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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】ワイヤーハーネス
(51)【国際特許分類】
   H01B 7/00 20060101AFI20240319BHJP
   H01B 7/18 20060101ALI20240319BHJP
   H02G 3/04 20060101ALI20240319BHJP
   H02G 3/30 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
H01B7/00 301
H01B7/00
H01B7/18 H
H02G3/04
H02G3/30
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020067802
(22)【出願日】2020-04-03
(65)【公開番号】P2021077615
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-09-30
(31)【優先権主張番号】P 2019204757
(32)【優先日】2019-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002158
【氏名又は名称】弁理士法人上野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今里 文敏
(72)【発明者】
【氏名】前嶋 悠佑
(72)【発明者】
【氏名】大塚 保之
(72)【発明者】
【氏名】古川 豊貴
(72)【発明者】
【氏名】佐橋 響真
【審査官】井上 弘亘
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0034381(US,A1)
【文献】国際公開第2018/088419(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0190661(US,A1)
【文献】国際公開第2019/093309(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 7/00
H01B 7/18
H02G 3/04
H02G 3/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の電線と、第二の電線と、を軸線方向に交差する方向に並べて有し、
前記第一の電線および前記第二の電線はそれぞれ、複数の素線を含む電線導体を有し、
前記第二の電線は、前記第一の電線よりも、導体断面積が大きく、
前記電線導体を構成する前記素線の外径が、前記第二の電線において、前記第一の電線よりも大きく、
前記電線導体を構成する前記素線の本数が、前記第二の電線において、前記第一の電線以下となっており、
前記第一の電線および前記第二の電線の電線導体は、軸線方向に直交する断面が扁平形状となった扁平部を備え、
前記第一の電線および第二の電線は、前記扁平形状の幅方向に沿って並べられており、
前記扁平部の前記断面において、前記扁平形状の幅方向の寸法をWとし、該幅方向に直交する高さ方向の寸法をTとして、
扁平比W/Tが、前記第一の電線と前記第二の電線で、同じになっている、ワイヤーハーネス。
【請求項2】
前記電線導体を構成する素線の本数が、前記第一の電線と前記第二の電線で同じである、請求項1に記載のワイヤーハーネス。
【請求項3】
前記ワイヤーハーネスは、3本以上の電線を、軸線方向に交差する方向に並べて有し、
前記3本以上の電線はそれぞれ、複数の素線を含む電線導体を有し、
前記電線導体を構成する前記素線の本数が、前記3本以上の電線の全てにおいて同じになっている、請求項1または請求項2に記載のワイヤーハーネス。
【請求項4】
前記第一の電線および前記第二の電線の前記電線導体において、前記扁平比W/Tが、2以上、5以下である、請求項から請求項のいずれか1項に記載のワイヤーハーネス。
【請求項5】
前記第一の電線および前記第二の電線は、共通の支持部材に対して固定されている、請求項1から請求項のいずれか1項に記載のワイヤーハーネス。
【請求項6】
前記支持部材は、シート体である、請求項に記載のワイヤーハーネス。
【請求項7】
前記第一の電線および前記第二の電線の前記シート体への固定は、融着によって行われている、請求項に記載のワイヤーハーネス。
【請求項8】
前記支持部材は、絶縁性材料の連続体として構成され、前記第一の電線および前記第二の電線の前記電線導体を、相互に絶縁して被覆する一括被覆材である、請求項に記載のワイヤーハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ワイヤーハーネスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車等に電線を配策する際に、複数の電線を横に並べて、共通のシート体等に固定した、ワイヤーハーネスの形態とされる場合がある。例えば、特許文献1に、断面略長方形状の扁平撚線導体と、該扁平撚線導体を被覆する絶縁被覆部とで構成された扁平電線が、長手方向の少なくとも一部において、断面の長辺方向に配置されたワイヤーハーネスが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-224565号公報
【文献】国際公開第2019/093309号
【文献】国際公開第2019/093310号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数の電線を横に並べてワイヤーハーネスを構成する場合に、各電線において、自重が印加された際のたわみ量が、電線間で相違していると、ワイヤーハーネスを配策する際に、横に並べた電線の一部のみが大きくたわんで垂下する等の事態が起こり、ワイヤーハーネスの取り扱い性が低くなる可能性がある。特に、ワイヤーハーネスが、導体断面積の異なる電線を含んでいる場合に、それらの電線の間で、自重によるたわみ量に差が生じやすい。導体断面積の大きい電線は、単位長さあたりの質量が大きいため、大きな自重が印加されることになり、電線導体を構成する素線として同じものを用いていれば、図3に示すように、導体断面積が大きい電線2”のたわみ量D2の方が、導体断面積が小さい電線2’のたわみ量D1よりも大きくなるからである。
【0005】
そこで、導体断面積が異なる複数の電線を並べてワイヤーハーネスを構成する場合に、電線間で、自重によるたわみ量の差が小さくなったワイヤーハーネスを提供することを、課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のワイヤーハーネスは、第一の電線と、第二の電線と、を軸線方向に交差する方向に並べて有し、前記第一の電線および前記第二の電線はそれぞれ、複数の素線を含む電線導体を有し、前記第二の電線は、前記第一の電線よりも、導体断面積が大きく、前記電線導体を構成する前記素線の外径が、前記第二の電線において、前記第一の電線よりも大きく、前記電線導体を構成する前記素線の本数が、前記第二の電線において、前記第一の電線以下となっている。
【発明の効果】
【0007】
本開示にかかるワイヤーハーネスによれば、導体断面積が異なる複数の電線を並べてワイヤーハーネスを構成する場合に、電線間で、自重によるたわみ量の差が小さくなる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1Aは、本開示の一実施形態にかかるワイヤーハーネスを示す断面図である。図1Bは、変形形態にかかるワイヤーハーネスを示す断面図である。
図2図2Aおよび図2Bは、上記図1A,1Bのワイヤーハーネスを構成する電線の電線導体を示す図である。図2Aは斜視図、図2Bは断面図である。
図3図3は、導体断面積が小さい電線(上)と、大きい電線(下)について、自重によるたわみ量の差を説明する図である。点線は、たわみがない場合を示している。
図4図4Aは、図1Aのワイヤーハーネスと、絶縁被覆の被覆状態が異なる変形例を示す断面図である。図4Bは、図1Bのワイヤーハーネスと、一括被覆材の被覆状態が異なる変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態を列記して説明する。
【0010】
本開示にかかるワイヤーハーネスは、第一の電線と、第二の電線と、を軸線方向に交差する方向に並べて有し、前記第一の電線および前記第二の電線はそれぞれ、複数の素線を含む電線導体を有し、前記第二の電線は、前記第一の電線よりも、導体断面積が大きく、前記電線導体を構成する前記素線の外径が、前記第二の電線において、前記第一の電線よりも大きく、前記電線導体を構成する前記素線の本数が、前記第二の電線において、前記第一の電線以下となっている。
【0011】
電線においては、導体断面積が大きいほど、単位長さあたりの質量が大きくなり、電線に大きな自重が印加されることになる。よって、外径が同じ素線を用いて、導体断面積を変化させる場合には、導体断面積が大きくなるほど、自重によるたわみ量が大きくなる。しかし、上記のワイヤーハーネスにおいては、第一の電線よりも導体断面積が大きい第二の電線の方が、電線導体を構成する素線の外径が大きくなっている。径の大きい素線を用いて電線導体を構成するほど、電線に同じ自重が印加されても、たわみを起こしにくくなるので、第二の電線の方が、第一の電線よりも大きな自重を印加されるものの、その自重によるたわみ量が小さく抑えられることになる。その結果、第二の電線において、自重によるたわみ量を、第一の電線に対して著しく大きくならないように、抑えることができる。このように、ワイヤーハーネスにおいて、相互に並べられた電線間で、自重によるたわみ量の差が小さく抑えられることで、配策時等におけるワイヤーハーネスの取り扱い性が高くなる。
【0012】
ここで、前記電線導体を構成する素線の本数が、前記第一の電線と前記第二の電線で同じであるとよい。すると、第一の電線と第二の電線で、自重によるたわみ量の差をさらに小さく抑えやすくなる。電線導体を構成する素線の本数を揃えることは、たわみ量を電線間で同程度とするための、簡便な指標となる。
【0013】
前記ワイヤーハーネスは、3本以上の電線を、軸線方向に交差する方向に並べて有し、前記3本以上の電線はそれぞれ、複数の素線を含む電線導体を有し、前記電線導体を構成する前記素線の本数が、前記3本以上の電線の全てにおいて同じになっているとよい。すると、ワイヤーハーネスを構成する多数の電線の間で、自重によるたわみ量を、同程度に揃えやすくなる。その結果、配策時等に、ワイヤーハーネスの取り扱い性を、特に高めやすくなる。
【0014】
前記第一の電線および前記第二の電線の電線導体は、軸線方向に直交する断面が扁平形状となった扁平部を備え、前記第一の電線および第二の電線は、前記扁平形状の幅方向に沿って並べられているとよい。電線導体に扁平部が形成された電線を幅方向に並べてワイヤーハーネスを構成することで、ワイヤーハーネス全体の高さ方向の寸法を小さく抑え、高さの限られた空間への配策等に、好適に利用することができる。扁平部を有する電線を幅方向に複数並べることで、ワイヤーハーネス全体としての幅が大きくなりやすく、電線間に大きなたわみ量の差が存在するとすれば、ワイヤーハーネスの取り扱いが煩雑になりやすいが、導体断面積の異なる第一の電線と第二の電線で、電線導体を構成する素線の径および本数の関係を上記のように設定し、たわみ量の差を小さく抑えておくことで、ワイヤーハーネスの省スペース性と取り扱い性を両立することができる。
【0015】
この場合に、前記扁平部の前記断面において、前記扁平形状の幅方向の寸法をWとし、該幅方向に直交する高さ方向の寸法をTとして、扁平比W/Tが、前記第一の電線と前記第二の電線で、同じになっているとよい。すると、第一の電線と第二の電線で、自重によるたわみ量の差を、特に小さく抑えやすくなる。
【0016】
あるいは、前記扁平部の前記断面において、前記扁平形状の幅方向の寸法をWとし、該幅方向に直交する高さ方向の寸法をTとして、扁平比W/Tが、前記第二の電線において、前記第一の電線よりも大きくなっているとよい。導体断面積の大きい第二の電線において、扁平比W/Tが大きくなっており、電線の断面形状が横長になっていることにより、第一の電線と第二の電線で、たわみ量の差を小さく抑えながら、高さ方向の寸法の差を小さく抑えることができる。
【0017】
前記第一の電線および前記第二の電線の前記電線導体において、前記扁平部の前記断面において、前記扁平形状の幅方向の寸法をWとし、該幅方向に直交する高さ方向の寸法をTとして、扁平比W/Tが、2以上、5以下であるとよい。すると、ワイヤーハーネスにおいて、高さ方向に、高い省スペース性が得られる。同時に、ワイヤーハーネスの幅が過度に大きくなることや、電線導体扁平化によって過剰な負荷が印加されることを、避けやすくなる。
【0018】
前記第一の電線および前記第二の電線は、共通の支持部材に対して固定されているとよい。すると、支持部材の存在により、ワイヤーハーネスの取り扱い性が高くなる。特に、支持部材が、剛性付与部材として構成されている場合には、第一の電線と第二の電線の間で、自重によるたわみ量の差が小さく抑えられていることの効果に加え、支持部材によって電線に剛性が付与されることの効果により、ワイヤーハーネスの取り扱い性が、とりわけ高くなる。
【0019】
この場合に、前記支持部材は、シート体であるとよい。すると、シート体の一面に、第一の電線および第二の電線を並べて、扁平面において固定することで、ワイヤーハーネスに、支持部材を簡便に設けることができる。また、シート体は、剛性を簡便に調整することができ、剛性付与部材としても機能させやすい。
【0020】
この際、前記第一の電線および前記第二の電線の前記シート体への固定は、融着によって行われているとよい。すると、第一の電線および第二の電線のシート体への固定を、簡便に、また強固に行うことができる。
【0021】
あるいは、前記支持部材は、絶縁性材料の連続体として構成され、前記第一の電線および前記第二の電線の前記電線導体を、相互に絶縁して被覆する一括被覆材であるとよい。すると、第一の電線と第二の電線のそれぞれに絶縁被覆を設ける必要がないうえ、絶縁被覆に支持部材を兼ねさせることができるので、支持部材を備えたワイヤーハーネスを、簡素な構成で、また省スペース性を高めて、形成することができる。そのようなワイヤーハーネスは、複数の電線導体を並べて、絶縁性材料を押し出し成形することで、製造することができる。
【0022】
[本開示の実施形態の詳細]
以下に、本開示の一実施形態にかかるワイヤーハーネスについて、図面を用いて詳細に説明する。本明細書において、ワイヤーハーネスの各部の形状に関して、平行、垂直等、線や面の関係を示す概念には、概ね±15°程度の角度のずれや、角部が面取りされたR形状等、幾何的な概念からの誤差を含むものとする。また、素線径等、各部の寸法や導体断面積の値、またそれらの値の間の比率に関して、「同じ」との概念、さらに、電線導体の断面等の形状に関して、「相似」との概念には、それぞれ、15%程度の誤差を含むものとする。
【0023】
(ワイヤーハーネスの概略)
図1Aに、本開示の一実施形態にかかるワイヤーハーネス1の断面構造を示す。ワイヤーハーネス1は、複数、つまり少なくとも2本の電線2(2A~2C)を含んでいる。各電線2の構成については、後に詳しく説明するが、各電線2は、複数の素線3aを含む電線導体3(3A~3C)と、電線導体3の外周を被覆する絶縁被覆4とを有している。
【0024】
ワイヤーハーネス1において、複数の電線2は、軸線方向に交差する方向の1つである横方向(x方向)に、相互に並べて配置されている。図示した形態のように、各電線2が、軸線方向に直交する断面が扁平形状となった扁平部を有している場合には、その扁平形状の幅方向(x方向)に沿って、複数の電線2が並べられていることが好ましい。なお、図示した形態では、電線2が、横方向(x方向)に沿って一段のみ並べられているが、横方向に並べられた電線2の群が、縦方向(y方向)に複数積層されていてもよい。横方向に並べられた複数の電線2は、相互に離間していても、絶縁被覆4の外周面において、相互に接触していてもよいが、接触している場合でも、それらの電線2は、次に説明するシート体5を介した固定構造以外によって、相互に固定されておらず、それぞれの自重によって、たわみ変形可能となっている。
【0025】
ワイヤーハーネス1を構成する各電線2は、図示するように、軸線方向に沿って少なくとも一部の部位において共通の支持部材に固定されていることが好ましい。そのような支持部材として、本実施形態にかかるワイヤーハーネス1は、シート体5を備えている。各電線2の軸線方向に直交する断面が扁平形状となっている場合には、扁平形状の幅方向(x方向)に沿った面で、各電線2がシート体5に固定されているとよい。シート体5の材質や厚さは、特に限定されるものではなく、例えば、ワイヤーハーネス1の取り扱い性を高める観点から、各電線2よりも高い剛性を有する剛性付与部材を、シート体5として、あるいはシート体5の一部を構成する材料として用いることができる。シート体5への電線2の固定の形態は、特に限定されるものではなく、接着、融着、拘束等を例示することができるが、固定の簡便性および固定強度等の観点から、融着によって固定されていることが好ましい。例えば、シート体5の表面および電線2の絶縁被覆4の表面の少なくとも一方に、熱可塑性樹脂の層を配置しておき、シート体5と電線2を接触させた状態で加熱することにより、融着を行うことができる。
【0026】
支持部材は、複数の電線2を共通に固定することができる連続体であれば、上記のシート体5に限られず、例えば、図1Bに示す変形形態にかかるワイヤーハーネス1’のように、支持部材として、一括被覆材6を有する形態を例示することができる。この形態においては、横方向に相互に間隔を空けて並べられた電線導体3(3A~3C)が、共通の一括被覆材6によって被覆されている。一括被覆材6は、絶縁性材料の連続体として構成されており、電線導体3の集合体の外周に加えて、各電線導体3の間の領域にも配置され、各電線導体3を、外部に対して、また相互間にも絶縁するものとなる。各電線導体3は、縦方向(y方向)中央の位置が揃っており、一括被覆材6の上面および下面は、平坦な面として構成されている。
【0027】
この形態において、一括被覆材6は、絶縁被覆としての役割に加え、各電線導体3を支持する支持部材としての役割を果たす。本変形形態にかかるワイヤーハーネス1’においては、各電線導体3を個別に被覆する絶縁被覆4を設ける必要がなく、また、シート体5のような独立した支持部材を設ける必要がない。よって、ワイヤーハーネス1’の全体構成が簡素になり、製造コストも抑制することができる。また、各電線導体3を個別に絶縁被覆4で被覆する必要がないことから、隣接する電線導体3の間の距離を、個別の絶縁被覆4を設ける場合と比較して、小さくすることができる。一括被覆材6は、所定の間隔で電線導体3を並べた状態で、樹脂等よりなる絶縁性材料を押し出し成形することで、形成できる。なお、本変形形態にかかるワイヤーハーネス1’は、全体が一体に構成されており、明確に複数の電線2を含むものではないが、便宜的に、各電線導体3(3A~3C)と、その外周を囲む一括被覆材6の部分を、それぞれ電線2(2A~2C)とみなす。
【0028】
(電線の構成)
ここで、ワイヤーハーネス1(または1’;以下においても同様)を構成する各電線2の構成について説明する。電線2は、複数の素線3aを含んだ電線導体3を備えるものであれば、具体的な構造を限定されるものではないが、電線導体3は、複数の素線3aが相互に撚り合わせられた撚線導体として構成されていることが好ましい。電線導体3の断面形状も特に限定されるものではなく、従来一般の断面略円形の電線導体等、任意の電線導体を適用することができるが、軸線方向に直交する断面が扁平形状となった扁平部を有する電線導体3を用いることが、好ましい。以下、扁平部を有する電線導体3を備えた電線2を例として、説明を行う。
【0029】
図2Aおよび図2Bに、電線2を構成する電線導体3の外観を、斜視図、および軸線方向に直交する断面図にて示す。電線導体3は、複数の素線3aを相互に撚り合わせた撚線として構成されている。電線導体3は、軸線方向に沿った少なくとも一部において、扁平な外形を有している。つまり、電線導体3の軸線方向に垂直に交差する断面が扁平形状となった扁平部を有している。図示した形態においては、電線導体3の軸線方向全域が、そのような扁平部となっている。ここで、電線導体3の断面が扁平形状を有しているとは、断面を構成する辺と平行に断面を横切り、断面全体を範囲に含む直線のうち、最長の直線の長さである幅Wが、その直線に直交し、断面全体を範囲に含む直線の長さである高さTよりも、大きい状態を指す。
【0030】
電線導体3の断面は、扁平形状であれば、どのような具体的形状を有していてもよいが、図示した形態においては、電線導体3の断面形状が、長方形となっている。つまり、断面において、電線導体3の断面を構成する外側の素線3aに外接する外接図形Cが、扁平形状の幅Wの方向(幅方向x)および高さTの方向(高さ方向y)に沿って、それぞれ、相互に平行な対辺を有している。断面の形状は、長方形以外であってもよく、例えば、外接図形Cの形状として、楕円形、小判形(長方形の両端に半円を有する形状)、平行四辺形、台形等も例示することができる。図2A,2Bにおいては、各素線3aを断面円形に表示しているが、実際の電線2においては、電線導体3全体としての断面形状を所定の扁平形状に成形する必要性から、一部の素線3aの断面形状が、円形から変形していてもよい。扁平部を有する電線導体3は、例えば、断面略円形の撚線導体に対して、ローラ等を用いて圧延を行うことで、製造できる。圧延を、素線3aが加工硬化を起こすような条件で行えば、電線導体3を扁平化しながら、電線導体3の強度を高めることもできる。
【0031】
電線導体3を構成する素線3aは、金属材料をはじめとし、いかなる導電性材料で構成されていてもよい。素線3aを構成する代表的な材料として、銅および銅合金、そしてアルミニウムおよびアルミニウム合金を挙げることができる。
【0032】
以上に説明したような電線導体3の外周に絶縁被覆4を設けて、電線2が構成される。電線2においては、絶縁被覆4を含む全体の形状が、電線導体3の形状を反映したものとなり、電線導体3が断面扁平形状を有する場合には、電線2の全体形状も、断面扁平形状となる。絶縁被覆4(または一括被覆材6;以下においても同様)の材料は、特に限定されるものではなく、種々の高分子材料より構成することができる。また、高分子材料には、適宜、充填剤や添加剤を含有させることができる。なお、次項に説明するような、電線導体3の構成の規定によるたわみ量の制御が、電線2全体のたわみ量として十分に反映されるように、絶縁被覆4の剛性は、電線導体3の剛性よりも低くなっていることが好ましい。また、絶縁被覆4の単位長さあたりの質量は、電線導体3の単位長さあたりの質量よりも小さくなっていることが好ましい。なお、図1Aおよび図1Bでは、絶縁被覆4および一括被覆材6が、電線導体3の外周に密着していない部位を有しているが、変形形態として、それぞれ図4Aおよび図4Bに示すように、絶縁被覆4および一括被覆材6は、電線導体3の全周に密着していてもよい。絶縁被覆4および一括被覆材6をいずれの形態で形成するかは、押し出し成形を行う際の条件等により、制御することができる。
【0033】
電線2においては、電線導体3の断面が扁平形状を有していることにより、同じ導体断面積を有する断面略円形の電線よりも、配策に必要なスペースを小さくすることができる。つまり、ある電線2の周囲に、他の電線2や別の部材を配置することができないスペースを小さくすることができる。特に、高さ方向(y方向)に沿って電線2が占めるスペースを小さくすることができ、省スペース化を達成しやすい。そのような省スペース性の効果は、図1A,1Bのように、扁平部を有する電線2を、幅方向(x方向)に複数並べてワイヤーハーネス1を構成した場合にも得ることができ、例えば、2つの板状部材の隙間等、高さの限られた空間にも、ワイヤーハーネス1を配策することが可能となる。
【0034】
ワイヤーハーネス1を構成する各電線導体3の断面における扁平形状の扁平比(W/T)は、特に限定されるものではないが、2以上、8以下程度を例示することができる。扁平比が2以上であれば、高さ方向における省スペース化の効果を高めることができる。一方、扁平比が8以下であれば、扁平化によって、電線導体3に過剰な負荷がかかるのを抑制することができる。また、幅方向にワイヤーハーネス1が占める領域が過度に大きくならないように抑えやすい。扁平比は、5以下であれば、特に好ましい。
【0035】
(ワイヤーハーネスを構成する各電線導体の構成)
次に、ワイヤーハーネス1を構成する複数の電線2において、電線導体3の構成が相互に有すべき関係について、説明する。
【0036】
ワイヤーハーネス1を構成する複数の電線2のうち2本である第一の電線および第二の電線は、電線導体3の構成において、相互に、以下の関係を有している。ここでは、図1A,1Bにおいて、符号2Aおよび2Bで示した電線を、それぞれ、第一の電線および第二の電線として説明を行う。
【0037】
第二の電線2Bは、第一の電線2Aよりも、導体断面積が大きくなっている。そして、電線導体3(3A,3B)を構成する各素線3aの外径が、第二の電線2Bにおいて、第一の電線2Aよりも大きくなっている。さらに、電線導体3を構成する素線3aの本数が、第二の電線2Bにおいて、第一の電線2A以下となっている。
【0038】
図3に示すように、電線2’,2”の一端を、固定治具Jにて固定し、他端を固定せずに解放した状態としておくと、電線2’,2”が自重によってたわむ。このたわみによる垂下量が、自重によるたわみ量D1,D2となる。導体断面積が大きいほど、単位長さあたりの電線の質量が大きくなるので、同じ長さに切り出した電線2’,2”に印加される自重は、導体断面積が大きい場合ほど、大きくなる。従来一般には、電線の導体断面積を変化させる場合には、導体断面積の変化量が極端に大きくないかぎり、電線導体を構成する素線3aの外径は変更せず、用いる素線3aの本数を増減させることによって、導体断面積を増減させることが多い。このように、同じ外径の素線3aを使用して導体断面積を変化させる場合には、図3に示すように、同じ長さに切り出した電線2’,2”において、導体断面積が大きく、大きな自重が印加される電線2”におけるたわみ量D2の方が、導体断面積が小さく、小さな自重しか印加されない電線2’におけるたわみ量D1よりも大きくなる。
【0039】
図3に示すように、自重によるたわみ量D1,D2の異なる複数の電線2’,2”を、横方向に並べてワイヤーハーネスを構成した場合には、ワイヤーハーネス全体のうち、導体断面積が大きい電線2”が配置された箇所において、他の箇所よりも、自重によるたわみ量が大きくなり、下方まで垂下しやすくなる。すると、ワイヤーハーネスを配策する際等に、その電線2”が配置された箇所のみ、特別に支持して垂下を防止する、というような方策が必要になり、ワイヤーハーネスの取り扱い性が低くなる。ワイヤーハーネスを構成する各電線2’,2”が、剛性付与部材として構成されたシート体に固定されている場合には、シート体によって付与される剛性により、電線2’,2”の自重によるたわみが制限されるので、電線2’,2”の間のたわみ量D1,D2の差が小さくはなるが、その差を完全になくすことは難しい。
【0040】
しかし、本実施形態にかかるワイヤーハーネス1のように、導体断面積が大きく、大きな自重が印加される第二の電線2Bにおいて、導体断面積が小さい第一の電線2Aよりも、外径の大きい素線3aを用いて電線導体3を構成しておけば、自重によるたわみ量を小さく抑えることができる。外径の大きい素線3aほど、素線3aとしての剛性が大きいため、素線3aを集合させた電線導体3において、同じ自重が印加された場合でも、各素線3aがたわみ変形を起こしにくく、電線導体3全体としてのたわみ量が小さく抑えられるからである。その結果、第一の電線2Aと第二の電線2Bを同じ外径の素線3aで構成する場合と比較して、第一の電線2Aと第二の電線2Bの間のたわみ量の差を、小さく抑えることができる。
【0041】
このように、ワイヤーハーネス1を構成する2本の電線2A,2Bの間で、用いる素線3aの外径に差を設け、自重によるたわみ量の差を小さくしておくことで、ワイヤーハーネス1全体のうち、第二の電線2Bが配置された箇所が、第一の電線2Aが配置された箇所よりも大きく垂下する、という事態を回避することができる。すると、ワイヤーハーネス1を配策する際等において、ワイヤーハーネス1の取り扱い性が高くなり、作業性が向上する。特に、電線2A,2Bを構成する電線導体3が、扁平部を有している場合には、その扁平形状により、ワイヤーハーネス1全体が、大きな幅を占めるものとなりやすく、電線2A,2Bの間でたわみ量に大きな差があるとすれば、ワイヤーハーネス1の取り扱いが特に困難になりやすいが、電線2A,2Bの間のたわみ量の差を小さく抑えておくことで、取り扱い性向上の効果を大きく享受し、扁平形状による省スペース性と両立することができる。さらに、ワイヤーハーネス1において、各電線2A,2Bが、剛性付与部材として構成されたシート体5に固定されている場合には、そのシート体5によって各電線に付与される剛性の効果と、電線2A,2Bの間で、自重によるたわみ量の差が小さく抑えられることの効果の両方により、とりわけ高い取り扱い性が得られる。
【0042】
電線導体3を構成する素線3aの本数を、第二の電線2Bにおいて、第一の電線2A以下としておけば、両電線2A,2Bの間で、たわみ量の差を小さくすることができるが、なかでも、電線導体3を構成する素線3aの本数を、第一の電線2Aと第二の電線2Bで同じとすれば、自重によるたわみ量の差を、特に小さく抑えやすくなる。後の実施例に示すように、第一の電線2Aと第二の電線2Bにおいて、電線導体3を構成する素線3aの本数を同じにしておけば、両電線2A,2Bにおけるたわみ量を、ほぼ同程度とすることができる。また、複数の電線2A,2Bの間で導体断面積を異ならせる場合に、電線導体3を構成する素線3aの本数を相互に揃えるという指針は、電線2A,2Bの間で、自重によるたわみ量の差を小さく抑えるための簡便な指針となる。この指針に従って電線導体3の設計を行うことで、第二の電線2Bを構成する素線3aの外径を十分に大きくしていないために、第一の電線2Aとの自重によるたわみ量の差を十分に小さく抑制できないという事態や、第二の電線2Bを構成する素線3aの外径を大きくしすぎて、かえって第二の電線2Bの方が自重によるたわみ量が小さくなるというような事態も、起こりにくくなる。
【0043】
さらに、第一の電線2Aおよび第二の電線2Bが扁平部を有する場合に、軸線方向に直交する断面において、扁平形状の幅Wと高さTの比である扁平比W/Tを、第一の電線2Aと第二の電線2Bで、同じにしておくことが好ましい。特に好ましくは、第一の電線2Aと第二の電線2Bの断面形状(外接図形Cの形状)が、相似形であるとよい。すると、第一の電線2Aと第二の電線2Bのたわみ量を、同程度に揃えやすくなる。
【0044】
あるいは、導体断面積の大きい第二の電線2Bにおいて、第一の電線2Aよりも、扁平比W/Tを大きくしておく形態も、好ましい。第二の電線2Bの方が、導体断面積が大きいことにより、断面の高さTが大きくなりやすいが、扁平比W/Tを大きくし、断面形状を横長(幅広)にしておくことにより、第二の電線2Bの高さTを抑えることができる。すると、第一の電線2Aと第二の電線2Bの間で、自重によるたわみ量の差を小さく抑える効果は、扁平比W/Tを同じにする場合に比べると劣るものの、第一の電線2Aと第二の電線2Bの間で、高さTの差が抑えられる。その結果、支持部材としてシート体5を用いる場合であれば、ワイヤーハーネス1の上面(シート体5に固定されたのと反対側の面)の凹凸が小さくなる。すると、ワイヤーハーネス1の省スペース性をさらに高めることができる。そして、引掛り等、他の部材との干渉を低減できること、また、ワイヤーハーネス1の上面を支持して運搬する等の操作が行いやすくなることから、自重によるたわみ量の均一化とは異なる効果によって、ワイヤーハーネス1の取り扱い性を高めることができる。さらに、導体断面積が大きく、単位長さあたりの質量の大きい第二の電線2Bの方が、電線が占める体積に対して、相対的に大きな面積でシート体5に接触し、固定されることになるので、シート体5に対する固定強度を確保し、電線2Bの質量を、シート体5の表面において、確実に支持しやすくなる。支持部材として一括被覆材6を用いる場合についても、第一の電線2Aと第二の電線2Bの間で、高さTの差が抑えられることで、一括被覆材6を全体として薄く形成することができ、ワイヤーハーネス1’の省スペース性を高めやすくなる。
【0045】
ここまで、ワイヤーハーネス1に含まれる複数の電線2のうち、第一の電線2Aと第二の電線2Bの2本に着目し、それら2本の間での電線導体3の構成の関係について説明したが、ワイヤーハーネス1に3本以上の電線2が含まれる場合には、全電線2のうち3本以上から任意に選択した2本の組の全て、好ましくは全ての電線2から任意に選択した2本の組の全てが、上記で説明した第一の電線2Aと第二の電線2Bと同様の関係を満たすことが好ましい。換言すると、全電線2のうち3本以上、好ましくは全ての電線2において、導体断面積が大きいほど、電線導体3を構成する素線3aの外径が大きくなっており、さらに、電線導体3を構成する素線3aの本数が、少なくなっているか、相互に同じになっていることが好ましい。3本以上、好ましくは全ての電線2において、電線導体3を構成する素線3aの本数が相互に同じになっている形態が、特に好適である。また、扁平部の断面において、扁平比W/Tが、導体断面積によらず、相互に同じになっており、さらには断面形状が相似形になっているとよい。あるいは、導体断面積が大きいほど、扁平比W/Tが大きくなっているとよい。図1A,1Bに示した形態では、3本の電線2A,2B,2Cの全てにおいて、導体断面積が大きいほど、電線導体3(3A~3C)を構成する素線3aの外径が大きくなっており、素線3aの本数が同じになっている。扁平比W/Tも、全ての電線2A,2B,2Cで同じになっている。
【0046】
以上の説明においては、電線導体3を構成する素線3aの材質が、各電線導体3の中で、また複数の電線導体3の間で、同じである場合を主に想定しており、そのように、各素線3aの材質を同じにしておくことが好ましい。ただし、異なる材質の素線3aが混合して用いられる場合でも、材料自体の剛性(曲げ弾性率)が大きく異ならない限り、電線導体3の構成について、上記で説明した各構成を適用することができる。
【実施例
【0047】
以下に実施例を示す。なお、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。ここでは、導体断面積が異なる電線において、電線導体を構成する素線の本数を揃えて、自重によるたわみ量を比較した。
【0048】
[試験方法]
(試料の作製)
アルミニウム合金製の素線を撚り合わせて、所定の導体断面積を有する電線導体を作製した。この際、下の表1に示すとおり、素線の本数は、試料1~6については、導体断面積によらず、37本とし、設定した導体断面積に応じて、用いる素線の外径をそれぞれ選択した。試料7,8については、それぞれ、素線本数を、16本、19本とした。
【0049】
得られた撚線導体に対して、4方向からローラを用いた圧延を行い、長方形の断面を有する扁平な電線導体を作製した。表1に示す幅および高さが得られるように、ローラから印加する圧力を調節した。電線導体の幅および高さは、導体断面積によらず、扁平比W/T=3.0の相似形の長方形が、断面において得られるように、選択したものである。
【0050】
さらに、得られた電線導体の外周に、ポリエチレン樹脂を押し出し成形し、絶縁被覆を形成した。絶縁被覆の厚さは、導体断面積に応じたものとした。絶縁被覆まで含めた電線全体の寸法を、表1に示している。
【0051】
(たわみ量の評価)
得られた各電線に対して、たわみ量を測定した。この際、各電線を、長さ300mmに切り出し、図3に示すように、一端から長さ100mmにわたる部位を、固定治具Jにて固定した。そして、自重によってたわんだ他端について、水平からの垂下長を測定し、自重によるたわみ量とした。
【0052】
[試験結果]
表1に、試料1~8のそれぞれについて、電線導体の構成、電線導体および電線全体の寸法(実測値)と合わせて、自重によるたわみ量の測定結果を示す。
【0053】
【表1】
【0054】
表1によると、素線本数を揃えた試料1~6では、自重による電線のたわみ量が、導体断面積によらず、ほぼ同じになっている。このことから、電線の導体断面積を大きくする際に、用いる素線の外径を大きくして、素線の本数を変えないようにすることで、自重による電線のたわみ量を一定に保てることが、示される。素線本数を少なくした試料7,8では、導体断面積が、それぞれ、試料1,3と同じになっているが、自重による電線のたわみ量は、試料1,3をはじめとして、素線本数を37本に揃えた場合よりも、小さくなっている。これは、素線本数が少なくなっていることと対応して、用いる素線の外径が大きくなっており、素線の剛性が大きくなったため、電線が自重によって撓みにくくなったものである。
【0055】
以上、本開示の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。なお、電線導体における素線径や扁平比が、上記で説明した関係を満たす場合に限らず、任意である場合にも、扁平部を有する電線導体を複数並べて、一括被覆材で被覆する形態を採用することで、ワイヤーハーネスにおいて、構成の簡素化および省スペース化の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0056】
1,1’ ワイヤーハーネス
2(2A~2C) 電線
2A 第一の電線
2B 第二の電線
2’ 導体断面積の小さい電線
2” 導体断面積の大きい電線
3(3A~3C) 電線導体
3a 素線
4 絶縁被覆
5 シート体
6 一括被覆材
C 外接図形
D1,D2 たわみ量
J 固定治具
T 電線導体の高さ
W 電線導体の幅
x 幅方向(横方向)
y 高さ方向(縦方向)
図1
図2
図3
図4