運用コネクションを予備コネクションに切替えて異常検出の運用コネクションの通信を予備コネクションに引き継ぐ。
【0013】
相手先システム3は、例えば、3台の相手先システム3A、3B及び3Cを有する。自システム2と相手先システム3Aとの間の4本の予備コネクションを1-1~1-4、自システム2と相手先システム3Bとの間の4本の予備コネクションを2-1~2-4とする。更に、自システム2と相手先システム3Cとの間の4本の予備コネクションを3-1~3-4とする。
【0014】
また、通信監視装置5は、相手先システム3毎の複数の予備コネクションが一定時間以上継続して無通信状態の場合、無通信監視パケットを無通信状態の予備コネクションに順次送信する。通信監視装置5は、無通信監視パケットに対する応答有無に基づき、各予備コネクションの通信状態を監視する。
【0015】
図2は、通信監視装置5の一例を示す説明図である。図2に示す通信監視装置5は、TCPプロトコル処理部11と、記憶部12とを有する。TCPプロトコル処理部11は、送信部11Aと、監視部11Bとを有する。送信部11Aは、複数の相手先システム3との間を通信で接続する複数のコネクションを確立した状況において、インターバルを挟んだ複数の時間帯のそれぞれで各相手先システム3の無通信状態の予備コネクションに分散して無通信監視パケットを送信する。監視部11Bは、無通信監視パケットに対する応答の有無に基づき、当該無通信監視パケットが送信された予備コネクション毎の通信状態を監視する。
【0016】
送信部11Aは、監視タイマ21と、保留タイマ22と、制御部23と、送信制御部24とを有する。記憶部12は、TCPテーブル31と、順序テーブル32とを有する。
【0017】
TCPテーブル31は、TCPプロトコル処理部11の起動時に1つ生成され、TCPプロトコル共通のパラメータ等を管理するテーブルである。TCPテーブル31は、後述する同時送信可能数や保留インターバル時間等を管理する。相手先テーブル33は、TCPテーブル31内にキューされ、例えば、相手先システム3固有のパラメータ等を管理するテーブルである。相手先テーブル33は、相手先システム3の異常有無を識別する異常フラグを管理している。コネクション管理テーブル34は、相手先テーブル33内にキューされ、相手先システム3のコネクションの状態、例えば、無通信監視パケットの応答有無を監視する所定時間やコネクションの通信状況等を管理するテーブルである。コネクション管理テーブル34は、無通信監視パケットに対する応答待ちの状態であるか否かを識別する応答待ちフラグを管理している。順序テーブル32は、予備コネクションに対する無通信監視パケットの後述する送信順序を記憶するテーブルである。
【0018】
監視タイマ21は、無通信状態の予備コネクションに対して無通信監視パケットを定期的に送信する監視周期を検出するためのタイマである。監視周期のタイマ時間は、例えば、30秒間隔である。保留タイマ22は、監視周期の検出に応じて無通信監視パケットを予備コネクションに対して送信する際の監視周期期間中の無通信監視パケットの保留インターバルを検出するためのタイマである。保留インターバルのタイマ時間は、例えば、監視周期の検出から次の監視周期を検出するまでの50m秒間隔である。
【0019】
通信監視装置5は、監視周期を検出した場合、同時送信可能数の範囲内の無通信監視パケットを保留インターバル毎に順次送信する。同時送信可能数は、通信監視装置5が同時に送信可能な無通信監視パケットの数であって、バッファ不足やパケットロスト事象が発生しない範囲のパケット数に相当し、例えば、4個とする。通信監視装置5は、監視周期を検出した場合、後述する送信順序に基づき、例えば、4個の無通信監視パケットを保留インターバル(50m秒)毎に順次送信する。通信監視装置5は、送信順序に基づき、各相手先システム3内の予備コネクション、すなわち4本までの予備コネクションに対して無通信監視パケットを保留インターバル毎に順次同時送信する。
【0020】
つまり、通信監視装置5は、監視周期の検出から1回目の保留インターバル経過後に、送信順序に基づき、先頭の4本の予備コネクションに対する無通信監視パケットの同時送信(1回目の同時送信)を実行する。更に、通信監視装置5は、監視周期の検出から2回目の保留インターバル経過後、1回目の同時送信で全ての予備コネクションに対して無通信監視パケットを送信できなかった場合、2回目の同時送信を実行する。つまり、通信監視装置5は、送信順序に基づき、続きの4本の予備コネクションに対する無通信監視パケットの同時送信を実行する。更に、通信監視装置5は、監視周期の検出から3回目の保留インターバル経過後、2回目の同時送信で全ての予備コネクションに対して無通信監視パケットを送信できなかった場合、3回目の同時送信を実行する。つまり、通信監視装置5は、送信順序に基づき、続きの4本の予備コネクションに対する無通信監視パケットの同時送信を実行する。そして、通信監視装置5は、送信順序に基づき、全ての予備コネクションに対する無通信監視パケットの同時送信が完了するまで、保留インターバル毎の同時送信を繰り返し実行する。
【0021】
制御部23は、監視タイマ21のタイムアウトによって監視周期を検出した場合、TCPテーブル31を制御する。制御部23は、TCPテーブル31を参照しながら、無通信監視パケットの送信順に相手先テーブル33及びコネクション管理テーブル34を順序テーブル32内に順次キューすることで、順序テーブル32内に無通信監視パケットの送信順序を登録する。送信制御部24は、順序テーブル32内の送信順序に基づき、各相手先システム3内の各予備コネクションに対する無通信監視パケットの送信を制御する。監視部11Bは、予備コネクション毎の無通信監視パケットに対する所定時間内の応答有無に基づき、予備コネクション毎の通信状況を監視する。更に、監視部11Bは、予備コネクションの応答有無に基づき、順序テーブル32内の送信順序を更新する。監視部11Bは、予備コネクションの無通信監視パケットに対する所定時間内の応答を検出した場合、予備コネクションの通信状況が正常と判断し、順序テーブル32内の送信順序から応答検出した予備コネクションのコネクション管理テーブル34を削除する。また、監視部11Bは、予備コネクションの無通信監視パケットに対する所定時間内の応答を検出しなかった場合、予備コネクションの通信状況が異常、すなわち、予備コネクションを管理する相手先システム3の異常と判断する。そして、監視部11Bは、相手先システム3の異常と判断された場合、異常の相手先システム3の予備コネクションへの無通信監視パケットの送信を優先すべく、順序テーブル32内の送信順序を更新する。つまり、監視部11Bは、異常の予備コネクションを管理する相手先システム3に対応する相手先テーブル33及びコネクション管理テーブル34の送信順序を高くして順序テーブル32内の送信順序を更新する。
【0022】
図3は、順序テーブル32内の送信順序の一例を示す説明図である。説明の便宜上、例えば、相手先システム3は3台、相手先システム3Aの予備コネクションが4本(1-1~1-4)、相手先システム3Bの予備コネクションが4本(2-1~2-4)、相手先システム3Cの予備コネクションが4本(3-1~3-4)とする。相手先システム3Aは、“1”の相手先テーブル33で管理し、相手先システム3Aの予備コネクション“1-1”~“1-4”のコネクション管理テーブル“1-1”~“1-4”を管理する。相手先システム3Bは、“2”の相手先テーブル33で管理し、相手先システム3Bの予備コネクション“2-1”~“2-4”のコネクション管理テーブル“2-1”~“2-4”を管理する。相手先システム3Cは、“3”の相手先テーブル33で管理し、相手先システム3Cの予備コネクション“3-1”~“3-4”のコネクション管理テーブル“3-1”~“3-4”を管理する。
【0023】
図4Aは、1回目の同時送信時(正常時)の送信順序の一例を示す説明図、図4Bは、2回目の同時送信時(正常時)の送信順序の一例を示す説明図、図4Cは、3回目の同時送信時(正常時)の送信順序の一例を示す説明図である。図5は、通信状況が正常時の無通信監視パケット送信動作の一例を示す説明図である。通信状況が正常時の無通信監視パケットの送信順序は、1回目の同時送信を予備コネクション“1-1”、“2-1”、“3-1”及び“1-2”宛とする。更に、無通信監視パケットの送信順序は、2回目の同時送信を予備コネクション“2-2”、“3-2”、“1-3”及び“2-3”宛、3回目の同時送信を予備コネクション“3-3”、“1-4”、“2-4”及び“3-4”宛とする。
【0024】
制御部23は、監視タイマ21の起動を開始し、監視タイマ21がタイムアウトした場合、監視周期を検出する。送信制御部24は、図4Aの送信順序を参照し、監視周期検出から1回目の保留インターバル(100m秒)が経過すると、“1-1”、“2-1”、“3-1”及び“1-2”の予備コネクションに対する無通信監視パケットを1回目の同時送信としてセットする。そして、送信制御部24は、1回目の同時送信として各予備コネクションに無通信監視パケットを同時送信する。監視部11Bは、“1-1”、“2-1”、“3-1”及び“1-2”の予備コネクションの無通信監視パケットに対する応答を所定時間内に検出した場合、“1-1”、“2-1”、“3-1”及び“1-2”の予備コネクションが正常と判断する。そして、監視部11Bは、順序テーブル32内の送信順序から、1回目の同時送信で無通信監視パケット送信済みの“1-1”、“2-1”、“3-1”及び“1-2”の予備コネクションのコネクション管理テーブル34を削除する(図4B参照)。
【0025】
次に送信制御部24は、図4B示す送信順序を参照し、監視周期の検出から2回目の保留インターバルが経過すると、“2-2”、“3-2”、“1-3”及び“2-3”の予備コネクションに対する無通信監視パケットを2回目の同時送信としてセットする。そして、送信制御部24は、2回目の同時送信として各予備コネクションに無通信監視パケットを同時送信する。監視部11Bは、“2-2”、“3-2”、“1-3”及び“2-3”の予備コネクションの無通信監視パケットに対する応答を所定時間内に検出した場合、“2-2”、“3-2”、“1-3”及び“2-3”の予備コネクションが正常と判断する。そして、監視部11Bは、順序テーブル32内の送信順序から、2回目の同時送信で無通信監視パケット送信済みの“2-2”、“3-2”、“1-3”及び“2-3”の予備コネクションのコネクション管理テーブル34を削除する(図4C参照)。
【0026】
次に送信制御部24は、図4Cに示す送信順序を参照し、監視周期の検出から3回目の保留インターバルが経過すると、“3-3”、“1-4”、“2-4”及び“3-4”の予備コネクションに対する無通信監視パケットを3回目の同時送信としてセットする。そして、送信制御部24は、3回目の同時送信として各予備コネクションに無通信監視パケットを同時送信する。監視部11Bは、“3-3”、“1-4”、“2-4”及び“3-4”の予備コネクションの無通信監視パケットに対する応答を所定時間内に検出した場合、“3-3”、“1-4”、“2-4”及び“3-4”の予備コネクションが正常と判断する。そして、監視部11Bは、順序テーブル32内の送信順序から、3回目の同時送信で無通信監視パケット送信済みの“3-3”、“1-4”、“2-4”及び“3-4”の予備コネクションのコネクション管理テーブル34を削除する。そして、通信監視装置5は、送信順序内の全ての予備コネクションに対する同時送信が完了したので、次の監視周期を検出するまで待機することになる。
【0027】
図6Aは、1回目の同時送信時(異常時)の送信順序の一例を示す説明図、図6Bは、2回目の同時送信時(異常時)の送信順序の一例を示す説明図、図6Cは、3回目の同時送信時(異常時)の送信順序の一例を示す説明図である。図7は、通信状況が異常時の無通信監視パケット送信動作の一例を示す説明図である。通信状況が正常時の無通信監視パケットの送信順序は、1回目の同時送信を予備コネクション“1-1”、“2-1”、“3-1”及び“1-2”宛とする。更に、無通信監視パケットの送信順序は、2回目の同時送信を予備コネクション“2-2”、“3-2”、“1-3”及び“2-3”宛、3回目の同時送信を予備コネクション“3-3”、“1-4”、“2-4”及び“3-4”宛とする。
【0028】
制御部23は、監視タイマ21の起動を開始し、監視タイマ21がタイムアウトした場合、監視周期を検出する。送信制御部24は、監視周期の検出から1回目の保留インターバルが経過した場合、図6Aに示す送信順序を参照し、“1-1”、“2-1”、“3-1”及び“1-2”の予備コネクションに対する無通信監視パケットを1回目の同時送信としてセットする。そして、送信制御部24は、1回目の同時送信として各予備コネクションに無通信監視パケットを同時送信する。監視部11Bは、予備コネクション“3-1”に対する無通信監視パケットの応答が所定時間内になかった場合、予備コネクション“3-1”を管理する相手先システム3Cの異常と判断する。監視部11Bは、相手先システム3Cの異常と判断された場合、送信順序の相手先システム3C内の残りの予備コネクションに対して無通信監視パケットを優先的に送信すべく、順序テーブル32内の送信順序を並び替える。
【0029】
つまり、監視部11Bは、図6Bに示す送信順序に示すように、“3-2”、“3-3”、“3-4”及び“2-2”の予備コネクションを2回目の同時送信とする。そして、監視部11Bは、“1-3”、“2-3”、“1-4”及び“2-4”の予備コネクションを3回目の同時送信とするように送信順序を並び替える。
【0030】
送信制御部24は、監視周期の検出から2回目の保留インターバルが経過した場合、図6Bに示す送信順序を参照し、“3-2”、“3-3”、“3-4”及び“2-2”の予備コネクションに対する無通信監視パケットを2回目の同時送信としてセットする。そして、送信制御部24は、2回目の同時送信として各予備コネクションに無通信監視パケットを同時送信する。監視部11Bは、“3-2”、“3-3”、“3-4”及び“2-2”の予備コネクションの無通信監視パケットに対する応答を所定時間内に検出した場合、“3-2”、“3-3”、“3-4”及び“2-2”の予備コネクションの通信状況が正常と判断する。監視部11Bは、“3-2”、“3-3”、“3-4”及び“2-2”の予備コネクションの無通信監視パケットに対する応答を所定時間内に検出した場合、送信順序から“3-2”、“3-3”、“3-4”及び“2-2”の予備コネクションを削除する。つまり、監視部11Bは、順序テーブル32から、2回目の同時送信で無通信監視パケット送信済みの“3-2”、“3-3”、“3-4”及び“2-2”の予備コネクションのコネクション管理テーブル34を削除する(図6C参照)。
【0031】
送信制御部24は、監視周期の検出から3回目の保留インターバルが経過した場合、図6Cに示す送信順序を参照し、“1-3”、“2-3”、“1-4”及び“2-4”の予備コネクションに対する無通信監視パケットを3回目の同時送信としてセットする。そして、送信制御部24は、3回目の同時送信として各予備コネクションに無通信監視パケットを同時送信する。監視部11Bは、“1-3”、“2-3”、“1-4”及び“2-4”の予備コネクションの無通信監視パケットに対する応答を所定時間内に検出した場合、“1-3”、“2-3”、“1-4”及び“2-4”の予備コネクションの通信状況が正常と判断する。監視部11Bは、“1-3”、“2-3”、“1-4”及び“2-4”の予備コネクションの無通信監視パケットに対する応答を所定時間内に検出した場合、順序テーブル32から、“1-3”、“2-3”、“1-4”及び“2-4”の予備コネクションを削除する。つまり、監視部11Bは、順序テーブル32から、3回目の同時送信で無通信監視パケット送信済みの“1-3”、“2-3”、“1-4”及び“2-4”の予備コネクションのコネクション管理テーブル34を削除する(図6C参照)。
【0032】
次に本実施例の通信システム1の動作について説明する。図8は、送信順序登録処理に関わる通信監視装置5の処理動作の一例を示すフローチャートである。図8において通信監視装置5内の制御部23は、監視周期を検出したか否かを判定する(ステップS11)。制御部23は、監視周期を検出した場合(ステップS11:Yes)、TCPテーブル31から送信順序が先頭の相手先テーブル33を抽出する抽出動作を実行する(ステップS12)。
【0033】
制御部23は、抽出動作によって相手先テーブル33があるか否かを判定する(ステップS13)。制御部23は、相手先テーブル33がある場合(ステップS13:Yes)、相手先テーブル33から送信順序が先頭のコネクション管理テーブル34を抽出する抽出動作を実行する(ステップS14)。
【0034】
制御部23は、抽出動作によってコネクション管理テーブル34があるか否かを判定する(ステップS15)。制御部23は、コネクション管理テーブル34がある場合(ステップS15:Yes)、コネクション管理テーブル34が無通信監視パケットの送信対象のコネクションであるか否かを判定する(ステップS16)。
【0035】
制御部23は、コネクション管理テーブル34が無通信監視パケットの送信対象のコネクションである場合(ステップS16:Yes)、順序テーブル32内に、ステップS13の相手先テーブル33があるか否かを判定する(ステップS17)。制御部23は、順序テーブル32内に相手先テーブル33がある場合(ステップS17:Yes)、順序テーブル32内の相手先テーブル33内に、ステップS15のコネクション管理テーブル34をキューする(ステップS18)。制御部23は、順序テーブル32内に相手先テーブル33がない場合(ステップS17:No)、順序テーブル32内にステップS13の相手先テーブル33をキューする(ステップS19)。更に、制御部23は、ステップS15のコネクション管理テーブル34を相手先テーブル33内にキューする。
【0036】
制御部23は、相手先テーブル33から次のコネクション管理テーブル34を抽出する抽出動作を実行し(ステップS20)、抽出動作によってコネクション管理テーブル34があるか否かを判定すべく、ステップS35に移行する。制御部23は、ステップS11にて監視周期を検出しなかった場合(ステップS11:No)、又は、ステップS13にて相手先テーブル33がない場合(ステップS13:No)、図8に示す処理動作を終了する。
【0037】
制御部23は、ステップS15にてコネクション管理テーブル34がない場合(ステップS15:No)、順序テーブル32から次の相手先テーブル33を抽出する抽出動作を実行する(ステップS21)。制御部23は、抽出動作によって相手先テーブル33があるか否かを判定すべく、ステップS13に移行する。また、制御部23は、コネクション管理テーブル34が無通信監視パケット送信対象のコネクションでない場合(ステップS16:No)、相手先テーブル33から次のコネクション管理テーブル34を抽出すべく、ステップS20に移行する。
【0038】
図8に示す送信順序登録処理を実行する通信監視装置5は、監視周期を検出した場合、相手先テーブル33及びコネクション管理テーブル34をTCPテーブル31から順次抽出する。更に、通信監視装置5は、各相手先システム3の予備コネクションを分散して無通信監視パケットの送信順序を順序テーブル32内に登録する。その結果、通信監視装置5は、無通信監視パケット送信に伴う集中負荷を防止できる。
【0039】
図9A及び図9Bは、無通信監視パケット送信処理に関わる通信監視装置5の処理動作の一例を示すフローチャートである。図9Aにおいて通信監視装置5内の送信制御部24は、現在が監視周期検出後の1回目の保留インターバルの経過タイミングであるか否かを判定する(ステップS31)。尚、1回目の保留インターバルの経過タイミングとは、管理周期検出から100m秒が経過したタイミングである。送信制御部24は、1回目の保留インターバルの経過タイミングの場合(ステップS31:Yes)、順序テーブル32から先頭の相手先テーブル33を抽出する抽出動作を実行する(ステップS32)。
【0040】
送信制御部24は、抽出動作によって相手先テーブル33があるか否かを判定する(ステップS33)。送信制御部24は、相手先テーブル33がある場合(ステップS33:Yes)、この相手先テーブル33から先頭のコネクション管理テーブル34を抽出する抽出動作を実行する(ステップS34)。送信制御部24は、抽出動作によってコネクション管理テーブル34があるか否かを判定する(ステップS35)。
【0041】
送信制御部24は、コネクション管理テーブル34がある場合(ステップS35:Yes)、コネクション管理テーブル34を同時送信セットにセットする(ステップS36)。送信制御部24は、同時送信セット内のコネクション管理テーブル34が同時送信可能数に到達したか否かを判定する(ステップS37)。尚、同時送信可能数は、例えば、4である。送信制御部24は、同時送信セット内のコネクション管理テーブル34が同時送信可能数に到達した場合(ステップS37:Yes)、同時送信セット内の予備コネクションに対して無通信監視パケットを同時送信する(ステップS39)。更に、送信制御部24は、同時送信セット内の予備コネクションに対して無通信監視パケットを同時送信した後、当該予備コネクションに対応するコネクション管理テーブル34内の応答待ちフラグをONにし(ステップS40)、図9Aに示す処理動作を終了する。送信制御部24は、コネクション管理テーブル34内の応答待ちフラグを参照して予備コネクションの無通信監視パケットに対する応答待ち状態を識別できる。
【0042】
送信制御部24は、同時送信セット内のコネクション管理テーブル34が同時送信可能数に到達しなかった場合(ステップS37:No)、相手先テーブル33から次のコネクション管理テーブル34を抽出する抽出動作を実行する(ステップS38)。そして、送信制御部24は、抽出動作によって、次のコネクション管理テーブル34があるか否かを判定すべく、ステップS35に移行する。送信制御部24は、ステップS33にて相手先テーブル33がない場合(ステップS33:No)、順序テーブル32から次の相手先テーブル33を抽出する抽出動作を実行する(ステップS41)。送信制御部24は、抽出動作によって、次の相手先テーブル33から先頭のコネクション管理テーブル34を抽出すべく、ステップS34に移行する。
【0043】
送信制御部24は、現在が1回目の保留インターバルの経過タイミングでない場合(ステップS31:No)、図9Bに示すM1に移行する。
【0044】
図9BのM1において送信制御部24は、現在が監視周期検出後の2回目以降の保留インターバルの経過タイミングであるか否かを判定する(ステップS51)。送信制御部24は、現在のタイミングが2回目以降の保留インターバルの経過タイミングの場合(ステップS51:Yes)、図10に示す送信順序更新処理を実行する(ステップS52)。
【0045】
送信制御部24は、送信順序更新処理を実行した後、順序テーブル32から先頭の相手先テーブル33を抽出する抽出動作を実行する(ステップS53)。送信制御部24は、抽出動作によって相手先テーブル33があるか否かを判定する(ステップS54)。送信制御部24は、相手先テーブル33がある場合(ステップS54:Yes)、相手先テーブル33内の異常フラグがONであるか否かを判定する(ステップS55)。
【0046】
送信制御部24は、相手先テーブル33内の異常フラグがONの場合(ステップS55:Yes)、相手先テーブル33から先頭のコネクション管理テーブル34を抽出する抽出動作を実行する(ステップS56)。送信制御部24は、抽出動作によってコネクション管理テーブル34があるか否かを判定する(ステップS57)。
【0047】
送信制御部24は、コネクション管理テーブル34がある場合(ステップS57:Yes)、このコネクション管理テーブル34を同時送信セットにセットする(ステップS58)。送信制御部24は、同時送信セット内のコネクション管理テーブル34が同時送信可能数に到達したか否かを判定する(ステップS59)。送信制御部24は、同時送信セット内のコネクション管理テーブル34が同時送信可能数に到達した場合(ステップS59:Yes)、同時送信セット内の予備コネクションに対して無通信監視パケットを同時送信する(ステップS63)。更に、送信制御部24は、同時送信セット内の予備コネクションに対して無通信監視パケットを同時送信した後、当該予備コネクションに対応するコネクション管理テーブル34内の応答待ちフラグをONにし(ステップS64)、図9Bに示す処理動作を終了する。
【0048】
送信制御部24は、同時送信セット内のコネクション管理テーブル34が同時送信可能数に到達しなかった場合(ステップS59:No)、相手先テーブル33から次のコネクション管理テーブル34を抽出する抽出動作を実行する(ステップS60)。更に、送信制御部24は、抽出動作によってコネクション管理テーブル34があるか否かを判定すべく、ステップS57に移行する。
【0049】
送信制御部24は、相手先テーブル33内の異常フラグがONでない場合(ステップS55:No)、すなわち異常フラグがOFFの場合、相手先テーブル33から先頭のコネクション管理テーブル34を抽出する抽出動作を実行する(ステップS65)。送信制御部24は、抽出動作によってコネクション管理テーブル34があるか否かを判定する(ステップS66)。
【0050】
送信制御部24は、コネクション管理テーブル34がある場合(ステップS66:Yes)、このコネクション管理テーブル34を同時送信セットにセットする(ステップS67)。送信制御部24は、同時送信セット内のコネクション管理テーブル34が同時送信可能数に到達したか否かを判定する(ステップS68)。送信制御部24は、同時送信セット内のコネクション管理テーブル34が同時送信可能数に到達しなかった場合(ステップS68:No)、次の相手先テーブル33を抽出する抽出動作を実行する(ステップS69)。送信制御部24は、抽出動作によって相手先テーブル33があるか否かを判定すべく、ステップS54に移行する。
【0051】
送信制御部24は、同時送信セット内のコネクション管理テーブル34が同時送信可能数に到達した場合(ステップS68:Yes)、同時送信セット内の予備コネクションに対して無通信監視パケットを同時送信する(ステップS70)。更に、送信制御部24は、同時送信セット内の予備コネクションに対して無通信監視パケットを同時送信した後、当該予備コネクションに対応するコネクション管理テーブル34内の応答待ちフラグをONにし(ステップS71)、図9Bに示す処理動作を終了する。
【0052】
送信制御部24は、現在が2回目以降の保留インターバルの経過タイミングでない場合(ステップS51:No)、又は、相手先テーブル33がない場合(ステップS54:No)、図9Bに示す処理動作を終了する。
【0053】
監視パケット送信処理を実行する通信監視装置5は、監視周期検出後の1回目の保留インターバルの経過タイミングに応じて、送信順序の先頭から同時送信可能数分の予備コネクションを抽出する。更に、通信監視装置5は、抽出した予備コネクションに対して無通信監視パケットを同時送信する。その結果、通信監視装置5は、無通信監視パケット送信による集中負荷を軽減できる。
【0054】
通信監視装置5は、監視周期検出後の2回目以降の保留インターバルの経過タイミング毎に、送信順序の先頭から同時送信可能数分の予備コネクションを抽出し、抽出した予備コネクションに対して無通信監視パケットを同時送信する。その結果、通信監視装置5は、保留インターバル毎に無通信監視パケットの送信を分散することで、無通信監視パケット送信による集中負荷を軽減できる。
【0055】
図10は、送信順序更新処理に関わる通信監視装置5の処理動作の一例を示すフローチャートである。図10において通信監視装置5内の送信制御部24は、順序テーブル32から先頭の相手先テーブル33を抽出する抽出動作を実行し(ステップS81)、抽出動作によって相手先テーブル33があるか否かを判定する(ステップS82)。
【0056】
送信制御部24は、相手先テーブル33がある場合(ステップS82:Yes)、相手先テーブル33内の異常フラグをOFFにする(ステップS83)。更に、送信制御部24は、相手先テーブル33内に応答待ちフラグONのコネクション管理テーブル34があるか否かを判定する(ステップS84)。
【0057】
監視部11Bは、相手先テーブル33内に応答待ちフラグONのコネクション管理テーブル34がある場合(ステップS84:Yes)、相手先テーブル33の異常フラグをONにする(ステップS85)。つまり、監視部11Bは、保留インターバルが経過したにも関わらず、応答待ちフラグがONのコネクション管理テーブル34がある場合、コネクション管理テーブル34に対応する予備コネクションの異常と判断することになる。更に、監視部11Bは、順序テーブル32内の相手先テーブル33から応答待ちフラグONのコネクション管理テーブル34をデキュー、すなわち削除する(ステップS86)。
【0058】
監視部11Bは、応答待ちフラグONのコネクション管理テーブル34をデキューした後、順序テーブル32内の該当相手先テーブル33の送信順序を先頭に移動する(ステップS87)。尚、送信順序を先頭に移動とは、例えば、図6Bに示すように、異常と判断された“3”の相手先テーブル33のコネクション管理テーブル“3-2”、“3-3”及び“3-4”を優先的に先頭に移動する。更に、監視部11Bは、順序テーブル32から次の相手先テーブル33を抽出する抽出動作を実行し(ステップS88)、抽出動作によって相手先テーブル33があるか否かを判定すべく、ステップS82に移行する。
【0059】
送信制御部24は、相手先テーブル33がない場合(ステップS82:No)、順序テーブル32から先頭の相手先テーブル33を抽出すべく、図9Bに示すステップS53に移行する。監視部11Bは、相手先テーブル33内に応答待ちフラグONのコネクション管理テーブル34がない場合(ステップS84:No)、順序テーブル32から次の相手先テーブル33を抽出すべく、ステップS88に移行する。
【0060】
送信順序更新処理は、無通信監視パケットの応答有無から相手先システム3の異常を判断し、異常と判断された相手先システム3の予備コネクションに対する無通信監視パケットの送信順序を先頭に移動させる。その結果、通信監視装置5は、異常の相手先システム3の送信順序を先頭に移動させることで、異常と判断された相手先システム3内の予備コネクションに対して優先的に無通信監視パケットを送信できる。
【0061】
図11は、応答監視処理に関わる通信監視装置5の処理動作の一例を示すフローチャートである。図11において通信監視装置5内の監視部11Bは、無通信監視パケットに対する応答を検出したか否かを判定する(ステップS91)。監視部11Bは、応答を検出した場合(ステップS91:Yes)、順序テーブル32から先頭の相手先テーブル33を抽出する抽出動作を実行する(ステップS92)。監視部11Bは、抽出動作によって相手先テーブル33があるか否かを判定する(ステップS93)。
【0062】
監視部11Bは、相手先テーブル33がある場合(ステップS93:Yes)、検出した応答が当該相手先テーブル33対応の予備コネクションの応答であるか否かを判定する(ステップS94)。監視部11Bは、検出した応答が当該相手先テーブル33対応の予備コネクションの応答でない場合(ステップS94:No)、順序テーブル32から次の相手先テーブル33を抽出する抽出動作を実行する(ステップS95)。監視部11Bは、抽出動作によって相手先テーブル33があるか否かを判定すべく、ステップS93に移行する。
【0063】
監視部11Bは、検出した応答が当該相手先テーブル33対応の予備コネクションの応答の場合(ステップS94:Yes)、相手先テーブル33から先頭のコネクション管理テーブル34を抽出する抽出動作を実行する(ステップS96)。監視部11Bは、抽出動作によってコネクション管理テーブル34があるか否かを判定する(ステップS97)。監視部11Bは、抽出したコネクション管理テーブル34がある場合(ステップS97:Yes)、検出した応答がコネクション管理テーブル34対応の予備コネクションの応答であるか否かを判定する(ステップS98)。
【0064】
監視部11Bは、検出した応答がコネクション管理テーブル34対応の予備コネクションの応答でない場合(ステップS98:No)、順序テーブル32から次のコネクション管理テーブル34を抽出する抽出動作を実行する(ステップS99)。監視部11Bは、相手先テーブル33から先頭のコネクション管理テーブル34を抽出すべく、ステップS96に移行する。
【0065】
監視部11Bは、検出した応答がコネクション管理テーブル34対応の予備コネクションの応答の場合(ステップS98:Yes)、コネクション管理テーブル34対応の予備コネクションの応答待ちフラグがONであるか否かを判定する(ステップS100)。監視部11Bは、コネクション管理テーブル34対応の予備コネクションの応答待ちフラグがONの場合(ステップS100:Yes)、コネクション管理テーブル34対応の予備コネクションの応答待ちフラグをOFFする(ステップS101)。監視部11Bは、順序テーブル32内の相手先テーブル33から該当コネクション管理テーブル34をデキュー、すなわち削除する(ステップS102)。監視部11Bは、デキューされたコネクション管理テーブル34の相手先テーブル33内にコネクション管理テーブル34があるか否かを判定する(ステップS103)。
【0066】
監視部11Bは、デキューされたコネクション管理テーブル34の相手先テーブル33内にコネクション管理テーブル34がある場合(ステップS103:Yes)、順序テーブル32から該当の相手先テーブル33をデキューする(ステップS104)。そして、監視部11Bは、図11に示す処理動作を終了する。
【0067】
監視部11Bは、コネクション管理テーブル43の応答待ちフラグがONでない場合(ステップS100:No)、図11に示す処理動作を終了する。監視部11Bは、デキューされたコネクション管理テーブル34の相手先テーブル33内にコネクション管理テーブル34がない場合(ステップS103:No)、図11に示す処理動作を終了する。監視部11Bは、応答を検出しなかった場合(ステップS91:No)、又は、コネクション管理テーブル34がない場合(ステップS97:No)、図11に示す処理動作を終了する。
【0068】
応答監視処理を実行する通信監視装置5は、無通信監視パケットに対する応答を検出した場合、応答検出の予備コネクションのコネクション管理テーブル34を順序テーブル32から削除する。その結果、通信監視装置5は、無通信監視パケット送信済みの予備コネクションを送信順序から削除できる。
【0069】
通信監視装置5は、複数の相手先システム3との間を通信で接続する複数の予備コネクションが確立した状況下で、複数の時間帯(保留インターバル)のそれぞれで各相手先システム3の無通信状態の予備コネクションに分散して無通信監視パケットを送信する。通信監視装置5は、無通信監視パケットに対する応答の有無に基づき、当該無通信監視パケットが送信された予備コネクション毎の通信状態を監視する。その結果、無通信監視パケット送信で生じる集中負荷を軽減できる。しかも、相手先システム3内の予備コネクションの通信状態を監視できる。
【0070】
通信監視装置5は、無通信監視パケットが同時送信可能数の範囲内で、各相手先システム3の予備コネクションに分散して無通信監視パケットを順次送信する。その結果、通信監視装置5は、同時送信可能数の範囲及び保留インターバルで無通信監視パケット送信を分散することで、無通信監視パケット送信で生じる集中負荷を軽減できる。
【0071】
通信監視装置5は、全ての予備コネクションに対する無通信監視パケットの送信が完了するまで、残り予備コネクションに対して同時送信可能数の範囲内で無通信監視パケットを分散して保留インターバル帯毎に順次送信する。その結果、通信監視装置5は、同時送信可能数の範囲及び保留インターバルで無通信監視パケット送信を分散することで、無通信監視パケット送信で生じる集中負荷を軽減できる。
【0072】
通信監視装置5は、予備コネクションの通信状態の異常を検出した場合に、当該異常の予備コネクションを確立している相手先システム3内の予備コネクションに対して同時送信可能数の範囲内で優先的に無通信監視パケットを送信する。その結果、通信監視装置5は、通信状態が異常の予備コネクションを管理する相手先システム3の予備コネクションに対して無通信監視パケットを優先的に送信することで速やかに通信状態の異常を認識できる。
【0073】
尚、説明の便宜上、通信監視装置5は、相手先システム3が3台の場合を例示したが、これに限定されるものではなく、適宜変更可能である。
【0074】
通信監視装置5は、監視周期を30秒間隔としたが、30秒間に限定されるものではなく、適宜変更可能である。また、相手先システム3は同一の監視周期を例示したが、相手先システム3毎に異なる監視周期を設定しても良く、適宜変更可能である。
【0075】
通信監視装置5は、保留インターバルを100m秒間隔としたが、100m秒に限定されるものではなく、適宜変更可能である。
【0076】
通信監視装置5は、同時送信可能数を「4」に設定する場合を例示したが、無通信監視パケットの同時送信によってパケットロストが生じない範囲のパケット数でよく、適宜変更可能である。
【0077】
また、図示した各部の各構成要素は、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【0078】
更に、各装置で行われる各種処理機能は、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等上で、その全部又は任意の一部を実行するようにしても良い。また、各種処理機能は、CPU等で解析実行するプログラム上、又はワイヤードロジックによるハードウェア上で、その全部又は任意の一部を実行するようにしても良い。
【0079】
各種情報を記憶する領域は、例えば、ROM(Read Only Memory)や、SDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)やNVRAM(Non-Volatile Random Access Memory)等のRAM(Random Access Memory)で構成しても良い。
【0080】
ところで、本実施例で説明した各種の処理は、予め用意されたプログラムをコンピュータ内のCPU等のプロセッサで実行させることによって実現できる。そこで、以下では、上記実施例と同様の機能を有するプログラムを実行するコンピュータの一例を説明する。図12は、通信監視プログラムを実行するコンピュータの一例を示すブロック図である。
【0081】
図12に示す通信監視プログラムを実行するコンピュータ100は、通信IF(Interface)110と、入力装置120と、出力装置130と、ROM140と、RAM150と、CPU160とを有する。通信IF110、入力装置120、出力装置130、ROM140、RAM150及びCPU160は、バス170を介して接続される。通信IF110は、通信網内の通信機器と通信する。
【0082】
そして、ROM140には、上記実施例と同様の機能を発揮する通信監視プログラムが予め記憶されている。ROM140は、通信監視プログラムとして送信プログラム140A及び監視プログラム140Bが記憶されている。尚、ROM140ではなく、図示せぬドライブでコンピュータ読取可能な記録媒体に通信監視プログラムが記録されていても良い。また、記録媒体としては、例えば、CD-ROM、DVDディスク、USBメモリ等の可搬型記録媒体、フラッシュメモリ等の半導体メモリ等でも良い。
【0083】
そして、CPU160は、送信プログラム140AをROM140から読み出し、RAM150上で送信プロセス150Aとして機能する。更に、CPU160は、監視プログラム140BをROM140から読み出し、RAM150上で監視プロセス150Bとして機能する。
【0084】
CPU160は、複数のシステムとの間を通信で接続する複数のコネクションを確立した状況において、インターバルを挟んだ複数の時間帯のそれぞれで各システムの無通信状態のコネクションに分散して無通信監視パケットを送信する。CPU160は、無通信監視パケットに対する応答の有無に基づき、当該無通信監視パケットが送信されたコネクション毎の通信状態を監視する。その結果、無通信監視パケット送信で生じる集中負荷を軽減できる。
【符号の説明】
【0085】
5 通信監視装置
11A 送信部
11B 監視部
23 制御部
24 送信制御部
32 順序テーブル
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12