(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】報知制御装置、および報知システム
(51)【国際特許分類】
B60R 16/02 20060101AFI20240319BHJP
G08B 21/00 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
B60R16/02 650C
G08B21/00 A
(21)【出願番号】P 2020135837
(22)【出願日】2020-08-11
【審査請求日】2023-03-31
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森林 健
【審査官】森本 康正
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-179875(JP,A)
【文献】特開2010-201985(JP,A)
【文献】特開2012-059203(JP,A)
【文献】特表2008-529126(JP,A)
【文献】特開2005-077875(JP,A)
【文献】特開平08-002339(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 1/00-99/00
G08B 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
警告音と、前記警告音を発する対象機器とを関連付けて、警告音情報として記憶部に登録する登録部と、
車両の車内で聴取可能な警告音を収音するマイクから、前記マイクが収音した警告音に関する音声情報を取得する音声情報取得部と、
前記記憶部に記憶された警告音情報と、前記音声情報取得部が取得した音声情報とに基づいて、前記マイクが収音した警告音を発した対象機器を特定する特定部と、
前記マイクが収音した警告音を発した対象機器が特定されたとき、前記警告音を発した対象機器と警告内容とを把握可能な報知情報を報知部に出力させる報知制御部と、
を備え
、
前記登録部は、前記音声情報取得部が前記マイクから音声情報を取得したとき、操作部が受け付けた操作情報に従って、前記マイクが収音した警告音と、前記マイクが収音した警告音を発した対象機器とを関連付けて、前記警告音情報として前記記憶部に登録する、
報知制御装置。
【請求項2】
前記報知部は、前記車両の運転者が運転中に視認可能な位置に配置された表示部及びスピーカの少なくとも一方を含み、
前記報知制御部は、前記表示部に前記報知情報を表示させ、前記スピーカに前記報知情報を音声で出力させる、
請求項1に記載の報知制御装置。
【請求項3】
前記報知制御部は、通信部を用いて、前記警告音を発した対象機器を把握可能な報知情報を外部装置に送信する、
請求項1
または2に記載の報知制御装置。
【請求項4】
請求項1から
3のいずれか1項に記載の報知制御装置と、
警告音を発した対象機器と警告内容とを把握可能は報知情報を出力する報知部と、
を含む、報知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、報知制御装置、および報知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
予め登録された機器に異常が発生した際に発せられる警告音と、収音した音とを比較することで、機器に発生した異常を判定する技術が知られている。例えば、特許文献1には、医療機器の状態が異常になったことを警告音などに基づいて検知して、ナースコールシステムに異常検知を通知する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年の乗用車を含む車両には、エラーが発生したり、警告を通知したりする際にブザー音およびビープ音などの警告音を発する機器が複数搭載されることがある。この場合、運転者は、警告音を聞いた際に、どの機器から発せられた警告音であるか判断できず、警告の内容を把握することができない可能性がある。
【0005】
本発明は、警告の内容を適切に把握させることのできる報知制御装置、および報知システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る報知制御装置は、警告音と、前記警告音を発する対象機器とを関連付けて、警告音情報として記憶部に登録する登録部と、車両の車内で聴取可能な警告音を収音するマイクから、前記マイクが収音した警告音に関する音声情報を取得する音声情報取得部と、前記記憶部に記憶された警告音情報と、前記音声情報取得部が取得した音声情報とに基づいて、前記マイクが収音した警告音を発した対象機器を特定する特定部と、前記マイクが収音した警告音を発した対象機器が特定されたとき、前記警告音を発した対象機器と警告内容とを把握可能な報知情報を報知部に出力させる報知制御部と、を備える。
【0007】
本発明の一態様に係る報知システムは、本発明の一態様に係る報知制御装置と、警告音を発した対象機器と警告内容とを把握可能は報知情報を出力する報知部と、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、警告の内容を適切に把握させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第一実施形態に係る報知システムの構成例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、第一実施形態に係る警告音情報の一例を説明するための図である。
【
図3】
図3は、第一実施形態に係る登録処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、第一実施形態に係る報知処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、第一実施形態の変形例に係る報知処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、第二実施形態に係る報知システムの構成例を示すブロック図である。
【
図7】
図7は、第二実施形態に係る警告音情報を説明するための図である。
【
図8】
図8は、第二実施形態に係る報知処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、第三実施形態に係る報知システムの構成例を示すブロック図である。
【
図10】
図10は、第三実施形態に係る警告音情報を説明するための図である。
【
図11】
図11は、第三実施形態に係る報知処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含む。また、以下の実施形態において、同一の部位には同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
【0011】
[第一実施形態]
図1を用いて、第一実施形態に係る報知システムの構成について説明する。
図1は、第一実施形態に係る報知システムの構成例を示すブロック図である。
【0012】
図1に示すように、報知システム10は、表示部11と、マイクロフォン12と、音声出力部13と、操作部14と、記憶部15と、通信部16と、制御部(報知制御装置)17と、を備える。
【0013】
報知システム10は、車両に配置されるシステムである。報知システム10は、警告音を検出すると、検出した警告音を発した対象機器を特定する。報知システム10は、運転者が、警告音を発した対象機器を適切に把握できるように、特定した対象機器と、警告内容とを報知する。
【0014】
表示部11は、種々の情報を表示する。表示部11は、例えば、警告音を発した対象機器と、警告内容とを、運転者が特定可能な報知情報を表示する。表示部11は、情報を映像で報知する報知部として機能し得る。表示部11は、例えば、運転者が運転中に視認できる位置に配置されている。表示部11は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)または有機EL(Organic Electro-Luminescence)ディスプレイ等を含むディスプレイで構成される。
【0015】
マイクロフォン12は、種々の音を収音する。マイクロフォン12は、例えば、車両の車室内で運転者が聴取可能な警告音を収音する。マイクロフォン12は、例えば、収音した警告音に関する音声情報を音声情報取得部172に出力する。
【0016】
音声出力部13は、各種の音声を出力する。音声出力部13は、例えば、警告音を発した対象機器と、警告内容とを、運転者が特定可能な報知情報を音声で出力する。すなわち、音声出力部13は、音声で情報を報知する報知部として機能し得る。音声出力部13は、例えば、スピーカで構成されている。
【0017】
操作部14は、報知システム10に対する種々の操作を受け付ける。操作部14は、例えば、マイクロフォン12が収音した警告音と、マイクロフォン12が収音した警告音を発した対象機器とを対応付ける操作を受け付ける。操作部14は、例えば、ボタン、スイッチ、タッチパネルなどで構成されている。
【0018】
記憶部15は、半導体メモリ、SSD(Solid State Drive)、HDD(Hard Disk Drive)等で構成されており、各種データを記憶する。記憶部15は、例えば、警告音と、その警告音を発する対象機器とが対応付けられた警告音情報を記憶している。
【0019】
通信部16は、外部の装置との間で情報の送受信を行う。通信部16は、例えば、運転者のスマートフォンとの間で情報の送受信を行う。通信部16は、例えば、Bluetooth(登録商標)などの通信モジュールで実現される。
【0020】
制御部17は、報知システム10の各部の動作を制御する。制御部17は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、図示しない記憶部に記憶されたプログラムがRAM等を作業領域として実行されることにより実現される。制御部17は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現されてもよい。制御部17は、ハードウェアと、ソフトウェアとの組み合わせで実現されてもよい。
【0021】
制御部17は、登録部171と、音声情報取得部172と、特定部173と、報知制御部174と、表示制御部175と、出力制御部176と、通信制御部177と、を備える。
【0022】
登録部171は、操作部14を介して、ユーザからの登録を受け付ける。登録部171は、例えば、ユーザからの登録操作に応じた操作情報に従って、マイクロフォン12が収音した警告音と、その警告音とを対応付け、警告音情報として記憶部15に記憶させる。
【0023】
図2は、第一実施形態に係る警告音情報の一例を説明するための図である。警告音情報151に示すように、警告音を発する対象機器と、対象機器が発する警告音とが対応付けて記憶されている。対象機器として、「ETC(Electronic Toll Collection System)」、「ドライブレコーダ」、「盗難防止装置」、「リモコンスタータ」、「電子ミラー」、「コーナーセンサ」、および「バックセンサ」が示されているが、これらに限定されない。対象機器は、例えば、通知音などを発するスマートフォンなどの車両の搭乗者が車室内に持ち込む装置であってよい。対象機器は、例えば、踏切警報機、および救急車のサイレンなど車両の外部で警告音を発する装置であってもよい。すなわち、対象機器は、車両に搭載される機器に限定されず、車両の車室内で聴取可能な警告音を発する装置であってもよい。
【0024】
「ETC」は、例えば、高速道路などの有料道路の料金所を通過する際に警告音を発する。「ドライブレコーダ」は、例えば、急加速および急減速など所定以上の加速度の変化を検出した際に警告音を発する。「盗難防止装置」は、例えば、ドアのキーがロックされた状態で、所定以上の振動(加速度)を検出した場合に、警告音を発する。「リモコンスタータ」は、例えば、バッテリの容量が所定以下になったり、エンジンがアイドリング状態になったりした際に警告音を発する。「コーナーセンサ」は、例えば、狭い道を走行したり、右左折したりするときなどに、車両と、障害物との間の距離が所定以下になった際に警告音を発する。「バックセンサ」は、例えば、車両を車庫入れなどバックで駐車するときなどに、車両と、障害物との間の距離が所定以下に警告音を発する。
【0025】
「ETC」には、警告音「A1」が対応付けられている。「ドライブレコーダ」には、警告音「A2」が対応付けられている。「盗難防止装置」には、警告音「A3」が対応付けられている。「リモコンスタータ」には、警告音「A4」が対応付けられている。「電子ミラー」には、警告音「A5」が対応付けられている。「コーナーセンサ」には、警告音「A6」が対応付けられている。「バックセンサ」には、警告音「A7」が対応付けられている。「A1」から「A7」は、それぞれ、異なる警告音である。警告音は、「A1」から「A7」のように概念的に示しているが、実際には、それぞれの対象機器が出力するブザー音及びビープ音などの録音データが、各対象機器に対応付けられる。
【0026】
図1に戻る。音声情報取得部172は、各種の音声情報を取得する。音声情報取得部172は、例えば、マイクロフォン12が収音した、運転者が車両の車室内で聴取可能な環境音に関する音声情報を取得する。音声情報取得部172は、例えば、マイクロフォン12が収音した、対象機器が発した警告音に関する音声情報を取得する。
【0027】
特定部173は、音声情報取得部172が取得した、対象機器が発した警告音に関する音声情報に基づいて、警告音を発した対象機器を特定する。具体的には、特定部173は、音声情報取得部172が取得した音声情報と、記憶部15に記憶された警告音情報とを比較することにより、警告音を発した対象機器を特定する。特定部173は、対象機器の警告音の類似度を判定してもよい。特定部173は、例えば、警告音の類似度を判定し、運転者が警告音を発した対象機器を間違える可能性のある対象機器を特定してもよい。特定部173は、例えば、音程及びパターンなどが所定以上一致している場合に、警告音が類似していると判定してもよい。
【0028】
報知制御部174は、特定部173により対象機器が特定されたとき、報知を行う。報知制御部174は、特定部173により対象機器が特定されたとき、表示部11および音声出力部13の少なくとも一方を用いて報知情報を出力させる。報知制御部174は、例えば、特定部173により対象機器が特定されたとき、「〇〇の警告です。××にご注意下さい」などのメッセージを表示部11に表示させる。報知制御部174は、例えば、特定部173により対象機器が特定されたとき、「〇〇の警告です。××にご注意ください」などの音声ガイダンスを音声出力部13に出力させる。「〇〇」は対象機器の名称を示し、「××」は具体的な警告を示す。例えば、報知制御部174は、「ドライブレコーダの警告です。急な加速(又は減速)に注意してください。」といった報知情報を表示部11に表示させたり、音声出力部13に出力させたりする。なお、報知制御部174は、例えば、通信部16を介して、外部装置に報知情報を送信してもよい。この場合、外部装置が報知情報を出力するようにしてもよい。外部装置は、例えば、運転者などが所有するスマートフォンが例示されるが、これに限定されない。
【0029】
表示制御部175は、各種の情報を表示部11に表示させる。表示制御部175は、例えば、警告音と、その警告音とを対応付けるための設定画面を表示部11に出力させる。出力制御部176は、音声出力部13を制御して、各種の音声を音声出力部13に出力させる。
【0030】
通信制御部177は、通信部16を制御して、報知システム10と、外部の装置との間の通信を制御する。通信制御部177は、例えば、通信部16を制御して、報知システム10と、運転者などが所有するスマートフォンとの間の通信を制御する。
【0031】
[登録処理]
図3を用いて、第一実施形態に係る登録処理について説明する。
図3は、第一実施形態に係る登録処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0032】
制御部17は、対象機器が発した警告音に関する音声情報を取得する(ステップS10)。具体的には、音声情報取得部172は、マイクロフォン12から対象機器が発した警告音に関する音声情報を取得する。制御部17は、ステップS11に進む。
【0033】
制御部17は、警告音を発した対象機器に関する機器情報を取得する(ステップS11)。具体的には、登録部171は、運転者などによって操作部14に入力された、警告音を発した対象機器に関する機器情報を取得する。制御部17は、ステップS12に進む。
【0034】
制御部17は、対象機器の警告音を登録する(ステップS12)。具体的には、登録部171は、ステップS10で取得した音声情報と、ステップS11で取得した機器情報とを関連付け、警告音情報として記憶部15に記憶する。制御部17は、
図3の処理を終了する。
【0035】
図3の処理では、制御部17は、取得された音声情報と、運転者などによって入力された機器情報に基づいて、警告音情報を記憶部15に記憶しているが、本発明はこれに限られない。制御部17は、外部の装置から警告音情報を取得してもよい。制御部17は、例えば、対象機器を製造している事業者などの外部サーバから対象機器が発する警告音に関する音声情報を取得(ダウンロード)するようにしてもよい。
【0036】
[報知処理]
図4を用いて、第一実施形態に係る報知処理について説明する。
図4は、第一実施形態に係る報知処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0037】
制御部17は、対象機器が発した警告音に関する音声情報を取得する(ステップS20)。具体的には、音声情報取得部172は、マイクロフォン12から対象機器が発した警告音に関する音声情報を取得する。制御部17は、ステップS21に進む。
【0038】
制御部17は、音声情報と警告音情報とを比較する(ステップS21)。具体的には、特定部173は、ステップS20で取得された音声情報と、記憶部15に予め記憶された警告音情報とを比較する。制御部17は、ステップS22に進む。
【0039】
制御部17は、対象機器を特定できたか否かを判定する(ステップS22)。具体的には、特定部173は、記憶部15に予め記憶された警告音情報において、ステップS20で取得された音声情報に対応付けられた機器情報があるか否かを判定する。対象機器が特定されたと判定された場合(ステップS22;Yes)、ステップS23に進む。対象機器が特定されていないと判定された場合(ステップS22;No)、ステップS24に進む。
【0040】
ステップS22でYesと判定された場合、制御部17は、対象機器を報知する(ステップS23)。具体的には、報知制御部174は、表示部11および音声出力部13の少なくとも一方を用いて、運転者が対象機器と警告内容を把握できるように報知情報を出力する。制御部17は、ステップS26に進む。
【0041】
ステップS22でNoと判定された場合、制御部17は、機器情報を取得したか否かを判定する(ステップS24)。具体的には、登録部171は、運転者などによって操作部14を介して入力された機器情報を取得したか否かを判定する。言い換えれば、登録部171は、運転者などが警告音情報を登録するための操作を行ったか否かを判定する。機器情報を取得したと判定された場合(ステップS24;Yes)、制御部17は、ステップS25に進む。機器情報を取得していないと判定された場合(ステップS24;No)、制御部17は、ステップS26に進む。
【0042】
ステップS24でYesと判定された場合、制御部17は、対象機器の警告音を登録する(ステップS25)。具体的には、登録部171は、ステップS20で取得した音声情報と、ステップS24で取得したと判定された機器情報とを関連付け、警告音情報として記憶部15に記憶する。制御部17は、ステップS26に進む。
【0043】
ステップS23の後やステップ25の後、あるいは、ステップS24でNoと判定された場合に、制御部17は、報知処理を終了するか否かを判定する(ステップS26)。具体的には、制御部17は、報知処理を終了する操作を受け付けた場合、および電源がオフになった場合などに報知処理を終了すると判定する。報知処理を終了すると判定された場合(ステップS26;Yes)、
図4の処理を終了する。報知処理を終了しないと判定された場合(ステップS26;No)、ステップS20に戻る。
【0044】
[報知処理の変形例]
図5を用いて、第一実施形態の変形例の報知処理について説明する。
図5は、第一実施形態の変形例に係る報知処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0045】
第一実施形態の変形例に係る報知処理は、警告音を発した対象機器を特定した場合に、その対象機器と類似の警告音を発する他の対象機器があるか否かに応じて、処理を変更してもよい。具体的には、第一実施形態の変形例に示すように、警告音がある対象機器から発せられたときに、その警告音に類似する警告音を発する他の対象機器がある場合にのみ、運転者が対象機器と警告内容を把握できるように報知を行ってもよい。
【0046】
ステップS30からステップS32の処理は、それぞれ、
図4に示すステップS20からステップS22と同一の処理なので、説明を省略する。
【0047】
ステップS32でYesと判定された場合、制御部17は、特定された対象機器の警告音と類似の警告音を発する対象機器があるか否かを判定する(ステップS33)。具体的には、特定部173は、記憶部15に記憶された警告音情報151などに基づいて、特定された対象機器の警告音と類似の警告音を発する対象機器が有るか否かを判定する。特定された対象機器の警告音と類似の警告音を発する対象機器が有ると判定された場合(ステップS33;Yes)、制御部17は、ステップS34に進む。特定された対象機器の警告音と類似の警告音を発する対象機器が無いと判定された場合(ステップS33;No)、制御部17は、ステップS35に進む。
【0048】
ステップS33でYesと判定された場合、制御部17は、ステップS32で特定された対象機器と、警告内容とを強調報知する(ステップS34)。具体的には、報知制御部174は、表示部11および音声出力部13の少なくとも一方を用いて、運転者がステップS32で特定された対象機器と、その対象機器と類似の警告音を発する対象機器とを間違えないように、報知情報を通常出力に比べて強調して出力する。報知制御部174は、例えば、表示部11に表示させる文字の大きさを大きくしたり、文字の色を目立つ色に変更したりすることで報知情報を強調して出力する。報知制御部174は、例えば、音声出力部13から出力させる音声の大きさを大きくするなどして報知情報を強調して出力する。制御部17は、ステップS38に進む。
【0049】
ステップS33でNoと判定された場合、制御部17は、ステップS32で特定された特定された対象機器と、警告内容とを通常報知する(ステップS35)。具体的には、報知制御部174は、表示部11および音声出力部13の少なくとも一方を用いて、運転者がステップS32で特定された対象機器と警告内容を把握できるように報知情報を通常出力する。制御部17は、ステップS38に進む。
【0050】
ステップS36からステップS38は、それぞれ、
図4に示すステップS24からステップS26と同一の処理なので、説明を省略する。
【0051】
上述のとおり、第一実施形態の変形例に係る処理では、特定された対象機器の警告音と類似の警告音を発する対象機器が有る場合に強調報知を行い、類似の警告音を発する対象機器が無い場合には通常報知を行う。これにより、例えば、運転者が警告音を発した対象機器を間違えやすい場合には、強調して報知されるので、より適切に対象機器を把握させることができる。
【0052】
[第二実施形態]
図6を用いて、第二実施形態に係る報知システムの構成について説明する。
図6は、第二実施形態に係る報知システムの構成例を示すブロック図である。
【0053】
第二実施形態に係る報知システム10Aは、警告音を発した対象機器を特定した場合に、その対象機器から警告音が発せられる頻度を判定する。報知システム10Aは、警告音が発せられる頻度に応じて報知情報を出力する方法を変更する。報知システム10Aは、頻度が所定値を超えている場合には、報知情報を通常の方法で出力する。報知システム10Aは、頻度が所定値以下である場合には、通常の方法よりも強調して報知情報を出力する。
【0054】
図6に示すように、報知システム10Aは、制御部17Aが頻度判定部178を備える点で、
図1に図示の報知システム10と異なっている。
【0055】
頻度判定部178は、対象機器が警告音を発する頻度を判定する。頻度判定部178は、対象機器ごとに頻度を判定する。第二実施形態では、例えば、対象機器ごとに警告音が発せられる頻度に関する頻度情報が対応付けられている。頻度判定部178は、例えば、対象機器ごとに対応付けられた頻度情報に基づいて、対象機器が警告音を発する頻度を判定する。
【0056】
図7は、第二実施形態に係る警告音情報を説明するための図である。
図7に示すように、第二実施形態に係る警告音情報151Aでは、対象機器と、警告音と、頻度が対応付けられている。
【0057】
図7に示すように、ETCの警告音が発せられる頻度は、「Fr1」である。ドライブレコーダの警告音が発せられる頻度は、「Fr2」である。盗難防止装置の警告音が発せられる頻度は、「Fr3」である。リモコンスタータの警告音が発せられる頻度は、「Fr4」である。電子ミラーの警告音が発せられる頻度は、「Fr5」である。コーナーセンサの警告音が発せられる頻度は、「Fr6」である。バックセンサの警告音が発せられる頻度は、「Fr7」である。
【0058】
図7では、頻度は、「Fr1」から「Fr7」のように概念的に示しているが、実際には、例えば、所定期間内に警告音が発せられた回数などを示す。頻度は、「高」、「中」、「低」のように段階的に示してもよい。頻度は、「10」、「9」、「8」、「7」、「6」、「5」、「4」、「3」、「2」、および「1」のように数値で段階的に示してもよい。この場合、例えば、「10」が最も頻度が高く、「1」が最も頻度が低いことを意味し得る。
【0059】
第二実施形態では、報知制御部174Aは、頻度判定部178により判定された頻度に応じて、報知情報を出力する方法を変更する。具体的には、報知制御部174Aは、頻度が所定値を超えている場合には、表示部11又は音声出力部13を用いて、通常の方法で報知情報を出力する。報知制御部174Aは、頻度が所定値以下である場合には、表示部11又は音声出力部13を用いて、通常の方法よりも強調した方法で報知情報を出力する。言い換えれば、報知制御部174Aは、頻度が所定以下である場合には、通常の方法よりも把握しやすい方法で報知情報を出力する。
【0060】
[報知処理]
図8を用いて、第二実施形態に係る報知処理について説明する。
図8は、第二実施形態に係る報知処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0061】
ステップS40からステップS42の処理は、それぞれ、
図4に図示のステップS20からステップS22の処理と同一の処理なので、説明を省略する。
【0062】
ステップS42でYesと判定された場合、制御部17Aは、特定した対象機器から警告音が発せられる頻度は所定以下であるか否かを判定する(ステップS44)。具体的には、頻度判定部178は、特定した対象機器から所定期間内に発せられた警告音の回数が所定以下であるか否かを判定する。頻度判定部178は、例えば、特定した対象機器から所定期間内に発せられた警告音の頻度が平均を下回っている場合に、頻度が所定以下であると判定してもよい。頻度判定部178は、例えば、頻度が「1」から「10」の10段階で示されている場合には、任意の数字(例えば、「3」)以下の場合に、頻度が所定以下であると判定してもよい。頻度が所定以下でないと判定された場合(ステップS44;No)、制御部17Aは、ステップS45に進む。頻度が所定以下であると判定された場合(ステップS44;Yes)、制御部17Aは、ステップS46に進む。
【0063】
ステップS44でNoと判定された場合、制御部17Aは、対象機器を通常報知する(ステップS45)。具体的には、報知制御部174は、表示部11および音声出力部13の少なくとも一方を用いて、運転者が対象機器と警告内容を把握できるように報知情報を通常出力する。制御部17Aは、ステップS49に進む。
【0064】
ステップS44でYesと判定された場合、制御部17Aは、対象機器を強調報知する(ステップS46)。具体的には、報知制御部174は、表示部11および音声出力部13の少なくとも一方を用いて、運転者が対象機器と警告内容を把握できるように報知情報を通常出力に比べて強調して出力する。報知制御部174は、例えば、表示部11に表示させる文字の大きさを大きくしたり、文字の色を目立つ色に変更したりすることで報知情報を強調して出力する。報知制御部174は、例えば、音声出力部13から出力させる音声の大きさを大きくするなどして報知情報を強調して出力する。制御部17Aは、ステップS49に進む。
【0065】
ステップS47からステップS49の処理は、それぞれ、
図4に示すステップS24からステップS26と同一の処理なので、説明を省略する。
【0066】
上述のとおり、第二実施形態では、警告音が発せられる頻度に応じて、報知情報を出力する方法を変更する。これにより、第二実施形態では、警告音が発せられる頻度に低い対象機器が警告音を発した場合に、報知情報を強調して出力することができるので、より適切に警告の内容を把握させることができる。
【0067】
[第三実施形態]
図9を用いて、第三実施形態に係る報知システムについて説明する。
図9は、第三実施形態に係る報知システムの構成例を示すブロック図である。
【0068】
第三実施形態に係る報知システム10Bは、報知の対象となる警告音を複数取得した場合には、それぞれの警告音を発した、対象機器の優先度を判定する。報知システム10Bは、優先度のより高い対象機器と警告内容を順に報知する。また、報知システム10Bは、報知の対象となる警告音を複数取得した場合には、優先度の最も高い対象機器と、その対象機器が発する警告内容のみを報知するようにしてもよい。
【0069】
図9に示すように、報知システム10Bは、制御部17Bが優先度判定部179を備える点で、
図1に図示の報知システム10と異なっている。
【0070】
優先度判定部179は、対象機器の警告の優先度を判定する。優先度判定部179は、判定した優先度を警告音情報に対応付ける。優先度判定部179は、例えば、運転者が警告を無視した場合に、事故につながる恐れの高い警告ほど優先度を高く判定する。
【0071】
図10は、第三実施形態に係る警告音情報を説明するための図である。
図10に示すように、第三実施形態に係る警告音情報151Bでは、対象機器と、警告音と、優先度が対応付けられている。
【0072】
図10に示すように、ETCの警告音が発せられる優先度は、「Pr1」である。ドライブレコーダの警告音が発せられる優先度は、「Pr2」である。盗難防止装置の警告音が発せられる優先度は、「Pr3」である。リモコンスタータの警告音が発せられる優先度は、「Pr4」である。電子ミラーの警告音が発せられる優先度は、「Pr5」である。コーナーセンサの警告音が発せられる優先度は、「Pr6」である。バックセンサの警告音が発せられる優先度は、「Pr7」である。
【0073】
図10では、優先度は、「Pr1」から「Pr7」のように概念的に示しているが、実際には、例えば、各対象機器との間の優先順位が示される。優先度は、「10」、「9」、「8」、「7」、「6」、「5」、「4」、「3」、「2」、および「1」のように数値で段階的に示してもよい。この場合、例えば、「10」が最も優先度が高く、「1」が最も優先度が低いことを意味し得る。
【0074】
第三実施形態では、報知制御部174Bは、優先度判定部179により判定された優先度に応じて、報知情報を出力する方法を変更する。具体的には、報知制御部174Bは、複数の対象機器の警告音に関する音声情報が取得された場合には、例えば、優先度判定部179により判定された優先度のより高い対象機器と警告内容から順に報知情報を出力する。報知制御部174Bは、複数の対象機器の警告音に関する音声情報が取得された場合には、例えば、優先度の最も高い対象機器と警告内容のみの報知情報を出力するようにしてもよい。
【0075】
[報知処理]
図11を用いて、第三実施形態に係る報知処理について説明する。
図11は、第三実施形態に係る報知処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0076】
ステップS50からステップS52の処理は、それぞれ、
図4に図示のステップS20からステップS22の処理と同一の処理なので、説明を省略する。
【0077】
ステップS52でYesと判定された場合、制御部17Bは、他の警告音に関する音声情報を取得したか否かを判定する(ステップS53)。具体的には、音声情報取得部172は、ステップS52で特定された対象機器と警告内容の報知する前に、他の警告音に関する音声情報を取得したか否かを判定する。他の警告音に関する音声情報を取得していないと判定された場合(ステップS53;No)、制御部17Bは、ステップS54に進む。他の警告音に関する音声情報を取得したと判定された場合(ステップS53;Yes)、制御部17Bは、ステップS55に進む。
【0078】
ステップS54の処理は、
図4に示すステップS23の処理と同一の処理なので、説明を省略する。
【0079】
ステップS53でYesと判定された場合、制御部17Bは、他の音声情報と警告音情報とを比較する(ステップS55)。具体的には、特定部173は、ステップS53で取得された音声情報と、記憶部15に予め記憶された警告音情報とを比較する。制御部17Bは、ステップS56に進む。
【0080】
制御部17Bは、他の対象機器を特定できたか否かを判定する(ステップS56)。具体的には、特定部173は、記憶部15に予め記憶された警告音情報において、ステップS53で取得された音声情報に対応付けられた機器情報があるか否かを判定する。他の対象機器が特定されたと判定された場合(ステップS56;Yes)、ステップS57に進む。対象機器が特定されていないと判定された場合(ステップS56;No)、ステップS54に進む。
【0081】
ステップS56でYesと判定された場合、制御部17Bは、優先度を比較する(ステップS57)。具体的には、優先度判定部179は、ステップS52で特定された対象機器と、ステップS56で特定された他の対象機器との優先度を比較する。制御部17Bは、ステップS58に進む。
【0082】
制御部17Bは、優先度の高い対象機器と警告内容とを優先的に報知する(ステップS58)。具体的には、報知制御部174Bは、ステップS57の比較結果に基づいて、表示部11又は音声出力部13を用いて、優先度のより高い方の対象機器と警告内容を、優先的に出力する。そして、制御部17Bは、ステップS61に進む。
【0083】
ステップS59からステップS61の処理は、それぞれ、
図4に示すステップS24からステップS26の処理と同一の処理なので、説明を省略する。
【0084】
上述のとおり、第三実施形態では、複数の警告音に関する音声情報を取得した場合に、優先度を比較して、優先度の高い対象機器と警告内容とを優先的に報知する。これにより、第三実施形態では、優先度の高い警告の内容を優先的に把握させることができる。
【0085】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これら実施形態の内容により本発明が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0086】
10 報知システム
11 表示部
12 マイクロフォン
13 音声出力部
14 操作部
15 記憶部
151,151A,151B 警告音情報
16 通信部
17,17A,17B 制御部(報知制御装置)
171 登録部
172 音声情報取得部
173 特定部
174,174A,174B 報知制御部
175 表示制御部
176 出力制御部
177 通信制御部
178 頻度判定部
179 優先度判定部