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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】光学特性測定装置および測定装置置台
(51)【国際特許分類】
   G01J 3/02 20060101AFI20240319BHJP
   G01N 21/01 20060101ALI20240319BHJP
   G01N 21/57 20060101ALI20240319BHJP
   G01J 3/46 20060101ALI20240319BHJP
   G01M 11/00 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
G01J3/02 C
G01N21/01 A
G01N21/57
G01J3/46 Z
G01M11/00 T
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020523541
(86)(22)【出願日】2019-04-08
(86)【国際出願番号】 JP2019015356
(87)【国際公開番号】W WO2019235054
(87)【国際公開日】2019-12-12
【審査請求日】2021-12-24
(31)【優先権主張番号】P 2018109682
(32)【優先日】2018-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100111453
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻井 智
(72)【発明者】
【氏名】青松 大貴
(72)【発明者】
【氏名】延本 祐司
(72)【発明者】
【氏名】河野 利夫
【審査官】平田 佳規
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/021266(WO,A1)
【文献】特開2015-051574(JP,A)
【文献】特開2001-221686(JP,A)
【文献】特開平10-239152(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0284930(US,A1)
【文献】特開2005-030944(JP,A)
【文献】特開2003-315150(JP,A)
【文献】特開2000-338033(JP,A)
【文献】特開2000-189151(JP,A)
【文献】実開平07-023269(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J 3/00 - G01J 3/52
G01J 1/02 - G01J 1/06
G01M 11/00
G01N 21/00 - G01N 21/01
G01N 21/17 - G01N 21/74
G01B 11/00 - G01B 11/30
H04N 1/024- H04N 1/207
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のジオメトリの光学系を用いることによって、定開口に臨む測定対象における所定の光学特性を測定する測定装置本体と、前記測定装置本体を着脱可能に載置する測定装置置台とを備える光学特性測定装置であって、
前記測定装置本体の底壁に測定開口形成部材が設けられ、前記測定開口形成部材は、測定開口を有し、
前記測定装置置台は、
前記所定の光学特性の校正に用いられる校正基準部材と、
前記測定装置本体が前記測定装置置台に載置された場合に、前記校正基準部材の上面が前記測定開口形成部材の下面と当接するように前記校正基準部材を押圧する押圧機構とを備え、
前記押圧機構は、前記校正基準部材に、前記測定装置本体における前記測定開口の内側の領域において接触し、前記測定開口の中心部に当たる部分で押圧する突出形状または凹部の当接部と、付勢部材とを備える、
光学特性測定装置。
【請求項2】
前記押圧機構は、押圧板を備え、当該押圧板は、前記付勢部材で付勢される板状の本体部と、前記本体部に設けられた、突出形状または凹部の前記当接部とを備える、
請求項1に記載の光学特性測定装置。
【請求項3】
前記校正基準部材は、校正基準板と、当該校正基準板を下面から保持する保持部材とを備え、前記保持部材は前記押圧機構の前記当接部と係合する係合部を備え、
前記当接部は、前記校正基準部材を前記部分で押圧するように前記保持部材の下面中心部に当接する、
請求項1に記載の光学特性測定装置。
【請求項4】
前記付勢部材は、コイルばねである、
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の光学特性測定装置。
【請求項5】
前記当接部は、曲面である、
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の光学特性測定装置。
【請求項6】
記測定開口形成部材は、前記測定開口の周辺領域において、前記測定開口の周縁に向かって漸次外方に突出し、かつ、前記測定開口の周縁が最も外方に突出するように形成されている、
請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の光学特性測定装置。
【請求項7】
前記押圧機構の前記当接部は、前記測定開口形成部材における前記測定開口の中心点に当たる部分において前記校正基準部材を押圧する、
請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の光学特性測定装置。
【請求項8】
所定のジオメトリの光学系を用いることによって、測定開口に臨む測定対象における所定の光学特性を測定する測定装置本体を着脱可能に載置する測定装置置台であって、
前記所定の光学特性の校正に用いられる校正基準部材と、
前記測定装置本体が前記測定装置置台に載置された場合に、前記校正基準部材の上面が、前記測定装置本体の底壁に設けられた測定開口形成部材の下面と当接するように前記校正基準部材を押圧する押圧機構とを備え、
前記押圧機構は、前記校正基準部材に、前記測定装置本体における前記測定開口の内側の領域において接触し、前記測定開口の中心部に当たる部分で押圧する突出形状または凹部の当接部と、付勢部材とを備える、
測定装置置台。
【請求項9】
前記押圧機構は、押圧板を備え、当該押圧板は、前記付勢部材で付勢される板状の本体部と、前記本体部に設けられた、突出形状または凹部の前記当接部とを備える、
請求項8に記載の測定装置置台。
【請求項10】
前記付勢部材は、コイルばねである、
請求項8または請求項9に記載の測定装置置台。
【請求項11】
前記当接部は、曲面である、
請求項8ないし請求項10のいずれか1項に記載の測定装置置台。
【請求項12】
前記校正基準部材は、前記所定の光学特性の校正に用いられる校正基準板と、当該校正基準板を下面から保持する保持部材とを備え、前記保持部材は、前記当接部と係合する係合部を備え、
前記当接部は、前記校正基準部材を前記部分で押圧するように前記保持部材の下面中心部に当接する、
請求項8ないし請求項11のいずれか1項に記載の測定装置置台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば色、光沢などの所定の光学特性を測定する光学特性測定装置および測定装置置台に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、色、光沢などの所定の光学特性を測定する光学特性測定装置は知られており、例えば特許文献1に、光学特性測定装置が開示されている。この特許文献1に開示された光学特性測定装置は、測定開口を有し、所定のジオメトリの光学系を用いることによって前記測定開口に臨む測定対象における光沢を測定する光学測定部を有する測定装置本体と、光沢の校正に用いられる校正基準部材とを備えたものである。校正基準部材は、校正基準板と、一端側を開口し、校正基準板を収納した保護カバー部とから構成されている。そして、測定対象の光沢測定に際し、まず、保護カバー部に一端側から校正基準板を収納して保護カバー部と校正基準板とが係止されることによって、保護カバー部に収納した校正基準板が測定装置本体の測定開口の周部の全周に当接して測定開口全体を覆う状態にされる。そして、その状態で、光学測定部によって校正基準板の光沢値が測定されて光沢基準値とされ、その光沢基準値に基いて測定対象の光沢度が算出される。
【0003】
ところで、前記特許文献1では、保護カバー部と測定装置本体とが完全に係止状態にならない状態で、光学測定部によって校正基準板の光沢値が測定される場合も起こり得る。保護カバー部と測定装置本体とが完全に係止状態にならない場合では、校正基準板が測定装置本体に対する所定の姿勢位置から傾いて測定装置本体における測定開口の周部の一部とのみ当接して校正基準板と測定装置本体の測定開口の周部との間に隙間が生じた状態になり、校正基準板の光沢値にバラツキが生じる虞がある。したがって、前記特許文献1では、校正基準板の光沢値が変動してしまい、再現性が低く、校正の精度が低くなる虞があり、その結果、測定対象の光沢度の精度が低くなってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-127660号公報
【発明の概要】
【0005】
本発明は、上述の事情に鑑みて為された発明であり、その目的は、より確実に、精度の高い校正ができる光学特性測定装置および測定装置置台を提供することである。
【0006】
上述した目的を実現するために、本発明の一側面を反映した光学特性測定装置および測定装置置台は、所定の光学特性の校正に用いられる校正基準部材と、前記校正基準部材を測定開口に臨ませた場合に、前記校正基準部材を、前記校正基準部材における前記測定開口の内側の領域において接触し、押圧する押圧機構とを備え、前記光学特性測定装置は、前記測定開口を有し、所定のジオメトリの光学系を用いることによって前記測定開口に臨む測定対象における所定の光学特性を測定する装置である。
【0007】
発明の1または複数の実施形態により与えられる利点および特徴は、以下に与えられる詳細な説明および添付図面から十分に理解される。これら詳細な説明及び添付図面は、例としてのみ与えられるものであり本発明の限定の定義として意図されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態における光学特性測定装置の斜視図である。
図2】前記光学特性測定装置が有する測定装置本体の側面図である。
図3】前記測定装置本体の底面図である。
図4】前記光学特性測定装置が有する測定装置置台の一部を断面にした要部の斜視図である。
図5】前記測定装置置台の一部の拡大斜視図である。
図6】前記測定装置置台に設けられた第1校正部に測定装置本体に設けられた測定開口形成部材を嵌挿した状態の要部の拡大断面図である。
図7図6の状態で、第1校正部に設けられた校正基準板に光を当てた際の説明図である。
図8】比較例における校正部の校正基準板に光を当てた際の説明図である。
図9】実施形態の測定装置置台と比較例の測定装置置台とのそれぞれの校正基準板の光学特性値(光沢値)を測定したデータをグラフに表した図である。
図10】前記測定装置置台の他の実施形態の要部の説明図である。
図11】前記測定装置に設けられた測定開口形成部材の他の実施形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の1または複数の実施形態が説明される。しかしながら、発明の範囲は、開示された実施形態に限定されない。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、適宜、その説明を省略する。本明細書において、総称する場合には添え字を省略した参照符号で示し、個別の構成を指す場合には添え字を付した参照符号で示す。
【0010】
図1は、実施形態における光学特性測定装置の斜視図である。図2は、前記光学特性測定装置が有する測定装置本体の側面図である。図3は、前記測定装置本体の底面図である。図4は、前記光学特性測定装置が有する測定装置置台の一部を断面にした要部の斜視図である。図5は、前記測定装置置台の一部の拡大斜視図である。なお、以下の説明において、図中のZ1―Z2方向を上下方向とし、Z1方向を上方向、Z2方向を下方向として説明する。
【0011】
本実施形態における光学特性測定装置1は、図1に示すように、測定装置本体100と、測定装置本体100を着脱可能に載置する測定装置置台2とを備える。
【0012】
測定装置本体100は、図1ないし図3に示すように、本体ハウジング102と、本体ハウジング102内に設けられた光学特性測定部とを備えている。
【0013】
本体ハウジング102は、上壁121と、側壁122、123、124、125と、底壁126とを備える。これら上壁121、側壁122、123、124、125および底壁126から、前記光学特性測定部を収容する、大略、直方体状の筐体が形成される。
【0014】
上壁121は、光学特性測定部のモニター134を保持しており、このモニター134に、例えば光学特性測定部で測定した測定値が表示されるようになっている。
【0015】
底壁126には、測定開口130が形成されている。この実施形態では、測定開口130は、底壁126に設けられた測定開口形成部材(ターゲットマスク)127に形成されている。この測定開口形成部材127は、円板状のもので、中心部に円形状の測定開口130が形成されている。
【0016】
この測定開口形成部材127は、底壁126から下方となる外方に突出するように底壁126に保持されている。
【0017】
光学特性測定部は、この実施形態では、互いに異なるジオメトリの複数の光学系を用いることによって測定開口130に臨む測定対象における互いに異なる複数の光学特性を測定するように構成されている。
【0018】
この実施形態では、前記光学特性測定部は、本体ハウジング102の底壁126に形成された上述の測定開口130と、測定開口130に配置された測定対象の光沢を測定する光沢測定部(図示せず)、測定開口130に配置された測定対象の色を測定する測色部(図示せず)、前記光沢測定部および前記測色部で得た測定データに基づいて光沢値、色彩値を求める制御部(図示せず)等を備えている。
【0019】
前記光沢測定部は、例えば図7に示すように、光沢測定用の光源131、光沢測定用の受光部132等を備え、これらは、光沢用のジオメトリとなるように構成されている。このように構成された光沢測定部は、光沢測定用光源131から測定開口130に臨む測定対象の測定部位に光を当て、さらに、測定対象で反射された光を光沢測定用の受光部132で受光して光沢データを検出する。そして、この検出した光沢に関する光沢データに基づいて制御部で公知の方法で光沢値が求められ、この求められた光沢値がモニター134で表示される。
【0020】
前記測色部は、前記光沢測定部と同様に、測色測定用の光源、測色測定用の受光部等を備えており、このように構成された測色部は、測色測定用の光源から測定開口130に臨む測定対象の測定部位に光を当て、さらに、測定対象で反射された光を測色測定用の受光部で受光して測色データを検出し、検出した測色データに基づいて上記制御部で公知の方法で色彩値が求められ、求められた色彩値がモニター134で表示される。
【0021】
次に、測定装置置台2について説明する。測定装置置台2は、この実施形態では、図1および図4に示すように、略直方体形状の置台ハウジング21と、置台ハウジング21の長手方向に沿って配設された光沢(光学特性)校正用の第1校正部3a、色彩(光学特性)校正用の第2校正部3b、および、ゼロ校正部4とを備える。
【0022】
第1校正部3aは、図5に示すように、置台ハウジング21の上壁211に形成された測定開口形成部材嵌挿部31と、光沢の校正に用いられる校正基準部材32と、校正基準部材32を押圧する押圧機構33とを備えている。
【0023】
測定開口形成部材嵌挿部31は、置台ハウジング21の上壁211に、測定開口形成部材127を嵌挿できるように、測定開口形成部材127と略同径で、所定の深さで形成される。
【0024】
校正基準部材32は、光沢校正用の円板状の校正基準板321aと、校正基準板321aを保持する保持部材322とを備えている。
【0025】
校正基準板321aは、測定開口形成部材127の測定開口130よりも径が大きく、測定開口形成部材127の測定開口130の周縁全体に当接可能な大きさの部材である。
【0026】
保持部材322は、その上部側に校正基準板321aを保持する基準板保持部323を備える。この基準板保持部323は、校正基準板321aを下方側から受ける受け板324と、受け板324を囲むように受け板324の外周縁から上方に延ばされた周壁325とを備えており、基準板保持部323に保持された校正基準板321aの上面が露出するように(外部に臨むように)なっている。
【0027】
この周壁325の高さが、校正基準板321aの厚さよりも低く形成されており、基準板保持部323に保持された校正基準板321aが、基準板保持部323の上方に突出するようになっている。
【0028】
保持部材322の受け板324における下面の略中心部(略中央位置)に、後述の押圧機構33の当接部334と係合する略半球状の凹部(係合部)326が形成されている。
【0029】
このように構成された校正基準部材32は、校正基準板321aを保持部材322で保持した状態で、置台ハウジング21内において、測定開口形成部材嵌挿部31の下部側に、下方側から突出するとともに、測定開口形成部材嵌挿部31内を上下移動可能に配置されている。したがって、測定開口形成部材127が測定開口形成部材嵌挿部31に嵌挿されると、測定開口形成部材127と校正基準板321aの上面とが当接するようになっている。
【0030】
校正基準部材32が置台ハウジング21内に配置された状態で、保持部材322の受け板324の凹部326は、測定開口形成部材嵌挿部31の略中心に配置され、測定開口形成部材嵌挿部31に嵌挿された測定開口形成部材127における測定開口130の略中心に位置するようになっている。
【0031】
押圧機構33は、押圧板331と、押圧板331を付勢するコイルばね(付勢部材)332とを備える。
【0032】
押圧板331は、円板状の本体部333と、校正基準部材32の校正基準板321aに当接する当接部(被係合部)334とを備える。
【0033】
当接部334は、この実施形態では、本体部333の中心部に、本体部333と一体的に、本体部333から上方に突設された突出部から構成されている。この実施形態の当接部334は、円柱部の先端に、保持部材322の凹部326に嵌合して係合可能な半球面(曲面)に形成されている。
【0034】
押圧板331は、当接部334が保持部材322の凹部326に嵌合した状態で、保持部材322の下方側に配設されている。
【0035】
コイルばね332は、押圧板331の下方側に配設され、コイルばね332の上端が押圧板331の下面に係止され、コイルばね332の下端が置台ハウジング21に係止されることにより、コイルばね332は、押圧板331を上方側に付勢している。これにより、押圧板331の当接部334を介して保持部材322の略中心部が、上方に付勢されている。
【0036】
上述のように測定開口形成部材127が測定開口形成部材嵌挿部31に嵌挿されると、上述のように測定開口形成部材127と校正基準板321aの上面とが当接するが、この付勢によって、その当接した校正基準板321aの上面が、測定開口形成部材127に押し付けられる。
【0037】
第2校正部3bは、色彩校正用の校正基準板321bが用いられている点で、光沢校正用の校正基準板321aが用いられている第1校正部3aと異なる。第2校正部3bにおけるそれ以外の構成は、第1校正部3aと同構成を採っている。なお、色彩校正用の校正基準板321bは、光沢校正用の校正基準板321aと同形状である。
【0038】
ゼロ校正部4は、図4に示すように、置台ハウジング21の上壁211に形成されたゼロ校正用の測定開口形成部材嵌挿部41と、そのゼロ校正用の測定開口形成部材嵌挿部41と置台ハウジング21の内部とを連通する連通孔42とを備えており、この第2測定開口形成部材嵌挿部41に測定開口形成部材127が嵌挿された状態で、測定装置本体100が所定の操作をされることで光学特性測定部をゼロ校正できるようになっている。
【0039】
なお、光沢校正および色彩校正を実施しない場合、図4に示すように、第1校正部3aおよび第2校正部3bそれぞれの校正基準板321a、321bは、保護カバー328が被せられ、これによって、校正基準板321a、321bに埃等の付着の防止や、校正基準板321a、321bに他のものが当たることによる損傷の防止等が可能となっている。
【0040】
次に、この実施形態の光学特性測定装置1の校正の動作について説明する。図6は、前記測定装置置台に設けられた第1校正部に測定装置本体に設けられた測定開口形成部材を嵌挿した状態の要部の拡大断面図である。図7は、図6の状態で、第1校正部に設けられた校正基準板に光を当てた際の説明図である。図8は、比較例における校正部の校正基準板に光を当てた際の説明図である。図9は、実施形態の測定装置置台と比較例の測定装置置台とのそれぞれの校正基準板の光学特性値(光沢値)を測定したデータをグラフに表した図である。
【0041】
光沢測定する際の校正を行う場合、ユーザは、第1校正部3aの保護カバー328を外し、図6に示すように測定装置本体100の測定開口形成部材127を測定装置置台2の測定開口形成部材嵌挿部31に嵌挿する。その際、測定開口形成部材嵌挿部31の周壁の内周が、測定開口形成部材127をガイドし、測定開口形成部材127が、円滑に測定開口形成部材嵌挿部31内に入り込む。
【0042】
測定開口形成部材127が測定開口形成部材嵌挿部31内に入り込んでいくと、測定開口形成部材127の下面(外面)が、光沢校正用の校正基準板321aに当接し、更に、測定開口形成部材127が測定開口形成部材嵌挿部31内に押し込まれると、測定開口形成部材127が、光沢校正用の校正基準板321aをコイルばね332の付勢力に抗して押し下げた状態で嵌挿される。
【0043】
したがって、測定開口形成部材127が測定開口形成部材嵌挿部31内に嵌挿された状態で、測定開口形成部材127の下面(外面)に光沢校正用の校正基準板321aがコイルばね332の付勢力によって押し付けられた状態になる。
【0044】
その際、コイルばね332が押圧板331の当接部334および保持部材322を介して校正基準板321aを、測定開口形成部材127における測定開口130の中心部に当たる部分で押圧するため、コイルばね332の付勢力が、測定開口形成部材127における測定開口130の周部の全体に略均等にかかる。
【0045】
例えば、比較例では、図8に示すように、バネで校正基準板321aの端を押圧する場合、図8に示すように、光沢校正用の校正基準板321aが測定開口形成部材127に対して所定位置から傾いて測定開口130の周部の一部と光沢校正用の校正基準板321aとの間に隙間tが、生じ易くなる。したがって、この場合では、光沢校正用の校正基準板321aの光沢測定値にバラツキが生じる虞れがあり、光沢校正用の校正基準板321aの光沢値を正確に再現し難く、精度の高い校正を行い難い。
【0046】
一方、本実施形態では、コイルばね332の付勢力が測定開口形成部材127における測定開口130の周部の全体に略均等にかかるため、図7に示すように、光沢校正用の校正基準板321aが測定開口形成部材127に対して傾くことなく、より確実に、所定位置に配置され、測定開口130の周部の全体が光沢校正用の校正基準板321aに当接し、測定開口130の周部と光沢校正用の校正基準板321aとの間に隙間が生じ難くなる。したがって、光沢校正用の校正基準板321aの光沢値にバラツキが生じる虞れが少なく、より確実に、光沢校正用の校正基準板321aの光沢値を正確に再現でき、精度の高い校正ができる。
【0047】
ここで、光沢校正用の校正基準板321aの光沢値について、本実施形態の光学特性測定装置1と、図8に示す比較例とのそれぞれについて、比較試験が実施されたので、以下に説明する。
【0048】
比較試験は、本実施形態の光学特性測定装置1(本実施形態品)と、図8に示す比較例とのそれぞれについて、光沢校正用の校正基準板321aの光沢値を、その都度脱着しながら20回、測定し、それぞれの光沢値について、各1回目に測定した光沢値に対する差を求めることにより実施された。図9の横軸は、測定回数であり、その縦軸は、1回目の測定値との差である。
【0049】
その結果は、図9に示すように、本実施形態品による光沢値の差は、比較例の場合よりもバラツキが小さくなることが確認できた。
【0050】
色彩測定する際の校正を行う場合も、ユーザは、上述の光沢の校正の場合と同様に、第2校正部3bの保護カバー328を外し、測定装置本体100の測定開口形成部材127を測定装置置台2の測定開口形成部材嵌挿部31に嵌挿する。その場合においても、測定開口形成部材嵌挿部31の周壁の内周が、測定開口形成部材127をガイドし、測定開口形成部材127が、円滑に測定開口形成部材嵌挿部31内に入り込む。
【0051】
測定開口形成部材127が測定開口形成部材嵌挿部31内に入り込んで嵌挿された状態で、測定開口形成部材127に色彩校正用の校正基準板321bがコイルばね332の付勢力によって押し付けられた状態になる。
【0052】
その場合においても、コイルばね332が押圧板331の当接部334および保持部材322を介して校正基準板321bを、測定開口形成部材127における測定開口130の中心部に当たる部分で押圧するため、コイルばね332の付勢力が、測定開口形成部材127における測定開口130の周部の全体に略均等にかかる。これにより、色彩校正用の校正基準板321bが、測定開口形成部材127に対して傾くことなく、より確実に、所定位置に配置され、測定開口130の周部の全体が、色彩校正用の校正基準板321bに当接し、測定開口130の周部と色彩校正用の校正基準板321bとの間に隙間が、生じ難くなる。したがって、色彩校正用の校正基準板321bの色彩値にバラツキが生じる虞れが少なく、色彩校正用の校正基準板321bの色彩校正値を正確に再現でき、精度の高い校正ができる。
【0053】
図10は、前記測定装置置台の他の実施形態の要部の説明図である。図11は、前記測定装置に設けられた測定開口形成部材の他の実施形態の断面図である。
【0054】
なお、上記実施形態では、保持部材322の受け板324に凹部326が設けられ、押圧板331に凹部326に嵌合する突出部からなる当接部334が設けられたが、この形態のものに限らず、例えば、図10に示すように、保持部材322aの受け板324aに、受け板324aから下方に突出する突出部326aが設けられ、押圧板331aにその突出部326aが嵌合する凹部からなる当接部334aが設けられても良く、適宜に変更できる。
【0055】
また、上記実施形態では、コイルばね332は、上端の径が下端の径よりも小さいものであったが、コイルばね332は、特に限定されず、例えば図10に示すように、例えば上端の径と下端の径とが略同じコイルばね332aであっても良い。
【0056】
また、測定開口形成部材127における、校正に際して校正基準板321a、321bと対向する対向面となる外面(下面)128は、平面でも良いが、図11に示すように、前記外面128は、測定開口130の少なくとも周辺領域において、測定開口130の周縁128aに向かって(径方向内側に行くに従い)漸次外方(測定開口130の開口面における法線方向に沿った内側から外側に向かう方向)に突出し、かつ、前記測定開口130の周縁128aが最も外方に突出する膨出形状またはテーパ形状に形成されても良い。このように構成することにより、測定開口形成部材127における測定開口130の周縁128a全体を、より確実に校正基準板321a、321bに当接させ易くできる。なお、測定開口形成部材127の外周端から測定開口130の周縁128aまでの突出量は、例えば数μm程度でも良く、図11では、測定開口形成部材127の外周端から測定開口130の周縁128aまでの突出量が誇張して図示されている。
【0057】
また、上記実施形態では、測定装置本体100は、光沢および色彩を測定できるものとされているが、例えば光沢と色彩とのいずれか一方を測定できるものであればよい。また、測定装置置台2も、光沢校正用の第1校正部3aと色彩校正用の第2校正部3bとゼロ校正部4とを備えているが、光沢校正用の第1校正部3aと色彩校正用の第2校正部3bとの少なくともいずれか一方を備えたものであれば良く、適宜に変更できる。
【0058】
また、上記実施形態では、コイルばね332が用いられ、コイルばね332により、押圧板331の当接部334を保持部材322の略中心部を押圧することにより、校正基準部材32は、測定開口形成部材127における測定開口130の略中央部に当たる部分で押圧されているが、この形態のものに限らず、例えば板バネが用いられ、前記板バネで、校正基準部材32は、測定開口形成部材127における測定開口130の内側(内周側)に当たる部分で押圧されてよく、適宜に変更できる。
【0059】
また、上記実施形態では、押圧機構33は、押圧板331とコイルばね332とを備えているが、例えば押圧機構33は、コイルばね332のみから構成され、押圧板331を有さない形態のものでも良い。押圧機構33がコイルばね332のみから構成され、コイルばね332の上端が校正基準部材32に当接される場合において、コイルばね332の上端は、測定開口130の径よりも小さく、校正基準部材32に対し、測定開口形成部材127における測定開口130の内側(内周側)に当たる部分に当接されればよい。
【0060】
本明細書は、上記のように様々な態様の技術を開示しているが、そのうち主な技術を以下に纏める。
【0061】
一態様にかかる光学特性測定装置は、測定開口を有し、所定のジオメトリの光学系を用いることによって前記測定開口に臨む測定対象における所定の光学特性を測定する光学特性測定部と、前記所定の光学特性の校正に用いられる校正基準部材と、前記校正基準部材を前記測定開口に臨ませた場合に、前記校正基準部材を、前記光学特性測定部における前記測定開口の内側の領域において接触し、押圧する押圧機構とを備える。
【0062】
このような光学特性測定装置は、校正基準部材を測定開口に臨ませた場合に、押圧機構によって校正基準部材を光学特性測定部における測定開口の内側に当たる部分で押圧するため、校正基準部材を光学特性測定部における測定開口の全周に押し当てることができる。これにより、より確実に、校正基準部材が光学特性測定部に対して所定の位置に配置され、校正基準板の光学特性値にバラツキが生じ難く、再現性を担保でき、より確実に、正確な光学特性基準値が得られる。したがって、上記光学特性測定装置は、より確実に、精度の高い校正ができ、測定対象の光学特性を高精度に得られる。
【0063】
他の一態様では、上述の光学特性測定装置において、前記押圧機構は、押圧板と、前記押圧板が前記校正基準部材を前記部分で押圧するように、前記押圧板を付勢する付勢部材とを備える。
【0064】
このような光学特性測定装置は、押圧板を介して付勢部材によって校正基準部材を押圧するため、校正基準部材を光学特性測定部における測定開口の全周に確実に押し当てることができる。
【0065】
他の一態様では、上述の光学特性測定装置において、前記付勢部材は、コイルばねであり、前記押圧板は、前記コイルばねで付勢されるように前記コイルばねに係合する板状の本体部と、前記本体部に設けられた、前記校正基準部材を前記部分で押圧するように前記校正基準部材に当接する当接部とを備える。
【0066】
このような光学特性測定装置は、校正基準部材を光学特性測定部における測定開口の全周に、より確実に押し当てることができる。
【0067】
他の一態様では、上述の光学特性測定装置において、前記当接部は、曲面である。
【0068】
このような光学特性測定装置は、校正基準部材を、当接面積を小さくして押圧でき、より一層確実に、校正基準部材を光学特性測定部における測定開口の全周に押し当てることができる。
【0069】
他の一態様では、これら上述の光学特性測定装置において、前記当接部は、突出形状である。
【0070】
これによれば、前記当接部が突出形状である光学特性測定装置が提供される。
【0071】
他の一態様では、これら上述の光学特性測定装置において、前記前記校正基準部材における前記当接部で当接される部分が、突出形状である。
【0072】
これによれば、前記前記校正基準部材における前記当接部で当接される部分が突出形状である光学特性測定装置が提供される。
【0073】
他の一態様では、これら上述の光学特性測定装置において、前記測定開口が形成された測定開口形成部材を備え、前記測定開口形成部材は、前記測定開口の周辺領域において、前記測定開口の周縁に向かって漸次外方に突出し、かつ、前記測定開口の周縁が最も外方に突出するように形成されている。
【0074】
このような光学特性測定装置は、校正基準部材を測定開口の周縁全体に当て易くでき、校正基準部材を光学特性測定部における測定開口の全周に、より確実に押し当てることができる。
【0075】
他の一態様では、これら上述の光学特性測定装置において、前記光学特性測定部を備える測定装置本体と、前記校正基準部材および押圧機構を備え、前記測定装置本体を着脱可能に載置する測定装置置台とを備える。
【0076】
このような光学特性測定装置は、測定装置本体を測定装置置台に載置することで、校正基準部材を光学特性測定部における測定開口の全周に押し当てることができる。したがって、上記光学特性測定装置は、容易にかつ確実に、校正基準部材を光学特性測定部における測定開口の全周に押し当てることができる。
【0077】
他の一態様にかかる測定装置置台は、測定開口を有し、所定のジオメトリの光学系を用いることによって前記測定開口に臨む測定対象における所定の光学特性を測定する測定装置本体を着脱可能に載置する測定装置置台であって、前記所定の光学特性の校正に用いられる校正基準部材と、前記校正基準部材を前記測定開口に臨ませた場合に、前記校正基準部材を、前記校正基準部材における前記測定開口の内側の領域において接触し、押圧する押圧機構とを備える。
【0078】
このような測定装置置台は、測定装置本体を載置すれば、校正基準部材を測定開口に臨ませることも可能になり、押圧機構によって校正基準部材を光学特性測定部における測定開口の内側に当たる部分で押圧できる。これにより、校正基準部材を光学特性測定部における測定開口の全周に押し当てることができ、より確実に、校正基準部材が光学特性測定部に対して所定の位置に配置され、校正基準板の光学特性値にバラツキが生じ難く、再現性が担保され、より確実に、正確な光学特性基準値が得られる。したがって、上記測定装置置台は、より確実に、精度の高い校正ができる。
【0079】
他の一態様では、上述の測定装置置台において、前記押圧機構は、押圧板と、前記押圧板が前記校正基準部材を前記部分で押圧するように、前記押圧板を付勢する付勢部材とを備える。
【0080】
このような測定装置置台は、押圧板を介して付勢部材によって校正基準部材を押圧するため、校正基準部材を光学特性測定部における測定開口の全周に確実に押し当てることができる。
【0081】
他の一態様では、上述の測定装置置台において、前記付勢部材は、コイルばねであり、前記押圧板は、前記コイルばねで付勢されるように前記コイルばねに係合する板状の本体部と、前記本体部に設けられた、前記校正基準部材を前記部分で押圧するように前記校正基準部材に当接する当接部とを備える。
【0082】
このような測定装置置台は、校正基準部材を光学特性測定部における測定開口の全周に、より一層確実に押し当てることができる。
【0083】
他の一態様では、上述の測定装置置台において、前記当接部は、曲面である。
【0084】
このような測定装置置台は、校正基準部材を、当接面積を小さくして押圧でき、より一層確実に、校正基準部材を光学特性測定部における測定開口の全周に押し当てることができる。
【0085】
他の一態様では、これら上述の測定装置置台において、前記校正基準部材は、前記所定の光学特性の校正に用いられる校正基準板と、前記校正基準板を保持する保持部材とを備え、前記保持部材は、前記当接部と係合する係合部を備える。好ましくは、上述の測定装置置台において、前記当接部は、突出部であり、前記係合部は、前記突出部が嵌合する凹部である。好ましくは、上述の測定装置置台において、前記係合部は、突出部であり、前記当接部は、前記突出部が嵌合する凹部である。
【0086】
このような測定装置置台は、保持部材が当接部と係合する係合部を備えるため、当接部を容易かつ確実に所定位置に配置でき、校正基準板を確実に測定開口の内側に当たる部分で押圧できる。
【0087】
この出願は、2018年6月7日に出願された日本国特許出願特願2018-109682を基礎とするものであり、その内容は、本願に含まれるものである。
【0088】
本発明の実施形態が詳細に図示され、かつ、説明されたが、それは単なる図例及び実例であって限定ではない。本発明の範囲は、添付されたクレームの文言によって解釈されるべきである。
【0089】
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明によれば、所定の光学特性を測定する光学特性測定装置および測定装置置台が提供できる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11