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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】衣服
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/002 20060101AFI20240319BHJP
   A41D 13/005 20060101ALI20240319BHJP
   A41D 31/12 20190101ALI20240319BHJP
   A41D 31/14 20190101ALI20240319BHJP
   A41D 27/28 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
A41D13/002 105
A41D13/005 103
A41D31/12
A41D31/14
A41D27/28 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020544314
(86)(22)【出願日】2020-08-05
(86)【国際出願番号】 JP2020029935
(87)【国際公開番号】W WO2021059759
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2023-05-22
(31)【優先権主張番号】P 2019175669
(32)【優先日】2019-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】勝田 大士
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 貴大
(72)【発明者】
【氏名】鹿野 秀和
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 英俊
(72)【発明者】
【氏名】藤田 和哉
【審査官】山尾 宗弘
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3216594(JP,U)
【文献】特開2009-155773(JP,A)
【文献】特開2017-155392(JP,A)
【文献】特開2017-222944(JP,A)
【文献】特開2018-168485(JP,A)
【文献】国際公開第2018/012318(WO,A1)
【文献】米国特許第08082596(US,B2)
【文献】国際公開第2016/104492(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 13/002
A41D 13/005
A41D 31/12
A41D 31/14
A41D 27/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通気度が50~500cm/cm/sの生地からなる衣服であって、送風ファンユニットを具備しており、かつ、衣服内の風に指向性を付与するための流路形成部を衣服内側に具備してなり、
流路形成部は一方向に延在する凸状部を2本以上有してなり、凸状部は送風ファンユニットの送風口幅と同程度の間隔に配置されていることを特徴とする衣服。
【請求項2】
衣服は吸気口を有し、上記送風ファンユニットは吸気口と重なるように具備されており、上記凸状部の下端はそれぞれ吸気口の上端と一致するように取り付けられ、隣り合う凸状部がなす角度は0°以上20°以下であることを特徴とする、請求項1に記載の衣服
【請求項3】
凸状部は長さ30~500mmで一方向に延在することを特徴とする、請求項1または2に記載の衣服。
【請求項4】
上記凸状部は厚さが3~20mmであることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の衣服。
【請求項5】
上記流路形成部が繊維構造体からなることを特徴とする、請求項1~のいずれかに記載の衣服。
【請求項6】
上記衣服が吸湿性繊維を少なくとも一部に用いた生地からなることを特徴とする、請求項1~のいずれかに記載の衣服。
【請求項7】
上記吸湿性繊維の吸湿率差(ΔMR)が2.0~10.0%であることを特徴とする、請求項に記載の衣服。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高温および/または高湿の環境や、オフィスや家庭など快適性が必要とされる様々な着用シーンにおいて、好適に用いることができる衣服に関するものである。
【背景技術】
【0002】
地球温暖化対策として、夏場にエアコンの設定温度を高くすることや冬場にエアコンの設定温度を低くすることは、二酸化炭素排出量の削減に有効な手段の一つである。しかしながら、エアコンの温度を変更した場合、オフィスや住居などの室内空間における快適性が低下し、特に夏場においては発汗によるべたつきによって不快に感じることが問題となる。そこで、ファンを用いることにより衣服内に外気を送り込み、快適性を維持するための衣服が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、外部の空気を取り込むファンを備えてなる、表地と裏地とを有している空調服であって、表地と裏地との間の空間に空気の流れを強制的に生じさせることが可能な空調服が提案されている。この提案によると、表地と裏地との間の空間に空気の流れを強制的に生じさせることにより、効果的に身体を冷却することができるとしている。
【0004】
また、特許文献2では、着用者を覆う衣服本体と、前記衣服本体の内側の空間に連通する筒状の通気部と、を有し、さらに前記通気部が、送風装置の送風部に着脱可能な通気口を有する衣服が提案されている。この提案によると、衣服内部の空間と連通する筒状の通気部に、送風装置の送風部が装着可能であり、送風装置により外部からの空気を衣服内に取り込んで身体を冷却することができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-168485号公報
【文献】特開2018-3227号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1で開示されている技術によると、空調服の表地と裏地との間の空間に空気の流れを強制的に生じさせることにより、効率的に身体を冷却することができる。しかしながら、該技術は、衣服内(表地と裏地の間)に空気をため込む構造となることから送風流量の大きなファンを搭載する必要があり、かつ衣服が大きく膨らんだ状態となるため、意匠性の観点からオフィスや家庭などの着用シーンには適さないものであった。
【0007】
また、特許文献2に開示されている技術によると、衣服内部の空間と連通する筒状の通気部に装着した送風装置により、外部からの空気を衣服内に取り込むことで身体を冷却することができる。しかしながら、該技術は、ベルトなどを用いて腰部に送風装置を取り付けなければならず、その違和感から着用快適性に劣る物であった。加えて、該技術は、衣服内に流入した空気が衣服本体の生地を通して空気が流出しないように、タフタ生地など空気を通しにくい生地を用いており、空気の流出が袖口や襟元に限定される。そのため、送風装置稼働時には衣服が大きく膨らんだ状態となり、意匠性の観点からオフィスや家庭などの着用シーンには適さないものであった。
【0008】
本発明の課題は、上記従来技術の問題点を解決し、衣服内の蒸れ感や暑熱感を抑制して衣服内環境を快適に保つことができ、かつオフィスや家庭などの着用シーンにおいても意匠性や着用快適性に優れた衣服を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らが検討を進めたところ、皮膚水分量が多く動きが複雑でない背中部や、発汗量の多い腋下部に対し、身体に略平行な風を局所的に送風することにより、効率的に身体を冷却することが可能であるという知見を得た。また、着用快適性は衣服内温度だけでなく衣服内湿度も大きく関与しており、衣服内の蒸れ感を抑制することにより着用快適性が大きく向上することが判明した。
【0010】
そこで、本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、通気度の高い生地を衣服に用いることで衣服の膨らみや衣服内の蒸れ感を抑制することができ、さらに通気度の高い生地であっても効率的に身体を冷却することができるよう、衣服内の風に指向性を付与するための流路形成部を衣服内側に設けることによって、意匠性や着用快適性に優れ、オフィスや家庭などの着用シーンに好適な衣服となることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0011】
すなわち、本発明は、前記の課題を解決せんとするものであり、通気度が50~500cm/cm/sの生地からなる衣服であって、送風ファンユニットを具備しており、かつ、衣服内の風に指向性を付与するための流路形成部を衣服内側に具備してなることを特徴とする衣服である。
【0012】
本発明の衣服の好ましい態様によれば、上記流路形成部が凸状部を含み、該凸状部は長さ30~500mmで一方向に延在する。
【0013】
本発明の衣服の好ましい態様によれば、上記凸状部は厚さが3~30mmである。
【0014】
本発明の衣服の好ましい態様によれば、上記流路形成部が繊維構造体からなる。
【0015】
本発明の衣服の好ましい態様によれば、上記衣服が吸湿性繊維を少なくとも一部に用いた生地からなる。
【0016】
本発明の衣服の好ましい態様によれば、上記吸湿性繊維の吸湿率差(ΔMR)が2.0~10.0%である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、衣服内の蒸れ感や暑熱感を抑制して衣服内環境を快適に保つことができ、かつ着用快適性および意匠性にも優れるため、高温および/または高湿の環境や、オフィスや家庭など快適性が必要とされる様々な着用シーンにおいて、好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態を示す衣服における流路形成部の概略説明図である。(a)は正面図(衣服内側)であり、(b)は側面図、(c)は断面図である。
図2】実施例1における流路形成部および送風ファンユニットの位置を示す概略説明図である。(a)は衣服背面部の概略図であり、(b)は背面部内側(図2(a)の破線部)の概略図である。
図3】本発明の凸状部における取り付け角度の概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の衣服は、通気度が50~500cm/cm/sの生地からなる衣服であって、送風ファンユニットを具備しており、かつ、衣服内の風に指向性を付与するための流路形成部を衣服内側に具備してなることを特徴とする衣服である。以下に本発明の詳細について説明する。
【0020】
本発明の衣服は、生地の通気度が50~500cm/cm/sであることが重要である。本発明における生地の通気度とは、実施例記載の方法で測定される値を指す。生地の通気度を50cm/cm/s以上、好ましくは70cm/cm/s以上、より好ましくは90cm/cm/s以上、さらに好ましくは100cm/cm/s以上とすることにより、汗の蒸散性に優れるため発汗時の蒸れ感を抑制できるとともに、衣服の膨らみを抑制することが可能となる。また、生地の通気度を500cm/cm/s以下、好ましくは450cm/cm/s以下、より好ましくは400cm/cm/s以下、さらに好ましくは350cm/cm/s以下とすることにより、生地の機械的特性が良好となり、衣服製造時の工程通過性や取り扱い性が良好であり、使用時の耐久性にも優れる衣服となる。また、生地が薄地となり過ぎず、裏地を設けなくても違和感なく着用することができる。
【0021】
本発明の衣服は、吸湿性繊維を少なくとも一部に用いた生地からなることが好ましい。生地に吸湿性繊維を用いることにより、衣服外側への湿気の放出を助長し、吸湿性繊維を使用した部位近辺の湿度を低下させることができ、蒸れ感がより抑制された衣服となる。吸湿性繊維の具体例としては、ポリエステル系吸湿繊維、ポリアミド系繊維、ポリアクリル系繊維、レーヨン系繊維、アセテート系繊維、綿、麻、絹、ウールなどが挙げられるが、これらに限定されない。なかでも、ポリエステル系吸湿繊維やポリアミド系繊維は、機械的特性や耐久性に優れるため好ましい。
【0022】
本発明の衣服は、吸湿性繊維の吸湿率差(△MR)が2.0~10.0%であることが好ましい。本発明における吸湿性繊維の吸湿率差(△MR)とは、実施例記載の方法で測定される値を指す。△MRとは、軽い運動後の衣服内温湿度を想定した温度30℃、湿度90%RHにおける吸湿率と、外気温湿度として温度20℃、湿度65%RHにおける吸湿率との差である。すなわち、△MRは吸湿性の指標であり、△MRの値が高いほど、発汗時の蒸れ感、べたつき感が軽減され、衣服の着用快適性が向上する。吸湿性繊維の△MRを好ましくは2.0%以上、より好ましくは3.0%以上、さらに好ましくは4.0%以上とすることにより、衣服内の蒸れ感やべたつき感を少なくすることができ、着用快適性に優れた衣服となる。また、吸湿性繊維の△MRを好ましくは10.0%以下、より好ましくは9.0%以下、さらに好ましくは8.0%以下とすることにより、生地や衣服を製造する際の工程通過性や取り扱い性が良好となり、使用時の耐久性にも優れる衣服となる。
【0023】
本発明の衣服は、衣服内へ外気を取り込むための吸気口を少なくとも1つ有することが好ましい。ここで吸気口とは、通常の衣服が有する襟、袖、裾などの開口部ではなく、衣服内へ外気を取り込むために別途設ける、衣服の基本的な部位よりも通気度が高い部位のことである。このような吸気口を有していれば、衣服内へ外気を効率よく取り込むことができるため、暑熱感や蒸れ感を抑制することができ、着用快適性に優れた衣服となる。本発明の衣服において、吸気口の数ならびに吸気口の位置には特に制限がなく、着用感や意匠性等を損なわない範囲で適宜選択することができる。
【0024】
本発明の衣服に設けられる吸気口は、衣服を構成する基本的な部位(衣服本体)の生地よりも通気度の高い素材で構成されていることが好ましい。吸気口の通気度を衣服本体の生地よりも高くすることにより、効率的に衣服内に外気を取り込むことが可能となる。なお、吸気口の通気度は特に制限されないが、400cm/cm/s以上であることが好ましい。
【0025】
本発明の衣服は、衣服内の空気を衣服外側へ排出するための排気口を有していてもよい。排気口も、通常の衣服が有する襟、袖、裾などの開口部ではなく、衣服内の空気を衣服外側へと排出するために前記吸気口に対応するように別途設ける、衣服の基本的な部位よりも通気度が高い部位のことである。このような排気口を有していれば、衣服内の換気を促進することができるため、暑熱感や蒸れ感を抑制することができ、着用快適性に優れた衣服となる。本発明の衣服において、排気口の数ならびに排気口の位置には特に制限がなく、着用感や意匠性等を損なわない範囲で適宜選択することができる。
【0026】
本発明の衣服に設けられる排気口は、衣服の生地よりも通気度の高い素材で構成されていることが好ましい。排気口の通気度を衣服本体の生地よりも高くすることにより、衣服内の空気を効率的に衣服外側へと排出することが可能となる。なお、排気口の通気度は特に制限されないが、400cm/cm/s以上であることが好ましい。
【0027】
本発明の衣服に用いられる繊維は、フィラメント、ステープル、紡績糸などのいずれであってもよく、仮撚や撚糸などの加工が施されていてもよい。
【0028】
本発明の衣服に用いられる繊維は、マルチフィラメントとしての総繊度に特に制限がなく、用途や要求特性に応じて適宜選択することができるが、10~500dtexであることが好ましい。総繊度を好ましくは10dtex以上、より好ましくは30dtex以上、さらに好ましくは50dtex以上とすることにより、糸切れが少なく、工程通過性が良好であることに加え、使用時に毛羽の発生が少なく、耐久性に優れる衣服となる。また、総繊度を好ましくは500dtex以下、より好ましくは400dtex以下、さらに好ましくは300dtex以下とすることにより、衣服の柔軟性を損なうことがなく、着用快適性に優れる衣服となる。
【0029】
本発明の衣服に用いられる繊維は、単繊維繊度に特に制限がなく、用途や要求特性に応じて適宜選択することができるが、0.5~4.0dtexであることが好ましい。本発明における単繊維繊度とは、総繊度を単繊維数で除した値を指す。単繊維繊度を好ましくは0.5dtex以上、より好ましくは0.6dtex以上、さらに好ましくは0.8dtex以上とすることにより、糸切れが少なく、工程通過性が良好であることに加え、使用時に毛羽の発生が少なく、耐久性に優れる衣服となる。また、単繊維繊度を好ましくは4.0dtex以下、より好ましくは2.0dtex以下、さらに好ましくは1.5dtex以下とすることにより、衣服の柔軟性を損なうことがなく、着用快適性に優れる衣服となる。
【0030】
本発明の衣服に用いられる繊維は、繊維の破断強度に特に制限がなく、用途や要求特性に応じて適宜選択することができるが、機械的特性の観点から2.0~5.0cN/dtexであることが好ましい。破断強度を好ましくは2.0cN/dtex以上、より好ましくは3.0cN/dtex以上とすることにより、使用時に毛羽の発生が少なく、また耐久性に優れる空調となる。また、破断強度を好ましくは5.0cN/dtex以下とすることにより、衣服の柔軟性を損なうことがなく、着用快適性に優れる衣服となる。
【0031】
本発明の衣服に用いられる繊維は、繊維の破断伸度に特に制限がなく、用途や要求特性に応じて適宜選択することができるが、耐久性の観点から10~60%であることが好ましい。破断伸度を好ましくは10%以上、より好ましくは15%以上、さらに好ましくは20%以上とすることにより、衣服の耐摩耗性が良好となり、使用時に毛羽の発生が少なく、耐久性に優れる衣服となる。また、破断伸度を好ましくは60%以下、より好ましくは55%以下、さらに好ましくは50%以下とすることにより、衣服の寸法安定性が良好となるため、耐久性に優れる衣服となる。
【0032】
本発明の衣服に用いられる繊維は、繊維の断面形状に関して特に制限がなく、用途や要求特性に応じて適宜選択することができる。真円状の円形断面であってもよく、非円形断面であってもよい。非円形断面の具体例として、多葉形、多角形、扁平形、楕円形などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0033】
本発明の衣服に用いられる生地は、生地形態に関して特に制限がなく、公知の方法に従い、織物、編物、パイル布帛、不織布などにすることができる。また、本発明の衣服は、いかなる織組織または編組織であってもよく、平織、綾織、朱子織、二重織あるいはこれらの変化織や、経編、緯編、丸編、レース編あるいはこれらの変化編などが好適に採用できる。
【0034】
本発明の衣服に用いられる生地は、必要に応じて染色してもよい。染色方法は特に制限がなく、公知の方法に従い、チーズ染色機、液流染色機、ドラム染色機、ビーム染色機、ジッガー、高圧ジッガーなどを好適に採用することができる。また、本発明では、染料濃度や染色温度に関して特に制限がなく、公知の方法を好適に採用できる。
【0035】
本発明の衣服は、少なくともファンとモーターとから構成される送風ファンユニットを具備していることが重要である。該送風ファンユニットによって衣服と身体との間に外気を取り込むことにより、衣服内に滞った空気を襟や袖などの開口部から排出することができるため、効率的に身体を冷却することが可能となる。
【0036】
本発明の衣服に具備される送風ファンユニットは、搭載するファンがファン軸方向の略垂直方向に送風する遠心ファンもしくはブロアファンであるであることが好ましい。遠心ファンもしくはブロアファンを用いることにより、身体に対して略平行方向に指向性を有した外気を送風することが容易となり、効率よく身体を冷却することが可能となる。さらに、身体に対して略平行方向に送風することにより、身体に対して略垂直方向に送風した場合と比較して衣服が膨らみにくくなるため、意匠性に優れた衣服となる。
【0037】
本発明の衣服に具備される送風ファンユニットは、ファンの外径が10~60mmであることが好ましい。ファンの外径を好ましくは10mm以上、より好ましくは15mm以上、さらに好ましくは20mm以上とすることにより、外気を衣服内に送り込むのに十分な風量を得ることができる。また、ファンの外径を好ましくは60mm以下、より好ましくは55mm以下、さらに好ましくは50mm以下とすることにより、ファン駆動時の騒音が小さくなるとともに、送風ファンユニット本体を小さくすることができるため着用時に違和感の小さい送風ファンユニットとなる。
【0038】
本発明の衣服に具備される送風ファンユニットは、ファン軸方向の厚さが3~20mmであることが好ましい。ファン軸方向の厚さを好ましくは3mm以上、より好ましくは4mm以上、さらに好ましくは5mm以上とすることにより、外気を衣服内に送り込むのに十分な風量を得ることができる。また、ファン軸方向の厚さを好ましくは20mm以下、より好ましくは17mm以下、さらに好ましくは15mm以下とすることにより、送風ユニット本体を薄くすることができるため、着用時の違和感が小さくなり、着用快適性に優れた衣服となる。
【0039】
本発明の衣服に具備される送風ファンユニットは、衣服や指先がファンに巻き込まれることを防止するため、吸気口と送風口を有したケースに収納されていることが好ましい。なお、ケースに収納される内蔵物は特に制限されないが、ファンとモーターのみを収納したものや、ファンとモーターに加え、バッテリー、電源スイッチなどを収納したものなどが挙げられる。なお、ケース内にバッテリーや電源スイッチが収納されない場合、両端部に接続端子を有する電源ケーブルなどの配線を介して、送風ファンユニットと接続されていることが好ましい。
【0040】
本発明の衣服に具備される送風ファンユニットは、重量が200g以下であることが好ましい。重量を好ましくは200g以下、より好ましくは100g以下、さらに好ましくは50g以下とすることにより、着用時に重量感を感じにくく、着用快適性に優れた衣服となる。
【0041】
本発明の衣服は、衣服内の風に指向性を付与するための流路形成部を衣服内側に具備してなることが重要である。衣服内の風に指向性を付与するための流路形成部とは、上記送風ファンユニットから衣服内に送風された風の流れを特定方向に規制する、通風流路を形成するための部分である。本発明者らは、衣服内の蒸れ感や膨らみを抑制し、効率的に身体を冷却できる衣服について鋭意検討を重ねた結果、一定の通気度を有する生地からなる衣服に送風ファンユニットを具備させることに加え、衣服内の風に指向性を付与するための流路形成部を衣服内側に設けることにより、オフィスや家庭などの様々な着用シーンにおいて好適に用いることが可能な衣服となることを見出した。通常、通気度の高い衣服に送風ファンユニットを具備させた場合、衣服の膨らみや衣服内の蒸れ感を抑制できるものの、冷却すべき身体の部位に風が届く前に衣服外側に風が抜け出てしまうため、着用快適性に優れた衣服を得ることが困難である。この課題に対し、本発明では上述の通り、衣服内の風に指向性を付与するための流路形成部を上記衣服内側に設け積極的に通風流路を形成することにより、冷却すべき身体の部位に風を誘導することが可能となり、意匠性や着用快適性を飛躍的に向上させることに成功したのである。
【0042】
以下、図1を用いて流路形成部について説明する。図1(a)は本発明の一実施形態を示す衣服における流路形成部の正面図であり、図1(b)はその側面図、図1(c)はその断面図である。
【0043】
図1に示す衣服においては、流路形成部としての凸状部1が一方向に延在している。すなわち、送風ファンユニット2の送風口幅と同程度の間隔に配置された凸状部1aおよび1bが衣服生地3に取り付けられており、かつ凸状部1aおよび1bは送風ファンユニット2の略送風方向に連続的に設けられている。なお、本発明において流路形成部は、衣服内の風に指向性を付与することができれば、必ずしも凸状の流路材で構成する必要はない。例えば衣服生地を断面袋状に縫製し、その内部にスタッフィング材を詰めることで凸状部を形成し流路形成部としてもよい。また、流路形成部を構成する凸状部の数は特に制限がないが、送風ファンユニットから送風される風を規制し通風流路を形成する観点から、衣服の大きさに応じて2本以上など複数本とすることが好ましい。
【0044】
本発明の衣服において一方向に延在する凸状部1は、長さLが30~500mmであることが重要である。本発明における凸状部の長さLとは、実施例記載の方法で測定される値を指す。凸状部の長さLを30mm以上、好ましくは50mm以上、より好ましくは70mm以上とすることにより、衣服内の空気や湿気を効率よく衣服外側に排出することができ、蒸れ感や暑熱感が抑制された衣服となる。また、凸状部の長さLを500mm以下、好ましくは450mm以下、より好ましくは400mmとすることにより、身体と凸状部の接触による違和感が少なく着用快適性に優れた衣服となる。
【0045】
本発明の衣服に形成される凸状部1は、厚さTが3~20mmであることが好ましい。本発明における凸状部の厚さTとは、実施例記載の方法で測定される値を指す。凸状部の厚さTを好ましくは3mm以上、より好ましくは5mm以上、さらに好ましくは7mm以上とすることにより、衣服内に通風流路を形成することができるため、衣服内の空気を効率よく置換することができ、着用快適性に優れた衣服となる。また、凸状部の厚さTを好ましくは20mm以下、より好ましくは17mm以下、さらに好ましくは15mm以下とすることにより、身体と凸状部の接触による違和感が少なく着用快適性に優れ、かつ外観上凸状部が浮き出ることなく意匠性にも優れた衣服となる。
【0046】
本発明の衣服に形成される凸状部1は、幅Wが5~30mmであることが好ましい、本発明における凸状部の幅Wとは、個々の凸状部の幅であって、実施例記載の方法で測定された値を指す。凸状部の幅Wを好ましくは5mm以上、より好ましくは8mm以上、さらに好ましくは10mm以上とすることにより、身体の動きによって凸状部が倒れることを抑制でき、通風流路の形状を保つことが可能となる。また、凸状部の幅Wを好ましくは30mm以下、より好ましくは25mm以下、さらに好ましくは20mm以下とすることにより、身体との接触面積が小さくなり、着用時の違和感を抑制することができる。
【0047】
また、本発明の衣服に形成される凸状部1は、複数本の凸状部から構成する場合、隣り合う凸状部の間隔を図1に示すように一定に保ってもよいが、位置によって変化させてもよい。図3に、複数本の凸状部の取り付け角度の概略説明図を示す。隣り合う凸状部1a、1bの間隔を位置によって変化させる場合、図3に示すように、送風口から離れるほど広くなるように取り付けることが好ましく、その取り付け角度A(隣り合う凸状部がなす角度)は20°以下であることが好ましい。凸状部の取り付け角度を好ましくは20°以下、より好ましくは10°以下、さらに好ましくは5°以下とすることにより、衣服内の風に指向性を付与できるため、効率よく身体を冷却することが可能となる。なお、隣り合う凸状部1a、1bが平行に取り付けられている場合の取り付け角度は0°であり、送風口から離れるほど隣り合う凸状部1a、1bの間隔が狭くなる場合の取り付け角度は負となる。よって、凸状部の取り付け角度の下限としては0°であることが好ましい。
【0048】
本発明の衣服に設けられる流路形成部は、繊維構造体からなることが好ましい。流路形成部が繊維構造体からなることにより、肌に接触する部分の違和感が少なく、かつ柔軟性を有するために体の動きに追従することができ、着用快適性に優れる衣服となる。なお、繊維構造体としては、ダブルラッシェルなどの通常の織編物だけでなく、不織布、組物、レース、ロープ、さらにはこれらの複合材料を用いても良い。
【0049】
本発明の衣服に具備される送風ファンユニットおよび流路形成部の位置は、衣服の形態や着用シーンに応じて適宜選択することができるが、例えば背中部や腋下部において下部から上部に空気が流れるように設けることが好ましい。人体において、皮膚水分量が多く動きが複雑でない背中部や、発汗量の多い腋下部を局所的に冷却および換気することは、効率的に身体を冷却する有効な手段であるとともに、人体にて温められた空気が衣服内下部から上部に移動する現象である煙突効果を助長する点からも好ましい。
【0050】
本発明の衣服の形態は、特に制限がなく、上衣、下衣のいずれであってもよく、上衣は長袖、短袖のいずれであってもよく、下衣は長裾、短裾のいずれであってもよい。本発明において、上衣とは上半身に着用する衣服であり、下衣とは下半身に着用する衣服を意味する。本発明における上衣の具体例として、インナーシャツ、タンクトップ、キャミソールなどの下着や、Tシャツ、ポロシャツ、カットソー、パジャマ、ブラウス、ブルゾン、作業着などの一般衣料、スポーツ用インナーシャツ、スポーツ用シャツなどのスポーツ衣料などが挙げられるが、これらに限定されない。また、本発明における下衣の具体例として、インナーパンツのような下着や、スラックス、パンツ、スカート、パジャマ、作業着などの一般衣料、スポーツ用パンツなどのスポーツ衣料などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0051】
本発明の衣服は、衣服内の蒸れ感や暑熱感が抑制されるため衣服内環境を快適に保つことができ、かつ着用快適性および意匠性にも優れるため、高温および/または高湿の環境や、オフィスや家庭など快適性が必要とされる様々な着用シーンにおいて、好適に用いることができる。
【実施例
【0052】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明する。なお、実施例中の各特性値は、以下の方法で求めた。
【0053】
A.通気度
通気度は、実施例によって得られた生地を試料とし、JIS L1096:2010(織物及び編物の生地試験方法) 8.26.1(A法)に準じて算出した。なお、測定は1試料につき5回行い、その平均値を通気度(cm/cm/s)とした。
【0054】
B.吸湿性繊維の吸湿率差(△MR)
衣服を構成する繊維を試料とし、始めに60℃で30分熱風乾燥した後、温度20℃、湿度65%RHに調湿されたエスペック製恒温恒湿機LHU-123内に24時間静置し、試料の重量W1(g)を測定した。その後、温度30℃、湿度90%RHに調湿された恒温恒湿機内に24時間静置し、試料の重量W2(g)を測定した。その後、105℃で2時間熱風乾燥し、絶乾後の試料の重量W3(g)を測定した。試料の重量W1、W3を用いて下記式により絶乾状態から温度20℃、湿度65%RH雰囲気下に24時間静置したときの吸湿率MR1(%)を算出し、試料の重量W2、W3を用いて下記式により絶乾状態から温度30℃、湿度90%RH雰囲気下に24時間静置したときの吸湿率MR2(%)を算出した後、下記式によって吸湿率差(△MR)を算出した。
MR1(%)={(W1-W3)/W3}×100
MR2(%)={(W2-W3)/W3}×100
吸湿率差(△MR)(%)=MR2-MR1
なお、測定は1試料につき5回行い、その平均値を吸湿率差(△MR)とした。
【0055】
C.凸状部の長さL、凸状部の幅W、凸状部の厚さT
衣服に形成された凸状部について、ノギスを用い、衣服生地にシワや弛みがない状態で長さL、幅Wおよび厚さTを測定した。凸状部の長さL(mm)、凸状部の幅W(mm)については、JIS L1096:2010(織物及び編物の生地試験方法) 8.2.1(A法)および8.2.2(A法)に記載の方法に従い、1水準につき3点を測定し、その平均値の小数点1桁を四捨五入して算出した。また、凸状部の厚さTは、JIS L1096:2010(織物及び編物の生地試験方法) 8.4(A法)に記載の厚さ測定法に従い、ニット用の圧力0.7kPaで、1水準につき3点を測定し、その平均値の小数点1桁を四捨五入して算出した。
【0056】
D.快適性(暑熱感および蒸れ感)
快適性の評価は、被験者20名に対し、実施例・比較例によって作製した衣服を着用させて実施した。被験者は、衣服を着用した状態で、冷房の効いていない夏の屋内環境を想定した温度30℃、湿度90%RHの室内において、椅子に1時間座って安静に過ごした後の衣服内部の状況について、評価した。「暑熱感や蒸れを全く感じない」を5点、「暑熱感や蒸れをほとんど感じない」を4点、「暑熱感や蒸れをわずかに感じる」を3点、「暑熱感や蒸れを感じる」を2点、「暑熱感や蒸れを強く感じる」を1点とし、被験者20名が各々付けた点数の平均点を算出し、平均点が3.0点以上を合格とした。
【0057】
E.着用感
着用感の評価は、被験者20名に対し、実施例・比較例によって作製した衣服を着用させて実施した。「流路形成部や送風ファンユニットによる違和感が全く無い」を5点、「流路形成部や送風ファンユニットによる違和感がほぼ無い」を4点、「流路形成部や送風ファンユニットによる違和感がわずかにある」を3点、「流路形成部や送風ファンユニットによる違和感がある」を2点、「流路形成部や送風ファンユニットによる違和感が強くある」を1点とし、被験者20名が各々付けた点数の平均点を算出し、平均点が3.0点以上を合格とした。
【0058】
F.意匠性
意匠性については、マネキンに実施例・比較例によって作製した衣服を着用させ、被験者20名が外観について評価した。「送風ファンユニットが目立たず、オフィスで問題なく着用可能」を5点、「送風ファンユニットがほとんど気にならず、オフィスでの着用に抵抗がない」を4点、「送風ファンユニットが気になるが、オフィスでの着用は可能」を3点、「送風ファンユニットが目立つため、オフィスでの着用に抵抗がある」を2点、「送風ファンユニットが目立つため、オフィスでの着用に強い抵抗がある」を1点とし、被験者20名が各々付けた点数の平均点を算出し、平均点が3.0点以上を合格とした。
【0059】
〔実施例1〕
図2は、実施例1における流路形成部および送風ファンユニットの位置を示す概略説明図である。なお、図2(a)は衣服背面部の概略図であり、図2(b)は背面部内側の概略図である。
【0060】
ΔMRが4.2%である吸湿性ナイロン繊維の66dtex-72fの仮撚糸を用い、シングル丸編機で鹿の子組織にて編成して通気度150cm/cm/sの生地を作製した後、縫製して着丈65cmの半袖ポロシャツを作製した。その後、後ろ身頃の、裾から250~280mm上の位置において、左右方向中央の位置となるよう縦30mm×横80mmの穴を開け、通気度550cm/cm/sのナイロン製メッシュ生地を取り付けて吸気口4とした。また、後ろ身頃の、襟から30~60mm下の位置において、左右中央の位置となるよう縦30mm×横100mmの穴を開け、通気度550cm/cm/sのナイロン製メッシュ生地を取り付けて排気口5とした。
【0061】
流路形成部として、表面組織および裏面組織がポリエステル繊維の167dtex-48fの仮撚糸から編成され、中層の接結組織がポリエステル系エラストマー繊維の440dtexモノフィラメントから編成された、厚さT10mm、長さL300mm、幅W15mmのダブルラッシェル生地を用いて凸状体を形成し、上記半袖ポロシャツの後ろ身頃の内側において、衣服の上下方向と凸状体の長さ方向が一致するように取り付けて、凸状部1とした。なお、凸状体は、その下端が吸気口4の上端と一致するように、そして、衣服の左右中心線で対称となるよう、幅方向に50mmの間隔で3本の凸状体を平行に取り付けた。その後、外径30mm、厚さ5mmの遠心ファンを有した送風ファンユニット2を、吹き出し口を衣服上部に向け、吸気口4と重なるよう衣服内側に20mmの間隔を開けて2個取り付けた。
【0062】
得られた衣服の送風ファンユニット2に外部電源をケーブルにて接続した後、送風流量0.03m/min/個に設定し、着用試験を実施した。得られた評価結果を表1に示す。
【0063】
〔実施例2、比較例1、2〕
衣服の通気度を、実施例2では320cm/cm/s、比較例1では40cm/cm/s、比較例2では550cm/cm/sとしたこと以外は実施例1と同じ方法で衣服を得た。得られた衣服の評価結果を表1に示す。
【0064】
〔比較例3〕
送風ファンユニットを取り付けないこと以外は実施例1と同じ方法で衣服を得た。得られた衣服の評価結果を表1に示す。
【0065】
〔実施例3、4〕
凸状部の長さLを、実施例3では100mm、実施例4では25mmとしたこと以外は実施例1と同じ方法で衣服を得た。得られた衣服の評価結果を表2に示す。
【0066】
〔実施例5〕
凸状部の厚さTを20mmとしたこと以外は実施例1と同じ方法で衣服を得た。得られた衣服の評価結果を表2に示す。
【0067】
〔比較例4〕
流路形成部を設けないこと以外は実施例1と同じ方法で衣服を得た。得られた衣服の評価結果を表2に示す。
【0068】
〔実施例6、7〕
流路形成部の素材として、実施例6では目付50g/mのポリエステル製立体賦形性不織布、実施例7では見かけ密度20kg/mのウレタンフォームを用いて凸状部を形成したこと以外は実施例1と同じ方法で衣服を得た。得られた衣服の評価結果を表3に示す。
【0069】
〔比較例5〕
10mm四方のポリエチレン製柱状体を、20mmの間隔で衣服の上下方向に13個配置し、それを衣服の幅方向に5列並べたこと以外は実施例1と同じ方法で衣服を得た。得られた衣服の評価結果を表3に示す。
【0070】
〔実施例8、9〕
衣服を構成する繊維として、実施例8ではΔMRが0.2%であるポリエステル製の66dtex-72fの仮撚糸、実施例9ではΔMRが3.1%である吸湿性ポリエステル製の66dtex-72fの仮撚糸を用いたこと以外は実施例1と同じ方法で衣服を得た。得られた衣服の評価結果を表4に示す。
【0071】
【表1】
【0072】
【表2】
【0073】
【表3】
【0074】
【表4】
【0075】
実施例1~9で得られた衣服は、快適性、着用感、意匠性のいずれの評価においても良好な結果を有していることから、オフィスや家庭などの着用シーンにおいても好適に用いられる衣服となった。
【0076】
一方、比較例1で得られた衣服は、用いられる生地の通気度が低いために衣服内の暑熱感および蒸れ感が抑制できず、快適性に劣る衣服となり、比較例2で得られた衣服は、用いられる生地の通気度が高いために風が衣服を通り抜けてしまい背中部に風が届かず、かつ衣服が薄く透けているため、快適性および意匠性に劣る衣服となった。比較例3で得られた衣服は、送風ファンユニットが取り付けられていないために衣服内の暑熱感および蒸れ感が抑制できず、快適性に劣る衣服となった。また比較例4で得られた衣服は流路形成部が設けられていないために冷却すべき身体の部位に風が当たらず、衣服内の暑熱感および蒸れ感が抑制できないため快適性に劣る衣服となった。比較例5で得られた衣服は、凸状部が多数あるものの連続形成されておらず、送風ファンユニットから送風された風が衣服内で拡散してしまい、衣服内の暑熱感および蒸れ感が抑制できないため快適性に劣る衣服となった。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明の衣服は、衣服内の蒸れ感や暑熱感が抑制されるため衣服内環境を快適に保つことができ、かつ着用快適性および意匠性にも優れるため、高温および/または高湿の環境や、オフィスや家庭など快適性が必要とされる様々な着用シーンにおいて好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0078】
1 :凸状部
1a:凸状部
1b:凸状部
1c:凸状部
2 :送風ファンユニット
3 :衣服生地
T :凸状部の厚さ
L :凸状部の長さ
W :凸状部の幅
4 :吸気口
5 :排気口
A :凸状部の取り付け角度
図1
図2
図3