(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】産業車両
(51)【国際特許分類】
B66F 9/24 20060101AFI20240319BHJP
B66F 9/075 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
B66F9/24 L
B66F9/075 J
B66F9/075 G
(21)【出願番号】P 2020191034
(22)【出願日】2020-11-17
【審査請求日】2023-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(72)【発明者】
【氏名】裏山 晃史
(72)【発明者】
【氏名】螺沢 新治
【審査官】八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-164316(JP,A)
【文献】特開2008-195229(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0134599(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 9/00-11/04
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体と、
前記車体の上部に備えたヘッドガードと、を備える産業車両において、
前記車体は、車幅方向において前記車体における一方の領域と他方の領域とに分割する基準線に対して前記一方の領域に運転席を備え、
前記車体の周囲の障害物を検出する障害物検出ユニットが、前記他方の領域に位置するように前記ヘッドガードに設けられて
おり、
前記障害物検出ユニットは、前記車体の後方を撮影するカメラ部を備え、
前記カメラ部の水平方向の画角内に前記運転席が含まれない位置に設けられていることを特徴とする産業車両。
【請求項2】
前記障害物検出ユニットは、前記ヘッドガードの下面より下方に設けられていることを特徴とする請求項1記載の産業車両。
【請求項3】
前記障害物検出ユニットは、
前記カメラ部により撮像された撮像画像を画像処理することにより前記撮像画像における障害物の有無を判別するユニット制御部と、
前記カメラ部および前記ユニット制御部を収容するユニットケースと、を有していることを特徴とする請求項1又は2記載の産業車両。
【請求項4】
前記障害物検出ユニットは、ブラケットを介して前記ヘッドガードに設けられていることを特徴とする請求項
1~3
のいずれか一項記載の産業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、産業車両に関し、特に、車体の後方の障害物を検出する障害物検出ユニットを備えた産業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、車両後方を撮像するカメラを備えたフォークリフトが知られている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1では、車体の右側に運転席が備えられ、一対のカメラがフォークリフトのヘッドガードの後部に取り付けられている。そして、カメラにより撮影される映像は荷役装置と運転席との間に設けられるディスプレイに投影される。オペレータは、ディスプレイに表示されるカメラの映像を見ることで前方を向いた体勢のままで後方の様子を確認できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されたフォークリフトは、カメラにより撮像された撮像画像を単にディスプレイに表示するに過ぎない。したがって、ヘッドガードに取り付けるカメラは小型のカメラとすることができ、カメラがオペレータの作業スペースを妨げることはない。
【0005】
一方、障害物検出ユニットとして、例えば、カメラユニットが知られている。カメラユニットは、撮影により画像を取得するカメラと、カメラによって撮影された画像を画像処理する画像処理部と、画像処理によって障害物の有無を判別する判別部と、を備えている。産業車両用の障害物検出ユニットで用いられるカメラには、例えば、歪みを抑えつつ、検出範囲を広く確保するために画角を大きくすることが求められる。その要求性能を満足しようとすると、特許文献1に開示された単なるカメラと比較すると大型化してしまう。このため、オペレータの作業スペースの作業者が障害物検出ユニットと干渉し、障害物検出が作業者によって妨げられるという問題がある。特に、ステレオカメラを採用する障害物検出ユニットは、複数のカメラ部を備えるため、より大型化しやすい。
【0006】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたもので、本発明の目的は、障害物検出ユニットにより障害物を検出する場合であっても、オペレータの作業スペースを確保しつつ、オペレータが障害物検出ユニットの検出範囲を妨げることのない産業車両の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明は、車体と、前記車体の上部に備えたヘッドガードと、を備える産業車両において、前記車体は、車幅方向において前記車体における一方の領域と他方の領域とに分割する基準線に対して前記一方の領域に運転席を備え、前記車体の周囲の障害物を検出する障害物検出ユニットが、前記他方の領域に位置するように前記ヘッドガードに設けられており、前記車体は、前記車体の後部における車幅方向の中心よりも一側に運転席を備え、前記障害物検出ユニットは、前記車体の後方を撮影するカメラ部を備え、前記カメラ部の水平方向の画角内に前記運転席が含まれない位置に設けられていることを特徴とする。
【0008】
本発明では、車体は、車幅方向において車体における一方の領域と他方の領域とに分割する基準線に対して一方の領域に運転席を備える。また、車体の周囲の障害物を検出する障害物検出ユニットが、他方の領域に位置するようにヘッドガードに設けられている。このため、オペレータの作業スペースは障害物検出ユニットに妨げられることなく確保され、また、障害物検出ユニットの検出範囲がオペレータにより妨げられることはなく、障害物検出ユニットにより車体の周囲の障害物を検出できる。さらに、障害物検出ユニットのカメラ部の画角に運転席が含まれないので、障害物検出ユニットの検出範囲が運転席のオペレータにより妨げられることはない。
【0009】
また、上記の産業車両において、前記障害物検出ユニットは、前記ヘッドガードの下面より下方に設けられている構成としてもよい。
この場合、障害物検出ユニットはヘッドガードの下面より下方に設けられているので、車体の後方の路面付近における障害物を検出することができる。
【0011】
また、上記の産業車両において、前記障害物検出ユニットは、前記カメラ部により撮像された撮像画像を画像処理することにより前記撮像画像における障害物の有無を判別するユニット制御部と、前記カメラ部および前記ユニット制御部を収容するユニットケースと、を有している構成としてもよい。
この場合、障害物検出ユニットは、撮像画像の取得と、撮像画像の画像処理と、画像処理により撮像画像における障害物の有無の判別と、を行うことができる。
【0012】
また、上記の産業車両において、前記障害物検出ユニットは、ブラケットを介して前記ヘッドガードに設けられている構成としてもよい。
この場合、障害物検出ユニットは、ブラケットを介してヘッドガードに設けられているので、障害物検出ユニットをヘッドガードの下面より下方に設けることができる。車体にブラケットを介して障害物検出ユニットを設ける必要が無く、車体の後部における車幅方向の中心よりも他側の上面を、例えば、書類や小物を載置する載置面として有効活用することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、障害物検出ユニットにより障害物を検出する場合であっても、オペレータの作業スペースを確保しつつ、オペレータが障害物検出ユニットの検出範囲を妨げることのない産業車両を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第1の実施形態に係るリーチ式フォークリフトを右後方から見た斜視図である
【
図2】第1の実施形態に係るリーチ式フォークリフトの要部平面図である。
【
図3】障害物検出ユニットの概略構成を示す斜視図である。
【
図4】第1の実施形態に係るリーチ式フォークリフトの側面図である。
【
図5】第2の実施形態に係るリーチ式フォークリフトの要部平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1の実施形態)
以下、第1の実施形態に係る産業車両としてのフォークリフトについて図面を参照して説明する。本実施形態は、立席式のリーチ式フォークリフトに本発明を適用した例である。
【0016】
図1に示すリーチ式フォークリフト(以後、単に「フォークリフト」と表記する)10は、車体11の前部に設けた一対のレッグアーム12の間に進退自在のマスト装置13を有している。マスト装置13は荷役のための装置である。レッグアーム12には前輪14が設けられ、車体11の後部には、操舵輪および駆動輪としての後輪15と、車体11の姿勢をより安定させるためのキャスタ輪16が備えられている。
【0017】
図1、
図2に示すように、車体11の右側後部には立席式の運転席17が設けられ、運転席17の左側には電動モータ(図示せず)等の駆動系要素を主に収容する収容フレーム18が設けられている。収容フレーム18の上面18Aは、ほぼ平坦面となっており、例えば、書類ファイルや小物等を置くことが可能なスペースとなっている。
図2に示すように、運転席17の前部には前部フレーム19が配置されている。前部フレーム19にはマスト装置13の操作レバー20、21、22、23および表示ディスプレイ24が配設されている。操作レバー20はティルト操作のためのティルトレバーであり、操作レバー21はリーチ動作のためのリーチレバーである。操作レバー22は荷を昇降させるためのリフトレバーであり、操作レバー23は走行速度を制御するアクセルレバーである。表示ディスプレイ24は、運転時の各種情報を表示するほか、異常時には警告画面を表示する。収容フレーム18には後輪15を操舵するための操舵ハンドル25が備えられている。
【0018】
運転席17の床面26はゴムマットにより覆われている。床面26の前部左側にはブレーキペダル27が設けられている。ブレーキペダル27を踏み込むとフォークリフト10のブレーキが解除され、ブレーキペダル27を踏まない状態ではブレーキが作動される。ブレーキペダル27は所謂デッドマンタイプのブレーキペダルである。本実施形態では、説明の便宜上、車体11の後端28を左右方向の軸をX軸とし、車体11の左右方向の中心を通る前後方向の軸をY軸とする。Y軸は、車幅方向において車体11における一方の領域(右領域)と他方の領域(左領域)とに分割する基準線である。X軸とY軸との交差する点を交点Pとする。運転席17の左端29はY軸(交点P)よりも僅かに右側に位置する。
【0019】
運転席17の右側には、運転席17の右側方を囲うように鉄製のサイドパネル30が設けられている。サイドパネル30におけるパネル前部は平板状であり、パネル後部は、後方へ向かうにつれて運転席17の乗降口へ向けてカーブする曲板状である。
【0020】
収容フレーム18と、前部フレーム19と、サイドパネル30と、は、車体11の下部に備えられた下部フレーム31上に取り付けられている。運転席17の前部と左右は、収容フレーム18と、前部フレーム19と、サイドパネル30により囲まれている。つまり、運転席17の後部はオペレータがフォークリフト10に乗降するための乗降口として開口されている。
【0021】
図1、
図2に示すように、サイドパネル30にはウエストサポート部材32が取り付けられている。ウエストサポート部材32は、運転席17に搭乗したオペレータの腰周辺を支えるための部材である。ウエストサポート部材32は樹脂材料により形成されている。
図1、
図2に示すように、ウエストサポート部材32は、前部フレーム19から後方へ向けてサイドパネル30に沿い、サイドパネル30の後端から僅かにはみ出す位置まで延在する。
【0022】
本実施形態のフォークリフト10では、
図1に示すように、運転席17の上方にヘッドガード33が備えられている。ヘッドガード33は、車体11に設けられた左ピラー34および右ピラー35により支持されている。左ピラー34は鉄製であり、左ピラー34の基端部は車体11の左側に溶接によって固定されている。左ピラー34の上端部はヘッドガード33の下部に溶接によって固定されている。また、左ピラー34は、運転席17よりも車体11の前後方向の前側に配置されている。右ピラー35は鉄製であり、右ピラー35の横断面は中空であって翼型状である。右ピラー35の下端部は、サイドパネル30に溶接によって固定されている。右ピラー35の上端部は、ヘッドガード33の下部に溶接によって固定されている。右ピラー35は運転席17とサイドパネル30の間に配置されている。なお、車体11の左後部には、ヘッドガード33を支持するピラーは設けられない。
【0023】
ヘッドガード33には、車体11の後方の障害物を検出する障害物検出ユニット40がブラケット41を介して設けられている。
図3に示すように、障害物検出ユニット40は、左右一対のカメラ43を備えるカメラ部42と、カメラ部42により撮像された撮像画像を画像処理する画像処理部44と、画像処理部44の出力に基づき撮像画像における障害物の有無を判別するユニット制御部45と、を備えている。カメラ部42、画像処理部44、ユニット制御部45は、箱状のユニットケース46内に収容されている。障害物検出ユニット40は、撮像機能と、画像処理の機能と、障害物の有無の判別機能を果たすため、単に撮像する機能のみを備えるカメラと比較すると、比較的大型である。障害物検出ユニット40は、特に、左右一対のカメラ43を備えることから、幅(左右方向の長さ)が前後の長さおよび高さと比較して大きい。
【0024】
図2に示すように、カメラ部42の水平方向の画角Aは130°である。本実施形態では、カメラ部42の画角Aに運転席17の左端29がかからない。つまり、障害物検出ユニット40は、運転席17がカメラ部42の画角Aに含まれないように設けられている。
図2に示す直線Mは、X軸に対して傾斜する直線であり、具体的には、90°から画角Aの半分を差し引いた角度B(B=90-A/2)の直線である。平面視では、障害物検出ユニット40は、車体11の左端に接近した位置であって、車体11の後端寄りの位置である。
【0025】
図4に示すように、カメラ部42の上下方向の画角Cは120°である。したがって、画角A、Cの範囲により区画される空間が障害物検出ユニット40の検出可能な空間となる。障害物検出ユニット40の上下方向の位置は、ブラケット41の長さによって決まる。障害物検出ユニット40が低い位置ほど、車体11の路面付近の障害物検出ユニット40の死角となる範囲Dが狭くなる。ブラケット41の上端は、ヘッドガード33にボルト締結により固定されており、ブラケット41の下端は障害物検出ユニット40のユニットケース46の左右の側面にボルト締結により固定されている。因みに、ブラケット41は、既存のフォークリフトに対しても固定することが可能な構造である。また、カメラ部42の上下方向の画角Cには、収容フレーム18の上面18Aがかからない。つまり、障害物検出ユニット40は、収容フレーム18の上面18Aがカメラ部42の画角Cに含まれないように設けられている。
【0026】
障害物検出ユニット40のユニット制御部45は、フォークリフト10の各部を制御するコントローラ(図示せず)と電気的に接続されている。ユニット制御部45が撮像画像に障害物が有ると判別したときは、ユニット制御部45から判別信号がコントローラに伝達され、コントローラは判別信号に基づいて、警告灯を点灯させたり、電動モータに印加する電流を制御したりすることで車体11の減速制御を行う。また、表示ディスプレイ24に警告画面を表示してもよい。
【0027】
次に、本実施形態に係るフォークリフト10の作用について説明する。オペレータがフォークリフト10を運転している状態では、障害物検出ユニット40は車体11の後方を撮像する。具体的には、左右一対のカメラ43を備えたカメラ部42によって車体11の後方を撮像する。カメラ部42により撮像された撮像画像はカメラ部42から画像処理部44へ出力される。画像処理部44は撮像された撮影画像の画像処理を行う。撮像画像が画像処理されることにより、ユニット制御部45による撮像画像における障害物を判別し易くなる。
【0028】
次に、ユニット制御部45は、画像処理された撮像画像における障害物の有無を判別する。ユニット制御部45が撮像画像に障害物が有ると判別したときは、ユニット制御部45から障害物が有るとする判別の信号がフォークリフト10のコントローラに伝達され、コントローラは判別信号に基づいて表示ディスプレイ24に警告画面を表示する。ユニット制御部45が撮像画像に障害物が無いと判別したときは、ユニット制御部45から障害物が無いとする判別の信号がフォークリフト10のコントローラに伝達され、警告画面は表示されない。なお、画像処理された撮像画像における障害物の有無をユニット制御部45により判別する手法は公知の手法による。
【0029】
ところで、本実施形態では、障害物検出ユニット40は、平面視において運転席17がカメラ部42の水平方向の画角Aに含まれないように設けられているので、カメラ部42の画角Aに運転席17の左端29がかからない。このため、障害物検出ユニット40の検出範囲に運転席17のオペレータが映り込むことはない。また、ブラケット41を介して障害物検出ユニット40がヘッドガード33の下方に設けられているので、車体11の後方の路面付近の障害物検出ユニット40の死角となる範囲が抑制される。なお、障害物検出ユニット40の位置を可及的に低くするほど、障害物検出ユニット40の死角となる範囲はより狭くなる。
【0030】
本実施形態のフォークリフト10は以下の効果を奏する。
(1)車体11は、車幅方向において車体11における一方の領域(右領域)と他方の領域(左領域)とに分割する基準線であるY軸に対して一方の領域に運転席17を備える。また、車体11の周囲の障害物を検出する障害物検出ユニット40が、他方の領域(左領域)に位置するようにヘッドガード33に設けられている。このため、オペレータの作業スペースは障害物検出ユニット40に妨げられることなく確保され、また、障害物検出ユニット40の検出範囲がオペレータの映り込みにより妨げられることはなく、障害物検出ユニット40により車体11の周囲(後方)の障害物を検出できる。
【0031】
(2)障害物検出ユニット40はヘッドガード33の下面より下方に設けられている。このため、車体11の後方の路面付近の障害物検出ユニット40の死角となる範囲が抑制され、車体11の後方の路面付近における障害物を障害物検出ユニット40により検出することができる。また 、左ピラー34が車体11の後方に配置されていないことで、左ピラー34は障害物検出ユニット40の死角となる範囲に設けられ、障害物検出ユニット40の検出範囲が左ピラー34により妨げられることはない。
【0032】
(3)障害物検出ユニット40は、車体11の後方を撮影するカメラ部42を備え、カメラ部42の水平方向の画角内に運転席17が含まれない位置に設けられている。このため、カメラ部42により撮像された撮像画像にフォークリフト10の運転席17のオペレータが映り込むことはなく、障害物検出ユニット40の検出範囲が運転席17のオペレータにより妨げられることはない。
【0033】
(4)障害物検出ユニット40は、ブラケット41を介してヘッドガード33に設けられている。このため、障害物検出ユニット40をヘッドガード33の下面より下方に設けることができる。また、車体11にブラケットを介して障害物検出ユニット40を設ける必要が無く、車体11の後部における車幅方向の中心よりも他側である収容フレーム18の上面を、例えば、書類ファイルや小物等を載置する載置面として有効活用することができる。
【0034】
(5)障害物検出ユニット40は、カメラ部42により撮像された撮像画像を画像処理することにより撮像画像における障害物の有無を判別するユニット制御部45と、カメラ部42およびユニット制御部45を収容するユニットケース46と、を有している。このため、障害物検出ユニット40は、撮像画像の取得と、撮像画像の画像処理と、画像処理により撮像画像における障害物の有無の判別と、を行うことができる。したがって、フォークリフト10のコントローラに撮像画像の画像処理機能と、画像処理により撮像画像における障害物の有無の判別機能を付加する必要がない。
【0035】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係るフォークリフトについて説明する。本実施形態では、障害物検出ユニットが、カメラ部の水平方向の画角内に運転席の一部が含まれる位置に設けられている点で第1の実施形態と相違する。本実施形態では、第1の実施形態と同じ構成については、第1の実施形態の説明を援用し、共通の符号を用いる。
【0036】
図5に示すフォークリフト50には、車体11の後方の障害物を検出する障害物検出ユニット40がブラケット41を介してヘッドガード33に設けられている。
図6に示すように、本実施形態では、カメラ部42の画角Aに運転席17の左端29を含む運転席17の一部がかかる。つまり、障害物検出ユニット40は、運転席17の左側の一部がカメラ部42の画角Aに含まれるように設けられている。
【0037】
図5に示す直線Nは、X軸に対して傾斜する直線であり、具体的には、90°から画角Aの半分を差し引いた角度B(B=90-A/2)の直線である。後端28と直線Nの交点は交点Pより右となる。直線Nにより区画される左端29を含む運転席17の一部(以下「特定範囲E」と表記する)は、フォークリフト10の運転時においてオペレータが存在する可能性の低い範囲である。これは、オペレータはウエストサポート部材32に体を接触させた状態で運転するためである。つまり、特定範囲Eは、カメラ部42の水平方向の画角内に含まれているものの、フォークリフト10のオペレータが映り込む可能性が殆どない範囲である。後端28と直線Nの交点と左端29との間の長さが、例えば、ブレーキペダル27の幅以下であれば、撮像画像へのオペレータが映り込みの可能性は殆どなくなる。
【0038】
本実施形態によれば、カメラ部42の水平方向の画角内に運転席17の一部が含まれる位置に設けられているものの、カメラ部42により撮像された撮像画像にフォークリフト10の運転席17のオペレータが映り込む可能性は小さい。したがって、障害物検出ユニット40の検出範囲が運転席17のオペレータにより妨げられることは殆どない。
【0039】
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく発明の趣旨の範囲内で種々の変更が可能であり、例えば、次のように変更してもよい。
【0040】
○ 上記の実施形態では、産業車両としてリーチ式フォークリフトを例示して説明したが、産業車両はリーチ式フォークリフトに限定されない。産業車両は、車体と車体の上部にヘッドガードとを備える産業車両であればよい。また、リーチ式フォークリフトであっても立席式に限らず着座式であってもよい。
○ 上記の実施形態では、障害物検出ユニットとして、ステレオカメラユニットを例示したが、障害物検出ユニットは、ステレオカメラユニットに限定されない。障害物検出ユニットは、例えば、レーザー走査やミリ波レーダーを用いた障害物検出ユニットであってもよい。例えば、レーザー走査を用いた障害物検出ユニットの場合、レーザーユニットに加え、レーザーを捜査させるためのアクチュエータユニットを有するため、単なるカメラと比べて一般的に大型化しやすい。
○ 障害物検出ユニット40は、車体11の前方の障害物を検出するように取付けられていてもよい。その場合、カメラの撮像結果にはマスト等の荷役装置が映り込む場合がある。その場合は、障害物の検出可能領域に対して、荷役装置が存在する領域を障害物の非検出領域、すなわち障害物の有無の判定を行わない領域として、荷役装置が存在する領域を予めユニット制御部45に認識させておくと好適である。
【符号の説明】
【0041】
10、50 リーチ式フォークリフト
11 車体
13 荷役装置
17 運転席
24 表示ディスプレイ
30 サイドパネル
33 ヘッドガード
40 障害物検出ユニット
41 ブラケット
42 カメラ部
43 カメラ
44 画像処理部
45 ユニット制御部
46 ユニットケース
A、C 画角
B 角度(90-A/2)
D 死角の範囲
E 特定範囲
M、N 直線
P 交点