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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】小型電動車両
(51)【国際特許分類】
   B62K 5/007 20130101AFI20240319BHJP
   B62K 13/00 20060101ALI20240319BHJP
   B62B 3/02 20060101ALI20240319BHJP
   A61G 5/08 20060101ALI20240319BHJP
   A61G 5/04 20130101ALI20240319BHJP
【FI】
B62K5/007
B62K13/00
B62B3/02 A
A61G5/08 703
A61G5/04
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020085531
(22)【出願日】2020-05-14
(65)【公開番号】P2021178599
(43)【公開日】2021-11-18
【審査請求日】2023-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001564
【氏名又は名称】フェリシテ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 祐大
(72)【発明者】
【氏名】安池 重暁
(72)【発明者】
【氏名】藤澤 清和
【審査官】中島 昭浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-069254(JP,A)
【文献】特開2018-058548(JP,A)
【文献】登録実用新案第3090304(JP,U)
【文献】特開平04-283189(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0148474(US,A1)
【文献】中国実用新案第206171674(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62K 5/00 - 5/10
B62K 13/00 - 17/00
B62B 3/02
A61G 5/08
A61G 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前輪を有する前側ベース及び後輪を有する後側ベースを有し、前記前側ベース、前記後側ベースが前後方向に伸縮可能でホイールベースを可変可能に構成される移動ベースと、前記前側ベースに設けられる脚部支持部に支持され、前記移動ベース上に立ち上げられる脚部を介して前記移動ベース上に配置されるシートとを備え、前記移動ベースのホイールベースが伸長され、使用者が乗車して走行する乗車形態と前記移動ベースのホイールベースが短縮され、使用者が手押しで使用するカート又は歩行補助車形態に変更可能な小型電動車両であって、
前記脚部は、前記移動ベースの車両の幅方向外側に配置され、
前記前側ベース、前記後側ベースのいずれか一方のベースは、他方のベースを挿脱可能にかつ収容可能に、前記一方のベースの前記他方のベースと前後で対向する面に開口を有し、前記他方のベースを収容可能な他方ベース収容空間部を備え、前記他方のベースは、前記一方のベースの前記他方ベース収容空間部に収容可能な被収容部を備え、前記一方のベースの前記他方ベース収容空間部に前記他方のベースが、前記一方のベース又は前記他方のベースのいずれか一方に配設されるスライドレールと他方に配置され、前記スライドレールに係合可能なスライドガイドとを介して、車両の前後方向にスライド可能に嵌挿され、
前記スライドガイドは、車両の前後方向前後に間隔をあけて配置される複数のガイドローラからなり、
前記乗車形態の車両の側面視かつ平面視で、前記前側ベースの前記脚部支持部と前記複数のガイドローラの少なくとも一部が重なる、
ことを特徴とする小型電動車両。
【請求項2】
前側ベース、後側ベースはそれぞれ、垂直断面を閉断面構造とする請求項1に記載の小型電動車両。
【請求項3】
乗車形態で前側ベースと後側ベースとを固定するロック装置が、前記前側ベースの脚部支持部の近傍に設置される請求項1又は2に記載の小型電動車両。
【請求項4】
脚部支持部は前側ベースの両側部に設けられて、脚部は前記脚部支持部に脚部支持フレームを介して支持され、前記各脚部支持フレームは前記前側ベースの両側部の前記脚部支持部において上部と下部に上下2点支持により接合される請求項1乃至のいずれかに記載の小型電動車両。
【請求項5】
後側ベースに固定されて前記後側ベース上に立ち上げられ、脚部を支持する支持フレームを備え、前記支持フレームは車両の上下方向の上下方向中間部に車両の前後方向前方に向けて凸の曲折部を有する請求項1乃至のいずれかに記載の小型電動車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型電動車両に関し、特に、使用者が乗車して走行する乗車形態と使用者が手押しで使用し、物を運ぶためのカート又は歩行補助車形態の2つの車体の形態に変更して使用できる小型電動車両に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の小型電動車両が本願出願人から特許文献1により提案されている。
この文献1の小型電動車両は、車体の前部に配置され且つハンドルによって操舵される少なくとも1つの前輪と、車体の後部に配置され且つモータによって駆動される左右一対の後輪と、車体の前後方向で前輪の近傍に配置されるフロアと、車体におけるフロアよりも後側で且つフロアよりも高い位置に配置されるシートと、荷物を収納すべく車体の後部に配置されるバスケットと、後輪を車体に連結するとともにその中間部で山形に折れ曲がる第1リンク機構とを備え、人を乗せて走行するための乗車形態と物を運ぶために人が手押しで使用するカート形態とに車体の形態が変更可能になっている。
【0003】
この小型電動車両では、特に、第1リンク機構よりも下側に第1リンク機構と連動してその折曲部で上側を山にして山形に折れ曲がる第2リンク機構を配置し、第2リンク機構には第2リンク機構が折曲部で折れ曲がるにつれてその位置が上方へ移動するブラケットを取り付け、このブラケットにバスケットを取り付けている。
【0004】
このようにすることで、車両を乗車形態からカート形態に変更する場合に、バスケットの位置を斜め上方へ移動させ、ハンドルに近づけることができる。このため、カートとして使用する際に、使用者が腰を屈めずにバスケットに荷物を出し入れでき、カートとしての機能性を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-168153号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の小型電動車両では、次のような課題がある。
(1)この小型電動車両では、カート形態に変更したときに、バスケットとシートが上方に上がり、重心が高くなるために、車両の安定性が悪くなることが懸念される。
(2)この小型電動車両では、使用者がシートに着座する際や車両の形態を変更する際に、シート支持フレームやこのシート支持フレーム下部の連結ピンを介して、フロア支持フレームに負荷が集中するため、フロア支持フレームの耐荷重に改善の余地がある。
【0007】
本発明はこのような従来の課題を解決するものである。本発明は、この種の小型電動車両において、車両のカート又は歩行補助車形態変更時の安定性の向上を図ること、使用者がシートに着座する際や車両の形態を変更する際に荷重の掛かる構造部材の剛性、強度の向上、及び当該荷重の他の構造部材への分散を図ることなど、を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、
前輪を有する前側ベース及び後輪を有する後側ベースを有し、前記前側ベース、前記後側ベースが前後方向に伸縮可能でホイールベースを可変可能に構成される移動ベースと、前記前側ベースに設けられる脚部支持部に支持され、前記移動ベース上に立ち上げられる脚部を介して前記移動ベース上に配置されるシートとを備え、前記移動ベースのホイールベースが伸長され、使用者が乗車して走行する乗車形態と前記移動ベースのホイールベースが短縮され、使用者が手押しで使用するカート又は歩行補助車形態に変更可能な小型電動車両であって、
前記前側ベース、前記後側ベースのいずれか一方のベースは、他方のベースを挿脱可能にかつ収容可能に、前記一方のベースの前記他方のベースと前後で対向する面に開口を有し、前記他方のベースを収容可能な他方ベース収容空間部を備え、前記他方のベースは、前記一方のベースの前記他方ベース収容空間部に収容可能な被収容部を備え、前記一方のベースの前記他方ベース収容空間部に前記他方のベースが、前記一方のベース又は前記他方のベースのいずれか一方に配設されるスライドレールと他方に配置され、前記スライドレールに係合可能なスライドガイドとを介して、車両の前後方向にスライド可能に嵌挿され、
前記乗車形態の車両の側面視で、前記前側ベースの前記脚部支持部と前記スライドガイドの少なくとも一部が重なる、
ことを要旨とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、次のような本発明独自の格別な効果を奏する。
(1)車両のカート又は歩行補助車形態変更時の安定性の向上を図ることができる。
(2)使用者がシートに着座する際や車両の形態を変更する際に荷重の掛かる構造部材の剛性、強度の向上、及び当該荷重の他の構造部材への分散を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施の形態に係る小型電動車両の乗車形態の構成を示す斜視図
図2】同小型電動車両のカート又は歩行補助車形態の構成を示す側面図
図3】同小型電動車両の特に前側ベースの要部の構成を示す一部省略拡大側面図
図4】同小型電動車両の特に前側ベースの要部の構成を示す一部省略拡大斜視図
図5】同小型電動車両の特に後側ベースの要部の構成を示す一部省略拡大斜視図
図6】同小型電動車両の特に前側ベース及び後側ベースの要部の構成を示す図((A)は一部省略拡大斜視図(B)は一部省略拡大側面図)
図7】同小型電動車両の特に前側ベース及び後側ベースの要部の構成を示す正面断面図
図8】同小型電動車両の特に前側ベース及び後側ベースの要部の構成を示す斜視図
図9】同小型電動車両の要部の構成を示す底面図
図10】同小型電動車両の特に前側ベース及び後側ベースの要部の構成の変更例を示す正面断面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1図2に示すように、本発明の一実施の形態に係る小型電動車両C(以下、単に車両Cという。)は、移動ベース1の前側ベース11が後側ベース12に対して車両Cの前後方向に水平に伸縮されることにより、乗車形態からカート又は歩行補助車形態に、又はその反対に形態を変更される。このような移動ベース1の伸縮構造により、車両Cのカート又は歩行補助車形態変更時の安定性の向上を図る。また、前側ベース11、後側ベース12は、垂直断面を閉断面構造とする。このような前側ベース11、後側ベース12の構造により、使用者がシート4に着座する際や車両Cの形態を変更する際に荷重の掛かる構造部材である前側ベース11、後側ベース12の剛性、強度の向上を図る。そして、車両Cの乗車形態で、車両Cの側面視で前側ベース11の脚部支持部24Pとスライドガイド35(図3)の少なくとも一部が重なるようにする。このような前側ベース11の脚部支持部24Pとスライドガイド35の配置構成により、使用者がシートCに着座する際や車両Cの形態を変更する際に荷重の掛かる構造部材である前側ベース11の荷重の他の構造部材である後側ベース12への分散を図る。
【0012】
図1図2に示すように、車両Cは、移動ベース1と、シート4とを備える。移動ベース1は、前輪110を有する前側ベース11及び後輪120を有する後側ベース12を有し、前側ベース11、後側ベース12が前後方向に水平に伸縮可能でホイールベースを可変可能に構成される。シート4は、前側ベース11に設けられる脚部支持部24Pに支持され、移動ベース1上に立ち上げられる脚部5を介して、移動ベース1上に配置される。このようにして移動ベース1のホイールベースが伸長され、使用者が乗車して走行する乗車形態と移動ベース1のホイールベースが短縮され、使用者が手押しで使用するカート又は歩行補助車形態に変更可能になっている。
【0013】
このような移動ベース1の伸縮構造により、車両Cの乗車形態からカート又は歩行補助車形態へ変更するとき又はその反対に変更するときの、車両Cの安定性の向上を図ることができる。
【0014】
また、この車両Cでは、前側ベース11、後側ベース12のいずれか一方のベースは、他方のベースを挿脱可能にかつ収容可能に、一方のベースの他方のベースと前後で対向する面に開口112を有し、他方のベースを収容可能な他方ベース収容空間部113を備える。他方のベースは、一方のベースの他方ベース収容空間部113に収容可能な被収容部122を備える。そして、一方のベースの他方ベース収容空間部113に他方のベースが、一方のベース又は他方のベースのいずれか一方に配設されるスライドレール25(図4参照)と他方に配置され、スライドレール25に係合可能なスライドガイド35(図5参照)とを介して、車両Cの前後方向にスライド可能に嵌挿される。
【0015】
このような前側ベース11、後側ベース12の構造により、使用者がシート4に着座する際や車両Cの形態を変更する際に荷重の掛かる前側ベース11、後側ベース12の剛性、強度の向上を図ることができる。
【0016】
そして、この車両Cでは、図3に示すように、乗車形態の車両Cの側面視で、前側ベース11の脚部支持部24Pとスライドガイド35の少なくとも一部が重なるものとする。
【0017】
このような前側ベース11の脚部支持部24Pとスライドガイド35の配置構成により、車両Cの乗車形態で使用者がシート4に着座する際や車両Cの形態を変更する際に荷重の掛かる構造部材である前側ベース11の脚部支持部24Pに入力される荷重をスライドガイド35を介して他の構造部材である後側ベース12へ効率良く分散することができる。
【0018】
この車両Cにおいては、図4図5に示すように、前側ベース11、後側ベース12はそれぞれ、垂直断面を閉断面構造とする。このようにすることで、前側ベース11、後側ベース12それぞれの剛性、強度を向上させることができる。
【0019】
この車両Cにおいては、図6に示すように、乗車形態で前側ベース11と後側ベース12とを固定するロック装置36が、前側ベース11の脚部支持部24Pの近傍に配置される。このようにすることで、使用者がシート4に着座する際や車両Cの形態を変更する際に、前側ベース11の脚部支持部24Pに入力される荷重を、ロック装置36を介して、後側ベース12に分散することができる。
【0020】
この車両Cにおいては、図7に示すように、乗車形態の側面視かつ平面視で、前側ベース11の脚部支持部24Pとスライドガイド35の少なくとも一部が重なるものとする。このようにすることで、使用者がシート4に着座する際に、前側ベース11の脚部支持部24Pに入力される荷重を、スライドガイド35を介して、後側ベース12に分散することができる。
【0021】
この車両Cにおいては、図6に示すように、前側ベース11の両側部に脚部支持部24Pが設けられて、脚部5は脚部支持部24Pに脚部支持フレーム24を介して支持され、各脚部支持フレーム24は前側ベース11の両側部の脚部支持部24Pにおいて上部と下部に上下2点支持により接合される。このようにすることで、使用者がシート4に着座する際や車両Cの形態を変更する際に、前側ベース11の脚部支持部24Pに入力される荷重を、脚部支持部24Pと脚部支持フレーム24との接合部で分散することができ、荷重が脚部支持部24Pと脚部支持フレーム24との接合部の一部に局所的に集中するのを抑制することができる。
【0022】
この車両Cにおいては、図3に示すように、スライドガイド35は車両Cの前後方向前後に間隔をあけて配列される複数のガイドローラからなる。このようにすることで、使用者が車両Cの形態を変更する際に、前側ベース11が後側ベース12に安定的に支持され、前側ベース11を後側ベース12に対して車両Cの前後方向に安定してスライド移動させることができる。
【0023】
この車両Cにおいては、図1に示すように、後側ベース12に固定されて後側ベース12上に立ち上げられ、脚部5を支持する支持フレーム6を備え、支持フレーム6は車両Cの上下方向の上下方向中間部に車両Cの前後方向前方に向けて凸の曲折部6Aを有する。このようにすることで、使用者がシート4に着座する際に、前側ベース11の脚部5に入力される荷重が支持フレーム6に伝達され、この荷重を、支持フレーム6の曲折部6Aを避けつつ、曲折部6Aより上側と曲折部6Aより下側へ分散することができる。
【0024】
図1図2及び図3乃至図7、さらに図8及び図9はまた、車両Cの移動ベース1の各部、シート4の各部を、それぞれの一例として、より具体的に示している。ここでは、移動ベース1、シート4の各部について、さらに具体的に説明する。
【0025】
図1図2に示すように、この車両Cの移動ベース1は前側ベース11と後側ベース12とを備える。
【0026】
前側ベース11は、図4に示すように、前側ベースフレーム21、前輪支持フレーム22、前輪110、脚部支持フレーム24、前側のボード111などを備えて構成される。
【0027】
前側ベースフレーム21は、図4図6に示すように、後側ベース12を挿脱可能にかつ収容可能に、前側ベース11の後側ベース12と前後で対向する面、この場合、後面に、開口112を有し、後側ベース12を収容可能な後側ベース収容空間部113を備える。
【0028】
この場合、前側ベースフレーム21は、車両Cの前部において車両Cの前後方向前面視で後端部を開放される箱形に形成され、車両Cの前後方向に延びる。しかして前側ベースフレーム21は先端部フレーム21f(図1参照)、両側部フレーム21s、上部フレーム21u、底部フレーム21bからなり、後端部が開口112で、他の各フレーム21f、21b、21sで囲まれた空間が後側ベース収容空間部113になっている。また、このような前側ベースフレーム21の構成により、前側ベース11は垂直断面が閉断面構造になっている。
【0029】
前側ベースフレーム21は、図4図7に示すように、両側部フレーム21sの車両Cの上下方向の上下方向中間部に車両Cの前後方向に沿って溝形プレート211が一体に接合されて、各側部プレート21sに内面側を開口面とする溝部210が形成される。そして、これら各溝部210の内面上部側及び下面側に沿って断面L字形のレールプレート212が設置されて、各溝部210の内面がスライドレール25になっている。
【0030】
前側ベースフレーム21は、図6に示すように、両側部フレーム21sの車両Cの前後方向の前後方向中間部後部寄り所定の位置の一部が、後述するシート4の脚部5を支持するための脚部支持部24Pになっている。これらの脚部支持部24Pには、図7に示すように、溝部210の上下にそれぞれ、取付ねじ挿通孔240が穿たれ、その内側、つまり各側部フレーム21sの内側の面に、取付ねじ挿通孔240に連通して、ナット241が固着される。これらの脚部支持部24Pに後述する脚部支持フレーム24が取り付けられる。
【0031】
前側ベースフレーム21は、図6に示すように、両側部フレーム21sに、この車両Cの乗車形態、カート又は歩行補助車形態の形態毎に、後述する後側ベース12に設けられるロック装置36に係合可能な被ロック部26として、複数のロックピン挿通孔(以下、ロックピン挿通孔26という。)が穿設される。この場合、両側部フレーム21sの溝部210の上部で、前側ベース11の脚部支持部24Pの近傍となる後端部及び前端部側の所定の位置にそれぞれ、この車両の乗車形態、カート又は歩行補助車形態で係合可能にロックピン挿通孔26が貫通形成される。
【0032】
前輪支持フレーム22は、図4図8に示すように、前側ベースフレーム21の前部側に支持固定されて車両Cの幅方向に延び、前輪操舵機構の一部をなす。前輪110は、前輪支持フレーム22の両端に軸受221を介して軸支される。
【0033】
脚部支持フレーム24は、図6に示すように、既述の前側ベース11の脚部支持部24Pに支持固定され、車両Cの幅方向外側に突出される。この場合、脚部支持フレーム24はそれぞれ、水平フレーム241と、水平フレーム241の先端に接合され、水平フレーム241の後端の下方に向けて斜めに延びる傾斜フレーム244とからなる。水平フレーム241は四角柱状をなし、後端に直角方向両側に延びる取付プレート242を有する。取付プレート242の両端には取付ねじ挿通孔243が設けられる。傾斜フレーム244は四角柱状をなし、後端に直角方向両側に延びる取付プレート245を有する。取付プレート245の両端には取付ねじ挿通孔246が設けられる。傾斜フレーム244は先端が水平フレーム241の下面先端に接合されて、水平プレート241の下面後端の下方に向けて斜めに延びる。脚部支持フレーム24はそれぞれ、水平フレーム241後端の取付プレート242が前側ベースフレーム21の各脚部支持部24Pの上部に当接され、傾斜フレーム244後端の取付プレート245が前側ベースフレーム21の各脚部支持部24Pの下部に当接される。そして、図6図7に示すように、取付ねじS1が各取付プレート242、245の各取付ねじ挿通孔243、246から脚部支持部24Pの各取付ねじ挿通孔240を通して各ナット241に締結されて、各脚部支持フレーム24が各脚部支持部24Pに固定される。このようにして各脚部支持フレーム24は前側ベース11の両側部の脚部支持部24Pにおいて上部と下部に上下2点支持により接合される。
【0034】
前側のボード111は、図1図2に示すように、前側ベースフレーム21の後側ベース収容空間部113の上部に配置される。この場合、前側のボード111は、後側ベース収容空間部113の上部に設置可能に、この場合、平面視長方形状に形成されて、先端部111f、底部111b、両側部111sからなる。この前側のボード111は、この前側ベースフレーム21の上部に設置されて、足置き台、荷物置き台をなす。
【0035】
図1に示すように、後側ベース12は、後側ベースフレーム31、ロック装置36(図6参照)、電動モータを収容されたモータケース32、後輪120、後側のボード121などを備えて構成される。
【0036】
後側ベースフレーム31は、図5に示すように、前側ベース11の後側ベース収容空間部113に収容可能な被収容部122を備える。
【0037】
この場合、後側ベースフレーム31は、車両Cの後部において車両Cの前後方向前面視で上部の一部及び先端部を開放される箱形に形成され、車両Cの前後方向に延び、高さ、幅が前側ベースフレーム21よりも少し小さく形成される。また、後側ベースフレーム31の上部先端は、先端部から後端部方向にコ字形に切り欠かれて、上部中央に開口310を有し、上部が底部よりも短くなっている。しかして、後側ベースフレーム31は、底部フレーム31b、先端に開口310を有する上部フレーム31u、後端部フレーム31r(図9参照)、両側部フレーム31sからなる。このようにして後側ベースフレーム31全体が前側ベース11の後側ベース収容空間部113に収容される被収容部122になっている。また、このような後側ベースフレーム31に構成により、後側ベース12は垂直断面が閉断面構造になっている。
【0038】
後側ベースフレーム31は、図5図7に示すように、両側部フレーム31sの車両Cの上下方向の上下方向中間部に車両Cの前後方向に沿って軸受プレート311が一体に接合されて、各軸受プレート311の先端及び車両の前後方向の前後方向中間部で先端側寄りの所定の位置にそれぞれ上下2段に軸受部312が形成される。そして、これら上下2段の軸受部312にガイドローラ35がガイドローラ35の中心に設けられる回転軸351を挿通支持されて回転可能に取り付けられる。このようにして両側部フレーム31sにそれぞれ、複数のガイドローラ35が車両Cの前後方向前後に間隔をあけて配列される。これらのガイドローラ35が、前側ベース11のスライドレール25に係合可能なスライドガイド35になっている。
【0039】
この場合、先端の両ガイドローラ35は、図3に示すように、この車両Cの乗車状態で、前側ベース11の所定の位置の脚部支持部24Pの内側に並列に配置可能に、後側ベースフレーム31の両側部フレーム31sの先端所定の位置に軸支される。しかして、この車両Cの乗車形態で、前側ベース11の両脚部支持部24Pと後側ベース31の先端の両ガイドローラ35が、図8に示すように、車両Cの幅方向に一直線に並列に、かつ各脚部支持部24Pと先端の各ガイドローラ35が、図7に示すように、上下方向に直線的に配列される。すなわち、この車両Cの乗車形態で、車両Cの側面視で前側ベース11の脚部支持部24Pとスライドガイド35の少なくとも一部が重なるように、かつ車両Cの面視で前側ベース11の脚部支持部24Pとスライドガイド35の少なくとも一部が重なるようになっている。
【0040】
ロック装置36は、図1図2に示すように、車両Cの乗車形態、カート又は歩行補助形態の形態毎に、前側ベース11と後側ベース12とを固定する形式になっている。そして、このロック装置36は、図6に示すように、車両Cの乗車形態で前側ベース11と後側ベース12とを固定する状態では、前側ベース11の脚部支持部24Pの近傍に配置可能に、移動ベース1上に設置される。
【0041】
この場合、ロック装置36は、後側ベース12の上部フレーム31uの先端開口310の後部に設置される。また、この場合、ロック装置36は、前側ベース11の両側部フレーム21s上部に設けられた各ロックピン挿通孔26に向けて進退可能に配置される一対のロックピン361と、各ロックピン361を進退駆動する駆動部36Dとを備えて構成される。一対のロックピン361は、後側ベース12の上部フレーム31uの先端開口310の後部両側に一対の軸受360を介して配置される。この場合、各ロックピン361は常態として前側ベース11のロックピン挿通孔26に挿通可能にばね手段(図示省略)を介して押圧付勢される。駆動部36Dは、レバー362と、第1、第2リンクプレート363、364と、操作ワイヤ365とからなる。レバー362は後側ベース12の上部フレーム31uの先端開口310の後部中央に軸を介して水平方向に回転可能に取り付けられる。第1リンクプレート363はレバー362の一端と一方のロックピン361の基端部との間にリンク結合される。第2リンクプレート364はレバー362の他端と他方のロックピン361の基端部との間にリンク結合される。操作ワイヤ365はレバー362の他端にリンク結合され、第2リンク364とは反対方向に延び、車両Cの操作部(図示省略)に作動連結される。
【0042】
このようにしてロック装置36は移動ベース1の各形態で、常態として各ロックピン361が前側ベース11の各ロックピン挿通孔26に挿通され、前側ベース11と後側ベース12をロックするようになっている。そして、操作部でのロック装置36の解除操作により、操作ワイヤ365が引き駆動される。これにより、レバー362が回転されて第1、第2のリンク363、364が各ロックピン361を引き方向に駆動され、各ロックピン361が各ロックピン挿通孔26から抜け外れて、ロックが解除されるようになっている。
【0043】
モータケース32は、図8に示すように、電動モータを収容され、後側ベースフレーム31の後部に設置され、車両Cの幅方向に向けて延ばされる。
【0044】
後輪120は、図1図2に示すように、モータケース32の両端に配置され、電動モータに作動連結される。
【0045】
後側のボード121は、図1図2に示すように、後側ベース12の被収容部122の上部に、前側のボード111を挿脱可能にかつ収納可能な前側のボード収納空間123を介在して配置される。この場合、後側のボード121は、後側ベース12の被収容部122の上部に設置可能に、この場合、平面視長方形状に形成されて、先端部121f、後端部121r、底部121b、両側部121sとからなる。しかして、この後側のボード121は、後部ベースフレーム31の上部に支持固定されて、荷物置き台をなす。
【0046】
このようにして前側ベース11と後側ベース12は、図1図2及び図7に示すように、後側ベースフレーム31が前側ベースフレーム21の後側ベース収容空間部113に前側ベースフレーム21両側のスライドレール25と後側ベースフレーム31両側の複数のガイドローラ35とを介して嵌挿される。しかして、前側ベースフレーム21は後側ベースフレーム31の外面に沿って車両Cの前後方向にスライド可能に、併せて、前側のボード111が後側のボード121の直下から車両の前後方向にスライド可能に組み立てられる。
【0047】
これにより、移動ベース1は、前側ベース11、後側ベース12が前後方向に伸縮可能でホイールベースを可変可能に構成される。すなわち、図1に示すように、前側ベース11が後側ベース12に対して車両の前後方向前方にスライドされることで、前側ベースフレーム21、後側ベースフレーム31、前側のボード111、後側のボード121、それぞれが、前後に配列される。そして、この状態が、操作部でのロック装置36の操作により、図6に示すように、後側ベースフレーム31の上部先端側両側の各ロックピン361が前側ベースフレーム21の両側後端部の各ロックピン挿通孔26に挿通されて、ロックされる。これにより、移動ベース1のホイールベースが最大に伸長されて、使用者が乗車して走行する乗車形態となる。
【0048】
また、この状態から、操作部でのロック装置36の解除後、図2に示すように、前側ベース11が後側ベース12に対して車両Cの前後方向後方にスライドされることで、前側ベースフレーム21、後側ベースフレーム31、前側のボート111、後側のボード121、それぞれが、上下に重合される。そして、この状態が、操作部でのロック装置36の操作により、後側ベースフレーム31の上部先端側両側の各ロックピン361が前側ベースフレーム21の両側前端部側所定の位置の各ロックピン挿通孔26に挿通されて、ロックされる。これにより移動ベース1のホイールベースが最小に短縮されて、使用者が手押しで、モノを運ぶためのカート又は歩行補助車形態に変更される。
【0049】
図1図2に示すように、シート4は、支持フレーム6、脚部5を介して、移動ベース1上に車両Cの前後方向に回転可能に配置される。
【0050】
支持フレーム6は、車両Cの上下方向の上下方向中間部に車両Cの前後方向前方に向けて凸の曲折部6Aを有し、後側ベース12に固定されて後側ベース12上に立ち上げられ、脚部5を支持するようになっている。この場合、支持フレーム6は、全体が略門形に形成されて、車両Cの幅方向に延びるセンターアッパフレーム61と、センターアッパフレーム61の両端から車両Cの上下方向下方に延びる一対のサイドフレーム62とからなる。一対のサイドフレーム62はそれぞれ、上部側のサイドアッパフレーム621と、下部側のサイドロアフレーム622とを有し、サイドアッパフレーム621とサイドロアフレーム622との間が車両Cの前方に向けて凸の曲折部6Aで、各サイドフレーム62全体がくの字形になっている。各サイドフレーム62には曲折部6Aを跨いでブラケット63が固定され、その先端が車両Cの前後方向前方に突出される。そして、この支持フレーム6は、両サイドロアフレーム622の下端が後側ベース12の左右両側に固定されて、移動ベース1上の後部側に設置される。かくして、支持フレーム6は後側ベース12上に立ち上げられる。
【0051】
脚部5は、脚部支持部24Pに脚部支持フレーム24を介して支持され、車両Cの上下方向の上下方向中間部がブラケット63を介して支持フレーム6に支持される。この場合、脚部5は、一対のシートレッグフレーム51からなる。そして、各シートレッグフレーム51は、車両Cの上下方向中間部が、支持フレーム2の各サイドフレーム62の各ブラケット63の先端に回転軸52を介して車両Cの前後方向に回転可能に軸支される。併せて、各シートレッグフレーム51の下端が前側ベース11の両側の各脚部支持フレーム24の先端に支軸53(図6参照)を介して軸支されて、脚部5が前側ベース11に作動連結される。かくして脚部5は、下端が前側ベース11両側の脚部支持部24Pに脚部支持フレーム24を介して軸支され、上下方向中間部が後側ベース12の支持フレーム6にブラケット63を介して軸支されて、移動ベース1上に車両Cの前後方向に回転可能に立ち上げられる。
【0052】
シート4は、前側ベース11に設けられる脚部支持部24Pに支持されて移動ベース1上に立ち上げられる脚部5に支持固定され、移動ベース1上に配置される。
【0053】
この場合、シート4は、シートフレーム41と、シートフレーム41上に載置固定される座部42とからなる。また、このシート4は、座部42の後部で、センターアッパフレーム61の前側に、シートバック43を併せて備える。この場合、シートバック43は座部42とは別に、センターアッパフレーム61の前側に配置され、両サイドフレーム62に固定される。なお、このシートバック43は座部42と一体に又は別体に車両Cの前後方向に回動可能に設けられてもよい。このシート4はまた、座部42の両側に、一対のアームレスト44を併せて備える。この場合、座部42の両側に、一端を支持フレーム6の両サイドフレーム62に固定されて、前方斜め上方に延びる一対のアームフレーム45を有し、両アームレスト44は両アームフレーム45の上部に車両Cの前後方向に向けて水平に支持固定される。なお、この場合、アームレスト44の先端にこの車両Cの操作部(図示省略)が装着される。シート4はシートフレーム41が脚部5の両シートレッグフレーム51の上部に固着されて脚部5の上部に取り付けられる。
【0054】
このようにしてシート4は、車両Cの前後方向に回転式の脚部5を介して、シート4が着座面を車両Cの上方に向けて後側ベース12の前側上方に配置される着座位置と着座面を車両Cの前方に向けて後側ベース12の前側下方に退避される退避位置との間で回転可能に設置される。移動ベース1はこの回転式の脚部5に作動連結され、シート4の着座位置への回転により移動ベース1が乗車状態に変更され、シート4の退避位置への回転により移動ベース1がカート又は歩行補助車形態に変更されるようになっている。
【0055】
ここで、図1図2を用いて、この車両Cの構造に基づく作用について説明する。
【0056】
この車両Cでは、図1に示すように、シート4が着座位置へ回転されると、前側ベース11が後側ベース12に対して車両の前後方向前方にスライドされる。これにより、前側ベースフレーム21、後側ベースフレーム31、前側のボート111、後側のボード121、それぞれが、前後に配列される。そして、この状態が、操作部でのロック装置36の操作により、後側ベースフレーム31の上部先端側両側の各ロックピン361が前側ベースフレーム21の両側後端部の各ロックピン挿通孔26に挿通されて、ロックされる。このようにして移動ベース1のホイールベースが最大に伸長され、使用者が乗車して走行する乗車形態となる。反対に、図2に示すように、シート4が退避位置へ回転されると、前側ベース11が後側ベース12に対して車両Cの前後方向後方にスライドされる。これにより、前側ベースフレーム21、後側ベースフレーム31、前側のボート111、後側のボード121、それぞれが、上下に重合される。そして、この状態が操作部でのロック装置36の操作により、後側ベースフレーム31の上部先端側両側の各ロックピン361が前側ベースフレーム21の両側前端部側所定の位置の各ロックピン挿通孔26に挿通されて、ロックされる。このようにして移動ベース1のホイールベースが最小に短縮されて、使用者が手押しで、モノを運ぶためのカート又は歩行補助車形態となる。
【0057】
このようにこの車両Cでは、移動ベース1の前側ベース11が後側ベース12に対して車両Cの前後方向に水平にスライドされることにより、乗車形態からカート又は歩行補助車形態に、又はカート又は歩行補助車形態から乗車形態に形態を変更される。このような形態の変更形式により、車両Cの乗車形態からカート又は歩行補助車形態へ変更するときでも、その反対に変更するときでも、さらに、形態が変更された後でも、移動ベース1は確実に安定する。しかも、前側ベース11は後側ベース12に対して、前側ベース11側の車両Cの前後方向に延びるスライドレール25が後側ベース12側の車両Cの前後方向前後に間隔をあけて配列される複数のガイドローラ35に案内されて、スライドされる。これにより、前側ベース11は、後側ベース12に重心が上がることなしに安定的に支持され、後側ベース12を重心が上がることなしに車両Cの前後方向に安定してスライド移動される。また、この場合、前側ベース11は、前側ベースフレーム21が後端部を開放される箱形に形成されて、垂直断面が閉断面構造になっている。後側ベース12は、後側ベースフレーム31が上部の一部及び先端部を開放される箱形に形成されて、垂直断面が閉断面構造になっている。これにより、前側ベース11、後側ベース12の剛性、強度が増し、前側ベース11が後側ベース12に対して長期間に亘り安定してスムーズにスライド移動される。さらに、この場合、車両Cの乗車形態でもカート又は歩行補助車形態でも、車両Cの荷物置き台は車両C本体の下方にあるので、この点でも、移動ベース1は重心が上がることなしに安定する。
【0058】
車両Cの乗車形態では、シート4の脚部5がシート4の着座位置にあり、車両Cの前側ベース11は後側ベース12の車両Cの前後方向前部から最大限まで伸長される。そして、前側ベース11とともに前側に配置される前側のボード111が足置き台、荷物置き台になり、後側ベース12とともに後側に配置される後側のボード121が荷物置き台になる。この乗車形態で、使用者はシート4に着座し、前側のボード111に足を乗せて、車両Cを走行する。この乗車形態においては、使用者がシート4に着座した際に、脚部5、ブラケット63を介して支持フレーム6に荷重が掛かり、これが移動ベース1に伝達される。
【0059】
これに対して、前側ベース11の両脚部支持部24Pと後端側の両ガイドローラ35が車両Cの幅方向に一直線に並列に、かつ各脚部支持部24Pと後端側の各ガイドローラ35が上下方向に直線的に配列される。すなわち、この車両Cの乗車形態では、車両Cの側面視で前側ベース11の脚部支持部24Pと後端側の各ガイドローラ35が重なるように、かつ車両Cの面視で前側ベース11の脚部支持部24Pと後端側の各ガイドローラ35が重なるようになっている。このような前側ベース11の脚部支持部24Pと後端側の各ガイドローラ35の配置構成により、使用者がシート4に着座する際に荷重の掛かる脚部5から前側ベース11の脚部支持部24Pに入力される荷重は後端側の各ガイドローラ35を介して後側ベース12へ効率良く分散される。使用者により車両Cの形態が変更される際も、同様である。
【0060】
この場合、ロック装置36により、車両Cの乗車形態、カート又は歩行補助車形態の形態毎に、前側ベース11と後側ベース12が固定される。このロック装置36は、車両Cの乗車形態で前側ベース11と後側ベース12とを固定する状態では、前側ベース11の脚部支持部24Pの近傍に配置されるように、後側ベース12の上部先端側に設置されている。このロック装置36の配置により、使用者がシート4に着座する際に前側ベース11の脚部5から脚部支持部24Pに入力される荷重は、ロック装置36を介して、後側ベース12に分散される。使用者により車両Cの形態が変更される際も、同様である。
【0061】
また、この場合、各脚部支持フレーム24は前側ベース11の両側部の脚部支持部24Pにおいて上部と下部に上下2点支持により接合されている。これにより、使用者がシート4に着座する際に、前側ベース11の脚部5から各脚部支持フレーム24に入力される荷重が、各脚部支持フレーム24と前側ベース1の脚部支持部24Pとの接合部で上下に分散される。これによって、荷重が各脚部支持フレーム24と前側ベース11の脚部支持部24Pとの接合部の一部に局所的に集中するのを抑制される。使用者により車両Cの形態が変更される際も、同様である。
【0062】
さらに、この場合、脚部5は、前側ベース11の両側に脚部支持部24Pを介して支持され、後側ベース12上に立ち上げられる支持フレーム6にブラケット63を介して支持されて、移動ベース1上に立ち上げられている。そして、支持フレーム6は車両Cの上下方向の上下方向中間部に車両Cの前後方向前方に向けて凸の曲折部6Aを有し、ブラケット63は支持フレーム6の曲折部6Aを跨いで固定されている。これにより、使用者がシート4に着座する際に、前側ベース11の脚部5から脚部支持部24Pに入力された荷重が支持フレーム6に伝達され、この荷重が、支持フレーム6の曲折部6Aを避けつつ、曲折部6Aより上側と曲折部6Aより下側へ分散される。
【0063】
以上、この具体例から明らかなように、この車両Cでは、移動ベース1の前側ベース11を後側ベース12に対して車両Cの前後方向に水平にスライドすることにより、乗車形態からカート又は歩行補助車形態に又はその反対に、形態を変更する。このような形態の変更形式により、車両Cの乗車形態からカート又は歩行補助車形態へ変更するときでも、その反対に変更するときでも、さらに、形態が変更された後でも、移動ベース1を確実に安定させることができる。しかも、前側ベース11を後側ベース12に対して、前側ベース11側のスライドレール25と後側ベース12側の複数のガイドローラ35との案内により、スライドさせる。これにより、前側ベース11を後側ベース12で重心を上げることなしに安定的に支持し、前側ベース11を後側ベース12に対して重心を上げることなしに車両Cの前後方向に安定してスライド移動させることができる。また、この場合、前側ベース11は垂直断面が閉断面構造になっている。後側ベース12は垂直断面が閉断面構造になっている。これにより、前側ベース11、後側ベース12の剛性、強度を増大させ、前側ベース11を後側ベース12に対して長期間に亘り安定してスムーズにスライド移動させることができる。さらに、この場合、車両Cの乗車形態でもカート又は歩行補助車形態でも、車両Cの荷物置き台が車両C本体の下方にあるので、この点でも、移動ベース1を重心が上がることなしに安定させることができる。
【0064】
また、この車両Cにおいては、さらに次のような利点を有する。
(1)この車両Cでは、乗車形態で、前側ベース11の両脚部支持部24Pと先端の各ガイドローラ35を車両Cの幅方向に一直線に並列に、かつ各脚部支持部24Pと先端の各ガイドローラ35を上下方向に直線的に配列する。すなわち、この車両Cの乗車形態で、車両Cの側面視で前側ベース11の脚部支持部24Pと先端の各ガイドローラ35が重なるように、かつ車両Cの面視で前側ベース11の脚部支持部24Pと先端の各ガイドローラ35が重なるようにしている。このような前側ベース11の脚部支持部24Pと先端の各ガイドローラ35の配置構成とすることにより、使用者がシート4に着座する際に荷重の掛かる前側ベース11の脚部5から脚部支持部24Pに入力される荷重を先端の各ガイドローラ35を介して後側ベース12へ効率良く分散することができる。車両Cの形態を変更する際も、同様である。
(2)この車両Cでは、ロック装置36を、車両Cの乗車形態、カート又は歩行補助車形態の形態毎に、前側ベース11と後側ベース12とを固定する形式にしている。そして、車両Cの乗車形態で前側ベース11と後側ベース12とを固定する状態では、このロック装置36が前側ベース11の脚部支持部24Pの近傍に配置されるように、このロック装置36を後側ベース12の上部先端側に設置してある。このようにロック装置36を配置することにより、使用者がシート4に着座する際に前側ベース11の脚部5から脚部支持部24Pに入力される荷重を、ロック装置36を介して、後側ベース12へ分散することができる。車両Cの形態を変更する際も、同様である。
(3)この車両Cでは、各脚部支持フレーム24を前側ベース11の両側部の脚部支持部24Pにおいて上部と下部に上下2点支持により接合している。このようにすることにより、使用者がシート4に着座する際に、前側ベース11の脚部5から各脚部支持フレーム24に入力される荷重を、各脚部支持フレーム24と前側ベース11との接合部で分散し、荷重が各脚部支持フレーム24と前側ベース11との接合部の一部に局所的に集中するのを抑制することができる。車両Cの形態を変更する際も、同様である。
(4)この車両Cでは、脚部5を、前側ベース11の両側に設けられる脚部支持部24Pに脚部支持フレーム24を介して支持し、後側ベース12上に立ち上げられる支持フレーム6にブラケット63を介して支持して、移動ベース1上に立ち上げている。この場合に、支持フレーム6の車両Cの上下方向の上下方向中間部に車両Cの前後方向前方に向けて凸の曲折部6Aを設け、ブラケット63を支持フレーム6に曲折部6Aを跨いで固定してある。このようにすることにより、使用者がシート4に着座する際に、脚部5に入力された荷重を支持フレーム6に伝達し、この荷重を、支持フレーム6の曲折部6Aを避けつつ
、曲折部6Aより上側と曲折部6Aより下側へ分散することができる。
【0065】
なお、この具体例では、一方のベース及び一方のボード、他方のベース及び他方のボードをそれぞれ、前側ベース11及び前側のボード111、後側ベース12及び後側のボード121として例示している。これとは反対に、一方のベース及び一方のボード、他方のベース及び他方のボードをそれぞれ、後側ベース及び後側のボード、前側ベース及び前側のボードとして構成してもよい。このようにしても上記具体例と同様の作用効果を奏することができる。
【0066】
また、この具体例では、前側ベース11にスライドレール25が配設され、後側ベース12にスライドガイド35が配置されるものとして例示している。これとは反対に、前側ベースにスライドガイドが配置され、後側ベースにスライドレールが配設されるものであってもよい。
この場合、図10に示すように、前側ベースフレーム21は、両側部フレーム21sの車両Cの上下方向の上下方向中間部に車両Cの前後方向に沿って断面コ字形の軸受プレート311が一体に接合されて、各軸受プレート311の車両Cの前後方向前後に間隔をあけて複数の軸受部312が形成される。そして、これらの軸受部312に複数のガイドローラ35が各ガイドローラ35の中心に設けられる回転軸351を挿通支持されて回転可能に取り付けられる。
また、後側ベースフレーム31は、両側部フレーム31sの車両の上下方向の上下方向中間部に車両Cの前後方向に沿って溝形プレート211が一体に接合されて、各側部プレート31sに外面側を開口面とする溝部210が形成される。これら各溝部210の内面がスライドレール25として形成される。
このようにしても上記具体例と同様の作用効果を奏することができる。
【0067】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
【符号の説明】
【0068】
C 小型電動車両(車両)
1 移動ベース
11 前側ベース
110 前輪
24P 脚部支持部
24 脚部支持フレーム
25 スライドレール
112 開口
113 後側ベース収容空間部(他方ベース収容空間部)
12 後側ベース
120 後輪
35 スライドガイド(ガイドローラ)
36 ロック装置
122 被収容部
4 シート
5 脚部
6 支持フレーム
6A 曲折部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10