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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】駆動装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 9/19 20060101AFI20240319BHJP
   B60K 11/04 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
H02K9/19 A
H02K9/19 B
B60K11/04 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020033531
(22)【出願日】2020-02-28
(65)【公開番号】P2021136833
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2022-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】中村 圭吾
【審査官】服部 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-086787(JP,A)
【文献】特開平07-298552(JP,A)
【文献】特開2020-018143(JP,A)
【文献】特開2001-238406(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 9/19
B60K 1/00
B60K 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1流体と第2流体との間で熱交換を行う熱交換器と、
前記熱交換器が取り付けられた被取付部材と、
を備え、
前記熱交換器は、
前記第1流体が内部に流れる第1熱交換流路と、
前記第2流体が内部に流れる第2熱交換流路と、
を有し、
前記第1熱交換流路は、前記熱交換器のうち前記被取付部材と接触する面に開口する第1開口を有し、
前記第2熱交換流路は、前記熱交換器のうち前記被取付部材と接触する面に開口する第2開口を有し、
前記被取付部材は、
前記第1熱交換流路に接続された第1接続流路と、
前記第2熱交換流路に接続された第2接続流路と、
前記第1開口の周縁部と接触する第1接触面と、
前記第2開口の周縁部と接触する第2接触面と、
前記熱交換器に向かって突出する一対の第1突出部および一対の第2突出部と、
を有し、
前記第1接続流路は、前記第1接触面に開口して前記第1開口と繋がる第1接続口を有し、
前記第2接続流路は、前記第2接触面に開口して前記第2開口と繋がる第2接続口を有し、
一対の前記第1突出部の先端面は、それぞれ前記第1接触面であり、
一対の前記第2突出部の先端面は、それぞれ前記第2接触面であり、
前記第1接触面と前記第2接触面とは、互いに分離され、凹によって互いに隔てられて配置され、
前記凹部には、
一対の前記第1突出部同士を繋ぐリブと、
一対の前記第1突出部同士を繋ぐリブと交差し、一対の前記第2突出部同士を繋ぐリブと、
が設けられ、
一対の前記第1突出部および一対の前記第2突出部が突出する突出方向において、前記リブの前記熱交換器側の端部は、一対の前記第1突出部の先端面および一対の前記第2突出部の先端面よりも、前記熱交換器側とは逆側に離れて設けられる、駆動装置。
【請求項2】
前記被取付部材は、前記第1突出部と前記第2突出部とを繋ぐリブを有する、請求項に記載の駆動装置。
【請求項3】
前記第1接触面と前記第2接触面とは、互いに平行であり、
前記第1接触面および前記第2接触面と直交する方向において、前記第1接触面と前記第2接触面とは、互いに同じ位置に配置される、請求項1または2に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記第1熱交換流路は、前記第1開口として、
前記第1流体が流入する第1流入口と、
前記第1流体が流出する第1流出口と、
を有し、
前記第2熱交換流路は、前記第2開口として、
前記第2流体が流入する第2流入口と、
前記第2流体が流出する第2流出口と、
を有し、
前記被取付部材は、
前記第1接続流路として、
前記第1流入口に繋がる前記第1接続口を有する第1流入流路と、
前記第1流出口に繋がる前記第1接続口を有する第1流出流路と、を有し、かつ、
前記第2接続流路として、
前記第2流入口に繋がる前記第2接続口を有する第2流入流路と、
前記第2流出口に繋がる前記第2接続口を有する第2流出流路と、を有する、請求項1からのいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項5】
一対の前記第1突出部の先端面のそれぞれである一対の前記第1接触面の一方は、前記第1流入流路の前記第1接続口が開口
一対の前記第1接触面の他方には、前記第1流出流路の前記第1接続口が開口
一対の前記第2突出部の先端面のそれぞれである一対の前記第2接触面の一方は、前記第2流入流路の前記第2接続口が開口
一対の前記第2接触面の他方には、前記第2流出流路の前記第2接続口が開口
一対の前記第1接触面は、互いに分離され、前記部によって互いに隔てられて配置され、
一対の前記第2接触面は、互いに分離され、前記部によって互いに隔てられて配置される、請求項に記載の駆動装置。
【請求項6】
前記被取付部材は、前記熱交換器が固定された複数の固定部を有し、
複数の前記固定部は、一対の前記第1接触面および一対の前記第2接触面ごとに、各接触面と隣り合って配置された固定部を含む、請求項に記載の駆動装置。
【請求項7】
前記被取付部材は、前記熱交換器がネジで固定された締結面を有し、
前記締結面は、前記第1接触面および前記第2接触面と分離され、前記凹部と凸部との少なくとも一方によって前記第1接触面および前記第2接触面と隔てられて配置される、請求項1からのいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項8】
前記第1接触面は、前記第1接続口を囲む円環状であり、
前記第2接触面は、前記第2接続口を囲む円環状である、請求項1からのいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項9】
モータと、
前記モータを内部に収容するハウジングと、
をさらに備え、
前記被取付部材は、前記ハウジングである、請求項1からのいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項10】
前記第1流体は、前記モータを冷却するオイルであり、
前記第2流体は、前記熱交換器において前記オイルを冷却する水である、請求項に記載の駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
第1流体と第2流体との間で熱交換を行う熱交換器を備える駆動装置が知られている。例えば、特許文献1には、熱交換器としてのオイルクーラを備える車両用の駆動装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-18143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような駆動装置の熱交換器は、第1流体が内部に流れる第1熱交換流路と、第2流体が内部に流れる第2熱交換流路と、を有し、ハウジング等の被取付部材に取り付けられる。被取付部材は、各熱交換流路とそれぞれ接続された接続流路を有する。この場合、各熱交換流路と各接続流路との接続部分から流体が漏れて、他の熱交換流路または他の接続流路に流入する虞があった。そのため、第1流体と第2流体とが混ざる虞があった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて、第1流体と第2流体とが混ざることを抑制できる構造を有する駆動装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の駆動装置の一つの態様は、第1流体と第2流体との間で熱交換を行う熱交換器と、前記熱交換器が取り付けられた被取付部材と、を備える。前記熱交換器は、前記第1流体が内部に流れる第1熱交換流路と、前記第2流体が内部に流れる第2熱交換流路と、を有する。前記第1熱交換流路は、前記熱交換器のうち前記被取付部材と接触する面に開口する第1開口を有する。前記第2熱交換流路は、前記熱交換器のうち前記被取付部材と接触する面に開口する第2開口を有する。前記被取付部材は、前記第1熱交換流路に接続された第1接続流路と、前記第2熱交換流路に接続された第2接続流路と、前記第1開口の周縁部と接触する第1接触面と、前記第2開口の周縁部と接触する第2接触面と、を有する。前記第1接続流路は、前記第1接触面に開口して前記第1開口と繋がる第1接続口を有する。前記第2接続流路は、前記第2接触面に開口して前記第2開口と繋がる第2接続口を有する。前記第1接触面と前記第2接触面とは、互いに分離され、凹部と凸部との少なくとも一方によって互いに隔てられて配置される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一つの態様によれば、駆動装置において、第1流体と第2流体とが混ざることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態の駆動装置を模式的に示す概略構成図である。
図2図2は、第1実施形態のクーラ取付部を前側から見た図である。
図3図3は、第1実施形態のクーラ取付部を突出方向に見た図である。
図4図4は、第1実施形態のクーラ取付部および熱交換器を前側から見た図である。
図5図5は、第1実施形態の熱交換器を示す斜視図である。
図6図6は、第1実施形態のクーラ取付部および熱交換器を軸方向に見た部分断面図である。
図7図7は、第1実施形態の変形例におけるクーラ取付部を突出方向に見た図である。
図8図8は、第2実施形態のクーラ取付部および熱交換器を軸方向に見た部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の説明では、各図に示す各実施形態の駆動装置が水平な路面上に位置する車両に搭載された場合の位置関係を基に、鉛直方向を規定して説明する。また、図面においては、適宜3次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。XYZ座標系において、Z軸方向は、鉛直方向である。+Z側は、鉛直方向上側であり、-Z側は、鉛直方向下側である。以下の説明では、鉛直方向上側を単に「上側」と呼び、鉛直方向下側を単に「下側」と呼ぶ。X軸方向は、Z軸方向と直交する方向であって駆動装置が搭載される車両の前後方向である。以下の実施形態において、+X側は、車両の前側であり、-X側は、車両の後側である。Y軸方向は、X軸方向とZ軸方向との両方と直交する方向であって、車両の左右方向、すなわち車幅方向である。以下の各実施形態において、+Y側は、車両の左側であり、-Y側は、車両の右側である。前後方向および左右方向は、鉛直方向と直交する水平方向である。
【0010】
なお、前後方向の位置関係は、以下の各実施形態の位置関係に限られず、+X側が車両の後側であり、-X側が車両の前側であってもよい。この場合には、+Y側は、車両の右側であり、-Y側は、車両の左側である。
【0011】
各図に適宜示すモータ軸J1は、鉛直方向と交差する方向に延びる。より詳細には、モータ軸J1は、Y軸方向、すなわち車両の左右方向に延びる。以下の説明においては、特に断りのない限り、モータ軸J1に平行な方向を単に「軸方向」と呼び、モータ軸J1を中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、モータ軸J1を中心とする周方向、すなわち、モータ軸J1の軸回りを単に「周方向」と呼ぶ。なお、本明細書において、「平行な方向」は略平行な方向も含み、「直交する方向」は略直交する方向も含む。
【0012】
<第1実施形態>
図1に示す本実施形態の駆動装置1は、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)、電気自動車(EV)等、モータを動力源とする車両に搭載され、その動力源として使用される。図1に示すように、駆動装置1は、モータ2と、減速装置4および差動装置5を含む伝達装置3と、ハウジング6と、オイルポンプ96と、熱交換器70と、パイプ10と、を備える。なお、本実施形態において、駆動装置1はインバータユニットを含まない。言い換えると、駆動装置1はインバータユニットと別体構造となっている。
【0013】
ハウジング6は、内部にモータ2および伝達装置3を収容する。ハウジング6は、モータ収容部61と、ギヤ収容部62と、隔壁61cと、を有する。モータ収容部61は、内部に後述するロータ20およびステータ30を収容する部分である。ギヤ収容部62は、内部に伝達装置3を収容する部分である。ギヤ収容部62は、モータ収容部61の左側に位置する。モータ収容部61の底部61aは、ギヤ収容部62の底部62aより上側に位置する。隔壁61cは、モータ収容部61の内部とギヤ収容部62の内部とを軸方向に区画する。隔壁61cには、隔壁開口61eが設けられる。隔壁開口61eは、モータ収容部61の内部とギヤ収容部62の内部とを繋ぐ。隔壁61cは、ステータ30の左側に位置する。
【0014】
ハウジング6は、内部に冷媒としてのオイルOを収容する。本実施形態では、モータ収容部61の内部およびギヤ収容部62の内部に、オイルOが収容される。ギヤ収容部62の内部における下部領域には、オイルOが溜るオイル溜りPが設けられる。オイル溜りPのオイルOは、後述する油路90によってモータ収容部61の内部に送られる。モータ収容部61の内部に送られたオイルOは、モータ収容部61の内部における下部領域に溜まる。モータ収容部61の内部に溜まったオイルOの少なくとも一部は、隔壁開口61eを介してギヤ収容部62に移動し、オイル溜りPに戻る。
【0015】
なお、本明細書において「ある部分の内部にオイルが収容される」とは、モータが駆動している最中の少なくとも一部において、ある部分の内部にオイルが位置していればよく、モータが停止している際には、ある部分の内部にオイルが位置していなくてもよい。例えば、本実施形態においてモータ収容部61の内部にオイルOが収容されるとは、モータ2が駆動している最中の少なくとも一部において、モータ収容部61の内部にオイルOが位置していればよく、モータ2が停止している際においては、モータ収容部61の内部のオイルOがすべて隔壁開口61eを通ってギヤ収容部62に移動してしまっていてもよい。なお、後述する油路90によってモータ収容部61の内部へと送られたオイルOの一部は、モータ2が停止した状態において、モータ収容部61の内部に残っていてもよい。
【0016】
オイルOは、後述する油路90内を循環する。オイルOは、減速装置4および差動装置5の潤滑用として使用される。また、オイルOは、モータ2の冷却用として使用される。オイルOとしては、潤滑油および冷却油の機能を奏するために、比較的粘度の低いオートマチックトランスミッション用潤滑油(ATF:Automatic Transmission Fluid)と同等のオイルを用いることが好ましい。本実施形態においてオイルOは、「第1流体」に相当する。
【0017】
本実施形態においてモータ2は、インナーロータ型のモータである。モータ2は、ロータ20と、ステータ30と、ベアリング26,27と、を備える。ロータ20は、水平方向に延びるモータ軸J1を中心として回転可能である。ロータ20は、シャフト21と、ロータ本体24と、を有する。図示は省略するが、ロータ本体24は、ロータコアと、ロータコアに固定されるロータマグネットと、を有する。ロータ20のトルクは、伝達装置3に伝達される。
【0018】
シャフト21は、モータ軸J1を中心として軸方向に沿って延びる。シャフト21は、モータ軸J1を中心として回転する。シャフト21は、内部に中空部22が設けられた中空シャフトである。シャフト21には、連通孔23が設けられる。連通孔23は、径方向に延びて中空部22とシャフト21の外部とを繋ぐ。
【0019】
シャフト21は、ハウジング6のモータ収容部61とギヤ収容部62とに跨って延びる。シャフト21の左側の端部は、ギヤ収容部62の内部に突出する。シャフト21の左側の端部には、伝達装置3の後述する第1のギヤ41が固定される。シャフト21は、ベアリング26,27により回転可能に支持される。
【0020】
ステータ30は、ロータ20と径方向に隙間を介して対向する。より詳細には、ステータ30は、ロータ20の径方向外側に位置する。ステータ30は、ステータコア32と、コイルアセンブリ33と、を有する。ステータコア32は、ロータ20を囲む。ステータコア32は、モータ収容部61の内周面に固定される。図示は省略するが、ステータコア32は、軸方向に延びる円筒状のコアバックと、コアバックから径方向内側に延びる複数のティースと、を有する。複数のティースは、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置される。
【0021】
コイルアセンブリ33は、周方向に沿ってステータコア32に取り付けられる複数のコイル31を有する。複数のコイル31は、図示しないインシュレータを介してステータコア32の各ティースにそれぞれ装着される。複数のコイル31は、周方向に沿って配置される。より詳細には、複数のコイル31は、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置される。図示は省略するが、コイルアセンブリ33は、各コイル31を結束する結束部材等を有してもよいし、各コイル31同士を繋ぐ渡り線を有してもよい。
【0022】
コイルアセンブリ33は、ステータコア32から軸方向に突出するコイルエンド33a,33bを有する。コイルエンド33aは、ステータコア32から右側に突出する部分である。コイルエンド33bは、ステータコア32から左側に突出する部分である。コイルエンド33aは、コイルアセンブリ33に含まれる各コイル31のうちステータコア32よりも右側に突出する部分を含む。コイルエンド33bは、コイルアセンブリ33に含まれる各コイル31のうちステータコア32よりも左側に突出する部分を含む。コイルエンド33a,33bは、例えば、モータ軸J1を中心とする円環状である。図示は省略するが、コイルエンド33a,33bは、各コイル31を結束する結束部材等を含んでもよいし、各コイル31同士を繋ぐ渡り線を含んでもよい。
【0023】
ベアリング26,27は、ロータ20を回転可能に支持する。ベアリング26,27は、例えば、ボールベアリングである。ベアリング26は、ロータ20のうちステータコア32よりも右側に位置する部分を回転可能に支持するベアリングである。本実施形態においてベアリング26は、シャフト21のうちロータ本体24が固定される部分よりも右側に位置する部分を支持する。ベアリング26は、モータ収容部61のうちロータ20およびステータ30の右側を覆う壁部61bに保持される。
【0024】
ベアリング27は、ロータ20のうちステータコア32よりも左側に位置する部分を回転可能に支持するベアリングである。本実施形態においてベアリング27は、シャフト21のうちロータ本体24が固定される部分よりも左側に位置する部分を支持する。ベアリング27は、隔壁61cに保持される。
【0025】
伝達装置3は、ハウジング6のギヤ収容部62に収容される。伝達装置3は、モータ2に接続される。より詳細には、伝達装置3は、シャフト21の左側の端部に接続される。伝達装置3は、減速装置4と、差動装置5と、を有する。モータ2から出力されるトルクは、減速装置4を介して差動装置5に伝達される。
【0026】
減速装置4は、モータ2に接続される。減速装置4は、モータ2の回転速度を減じて、モータ2から出力されるトルクを減速比に応じて増大させる。減速装置4は、モータ2から出力されるトルクを差動装置5へ伝達する。減速装置4は、第1のギヤ41と、第2のギヤ42と、第3のギヤ43と、中間シャフト45と、を有する。
【0027】
第1のギヤ41は、シャフト21の左側の端部における外周面に固定される。第1のギヤ41は、シャフト21とともに、モータ軸J1を中心に回転する。中間シャフト45は、モータ軸J1と平行な中間軸J2に沿って延びる。中間シャフト45は、中間軸J2を中心として回転する。第2のギヤ42および第3のギヤ43は、中間シャフト45の外周面に固定される。第2のギヤ42と第3のギヤ43は、中間シャフト45を介して接続される。第2のギヤ42および第3のギヤ43は、中間軸J2を中心として回転する。第2のギヤ42は、第1のギヤ41に噛み合う。第3のギヤ43は、差動装置5の後述するリングギヤ51と噛み合う。
【0028】
モータ2から出力されるトルクは、シャフト21、第1のギヤ41、第2のギヤ42、中間シャフト45、および第3のギヤ43をこの順に介して差動装置5のリングギヤ51へ伝達される。各ギヤのギヤ比およびギヤの個数等は、必要とされる減速比に応じて種々変更可能である。本実施形態において減速装置4は、各ギヤの軸芯が平行に配置される平行軸歯車タイプの減速機である。
【0029】
差動装置5は、減速装置4を介しモータ2に接続される。差動装置5は、モータ2から出力されるトルクを車両の車輪に伝達するための装置である。差動装置5は、車両の旋回時に、左右の車輪の速度差を吸収しつつ、左右両輪の車軸55に同トルクを伝える。このように、本実施形態において伝達装置3は、減速装置4および差動装置5を介して、車両の車軸55にモータ2のトルクを伝達する。差動装置5は、リングギヤ51と、図示しないギヤハウジングと、図示しない一対のピニオンギヤと、図示しないピニオンシャフトと、図示しない一対のサイドギヤと、を有する。リングギヤ51は、モータ軸J1と平行な差動軸J3を中心として回転する。リングギヤ51には、モータ2から出力されるトルクが減速装置4を介して伝えられる。
【0030】
モータ2には、ハウジング6の内部においてオイルOが循環する油路90が設けられる。油路90は、オイル溜りPからオイルOをモータ2に供給し、再びオイル溜りPに導くオイルOの経路である。油路90は、モータ収容部61の内部とギヤ収容部62の内部とに跨って設けられる。
【0031】
なお、本明細書において「油路」とは、オイルの経路を意味する。したがって、「油路」とは、定常的に一方向に向かうオイルの流動を作る「流路」のみならず、オイルを一時的に滞留させる経路およびオイルが滴り落ちる経路をも含む概念である。オイルを一時的に滞留させる経路とは、例えば、オイルを貯留するリザーバ等を含む。
【0032】
油路90は、第1の油路91と、第2の油路92と、を有する。第1の油路91および第2の油路92は、それぞれハウジング6の内部でオイルOを循環させる。第1の油路91は、かき上げ経路91aと、シャフト供給経路91bと、シャフト内経路91cと、ロータ内経路91dと、を有する。また、第1の油路91の経路中には、第1のリザーバ93が設けられる。第1のリザーバ93は、ギヤ収容部62内に設けられる。
【0033】
かき上げ経路91aは、差動装置5のリングギヤ51の回転によってオイル溜りPからオイルOをかき上げて、第1のリザーバ93でオイルOを受ける経路である。第1のリザーバ93は、上側に開口する。第1のリザーバ93は、リングギヤ51がかき上げたオイルOを受ける。また、モータ2の駆動直後などオイル溜りPの液面Sが高い場合等には、第1のリザーバ93は、リングギヤ51に加えて第2のギヤ42および第3のギヤ43によってかき上げられたオイルOも受ける。
【0034】
シャフト供給経路91bは、第1のリザーバ93からシャフト21の中空部22にオイルOを誘導する。シャフト内経路91cは、シャフト21の中空部22内をオイルOが通過する経路である。ロータ内経路91dは、シャフト21の連通孔23からロータ本体24の内部を通過して、ステータ30に飛散する経路である。
【0035】
シャフト内経路91cにおいて、ロータ20の内部のオイルOには、ロータ20の回転に伴い遠心力が付与される。これにより、オイルOは、ロータ20から径方向外側に連続的に飛散する。また、オイルOの飛散に伴い、ロータ20内部の経路が負圧となり、第1のリザーバ93に溜るオイルOが、ロータ20の内部に吸引され、ロータ20内部の経路にオイルOが満たされる。
【0036】
ステータ30に到達したオイルOは、ステータ30から熱を奪う。ステータ30を冷却したオイルOは、下側に滴下され、モータ収容部61内の下部領域に溜る。モータ収容部61内の下部領域に溜ったオイルOは、隔壁61cに設けられた隔壁開口61eを介してギヤ収容部62に移動する。以上のようにして、第1の油路91は、オイルOをロータ20およびステータ30に供給する。
【0037】
第2の油路92においてオイルOは、オイル溜りPから引き上げられてステータ30に供給される。第2の油路92には、オイルポンプ96と、熱交換器70と、パイプ10と、が設けられる。第2の油路92は、吸入流路92aと、第1流入流路92bと、第1流出流路92cと、隔壁流路94と、を有する。
【0038】
吸入流路92a、第1流入流路92b、第1流出流路92c、および隔壁流路94は、ハウジング6の壁部に設けられる。本実施形態において第1流入流路92bおよび第1流出流路92cは、「第1接続流路」に相当する。これにより、本実施形態においてハウジング6は、第1接続流路として、第1流入流路92bと、第1流出流路92cと、を有する。
【0039】
吸入流路92aは、オイル溜りPとオイルポンプ96とを繋ぐ。第1流入流路92bは、オイルポンプ96と熱交換器70とを繋ぐ。第1流出流路92cは、熱交換器70と隔壁流路94とを繋ぐ。第1流出流路92cは、例えば、モータ収容部61の壁部のうち前側(+X側)の壁部に設けられる。隔壁流路94は、隔壁61cに設けられる。隔壁流路94は、第1流出流路92cとパイプ10とを繋ぐ。
【0040】
本実施形態においてパイプ10は、軸方向に延びる。パイプ10の左側の端部は、隔壁61cに固定される。本実施形態においてパイプ10は、軸方向に直線状に延びる円筒状である。パイプ10は、ハウジング6の内部に収容される。パイプ10は、ステータ30の径方向外側に位置する。パイプ10は、例えば、ステータ30の上側に位置する。なお、パイプ10は、複数設けられてもよい。
【0041】
オイルポンプ96は、冷媒としてのオイルOを送るポンプである。本実施形態においてオイルポンプ96は、電気により駆動する電動ポンプである。オイルポンプ96は、吸入流路92aを介してオイル溜りPからオイルOを吸い上げて、第1流入流路92b、熱交換器70、第1流出流路92c、隔壁流路94、およびパイプ10を介して、オイルOをモータ2に供給する。
【0042】
パイプ10からステータ30に供給されたオイルOは、下側に滴下され、モータ収容部61内の下部領域に溜る。モータ収容部61内の下部領域に溜ったオイルOは、隔壁61cに設けられた隔壁開口61eを介してギヤ収容部62のオイル溜りPに移動する。以上のようにして、第2の油路92は、オイルOをステータ30に供給する。
【0043】
熱交換器70は、第2の油路92を通過するオイルOを冷却する。本実施形態において熱交換器70は、オイルクーラである。熱交換器70には、第1流入流路92bおよび第1流出流路92cが接続される。第1流入流路92bおよび第1流出流路92cは、第1熱交換流路73を介して繋がる。第1熱交換流路73は、熱交換器70の内部流路である。これにより、熱交換器70は、第1流体としてのオイルOが内部に流れる第1熱交換流路73を有する。
【0044】
熱交換器70には、図示しないラジエータで冷却された水Wを通過させる冷却流路98が接続される。熱交換器70の内部を通過するオイルOは、冷却流路98を通過する水Wとの間で熱交換されて冷却される。これにより、熱交換器70は、オイルOと水Wとの間で熱交換を行う。本実施形態において水Wは、「第2流体」に相当する。冷却流路98は、第2流入流路98aと、第2熱交換流路74と、第2流出流路98bと、を有する。本実施形態において第2流入流路98aおよび第2流出流路98bは、「第2接続流路」に相当する。これにより、本実施形態においてハウジング6は、第2接続流路として、第2流入流路98aと、第2流出流路98bと、を有する。
【0045】
第2流入流路98aは、図示しないラジエータから熱交換器70まで延びる流路である。図2に示すように、第2流入流路98aは、第1配管98eと、第1内部流路98gと、を有する。第1配管98eは、図示しないラジエータから延びて、ハウジング6に接続される。第1内部流路98gは、ハウジング6に設けられる。第1内部流路98gは、第1配管98eと第2熱交換流路74とを接続する。
【0046】
図1に示すように、第2熱交換流路74は、熱交換器70の内部流路である。これにより、熱交換器70は、第2流体としての水Wが内部に流れる第2熱交換流路74を有する。第2熱交換流路74内を流れる水Wには、第1熱交換流路73内を流れるオイルOから熱が放出される。
【0047】
第2流出流路98bは、熱交換器70から図示しないラジエータまで延びる流路である。図2に示すように、第2流出流路98bは、第2内部流路98hと、第2配管98fと、を有する。第2内部流路98hは、ハウジング6に設けられる。第2内部流路98hは、第2熱交換流路74と第2配管98fとを接続する。第2配管98fは、ハウジング6に接続される。第2配管98fは、ハウジング6から図示しないラジエータまで延びる。
【0048】
図示しないラジエータによって冷却された水Wは、第1配管98e、第1内部流路98g、第2熱交換流路74、第2内部流路98h、および第2配管98fをこの順に流れて、ラジエータへと戻る。これにより、第2熱交換流路74内においてオイルOからの熱によって温められた水Wを、再びラジエータで冷却することができる。
【0049】
図1に示すように、熱交換器70は、ハウジング6の外部に位置する。本実施形態において熱交換器70は、ハウジング6に取り付けられる。すなわち、本実施形態においてハウジング6は、熱交換器70が取り付けられた「被取付部材」に相当する。図2から図4に示すように、ハウジング6は、熱交換器70が取り付けられるクーラ取付部6aを有する。
【0050】
クーラ取付部6aは、ハウジング6の外側面に設けられる。クーラ取付部6aは、例えば、モータ収容部61の前側(+X側)の部分のうち下側の部分に設けられる。クーラ取付部6aは、モータ軸J1よりも前側かつ下側に位置する。図2および図3に示すように、クーラ取付部6aは、第1突出部63と、第2突出部64と、複数の固定部67と、を有する。
【0051】
第1突出部63および第2突出部64は、熱交換器70に向かって突出する。第1突出部63および第2突出部64は、例えば、前側斜め下方に突出する。第1突出部63および第2突出部64は、例えば、円柱状である。以下の説明においては、第1突出部63および第2突出部64が突出する方向を「突出方向PD」と呼ぶ。
【0052】
本実施形態において第1突出部63は、第1突出部63aと第1突出部63bとの2つ設けられる。第1突出部63aと第1突出部63bとは、例えば、軸方向に離れて配置される。第1突出部63bは、例えば、第1突出部63aよりも右側(-Y側)に位置する。第1突出部63bは、例えば、第1突出部63aよりも上側かつ前側(+X側)に位置する。
【0053】
第1突出部63aの先端面は、第1接触面65aである。第1突出部63bの先端面は、第1接触面65bである。これにより、ハウジング6は、第1接触面65aと第1接触面65bとを含む複数の第1接触面65を有する。第1接触面65a,65bは、例えば、前側斜め下方を向く平坦面である。第1接触面65aと第1接触面65bとは、例えば、互いに平行である。第1接触面65a,65bは、例えば、突出方向PDと直交する。第1接触面65a,65bと直交する突出方向PDにおいて、第1接触面65aと第1接触面65bとは、例えば、互いに同じ位置に配置される。第1接触面65a,65bの外形は、例えば、円形状である。
【0054】
第1接触面65aには、第1接続口92dが開口する。第1接続口92dは、第1流入流路92bの一端部である。すなわち、第1流入流路92bは、第1接続口92dを有する。第1接続口92dは、後述する第1流入口73aに繋がる。第1接続口92dは、例えば、円形状である。本実施形態において第1接触面65aは、第1接続口92dを囲む円環状である。
【0055】
第1接触面65bには、第1接続口92eが開口する。第1接続口92eは、第1流出流路92cの一端部である。これにより、第1流出流路92cは、第1接続口92eを有する。第1接続口92eは、後述する第1流出口73bに繋がる。第1接続口92eは、例えば、円形状である。本実施形態において第1接触面65bは、第1接続口92eを囲む円環状である。
【0056】
本実施形態において第2突出部64は、第2突出部64aと第2突出部64bとの2つ設けられる。第2突出部64aと第2突出部64bとは、例えば、軸方向に離れて配置される。第2突出部64bは、例えば、第2突出部64aよりも左側(+Y側)に位置する。第2突出部64bは、例えば、第2突出部64aよりも上側かつ前側(+X側)に位置する。第2突出部64aは、例えば、第1突出部63bよりも右側(-Y側)に位置する。第2突出部64bは、例えば、第1突出部63aよりも左側に位置する。
【0057】
第2突出部64aの鉛直方向位置は、例えば、第1突出部63aの鉛直方向位置とほぼ同じである。第2突出部64aの前後方向位置は、例えば、第1突出部63aの前後方向位置とほぼ同じである。第1突出部63aと第2突出部64aとは、例えば、軸方向に間隔を空けて並んで配置される。第2突出部64bの鉛直方向位置は、例えば、第1突出部63bの鉛直方向位置とほぼ同じである。第2突出部64bの前後方向位置は、例えば、第1突出部63bの前後方向位置とほぼ同じである。第1突出部63bと第2突出部64bとは、例えば、軸方向に間隔を空けて並んで配置される。
【0058】
図3に示すように、第1突出部63aと第1突出部63bと第2突出部64aと第2突出部64bとは、例えば、突出方向PDに見て、それぞれを頂点とする略平行四辺形状に配置される。第1突出部63aと第1突出部63bとは、例えば、当該略平行四辺形上において、対角配置される。第2突出部64aと第2突出部64bとは、例えば、当該略平行四辺形上において、対角配置される。
【0059】
第2突出部64aの先端面は、第2接触面66aである。第2突出部64bの先端面は、第2接触面66bである。これにより、ハウジング6は、第2接触面66aと第2接触面66bとを含む複数の第2接触面66を有する。第2接触面66a,66bは、例えば、前側斜め下方を向く平坦面である。第2接触面66aと第2接触面66bとは、例えば、互いに平行である。第2接触面66a,66bは、例えば、突出方向PDと直交する。第2接触面66a,66bと直交する突出方向PDにおいて、第2接触面66aと第2接触面66bとは、互いに同じ位置に配置される。第2接触面66a,66bの外形は、例えば、円形状である。第1接触面65と第2接触面66とは、例えば、互いに平行である。第1接触面65および第2接触面66と直交する突出方向PDにおいて、第1接触面65と第2接触面66とは、例えば、互いに同じ位置に配置される。
【0060】
第2接触面66aには、第2接続口98cが開口する。第2接続口98cは、第2流入流路98aの一端部である。より詳細には、第2接続口98cは、第1内部流路98gのうち第1配管98eが接続された端部と逆側の端部である。これにより、第2流入流路98aは、第2接続口98cを有する。第2接続口98cは、後述する第2流入口74aに繋がる。第2接続口98cは、例えば、円形状である。本実施形態において第2接触面66aは、第2接続口98cを囲む円環状である。
【0061】
第2接触面66bには、第2接続口98dが開口する。第2接続口98dは、第2流出流路98bの一端部である。より詳細には、第2接続口98dは、第2内部流路98hのうち第2配管98fが接続された端部と逆側の端部である。これにより、第2流出流路98bは、第2接続口98dを有する。第2接続口98dは、後述する第2流出口74bに繋がる。第2接続口98dは、例えば、円形状である。本実施形態において第2接触面66bは、第2接続口98dを囲む円環状である。
【0062】
図4に示すように、複数の固定部67には、熱交換器70が固定される。複数の固定部67には、例えば、ネジ75によって熱交換器70が固定される。固定部67は、熱交換器70に向かって突出する。固定部67は、例えば、前側斜め下方に突出する。固定部67が突出する向きは、例えば、第1突出部63が突出する向きおよび第2突出部64が突出する向きと同じである。すなわち、固定部67は、突出方向PDに突出する。固定部67は、例えば、円柱状である。図3に示すように、固定部67は、例えば、5つ設けられる。
【0063】
複数の固定部67は、突出方向PDに見て、第1突出部63aと第1突出部63bと第2突出部64aと第2突出部64bとによって囲まれる領域の外側に位置する。複数の固定部67は、複数の第1接触面65および複数の第2接触面66ごとに、各接触面と隣り合って配置された固定部67を含む。なお、本明細書において「固定部が接触面と隣り合って配置される」とは、固定部と接触面とが、間に他の固定部および他の接触面を挟まずに、間隔を空けて、または間隔を空けずに配置されることを含む。本実施形態では、隣り合って配置された固定部67と接触面とは、間に他の固定部67および他の接触面を挟まずに間隔を空けて配置される。
【0064】
図2に示すように、固定部67の先端面は、締結面67aである。これにより、ハウジング6は、締結面67aを有する。締結面67aは、熱交換器70がネジ75で固定された面である。締結面67aは、例えば、突出方向PDと直交する平坦面である。締結面67aは、例えば、第1接触面65および第2接触面66と平行である。締結面67aは、例えば、突出方向PDにおいて第1接触面65および第2接触面66と同じ位置に配置される。固定部67は、締結面67aに開口する雌ネジ穴67bを有する。雌ネジ穴67bには、ネジ75が締め込まれる。締結面67aは、例えば、雌ネジ穴67bを囲む円環状である。
【0065】
本実施形態においてクーラ取付部6aは、凹部61dを有する。凹部61dは、第1接触面65および第2接触面66に対して、第1突出部63および第2突出部64が突出する向きと逆向きに窪む。本実施形態において凹部61dは、第1接触面65を有する第1突出部63と第2接触面66を有する第2突出部64とが突出することによって相対的に窪んだ部分として設けられる。
【0066】
本実施形態において凹部61dは、各第1突出部63の周囲に位置する部分、各第2突出部64の周囲に位置する部分、第1突出部63と第2突出部64との間に位置する部分、各第1突出部63同士の間に位置する部分、および各第2突出部64同士の間に位置する部分等を含む。
【0067】
第1接触面65と第2接触面66とは、互いに分離され、凹部61dによって互いに隔てられて配置される。本実施形態において複数の第1接触面65は、互いに分離され、凹部61dによって互いに隔てられて配置される。本実施形態において複数の第2接触面66は、互いに分離され、凹部61dによって互いに隔てられて配置される。締結面67aは、第1接触面65および第2接触面66と分離され、凹部61dによって第1接触面65および第2接触面66と隔てられて配置される。
【0068】
なお、本明細書において「或る面同士が、互いに分離され、凹部と凸部との少なくとも一方によって隔てられて配置される」とは、或る面が設けられた部材の表面上を一方の面から他方の面まで辿る際に、凹部と凸部との少なくとも一方を通ることを含む。例えば、ハウジング6の外表面を第1接触面65から第2接触面66まで辿る際には、凹部61dを通る必要がある。また、ハウジング6の外表面を第1接触面65aから第1接触面65bまで辿る際にも、凹部61dを通る必要がある。また、ハウジング6の外表面を第2接触面66aから第2接触面66bまで辿る際にも、凹部61dを通る必要がある。また、ハウジング6の外表面を締結面67aから第1接触面65および第2接触面66まで辿る際にも、凹部61dを通る必要がある。
【0069】
図2および図3に示すように、本実施形態においてクーラ取付部6aは、第1リブ68と、第2リブ69と、を有する。これにより、ハウジング6は、第1リブ68と、第2リブ69と、を有する。本実施形態において第1リブ68および第2リブ69は、凹部61dに設けられる。凹部61dに各リブが設けられることで、ハウジング6のうち凹部61dが設けられた部分、すなわちクーラ取付部6aの強度を補強でき、クーラ取付部6aに振動が生じることを抑制できる。第1リブ68および第2リブ69は、例えば、突出方向PDに突出し、突出方向PDと直交する方向に延びる。
【0070】
本実施形態において第1リブ68は、複数設けられる。図3に示すように、複数の第1リブ68は、第1リブ68aと、第1リブ68bと、第1リブ68cと、第1リブ68dと、を含む。第1リブ68aは、第1突出部63aと第1突出部63bとを繋ぐリブである。第1リブ68aは、突出方向PDに見て、第1突出部63a,63bおよび第2突出部64a,64bが各頂点となる略平行四辺形の対角線に沿って延びる。第1リブ68aによって第1突出部63aと第1突出部63bとを強固に連結することができる。これにより、クーラ取付部6aに振動が生じることをより抑制できる。
【0071】
第1リブ68bは、第2突出部64aと第2突出部64bとを繋ぐリブである。第1リブ68bは、突出方向PDに見て、第1突出部63a,63bおよび第2突出部64a,64bが各頂点となる略平行四辺形の対角線に沿って延びる。第1リブ68aと第1リブ68bとは、例えば、互いに交差している。第1リブ68bによって第2突出部64aと第2突出部64bとを強固に連結することができる。これにより、クーラ取付部6aに振動が生じることをより抑制できる。
【0072】
第1リブ68cは、第1突出部63aと第2突出部64aとを繋ぐリブである。第1リブ68dは、第1突出部63bと第2突出部64bとを繋ぐリブである。第1リブ68cおよび第1リブ68dは、軸方向に延びる。第1リブ68c,68dによって第1突出部63と第2突出部64とを強固に連結することができる。これにより、クーラ取付部6aに振動が生じることをより抑制できる。
【0073】
本実施形態において第2リブ69は、複数設けられる。複数の第2リブ69は、第2リブ69aと、第2リブ69bと、を含む。第2リブ69aは、第2突出部64aと、固定部67のうち第1突出部63bに隣り合う固定部67と、を繋ぐリブである。第2リブ69aは、例えば、軸方向と直交する方向に延びる。第2リブ69aによって第1突出部63bと1つの固定部67とを強固に連結することができる。これにより、クーラ取付部6aに振動が生じることをより抑制できる。
【0074】
第2リブ69bは、固定部67同士を繋ぐリブである。第2リブ69bは、例えば、2つ設けられる。一方の第2リブ69bは、第1突出部63aに隣り合う固定部67と、第2突出部64aに隣り合う固定部67と、を繋ぐ。他方の第2リブ69bは、第1突出部63bに隣り合う固定部67と、第2突出部64bに隣り合う固定部67と、を繋ぐ。第2リブ69bは、例えば、軸方向に延びる。第2リブ69bによって固定部67同士を強固に連結することができる。これにより、クーラ取付部6aに振動が生じることをより抑制できる。
【0075】
図4および図5に示すように、熱交換器70は、例えば、軸方向に長い形状である。熱交換器70は、例えば、軸方向に長い略直方体状である。熱交換器70の軸方向の寸法は、例えば、前後方向および鉛直方向における熱交換器70の寸法よりも大きい。図5および図6に示すように、熱交換器70は、熱交換器本体71と、基部72と、を有する。
【0076】
熱交換器本体71は、軸方向に長い略直方体状である。熱交換器本体71は、基部72から前側(+X側)斜め下方に突出する。本実施形態において熱交換器本体71は、突出方向PDに突出する。基部72は、締結面67aに固定される部分である。基部72は、基部本体72aと、基部本体72aの外縁部から突出する4つの固定フランジ部72bと、を有する。4つの固定フランジ部72bのそれぞれには、貫通孔72cが設けられる。各貫通孔72cに通されたネジ75が締結面67aに設けられた雌ネジ穴67bのそれぞれに締め込まれることで、熱交換器70は、クーラ取付部6aに固定される。
【0077】
熱交換器70のうちハウジング6の外側面と対向する対向面72dは、熱交換器70のうちハウジング6と接触する面である。図5に示すように、対向面72dは、例えば、突出方向PDと直交する平坦面である。対向面72dは、基部72のうちハウジング6の外側面と対向する面である。対向面72dは、例えば、基部本体72aのうちハウジング6の外側面と対向する面と、固定フランジ部72bのうちハウジング6の外側面と対向する面と、によって構成されている。本実施形態において対向面72dは、第1接触面65a,65b、第2接触面66a,66b、および複数の締結面67aに接触する。
【0078】
本実施形態において対向面72dには、第1流入口73aと、第1流出口73bと、第2流入口74aと、第2流出口74bと、が開口する。第1流入口73aは、第1熱交換流路73の一端部である。第1流入口73aには、第1流体としてのオイルOが流入する。第1流出口73bは、第1熱交換流路73の他端部である。第1流出口73bからは、第1流体としてのオイルOが流出する。本実施形態において第1流入口73aおよび第1流出口73bは、「第1開口」に相当する。このように本実施形態において第1熱交換流路73は、第1開口として、第1流入口73aと、第1流出口73bと、を有する。
【0079】
第2流入口74aは、第2熱交換流路74の一端部である。第2流入口74aには、第2流体としての水Wが流入する。第2流出口74bは、第2熱交換流路74の他端部である。第2流出口74bからは、第2流体としての水Wが流出する。本実施形態において第2流入口74aおよび第2流出口74bは、「第2開口」に相当する。このように本実施形態において第2熱交換流路74は、第2開口として、第2流入口74aと、第2流出口74bと、を有する。第1流入口73a、第1流出口73b、第2流入口74a、および第2流出口74bは、例えば、円形状の開口である。
【0080】
第1流入口73aと第1流出口73bと第2流入口74aと第2流出口74bとは、例えば、突出方向PDに見て、それぞれを頂点とする略平行四辺形状に配置される。第1流入口73aと第1流出口73bとは、例えば、当該略平行四辺形上において、対角配置される。第2流入口74aと第2流出口74bとは、例えば、当該略平行四辺形上において、対角配置される。
【0081】
第1流入口73aと第1接続口92dとは、突出方向PDに見て、互いに重なる。第1流出口73bと第1接続口92eとは、突出方向PDに見て、互いに重なる。第2流入口74aと第2接続口98cとは、突出方向PDに見て、互いに重なる。第2流出口74bと第2接続口98dとは、突出方向PDに見て、互いに重なる。
【0082】
図6に示すように、第1流入口73aは、第1流入流路92bの第1接続口92dに繋がる。図示は省略するが、第1流出口73bは、第1流出流路92cの第1接続口92eに繋がる。これにより、第1接続口92dおよび第1接続口92eは、第1開口としての第1流入口73aおよび第1流出口73bのそれぞれと繋がる。また、これにより、第1流入流路92bと第1流出流路92cとが、第1熱交換流路73によって繋げられる。本実施形態では、このようにして第1接続流路としての第1流入流路92bおよび第1流出流路92cが、第1熱交換流路73に接続される。第1接続口92dが開口する第1接触面65aは、第1開口としての第1流入口73aの周縁部と接触する。第1接続口92eが開口する第1接触面65bは、第1開口としての第1流出口73bの周縁部と接触する。
【0083】
図示は省略するが、第2流入口74aは、第2流入流路98aの第2接続口98cに繋がる。図6に示すように、第2流出口74bは、第2流出流路98bの第2接続口98dに繋がる。これにより、第2接続口98cおよび第2接続口98dは、第2開口としての第2流入口74aおよび第2流出口74bのそれぞれと繋がる。また、これにより、第2流入流路98aと第2流出流路98bとが、第2熱交換流路74によって繋げられる。本実施形態では、このようにして第2接続流路としての第2流入流路98aおよび第2流出流路98bが、第2熱交換流路74に接続される。第2接続口98cが開口する第2接触面66aは、第2開口としての第2流入口74aの周縁部と接触する。第2接続口98dが開口する第2接触面66bは、第2開口としての第2流出口74bの周縁部と接触する。
【0084】
図5に示すように、対向面72dのうち、第1流入口73aの周縁部、第1流出口73bの周縁部、第2流入口74aの周縁部、および第2流出口74bの周縁部には、シール溝部72fが設けられる。シール溝部72fは、例えば、突出方向PDに見て、各口を囲む円環状である。図6に示すように、各シール溝部72fには、円環状のOリング76がそれぞれ嵌め込まれる。Oリング76は、突出方向PDに見て、各口を囲む。Oリング76は、クーラ取付部6aによってシール溝部72fの底面に押し付けられて圧縮弾性変形した状態となっている。
【0085】
第1流入口73aを囲むOリング76は、第1接触面65aによってシール溝部72fの底面に押し付けられて圧縮弾性変形し、第1接触面65aと対向面72dとの間を、第1流入口73aおよび第1接続口92dを囲む一周に亘って封止する。図示は省略するが、第1流出口73bを囲むOリング76は、第1接触面65bによってシール溝部72fの底面に押し付けられて圧縮弾性変形し、第1接触面65bと対向面72dとの間を、第1流出口73bおよび第1接続口92eを囲む一周に亘って封止する。
【0086】
図示は省略するが、第2流入口74aを囲むOリング76は、第2接触面66aによってシール溝部72fの底面に押し付けられて圧縮弾性変形し、第2接触面66aと対向面72dとの間を、第2流入口74aおよび第2接続口98cを囲む一周に亘って封止する。図6に示すように、第2流出口74bを囲むOリング76は、第2接触面66bによってシール溝部72fの底面に押し付けられて圧縮弾性変形し、第2接触面66bと対向面72dとの間を、第2流出口74bおよび第2接続口98dを囲む一周に亘って封止する。
【0087】
本実施形態によれば、第1熱交換流路73の第1開口としての第1流入口73aおよび第1流出口73bは、対向面72dに開口し、第1接触面65に開口する第1接続口92d,92eのそれぞれと繋がる。第2熱交換流路74の第2開口としての第2流入口74aおよび第2流出口74bは、対向面72dに開口し、第2接触面66に開口する第2接続口98c,98dのそれぞれと繋がる。第1接触面65と第2接触面66とは、互いに分離され、凹部61dによって互いに隔てられて配置される。そのため、仮に、第1接続口92d,92eと第1流入口73aおよび第1流出口73bとの間からオイルOが漏れ出た場合であっても、漏れ出たオイルOがハウジング6の面を伝って第1接触面65から第2接触面66まで到達するためには、凹部61dを通過する必要がある。これにより、漏れ出たオイルOが、第2熱交換流路74と、第2接続流路としての第2流入流路98aおよび第2流出流路98bと、に流入することを抑制できる。したがって、第1流体としてのオイルOと第2流体としての水Wとが混ざることを抑制できる。
【0088】
また、本実施形態によれば、ハウジング6は、熱交換器70に向かって突出する第1突出部63および第2突出部64を有する。第1突出部63の先端面は、第1接触面65である。第2突出部64の先端面は、第2接触面66である。このように局所的に突出させた部分の先端面を各接触面とすることで、第1接触面65と第2接触面66との間に相対的に窪む凹部61dを容易に設けることができる。そのため、第1接触面65と第2接触面66とを互いに分離させて凹部61dによって互いに隔てることが容易である。
【0089】
また、本実施形態によれば、第1接触面65と第2接触面66とは、互いに平行である。第1接触面65および第2接触面66と直交する突出方向PDにおいて、第1接触面65と第2接触面66とは、互いに同じ位置に配置される。そのため、第1接触面65および第2接触面66に接触する熱交換器70の面を、平坦な単一面にできる。これにより、熱交換器70の形状を簡単化できる。本実施形態において第1接触面65および第2接触面66に接触する熱交換器70の面は、平坦な対向面72dである。
【0090】
また、本実施形態によれば、ハウジング6は、第1接続流路として、第1流入口73aに繋がる第1接続口92dを有する第1流入流路92bと、第1流出口73bに繋がる第1接続口92eを有する第1流出流路92cと、を有し、かつ、第2接続流路として、第2流入口74aに繋がる第2接続口98cを有する第2流入流路98aと、第2流出口74bに繋がる第2接続口98dを有する第2流出流路98bと、を有する。そのため、熱交換器70に第1流体としてのオイルOが流入出する流路、および熱交換器70に第2流体としての水Wが流入出する流路が、ハウジング6に設けられる。これにより、例えばオイルOまたは水Wが熱交換器70に対して流入出する配管等が熱交換器70からハウジング6と逆側に引き出される場合に比べて、駆動装置1全体を小型化しやすい。
【0091】
また、本実施形態によれば、複数の第1接触面65は、第1流入流路92bの第1接続口92dが開口する第1接触面65aと、第1流出流路92cの第1接続口92eが開口する第1接触面65bと、を含む。複数の第1接触面65は、互いに分離され、凹部61dによって互いに隔てられて配置される。そのため、仮に、第1流入流路92bと第1熱交換流路73との間からオイルOが漏れ出ても、凹部61dによって、漏れ出たオイルOが第1流出流路92cに流入することを抑制できる。これにより、熱交換器70内で冷却されていないオイルOが第1流出流路92cに流入することを抑制できる。したがって、熱交換器70を通過した後にモータ2に供給されるオイルOの温度が高くなることを抑制できる。そのため、オイルOによってモータ2を好適に冷却できる。
【0092】
また、本実施形態によれば、複数の第2接触面66は、第2流入流路98aの第2接続口98cが開口する第2接触面66aと、第2流出流路98bの第2接続口98dが開口する第2接触面66bと、を含む。複数の第2接触面66は、互いに分離され、凹部61dによって互いに隔てられて配置される。そのため、仮に、第2熱交換流路74と第2流出流路98bとの間から水Wが漏れ出ても、凹部61dによって、漏れ出た水Wが第2流入流路98aに流入することを抑制できる。これにより、熱交換器70内でオイルOを冷却した後の比較的温度の高い水Wが、第2流入流路98aに流入することを抑制できる。したがって、熱交換器70に流入される水Wの温度が高くなることを抑制できる。そのため、第2熱交換流路74内を流れる水Wによって、第1熱交換流路73内を流れるオイルOを好適に冷却できる。
【0093】
また、本実施形態によれば、熱交換器70が固定された複数の固定部67は、複数の第1接触面65および複数の第2接触面66ごとに、各接触面と隣り合って配置された固定部67を含む。そのため、各接触面と熱交換器70の対向面72dとが接触する部分の近くにおいて、熱交換器70とハウジング6とを固定することができる。これにより、各接触面と熱交換器70の対向面72dとを、互いに強固に押し付けられた状態で接触させることができる。したがって、各接触面と対向面72dとの間からオイルOまたは水Wが漏れ出ることが抑制される。そのため、オイルOと水Wとが混ざることをより抑制できる。
【0094】
また、本実施形態によれば、熱交換器70がネジ75で固定された締結面67aは、第1接触面65および第2接触面66と分離され、凹部61dによって第1接触面65および第2接触面66と隔てられて配置される。そのため、仮に、第1接触面65および第2接触面66と対向面72dとの間からオイルOまたは水Wが漏れ出ても、凹部61dによって、漏れ出たオイルOまたは水Wが締結面67aに到達することを抑制できる。これにより、オイルOおよび水Wが、ネジ75および雌ネジ穴67bに到達することを抑制できる。したがって、ネジ75が緩むおよび錆びる等の不具合が生じることを抑制できる。そのため、熱交換器70のハウジング6に対する固定が不安定になることを抑制できる。
【0095】
また、本実施形態によれば、第1接触面65は、第1接続口92d,92eを囲む円環状である。そのため、第1接続口92d,92eの周縁部の全周を熱交換器70の対向面72dと接触させることができる。これにより、第1接続口92d,92eと第1流入口73aおよび第1流出口73bとの間からオイルOが漏れ出ることをより抑制できる。
【0096】
また、本実施形態によれば、第1接触面65aと対向面72dとの間を、第1流入口73aおよび第1接続口92dを囲む一周に亘って封止するOリング76と、第1接触面65bと対向面72dとの間を、第1流出口73bおよび第1接続口92eを囲む一周に亘って封止するOリング76と、が設けられる。そのため、第1接続口92d,92eと第1流入口73aおよび第1流出口73bとの間からオイルOが漏れ出ることをより抑制できる。
【0097】
また、本実施形態によれば、第2接触面66は、第2接続口98c,98dを囲む円環状である。そのため、第2接続口98c,98dの周縁部の全周を熱交換器70の対向面72dと接触させることができる。これにより、第2接続口98c,98dと第2流入口74aおよび第2流出口74bとの間から水Wが漏れ出ることをより抑制できる。
【0098】
また、本実施形態によれば、第2接触面66aと対向面72dとの間を、第2流入口74aおよび第2接続口98cを囲む一周に亘って封止するOリング76と、第2接触面66bと対向面72dとの間を、第2流出口74bおよび第2接続口98dを囲む一周に亘って封止するOリング76と、が設けられる。第2接続口98c,98dと第2流入口74aおよび第2流出口74bとの間から水Wが漏れ出ることをより抑制できる。
【0099】
また、本実施形態によれば、熱交換器70が取り付けられた被取付部材は、モータ2を内部に収容するハウジング6である。そのため、ハウジング6の内部に収容されたモータ2を冷却する冷媒を熱交換器70によって冷却しやすい。本実施形態では、モータ2を冷却するオイルOを、熱交換器70によって冷却しやすい。
【0100】
また、本実施形態によれば、第1流体は、モータ2を冷却するオイルOであり、第2流体は、熱交換器70においてオイルOを冷却する水Wである。このように第1流体の種類が第2流体の種類と異なる場合、第1流体と第2流体とが同種の流体である場合に比べて、第1流体と第2流体とが混ざることによる不具合が生じやすい。したがって、第1流体と第2流体とが混ざることを抑制できる効果は、第1流体がオイルOで第2流体が水Wである場合に、特に有用に得られる。
【0101】
(第1実施形態の変形例)
図7に示すように、本変形例のクーラ取付部106aにおいて、第1接触面165aは、1つの締結面167aと繋がる。第1接触面165aと1つの締結面167aとは、突出方向PDと直交する1つの平坦面を構成している。第1接触面165aと1つの締結面167aとによって構成される平坦面は、突出方向PDに突出する第1突出部163aの先端面である。第1突出部163aの先端面には、第1接続口92dと雌ネジ穴67bとが開口する。
【0102】
第1接触面165bは、1つの締結面167aと繋がる。第1接触面165bと1つの締結面167aとは、突出方向PDと直交する1つの平坦面を構成している。第1接触面165bと1つの締結面167aとによって構成される平坦面は、突出方向PDに突出する第1突出部163bの先端面である。第1突出部163bの先端面には、第1接続口92eと雌ネジ穴67bとが開口する。
【0103】
第2接触面166aは、1つの締結面167aと繋がる。第2接触面166aと1つの締結面167aとは、突出方向PDと直交する1つの平坦面を構成している。第2接触面166aと1つの締結面167aとによって構成される平坦面は、突出方向PDに突出する第2突出部164aの先端面である。第2突出部164aの先端面には、第2接続口98cと雌ネジ穴67bとが開口する。
【0104】
第2接触面166bは、2つの締結面167aと繋がる。第2接触面166bと2つの締結面167aとは、突出方向PDと直交する1つの平坦面を構成している。第2接触面166bと2つの締結面167aとによって構成される平坦面は、突出方向PDに突出する第2突出部164bの先端面である。第2突出部164bの先端面には、第2接続口98dと2つの雌ネジ穴67bとが開口する。
【0105】
第1突出部163aの先端面と第1突出部163bの先端面と第2突出部164aの先端面と第2突出部164bの先端面とは、互いに分離され、凹部161dによって互いに隔てられて配置される。凹部161dは、各突出部が突出することで相対的に窪んで設けられた部分である。本変形例のその他の構成は、上述した実施形態のその他の構成と同様にできる。
【0106】
<第2実施形態>
図8に示すように、本実施形態のハウジング206は、第1凹部261eおよび第2凹部261fを有する。第1凹部261eおよび第2凹部261fは、ハウジング206のうちクーラ取付部206aに設けられる。第1凹部261eおよび第2凹部261fは、後側斜め上方に窪む。第2凹部261fは、例えば、第1凹部261eよりも前側かつ上側に位置する。第1凹部261eの開口および第2凹部261fの開口は、熱交換器270によって塞がれる。なお、本実施形態においてハウジング206は、「被取付部材」に相当する。
【0107】
第1凹部261eの底面は、第1接触面265である。第1接触面265には、第1接続口292dが開口する。第2凹部261fの底面は、第2接触面266である。第2接触面266には、第2接続口298dが開口する。第1接触面265と第2接触面266とは、例えば、互いに平行である。第1凹部261eおよび第2凹部261fが窪む方向において、第1接触面265と第2接触面266とは、例えば、互いに同じ位置に配置される。
【0108】
本実施形態においてクーラ取付部206aは、凸部261gを有する。凸部261gは、第1凹部261eおよび第2凹部261fが窪む向きと逆向きに突出する。凸部261gは、第1凹部261eと第2凹部261fとが窪むことで、相対的に突出して設けられた部分である。凸部261gは、第1凹部261eと第2凹部261fとの間に位置する。本実施形態において第1接触面265と第2接触面266とは、互いに分離され、凸部261gによって互いに隔てられて配置される。
【0109】
本実施形態において熱交換器270の基部272は、第1脚部272hと、第2脚部272iと、を有する。第1脚部272hおよび第2脚部272iは、例えば、基部本体72aから後側斜め上方に突出する。第1脚部272hおよび第2脚部272iが突出する向きは、例えば、第1凹部261eおよび第2凹部261fが窪む向きと同じである。第1脚部272hの先端面272jには、第1熱交換流路273の第1開口273aが開口する。第2脚部272iの先端面272kには、第2熱交換流路274の第2開口274aが開口する。なお、図8において、第1脚部272hおよび第2脚部272iに示される波線は、各脚部において断面図として示される部分と各脚部において軸方向に見た図として示される部分との境界線である。
【0110】
第1脚部272hは、第1凹部261e内に挿入される。第1脚部272hの外周面と第1凹部261eの内周面との間には、例えば、全周に亘って隙間が設けられる。なお、第1脚部272hの外周面と第1凹部261eの内周面とは、互いに接触してもよい。本実施形態において第1脚部272hの先端面272jは、熱交換器270のうちハウジング206と接触する面である。先端面272jは、第1接触面265と接触する。先端面272jに開口する第1開口273aは、第1接続口292dと繋がる。
【0111】
第2脚部272iは、第2凹部261f内に挿入される。第2脚部272iの外周面と第2凹部261fの内周面との間には、例えば、全周に亘って隙間が設けられる。なお、第2脚部272iの外周面と第2凹部261fの内周面とは、互いに接触してもよい。本実施形態において第2脚部272iの先端面272kは、熱交換器270のうちハウジング206と接触する面である。先端面272kは、第2接触面266と接触する。先端面272kに開口する第2開口274aは、第2接続口298dと繋がる。
【0112】
なお、図示は省略するが、第1凹部261eと第2凹部261fとは、それぞれ2つずつ設けられる。これにより、第1接触面265と第2接触面266とも、それぞれ2つずつ設けられる。また、図示は省略するが、第1脚部272hと第2脚部272iとも、それぞれ2つずつ設けられる。これにより、第1開口273aと第2開口274aとも、それぞれ2つずつ設けられる。各第1脚部272hは、各第1凹部261e内に挿入される。各第2脚部272iは、各第2凹部261f内に挿入される。本実施形態のその他の構成は、第1実施形態のその他の構成と同様にできる。
【0113】
本実施形態によれば、第1接触面265と第2接触面266とは、互いに分離され、凸部261gによって互いに隔てられて配置される。そのため、第1接触面265と第2接触面266との間のオイルOおよび水Wの移動を、凸部261gによって抑制できる。これにより、オイルOと水Wとが混ざることを抑制できる。
【0114】
また、本実施形態によれば、ハウジング206は、第1凹部261eおよび第2凹部261fを有する。第1凹部261eの底面は、第1接触面265であり、第2凹部261fの底面は、第2接触面266である。そのため、仮に、第1開口273aと第1接続口292dとの間からオイルOが漏れ出ても、オイルOが第1凹部261e内に留められやすい。これにより、漏れ出たオイルOが第2開口274aおよび第2接続口298dに到達することをより抑制できる。また、仮に第2開口274aと第2接続口298dとの間から水Wが漏れ出ても、水Wが第2凹部261f内に留められやすい。これにより、漏れ出た水Wが第1開口273aおよび第1接続口292dに到達することをより抑制できる。以上により、オイルOと水Wとが混ざることをより抑制できる。
【0115】
本発明は上述の実施形態に限られず、本発明の技術的思想の範囲内において、他の構成を採用することもできる。上述した実施形態では、第1流体がオイルOであり、第2流体が水Wである場合について説明したが、これに限られない。第1流体の種類および第2流体の種類は、特に限定されない。第1流体と第2流体とは、互いに同種の流体であってもよい。
【0116】
第1開口、第2開口、第1接触面、第2接触面、第1接続流路、第2接続流路、第1接続口、および第2接続口は、少なくとも1つずつ設けられるならば、その数は特に限定されない。第1開口、第2開口、第1接触面、第2接触面、第1接続流路、第2接続流路、第1接続口、および第2接続口は、どのような形状であってもよい。
【0117】
第1接触面と第2接触面とは、凹部と凸部との両方によって互いに隔てられて配置されてもよい。第1接触面が複数設けられる場合、複数の第1接触面同士は、凸部によって互いに隔てられて配置されてもよいし、凹部と凸部との両方によって互いに隔てられて配置されてもよい。第2接触面が複数設けられる場合、複数の第2接触面同士は、凸部によって互いに隔てられて配置されてもよいし、凹部と凸部との両方によって互いに隔てられて配置されてもよい。
【0118】
1つの第1接触面に、複数の第1接続口が開口してもよいし、1つの第2接触面に、複数の第2接続口が開口してもよい。上述した第1実施形態において、第1接触面65aと第1接触面65bとが互いに繋がってもよい。また、上述した第1実施形態において、第2接触面66aと第2接触面66bとが互いに繋がってもよい。
【0119】
熱交換器が固定された固定部の数は、特に限定されない。固定部の数は、第1接触面の数と第2接触面の数との合計数と同じであってもよいし、当該合計数より少なくともよいし、当該合計数より多くてもよい。熱交換器がネジで固定された締結面は、凸部によって第1接触面および第2接触面と隔てられて配置されてもよいし、凹部と凸部との両方によって第1接触面および第2接触面と隔てられて配置されてもよい。
【0120】
第1接触面と第2接触面とが凸部によって隔てられる場合、当該凸部には、リブが設けられてもよい。例えば、上述した第2実施形態において、凸部261gの外周面にリブが設けられてもよい。この場合、凸部261gの強度を向上でき、ハウジング206に振動が生じることを抑制できる。第1接触面と第2接触面とが凹部と凸部との両方によって隔てられる場合には、当該凹部と当該凸部の一方のみにリブが設けられてもよいし、当該凹部と当該凸部の両方にリブが設けられてもよい。凹部および凸部には、リブが設けられなくてもよい。
【0121】
熱交換器が取り付けられた被取付部材は、特に限定されず、ハウジング以外の部材であってもよい。例えば、駆動装置がインバータユニットを含む場合には、被取付部材は、インバータユニットのケースであってもよい。駆動装置がインバータユニットを含む場合、駆動装置がインバータユニットと一体構造となっていてもよい。駆動装置は、対象となる物体を動かすことができる装置であれば、特に限定されない。駆動装置は、伝達機構を備えなくてもよい。モータのトルクがモータのシャフトから直接対象に出力されてもよい。この場合、駆動装置は、モータそのものに相当する。モータ軸が延びる方向は、特に限定されない。モータ軸は、鉛直方向に延びてもよい。なお、本明細書において「モータ軸が鉛直方向と直交する水平方向に延びる」とは、モータ軸が厳密に水平方向に延びる場合に加えて、モータ軸が略水平方向に延びる場合も含む。すなわち、本明細書において「モータ軸が鉛直方向と直交する水平方向に延びる」とは、モータ軸が水平方向に対して僅かに傾いていてもよい。
【0122】
駆動装置の用途は、特に限定されない。駆動装置は、車両に搭載されなくてもよい。以上、本明細書において説明した各構成は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0123】
1…駆動装置、2…モータ、6,206…ハウジング(被取付部材)、61d,161d…凹部、63,63a,63b,163a,163b…第1突出部、64,64a,64b,164a,164b…第2突出部、65,65a,65b,165a,165b,265…第1接触面、66,66a,66b,166a,166b,266…第2接触面、67…固定部、67a,167a…締結面、68,68a,68b,68c,68d…第1リブ(リブ)、69,69a,69b…第2リブ(リブ)、70,270…熱交換器、73,273…第1熱交換流路、73a…第1流入口(第1開口)、73b…第1流出口(第1開口)、74,274…第2熱交換流路、74a…第2流入口(第2開口)、74b…第2流出口(第2開口)、75…ネジ、92b…第1流入流路(第1接続流路)、92c…第1流出流路(第1接続流路)、92d,92e,292d…第1接続口、98a…第2流入流路(第2接続流路)、98b…第2流出流路(第2接続流路)、98c,98d,298d…第2接続口、261e…第1凹部、261f…第2凹部、261g…凸部、273a…第1開口、274a…第2開口、O…オイル(第1流体)、W…水(第2流体)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8