(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】バイアル供給システム及びガスクロマトグラフィ分析システム
(51)【国際特許分類】
G01N 35/02 20060101AFI20240319BHJP
G01N 30/16 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
G01N35/02 G
G01N30/16 J
(21)【出願番号】P 2020190157
(22)【出願日】2020-11-16
【審査請求日】2023-03-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110003993
【氏名又は名称】弁理士法人野口新生特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100205981
【氏名又は名称】野口 大輔
(72)【発明者】
【氏名】木下 勝吏
(72)【発明者】
【氏名】結城 真一
(72)【発明者】
【氏名】増田 真吾
(72)【発明者】
【氏名】小森 優輝
(72)【発明者】
【氏名】福島 大貴
【審査官】岡村 典子
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-164257(JP,A)
【文献】特開2019-093492(JP,A)
【文献】特開2019-025562(JP,A)
【文献】登録実用新案第3188929(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2008/0014628(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00-35/10
G01N 1/00-1/44
G01N 30/00
B25J 13/02,9/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送アームによりバイアルを所定の供給先へ供給するサンプラと、
前記サンプラと通信可能に設けられ、前記サンプラによる前記バイアルの供給動作を管理するように構成された管理装置と、
前記管理装置と通信可能に設けられた表示装置と、を備え、
前記管理装置は、前記サンプラの前記搬送アームが前記供給先との間で前記バイアルの受渡しを行なう際の前記搬送アームの位置を設定するティーチングを実行するためのティーチングモードが開始されたときに、前記ティーチングにおいてユーザが行なうべき操作を前記表示装置に表示するように構成されて
おり、
前記表示装置はタッチパネルであり、
前記ティーチングは、前記タッチパネルを通じたユーザの操作により前記搬送アームを鉛直方向へ移動させるパネル操作工程を含み、
前記管理装置は、前記パネル操作工程において、前記搬送アームを移動させる方向を指示するための上下方向指示ボタンを前記タッチパネルに表示するように構成され、かつ、前記ユーザがいずれかの前記上下方向指示ボタンをタッチしたときに、タッチされた前記上下方向指示ボタンの方向へ前記上下方向指示ボタンがタッチされた時間に応じた距離だけ、前記サンプラに前記搬送アームを鉛直方向へ移動させるように構成されており、
前記ティーチングは、ユーザに手作業で前記搬送アームを水平面内方向へ移動させる手作業工程を含み、
前記管理装置は、前記手作業工程において手作業で前記搬送アームを水平面内方向へ移動させる指示を前記タッチパネルに表示するように構成されている、バイアル供給システム。
【請求項2】
前記管理装置は、前記搬送アームが前記供給先との間で前記バイアルを搬送することができるか否かを確認するための搬送テストを実行すべき指示が前記表示装置を通じて入力されたときに、前記サンプラに前記搬送テストを実行させるように構成されている、請求項
1に記載のバイアル供給システム。
【請求項3】
前記管理装置は、前記表示装置を通じてユーザに前記搬送テストの搬送条件を設定させるように構成され、かつ、前記表示装置を通じて設定された前記搬送条件に基づく前記搬送テストを前記サンプラに実行させるように構成されている、請求項
2に記載のバイアル供給システム。
【請求項4】
前記管理装置はガスクロマトグラフに設けられた電子回路であり、
前記表示装置はガスクロマトグラフに設けられた表示パネル又は外部端末に設けられた表示パネルである、請求項1から
3のいずれか一項に記載のバイアル供給システム。
【請求項5】
ガスクロマトグラフと、
前記ガスクロマトグラフへ試料を注入するインジェクタと、
試料を収容するバイアルを前記インジェクタへ供給するための、請求項1から
4のいずれか一項に記載のバイアル供給システムと、を備えたガスクロマトグラフィ分析システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイアル供給システム及びガスクロマトグラフィ分析システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガスクロマトグラフィ分析装置(ガスクロマトグラフともいう)に試料を自動注入する自動試料注入装置(以下、インジェクタと称する)が知られている(特許文献1参照)。インジェクタは、試料を収容した複数のバイアルがセットされる移動式のターレットと、ターレットにセットされたバイアルから試料を吸入するためのシリンジと、を備えている。ガスクロマトグラフへ試料を注入する際、ターレットが移動することによって目的の試料を収容したバイアルが所定位置に配置され、所定位置に配置されたバイアルの試料がシリンジによって吸入されて分析装置へ注入される。
【0003】
また、インジェクタのターレットにセット可能なバイアルの数には限界があり、試料の数が多い場合には、すべての試料をインジェクタにセットすることができない。そのため、試料を収容したバイアルをインジェクタへ供給するサンプラがインジェクタと併用されることがある。サンプラは、バイアルをグリッパで把持して搬送する搬送アームを有する装置である。サンプラを併用する場合には、サンプラの搬送アームがインジェクタのターレットとの間でバイアルの受渡しを行なう際の搬送アームの位置をサンプラ等に記憶させるティーチングを実施する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ティーチングでは、手で搬送アームを動かしてグリッパが搬送先であるインジェクタのターレット上の所定の場所にくるように搬送アームの位置を調節したり、インジェクタ等に設けられている操作ボタンを使用しながら搬送アームの高さを調節したりする必要がある。そのような操作方法は説明書に記載されているものの、慣れていない作業者にとって説明書を見ながらそれらの操作を実行することは容易でなく、誤った操作によって装置を破損させたり、ティーチングに失敗して搬送エラーになったりする虞があった。
【0006】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、サンプラのティーチングを容易に実行できるようにすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るバイアル供給システムは、搬送アームにより前記バイアルを所定の供給先へ供給するサンプラと、前記サンプラと通信可能に設けられ、前記サンプラによる前記バイアルの供給動作を管理するように構成された管理装置と、前記管理装置と通信可能に設けられた表示装置と、を備え、前記管理装置は、前記サンプラの前記搬送アームが前記供給先との間で前記バイアルの受渡しを行なう際の前記搬送アームの位置を設定するティーチングを実行するためのティーチングモードが開始されたときに、前記ティーチングにおいてユーザが行なうべき操作を前記表示装置に表示するように構成されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るバイアル供給システムによれば、表示装置を通じてティーチングの開始指示を入力することによってティーチングモードが開始され、ティーチングモードでは、ティーチングにおいてユーザが行なうべき操作が表示装置に表示されるので、説明書を参照しながらティーチング作業を行なう必要がなく、ティーチングを容易に実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】バイアル供給システムの一実施例をインジェクタとともに示す概略構成図である。
【
図2】同実施例の制御系統の一例を示すブロック図である。
【
図3】同実施例においてサンプラの搬送アームがインジェクタとの間でバイアルを受け渡す際の状態を示す図である。
【
図4】同実施例において表示装置に表示されるメニュー画面の一例である。
【
図5】同実施例におけるティーチング時の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図6】サンプラのティーチングを選択したときに表示装置に表示される画面の一例である。
【
図7】
図6の画面でティーチング開始を選択したときに表示装置に表示される画面の一例である。
【
図8】サンプラの搬送テストを選択したときに表示装置に表示される画面の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明に係るバイアル供給システムの一実施例について説明する。
【0011】
図1に示されているように、バイアル供給システム1は、サンプラ2、管理装置4及び表示装置6を備えている。サンプラ2は、試料などを収容したバイアルVを供給先であるインジェクタ8へ供給するための装置である。管理装置4は、サンプラ2及びインジェクタ8の動作管理を行なうものであり、CPU(中央演算装置)等を備えた電子回路によって実現することができる。表示装置6は、管理装置4と通信可能に設けられ、情報表示機能及び情報入力機能を兼備したタッチパネルである。この実施例では、管理装置4はガスクロマトグラフ100内に搭載された電子回路であり、表示装置6は、ガスクロマトグラフ100に設けられた表示パネルである(
図2参照)。なお、本発明はこれに限定されるものではなく、ガスクロマトグラフ100の外部に設けられた電子回路によって管理装置4を実現することができ、ガスクロマトグラフ100の外部の端末に設けられた表示パネルによって表示装置6を実現することもできる。
【0012】
サンプラ2は、搬送アーム10及びバイアルホルダ12を備えており、インジェクタ8の側方に配置されている。バイアルホルダ12は、インジェクタ8へ供給すべき複数のバイアルVをセットすることができる円形テーブルである。搬送アーム10はバイアルホルダ12上において水平方向へ伸びるように設けられており、搬送アーム10の先端部に、バイアルVを把持するための複数の爪16を有するグリッパ14が設けられている。搬送アーム10は、バイアルホルダ12の中心を回転中心とした水平面内での回転と軸方向へのスライドにより、バイアルホルダ12にセットされている任意のバイアルVをグリッパ14で把持して搬送し、インジェクタ8のターレット20へ供給することができる。
【0013】
インジェクタ8は、ガスクロマトグラフ100(
図2参照)上に配置され、ガスクロマトグラフ100の上面に設けられている注入ポートへ試料を注入する装置である。インジェクタ8は、インジェクタ本体18及びターレット20を備えている。ターレット20は円形の回転テーブルである。ターレット20の上面には、バイアルを保持するための複数のバイアル受け穴24が同一円周上に設けられており、各バイアル受け穴24がターレット20の回転に伴って円軌道を描いて移動する。インジェクタ本体18はシリンジ22を備えている。シリンジ22は、液体の吸入及び吐出を行なう先端が鉛直下方を向いた状態で上下動可能に設けられている。ターレット20は、任意のバイアル受け穴24をシリンジ22の直下に配置することができる。
【0014】
図2に示されているように、サンプラ2及びインジェクタ8は制御部26、28をそれぞれ備えている。サンプラ2の制御部26は、搬送アーム10の動作を制御する。インジェクタ8の制御部28は、インジェクタ本体18及びターレット20の動作を制御する。制御部26及び28は、CPU等を備えた電子回路によって実現されるものであり、管理装置4と通信可能である。管理装置4は、ユーザによって設定された動作条件に基づく制御情報を制御部26及び28へ出力し、制御部26及び28は管理装置6から提供された制御情報に基づく動作制御を行なう。また、管理装置4は、サンプラ2とインジェクタ8のターレット20との間でバイアルの受渡しを行なう際の搬送アーム10の位置を設定するためのユーザによるティーチングを、表示装置6を通じて補助するように構成されている。
【0015】
図3に示されているように、サンプラ2の搬送アーム10とインジェクタ8のターレット20との間でバイアルの受渡しを行なう際、サンプラ2が、搬送アーム10のグリッパ14をターレット20上の所定の受渡し位置Pへ正確に配置する必要がある。サンプラ2のティーチングとは、受渡し位置Pに配置されたバイアル受け穴24のバイアルVを把持することができる位置にグリッパ14が配置されるように、ユーザが目視で確認しながら搬送アーム10の位置を調節し、そのときの搬送アーム10の位置をサンプラ2及び/又は管理装置4に記憶させる作業である。管理装置4は、ティーチングにおいてユーザが行なうべき操作を表示装置6に表示することによって、ユーザによるティーチング作業を補助する。
【0016】
サンプラ2のティーチングを行なう際の動作について、
図1とともに
図4のフローチャートを用いて説明する。
【0017】
システムを起動すると、管理装置4は、
図5に示されているようなメニュー画面を表示装置6に表示する。
図5に例示されたメニュー画面には、「メソッド設定」、「AOC(自動試料注入装置)環境設定」、「サンプラティーチング」、「サンプラ搬送テスト」といったメニューが表示され、ユーザは所望のメニューを選択することができる。メニュー画面の「サンプラティーチング」を選択することにより、サンプラ2のティーチングを実行するためのティーチングモードへ移行する。
【0018】
ユーザがメニュー画面の「サンプラティーチング」を選択すると、管理装置4はティーチングモードを開始し(
図4:ステップ101)、
図6のようなティーチング画面を表示装置6に表示する(
図4:ステップ102)。ティーチング画面においてユーザが「ティーチング開始」を選択すると(
図4:ステップ103)、管理装置4はインジェクタ8へティーチング開始の信号を送信し、ティーチングに使用する所定のバイアル受け穴24を受渡し位置Pに配置させる(
図4:ステップ104)。なお、ティーチング開始の前提として、ティーチングに使用する所定のバイアル受け穴24に、ティーチングに使用するバイアルVがセットされている必要がある。そのため、管理装置4は、ユーザがティーチング開始を選択したときなどに、所定のバイアル受け穴24にバイアルVをセットすることを促す表示を表示装置6にて行なうように構成されていてもよい。
【0019】
搬送アーム10は、水平面内方向(搬送アーム10の長手方向と回転方向)と鉛直方向へ移動するように構成されている。ティーチングには、ユーザが手で搬送アーム10を水平面内方向へ移動させる手作業工程と、表示装置6を通じた操作によって搬送アーム10を鉛直方向へ移動させるパネル操作工程と、が含まれる。管理装置4は、
図7に示されているように、ティーチングにおいてユーザが行なうべき操作の手順、すなわち、搬送アーム10の操作手順をティーチング画面上にポップアップで表示し(
図4:ステップ105)、搬送アーム10を鉛直方向へ移動させるための上下方向指示ボタン(
図6において▲ボタンと▼ボタン)をティーチング画面に表示する。ユーザは、ポップアップで表示された操作手順に従い、搬送アーム10を手で動かしてグリッパ14を受渡し位置Pに配置されたバイアルV上の位置に調節し、グリッパ14がバイアルVを把持できる高さとなるように、表示装置6に表示された上下方向指示ボタンによって搬送アーム10を鉛直方向へ移動させる(
図4:ステップ106)。
【0020】
管理装置4は、表示装置6に表示したいずれかの上下方向指示ボタンにユーザがタッチすると、タッチされている上下方向指示ボタンを検知し、タッチされている上下方向指示ボタンの方向へ搬送アーム10を移動させる制御信号をサンプラ2へ送信するように構成されている。すなわち、ティーチングモードにおいて、ユーザが表示装置6に表示されたいずれかの上下方向指示ボタンを長押しすると、ユーザがタッチした上下方向指示ボタンの方向へタッチした時間に応じた距離だけ搬送アーム10が移動する。
【0021】
上記の手作業工程及びパネル操作工程により、受渡し位置Pに配置されたバイアルVをグリッパ14で把持することができる位置に搬送アーム10の位置が調節された後、ユーザがティーチング画面において「ティーチング確定」を選択すると、ティーチングが完了し(
図4:ステップ107)、現在の(調節された)搬送アーム10の位置がサンプラ2及び/又は管理装置4によって「ティーチング位置」として記憶される。
【0022】
また、
図5及び
図6に示されているように、メニュー画面及びティーチング画面において、サンプラ2の搬送テストを選択することができるようになっている。ユーザは、メニュー画面又はティーチング画面において「サンプラ搬送テスト」を選択することにより、現時点で記憶されているティーチング位置を使用してバイアルを正確に搬送することが可能か否かを確認するための搬送テストを実行することができる。搬送テストは、ティーチングが完了した後でティーチングが成功したか否かを確認するために実行することができる。また、サンプラ2及びインジェクタ8を互いの位置関係を変更せずに両者を移動させた場合、バイアルの種類を変更した場合などに、新たにティーチングを実行すべきかどうかを判断するために、搬送テストを実行することができる。
【0023】
図8は、「サンプラ搬送テスト」が選択されることによって表示装置6に表示される画面の一例である。この搬送テスト画面では、バイアルの搬送元及び搬送先といった搬送条件を設定することができる。搬送テスト画面には、搬送元と搬送先とを入れ替えるためのボタンも設けられており、バイアルの搬送方向の設定を容易に入れ替えることができる。また、
図8のように、搬送テスト画面において、バイアルが搬送元に正しく設置されているかの確認をユーザに促す表示を行なうことができる。
【0024】
ユーザが、搬送元として設定した場所(例えば、インジェクタ8の特定のバイアル受け穴24)にバイアルを設置し、搬送開始ボタンをタッチすると、管理装置6は、サンプラ2のバイアルホルダ12とインジェクタ8のターレット20との間でバイアルの搬送を行なわせる。ユーザは、搬送が正常に実行されたか否かを目視によって確認し、搬送が正常に実行されなかった場合には、ティーチングへ移行することができる。
図8の搬送テスト画面では、搬送テストの直後にティーチングを実行することができるように、ティーチングを選択するためのボタンが表示されている。
【0025】
以上において説明したバイアル供給システム1は、ガスクロマトグラフ100及びインジェクタ8とともにガスクロマトグラフィ分析システムを構成する。
【0026】
以上において説明した実施例は、本発明に係るバイアル供給システムの実施形態の一例に過ぎない。本発明に係るバイアル供給システムの実施形態は以下に示すとおりである。
【0027】
本発明に係るバイアル供給システムの一実施形態では、搬送アームによりバイアルを所定の供給先へ供給するサンプラと、前記サンプラと通信可能に設けられ、前記サンプラによる前記バイアルの供給動作を管理するように構成された管理装置と、前記管理装置と通信可能に設けられた表示装置と、を備え、前記管理装置は、前記サンプラの前記搬送アームが前記供給先との間で前記バイアルの受渡しを行なう際の前記搬送アームの位置を設定するティーチングを実行するためのティーチングモードが開始されたときに、前記ティーチングにおいてユーザが行なうべき操作を前記表示装置に表示するように構成されている。
【0028】
上記一実施形態における第1態様では、前記表示装置はタッチパネルであり、前記ティーチングは、前記タッチパネルを通じたユーザの操作により前記搬送アームを鉛直方向へ移動させるパネル操作工程を含み、前記管理装置は、前記パネル操作工程において、前記搬送アームを移動させる方向を指示するための上下方向指示ボタンを前記タッチパネルに表示するように構成され、かつ、前記ユーザがいずれかの前記上下方向指示ボタンをタッチしたときに、タッチされた前記上下方向指示ボタンの方向へ前記上下方向指示ボタンがタッチされた時間に応じた距離だけ、前記サンプラに前記搬送アームを鉛直方向へ移動させるように構成されている。このような態様により、ユーザは、タッチパネルを通じて搬送アームの高さ調節を容易に実行することができる。
【0029】
上記第1態様において、前記ティーチングは、ユーザに手作業で前記搬送アームを水平面内方向へ移動させる手作業工程を含み、前記管理装置は、前記手作業工程において手作業で前記搬送アームを水平面内方向へ移動させる指示を前記タッチパネルに表示するように構成されている。これにより、ユーザは、搬送アームの平面的な位置調節を手作業で行なうべきことを容易に認識することができる。
【0030】
また、上記一実施形態における第2態様では、前記管理装置は、前記搬送アームが前記供給先との間で前記バイアルを搬送することができるか否かを確認するための搬送テストを実行すべき指示が前記表示装置を通じて入力されたときに、前記サンプラに前記搬送テストを実行させるように構成されている。このような態様により、ティーチングが成功したか否かの確認を容易に行なうことができる。また、サンプラを移動させた場合、使用するバイアルの種類を変更したなどに、先に搬送テストを実施することによってティーチングが必要か否かを確認することができ、不要なティーチングの実施を回避することができる。
【0031】
上記第2態様において、前記管理装置は、前記表示装置を通じてユーザに前記搬送テストの搬送条件を設定させるように構成され、かつ、前記表示装置を通じて設定された前記搬送条件に基づく前記搬送テストを前記サンプラに実行させるように構成されている。
【0032】
上記一実施形態の第3態様では、前記管理装置はガスクロマトグラフに設けられた電子回路であり、前記表示装置はガスクロマトグラフに設けられた表示パネル又は外部端末に設けられた表示パネルである。
【0033】
本発明に係るガスクロマトグラフィ分析システムの一実施形態では、ガスクロマトグラフと、前記ガスクロマトグラフへ試料を注入するインジェクタと、試料を収容するバイアルを前記インジェクタへ供給するための、上述のバイアル供給システムと、を備えている。
【符号の説明】
【0034】
1 バイアル供給システム
2 サンプラ
4 管理装置
6 表示装置
8 インジェクタ
10 搬送アーム
12 バイアルホルダ
14 グリッパ
16 爪
18 インジェクタ本体
20 ターレット
22 シリンジ
24 バイアル受け穴
26 サンプラの制御部
28 インジェクタの制御部
100 ガスクロマトグラフ