(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】断裁屑搬送装置、用紙断裁装置及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
B26D 7/18 20060101AFI20240319BHJP
B26D 7/06 20060101ALI20240319BHJP
B26D 7/22 20060101ALI20240319BHJP
B26D 7/27 20060101ALI20240319BHJP
B41J 11/66 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
B26D7/18 E
B26D7/06 Z
B26D7/22 A
B26D7/27
B41J11/66
(21)【出願番号】P 2020035582
(22)【出願日】2020-03-03
【審査請求日】2023-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】片桐 達矢
【審査官】永井 友子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-041461(JP,A)
【文献】特開2013-086249(JP,A)
【文献】特開2005-320635(JP,A)
【文献】国際公開第2003/095733(WO,A1)
【文献】特開2015-174211(JP,A)
【文献】特開2009-120300(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 7/18
B26D 7/06
B26D 7/22
B26D 7/27
B41J 11/66
B65G 43/00- 43/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙を断裁することによって生じた断裁屑を搬送する断裁屑搬送部と、
前記用紙に関する用紙条件に応じて、前記断裁屑搬送部による、前記断裁屑の搬送速度である断裁屑搬送速度を制御する制御部と、
を備え
、
前記制御部は、断裁された前記断裁屑が前記断裁屑搬送部に接触するまでの時間間隔に応じて、前記断裁屑搬送速度を設定する、
断裁屑搬送装置。
【請求項2】
前記断裁屑搬送部を駆動する駆動部を備え、
前記制御部は、前記駆動部を制御して、前記断裁屑搬送速度を各速度に設定する、
請求項1に記載の断裁屑搬送装置。
【請求項3】
駆動力を出力する駆動部と、
前記駆動力を前記断裁屑搬送部へ動力伝達する動力伝達部と、
を備え、
前記制御部は、前記動力伝達部を制御して、前記断裁屑搬送速度を各速度に設定する、
請求項1に記載の断裁屑搬送装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記断裁屑搬送速度を0に設定する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の断裁屑搬送装置。
【請求項5】
前記断裁屑の大きさを取得する取得部を備え、
前記制御部は、取得された前記断裁屑の大きさに応じて、前記断裁屑搬送速度を設定する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の断裁屑搬送装置。
【請求項6】
前記制御部は、取得された前記断裁屑の大きさが所定の大きさより大きい場合、前記所定の大きさ以下の場合より、前記断裁屑搬送速度を速くする、
請求項5に記載の断裁屑搬送装置。
【請求項7】
前記取得部は、前記用紙の大きさ及び前記用紙に対する断裁方向に基づいて、前記断裁屑の大きさを取得する、
請求項5又は6に記載の断裁屑搬送装置。
【請求項8】
前記断裁屑の大きさを検知する検知部を備え、
前記取得部は、前記検知部で検知された前記断裁屑の大きさを取得する、
請求項5又は6に記載の断裁屑搬送装置。
【請求項9】
前記制御部は、断裁時における前記用紙の搬送速度である用紙搬送速度に応じて、前記断裁屑搬送速度を設定する、
請求項1から8のいずれか一項に記載の断裁屑搬送装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記用紙に対する断裁方向に応じて、前記断裁屑搬送速度を設定する、
請求項1から8のいずれか一項に記載の断裁屑搬送装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記用紙の断裁中に前記断裁屑が前記断裁屑搬送部に接触する場合、前記断裁屑搬送速度を、断裁時における前記用紙の搬送速度である用紙搬送速度以下にする、
請求項1から8のいずれか一項に記載の断裁屑搬送装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記用紙の断裁中に前記断裁屑が前記断裁屑搬送部に接触する場合、当該断裁が終了するまで、前記断裁屑搬送部による前記断裁屑の搬送を停止し、当該断裁の終了後、前記断裁屑搬送部による前記断裁屑の搬送を開始する、
請求項1から8のいずれか一項に記載の断裁屑搬送装置。
【請求項13】
前記用紙条件は、前記用紙の種類、剛度、含水率、表面の平滑度、帯電状態、カール状態のいずれか1つ以上である、
請求項1から
12のいずれか一項に記載の断裁屑搬送装置。
【請求項14】
前記断裁屑搬送部は、搬送ベルトであり、
前記制御部は、前記断裁屑が載置される前記搬送ベルトの表面の摩擦係数に応じて、前記断裁屑搬送速度を設定する、
請求項1から
13のいずれか一項に記載の断裁屑搬送装置。
【請求項15】
前記制御部は、前記摩擦係数が所定の摩擦係数より低い場合、前記所定の摩擦係数より高い場合より、前記断裁屑搬送速度を遅くする、
請求項
14に記載の断裁屑搬送装置。
【請求項16】
前記断裁屑搬送部は、搬送ベルトであり、
前記断裁屑が載置される前記搬送ベルトの表面を清掃する清掃部を備える、
請求項1から
15のいずれか一項に記載の断裁屑搬送装置。
【請求項17】
用紙を断裁する断裁部と、
請求項1から
16のいずれか一項に記載の断裁屑搬送装置と、
を備える用紙断裁装置。
【請求項18】
用紙に画像を形成する画像形成装置と、
請求項
17に記載の用紙断裁装置と、
を備える画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断裁屑搬送装置、用紙断裁装置及び画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
印刷機などの画像形成装置に接続され、印刷後の印刷物の余白や印刷画像に合わせて、用紙を断裁する用紙断裁装置が知られている。断裁後の断裁屑を貯めていく屑箱を用紙断裁装置の内部に設けた構成の場合、屑箱内の断裁屑がその収容限度量を超えたとき、屑箱内の断裁屑を処分する必要がある。このとき、安全性の観点から、印刷を一時停止し、屑箱を用紙断裁装置から取り出して、屑箱内の断裁屑を処分することになる。このため、断裁屑が屑箱の収容限度量を超える度に印刷を停止する必要があり、印刷の生産性が低下する問題があった。
【0003】
この問題に対して、特許文献1は、用紙断裁装置の外部の屑箱に断裁屑を排出する搬送ベルトを設けた構成を開示している。特許文献1に示す構成では、ユーザーは、用紙断裁装置の外部に排出された屑箱内の断裁屑を処分すれば、印刷を停止せずに断裁屑を処分することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、用紙断裁装置で断裁された断裁屑の態様は、用紙に関する用紙条件によって異なる。例えば、用紙のサイズなどによって、断裁屑の大きさが異なる。より具体的には、長尺紙を断裁すれば、長い(大きい)断裁屑が発生し、A3サイズの用紙を断裁して名刺を作成すれば、小さい断裁屑が発生して、断裁屑の大きさが異なることになる。
【0006】
長尺紙において、例えば、1300mmの長さを断裁しようとする場合、断裁屑を搬送する搬送ベルトの幅が1300mm以下だと、断裁屑は搬送ベルト上で折り曲がりながら、機外に排出されることになる。このとき、搬送ベルトによる断裁屑の搬送速度(以降、断裁屑搬送速度)が遅いと、搬送ベルト上に滞留している前の長尺紙の断裁屑に、次の長尺紙の断裁屑が衝突し、混ざることになる。このような場合、用紙の剛度や表面性などによっては、搬送ベルトにおけるJAM(紙詰まり)の発生原因となる。
【0007】
また、断裁屑が小さい場合、断裁屑搬送速度が速すぎると、機外に排出した際に、用紙の剛度や表面性などによっては、断裁屑が飛び出してしまい、機外に設けられた屑箱や次の搬送装置にうまく受け渡せない可能性がある。
【0008】
以上のように、断裁する用紙によっては、断裁屑の搬送不良が起こる可能性があるため、断裁する用紙によらず、断裁屑の搬送不良の発生を防止することが望まれている。
【0009】
本発明の目的は、断裁する用紙によらず、断裁屑の搬送不良の発生を防止可能な断裁屑搬送装置、用紙断裁装置及び画像形成システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る断裁屑搬送装置は、
用紙を断裁することによって生じた断裁屑を搬送する断裁屑搬送部と、
前記用紙に関する用紙条件に応じて、前記断裁屑搬送部による、前記断裁屑の搬送速度である断裁屑搬送速度を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、断裁された前記断裁屑が前記断裁屑搬送部に接触するまでの時間間隔に応じて、前記断裁屑搬送速度を設定する。
【0011】
本発明に係る用紙断裁装置は、
用紙を断裁する断裁部と、
前記断裁屑搬送装置と、
を備える。
【0012】
本発明に係る画像形成システムは、
用紙に画像を形成する画像形成装置と、
前記用紙断裁装置と、
を備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、断裁する用紙によらず、断裁屑の搬送不良の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施の形態に係る画像形成システムの全体構成を概略的に示す図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る画像形成システムの制御系の主要部を示すブロック図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係る断裁屑搬送装置を概略的に示す図である。
【
図4】断裁屑搬送速度の設定に関し、所定の大きさより大きい断裁屑の場合を説明する図である。
【
図5】断裁屑搬送速度の設定に関し、所定の大きさ以下の小さい断裁屑の場合を説明する図である。
【
図6】断裁屑搬送速度の設定に関し、所定の大きさより大きい断裁屑と所定の大きさ以下の小さい断裁屑が混在する場合を説明する図である。
【
図7】断裁屑搬送速度の設定について説明するフローチャートである。
【
図8】断裁屑搬送速度の設定に関し、断裁中に断裁屑が搬送ベルトに接触する場合を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
図1は、本実施の形態に係る画像形成システム1の全体構成を概略的に示す図である。また、
図2は、本実施の形態に係る画像形成システム1の制御系の主要部を示すブロック図である。
【0017】
画像形成システム1は、画像形成装置2と、用紙断裁装置3とを備える。画像形成装置2は、用紙に画像を形成する装置であり、用紙断裁装置3は、画像が形成された用紙に対する断裁処理を行う装置である。用紙断裁装置3は、用紙の搬送方向において、画像形成装置2の下流側に配置されている。
【0018】
[画像形成装置の構成]
画像形成装置2は、電子写真プロセス技術を利用した中間転写方式のカラー画像形成装置である。即ち、画像形成装置2は、感光体上に形成されたCMYKの各色のトナー像を中間転写体に一次転写し、中間転写体上で4色のトナー像を重ね合わせた後、用紙(記録媒体)に二次転写することにより、画像を形成する。なお、CMYKは、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)のことである。
【0019】
画像形成装置2には、CMYKの4色に対応する感光体を中間転写体の走行方向に直列配置し、中間転写体に1回の手順で各色のトナー像を順次転写させるタンデム方式が採用されている。
【0020】
画像形成装置2は、
図1、
図2に示すように、画像読取部10、操作表示部20、画像処理部30、画像形成部40、用紙搬送部50、定着部60、制御部70、記憶部81及び通信部82などを備える。
【0021】
画像読取部10は、ADF(Auto Document Feeder)と称される自動原稿給紙装置11及び原稿画像走査装置12(スキャナー)などを備える。
【0022】
自動原稿給紙装置11は、原稿トレイに載置された原稿を搬送機構により搬送して原稿画像走査装置12へ送り出す。自動原稿給紙装置11は、原稿トレイに載置された多数枚の原稿の画像(両面を含む)を連続して一挙に読み取ることができる。
【0023】
原稿画像走査装置12は、自動原稿給紙装置11からコンタクトガラス上に搬送された原稿又はコンタクトガラス上に載置された原稿を光学的に走査し、原稿からの反射光をCCD(Charge Coupled Device)センサーに結像させ、原稿画像を読み取る。画像読取部10は、原稿画像走査装置12による読取結果に基づいて入力画像データを生成する。この入力画像データには、画像処理部30において所定の画像処理が施される。
【0024】
操作表示部20は、例えば、タッチパネル付の液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)で構成され、表示部21及び操作部22として機能する。表示部21は、制御部70から入力される表示制御信号に従って、各種操作画面、画像の状態表示、各機能の動作状況などの表示を行う。操作部22は、テンキー、スタートキーなどの各種操作キーを備え、ユーザーによる各種入力操作を受け付けて、操作信号を制御部70に出力する。
【0025】
画像処理部30は、入力画像データに対して、初期設定又はユーザー設定に応じた画像処理を行う回路などを備える。画像処理が施された画像データに基づいて、画像形成部40が制御される。
【0026】
画像形成部40は、画像形成ユニット41、中間転写ユニット42、クリーニングユニット43、二次転写ローラー44などを備える。
【0027】
画像形成ユニット41は、画像形成ユニット41Y、41M、41C、41Kを備え、画像形成ユニット41Y、41M、41C、41Kは、同様の構成を有する。具体的には、画像形成ユニット41Y、41M、41C、41Kは、各々、感光体ドラム411、露光装置、現像装置、帯電装置、ドラムクリーニング装置などを有する。感光体ドラム411、露光装置、現像装置、帯電装置、ドラムクリーニング装置としては、公知の技術を採用することができるため、ここでは、詳細な説明は省略する。また、
図1では、感光体ドラムは図示しているが、他の構成要素の図示は省略し、画像形成ユニット41Yの感光体ドラム411にのみ符号を付している。
【0028】
画像形成ユニット41Yは、画像処理部30からの画像データに基づいて、Y成分の有色トナーのトナー像を感光体ドラム411に形成する。同様に、画像形成ユニット41Mは、M成分の有色トナーのトナー像を感光体ドラムに形成する。同様に、画像形成ユニット41Cは、C成分の有色トナーのトナー像を感光体ドラムに形成する。同様に、画像形成ユニット41Kは、K成分の有色トナーのトナー像を感光体ドラムに形成する。
【0029】
中間転写ユニット42は、中間転写ベルト421、バックアップローラー422Aを含む複数の支持ローラー422などを備える。支持ローラー422としては、バックアップローラー422A以外に、一次転写ローラー、駆動ローラーなどのローラーを有しているが、ここでは、これらの図示を省略している。
【0030】
中間転写ベルト421は、バックアップローラー422Aを含む複数の支持ローラー422にループ状に張架され、矢印Aで示す走行方向に走行する。中間転写ベルト421は、感光体ドラム411に対向して配置されると共に、感光体ドラム411に圧接されており、これにより、感光体ドラム411に形成されたトナー像は、感光体ドラム411から中間転写ベルト421へ転写される。
【0031】
バックアップローラー422Aは、中間転写ベルト421を挟んで、後述する二次転写ローラー44に圧接されている。
【0032】
クリーニングユニット43は、中間転写ベルト421の移動方向Aにおいて、感光体ドラム411より上流側に配置され、中間転写ベルト421に対向して配置されている。
【0033】
クリーニングユニット43は、クリーニングブレード431などを備える。クリーニングブレード431は、ゴムなどの弾性部材から構成された薄い板状の部材であり、中間転写ベルト421の幅(中間転写ベルト421の移動方向Aに直交する方向における長さ)とほぼ同等の幅を有する。クリーニングブレード431は、その先端部が、中間転写ベルト421の表面に当接して摺動するように構成されると共に、中間転写ベルト421の移動方向Aに対向するように当接させるカウンター方式の構成となっている。このクリーニングブレード431により、二次転写後に中間転写ベルト421の表面に残留する転写残トナーなどを除去している。
【0034】
二次転写ローラー44は、中間転写ベルト421を挟んで、バックアップローラー422Aに圧接されている。これにより、中間転写ベルト421と二次転写ローラー44との間に二次転写ニップが形成される。
【0035】
これらにより形成された二次転写ニップに用紙が搬送されると、中間転写ベルト421に担持されている各色のトナー像が用紙上に一括転写される。トナー像が転写された用紙は、二次転写ローラー44によって、定着部60に向けて搬送される。
【0036】
なお、二次転写ローラー44に代えて、複数の支持ローラーに張架された二次転写ベルト式の二次転写ユニットを用いてもよい。
【0037】
用紙搬送部50は、給紙トレイ51、給紙搬送部52、搬送経路部53、排紙搬送部54などを備える。給紙トレイ51には、用紙(規格用紙、特殊用紙)が収容される。なお、給紙トレイ51を複数設けるようにしてもよい。その場合、各々の給紙トレイ51には、坪量やサイズなどに基づいて識別された用紙が、予め設定された種類毎に収容される。
【0038】
給紙トレイ51に収容されている用紙は、最上部から一枚ずつ送出され、給紙搬送部52、搬送経路部53により画像形成部40に搬送される。このとき、給紙された用紙の傾きが補正されると共に搬送タイミングが調整される。そして、画像形成部40、定着部60を経て画像形成された用紙は、排紙搬送部54により用紙断裁装置3へ送出される。
【0039】
給紙搬送部52、搬送経路部53、排紙搬送部54は、例えば、複数の搬送ローラーと、これらを回転駆動する駆動モーターなどから構成されている。
【0040】
定着部60は、定着ローラー61、加圧ローラー62などを備える。定着ローラー61は、所定の定着温度に加熱されており、加圧ローラー62は、定着ローラー61との間で用紙を挟持して搬送する定着ニップを形成している。この定着部60では、トナー像が二次転写されて搬送されてきた用紙を定着ニップで加熱、加圧することにより、用紙にトナー像を定着させている。
【0041】
制御部70は、CPU(Central Processing Unit)71、ROM(Read Only Memory)72及びRAM(Random Access Memory)73などを備えている。CPU71は、ROM72から処理内容に応じたプログラムを読み出してRAM73に展開し、展開したプログラムと協働して画像形成装置2の各ブロックの動作を集中制御する。このとき、記憶部81に格納されているLUT(Look Up Table)などの各種データが参照される。記憶部81は、例えば、不揮発性の半導体メモリ(所謂、フラッシュメモリ)又はハードディスクドライブで構成される。
【0042】
制御部70は、通信部82を介して、LAN(Local Area Network)又はWAN(Wide Area Network)などの通信ネットワークに接続された外部の装置(例えば、パーソナルコンピューター)との間で各種データの送受信を行う。制御部70は、例えば、外部の装置から送信された画像データを受信し、この画像データ(入力画像データ)に基づいて用紙に画像を形成する。通信部82は、例えば、LANカードなどの通信制御カードで構成される。
【0043】
通信部82は、後述する用紙断裁装置3の通信部182とも接続されており、制御部70は、通信部82及び通信部182を介して、用紙断裁装置3との間でも各種データの送受信を行う。この場合、制御部70は、画像形成装置2での用紙の画像形成処理に関し、用紙に関する用紙条件や断裁に関する断裁条件などを用紙断裁装置3へ送信する。
【0044】
制御部70には、バスを介して、画像読取部10、操作表示部20、画像処理部30、画像形成部40、用紙搬送部50、定着部60、記憶部81、通信部82がそれぞれ接続されている。これらは、制御部70の指示に基づいて所定の処理を実行する。
【0045】
[用紙断裁装置の構成]
用紙断裁装置3は、
図1、
図2に示すように、用紙搬送部110、断裁部120、断裁屑搬送部130(断裁屑搬送装置)、屑箱140(後述の
図3を参照)、制御部170、記憶部181及び通信部182などを備える。また、用紙断裁装置3は、断裁屑態様検知部150(検知部)及び摩擦係数検知部160なども備えている。
【0046】
用紙搬送部110は、搬送路111と、搬送路112とを備える。搬送路111は、画像形成装置2の排紙搬送部54と接続されており、排紙搬送部54から搬送される用紙を矢印Cで示す用紙搬送方向に搬送し、用紙を断裁部120へ供給する。搬送路112は、断裁部120より上流側の搬送路111において、搬送路111から分岐した後、分岐した箇所より下流側で搬送路111と合流するように構成されている。搬送路112は、断裁部120へ長尺紙を供給する際のバッファとして機能する。
【0047】
断裁部120は、断裁機121~123を備える。断裁機121は、用紙搬送方向CであるFD(Feed Direction)方向において、他の断裁機122、123より上流側に配置され、FD方向に用紙を断裁する。以降、断裁機121を、FD断裁機121と呼ぶ。
【0048】
なお、詳細な図示は省略するが、FD断裁機121は、断裁箇所に応じた数のスリッターを有する。スリッターは、一対の丸刃を有し、一対の丸刃は、FD方向に回転するよう配置されると共に上下に対向するよう配置されている。従って、スリッターは、用紙の搬送に伴って、上下の丸刃が回転することにより、上下の丸刃に挟まれた用紙をFD方向に断裁することになる。
【0049】
断裁機122、123は、用紙搬送方向C(FD方向)において、FD断裁機121より下流側に配置され、断裁機123が断裁機122より下流側に配置される。断裁機122、123は、FD方向に直交する方向であるCD(Cross Direction)方向に用紙を断裁する。断裁機122は、用紙の中央部を断裁する場合に使用され、断裁機122は、用紙の端部を断裁する場合に使用される。以降、断裁機122、123を、CD断裁機122、123と呼ぶ。
【0050】
なお、詳細な図示は省略するが、CD断裁機122、123は、断裁箇所に応じた数のカッターを有する。カッターは、一対の板状の断裁刃を有し、一対の断裁刃は、その長手方向がCD方向に沿うよう配置されると共に上下に対向するよう配置されている。従って、カッターは、上下の断裁刃が移動して重なり合うことにより、上下の断裁刃に挟まれた用紙をCD方向に断裁することになる。
【0051】
上述したように、断裁部120は、FD断裁機121とCD断裁機122、123とを備えるが、これは、一例であり、断裁のパターンなどに応じて、適宜な構成に変更可能である。例えば、FD断裁機121だけでもよいし、CD断裁機123だけでもよいし、FD断裁機121やCD断裁機122、123の数を変更してもよい。
【0052】
断裁屑搬送部130については、
図3も参照して説明する。
図3は、断裁屑搬送部130を概略的に示す図であり、
図1におけるB-B線矢視断面図である。
【0053】
断裁屑搬送部130は、FD断裁機121、CD断裁機122、123が用紙を断裁することによって生じた断裁屑W(後述の
図4を参照)を搬送する。断裁屑搬送部130は、搬送ベルト131と、搬送ローラー132a、132bと、駆動モーター133(駆動部)と、ブレード134(清掃部)とを備える。
【0054】
搬送ベルト131は、搬送ローラー132a、132bにループ状に張架され、矢印Dで示す搬送方向(断裁屑搬送方向)に走行する。この断裁屑搬送方向Dは、搬送路111の用紙搬送方向Cと直交する方向となっている。搬送ベルト131は、搬送ローラー132a側の端部が、用紙断裁装置3の排出口3aより外側となるように配置されている。
【0055】
駆動モーター133は、例えば、プーリーなどを介して、搬送ローラー132bを駆動する。駆動モーター133が搬送ローラー132bを駆動することにより、搬送ベルト131は断裁屑搬送方向Dに走行し、断裁屑Wの搬送速度である断裁屑搬送速度は、制御部170が駆動モーター133を制御することにより、所望の速度に設定可能である。
【0056】
なお、駆動モーター133が出力する駆動力を搬送ローラー132bに動力伝達する減速機(動力伝達部)を設け、減速機を制御して、減速比を変更することにより、断裁屑搬送速度を所望の速度に設定するようにしてもよい。減速機の制御は、制御部170が行ってもよいし、また、減速機を制御するレバーを設け、ユーザーがレバーを切り替えることにより、減速比を変更するようにしてもよい。
【0057】
ブレード134は、搬送ベルト131の搬送ローラー132a側の端部において、搬送ベルト131の下方側に配置されており、その先端部が、搬送ベルト131の下方側のベルト表面に当接して摺動するよう構成されている。ブレード134は、例えば、ゴムなどの弾性部材から構成された薄い板状の部材であり、搬送ベルト131の幅(搬送ベルト131の断裁屑搬送方向Dに直交する方向における長さ)とほぼ同等の幅を有する。このブレード134により、搬送ベルト131の表面に残った断裁屑Wを除去して、搬送ベルト131の表面を清掃している。
【0058】
屑箱140は、搬送ベルト131の搬送ローラー132a側の端部の直下に配置されている。搬送ベルト131により断裁屑搬送方向Dへ搬送された搬送屑は、搬送ベルト131の搬送ローラー132a側の端部において、搬送ベルト131から落下し、屑箱140に収容される。もし、搬送ベルト131の表面に貼り付いて、搬送ベルト131から落下しなかった裁断屑があった場合でも、当該搬送屑は、上記のブレード134により掻き落とされて、屑箱140に収容されることになる。なお、この屑箱140に代えて、断裁屑Wを更に搬送する他の搬送装置を設けるようにしてもよい。
【0059】
ガイド板135は、断裁屑搬送部130と共に、FD断裁機121、CD断裁機122、123の下方に配置されている。具体的には、FD断裁機121、CD断裁機122の直下にガイド板135が配置されており、CD断裁機123の直下に断裁屑搬送部130が配置されている。ガイド板135は底面135aを有しており、底面135aは、その搬送ベルト131側が下がるように傾斜している(
図1を参照)。
【0060】
搬送ベルト131の幅は、CD断裁機123の用紙搬送方向Cにおける長さより長いが、断裁部120(FD断裁機121、CD断裁機122、123)全体の用紙搬送方向Cにおける長さより短い。これは、断裁屑搬送部130、用紙断裁装置3の大型化を避けるためである。
【0061】
FD断裁機121、CD断裁機122、123が用紙を断裁することによって生じた断裁屑Wは、FD断裁機121、CD断裁機122、123から下方に落下する。具体的には、CD断裁機123から下方に落下した断裁屑Wは、搬送ベルト131上に落下して、搬送される。一方、FD断裁機121、CD断裁機122から下方に落下した断裁屑Wは、ガイド板135に落下し、ガイド板135の底面135aの傾斜に導かれて、搬送ベルト131上に落下して、搬送される。
【0062】
制御部170は、CPU171、ROM172及びRAM173などを備えている。CPU171は、ROM172から処理内容に応じたプログラムを読み出してRAM173に展開し、展開したプログラムと協働して用紙断裁装置3の各ブロックの動作を集中制御する。このとき、記憶部181に格納されているLUTなどの各種データが参照される。記憶部181は、例えば、不揮発性の半導体メモリ(所謂、フラッシュメモリ)又はハードディスクドライブで構成される。
【0063】
制御部170は、通信部182を介して、画像形成装置2の通信部82と接続されており、通信部82及び通信部182を介して、画像形成装置2との間で各種データの送受信を行う。この場合、制御部170は、画像形成装置2での用紙の画像形成処理に関し、用紙に関する用紙条件や断裁に関する断裁条件などを受信する。通信部182は、LAN又はWANなどの通信ネットワークにより、通信部82と接続されてもよく、その場合、通信部182は、例えば、LANカードなどの通信制御カードで構成すればよい。
【0064】
制御部170には、バスを介して、用紙搬送部110、断裁部120、断裁屑搬送部130、断裁屑態様検知部150、摩擦係数検知部160、記憶部181及び通信部182がそれぞれ接続されている。これらは、制御部170の指示に基づいて所定の処理を実行する。
【0065】
ところで、従来の用紙断裁装置で断裁された断裁屑の態様は、用紙に関する用紙条件によって異なる。そのため、断裁する用紙によっては、断裁屑の搬送不良が起こる可能性があった。
【0066】
このような搬送不良を避けるため、搬送ベルト131の幅を断裁部120全体の長さと同等以上とすることも考えられるが、その場合には、装置が大型化してしまい、装置のコストアップや設置面積の増大を招いてしまう。
【0067】
そこで、本実施の形態においては、用紙断裁装置3の制御部170が、用紙に関する用紙条件に応じて、断裁屑搬送部130による断裁屑搬送速度を制御するようにしている。
【0068】
また、本実施の形態において、用紙断裁装置3は、断裁屑搬送速度を設定する制御に関連して、断裁屑態様検知部150、摩擦係数検知部160などを備えている。断裁屑態様検知部150は、断裁屑Wの大きさを検知するセンサー、例えば、カメラなどである。また、摩擦係数検知部160は、搬送ベルト131の表面の摩擦係数を検知するセンサーである。
【0069】
用紙に関する用紙条件に応じて断裁屑搬送速度を設定する制御について、
図4~
図6を参照して説明する。
【0070】
[所定の大きさより大きい断裁屑Wの場合]
図4は、断裁屑搬送速度の設定変更に関し、所定の大きさより大きい断裁屑Wの場合を説明する図である。用紙に関する用紙条件として、用紙が長尺紙である場合、例えば、長さ900mmの長尺紙である場合、この用紙をFD断裁機121でFD方向にスリット断裁する。この場合、用紙を一定幅にするスリット断裁により、断裁された断裁屑Wは長さ900mmとなり、所定の大きさ(例えば、800mm)より長い(大きい)ものとなる。
【0071】
この場合は、断裁された断裁屑Wが所定の大きさより大きいものとなるので、断裁屑搬送速度が遅いと、次の断裁の断裁屑Wと衝突し、混ざって、JAMの発生原因となる。そのため、断裁屑搬送速度を速くして、例えば、900mm/sとする。
【0072】
[所定の大きさ以下の小さい断裁屑Wの場合]
図5は、断裁屑搬送速度の設定変更に関し、所定の大きさ以下の小さい断裁屑Wの場合を説明する図である。用紙に関する用紙条件として、用紙がA3サイズである場合、この用紙をFD断裁機121及びCD断裁機122、123で名刺に断裁する。この場合、FD方向及びCD方向の断裁により、断裁された断裁屑Wは所定の大きさ(例えば、800mm)以下の小さいものとなる。
【0073】
この場合は、断裁された断裁屑Wが所定の大きさ以下の小さいものとなるので、断裁屑搬送速度が速いと、機外に排出する際に飛び出してしまい、屑箱140内に排出できない可能性がある。そのため、断裁屑搬送速度を遅くして、例えば、300mm/sとする。
【0074】
[大きい断裁屑Wと小さい断裁屑Wが混在する場合]
図6は、断裁屑搬送速度の設定変更に関し、所定の大きさより大きい断裁屑Wと所定の大きさ以下の小さい断裁屑Wが混在する場合を説明する図である。用紙に関する用紙条件として、用紙がA3サイズである場合、この用紙をFD断裁機121及びCD断裁機122、123で四方断裁する。この場合、用紙の四辺をFD方向及びCD方向に断裁する四方断裁により、断裁された断裁屑Wは所定の大きさより大きい断裁屑Wと所定の大きさ以下の小さい断裁屑Wが混在するものとなる。
【0075】
この場合は、所定の大きさより大きい断裁屑Wと所定の大きさ以下の小さい断裁屑Wが混在する。そのため、断裁屑Wが排出口3aに来るまでは断裁屑搬送速度を速くして、例えば、900mm/sとし、排出口3aからは断裁屑搬送速度を遅くして、例えば、300mm/sとする。
【0076】
断裁屑Wが排出口3aに来るまでは断裁屑搬送速度を速くするので、小さい断裁屑Wも大きい断裁屑Wも、次の断裁の断裁屑Wと衝突したり、混ざったりすることはなく、JAMを防止することができる。また、排出口3aからは断裁屑搬送速度を遅くするので、機外に排出する際には、小さい断裁屑Wも大きい断裁屑Wも、屑箱140内に確実に排出することができる。
【0077】
以上のような断裁屑搬送速度の制御は、
図7に示す手順で行われる。
図7は、断裁屑搬送速度の設定変更について説明するフローチャートである。
【0078】
(ステップS11)
用紙断裁装置3の制御部170は、画像形成装置2での画像形成処理の後、画像形成装置2から用紙条件を受信する。例えば、
図4の場合は、用紙が長尺紙であると、
図5、
図6の場合は、用紙がA3サイズであるとの用紙条件を受信する。
【0079】
断裁部120がFD断裁機121だけからなる場合、
図4の場合は、FD断裁機121だけでの断裁であるので、画像形成装置2から用紙条件を受信できれば、用紙断裁装置3の制御部170は以降の制御を実施可能である。
【0080】
断裁部120がFD断裁機121、CD断裁機122、123からなる場合、用紙断裁装置3の制御部170は、画像形成装置2から断裁条件も受信する。例えば、
図4の場合は、スリット断裁であると、
図5の場合は、名刺への断裁であると、
図6の場合は、四方断裁であるとの断裁条件を受信する。
【0081】
(ステップS12)
用紙断裁装置3の制御部170は、受信した用紙条件(又は、用紙条件及び断裁条件)に基づいて、断裁屑Wの大きさを求める(取得部)。例えば、
図4の場合には、長尺紙(長さ900mm)のFD方向のスリット断裁であるので、断裁された断裁屑Wの長さが900mmであることを求めることができる。
【0082】
図5、
図6の各々の場合についても、用紙条件(又は、用紙条件及び断裁条件)に基づいて、断裁屑Wの大きさを求める。例えば、用紙の大きさ及び用紙に対する断裁方向に基づいて、断裁屑Wの大きさを求める。断裁屑Wの大きさを求めることにより、
図4の場合は、断裁屑Wが大きいこと、
図5の場合は、断裁屑Wが小さいこと、
図6の場合は、大きい断裁屑Wと小さい断裁屑Wが混在することがわかる。
【0083】
なお、ここでは、用紙断裁装置3の制御部170(取得部)が、用紙条件、断裁条件に基づいて、断裁屑Wの大きさを求めているが、他の方法で取得してもよい。例えば、
図2に示す断裁屑態様検知部150を用いて断裁屑Wの大きさを検知し、制御部170は、断裁屑態様検知部150から断裁屑Wの大きさを取得するようにしてもよい。
【0084】
(ステップS13)
用紙断裁装置3の制御部170は、求めた断裁屑Wの大きさに対応する断裁屑搬送速度を求める。断裁屑Wの大きさと断裁屑搬送速度との対応関係は、例えば、記憶部181に予めLUTとして記憶しておく。
【0085】
(ステップS14)
用紙断裁装置3の制御部170は、現在の断裁屑搬送速度を確認する。
【0086】
(ステップS15)
用紙断裁装置3の制御部170は、求めた断裁屑搬送速度に基づいて、現在の断裁屑搬送速度を変更する必要があるかどうかを判断する。現在の断裁屑搬送速度を変更する必要がある場合(YES)、ステップS16へ進み、現在の断裁屑搬送速度を変更する必要がない場合(NO)、ステップS17へ進む。
【0087】
(ステップS16)
用紙断裁装置3の制御部170は、現在の断裁屑搬送速度を変更する必要がある場合、ステップS13で求めた断裁屑搬送速度に変更する。例えば、
図4の場合は、断裁屑搬送速度を900mm/sに変更し、
図5の場合は、断裁屑搬送速度を300mm/sに変更する。
図6の場合は、断裁屑Wが排出口3aに来るまでは断裁屑搬送速度を900mm/sとし、排出口3aからは断裁屑搬送速度を300mm/sとする。
【0088】
断裁屑搬送速度は、上述したように、駆動モーター133を制御することにより、変更してもよいし、また、減速機を有する場合には、減速機を制御することにより、断裁屑搬送速度を変更するようにしてもよい。また、
図4~
図6は例示であり、用紙条件によっては、断裁屑搬送速度を0mm/sに変更してもよい。つまり、搬送ベルト131を停止してもよい。
【0089】
(ステップS17)
用紙断裁装置3の制御部170は、画像が形成された用紙を断裁部120で断裁し、断裁屑搬送速度を変更して(又は変更せずに)、断裁屑Wを断裁屑搬送部130で搬送して、以上の制御を終了する。
【0090】
以上説明したように、本実施の形態における断裁屑搬送装置は、用紙を断裁することによって生じた断裁屑Wを搬送する断裁屑搬送部130を備える。そして、当該断裁屑搬送装置は、用紙に関する用紙条件に応じて、断裁屑搬送部130による断裁屑搬送速度を制御する制御部170を備える。
【0091】
このように構成した本実施の形態によれば、用紙条件に応じて、断裁屑搬送速度を制御するので、断裁する用紙によらず、断裁した断裁屑Wを適切に搬送することができ、断裁屑Wの搬送不良の発生を防止することができる。つまり、どのような断裁屑Wの大きさになっても、用紙断裁装置3内に断裁屑Wを滞留させることなく、機外の屑箱140に適切に排出することができる。
【0092】
<変形例1>
上記の実施形態では、用紙条件に応じて、断裁屑搬送速度を制御したが、本変形例では、用紙条件に加えて、断裁時における用紙の搬送速度である用紙搬送速度も考慮して、断裁屑搬送速度を制御する。
【0093】
CD断裁機122、123で用紙を断裁する際には、用紙搬送部110は、用紙の搬送を停止させており、CD断裁機122、123は、停止状態の用紙をCD方向に断裁する。停止状態の用紙をCD断裁機122、123でCD方向に断裁するので、断裁された断裁屑Wは搬送ベルト131上に自由落下することになる。断裁屑Wが自由落下するため、断裁屑Wの落下時間がばらつき易く、断裁屑W同士の落下の時間間隔が変動し易いので、断裁屑搬送速度は速めにする。
【0094】
但し、上述したように、CD断裁機122、123で断裁された断裁屑Wは小さく、断裁屑搬送速度が速いと、機外に排出する際に飛び出してしまい、屑箱140内に排出できない可能性がある。そのため、断裁屑Wが排出口3aに来るまでは断裁屑搬送速度を速くし、排出口3aからは断裁屑搬送速度を遅くする。
【0095】
一方、FD断裁機121で用紙を断裁する際には、用紙搬送部110は、用紙を搬送させたままとしており、FD断裁機121は、搬送されている用紙をFD方向に断裁する。用紙を搬送させながら、FD断裁機121でFD方向に断裁するので、断裁された断裁屑Wは、用紙搬送部110での用紙搬送速度の影響を受けて、搬送ベルト131上に落下することになる。断裁屑Wの落下速度が用紙搬送速度の影響を受けるため、断裁屑W同士の落下の時間間隔が安定し易いので、この場合は、他の条件、例えば、上述した用紙条件や断裁条件に応じて、断裁屑搬送速度を制御する。
【0096】
以上説明したように、断裁屑Wの落下速度は用紙搬送速度の影響を受ける場合があるので、本変形例では、用紙搬送速度に応じて、断裁屑搬送速度を制御するようにしている。なお、断裁時の用紙搬送速度は、上述したように、断裁方向がFD方向か又はCD方向かでも異なるため、本実施例は、断裁方向に応じて、断裁屑搬送速度を制御することにもなる。
【0097】
このように制御する本変形例によれば、用紙搬送速度に応じて、断裁屑搬送速度を制御するので、断裁した断裁屑Wを適切に搬送することができ、断裁屑Wの搬送不良の発生を防止することができる。
【0098】
<変形例2>
上記の実施形態では、用紙条件に応じて、断裁屑搬送速度を制御しており、断裁された断裁屑Wが大きい場合、断裁屑搬送速度を速くしていたが、本変形例では、更に、搬送ベルト131に対する断裁屑Wの接触状態も考慮して、断裁屑搬送速度を制御する。
【0099】
図8は、断裁屑搬送速度の設定変更に関し、断裁中に断裁屑Wが搬送ベルトに接触する場合を説明する図である。用紙に関する用紙条件として、用紙が長尺紙である場合、例えば、長さ1300mmの長尺紙である場合、この用紙をFD断裁機121でFD方向にスリット断裁する。この場合、用紙を一定幅にするスリット断裁により、断裁された断裁屑Wは長さ1300mmの長い(大きい)ものとなる。この断裁屑Wの大きさは、上述したように、制御部170が、用紙条件、断裁条件に基づいて求めてもよいし、断裁屑態様検知部150を用いて取得してもよい。
【0100】
このように、用紙条件、断裁条件に応じて、断裁屑Wが大きくなると、断裁途中の断裁屑Wの一部が断裁屑搬送部130の搬送ベルト131に接触する場合がある。このような場合において、搬送ベルト131が断裁屑Wを搬送しようとすると、断裁途中の断裁屑Wを搬送ベルト131が引っ張ってしまい、断裁精度に影響する可能性がある。
【0101】
そこで、本変形例では、断裁中に断裁屑Wが搬送ベルト131に接触する場合には、断裁屑搬送速度を用紙搬送速度以下に設定するようにしている。例えば、長さ1300mmの長尺紙を用紙搬送速度1000mm/sで搬送して、FD断裁機121でFD方向にスリット断裁する場合には、断裁屑搬送速度を用紙搬送速度以下として、例えば、900~1000mm/sとする。もし、用紙搬送速度が変化した場合には、これに追従して、断裁屑搬送速度も設定すればよい。
【0102】
また、断裁屑搬送速度としては、用紙搬送速度以下であれば、0mm/sに設定してもよい。つまり、搬送ベルト131を停止してもよい。但し、搬送ベルト131を停止した場合には、断裁が終了するまで、搬送ベルト131を停止して、断裁屑Wの搬送を停止し、断裁の終了後、搬送ベルト131を再駆動して、断裁屑Wの搬送を開始する。
【0103】
以上説明したように、断裁中に断裁屑Wが搬送ベルトに接触する場合があるので、本変形例では、搬送ベルト131に対する断裁屑Wの接触状態に応じて、断裁屑搬送速度を制御するようにしている。
【0104】
このように制御する本変形例によれば、搬送ベルト131に対する断裁屑Wの接触状態に応じて、断裁屑搬送速度を制御するので、断裁屑Wの搬送が断裁精度へ影響を及ぼすことを防止することができる。
【0105】
<変形例3>
上記の実施形態では、用紙条件に応じて、断裁屑搬送速度を制御したが、本変形例では、用紙条件に加えて、断裁屑Wが搬送ベルト131に接触するまでの時間間隔も考慮して、断裁屑搬送速度を制御する。
【0106】
画像形成装置2においては、画像形成処理を行う用紙間の時間間隔が長くなることがある。例えば、画像形成装置2において、用紙に両面印刷を行ったり、厚紙の用紙に印刷を行ったりする場合には、普通紙の片面印刷の場合より、用紙間の時間間隔が長くなる。また、画像形成装置2では、普通紙の用紙間においても、装置調整モードなどが実行されることにより、用紙間の時間間隔が長くなることがある。
【0107】
画像形成装置2において、用紙間の時間間隔が長くなると、用紙断裁装置3においても、断裁の用紙間の時間間隔が長くなる。例えば、画像形成装置2で用紙に両面印刷を行った場合においては、用紙断裁装置3で断裁屑Wの搬送を完了してから、次の断裁の断裁屑Wが搬送ベルト131に接触するまで、例えば、10秒空く場合がある。
【0108】
このように、画像形成装置2において、用紙間の時間間隔が長くなる場合には、例えば、予想される待ち時間を用紙断裁装置3の制御部170に通知する。この通知に基づいて、制御部170は、次の断裁の断裁屑Wが搬送ベルト131に接触するまで、断裁屑搬送速度を変更しており、例えば、8秒間、駆動を停止したり、低速で駆動したりする。
【0109】
以上説明したように、断裁屑Wが搬送ベルト131に接触するまでの時間間隔が長くなる場合があるので、本変形例では、断裁屑Wが搬送ベルト131に接触するまでの時間間隔に応じて、断裁屑搬送速度を制御するようにしている。
【0110】
このように制御する本変形例によれば、断裁屑Wが搬送ベルト131に接触するまでの時間間隔に応じて、断裁屑Wを搬送する必要がないときは、搬送ベルト131の駆動を停止又は低速とするので、消費電力を低減することができる。これは、断裁屑搬送部130の耐久性を向上させることにもなる。
【0111】
<変形例4>
上記の実施形態では、用紙条件に応じて、断裁屑搬送速度を制御しており、用紙条件として、用紙の大きさに着目したが、本変形例では、用紙条件として、以下に述べる条件も考慮して、断裁屑搬送速度を制御する。
【0112】
(1)用紙の種類
用紙条件として、用紙の種類を考慮する。用紙の種類としては、普通紙、塗工紙、特殊紙(エンボス紙、ラミネート紙)などがあるが、種類に応じて、搬送ベルト131に対する貼り付き易さが異なるので、制御部170は、これを考慮して、断裁屑搬送速度を変更する。例えば、塗工紙は、普通紙に比べて、搬送ベルト131に貼り付き易いので、断裁屑搬送速度を普通紙より速くする。用紙の種類と断裁屑搬送速度との対応関係は、例えば、記憶部181に予めLUTとして記憶しておく。
【0113】
(2)用紙の剛度
用紙条件として、用紙の剛度を考慮する。剛度は、「コシ」や「こわさ」とも呼ばれ、用紙を曲げたときの抵抗性を表す指標である。用紙の剛度は、用紙の種類、厚み、密度、紙目方向などから判断する。用紙の剛度が高い場合には、搬送ベルト131から排出する際に、勢いがついて、断裁屑Wが飛び易いので、制御部170は、用紙の剛度が高くなるに従って、断裁屑搬送速度を遅くする。用紙の剛度と断裁屑搬送速度との対応関係は、例えば、記憶部181に予めLUTとして記憶しておく。
【0114】
(3)用紙の表面の平滑度
用紙条件として、用紙の表面の平滑度を考慮する。用紙の表面の平滑度は、用紙の種類、印字パターンなどから判断する。用紙の表面の平滑度が低い場合には、断裁屑Wが搬送ベルト131上で滑り難く、搬送力が高くなるので、制御部170は、用紙の表面の平滑度が低くなるに従って、断裁屑搬送速度を遅くする。用紙の表面の平滑度と断裁屑搬送速度との対応関係は、例えば、記憶部181に予めLUTとして記憶しておく。
【0115】
(4)用紙の帯電状態
用紙条件として、用紙の帯電状態(帯電量)を考慮する。用紙の帯電状態は、用紙の種類、トナー、印字パターン、印字環境(温度、湿度)などから判断する。用紙が帯電している場合には、断裁屑Wが搬送ベルト131に貼り付き易くなるので、制御部170は、用紙の帯電が強くなる(帯電量が大きくなる)に従って、断裁屑搬送速度を速くする。用紙の帯電量と断裁屑搬送速度との対応関係は、例えば、記憶部181に予めLUTとして記憶しておく。
【0116】
(5)用紙のカール状態
用紙条件として、用紙のカール状態を考慮する。用紙のカールが大きい場合には、断裁屑Wが丸まりやすくなり、排出口3aなどにおいて、JAMが発生し易くなるので、制御部170は、用紙のカールが大きくなるに従って、断裁屑搬送速度を速くする。用紙のカールの大きさと断裁屑搬送速度との対応関係は、例えば、記憶部181に予めLUTとして記憶しておく。
【0117】
(6)用紙の含水率
用紙条件として、用紙の含水率を考慮する。用紙の含水率が高い場合には、搬送ベルト131に貼り付き易くなり、また、用紙の剛度が低くなるので、制御部170は、用紙の含水率が高くなるに従って、断裁屑搬送速度を速くする。用紙の含水率と断裁屑搬送速度との対応関係は、例えば、記憶部181に予めLUTとして記憶しておく。
【0118】
なお、上記(1)~(6)は、画像形成装置2でユーザーが入力した入力情報を用紙断裁装置3の制御部170に送信し、この入力情報を用いて、制御部170が判断してもよい。また、上記(1)~(6)を検知するセンサーを設け、当該センサーの検知結果に基づいて、制御部170が判断してもよい。
【0119】
以上説明したように、本変形例では、用紙条件として、用紙の種類、剛度、表面の平滑度、帯電状態、カール状態、含水率のいずれか1つ以上を考慮して、断裁屑搬送速度を制御するようにしている。
【0120】
このように制御する本変形例によれば、用紙条件に応じて、断裁屑搬送速度を制御するので、断裁した断裁屑を適切に搬送することができる。
【0121】
<変形例5>
上記の実施形態では、用紙条件に応じて、断裁屑搬送速度を制御したが、本変形例では、用紙条件に加えて、搬送ベルト131の表面の摩擦係数も考慮して、断裁屑搬送速度を制御する。
【0122】
上記(3)に関連して、搬送ベルト131の表面の摩擦係数も、断裁屑Wの搬送力に影響する。そのため、搬送ベルト131の表面に凹凸がない場合など、搬送ベルト131の表面の摩擦係数が低い場合には、断裁屑搬送速度を遅くする。また、搬送ベルト131の表面に凹凸がある場合など、搬送ベルト131の表面の摩擦係数が高い場合には、断裁屑搬送速度を速くする。
【0123】
この場合、判断基準となる所定の摩擦係数を用い、所定の摩擦係数に対して、搬送ベルト131の表面の摩擦係数が高いか又は低いかを判断し、この判断に基づいて、断裁屑搬送速度を変更してもよい。例えば、用紙に対するSUS(ステンレス鋼)の摩擦係数を所定の摩擦係数とし、用紙に対する搬送ベルト131の表面の摩擦係数が所定の摩擦係数より高いか又は低いか判断する。この判断に基づいて、用紙に対する搬送ベルト131の表面の摩擦係数が所定の摩擦係数より低い場合、所定の摩擦係数より高い場合より、断裁屑搬送速度を遅くすればよい。
【0124】
搬送ベルト131の表面の摩擦係数は、
図2に示す摩擦係数検知部160を用いて検知してもよいし、搬送ベルト131の種類に基づいて判断してもよい。この場合、搬送ベルト131の表面の摩擦係数が高くなるに従って、断裁屑搬送速度を速くすればよい。その場合、搬送ベルト131の表面の摩擦係数と断裁屑搬送速度との対応関係は、例えば、記憶部181に予めLUTとして記憶しておく。
【0125】
以上説明したように、本変形例では、搬送ベルト131の表面の摩擦係数も考慮して、断裁屑搬送速度を制御するようにしている。
【0126】
このように制御する本変形例によれば、搬送ベルト131の表面の摩擦係数に応じて、断裁屑搬送速度を制御するので、断裁した断裁屑Wを適切に搬送することができ、断裁屑Wの搬送不良の発生を防止することができる。
【0127】
なお、上記実施の形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0128】
1 画像形成システム
2 画像形成装置
3 用紙断裁装置
110 用紙搬送部
120 断裁部
121 FD断裁機
122、123 CD断裁機
130 断裁屑搬送部
131 搬送ベルト
132a、132b 搬送ローラー
133 駆動モーター
134 ブレード
135 ガイド板
140 屑箱
170 制御部