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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】気体圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04B 39/00 20060101AFI20240319BHJP
   F04B 41/00 20060101ALI20240319BHJP
   F04B 41/02 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
F04B39/00 102Q
F04B41/00 D
F04B41/02 A
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020077217
(22)【出願日】2020-04-24
(65)【公開番号】P2020183758
(43)【公開日】2020-11-12
【審査請求日】2023-02-24
(31)【優先権主張番号】P 2019085024
(32)【優先日】2019-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】工機ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】保科 壮希
(72)【発明者】
【氏名】圷 康輔
(72)【発明者】
【氏名】野田 貴史
(72)【発明者】
【氏名】吉田 憲一郎
【審査官】中村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-163981(JP,A)
【文献】実開昭56-093538(JP,U)
【文献】特開2016-102476(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 39/00
F04B 41/02
F16F 15/00-15/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸と、
前記回転軸の回転力で作動して気体を圧縮する圧縮部と、
前記回転軸及び前記圧縮部を支持する支持部と、
を有する、気体圧縮機であって、
前記圧縮部が前記支持部に対して前記回転軸の回転中心線に沿った方向で移動可能な第1範囲を制限する第1制限機構と、
前記圧縮部が前記支持部に対して前記回転中心線と交差する方向で移動可能な第2範囲を制限する第2制限機構と、
を別々に備え
前記第1制限機構は、
前記支持部に設けられた第1接触部材と、
前記圧縮部に設けられ、かつ、前記第1接触部材に接触及び離間可能な緩衝部材と、
を有し、
前記第1制限機構は、前記緩衝部材が前記第1接触部材に接触することにより前記第1範囲を制限し、
前記第2制限機構は、
前記圧縮部に設けられた規制孔と、
前記支持部に設けられて前記規制孔内で移動可能であり、かつ、前記圧縮部に接触及び離間可能な第2接触部材と、
を有し、
前記第2制限機構は、前記第2接触部材が前記圧縮部に接触することにより前記第2範囲を制限する、気体圧縮機。
【請求項2】
前記圧縮部は、
前記回転軸の回転力で作動するコネクティングロッドと、
前記コネクティングロッドに取り付けられ、かつ、前記回転中心線と交差する方向に作動して気体を圧縮するピストンと、
前記回転軸を回転可能に支持し、かつ、前記ピストンを作動可能に支持するハウジングと、
を有し、
前記緩衝部材及び前記規制孔は、前記ハウジングに設けられている、請求項記載の気体圧縮機。
【請求項3】
前記圧縮部で圧縮された気体を溜めるタンクを有し、
前記支持部は、前記タンクに取り付けられている、請求項記載の気体圧縮機。
【請求項4】
前記タンクは、接地可能な脚部を備え、
前記回転中心線と交差する方向は、鉛直方向を含み、
前記圧縮部及び前記ハウジングは、前記鉛直方向において前記タンクよりも上方に位置する、請求項記載の気体圧縮機。
【請求項5】
前記回転中心線は、前記鉛直方向に対して交差する方向に沿って配置される、請求項記載の気体圧縮機。
【請求項6】
前記第2接触部材は、軸部材であり、
前記軸部材の中心線及び前記回転中心線は、互いに平行に配置されている、請求項乃至の何れか1項記載の気体圧縮機。
【請求項7】
前記軸部材の外周面を覆う弾性体が設けられ、
前記軸部材は、前記弾性体が前記ハウジングに接触することにより前記第2範囲を制限する、請求項記載の気体圧縮機。
【請求項8】
前記第1接触部材は、
前記回転中心線と平行に延ばされた基板と、
前記基板から垂直に延ばされた2枚の側板と、
を含み、
前記規制孔は、前記回転中心線に沿った方向で前記2枚の側板の間に配置され、
前記2枚の側板は、支持孔をそれぞれ有し、
前記軸部材の一部は、前記2枚の側板の前記支持孔及び前記規制孔に配置され、
前記弾性体は、円筒形状であり、かつ、前記弾性体の外面と前記規制孔の内面とが接触可能であり、
前記弾性体の外径は、前記2枚の側板の前記支持孔のうち少なくとも一方の前記支持孔の内径より小さい、請求項記載の気体圧縮機。
【請求項9】
前記弾性体は、前記軸部材に対して回転可能であり、かつ、前記弾性体の内径は、前記軸部材の外径より大きい、請求項記載の気体圧縮機。
【請求項10】
前記弾性体は、前記規制孔の内面によって保持される被保持部を有する、請求項乃至の何れか1項記載の気体圧縮機。
【請求項11】
前記第2範囲は、
前記圧縮部が前記支持部に対して前記回転中心線を中心とする円周方向に移動可能な主範囲と、
前記圧縮部が前記支持部に対して鉛直方向に移動可能な副範囲と、
を含み、
前記主範囲は、前記副範囲よりも大きい、請求項乃至の何れか1項記載の気体圧縮機。
【請求項12】
前記圧縮部は、ユーザが手で握るハンドルを備えている、請求項1乃至11の何れか1項記載の気体圧縮機。
【請求項13】
前記支持部に設けられた電源と、
前記電源の電力によって回転する電動モータと、
を有し、
前記回転軸は、前記電動モータによって回転される、請求項1乃至12の何れか1項記載の気体圧縮機。
【請求項14】
前記タンクは、第1タンク及び第2タンクを含み、
前記支持部は、前記第1タンクと前記第2タンクとを接続し、
前記第1タンク及び前記第2タンクは、ユーザが手で握るハンドルをそれぞれ有している、請求項乃至の何れか1項記載の気体圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ、圧縮部及び支持部を有する気体圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
モータ、圧縮部及び支持部を有する気体圧縮機の例が、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載された気体圧縮機は空気圧縮機である。特許文献1に記載された空気圧縮機は、モータ、圧縮部、支持部としてのフレーム、空気タンクを有する。空気タンクは2つ設けられている。フレームは、第1フレーム及び第2フレームを有する。2つの空気タンクは、第1フレーム及び第2フレームによって結合されている。
【0003】
モータはモータ軸を有する。モータは、第1フレームによって支持され、モータは、締結具によって第1フレームに固定されている。圧縮部は、回転軸としてのクランクシャフト、コネクティングロッド、ピストン及びクランクケースを有する。クランクシャフトはモータ軸に連結されている。コネクティングロッドはクランクシャフトに連結され、ピストンはコネクティングロッドに取り付けられている。クランクケースは、第2フレームによって支持され、クランクケースは、弾性部材を介して締結具により第2フレームに取り付けられている。持ち運び用のハンドルが、空気タンクに設けられている。
【0004】
特許文献1に記載された空気圧縮機は、モータの駆動軸の回転力でクランクシャフトが回転し、ピストンが往復運動して圧縮部で空気が圧縮される。圧縮部で圧縮された空気は、2つのタンクに蓄えられる。特許文献1には、モータが、圧縮部を介さずにタンクに固定されているため、ピストンの往復運動に伴う圧縮部の振動を低減可能である、と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-163981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願発明者は、圧縮部が支持部に対して回転軸に沿った方向、及び回転軸と交差する方向における移動可能な範囲を改善する余地があることを認識した。
【0007】
本発明の目的は、圧縮部が支持部に対して移動可能な範囲を、回転軸に沿った方向と、回転軸に対して交差する方向とにおいて、別々に設定可能な気体圧縮機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態の気体圧縮機は、回転軸と、前記回転軸の回転力で作動して気体を圧縮する圧縮部と、前記回転軸及び前記圧縮部を支持する支持部と、を有する、気体圧縮機であって、前記圧縮部が前記支持部に対して前記回転軸の回転中心線に沿った方向で移動可能な第1範囲を制限する第1制限機構と、前記圧縮部が前記支持部に対して前記回転中心線と交差する方向で移動可能な第2範囲を制限する第2制限機構と、を別々に備え、前記第1制限機構は、前記支持部に設けられた第1接触部材と、前記圧縮部に設けられ、かつ、前記第1接触部材に接触及び離間可能な緩衝部材と、を有し、前記第1制限機構は、前記緩衝部材が前記第1接触部材に接触することにより前記第1範囲を制限し、前記第2制限機構は、前記圧縮部に設けられた規制孔と、前記支持部に設けられて前記規制孔内で移動可能であり、かつ、前記圧縮部に接触及び離間可能な第2接触部材と、を有し、前記第2制限機構は、前記第2接触部材が前記圧縮部に接触することにより前記第2範囲を制限する。
【発明の効果】
【0009】
一実施形態の気体圧縮機によれば、圧縮部が支持部に対して移動可能な範囲を、回転軸に沿った方向と、回転軸に対して交差する方向と、において別々に制限可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態である空気圧縮機を示す正面図である。
図2】空気圧縮機の右側面図である。
図3】空気圧縮機の平面図である。
図4】空気圧縮機の右側面図である。
図5】空気圧縮機の背面図である。
図6】空気圧縮機の要部を拡大した左側面断面図である。
図7】空気圧縮機の要部を拡大した正面断面図である。
図8】空気圧縮機の要部を分解した斜視図である。
図9】空気圧縮機に設けたハウジングの部分的な斜視図である。
図10】空気圧縮機に設けた第2制限機構を示す模式的な断面図である。
図11】第2実施例の空気圧縮機を示す正面図である。
図12図11の空気圧縮機を示す右側面図である。
図13】接続部の他の例を示す側面断面図である。
図14】(A)及び(B)は、フレームに設けられる支持孔の形状例を示す模式図である。
図15】(A)は、ねじ部材に取り付けられる段付きスリーブの斜視図、(B)及び(C)は、ねじ部材に取り付けられるプレートの斜視図である。
図16】接続部の他の例を示す側面断面図である。
図17】接続部の他の例を示す側面断面図である。
図18】(A)は、図17に示された規制孔及び弾性体の正面図、(B)は、図18(A)の側面断面図、(C)は、規制孔及び弾性体の更に他の例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の気体圧縮機の一実施形態である空気圧縮機について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材等には同一の符号を付している。
【0012】
(第1実施例)
図1に示す空気圧縮機10は、モータ20、圧縮部11、ファン12、1個の空気タンク13及び1個の減圧弁14、基台15、カバー16を有する。空気タンク13は金属製であり、かつ、円筒形状である。空気タンク13は、内部に圧縮空気を溜める。減圧弁14は、空気タンク13の外部に設けられ、減圧弁14は空気タンク13に固定されている。空気タンク13の内部と、減圧弁14の内部とがつながっている。減圧弁14は空気管17に接続され、空気管17はカプラ18に接続されている。減圧弁14は、空気タンク13の内部から空気管17に送られる空気の圧力を低下させる。ユーザは、エアホースをカプラ18に接続及び取り外しできる。
【0013】
また、図1及び図2のように、空気タンク13に複数の脚部19がそれぞれ取り付けられている。図1に示す空気圧縮機10は、全ての脚部19が床21に接触している状態を表す。
【0014】
基台15は金属製のフレームであり、基台15は、空気タンク13に対して溶接または締結要素により固定されている。カバー16は、空気タンク13に取り付けられている。圧縮部11、モータ20及びファン12は、カバー16により覆われた空間内に配置されている。基台15は、圧縮部11及びモータ20を支持している。電源22が空気タンク13に設けられている。電源22は、空気タンク13に対して取り付け及び取り外しが可能である。電源22は、一例として直流電源である。電源22は、収容ケースと、収容ケース内に収容された電池セルと、を有する。電池セルは、一次電池または二次電池の何れでもよい。
【0015】
モータ20は、電源22の電力により回転する電動モータである。モータ20は、図5に示すように、モータケース23、ステータ24、ロータ25及びモータ軸26を有する。モータケース23は金属製、一例としてアルミニウム製または鉄製である。ステータ24は、モータケース23に設けられており、かつ、回転しない。ロータ25はモータ軸26に取り付けられており、モータ軸26及びロータ25は、回転中心線A1を中心として一体で回転できる。空気圧縮機10が図1にように床21に置かれた状態において、回転中心線A1は略水平である。モータ軸26は、モータケース23の内部及び外部に亘って配置されている。ファン12は、図2及び図3のように、モータケース23の外部に設けられ、かつ、モータ軸26に取り付けられている。
【0016】
図3は、空気圧縮機10を鉛直方向に対して垂直な平面内で表している。鉛直方向は、重力の作用方向である。空気圧縮機10を図3のように平面視すると、モータ20は、回転中心線A1に沿った方向で、ファン12と圧縮部11との間に配置されている。
【0017】
圧縮部11は、クランクケース27、第1圧縮部28及び第2圧縮部29を有する。空気圧縮機10を図3のように平面視すると、第1圧縮部28及び第2圧縮部29は、回転中心線A1を隔てて配置されている。クランクケース27は、金属製、一例としてアルミニウム製または鉄製である。モータケース23及びクランクケース27は、単一の部材で一体化されている。なお、モータケース23とクランクケース27とを、それぞれ別部材で構成し、モータケース23とクランクケース27とが、締結要素により固定されていてもよい。クランクケース27及びモータケース23は、ハウジング30を構成している。
【0018】
ハンドル31が、ブラケット32によりハウジング30に取り付けられている。ブラケット32はハウジング30に対して締結要素33により固定されている。ユーザは、ハンドル31を手で握ることができる。空気圧縮機10が床21に置かれている状態で、ハンドル31は、鉛直方向でハウジング30よりも上に位置する。鉛直方向は、図1図2図4図5図6及び図7における上下方向である。
【0019】
回転軸34が、クランクケース27内に設けられている。回転軸34は回転中心線A1を中心として回転可能である。回転軸34及びモータ軸26は、単一の部材により一体化されている。なお、モータ軸26と回転軸34とがそれぞれ別部材であり、モータ軸26と回転軸34とが互いに固定されていてもよい。
【0020】
第1圧縮部28は、第1シリンダ35、第1シリンダヘッド36、第1コネクティングロッド37、第1ピストン38及び第1排気室39を有する。第1シリンダ35は、クランクケース27に固定され、第1シリンダヘッド36は、第1シリンダ35に固定されている。第1コネクティングロッド37は、回転軸34に連結されている。回転軸34が回転すると、その回転力で第1ピストン38が第1シリンダ35内で作動し、第1シリンダ35外の空気が第1シリンダ35内へ吸入され、かつ、圧縮される。第1ピストン38によって圧縮された空気は、第1シリンダ35内から第1排気室39へ吐出される。第1排気室39は、図5に示す接続管40を介して第2圧縮部29に接続されている。
【0021】
第2圧縮部29は、図3のように第2シリンダ41、第2シリンダヘッド42、第2コネクティングロッド43、第2ピストン44及び第2排気室45を有する。第2シリンダ41は、クランクケース27に固定され、第2シリンダヘッド42は、第2シリンダ41に固定されている。第2コネクティングロッド43は、回転軸34に連結されている。回転軸34が回転すると、その回転力で第2ピストン44が第2シリンダ41内で作動し、空気が接続管40を通り第2シリンダ41内へ吸入され、かつ、空気が圧縮される。第2ピストン44によって圧縮された空気は、第2シリンダ41内から第2排気室45へ吐出される。第2排気室45は、図5に示す接続管46を介して空気タンク13に接続されている。第1ピストン38及び第2ピストン44は、ハウジング30によって作動可能に支持されている。
【0022】
図1のように、リリーフバルブ47が空気タンク13に設けられている。リリーフバルブ47は、空気タンク13内の空気圧が所定値未満であると閉じている。リリーフバルブ47は、空気タンク13内の空気圧が所定値を超えると開き、空気タンク13内の圧縮空気を空気タンク13の外に排出する。圧力センサ48が空気タンク13に設けられている。圧力センサ48は、空気タンク13内の空気圧を電気信号に変換する。制御回路が、カバー16により覆われた空間に設けられている。圧力センサ48の信号は、制御回路に入力される。
【0023】
図3において、第1ピストン38は、第1シリンダ35の第1中心線B1に沿った方向に作動する。第2ピストン44は、第2シリンダ41の第2中心線B2に沿った方向に作動する。空気圧縮機10を図3のように平面視すると、第1中心線B1と第2中心線B2とは互いに平行である。第1中心線B1及び第2中心線B2は、回転中心線A1に対し所定の角度、例えば、90度の角度でそれぞれ交差している。空気圧縮機10を図1のように正面視すると、第1中心線B1及び第2中心線B2は、略水平である。
【0024】
図1における上下方向、つまり、空気圧縮機10が床21に置かれた状態における鉛直方向で、圧縮部11及びモータ20は、空気タンク13よりも上に位置する。空気圧縮機10を図1のように正面視すると、基台15と基台15とが、空気タンク13の中心線C1に沿った方向に間隔をおいて配置されている。2個の基台15は、接続部49,50,51,52によってハウジング30を支持している。
【0025】
空気圧縮機10を、図3のように平面視すると、ハウジング30のうちクランクケース27を支持する接続部49,50は、回転中心線A1を隔てて配置されている。ハウジング30のうちモータケース23を支持する接続部51,52は、回転中心線A1を隔てて配置されている。接続部49と接続部51とが、回転中心線A1に沿った方向に間隔をおいて配置されている。図3及び図4のように、接続部50と接続部52とが、回転中心線A1に沿った方向に間隔をおいて配置されている。
【0026】
接続部49,50,51,52は、それぞれ同じ構成を有する。クランクケース27を支持する接続部49と接続部50とは、線対称の形状及び構造を有する。モータケース23を支持する接続部51と接続部52とは、線対称の形状及び構造を有する。クランクケース27を支持する接続部49と、モータケース23を支持する接続部51とは、線対称の形状及び構造を有する。クランクケース27を支持する接続部50と、モータケース23を支持する接続部52とは、線対称の形状及び構造を有する。
【0027】
ここでは、主として接続部49を説明する。接続部49は、鉛直方向で、クランクケース27と基台15との間に配置されている。接続部49は、図7及び図8のように、脚部53、フレーム54、緩衝部材55及びボルト56を有する。
【0028】
脚部53は、クランクケース27の外面から、回転中心線A1を中心とする径方向に突出している。脚部53は、図7及び図10のように、第1位置決め部57、第2位置決め部58及び規制孔59を有する。規制孔59は、脚部53を回転中心線A1に沿った方向に貫通している。フレーム54は、金属製、一例としてアルミニウム製または鉄製である。フレーム54は、回転中心線A1と平行に延ばされた基板60と、基板60に接続された2枚つの側板61と、を有する。2枚の側板61は、互いに平行に配置されている。緩衝部材55は、合成ゴム製である。緩衝部材55は、図7のように、筒部63と、筒部63に接続された固定部64と、筒部63に設けられた内向きフランジ65と、を有する。
【0029】
2つの側板61は、図6のように回転中心線A1に沿った方向に間隔をおいて配置されている。筒部63は、2つの側板61の間に配置されている。固定部64は、ねじ部材66によって脚部53に固定されている。固定部64は、ねじ部材66によって第1位置決め部57に位置決めされている。第1位置決め部57は、空気圧縮機10の側面視で、緩衝部材55を脚部53に対して位置決めする。第2位置決め部58は、筒部63内に配置されている。第2位置決め部58は、空気圧縮機10の平面視で、緩衝部材55を脚部53に対して位置決めする。ボルト56は、内向きフランジ65及び基板60を基台15に固定している。
【0030】
ねじ部材67が2つの側板61に固定されている。ねじ部材67の中心線D1は、回転中心線A1と平行に配置されている。脚部53は、回転中心線A1に沿った方向で側板61と側板61との間に位置する。スリーブ68が側板61と側板61との間に配置されている。スリーブ68は、金属製、一例としてアルミニウム製または鉄製である。弾性体69が、スリーブ68の外周面に取り付けられている。弾性体69は、合成ゴム製である。弾性体69は円筒形状であり、弾性体69はスリーブ68の外周面に取り付けられている。
【0031】
また、ねじ部材67の一部は、スリーブ68内に配置されている。そして、ねじ部材67の一部、スリーブ68の一部、弾性体69の一部は、規制孔59に配置されている。このように、ねじ部材67及び脚部53と、フレーム54及び緩衝部材55とが、別々に設けられている。
【0032】
図7のように、2つの基台15は、接続部49,50を介してクランクケース27を支持している。回転中心線A1に対して垂直な平面内において、ねじ部材67が規制孔59に配置された状態で、クランクケース27は、2つの基台15に対して移動可能である。
【0033】
また、図5のように、2つの基台15は、接続部51,52を介してモータケース23を支持している。接続部51,52は、図9に示す脚部53をそれぞれ有する。図3及び図5のように、2つの脚部53は、回転中心線A1を隔てて配置されている。回転中心線A1に対して垂直な平面内において、ねじ部材67が規制孔59に配置された状態で、モータケース23は、2つの基台15に対して移動可能である。
【0034】
空気圧縮機10の作用を説明する。モータ20は、電源22の電力により起動する。モータ20のモータ軸26が回転すると、回転軸34は、モータ軸26と共に回転中心線A1を中心として一体回転する。回転軸34が回転すると、第1圧縮部28は空気を圧縮する。第1圧縮部28で圧縮された空気は、接続管40を通り第2圧縮部29に送られる。第2圧縮部29は、第1圧縮部から送られた空気を更に圧縮する。第2圧縮部29で圧縮された空気は、接続管46を通って空気タンク13に送られる。
【0035】
空気圧縮機10は、モータ20が起動してモータ軸26及び回転軸34が回転中心線A1を中心として回転する。このため、ハウジング30は、2つの基台15により支持された状態で、図5及び図7に示す回転中心線A1を中心として時計回り及び反時計回りに振動する。つまり、ハウジング30は、回転中心線A1に対して垂直な平面内で、2つの基台15に対して円弧状に所定範囲内で移動する。
【0036】
また、回転軸34が回転していると、第1圧縮部28の第1ピストン38と、第2圧縮部29の第2ピストン44とが、互いに逆向きに作動する。このため、ハウジング30は、2つの基台15により支持された状態で、図3の回転中心線A1に対して交差する方向に振動する。
【0037】
空気圧縮機10は、ハウジング30が回転中心線A1を中心として円弧状に振動する場合、または、ハウジング30が略水平方向に振動する場合の何れにおいても、緩衝部材55が弾性変形することにより、ハウジング30から基台15に伝達される振動を低減でき、かつ、基台15が受け持つ反力を低減できる。
【0038】
これに対して、脚部19が床21に接触しており、モータ20が停止していると、弾性体69の外周面は、図10のように脚部53から離間している。次に、ユーザがハンドル31を手で握り、かつ、空気圧縮機10を床21から持ち上げて、空気圧縮機10を運搬する場合を説明する。
【0039】
先ず、ハウジング30が基台15に対して鉛直方向で上方に所定範囲で移動し、弾性体69の外周面が図7のように脚部53に接触する。そして、弾性体69が弾性変形し、ハウジング30及び2つの基台15に対して鉛直方向に沿って上方に移動し、図1に示す脚部19が床21から離間する。
【0040】
ハウジング30が基台15に対して移動する作用を、クランクケース27とモータケース23とに分けてそれぞれ説明する。クランクケース27が基台15に対し、回転中心線A1と垂直な平面内で移動可能な範囲は、規制孔59の形状に応じて制限される。具体的に説明すると、クランクケース27の移動可能な範囲は、図10に示す脚部53の内面59Aと、弾性体69の外周面との間の隙間量、及び弾性体69の弾性変形量によって定まる。内面59Aは、規制孔59の内周面である。
【0041】
また、モータケース23が基台15に対し、回転中心線A1と垂直な平面内で移動可能な範囲は、規制孔59の形状に応じて制限される。具体的に説明すると、モータケース23が移動可能な範囲は、図10に示す脚部53の内面59Aと、弾性体69の外周面との間の隙間量、及び弾性体69の弾性変形量によって定まる。
【0042】
モータケース23とクランクケース27とは形状が異なる。図10は、モータケース23及びクランクケース27を、便宜上、単一の要素として表している。モータケース23及びクランクケース27は、それぞれ脚部53を有する。全ての脚部53に設けた規制孔59の形状及び寸法は、次の条件を満たす設定である。図10に示す範囲L1は、範囲L2よりも大きく、かつ、範囲L3よりも大きい。範囲L2と範囲L3とは、同じであっても異なっていてもよい。
【0043】
範囲L1は、回転中心線A1を中心とする仮想円E1上において、円弧状の範囲である。範囲L2は、空気圧縮機10が床21に設置された状態で、鉛直方向における範囲である。範囲L3は、空気圧縮機10が床21に設置された状態で、略水平方向における範囲である。範囲L2を示す直線と、範囲L3を示す直線とは、略90度の角度で交差する。
【0044】
範囲L1は、範囲L2よりも大きく、かつ、範囲L3よりも大きい。このため、ハウジング30が回転中心線A1を中心として基台15に対して円弧状に往復振動した場合は、ハウジング30が回転中心線A1を中心として、鉛直方向、または、略水平方向に沿って基台15に対して往復振動した場合に比べて、脚部53が弾性体69に接触することを抑制できる。したがって、ハウジング30の振動が基台15に伝達されることを抑制できる。
【0045】
つまり、空気圧縮機10の運転時、つまり、回転軸34の回転時、ハウジング30は、回転中心線A1を中心として円弧状の方向に往復振動する。このハウジング30の振動量、つまり、振幅は、緩衝部材55を過剰に変形させる程ではない。このため、ハウジング30の振幅規制する必要が無い。また、ねじ部材67を脚部53に間接的に接触させてハウジング30の振動を規制すると、空気圧縮機10の運転時に、ねじ部材67と脚部53とが、頻繁に衝突してしまう。そのため、範囲L1は、ハウジング30の振幅よりも大きい。
【0046】
一方、回転軸34の停止直後には、回転軸34の慣性力により、圧縮部11が基台15に対して第1中心線B1に沿った方向に振動する。圧縮部11の振動により、緩衝部材55は過剰な変形が生じる。このため、ハウジング30の振幅が、範囲L1以下になるように、ハウジング30の振動を規制する必要がある。空気圧縮機10の運転時に、圧縮部11が第1中心線B1に沿った方向に振動する量は、ハウジング30が、回転中心線A1を中心として円弧状に振動する振幅よりも小さい。このため、圧縮部11が第1中心線B1に沿った方向に振動する範囲L3は、範囲L1よりも小さくできる。また、範囲L3を範囲L1よりも大きく設定すると、範囲L3の大きさに応じて、脚部53が大型化してしまう。そのため、範囲L3は範囲L1よりも小さく設定している。
【0047】
範囲L2は、ユーザが空気圧縮機10を運搬する時に、緩衝部材55が過剰に変形しない範囲に設定されている。そして、空気圧縮機10の運転時において、ハウジング30が鉛直方向に振動する量は、ハウジング30が、回転中心線A1を中心とした円弧状の方向に往復振動する量よりも小さい。このため、範囲L2は範囲L1よりも小さく設定されている。
【0048】
このように、範囲L1は、空気圧縮機10が運転中にハウジング30が振動した場合に、弾性体69が脚部53に接触しない値に設定されている。さらに、範囲L2、範囲L3は、空気圧縮機10をユーザがハンドル31を持って運搬する時に、緩衝部材55に過大な変形が生じない値に設定されている。このため、ユーザが空気圧縮機10を運搬する時は、弾性体69介してねじ部材67が脚部53の内面59Aに当接する。
【0049】
また、ユーザが空気圧縮機10を運搬しようとして、ハウジング30が基台15に対して鉛直方向で上に移動する量は、ハウジング30が回転中心線A1を中心として基台15に対して円弧状に振動する量よりも少なくなる。したがって、ユーザが空気圧縮機10を運搬する場合に、圧縮部11またはファン12またはモータ20のうち、少なくとも一つが周辺要素に接触することを回避できる。周辺要素は、例えば、カバー16である。
【0050】
さらに、ユーザが空気圧縮機10を運搬しようとして、ハウジング30が基台15に対して鉛直方向で上に移動すると、緩衝部材55が弾性変形した後、脚部53が弾性体69に接触する。脚部53が弾性体69に接触した後は、空気タンク13及び減圧弁14の質量は、基台15及びボルト56を介してハウジング30によって支えられる。したがって、緩衝部材55の弾性変形量の増加を抑制できる。
【0051】
さらに、ユーザが空気圧縮機10を持ち上げた場合に、ねじ部材67は、2つの側板61から中心線D1に沿った方向の異なる位置で荷重を受ける。したがって、ねじ部材67が受ける荷重が一箇所に集中することを回避できる。
【0052】
さらに、ユーザが空気圧縮機10を運搬しようとして、ハウジング30が、図4及び図6に示す基台15に対して回転中心線A1に沿った方向に移動する場合を説明する。この場合、ハウジング30が基台15に対して移動可能な範囲L4は、緩衝部材55と側板61とが接触して制限される。つまり、ハウジング30の基台15に対する範囲L4は、緩衝部材55と側板61との隙間量に応じて定まる。
【0053】
このように、空気圧縮機10は、ハウジング30が基台15に対して移動可能な範囲として、回転中心線A1と交差する方向の範囲L1,L2,L3と、回転中心線A1に沿った方向の範囲L4とを、別々に制限できる。
【0054】
さらに、弾性体69が設けられているため、金属製のスリーブ68と、金属製の脚部53とが直接接触することが無く、異音を防止できる。
【0055】
(第2実施例)
空気圧縮機10の他の例は、図11及び図12に示されている。空気圧縮機10は、複数、一例として2つの空気タンク13を有する。2つの空気タンク13は、基台15によって接続されている。基台15は、2つの空気タンク13にそれぞれ溶接により固定されている。2つの空気タンク13の中心線C1は、互いに平行に配置されている。2つの空気タンク13に脚部19が2個ずつ設けられている。全ての脚部19が床21に接触して、空気圧縮機10が床21に置かれている。2つの空気タンク13の内部同士は、接続管によって接続されている。第2圧縮部29で圧縮された空気は、一方の空気タンク13に送られる。
【0056】
減圧弁71が、2つの空気タンク13の少なくとも一方に設けられている。減圧弁71にダイヤル72が設けられている。ユーザはダイヤル72を操作し、空気タンク13から取り出す圧縮空気の圧力を調整できる。接続管73が、減圧弁71に接続されている。圧力センサ48が、接続管73に設けられている。カプラ18が、接続管73に設けられている。ユーザは、エアホースをカプラ18に接続及び取り外しできる。空気タンク13内の圧縮空気は、接続管73及びカプラ18を通ってエアホースに送られる。
【0057】
カバー16は、圧縮部11、モータ20及びファン12を覆っている。2つのハンドル74が、ブラケット75を介して2つの空気タンク13にそれぞれ取り付けられている。ブラケット75は、空気タンク13の中心線C1に沿った方向に間隔をおいて2つ設けられている。2つのブラケット75は、2つの空気タンク13にそれぞれ溶接によって固定されている。ハンドル74は、2つのブラケット75にそれぞれ取り付けられている。2つのハンドル74及び2つのブラケット75は、カバー16により覆われた空間の外に配置されている。圧縮部11、ファン12及びモータ20は、中心線C1に沿った方向で、ハンドル74とハンドル74との間に配置されている。
【0058】
図11及び図12に示された圧縮部11、モータ20及びファン12は、接続部49,50,51,52、及び基台15を介して2つの空気タンク13によって支持されている。第2実施例の空気圧縮機10の他の構成は、第1実施例の空気圧縮機10と同じである。第2実施例の空気圧縮機10は、第1実施例の空気圧縮機10と同じ構成部分について、第1実施例の空気圧縮機10と同じ作用効果を得ることができる。
【0059】
また、ユーザは、手でハンドル74を握り、第2実施例の空気圧縮機10を床21から持ち上げることが可能である。この場合、2つの空気タンク13の質量に応じた荷重が、接続部49,50,51,52に加わることはない。鉛直方向は、図11及び図12における上下方向である。
【0060】
(接続部の他の例)
図13には、図6に示す接続部49の他の例が示されている。フレーム54は、基板60と、基板60に接続された2つの側板61A,61Bと、を有する。2つの側板61A,61Bは、互いに平行に配置されている。側板61Aは、支持孔61Cを有し、側板61Bは、支持孔61Dを有する。支持孔61Cは、中心線D1に対して垂直な平面内における形状が、例えば、図14(A)のように円形である。中心線D1は、ねじ部材70の中心を示す仮想線である。ねじ部材70の一部は、スリーブ68内に配置されている。ねじ部材70は、頭部70A及び軸部70Bを有する。段付きスリーブ81が設けられ、段付きスリーブ81は、図15(A)のように、大径部82及び小径部83を有する。大径部82の外径は、支持孔61Cの内径より大きく、小径部83の外径は、支持孔61Cの内径より小さい。段付きスリーブ81は、軸孔80を有する。軸部70Bの一部は、軸孔80に配置されている。軸部70Bの先端の外周面に雄ねじが設けられ、軸部70Bの雄ねじは、クリンチングナット102の雌ねじ孔103にねじ込まれている。段付きスリーブ81の小径部83が支持孔61Cに配置され、クリンチングナット102の一部が支持孔61Dに圧入されて固定されている。軸部70Bの雄ねじが雌ねじ孔103にねじこまれることにより、ねじ部材70がフレーム54に固定されている。さらに、弾性体69の外径R1は、支持孔61Cの内径R2より小さい。
【0061】
図13に示された規制孔59は、図6図7及び図10に示された規制孔59と同様の形状及び構成を有する。このため、図13に示された接続部49の作用効果は、図6及び図7に示された接続部49の作用効果と同じである。また、接続部50,51,52のそれぞれの構成を、図13に示された接続部49の構成と同じにすることも可能である。
【0062】
図6図7及び図10に示された構成では、空気圧縮機10を組み立てる作業の場合、特にスリーブ68及び弾性体69を組み付ける作業の場合に、脚部53を緩衝部材55に組み付けた後、緩衝部材55を変形させてフレーム54を避けながら、スリーブ68及び弾性体69を規制孔59に挿通する必要があり、組み立て性に難があった。
【0063】
一方で、図13に示された構成の空気圧縮機10においてスリーブ68及び弾性体69を組み付ける作業の場合は、予めスリーブ68及び弾性体69をねじ部材70に取り付けておく。次に、ねじ部材70、スリーブ68及び弾性体69を支持孔61C及び規制孔59へ挿入した後、軸部70Bの先端を雌ねじ孔103へ挿入し、ねじ部材70を締め付けると、段付きスリーブ81が側板61Aに押し付けられて、組み付けが完了する。したがって、脚部53を緩衝部材55に組み付けた後でもスリーブ68及び弾性体69を容易に規制孔59に挿通することができ、空気圧縮機10の組み立て性が向上する。
【0064】
また、スリーブ68が、側板61Aと側板62Aとの間に配置されている。したがって、ねじ部材70を締め付けた場合に、側板61Aと側板62Aとの間隔が狭くなることを回避できる。
【0065】
段付きスリーブ81に代えて、図15(B)に示すプレート84を用いることも可能である。プレート84は、基部85及び突起86を有する。軸孔87が、基部85及び突起86を貫通して設けられている。突起86は、中心線D1に対して垂直な平面内における形状が、略四角形である。側板61Aは、図14(B)のように、支持孔61Eを有する。支持孔61Eは、中心線D1に対して垂直な平面内における形状が、略四角形である。外径R1は、支持孔61Eの内接円の外径R3より小さい。ねじ部材70の軸部70Bの一部が軸孔87に配置され、かつ、突起86が支持孔61Eに配置された状態で、ねじ部材70が締め付けられる。プレート84は、側板61Aに押し付けられる。プレート84及び支持孔61Eを有する接続部49の効果は、段付きスリーブ81及び支持孔61Cを有する接続部49の効果と同じである。なお、接続部50,51,52が、プレート84及び支持孔61Eを有していてもよい。
【0066】
プレート84に代えて、図15(C)に示すプレート88を用いることも可能である。プレート88は、複数の突起89と、軸孔104と、を有する。ねじ部材70の軸部70Bの一部が軸孔104に配置され、かつ、突起89が支持孔61Eに配置された状態で、ねじ部材70が締め付けられる。突起89は、プレート88が回転することを防止する。プレート88は、側板61Aに押し付けられる。プレート88及び支持孔61Eを有する接続部49の効果は、段付きスリーブ81及び支持孔61Cを有する接続部49の効果と同じである。なお、接続部50,51,52が、プレート88及び支持孔61Eを有していてもよい。
【0067】
図16は、接続部49の他の例を示している。弾性体69は、孔91を有し、スリーブ68は、孔91に配置されている。孔91の内径R4は、スリーブ68の外径R5より大きい。このため、弾性体69の内周面と、スリーブ68の外周面との間に隙間92が設けられている。また、中心線D1に沿った方向で、弾性体69と側板61Bとの間に隙間93が設けられ、弾性体69と、側板61A及び段付きスリーブ81との間に隙間94が設けられている。
【0068】
弾性体69及びスリーブ68が、上記の寸法であると、弾性体69は、スリーブ68に対して回転可能である。このため、弾性体69の外周面のうち、弾性体69の円周方向で何れの箇所でも規制孔59の内面59Aに接触可能である。したがって、弾性体69の円周方向における部分的な摩耗を抑制でき、弾性体69の耐久性が向上する。なお、接続部50,51,52が、図16に示された接続部49の構成を備えていてもよい。
【0069】
図17は、接続部49の他の例を示している。図17の接続部49は、図13のスリーブ68及び弾性体69を備えていない。図17に示された接続部49は、弾性体98が規制孔59に設けられている。図18(A)のように、中心線D1に対して垂直な平面内で、弾性体98の外周形状は、規制孔59の内面59Aの形状と近似する。弾性体98は、筒形状であり、図18(B)のように、弾性体98の外面99の全部が、内面59Aに接触されている。具体的には、弾性体98は、規制孔59に嵌め込まれており、内面59Aによって弾性体98が支持されている。弾性体98を中心線D1に沿った方向に貫通する孔100が設けられ、軸部70Bの一部が孔100に配置されている。軸部70Bは、中心線D1に対して垂直な平面内において孔100に対して相対移動可能である。
【0070】
側板61Aは支持孔61Fを有する。支持孔61D,61Fは、中心線D1を中心として同心状に設けられている。クリンチングナット96の一部が支持孔61Fに圧入されて固定され、クリンチングナット96は、雌ねじ孔97を有する。ねじ部材70が締め付けられ、軸部70Bは、雌ねじ孔103,97にねじ込まれている。クリンチングナット102,96を備え、頭部70Aがクリンチングナット96に接触すると、ねじ部材70の締め付けが完了する。したがって、ねじ部材70締め付け過ぎを抑制でき、側板61Aと側板62Aとの間隔が狭くなることを回避できる。
【0071】
図6に示されたハウジング30が振動すると、図17及び図18(A)に示された弾性体98と軸部70Bとが接触し、ハウジング30の振動が抑制される。また、ねじ部材70を規制孔59に挿入する場合に、弾性体98を脚部53の規制孔59に仮保持させることができ、空気圧縮機10の組み立て作業性が向上する。なお、図13に示されたスリーブ68が、図18(A)の軸部70Bに取り付けられていてもよい。この場合、ハウジング30が振動すると、弾性体98とスリーブ68とが接触し、ハウジング30の振動が抑制される。
【0072】
図18(A)に示された弾性体98の他の例が、図18(C)に示されている。図18(C)に示された弾性体98は、中心線D1に沿った方向に貫通する孔101を有する。孔101は、複数設けられていてもよい。孔101によって弾性体98のバネ定数が小さくなり、弾性体98が振動を抑制する機能が向上する。
【0073】
接続部49,50,51,52の全部は、図13図16図17の何れか1つに示された接続部49の構成と同じでもよいし、接続部49,50,51,52のそれぞれが、図13図16図17の何れか複数に示された接続部49の構成を組み合わせた構成でもよい。
【0074】
(補足説明)
本実施形態で説明した事項の意味の一例は、次の通りである。空気圧縮機10は、気体圧縮機の一例である。回転軸34は、回転軸の一例である。圧縮部11は、圧縮部の一例である。基台15は、支持部の一例である。フレーム54及び緩衝部材55は、第1制限機構の一例である。緩衝部材55は、緩衝部材の一例である。脚部53及びねじ部材67及びスリーブ68は、第2制限機構の一例である。
【0075】
フレーム54は、第1接触部材の一例である。規制孔59は、規制孔の一例である。ねじ部材67,70及びスリーブ68は、第2接触部材及び軸部材の一例である。第1コネクティングロッド37及び第2コネクティングロッド43は、それぞれコネクティングロッドの一例である。第1ピストン38及び第2ピストン44は、それぞれピストンの一例である。ハウジング30は、ハウジングの一例である。接続部49,50,51,52は、接続部の一例である。
【0076】
回転中心線A1は、回転中心線の一例である。中心線D1は、軸部材の中心線の一例である。鉛直方向、略水平方向、回転中心線A1を中心とする円周方向は、それぞれ回転中心線と交差する方向の一例である。範囲L1,L2,L3は、それぞれ第2範囲の一例である。範囲L4は、第1範囲の一例である。範囲L1は、主範囲の一例である。範囲L2は、副範囲の一例である。
【0077】
空気タンク13は、タンクの一例である。脚部19は、脚部の一例である。略水平方向は、鉛直方向と交差する方向の一例である。弾性体69,98は、弾性体の一例である。外面99は、被保持部の一例である。支持孔61C,61D,61Fは、支持孔の一例である。ハンドル31,74は、ハンドルの一例である。電源22は、電源の一例である。モータ20は、電動モータの一例である。空気タンク13は、第1タンク及び第2タンクの一例である。
【0078】
上記実施形態では、気体圧縮機の例として空気圧縮機を説明している。気体圧縮機は、空気圧縮機に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、圧縮部が圧縮する気体は、空気の他に不活性ガスを含む。不活性ガスは、希ガス、窒素ガスを含む。また、圧縮部で圧縮された気体を蓄えるタンクは、単数または複数の何れでもよい。第2接触部材は、支持部に直接に設けられていてもよいし、支持部に別部材を介して間接に設けられていてもよい。
【0079】
ねじ部材67と脚部53との間に設ける弾性体は、ねじ部材に取り付けることに代えて、脚部53に取り付けることも可能である。さらに、スリーブ68及び弾性体69が、ねじ部材67に設けられていなくてもよい。つまり、ねじ部材67は、脚部53に直接または間接に接触及び離間可能であればよい。
【0080】
フレーム54は、基台15にボルト56によって取り付けることに代えて、フレーム54は基台15に溶接で固定されていてもよい。接続部の数は4個に限らず、3個以下でもよいし、5個以上でもよい。第1実施例の空気圧縮機10は、空気タンク13を複数有していてもよい。脚部19は、床21に接触可能な他、地面に接地可能であり、かつ、作業台に接触可能である。支持部は金属製であり、支持部は、基台、ブラケット及びフレーム等を含む。
【0081】
本実施形態において、第1制限機構と第2制限機構とを別々に備えているということは、第1制限機構の要素の少なくとも1つと、第2制限機構の要素の少なくとも1つとが、別部材であることを意味する。
【0082】
更に他の空気圧縮機を説明する。更に他の空気圧縮機は、規制孔59を有する脚部53及び緩衝部材55と同様の構成が、基台15に設けられている。また、フレーム54がボルト56によってハウジング30に取り付けられている。更に他の空気圧縮機は、ハウジング30が基台15に対して移動可能な範囲を別々に制限可能である。
【符号の説明】
【0083】
10…空気圧縮機(気体圧縮機)、11…圧縮部、13…空気タンク、15…基台(支持部)、19…脚部、20…モータ、22…電源、30…ハウジング、31,74…ハンドル、34…回転軸、37…第1コネクティングロッド、43…第2コネクティングロッド、38…第1ピストン、44…第2ピストン、49,50,51,52…接続部、53…脚部(第2制限機構)、54…フレーム(第1制限機構)、55…緩衝部材(第1制限機構)、59…規制孔、61C,61D,61F…支持孔、67,70…ねじ部材(第2制限機構)、69,98…弾性体、99…外面、A1…回転中心線、D1…中心線、L1,L2,L3,L4…範囲
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18