(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】画像検査装置、及び、画像形成システム
(51)【国際特許分類】
G01N 21/892 20060101AFI20240319BHJP
B41J 29/393 20060101ALI20240319BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20240319BHJP
B41J 5/30 20060101ALI20240319BHJP
B41J 2/525 20060101ALI20240319BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
G01N21/892 A
B41J29/393 101
B41J29/393 105
B41J29/38 501
B41J5/30 Z
B41J2/525
G06T1/00 310A
(21)【出願番号】P 2020083188
(22)【出願日】2020-05-11
【審査請求日】2023-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂谷 一臣
【審査官】三宅 克馬
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/012826(WO,A1)
【文献】特開2010-071893(JP,A)
【文献】特開2017-227474(JP,A)
【文献】特開2013-024592(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84 - G01N 21/958
G06T 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録材に印刷された画像を読み取る読取部と、
第1のプロセッサ、前記第1のプロセッサよりも画像処理能力の高い第2のプロセッサ、前記第1のプロセッサが使用する第1のメモリー、及び、前記第2のプロセッサが使用する第2のメモリーを有し、前記第1のプロセッサと前記第2のプロセッサとが協働することにより、前記記録材に印刷された画像を前記読取部で読み取って得られる検査画像の画像データと、正解画像の画像データとを比較して前記検査画像の欠陥を抽出する画像検査を実行する検査部と、を備え、
前記検査部は、前記画像検査を実行する前に、前記正解画像の画像データ同士を比較するダミー検査を実行
し、
前記ダミー検査において、
前記第1のプロセッサは、前記正解画像の画像データを前記第1のメモリーの任意の領域に読み込み、
前記第2のプロセッサは、少なくとも前記正解画像の画像データの一部を前記第2のメモリーに読み込んだ後、キャッシュメモリーに格納する
画像検査装置。
【請求項2】
前記検査部は、前記画像検査の終了後に、前記第2のプロセッサのキャッシュメモリーに格納された画像データを消去する
請求項1に記載の画像検査装置。
【請求項3】
前記検査部は、前記ダミー検査を実行する前に出力され、ユーザーによって検査された印刷物の読み取り画像を、前記読取部を介して前記正解画像として取得する
請求項1又は2に記載の画像検査装置。
【請求項4】
前記検査部は、前記ダミー検査を実行する前に、前記記録材に印刷される前記画像をラスター処理して得られるラスター画像が前記検査画像と同様の色成分に色変換された、色変換後ラスター画像を正解画像として取得する
請求項1又は2に記載の画像検査装置。
【請求項5】
画像形成装置と、画像検査装置を含む画像形成システムであって、
記録材に印刷された画像を読み取る読取部と、
第1のプロセッサ、前記第1のプロセッサよりも画像処理能力の高い第2のプロセッサ、前記第1のプロセッサが使用する第1のメモリー、及び、前記第2のプロセッサが使用する第2のメモリーを有し、前記第1のプロセッサと前記第2のプロセッサとが協働することにより、前記記録材に印刷された画像を前記読取部で読み取って得られる検査画像の画像データと、正解画像の画像データとを比較して前記検査画像の欠陥を抽出する画像検査を実行する検査部と、を備え、
前記検査部は、前記画像検査を実行する前に、前記正解画像の画像データ同士を比較するダミー検査を実行
し、
前記ダミー検査において、
前記第1のプロセッサは、前記正解画像の画像データを前記第1のメモリーの任意の領域に読み込み、
前記第2のプロセッサは、少なくとも前記正解画像の画像データの一部を前記第2のメモリーに読み込んだ後、キャッシュメモリーに格納する
画像形成システム。
【請求項6】
前記画像検査装置での前記ダミー検査中、前記画像形成装置は画像形成を停止する
請求項5に記載の画像形成システム。
【請求項7】
前記画像形成装置は、ラスター画像を前記検査画像と同様の色成分に色変換して色変換後ラスター画像を生成し、
前記
画像検査装置は、前記色変換後ラスター画像を正解画像として取得する
請求項5又は6に記載の画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像検査装置、及び、画像検査装置を備える画像形成システムに係わる。
【背景技術】
【0002】
画像データのグラフィック処理にGPU(Graphics Processing Unit)を用いる画像処理装置が知られている。また、画像処理装置では、GPUをグラフィック処理以外の計算用途に用いるGPGPU(General-Purpose Computing on Graphics Processing units)として利用されている。この構成では、CPU(Central Processing Unit)だけの処理と比較して高い処理性能が得られる。
【0003】
一般に、GPUは解像度変換や画像回転など、グラフィックスに関する処理はCPUよりも高速である。また、CPUはRAM(Random Access Memory)(メインメモリー、システムメモリー)上に、GPUはVRAM(Video Random Access Memory)等のビデオメモリーに、各々データを一時保存して処理する。例えば、GPUの得意とするグラフィックス関係の計算をする場合、CPUでの前処理を実施したデータをメインメモリからビデオメモリーにコピーする必要がある。この画像データをコピーする時間はオーバーヘッドと呼ばれ、実際の処理時間以外に必要となる。さらに、コピーされたデータはGPUのキャッシュメモリに格納して処理される。ビデオメモリーからキャッシュメモリにデータを格納する際、キャッシュメモリに何も格納されていない状態に比較して、一度データを格納した後の状態の方が、次のデータを高速に格納できる。そして、通常、一連の処理終了後、キャッシュメモリがクリアされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-164914号公報
【文献】特開2011-204052号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的な画像検査では、正解画像と検査画像とを比較して差分を欠陥として抽出する。このため、画像検査にGPUを用いる場合には、GPUにおいて処理対象の画像データをメインメモリーからビデオメモリーにコピーする必要がある。
【0006】
すなわち、画像検査において、1枚目の記録材に印刷された画像を検査する際には、正解画像と検査画像とをGPUで処理する必要がある。一方、2枚目以降の記録材に印刷された画像の検査では、1枚目の検査の際に処理されたキャッシュデータを利用できるため、GPUの処理負担が小さい。このため、画像検査では、1枚目の画像と2枚目以降の画像とでGPUの処理負担が異なる。この結果、画像検査装置では、処理負担の大きい1枚目の画像の処理時間が律速となる。
従って、画像検査装置において、1枚目の画像検査におけるGPUの処理負担を軽減することが求められている。
【0007】
上述した問題の解決のため、本発明においては、画像検査で用いられる第2のプロセッサ(例えばGPU)の処理負担を軽減することが可能な画像検査装置、及び、画像形成装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の画像検査装置は、記録材に印刷された画像を読み取る読取部と、第1のプロセッサ、第1のプロセッサよりも画像処理能力の高い第2のプロセッサ、第1のプロセッサが使用する第1のメモリー、及び、第2のプロセッサが使用する第2のメモリーを有し、第1のプロセッサと第2のプロセッサとが協働することにより、記録材に印刷された画像を読取部で読み取って得られる検査画像の画像データと、正解画像の画像データとを比較して検査画像の欠陥を抽出する画像検査を実行する検査部とを備える。検査部は、画像検査を実行する前に、正解画像の画像データ同士を比較するダミー検査を実行する。
また、本発明の画像形成システムは、画像形成装置と、上記画像検査装置とを備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、画像検査での第2のプロセッサの処理負担を軽減することが可能な画像検査装置、及び、画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】画像形成システムの概略構成を示す図である。
【
図2】インクジェット記録装置の主要なシステム構成を表すブロック図である。
【
図3】画像検査装置の検査部の主要なシステム構成を表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態の例を説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
【0012】
〈1.画像形成システムの実施形態〉
以下、本発明の画像形成システムの一実施形態について説明する。
図1に、画像形成システムの概略構成を示す。
図1に示す画像形成システム1は、給紙装置10、インクジェット記録装置20、画像検査装置30を備える。なお、以下の説明では、インクジェット記録装置を用いた構成の画像形成システムについて説明するが、画像形成システムはインクジェット記録方式に限らず他の方式の画像形成装置を備えていてもよい。
【0013】
[給紙装置]
給紙装置10は、画像形成が行われる記録材Sを保持し、画像形成の際に画像形成部200に供給する。給紙装置10は、給紙トレイ11と、搬送部12とを含む。
給紙トレイ11は、板状であり、複数の記録材Sを載置可能である。給紙トレイ11は、載置された記録材Sの量に応じて上下動する。給紙トレイ11は、最上の記録材Sが搬送部12により搬送される位置で保持される。
【0014】
搬送部12は、複数(
図1では2本)のローラー121及び122と、輪状のベルト123とを含む。ベルト123は、複数のローラー121及び122によって回転駆動される。搬送部12は、ベルト123上の記録材Sを搬送する搬送機構と、給紙トレイ11に載置された最上部の記録材Sをベルト123に受け渡す供給部とを含む。搬送部12は、供給部によってベルト123に受け渡された記録材Sを、ベルト123の回転動作に伴って搬送する。
【0015】
[インクジェット記録装置]
インクジェット記録装置20は、画像形成部200と、制御部50とを備える。インクジェット記録装置20は、制御部50の制御に基づいて、給紙装置10から画像形成部200に記録材Sを搬送する。そして、搬送した記録材Sに対して画像形成部200で画像を形成し、画像を形成した記録材Sを画像検査装置30に搬送する。
【0016】
画像形成部200は、UVインク等のインクを記録材S上に吐出することによって記録材Sに画像を形成する。画像形成部200は、画像形成ドラム21と、受け渡しユニット22と、記録材加熱部23と、複数のヘッドユニット24と、照射部25と、デリバリー部26とを含む。
【0017】
画像形成ドラム21は、円筒状の外周面に沿って記録材Sを担持し、回転に伴って記録材Sを搬送する。画像形成ドラム21の搬送面は、記録材加熱部23、複数のヘッドユニット24、及び、照射部25に対向している。画像形成ドラム21は、搬送される記録材Sに対して画像形成に係る処理を行う。
【0018】
受け渡しユニット22は、画像形成ドラム21と、給紙装置10の搬送部12との間に設けられている。受け渡しユニット22は、搬送部12により搬送された記録材Sを画像形成ドラム21に受け渡す。受け渡しユニット22は、スイングアーム部221と、円筒状の受け渡しドラム222などを含む。スイングアーム部221は、搬送部12により搬送された記録材Sの一端を担持する。受け渡しドラム222は、スイングアーム部221に担持された記録材Sを画像形成ドラム21に受け渡す。受け渡しユニット22は、搬送部12上の記録材Sをスイングアーム部221により取り上げて受け渡しドラム222に受け渡すことで、記録材Sを画像形成ドラム21の外周面に沿う向きに誘導して画像形成ドラム21に受け渡す。
【0019】
記録材加熱部23は、画像形成ドラム21に担持された記録材Sを加熱する。記録材加熱部23は、例えば赤外線ヒーター等を含み、通電に応じて発熱する。記録材加熱部23は、画像形成ドラム21の外周面の近傍であって、画像形成ドラム21の回転による記録材Sの搬送方向に沿ったヘッドユニット24の上流側に設けられている。記録材加熱部23は、画像形成ドラム21に担持されて記録材加熱部23の近傍を通過する記録材Sが所定の温度となるように、その発熱を制御部50により制御される。
【0020】
複数のヘッドユニット24は、画像形成ドラム21に担持された記録材Sに対して、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、及びK(ブラック)の各色のインクを吐出することで、記録材Sに画像を形成する。ヘッドユニット24はCMYK各色について個別に設けられている。
図1では、画像形成ドラム21の回転に伴い搬送される記録材Sの搬送方向に沿って、YMCKの各色に対応したヘッドユニット24がこの順番で設けられている。
【0021】
なお、ヘッドユニット24は、記録材Sの搬送方向に垂直な方向(幅方向)について記録材Sの全体をカバーする長さ(幅)で設けられている。すなわち、インクジェット記録装置20は、ワンパス方式のラインヘッド型インクジェット記録装置である。ヘッドユニット24は、複数のインクジェットヘッドを配列してラインヘッドを構成することができる。
【0022】
照射部25は、記録材S上に吐出されたインクを硬化させるためのエネルギー線を照射する。照射部25は、例えば低圧水銀ランプなどの蛍光管を含む。照射部25は、蛍光管を発光させることで紫外線等のエネルギー線を照射する。照射部25は、画像形成ドラム21の外周面の近傍であって、画像形成ドラム21の回転による記録材Sの搬送方向についてヘッドユニット24の下流側に設けられている。照射部25は、画像形成ドラム21に担持されてインクが吐出された記録材Sに対してエネルギー線を照射し、記録材S上のインクを硬化させる。
【0023】
紫外線を発する蛍光管としては、低圧水銀ランプの他、数百Pa~1MPa程度の動作圧力を有する水銀ランプ、殺菌灯として利用可能な光源、冷陰極管、紫外線レーザー光源、メタルハライドランプ、発光ダイオード等が挙げられる。これらの中で、紫外線をより高照度で照射可能であって消費電力の少ない光源(例えば発光ダイオード)がより望ましい。また、エネルギー線は、紫外線に限らず、インクの性質に応じてインクを硬化させる性質を有すればよい。照射部25は、エネルギー線の波長等に応じて光源が置換されてもよい。
【0024】
デリバリー部26は、照射部25によってエネルギー線が照射された記録材Sを画像形成ドラム21から画像検査装置30に搬送する。デリバリー部26は、複数(
図2では2本)のローラー261及び262と、輪状のベルト263等を含む。ベルト263は、複数のローラー261及び262により回転駆動される。デリバリー部26は、ベルト263上の記録材Sを搬送する搬送機構と、記録材Sを画像形成ドラム21から搬送機構に受け渡す円筒状の受け渡しドラム264とを含む。デリバリー部26は、受け渡しドラム264によってベルト263に受け渡された記録材Sを、ベルト263によって搬送して画像検査装置30に送り出す。
【0025】
制御部50は、インクジェット記録装置20の各部の動作を制御し、全体の動作を統括する。制御部50は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)等を含む。制御部50の詳細については後述する。
【0026】
インクジェット記録装置20では、例えばUVインク等が使用される。UVインクは、UVが照射されない状態では、温度に応じてゲル状態と液体(ゾル)状態との間で相変化する。UVインクは、例えば100℃程度の相変化温度を有しており、この相変化温度以上に加熱上昇された場合に一様に液化(ゾル化)する。一方、このインクは、通常の室温程度(0℃~30℃)を含む相変化温度以下の温度ではゲル化する。
【0027】
(インクジェット記録装置のシステム構成)
図2に、インクジェット記録装置20の主要なシステム構成を表すブロック図を示す。
インクジェット記録装置20は、搬送部58に設けられた搬送駆動部581及びロータリーエンコーダー582と、ヘッドユニット24に設けられたヘッド制御部241及びヘッド駆動部242と、制御部50と、画像処理部55と、操作表示部56と、入出力インターフェース57と、バス59などを備える。
【0028】
搬送駆動部581は、制御部50から供給される制御信号に基づいて搬送モーターに駆動信号を供給し、駆動ローラーを所定の回転速度で回転させることにより、搬送ベルトを所定の移動速度で移動させる。
【0029】
ヘッド制御部241は、制御部50からの制御信号や、ロータリーエンコーダー582から入力されたパルス信号のカウント数に応じた適切なタイミングで、ヘッド駆動部242に対して各種制御信号や画像データを出力する。
ヘッド駆動部242は、ヘッド制御部241から入力される制御信号や画像データに応じてヘッドユニット24の記録素子に対して圧電素子を変形動作させる駆動信号を供給し、各ノズルの開口部からインクを吐出させる。
【0030】
制御部50は、CPU51、RAM52、ROM53及び記憶部54を有する。
CPU51は、ROM53に記憶された各種制御用のプログラムや設定データを読み出してRAM52に記憶させ、当該プログラムを実行して各種演算処理を行う。また、CPU51は、インクジェット記録装置20の全体動作を統括制御する。
RAM52は、CPU51に作業用のメモリー空間を提供し、一時データを記憶する。RAM52は、不揮発性メモリーを含んでいてもよい。
ROM53は、CPU51により実行される各種制御用のプログラムや設定データ等を格納する。なお、ROM53に代えてEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)やフラッシュメモリー等の書き換え可能な不揮発性メモリーが用いられてもよい。
【0031】
記憶部54には、入出力インターフェース57を介して外部装置100から入力されたプリントジョブ(画像記録命令)、及び、当該プリントジョブに係る画像データが記憶される。記憶部54としては、例えばHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)が用いられ、また、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等が併用されてもよい。
【0032】
画像処理部55は、制御部50による制御下で、記憶部54に記憶された画像データに対して所定の画像処理を行い、画像処理後の画像データを記憶部54に記憶させる。画像処理部55が行う画像処理としては、外部装置100から入力され記憶部54に記憶されたPDL(Page Description Language)データをラスター形式の画像データに変換するRIP(Raster Image Processor)処理、R(Red)、G(Green)、B(Blue)の各色成分の画像データをY、M、C、K等の各色成分の画像データに変換する色変換処理等がある。
【0033】
画像処理部55において生成されたY、M、C、Kの画像データは、4つのヘッドユニット24のうちインクの色が対応するヘッドユニット24に供給される。そして、制御部50及びヘッド制御部241の制御下で、供給された画像データに基づいてヘッドユニット24がインク吐出動作を行う。
【0034】
なお、画像処理部55を設けず、制御部50において上記各種の画像処理を行ってもよい。また、インクジェット記録装置20の外部に設けられた外部装置100において上記各種の画像処理を行い、処理後の画像データを記憶部54に記憶させてもよい。
【0035】
操作表示部56は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等の表示装置と、操作キーや、表示装置の画面に重ねられて配置されたタッチパネル等の入力装置とを備える。操作表示部56は、表示装置において各種情報を表示させ、また入力装置に対するユーザーの入力操作を操作信号に変換して制御部50に出力する。
【0036】
入出力インターフェース57は、外部装置100と制御部50との間のデータの送受信を媒介する。入出力インターフェース57は、例えば各種シリアルインターフェース、各種パラレルインターフェースのいずれか又はこれらの組み合わせで構成される。
【0037】
バス59は、制御部50と他の構成との間で信号の送受信を行うための経路である。
外部装置100は、例えばパーソナルコンピューターであり、入出力インターフェース57を介してプリントジョブ及び画像データ等を制御部50に供給する。
【0038】
なお、インクジェット記録装置20の構成要素は上記に限られず、必要に応じて他の構成要素が設けられていてもよい。例えば、搬送方向についてヘッドユニット24の上流側に、記録材Sの浮き等の載置異常や記録材S上に付着した異物などの検出を行うためのセンサー(異状検知部)を設けてもよい。
【0039】
[検査装置]
また、
図1に示す画像形成システム1の画像検査装置30は、インクジェット記録装置20から搬送されてきた記録材Sを搬送する搬送路41、反転搬送路42、反転部43、読取部44、記録材Sが排紙される排紙トレイ45、及び、検査部40を有する。
【0040】
画像検査装置30は、インクジェット記録装置20から搬送された記録材Sに形成(印刷)された画像を読取部44で読み取り、検査部40において読取画像の正常又は異常を検査する。画像検査装置30に搬送される記録材Sは、両面又は片面に画像が形成された印刷物である。
【0041】
読取部44は、撮像素子等の光学センサーや分光測色計等の測色計を備える。読取部44は、例えば、記録材Sの表面に光を投射し、記録材Sからの反射光を画像データとして読取る。このように読取部44が記録材Sの画像データを読取ることにより、読取画像データを取得する。読取部44は、搬送路41を搬送される記録材Sを搬送路41の上方から読取る。読取部44は、記録材Sの読取画像データを検査部40に出力する。
【0042】
画像検査装置30において、搬送路41には、読取部44の下流側で分岐して、画像検査装置30の上流側の搬送路41に合流する反転搬送路42が接続されている。反転搬送路42には、記録材Sの表裏を反転させる反転部43が設けられている。反転部43で反転された記録材Sは、反転搬送路42を通して搬送路41の上流側に返される。画像検査装置30により検査された記録材Sは、排紙トレイ45(排紙部の一例)に排紙される。なお、搬送路41の上方及び下方のそれぞれに読取部が設けられる場合には、反転搬送路42は不要である。
【0043】
図1に示す画像検査装置30のように、一つの排紙トレイ45しかない場合には、正常記録材と異常記録材が混在して排紙される。この場合、正常記録材と異常記録材は、それぞれ排紙される方向に直交する方向に少しずらして排紙される。なお、画像検査装置30によって画像が異常と判定された記録材S(ヤレ紙)が排紙される排紙トレイと、排紙トレイ45と他の排紙トレイのいずれかに記録材Sが搬送されるよう、記録材Sの搬送方向を切替える切替部を設けてもよい。
【0044】
検査部40は、読取部44から入力される読取画像データを記憶し、読取画像データの画像検査を行う。検査部40は、例えば、記録材Sに印刷された画像の読取画像データにおいて、汚れ、筋、位置ずれ等の異常を検出しなければ、この画像を正常画像と判定する。また、検査部40は、読取画像データにおいて、条件を満たす異常を検出した場合には、この画像を異常画像と判定する。
【0045】
検査部40は、正解画像と記録材Sに形成された画像の読取画像との比較によって、上記の画像検査における正常画像又は異常画像の判定を行う。正解画像の画像データ(正解画像データ)は、インクジェット記録装置20の制御部50において、記憶部54(
図2)等に記憶されている。このため、検査部40は、記憶部54から正解画像データを読み出して、読取画像の画像データ(読取画像データ)と比較し、画像検査を行う。
【0046】
また、画像検査装置30は、画像検査の結果をインクジェット記録装置20に出力する。インクジェット記録装置20は、操作表示部56(
図2)に画像検査の結果を表示することができる。このため、ユーザーは、画像検査の結果をインクジェット記録装置20の操作表示部56に表示された内容によって確認することができる。
【0047】
(検査部のシステム構成)
図3に、画像検査装置30の検査部40の主要なシステム構成を表すブロック図を示す。
検査部40は、フレームグラバー61、チップセット62、記録部63、CPU64、システムメモリー65、GPU66、及び、GPUメモリー67を備える。
CPU64、及び、GPU66は、検査部40において演算処理を行うプロセッサであり、CPU64が第1プロセッサに相当し、GPU66が第1のプロセッサよりも画像処理能力の高い第2のプロセッサに相当する。また、システムメモリー65は、第1のプロセッサ(CPU64)が使用すメモリー(第1のメモリー)である。GPUメモリー67は、第1のプロセッサ(GPU66)が使用すメモリー(第2のメモリー)である。
【0048】
チップセット62は、検査部40に搭載されている機器のデータの受け渡しを管理する。例えば、CPU64、システムメモリー65、GPU66、及び、フレームグラバー61等におけるデータの受け渡しを管理する。
フレームグラバー61は、検査部40の入出力インターフェースである。検査部40は、フレームグラバー61を介して外部機器との通信を行う。そして、検査部40は、フレームグラバー61を介して入力された情報を、チップセット62の管理に基づいて記録部63に格納する。フレームグラバー61は、例えば、読取部44と通信可能に接続され、読取部44が取得した画像データを受信する。また、フレームグラバー61は、例えば、インクジェット記録装置20の入出力インターフェース57(
図2)と通信可能に接続され、インクジェット記録装置20の画像処理部55において処理された、画像処理済みの画像データを受信する。
【0049】
記録部63は、CPU64により実行される各種制御用のプログラムや設定データ等を格納する。また、フレームグラバー61を介して入力された各種情報、例えば、読取部44で取得された読取画像データや、インクジェット記録装置20の制御部50の記憶部54(
図2)から取得した画像処理済みの画像データを格納する。
【0050】
CPU64は、記録部63に記憶された各種制御用のプログラムや設定データを読み出してシステムメモリー65に記憶させ、当該プログラムを実行して、画像検査を行う。システムメモリー65は、RAMによって構成される。
GPU66は、CPU64の指示により、記録部63やシステムメモリー65に記憶された画像データをGPUメモリー67に記憶させ、画像データに対する画像処理や、画像検査等の処理を行う。
【0051】
検査部40は、演算処理を行うプロセッサとしてCPU64とGPU66とを備えることにより、システムメモリー65に展開したデータに対するCPU64の処理と、GPUメモリー67に展開したデータに対するGPU66の処理とを協働して行うことができる。例えば、CPU64で処理した画像データをシステムメモリー65からGPU66のGPUメモリー67にコピーする。さらに、GPUメモリー67にコピーされた画像データは、GPU66のキャッシュメモリに格納され、GPU66によって処理が実行される。
【0052】
検査部40では、CPU64とGPU66との2つの演算処理を行うプロセッサを協働して画像検査を行う。画像検査では、インクジェット記録装置20においてプリントジョブを実行して形成した画像を画像検査装置30の読取部44で読取り、形成画像の検査用の画像データ(検査画像データ)を取得する。そして、この検査画像データを、異常部を含まない正解画像の画像データ(正解画像データ)と比較することによって、検査画像の異常部を検出する。正解画像データは、プリントジョブの実行前に、予め制御部50の記憶部54や、検査部40の記録部63に登録される。
【0053】
また、検査部40は、検査画像データとして正解画像データを用いる画像検査(ダミー検査)を行う。ダミー検査では、インクジェット記録装置20において形成された画像の読み取りデータの替わりに、予め制御部50の記憶部54や検査部40の記録部63に登録された正解画像データを用いる。すなわち、ダミー検査では、正解画像データ同士を比較する画像検査を行う。
【0054】
検査部40におけるダミー検査における画像データの読み込みは、例えば、以下のように行われる。
まず、CPU64が、正解画像として画像データを記録部63から読み出し、システムメモリー65の任意の領域に記憶させる。また、CPU64が、検査画像としての画像データを記録部63から読み出し、システムメモリー65の他の領域に記憶させる。次に、GPUメモリー67に各画像データが記憶させる。さらに、GPUメモリー67に記憶された各画像データは、GPU66のキャッシュメモリに格納され、GPU66によって処理が実行される。そして、一連の処理終了後、キャッシュメモリがクリアされる。
【0055】
CPU64及びGPU66が、画像データを比較して画像検査を行う。なお、画像検査処理において、CPU64とGPU66とは並列処理を行ってもよく、GPU66が行う処理は画像検査処理の一部でもよい。GPUメモリー67に記憶される画像データも各データの一部であってよい。
【0056】
[画像検査方法(1)]
次に、上述の画像形成システム1を用いた画像検査について説明する。画像検査方法のフローチャートを
図4に示す。以下の検査方法では、正解画像として、インクジェット記録装置20で画像形成し、読取部44で取得した画像データを用いる例について説明する。
【0057】
まず、画像形成システム1において画像検査メニューがユーザーによって選択された場合、インクジェット記録装置20が、画像検査用の画像(プルーフ画像)の出力を行う(ステップS10)。プルーフ画像出力は、実際にプリントジョブを実行する前に行う。プルーフ画像出力では、刷物の校正を行うために、記録材Sにプルーフ画像の試し刷りを、インクジェット記録装置20で行う。
【0058】
次に、ユーザーが、目視確認によってプルーフ画像が正常画像かどうか判定する(ステップS11)。
正常画像ではない場合(ステップS11のNO)、すなわち出力したプルーフ画像が異常部を含む場合、ユーザーは、発生した異常部の内容に応じて、インクジェット記録装置20の各種調整(機械調整等)を行う(ステップS12)。
正常画像と判定されるまで、プルーフ画像の出力(ステップS10)と、正常画像かどうかの判定(ステップS11)を繰り返す。
【0059】
ユーザーによる目視検査によってプルーフ画像が正常画像と判定された場合(ステップS11のYES)、出力したプルーフ画像を正解画像として保存する(ステップS13)。プルーフ画像の読取りは、ユーザーによる検査後に読取部44を通過させて行ってもよく、インクジェット記録装置20でのプルーフ画像の出力に連動して、読取部44でのプルーフ画像の読取りを行ってもよい。例えば、ユーザーが、正常画像と判定されたプルーフ画像が印刷された記録材を画像検査装置30の読取部44に供給し、読取部44がプルーフ画像を読取ることで読取画像データを生成する。また、インクジェット記録装置20でプルーフ画像を出力する度に、読取部44がプルーフ画像を読取り、すべてのプルーフ画像の読取画像データを生成してもよい。
読取部44が生成した読取画像データは、フレームグラバー61を介して検査部40に送られる。検査部40は、読取部44から取得したプルーフ画像の読取画像データを、画像検査における正解画像データとして記録部63に格納する。
【0060】
次に、検査部40が取得した正解画像データを用いて、ダミー検査を実行する(ステップS14)。ダミー検査は、検査部40の記録部63に格納された正解画像データのみを用いて実行する。なお、ダミー検査において、キャッシュメモリに格納されたデータ(キャッシュデータ)は、ダミー検査の終了後もクリアしない。
なお、ダミー検査では、コピーした同じ画像データ同士を比較するため、通常は異常部が検出されない。
【0061】
次に、画像形成システム1は、画像形成システム1でのプリントジョブの実行を許可する(ステップS15)。そして、画像形成システム1のインクジェット記録装置20において、プリントジョブを実行する(ステップS16)。
上述のダミー検査は、ユーザーが指示したプリントジョブを実行する前に行う。すなわち、画像形成システム1は、ダミー検査が完了するまで、インクジェット記録装置20でのプリントジョブを実行を許可しない。例えば、画像形成システム1は、ユーザーによる操作を受付ないように操作表示部56の動作を停止する、又は、受付た実行処理に対して給紙装置10や画像形成部200の駆動を保留するように、制御部50によって制御される。このため、制御部50は、ダミー検査の完了後に、インクジェット記録装置20によるプリントジョブの実行の停止、保留等を解除する。これにより、画像形成システム1においてプリントジョブの実行が可能となる。
【0062】
次に、インクジェット記録装置20で形成された画像に対し、画像検査装置30が画像検査を行う(ステップS17)。ここでの画像検査は、通常の画像検査である。例えば、インクジェット記録装置20で記録材Sに形成た画像を画像検査装置30の読取部44で読取り、検査画像データを生成する。そして、検査部40が、読取部44から検査画像データを取得して、正解画像データと比較する。
【0063】
この画像検査では、例えば、検査部40は、フレームグラバー61を介して読取部44から検査画像データを取得し、記録部63に格納する。CPU64が、正解画像データと検査画像データを記録部63から読み出し、システムメモリー65に記憶させる。次に、GPUメモリー67に各画像データが記憶される。さらに、GPUメモリー67に記憶された各画像データは、GPU66のキャッシュメモリに格納され、GPU66によって処理が実行される。
【0064】
従来の検査方法では、1枚目の画像検査の際に、上述の検査画像データに対する処理とともに、CPU64による記録部63から正解画像データの読み出し及びシステムメモリー65への記憶、並びに、CPU64によるGPU66への指示とシステムメモリー65からGPUメモリー67への正解画像データの読み出し及び記憶の処理が行われる。
【0065】
これに対し、本検査方法では、検査部40ではプリントジョブの実行前に行われたダミー検査において記録部63から画像データが読み出され、システムメモリー65やGPUメモリー67に記憶された後、GPU66のキャッシュメモリに格納され、GPU66によって処理が実行されている。このため、GPUメモリー67からGPU66のキャッシュメモリーにデータを格納する際、ダミー検査時の正解画像の格納に比べて、検査画像データの格納が高速になる。従って、プリントジョブ実行後の画像検査では、GPU66での画像処理にかかる時間を短縮することができる。このため、1枚目の画像検査に要する時間を短縮することができる。
【0066】
次に、画像形成システム1においてインクジェット記録装置20の制御部50は、画像検査の後にプリントジョブが終了したかどうかを判定する(ステップS18)。プリントジョブを継続する場合(ステップS18のNO)、ステップS16に戻りインクジェット記録装置20でのプリントジョブを実行する。
【0067】
プリントジョブが終了した場合(ステップS18のYES)、GPU66のキャッシュデータを消去する(ステップS19)。プリントジョブの終了後は、画像検査を行う必要がないため、キャッシュデータを消去する。これに合わせて、CPU64がシステムメモリー65に記憶された正解画像データを消去してもよい。GPU66のキャッシュデータを消去した後、本フローチャートによる処理を終了する。
【0068】
[画像検査方法(2)]
次に、上述の画像形成システム1を用いた画像検査方法として、ユーザーがプリントジョブで入力した原稿画像のRIP処理画像(CMYK)を正解画像データ(RGB)として用いる例について説明する。この例による検査方法のフローチャートを
図5に示す。なお、
図5に示すフローチャートでは、正解画像データを取得する方法以外は、上述の
図4に示すフローチャートと同様の処理が行われる。このため、上述の
図4に示すフローチャートと同様の処理については詳細な説明を省略する。
【0069】
まず、インクジェット記録装置20の画像処理部55において、ユーザーに入力された原稿画像に対してRIP処理を行う(ステップS20)。画像処理部55は、ユーザーに入力された原稿画像のデータに対してRIP処理を行うことにより、インクジェット記録装置20で画像形成に用いるためのCMYKの各色成分の情報を有するラスター画像を作成する。
【0070】
次に、画像処理部55は、RIP処理されたラスター画像の色変換処理を行う(ステップS21)。一般的に、読取部44で取得した読取画像データは、RGBの各色成分の情報を有している。これに対し、インクジェット記録装置20の画像処理部55でRIP処理された画像形成に使用するラスター画像は、CMYKの各色成分の情報を有する。すなわち、RIP処理されたラスター画像と、検査画像である読取画像データとは、それぞれ色成分の情報が異なる。このため、RIP処理されたラスター画像のままでは、読取画像データを検査するための正解画像として使用できない。
【0071】
そこで、RIP処理されたラスター画像に対し、読取画像データと同じRGBの各色成分の情報を有するように色変換処理を行うことにより、RGBの各色成分の情報を有する色変換後ラスター画像を生成する。色変換後ラスター画像であれば、読取画像データと同じRGBの各色成分の情報を有するため、読取画像データに対する正解画像として使用することができる。
【0072】
なお、上述のラスター画像の色変換に合わせて、解像度を変更してもよい。検査画像となる読取画像データの解像度は、読取部44の解像度に依存する。このため、正解画像となる色変換後ラスター画像も、読取部44の解像度と同様の解像度に変換しておくことが好ましい。また、正解画像と検査画像との解像度を一致させるために、各画像に対して縦倍、横倍、傾き等の画像調整を行ってもよい。これら、色変換処理、解像度変換、画像調整等の画像処理に、GPU65を使用してもよい。
【0073】
次に、色変換後ラスター画像を正解画像として保存する(ステップS22)。画像処理部55において色変換処理が行われたラスター画像(色変換後ラスター画像)のデータは、制御部50の記憶部54に記憶される。検査部40は、制御部50の記憶部54から色変換後ラスター画像を取得し、画像検査における正解画像データとして記録部63に格納する。
【0074】
次に、検査部40が取得した正解画像データを用いて、ダミー検査を実行する(ステップS23)。ダミー検査では、CPU64が色変換後ラスター画像データを正解画像データとして記録部63から読み出してシステムメモリー65に記憶する処理を2回行う。すなわち、CPU64は、正解画像としての色変換後ラスター画像データの正解画像データを記録部63から読み込む。そして、CPU64が、システムメモリー65に記憶した画像データ同士を比較することで、ダミー検査を行う。
【0075】
次に、画像形成システム1は、画像形成システム1でのプリントジョブの実行を許可する(ステップS24)。そして、画像形成システム1のインクジェット記録装置20において、プリントジョブを実行する(ステップS25)。制御部50は、ダミー検査が完了するまで、インクジェット記録装置20においてプリントジョブを実行を許可しない。制御部50は、ダミー検査の完了後に、プリントジョブの実行を許可する。
【0076】
次に、インクジェット記録装置20で形成された画像に対し、画像検査装置30が画像検査を行う(ステップS26)。ここでの画像検査は、通常の画像検査である。例えば、インクジェット記録装置20で記録材Sに形成た画像を画像検査装置30の読取部44で読取り、検査画像データを生成する。そして、検査部40が、読取部44から検査画像データを取得して、色変換後ラスター画像データの正解画像データと比較する。
【0077】
次に、画像形成システム1は、画像検査の後にプリントジョブが終了したかどうかを判定し(ステップS27)、プリントジョブを継続する場合(ステップS27のNO)、ステップS25に戻りインクジェット記録装置20でのプリントジョブを実行する。
【0078】
プリントジョブが終了した場合(ステップS27のYES)、GPU66のキャッシュデータを消去する。(ステップS28)。CPU64がシステムメモリー65に記憶された正解画像データを消去してもよい。キャッシュデータを消去した後、本フローチャートによる処理を終了する。
【0079】
上記の方法であれば、プルーフ画像の出力や、ユーザーによる目視検査を行わずに、正解画像を取得することができる。このため、ユーザーへの負担を低減し、簡便な手法によって画像検査、及び、ダミー検査を実行することができる。
【0080】
また、上記の検査方法においても、プリントジョブの実行前に行われたダミー検査において記録部63から画像データが読み出され、システムメモリー65やGPUメモリー67に記憶された後、GPU66のキャッシュメモリに格納され、GPU66によって処理が実行されている。このため、GPUメモリー67からGPU66のキャッシュメモリーにデータを格納する際、ダミー検査時の正解画像の格納に比べて、検査画像データの格納が高速になる。従って、プリントジョブ実行後の画像検査では、GPU66での画像処理にかかる時間を短縮することができる。このため、1枚目の画像検査に要する時間を短縮することができる。この結果、より高速処理が可能なCPUやGPUを搭載しなくても、1枚目の画像検査の処理時間を短縮することができる。
【0081】
なお、本発明は上述の実施形態例において説明した構成に限定されるものではなく、その他本発明の構成を逸脱しない範囲において種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0082】
1 画像形成システム、10 給紙装置、11 給紙トレイ、12,41,58 搬送部、20 インクジェット記録装置、21 画像形成ドラム、22 渡しユニット、23 記録材加熱部、24 ヘッドユニット、25 照射部、26 デリバリー部、30 画像検査装置、40 検査部、42 反転搬送路、43 反転部、44 読取部、45 排紙トレイ、50 制御部、51,64 CPU、52 RAM、53 ROM、54 記憶部、55 画像処理部、56 操作表示部、57 入出力インターフェース、59 バス、61 フレームグラバー、62 チップセット、63 記録部、65 システムメモリー、66 GPU、67 GPUメモリー、100 外部装置、121,261 ローラー、123,263 ベルト、200 画像形成部、221 スイングアーム部、222,264 渡しドラム、241 ヘッド制御部、242 ヘッド駆動部、581 搬送駆動部、582 ロータリーエンコーダー