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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】提供装置、提供方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 16/90 20190101AFI20240319BHJP
   G06F 16/335 20190101ALI20240319BHJP
   G10L 15/00 20130101ALI20240319BHJP
【FI】
G06F16/90 100
G06F16/335
G10L15/00 200T
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019229579
(22)【出願日】2019-12-19
(65)【公開番号】P2021096798
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-11-24
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】石井 達也
【審査官】三橋 竜太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-081693(JP,A)
【文献】特開2017-134869(JP,A)
【文献】特開2014-010677(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 16/90-16/958
G10L 15/00-17/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザからの要求に応じて、印刷物に記載された記載内容に関連する情報を提供する提供装置であって、
前記ユーザからの要求に対応する入力情報を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記入力情報に基づいて、前記要求に使用された語彙から前記ユーザにおける前記印刷物の読了度合いを推定する推定部と、
前記取得部によって取得された前記入力情報、及び前記印刷物に記載された記載内容に関連する情報である印刷物関連情報に基づいて、前記要求に対する回答の候補とする前記印刷物関連情報を選択する選択部と、
前記推定部によって推定された前記読了度合い、及び前記選択部によって選択された前記要求に対する回答の候補とする前記印刷物関連情報に基づいて、前記要求に対する回答を生成する生成部と、
を備える提供装置。
【請求項2】
前記推定部は、印刷物に記載された記載内容の情報を当該印刷物におけるストーリーの進行度合いである印刷物内進度に対応づけた情報である印刷物情報を参照し、前記要求に使用された語彙に対応する前記記載内容に対応付けられた前記印刷物内進度を用いて、前記読了度合いを推定する、
請求項1に記載の提供装置。
【請求項3】
前記推定部は、過去に推定した前記印刷物の読了度合いを含むユーザ関連情報を用いて、前記読了度合いを推定する、
請求項1又は請求項2に記載の提供装置。
【請求項4】
前記推定部は、前記印刷物関連情報に対応づけられた、印刷物におけるストーリーの進行度合いである印刷物内進度を用いて、前記読了度合いを推定する、
請求項1から請求項3の何れか一項に記載の提供装置。
【請求項5】
前記生成部は、前記要求に対する回答の候補とする前記印刷物関連情報に対応づけられた、印刷物におけるストーリーの進行度合いである印刷物内進度、及び前記推定部によって推定された前記読了度合いを用いて、前記要求に対する回答を生成する、
請求項1から請求項4の何れか一項に記載の提供装置。
【請求項6】
前記生成部は、前記選択部によって選択された前記要求に対する回答の候補とする前記印刷物関連情報のうち、前記印刷物内進度が、前記推定部によって推定された前記読了度合いよりも遅れている情報を用いて、前記要求に対する回答を生成する、
請求項5に記載の提供装置。
【請求項7】
前記生成部は、前記選択部によって選択された前記要求に対する回答の候補とする前記印刷物関連情報のうち、前記印刷物内進度が、前記推定部によって推定された前記読了度合いよりも進んでいる情報に使用されている語彙を加工し、前記加工した前記印刷物関連情報を用いて、前記要求に対する回答を生成する、
請求項5に記載の提供装置。
【請求項8】
ユーザからの要求に応じて、印刷物に記載された記載内容に関連する情報を提供する提供装置の提供方法であって、
取得部が、前記ユーザからの要求に対応する入力情報を取得し、
推定部が、前記取得部によって取得された前記入力情報に基づいて、前記要求に使用された語彙から前記ユーザにおける前記印刷物の読了度合いを推定し、
選択部が、前記取得部によって取得された前記入力情報、及び前記印刷物に記載された記載内容に関連する情報である印刷物関連情報に基づいて、前記要求に対する回答の候補とする前記印刷物関連情報を選択し、
生成部が、前記推定部によって推定された前記読了度合い、及び前記選択部によって選択された前記要求に対する回答の候補とする前記印刷物関連情報に基づいて、前記要求に対する回答を生成する、
提供方法。
【請求項9】
ユーザからの要求に応じて、印刷物に記載された記載内容に関連する情報を提供する提供装置のコンピュータを、
前記ユーザからの要求に対応する入力情報を取得する取得手段、
前記取得手段によって取得された前記入力情報に基づいて、前記要求に使用された語彙から前記ユーザにおける前記印刷物の読了度合いを推定する推定手段、
前記取得手段によって取得された前記入力情報、及び前記印刷物に記載された記載内容に関連する情報である印刷物関連情報に基づいて、前記要求に対する回答の候補とする前記印刷物関連情報を選択する選択手段、
前記推定手段によって推定された前記読了度合い、及び前記選択手段によって選択された前記要求に対する回答の候補とする前記印刷物関連情報に基づいて、前記要求に対する回答を生成する生成手段、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、提供装置、提供方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、通販サイトや電子書籍の普及に伴い、出版社等が、ユーザ(購入者)における書籍の購読状況に応じて、関連する書籍などの広告を行う機会が増えている。一方、SNS(Social Networking Service)の普及により、書籍に対する感想やコメントをユーザ同士で交換し合う機会が増えている。例えば、特許文献1~2には、ユーザからの要求に応じて書籍に記載されている事項に関する広告や感想、読者から投稿されたコメントなどの情報を提供する提供装置が開示されている。
【0003】
書籍に記載されている記載内容について情報提供を行う場合、ユーザが当該書籍を読み進めている範囲(以下、読了度合いという)に応じた適切な内容の情報提供がなされることが望ましい。具体的には、ユーザが読み進めていない未読の内容が含まれないように、いわゆるネタバレを避けた情報提供がなされることが望ましい。まだ読んでいない物語の展開や登場人物の人間関係の進展などが記載されたコメントが提供されてしまうと、ユーザの書籍に対する興味が損なわれてしまう恐れがあるためである。あるいは、ユーザが直近に読み終えた内容に関する話題を含む情報提供がなされることが望ましい。読み終えてから時間が経過している内容や、これから読む内容を含む話題を提供するよりも、ユーザの興味が高くなる可能性があるためである。例えば、特許文献1~3には、ユーザが閲覧する書籍の読了度合いを取得する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5638325号公報
【文献】特開2014-010677号公報
【文献】特開2012-121267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1ならびに特許文献2に記載の技術は電子書籍の読了度合いを取得するものである。このため、電子書籍でない紙媒体の書籍、つまり印刷物の読了度合いを取得することができないという課題があった。また、特許文献3に記載の技術は印刷物の書籍(印刷書籍)の読了度合いを取得するものであるが、距離センサなど読了度合いを取得するための専用の装置を必要とするものである。このため、印刷書籍の読了度合いを取得するには、ユーザが当該の装置を必ず所有していなければならないという課題があった。
【0006】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたもので、専用の装置を用いることなく、印刷物の読了度合いを取得することができる提供装置、提供方法、及びプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の提供装置は、ユーザからの要求に応じて、印刷物に記載された記載内容に関連する情報を提供する提供装置であって、前記ユーザからの要求に対応する入力情報を取得する取得部と、前記取得部によって取得された前記入力情報に基づいて、前記要求に使用された語彙から前記ユーザにおける前記印刷物の読了度合いを推定する推定部と、前記取得部によって取得された前記入力情報、及び前記印刷物に記載された記載内容に関連する情報である印刷物関連情報に基づいて、前記要求に対する回答の候補とする前記印刷物関連情報を選択する選択部と、前記推定部によって推定された前記読了度合い、及び前記選択部によって選択された前記要求に対する回答の候補とする前記印刷物関連情報に基づいて、前記要求に対する回答を生成する生成部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の提供方法は、ユーザからの要求に応じて、印刷物に記載された記載内容に関連する情報を提供する提供装置の提供方法であって、取得部が、前記ユーザからの要求に対応する入力情報を取得し、推定部が、前記取得部によって取得された前記入力情報に基づいて、前記要求に使用された語彙から前記ユーザにおける前記印刷物の読了度合いを推定し、選択部が、前記取得部によって取得された前記入力情報、及び前記印刷物に記載された記載内容に関連する情報である印刷物関連情報に基づいて、前記要求に対する回答の候補とする前記印刷物関連情報を選択し、生成部が、前記推定部によって推定された前記読了度合い、及び前記選択部によって選択された前記要求に対する回答の候補とする前記印刷物関連情報に基づいて、前記要求に対する回答を生成することを特徴とする。
【0009】
本発明のプログラムは、ユーザからの要求に応じて、印刷物に記載された記載内容に関連する情報を提供する提供装置のコンピュータを、前記ユーザからの要求に対応する入力情報を取得する取得手段、前記取得手段によって取得された前記入力情報に基づいて、前記要求に使用された語彙から前記ユーザにおける前記印刷物の読了度合いを推定する推定手段、前記取得手段によって取得された前記入力情報、及び前記印刷物に記載された記載内容に関連する情報である印刷物関連情報に基づいて、前記要求に対する回答の候補とする前記印刷物関連情報を選択する選択手段、前記推定手段によって推定された前記読了度合い、及び前記選択手段によって選択された前記要求に対する回答の候補とする前記印刷物関連情報に基づいて、前記要求に対する回答を生成する生成手段、として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、専用の装置を用いることなく、印刷物の読了度合いを取得することができる。したがって、書籍に関する情報を提供する際に、ユーザが閲覧している印刷物の読了度合いに基づいた適切な情報提供を行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態に係る提供システム1の構成の例を示すブロック図である。
図2】実施形態に係る印刷物情報230の構成の例を示す図である。
図3】実施形態に係る印刷物関連情報231の構成の例を示す図である。
図4】実施形態に係るユーザ関連情報232の構成の例を示す図である。
図5】実施形態に係る制御部42の構成の例を示すブロック図である。
図6】実施形態に係る提供システム1が行う処理の流れを示すシーケンス図である。
図7】実施形態に係るサーバ装置40が行う処理の流れを示すフローチャートである。
図8】実施形態に係る端末装置10の表示例を示す図である。
図9】実施形態に係る端末装置10の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施形態のサーバ装置、及び提供システムを、図面を参照しながら説明する。
【0015】
図1は、実施形態に係る提供システム1の構成の例を示すブロック図である。提供システム1は、例えば、端末装置10と、印刷物DBサーバ20と、対話シナリオDBサーバ30と、サーバ装置40とを備える。端末装置10とサーバ装置40とは、インターネット等の通信ネットワークNWを介して相互に通信可能に接続される。サーバ装置40は、印刷物DBサーバ20、及び対話シナリオDBサーバ30と相互に情報の送受信が可能に接続される。サーバ装置40は、「提供装置」の一例である。
【0016】
本実施形態において、ユーザは、印刷物の記載内容に関連する情報(印刷物関連情報)の要求を、端末装置10に対して行う。ここで、印刷物は、文字や画像、図表等が印刷されている物体であり、例えば、本(教科書、図鑑、小説、美術誌など)、雑誌(週刊誌、月刊誌など)、パンフレット、カタログ、資料(文献など)、包装体(包装紙、パッケージなど)の紙、プラスチック、布、板などである。印刷物の記載内容には、印刷物に印刷された文字や画像、図表が含まれる。また、ここでの印刷物関連情報は、印刷物に関連して行われた広告、印刷物の読者から寄せられたコメント、及び書評などである。これらの広告、コメント、及び書評など(以下、広告等という)は、例えば、電子掲示板、インターネットの特定サイト(例えば、印刷物を紹介したり販売したりするサイト)、SNS(Social Networking Service)などに投稿されたものである。ユーザの要求に応じて、印刷物関連情報を提供することにより、ユーザ側は自身が興味を持った登場人物や関連商品などの情報を得ることができる。また、提供側はユーザの興味に沿った広告を行うことが可能となり、広告効果を向上させることができる。
【0017】
また、本実施形態において、印刷物関連情報の要求は、口頭で行われる。例えば、ユーザは、物語の登場人物Aに興味を持った場合に「Aに寄せられたコメントを教えて」などと、端末装置10に向かって発話する。要求が口頭で行われるこれにより、ユーザの手元に印刷物がない場合であっても、提供システム1を利用することが可能である。
【0018】
端末装置10は、例えばスマートフォンなどの携帯端末である。端末装置10は、例えば、通信部11と、制御部12と、入出力部13とを備える。通信部11は、サーバ装置40と通信ネットワークNWを介した通信を行う。制御部12は、端末装置10を統括的に制御する。入出力部13は、マイク及びスピーカなど音声の入出力を行う機能部である。入出力部13に、キーボードやタッチパネルが含まれていてもよい。
【0019】
端末装置10には、印刷物関連情報の要求を受け付けるアプリケーション(以下、アプリという)がインストールされている。アプリが行う処理は、制御部12が、端末装置10がハードウェアとして備えるCPU(Central Processing Unit)にプログラムを実行させることによって実現される。端末装置10は、ユーザの操作などによってアプリが起動されると、入出力部13のマイクを集音可能な状態にして、ユーザからの質問を受け付ける。この場合、端末装置10の表示部(不図示)に、「お話しください」など、アプリが要求を受け付け可能である旨を知らせるメッセージが表示されたり、入出力部13から要求を促すアラーム音が出力されたりするようにしてもよい。
【0020】
端末装置10は、ユーザがマイクに向けて発話した要求を、入出力部13を介して取得する。端末装置10は、ユーザによって音声で入力された情報(入力情報)を、サーバ装置40に送信する。
【0021】
或いは、端末装置10が音声認識機能を有する場合、端末装置10は、入力された音声を、制御部12の音声認識機能によって音声認識し、文字情報に変換するようにしてもよい。例えば、端末装置10は、変換した文字情報を表示部に表示する。ユーザは、表示された文字を目視により確認し、口頭でした要求の内容が正しく表示されていればその旨の情報を、端末装置10の入出力部13を介して入力する。ここでの入力は、キーボードやタッチパネルを操作することによって実施されてもよいし、「オッケー」などと口頭で応答することによる音声入力によって実施されてもよい。一方、ユーザは、口頭でした要求の内容が正しく表示されていない場合、再度、発話しなおすなど、端末装置10に要求が正しく認識されるように対応する。端末装置10は、ユーザの要求が正しく受け付けられた旨の情報が得られた場合、要求の内容を示す文字情報をサーバ装置40に送信する。この要求の内容を示す文字情報は、ユーザによって発話された要求の情報が文字に変換された情報であり、「入力情報」の一例である。
【0022】
端末装置10は、ユーザの要求に対する回答を示す情報を、サーバ装置40から受信する。端末装置10は、ユーザの質問に対する回答を音声データの状態で受信し、受信した情報を入出力部13のスピーカから出力する。
【0023】
或いは、端末装置10が音声変換機能を有する場合には、端末装置10は、ユーザの質問に対する回答を文字データの状態で受信するようにしてもよい。この場合、端末装置10は、制御部12の音声変換機能によって文字を音声に変換し、変換した文字を表示部に表示する。
【0024】
印刷物DBサーバ20は、印刷物の記載内容に関するDB(データベース)を有するサーバ装置である。印刷物DBサーバ20は、例えば、通信部21と、制御部22と、印刷物DB23とを備える。通信部21は、サーバ装置40と通信を行う。制御部22は、印刷物DBサーバ20を統括的に制御する。制御部22は印刷物DBサーバ20がハードウェアとして備えるCPUにプログラムを実行させることによって実現される。制御部22は、サーバ装置40からの印刷物DB23に関する問合わせ(クエリ)に応答する。印刷物DB23に関する問合わせとは、データの検索、及びデータの取得である。ここでのデータは、印刷物DB23に記憶される情報である。
【0025】
制御部22は、サーバ装置40からの、データの検索の問い合わせに応答する。制御部22は、通信部21を介してサーバ装置40から、検索に用いる文字列の情報(検索情報)を取得する。制御部22は、取得した文字列に基づいて、印刷物DB23を参照し、当該文字列と一致する、又は類似する文字列が含まれる情報を抽出する。制御部22は、抽出した情報を、検索結果として、通信部21を介してサーバ装置40に通知する。サーバ装置40に通知する情報は、情報が示す内容そのものであってもよいし、情報を識別する識別情報のみであってもよいし、抽出した情報の個数などを示す属性情報が含まれていてもよい。
【0026】
制御部22は、サーバ装置40からの、データの取得の問い合わせに応答する。制御部22は、通信部21を介してサーバ装置40から、取得する対象のデータの識別情報を取得する。制御部22は、取得した識別情報に基づいて、印刷物DB23を参照し、当該識別情報に対応する情報を抽出する。制御部22は、抽出した情報を、通信部21を介してサーバ装置40に通知する。
【0027】
印刷物DB23は、記憶媒体、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、RAM(Random Access read/write Memory)、ROM(Read Only Memory)、またはこれらの記憶媒体の任意の組み合わせによって構成される。印刷物DB23は、印刷物情報230と、印刷物関連情報231と、ユーザ関連情報232とを記憶する。印刷物情報230、印刷物関連情報231、及びユーザ関連情報232の詳細については後で詳しく説明する。
【0028】
対話シナリオDBサーバ30は、対話内容に関するDBを有するサーバ装置である。ここでの対話内容は、ユーザとシステム側とでやり取りされる質問と回答、或いは、ユーザの質問に対するシステム側からの追加質問と、その追加質問の回答などの内容を示す。対話シナリオDBサーバ30は、例えば、通信部31と、制御部32と、対話シナリオDB33とを備える。
【0029】
通信部31は、サーバ装置40と通信を行う。制御部32は対話シナリオDBサーバ30を統括的に制御する。制御部32は、対話シナリオDBサーバ30がハードウェアとして備えるCPUにプログラムを実行させることによって実現される。制御部32は、サーバ装置40からの対話シナリオDB33に関する問合わせ(クエリ)に応答する。対話シナリオDB33に関する問合わせとは、データの検索、及びデータの取得である。ここでのデータは、対話シナリオDB33に記憶される対話シナリオ情報テーブル330における対話内容である。制御部32は、サーバ装置40からの問い合わせに応答する方法は、制御部22がサーバ装置40からの問い合わせに応答する方法と同様であるため、その説明を省略する。
【0030】
対話シナリオDB33は、記憶媒体、例えば、HDD、フラッシュメモリ、EEPROM、RAM、ROM、またはこれらの記憶媒体の任意の組み合わせによって構成される。対話シナリオDB33は、対話シナリオ情報テーブル330を記憶する。対話シナリオ情報テーブル330は、シナリオごとに、要求と回答とが対応付けられたテーブルである。シナリオは、例えば、要求される印刷物関連情報の種別ごとに設定される。印刷物関連情報の種別は、例えば、広告、補足情報、他の読者からのコメントなどの種別である。要求が「Aに寄せられたコメントを教えて」である場合、要求される印刷物関連情報の種別はコメントである。この要求には、例えば、「XXというコメントが投稿されました」という回答が対応づけられる。XXには、Aに関するコメントであって、サーバ装置40が印刷物DBサーバ20に記憶された情報から抽出したコメントを、必要に応じて加工した内容が入る。要求が「Aはどんな人物ですか」である場合、要求される印刷物関連情報の種別は補足情報である。この要求には、例えば、「AはYYという人物です」という回答が対応づけられる。YYには、Aに関する記載内容であって、サーバ装置40が印刷物DBサーバ20に記憶された情報から抽出したコメントを、必要に応じて加工した内容が入る。
【0031】
サーバ装置40は、例えば、通信部41と、制御部42と、記憶部43とを備える。通信部41は、端末装置10と通信ネットワークNWを介して通知する。通信部41は、印刷物DBサーバ20、及び対話シナリオDBサーバ30と通信する。制御部42は、サーバ装置40を統括的に制御する。制御部42は、サーバ装置40がハードウェアとして備えるCPUにプログラムを実行させることによって実現される。記憶部43は、記憶媒体、例えば、HDD、フラッシュメモリ、EEPROM、RAM、ROM、またはこれらの記憶媒体の任意の組み合わせによって構成される。記憶部43は、制御部42が行う各種の処理に応じて実行されるプログラム、各種の処理で用いられるパラメータなどを記憶する。
【0032】
図2は、実施形態に係る印刷物情報230の構成の例を示す図である。印刷物情報230は、印刷物ごとに記憶される。印刷物情報230は、印刷物に記載された記載内容が、印刷物内進度に対応付けられた情報である。印刷物内進度は、印刷物におけるストーリーの進行度合いである。印刷物情報230は、記載内容と印刷物内進度が対応付けられた情報を含む「データ構造」を有する。
【0033】
図2に示すように、印刷物情報230は、章番号、該当ページ、出現語彙、種別、新出フラグ、記載内容などの項目を備える。章番号は、印刷物に記載されるストーリーを構成する各章の番号である。該当ページは、各章に該当するページ番号の範囲である。章番号や、該当ページは、印刷物におけるストーリーの進行を示す指標であり、「印刷物内進度」の一例である。「印刷物内進度」は、章番号や、該当ページに限定されない。「印刷物内進度」は、印刷物に部や節や段落番号等が用いられている場合にはそれらの番号などであってもよい。また、「印刷物内進度」は、物語の前半後半、或いは中盤などの区分で示されてもよい。
【0034】
出現語彙は、各章に出現した語彙である。出現語彙は、例えば、固有表現抽出を行うことにより記載内容から抽出した固有表現(語彙)のうち、頻出する語彙である。固有表現は、人名、組織名、地名などの固有名詞や日付、時間表現、数量、金額、パーセンテージなどの番号や数値を伴う名詞である。種別は、出現語彙の種別であって、例えば、人名、組織名、地名、日付、時間表現、数量、金額、パーセンテージなどの別である。新出フラグは、印刷物におけるストーリーの中で初めて出現した語彙なのか否かを示すフラグである。記載内容は、各章における出現語彙について記載された内容である。記載内容は、例えば、各章の見出し、出現語彙における近傍の記載内容、まとめサイト、書評などから抽出される語彙を、例えば、出現語彙ごとに集計した結果に基づいて生成される。
【0035】
図2の例では、印刷物は少なくとも第1章~第8章までの章立てにて構成されていることが示されている。第1章には、固有名詞AとCが人名として出現していること、Aは物語の主人公であること、CはAの兄であることが示されている。第1章以降の章では、Aが冒険の旅に出ること、海賊団の主導者Dが登場すること、などが、各章ごと(つまり、ストーリーの進行に沿って)示されている。
【0036】
図3は、実施形態に係る印刷物関連情報231の構成の例を示す図である。印刷物関連情報231は、印刷物ごとに記憶される。印刷物関連情報231は、印刷物に関連する情報であり、印刷物に関連して行われた広告、印刷物の読者から寄せられたコメント、書評などである。
【0037】
図3に示すように、印刷物関連情報231は、例えば、ID、種別、掲載内容、掲載日時、印刷物内進度などの項目を備える。IDは、印刷物関連情報を一意に識別するための識別情報である。種別は、印刷物関連情報の種別であって、広告、コメント、及び書評などの別である。掲載内容は、広告等にて掲載された内容である。掲載日時は、印刷物関連情報が電子掲示板などに掲載された日時である。印刷物内進度は、印刷物関連情報の掲載内容が、印刷物における何れの進度に対応する箇所に記載された記載内容に対するものであるかを示す情報である。
【0038】
印刷物内進度は、例えば、印刷物関連情報の内容に使用されている語彙と、印刷物情報230とに基づいて決定される。具体的には、印刷物関連情報の内容に使用されている語彙に基づいて、印刷物情報230を参照し、当該語彙と一致する、又は類似する文字列が含まれる印刷物情報を抽出する。そして、抽出した印刷物情報に対応づけられている印刷物内進度を、印刷物関連情報の印刷物内進度とする。この例では印刷物内進度として、該当する章、及び該当ページが示されている。
【0039】
図3の例では、ID(K0001)に、読者などからのコメント「DとCの闘いの行方が気になる」が示されている。また、当該コメントの印刷物内進度として3章が対応づけられている。これは、印刷物情報230に、CがDと戦うとの記載内容が、印刷物の3章に対応づけられているためである。
【0040】
図4は、実施形態に係るユーザ関連情報232の構成の例を示す図である。ユーザ関連情報232は、印刷物ごとに記憶される。ユーザ関連情報232は、ユーザごとの印刷物との関係を示す情報であり、例えば、前回推定した印刷物の読了度合い、印刷物に関連する書籍の読了状況や、購入履歴などを示す情報である。ユーザにおける印刷物の読了度合いは、例えば、後述する推定部422によって推定される。印刷物に関連する書籍とは、例えば、印刷物と同じ題名の書籍で異なる巻の書籍や、同じ作者の書籍、印刷物からスピンアウトした作品や、印刷物と同じシリーズの書籍などである。
【0041】
図4に示すように、ユーザ関連情報232は、例えば、ユーザID、前回推定した読了度合い、推定日時、関連書籍の読了度合いなどの項目を備える。ユーザIDは、ユーザを一意に識別するための識別情報である。前回推定した読了度合いは、後述する推定部422によって推定された過去の読了度合いである。推定日時は、前回の読了度合いを推定した日時である。関連書籍の読了度合いは、印刷物に関連する関連書籍の読了度合いである。図4の例では、ユーザID(U0001)のユーザは、印刷物を第3章まで読了しており、関連書籍1について未読、関連書籍2について全章読了済みであることが示されている。
【0042】
図5は、実施形態に係る制御部42の構成の例を示すブロック図である。制御部42は、例えば、取得部420と、対話制御部421と、推定部422と、選択部423と、生成部424と、出力部425とを備える。取得部420は、端末装置10からの入力情報を、通信部41を介して取得する。
【0043】
対話制御部421は、入力情報に基づいて、印刷物情報230を検索するための検索情報を抽出する。検索情報は、ユーザの読了度合いの推定に用いられる情報であり、ユーザからの要求に使用された語彙である。例えば、ユーザからの要求が「Dってどんな人物だっけ。Aに寄せられたコメントを知りたい」というものである場合を考える。この場合のユーザからの要求に使用された語彙は、例えば、D、人物、コメント、知りたい、などである。対話制御部421は、ユーザからの要求に相当する文言を形態素解析したり、固有表現抽出したりすることにより、使用された語彙を抽出する。対話制御部421は、抽出した語彙を検索情報とする。
【0044】
なお、入力情報が音声情報である場合、対話制御部421は、入力情報に音声認識処理を行うことによって、入力情報を文字情報に変換する。入力情報が文字情報である場合、対話制御部421は、当該音声認識処理を省略する。
【0045】
推定部422は、検索情報に基づいて、印刷物情報230を検索する。推定部422は、検索情報を、通信部41を介して印刷物DBサーバ20に送信し、印刷物DBサーバ20の制御部22にデータ検索を指示する。印刷物DBサーバ20は、検索情報に合致するデータを検索する。検索情報に合致するデータは、要求に使用された語彙と一致する文言が記載された記載内容に相当する印刷物情報である。推定部422は、印刷物DBサーバ20による検索結果を、通信部41を介して取得する。
【0046】
推定部422は、印刷物情報230を検索した検索結果に基づいて、ユーザにおける印刷物の読了度合いを推定する。推定部422は、例えば、検索結果として抽出された印刷物情報に対応づけられた印刷物内進度のうち、最も遅い進度を、ユーザにおける印刷物の読了度合いと推定する。例えば、推定部422は、D、人物、コメント、知りたいとの語彙を検索情報とした検索結果として「Dは人名」、「Aは海賊団の主導者」、「DはAに負ける」などの記載内容が得られたとする。この場合、推定部422は、得られた記載内容に対応付けられた章番号のうち最も番号が小さい章番号、つまり第2章を、ユーザにおける印刷物の読了度合いとする。
【0047】
推定部422は、印刷物関連情報231を用いて読了度合いを推定してもよい。この場合、推定部422は、検索情報に基づいて、印刷物関連情報231を検索する。推定部422は、検索結果を、通信部41を介して取得する。検索結果は、要求に使用された語彙と一致する文言が記載された印刷物関連情報、または、要求と類似度の高い文が記載された印刷物関連情報である。文の類似度の算出には、例えば、既存の文献”Document Embedding with Paragraph Vectors”([online]、arXiv:1507.07998v1 [cs.CL] 29 Jul 2015、[令和1年12月10日検索]、インターネット〈URL:https://arxiv.org/pdf/1507.07998.pdf〉)に記載されている手法などが適用可能である。
【0048】
推定部422は、印刷物関連情報231を検索した検索結果に基づいて、ユーザにおける印刷物の読了度合いを推定する。推定部422は、例えば、検索結果として抽出された印刷物情報に対応づけられた印刷物内進度のうち、最も遅い進度を、ユーザにおける印刷物の読了度合いと推定する。例えば、推定部422は、D、人物、コメント、知りたいとの語彙を検索情報とした検索結果として「DとCの闘いの行方が気になる」、「Dはカリスマがあって尊敬されている」、「Dが登場して面白くなってきた」などの掲載内容が得られたとする。この場合、推定部422は、得られた掲載内容に対応付けられた印刷物内進度のうち最も遅れているもの、つまり第2章を、ユーザにおける印刷物の読了度合いとする。
【0049】
ユーザはDという人名を使って、Dに関する情報を要求している。このことから少なくとも、ユーザは、少なくとも、Dが登場するシーン、つまり第2章まで印刷物を読み進めていると考えられる。この場合、印刷物内進度として第2章が対応付けられているコメントであれば、その内容を開示しても、所謂ネタバレにはならないと考えられる。
【0050】
推定部422は、ユーザ関連情報232を用いて読了度合いを推定してもよい。この場合、推定部422は、要求を行ったユーザのユーザIDに基づいて、ユーザ関連情報232を検索する。推定部422は、検索結果を、通信部41を介して取得する。検索結果は、要求を行ったユーザのユーザ関連情報である。
【0051】
推定部422は、ユーザ関連情報232を検索した検索結果に基づいて、ユーザにおける印刷物の読了度合いを、今回の読了度合いと推定する。推定部422は、ユーザ関連情報232からユーザにおける前回の印刷物の読了度合いが第3章であった場合、今回の読了度合いも第3章と推定する。
【0052】
ユーザはDという人名を使って、Dに関する情報を要求していることから、少なくとも第2章まで印刷物を読み進めていると考えられる。さらに前回、第3章まで読了したと推定されている。この場合、印刷物内進度として第3章が対応付けられているコメントであれば、その内容を開示しても、所謂ネタバレにはならないと考えられる。
【0053】
選択部423は、検索情報、及び印刷物関連情報231を用いて、回答の候補とする印刷物関連情報を選択する。例えば、選択部423は、検索情報に基づいて、印刷物関連情報231を検索する。選択部423は、印刷物DBサーバ20による検索結果を、通信部41を介して取得する。検索結果は、要求に使用された語彙と一致する文言が記載された印刷物関連情報である。
【0054】
選択部423は、印刷物関連情報231を検索した検索結果に基づいて、回答の候補とする印刷物関連情報を選択する。選択部423は、例えば、検索結果として抽出された印刷物情報の全てを、回答の候補として選択する。例えば、推定部422は、D、人物、コメント、知りたいとの語彙を検索情報とした検索結果として「DとCの闘いの行方が気になる」、「Dはカリスマがあって尊敬されている」、「Dが登場して面白くなってきた」などの掲載内容が得られたとする。この場合、選択部423は、得られた掲載内容を回答の候補とする。
【0055】
生成部424は、ユーザの読了度合い、及び回答の候補に基づいて、ユーザによって行われた要求に対する回答を生成する。ユーザの読了度合いは、推定部422によって推定されたものである。回答の候補は、選択部423によって選択された印刷物関連情報231である。生成部424は、例えば、回答の候補として選択された印刷物関連情報231に対応づけられた文書内進度と、ユーザの読了度合いとを比較する。生成部424は、回答の候補として選択された印刷物関連情報231のうち、その文書内進度が、ユーザの読了度合いよりも遅れているものを抽出する。生成部424は、抽出した印刷物関連情報231を、回答とする。
【0056】
例えば、「DとCの闘いの行方が気になる」、「Dはカリスマがあって尊敬されている」、「Dが登場して面白くなってきた」という印刷物関連情報の印刷物内進度が、それぞれ第3章、第2章、第2章である場合を考える。この場合、生成部424は、ユーザの読了度合いが第2章であれば、「DとCの闘いの行方が気になる」との第3章のシーンに対してなされたコメントを除き、「Dはカリスマがあって尊敬されている」、「Dが登場して面白くなってきた」の二つを回答とする。これにより、ユーザの読了度合いより進度が進んでいるシーンに対するコメントを除外して、ユーザへの回答を生成することができる。したがって、ユーザからの要求に対して、所謂ネタバレのない回答を行うことが可能である。
【0057】
或いは、生成部424は、回答の候補として選択された印刷物関連情報231のうち、その文書内進度が、ユーザの読了度合いよりも進んでいるものを加工してもよい。ここでの加工とは、印刷物関連情報231を、ユーザの読了度合いよりも遅れたものに加工することである。例えば、生成部424は、印刷物関連情報231に使用されている語彙のうち、ユーザの読了度合いよりも進んでいるシーンで新出する語彙を抽出する。生成部424は、抽出した語彙が、ユーザの読了度合いよりも遅れた手前のシーンで出てくる語彙に変換可能か否かを判定する。生成部424は、変換可能であれば、ユーザの読了度合いよりも進んでいるシーンで新出する語彙を、ユーザの読了度合いよりも遅れた手前のシーンで出てくる語彙に変換する。生成部424は、変換可能でなければ、ユーザの読了度合いよりも進んでいるシーンで新出する語彙を、伏字とする。
【0058】
例えば、生成部424は、ユーザの読了度合いが第2章であれば、「DとCの闘いの行方が気になる」との第3章のシーンに対してなされたコメントを加工する。生成部424は、例えば、このコメントで使用されている語彙である、D、C、闘いのうち、第3章で新しく出てくる語彙「闘い」を、伏字とする。生成部424は、「DとCのXXXの行方が気になる」、「Dはカリスマがあって尊敬されている」、「Dが登場して面白くなってきた」を回答とする。ただし、XXXと記載した部分は伏字を示す。
【0059】
或いは、生成部424は、ユーザの読了度合いが第6章であれば、「E事件のとき、dがとても格好よかった」との第8章のシーンに対してなされたコメントを加工する。生成部424は、例えば、このコメントで使用されている語彙である、E事件、dのうち、第6章で新しく出てくる「E事件」は加工せず、第8章で新しく出てくる「d」を加工する。第8章にて、「dはDのニックネームであること」が記載されていることから、生成部424は、「d」を「D」に変換する。生成部424は、「E事件のとき、Dがとても格好よかった」とのコメントを回答とする。これにより、ユーザの読了度合いより進度が進んでいるシーンに出てくる語彙を除外して、ユーザへの回答を生成することができる。したがって、ユーザからの要求に対して、所謂ネタバレのない回答を行うことが可能である。
【0060】
生成部424は、印刷物関連情報231を加工する場合、印刷物関連情報231に使用された1つの語彙を変換してもよいし、印刷物関連情報231に使用された複数の語彙を変換してもよい。また、生成部424は、印刷物関連情報231に使用された語彙のうち、一部を伏字とし、他の一部を特定の印刷物内進度の語彙に変換してもよい。また、一部をある印刷物内進度の語彙に変換し、他の一部を別の印刷物内進度の語彙に変換してもよい。
【0061】
出力部425は、生成部424によって生成された回答を示す出力情報を、通信部41を介して印刷物DBサーバ20に出力する。出力情報は、端末装置10に通知される、ユーザからの質問に対する回答を音声にて出力させるための情報である。例えば、端末装置10が音声情報を受信して、音声を出力する仕様である場合、出力情報は回答文を音声に変換した情報である。一方、端末装置10が、文字情報を受信し、受信した文字情報を音声に変換し、変換した音声を出力する仕様である場合、出力情報は回答文の文字情報である。
【0062】
図6は、実施形態に係る提供システム1が行う処理の流れを示すシーケンス図である。まず、ユーザはアプリを起動させ、印刷物の記載内容に関連する印刷物関連情報を要求する旨の発話をする。これに伴い、端末装置10は、音声を取得する(ステップS10)。端末装置10は、取得した音声情報に基づいた入力情報(音声情報そのもの、又は、音声を文字に変換した文字情報)を、サーバ装置40に送信する。
【0063】
サーバ装置40は、入力情報を受信し、受信した入力情報に基づき、要求に使用された語彙を検索情報として抽出し(ステップS11)、抽出した検索情報を印刷物DBサーバ20に通知する。これにより、サーバ装置40は、印刷物DBサーバ20に、印刷物DB23を検索させる。サーバ装置40は、印刷物DBサーバ20から検索結果を取得する。
【0064】
サーバ装置40は、検索結果を取得する(ステップS12)。検索結果は、印刷物情報230であってもよいし、印刷物関連情報231であってもよい。また、検索結果がユーザ関連情報232であってもよい。この場合、検索情報は、要求を行ったユーザのユーザIDである。サーバ装置40は、検索結果に基づいて、ユーザにおける印刷物の読了度合いを推定する。一方、サーバ装置40は、検索情報に基づいて印刷物関連情報231を参照し、検索結果を取得する。サーバ装置40は、取得した検索結果を、回答の候補として選択する(ステップS14)。
【0065】
サーバ装置40は、ユーザの読了度合い、及び回答の候補に基づいて、回答を生成する(ステップS15)。サーバ装置40が回答を生成する処理の流れは後で詳しく説明する。サーバ装置40は、生成した回答を示す出力情報(質問文の文字情報、又は、質問文を音声に変換した音声情報)を、端末装置10に送信する(ステップS16)。
【0066】
端末装置10は、出力情報を受信し、受信した出力情報に基づいて、回答を音声で出力させる(ステップS17)。端末装置10は、出力情報として回答文の文字情報を受信した場合、文字情報を音声に変換して出力する。一方、端末装置10は、出力情報として回答文の音声情報を受信した場合、音声情報をそのまま出力する。
【0067】
図7を用いてステップS15に示す処理、つまりサーバ装置40が回答を生成する処理の流れを説明する。図7は、実施形態に係るサーバ装置40が行う処理の流れを示すフローチャートである。
【0068】
サーバ装置40は、ユーザの読了度合と、回答の候補の印刷物関連情報の印刷物内進度と、を比較する。サーバ装置40は、ユーザの読了度合いが回答の候補の印刷物関連情報の印刷物内進度より進んでいるか否かを判定する(ステップS20)。サーバ装置40は、ユーザの読了度合いが、回答の候補の印刷物関連情報の印刷物内進度より進んでいる場合、回答の候補の印刷物関連情報を回答として選択する(ステップS21)。
【0069】
一方、サーバ装置40は、ユーザの読了度合いが、回答の候補の印刷物関連情報の印刷物内進度より遅れている場合、回答の候補の印刷物関連情報を加工可能か否か判定する(ステップS22)。ここでの加工は、語彙を伏字とするか、又は語彙をユーザの読了度合いと同じか遅れた進度の語彙に変換することを示す。サーバ装置40は、加工可能である場合、回答の候補の印刷物関連情報を加工し、加工した印刷物関連情報を回答として選択する(ステップS23)。
【0070】
一方、サーバ装置40は、回答の候補の印刷物関連情報が加工できない場合、回答の候補の印刷物関連情報を非選択、つまり回答として選択しない(ステップS24)。
【0071】
サーバ装置40は、全ての回答の候補の印刷物関連情報について、回答として選択するか否かの判定をしたか否かを判定する(ステップS25)。サーバ装置40は、判定していない回答の候補がある場合にはステップS20に戻って、残りの回答候補を回答として選択するか検討する。
【0072】
図8図9は、実施形態に係る端末装置10の表示例を示す図である。図8に示すように、ユーザは、印刷物を閲覧し、登場人物Dに興味を持ち、Dに関する印刷物関連情報を取得しとうと思い、アプリを起動させて、端末装置10のマイクに向かって「Dはどんな人物」「Dに寄せられたコメントを教えて」と要求を行う。この発話が文字に変換され、端末装置10の表示画面に表示される。
【0073】
サーバ装置40は、要求に基づく検索を行った結果、ユーザの読了度合いが第2章であると推定する。サーバ装置40は、Dに関して投稿されたコメントのうち、印刷物内進度が第2章よりも遅いものを回答とする。具体的には、「DはE海賊団の主導者です。カリスマがあり、世界中の海賊から尊敬されています。『Dが物語に登場して面白くなってきた』というコメントが投稿されました。Dの幼少期を描いた外伝が発売されました。」との回答を生成する。ここで、実際に投稿された文言は「dの幼少期を描いた外伝が発売されました」というものであったが、dの語彙が初めて出てくるのは第8章であるため、文言を加工している。端末装置10に返信する。この回答は、端末装置10のスピーカから音声出力されるとともに、端末装置10の表示画面に表示される。なお、この例のように、回答には、コメントのみならず、広告や、補足情報などが含まれていてよい。
【0074】
図9に示すように、ユーザは、印刷物を閲覧し、登場人物Dに興味を持ち、Dに関する印刷物関連情報を取得しとうと思い、アプリを起動させて、端末装置10のマイクに向かって「dはどんな人物」「dに寄せられたコメントを教えて」と要求を行う。
【0075】
サーバ装置40は、要求に基づく検索を行った結果、ユーザの読了度合いが第8章であると推定する。サーバ装置40は、Dに関して投稿されたコメントのうち、印刷物内進度が第8章よりも遅いものを回答とする。具体的には、「dはE海賊団の主導者です。主人公Aの兄Cとの闘いに勝ちました。その後、Aとの闘いに負け、改心し、E事件ではDはAの仲間として闘い…」との回答を生成する。端末装置10に返信する。この回答は、端末装置10のスピーカから音声出力されるとともに、端末装置10の表示画面に表示される。
【0076】
以上説明したように、実施形態に係るサーバ装置40は、取得部420と、推定部422と、選択部423と、生成部424とを備える。取得部420は、ユーザからの要求に対応する入力情報を取得する。推定部422は、取得部420によって取得された入力情報に基づいて、要求に使用された語彙からユーザにおける印刷物の読了度合いを推定する。選択部423は、取得部420によって取得された入力情報、及び印刷物関連情報231に基づいて、要求に対する回答の候補とする印刷物関連情報を選択する。印刷物関連情報231は、印刷物の記載内容に関連する情報である。生成部424は、推定部422によって推定されたユーザの読了度合い、及び選択部423によって選択された要求に対する回答の候補とする印刷物関連情報に基づいて、要求に対する回答を生成する。これにより、実施形態に係るサーバ装置40は、印刷物の読了度合いを取得することができる。したがって、書籍に関する情報を提供する際に、ユーザが閲覧している印刷物の読了度合いに基づいた適切な情報提供を行うことが可能である。
【0077】
ここで比較例として、読了位置が明示的に取得される場合を考える。例えば、特許文献3のように、RFIDなどの通信機能を備えた栞を印刷物の読了位置に挟むことにより、読了位置が取得される構成を考える。この場合、ユーザは、印刷物の読了位置を読み取らせるために最新の読了位置に栞を挟んでおく必要がある。比較例において、例えば、ユーザが前回栞を挟んだ位置から読み始め、読み進めた先の場面で登場した人物について、その人物の人柄や今後の展開などを質問しようとする。この場合、ユーザは、読み進めた位置に栞を挟みなおして書籍を閉じる必要がある。次に、ユーザは、書籍に栞を挟んだ状態で、装置に印刷物の読了位置を読み取らせる。そして、ユーザは、読了位置を読み取らせた後に質問を行う。このように、ユーザが書籍を読みながら疑問に思ったことを質問しようとする度に複数の手間がかかってしまう。このため、書籍に対する没入感が損なわれてしまう可能性がある。
【0078】
これに対し、本実施形態では、要求に使用された語彙からユーザにおける印刷物の読了度合いを推定する。この構成により、ユーザは、書籍を読んで疑問に思ったことを、端末装置10のマイクに向かって質問すればよく、質問のために栞を挟みなおしたりする手間を要しない。このため書籍に対する没入感をより損なうことなく、質問に対する回答を得ることが可能である。
【0079】
実施形態に係るサーバ装置40では、推定部422は、印刷物情報230を参照し、要求に使用された語彙に対応する印刷物の記載内容に対応づけられた印刷物内進度を用いて、読了度合いを推定する。これにより、ユーザが要求する際に使用された語彙から読了度合いを推定することができる。
【0080】
実施形態に係るサーバ装置40では、推定部422は、ユーザ関連情報232を用いて、読了度合いを推定する。これにより、前回推定した読了度合いを用いて推定することができる。したがって上述した効果と同様の効果を奏する。
【0081】
実施形態に係るサーバ装置40では、推定部422は、印刷物関連情報231に対応づけられた印刷物内進度を用いて読了度合いを推定する。これにより、上述した効果と同様の効果を奏する。
【0082】
実施形態に係るサーバ装置40では、生成部424は、印刷物情報230に基づいて判定した、回答の候補とする印刷物関連情報231に対応づけられた印刷物内進度、及び推定部422によって推定された読了度合いを用いて、回答を生成する。これにより、ユーザの読了度合いに応じて、所謂ネタバレを避けた回答を生成することが可能である。
【0083】
実施形態に係るサーバ装置40では、生成部424は、選択部423によって選択された回答の候補とする印刷物関連情報231のうち、印刷物内進度が、推定部422によって推定された読了度合いよりも遅れている情報を用いて、回答を生成する。これにより、上述した効果と同様の効果を奏する。
【0084】
実施形態に係るサーバ装置40では、生成部424は、選択部423によって選択された回答の候補とする印刷物関連情報231のうち、印刷物内進度が、読了度合いよりも進んでいる情報に使用されている語彙を加工し、加工した印刷物関連情報を用いて、回答を生成する。これにより、上述した効果と同様の効果を奏する。
【0085】
上述した実施形態における端末装置10、及び提供システム1の全部または一部をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0086】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0087】
1…提供システム
10…端末装置
12…制御部
20…印刷物DBサーバ
23…印刷物DB
230…印刷物情報
231…印刷物関連情報
232…ユーザ関連情報
40…サーバ装置(提供装置)
42…制御部
420…取得部
421…対話制御部
422…推定部
423…選択部
424…生成部
425…出力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9