(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】充電量制御装置、充電量制御方法、および充電量制御プログラム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/34 20060101AFI20240319BHJP
H02J 9/06 20060101ALI20240319BHJP
G07C 5/00 20060101ALI20240319BHJP
B60W 50/04 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
H02J7/34 G
H02J9/06 110
G07C5/00 Z
B60W50/04
(21)【出願番号】P 2020006567
(22)【出願日】2020-01-20
【審査請求日】2022-12-28
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 将
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 貴之
(72)【発明者】
【氏名】塚本 富光夫
(72)【発明者】
【氏名】安江 弘彦
(72)【発明者】
【氏名】山根 正大
(72)【発明者】
【氏名】山口 雄介
【審査官】宮本 秀一
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-132325(JP,A)
【文献】特開2010-039992(JP,A)
【文献】特開2015-126383(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L1/00-3/12
B60L7/00-13/00
B60L15/00-58/40
B60R16/00-17/02
B60W10/00-10/30
B60W30/00-60/00
G07C1/00-15/00
H01M10/42-10/48
H02J1/00-1/16
H02J7/00-7/12
H02J7/34-11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライブレコーダに搭載される充電量制御装置であって、
車両の周囲を撮影した画像データを含む車両周囲の情報を取得する周囲情報取得部と、
前記車両周囲の情報に基づいて、前記車両に関する異常発生の予兆を検出する予兆検出部と、
前記車両に関する予め定められたイベントの発生を検出するイベント検出部と、
前記イベントが検出された場合、前記画像データを保存する記録制御部と、
前記ドライブレコーダにおける電源の充電量を制御する電源制御部と、
を備え、
前記予兆検出部は、前記イベント検出部により前記イベントが検出される頻度より高い頻度で前記異常発生の予兆を検出するように構成され、
前記電源制御部は、通常時には前記電源の充電量を最大充電可能量より低い所定の抑制充電量とするよう制御し、前記異常発生の予兆を検出した場合、前記電源の充電量を前記抑制充電量よりも増加させることを特徴とする充電量制御装置。
【請求項2】
前記電源制御部は、前記電源の充電量として、主電源と異なる予備電源の充電量を制御し、
前記予備電源は、前記主電源からの出力が異常となった場合に、前記電源制御部により制御された充電量に応じて前記画像データを保存するために用いられることを特徴とする請求項1に記載の充電量制御装置。
【請求項3】
前記予兆検出部は、前記画像データの画像解析に基づいて車両への物体接近を前記異常発生の予兆として検出することを特徴とする請求項
1または2に記載の充電量制御装置。
【請求項4】
前記周囲情報取得部は、前記車両周囲の情報として、
さらに前記車両の加速度を取得し、
前記イベント検出部は、前記加速度に基づいて前記車両に関するイベントの発生を検出し、
前記予兆検出部は、前記
イベント検出部によって前記イベントを検出する場合の加速度の閾値よりも低い閾値と、前記周囲情報取得部が取得する前記車両の加速度と、の比較によって前記異常発生の予兆を検出することを特徴とする請求項3に記載の充電量制御装置。
【請求項5】
前記周囲情報取得部は、前記車両周囲の情報として交通情報を取得し、
前記予兆検出部は、前記交通情報に基づき、異常の発生可能性が相対的に高い場所か否かにより前記異常発生の予兆を検出することを特徴とする請求項
1または2に記載の充電量制御装置。
【請求項6】
車両の周囲を撮影した画像データを含む車両周囲の情報を取得する過程と、
前記車両周囲の情報に基づいて、前記車両に関する異常発生の予兆を検出する過程と、
前記車両に関する予め定められたイベントの発生を検出する過程と、
前記イベントが検出された場合、前記画像データを保存する過程と、
ドライブレコーダにおける電源の充電量を制御する過程と、
を備え、
前記予兆を検出する過程は、前記イベントが検出される頻度より高い頻度で前記異常発生の予兆を検出するように検出基準が定められた過程であり、
前記電源の充電量を制御する過程において、通常時には前記電源の充電量を最大充電可能量より低い所定の抑制充電量とするよう制御し、前記異常発生の予兆を検出した場合
、前記電源の充電量を前記抑制充電量よりも増加させる制御をすることを特徴とする充電量制御方法。
【請求項7】
車両の周囲を撮影した画像データを含む車両周囲の情報を取得する機能と、
前記車両周囲の情報に基づいて、前記車両に関する異常発生の予兆を検出する機能と、
前記車両に関する予め定められたイベントの発生を検出する機能と、
前記イベントが検出された場合、前記画像データを保存する機能と、
ドライブレコーダにおける電源の充電量を制御する機能と、
を
ドライブレコーダにおけるコンピュータに実現させ、
前記予兆を検出する機能は、前記イベントの発生を検出する機能により前記イベントが検出される頻度より高い頻度で前記異常発生の予兆を検出するように構成され、
前記電源の充電量を制御する機能は、通常時には前記電源の充電量を最大充電可能量より低い所定の抑制充電量とするよう制御し、前記異常発生の予兆を検出した場合、前記電源の充電量を前記抑制充電量よりも増加させることを特徴とする充電量制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電量制御装置、充電量制御方法、および充電量制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種装置の電源として充電池等が用いられるが、充電池の劣化を防いで寿命を延ばすために充電量を40%~80%に保つ技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、充電池の充電量を80%に抑えていると、本来の充電可能量を最大限まで活用することができない場面があった。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、充電量の効果の最大化と長寿命化の両立を図る充電量制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の充電量制御装置は、車両に関する異常発生の予兆を検出する予兆検出部と、電源の充電量を制御する電源制御部と、を備える。電源制御部は、通常時には電源の充電量を最大充電可能量より低い所定の抑制充電量とするよう制御し、異常発生の予兆を検出した場合、電源の充電量を抑制充電量よりも増加させる。
【0007】
本発明の別の態様は、充電量制御方法である。この方法は、車両に関する異常発生の予兆を検出する過程と、電源の充電量を制御する過程と、を備える。電源の充電量を制御する過程において、通常時には電源の充電量を最大充電可能量より低い所定の抑制充電量とするよう制御し、異常発生の予兆を検出した場合は電源の充電量を抑制充電量よりも増加させる制御をする。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組合せや本発明の構成要素や表現を、方法、装置、システム、プログラムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、充電量の効果の最大化と長寿命化の両立を図る充電量制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】ドライブレコーダの機能構成を模式的に示すブロック図である。
【
図2】ドライブレコーダの回路構成を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。かかる実施の形態に示す具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。以下説明する実施の形態においては、充電量制御装置として主にドライブレコーダを例示するが、ドライブレコーダ以外の電子機器等の充電量制御装置として実現してもよい。ドライブレコーダとして実現される充電量制御装置は、車両およびその車両に設置されたドライブレコーダ本体が事故等により破損する、ドライブレコーダ本体への電源供給ケーブルの抜けや断線が発生する、といった異常発生の予兆を検出したときに、予備電源の充電量を増加させてその異常発生に備える。
【0012】
図1は、ドライブレコーダ10の機能構成を模式的に示すブロック図である。図示する各機能ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのCPUやメモリをはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックとして描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組み合わせによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0013】
ドライブレコーダ10は、周囲情報取得部18、予兆検出部30、記録制御部20、一時記憶部22、通信部24、操作受付部26、主電源50、予備電源52、電源制御部54、表示制御部28、音声出力部29を備える。周囲情報取得部18は、車両周囲の情報を取得する。周囲情報取得部18は、画像取得部12、音声取得部14、車両情報取得部16、交通情報取得部17を有する。画像取得部12は、車両情報取得部16の一部として構成されてもよく、画像取得部12が車両情報取得部16に含まれてもよい。ドライブレコーダ10は、車両、船舶、飛行体などの移動体に搭載される。通信部24は、外部機器との間で無線通信接続によって情報を送受信する。操作受付部26は、ユーザの操作入力を受け付ける。表示制御部28は、撮影した画像の表示装置49への表示を制御する。表示装置49は、例えばナビゲーション装置11が備えるモニタであるが、変形例としては、ドライブレコーダ10が表示装置49を内蔵する形で構成してもよい。音声出力部29は、録音した音声や警告音などの音声を出力するスピーカ47への音声出力を制御する。スピーカ47は、例えばナビゲーション装置11または車両が備えるスピーカであるが、変形例としては、ドライブレコーダ10がスピーカ47を内蔵する形で構成してもよい。ドライブレコーダ10とナビゲーション装置11の接続は、通信部24を介した無線通信接続であってもよいし、UART(Universal Asynchronous Receiver/Transmitter)やUSB(Universal Serial Bus)などの有線通信接続であってもよい。
【0014】
画像取得部12は、車両周囲の情報として、車両の周囲を撮影した画像データを取得する。具体的には、車両に設けられる前方カメラ40および後方カメラ42が撮影する動画像の画像データを取得する。前方カメラ40は、車両の周囲、特に自車両の前方を撮影するように構成される。後方カメラ42は、車両の周囲、特に自車両の後方を撮影するように構成される。前方カメラ40は、自車両の前方および室内の双方を撮影するように構成されてもよく、自車両の前方や側方および室内をすべて撮影する構成として、周囲360度を撮影可能な一つの全周カメラで構成してもよいし、前後や側方を撮影する複数のカメラで構成してもよい。前方カメラ40、後方カメラ42は、ドライブレコーダ10に内蔵されてもよいし、ドライブレコーダ10とは別体であってもよい。後方カメラ42は、ナビゲーション装置11にも後方の画像を送るカメラであり、ドライブレコーダ10とナビゲーション装置11の両方のカメラとして兼用される。
【0015】
画像取得部12は、車両の走行に関する車両情報として前方カメラ40、後方カメラ42が撮影した画像を取得してもよく、画像取得部12を車両情報取得部16の一部とみなしてもよい。画像取得部12は、前方カメラ40からの画像を取得し、また、後方カメラ42からの画像を取得する。表示制御部28は、ギアがドライブやパーキングなどリバース以外に入れられていることを示す車両情報が取得される間は前方カメラ40からの画像を表示装置49に表示させる。ギアがリバースに入れられていることを示す車両情報が取得される間は後方カメラ42からの画像を表示装置49に表示させる。
【0016】
音声取得部14は、車両に設けられるマイク44が取得する音声データを取得する。マイク44は、車両の内外から集音するよう構成される。マイク44は、ドライブレコーダ10に内蔵されてもよいし、ドライブレコーダ10とは別体であってもよいし、前方カメラ40または後方カメラ42と一体であってもよい。あるいは、ナビゲーション装置11に内蔵されてもよい。ナビゲーション装置11に内蔵される場合、マイク44はナビゲーション装置11の音声認識操作に用いられる。音声取得部14は、車両の走行に関する車両情報としてマイク44により音声を取得してもよく、音声取得部14を車両情報取得部16の一部とみなしてもよい。
【0017】
車両情報取得部16は、車両周囲の情報として、車両に設けられる車載装置46から車両の走行に関する車両情報を取得する。車載装置46の具体例として、車速センサ、舵角センサ、アクセル操作量センサ、ブレーキ操作量センサ、加速度センサ、ジャイロセンサ、レーダセンサ、ライダ(LiDAR;Light Detection and Ranging)、位置情報センサ(例えば、GNSS;Global Navigation Satellite System)、乗員の着座センサなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。車両情報取得部16は、各種制御ECU(Electronic Control Unit)から、CAN(Controller Area Network)などの車載ネットワークを介して車両情報を取得してもよいし、ナビゲーション装置11を介して車両情報を取得してもよい。また、ナビゲーション装置11が内蔵する位置情報センサから位置情報を取得してもよい。車両情報取得部16は、通信部24を介してユーザの携帯電話等の端末に内蔵された加速度センサ、ジャイロセンサ、位置情報センサ等の各センサによって検出された情報を取得してもよい。車両情報取得部16は、ドライブレコーダ10が内蔵するセンサから車両の走行に関する情報を取得してもよい。例えば、ドライブレコーダ10が加速度センサや位置情報センサなどのセンサを内蔵してもよい。なお、前方カメラ40、後方カメラ42やマイク44を車載装置の一つとしてみなし、車両情報取得部16が画像取得部12や音声取得部14を含むように構成されてもよい。
【0018】
車両情報取得部16は、例えば車両の状態に関する情報、車両に対する操作に関する情報、車両の速度に関する情報、車両の位置に関する情報、車両の周囲の障害物に関する情報、車両の運転支援機能の作動状態に関する情報などを車載装置46から取得する。車両情報取得部16が取得する各種情報は、後述する予兆検出部30による画像解析で車両周囲の物体を検出するのとは異なり、カメラ以外のセンサからの検知情報である。車両情報取得部16は、車両の状態に関する情報として、例えばドアや窓の開閉状態を示す情報を取得してもよい。車両情報取得部16は、車両に対する操作に関する情報として、例えばドアや窓の開閉を指示する操作があったことを示す情報を取得してもよい。車両情報取得部16は、車両の周囲の障害物に関する情報として、車両の周囲の一定範囲内に他車両が存在するか否かや、走行中の車線上に歩行者や自転車、落下物や建造物などの障害物が存在するか否かを示す情報を取得してもよい。車両情報取得部16は、車両内に乗員が存在するか否かを示す情報を取得してもよい。車両情報取得部16は、車両の運転支援機能の作動状態に関する状態として、自動運転機能や遠隔操作機能のオンオフに関する情報や、特定の運転支援機能が作動中であるか否かに関する情報を取得してもよい。運転支援機能として、例えば、アダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC;Adaptive Cruise Control)やレーン・キープ・アシスト(LKAS;Lane Keeping Assistance System)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0019】
交通情報取得部17は、車両周囲の情報として、通信部24により路上に設置されたビーコン、放送波、携帯電話通信等を介して交通情報を取得する。あるいは、交通情報取得部17は、通信部24によりナビゲーション装置11または車両から交通情報を取得してもよい。
【0020】
予兆検出部30は、周囲情報取得部18により取得された車両周囲の情報に基づいて、車両に関する異常発生の予兆を検出する。予兆検出部30は、画像解析部32、車両情報解析部34、音声解析部36、交通情報解析部38などのうちのひとつ以上を有する。画像解析部32は、画像取得部12が取得した画像データの画像解析に基づいて車両への物体接近等を異常発生の予兆として検出する。画像解析部32は、画像から様々な物体を検出するための画像認識パターンを予め記憶するとともに、その画像認識パターンに基づいて所定の画像認識アルゴリズムを用いて画像に写る物体を検出する。画像認識パターンは、例えば深層学習等の機械学習によって定義される。画像解析部32は、画像解析により、例えば車両の衝突、接触、横転、転落などの事故や、周辺車両の運転者による粗暴行為や危険運転などのトラブルの発生、歩行者や二輪車、または障害物の接近を検知する。画像解析部32が検出する物体としては、例えば自車両に急接近する他の車両、人や動物、路上の落下物や建造物などの障害物、落石等が検出される。予兆検出部30は、路車間通信や車車間通信などの手段により通信部24が取得した異常発生情報、例えば地震や雷などの災害の発生情報や車両周囲で発生した粗暴行為や危険運転などのトラブルの発生情報に基づいて、異常発生の予兆を検出してもよい。
【0021】
車両情報解析部34は、車両情報取得部16が取得した車両情報に基づいて異常発生の予兆を検出する。車両情報解析部34は、例えば車両の走行速度や加速度の情報、アクセル、ブレーキおよびステアリングなどの操作情報から、急発進、急停止、急旋回等による車両挙動の急激な変化を認識することで、事故やアクセルとブレーキの踏み間違え等の異常発生の予兆を検出してもよい。言い換えると、車両情報解析部34は、所定値以上の走行速度や加速度などの車両情報を認識した場合、異常発生の予兆を検出する。車両情報解析部34は、車両のレーダセンサなどの情報から、車両周囲の物体との接近、走行中の車線からの逸脱などを認識することで異常発生の予兆を検出してもよい。車両情報解析部34は、ドライブレコーダ10に設けられた保存開始ボタンの押下や保存開始を示す音声指示を操作受付部26が受け付けたときにも、これを異常発生の予兆として検出してもよい。
【0022】
音声解析部36は、音声取得部14が取得した音声データの音声解析に基づいて異常発生の予兆を検出する。音声解析部36は、音声解析により、例えばブレーキ音、クラクション、叫び声等を認識して事故等の異常発生の予兆を検出し、また例えば車両の衝突、接触、横転、転落の音声を認識して事故等の異常そのものの発生を検出する。音声解析部36は、認識したブレーキ音、クラクション、叫び声等が所定値以上の音量であった場合に、事故等の異常発生の予兆を検出してもよい。
【0023】
交通情報解析部38は、交通情報取得部17が取得した交通情報に基づき、異常の発生可能性が相対的に高い場所か否かにより異常発生の予兆を検出する。例えば、交通情報解析部38は、現在地または進行方向の先に渋滞や事故等があることを交通情報に基づいて認識した場合に、衝突などの異常が発生する可能性があると判断し、異常発生の予兆として検出する。
【0024】
予兆検出部30は、画像解析部32、車両情報解析部34、音声解析部36、交通情報解析部38による各種情報の解析結果の組合せによって異常発生の予兆を検出してもよい。この場合、組み合わせる解析結果の数が多いほど、異常発生の予兆ないし可能性を高い精度で検出することができる。例えば、車両情報により急ブレーキが踏まれたことを検出するとともに、音声情報により大きなブレーキ音を検出した場合、事故発生の危険性が高い急ブレーキによる急減速が発生したことを高い精度にて異常発生の予兆として検出することができる。予兆検出部30は、異常発生の予兆を検出した場合、予兆を検出したことを示す情報を電源制御部54に送信する。予兆検出部30は、異常発生の予兆を検出したときにその異常事態の種類や危険度、発生する確率によって予兆をレベル分けしてレベルに応じて段階的に電源制御部54に送信してもよい。例えば、危険度小レベルの異常が検出された場合、初期的には「小」レベルの予兆を検出したことを示す情報を送信し、後に危険度中レベルの異常が検出された場合、「中」レベルの予兆を検出したことを示す情報を送信し、さらに後に危険度大レベルの異常が検出された場合、「大」レベルの予兆を検出したことを示す情報を送信するなど、レベルが高まるたびに予兆の情報を電源制御部54に送信するようにしてもよい。
【0025】
イベント検出部27は、画像取得部12が取得する画像データ、音声取得部14が取得する音声データ、車両情報取得部16が取得する車両情報に基づいて、予め定められた各種イベント(以下、「トリガーイベント」という)の発生を検出する。トリガーイベントは、車両の事故やトラブル等の重大事象として想定され、その発生や検出があった場合に画像データを上書き禁止データとして保存する契機となる保存契機イベントである。イベント検出部27は、トリガーイベントとして、例えば車両の衝突、接触、横転、転落などの事故や、周辺車両の運転者による粗暴行為や危険運転などのトラブルの発生を検知する。イベント検出部27は、例えば前方カメラ40、後方カメラ42によって取得される画像データやマイク44によって取得される音声データから、所定の認識パターンに基づく画像認識や音声認識によって事故やトラブルの発生を検出してもよい。イベント検出部27は、例えば車両の走行速度や加速度の情報、アクセル、ブレーキおよびステアリングなどの操作情報から、急発進、急停止、急旋回などによる車両挙動の急激な変化を認識することでトリガーイベントの発生を検出してもよい。イベント検出部27は、前方カメラ40、後方カメラ42の画像データや車両のレーダセンサなどの情報から、所定の認識パターンに基づいて車両周囲の物体との接近、走行中の車線からの逸脱などを認識することでトリガーイベントの発生を検出してもよい。イベント検出部27は、ドライブレコーダ10に設けられた保存開始ボタンの押下や保存開始を示す音声指示を操作受付部26が受け付けたときにも、これをトリガーイベントの発生として検出してもよい。
【0026】
なお、イベント検出部27が検出するトリガーイベントは、予兆検出部30が検出する異常発生の予兆と少なくとも一部が重複してもよい。ただし、トリガーイベントは画像データを保存する契機となる点で、すでに重大事象が発生した可能性が高い時点で検出されることが多い。これに対し、予兆検出部30が検出する異常発生の予兆は、あくまで後述する予備電源52の充電開始の契機にすぎず、仮に誤認に基づいて充電を開始しても不都合は少ないため、少しでも異常発生の可能性があれば充電を開始しておくという考え方もある。よって、予兆検出部30が検出する異常発生の予兆は、実際には重大事象が発生していない発生前の段階である場合が多く、異常発生の可能性が必ずしもトリガーイベントほど高くない時点でも予備的に検出する。予兆検出部30が検出する異常発生の予兆は、イベント検出部27が検出するトリガーイベントよりも高い頻度で、またはトリガーイベントの事前に、検出されることが好ましい。例えば、予兆検出部30およびイベント検出部27が、共に車両に加わる加速度によって異常発生の予兆を検出する場合、予兆検出部30は、イベント検出部27が検出するトリガーイベントよりも、低い閾値との比較により異常発生の予兆を検出することが好ましい。
【0027】
記録制御部20は、前方カメラ40または後方カメラ42により常時撮影されて画像取得部12が取得した画像データ、マイク44により常時集音されて音声取得部14が取得した音声データ、車両情報取得部16が取得した車両情報のうち一部またはすべてを、一時記憶部22へ一時的に記憶させる。記録制御部20は、一時記憶部22に記憶される画像データおよび音声データをリングバッファ方式で記録媒体48に記録する。
【0028】
一時記憶部22は、フラッシュメモリないしソリッドステートドライブ(SSD;Solid State Drive)などの不揮発性メモリ、または、DRAMなどの揮発性メモリで構成されるバッファメモリであってもよい。記録媒体48は、例えば、SDカード(登録商標)などのメモリカードであり、ドライブレコーダ10に設けられるスロットに挿入して使用され、ドライブレコーダ10から取り外し可能となるよう構成される。記録媒体48は、ソリッドステートドライブやハードディスクドライブなどの補助記憶装置で構成されてもよいし、このような補助記憶装置としてナビゲーション装置11が内蔵する補助記憶装置を利用してもよい。なお、一時記憶部22へ記憶させる音声データや記録媒体48に記録される音声データは、画像データと合成された動画像データの形式で記憶ないし記録される。ただし、ユーザが選択するモードに応じて、音声データが含まれない無音の画像データとして動画像データが記憶ないし記録される場合もある。したがって、以下に説明する「画像データ」の概念には、特に説明しないが、音声データが含まれる場合と含まれない場合とがあり得る。
【0029】
一時記憶部22へ記憶させる画像データは、MPEG2-TSなどの所定時間で区切られたストリーミング形式の動画像データとして記憶させてもよい。記録媒体48へ記録する画像データは、一時記憶部22へ記憶させる画像データと同じ形式でもよいし、異なる形式、例えばMP4形式などのより圧縮率の高い形式でもよい。
【0030】
記録制御部20は、画像データをリングバッファ方式で一時記憶部22および記録媒体48へ記録するため、一時記憶部22および記録媒体48に記録されたデータが容量一杯になると、最も古いデータから上書きされる。記録制御部20は、画像データを上書き可能の属性で一時記憶部22および記録媒体48にいったん記録する。
【0031】
記録制御部20は、イベント検出部27によりトリガーイベントの発生が検出された場合に、記録媒体48に記録された画像データのうち、少なくともトリガーイベントの検出タイミングを含む期間の画像データに上書き不可の保存形式を設定する。上書き可能および上書き不可の属性は、例えば画像データに含まれる所定のフラグ等に書き込むことによって設定してもよいし、画像データから独立したインデックス等の管理ファイルに上書き可否の属性を書き込むことによって設定してもよい。元の画像データ自体に上書き可否の属性を書き込む場合、例えば元の画像データのうち上書き不可とする保存対象の期間の開始位置と終了位置を示す情報を書き込んでもよい。この場合、保存対象以外の部分、すなわち上書き可能とする部分を後から別データで上書きする際に、保存対象の開始位置から終了位置までが結果的に切り出されて残るようにそれ以外の部分に上書きする。また、保存対象とする部分を元の画像データから切り出して独立させたファイルの形で別途保存することで、上書き可能と上書き不可を区別する仕様としてもよい。保存対象として切り出す部分が複数の画像データをまたぐ場合、それぞれの画像データから切り出して連結したファイルを保存してもよい。独立させたファイルの形で別途保存する場合、上書き可能なデータが記録された領域とは異なる特定の領域、例えば特定のフォルダに記録することで、上書き可能と上書き不可を区別する仕様としてもよい。上書き不可の属性が設定されたデータは、ユーザの明示的な操作によって削除または上書き可能の属性への変更がされるまで上書き禁止の状態が保持される。
【0032】
表示制御部28は、異常発生の予兆やトリガーイベントが検出されたことを表示装置49やナビゲーション装置11の画面に表示させることで運転者や同乗者に視覚的に報知してもよい。音声出力部29は、異常発生の予兆やトリガーイベントが検出されたことを運転者や同乗者に聴覚的に報知してもよい。本実施の形態における報知態様として、視覚的な報知および聴覚的な報知を例示したが、変形例においては触覚による報知、例えばステアリングに振動を与えることにより運転者に注意喚起する報知態様を実現してもよい。
【0033】
主電源50は、例えば車両から電力供給されるACC電源(アクセサリ電源)である。予備電源52は、例えば電気二重層コンデンサで構成される補助的な電源である。電源制御部54は、主電源50および予備電源52の電圧を監視するとともに、主電源50と予備電源52のいずれからドライブレコーダ10の各構成に電力供給するかを制御する。電気二重層コンデンサは、一般的な充電池と同様に、その充電量を最大充電可能量より低い所定の抑制充電量、例えば80%の充電量に抑えることにより、劣化を遅らせて長寿命化を図ることができる。そこで、電源制御部54は、通常時においては予備電源52の充電量を監視して抑制充電量である80%を保つように制御する。すなわち、電源制御部54は、予備電源52の充電量が80%より低ければ予備電源52を充電してその充電量を増加させ、予備電源52の充電量が80%より高ければ80%に収まるまで予備電源52を使用状態にする。変形例として、電源制御部54は、予備電源52の充電量が80%より高ければ80%に収まるまで自然放電させてもよい。
【0034】
電源制御部54は、異常発生の予兆を検出した場合、予備電源52の充電量を抑制充電量を超えて増加させる。電源制御部54は、抑制充電量を超えて充電量を増加させた後、異常発生の予兆が検出されない所定状態となった場合、充電量を抑制充電量に戻す。電源および充電の制御に関する詳細は後述する。
【0035】
図2は、ドライブレコーダ10の回路構成の一例を概略的に示す。本図では特に電源制御に関する回路構成を中心に説明する。主電源50は、一例として12Vの直流電圧を出力する。第1電圧変換器56は、主電源50からの電圧を例えば5V直流電圧に変換するDC/DCコンバータである。第1電圧変換器56から出力された電力は、選択回路62を介してシステム回路66および電源制御部54を含む負荷64に供給される。負荷64は、ドライブレコーダ10において電気的に駆動される各ハードウェア構成であり、システム回路66はCPU、GPU、RAM、ROM、通信モジュール等により構成されてもよく、これらの構成をワンチップに含んで構成されるSoC(System on Chip)であってもよい。システム回路66は、
図1の周囲情報取得部18および予兆検出部30として機能する他、記録制御部20、イベント検出部27、一時記憶部22、通信部24、操作受付部26、表示制御部28、音声出力部29のうち少なくともいずれかとしても機能する。
【0036】
予備電源52は、充電回路60からの電流により、通常時は充電量が抑制充電量である80%となるまで充電される。予備電源52は、複数個の電気二重層コンデンサが接続された構成でもよく、例えば、最大充電量における出力電圧が2.5Vである電気二重層コンデンサが直列に2つ接続された場合には、予備電源52の最大充電量での出力電圧、すなわち最大充電電圧は5.0Vであり、その80%である電気二重層コンデンサの抑制充電量においての出力電圧は4.0Vとなる。予備電源52からの電圧は第2電圧変換器58により昇圧または降圧され、選択回路62を介して負荷64に供給され得る。変形例においては、予備電源52としてリチウムイオン電池やアルカリ蓄電池等の充電池を用いてもよい。第2電圧変換器58は予備電源52からの電圧を例えば5V直流電圧に変換するDC/DCコンバータである。
【0037】
電源制御部54は、主電源50の出力電圧と第1電圧変換器56の出力電圧と予備電源52の充電電圧を監視するとともに、充電回路60、選択回路62を制御するマイクロコントローラである。電源制御部54は、予備電源52の充電量が抑制充電量である80%に満たない場合は、充電回路60を制御し、充電回路60からの電力供給により予備電源52を充電する。電源制御部54は、予備電源52の充電量が80%に達した場合は、その状態で予備電源52に電荷を保持させて80%の充電量を維持する。
【0038】
電源制御部54は、主電源50からの電圧の出力が何らかの原因により異常となった場合、すなわち主電源50からの電圧が閾値電圧、例えば6Vを下回ったとき、または、第1電圧変換器56からの電圧が閾値電圧、例えば4Vを下回ったとき、選択回路62を制御し、主電源50すなわち第1電圧変換器56からの負荷64への電力供給を予備電源52すなわち第2電圧変換器58からの電力供給に切り換える。負荷64の負荷電力量と予備電源52の容量にも依るが、一例として、予備電源52の充電量が抑制充電量である80%のとき、予備電源52から負荷64への電力は約5秒間供給できる。もし同条件で予備電源52を最大充電量である100%、すなわち最大充電電圧まで充電した状態であれば、予備電源52から負荷64への電力は約8秒間供給できる。いずれもごく短時間の電力供給であるとはいえ、5秒と8秒の差は大きく、負荷64が完全に電源断状態となるまでの数秒間に、画像データを保存したり、データをバックアップしたりする必要があり、猶予時間は1秒でも長い方がバックアップの完遂には有利である。特に、ドライブレコーダ10においては、重大な事故が発生したような場合に画像データを確実に保存することが装置の最大の目的であり、事故によってドライブレコーダ10が破損して画像データが保存できなくなる事態をできる限り回避することが望ましい。そこで、何らかの異常発生の予兆が検出されたときに、電源制御部54が予備電源52の充電量を増加させ、万が一、重大な事故等が発生してドライブレコーダ10が破損するようなことが生じた場合でも、画像データの保存といった処理の猶予時間を1秒でも長く確保して処理の確実性を高める。
【0039】
電源制御部54は、システム回路66(予兆検出部30)から異常発生の予兆を示す情報を受け取った場合に、予備電源52を抑制充電量を超えて充電量を増加させるために主電源50からの電力供給すなわち充電回路により予備電源52を充電させる。電源制御部54は、例えばSPI(Serial Peripheral Interface)通信を介してシステム回路66のCPUから異常発生の予兆を示す情報を受け取る。電源制御部54は、予備電源52の充電量が最大充電量である100%まで充電されたときに充電を停止させ、予備電源52の充電量を100%の状態で維持させる。予備電源52の充電量が抑制充電量である80%から100%に増加するのに必要な時間は、予備電源52の容量や、充電回路60から予備電源52への充電電流値に依るが、一例として約2秒間である。電源制御部54は、予備電源52の充電量を100%まで増加させるときは、充電回路60から予備電源52への充電電流値を一時的に多くして急速充電を実行してもよい。予備電源52の充電量増加中または増加後の状態で重大な事故等が発生して主電源50の電源断が起きたときは、上述の通り電源制御部54は主電源50すなわち第1電圧変換器56から負荷64への電力供給より予備電源52すなわち第2電圧変換器58から負荷64への電力供給に切り換える。このように、異常発生の予兆が検出されたことを契機として予備電源52の充電量を増加させることにより、その後に衝突や事故などの重大事由による主電源50から負荷64への電力供給喪失が発生した場合に備えて、その前段階から画像データの保存の確実性を高めておくことができる。
【0040】
主電源50の電源断が起きないまま所定の増加解除条件を満たした場合、電源制御部54は予備電源52から負荷64に電力供給することで、再び充電量が抑制充電量である80%となるまで予備電源52の電力を消費する。ここで、増加解除条件としては、異常発生の予兆が検出されなくなってから所定の待機時間、例えば10秒間が経過したことを条件とする。この待機時間は、少なくとも予備電源52の充電量を80%から100%まで増加させるのに必要な時間(例えば2秒間)よりも長い時間であることが好適である。
【0041】
電源制御部54が異常発生の予兆とともにその予兆のレベルを示す情報を受け取る仕様の場合、レベルに応じて異なる制御をしてもよい。例えば、電源制御部54は充電回路60に対し、予兆のレベルが「高」であれば即時に予備電源52を充電開始させ、レベルが「中」であれば1秒後に予備電源52を充電開始させ、レベルが「低」であれば予備電源52を2秒後に充電開始させる、といった異なる制御をする。これにより、予備電源52の無駄な充電を減らすことができる。例えば、電源制御部54は充電回路60に対し、予兆のレベルが「高」であれば予備電源52の最大充電量を100%とし、レベルが「中」であれば予備電源52の最大充電量を95%とし、レベルが「低」であれば予備電源52の最大充電量を90%とするといった異なる制御をする。これにより、予備電源52の無駄な充電を減らすことができる。例えば、電源制御部54は、予兆のレベルが「高」であれば増加解除条件の待機時間を10秒、レベルが「中」であれば待機時間を9秒、レベルが「低」であれば待機時間を8秒にするといった異なる制御をする。例えば、予兆のレベルが「高」であれば予備電源52の充電を最大の急速充電とし、レベルが「中」であれば予備電源52の充電を中程度の急速充電とし、レベルが「低」であれば予備電源52を通常の充電とするといった異なる制御をする。
【0042】
なお、異常発生の予兆として認識する対象の範囲を広げすぎたり、予兆が成立する条件を緩めすぎたりすると、実際には異常発生の可能性が低いにもかかわらず頻繁に予兆として検出され、その結果、予備電源52が頻繁に抑制充電量を超えて充電されることが繰り返されかねない。また、増加解除条件の待機時間を長くしすぎると、その分、予備電源52が最大充電量まで充電されている時間も長くなる。これでは、予備電源52の劣化が進む原因となりかねない。そのため、異常発生の予兆として認識する対象の範囲や増加解除条件の待機時間は、それぞれ実験による検証をもとに予備電源52の効力最大化と長寿命化の両立を図り得る適切な値が設定される。
【0043】
図3は、電源制御過程を示すフローチャートである。電源制御部54は、主電源50または第1電圧変換器56の出力電圧が閾値以下でなければ(S10のN)、主電源50すなわち第1電圧変換器56を使用して負荷64に電力供給し(S12)、主電源50または第1電圧変換器56の出力電圧が低下し閾値以下となったことを検出すると(S10のY)、主電源50を使用した負荷64への電力供給を予備電源52すなわち第2電圧変換器58を使用した電力供給に切り換え(S22)、本フローの最初に戻る。
【0044】
S12で主電源50から負荷64への電力供給中に、予兆検出部30により異常発生の予兆が検出されておらず(S14のN)、予備電源52の充電量が抑制充電量である80%未満であれば(S16のY)、予備電源52を充電して(S18)、本フローの最初に戻る。予備電源52の充電量が抑制充電量である80%未満ではなく(S16のN)、80%を超えていれば(S20のY)、充電量を80%まで下げるために予備電源52を使用して(S22)充電量を減少させ、本フローの最初に戻る。予備電源52の充電量が抑制充電量である80%を超えていなければ(S20のN)、予備電源52の充電量が適正であるとして、S22をスキップして本フローの最初に戻る。本フローのS16およびS20において、予備電源52の充電量の判定閾値に幅を持たせてもよい。例えば、S16において予備電源52の充電量が79%以上であれば(S16のN)、すなわち予備電源52の充電は不要と判定してもよく、S20において予備電源52の充電量が82%を超えていなければ(S20のN)、すなわち予備電源52の充電量が適正であると判定してもよい。
【0045】
予兆検出部30により異常発生の予兆が検出された場合(S14のY)、予備電源52の充電量が最大充電量である100%未満であれば(S24のY)、予備電源52を充電して(S18)、本フローの最初に戻る。予備電源52の充電量が最大充電量である100%未満でなく、すなわち100%の状態であれば(S24のN)、S18をスキップして本フローの最初に戻る。その後、実際に異常が発生して主電源50または第1電圧変換器56の出力電圧が閾値以下となった場合には(S10のY)、予備電源52による負荷64への電力供給に切り換えられ(S22)、その時点で最大充電量である100%まで充電されていれば約8秒間にわたり負荷64に電力を供給できる。異常発生の予兆が検出された後で実際には異常が発生せず、予兆の検出がなくなってから所定の待機時間が経過するまでは(S14のY)、予備電源52の充電量が最大充電量である100%未満である限り(S24のY)、予備電源52が充電されるが(S18)、待機時間が経過して増加解除条件が成立した後は(S14のN)、予備電源52の充電量が抑制充電量である80%未満ではなく(S16のN)、80%を超えるため(S20のY)、80%となるまで予備電源52が使用される(S22)。
【0046】
以上、実施の形態において説明したように、予備電源52の充電量の効果の最大化と長寿命化の両立を図ることができる。特に、万が一、重大な事故等が発生してドライブレコーダ10が破損するようなことが生じた場合でも、画像データの保存といった処理の猶予時間を1秒でも長く確保して処理の確実性を高めることができる。また、現実に異常が発生していなくとも、その予兆となる事象を事前に捉えることで予備的な電力供給の確実性を高めることができる。さらに、予兆が成立する条件や充電量増加後の待機時間等の条件を最適化することにより、無駄な充電を減らして予備電源52の劣化を抑制することができる。
【0047】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0048】
10 ドライブレコーダ、 12 画像取得部、 14 音声取得部、 16 車両情報取得部、 17 交通情報取得部、 18 周囲情報取得部、 30 予兆検出部、 32 画像解析部、 34 車両情報解析部、 36 音声解析部、 38 交通情報解析部、 50 主電源、 52 予備電源、 54 電源制御部。