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  • 特許-車体側面構造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】車体側面構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/04 20060101AFI20240319BHJP
   B62D 25/20 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
B62D25/04 B
B62D25/20 F
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020113950
(22)【出願日】2020-07-01
(65)【公開番号】P2022012253
(43)【公開日】2022-01-17
【審査請求日】2023-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100183689
【弁理士】
【氏名又は名称】諏訪 華子
(74)【代理人】
【識別番号】110003649
【氏名又は名称】弁理士法人真田特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100092978
【弁理士】
【氏名又は名称】真田 有
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 基司
(72)【発明者】
【氏名】三崎 利次
(72)【発明者】
【氏名】今田 光彦
【審査官】宇佐美 琴
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-306698(JP,A)
【文献】特開2000-211549(JP,A)
【文献】特開2016-094089(JP,A)
【文献】米国特許第04550948(US,A)
【文献】中国特許出願公開第110466618(CN,A)
【文献】特開2016-193674(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 17/00-25/08,25/14-29/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前後方向に延在するサイドシルと前記車両の上下方向に延在するセンターピラーの下部とが結合される車体側面構造であって、
前記サイドシルが、
サイドシルインナーと、車幅方向外側に凸となる縦断面形状をなし前記サイドシルインナーと閉断面を形成するとともに上部に車幅方向に面したフランジ部を有するサイドシルリンフォースと、を備え、
前記センターピラーが、
センターピラーインナーと、車幅方向外側に凸となる横断面形状をなし前記センターピラーインナーと閉断面を形成するとともに前記サイドシルリンフォースに下部が結合されるセンターピラーリンフォースと、前記センターピラーリンフォースとは別体で設けられ前記センターピラーリンフォースの下部を補強する補強部材と、を備え、
前記センターピラーリンフォースは、その下部が前記サイドシルリンフォースの上面部に対して隙間を設けた状態で、前記サイドシルリンフォースの外側面部と前記フランジ部とに接合され、
前記補強部材は、前記隙間を覆うように前記サイドシルリンフォースと前記センターピラーリンフォースとの間を跨いで配置されるとともに、前記サイドシルリンフォースと前記センターピラーリンフォースとの両者に接合される
ことを特徴とする、車体側面構造。
【請求項2】
前記補強部材が、前記センターピラーリンフォースの前方側と後方側とに個別に設けられる
ことを特徴とする、請求項1記載の車体側面構造。
【請求項3】
前記サイドシルリンフォースの前記外側面部と前記センターピラーリンフォースとの接合箇所が、車両前後方向に複数連設されるとともに、側面視で交互に上下方向にずれて千鳥状に配置される
ことを特徴とする、請求項1または2記載の車体側面構造。
【請求項4】
前記補強部材が、前記サイドシルリンフォースの前記外側面部と前記センターピラーリンフォースとの接合箇所のうち、車両前後方向の端部に位置するものを覆うように配置され、
前記サイドシルリンフォースの前記外側面部と前記センターピラーリンフォースと前記補強部材との三者が一体に接合される
ことを特徴とする、請求項3記載の車体側面構造。
【請求項5】
前記補強部材が、前記サイドシルリンフォースの前記上面部と前記センターピラーリンフォースとの間に設けた隙間に沿った複数箇所で、前記センターピラーリンフォースに接合される
ことを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の車体側面構造。
【請求項6】
前記サイドシルリンフォースは、
前記外側面部と、前記外側面部の上下端から車幅方向内側に延びる前記上面部および下面部と、前記上面部から上方に延びる前記フランジ部と、を有し、
前記センターピラーリンフォースは、
側面部と、前記側面部の前後端から車幅方向内側へ延びる前後面部と、前記前後面部からそれぞれ前後方向に延びる縁部と、を有し、
前記センターピラーリンフォースの前記前後面部の下端縁と前記サイドシルリンフォースの前記上面部との間に隙間を設けた状態で、前記センターピラーリンフォースの前記側面部が前記サイドシルリンフォースの前記外側面部に接合されるとともに前記センターピラーリンフォースの前記縁部が前記サイドシルリンフォースの前記フランジ部に接合され、
前記補強部材は、
前記センターピラーリンフォースの前記側面部と前記サイドシルリンフォースの前記外側面部との境界を跨いで両者に接合される第1面部と、前記センターピラーリンフォースの前記前後面部と前記サイドシルリンフォースの前記上面部との境界を跨いで両者に接合される第2面部と、前記センターピラーリンフォースの前記縁部と前記サイドシルリンフォースの前記フランジ部との境界を跨いで両者に接合される第3面部とを有する
ことを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の車体側面構造。
【請求項7】
前記センターピラーリンフォースの下端部は、下方に向かうに従って前記前後面部が車両前後方向に広がる裾広がり形状とされ、
前記補強部材の前記第2面部は、前記センターピラーリンフォースの前記前後面部と前記サイドシルリンフォースの前記上面部とを連続的な曲面で繋ぐ湾曲形状とされている
ことを特徴とする、請求項6記載の車体側構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のサイドシルとセンターピラーの下部とが結合される車体側面構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のサイドシルやピラーのそれぞれをほぼ閉断面形状とし、ピラーの基端部をサイドシルに結合した車体側面構造が知られている。この種の構造では、サイドシルとピラーとの結合強度を高めるために、ピラー基端部の形状が車両前後方向に広がった裾広がり形状とされる。また、ピラー基端部の裾広がり形状部分のうち、車幅方向に面する側面は、サイドシルの外側に沿って下方へ延ばされ、サイドシルの側面に接合される(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-193674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の車体側面構造では、ピラー基端部の形状が裾広がり形状であることから、車両側方の乗降口となる開口部の足抜き性(例えば乗員の足が開口部の縁に接触することなく楽に乗降できるような利便性)が低下し、乗り降りしにくいという課題がある。一方、ピラー基端部の裾広がり形状を狭めてしまうと、サイドシルとピラーとの結合強度が低下し、十分な車体強度を確保できないおそれが生じる。
【0005】
本件の目的の一つは、上記のような課題に照らして創案されたものであり、簡素な構成で開口部の足抜き性を高めつつ車体強度を確保できるようにした車体側面構造を提供することである。なお、この目的に限らず、後述する「発明を実施するための形態」に示す各構成から導き出される作用効果であって、従来の技術では得られない作用効果を奏することも、本件の他の目的として位置付けることができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本件では、車両の前後方向に延在するサイドシルと車両の上下方向に延在するセンターピラーの下部とが結合される車体側面構造が開示される。サイドシルは、サイドシルインナーと、車幅方向外側に凸となる縦断面形状をなしサイドシルインナーと閉断面を形成するとともに上部に車幅方向に面したフランジ部を有するサイドシルリンフォースと、を備える。センターピラーは、センターピラーインナーと、車幅方向外側に凸となる横断面形状をなしセンターピラーインナーと閉断面を形成するとともにサイドシルリンフォースに下部が結合されるセンターピラーリンフォースと、センターピラーリンフォースとは別体で設けられセンターピラーリンフォースの下部を補強する補強部材と、を備える。センターピラーリンフォースは、その下部がサイドシルリンフォースの上面部に対して隙間を設けた状態で、サイドシルリンフォースの外側面部とフランジ部とに接合される。補強部材は、隙間を覆うようにサイドシルリンフォースとセンターピラーリンフォースとの間を跨いで配置されるとともに、サイドシルリンフォースとセンターピラーリンフォースとの両者に接合される。
【発明の効果】
【0007】
開示の車体側面構造によれば、簡素な構成で開口部の足抜き性を高めつつ車体強度を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例としての車体側面構造を模式的に示す分解斜視図である。
図2図1のセンターピラーインナーを拡大して模式的に示す斜視図である。
図3】(A),(B)は、図1のセンターピラーインナーにおける溶接箇所を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[1.構成]
以下、図1図3を参照して、実施例としての車体側面構造を説明する。図1は、車両のセンターピラー1(Bピラー)とサイドシル2との結合状態を説明するための分解斜視図である。センターピラー1は、図示しないルーフサイドレールとサイドシル2との間をつないで上下方向に延在する構造体であり、ドア開口の縦枠をなす部材である。サイドシル2は、ドア開口の下枠をなす構造体であり、車両の外側面下方において前後方向に延在する。これらのセンターピラー1およびサイドシル2は、おおむね閉断面構造に形成され、サイドシル2とセンターピラー1の下部とが結合される。
【0010】
図1に示すように、センターピラー1およびサイドシル2は、ともに車両の外装パネルであるアウターパネル10の車両内側(車幅方向の内側)に設けられる。アウターパネル10には、水平断面形状が車両外側に向かって膨出した形状のピラー部11と、縦断面形状が車両外側に向かって膨出した形状のシル部12とが設けられる。ピラー部11は、センターピラー1の外装パネルであって、車両側面で上下方向に延設される。また、シル部12は、サイドシル2の外装パネルであって、ピラー部11の下端において車両前後方向(水平方向)に延設される。
【0011】
ピラー部11の内側には、センターピラー1のセンターピラーインナー3とセンターピラーリンフォース4とが配置される。これらの横断面形状は、例えばセンターピラーインナー3が車両内側に突出したハット型(または平面状)であり、センターピラーリンフォース4が車幅方向外側に凸となるように突出したハット型である。すなわち、コ字状断面の溝部材における両端辺からフランジ面(縁端面)を垂直に延出させた形状である。これらのフランジ面を重ね合わせてスポット溶接やレーザー溶接等で接合することで、上下方向に延びる中空の閉断面骨格が形成される。
【0012】
同様に、シル部12の内側には、サイドシル2のサイドシルインナー13とサイドシルリンフォース14とが配置される。これらの縦断面形状は、例えばサイドシルインナー13が車両内側に突出したハット型(または平面状)であり、サイドシルリンフォース14が車幅方向外側に凸となるように突出したハット型である。これらのフランジ面を重ね合わせてスポット溶接やレーザー溶接等で接合することで、車両前後方向に延びる中空の閉断面骨格が形成される。
【0013】
図2に示すように、サイドシルインナー13およびサイドシルリンフォース14を組み合わせて形成される筒状部分のことを、サイドシル2の筒部7と呼ぶ。筒部7は、筒状に形成されて車両前後方向に延びるように配置される。筒部7の断面形状は、例えば上面部15,下面部16,外側面部17,内側面部18で囲まれた長方形状に形成される。また、筒部7の上面部15には、上方に向かって延設されたフランジ部8,9が設けられる。フランジ部8,9は、車幅方向に面する向きで(すなわち、フランジ部8,9の表面に対して垂直な方向(法線方向)が車幅方向を向くように)配置される。サイドシルリンフォース14のフランジ部8は、サイドシルインナー13のフランジ部9と面接触した状態で接合される。
【0014】
センターピラー1の基端をなすピラー基端部5には、図2に示すように、前述のセンターピラーリンフォース4と、センターピラーリンフォース4とは別体の補強部材6とが設けられる。センターピラーリンフォース4は、筒部7の上面部15に対して隙間を設けた状態で、筒部7の外側面部17とフランジ部8とに接合される。一方、補強部材6は、筒部7の上面部15とセンターピラーリンフォース4との隙間を覆うようにサイドシルリンフォース14とセンターピラーリンフォース4との間を跨いで配置される。また、補強部材6は、サイドシルリンフォース14とセンターピラーリンフォース4との両者に接合される。例えば、補強部材6は、筒部7の外側面部17と筒部7の上面部15とフランジ部8とセンターピラーリンフォース4とに接合される。本実施例の補強部材6は、センターピラーリンフォース4の前方側(センターピラー1のフロントドア開口部側)と後方側(センターピラー1のリヤドア開口部側)とに個別に設けられる。
【0015】
ピラー基端部5のセンターピラーリンフォース4は、図2図3に示すように、側面部21と前後面部22と縁部23とを有する。側面部21は、ピラー部11の内側でピラー部11の表面に沿って、車幅方向を向いた姿勢で上下方向に延在する面状の部位である。車両側面視における側面部21の形状は、下方が車両前後方向に拡幅した裾広がり形状とされる。これにより、曲げ変形に対するセンターピラーリンフォース4の剛性が確保される。
【0016】
縁部23は、サイドシル2のフランジ部8やセンターピラーインナー3に接合される部位であり、側面部21に対してほぼ平行な面状に形成される。側面視における縁部23の形状は、側面部21の前端辺,後端辺に沿った帯状に形成される。前後面部22は、側面部21と縁部23との間を接続する曲面状の部位である。前後面部22は、筒部7の上面部15に対して固定されない(好ましくは接触しない)ように設けられる。また、前後面部22の車幅方向寸法は、筒部7の外側面部17からフランジ部8までの水平距離とほぼ同一に設定される。センターピラーリンフォース4の水平断面形状は、側面部21および縁部23を踏面とし、前後面部22を蹴上げとした階段形状に準えられる。
【0017】
側面部21は、少なくとも筒部7の外側面部17と面接触する位置まで延設され、その下端部が外側面部17に対して接合される。側面部21に設けられる接合箇所としては、角部接合部24と円形接合部25と端辺接合部26とが挙げられる。角部接合部24は、側面部21の下端辺の角部に配置される接合部である。角部接合部24の形状は、側面部21の下端辺と前端辺(または後端辺)との交点付近を中心とした円を四分の一にした形状(四半円形状)である。角部接合部24は、車両前後方向の両端部のそれぞれに一対設けられる。
【0018】
端辺接合部26は、側面部21の下端辺に沿って配置される接合部であり、一対の角部接合部24の間に配置される。また、円形接合部25は、角部接合部24や端辺接合部26よりも若干高い位置に配置される円形状の接合部である。円形接合部25の車両前後方向の位置は、角部接合部24や端辺接合部26の車両前後方向の位置からずれた位置に設定される。換言すれば、これらの接合部24~26は、車両前後方向に複数連設されるとともに、側面視で交互に上下方向にずれて千鳥状に配置される。
【0019】
補強部材6は、図2に示すように、第二側面部31(第1面部)と第二斜面部32(第2面部)と第二縁部33(第3面部)とを有する。第二側面部31は、側面部21の表面に沿って、車幅方向を向いた姿勢で上下方向に延在する面状の部位である。この第二側面部31には、側面部21の角部接合部24および円形接合部25に対応する形状に形成された角部接合部34および円形接合部35が設けられる。
【0020】
補強部材6は、筒部7の外側面部17とセンターピラーリンフォース4との接合箇所のうち、車両前後方向の端部に位置するものを覆うように配置される。例えば、角部接合部24,34は、互いに面接触した状態で筒部7の外側面部17に対して接合される。したがって、外側面部17と角部接合部24と角部接合部34との三者は一体に接合される。また、円形接合部25,35についても同様であり、互いに面接触した状態で筒部7の外側面部17に対して接合される。したがって、外側面部17と円形接合部25と円形接合部35との三者は一体に接合される。
【0021】
第二縁部33は、サイドシル2のフランジ部8やセンターピラーリンフォース4の縁部23に接合される部位であり、第二側面部31に対してほぼ平行な面状に形成される。また、第二斜面部32は、第二側面部31と第二縁部33との間を接続する曲面状の部位である。第二斜面部32は、筒部7の上面部15とセンターピラーリンフォース4の前後面部22に対して面接触した状態で接合され、上面部15と前後面部22との隙間を閉塞する。
【0022】
図3(A),(B)に示すように、補強部材6の第二縁部33には、第一部位36と第二部位37とが設けられる。第一部位36は、サイドシル2のフランジ部8に接合される部位であり、第二部位37は、センターピラーリンフォース4の縁部23に接合される部位である。第二部位37の接合箇所数は、その第二部位37が設けられた補強部材6の第一部位36における接合箇所数よりも多く設定される。
【0023】
図3(A)に示す例では、センターピラーリンフォース4の前方側に設けられる補強部材6における第一部位36の接合箇所数が一箇所であり、第二部位37の接合箇所数が二箇所である。また、図3(B)に示すようにセンターピラーリンフォース4の後方側に設けられる補強部材6においても同様である。これにより、筒部7から第二縁部33を介して縁部23へと効率よく応力が伝達されるようになり、サイドシル2とピラー基端部5との結合箇所における剛性が確保される。また、センターピラーリンフォース4と補強部材6との剥離が抑制され、サイドシル2とピラー基端部5との結合箇所における強度が高くなる。
【0024】
また、補強部材6は、筒部7の上面部15とセンターピラーリンフォース4との隙間に沿った複数箇所でセンターピラーリンフォース4に接合される。図3(A),(B)に示す例では、センターピラーリンフォース4と補強部材6とが、隙間に沿った二箇所で接合されている。これにより、筒部7の上面部15から第二斜面部32を介して前後面部22へと効率よく応力が伝達されるようになり、サイドシル2とピラー基端部5との結合箇所における剛性が確保される。
【0025】
[2.作用・効果]
(1)上記の実施例では、車両の前後方向に延在するサイドシル2と車両の上下方向に延在するセンターピラー1の下部とが結合される車体側面構造が開示される。サイドシル2は、サイドシルインナー13と、車幅方向外側に凸となる縦断面形状をなしサイドシルインナー13と閉断面を形成するとともに上部に車幅方向に面したフランジ部8を有するサイドシルリンフォース14と、を備える。センターピラー1は、センターピラーインナー3と、車幅方向外側に凸となる横断面形状をなしセンターピラーインナー3と閉断面を形成するとともにサイドシルリンフォース14に下部が結合されるセンターピラーリンフォース4と、センターピラーリンフォース4とは別体で設けられセンターピラーリンフォース4の下部を補強する補強部材6と、を備える。
【0026】
センターピラーリンフォース4は、その下部がサイドシルリンフォース14の上面部15に対して隙間を設けた状態で、サイドシルリンフォース14の外側面部17とフランジ部8とに接合される。補強部材6は、上記の隙間を覆うようにサイドシルリンフォース14とセンターピラーリンフォース4との間を跨いで配置されるとともに、サイドシルリンフォース14とセンターピラーリンフォース4との両者に接合される。
【0027】
これにより、例えばセンターピラーリンフォース4と補強部材6とが一体化された構造と比較して、各部材4,6の成形性を向上させることができ、ピラー基端部5の側面アール(屈曲部分の曲率半径)を小さくすることができる。したがって、簡素な構成で開口部の足抜き性を高めつつ、車体強度を確保することができる。また、車両の仕向地の仕様に応じて補強部材6の板厚を変更することや、補強部材6を省略することが容易となる。つまり、汎用性の高い車体側面構造を提供することができ、車両の生産性やコストパフォーマンスを改善することができる。さらに、センターピラーリンフォース4および補強部材6の各々の材料(材質)や板厚を容易に変更できることから、剛性,強度のチューニングの自由度を高めることができ、車体設計の柔軟性を向上させることができる。
【0028】
(2)上記の実施例では、補強部材6が、センターピラーリンフォース4の前方側と後方側とに個別に設けられる。これにより、ピラー基端部5の剛性,強度を向上させることができ、センターピラー1の前方側の開口部(フロントシートの乗降口)だけでなく、後方側の開口部(リヤシートの乗降口)をも補強することができる。また、ピラー基端部5の前方側と後方側とで剛性,強度を相違させることが容易であり、剛性バランスや強度バランスを適正化することができる。
【0029】
(3)上記の実施例では、サイドシルリンフォース14の外側面部17とセンターピラーリンフォース4との接合箇所(角部接合部24,円形接合部25,端辺接合部26)が車両前後方向に複数連設され、側面視で交互に上下方向にずれて千鳥状に配置される。これにより、センターピラー1の車両前後方向の幅を拡張することなく接合箇所数を増加させることができ、サイドシル2とセンターピラーリンフォース4との接合強度を向上させることができる。また、センターピラー1に入力されるあらゆる方向の外力を効率よくサイドシル2に伝達することができ、車体強度を向上させることができる。
【0030】
(4)上記の実施例では、補強部材6が、サイドシルリンフォース14の外側面部17とセンターピラーリンフォース4との接合箇所のうち、車両前後方向の端部に位置するものを覆うように配置される。図3(A),(B)に示すように、筒部7の外側面部17とセンターピラーリンフォース4と補強部材6との三者は、角部接合部24,34および円形接合部25,35にて一体に接合される。これにより、ピラー基端部5の剛性,強度をさらに向上させることができる。なお、上記の三者を一体接合した構造では、一体接合しない構造と比較して外力作用時における外側面部17に対する補強部材6の相対変位が抑制され、剛性が向上する。したがって、車室の保護性能を向上させることができる。
【0031】
(5)上記の実施例では、補強部材6が、サイドシルリンフォース14の上面部15とセンターピラーリンフォース4との間に設けた隙間に沿った複数箇所で、センターピラーリンフォース4に接合される。これにより、筒部7の上面部15から第二斜面部32を介して前後面部22へと効率よく応力が伝達されるようになり、サイドシル2とピラー基端部5との結合箇所における剛性を高めることができる。
【0032】
なお、上記の実施例では、センターピラーリンフォース4が筒部7の上面部15に対して固定されず、補強部材6が筒部7の上面部15に対して接合されている。このような構造により、過度な応力伝達を抑制しつつ、上面部15からセンターピラーリンフォース4への応力伝達経路を確保することができる。
【0033】
(6)上記のサイドシルリンフォース14は、外側面部17と、外側面部17の上下端から車幅方向内側に延びる上面部15および下面部16と、上面部15から上方に延びるフランジ部8と、を有する。また、センターピラーリンフォース4は、側面部21と、側面部21の前後端から車幅方向内側へ延びる前後面部22と、前後面部22からそれぞれ前後方向に延びる縁部23と、を有する。センターピラーリンフォース4の前後面部22の下端縁とサイドシルリンフォース14の上面部15との間に隙間を設けた状態で、センターピラーリンフォース4の側面部21がサイドシルリンフォース14の外側面部17に接合されるとともに、センターピラーリンフォース4の縁部23がサイドシルリンフォース14のフランジ部8に接合される。
【0034】
また、補強部材6は、センターピラーリンフォース4の側面部21とサイドシルリンフォース14の外側面部17との境界を跨いで両者に接合される第1面部(第二側面部31)と、センターピラーリンフォース4の前後面部22とサイドシルリンフォース14の上面部15との境界を跨いで両者に接合される第2面部(第二斜面部32)と、センターピラーリンフォース4の縁部23とサイドシルリンフォース14のフランジ部8との境界を跨いで両者に接合される第3面部(第二縁部33)とを有する。
【0035】
このように、補強部材6に第1面部,第2面部,第3面部を設けることで、サイドシル2とセンターピラー1との接合強度を高めることができ、車体強度を確保することができる。また、補強部材6の剛性や強度を高めることができるため、外力に対するサイドシル2とセンターピラー1の下部との接合箇所の変形を抑制することができ、車体強度をさらに改善することができる。
【0036】
(7)上記の実施例では、センターピラーリンフォース4の下端部が、下方に向かうに従って前後面部22が車両前後方向に広がる裾広がり形状とされる。また、補強部材6の第2面部(第二斜面部32)は、センターピラーリンフォース4の前後面部22とサイドシルリンフォース14の上面部15とを連続的な曲面で繋ぐ湾曲形状とされている。これにより、サイドシルリンフォース14の上面部15とセンターピラーリンフォース4の前後面部22との間での応力伝達性能を向上させることができる。したがって、車体強度をさらに改善することができる。
【0037】
[3.変形例]
上記の実施例はあくまでも例示に過ぎず、本実施例で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施例の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせることができる。
【0038】
例えば、上述の実施例ではセンターピラーリンフォース4がセンターピラー1の上端から下端まで達する一本物として説明されているが、ピラー基端部5とその上部とで別部材(複数の部材)にしてもよい。センターピラーインナー3やアウターパネル10についても同様である。
また、上述の実施例では、補強部材6がセンターピラーリンフォース4の前方側と後方側とに個別に設けられるが、いずれか一方のみに補強部材6が設けられた構造にしてもよい。少なくとも、センターピラーリンフォース4とは別体の補強部材6を設けることで、上述の実施形態と同様の作用,効果を獲得することができる。
【符号の説明】
【0039】
1 センターピラー
2 サイドシル
3 センターピラーインナー
4 センターピラーリンフォース
5 ピラー基端部
6 補強部材
7 筒部
8 フランジ部
9 フランジ部
10 アウターパネル
11 ピラー部
12 シル部
13 サイドシルインナー
14 サイドシルリンフォース
15 上面部
16 下面部
17 外側面部
18 内側面部
21 側面部
22 前後面部
23 縁部
24 角部接合部
25 円形接合部
26 端辺接合部
31 第二側面部(第1面部)
32 第二斜面部(第2面部)
33 第二縁部(第3面部)
34 角部接合部
35 円形接合部
36 第一部位
37 第二部位
図1
図2
図3