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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】生命体検出方法、検出装置及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   G01S 13/52 20060101AFI20240319BHJP
   A61B 5/11 20060101ALI20240319BHJP
   G01V 3/12 20060101ALI20240319BHJP
   G01S 13/34 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
G01S13/52
A61B5/11 110
G01V3/12 A
G01S13/34
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2019236455
(22)【出願日】2019-12-26
(65)【公開番号】P2020134513
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2022-09-08
(31)【優先権主張番号】201910122519.X
(32)【優先日】2019-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】シエ・リリ
(72)【発明者】
【氏名】ティアン・ジュン
(72)【発明者】
【氏名】リ・ホォンチュヌ
(72)【発明者】
【氏名】ジャオ・チエヌ
【審査官】安井 英己
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05794173(US,A)
【文献】中国特許出願公開第106821347(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第108663675(CN,A)
【文献】欧州特許出願公開第03425419(EP,A1)
【文献】特開2013-257249(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/00- 7/42,
G01S 13/00-13/95,
A61B 5/11,
G01V 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線信号送信源が無線信号を送信し、無線信号受信器が生命体から反射された無線信号を受信し、受信した前記無線信号に基づいて、前記生命体を検出するための生命体検出方法であって、
所定期間内で前記無線信号受信器が受信した前記無線信号のフーリエ変換振幅の変化値に基づいて、距離行列を計算し;
前記距離行列に基づいて、前記生命体と前記無線信号受信器との距離を計算し;及び
前記距離行列における、第一距離インデックス又は第二距離インデックスが第一所定値よりも小さい要素について、受信した前記無線信号の位相情報に基づいて、該要素の値を更新することを含み、
前記無線信号送信源及び前記無線信号受信器は、1つのマイクロ波レーダにより実現され、
前記無線信号送信源が送信した前記無線信号及び前記無線信号受信器が受信した前記無線信号は、マイクロ波の信号であり、かつFMCW(Frequency Modulate Continuous Wave)変調方式に基づく無線信号であり、
前記距離行列は、2つ以上の要素を有し、各要素の値は、該要素に対応する距離範囲内に前記生命体が存在する確率を示し、該要素は、前記第一距離インデックス及び前記第二距離インデックスを有し、該要素に対応する距離範囲は、前記第一距離インデックスに対応する距離及び前記第二距離インデックスに対応する距離のうちの小さいもの以上、且つ前記第一距離インデックスに対応する距離及び前記第二距離インデックスに対応する距離のうちの大きいもの以下である、生命体検出方法。
【請求項2】
無線信号送信源が無線信号を送信し、無線信号受信器が生命体から反射された無線信号を受信し、受信した前記無線信号に基づいて、前記生命体を検出するための生命体検出方法であって、
前記生命体前記無線信号受信器との間の推定距離に基づいて、前記無線信号受信器が受信した前記無線信号のフーリエ変換振幅の変化値を用いて距離行列を計算し、又は、受信した前記無線信号の位相情報を用いて距離行列を計算し;及び
前記距離行列に基づいて、前記生命体と前記無線信号受信器との距離を計算することを含み、
前記無線信号送信源及び前記無線信号受信器は、1つのマイクロ波レーダにより実現され、
前記無線信号送信源が送信した前記無線信号及び前記無線信号受信器が受信した前記無線信号は、マイクロ波の信号であり、かつFMCW(Frequency Modulate Continuous Wave)変調方式に基づく無線信号であり、
前記推定距離が所定距離よりも大きい場合、受信した前記無線信号のフーリエ変換振幅の変化値に基づいて前記距離行列を計算し、
前記推定距離が前記所定距離以下の場合、受信した前記無線信号の位相情報に基づいて前記距離行列を計算し、
前記距離行列は、2つ以上の要素を有し、各要素の値は、該要素に対応する距離範囲内に前記生命体が存在する確率を示し、該要素は、第一距離インデックス及び第二距離インデックスを有し、該要素に対応する距離範囲は、前記第一距離インデックスに対応する距離及び前記第二距離インデックスに対応する距離のうちの小さいもの以上、且つ前記第一距離インデックスに対応する距離及び前記第二距離インデックスに対応する距離のうちの大きいもの以下である、生命体検出方法。
【請求項3】
請求項2に記載の生命体検出方法であって、
受信した前記無線信号のフーリエ変換振幅の変化値は、
受信した前記無線信号のフーリエ変換振幅の標準偏差を含む、生命体検出方法。
【請求項4】
請求項3に記載の生命体検出方法であって、
前記距離行列を計算することは、
前記第一距離インデックスと前記第二距離インデックスとの差の絶対値が所定値nよりも小さく、且つ0よりも大きい場合、
前記第一距離インデックスに対応する、受信した前記無線信号のフーリエ変換振幅の標準偏差が第三所定値θ3よりも大きく、且つ、前記第二距離インデックスに対応する、受信した前記無線信号のフーリエ変換振幅の標準偏差が第三所定値θ3よりも大きく;及び
前記第一距離インデックスに対応する前記標準偏差と、前記第一距離インデックスに対応する、所定期間内で受信した前記無線信号のフーリエ変換振幅の平均値との比の値が第四所定値β2よりも大きく、且つ、前記第二距離インデックスに対応する前記標準偏差と、前記第二距離インデックスに対応する、前記所定期間内で受信した前記無線信号のフーリエ変換振幅の平均値との比の値が第四所定値β2よりも大きい
という条件のうちの少なくとも1つが満足されるときに、前記距離行列中の対応する要素に第二所定値σ1を与える、生命体検出方法。
【請求項5】
請求項2に記載の生命体検出方法であって、
前記位相情報は、
所定期間内で前記第一距離インデックスに対応する距離の位相と前記第二距離インデックスに対応する距離の位相との間の相関性、及び/又は、前記所定期間内で受信した前記無線信号の位相の標準偏差を含む、生命体検出方法。
【請求項6】
請求項5に記載の生命体検出方法であって、
前記距離行列を計算することは、
前記第一距離インデックスと前記第二距離インデックスとの差の絶対値が所定値nよりも小さく且つ0よりも大きく、且つ、前記第一距離インデックスに対応する、受信した前記無線信号のフーリエ変換振幅の標準偏差が第五所定値θ1よりも大きく、また、前記第二距離インデックスに対応する、受信した前記無線信号のフーリエ変換振幅の標準偏差が第五所定値θ1よりも大きい場合、
前記第一距離インデックスに対応する、受信した前記無線信号の位相の標準偏差が第六所定値θ2よりも大きく、且つ、前記第二距離インデックスに対応する、受信した前記無線信号の位相の標準偏差が第六所定値θ2よりも大きく;及び
前記第一距離インデックスに対応する距離の位相と前記第二距離インデックスに対応する距離の位相との間の相関性を示す値が第七所定値σよりも大きい
という条件のうちの少なくとも1つが満足されるときに、前記距離行列中の対応する要素に、位相間の相関性を示す値を与えることを含む、生命体検出方法。
【請求項7】
請求項4又は6に記載の生命体検出方法であって、
前記所定値nが自然数であり、前記所定値nの値が前記無線信号受信器の距離分解能rに関連する、生命体検出方法。
【請求項8】
請求項に記載の生命体検出方法であって、
前記距離行列に基づいて、前記生命体と前記無線信号受信器との距離を計算することは、
前記距離行列における、値が所定値σ2よりも大きい要素の連続分布の数がn/mよりも大きいときに、該連続分布の要素に対応する距離範囲内に前記生命体が存在すると確定することを含み、
前記所定値σ2は、前記第二所定値σ1よりも小さい、生命体検出方法。
【請求項9】
請求項8に記載の生命体検出方法であって、
前記距離行列における、値が所定値σ2よりも大きい要素について、該要素に対応する対角要素にすべて第七所定値σを与え;及び
前記距離行列における、値が所定値σ2に等しい要素について、該要素の隣接する要素のうち、値が所定値σ2よりも大きい要素の数が第八所定値以上の場合、隣接する要素のうち、値が所定値σ2よりも大きい要素の平均値を用いて該要素の値を更新することをさらに含む、生命体検出方法。
【請求項10】
請求項2~9のうちの任意の1項に記載の生命体検出方法であって、
複数の所定期間内で検出した前記生命体と前記無線信号受信器との距離に基づいて、前記生命体と前記無線信号受信器との距離を確定することをさらに含む、生命体検出方法。
【請求項11】
請求項10に記載の生命体検出方法であって、
複数の前記所定期間内で検出した距離範囲のうち、同じ距離範囲の出現する比率が所定閾値を越えた場合、該距離範囲内に前記生命体が存在すると確定し、
2つの距離範囲の中心位置の距離がn*R以下の場合、該2つ距離範囲が同じ距離範囲であると判断する、生命体検出方法。
【請求項12】
無線信号送信源が無線信号を送信し、無線信号受信器が生命体から反射された無線信号を受信し、受信した前記無線信号に基づいて、前記生命体を検出するための生命体検出装置であって、
前記生命体前記無線信号受信器と間の推定距離に基づいて、前記無線信号受信器が受信した前記無線信号のフーリエ変換振幅の変化値を用いて距離行列を計算し、又は、受信した前記無線信号の位相情報を用いて距離行列を計算するための第四計算ユニット;及び
前記距離行列に基づいて、前記生命体と前記無線信号受信器との距離を計算するための第五計算ユニットを含み、
前記無線信号送信源及び前記無線信号受信器は、1つのマイクロ波レーダにより実現され、
前記無線信号送信源が送信した前記無線信号及び前記無線信号受信器が受信した前記無線信号は、マイクロ波の信号であり、かつFMCW(Frequency Modulate Continuous Wave)変調方式に基づく無線信号であり、
前記第四計算ユニットは、第六計算ユニット及び第七計算ユニットを含み、
前記推定距離が所定距離よりも大きい場合、前記第六計算ユニットは、受信した前記無線信号のフーリエ変換振幅の変化値に基づいて前記距離行列を計算し、
前記推定距離が前記所定距離以下の場合、前記第七計算ユニットは、受信した前記無線信号の位相情報に基づいて前記距離行列を計算し、
前記距離行列は、2つ以上の要素を有し、各要素の値は、該要素に対応する距離範囲内に前記生命体が存在する確率を示し、該要素は、第一距離インデックス及び第二距離インデックスを有し、該要素に対応する距離範囲は、前記第一距離インデックスに対応する距離及び前記第二距離インデックスに対応する距離のうちの小さいもの以上、且つ前記第一距離インデックスに対応する距離及び前記第二距離インデックスに対応する距離のうちの大きいもの以下である、生命体検出装置。
【請求項13】
請求項12に記載の生命体検出装置であって、
受信した前記無線信号のフーリエ変換振幅の変化値は、
受信した前記無線信号のフーリエ変換振幅の標準偏差を含む、生命体検出装置。
【請求項14】
請求項13に記載の生命体検出装置であって、
前記第一距離インデックスと前記第二距離インデックスとの差の絶対値が所定値nよりも小さく、且つ0よりも大きい場合、
前記第一距離インデックスに対応する、受信した前記無線信号のフーリエ変換振幅の標準偏差が第三所定値θ3よりも大きく、且つ、前記第二距離インデックスに対応する、受信した前記無線信号のフーリエ変換振幅の標準偏差が第三所定値θ3よりも大きく;及び
前記第一距離インデックスに対応する前記標準偏差と、前記第一距離インデックスに対応する、所定期間内で受信した前記無線信号のフーリエ変換振幅の平均値との比の値が第四所定値β2よりも大きく、且つ、前記第二距離インデックスに対応する前記標準偏差と、前記第二距離インデックスに対応する、前記所定期間内で受信した前記無線信号のフーリエ変換振幅の平均値との比の値が第四所定値β2よりも大きい
という条件のうちの少なくとも1つが満足されるときに、前記距離行列中の対応する要素に第二所定値σ1を与える、生命体検出装置。
【請求項15】
請求項12に記載の生命体検出装置であって、
前記位相情報は、所定期間内で前記第一距離インデックスに対応する距離の位相と前記第二距離インデックスに対応する距離の位相との間の相関性、及び/又は、前記所定期間内で受信した前記無線信号の位相の標準偏差を含む、生命体検出装置。
【請求項16】
請求項15に記載の生命体検出装置であって、
前記第一距離インデックスと前記第二距離インデックスとの差の絶対値が所定値nより小さく且つ0よりも大きく、且つ、第一距離インデックスに対応する、受信した前記無線信号のフーリエ変換振幅の標準偏差が第五所定値θ1よりも大きく、また、第二距離インデックスに対応する、受信した前記無線信号のフーリエ変換振幅の標準偏差が第五所定値θ1よりも大きい場合、
前記第一距離インデックスに対応する、受信した前記無線信号の位相の標準偏差が第六所定値θ2より大きく、且つ、前記第二距離インデックスに対応する、受信した前記無線信号の位相の標準偏差が第六所定値θ2よりも大きく;及び
前記第一距離インデックスに対応する距離の位相と、前記第二距離インデックスに対応する距離の位相との間の相関性を示す値が第七所定値σよりも大きい
という条件のうちの少なくとも1つが満足されるときに、前記距離行列中の対応する要素に、位相間の相関性を示す値を与える、生命体検出装置。
【請求項17】
請求項14に記載の生命体検出装置であって、
前記第五計算ユニットは、前記距離行列における、値が所定値σ2よりも大きい要素の連続分布の数がn/mよりも大きいときに、該連続分布の要素に対応する距離範囲内に前記生命体が存在すると確定するように構成され、
前記所定値σ2は、前記第二所定値σ1よりも小さい、生命体検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子情報技術分野に関し、特に、生命体検出方法、検出装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
生命体の徴候、例えば、呼吸、心拍数などが医療、ヘルスケア及び捜救(捜索及び救助)の重要なパラメータ及び根拠である。
【0003】
技術の進歩に伴い、非接触型生命徴候検出技術が進展している。非接触型生命徴候検出技術では、被検体が装置を装着しなくても、便利な生命徴候検出が実現され得る。そのうち、該被検体は、例えば、人体、動物体などであっても良い。
【0004】
無線信号に基づく生命徴候検出技術が非接触型生命徴候検出技術の1つの重要な側面である。無線信号に基づく生命徴候検出技術では、無線信号送信源を利用して被検体に電磁波などの無線信号を送信することができる。該無線信号は、例えば、FMCW(Frequency Modulate Continuous Wave)変調方式に基づく無線信号であっても良く、該無線信号送信源は、例えば、マイクロ波レーダなどである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
無線信号に基づく生命徴候検出技術では、生命徴候を検出する前に、通常、生命体の位置を確定する必要があり、即ち、生命体の位置の検出を行う必要がある。
【0006】
本発明の発明者が次のようなことを発見した。即ち、従来の生命体位置の検出方法の適用範囲が狭い。例えば、目標追跡に基づく検出方法について、該方法は、殆ど、移動目標の場面に適用され、生命体の捜救及び生命体の健康監視の場面に適用され難い。反射信号の強度に基づく検出方法について、該方法は、生命体の数が比較的多い場面で機能しなくなる可能性がある。静的背景除去に基づく検出方法について、該方法は、場面の切り替えの場合にも機能しなくなる恐れがあり、広汎性が制限される。
【0007】
本発明の実施例は、生命体検出方法、検出装置及び電子機器を提供し、該検出方法は、無線信号受信器が受信した無線信号のフーリエ変換振幅(amplitude)の変化値情報に基づいて、生命体と無線信号受信器との距離を検出し、受信した該無線信号のフーリエ変換振幅が距離情報を反映し得るため、該振幅の変化値により生命体の徴候情報を反映することができる。よって、本発明の実施例における方法は、使用時に場面への依存度が比較的小さいため、複数の場面で静止生命体の位置を検出することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施例の第一側面によれば、生命体検出装置が提供され、それは、
所定期間内で無線信号受信器が受信した無線信号のフーリエ変換振幅の変化値に基づいて、距離行列を計算するための第一計算ユニット;及び
前記距離行列に基づいて、生命体と前記無線信号受信器との距離を計算するための第二計算ユニットを含み、
そのうち、前記距離行列が2つ以上の要素を有し、各要素の値が、該要素に対応する距離範囲内に生命体が存在する確率を示し、該要素が第一距離インデックス及び第二距離インデックスを有し、該要素に対応する距離範囲が、前記第一距離インデックスに対応する距離及び前記第二距離インデックスに対応する距離のうちの比較的小さいもの以上、且つ前記第一距離インデックスに対応する距離及び前記第二距離インデックスに対応する距離のうちの比較的大きいもの以下である。
【0009】
本発明の実施例の第二側面によれば、生命体検出方法が提供され、それは、無線信号受信器が受信した無線信号に基づいて生命体を検出し、前記方法は、
所定期間内で無線信号受信器が受信した無線信号のフーリエ変換振幅の変化値に基づいて、距離行列を計算し;及び
前記距離行列に基づいて、生命体と前記無線信号受信器との距離を計算することを含み、
そのうち、前記距離行列が2つ以上の要素を有し、各要素の値が、該要素に対応する距離範囲内に生命体が存在する確率を示し、該要素が第一距離インデックス及び第二距離インデックスを有し、該要素に対応する距離範囲が、前記第一距離インデックスに対応する距離及び前記第二距離インデックスに対応する距離のうちの比較的小さいもの以上、且つ前記第一距離インデックスに対応する距離及び前記第二距離インデックスに対応する距離のうちの比較的大きいもの以下である。
【0010】
本発明の実施例の第三側面によれば、電子機器が提供され、それは、上述の第一側面に記載の生命体検出装置を含む。
【0011】
本発明の有益な効果は、複数の場面で静止生命体の位置を検出し得ることにある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施例1における無線信号送受信装置を示す図である。
図2】本発明の実施例1における生命体検出装置を示す図である。
図3】本発明の実施例1における距離行列を示す図である。
図4】本発明の実施例1における生命体検出装置のワーキングフローを示す図である。
図5】本発明の実施例1における検出待ち生命体とレーダ装置との相対位置関係を示す図である。
図6】本発明の実施例1における第1時間窓に対応する距離行列を示す図である。
図7】本発明の実施例1における第二計算ユニットによる図6に示す距離行列更新後の距離行列を示す図である。
図8】本発明の実施例1における生命体検出装置を示す他の図である。
図9】本発明の実施例1におけるフーリエ変換結果を示す図である。
図10】本発明の実施例1における生命体検出装置のワーキングフローを示す他の図である。
図11】本発明の実施例2における生命体検出方法を示す図である。
図12】本発明の実施例2における生命体検出方法を示す他の図である。
図13】本発明の実施例3における電子機器の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付した図面を参照しながら、本発明を実施するための好適な実施例を詳しく説明する。
【実施例1】
【0014】
本発明の実施例1は、生命体検出装置を提供する。
【0015】
本実施例では、該生命体検出装置は、無線信号に基づいて検出を行うことができる。該無線信号の送信及び受信は、無線信号送受信装置により実現され得る。
【0016】
図1は、無線信号送受信装置を示す図であり、図1に示すように、無線信号送受信装置100は、無線信号送信源101及び無線信号受信器102を有しても良い。
【0017】
本実施例では、該無線信号送信源101は、被検体に電磁波などの無線信号を送信することができ、該無線信号受信器102は、被検体及び周囲環境における他の物体が該無線信号に対して反射を行うことで形成される反射信号を受信することができる。
【0018】
本実施例では、該無線信号は、例えば、FMCW(Frequency Modulate Continuous Wave)変調方式に基づく無線信号であっても良い。該無線信号送信源101及び無線信号受信器102は、例えば、1つのマイクロ波レーダにより実現されても良く、該マイクロ波レーダは、例えば、ラインアレイアンテナアレー又は面アレーアンテナアレイを採用することができる。
【0019】
1つの実施方式では、該マイクロ波レーダのパラメータ設定が次の通りであり、即ち、送信する、FMCW変調方式に基づく無線信号のフレームレートが15~25Hzであり、1つのフレームに64~256個のチャープ(chirp)信号が含まれ、距離分解能が8~20cmであり、レート分解能が0.05~0.15m/sであり、測距範囲が5~10mである。なお、これらのパラメータ設定が例示に過ぎず、本実施例は、これに限定されない。
【0020】
本実施例では、生命体は、例えば、人体、動物体などであっても良く、生命体の徴候は、例えば、呼吸数、心拍数などであっても良い。
【0021】
図2は、実施例1における生命体検出装置を示す図であり、図2に示すように、該検出装置200は、第一計算ユニット201及び第二計算ユニット202を含んでも良い。
【0022】
本実施例では、第一計算ユニット201は、所定期間内で無線信号受信器が受信した無線信号のフーリエ変換振幅の変化値に基づいて、距離行列を計算し、第二計算ユニット202は、第一計算ユニット201が計算した距離行列に基づいて、生命体と該無線信号受信器との距離を計算することができる。
【0023】
本実施例では、受信した無線信号のフーリエ変換振幅は、無線信号の反射体と該無線信号受信器との距離情報を反映することができる。反射体が生命体のときに、該フーリエ変換振幅は、生命体の徴候によって変化する。例えば、生命体の呼吸によって身体の起伏運動が生じ、これにより、受信した無線信号のフーリエ変換振幅が変化し、受信した該無線信号のフーリエ変換振幅の変化値により、生命体の徴候情報を反映することができる。
【0024】
本実施例により、受信した該無線信号のフーリエ変換振幅の変化値に基づいて、静止状態における生命体の位置を検出することができ、また、場面への依存度が比較的小さいため、その適用範囲は、比較的広い。
【0025】
本実施例では、該無線信号受信器が図1の無線信号受信器102により実現されても良く、即ち、無線信号受信器102は、受信した無線信号を検出装置200に伝送する。また、図1の無線信号送信源101により無線信号を送信し、そして、反射体により反射された無線信号が該無線信号受信器により受信されても良い。
【0026】
本実施例では、該検出装置200及び無線信号送受信装置100が集積されるように設置されても良く、例えば、1つの電子機器の中に構成されても良く。また、該検出装置200及び無線信号送受信装置100は、別々で設置されても良い。
【0027】
本実施例では、第一計算ユニット201により計算された距離行列が2つ以上の要素を有しても良く、各要素の値は、該要素に対応する距離範囲内に生命体が存在する確率を示すことができ、例えば、該要素の値が0以上且つ1以下であっても良く、該要素の値が大きいほど、該距離範囲内に生命体が存在する確率が高い。
【0028】
図3は、距離行列を示す図であり、図3に示すように、距離行列300中の要素がH(i,j)と表されても良く、そのうち、iは、該要素の第一距離インデックスであり、jは、該要素の第二距離インデックスであり、i及びjは、すべて、0以上の整数である。
【0029】
距離行列300では、同一行の要素の第一距離インデックスiが同じであり、同一列の要素の第二距離インデックスjが同じであり、且つ、下側の要素の第一距離インデックスが上側の要素の第一距離インデックスよりも大きく、右側の要素の第二距離インデックスが左側の要素の第二距離インデックスよりも大きい。なお、本発明は、これに限定されず、例えば、上側の要素の第一距離インデックスが下側の要素の第一距離インデックスよりも大きく、右側の要素の第二距離インデックスが左側の要素の第二距離インデックスよりも小さくても良い。
【0030】
第一距離インデックスiに対応する距離、即ち、無線信号受信器までの距離がr*iである。第二距離インデックスjに対応する距離、即ち、無線信号受信器までの距離為r*jである。そのうち、rは、所定の長さを表し、例えば、該所定の長さrは、該無線信号受信器の距離分解能であっても良い。
【0031】
距離行列300における要素の数が、該生命体検出装置200により検出され得る最大距離により決定されても良い。
【0032】
本実施例では、図3に示すように、距離行列300における該要素H(i,j)に対応する距離範囲が次のようであり、即ち、無線信号受信器までの距離が、第一距離インデックスiに対応する距離、及び、第二距離インデックスjに対応する距離のうちの、比較的小さいもの以上、且つ、第一距離インデックスiに対応する距離、及び、第二距離インデックスjに対応する距離のうちの、比較的大きいもの以下である。
【0033】
本実施例では、受信した無線信号のフーリエ変換振幅の変化値が、所定の期間内で受信した該無線信号のフーリエ変換振幅の標準偏差std_fftValを含む。
【0034】
本実施例では、距離行列における要素H(i,j)について、第一距離インデックスiに対応する標準偏差がstd_fftVal(i)と表されても良い。
【0035】
例えば、該所定期間内では、無線信号受信器が所定の周期に従って無線信号を受信し、無線信号を受信する度に、受信した該無線信号に対してフーリエ変換を行い、そして、該第一距離インデックスiに対応する距離のところにおけるフーリエ変換の振幅を計算する。該所定期間内で無線信号をN回受信し、また、該第一距離インデックスiについてN個のフーリエ変換の振幅を算出したとする場合、該N個のフーリエ変換の振幅の標準偏差を計算することで、該第一距離インデックスiに対応する標準偏差std_fftVal(i)を得ることができる。
【0036】
また、該第一距離インデックスiに対応する該所定期間内で受信した無線信号のフーリエ変換振幅の平均値がfftVal_mean(i)と表されても良く、そのうち、fftVal_mean(i)は、上述のN個のフーリエ変換の振幅の平均値を求めることで得ることができる。
【0037】
本実施例では、第二距離インデックスjに対応する、受信した無線信号のフーリエ変換振幅の標準偏差がstd_fftVal(j)と表され、第二距離インデックスjに対応する該所定期間内で受信した無線信号のフーリエ変換振幅の平均値がfftVal_mean(j)と表されても良く、そのうち、std_fftVal(j)及びfftVal_mean(j)の計算方法について、上述のstd_fftVal(i)及びfftVal_mean(i)に関する説明を参照することができる。
【0038】
本実施例では、第一距離インデックスiと第二距離インデックスjとの差の絶対値が所定値nよりも小さく且つ0よりも大きい場合、以下の条件式(1)、(2)のうちの少なくとも1つが満足されるときに、該第一計算ユニット201は、該距離行列における要素H(i,j)に所定値σ1を与え、例えば、該所定値σ1は、0よりも大きく且つ1以下であっても良い。
【0039】
そのうち、条件式(1)及び条件式(2)は、それぞれ、
std_fftVal(i)>θ3、且つ、std_fftVal(j)>θ3………条件式(1)
及び
std_fftratio(i)>β2、且つ、std_fftratio(j)>β2……条件式(2)
であっても良い。
【0040】
上述の条件式(2)では、std_fftratio(i)=std_fftVal(i)/fftVal_mean(i)、及び、std_fftratio(j)=std_fftVal(j)/fftVal_mean(j)である。
【0041】
また、本実施例では、第一距離インデックスiと第二距離インデックスjとの差の絶対値が所定値nよりも小さい場合、上述の条件式(1)及び(2)がすべて満足されないときに、該第一計算ユニット201は、該距離行列における要素H(i,j)に所定値σ2を与え、該所定値σ2は、所定値σ1よりも小さく、例えば、所定値σ2は、0に等しい。
【0042】
また、本実施例では、第一距離インデックスiと第二距離インデックスjとの差の絶対値が所定値n以上の場合、該第一計算ユニット201は、該距離行列における要素H(i,j)に所定値σ2を与えても良い。
【0043】
本実施例では、所定値nは、該無線信号受信器の距離分解能R、及び、生命体の無線信号の受信方向上のサイズTにより設定することができ、例えば、n≧T/Rであり、そのうち、Tは、例えば、約20cm~30cmである。
【0044】
本実施例では、距離行列における各要素H(i,j)について、第一計算ユニット201により上述の方式で該要素H(i,j)の値を計算することができ、これにより、距離行列における全部の要素にその対応する値を与えた後に、該距離行列300を得ることができる。
【0045】
本実施例では、図2に示すように、該生命体検出装置200は、さらに、以下のものを含んでも良い。
【0046】
第三計算ユニット203:該距離行列における、第一距離インデックス又は第二距離インデックスが第一所定値よりも小さい要素について、受信した該無線信号の位相情報に基づいて、該要素の値を更新する。
【0047】
例えば、距離行列300における要素H(i,j)について、「i<第一所定値」又は「j<第一所定値」のときに、第一距離インデックスに対応する距離又は第二距離インデックスに対応する距離が所定距離R0よりも小さく、第三計算ユニット203は、受信した該無線信号の位相情報に基づいて、該要素H(i,j)に対応する値を更新することができる。
【0048】
反射体が生命体の場合、無線信号受信器が受信した無線信号の位相情報は、生命体の呼吸、心拍数などの生命活動による変調を受けることがあり、即ち、被検体の体表の微動により、反射信号の特定周波数の位相に偏移を生じさせることができる。よって、該位相情報は、生命体の徴候情報を反映することができ、且つ、生命体と無線信号受信器との距離が比較的近い場合、該無線信号の位相情報が受ける干渉が比較的少ないため、検出の正確性はより高い。
【0049】
本実施例では、第三計算ユニット203を設置することで、無線信号受信器に比較的近い範囲内で、さらに、受信した無線信号の位相情報に基づいて生命体の検出を行うことができ、これにより、生命体検出の正確性を向上させることができる。
【0050】
本実施例では、受信した無線信号の位相情報は、該所定期間内で第一距離インデックスiに対応する距離の位相Phase(i)と、第二距離インデックスjに対応する距離の位相Phase(j)との間の相関性Correlation(i,j)、及び/又は、該所定期間内で受信した該無線信号の位相の標準偏差(std_Phase)を含んでも良い。
【0051】
例えば、距離行列300における要素H(i,j)について、該所定期間では、無線信号受信器が所定の周期に従って無線信号を受信し、無線信号を受信する度に、該受信した無線信号について、該第一距離インデックスiに対応する距離のところにおける位相Phase(i)及び第二距離インデックスjに対応する距離のところにおける位相Phase(j)を計算する。該所定期間内で無線信号をN回受信したとすれば、N個の位相Phase(i)からなる長さがNであるシーケンス、及び、N個の位相Phase(j)からなる長さがNであるシーケンスを得ることができ、この2つシーケンスの間の相関性がCorrelation(i,j)と記されても良く、該相関性Correlation(i,j)は、例えば、相関係数により表されても良い。
【0052】
本実施例では、距離行列300における要素H(i,j)について、第一距離インデックスiに対応する、該所定期間内で受信した該無線信号の位相の標準偏差がstd_Phase(i)と表されても良い。
【0053】
例えば、該所定期間内で受信した無線信号について計算されたN個の、第一インデックスiに対応する位相Phase(i)に対して、その標準偏差を計算し、std_Phase(i)を得ることができる。
【0054】
本実施例では、第二距離インデックスjに対応する、該所定期間内で受信した該無線信号の位相の標準偏差がstd_Phase(j)と表されても良い。
【0055】
例えば、該所定期間内で受信した無線信号について計算されたN個の、第二インデックスjに対応する位相Phase(j)に対して、その標準偏差を計算し、std_Phase(j)を得ることができる。
【0056】
本実施例では、第一距離インデックスiと第二距離インデックスjとの差の絶対値が所定値nよりも小さく且つ0よりも大きい場合、以下の条件式(3)が満足され、且つ以下の条件式(4)、(5)のうちの少なくとも1つが満足されるときに、該第三計算ユニット203は、該距離行列における要素H(i,j)に、Correlation(i,j)を示す値Cを与える。
【0057】
そのうち、条件式(3)、(4)及び条件式(5)は、それぞれ、
std_fftVal(i)>θ1、且つ、std_fftVal(j)>θ1……条件式(3);
std_Phase(i)>θ2、且つ、std_Phase(j)>θ2……条件式(4);及び
C>σ……条件式(5)
である。
【0058】
上述の条件式(3)では、std_fftVal(i)及びstd_fftVal(j)は、それぞれ、所定の期間内で、第一距離インデックスi及び第二距離インデックスjにそれぞれ対応する、受信した該無線信号のフーリエ変換振幅の標準偏差を示す。なお、std_fftVal(i)及びstd_fftVal(j)の詳細な説明については、上述の第一計算ユニット201に関する説明を参照することができる。
【0059】
また、本実施例では、第一距離インデックスiと第二距離インデックスjとの差の絶対値が所定値nよりも小さく、且つ上述の条件式(3)が満足される場合、上述の条件式(4)及び(5)がすべて満足されないときに、該第三計算ユニット203は、該距離行列300における要素H(i,j)に所定値σ2を与えることができ、所定値σ2の説明については、上述と同様である。
【0060】
また、本実施例では、第一距離インデックスiと第二距離インデックスjとの差の絶対値が所定値n以上の場合、又は、上述条件式(3)が満足されない場合、該第三計算ユニット203は、該距離行列300における要素H(i,j)に所定値σ2を与えることもできる。
【0061】
本実施例では、距離行列における各々の、「i<第一所定値」又は「j<第一所定値」という条件を満たす要素H(i,j)について、第三計算ユニット203は、上述の方式で該要素H(i,j)の値を更新することができ、これにより、更新後の距離行列300を得ることができる。
【0062】
本実施例では、第二計算ユニット202は、距離行列300に基づいて生命体と無線信号受信器との距離を計算することができる。
【0063】
1つの実施方式では、第二計算ユニット202が、距離行列における要素に対して更新を行い、更新後の距離行列に基づいて、生命体と無線信号受信器との距離を計算するように構成される。
【0064】
第二計算ユニット202が距離行列における要素に対して更新を行うことは、距離行列における対角要素に対して更新を行い、及び、距離行列における、値が所定値σ2に等しい要素に対して更新を行うことを含んでも良い。
【0065】
本実施例では、距離行列における対角要素に対して更新を行うことは、要素H(i,j)>σ2であり、且つiがjに等しくない場合、距離行列における該要素に対応する対角要素H(i,i)及びH(j,j)にすべて第七所定値σを与え、これにより、バッチ処理における要素H(i,j)の抽出に便利である。
【0066】
本実施例では、距離行列における、値が所定値σ2に等しい要素に対して更新を行うことは、距離行列における、値が所定値σ2に等しい要素H(i,j)(iはjに等しくない)について、該要素の隣接要素の値を以て該要素の値を更新することを含んでも良い。
【0067】
1つの実施方式では、要素の値が所定値σ2であり、且つ該要素の隣接要素のうち、値が所定値σ2よりも大きい要素の数が所定値N1以上である場合、隣接要素のうち、値が所定値σ2よりも大きい要素の平均値を用いて該要素の値を更新し、そのうち、距離行列に対して反復更新を、距離行列における、上述の更新条件を満足する要素の数がセロになるまで行っても良い。これにより、測定の誤差を避けることができる。
【0068】
例えば、要素H(i,j)=σ2(iはjに等しくない)について、H(i,j)の隣接要素がH(i-1,j)、H(i+1,j)、H(i,j-1)、及びH(i,j+1)であり、これらの隣接要素のうち、値が所定値σ2よりも大きい要素の数がN1以上である場合、これらの隣接要素のうち、値が所定値σ2よりも大きい要素の平均値を以て要素H(i,j)の値を更新する。
【0069】
本実施例では、先ず、対角要素の更新を行い、その後、値が所定値σ2に等しい要素を更新しても良い。
【0070】
本実施例では、第二計算ユニット202は、更新後の距離行列に基づいて、生命体と無線信号受信器との距離を計算し、例えば、次のようなことを含んでも良く、即ち、距離行列における、値が所定値σ2よりも大きい要素の連続して分布する数がn/mよりも大きいときに、該連続して分布する要素に対応する距離範囲内に生命体が存在すると確定することである。
【0071】
そのうち、距離行列における値が所定値σ2よりも大きい要素は、距離行列における値が0よりも大きい要素であっても良く、mは、nよりも小さい自然数であっても良く、例えば、mは2である。
【0072】
本実施例では、第二計算ユニット202は、距離行列における要素を更新せず、直接、未更新の距離行列に基づいて生命体と無線信号受信器との距離を計算しても良い。
【0073】
本実施例では、図2に示すように、該生命体検出装置200は、さらに、以下のものを含んでも良い。
【0074】
第八計算ユニット204:複数の該所定期間内で検出したさ生命体と無線信号送受信器との距離に基づいて、生命体と無線信号送受信器との距離を確定する。
【0075】
本実施例では、該所定期間を1つの時間窓と見なしても良く、該時間窓の長さがT秒であり、該時間窓がスライド窓(sliding window)であり、且つ、隣接する2つの時間窓の重畳時間が例えば0.5Tであり、第八計算ユニット204は、M個の時間窓内で検出した生命体と無線信号送受信器との距離に基づいて、生命体と無線信号送受信器との距離を計算しても良く、そのうち、Mは、2以上の自然数であっても良い。
【0076】
本実施例では、第S個目の時間窓内で検出した生命体と無線信号送受信器との距離範囲がHP(S)と表され、そのうち、S≦Mである。複数の時間窓で検出した距離範囲のうち、同じ距離範囲が出現する比率が所定閾値を超えた場合、該距離範囲内に生命体が存在すると確定し、例えば、M個の時間窓の検出結果のうち、ある距離範囲がV回出現するとき、V/Mは該距離範囲が出現する比率であり、該比率が所定閾値を超えた場合、該距離範囲内に生命体が存在すると確定する。
【0077】
本実施例では、2つの距離範囲の中心位置の距離がn*R以下の場合、該2つの距離範囲が同一の距離範囲であると判断し、そのうち、Rは、該無線信号受信器の距離分解能を表す。
【0078】
また、本実施例では、検出装置200は、M個の時間窓の検出結果の和集合を出力しても良く、これにより、生命体検出の感度を向上させることができる。
【0079】
本実施例では、2つ以上の距離範囲内にすべて生命体が存在すると確定した場合、該生命体の検出装置200は、該2つ以上の距離範囲を出力することができ、これにより、生命体の数が比較的多い場面にも適用することができる。
【0080】
図4は、本実施例における生命体検出装置の1つのワーキングフローを示す図でる。図4に示すように、該フローは、以下のステップを含む。
【0081】
ステップ401:無線信号受信器が受信した無線信号に対してフーリエ変換を行い;
ステップ402:第一計算ユニットが、所定期間内でのフーリエ変換振幅の変化値に基づいて、距離行列を計算し;
ステップ403:距離行列における、第一距離インデックス又は前記第二距離インデックスが第一所定値よりも小さい要素について、第三計算ユニットが、受信した無線信号の位相情報に基づいて、該要素の値を更新し;
ステップ404:第二計算ユニットが、距離行列に基づいて、前記生命体と前記無線信号受信器との距離を計算し;
ステップ405:第八計算ユニットが、複数の所定期間内で検出した生命体と無線信号送受信器との距離範囲に基づいて、生命体と無線信号送受信器との距離範囲を計算する。
【0082】
以下、1つの具体例をもとに、本実施例における生命体検出装置の検出方式について説明する。
【0083】
該例では、各パラメータの設定が以下の通りであり、即ち、
無線信号の送信源が送信する無線信号の周波数が77GHzであり;
無線信号受信器のサンプリング周波数が20Hzであり;
無線信号の送信源及び無線信号受信器が1つのレーダ装置の中に設けられ、検出待ちの2つの生命体がそれぞれ該レーダ装置からの約1.6m及び4.5mのところに静止し位置し;及び
R0=3m、R=0.125m、n=3、θ2=0.5、σ=0.75、θ1=θ3=30、β2=0.25、σ2=0であり、所定期間としての時間窓T=30sであり、隣接窓口の重畳時間が15sであり、窓口の総数が5であり、対応する総時間長さが90sである。
【0084】
図5は、検出待ち生命体5a、5bとレーダ装置50との相対位置関係を示す図である。
【0085】
図6は、第1時間窓に対応する距離行列を示す図であり、図7は、第二計算ユニットを用いて図6の距離行列を更新した後の距離行列を示す図である。
【0086】
第二計算ユニット202は、図7の距離行列に基づいて、第一位置標識/又は第二位置標識の2つの範囲、即ち、(12~14)及び(34~35)を出力し、該2つの範囲に対応する距離範囲内に生命体が存在することを示す。そのうち、位置標識12~14に対応する距離範囲が1.5m~1.75mであり、位置標識34~35に対応する距離範囲が4.25m~4.375mである。
【0087】
第二~第五個目の時間窓がそれぞれ出力する位置標識は、以下の通りであり、即ち、
第二個目の窓口:(12~14)、(34~35)
第三個目の窓口:(12~15)、(34~35)
第四個目の窓口:(13~15)、(34~35)
第五個目の窓口:(13~15)、(34~35)
である。
【0088】
最終出力位置が複数の窓口範囲の和集合、即ち、(1.5m~1.875m)及び(4.25m~4.375m)である。該出力結果は、図5に示す実際の場合に比較的近い。
【0089】
本実施例では、さらに、生命体検出装置200aが提供され、該生命体検出装置200aは、図2の生命体検出装置の変形例である。
【0090】
図8は、生命体検出装置200aを示す図であり、図8に示すように、該生命体検出装置200aは、第四計算ユニット801及び第五計算ユニット802を含む。
【0091】
そのうち、第四計算ユニット801は、無線信号反射物と無線信号受信器との間の推定距離に基づいて、前記無線信号受信器が受信した無線信号のフーリエ変換振幅の変化値を用いて距離行列を計算し、又は、受信した前記無線信号の位相情報を用いて距離行列を計算する。
【0092】
第五計算ユニット802は、前記距離行列に基づいて、生命体と無線信号受信器との距離を計算する。
【0093】
そのうち、第四計算ユニット801のみが第一計算ユニット201とは異なり、生命体検出装置200a及び生命体検出装置200の他の部分がすべて同じであり、例えば、第五計算ユニット802及び図2の第二計算ユニット202が実現する機能は、同じであっても良く、生命体検出装置200aは、第八計算ユニット204を有しても良いが、ここでは、その重複説明を省略する。また、距離行列の説明については、前述と同じである。
【0094】
図8の生命体検出装置200aにより、異なる推定距離に対して異なる計算方法を用いて検出を行うことで、比較的近い距離のところでの検出の正確性を向上させることができ、比較的遠い距離のところでの検出の信頼性を向上させることができる。
【0095】
本実施例では、図8に示すように、第四計算ユニット801は、第六計算ユニット8011及び第七計算ユニット8012を含んでも良い。
【0096】
該推定距離が所定距離R0よりも大きい場合、該第六計算ユニット8011は、受信した無線信号のフーリエ変換振幅の変化値に基づいて前記距離行列を計算し、該推定距離が所定距離R0以下の場合、該第七計算ユニット8012は、受信した該無線信号の位相情報に基づいて前記距離行列を計算する。第六計算ユニット8011が計算する距離行列及び第七計算ユニット8012が計算する距離行列に対して合併を行うことで、完全な距離行列を得ることができる。
【0097】
例えば、無線信号受信器が受信した無線信号に対してフーリエ変換を行っても良く、図9は、フーリエ変換結果を示す図であり、図9における周波数点f0は、所定距離R0に対応し、図9中の周波数点がf0以下の一部の信号901は、推定距離が所定距離R0以下の反射物により反射される無線信号に対応し、第七計算ユニット8012は、該一部の信号の位相情報に基づいて距離行列を計算し、図9中の周波数点がf0よりも大きい一部の信号902は、推定距離が所定距離R0よりも大きい反射物により反射される無線信号に対応し、第六計算ユニット8011を用いて、該一部の信号のフーリエ変換振幅の変化値に基づいて距離行列を計算する。
【0098】
本実施例では、第六計算ユニット8011は、受信した無線信号のフーリエ変換振幅の変化値に基づいて距離行列を計算し、その計算方法は、第一計算ユニット201と同じである。第七計算ユニット8012は、受信した無線信号の位相情報に基づいて距離行列を計算し、その計算方法は、第三計算ユニット203と同じである。
【0099】
図10は、本実施例における生命体検出装置のワーキングフローを示す図である。図10に示すように、該フローは、以下のステップを含む。
【0100】
ステップ1001:無線信号受信器が受信した無線信号に対してフーリエ変換を行い;
ステップ1002:推定距離が所定距離R0よりも大きい場合、該第六計算ユニット8011は、受信した無線信号のフーリエ変換振幅の変化値に基づいて前記距離行列を計算し;
ステップ1003:該推定距離が所定距離R0以下の場合、該第七計算ユニット8012は、受信した該無線信号の位相情報に基づいて前記距離行列を計算し;
ステップ1004:第五計算ユニットが距離行列に基づいて生命体と前記無線信号受信器との距離を計算し;
ステップ1005:第八計算ユニットが複数の所定期間内で検出した生命体と無線信号送受信器との距離範囲に基づいて、生命体と無線信号送受信器との距離範囲を確定する。
【0101】
本実施例及びその変形例により、静止状態における生命体の位置を検出することができ、且つ、場面への依存性が比較的小さく、適用範囲が比較的広い。
【実施例2】
【0102】
本発明の実施例2は、生命体検出方法を提供し、それは、実施例1における生命体検出装置に対応する。
【0103】
図11は、本実施例における生命体検出方法を示す図であり、図11に示すように、該方法は、以下のステップを含む。
【0104】
ステップ1101:所定期間内で無線信号受信器が受信した無線信号のフーリエ変換振幅の変化値に基づいて、距離行列を計算し;及び
ステップ1102:前記距離行列に基づいて、生命体と前記無線信号受信器との距離を計算する。
【0105】
図11に示すように、該方法は、さらに、以下のステップを含んでも良い。
【0106】
ステップ1103:前記距離行列中の、前記第一距離インデックス又は前記第二距離インデックスが第一所定値よりも小さい要素について、受信した前記無線信号の位相情報に基づいて、該要素の値を更新する。
【0107】
図12は、本実施例における生命体検出方法を示す他の図であり、図12に示すように、該方法は、次のステップを含む。
【0108】
ステップ1201:無線信号反射物と無線信号受信器との間の推定距離に基づいて、前記無線信号受信器が受信した無線信号のフーリエ変換振幅の変化値により距離行列を計算し、又は、受信した前記無線信号の位相情報により距離行列を計算し;及び
ステップ1202:前記距離行列に基づいて、生命体と無線信号受信器との距離を計算する。
【0109】
そのうち、ステップ1201では、前記推定距離が所定距離よりも大きい場合、受信した前記無線信号のフーリエ変換振幅の変化値に基づいて前記距離行列を計算し、前記推定距離が前記所定距離以下の場合、受信した前記無線信号の位相情報に基づいて前記距離行列を計算する。
【0110】
本実施例では、受信した前記無線信号のフーリエ変換振幅の変化値は、受信した無線信号のフーリエ変換振幅の標準偏差(std_fftVal)を含む。
【0111】
本実施例では、受信した無線信号のフーリエ変換振幅の変化値に基づいて距離行列を計算することは、
第一距離インデックスと第二距離インデックスとの差の絶対値が所定値nよりも小さく、且つ0よりも大きい場合、
以下の条件のうちの少なくとも1つが満足されるときに、前記距離行列中の対応する要素に第二所定値σ1を与え、前記条件は、
第一距離インデックスに対応する、受信した前記無線信号のフーリエ変換振幅の標準偏差が第三所定値θ3よりも大きく、且つ、第二距離インデックスに対応する、受信した前記無線信号のフーリエ変換振幅の標準偏差が第三所定値θ3よりも大きく;及び
前記第一距離インデックスに対応する前記標準偏差と、前記第一距離インデックスに対応する該所定期間内で受信した無線信号のフーリエ変換振幅の平均値との比の値が第四所定値β2よりも大きく、且つ、前記第二距離インデックスに対応する前記標準偏差と、前記第二距離インデックスに対応する該所定期間内で受信した無線信号のフーリエ変換振幅の平均値との比の値が第四所定値β2よりも大きいというものである。
【0112】
本実施例では、前記位相情報は、以下のものを含み、即ち、
該所定期間内で前記第一距離インデックスに対応する距離の位相と、前記第二距離インデックスに対応する距離の位相との間の相関性、及び/又は、前記所定期間内で受信した前記無線信号の位相の標準偏差というものである。
【0113】
本実施例では、位相情報に基づいて距離行列を計算することは、以下のことを含み、即ち、
第一距離インデックスと第二距離インデックスとの差の絶対値が所定値nよりも小さく、且つ0よりも大きく、且つ、第一距離インデックスに対応する受信した前記無線信号のフーリエ変換振幅の標準偏差が第五所定値θ1よりも大きく、第二距離インデックスに対応する受信した前記無線信号のフーリエ変換振幅の標準偏差が第五所定値θ1よりも大きい場合、
以下の条件のうちの少なくとも1つが満足されるときに、前記第三計算ユニット又は前記第七計算ユニットが前記距離行列中の対応する要素に、前記位相の間の相関性を示す値を与え、前記条件は、以下の条件を含み、即ち、
第一距離インデックスに対応する受信した前記無線信号の位相の標準偏差が第六所定値θ2よりも大きく、且つ、第二距離インデックスに対応する受信した前記無線信号の位相の標準偏差が第六所定値θ2よりも大きく;及び
前記第一距離インデックスに対応する距離の位相と、前記第二距離インデックスに対応する距離の位相との間の相関性を示す値が第七所定値σよりも大きいということである。
【0114】
本実施例では、nは、自然数であり、その値は、該無線信号受信器の距離分解能rに関連する。
【0115】
本実施例では、ステップ1102又はステップ1202は、以下のことを含み、即ち、
距離行列中の、値が所定値σ2よりも大きい要素の連続して分布する数がn/mよりも大きいときに、該連続して分布する要素に対応する距離範囲内に生命体が存在すると判定するということである。
【0116】
本実施例では、ステップ1102又はステップ1202は、さらに、距離行列中の、値が所定値σ2よりも大きい要素について、該要素に対応する対角要素に第七所定値σを与え;及び、距離行列中の、値が所定値σ2に等しい要素について、該要素の隣接要素のうち、値が所定値σ2よりも大きい要素の数が第八所定値以上の場合、隣接要素のうち、値が所定値σ2よりも大きい要素の平均値を用いて新該要素の値を更新することを含む。
【0117】
図11及び図12に示すように、前記方法は、さらに、以下のステップを含む。
【0118】
ステップ1104:複数の前記所定期間内で検出した生命体と無線信号送受信器との距離に基づいて、生命体と無線信号送受信器との距離を確定する。
【0119】
ステップ1104では、複数の前記所定期間内で検出した距離範囲のうち、同じ距離範囲が出現する比率が所定閾値を超えた場合、該距離範囲内に生命体が存在すると確定し、そのうち、2つの距離範囲の中心位置の距離がn*R以下の場合、該2つの距離範囲が同じ距離範囲であると判断する。
【0120】
なお、該実施例中の各ステップの説明については、実施例1における対応するユニットの説明を参照することができる。
【0121】
本実施例及びその変形例により、静止状態における生命体の位置を検出することができ、且つ、場面への依存性が比較的小さく、適用範囲が比較的広い。
【実施例3】
【0122】
本発明の実施例3は、電子機器を含み、前記電子機器は、実施例1に記載の生命体検出装置を含む。
【0123】
図13は、本発明の実施例3における電子機器の構成を示す図である。図13に示すように、電子機器1300は、中央処理器(CPU)1301及び記憶器1302を含んでも良く、記憶器1302は、中央処理器1301に接続される。そのうち、該記憶器1302は、各種のデータを格納することができ、また、さらに制御用のプログラムを記憶し、且つ中央処理装置1301の制御下で該プログラムを実行することもできる。
【0124】
1つの実施方式では、検出装置200中の機能が中央処理装置1301に統合されても良い。
【0125】
そのうち、中央処理装置1301は、実施例2に記載の生命体検出方法を実行するように構成されても良い。
【0126】
図13に示すように、電子機器1300は、さらに、入出力ユニット1303、表示ユニット1304などを含んでも良く、そのうち、これらの部品の機能が従来技術と同様であるため、ここでは、その詳しい説明を省略する。なお、電子機器1300は、図13に示す全ての部品を含む必要がない。また、電子機器1300は、さらに、図13にない部品を含んでも良く、これについて、従来技術を参照することができる。
【0127】
例えば、電子機器1300は、図1の無線信号送受信装置110を有することで、無線信号の送信及び受信機能を具備することができる。これにより、無線信号送受信装置110の機能及び生命体検出装置200(又は200a)の機能を電子機器1300に統合することができる。
【0128】
本発明の実施例は、さらに、コンピュータ可読プログラムを提供し、そのうち、生命体検出装置又は電子機器中で前記プログラムを実行するときに、前記プログラムは前記生命体検出装置又は電子機器に実施例2に記載の生命体検出方法を実行させる。
【0129】
本発明の実施例は、さらに、コンピュータ可読プログラムを記憶した記憶媒体を提供し、そのうち、前記記憶媒体は上述のコンピュータ可読プログラムを記憶しており、前記コンピュータ可読プログラムは、生命体検出装置又は電子機器に実施例2に記載の生命体検出方法を実行させる。
【0130】
また、本発明の実施例による装置、方法などは、ソフトウェアにより実現されても良く、ハードェアにより実現されてもよく、ハードェア及びソフトウェアの組み合わせにより実現されても良い。本発明は、このようなコンピュータ可読プログラムにも関し、即ち、前記プログラムは、ロジック部品により実行されるときに、前記ロジック部品に、上述の装置又は構成要素を実現させることができ、又は、前記ロジック部品に、上述の方法又はそのステップを実現させることができる。さらに、本発明は、上述のプログラムを記憶した記憶媒体、例えば、ハードディスク、磁気ディスク、光ディスク、DVD、フレッシュメモリなどにも関する。
【0131】
以上の実施例などに関し、さらに以下の付記を開示する。
【0132】
(付記1)
無線信号受信器が受信した無線信号に基づいて生命体を検出するための生命体検出方法であって、
所定期間内で無線信号受信器が受信した無線信号のフーリエ変換振幅の変化値に基づいて、距離行列を計算し;及び
前記距離行列に基づいて、前記生命体と前記無線信号受信器との距離を計算することを含み、
前記距離行列は、2つ以上の要素を有し、各要素の値は、該要素に対応する距離範囲内に生命体が存在する確率を示し、該要素は、第一距離インデックス(i)及び第二距離インデックス(j)を有し、該要素に対応する距離範囲は、第一距離インデックスに対応する距離及び第二距離インデックスに対応する距離のうちの比較的小さいもの以上、且つ第一距離インデックスに対応する距離及び第二距離インデックスに対応する距離のうちの比較的大きいもの以下である、方法。
【0133】
(付記2)
付記1に記載の生命体検出方法であって、さらに、
前記距離行列中の、前記第一距離インデックス又は前記第二距離インデックスが第一所定値よりも小さい要素について、受信した前記無線信号の位相情報に基づいて、該要素の値を更新することを含む、方法。
【0134】
(付記3)
無線信号受信器が受信した無線信号に基づいて生命体を検出するための生命体検出方法であって、
無線信号反射物と無線信号受信器との間の推定距離に基づいて、前記無線信号受信器が受信した無線信号のフーリエ変換振幅の変化値を用いて距離行列を計算し、又は、受信した前記無線信号の位相情報を用いて距離行列を計算し;及び
前記距離行列に基づいて、生命体と無線信号受信器との距離を計算することを含み、
前記距離行列は、2つ以上の要素を有し、各要素の値は、該要素に対応する距離範囲内に生命体が存在する確率を示し、該要素は、第一距離インデックス(i)及び第二距離インデックス(j)を有し、該要素に対応する距離範囲は、第一距離インデックスに対応する距離及び第二距離インデックスに対応する距離のうちの比較的小さいもの以上、且つ第一距離インデックスに対応する距離及び第二距離インデックスに対応する距離のうちの比較的大きいもの以下である、方法。
【0135】
(付記4)
付記3に記載の生命体検出方法であって、
前記推定距離が所定距離よりも大きい場合、受信した前記無線信号のフーリエ変換振幅の変化値に基づいて前記距離行列を計算し、
前記推定距離が前記所定距離以下の場合、受信した前記無線信号の位相情報に基づいて前記距離行列を計算する、方法。
【0136】
(付記5)
付記1~4のうちの任意の1項に記載の生命体検出方法であって、
受信した前記無線信号のフーリエ変換振幅の変化値は、
受信した前記無線信号のフーリエ変換振幅の標準偏差を含む、方法。
【0137】
(付記6)
付記5に記載の生命体検出方法であって、
距離行列を計算することは、
第一距離インデックスと第二距離インデックスとの差の絶対値が所定値nよりも小さく且つ0よりも大きい場合、
以下の条件のうちの少なくとも1つが満足されるときに、前記距離行列中の対応する要素に第二所定値σ1を与え、前記条件は、
第一距離インデックスに対応する、受信した前記無線信号のフーリエ変換振幅の標準偏差が第三所定値θ3よりも大きく、且つ、第二距離インデックスに対応する、受信した前記無線信号のフーリエ変換振幅の標準偏差が第三所定値θ3よりも大きく;及び
前記第一距離インデックスに対応する前記標準偏差と、前記第一距離インデックスに対応する該所定期間内で受信した前記無線信号のフーリエ変換振幅の平均値との比の値が第四所定値β2よりも大きく、且つ、前記第二距離インデックスに対応する前記標準偏差と、前記第二距離インデックスに対応する該所定期間内で受信した前記無線信号のフーリエ変換振幅の平均値との比の値が第四所定値β2よりも大きいということであ、方法。
【0138】
(付記7)
付記2~4のうちの任意の1項に記載の生命体検出方法であって、
前記位相情報は、
該所定期間内で前記第一距離インデックスに対応する距離の位相と前記第二距離インデックスに対応する距離の位相との間の相関性、及び/又は、前記所定期間内で受信した前記無線信号の位相の標準偏差を含む、方法。
【0139】
(付記8)
付記7に記載の生命体検出方法であって、
距離行列を計算することは、
第一距離インデックスと第二距離インデックスとの差の絶対値が所定値nよりも小さく且つ0よりも大きく、且つ、第一距離インデックスに対応する受信した前記無線信号のフーリエ変換振幅の標準偏差が第五所定値θ1よりも大きく、第二距離インデックスに対応する、受信した前記無線信号のフーリエ変換振幅の標準偏差が第五所定値θ1よりも大きい場合、
以下の条件のうちの少なくとも1つが満足されるときに、前記第三計算ユニット又は前記第七計算ユニットが前記距離行列中の対応する要素に前記位相間の相関性を示す値を与え、前記条件は、
第一距離インデックスに対応する受信した前記無線信号の位相の標準偏差が第六所定値θ2よりも大きく、且つ、第二距離インデックスに対応する受信した前記無線信号の位相の標準偏差が第六所定値θ2よりも大きく;及び
前記第一距離インデックスに対応する距離の位相と前記第二距離インデックスに対応する距離の位相との間の相関性を示す値が第七所定値σよりも大きいということである、方法。
【0140】
(付記9)
付記6又は8に記載の生命体検出方法であって、
Nが自然数であり、その値が該無線信号受信器の距離分解能rに関連する、方法。
【0141】
(付記10)
付記1~9のうちの任意の1項に記載の生命体検出方法であって、
前記距離行列に基づいて、生命体と前記無線信号受信器との距離を計算することは、
距離行列中の、値が所定値σ2よりも大きい要素の連続して分布する数がn/mよりも大きいときに、該連続して分布する要素に対応する距離範囲に生命体が存在すると確定することを含む、方法。
【0142】
(付記11)
付記10に記載の生命体検出方法であって、さらに、
距離行列中の、値が所定値σ2よりも大きい要素について、該要素に対応する対角要素にすべて第七所定値σを与え;及び
距離行列中の、値が所定値σ2に等しい要素について、該要素の隣接要素のうち、値が所定値σ2よりも大きい要素の数が第八所定値以上の場合、隣接要素のうち、値が所定値σ2よりも大きい要素の平均値を用いて該要素の値を更新することを含む、方法。
【0143】
(付記12)
付記1~11のうちの任意の1項に記載の生命体検出方法であって、さらに、
複数の前記所定期間内で検出される生命体と無線信号送受信器との距離に基づいて、生命体と無線信号送受信器との距離を確定することを含む、方法。
【0144】
(付記13)
付記12に記載の生命体検出方法であって、
複数の前記所定期間内で検出された距離範囲のうち、同じ距離範囲が出現する比率が所定閾値を越える場合、該距離範囲内に生命体が存在すると確定し、
2つの距離範囲の中心位置の距離がn*R以下の場合、該2つ距離範囲が同じ距離範囲であると判断する、方法。
【0145】
(付記14)
無線信号受信器が受信した無線信号に基づいて生命体を検出するための生命体検出装置であって、
無線信号反射物と無線信号受信器と間の推定距離に基づいて、前記無線信号受信器が受信した無線信号のフーリエ変換振幅の変化値を用いて距離行列を計算し、又は、受信した前記無線信号の位相情報を用いて距離行列を計算するための第四計算ユニット;及び
前記距離行列に基づいて、生命体と無線信号受信器との距離を計算するための第五計算ユニットを含み、
前記距離行列は2つ以上の要素を有し、各要素の値は該要素に対応する距離範囲内に生命体が存在する確率を示し、該要素は第一距離インデックス及び第二距離インデックスを有し、該要素に対応する距離範囲は、第一距離インデックスに対応する距離及び第二距離インデックスに対応する距離のうちの比較的小さいもの以上、且つ第一距離インデックスに対応する距離及び第二距離インデックスに対応する距離のうちの比較的大きいもの以下である、装置。
【0146】
(付記15)
付記14に記載の生命体検出装置であって、
前記第四計算ユニットは、第六計算ユニット及び第七計算ユニットを含み、
前記推定距離が所定距離よりも大きい場合、前記第六計算ユニットは、受信した前記無線信号のフーリエ変換振幅の変化値に基づいて前記距離行列を計算し、
前記推定距離が前記所定距離以下の場合、前記第七計算ユニットは、受信した前記無線信号の位相情報に基づいて前記距離行列を計算する、装置。
【0147】
(付記16)
付記14に記載の生命体検出装置であって、
受信した前記無線信号のフーリエ変換振幅の変化値は、
受信した前記無線信号のフーリエ変換振幅の標準偏差を含む、装置。
【0148】
(付記17)
付記16に記載の生命体検出装置であって、
第一距離インデックスと第二距離インデックスとの差の絶対値が所定値nよりも小さく且つ0よりも大きい場合、
以下の条件のうちの少なくとも1つが満足されるときに、前記第一計算ユニット又は前記第六計算ユニットは、前記距離行列中の対応する要素に第二所定値σ1を与え、前記条件は、
第一距離インデックスに対応する受信した前記無線信号のフーリエ変換振幅の標準偏差が第三所定値θ3よりも大きく、且つ、第二距離インデックスに対応する受信した前記無線信号のフーリエ変換振幅の標準偏差が第三所定値θ3よりも大きく;及び
前記第一距離インデックスに対応する前記標準偏差と、前記第一距離インデックスに対応する該所定期間内で受信した前記無線信号のフーリエ変換振幅の平均値との比の値が第四所定値β2よりも大きく、且つ、前記第二距離インデックスに対応する前記標準偏差と、前記第二距離インデックスに対応する該所定期間内で受信した前記無線信号のフーリエ変換振幅の平均値との比の値が第四所定値β2よりも大きいということを含む、装置。
【0149】
(付記18)
付記14に記載の生命体検出装置であって、
前記位相情報は、
該所定期間内で前記第一距離インデックスに対応する距離の位相と前記第二距離インデックスに対応する距離の位相との間の相関性、及び/又は、前記所定期間内で受信した前記無線信号の位相の標準偏差を含む、装置。
【0150】
(付記19)
付記18に記載の生命体検出装置であって、
第一距離インデックスと第二距離インデックスとの差の絶対値が所定値nより小さく且つ0よりも大きく、且つ、第一距離インデックスに対応する受信した前記無線信号のフーリエ変換振幅の標準偏差が第五所定値θ1よりも大きく、第二距離インデックスに対応する受信した前記無線信号のフーリエ変換振幅の標準偏差が第五所定値θ1よりも大きい場合、
以下の条件のうちの少なくとも1つが満足されるときに、前記第三計算ユニット又は前記第七計算ユニットが前記距離行列中の対応する要素に前記位相間の相関性を示す値を与え、前記条件は、
第一距離インデックスに対応する受信した前記無線信号の位相の標準偏差が第六所定値θ2より大きく、且つ、第二距離インデックスに対応する受信した前記無線信号の位相の標準偏差が第六所定値θ2よりも大きく;及び
前記第一距離インデックスに対応する距離の位相と前記第二距離インデックスに対応する距離の位相との間の相関性を示す値が第七所定値σよりも大きいということを含む、装置。
【0151】
(付記20)
付記14に記載の生命体検出装置であって、
前記第五計算ユニットは、
距離行列中の、値が所定値σ2よりも大きい要素の連続して分布する数がn/mよりも大きいときに、該連続して分布する要素に対応する距離範囲内に生命体が存在すると確定するように構成される、装置。
【0152】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこの実施形態に限定されず、本発明の趣旨を離脱しない限り、本発明に対するあらゆる変更は本発明の技術的範囲に属する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13