(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】車両用導光体及び車両用灯具
(51)【国際特許分類】
F21S 43/241 20180101AFI20240319BHJP
F21S 43/14 20180101ALI20240319BHJP
F21S 43/249 20180101ALI20240319BHJP
F21S 43/245 20180101ALI20240319BHJP
F21S 43/243 20180101ALI20240319BHJP
F21V 8/00 20060101ALI20240319BHJP
F21W 103/00 20180101ALN20240319BHJP
F21W 103/35 20180101ALN20240319BHJP
F21W 103/20 20180101ALN20240319BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240319BHJP
【FI】
F21S43/241
F21S43/14
F21S43/249
F21S43/245
F21S43/243
F21V8/00 310
F21W103:00
F21W103:35
F21W103:20
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2020086895
(22)【出願日】2020-05-18
【審査請求日】2023-04-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000000136
【氏名又は名称】市光工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】檀浦 宗一郎
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-029606(JP,A)
【文献】国際公開第2018/074242(WO,A1)
【文献】国際公開第2009/110477(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 43/241
F21S 43/14
F21S 43/249
F21S 43/245
F21S 43/243
F21V 8/00
F21W 103/00
F21W 103/35
F21W 103/20
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源からの光を制御して入射する入射面と、前記光の一部を
正面背面方向に交差する第1方向に反射する第1反射面と、前記光の一部を前記第1方向とは異な
りかつ前記正面背面方向に交差する第2方向に反射する第2反射面とを有する入射側導光部と、
前記入射側導光部から前記第1方向に分岐し
て前記第1方向に延び、前記第1反射面で反射された前記光を正面側に出射する第1出射面を有する出射側導光部と、
前記入射側導光部から前記第2方向に分岐し
て前記第2方向に延び、前記第2反射面で反射された前記光を外部ユニットに供給する第2出射面を有する供給側導光部と
を備え、
前記第1反射面は、前記出射側導光部からの光を前記入射面側又は前記出射側導光部側へ向けて反射するように設けられ
、
前記第1出射面は、前記出射側導光部が延びる前記第1方向に対して前記正面側の側面部分に配置され、
前記第2出射面は、前記第2方向の端部に配置されて前記第2方向に向けられ、当該第2出射面に対して前記第2方向上に配置される前記外部ユニットに前記光を供給する
車両用導光体。
【請求項2】
前記第1方向と前記第2方向とは、反対方向である
請求項1に記載の車両用導光体。
【請求項3】
前記第1反射面は、前記出射側導光部側から前記第2方向を見た場合に前記供給側導光部の全体を覆う範囲に設けられる
請求項2に記載の車両用導光体。
【請求項4】
前記入射側導光部は、前記出射側導光部との間で鋭角を形成するように一方向に延びている
請求項1又は請求項2に記載の車両用導光体。
【請求項5】
前記出射側導光部は、前記第1方向の端部に他の光源からの光を入射可能な入射端面を有し、
前記出射側導光部からの光は、前記入射端面から入射した光を含む
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の車両用導光体。
【請求項6】
光源と、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の車両用導光体と、を有する第1灯具ユニットと、
前記第1灯具ユニットと分離して設けられ、前記車両用導光体の前記第2出射面から出射される前記光が供給される第2灯具ユニットと
を備える車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用導光体及び車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の灯具ユニットを備える車両用灯具が知られている。例えば、車両の後部に車両側とバックドア側とに跨って配置される車両用灯具は、車両側の第1灯具ユニットと、バックドア側の第2灯具ユニットとを有する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の車両用灯具では、第1灯具ユニット側に設けられた光源からの光の一部を出射面から出射し、また、光の一部を出射面で内部反射して第2灯具ユニット側に供給する構成である。しかしながら、この構成では、光が意図しない方向に出射して点光等を発生させる可能性がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、点光等の発生を抑制することが可能な車両用導光体及び車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様に係る車両用導光体は、光源からの光を制御して入射する入射面と、前記光の一部を第1方向に反射する第1反射面と、前記光の一部を前記第1方向とは異なる第2方向に反射する第2反射面とを有する入射側導光部と、前記入射側導光部から前記第1方向に分岐し、前記第1反射面で反射された前記光を正面側に出射する第1出射面を有する出射側導光部と、前記入射側導光部から前記第2方向に分岐し、前記第2反射面で反射された前記光を外部ユニットに供給する第2出射面を有する供給側導光部とを備え、前記第1反射面は、前記出射側導光部からの光を前記入射面側又は前記出射側導光部側へ向けて反射するように設けられる。
【0007】
また、前記第1方向と前記第2方向とは、反対方向であってもよい。
【0008】
また、前記第1反射面は、前記出射側導光部側から前記第2方向を見た場合に前記供給側導光部の全体を覆う範囲に設けられてもよい。
【0009】
また、前記入射側導光部は、前記出射側導光部との間で鋭角を形成するように一方向に延びていてもよい。
【0010】
また、前記出射側導光部は、前記第1方向の端部に他の光源からの光を入射可能な入射端面を有し、前記出射側導光部からの光は、前記入射端面から入射した光を含んでもよい。
【0011】
本発明の第2態様に係る車両用灯具は、光源と、上記の車両用導光体と、を有する第1灯具ユニットと、前記第1灯具ユニットと分離して設けられ、前記車両用導光体の前記第2出射面から出射される前記光が供給される第2灯具ユニットとを備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、点光等の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る車両の後部の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係る車両用灯具の一例を模式的に示す図である。
【
図3】
図3は、第1灯具ユニットによる動作の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、第1灯具ユニットによる動作の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る車両用導光体及び車両用灯具の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0015】
図1は、本実施形態に係る車両1の後部の一例を示す図である。
図1に示すように、車両1は、車体2と、走行装置3と、車両用灯具100とを備える。車体2は、運転者が搭乗する運転室を有する。車体2は、走行装置3に支持される。走行装置3は、タイヤ4が装着されるホイールと、車両1の進行方向を変えるための操舵装置と、走行装置3を減速又は停止させるためのブレーキ装置とを有する。車両1は、車体2の側部に設けられる乗降用ドアと、車体2の後部に設けられるバックドア7とを備える。乗降用ドア及びバックドア7はそれぞれ、ヒンジ機構を介して車体2に移動可能に支持される。
【0016】
以下の説明においては、車両1が水平面と平行な地面に配置されることとし、運転室に搭乗した運転者を基準として、前、後、上、下、左、及び右という用語を用いて各部の位置関係について説明する。前後、上下、左右の各方向は、車両用灯具が車両に搭載された車両搭載状態における方向であって、運転席から車両の進行方向を見た場合における方向を示す。なお、本実施形態では、上下方向は鉛直方向に平行であり、前後方向及び左右方向は水平方向に平行であるとする。
【0017】
本実施形態において、車両用灯具100は、車体2の後部の左側及び右側のそれぞれに設けられる。本実施形態では、車両用灯具100が車体2の後部に設けられる。そのため、前後方向の後方側を車両用灯具100の正面側とし、前後方向の前方側を車両用灯具100の背面側として説明する。
【0018】
車両用灯具100は、機能ランプを含む。機能ランプとして、車体2の後部に設けられヘッドランプの点灯と連動して点灯するテールランプ、車体2の後部に設けられブレーキ装置の作動と連動して点灯するストップランプ、車体2の後部に設けられ車両1の進行方向を周囲に示すために点灯するリアターンシグナルランプなどが挙げられる。
【0019】
車両用灯具100は、それぞれ車体2側とバックドア7側とに跨って配置される。車体2の後部の左側に設けられる車両用灯具100の構造と車体2の後部の右側に設けられる車両用灯具100の構造とは、左右方向について対称であり、実質的に同一の構造である。以下、車体2の後部の右側に設けられる車両用灯具100について主に説明し、車体2の後部の左側に設けられる車両用灯具100についての説明は簡略又は省略する。
【0020】
図2は、本実施形態に係る車両用灯具100の一例を模式的に示す図である。車両用灯具100は、車体2側に配置される第1灯具ユニット10と、バックドア7側に配置される第2灯具ユニット20とを備える。第1灯具ユニット10と第2灯具ユニット20とは分離されている。
【0021】
第1灯具ユニット10は、ハウジング11と、第1光源12と、第2光源13と、車両用導光体14と、インナーレンズ15とを有する。ハウジング11は、灯室内に上記の第1光源12、第2光源13、車両用導光体14を収容する。ハウジング11は、複数種類の機能ランプを収容してもよい。
【0022】
第1光源12及び第2光源13は、例えばLED等の半導体型光源である。第1光源12は、第1灯具ユニット10及び第2灯具ユニット20の両方に光を供給する。第2光源13は、第1灯具ユニット10に光を供給し、第1光源12の光量を補う。第1光源12及び第2光源13は、光を発光する発光面12a、13aをそれぞれ有する。発光面12a、13aは、それぞれ車両用導光体14の入射部分(後述する入射面14a、入射端面14d)に向けられている。
【0023】
車両用導光体14は、第1光源12及び第2光源13からの光の一部を正面側(後方)に向けて出射する。車両用導光体14は、第1光源12からの光の一部を第2灯具ユニット20に供給する。車両用導光体14は、入射側導光部14Pと、出射側導光部14Qと、供給側導光部14Rとを備える。
【0024】
入射側導光部14Pは、入射面14aと、第1反射面14bと、第2反射面14cとを有する。入射側導光部14Pは、入射面14a側から第1反射面14b及び第2反射面14c側にかけて直線状に設けられる。入射側導光部14Pは、後述する出射側導光部14Qの延びる第1方向D1との間で鋭角を形成するように一方向に延びている。本実施形態において、入射側導光部14Pは、前後方向に沿って延びている。入射側導光部14Pは直線状に延びる形状に限定されず、少なくとも一部が湾曲した形状であってもよい。
【0025】
入射面14aは、第1光源12からの光を入射する。入射面14aは、第1光源12からの光を平行光となるように制御する。第1反射面14bは、入射面14aで平行光に制御されて入射した光の一部を第1方向D1に向けて反射する。第2反射面14cは、入射面14aで平行光に制御されて入射した光の一部を第2方向D2に向けて反射する。
【0026】
本実施形態において、第1方向D1と第2方向D2とは、反対方向である。第1方向D1は、左右方向の右側に向けて前後方向の前方に傾いた方向である。また、第2方向D2は、左右方向の左側に向けて前後方向の後方に傾いた方向である。なお、第1方向D1及び第2方向D2は、互いに異なる方向であれば反対方向でなくてもよい。
【0027】
出射側導光部14Qは、入射側導光部14Pから第1方向D1に分岐する。出射側導光部14Qは、第1反射面14bから第1方向D1に直線状に延びた形状を有する。出射側導光部14Qは、直線状に延びた形状に限定されず、少なくとも一部が湾曲した形状であってもよい。
【0028】
出射側導光部14Qは、入射端面14dと、プリズム部14eと、第1出射面14fとを有する。入射端面14dは、第1方向D1の先端部に配置される。入射端面14dは、第2光源13からの光を入射する。入射端面14dは、第1方向D1に直交又はほぼ直交する平面状である。なお、入射端面14dは、平面状に限定されず、曲面状であってもよい。
【0029】
プリズム部14eは、第1反射面14bで反射された光及び入射端面14dから入射した光を、車両搭載状態における正面側(後方)に拡散するように反射する。プリズム部14eは、出射側導光部14Qの外周面のうち車両搭載状態における背面側(前方)の部分に、第1方向D1に沿って複数設けられる。
【0030】
第1出射面14fは、車両搭載状態における正面側の部分に配置され、プリズム部14eによって反射された光を正面側に向けて出射する。
【0031】
供給側導光部14Rは、入射側導光部14Pから第2方向D2に分岐する。供給側導光部14Rは、第2反射面14cから第2方向D2に直線状に延びた形状を有する。供給側導光部14Rは、直線状に延びた形状に限定されず、少なくとも一部が湾曲した形状であってもよい。
【0032】
供給側導光部14Rは、第2出射面14gを有する。第2出射面14gは、第2灯具ユニット20側に向けられる。第2出射面14gは、第2反射面14cで反射されて供給側導光部14Rを通過する光を第2灯具ユニット20に向けて出射する。第2出射面14gは、例えば平面状であってもよいし、光を集光可能な曲面状であってもよい。
【0033】
上記構成において、第1反射面14bは、出射側導光部14Qからの光を入射面14a側又は出射側導光部14Q側へ向けて反射するように設けられる。第1反射面14bは、出射側導光部14Qから第2方向D2を見た場合に、供給側導光部14Rの全体を覆う範囲に設けられる。このため、出射側導光部14Qから供給側導光部14Rに向けた光は、第1反射面14bにより反射されることになる。したがって、出射側導光部14Qからの光が供給側導光部14Rに直接到達することを回避可能である。
【0034】
インナーレンズ15は、車両用導光体14の正面側(後方)に配置される。インナーレンズ15は、例えば板状であり、車両用導光体14側に向けられた入射面15aと、車両後方に向けられた出射面15bとを有する。インナーレンズ15は、入射面15aまたは出射面15bに拡散部が形成される。このため、車両用導光体14の第1出射面14fから出射された光が入射面15aまたは出射面15bに到達した場合、拡散部で拡散された状態で入射または出射する。インナーレンズ15の出射面15bは、例えば平坦面とすることができる。
【0035】
第2灯具ユニット20は、ハウジング21と、車両用導光体22とを有する。第2灯具ユニット20は、不図示のインナーレンズを有してもよい。ハウジング21は、灯室内に上記の車両用導光体22を収容する。ハウジング21は、複数種類の機能ランプを収容してもよい。第2灯具ユニット20は、第1灯具ユニット10の車両用導光体14の第2出射面14gから出射される光が供給される。第2灯具ユニット20は、供給された光を車両用導光体22により導光して正面側(車両後方)に向けて出射する。
【0036】
次に、上記のように構成された車両用灯具100の動作の一例を説明する。
図3及び
図4は、第1灯具ユニット10による動作の一例を示す図である。
図3は、第1光源12から光を出射する場合の動作を示している。
図4は、第2光源13から光を出射する場合の動作を示している。
【0037】
運転者によって車両側の方向指示器の操作又はハザードスイッチの操作等、所定の操作が行われた場合、車両用灯具100は、当該操作に応じて、第1光源12及び第2光源13から光を出射する。
【0038】
図3に示すように、第1光源12から出射した光の一部(以下、光L1と表記する)は、入射面14aで平行光に変換された状態で入射側導光部14Pに入射する。光L1は、第1反射面14bによって第1方向D1に反射され、出射側導光部14Qに導光される。光L1は、出射側導光部14Qにおいて、例えば第1出射面14fによって背面側(前方)に内面反射された後、プリズム部14eによって正面側(後方)に内面反射され、第1出射面14fから出射される。第1出射面14fから出射された光L1は、インナーレンズ15の入射面15aに到達し、入射面15aの拡散部で拡散された状態でインナーレンズ15に入射する。インナーレンズ15に入射した光L1は、出射面15bから車両後方に出射される。
【0039】
また、第1光源12から出射した光の別の一部(以下、光L2と表記する)は、入射面14aで平行光に変換された状態で入射側導光部14Pに入射する。光L2は、第2反射面14cによって第2方向D2に反射され、供給側導光部14Rに導光される。光L2は、供給側導光部14Rにおいて、第2出射面14gから第2灯具ユニット20に向けて出射される。図示を省略するが、第2灯具ユニット20に入射した光L2は、第2灯具ユニット20の車両用導光体22から車両後方に出射される。
【0040】
また、第1光源12から出射した光の別の一部(以下、光L3と表記する)は、第1光源12から出射され、第1反射面14bによって出射側導光部14Qに導光された後、出射側導光部14Qにおいて内面反射して第2方向D2に戻ってくる。光L3の一部である光L3aは、第1反射面14bによって例えば入射側導光部14P側に反射される。入射側導光部14Pに導光された光L3aは、例えば入射面14a又は入射側導光部14Pの内周面から車両用導光体14の外部に出射され、ハウジング11等により吸収される。
【0041】
光L3の一部である光L3bは、第1反射面14bによって例えば出射側導光部14Q側に反射される。出射側導光部14Qに導光された光L3bは、出射側導光部14Qにおいて、例えば第1出射面14f及びプリズム部14eによって内面反射を繰り返した後、第1出射面14fから出射される。また、光L3bは、出射側導光部14Qにおいて、例えば第1出射面14f及びプリズム部14eによって内面反射を繰り返した後、再び第1反射面14bに到達し、第1反射面14bによって入射側導光部14P側又は出射側導光部14Q側に反射される。
【0042】
このように、第1光源12から出射した光のうち、出射側導光部14Qから第1反射面14bに向かう光L3(L3a、L3b)は、第1反射面14bにおいて入射側導光部14P又は出射側導光部14Qに反射される。このため、光L3は、供給側導光部14Rには到達しない。
【0043】
また、
図4に示すように、第2光源13から出射した光の一部(以下、光L4と表記する)は、入射端面14dから出射側導光部14Qに入射する。光L4は、出射側導光部14Qにおいて、例えば第1出射面14fによって背面側(前方)に内面反射された後、プリズム部14eによって正面側(後方)に内面反射され、第1出射面14fから出射される。第1出射面14fから出射された光L1は、上記の光L1と同様、インナーレンズ15を介して車両後方に出射される。
【0044】
また、第2光源13から出射した光の別の一部(以下、光L5と表記する)は、入射端面14dから出射側導光部14Qに入射して出射側導光部14Qを直進し、第1反射面14bに到達する。第1反射面14bに到達した光L5は、第1反射面14bによって例えば入射側導光部14P側に向けて反射される。入射側導光部14Pに導光された光L5は、例えば入射面14a又は入射側導光部14Pの内周面から車両用導光体14の外部に出射され、ハウジング11等により吸収される。
【0045】
また、第2光源13から出射した光の別の一部(以下、光L6と表記する)は、入射端面14dから出射側導光部14Qに入射し、出射側導光部14Qにおいて内面反射して第2方向D2に進む。光L6の一部である光L6aは、第1反射面14bによって例えば入射側導光部14P側に反射される。入射側導光部14Pに導光された光L6aは、例えば入射面14a又は入射側導光部14Pの内周面から車両用導光体14の外部に出射され、ハウジング11等により吸収される。
【0046】
光L6の一部である光L6bは、第1反射面14bによって例えば出射側導光部14Q側に反射される。出射側導光部14Qに導光された光L6bは、出射側導光部14Qにおいて、例えば第1出射面14f及びプリズム部14eによって内面反射を繰り返した後、第1出射面14fから出射される。また、光L6bは、出射側導光部14Qにおいて、例えば第1出射面14f及びプリズム部14eによって内面反射を繰り返した後、再び第1反射面14bに到達し、第1反射面14bによって入射側導光部14P側又は出射側導光部14Q側に反射される。
【0047】
このように、第2光源13から出射し、入射端面14dから出射側導光部14Qに入射して第2方向D2に進行する光L4、L5、L6は、第1反射面14bにおいて入射側導光部14P又は出射側導光部14Qに反射される。このため、光L4、L5、L6は、供給側導光部14Rには到達しない。
【0048】
以上のように、本実施形態に係る車両用導光体14は、第1光源12からの光を制御して入射する入射面14aと、光の一部を第1方向D1に反射する第1反射面14bと、光の一部を第1方向D1とは異なる第2方向D2に反射する第2反射面14cとを有する入射側導光部14Pと、入射側導光部14Pから第1方向D1に分岐し、第1反射面14bで反射された光を正面側に出射する第1出射面14fを有する出射側導光部14Qと、入射側導光部14Pから第2方向D2に分岐し、第2反射面14cで反射された光を第2灯具ユニット20に供給する第2出射面14gを有する供給側導光部14Rとを備え、第1反射面14bは、出射側導光部14Qからの光を入射面14a側又は出射側導光部14Q側へ向けて反射するように設けられる。
【0049】
この構成によれば、第1反射面14bが出射側導光部14Qからの光を入射面14a側又は出射側導光部14Q側へ向けて反射するように設けられるため、当該出射側導光部14Qからの光は供給側導光部14Rには到達しない。これにより、点光等の発生を抑制することができる。
【0050】
本実施形態に係る車両用導光体14において、第1方向D1と第2方向D2とは、反対方向であってもよい。この構成では、出射側導光部14Qを第2方向D2に進行する光が供給側導光部14Rに到達することが回避される。これにより、点光等の発生を抑制することができる。
【0051】
本実施形態に係る車両用導光体14において、第1反射面14bは、出射側導光部14Q側から第2方向D2を見た場合に供給側導光部14Rの全体を覆う範囲に設けられてもよい。この構成では、出射側導光部14Qからの光を第1反射面14bによって確実に入射側導光部14P及び出射側導光部14Qに向けて反射することができる。これにより、出射側導光部14Qからの光が供給側導光部14Rに到達することをより確実に回避できる。
【0052】
本実施形態に係る車両用導光体14において、入射側導光部14Pは、出射側導光部14Qとの間で鋭角を形成するように一方向に延びていてもよい。これにより、出射側導光部14Qからの光が供給側導光部14Rに到達することをより確実に回避できる。
【0053】
本実施形態に係る車両用導光体14において、出射側導光部14Qは、第1方向D1の端部に他の第2光源13からの光を入射可能な入射端面14dを有し、出射側導光部14Qからの光は、入射端面14dから入射した光を含んでもよい。これにより、入射面14aから入射した制御光とは異なる光が供給側導光部14Rに到達することを回避できる。
【0054】
本実施形態に係る車両用灯具100は、第1光源12と、上記の車両用導光体14と、を有する第1灯具ユニット10と、第1灯具ユニット10と分離して設けられ、車両用導光体14の第2出射面14gから出射される光が供給される第2灯具ユニット20とを備える。この構成によれば、点光等の発生を抑制することができる車両用導光体14を備えるため、見栄えの良い車両用灯具100を提供できる。
【0055】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。例えば、上記実施形態では、入射端面14dが平面状である構成を例に挙げて説明したが、この構成に限定されない。入射端面14dは、第2光源13からの光を平行光にする形状、当該光を拡散する形状等、所定の制御を行う形状に形成されてもよい。この場合、入射端面14dによる制御は、入射面14aによる制御と同一であってもよいし、異なってもよい。
【0056】
また、上記実施形態では、入射側導光部14Pが、出射側導光部14Qとの間で鋭角を形成するように一方向に延びた構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。入射側導光部14Pと出射側導光部14Qとの間は、直角又は鈍角であってもよい。
【0057】
また、上記実施形態では、第1反射面14bが、出射側導光部14Q側から第2方向D2を見た場合に供給側導光部14Rの全体を覆う範囲に設けられる構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。出射側導光部14Qから供給側導光部14Rに光が到達しない構成であれば、第1反射面14bは、出射側導光部14Q側から第2方向D2を見た場合に供給側導光部14Rの一部を覆う構成であってもよい。
【0058】
また、上記実施形態では、第1方向D1と第2方向D2とが反対方向である場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。第1方向D1と第2方向D2とは異なる方向であればよい。
【符号の説明】
【0059】
D1…第1方向、D2…第2方向、L1,L2,L3,L3a,L3b,L4,L5,L6,L6a,L6b…光、1…車両、2…車体、3…走行装置、4…タイヤ、5…ホイール、7…バックドア、10…第1灯具ユニット、11,21…ハウジング、12…第1光源、12a,13a…発光面、13…第2光源、14,22,24…車両用導光体、14P…入射側導光部、14Q…出射側導光部、14R…供給側導光部、14a,15a…入射面、14b…第1反射面、14c…第2反射面、14d…入射端面、14e…プリズム部、14f…第1出射面、14g…第2出射面、15…インナーレンズ、15b…出射面、20…第2灯具ユニット、100…車両用灯具