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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】管理装置、管理方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 76/14 20180101AFI20240319BHJP
   H04M 3/00 20240101ALI20240319BHJP
   H04M 3/36 20060101ALI20240319BHJP
   H04W 52/24 20090101ALI20240319BHJP
   H04W 72/0453 20230101ALI20240319BHJP
   H04W 92/18 20090101ALI20240319BHJP
【FI】
H04W76/14
H04M3/00 D
H04M3/36 C
H04W52/24
H04W72/0453
H04W92/18
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019230594
(22)【出願日】2019-12-20
(65)【公開番号】P2021100172
(43)【公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】萬浪 一貴
【審査官】桑江 晃
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-524190(JP,A)
【文献】特開2015-35693(JP,A)
【文献】国際公開第2016/194279(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00 - 99/00
H04M 3/00
H04M 3/36
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各端末装置から位置情報の受信及び直接通信の要求の受信を行う受信部と、
前記直接通信の要求を受信した際に、直接通信に使用する周波数及び送信電力を決定する制御部と、
前記制御部において決定した周波数及び送信電力に関する情報を、前記直接通信に関与する端末装置に送信することにより前記直接通信を許可する送信部と、
を備え、
前記制御部は、第1端末装置と第2端末装置とが第1送信電力で直接通信を実行中に、前記受信部において第4端末装置との直接通信の要求を第3端末装置から受信した際に、第1端末装置または第2端末装置の位置と第3端末装置の位置との距離及び第1端末装置または第2端末装置の位置と第4端末装置の位置との距離のうちの最短距離がしきい値以上である場合、第3端末装置と第4端末装置との直接通信に対して、第1端末装置と第2端末装置との直接通信に使用している周波数を使用可能であると決定するとともに、前記送信電力として第1送信電力以下である第2送信電力を使用することを決定し、
前記送信部は、前記制御部が決定した周波数及び送信電力に関する情報を第3端末装置及び第4端末装置に送信
前記受信部は、直接通信の終了を示す終了通知を受信する機能、
前記制御部は、前記受信部において前記第1端末装置と前記第2端末装置との直接通信の終了を受信した際に、前記第3端末装置と前記第4端末装置が使用する送信電力として前記第2送信電力から前記第1送信電力に変更することを決定する機能、
前記送信部は、直接通信が終了したことを通知するとともに、送信電力に関する情報を送信する機能、
を更に備え、
前記受信部が直接通信の終了を示す終了通知を受信した場合、前記制御部は、前記第3端末装置と前記第4端末装置が使用する送信電力として前記第2送信電力から前記第1送信電力に変更することを決定し、前記送信部は、前記制御部が決定した送信電力に関する情報を前記第3端末装置及び前記第4端末装置に送信する
ことを特徴とする管理装置。
【請求項2】
前記制御部は、第2送信電力を第1送信電力よりも小さくすることを特徴とする請求項1に記載の管理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記最短距離がしきい値以上でない場合、第3端末装置と第4端末装置との直接通信に対して、第1端末装置と第2端末装置との直接通信に使用されている周波数とは異なった別の周波数を使用可能であると決定することを特徴とする請求項1または2に記載の管理装置。
【請求項4】
各端末装置から位置情報の受信及び直接通信の要求の受信を行うステップと、
前記直接通信の要求を受信した際に、直接通信に使用する周波数及び送信電力を決定するステップと、
前記決定した周波数及び前記送信電力に関する情報を、前記直接通信に関与する端末装置に送信することにより前記直接通信を許可するステップと、
第1端末装置と第2端末装置とが第1送信電力で直接通信を実行中に、第4端末装置との直接通信の要求を第3端末装置から受信した際に、第1端末装置または第2端末装置の位置と第3端末装置の位置との距離及び第1端末装置または第2端末装置の位置と第4端末装置の位置との距離のうちの最短距離がしきい値以上である場合、第3端末装置と第4端末装置との直接通信に対して、第1端末装置と第2端末装置との直接通信に用いている周波数を使用可能であると決定するとともに、前記送信電力として第1送信電力以下である第2送信電力を使用することを決定するステップと、
前記決定した周波数及び送信電力に関する情報を第3端末装置及び第4端末装置に送信するステップと、
直接通信の終了を示す終了通知を受信した場合、前記第3端末装置と前記第4端末装置が使用する送信電力として前記第2送信電力から前記第1送信電力に変更することを決定し、決定した送信電力に関する情報を前記第3端末装置及び前記第4端末装置に送信するステップと
を備えることを特徴とする管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信技術に関し、特に端末装置間の直接通信を管理する管理装置、管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2つの端末装置は基地局装置を介してなされる間接通信を行う場合と、基地局を介さない直接通信を行う場合とがある。例えば、特許文献1において、サーバが2つの端末装置間の直接通信を検出した場合に、必要な設定情報を作成して2つの端末装置に転送し、2つの端末装置は受信した設定情報に基づいて直接通信を開始する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006―086936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通信システムにおいて使用可能な周波数は一定の範囲に限定される。しかしながら、ある端末装置の組合せが一周波数を使用して直接通信を行っている際に、他の端末装置の組合せが同じ周波数を使用して通信しようとすると、干渉が発生して通信の品質が悪化する。そのため、同じ周波数を使用して他の端末装置の組合せが通信することが困難となる。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、一方の組合せの端末装置が一周波数を使用して直接通信している場合に、他方の組合せの端末装置が同じ周波数を使用して直接通信を行うことを可能にする技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の管理装置は、各端末装置から位置情報の受信及び直接通信の要求の受信を行う受信部と、直接通信の要求を受信した際に、直接通信に使用する周波数及び送信電力を決定する制御部と、制御部において決定した周波数及び送信電力に関する情報を、直接通信に関与する端末装置に送信することにより直接通信を許可する送信部と、を備える。制御部は、第1端末装置と第2端末装置とが第1送信電力で直接通信を実行中に、受信部において第4端末装置との直接通信の要求を第3端末装置から受信した際に、第1端末装置または第2端末装置の位置と第3端末装置の位置との距離及び第1端末装置または第2端末装置の位置と第4端末装置の位置との距離のうちの最短距離がしきい値以上である場合、第3端末装置と第4端末装置との直接通信に対して、第1端末装置と第2端末装置との直接通信に使用している周波数を使用可能であると決定するとともに、送信電力として第1送信電力以下である第2送信電力を使用することを決定し、送信部は、制御部が決定した周波数及び送信電力に関する情報を第3端末装置及び第4端末装置に送信受信部は、直接通信の終了を示す終了通知を受信する機能、制御部は、受信部において第1端末装置と第2端末装置との直接通信の終了を受信した際に、第3端末装置と第4端末装置が使用する送信電力として第2送信電力から第1送信電力に変更することを決定する機能、送信部は、直接通信が終了したことを通知するとともに、送信電力に関する情報を送信する機能、を更に備え、受信部が直接通信の終了を示す終了通知を受信した場合、制御部は、第3端末装置と第4端末装置が使用する送信電力として第2送信電力から第1送信電力に変更することを決定し、送信部は、制御部が決定した送信電力に関する情報を第3端末装置及び第4端末装置に送信する
【0007】
本発明の別の態様は、管理方法である。この方法は、各端末装置から位置情報の受信及び直接通信の要求の受信を行うステップと、直接通信の要求を受信した際に、直接通信に使用する周波数及び送信電力を決定するステップと、決定した周波数及び送信電力に関する情報を、直接通信に関与する端末装置に送信することにより直接通信を許可するステップと、第1端末装置と第2端末装置とが第1送信電力で直接通信を実行中に、第4端末装置との直接通信の要求を第3端末装置から受信した際に、第1端末装置または第2端末装置の位置と第3端末装置の位置との距離及び第1端末装置または第2端末装置の位置と第4端末装置の位置との距離のうちの最短距離がしきい値以上である場合、第3端末装置と第4端末装置との直接通信に対して、第1端末装置と第2端末装置との直接通信に用いている周波数を使用可能であると決定するとともに、送信電力として第1送信電力以下である第2送信電力を使用することを決定するステップと、決定した周波数及び送信電力に関する情報を第3端末装置及び第4端末装置に送信するステップと、直接通信の終了を示す終了通知を受信した場合、第3端末装置と第4端末装置が使用する送信電力として第2送信電力から第1送信電力に変更することを決定し、決定した送信電力に関する情報を第3端末装置及び第4端末装置に送信するステップとを備える。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、一方の組合せの端末装置が一周波数を使用して直接通信している場合に、他方の組合せの端末装置が同じ周波数を使用して直接通信を行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1(a)-(c)は、本実施例の前提となる通信システムの構成を示す図である。
図2】本実施例に係る通信システムの構成を示す図である。
図3図2の管理装置の構成を示す図である。
図4図3の記憶部に記憶されるテーブルのデータ構造を示す図である。
図5図2の通信システムによる通信手順を示すシーケンス図である。
図6図2の通信システムによる別の通信手順を示すシーケンス図である。
図7図3の管理装置による処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を具体的に説明する前に、まず概要を述べる。本発明の実施例は、複数の端末装置を含む通信システムに関する。通信システムは例えば業務用無線に対応しており、業務用無線では、複数の端末装置が基地局装置を介さずに直接通信する直接通信と、複数の端末装置が基地局装置を介して通信する間接通信が実行可能である。間接通信は、トランキング通信とも呼ばれる。直接通信と間接通信とを含む無線通信では、周波数の利用効率の向上と、通信品質の向上とが求められる。間接通信は基地局装置によって管理されるので、通信品質の悪化を防ぐように周波数を利用することが可能である。一方、直接通信は基地局装置によって管理されないので、周波数の利用効率の向上と、通信品質の向上との両立が困難である。
【0012】
本実施例に係る通信システムでは、直接通信も基地局装置が管理する。各端末装置は、自らの位置情報を測位し、位置情報を定期的に基地局装置に送信する。基地局装置は、各端末装置の位置情報をもとに、直接通信を実行する端末装置の組合せ間の距離を導出し、距離が長ければ同一の周波数を使用させ、距離が短ければ別の周波数あるいは別のチャネルを使用させる。
【0013】
図1(a)-(c)は、前提となる通信システム1000の構成を示す。通信システム1000は、例えば業務用無線である。図1(a)は直接通信における構成であり、通信システム1000は、端末装置100と総称される第1端末装置100a、第2端末装置100bを含む。第1端末装置100aと第2端末装置100bは、直接通信を実行するための組合せである。ここでは説明を簡潔にするため、組合せには2つの端末装置100が含まれるが、3つ以上の端末装置100が含まれてもよい。その際、3つ以上の端末装置100によりグループ通信がなされる。
【0014】
例えば、第1端末装置100aが発話者によって使用され、第2端末装置100bが受話者によって使用される。第1端末装置100aは、PTT(Push-To-Talk)に対応しており、PTTボタンが押し下げられることによって、音声信号が含まれた発呼信号を送信する。第2端末装置100bは、第2端末装置100bのPTTボタンが押し下げられていない期間において、第1端末装置100aからの発呼信号を受信し、発呼信号に含まれた音声信号を再生する。第2端末装置100bが発話者によって使用され、第1端末装置100aが受話者によって使用される場合は逆の動作がなされる。このような組合せで使用される周波数は、例えば、第1端末装置100aと第2端末装置100bとに設定される。そのため、周波数が有効利用されない。仮に、第1端末装置100aと第2端末装置100bとが自由に周波数を設定する場合に、他の組合せで使用される周波数と同一になることもあり、干渉が発生しうる。
【0015】
図1(b)は間接通信における構成であり、通信システム1000は、端末装置100と総称される第1端末装置100a、第2端末装置100b、基地局装置200を含む。基地局装置200は管理装置300を含む。管理装置300は、基地局装置200において規定される周波数を端末装置100に割り当てる。図1(c)は、基地局装置200において規定される周波数を示す。基地局装置200には、制御CH、第1通話CH、第2通話CH、第3通話CHが設けられる。制御CHは、端末装置100と基地局装置200との間の制御信号の通信に使用されるためのチャネルである。制御CHは、基地局装置200から端末装置100へ向かう制御信号を送信させるための制御CH下りリンク周波数、端末装置100から基地局装置200へ向かう制御信号を送信させるための制御CH上りリンク周波数を含む。
【0016】
第1通話CHは、発呼信号の通信に使用されるためのチャネルであり、制御CHとは異なった周波数あるいは異なったタイミングに設けられる。つまり、第1通話CHは制御CHと干渉しないように設けられる。第1通話CHは、基地局装置200から端末装置100へ向かう発呼信号を送信させるための第1CH下りリンク周波数、端末装置100から基地局装置200へ向かう発呼信号を送信させるための第1CH上りリンク周波数を含む。第2通話CHと第3通話CHは、第1通話CHでの発呼信号とは別の発呼信号の通信に使用されるためのチャネルであり、制御CH、第1通話CHとは異なった周波数あるいは異なったタイミングに設けられる。図1(b)に戻る。
【0017】
第1端末装置100aが第2端末装置100bとの通信を要求する場合、第1端末装置100aは、制御CH上りリンク周波数を使用して通信要求を基地局装置200に送信する。基地局装置200の管理装置300は、第1端末装置100aと第2端末装置100bとの組合せに対して第1通話CHを割り当てる。基地局装置200は、制御CH下りリンク周波数を使用して、割当の結果が含まれた割当通知を第1端末装置100aと第2端末装置100bに送信する。その後、第1端末装置100aは、第1CH上りリンク周波数を使用して発呼信号を基地局装置200に送信し、基地局装置200は、第1CH下りリンク周波数を使用して発呼信号を第2端末装置100bに送信する。
【0018】
図2は、通信システム2000の構成を示す。通信システム2000は、端末装置500と総称される第1端末装置500aから第4端末装置500d、基地局装置600を含む。基地局装置600は管理装置700を含む。管理装置700は、基地局装置600とは別に設けられてもよい。端末装置500は端末装置100に対応し、基地局装置600は基地局装置200に対応し、管理装置700は管理装置300に対応する。ここで、第1端末装置500aと第2端末装置500bは第1組合せに含まれ、第3端末装置500cと第4端末装置500dは第2組合せに含まれる。
【0019】
第1端末装置500aは、通信を実行している否かにかかわらず第1端末装置500aの位置情報(以下、「第1位置情報」という)を定期的に測位し、第1位置情報を基地局装置600に定期的に送信する。第2端末装置500bは、第1端末装置500aと同様に、第2端末装置500bの位置情報(以下、「第2位置情報」という)を定期的に測位し、第2位置情報を基地局装置600に定期的に送信する。第3端末装置500cは、第3端末装置500cの位置情報(以下、「第3位置情報」という)を基地局装置600に定期的に送信し、第4端末装置500dは、第4端末装置500dの位置情報(以下、「第4位置情報」という)を基地局装置600に定期的に送信する。ここで、位置情報とは端末装置の位置そのものを示すものであってもよく、この場合、第1位置情報と第2位置情報との距離は第1端末装置500aの位置と第2端末装置500bの位置との距離を示す。
【0020】
以下では、これに続く処理を説明するために、図3も使用する。図3は、管理装置700の構成を示す。管理装置700は、通信部10、制御部20、記憶部30を含み、通信部10は、受信部12、送信部14を含む。受信部12は、第1位置情報を第1端末装置500aから受信し、第2位置情報を第2端末装置500bから受信し、第3位置情報を第3端末装置500cから受信し、第4位置情報を第4端末装置500dから受信する。制御部20は、第1位置情報から第4位置情報を記憶部30のテーブルに記憶させる。制御部20は、第1位置情報から第4位置情報を新たに受けつけると、記憶部30のテーブルを更新する。
【0021】
図2の第1端末装置500aは、第1組合せによる直接通信の要求を、制御CH上りリンク周波数を使用して基地局装置600に送信する。受信部12は、第1組合せによる直接通信の要求を第1端末装置500aから受信する。
【0022】
制御部20は、受信部12において受信した要求をもとに、第1組合せのための周波数を割り当てるとともに、第1組合せのための送信電力を決定する。ここでは、第1通話CHが空いていると想定するので、制御部20は、第1通話CHの第1通話CH下りリンク周波数を割り当てる。また、制御部20は、第1位置情報と第2位置情報との距離(以下、「第1距離」という)を導出する。制御部20は、第1距離が所定値未満である場合、ローパワーの使用を決定し、第1距離が所定値未満でない場合、すなわち第1距離が所定値以上である場合、ハイパワーの使用を決定する。ローパワーはハイパワーよりも小さい送信電力であり、所定値は、ローパワーで通信可能な距離以下となるように設定される。ここで、送信電力は、ハイパワーとローパワーの2段階の値ではなく、3段階以上の値で規定されてもよい。
【0023】
制御部20は、処理の結果を記憶部30のテーブルに記憶する。図4は、記憶部30に記憶されるテーブルのデータ構造を示す。第1端末装置500aと第2端末装置500bに対して、周波数の割当、送信電力の決定の結果が示される。一方、第3端末装置500cと第4端末装置500dに対して、周波数の割当、送信電力の決定がなされていないので、位置情報だけが示される。図3に戻る。送信部14は、制御部20において割り当てた第1通話CH下りリンク周波数と、決定した送信電力とが示された情報(以下、「割当通知」という)を第1端末装置500aと第2端末装置500bに送信する。ここで、割当通知は、受信部12において受信した直接通信の要求に対し、許可を与える信号ということができる。したがって、送信部14は直接通信に関与する端末装置である第1端末装置500a及び第2端末装置500bに割当通知を送信することによって、直接通信を許可している。
【0024】
第1端末装置500aと第2端末装置500bは、割当通知を受信する。その結果、第1端末装置500aは、第1通話CH下りリンク周波数を使用して第2端末装置500bに発呼信号を送信する。また、第2端末装置500bは、第1端末装置500aが発呼信号を送信していない期間において、第1通話CH下りリンク周波数を使用して第1端末装置500aに発呼信号を送信する。これにより、第1組合せにおける直接通信がなされる。
【0025】
第1組合せにおける直接通信がなされている状況において、図2の第3端末装置500cは、第2組合せによる直接通信の要求を、制御CH上りリンク周波数を使用して基地局装置600に送信した場合について説明する。受信部12は、第2組合せによる直接通信の要求を第3端末装置500cから受信する。制御部20は、受信部12において受信した要求をもとに、第2組合せのための周波数を割り当てるとともに、第2組合せのための送信電力を決定する。その際、制御部20は、記憶部30に記憶されたテーブルを参照する。
【0026】
制御部20は、第3位置情報と第4位置情報との間の第1距離を導出する。制御部20は、第1距離が所定値未満でない場合、すなわち第1距離が所定値以上である場合、第1組合せのための周波数とは異なった別の周波数を第2組合せに割り当てる。例えば、第1通話CH上りリンク周波数、第2通話CH、第3通話CHの周波数が割り当てられる。また、制御部20は、送信電力としてハイパワーを決定する。一方、制御部20は、第1距離が所定値未満である場合、第1組合せと第2組合せとの間の第2距離を導出する。ここで、第2距離は、第1位置情報または第2位置情報と第3位置情報との間の距離、第1位置情報または第2位置情報と第4位置情報との間の距離のうちの最短距離である。
【0027】
制御部20は、第2距離がしきい値以上である場合、第2の組合せが第1組合せのための周波数で通信することが可能であると判断するとともに、第1組合せの送信電力以下の送信電力を第2組合せのために決定する。例えば、第1組合せの送信電力よりも小さい送信電力が第2組合せのために決定される。ここでは、第1通話CH下りリンク周波数で通信することが可能であると判断するとともに、ローパワーが決定される。一方、制御部20は、第2距離がしきい値以上でない場合、第1組合せのための周波数での通信は困難であると判断し、第1組合せのための周波数とは異なった別の周波数を使用することを決定する。また、制御部20は、送信電力としてハイパワーを決定する。
【0028】
送信部14は、制御部20において割り当てたリンク周波数と、決定した送信電力とが示された情報(以下、「割当通知」という)を第3端末装置500cと第4端末装置500dに送信する。第3端末装置500cと第4端末装置500dは、割当通知を受信する。
【0029】
第1距離が所定値未満であり、第2距離がしきい値以上である場合、第3端末装置500cは、第1通話CH下りリンク周波数を使用してローパワーで第4端末装置500dに発呼信号を送信する。また、第4端末装置500dは、第3端末装置500cが発呼信号を送信していない期間において、第1通話CH下りリンク周波数を使用してローパワーで第3端末装置500cに発呼信号を送信する。これにより、第1組合せと同一の周波数を使用して、第2組合せにおける直接通信がなされる。
【0030】
第1距離が所定値未満でないか、あるいは第2距離がしきい値以上でない場合、第3端末装置500cは、第1通話CH上りリンク周波数を使用して第4端末装置500dに発呼信号を送信する。また、第4端末装置500dは、第3端末装置500cが発呼信号を送信していない期間において、第1通話CH上りリンク周波数を使用して第3端末装置500cに発呼信号を送信する。これにより、第1組合せと異なった周波数を使用して、第2組合せにおける直接通信がなされる。
【0031】
第1組合せにおける直接通信がなされていない状況において、基地局装置600が第3端末装置500cから第2組合せによる直接通信の要求を受信した場合、基地局装置600は第1組合せによる直接通信の要求を受信した場合と同様の処理を、第3端末装置500c及び第4端末装置500dに対して行う。
【0032】
この構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウエア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ハードウエアとソフトウエアの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0033】
以上の構成による通信システム2000の動作を説明する。図5は、通信システム2000による通信手順を示すシーケンス図である。これは、第1端末装置500aと第2端末装置500bとが直接通信を実行するまでの処理に相当する。第1端末装置500aから第4端末装置500dは、位置情報を管理装置700に送信する(S10、S12、S14、S16)。第1端末装置500aは、第1組合せに対する通信要求を管理装置700に送信する(S18)。管理装置700は、第1組合せに対する周波数を割り当てるとともに、送信電力を決定する(S20)。管理装置700は、割当通知を第1端末装置500a、第2端末装置500bに送信する(S22、S24)。第1端末装置500aと第2端末装置500bは、直接通信を実行する(S26)。
【0034】
図6は、通信システム2000による別の通信手順を示すシーケンス図である。これは、第1端末装置500aと第2端末装置500bとが直接通信を実行している状況下において、第3端末装置500cと第4端末装置500dとが直接通信を実行するまでの処理に相当する。第1端末装置500aから第4端末装置500dは、位置情報を管理装置700に送信する(S100、S102、S104、S106)。第1端末装置500aと第2端末装置500bは、直接通信を実行する(S108)。第3端末装置500cは、第2組合せに対する通信要求を管理装置700に送信する(S110)。管理装置700は、第2組合せに対する判定を行い(S112)、周波数を割り当てるとともに、ローパワーを決定する(S114)。管理装置700は、割当通知を第3端末装置500c、第4端末装置500dに送信する(S116、S118)。第3端末装置500cと第4端末装置500dは、直接通信を実行する(S120)。
【0035】
第1組合せの通信が終了する場合、第1端末装置500aは終了通知を管理装置700に送信する(S122)。管理装置700は、終了通知を受信することによって、第1組合せの通信の終了を認識する。その際、管理装置700は、第3端末装置500c、第4端末装置500dに、第1組合せの通信の終了を通知するようにしてもよい。また、第1組合せの通信の終了を認識した第3端末装置500c、第4端末装置500dは、ハイパワーに変更してもよい。
【0036】
図7は、管理装置700による処理手順を示すフローチャートである。制御部20は、第1距離を導出する(S200)。第1距離が所定値未満である場合(S202のY)、制御部20は、第2距離を導出する(S204)。第2距離がしきい値以上である場合(S206のY)、制御部20は、既に直接通信が実行されている組合せで使用されている周波数と同一の周波数を割り当てるとともに、ローパワーを決定する(S208)。第1距離が所定値未満でない場合(S202のN)、あるいは第2距離がしきい値以上でない場合(S206のN)、制御部20は、既に直接通信が実行されている組合せで使用されている周波数と別の周波数を割り当てる(S210)。
【0037】
本実施例によれば、第1距離が所定値未満であり、かつ第2距離がしきい値以上である場合、第1組合せのための周波数を前記第2組合せにも割り当て、第1送信電力以下の第2送信電力を前記第2組合せのために決定するので、通信の品質の悪化を抑制できる。また、第1距離が所定値未満であり、かつ第2距離がしきい値以上である場合、第1組合せのための周波数を前記第2組合せにも割り当て、第1送信電力以下の第2送信電力を前記第2組合せのために決定するので、周波数を有効に使用できる。また、第1距離が所定値未満であり、かつ第2距離がしきい値以上である場合、第1組合せのための周波数を前記第2組合せにも割り当て、第1送信電力以下の第2送信電力を前記第2組合せのために決定するので、通信の品質の悪化を抑制しながら、周波数を有効に使用できる。
【0038】
また、第1位置情報と第3位置情報との間の距離、第1位置情報と第4位置情報との間の距離、第2位置情報と前記第3位置情報との間の距離、第2位置情報と前記第4位置情報との間の距離のうちの最短距離を第2距離とするので、干渉の発生を抑制できる。また、第2送信電力を第1送信電力よりも小さくするので、第1組合せに与える影響を低減できる。また、第1距離が所定値未満でない場合、あるいは第2距離がしきい値以上でない場合、第1組合せのための周波数とは異なった別の周波数を前記第2組合せに割り当てるので、通信の品質の悪化を抑制できる。
【0039】
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0040】
10 通信部、 12 受信部、 14 送信部、 20 制御部、 30 記憶部、 500 端末装置、 600 基地局装置、 700 管理装置、 2000 通信システム。
図1
図2
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図4
図5
図6
図7