(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】電気製品の製造方法、および、電気製品
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20240319BHJP
H01G 4/228 20060101ALI20240319BHJP
H01G 4/40 20060101ALI20240319BHJP
H01G 13/00 20130101ALI20240319BHJP
H01G 17/00 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
H01G4/228 Q
H01G4/228 S
H01G4/40 A
H01G13/00 301C
H01G17/00
(21)【出願番号】P 2020170638
(22)【出願日】2020-10-08
【審査請求日】2022-08-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 友樹
【審査官】東 昌秋
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-37433(JP,A)
【文献】特開2018-182075(JP,A)
【文献】特開2010-251400(JP,A)
【文献】国際公開第2017/145719(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 1/00- 7/98
H01G 4/00- 4/40
H01G 13/00-17/00
H05K 7/02- 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気部品(370)と、
前記電気部品に固定され、一方向に延びる第1給電部(322)および第2給電部(312)と、
前記一方向に直交する直交方向で前記第1給電部と前記第2給電部の間に設けられる絶縁板(340)と、を有し、
第1給電上面(322a)と前記第1給電上面の裏側の第1給電下面(322b)を前記直交方向に貫通する固定孔(325)が前記第1給電部に形成され、
前記固定孔に挿入される突起部(345)が前記絶縁板に形成されている電気製品の製造方法であって、
上面(1000a)に前記直交方向において局所的に凹む被固定孔(1005)が形成された、前記突起部よりも剛性の高い治具(1000)を準備し、
前記被固定孔に前記固定孔が前記直交方向に並ぶ態様で、前記第1給電部を前記治具の前記上面に設け、
前記固定孔と前記被固定孔それぞれに前記突起部を通すことで、前記第1給電部に前記絶縁板を設け、
前記第1給電部に設けられた前記絶縁板に前記第2給電部を設け、
前記第1給電部と前記第2給電部を前記電気部品に固定することで、前記絶縁板を前記第1給電部と前記第2給電部との間で挟持する電気製品の製造方法。
【請求項2】
前記電気部品を収納する電気部品ケース(371)と、
前記電気部品ケースに充填される被覆樹脂(375)と、を有し、
前記電気部品とともに、前記第1給電部、前記第2給電部、および、前記絶縁板それぞれの一部を前記電気部品ケースに収納し、
前記電気部品ケースに前記被覆樹脂を充填することで、前記絶縁板を前記第1給電部と前記第2給電部に固定する請求項1に記載の電気製品の製造方法。
【請求項3】
絶縁板上面(340a)から前記直交方向に局所的に凹む凹部(343)が前記絶縁板に形成され、
第2給電上面(312a)と前記第2給電上面の裏側の第2給電下面(312b)を前記直交方向に貫通する位置決め孔(313)が前記第2給電部に形成され、
前記第1給電部に設けられた前記絶縁板に前記第2給電部を設ける際に、前記位置決め孔を前記凹部に前記直交方向で並べ、
前記直交方向に延びる補助治具(1100)を前記凹部と前記位置決め孔それぞれに挿入する請求項1または2に記載の電気製品の製造方法。
【請求項4】
第2給電上面(312a)と前記第2給電上面の裏側の第2給電下面(312b)を前記直交方向に貫通する調整孔(316)が前記第2給電部に形成され、
前記治具には前記被固定孔の他に、前記直交方向に延びる延長部(1200)が連結され、
前記第1給電部に設けられた前記絶縁板に前記第2給電部を設ける際に、前記調整孔に前記延長部を挿入する請求項1または2に記載の電気製品の製造方法。
【請求項5】
前記凹部が前記突起部と前記直交方向で並んでいる請求項3に記載の電気製品の製造方法。
【請求項6】
複数のスイッチ(351,352)を備えるスイッチ部品(369)とともに、ケース(380)に収納される電気製品(301)であって、
前記電気製品は電気部品(370)と、前記電気部品と前記スイッチ部品とを接続し、一方向に延びる、第1給電部(322)および第2給電部(312)と、前記一方向に直交する直交方向で前記第1給電部と前記第2給電部の間に設けられる絶縁板(340)と、を有し、
第1給電上面(322a)と前記第1給電上面の裏側の第1給電下面(322b)を前記直交方向に貫通する固定孔(325)が前記第1給電部に形成され、
前記絶縁板に形成された
突起部(345)が、前記固定孔に挿入され、先端が前記固定孔を通って前記直交方向に
延び、前記ケースに形成された前記直交方向に凹む被挿入孔(383)に挿入されている電気製品。
【請求項7】
前記ケースは底部(381)と、前記底部に環状に連結された側壁部(390)と、前記底部の前記側壁部の連結された側から前記直交方向に延びる伸長部(384)と、を有し、
前記伸長部の前記底部から離間した側に前記被挿入孔が形成されている請求項6に記載の電気製品。
【請求項8】
前記伸長部が前記電気部品と前記スイッチ部品それぞれと前記一方向で対向している請求項7に記載の電気製品。
【請求項9】
前記第2給電部は前記スイッチ部品に接続される外部接続端子(315)と、第2給電上面(312a)とその裏側の第2給電下面(312b)を前記直交方向に貫通する、前記直交方向に直交する方向の位置を規制するための位置決め孔(313)と、を有し、
前記位置決め孔が前記一方向と前記直交方向それぞれに直交する並び方向で、前記外部接続端子と離間している請求項6~8のいずれか1項に記載の電気製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載の開示は、電気製品の製造方法、および、電気製品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、コンデンサ素子と、一対のバスバーと、絶縁板と、を有するケースモールド型コンデンサが記載されている。一対のバスバーそれぞれは絶縁板を挟んで重なり合う重複部を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
絶縁板は樹脂やゴムによって成形されている。そのために絶縁板は収縮などによって変形しやすくなっている。これに伴い重複部で相対的な位置ずれが発生する虞がある。またケースモールド型コンデンサと外部機器との相対的な位置ずれが発生する虞がある。
【0005】
そこで本開示の目的は、2つの構成要素間の位置ずれの発生が抑制されやすくなった電気製品の製造方法、および、電気製品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様による電気製品の製造方法は、
電気部品(370)と、
電気部品に固定され、一方向に延びる第1給電部(322)および第2給電部(312)と、
一方向に直交する直交方向で第1給電部と第2給電部の間に設けられる絶縁板(340)と、を有し、
第1給電上面(322a)と第1給電上面の裏側の第1給電下面(322b)を直交方向に貫通する固定孔(325)が第1給電部に形成され、
固定孔に挿入される突起部(345)が絶縁板に形成されている電気製品の製造方法であって、
上面(1000a)に直交方向において局所的に凹む被固定孔(1005)が形成された、突起部よりも剛性の高い治具(1000)を準備し、
被固定孔に固定孔が直交方向に並ぶ態様で、第1給電部を治具の上面に設け、
固定孔と被固定孔それぞれに突起部を通すことで、第1給電部に絶縁板を設け、
第1給電部に設けられた絶縁板に第2給電部を設け、
第1給電部と第2給電部を電気部品に固定することで、絶縁板を第1給電部と第2給電部との間で挟持する。
【0007】
また、本開示の一態様による電気製品は、
複数のスイッチ(351,352)を備えるスイッチ部品(369)とともに、ケース(380)に収納される電気製品(301)であって、
電気製品は電気部品(370)と、電気部品とスイッチ部品とを接続し、一方向に延びる、第1給電部(322)および第2給電部(312)と、一方向に直交する直交方向で第1給電部と第2給電部の間に設けられる絶縁板(340)と、を有し、
第1給電上面(322a)と第1給電上面の裏側の第1給電下面(322b)を直交方向に貫通する固定孔(325)が第1給電部に形成され、
絶縁板に形成された突起部(345)が、固定孔に挿入され、先端が固定孔を通って直交方向に延び、ケースに形成された直交方向に凹む被挿入孔(383)に挿入されている。
【0008】
これによれば、2つの構成要素間の位置ずれの発生が抑制される。例えば、第1給電部(322)と第2給電部(312)の相対的な位置ずれが抑制される。スイッチ部品(369)と電気製品(301)の相対的な位置ずれが抑制される。
【0009】
なお、上記の括弧内の参照番号は、後述の実施形態に記載の構成との対応関係を示すものに過ぎず、技術的範囲を何ら制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】車載システムを説明するための回路図である。
【
図2】電気製品の製造方法を説明するための上面図である。
【
図3】電気製品の製造方法を説明するための断面図である。
【
図4】電気製品の製造方法を説明するための断面図である。
【
図5】電気製品の製造方法を説明するための断面図である。
【
図6】
図2に示すVI―VI線に沿う電気製品の製造方法を説明するための断面図である。
【
図7】
図2に示すVII―VII線に沿う電気製品の製造方法を説明するための断面図である。
【
図9】電気製品の製造方法の変形例を説明するための上面図である。
【
図10】
図9に示すX-X線に沿う電気製品の製造方法の変形例を説明するための断面図である。
【
図12】
図11に示すXII-XII線に沿う電気機器の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら本開示を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。
【0012】
また、各実施形態で組み合わせが可能であることを明示している部分同士の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても実施形態同士、実施形態と変形例、および、変形例同士を部分的に組み合せることも可能である。
【0013】
(第1実施形態)
先ず、
図1に基づいて電気製品301を含む電気機器300の設けられる車載システム100を説明する。この車載システム100は電気自動車用のシステムを構成している。車載システム100はバッテリ200、電気機器300、モータ400、および、図示しない基板を有する。
【0014】
基板には複数のECUが搭載されている。これら複数のECUはバス配線を介して相互に信号を送受信している。複数のECUは協調して電気自動車を制御している。複数のECUの制御により、バッテリ200のSOCに応じたモータ400の回生と力行が制御される。SOCはstate of chargeの略である。ECUはelectronic control unitの略である。
【0015】
バッテリ200は複数の二次電池を有する。これら複数の二次電池は直列接続された電池スタックを構成している。この電池スタックのSOCがバッテリ200のSOCに相当する。二次電池としてはリチウムイオン二次電池、ニッケル水素二次電池、および、有機ラジカル電池などを採用することができる。
【0016】
<電気機器>
電気機器300はインバータとしてバッテリ200とモータ400との間の電力変換を行う。電気機器300はバッテリ200の直流電力を交流電力に変換する。電気機器300はモータ400の発電(回生)によって生成された交流電力を直流電力に変換する。
【0017】
モータ400は図示しない電気自動車の出力軸に連結されている。モータ400の回転エネルギーは出力軸を介して電気自動車の走行輪に伝達される。逆に、走行輪の回転エネルギーは出力軸を介してモータ400に伝達される。
【0018】
モータ400は電気機器300から供給される交流電力によって力行する。これにより走行輪への推進力の付与が成される。またモータ400は走行輪から伝達される回転エネルギーによって回生する。この回生によって発生した交流電力は、電気機器300によって直流電力に変換される。この直流電力がバッテリ200に供給される。また直流電力は電気自動車に搭載された各種電気負荷にも供給される。
【0019】
電気機器300には後述のスイッチなどの半導体素子が含まれている。本実施形態ではスイッチとしてnチャネル型のIGBTを採用している。ただしこれらスイッチとしては、IGBTではなくMOSFETを採用することもできる。スイッチとしてMOSFETを採用する場合、ダイオードはなくともよい。
【0020】
これらスイッチは、Siなどの半導体、および、SiCなどのワイドギャップ半導体によって製造することができる。半導体素子の構成材料としては特に限定されない。
【0021】
<電気機器の電気的接続>
電気機器300はバッテリ200に第1給電バスバ310と第2給電バスバ320を介して接続される電気製品301と、電気製品301に接続されるU相レグ361、V相レグ362、および、W相レグ363を有する。電気製品301は第1給電バスバ310、第2給電バスバ320、および、コンデンサ370を有する。
【0022】
なお、
図1においては記載の都合上、第1給電バスバ310の一部と第2給電バスバ320の一部が電気製品301を示す枠内に記載されているが、電気製品301は第1給電バスバ310のすべてと第2給電バスバ320のすべてを有している。コンデンサ370は電気部品に相当する。
【0023】
バッテリ200の正極に第1給電バスバ310が接続されている。バッテリ200の負極に第2給電バスバ320が接続されている。第1給電バスバ310と第2給電バスバ320の間にコンデンサ370とU相レグ361~W相レグ363それぞれが接続されている。
【0024】
コンデンサ370は2つの電極を有している。これら2つの電極のうちの一方の電極が第1給電バスバ310に接続されている。これら2つの電極のうちの他方の電極が第2給電バスバ320に接続されている。
【0025】
U相レグ361~W相レグ363それぞれは直列接続された2つのスイッチを有する。U相レグ361~W相レグ363それぞれはスイッチとしてハイサイドスイッチ351とローサイドスイッチ352を有する。またU相レグ361~W相レグ363それぞれはダイオードとしてハイサイドダイオード351aとローサイドダイオード352aを有する。ハイサイドスイッチ351とローサイドスイッチ352それぞれがスイッチに相当する。
【0026】
図1に示すようにハイサイドスイッチ351のコレクタ電極が第1給電バスバ310に接続されている。ハイサイドスイッチ351のエミッタ電極とローサイドスイッチ352のコレクタ電極とが接続されている。ローサイドスイッチ352のエミッタ電極が第2給電バスバ320に接続されている。これによりハイサイドスイッチ351とローサイドスイッチ352は第1給電バスバ310から第2給電バスバ320へ向かって順に直列接続されている。
【0027】
またこれらハイサイドスイッチ351それぞれのコレクタ電極にハイサイドダイオード351aのカソード電極が接続されている。これらハイサイドスイッチ351それぞれのエミッタ電極にハイサイドダイオード351aのアノード電極が接続されている。これによりハイサイドスイッチ351にハイサイドダイオード351aが逆並列接続されている。
【0028】
同様にしてこれらローサイドスイッチ352それぞれのコレクタ電極にローサイドダイオード352aのカソード電極が接続されている。これらローサイドスイッチ352それぞれのエミッタ電極にローサイドダイオード352aのアノード電極が接続されている。これによりローサイドスイッチ352にローサイドダイオード352aが逆並列接続されている。
【0029】
さらに、U相レグ361の備えるハイサイドスイッチ351とローサイドスイッチ352との間の中点にU相バスバ410が接続されている。U相バスバ410はモータ400のU相ステータコイルに接続されている。
【0030】
V相レグ362の備えるハイサイドスイッチ351とローサイドスイッチ352との間の中点にV相バスバ420が接続されている。V相バスバ420はモータ400のV相ステータコイルに接続されている。
【0031】
W相レグ363の備えるハイサイドスイッチ351とローサイドスイッチ352との間の中点にW相バスバ430が接続されている。W相バスバ430はモータ400のW相ステータコイルに接続されている。
【0032】
モータ400を力行する場合、ECUからの制御信号によってU相レグ361~W相レグ363の備えるハイサイドスイッチ351とローサイドスイッチ352それぞれがPWM制御される。これにより電気機器300で3相交流が生成される。モータ400が発電(回生)する場合、ECUは例えば制御信号の出力を停止する。これによりモータ400の発電によって生成された交流電力がU相レグ361~W相レグ363の備えるダイオードを通る。この結果、交流電力が直流電力に変換される。
【0033】
<電気製品の機械的構成>
次に、電気製品301の機械的構成を説明する。それに当たって、以下においては互いに直交の関係にある3方向をx方向、y方向、および、z方向とする。x方向は並び方向に相当する。y方向は一方向に相当する。z方向は直交方向に相当する。なお図面においては「方向」の記載を省略している。なお図面においてはバッテリ200を「BATT」と略記して示している。
【0034】
電気製品301はこれまでに説明した構成要素として、第1給電バスバ310、第2給電バスバ320、および、コンデンサ370を有する。電気製品301は上記した構成要素の他に、絶縁板340およびコンデンサケース371を有する。なおコンデンサ370は
図7および
図8に示すように略直方体形状を成している。
【0035】
<第1給電バスバ>
第1給電バスバ310はバッテリ200とコンデンサ370を接続する第1導電部位311と、コンデンサ370とU相レグ361~W相レグ363それぞれを接続する第2導電部位312を有する。第2導電部位312は第2給電部に相当する。
【0036】
図6~
図8に示すように第2導電部位312はz方向に厚さの薄い扁平形状を成している。第2導電部位312はz方向に並ぶ第1バスバ上面312aとその裏側の第1バスバ下面312bを有する。また
図6~
図8に示すように、第2導電部位312には第1バスバ上面312aと第1バスバ下面312bに円筒状に開口する位置決め孔313が形成されている。なお、
図2~
図8においては第1導電部位311の記載を省略している。なお、第1バスバ上面312aは第2給電上面に相当する。第1バスバ下面312bは第2給電下面に相当する。
【0037】
<第2給電バスバ>
同様にして第2給電バスバ320はバッテリ200とコンデンサ370を接続する第3導電部位321と、コンデンサ370とU相レグ361~W相レグ363それぞれを接する第4導電部位322を有する。第4導電部位322は第1給電部に相当する。
【0038】
図3~
図8に示すように第4導電部位322はz方向に厚さの薄い扁平形状を成している。第4導電部位322はz方向に並ぶ第2バスバ上面322aとその裏側の第2バスバ下面322bを有する。また
図6および
図7に示すように、第4導電部位322には第2バスバ上面322aと第2バスバ下面322bに円筒状に開口する第1固定孔323と第2固定孔324が形成されている。なお、第2バスバ上面322aは第1給電上面に相当する。第2バスバ下面322bは第1給電下面に相当する。
【0039】
図3~
図8に示すように第1固定孔323と第2固定孔324とがx方向に離間して並んでいる。なお、
図2~
図7においては第3導電部位321の記載を省略している。
【0040】
<コンデンサケース>
コンデンサケース371はコンデンサ370を収納するための筐体である。
図8に示すようにコンデンサケース371はz方向に並ぶケース下部372およびケース上部373と、これらを連結するケース連結部374を有する。これらケース下部372、ケース上部373、および、ケース連結部374によって区画されるケース空間にコンデンサ370が収納されている。コンデンサ370の備える2つの電極のうちの一方に第2導電部位312が接続されている。コンデンサ370の備える2つの電極のうちの他方に第4導電部位322が接続されている。なお、コンデンサケース371は電気部品ケースに相当する。
【0041】
<絶縁板>
図4~
図8に示すように絶縁板340はz方向に厚さの薄い扁平形状を成している。絶縁板340は樹脂によって形成されている。絶縁板340は第2導電部位312と第4導電部位322の間に設けられ、第2導電部位312と第4導電部位322との通電を妨げる役割を担っている。
【0042】
絶縁板340はz方向に並ぶ絶縁板上面340aとその裏側の絶縁板下面340bを有する。また絶縁板340には絶縁板下面340bから遠ざかる態様でz方向に延びる円筒状の第1突起部341と第2突起部342を有する。
【0043】
図4~
図8に示すように第1突起部341と第2突起部342はx方向に離間して並んでいる。なお、第1突起部341と第2突起部342は絶縁板340に連結されていなくてもよい。第1突起部341と第2突起部342は絶縁板340と別体であってもよい。第1突起部341と第2突起部342が絶縁板340に連結されていればよい。
【0044】
絶縁板340は第1突起部341と第2突起部342の形成されている部位で、絶縁板340における第1突起部341と第2突起部342の形成されていない部位と比較してz方向に厚さが厚くなっている。そのために絶縁板340における第1突起部341と第2突起部342の形成されている部位で、第1突起部341と第2突起部342の形成されていない部位と比較して蓄熱されやすくなっている。絶縁板340が局所的に蓄熱されやすくなっている。
【0045】
この蓄熱を逃すために、第1突起部341の絶縁板340へのz方向の投影領域内に意図的に絶縁板上面340aから絶縁板下面340b向かって円筒状に凹む第1凹部343が形成されている。同様にして第2突起部342の絶縁板340へのz方向の投影領域内に意図的に絶縁板上面340aから絶縁板下面340b向かって円筒状に凹む第2凹部344が形成されている。第1凹部343は凹部に相当する。
【0046】
なお、第1突起部341の絶縁板340へのz方向の投影領域内に第1凹部343が形成されていなくてもよい。同様にして第2突起部342の絶縁板340へのz方向の投影領域内に第2凹部344が形成されていなくてもよい。
【0047】
なお、第1凹部343のx方向とy方向に沿う差し渡しの長さは、位置決め孔313のx方向とy方向に沿う差し渡しの長さと同等になっている。
【0048】
<電気製品の製造方法>
図2~
図8に基づいて電気製品301の製造方法を説明する。
【0049】
先ず第4導電部位322のx方向とy方向の位置を規制する治具1000を用意する。
【0050】
治具1000は金属などの剛性の高い材料から形成されている。なお、治具1000は上記した第1突起部341および第2突起部342よりも剛性が高くなっている。
【0051】
治具1000は略直方体形状を成している。治具1000はz方向に離間して並ぶ上面1000aおよび下面1000bと、これらを連結する連結面1001を有する。
【0052】
図2に示すように連結面1001は、x方向に離間して並ぶ第1連結面1001aと第3連結面1001c、および、y方向に離間して並ぶ第2連結面1001bと第4連結面1001dを有する。第1連結面1001a、第2連結面1001b、第3連結面1001c、第4連結面1001dがz方向周りの周方向に時計回りに環状に連結されている。
【0053】
図2に示すように治具1000の第2連結面1001b側に、下面1000bと上面1000aに貫通する貫通孔1002が形成されている。
図3に示すように治具1000の貫通孔1002よりも第4連結面1001d側に位置する上面1000aに、下面1000bに向かって凹む第1被固定孔1003と第2被固定孔1004が形成されている。
【0054】
図3~
図8に示すように第1被固定孔1003が第1連結面1001a側に設けられている。第2被固定孔1004が第3連結面1001c側に設けられている。第1被固定孔1003と第2被固定孔1004とがx方向に離間して並んでいる。
【0055】
なお、第1被固定孔1003のx方向とy方向に沿う差し渡しの長さは、第1固定孔323のx方向とy方向に沿う差し渡しの長さと同等になっている。第2被固定孔1004のx方向とy方向に沿う差し渡しの長さは、第2固定孔324のx方向とy方向に沿う差し渡しの長さと同等になっている。
【0056】
以下、説明を簡便にするために第1固定孔323と第2固定孔324を併せて固定孔325と示す。第1被固定孔1003と第2被固定孔1004を併せて被固定孔1005と示す。第1突起部341と第2突起部342を併せて突起部345と示す。
【0057】
次に、
図3に示すように固定孔325が被固定孔1005とz方向で連通するように、第4導電部位322を治具1000の上面1000aに配置する。具体的に言えば第1固定孔323が第1被固定孔1003とz方向で連通するように、第4導電部位322を治具1000の上面1000aに配置する。第2固定孔324が第2被固定孔1004とz方向で連通するように、第4導電部位322を治具1000の上面1000aに配置する。
【0058】
なお、第4導電部位322は
図5に示すように第4連結面1001dから貫通孔1002の第4連結面1001d側の端に向かってy方向に延びている。そしてその後、第4導電部位322は貫通孔1002を区画する壁面に沿って下面1000bに向かってz方向に延びている。下面1000bに延びた第4導電部位322は貫通孔1002の中空で第2連結面1001bに向かってy方向に延びている。
【0059】
次に、
図4に示すように固定孔325と被固定孔1005それぞれに突起部345が通るように、第4導電部位322の第2バスバ上面322aに絶縁板340を配置する。具体的に言えば、第1突起部341が第1固定孔323と第1被固定孔1003それぞれを通るように、第4導電部位322の第2上面320aに絶縁板340を配置する。第2突起部342が第2固定孔324と第2被固定孔1004それぞれを通るように、第4導電部位322の第2上面320aに絶縁板340を配置する。これによって治具1000に対する第4導電部位322のx方向とy方向の位置を規制する。
【0060】
なお、上記したように治具1000は突起部345よりも剛性が高くなっている。突起部345を被固定孔1005に挿入することで絶縁板340のx方向、y方向、および、z方向それぞれの変形が矯正している。
【0061】
次に
図5に示すように治具1000の貫通孔1002の中空にコンデンサ370を挿入する。貫通孔1002の中空で第2連結面1001bに向かって延びる第4導電部位322上にコンデンサ370を配置する。なお、コンデンサ370は治具1000によって固定されていてもよい。
【0062】
次に
図6に示すように位置決め孔313と第1凹部343とがz方向で連通するように、絶縁板340の絶縁板上面340aに第2導電部位312を配置する。
【0063】
次に、z方向に延びる円筒形状を成す位置決めピン1100を準備する。位置決めピン1100を位置決め孔313と第1凹部343それぞれに通す。なお、位置決めピン1100のx方向とy方向に沿う差し渡しの長さは、位置決め孔313および第1凹部343のx方向とy方向に沿う差し渡しの長さと同等になっている。位置決めピン1100を位置決め孔313および第1凹部343に挿入することで、絶縁板340に対する第2導電部位312のx方向とy方向の位置を規制する。位置決めピン1100は補助治具に相当する。
【0064】
第2導電部位312は
図7に示すように第4連結面1001dから貫通孔1002の第4連結面1001d側の端に向かってy方向に延びている。そしてその後、第2導電部位312はコンデンサ370の側面に沿って上面1000aから離間する態様でz方向に延びている。上面1000aから離間する態様でz方向に延びた第2導電部位312はコンデンサ370の備える2つの電極のうちの一方に向かってy方向に延びている。
【0065】
次に、図示しないクランプによって第2導電部位312と第4導電部位322とを固定する。その状態でコンデンサ370の備える2つの電極のうちの一方と、第2導電部位312を溶接などによって接続する。同様にしてコンデンサ370の備える2つの電極のうちの他方と、第4導電部位322を溶接などによって接続する。その後、電気製品301から位置決めピン1100を取り外す。電気製品301を治具1000から取り外す。
【0066】
治具1000から取り外した電気製品301を上記したコンデンサケース371に収納する。
図8に示すようにコンデンサケース371内にコンデンサ370、第2導電部位312の一部、第4導電部位322の一部、絶縁板340の一部それぞれが収納されている。コンデンサケース371から第2導電部位312の一部、第4導電部位322の一部、絶縁板340の一部が露出されている。
【0067】
最後に、コンデンサケース371に被覆樹脂375を充填し、固化させる。これによってコンデンサ370、第2導電部位312、第4導電部位322、絶縁板340それぞれをコンデンサケース371に固定する。絶縁板340が第2導電部位312と第4導電部位322とによって挟持されている。
【0068】
なお、
図8に示すようにコンデンサケース371から露出された第4導電部位322に形成された固定孔325から、絶縁板340に形成された突起部345が露出されている。
【0069】
<電気機器の構成>
電気機器300はこれまでに説明した構成要素として、電気製品301とU相レグ361~W相レグ363を有する。
【0070】
図1に示すようにU相レグ361~W相レグ363の備えるハイサイドスイッチ351のコレクタ電極にコレクタ端子353が接続されている。U相レグ361~W相レグ363の備えるローサイドスイッチ352のエミッタ電極にエミッタ端子354が接続されている。U相レグ361~W相レグ363の備えるハイサイドスイッチ351とローサイドスイッチ352の中点に図示しない接続端子が接続されている。U相レグ361~W相レグ363の備えるハイサイドスイッチ351とローサイドスイッチ352のゲート電極に図示しないゲート端子が接続されている。
【0071】
これらU相レグ361~W相レグ363、コレクタ端子353、エミッタ端子354、図示しない接続端子、および、ゲート端子それぞれが樹脂部材360によって樹脂封止され、スイッチモジュール368が構成されている。
【0072】
また、電気機器300は上記した構成要素の他に、冷却器364とケース380を有する。
【0073】
<冷却器>
図11に示すように冷却器364は供給管365、排出管367、および、複数の中継管366を有する。供給管365と排出管367は複数の中継管366を介して連結されている。供給管365に冷媒が供給される。冷媒は複数の中継管366を介して供給管365から排出管367へと流される。
【0074】
供給管365と排出管367はx方向に延びている。供給管365と排出管367はy方向に離間して並んでいる。複数の中継管366それぞれは供給管365から排出管367に向かってy方向に沿って延びている。複数の中継管366はx方向に離間して並んでいる。
【0075】
x方向に離間して並ぶ複数の中継管366のうち、隣り合って並ぶ2つの中継管366の間に空隙が構成されている。冷却器364には計3個の空隙が構成されている。これら3個の空隙それぞれに3相のスイッチモジュール368が個別に設けられている。これによりパワーモジュール369が構成されている。パワーモジュール369はスイッチ部品に相当する。
【0076】
<ケース>
図11および
図12に示すようにケース380はz方向に厚さの薄い底部381と、底部381の内底面381aからz方向に環状に起立した側壁部390を有する。
【0077】
側壁部390はy方向に互いに離間して対向する第1側壁391と第3側壁393、および、x方向で互いに離間して対向する第2側壁392と第4側壁394を有する。第1側壁391、第2側壁392、第3側壁393、第4側壁394はz方向のまわりの周方向に環状に連結されている。
【0078】
そのためにケース380の底部381と側壁部390との間に収納空間が形成されている。この収納空間に上記したパワーモジュール369と電気製品301が収納されている。
【0079】
<ケースの収納形態>
図11および
図12に示すようにケース380の第1側壁391側の収納空間にパワーモジュール369が収納されている。ケース380の第3側壁393側の収納空間に電気製品301が収納されている。
【0080】
パワーモジュール369は図示しないボルトなどによって底部381に固定されている。パワーモジュール369の備える3相のスイッチモジュール368それぞれからコレクタ端子353、エミッタ端子354が底部381から遠ざかる態様でz方向に延びている。なお、パワーモジュール369は底部381に固定されていなくてもよい。パワーモジュール369はケース380に固定されていればよい。
【0081】
同様にして電気製品301は図示しないボルトなどによって底部381に固定されている。コンデンサケース371が図示しないボルトなどによって底部381に固定されている。コンデンサケース371から上記した第2導電部位312、第4導電部位322、および、絶縁板340がパワーモジュール369に向かってy方向に延びている。
【0082】
図11および
図12に示すように第2導電部位312には第1バスバ上面312aと第1バスバ下面312bに開口する3つの第1通孔314が形成されている。これら3つの第1通孔314はx方向に離間して並んでいる。これら3つの第1通孔314には、3つの第1通孔314それぞれの第2側壁392側の縁からz方向に底部381から遠ざかる態様で延びる第1端子315それぞれが形成されている。第1端子315は外部接続端子に相当する。
【0083】
なお、3つの第1端子315それぞれは上記した位置決め孔313とy方向に離間して並んでいる。位置決め孔313はx方向において、3つの第1端子315のうちの最も第2側壁392側に位置する第1端子315と、その隣の第1端子315との間に位置している。
【0084】
同様にして
図11および
図12に示すように第4導電部位322には第2バスバ上面322aと第2バスバ下面322bに開口する3つの第2通孔327と、3つの第3通孔328が形成されている。3つの第2通孔327はx方向に離間して並んでいる。3つの第3通孔328はx方向に離間して並んでいる。
【0085】
また3つの第2通孔327は
図12に示すように第4導電部位322の第1側壁391側に形成されている。3つの第3通孔328は
図12に示すように第4導電部位322の第3側壁393側に形成されている。3つの第3通孔328は上記した3つの第1通孔314とz方向に連通する態様で並んでいる。
【0086】
3つの第2通孔327には、3つの第2通孔327それぞれの第2側壁392側の縁からz方向に底部381から遠ざかる態様で延びる第2端子329それぞれが形成されている。
【0087】
また上記した3つの第1通孔314と3つの第3通孔328とがz方向で連通した連通孔それぞれからコレクタ端子353が露出されている。3つの連通孔それぞれから露出されたコレクタ端子353が、3つの第1通孔314の縁に形成された第1端子315それぞれに溶接などによって接続されている。
【0088】
同様にして3つの第2通孔327からエミッタ端子354が露出されている。3つの第2通孔327から露出されたエミッタ端子354が、3つの第2通孔327の縁に形成された第2端子329それぞれに溶接などによって接続されている。
【0089】
また底部381には
図12に示すように、内底面381aからz方向に遠ざかる態様でコンデンサ370とパワーモジュール369を接続する第2導電部位312および第4導電部位322に向かって延びる伸長部384が形成されている。
【0090】
伸長部384は第1伸長部382と図示しない第2伸長部を有している。第1伸長部382は底部381における第2側壁392側の内底面381aに形成されている。第2伸長部は底部381における第4側壁394側の内底面381aに形成されている。
【0091】
図12に示すように第1伸長部382はy方向でパワーモジュール369とコンデンサケース371との間に設けられている。第1伸長部382はy方向でパワーモジュール369とコンデンサ370に対向して並んでいる。また第1伸長部382には底部381から離間した先端から底部381に向かって凹む被挿入孔383が形成されている。
【0092】
なお、図示しないが第2伸長部もy方向でパワーモジュール369とコンデンサケース371との間に設けられている。第2伸長部はy方向でパワーモジュール369とコンデンサ370に対向して並んでいる。第2伸長部には底部381から離間した先端から底部381に向かって凹む被挿入孔383が形成されている。
【0093】
これまでに説明したように固定孔325から、絶縁板340に形成された突起部345が露出されている。
図12に示すように突起部345はコンデンサ370とパワーモジュール369との間に設けられた伸長部384に向かって延びている。そして伸長部384の被挿入孔383に、突起部345が挿入されている。
【0094】
具体的に言えば第1伸長部382の被挿入孔383に、第1固定孔323から露出された第1突起部341が挿入されている。第2伸長部の被挿入孔383に、第2固定孔324から露出された第2突起部342が挿入されている。これによって電気製品301が第1伸長部382と第2伸長部それぞれに固定されている。
【0095】
<作用効果>
これまでに説明したように製造過程において、固定孔325と被固定孔1005それぞれに突起部345が通るように、第4導電部位322の第2バスバ上面322aに絶縁板340を配置している。これによって治具1000に対する第4導電部位322のx方向とy方向の位置を規制している。なお、突起部345は被固定孔1005に挿入されることで絶縁板340のx方向、y方向、および、z方向それぞれの変形が矯正されている。
【0096】
次にこの矯正された絶縁板340の絶縁板上面340aに第2導電部位312を配置している。そしてこの状態で第2導電部位312と第4導電部位322をコンデンサ370に固定している。これによって矯正された絶縁板340が第1給電バスバ310と第2給電バスバ320に挟持されている。
【0097】
そのために第2導電部位312と第4導電部位322の相対的な位置ずれが抑制されやすくなっている。その結果、第1端子315と第2端子329を備える給電バスバの端子と、第1端子315に接続されるコレクタ端子353と第2端子329に接続されるエミッタ端子354を備えるパワーモジュール369の端子の相対的な位置ずれが抑制されやすくなっている。なお、第1給電バスバ310と第2給電バスバ320を併せて給電バスバと示している。
【0098】
さらにコンデンサ370、第2導電部位312、第4導電部位322、および、絶縁板340をコンデンサケース371に収納する。そしてコンデンサケース371に被覆樹脂375を充填させ、第2導電部位312、第4導電部位322、絶縁板340、および、コンデンサ370をコンデンサケース371に固定している。
【0099】
これによって絶縁板340が第1給電バスバ310と第2給電バスバ320に固定されている。第2導電部位312と第4導電部位322の相対的な位置ずれが抑制されやすくなっている。第2導電部位312および第4導電部位322に接続されるコレクタ端子353およびエミッタ端子354と、第2導電部位312および第4導電部位322との相対的な位置ずれが抑制されやすくなっている。
【0100】
これまでに説明したように位置決め孔313と第1凹部343とがz方向で連通するように、絶縁板340の絶縁板上面340aに第2導電部位312を配置した後、位置決めピン1100を位置決め孔313と第1凹部343それぞれに通している。これによって絶縁板340に対する第1給電バスバ310のx方向とy方向の位置を規制している。また位置決めピン1100を位置決め孔313と第1凹部343とが連通する孔に通すようにすることで作業時の目線の移動が抑制される。作業性が良くなっている。
【0101】
これまでに説明したように、第1突起部341の絶縁板340へのz方向の投影領域内に意図的に絶縁板上面340aから絶縁板下面340b向かって円筒状に凹む第1凹部343が形成されている。同様にして第2突起部342の絶縁板340へのz方向の投影領域内に意図的に絶縁板上面340aから絶縁板下面340b向かって円筒状に凹む第2凹部344が形成されている。
【0102】
そのためにz方向において絶縁板340が局所的に薄くなることが抑制されている。その結果、絶縁板340が局所的に蓄熱することが抑制されている。絶縁板340の変形が抑制されやすくなっている。絶縁板340が治具1000に設けられやすくなっている。
【0103】
これまでに説明したように第1伸長部382の被挿入孔383に、第1固定孔323から露出された第1突起部341が挿入されている。第2伸長部の被挿入孔383に、第2固定孔324から露出された第2突起部342が挿入されている。
【0104】
これによって電気製品301が第1伸長部382と第2伸長部それぞれに固定されている。そのために電気製品301とパワーモジュール369との相対的な位置ずれが抑制されやすくなっている。第1端子315と第2端子329を備える給電バスバの端子と、第1端子315に接続されるコレクタ端子353と第2端子329に接続されるエミッタ端子354を備えるパワーモジュール369の端子の相対的な位置ずれが抑制されやすくなっている。これによって、コンデンサ370とスイッチモジュール368との接続不良が抑制されやすくなっている。
【0105】
これまでに説明したように第1伸長部382はy方向でパワーモジュール369とコンデンサケース371との間に設けられている。第1伸長部382はy方向でパワーモジュール369とコンデンサ370に対向して並んでいる。第2伸長部もy方向でパワーモジュール369とコンデンサケース371との間に設けられている。第2伸長部はy方向でパワーモジュール369とコンデンサ370に対向して並んでいる。そのために第1伸長部382と第2伸長部によってパワーモジュール369とコンデンサ370の相互熱干渉が抑制されやすくなっている。
【0106】
これまでに説明したように、3つの第1端子315それぞれは上記した位置決め孔313とy方向に離間して並んでいる。位置決め孔313は、x方向において、3つの第1端子315のうちの最も第2側壁392側に位置する第1端子315と、その隣の第1端子315との間に位置している。第1端子315と位置決め孔313とがx方向に離間して並んでいる。コンデンサ370とパワーモジュール369との間の通電経路上に位置決め孔313が配置されにくくなっている。コンデンサ370とパワーモジュール369の間の通電経路のインダクタンスの低下が抑制されやすくなっている。
【0107】
(第1変形例)
これまでに説明した実施形態では第2導電部位312に位置決め孔313が形成されている形態について説明した。しかしながら第2導電部位312に位置決め孔313が形成されていなくてもよい。
図9および
図10に示すように第2導電部位312に、第1バスバ上面312aと第1バスバ下面312bに開口する、ケース380に締結するための締結孔316が形成されていればよい。締結孔316は調整孔に相当する。
【0108】
その場合、位置決めピン1100を準備しなくてもよい。治具1000に上面1000aからz方向に遠ざかる態様で延びる延長部1200が形成されていればよい。なお、延長部1200は治具1000に形成されていなくてもよい。延長部1200は治具1000に連結されていればよい。締結孔316に延長部1200を挿入して、第2導電部位312のx方向とy方向の位置を規制していてもよい。
【0109】
(第2変形例)
これまでに説明した実施形態ではコンデンサ370の備える一方の電極に第2導電部位312が接続され、コンデンサ370の備える他方の電極に第4導電部位322が接続される形態を示した。しかしながらコンデンサ370の備える一方の電極に第2導電部位312が接続されていなくてもよい。コンデンサ370の備える他方の電極に第4導電部位322が接続されていなくてもよい。
【0110】
コンデンサ370の備える一方の電極に第4導電部位322が接続されていてもよい。コンデンサ370の備える他方の電極に第2導電部位312が接続されていてもよい。その場合、第4導電部位322に位置決め孔313と第1通孔314が形成されている。第2導電部位312に、固定孔325、第2通孔327、および、第3通孔328が形成されている。
【0111】
(その他の変形例)
本実施形態では電気機器300が電気自動車用の車載システム100に含まれる例を示した。しかしながら電気機器300の適用としては特に上記例に限定されない。例えばモータ400と内燃機関を備えるハイブリッドシステムに電気機器300が含まれる構成を採用することもできる。
【0112】
本実施形態では電気機器300に1つのモータ400の接続される例を示した。しかしながら電気機器300に複数のモータ400の接続される構成を採用することもできる。この場合、電気機器300はインバータを構成するための3相のスイッチモジュール368を複数有する。
【符号の説明】
【0113】
301…電気製品、312…第2導電部位、312a…第1バスバ上面、312b…第1バスバ下面、313…位置決め孔、315…第1端子、316…締結孔、322…第4導電部位、322a…第2バスバ上面、322b…第2バスバ下面、325…固定孔、340…絶縁板、340a…絶縁板上面、343…第1凹部、345…突起部、351…ハイサイドスイッチ、352…ローサイドスイッチ、369…パワーモジュール、370…コンデンサ、371…コンデンサケース、375…被覆樹脂、380…ケース、381…底部、383…被挿入孔、384…伸長部、390…側壁部、1000…治具、1000a…上面、1005…被固定孔、1100…位置決めピン、1200…延長部