(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】三次元造形装置
(51)【国際特許分類】
B29C 64/245 20170101AFI20240319BHJP
B29C 64/153 20170101ALI20240319BHJP
B29C 64/321 20170101ALI20240319BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20240319BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20240319BHJP
【FI】
B29C64/245
B29C64/153
B29C64/321
B33Y10/00
B33Y30/00
(21)【出願番号】P 2020042359
(22)【出願日】2020-03-11
【審査請求日】2022-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100170818
【氏名又は名称】小松 秀輝
(74)【代理人】
【識別番号】100116920
【氏名又は名称】鈴木 光
(72)【発明者】
【氏名】林 大起
(72)【発明者】
【氏名】品川 幹
(72)【発明者】
【氏名】中山 雄一朗
【審査官】神田 和輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-059477(JP,A)
【文献】特開2014-188758(JP,A)
【文献】特表2018-507957(JP,A)
【文献】国際公開第2018/222367(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第108555299(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 10/00-12/00
B29C 64/00-64/40
B33Y 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転するテーブルの上に粉末材料を供給し、その粉末材料に対しエネルギビームを照射して三次元の造形物を造形する三次元造形装置であって、
上下方向に向けた軸線を中心に回転し、前記造形物を造形するためのテーブルと、
前記テーブルの上方に設けられ、前記テーブル上に前記粉末材料を供給する供給部と、
前記供給部と一体に設けられ、前記供給部により前記テーブル上に供給された前記粉末材料を敷き均すリコータと、
を備え
、
前記供給部は、
前記粉末材料を収容するタンクと、
前記タンクに接続され前記粉末材料を供給路に沿って前記テーブル上へ導く供給管と、を有し、
前記供給管は、
前記タンクに接続され、下方に向けて延びる本管と、
前記本管の下部に取り付けられ、前記本管に対して上下方向へ移動可能に設けられる可動部と、を有し、
前記可動部は、
前記本管の下部が挿入され、前記本管の内部空間と共に前記供給路を構成する貫通孔を含み、
前記貫通孔は、
前記テーブルに対面する位置に配置され、前記供給路を通過した前記粉末材料が排出される供給口を含み、
前記可動部が下方へ移動したときに、前記本管の下端が前記貫通孔の内面から離間することにより、前記供給路が開通して前記供給口から前記粉末材料が排出され、
前記可動部が上方へ移動したときに、前記本管の下端が前記貫通孔の内面に当接することにより、前記供給路が閉塞して前記供給口からの前記粉末材料の排出が停止される、三次元造形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元の物体を造形する三次元造形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、三次元造形装置として、例えば、特許第4639087号公報に記載されるように、テーブルに敷き均された粉末材料に対しエネルギビームを照射し、粉末材料を加熱し凝固させて、三次元の物体を造形する装置が知られている。この装置は、エネルギビームを照射すべき領域を格子状に複数の領域として分割して造形を行うことにより、造形物の内部応力の低減を図ろうとするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような三次元造形装置では、造形物を造形するにあたり、粉末材料の敷き均し、予備加熱、ビーム照射を行う必要がある。このため、限られた空間において、粉末材料の敷き均し、予備加熱、ビーム照射を行う機器を設置するには、機器や装置をできるだけシンプルに構成することが望ましい。
【0005】
そこで、シンプルに構成できる三次元造形装置の開発が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る三次元造形装置は、回転するテーブルの上に粉末材料を供給し、その粉末材料に対しエネルギビームを照射して三次元の造形物を造形する三次元造形装置であって、上下方向に向けた軸線を中心に回転し、造形物を造形するためのテーブルと、テーブルの上方に設けられ、テーブル上に粉末材料を供給する供給部と、供給部と一体に設けられ、供給部によりテーブル上に供給された粉末材料を敷き均すリコータとを備えて構成されている。この三次元造形装置によれば、テーブルの上方に供給部を設け、この供給部と一体にリコータを設けることにより、造形を行う機構をシンプルに構成することができる。また、回転するテーブル上に供給部により粉末材料を供給しリコータで敷き均すことができ、粉末材料の供給と敷き均しが効率良く行える。
【0007】
また、本開示の一態様に係る三次元造形装置において、供給部は、粉末材料を収容するタンク、およびタンクに接続され粉末材料を供給路に沿ってテーブル上へ導く供給管を有し、供給管は、粉末材料を排出するための供給口を形成し、上下方向へ移動可能とされ、下方への移動により供給路を開通させて供給口から粉末材料を排出させ、上方への移動により供給路を閉塞させて供給口からの粉末材料の排出を停止する可動部を有していてもよい。この場合、可動部を上方へ移動させることにより、テーブル上から造形物の取り出しが容易に行える。また、可動部を上方へ移動させることにより、供給路を閉塞させて供給口からの粉末材料の排出を停止させることができる。つまり、可動部を上下方向へ移動可能とすることにより、造形物の取り出しを容易とし、粉末材料の排出の停止が可能となる。このため、可動部を移動させる一つの機構により、造形物の取り出しを容易とし、粉末材料の排出の停止が可能となる。従って、三次元造形装置をシンプルに構成することができる。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、シンプルに構成できる三次元造形装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の実施形態に係る三次元造形装置の構成概要図である。
【
図2】
図1の三次元造形装置の供給部、リコータ、加熱部及びビーム源の説明図である。
【
図3】
図1の三次元造形装置の供給部及びリコータの説明図である。
【
図4】
図1の三次元造形装置の供給部及びリコータの説明図である。
【
図5】実施形態に係る三次元造形装置の変形例を示す図である。
【
図6】実施形態に係る三次元造形装置の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明において同一要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0011】
図1は、本開示の実施形態に係る三次元造形装置の構成概要図である。三次元造形装置1は、粉末材料Aから三次元の造形物Oを製造するいわゆる3Dプリンタである。例えば、三次元造形装置1は、粉末材料Aにエネルギビームを照射して粉末材料Aを溶融又は焼結させて三次元の造形物Oを造形する。本実施形態の三次元造形装置1は、敷き均した粉末材料Aに対し電子ビームを照射して造形を行うパウダーベッド方式に適用したものである。粉末材料Aは、金属の粉末であり、例えばチタン系金属粉末、インコネル粉末、アルミニウム粉末等である。また、粉末材料Aは、金属粉末に限定されず、例えば樹脂粉末、CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics)などの炭素繊維と樹脂とを含む粉末であってもよい。また、粉末材料Aは、導電性を有するその他の粉末でもよい。なお、本開示における粉末材料は、導電性を有するものには限定されない。例えばエネルギビームとしてレーザを用いる場合には、粉末材料は導電性を有しなくてもよい。
【0012】
三次元造形装置1は、駆動部3、制御部4、供給部5、リコータ6、加熱部7、ビーム源8およびハウジング9を備えている。駆動部3は、造形に要する種々の動作を実現する。例えば、駆動部3は、テーブル13を回転及び昇降させる。テーブル13は、上下方向に向けた軸線を中心に回転し、造形物Oを造形するための台部材として機能する。例えば、テーブル13は、鉛直方向に向けた軸線を中心に回転するように構成される。駆動部3は、回転ユニット31および昇降ユニット32を有する。回転ユニット31は、上下方向の回転軸線を中心にテーブル13を回転させる回転駆動部として機能する。例えば、回転ユニット31の上端はテーブル13に連結され、回転ユニット31の下端には駆動源(例えばモータ)が取り付けられている。昇降ユニット32は、テーブル13を造形タンク14に対して相対的に昇降させる直線駆動部として機能する。この昇降は、回転ユニット31の回転軸線に沿っている。なお、駆動部3は、テーブル13を回転及び昇降させることができる機構であればよく、上述した機構に限定されない。
【0013】
ハウジング9は、複数のコラム91によって支持されている。ハウジング9は、造形空間Sを形成するチャンバとして機能する。造形空間Sは、粉末材料Aを収容し、造形物Oを造形するための減圧可能な気密空間である。
【0014】
造形空間Sには、テーブル13と造形タンク14とが配置されている。テーブル13は、例えば円板状のものが用いられ、造形面13aに造形物Oの原料である粉末材料Aが配置される。造形面13aは、テーブル13の主面又は上面である。テーブル13は、その中心軸線がハウジング9の中心軸線と重複するように配置されている。テーブル13には、駆動部3が接続されている。従って、テーブル13は、駆動部3によって、回転及び回転軸線に沿った直線移動を行う。
【0015】
図2は、造形処理に用いられる主要な部品を示した概要図である。テーブル13の上方には、供給部5、リコータ6、加熱部7及びビーム源8が配置されている。すなわち、テーブル13の上方において、供給部5、リコータ6、加熱部7及びビーム源8がテーブル13の周方向に沿って順次配置されている。言い換えれば、供給部5、リコータ6、加熱部7及びビーム源8は、テーブル13の上方においてテーブル13の回転方向に沿って設けられている。
【0016】
供給部5は、テーブル13上に粉末材料Aを供給するための構成部品である。リコータ6は、供給部5によりテーブル13上に供給された粉末材料Aを敷き均す構成部品である。供給部5及びリコータ6は、一体に設けられ、テーブル13の上方に設けられている。供給部5及びリコータ6の構成の詳細については、後述する。加熱部7は、敷き均された粉末材料Aを予備加熱する機器であり、例えばヒータが用いられる。加熱部7は、ビーム照射される前に粉末材料Aの予備加熱を行う。加熱部7は、テーブル13の上方に配置され、放射熱によって粉末材料Aの温度を上昇させる。加熱部7として、他の方式により加熱するものであってもよく、例えば赤外線ヒータを用いてもよい。
【0017】
このように、造形処理を行う供給部5、リコータ6、加熱部7及びビーム源8をテーブル13の回転方向に沿って配置し、テーブル13を回転させて造形を行うことにより、テーブル13上への粉末材料Aの供給、粉末材料Aの予備加熱およびビーム照射による造形の各処理を並行して行うことができる。つまり、供給部5及びリコータ6の位置で粉末材料Aの供給が行われ、加熱部7の位置で粉末材料Aの予備加熱が行われ、ビーム源8の位置でビーム照射が行われて、造形物Oが造形される。このため、粉末材料Aの供給、粉末材料Aの予備加熱及びビーム照射を順次行う場合と比べて、造形物Oの造形を効率良く行え、造形物Oを短時間で造形することができる。特に、大型の造形物Oを造形する場合に有効である。
【0018】
図1において、制御部4は、三次元造形装置1の装置全体の制御を行う電子制御ユニットであり、例えばCPU、ROM、RAMを含むコンピュータを含んで構成される。制御部4は、テーブル13の昇降制御および回転制御、供給部5及びリコータ6の作動制御、加熱部7の作動制御、ビーム源8の作動制御などを行う。また、制御部4は、造形物Oの水平断面のスライスデータを取得する。例えば、制御部4は、造形物Oの回転軸線Cを中心とした螺旋状のスライスデータを取得し、スライスデータに対する電子ビームの照射位置を設定する。
【0019】
制御部4は、回転ユニット31と電気的に接続され、回転ユニット31に対し制御信号を出力し、回転ユニット31の動作を通じてテーブル13の回転制御を行う。例えば、制御部4は、回転ユニット31を作動させて、回転軸線Cを中心にテーブル13を回転させる。回転軸線Cは、上下方向に向けて設定され、例えば鉛直方向に向けて設定される。また、回転軸線Cは、テーブル13を貫通する位置に設定される。これにより、回転ユニット31の作動により、テーブル13は回転軸線Cを中心に自転する。
【0020】
具体的に説明すると、制御部4は、反時計方向に一定の回転速度をもってテーブル13を回転させる。この回転速度は、例えば予備加熱及び造形における粉末材料Aなどの温度上昇速度に応じて決定すればよい。つまり、予備加熱前の粉末材料Aの温度を予備加熱後に所定の温度まで上昇させるために要するエネルギ量を取得し、そのエネルギ量を粉末材料Aに与えるために要する所要時間を決定する。そして、その所要時間および予熱領域71を通過する際に通過する軌跡の長さに応じて、テーブル13の回転速度が決定される。
【0021】
制御部4は、昇降ユニット32と電気的に接続され、昇降ユニット32に対し制御信号を出力し、昇降ユニット32の動作を通じてテーブル13の昇降制御を行う。例えば、制御部4は、昇降ユニット32を作動させて、テーブル13を昇降させる。具体的には、制御部4は、造形の初期においてテーブル13を造形タンク14の上部の位置に配置させ、造形物Oの造形が進むに連れてテーブル13を降下させる。テーブル13の降下速度は、例えばテーブル13の回転速度に応じて決定される。
【0022】
制御部4は、加熱部7と電気的に接続され、加熱部7に対し制御信号を出力し、粉末材料Aの予熱制御を行う。例えば、制御部4は、加熱部7を作動させて、テーブル13上の粉末材料Aを加熱させ、粉末材料Aの予備加熱を実行させる。粉末材料Aの加熱量は、粉末材料Aの材質や種類、テーブル13の回転速度などに応じて設定すればよい。
【0023】
制御部4は、ビーム源8と電気的に接続され、ビーム源8に対し制御信号を出力し、ビームの出射制御を行う。例えば、制御部4は、ビーム源8を作動させて、電子ビームを出射させ、粉末材料Aの所定の位置に電子ビームを照射させる。電子ビームを照射させる位置は造形物Oを造形すべき領域であり、予め設定される照射位置に従って電子ビームが照射される。
【0024】
図3及び
図4は、三次元造形装置1の供給部5及びリコータ6の構成概要を示している。
図3は粉末材料Aの供給時を示しており、
図4は粉末材料Aの供給停止時を示している。
図3に示すように、供給部5は、支持体92に支持されてテーブル13上に設けられている。支持体92は、ハウジング9の内部に水平に向けて設けられる部材である。
図3では、テーブル13が図示されておらず、テーブル13上に造形された造形物Oが示されている。供給部5は、タンク51及び供給管52を備えている。タンク51は、粉末材料Aを収容する容器である。タンク51には供給管52が接続されている。供給管52は、タンク51内の粉末材料Aを供給路52cに沿ってテーブル13上へ導く管体である。
【0025】
供給管52は、本管52a及び可動部52bを有している。本管52aは、タンク51と接続される管体であり、下方に向けて設けられている。可動部52bは、本管52aの下部に取り付けられ、上下方向へ移動可能に設けられている。可動部52bには、粉末材料Aを排出するための供給口52dが形成されている。本管52a及び可動部52bの内部には、粉末材料Aを流通させる供給路52cが形成されている。
【0026】
可動部52bは、例えば本管52aを下方へ延長するように本管52aの下部に取り付けられている。例えば、可動部52bに形成される供給路52cは、斜め下方へ曲折して形成される。つまり、曲折した供給路52cの先端側の内面は斜めに形成される。このため、
図4に示すように、可動部52bが上方へ移動すると、本管52aの下端が可動部52b内の供給路52cの内面に当接して供給路52cが閉塞する。このとき、本管52aは、支持体92に取り付けられており、上方へは移動しない。本管52aの下端は、例えば、供給路52cと同じ方向へ斜めに切断された形状とされる。これにより、可動部52bにおいて、供給路52c内の粉末材料Aを下方へ流しつつ、本管52aの下端の当接により供給路52cを確実に閉塞することができる。なお、可動部52bの上方への移動により供給路52cを閉塞させる機構は、可動部52bの上方への移動により供給路52cの閉塞が可能であれば、本管52aの下端を供給路52cの内面に当接させる機構以外の機構であってもよい。
【0027】
一方、
図4の状態において可動部52bが下方へ移動すると、
図3に示すように、本管52aの下端が可動部52bの供給路52cの内面から離間する。これにより、供給路52cが開通し、供給路52c内を粉末材料Aが流下して供給口52dから粉末材料Aが排出される。
【0028】
図3に示すように、テーブル13上に供給された粉末材料A(テーブル13上に造形された造形物O上に供給された粉末材料Aを含む)は、リコータ6により敷き均される。リコータ6は、供給部5と一体に設けられている。例えば、リコータ6は、供給部5の可動部52bと一体に設けられ、可動部52bの上下方向の移動と共に移動する。リコータ6は、均し板61及び支持体62を有している。均し板61は、粉末材料Aを敷き均すための板部材である。均し板61の下端は、テーブル13の造形面13aと平行となるように形成されている。また、均し板61の下端は、供給口52dより下方の位置に設けられている。この均し板61は、支持体62を介して取り付けられている。支持体62は、均し板61を支持するための部材である。可動部52bは、支持体62に取り付けられている。
【0029】
支持体62は、昇降体53に取り付けられ、昇降機構54の作動により、上下方向へ移動する。昇降機構54は、昇降体53を昇降させるアクチュエータを有しており、制御部4の制御信号により作動する。昇降機構54は、例えば支持体92に取り付けられている。昇降機構54の作動により、昇降体53が上方へ移動すると、リコータ6及び可動部52bが上方へ移動する。一方、昇降機構54の作動により、昇降体53が下方へ移動すると、リコータ6及び可動部52bが下方へ移動する。
【0030】
次に、本実施形態に係る三次元造形装置1の動作について説明する。
【0031】
まず、
図1において、テーブル13が上方へ移動させられ造形タンク14の上部の位置に配置される。すなわち、制御部4から昇降ユニット32に制御信号が出力され、昇降ユニット32の作動によりテーブル13が上方へ移動し造形タンク14の上部の位置に配置される。
【0032】
そして、
図2において、回転軸線Cを中心にテーブル13が回転させられる。すなわち、制御部4から回転ユニット31に制御信号が出力され、回転ユニット31の作動によりテーブル13が回転軸線Cを中心に回転する。
【0033】
そして、
図3に示すように、供給部5によりテーブル13上に粉末材料Aが供給される。すなわち、制御部4から昇降機構54に制御信号が出力されて可動部52bが下方へ移動され、供給口52dから粉末材料Aが排出され、テーブル13上に粉末材料Aが供給される。そして、テーブル13上の粉末材料Aは、リコータ6により敷き均される。すなわち、粉末材料Aは、所定の厚さでテーブル13上に塗布される。
【0034】
このとき、供給部5とリコータ6が一体に形成されることにより、供給部5及びリコータ6がシンプルに構成される。供給部5の供給口52dと均し板61の間の距離が一定であるため、敷き均しの調整が容易となる。また、供給部5とリコータ6が一体に形成されることにより、供給部5及びリコータ6がコンパクトに構成され、テーブル13上に収まるように設置することができる。
【0035】
次いで、
図2に示すように、加熱部7により粉末材料Aの予備加熱が行われる。すなわち、制御部4から加熱部7に制御信号が出力されて加熱部7が作動し、テーブル13の回転によって加熱部7の下方に移動してくる粉末材料Aが加熱される。
【0036】
そして、ビーム源8により粉末材料Aに電子ビームが照射され、造形物Oの造形が行われる。すなわち、制御部4からビーム源8に制御信号が出力されビーム源8が作動し、テーブル13の回転によってビーム源8の下方の粉末材料Aに対し電子ビームが照射される。これにより、粉末材料Aが溶融又は焼結し、造形物Oが造形されていく。
【0037】
また、テーブル13は、造形物Oの造形が進むに連れて降下される。すなわち、制御部4から昇降ユニット32に制御信号が出力され、昇降ユニット32の作動によりテーブル13が回転軸線Cに沿って降下する。このテーブル13の降下は、テーブル13の回転と同期させてもよいが、完全には同期させなくてもよい。
【0038】
そして、造形物Oが徐々に積層されて形成され、所望の造形物Oが造形されると、粉末材料Aの供給が停止される。すなわち、制御部4から昇降機構54に制御信号が出力され、
図4に示すように、昇降体53を介してリコータ6及び可動部52bが上方へ移動される。可動部52bの上方の移動により、可動部52b内の供給路52cの内面が本管52aの下端と当接する。これにより、供給路52cが閉塞し、粉末材料Aの供給が停止される。
【0039】
このとき、可動部52bと共にリコータ6が上方へ移動するため、供給部5及びリコータ6とテーブル13上の造形物Oとの間に大きな空間が形成される。このため、造形タンク14、テーブル13及び造形物Oを上方へ持ち上げて、昇降ユニット32と切り離すことで、造形物Oを容易に取り出すことができる。
【0040】
このように、可動部52bと共にリコータ6を上下方向に移動可能とすることにより、造形物Oの取り出しを容易とし、粉末材料Aの排出の停止が可能となる。このため、可動部52bを移動させる一つの昇降機構54により、造形物Oの取り出しを容易とし、粉末材料Aの排出の停止が可能となる。従って、供給部5及びリコータ6を上下方向へ移動させる機構と供給路52cを閉塞させる機構を個別に設ける必要がない。これにより、三次元造形装置1をシンプルに構成することができる。また、三次元造形装置1をコンパクトに構成でき、小型化を図ることができる。また、三次元造形装置1の低コスト化を図ることができる。
【0041】
以上説明したように、本実施形態に係る三次元造形装置1によれば、テーブル13の上方に供給部5を設け、この供給部5と一体にリコータ6を設けることにより、造形物Oの造形を行う機器をシンプルに構成することができる。また、回転するテーブル13上に供給部5により粉末材料Aを供給しリコータ6で敷き均すことができ、粉末材料Aの供給と敷き均しが効率良く行える。
【0042】
また、本実施形態に係る三次元造形装置1によれば、可動部52bを上方へ移動させることにより、供給部5と造形物Oとの間に大きな空間を形成することができる。このため、造形物Oの取り出しが容易に行える。また、可動部52bを上方へ移動させることにより、供給路52cを閉塞させて供給口52dからの粉末材料Aの排出を停止させることができる。つまり、可動部52bを上下方向へ移動可能とすることにより、造形物Oの取り出しを容易とし、粉末材料Aの排出の停止が可能となる。このため、可動部52bを移動させる一つの機構により、造形物Oの取り出しを容易とし、粉末材料Aの排出の停止が可能となる。従って、三次元造形装置1をシンプルに構成でき、小型化が図れる。また、三次元造形装置1の製造コストを低減できる。
【0043】
以上のように本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。本発明は、特許請求の範囲の記載の要旨を逸脱しない範囲で様々な変形態様を取ることができる。
【0044】
例えば、上述した実施形態では、供給部5、リコータ6、加熱部7及びビーム源8をそれぞれ一つずつ備えた三次元造形装置1について説明したが、供給部5、リコータ6、加熱部7及びビーム源8をそれぞれ複数備えていてもよい。例えば、
図5に示すように、供給部5、リコータ6、加熱部7及びビーム源8をそれぞれ二つずつ備えていてもよい。すなわち、テーブル13の周方向に供給部5、リコータ6、加熱部7及びビーム源8を二セット備えていてもよい。この場合、
図6に示すように、可動部52b及びリコータ6を上下移動させる支持体62を共用してもよい。つまり、各セットで一つの支持体62により可動部52b及びリコータ6を上下移動させてもよい。これにより、三次元造形装置1の部品点数が低減し、三次元造形装置1の小型化、低コスト化が図れる。また、供給部5、リコータ6、加熱部7及びビーム源8をそれぞれ三つ以上備えて構成されていてもよい。
【0045】
また、上述した実施形態では、
図4に示すように、可動部52bを上方へ移動させると、供給路52cが閉塞するものであるが、供給路52cが閉塞した状態で更に可動部52bを上方へ移動可能としてもよい。例えば、本管52aをテレスコピック方式などにより伸縮可能に構成し、供給路52cが閉塞した状態で更に可動部52bを上方へ移動できるようにすればよい。この場合、可動部52bを短い距離の移動で供給路52cを閉塞することができる。また、供給部5及びリコータ6とテーブル13上の造形物Oとの間の空間を大きく形成することができ、造形物Oを取り出すことがより容易となる。
【0046】
また、上述した実施形態では、エネルギビームとして電子ビームを用いて造形物Oを造形する場合について説明したが、電子ビーム以外のエネルギビームを用いて造形を行うものであってもよい。例えば、イオンビーム、レーザビーム、紫外線などを照射して造形物Oを造形するものであってもよい。また、パウダーベッド方式以外の方式で造形物Oを造形するものであってもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 三次元造形装置
3 駆動部
4 制御部
5 供給部
6 リコータ
7 加熱部
8 ビーム源
9 ハウジング
13 テーブル
13a 造形面
14 造形タンク
31 回転ユニット
32 昇降ユニット
51 タンク
52 供給管
52a 本管
52b 可動部
52c 供給路
52d 供給口
53 昇降体
54 昇降機構
61 均し板
62 支持体
92 支持体
A 粉末材料
C 回転軸線
O 造形物
S 造形空間