(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】後処理装置及びこれを備えた画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 37/04 20060101AFI20240319BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
B65H37/04 D
G03G15/00 432
(21)【出願番号】P 2020029439
(22)【出願日】2020-02-25
【審査請求日】2023-01-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100127797
【氏名又は名称】平田 晴洋
(72)【発明者】
【氏名】能宗 輝光
【審査官】田村 佳孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-136067(JP,A)
【文献】特開2014-097854(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 37/04
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積載されたシートを整合してシート束を形成する積載部と、
前記積載部に隣接して配置されるベース部材と、
前記ベース部材に支持され、前記シート束の幅方向に沿って直線移動する第1移動体と、
第1係合部材と第2係合部材とを有し、前記第1移動体に対して揺動可能に配置される第2移動体と、
前記第2移動体に固定され、前記第1移動体の直線移動に応じて前記幅方向に移動されると共に前記第2移動体の揺動に応じて揺動され、前記積載部に積載された前記シート束の所定位置を前記幅方向と平行に綴じる平行綴じと、前記シート束の角部を前記幅方向に対して傾いた状態で綴じる角綴じが可能なステープル部と、
前記ベース部材に形成され、前記第1係合部材及び前記第2係合部材が係合され、前記第1移動体の直線移動に伴う前記第1係合部材及び前記第2係合部材の移動を案内することにより、前記第2移動体の姿勢を制御する姿勢制御部と、を備え、
前記姿勢制御部は、
前記幅方向に沿って直線状に延び、前記第1移動体の直線移動に応じて前記第1係合部材及び前記第2係合部材が前記幅方向に並んで配列した状態で移動するように案内することで、前記ステープル部が前記幅方向に平行な姿勢となるように前記第2移動体の姿勢を平行姿勢で維持させる平行溝と、
前記平行溝の前記幅方向の一端から円弧状に形成され、前記ステープル部による前記シート束の幅方向一方側の角部に対する前記角綴じが可能となるように前記第2移動体を第1角綴じ位置に案内する第1端部円弧領域を有し、前記第1移動体の前記幅方向の一方側への直線移動に応じて前記第2係合部材が前記平行溝を移動中に、前記第1係合部材が前記第1端部円弧領域を移動するように案内することで、前記第1角綴じ位置において、前記第2移動体の姿勢を前記平行姿勢から前記第2係合部材を中心として第1方向に揺動した第1揺動姿勢に変化させる第1揺動溝と、を含み、
前記第1係合部材は、前記第1揺動溝を移動する間、常に前記第1揺動溝に接触し
、
前記第1揺動溝は、
前記第1端部円弧領域から前記幅方向に直線状に延び、前記第1移動体の前記幅方向の他方側への直線移動に応じて前記第2係合部材が前記平行溝を移動中に、前記第1係合部材の移動を案内することで、前記第2移動体の姿勢を前記第1揺動姿勢で維持させる第1直線領域と、
前記第1直線領域から円弧状に形成されて前記平行溝の中間部に繋がり、前記第1移動体の前記幅方向の他方側への直線移動に応じて前記第2係合部材が前記平行溝を移動中に、前記第1係合部材を前記第1直線領域から前記平行溝に案内することで、前記第2移動体の姿勢を前記第1揺動姿勢から前記平行姿勢に戻す第1中間円弧領域と、を更に有する、後処理装置。
【請求項2】
前記第1移動体は、前記第1端部円弧領域の形状に対応して前記幅方向と交差するように延びる円弧状に形成され、前記第1係合部材が挿通される第1挿通孔を有し、
前記第1係合部材は、前記第1挿通孔の内周縁に接触している、請求項
1に記載の後処理装置。
【請求項3】
前記姿勢制御部は、
前記第1端部円弧領域に設けられ、前記第1係合部材の前記第1端部円弧領域から前記第1直線領域への移動を許容すると共に、前記第1係合部材の前記第1直線領域から前記第1端部円弧領域への移動を阻止する第1可動ガイド部材と、
前記第1中間円弧領域に設けられ、前記第1係合部材の前記第1中間円弧領域から前記平行溝への移動を許容すると共に、前記第1係合部材の前記平行溝から前記第1中間円弧領域への移動を阻止する第2可動ガイド部材と、を更に含む、請求項
1又は2に記載の後処理装置。
【請求項4】
前記姿勢制御部は、前記平行溝の中心を通り前記幅方向と直交する方向に沿った直線を対称軸として前記第1揺動溝に対して線対称な形状に形成され、前記平行溝の前記幅方向の他端に繋がる第2揺動溝を、更に含み、
前記第2揺動溝は、前記平行溝の前記幅方向の他端から円弧状に形成され、前記ステープル部による前記シート束の幅方向他方側の角部に対する前記角綴じが可能となるように前記第2移動体を第2角綴じ位置に案内する第2端部円弧領域を有し、前記第1移動体の前記幅方向の他方側への直線移動に応じて前記第1係合部材が前記平行溝を移動中に、前記第2係合部材が前記第2端部円弧領域を移動するように案内することで、前記第2角綴じ位置において、前記第2移動体の姿勢を前記平行姿勢から前記第1係合部材を中心として前記第1方向とは反対の第2方向に揺動した第2揺動姿勢に変化させ、
前記第2係合部材は、前記第2揺動溝を移動する間、常に前記第2揺動溝に接触している、請求項1~
3のいずれか1項に記載の後処理装置。
【請求項5】
前記第2揺動溝は、
前記第2端部円弧領域から前記幅方向に直線状に延び、前記第1移動体の前記幅方向の一方側への直線移動に応じて前記第1係合部材が前記平行溝を移動中に、前記第2係合部材の移動を案内することで、前記第2移動体の姿勢を前記第2揺動姿勢で維持させる第2直線領域と、
前記第2直線領域から円弧状に形成されて前記平行溝の中間部に繋がり、前記第1移動体の前記幅方向の一方側への直線移動に応じて前記第1係合部材が前記平行溝を移動中に、前記第2係合部材を前記第2直線領域から前記平行溝に案内することで、前記第2移動体の姿勢を前記第2揺動姿勢から前記平行姿勢に戻す第2中間円弧領域と、を更に有する、請求項
4に記載の後処理装置。
【請求項6】
前記第1移動体は、前記第2端部円弧領域の形状に対応して前記幅方向と交差するように延びる円弧状に形成され、前記第2係合部材が挿通される第2挿通孔を有し、
前記第2係合部材は、前記第2揺動溝を移動する間、前記第2挿通孔の内周縁に接触している、請求項
4又は5に記載の後処理装置。
【請求項7】
前記姿勢制御部は、
前記第2端部円弧領域に設けられ、前記第2係合部材の前記第2端部円弧領域から前記第2直線領域への移動を許容すると共に、前記第2係合部材の前記第2直線領域から前記第2端部円弧領域への移動を阻止する第3可動ガイド部材と、
前記第2中間円弧領域に設けられ、前記第2係合部材の前記第2中間円弧領域から前記平行溝への移動を許容すると共に、前記第2係合部材の前記平行溝から前記第2中間円弧領域への移動を阻止する第4可動ガイド部材と、を更に含む、請求項
5に記載の後処理装置。
【請求項8】
シートに画像を形成する画像形成処理を行う画像形成部と、
前記画像形成処理後のシートに後処理を施す、請求項1~
7のいずれか1項に記載の後処理装置と、を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートに後処理を施す後処理装置、及びこれが適用された画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成後のシートを排紙トレイに排出するに際して、複数枚のシートに順次後処理を施した後、前記複数枚のシートを整合して排出する後処理装置が知られている。シートに施される後処理として、複数枚のシートからなるシート束をステープル針で綴じるステープル処理がある。特許文献1には、ステープル処理を行うステープル処理装置(シート束綴じ装置)を備える画像形成装置が開示されている。
【0003】
特許文献1に開示されるステープル処理装置は、シート束の幅方向に移動可能な移動体と、移動体に回転移動可能に設けられるステープル部と、移動体の移動に伴うステープル部の移動を案内する案内溝部とを備える。案内溝部は、シート束の幅方向に延びる主案内溝と、主案内溝と平行に延びる副案内溝と、副案内溝と繋がる斜行案内溝とを有している。ステープル部には、主案内溝に挿通されて移動体に接続される係合軸と、副案内溝及び斜行案内溝に係合される一対の係合突起とが突設されている。
【0004】
特許文献1に開示されるステープル処理装置においては、移動体の移動に伴って係合軸が主案内溝内を移動すると共に、一対の係合突起がシート束の幅方向に並んで配列した状態で副案内溝を移動する。移動体がシート束の端部に向かって更に移動すると、やがて、一対の係合突起のうちの一方の突起が副案内溝内を移動中に他方の突起が斜行案内溝内を移動する。この場合、一対の係合突起がシート束の幅方向と交差した方向に配列した状態となり、これに伴ってステープル部が回転移動して姿勢が変化される。このようなステープル部の姿勢変化によって、シート束の角を、ステープル針を斜めの状態で綴じる斜め綴じが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されるステープル処理装置において、ステープル部が姿勢変化するときには、係合軸と一対の係合突起との位置関係が保持された状態で、一対の係合突起が係合軸を中心に回転される。このため、一対の係合突起のうちの他方の突起における副案内溝と斜行案内溝との間の滑らかな移動が阻害され、ステープル部の安定した姿勢変化が損なわれる虞がある。この場合、ステープル部が姿勢変化するときに、係合軸や一対の係合突起、又は案内溝等に負荷がかかり、これらに破損等の不具合が生じる虞がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ステープル部の姿勢変化によってシート束の角の斜め綴じが可能な後処理装置において、ステープル部の安定した姿勢変化が可能な後処理装置、及びこれを備えた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一の局面に係る後処理装置は、積載されたシートを整合してシート束を形成する積載部と、前記積載部に隣接して配置されるベース部材と、前記ベース部材に支持され、前記シート束の幅方向に沿って直線移動する第1移動体と、第1係合部材と第2係合部材とを有し、前記第1移動体に対して揺動可能に配置される第2移動体と、前記第2移動体に固定され、前記第1移動体の直線移動に応じて前記幅方向に移動されると共に前記第2移動体の揺動に応じて揺動され、前記積載部に積載された前記シート束の所定位置を前記幅方向と平行に綴じる平行綴じと、前記シート束の角部を前記幅方向に対して傾いた状態で綴じる角綴じが可能なステープル部と、前記ベース部材に形成され、前記第1係合部材及び前記第2係合部材が係合され、前記第1移動体の直線移動に伴う前記第1係合部材及び前記第2係合部材の移動を案内することにより、前記第2移動体の姿勢を制御する姿勢制御部と、を備える。前記姿勢制御部は、前記幅方向に沿って直線状に延び、前記第1移動体の直線移動に応じて前記第1係合部材及び前記第2係合部材が前記幅方向に並んで配列した状態で移動するように案内することで、前記ステープル部が前記幅方向に平行な姿勢となるように前記第2移動体の姿勢を平行姿勢で維持させる平行溝と、前記平行溝の前記幅方向の一端から円弧状に形成され、前記ステープル部による前記シート束の幅方向一方側の角部に対する前記角綴じが可能となるように前記第2移動体を第1角綴じ位置に案内する第1端部円弧領域を有し、前記第1移動体の前記幅方向の一方側への直線移動に応じて前記第2係合部材が前記平行溝を移動中に、前記第1係合部材が前記第1端部円弧領域を移動するように案内することで、前記第1角綴じ位置において、前記第2移動体の姿勢を前記平行姿勢から前記第2係合部材を中心として第1方向に揺動した第1揺動姿勢に変化させる第1揺動溝と、を含む。前記第1係合部材は、前記第1揺動溝を移動する間、常に前記第1揺動溝に接触している。
【0009】
この後処理装置によれば、ステープル部は、シート束の幅方向に直線移動する第1移動体に対して揺動可能に配置された第2移動体に固定されている。このため、ステープル部は、第1移動体の直線移動に伴ってシート束の幅方向に移動されると共に、第2移動体の揺動に応じた姿勢変化によって姿勢変化される。これにより、ステープル部は、シート束の所定位置を幅方向と平行に綴じる平行綴じと、シート束の角部を幅方向に対して傾いた状態で綴じる角綴じが可能となる。
【0010】
第1移動体は、シート束の幅方向に沿って直線移動する。一方、第2移動体は、第1係合部材と第2係合部材とを有し、第1移動体の直線移動に伴う第1係合部材及び第2係合部材の移動が姿勢制御部の平行溝及び第1揺動溝によって案内される。第1係合部材及び第2係合部材は、平行溝を移動するときには、シート束の幅方向に並んで配列した状態で移動する。この場合、第2移動体の姿勢が平行姿勢で維持され、これに伴ってステープル部は幅方向に平行な姿勢で維持される。これにより、ステープル部によるシート束の所定位置の平行綴じが可能となる。
【0011】
第1移動体の幅方向の一方側への直線移動に応じて第2係合部材が平行溝を移動中に、第1係合部材が第1端部円弧領域を移動するように第1揺動溝に案内される。この場合、第2移動体の姿勢が平行姿勢から第2係合部材を中心として第1方向に揺動した第1揺動姿勢に変化され、これに伴ってステープル部も姿勢変化される。これにより、ステープル部によるシート束の幅方向一方側の角部の斜め綴じが可能となる。ここで、第1係合部材は、第1揺動溝を移動する間、常に当該第1揺動溝に接触している。これにより、第1揺動溝における第1係合部材の移動の安定性が向上し、滑らかな移動が可能となる。このため、第1係合部材の第1揺動溝内での移動に応じた第2移動体の姿勢変化がスムーズなものとなり、ステープル部の安定した姿勢変化が可能となる。また、第2移動体の姿勢変化がスムーズであるので、その姿勢変化に関わる第1係合部材及び第2係合部材や平行溝及び第1揺動溝等にかかる負荷が軽減され、これらに破損等の不具合が生じることを可及的に防止することができる。
【0012】
上記の後処理装置において、前記第1揺動溝は、前記第1端部円弧領域から前記幅方向に直線状に延び、前記第1移動体の前記幅方向の他方側への直線移動に応じて前記第2係合部材が前記平行溝を移動中に、前記第1係合部材の移動を案内することで、前記第2移動体の姿勢を前記第1揺動姿勢で維持させる第1直線領域と、前記第1直線領域から円弧状に形成されて前記平行溝の中間部に繋がり、前記第1移動体の前記幅方向の他方側への直線移動に応じて前記第2係合部材が前記平行溝を移動中に、前記第1係合部材を前記第1直線領域から前記平行溝に案内することで、前記第2移動体の姿勢を前記第1揺動姿勢から前記平行姿勢に戻す第1中間円弧領域と、を更に有する構成であってもよい。
【0013】
この態様では、第1係合部材が第1端部円弧領域の移動後に第1直線領域に到達した状態において、第1移動体が幅方向の他方側へ直線移動すると、第2係合部材が平行溝を幅方向他方側へ移動すると共に、第1係合部材が第1直線領域を幅方向他方側へ移動する。第1直線領域は幅方向に直線状に延びる領域であるので、第1係合部材が第1直線領域を移動するときには、第2移動体の姿勢が第1揺動姿勢で維持される。これにより、ステープル部の姿勢が第2移動体と同様に第1揺動姿勢で維持され、シート幅の異なる複数種のシートの各々に対応して幅方向一方側の角部の斜め綴じが可能となる。第1係合部材が第1直線領域を移動中に第1移動体の幅方向他方側への直線移動が継続されると、やがて、第1係合部材が第1直線領域から第1中間円弧領域へ移動する。この場合、第1移動体の幅方向の他方側への直線移動に応じて第2係合部材が平行溝を移動中に、第1係合部材が第1中間円弧領域を移動することで、第2移動体の姿勢が第1揺動姿勢から平行姿勢に変化される。これにより、ステープル部が第2移動体と同様に第1揺動姿勢から平行姿勢に姿勢変化される。
【0014】
上記の後処理装置において、前記第1移動体は、前記第1端部円弧領域の形状に対応して前記幅方向と交差するように延びる円弧状に形成され、前記第1係合部材が挿通される第1挿通孔を有し、前記第1係合部材は、前記第1挿通孔の内周縁に接触している構成であってもよい。
【0015】
この態様では、第1係合部材の第1端部円弧領域内での移動に応じた第2移動体の揺動を、第1移動体に形成された第1挿通孔によって案内することができる。これにより、第1係合部材の第1端部円弧領域内での移動に応じた第2移動体の姿勢変化がよりスムーズなものとなり、ステープル部の安定した姿勢変化が可能となる。
【0016】
上記の後処理装置において、前記姿勢制御部は、前記第1端部円弧領域に設けられ、前記第1係合部材の前記第1端部円弧領域から前記第1直線領域への移動を許容すると共に、前記第1係合部材の前記第1直線領域から前記第1端部円弧領域への移動を阻止する第1可動ガイド部材と、前記第1中間円弧領域に設けられ、前記第1係合部材の前記第1中間円弧領域から前記平行溝への移動を許容すると共に、前記第1係合部材の前記平行溝から前記第1中間円弧領域への移動を阻止する第2可動ガイド部材と、を更に含む構成であってもよい。
【0017】
この態様では、第1移動体の直線移動に応じて第1係合部材が第1揺動溝を移動するときに、第1端部円弧領域、第1直線領域及び第1中間円弧領域の順に移動するように、第1可動ガイド部材及び第2可動ガイド部材によって各領域の逆順の移動が阻止される。
【0018】
上記の後処理装置において、前記姿勢制御部は、前記平行溝の中心を通り前記幅方向と直交する方向に沿った直線を対称軸として前記第1揺動溝に対して線対称な形状に形成され、前記平行溝の前記幅方向の他端に繋がる第2揺動溝を、更に含む構成であってもよい。前記第2揺動溝は、前記平行溝の前記幅方向の他端から円弧状に形成され、前記ステープル部による前記シート束の幅方向他方側の角部に対する前記角綴じが可能となるように前記第2移動体を第2角綴じ位置に案内する第2端部円弧領域を有し、前記第1移動体の前記幅方向の他方側への直線移動に応じて前記第1係合部材が前記平行溝を移動中に、前記第2係合部材が前記第2端部円弧領域を移動するように案内することで、前記第2角綴じ位置において、前記第2移動体の姿勢を前記平行姿勢から前記第1係合部材を中心として前記第1方向とは反対の第2方向に揺動した第2揺動姿勢に変化させる。そして、前記第2係合部材は、前記第2揺動溝を移動する間、常に前記第2揺動溝に接触している。
【0019】
また、上記の後処理装置において、前記第2揺動溝は、前記第2端部円弧領域から前記幅方向に直線状に延び、前記第1移動体の前記幅方向の一方側への直線移動に応じて前記第1係合部材が前記平行溝を移動中に、前記第2係合部材の移動を案内することで、前記第2移動体の姿勢を前記第2揺動姿勢で維持させる第2直線領域と、前記第2直線領域から円弧状に形成されて前記平行溝の中間部に繋がり、前記第1移動体の前記幅方向の一方側への直線移動に応じて前記第1係合部材が前記平行溝を移動中に、前記第2係合部材を前記第2直線領域から前記平行溝に案内することで、前記第2移動体の姿勢を前記第2揺動姿勢から前記平行姿勢に戻す第2中間円弧領域と、を更に有する構成であってもよい。
【0020】
この態様では、第1移動体の幅方向の他方側への直線移動に応じて第1係合部材が平行溝を移動中に、第2係合部材が第2端部円弧領域を移動するように第2揺動溝に案内される。この場合、第2移動体の姿勢が平行姿勢から第1係合部材を中心として第2方向に揺動した第2揺動姿勢に変化され、これに伴ってステープル部も姿勢変化される。これにより、ステープル部によるシート束の幅方向他方側の角部の斜め綴じが可能となる。ここで、第2係合部材は、第2揺動溝を移動する間、常に当該第2揺動溝に接触している。これにより、第2揺動溝における第2係合部材の移動の安定性が向上し、滑らかな移動が可能となる。このため、第2係合部材の第2揺動溝内での移動に応じた第2移動体の姿勢変化がスムーズなものとなり、ステープル部の安定した姿勢変化が可能となる。
【0021】
上記の後処理装置において、前記第1移動体は、前記第2端部円弧領域の形状に対応して前記幅方向と交差するように延びる円弧状に形成され、前記第2係合部材が挿通される第2挿通孔を有し、前記第2係合部材は、前記第2揺動溝を移動する間、前記第2挿通孔の内周縁に接触している構成であってもよい。
【0022】
この態様では、第2係合部材の第2端部円弧領域内での移動に応じた第2移動体の揺動を、第1移動体に形成された第2挿通孔によって案内することができる。これにより、第2係合部材の第2端部円弧領域内での移動に応じた第2移動体の姿勢変化がよりスムーズなものとなり、ステープル部の安定した姿勢変化が可能となる。
【0023】
上記の後処理装置において、前記姿勢制御部は、前記第2端部円弧領域に設けられ、前記第2係合部材の前記第2端部円弧領域から前記第2直線領域への移動を許容すると共に、前記第2係合部材の前記第2直線領域から前記第2端部円弧領域への移動を阻止する第3可動ガイド部材と、前記第2中間円弧領域に設けられ、前記第2係合部材の前記第2中間円弧領域から前記平行溝への移動を許容すると共に、前記第2係合部材の前記平行溝から前記第2中間円弧領域への移動を阻止する第4可動ガイド部材と、を更に含む構成であってもよい。
【0024】
この態様では、第1移動体の直線移動に応じて第2係合部材が第2揺動溝を移動するときに、第2端部円弧領域、第2直線領域及び第2中間円弧領域の順に移動するように、第3可動ガイド部材及び第4可動ガイド部材によって各領域の逆順の移動が阻止される。
【0025】
本発明の他の局面に係る画像形成装置は、シートに画像を形成する画像形成処理を行う画像形成部と、前記画像形成処理後のシートに後処理を施す、上記の後処理装置と、を備える。
【発明の効果】
【0026】
以上説明したように、本発明によれば、ステープル部の姿勢変化によってシート束の角の斜め綴じが可能な後処理装置において、ステープル部の安定した姿勢変化が可能な後処理装置、及びこれを備えた画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の一実施形態に係る後処理装置を備えた画像形成装置の内部構造を概略的に示す断面図である。
【
図2】後処理装置のステープル処理装置におけるステープル部が平行姿勢を取った状態を示す斜視図である。
【
図3】ステープル部が平行姿勢を取ったときのベース部材上での第1移動体及び第2移動体の姿勢を示す斜視図である。
【
図4】
図3に示す第1移動体及び第2移動体を上方側から見た斜視図である。
【
図5】
図3に示す第1移動体及び第2移動体を下方側から見た斜視図である。
【
図8】ステープル部が第1揺動姿勢を取った状態を示す斜視図である。
【
図9】ステープル部が第1揺動姿勢を取ったときのベース部材上での第1移動体及び第2移動体の姿勢を示す斜視図である。
【
図10】
図9に示す第1移動体及び第2移動体を上方側から見た斜視図である。
【
図11】
図9に示す第1移動体及び第2移動体を下方側から見た斜視図である。
【
図12】ステープル部が第2揺動姿勢を取った状態を示す斜視図である。
【
図13】ステープル部が第2揺動姿勢を取ったときのベース部材上での第1移動体及び第2移動体の姿勢を示す斜視図である。
【
図14】
図13に示す第1移動体及び第2移動体を上方側から見た斜視図である。
【
図15】
図13に示す第1移動体及び第2移動体を下方側から見た斜視図である。
【
図16】シート束の幅方向一端部に対応した第1移動体及び第2移動体の移動の様子を説明する図である。
【
図17】シート束の幅方向一端部に対応した第1移動体及び第2移動体の移動の様子を説明する図である。
【
図18】シート束の幅方向一端部に対応した第1移動体及び第2移動体の移動の様子を説明する図である。
【
図19】シート束の幅方向一端部に対応した第1移動体及び第2移動体の移動の様子を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態に係る後処理装置及び画像形成装置について、図面に基づいて説明する。
【0029】
図1は、本発明の一実施形態に係る後処理装置5及び本体部1aを備えた画像形成装置1の内部構造を概略的に示す断面図である。ここでは、画像形成装置1の本体部1aは、いわゆる胴内排紙型のモノクロ複写機を示すが、当該本体部1aは、カラー複写機、プリンター、ファクシミリ装置、或いは、これらの機能を備える複合機であってもよい。
【0030】
画像形成装置1は、シートに対して画像形成処理を行う本体部1aと、この本体部1aに隣接して配置され、画像形成処理が施されたシート又は複数枚のシートからなるシート束に対して所定の後処理を行う後処理部を備えた後処理装置5とを含む。前記後処理とは、例えばシートに綴じ孔を穿孔する穿孔処理、シート束にステープル針を打ち込むステープル処理、シートを折り畳む中折り処理、シートに対してシフト動作や幅合わせ動作などを行う整合処理などである。
【0031】
本体部1aは、本体筐体100と、この本体筐体100の上部に配置された画像読取部2aと、画像読取部2aの上面に配置された自動原稿給送装置(ADF)2bと、を備えている。本体筐体100の内部には、給紙部3a、搬送路3b、画像形成部4a、定着部4b及びシート排出部3cが収容されている。
【0032】
自動原稿給送装置2bは、所定の原稿読取位置(第1コンタクトガラス24が組み付けられた位置)に向けて、複写される原稿シートを自動給送する。一方、ユーザーが手置きで原稿シートを所定の原稿読取位置(第2コンタクトガラス25の配置位置)に載置する場合は、自動原稿給送装置2bは上方に開けられる。自動原稿給送装置2bは、原稿シートが載置される原稿トレイ21と、自動原稿読取位置を経由して原稿シートを搬送する原稿搬送部22と、読取後の原稿シートが排出される原稿排出トレイ23とを含む。
【0033】
画像読取部2aは、箱形の筐体構造を有し、その上面には自動原稿給送装置2bから自動給送される原稿シートの読取用の第1コンタクトガラス24と、手置きされる原稿シートの読取用の第2コンタクトガラス25とが嵌め込まれている。画像読取部2aは、原稿シートの画像を光学的に読み取る。
【0034】
本体筐体100内の給紙部3aは、複数のカセット31(31A,31B,31C,31D)を含む。各カセット31は、回転駆動する給紙ローラー32(32A,32B,32C,32D)を備え、画像形成時に1枚ずつシートを搬送路3bに送り込む。
【0035】
搬送路3bは、給紙部3aから胴内排出トレイ33、或いは後処理装置5まで、本体筐体100内においてシートを搬送するための搬送路である。搬送路3bには、シートの案内のためのガイド板や、シート搬送時に回転駆動する搬送ローラー対34(34A,34B,34C)や、搬送されるシートを画像形成部4aの手前で待機させ、形成されたトナー像の転写タイミングに合わせてシートを送り出すレジストローラー対35が設けられている。
【0036】
画像形成部4aは、トナー画像を生成しこれをシート上に転写する、すなわち、シートに画像を形成する。画像形成部4aは、感光体ドラム41と、この感光体ドラム41の周囲に配置された、帯電器42、露光器43、現像装置44、転写ローラー45及びクリーニング装置46とを含む。
【0037】
感光体ドラム41は、その軸回りに回転し、その周面に静電潜像及びトナー像が形成される。帯電器42は、感光体ドラム41の表面を均一に帯電する。露光器43は、レーザー光源とミラーやレンズ等の光学系機器とを有し、感光体ドラム41の周面に、原稿画像の画像データに基づくレーザー光Lを照射して、静電潜像を形成する。現像装置44は、感光体ドラム41上に形成された静電潜像を現像するために、感光体ドラム41の周面にトナーを供給する。転写ローラー45は、感光体ドラム41と共に転写ニップ部を形成すると共に、転写バイアスが与えられる。前記転写ニップ部を通過するシートに対して、感光体ドラム41上のトナー像が転写される。クリーニング装置46は、クリーニングローラー等を有し、トナー像転写後の感光体ドラム41の周面を清掃する。
【0038】
定着部4bは、シートに転写されたトナー像を定着させる。定着部4bは、発熱体を内蔵する加熱ローラー47と、加熱ローラー47に圧接される加圧ローラー48とを含む。トナー像が転写されたシートが、加熱ローラー47と加圧ローラー48とで形成される定着ニップを通過すると、トナーが溶融及び加熱され、トナー像がシートに定着される。定着処理後のシートは、シート排出部3cに送られる。
【0039】
シート排出部3cは、画像形成後のシートを後処理装置5の方向に送り出すための対外排出ローラー対36Aと、胴内排出トレイ33方向に送り出すための対内排出ローラー対36Bとを有する。各排出ローラー対36A,36Bは、排出動作時に回転駆動され、シートを機外に排出する。また、シート排出部3cは、シートの搬送方向を切り替える切り替えレバー37を有する。
【0040】
後処理装置5は、本体筐体100に隣接して配置される後処理装置筐体500と、この後処理装置筐体500内に配置された後処理部とを含む。本実施形態では、前記後処理部として、穿孔装置51、ステープル処理装置52、中折り装置53及び整合部57が備えられている。穿孔装置51、ステープル処理装置52及び整合部57は、後処理装置筐体500の上部付近に収容され、中折り装置53は下部付近に収容されている。
【0041】
後処理装置筐体500の、本体筐体100と対向する側面には、画像形成処理後のシートを後処理装置筐体500内へ受け入れる搬入口60が備えられ、前記側面と反対側の側面には後処理装置筐体500からシートを排出するメイン搬出口61及びサブ搬出口62が備えられている。これらメイン搬出口61及びサブ搬出口62にそれぞれ対応して、後処理装置筐体500には、メイン排出トレイ54及びサブ排出トレイ55が取り付けられている。この他、後処理装置筐体500の内部には、第1搬送路L1、第2搬送路L2、第3搬送路L3、第4搬送路L4、第1合流部Q1、第1分岐部B1、第2分岐部B2、第3分岐部B3及び待避ドラム63が備えられている。
【0042】
第1搬送路L1は、搬入口60から搬入されたシートをメイン搬出口61に搬送するための搬送路である。メイン搬出口61から排出されたシートは、メイン排出トレイ54に排出される。
【0043】
第3搬送路L3は、第1搬送路L1から第1分岐部B1において分岐して形成される。第3搬送路L3は、第1分岐部B1からサブ搬出口62に至る搬送路である。サブ搬出口62から排出されたシートは、サブ排出トレイ55に排出される。
【0044】
第2搬送路L2は、第1搬送路L1が第2分岐部B2において分岐されることで形成される。第2搬送路L2は、中折り装置53まで垂直方向に延びる搬送路である。第4搬送路L4は、第2搬送路L2から第3分岐部B3において分岐し、待避ドラム63の周りに沿って湾曲し、第1合流部Q1において第1搬送路L1に合流する搬送路である。
【0045】
第1分岐部B1には、第1切り換え爪64が配置されている。第1切り換え爪64は、第1搬送路L1を搬送されるシートの搬送先を、そのままの第1搬送路L1と第3搬送路L3との間で切り換える。第2分岐部B2には、第2切り換え爪65が配置されている。第2切り換え爪65は、シートの搬送先を第1搬送路L1と第2搬送路L2との間で切り換える。
【0046】
第1分岐部B1の上流側に隣接する位置に、第1搬送ローラー対66が配置されている。また、第1搬送路L1の下流端であって、メイン搬出口61の近傍には、第4搬送ローラー対68が配置されている。さらに、第1搬送路L1の、第4搬送ローラー対68よりも上流側には、第2搬送ローラー対69が配置されている。第1搬送路L1を通過するシートは、これら第1搬送ローラー対66、第2搬送ローラー対69及び第4搬送ローラー対68によって、搬入口60からメイン搬出口61、及びメイン排出トレイ54まで搬送される。
【0047】
第3搬送路L3の下流端であって、サブ搬出口62の近傍には、第3搬送ローラー対67が配置されている。第3搬送路L3を搬送されたシートは、この第3搬送ローラー対67によってサブ排出トレイ55に排出される。
【0048】
穿孔装置51は第1搬送路L1の入口側に配置されている。穿孔装置51は、シートに対して所定のタイミングで綴じ孔を穿孔する穿孔処理を行う。穿孔装置51は、シートの搬送方向の後端側に穿孔処理を施す。この穿孔処理の際、シートは一時的に停止される。
【0049】
ステープル処理装置52は、複数枚のシートからなるシート束に対してステープル針を打ち込むステープル処理を行う。ここでのステープル処理は、シート束の角部若しくは端部にステープル針を打ち込む、いわゆる端綴じのための処理である。ステープル処理が実行される場合、第4搬送ローラー対68の搬送ニップ部が解除された状態で、シートは第1搬送路L1に沿ってメイン搬出口61付近まで搬送され、ステープルトレイ521上に搬入されて積載される。ステープル処理が施されたシート束は、搬送ニップ部が復元された第4搬送ローラー対68によって、ステープルトレイ521からメイン排出トレイ54へ搬出される。
【0050】
中折り装置53は、シート束の中央付近にステープル針を打ち込む中央綴じを行うと共に、当該シート束を中央部で2つ折りに折り畳む中折り処理を行う。中折り処理が施されるシートは、第1搬送路L1から第2分岐部B2を経て第2搬送路L2に導かれ、中折り装置53に搬入される。中折り処理が施されたシート束は、後処理装置筐体500の下部に備えられた中折りシート排出トレイ56に排出される。なお、中折り装置53は、前記中折り処理だけを行うものであってもよい。
【0051】
整合部57は、シート又はシート束に対して、シートの搬送方向と直交するシート幅方向にシフトさせるシフト動作や、シート束の端縁を揃える幅合わせ動作などの整合処理を行う。整合部57は、ステープル処理装置52によってステープル処理が施される際に、シート束に対してステープル位置を定めるための前記シフト動作や、前記幅合わせ動作を実行する。また、整合部57は、前記ステープル処理が施されない場合においても、メイン排出トレイ54へシートをオフセット排紙させてスタックする場合にも用いられる。オフセット排紙とは、例えば、複数枚のシートからなる1グループの原稿シート群につき複数セットの複写が行われる場合に、1セットの複写シート群の単位で、シート群の端部位置をシート幅方向にシフトさせてスタックさせることである。
【0052】
メイン排出トレイ54は、前記ステープル処理、シフト動作及び幅合わせ動作が施され、第4搬送ローラー対68によりメイン搬出口61から排出されるシート又はシート束がスタックされるトレイである。メイン排出トレイ54は、排出されたシートの束の増加に従って、最上位の位置から順次下降され、当該シートの束がメイン排出トレイ54から取り除かれると上昇し、基準位置に戻るようになっている。サブ排出トレイ55は、第3搬送ローラー対67によりサブ搬出口62から排出されるシートがスタックされるトレイである。サブ排出トレイ55は、主として、後処理装置5で特に後処理が施されずに排出されるシートや、穿孔処理だけが施されたシートがスタックされる。
【0053】
待避ドラム63は、周面を備え、所定の回転方向に回転駆動される。待避ドラム63は、複数のシート束に連続してステープル処理が施される場合に、先のシート束がステープル処理装置52でステープル処理されている間、次のシート束の1枚目を待避ドラム63の表面に巻き付けて待機させる。この待避ドラム63の働きにより、ステープル処理が行われる間、本体部1aからのシートの搬入を一時的に停止させる必要がなくなり、生産性が向上する。
【0054】
次に、
図1に加えて
図2~
図19を参照して、本実施形態に係るステープル処理装置52について詳述する。
図2は、ステープル処理装置52におけるステープル部73が平行姿勢を取った状態を示す斜視図である。
図3は、ステープル部73が平行姿勢を取ったときのベース部材74上での第1移動体71及び第2移動体72の姿勢を示す斜視図である。
図4は、
図3に示す第1移動体71及び第2移動体72を上方側から見た斜視図である。
図5は、
図3に示す第1移動体71及び第2移動体72を下方側から見た斜視図である。
図6は、ベース部材74を上方側から見た平面図であり、
図7は、ベース部材74を下方側から見た平面図である。
図8は、ステープル部73が第1揺動姿勢を取った状態を示す斜視図である。
図9は、ステープル部73が第1揺動姿勢を取ったときのベース部材74上での第1移動体71及び第2移動体72の姿勢を示す斜視図である。
図10は、
図9に示す第1移動体71及び第2移動体72を上方側から見た斜視図である。
図11は、
図9に示す第1移動体71及び第2移動体72を下方側から見た斜視図である。
図12は、ステープル部73が第2揺動姿勢を取った状態を示す斜視図である。
図13は、ステープル部73が第2揺動姿勢を取ったときのベース部材74上での第1移動体71及び第2移動体72の姿勢を示す斜視図である。
図14は、
図13に示す第1移動体71及び第2移動体72を上方側から見た斜視図である。
図15は、
図13に示す第1移動体71及び第2移動体72を下方側から見た斜視図である。
図16~
図19は、シート束Sの幅方向一端部に対応した第1移動体71及び第2移動体72の移動の様子を説明する図である。
【0055】
以下の説明では、シートがステープルトレイ521に搬入される方向又はステープルトレイ521からシートが搬出される方向を「搬送方向D1」と称する。搬送方向D1の一方側であってシートの搬入下流側を「搬送方向一方側D11」と称し、搬送方向D1の他方側であってシートの搬入上流側を「搬送方向他方側D12」と称する。
図1に示すように、搬送方向D1は、搬送方向一方側D11が搬送方向他方側D12よりも下方側に位置するように、水平方向に対して傾いた方向である。また、搬送方向D1と直交し、ステープルトレイ521に積載されたシート束Sの端縁に沿った方向を「幅方向D2」と称する。幅方向D2の一方側を「幅方向一方側D21」と称し、幅方向D2の他方側を「幅方向他方側D22」と称する。また、搬送方向D1及び幅方向D2の両方向と直交する方向を「上下方向D3」と称する。上下方向D3の一方側を「上方側D31」と称し、上下方向D3の他方側を「下方側D32」と称する。
【0056】
ステープル処理装置52は、ステープルトレイ521(
図1)と、第1移動体71と、第2移動体72と、ステープル部73と、ベース部材74と、駆動部77とを備える。
【0057】
ステープルトレイ521は、搬送方向D1及び幅方向D2を含む平面に沿って延びる矩形状のトレイであり、ステープル処理が施されるシート束Sが積載される積載部としての機能を有する。ステープルトレイ521は、積載されたシートを整合してシート束Sを形成する。ステープルトレイ521は、シート幅が異なる複数種のシートのシート束Sを積載することが可能である。
【0058】
ステープル部73は、ステープルトレイ521に積載されたシート束Sの搬送方向一方側D11の端縁に対向して配置される。ステープル部73は、シート束Sをステープル針SPで綴じるステープル処理を行う。ステープル部73は、
図2等に示すように、幅方向D2に直線移動する第1移動体71に揺動可能に設けられた第2移動体72上に、ねじ部材SC(
図4等参照)等によって固定されている。このため、ステープル部73は、第1移動体71の直線移動に伴ってシート束Sの端縁に沿って幅方向D2に移動されると共に、第2移動体72の揺動に応じた姿勢変化によって姿勢変化される。これにより、ステープル部73は、シート束Sの角部において、ステープル針SPを幅方向D2に対して傾いた状態で打ち込む斜め綴じのステープル処理や、ステープル針SPを幅方向D2と平行な状態で打ち込む平行綴じのステープル処理が可能である。
【0059】
ステープル部73は、ステープル本体731とステープル可動部732とを備える。ステープル本体731は、ステープル部73の本体部分であり、内部に複数のステープル針SPを収容している。ステープル可動部732は、上下方向D3に移動可能とされ、シート束Sにステープル針SPを打ち込む。
図2に示すように、ステープル本体731とステープル可動部732との間には、シート束Sの端縁が挿入されるシート挿入部733が形成される。
【0060】
ベース部材74は、搬送方向D1及び幅方向D2を含む平面に沿って延びる板状の部材であり、ステープル部73の下方側D32において、ステープルトレイ521の搬送方向一方側D11に隣接して配置される。ベース部材74は、
図6に示すように、移動ガイド溝75と、姿勢制御部76とを有する。移動ガイド溝75は、ベース部材74の搬送方向一方側D11の端部領域に形成された、幅方向D2に沿って直線状に延びる長穴の開口である。移動ガイド溝75の幅方向D2に沿った長さは、ステープルトレイ521に積載されるシート束Sのシート幅よりも長い値に設定される。移動ガイド溝75には、後記の駆動部77のスライダ775に突設された支持ピン776が挿通される。姿勢制御部76は、ベース部材74の上面において移動ガイド溝75よりも搬送方向他方側D12に形成され、第1移動体71の直線移動に伴う第2移動体72の姿勢を制御する。この姿勢制御部76の詳細については後述する。
【0061】
駆動部77は、ベース部材74に配置される。駆動部77は、
図6及び
図7に示すように、駆動モータ771と、第1プーリ772と、第2プーリ773と、駆動ベルト774と、支持ピン776が突設されたスライダ775とを有する。
【0062】
駆動モータ771は、ベース部材74の幅方向他方側D22の端部領域に配置され、第1プーリ772を回転駆動させる駆動源である。第1プーリ772及び第2プーリ773は、ベース部材74の下面側に回転自在に設けられる。ベース部材74の下面において、第1プーリ772は幅方向他方側D22の端部領域に設けられ、第2プーリ773は幅方向一方側D21の端部領域に設けられる。第1プーリ772と第2プーリ773との間には、無端状の駆動ベルト774が掛け渡されている。第1プーリ772は、駆動モータ771により回転駆動される駆動プーリとして機能する。第2プーリ773は、駆動ベルト774を介して第1プーリ772の回転駆動に伴って従動回転する従動プーリとして機能する。
【0063】
駆動ベルト774は、第1プーリ772と第2プーリ773との間に掛け渡された状態において、直線部分が幅方向D2に沿って延びている。この駆動ベルト774の前記直線部分にスライダ775が取り付けられている。駆動モータ771が回転駆動すると第1プーリ772が回転し、それに伴って駆動ベルト774が移動する。スライダ775は、駆動ベルト774に取り付けられているので、当該駆動ベルト774の移動に応じて幅方向D2に沿って直線移動する。スライダ775は、第1プーリ772、第2プーリ773及び駆動ベルト774を介して駆動モータ771の駆動力が伝達されることにより、幅方向D2に沿って直線移動する。スライダ775には、上下方向D3に延びるように支持ピン776が突設されている。支持ピン776は、
図6に示すように、ベース部材74の移動ガイド溝75に挿通される。支持ピン776には、ベアリングローラー7761が装着されている。このベアリングローラー7761は、支持ピン776が移動ガイド溝75に挿通された状態においてスライダ775が直線移動するときに、移動ガイド溝75の内周縁に接触して回転する。このため、スライダ775は、幅方向D2に沿ってスムーズに直線移動する。支持ピン776の数は特に限定されるものではないが、
図6に示す例では、2本の支持ピン776がスライダ775に突設されている。2本の支持ピン776は、幅方向D2に並んで配列した状態でスライダ775に突設されて、移動ガイド溝75に挿通される。
【0064】
支持ピン776のスライダ775に接続される側とは反対の先端部は、第1移動体71に接続される。すなわち、第1移動体71は、支持ピン776によってスライダ775と連結され、この状態でベース部材74の上方側D3に配置される。第1移動体71は、駆動モータ771の回転駆動に応じたスライダ775の移動に伴って、幅方向D2に沿って直線移動する。第1移動体71の幅方向D2の移動範囲は、スライダ775の移動範囲と同じであり、支持ピン776が挿通されてベアリングローラー7761が接触する移動ガイド溝75の幅方向一方側D21の端縁から幅方向他方側D22の端縁までの間の範囲に設定される。
【0065】
第1移動体71は、搬送方向D1及び幅方向D2を含む平面に沿って延びる平板状の部材であり、
図5等に示すように、第1挿通孔711及び第2挿通孔712と、複数のベアリングローラー713と、支持ピン接続部714とを有する。
【0066】
支持ピン接続部714は、第1移動体71の搬送方向一方側D11の端部に配置される。支持ピン接続部714は、支持ピン776が接続される部位である。複数のベアリングローラー713は、第1移動体71の周端縁に回転自在に設けられている。複数のベアリングローラー713は、ベース部材74の上面に接触して回転する。このため、第1移動体71は、ベース部材74の上面を幅方向D2に沿ってスムーズに直線移動する。
【0067】
第1挿通孔711及び第2挿通孔712は、支持ピン接続部714よりも搬送方向他方側D12において第1移動体71を貫通するように形成された開口であって、幅方向D2に所定の間隔を隔てて形成されている。第1移動体71において、第1挿通孔711が幅方向一方側D21に配置され、第2挿通孔712が幅方向他方側D22に配置されている。第1挿通孔711には、後記の第2移動体72の第1係合部材721が挿通され、第2挿通孔712には、第2移動体72の第2係合部材722が挿通される。第1挿通孔711及び第2挿通孔712は、詳細については後述するが、幅方向D2と交差するように延びる円弧状に形成される。具体的に、第1挿通孔711は、ステープルトレイ521に近接するように搬送方向他方側D12に向かうに従い、幅方向他方側D22に湾曲して延びる円弧状に形成される。一方、第2挿通孔712は、第1挿通孔711に対して搬送方向D1に沿った直線を対称軸とする線対称な形状であって、ステープルトレイ521に近接するように搬送方向他方側D12に向かうに従い、幅方向一方側D21に湾曲して延びる円弧状に形成される。第1挿通孔711及び第2挿通孔712の詳細な形状については、後述する。
【0068】
図4及び
図5等に示すように、第1移動体71上には第2移動体72が配置される。第2移動体72は、第1移動体71上に揺動可能に配置される。すなわち、第2移動体72は、第1移動体71の直線移動に伴って幅方向D2に移動しつつ、第1移動体71に対する揺動が可能である。第2移動体72は、搬送方向D1及び幅方向D2を含む平面に沿って延びる平板状の部材であり、第2移動体72の上面(載置面)には、ねじ部材SC等によってステープル部73が固定される。第2移動体72は、第1挿通孔711に挿通される第1係合部材721と、第2挿通孔712に挿通される第2係合部材722とを有する。第1係合部材721及び第2係合部材722は、第2移動体72の前記載置面とは反対の下面(裏面)側に突出する。第2移動体72において、第1係合部材721が幅方向一方側D21に配置され、第2係合部材722が幅方向他方側D22に配置されている。
【0069】
第1係合部材721は、第1挿通孔711に挿通されると共に、後記の姿勢制御部76における平行溝761及び第1揺動溝762に係合する。第1係合部材721は、第1係合ピン7211と、第1ベアリングローラー7212と、第2ベアリングローラー7213とを有する。第1係合ピン7211は、第2移動体72の下面から第1移動体71側に垂直に突設されるピン部材である。第1ベアリングローラー7212は、第1係合ピン7211の上端部に回転自在に装着されるベアリングローラーである。第1ベアリングローラー7212は、第1係合部材721が第1挿通孔711に挿通された状態において、当該第1挿通孔711の内周縁に接触して回転する。このため、詳細については後述するが、第1係合部材721は、第1移動体71の直線移動に伴って第1挿通孔711に沿ってスムーズに移動する。第2ベアリングローラー7213は、第1係合ピン7211の下端部に回転自在に装着されるベアリングローラーである。第2ベアリングローラー7213は、第1係合部材721が第1挿通孔711に挿通された状態において、姿勢制御部76における平行溝761及び第1揺動溝762の内周縁に接触して回転する。このため、詳細については後述するが、第1係合部材721は、第1移動体71の直線移動に伴って平行溝761及び第1揺動溝762に沿ってスムーズに移動する。
【0070】
第2係合部材722は、第2挿通孔712に挿通されると共に、後記の姿勢制御部76における平行溝761及び第2揺動溝763に係合する。第2係合部材722は、第2係合ピン7221と、第3ベアリングローラー7222と、第4ベアリングローラー7223とを有する。第2係合ピン7221は、第1係合ピン7211よりも幅方向他方側D22において、第2移動体72の下面から第1移動体71側に垂直に突設されるピン部材である。第3ベアリングローラー7222は、第2係合ピン7221の上端部に回転自在に装着されるベアリングローラーである。第3ベアリングローラー7222は、第2係合部材722が第2挿通孔712に挿通された状態において、当該第2挿通孔712の内周縁に接触して回転する。このため、詳細については後述するが、第2係合部材722は、第1移動体71の直線移動に伴って第2挿通孔712に沿ってスムーズに移動する。第4ベアリングローラー7223は、第2係合ピン7221の下端部に回転自在に装着されるベアリングローラーである。第4ベアリングローラー7223は、第2係合部材722が第2挿通孔712に挿通された状態において、姿勢制御部76における平行溝761及び第2揺動溝763の内周縁に接触して回転する。このため、詳細については後述するが、第2係合部材722は、第1移動体71の直線移動に伴って平行溝761及び第2揺動溝763に沿ってスムーズに移動する。
【0071】
既述の通り、ベース部材74の上面には、姿勢制御部76が形成されている。
図6に示すように、姿勢制御部76は、ベース部材74において移動ガイド溝75よりも搬送方向他方側D12に配置される。姿勢制御部76は、第1係合部材721及び第2係合部材722が係合され、第1移動体71の直線移動に伴う第1係合部材721及び第2係合部材722の移動を案内することにより、第2移動体72を揺動させて当該第2移動体72の姿勢を制御する。姿勢制御部76は、平行溝761と、第1揺動溝762と、第2揺動溝763とを含む。
【0072】
平行溝761は、幅方向D2に沿って直線状に延びる溝部である。平行溝761の幅方向D2に沿った長さは、移動ガイド溝75の幅方向D2に沿った長さよりも短く、ステープルトレイ521に積載されるシート束Sのシート幅と略同一の長さに設定される。平行溝761には、第1挿通孔711に挿通された状態の第1係合部材721が係合されると共に、第2挿通孔712に挿通された状態の第2係合部材722が係合される(
図16参照)。具体的に、平行溝761には、第2ベアリングローラー7213が接触するように第1係合部材721が係合されると共に、第4ベアリングローラー7223が接触するように第2係合部材722が係合される。
【0073】
平行溝761は、第1移動体71の直線移動に応じて第1係合部材721及び第2係合部材722が幅方向D2に並んで配列した状態で移動するように案内することで、ステープル部73が幅方向D2に平行な姿勢となるように第2移動体72の姿勢を平行姿勢で維持させる(
図3~
図5及び
図16参照)。
図16に示すように、第1係合部材721及び第2係合部材722の双方の係合部材が平行溝761を移動中においては、第1係合部材721は、第1挿通孔711の搬送方向一方側D11の端縁に接触する位置に配置され、第2係合部材722は、第2挿通孔712の搬送方向一方側D11の端縁に接触する位置に配置される。また、第1係合部材721及び第2係合部材722の双方の係合部材が平行溝761を移動中であって、第2移動体72の姿勢が平行姿勢で維持される場合には、その第2移動体72に固定されたステープル部73の姿勢も第2移動体72と同じ平行姿勢で維持される(
図2参照)。ステープル部73が平行姿勢で維持された状態において、駆動モータ771の駆動が停止されることにより第1移動体71が所定の綴じ位置に停止すると、ステープル部73は、シート束Sに対してステープル針SPを幅方向D2と平行な状態で打ち込む平行綴じのステープル処理が可能である(
図16参照)。
【0074】
第1揺動溝762は、平行溝761の幅方向一方側D21の端部(一端)に繋がる溝部である。本実施形態では、第1揺動溝762は、
図6に示すように、第1端部円弧領域7621と、第1直線領域7622と、第1中間円弧領域7623とを有している。
【0075】
第1端部円弧領域7621は、第1揺動溝762において、平行溝761の一端からステープルトレイ521に近接するように円弧状に延びる領域部分である。第1端部円弧領域7621は、ステープル部73によるシート束Sの幅方向一方側D21の角部に対する斜め綴じが可能となるように、第2移動体72を第1角綴じ位置に案内する。具体的に、第1端部円弧領域7621は、平行溝761の一端から幅方向一方側D21に向かうに従い、ステープルトレイ521に近接するように搬送方向他方側D12に湾曲して延びる円弧状に形成される。第1直線領域7622は、第1端部円弧領域7621の先端から幅方向他方側D22に向かって幅方向D2に沿って直線状に延びる領域部分である。第1中間円弧領域7623は、第1直線領域7622の幅方向他方側D22の先端からステープルトレイ521に対して離間するように円弧状に延びて、第1案内溝761の中間部に繋がる領域部分である。具体的に、第1中間円弧領域7623は、第1直線領域7622の先端から幅方向他方側D22に向かうに従い、ステープルトレイ521に対して離間するように搬送方向一方側D11に湾曲して延びる円弧状に形成される。第1中間円弧領域7623の先端が繋がる第1案内溝761の中間部は、第1案内溝761の一端から、第1直線領域7622の幅方向D2に沿った長さ分だけ幅方向他方側D22にずれた位置である。
【0076】
ここで、第2移動体72の第1係合部材721が挿通される、第1移動体71に形成された第1挿通孔711の形状について説明する。既述の通り、第1挿通孔711は、ステープルトレイ521に近接するように搬送方向他方側D12に向かうに従い、幅方向他方側D22に湾曲して延びる円弧状に形成される。この第1挿通孔711の形状は、第1端部円弧領域7621及び第1中間円弧領域7623の形状に対応したものである。第1挿通孔711は、
図16に示すように、平行溝761から第1直線領域7622まで延びる円弧状に形成される。
【0077】
駆動モータ771の駆動に基づく第1移動体71の直線移動について、支持ピン776が移動ガイド溝75における平行溝761の一端に対応する位置よりも幅方向一方側D21に位置するように、第1移動体71が移動した場合を想定する。この場合、第1端部円弧領域7621は、第1移動体71の幅方向一方側D21への直線移動に応じて第2係合部材722が平行溝761を移動中に、第1係合部材721の移動を案内することで、第2移動体72の姿勢を前記平行姿勢から第2係合部材722を中心として第1方向DR1に揺動(回転)した第1揺動姿勢に変化させる(
図9~
図11及び
図17参照)。この際、
図17に示すように、第1係合部材721は、第1挿通孔711の搬送方向一方側D11の端縁から離れて当該第1挿通孔711に沿って移動しつつ第1端部円弧領域7621を移動し、第2係合部材722は、第2挿通孔712の搬送方向一方側D11の端縁に接触した状態を維持しつつ平行溝761を移動する。この場合、第1係合部材721が第2係合部材722よりもステープルトレイ521に近接した位置に配置され、第1係合部材721及び第2係合部材722が幅方向D2と交差する方向に並んで配列した状態となる。このため、第2移動体72の姿勢が前記平行姿勢から前記第1揺動姿勢に変化され、これに伴ってステープル部73も前記平行姿勢から第1揺動姿勢に変化される(
図8参照)。第1係合部材721が第1端部円弧領域7621に位置すると共に、第2係合部材722が平行溝761に位置する状態において、駆動モータ771の駆動が停止されることにより第1移動体71の移動が停止し、第2移動体72が前記第1角綴じ位置に配置されると、ステープル部73は、シート束Sの幅方向一方側D21の角部において、ステープル針SPを幅方向D2に対して傾いた状態で打ち込む斜め綴じのステープル処理が可能である(
図17参照)。
【0078】
第1移動体71の幅方向一方側D21への直線移動に応じて第1係合部材721が第1端部円弧領域7621の移動後に第1直線領域7622に到達した場合、第1係合部材721は、第1挿通孔711の搬送方向他方側D12の端縁に接触する位置に配置され、第2係合部材722は、第2挿通孔712の搬送方向一方側D11の端縁に接触する位置に配置される(
図18参照)。この状態で、駆動モータ771の駆動が停止されることにより第1移動体71の移動が停止すると、ステープル部73は、シート束Sの幅方向一方側D21の角部において、ステープル針SPを幅方向D2に対して傾いた状態で打ち込む斜め綴じのステープル処理が可能である。なお、
図18に示す場合の斜め綴じのステープル処理と、上記の
図17に示す場合の斜め綴じのステープル処理とを比較すると、ステープル針SPの幅方向D2に対する傾き角度が異なっている。すなわち、斜め綴じのステープル処理において、第1係合部材721の第1端部円弧領域7621内での配置位置に応じてステープル針SPの傾き角度を調整することができる。
【0079】
第1係合部材721が第1端部円弧領域7621の移動後に第1直線領域7622に到達した状態において、第1移動体71が幅方向他方側D22へ直線移動する場合、第2係合部材722が平行溝761を幅方向他方側D22へ移動すると共に、第1係合部材721が第1直線領域7622を幅方向他方側D22へ移動する。第1直線領域7622は幅方向D2に直線状に延びる領域であるので、第1係合部材721が第1直線領域7622を移動するときには、第2移動体72の姿勢が前記第1揺動姿勢で維持される。これにより、ステープル部73の姿勢が第2移動体72と同様に第1揺動姿勢で維持される。このため、ステープル部73は、シート幅の異なる複数種のシートの各々のシート束Sに対応して、幅方向一方側D21の角部の斜め綴じが可能となる。
【0080】
第1係合部材721が第1直線領域7622を移動中に第1移動体71の幅方向他方側D22への直線移動が継続されると、やがて、第1係合部材721が第1直線領域7622から第1中間円弧領域7623へ移動する(
図19参照)。この場合、第1移動体71の幅方向他方側D22への直線移動に応じて第2係合部材722が平行溝761を移動中に、第1係合部材721が第1挿通孔711の搬送方向他方側D12の端縁から離れて当該第1挿通孔711に沿って移動しつつ第1中間円弧領域7623を移動することで、第2移動体72の姿勢が第1揺動姿勢から平行姿勢に変化される。これにより、ステープル部73が第2移動体72と同様に第1揺動姿勢から平行姿勢に姿勢変化される。
【0081】
ここで、第1移動体71の直線移動に伴う第1係合部材721及び第2係合部材722の移動を案内するための姿勢制御部76を構成する平行溝761及び第1揺動溝762の各々の溝幅は、全長にわたって第1係合部材721における第2ベアリングローラー7213及び第2係合部材722における第4ベアリングローラー7223の接触が可能な寸法に設定される。これにより、第1係合部材721は、平行溝761及び第1揺動溝762を移動する間、常に各溝に接触し、第2係合部材722は、平行溝761を移動する間、常に当該平行溝761に接触している。このため、第1係合部材721及び第2係合部材722の移動の安定性が向上し、滑らかな移動が可能となる。この結果、第1係合部材721の第1揺動溝762内での移動に応じた第2移動体72の姿勢変化がスムーズなものとなり、ステープル部73の安定した姿勢変化が可能となる。
【0082】
また、第1係合部材721が挿通される第1移動体71に設けられた第1挿通孔711は、第1係合部材721が移動する第1端部円弧領域7621及び第1中間円弧領域7623の形状に対応した円弧状に形成されている。これにより、第1係合部材721の第1端部円弧領域7621及び第1中間円弧領域7623内での移動に応じた第2移動体72の揺動を、第1挿通孔711によって案内することができる。このため、第1係合部材721が平行溝761と第1揺動溝762との間で移動する際に、より滑らかな移動が可能となる。この結果、平行溝761と第1揺動溝762との間での第1係合部材721の移動に応じた第2移動体72の姿勢変化がよりスムーズなものとなり、ステープル部73の安定した姿勢変化が可能となる。
【0083】
更に、第1挿通孔711の開口幅は、全長にわたって第1係合部材721における第1ベアリングローラー7212の接触が可能な寸法に設定される。これにより、第1係合部材721の第1揺動溝762内での移動に応じた第2移動体72の揺動を、第1係合部材721の第1挿通孔711への接触によってよりスムーズに案内することができる。
【0084】
次に、主として
図6、
図12~
図15を参照して、姿勢制御部76を構成する第2揺動溝763について説明する。第2揺動溝763は、平行溝761の幅方向他方側D22の端部(他端)に繋がる溝部である。本実施形態では、第2揺動溝763は、
図6に示すように、第2端部円弧領域7631と、第2直線領域7632と、第2中間円弧領域7633とを有している。第2揺動溝763の各領域の形状は、平行溝761の幅方向D2の中心を通り搬送方向D1に沿った直線を対称軸として、第1揺動溝762の各領域に対して線対称な形状である。具体的に、第2端部円弧領域7631は第1端部円弧領域7621に対して線対称であり、第2直線領域7632は第1直線領域7622に対して線対称であり、第2中間円弧領域7633は第1中間円弧領域7623に対して線対称である。このように、第2揺動溝763は、第1揺動溝762と線対称であるので、第2揺動溝763の形状の詳細な説明については省略する。
【0085】
ここで、第2移動体72の第2係合部材722が挿通される、第1移動体71に形成された第2挿通孔712の形状について説明する。既述の通り、第2挿通孔712は、ステープルトレイ521に近接するように搬送方向他方側D12に向かうに従い、幅方向一方側D21に湾曲して延びる円弧状に形成される。この第2挿通孔712の形状は、第2端部円弧領域7631及び第2中間円弧領域7633の形状に対応したものである。具体的に、第2挿通孔712は、平行溝761から第2直線領域7632まで延びる円弧状に形成される。
【0086】
駆動モータ771の駆動に基づく第1移動体71の直線移動について、支持ピン776が移動ガイド溝75における平行溝761の他端に対応する位置よりも幅方向他方側D22に位置するように、第1移動体71が移動した場合を想定する。この場合、第2端部円弧領域7631は、ステープル部73によるシート束Sの幅方向他方側D22の角部に対する斜め綴じが可能となるように、第2移動体72を第2角綴じ位置に案内する。第2端部円弧領域7631は、第1移動体71の幅方向他方側D22への直線移動に応じて第1係合部材721が平行溝761を移動中に、第2係合部材722の移動を案内することで、第2移動体72の姿勢を前記平行姿勢から第1係合部材721を中心として第2方向DR2に揺動(回転)した第2揺動姿勢に変化させる(
図13~
図15参照)。この際、第2係合部材722は、第2挿通孔712の搬送方向一方側D11の端縁から離れて当該第2挿通孔712に沿って移動しつつ第2端部円弧領域7631を移動し、第1係合部材721は、第1挿通孔711の搬送方向一方側D11の端縁に接触した状態を維持しつつ平行溝761を移動する。この場合、第2係合部材722が第1係合部材721よりもステープルトレイ521に近接した位置に配置され、第1係合部材721及び第2係合部材722が幅方向D2と交差する方向に並んで配列した状態となる。このため、第2移動体72の姿勢が前記平行姿勢から第2揺動姿勢に変化され、これに伴ってステープル部73も前記平行姿勢から第2揺動姿勢に変化される(
図12参照)。第2係合部材722が第2端部円弧領域7631に位置すると共に、第1係合部材721が平行溝761に位置する状態において、駆動モータ771の駆動が停止されることにより第1移動体71の移動が停止し、第2移動体72が前記第2角綴じ位置に配置されると、ステープル部73は、シート束Sの幅方向他方側D22の角部において、ステープル針SPを幅方向D2に対して傾いた状態で打ち込む斜め綴じのステープル処理が可能である。
【0087】
第1移動体71の幅方向他方側D22への直線移動に応じて第2係合部材722が第2端部円弧領域7631の移動後に第2直線領域7632に到達した場合、第2係合部材722は、第2挿通孔712の搬送方向他方側D12の端縁に接触する位置に配置され、第1係合部材721は、第1挿通孔711の搬送方向一方側D11の端縁に接触する位置に配置される(
図15参照)。この状態で、駆動モータ771の駆動が停止されることにより第1移動体71の移動が停止すると、ステープル部73は、シート束Sの幅方向他方側D22の角部において、ステープル針SPを幅方向D2に対して傾いた状態で打ち込む斜め綴じのステープル処理が可能である。
【0088】
第2係合部材722が第2端部円弧領域7631の移動後に第2直線領域7632に到達した状態において、第1移動体71が幅方向一方側D21へ直線移動する場合、第1係合部材721が平行溝761を幅方向一方側D21へ移動すると共に、第2係合部材722が第2直線領域7632を幅方向一方側D21へ移動する。第2直線領域7632は幅方向D2に直線状に延びる領域であるので、第2係合部材722が第2直線領域7632を移動するときには、第2移動体72の姿勢が前記第2揺動姿勢で維持される。これにより、ステープル部73の姿勢が第2移動体72と同様に第2揺動姿勢で維持される。このため、ステープル部73は、シート幅の異なる複数種のシートの各々のシート束Sに対応して、幅方向他方側D22の角部の斜め綴じが可能となる。
【0089】
第2係合部材722が第2直線領域7632を移動中に第1移動体71の幅方向一方側D21への直線移動が継続されると、やがて、第2係合部材722が第2直線領域7632から第2中間円弧領域7633へ移動する。この場合、第1移動体71の幅方向一方側D21への直線移動に応じて第1係合部材721が平行溝761を移動中に、第2係合部材722が第2挿通孔712の搬送方向他方側D12の端縁から離れて当該第2挿通孔712に沿って移動しつつ第2中間円弧領域7633を移動することで、第2移動体72の姿勢が第2揺動姿勢から平行姿勢に変化される。これにより、ステープル部73が第2移動体72と同様に第2揺動姿勢から平行姿勢に姿勢変化される。
【0090】
ここで、第2揺動溝763の溝幅は、全長にわたって第2係合部材722における第4ベアリングローラー7223の接触が可能な寸法に設定される。これにより、第2係合部材722は、第2揺動溝763を移動する間、常に当該第2揺動溝763に接触している。このため、第2係合部材722の移動の安定性が向上し、滑らかな移動が可能となる。この結果、第2係合部材722の第2揺動溝763内での移動に応じた第2移動体72の姿勢変化がスムーズなものとなり、ステープル部73の安定した姿勢変化が可能となる。
【0091】
また、第2係合部材722が挿通される第1移動体71に設けられた第2挿通孔712は、第2係合部材722が移動する第2端部円弧領域7631及び第2中間円弧領域7633の形状に対応した円弧状に形成されている。これにより、第2係合部材722の第2端部円弧領域7631及び第2中間円弧領域7633内での移動に応じた第2移動体72の揺動を、第2挿通孔712によって案内することができる。このため、第2係合部材722が平行溝761と第2揺動溝763との間で移動する際に、より滑らかな移動が可能となる。この結果、平行溝761と第2揺動溝763との間での第2係合部材722の移動に応じた第2移動体72の姿勢変化がよりスムーズなものとなり、ステープル部73の安定した姿勢変化が可能となる。
【0092】
更に、第2挿通孔712の開口幅は、全長にわたって第2係合部材722における第3ベアリングローラー7222の接触が可能な寸法に設定される。これにより、第2係合部材722の第2揺動溝763内での移動に応じた第2移動体72の揺動を、第2係合部材722の第2挿通孔712への接触によってよりスムーズに案内することができる。
【0093】
以上説明の通り、ステープル部73の姿勢変化に際し、平行溝761と第1揺動溝762との間での第1係合部材721の移動、並びに、平行溝761と第2揺動溝763との間での第2係合部材722の移動が滑らかなものとなる。このため、第1係合部材721及び第2係合部材722や各溝等にかかる負荷が軽減され、これらに破損等の不具合が生じることを可及的に防止することができる。
【0094】
また、
図6に示すように、第1係合部材721及び第2係合部材722の移動を案内するための姿勢制御部76は、第1揺動溝762に設置される第1可動ガイド部材764及び第2可動ガイド部材765と、第2揺動溝763に設置される第3可動ガイド部材766及び第4可動ガイド部材767と、を更に含む。
【0095】
第1可動ガイド部材764は、第1端部円弧領域7621において第1回動軸7641回りに回動可能に設けられる。第1可動ガイド部材764は、第1端部円弧領域7621内での第1係合部材721の移動を制御する部材である。第1可動ガイド部材764は、第1回動軸7641回りに回動することにより、第1係合部材721の第1端部円弧領域7621から第1直線領域7622への移動を許容すると共に、第1係合部材721の第1直線領域7622から第1端部円弧領域7621への移動を阻止する。
【0096】
第1可動ガイド部材764は、第1係合部材721が接触する第1被接触面7642及び第2被接触面7643を有している。第1可動ガイド部材764は、不図示の付勢部材によって付勢されており、第1係合部材721が第1端部円弧領域7621を移動しない非移動時においては、第1被接触面7642が第1端部円弧領域7621内に配置され、第2被接触面7643が第1直線領域7622に面するような姿勢を取っている。第1係合部材721が平行溝761から第1端部円弧領域7621に移動し、当該第1係合部材721が第1可動ガイド部材764の第1被接触面7642に接触した場合、第1可動ガイド部材764は、第1被接触面7642に対する第1係合部材721の押圧力によって付勢部材の付勢力に抗して第1回動軸7641回りに回動することで、第1係合部材721の第1端部円弧領域7621から第1直線領域7622への移動を許容する。第1係合部材721が第1端部円弧領域7621の移動後に第1直線領域7622に到達すると、第1可動ガイド部材764は、付勢部材の付勢力によって第1係合部材721の非移動時の姿勢に戻る。これにより、第1可動ガイド部材764は、第2被接触面7643に第1係合部材721が接触した状態で、当該第1係合部材721の第1直線領域7622から第1端部円弧領域7621への移動を阻止する。
【0097】
第2可動ガイド部材765は、第1中間円弧領域7623において第2回動軸7651回りに回動可能に設けられる。第2可動ガイド部材765は、第1中間円弧領域7623内での第1係合部材721の移動を制御する部材である。第2可動ガイド部材765は、第2回動軸7651回りに回動することにより、第1係合部材721の第1中間円弧領域7623から平行溝761への移動を許容すると共に、第1係合部材721の平行溝761から第1中間円弧領域7623への移動を阻止する。
【0098】
第2可動ガイド部材765は、第1係合部材721が接触する第3被接触面7652及び第4被接触面7653を有している。第2可動ガイド部材765は、不図示の付勢部材によって付勢されており、第1係合部材721が第1中間円弧領域7623を移動しない非移動時においては、第3被接触面7652が平行溝761に面し、第4被接触面7653が第1中間円弧領域7623内に配置されるような姿勢を取っている。第1係合部材721が第1中間円弧領域7623を移動し、当該第1係合部材721が第2可動ガイド部材765の第4被接触面7653に接触した場合、第2可動ガイド部材765は、第4被接触面7653に対する第1係合部材721の押圧力によって付勢部材の付勢力に抗して第2回動軸7651回りに回動することで、第1係合部材721の第1中間円弧領域7623から平行溝761への移動を許容する。第1係合部材721が第1中間円弧領域7623の移動後に平行溝761に到達すると、第2可動ガイド部材765は、付勢部材の付勢力によって第1係合部材721の非移動時の姿勢に戻る。これにより、第2可動ガイド部材765は、第3被接触面7652に第1係合部材721が接触した状態で、当該第1係合部材721の平行溝761から第1中間円弧領域7623への移動を阻止する。
【0099】
第3可動ガイド部材766は、第2端部円弧領域7631において第3回動軸7661回りに回動可能に設けられる。第3可動ガイド部材766は、第2端部円弧領域7631内での第2係合部材722の移動を制御する部材である。第3可動ガイド部材766は、第3回動軸7661回りに回動することにより、第2係合部材722の第2端部円弧領域7631から第2直線領域7632への移動を許容すると共に、第2係合部材722の第2直線領域7632から第2端部円弧領域7631への移動を阻止する。
【0100】
第3可動ガイド部材766は、第2係合部材722が接触する第5被接触面7662及び第6被接触面7663を有している。第3可動ガイド部材766は、不図示の付勢部材によって付勢されており、第2係合部材722が第2端部円弧領域7631を移動しない非移動時においては、第5被接触面7662が第2端部円弧領域7631内に配置され、第6被接触面7663が第2直線領域7632に面するような姿勢を取っている。第2係合部材722が平行溝761から第2端部円弧領域7631に移動し、当該第2係合部材722が第3可動ガイド部材766の第5被接触面7662に接触した場合、第3可動ガイド部材766は、第5被接触面7662に対する第2係合部材722の押圧力によって付勢部材の付勢力に抗して第3回動軸7661回りに回動することで、第2係合部材722の第2端部円弧領域7631から第2直線領域7632への移動を許容する。第2係合部材722が第2端部円弧領域7631の移動後に第2直線領域7632に到達すると、第3可動ガイド部材766は、付勢部材の付勢力によって第2係合部材722の非移動時の姿勢に戻る。これにより、第3可動ガイド部材766は、第6被接触面7663に第2係合部材722が接触した状態で、当該第2係合部材722の第2直線領域7632から第2端部円弧領域7631への移動を阻止する。
【0101】
第4可動ガイド部材767は、第2中間円弧領域7633において第4回動軸7671回りに回動可能に設けられる。第4可動ガイド部材767は、第2中間円弧領域7633内での第2係合部材722の移動を制御する部材である。第4可動ガイド部材767は、第4回動軸7671回りに回動することにより、第2係合部材722の第2中間円弧領域7633から平行溝761への移動を許容すると共に、第2係合部材722の平行溝761から第2中間円弧領域7633への移動を阻止する。
【0102】
第4可動ガイド部材767は、第2係合部材722が接触する第7被接触面7672及び第8被接触面7673を有している。第4可動ガイド部材767は、不図示の付勢部材によって付勢されており、第2係合部材722が第2中間円弧領域7633を移動しない非移動時においては、第7被接触面7672が平行溝761に面し、第8被接触面7673が第2中間円弧領域7633内に配置されるような姿勢を取っている。第2係合部材722が第2中間円弧領域7633を移動し、当該第2係合部材722が第4可動ガイド部材767の第8被接触面7673に接触した場合、第4可動ガイド部材767は、第8被接触面7673に対する第2係合部材722の押圧力によって付勢部材の付勢力に抗して第4回動軸7671回りに回動することで、第2係合部材722の第2中間円弧領域7633から平行溝761への移動を許容する。第2係合部材722が第2中間円弧領域7633の移動後に平行溝761に到達すると、第4可動ガイド部材767は、付勢部材の付勢力によって第2係合部材722の非移動時の姿勢に戻る。これにより、第4可動ガイド部材767は、第7被接触面7672に第2係合部材722が接触した状態で、当該第2係合部材722の平行溝761から第2中間円弧領域7633への移動を阻止する。
【0103】
以上説明した通り、第1移動体71の直線移動に応じて第1係合部材721が第1揺動溝762を移動するときに、第1端部円弧領域7621、第1直線領域7622及び第1中間円弧領域7623の順に移動するように、第1可動ガイド部材764及び第2可動ガイド部材765によって各領域の逆順の移動が阻止される。また、第1移動体71の直線移動に応じて第2係合部材722が第2揺動溝763を移動するときに、第2端部円弧領域7631、第2直線領域7632及び第2中間円弧領域7633の順に移動するように、第3可動ガイド部材766及び第4可動ガイド部材767によって各領域の逆順の移動が阻止される。
【符号の説明】
【0104】
1 画像形成装置
4a 画像形成部
5 後処理装置
52 ステープル処理装置
521 ステープルトレイ(積載部)
71 第1移動体
711 第1挿通孔
712 第2挿通孔
72 第2移動体
721 第1係合部材
722 第2係合部材
73 ステープル部
74 ベース部材
75 移動ガイド溝
76 姿勢制御部
761 平行溝
762 第1揺動溝
7621 第1端部円弧領域
7622 第1直線領域
7623 第1中間円弧領域
763 第2揺動溝
7631 第2端部円弧領域
7632 第2直線領域
7633 第2中間円弧領域
764 第1可動ガイド部材
765 第2可動ガイド部材
766 第3可動ガイド部材
767 第4可動ガイド部材
D1 搬送方向
D2 幅方向
D3 上下方向
DR1 第1方向
DR2 第2方向
S シート束
SP ステープル針