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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/629 20060101AFI20240319BHJP
【FI】
H01R13/629
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021019451
(22)【出願日】2021-02-10
(65)【公開番号】P2022122318
(43)【公開日】2022-08-23
【審査請求日】2023-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】片岡 大輔
【審査官】山下 寿信
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-073203(JP,A)
【文献】特開平05-129048(JP,A)
【文献】特開2003-007399(JP,A)
【文献】特開2016-006754(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/629
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに嵌合する第1ハウジング及び第2ハウジングと、
前記第1ハウジングに装着される嵌合補助部材と、を備え、
前記第2ハウジングは、カムピンを有し、
前記嵌合補助部材は、入口から奥端にかけて延びるカム溝を有し、
前記カム溝は、前記第1ハウジングの嵌合方向に前記カムピンから押圧される嵌合用カム面と、前記嵌合用カム面の前記奥端側の端部に連なり前記嵌合用カム面の前記奥端側の端部よりも前記嵌合方向に凹んだ凹部と、を有し、
前記第1ハウジング及び前記第2ハウジングが互いに嵌合された嵌合状態において、前記カム溝の奥端側に位置する前記カムピンが前記凹部の内面に非接触で配置されるコネクタ。
【請求項2】
前記カムピンは、前記カムピンの軸方向から見て前記嵌合方向とは反対側に角張った形状をなす角部を有している請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記嵌合状態において、前記カムピンが前記嵌合用カム面に非接触で配置される請求項1又は請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記凹部は、前記嵌合用カム面の前記奥端側の端部に段差なく連なる傾斜面を有する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、固定側コネクタに対しレバー側コネクタを嵌合させて構成されるコネクタが開示されている。固定側コネクタはカムフォロアを有する。レバー側コネクタはレバーを有し、レバーはカム溝を有する。レバーが回動されると、カムフォロアがカム溝に沿って変位し、レバー側コネクタが固定側コネクタに嵌合される。この種のコネクタは、特許文献2から特許文献9にも開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-165030号公報
【文献】特開2001-52810号公報
【文献】特開2004-311255号公報
【文献】特開2006-351415号公報
【文献】特開2009-117045号公報
【文献】特開2017-188390号公報
【文献】特開2017-191704号公報
【文献】特開2018-195400号公報
【文献】特開2020-13666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
レバー側コネクタが固定側コネクタに嵌合した状態においては、カムフォロアがカム溝に常時接触した状態で維持される。このため、エンジンなどの振動がコネクタに伝達された場合に、カムフォロア(カムピン)に応力が加わり、その結果、カムフォロア(カムピン)の耐久性に支障をきたすおそれがある。
【0005】
そこで、本開示は、カムピンに加わる応力を低減することが可能な技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のコネクタは、互いに嵌合する第1ハウジング及び第2ハウジングと、前記第1ハウジングに装着される嵌合補助部材と、を備え、前記第2ハウジングは、カムピンを有し、前記嵌合補助部材は、入口から奥端にかけて延びるカム溝を有し、前記カム溝は、前記第1ハウジングの嵌合方向に前記カムピンから押圧される嵌合用カム面と、前記嵌合用カム面の前記奥端側の端部に連なり前記嵌合用カム面の前記奥端側の端部よりも前記嵌合方向に凹んだ凹部と、を有し、前記第1ハウジング及び前記第2ハウジングが互いに嵌合された嵌合状態において、前記カム溝の奥端側に位置する前記カムピンが前記凹部の内面に非接触で配置される、コネクタである。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、カムピンに加わる応力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態1のコネクタの斜視図である。
図2図2は、第1ハウジングから操作部材を外した状態の斜視図である。
図3図3は、嵌合補助部材の斜視図である。
図4図4は、嵌合補助部材を内側から見た図である。
図5図5は、操作部材の斜視図である。
図6図6は、嵌合を開始するときのコネクタの平断面図である。
図7図7は、嵌合状態のコネクタの平断面図である。
図8図8は、図7に示すカムピン周辺の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示のコネクタは、
(1)互いに嵌合する第1ハウジング及び第2ハウジングと、前記第1ハウジングに装着される嵌合補助部材と、を備え、前記第2ハウジングは、カムピンを有し、前記嵌合補助部材は、入口から奥端にかけて延びるカム溝を有し、前記カム溝は、前記第1ハウジングの嵌合方向に前記カムピンから押圧される嵌合用カム面と、前記嵌合用カム面の前記奥端側の端部に連なり前記嵌合用カム面の前記奥端側の端部よりも前記嵌合方向に凹んだ凹部と、を有し、前記第1ハウジング及び前記第2ハウジングが互いに嵌合された嵌合状態において、前記カム溝の奥端側に位置する前記カムピンが前記凹部の内面に非接触で配置される。
【0010】
このコネクタは、嵌合補助部材を備えている。嵌合補助部材のカム溝は、第1ハウジングの嵌合方向にカムピンから押圧される嵌合用カム面を有している。このため、嵌合補助部材によって第1ハウジングを第2ハウジングに嵌合させることができる。更に、嵌合補助部材のカム溝は、嵌合用カム面の奥端側の端部に連なり嵌合用カム面の奥端側の端部よりも嵌合方向に凹んだ凹部を有している。そして、嵌合状態において、カムピンが凹部の内面に非接触で配置される。このため、このコネクタは、外部から振動が伝達された場合であっても、カムピンがカム溝と接触しにくくなり、その結果、嵌合状態においてカムピンに加わる応力を低減することができる。
【0011】
(2)前記カムピンは、前記カムピンの軸方向から見て前記嵌合方向とは反対側に角張った形状をなす角部を有していることが好ましい。
【0012】
カムピンは角部を有するため、角部を有さない構成と比較して、強度が高くなる。更に、角部がカムピンにおける嵌合方向側とは反対側に設けられているため、角部が凹部の内面に接触してカムピンに応力が加わることを回避することができる。
【0013】
(3)前記嵌合状態において、前記カムピンが前記嵌合用カム面に非接触で配置されることが好ましい。
【0014】
このコネクタは、嵌合状態において、カムピンが凹部の内面だけでなく嵌合用カム面にも非接触で配置されるため、カムピンがカム溝から受ける応力をより一層低減することができる。
【0015】
(4)前記凹部は、前記嵌合用カム面の前記奥端側の端部に段差なく連なる傾斜面を有することが好ましい。
【0016】
このコネクタは、カムピンを凹部の内面により一層接触しにくくすることができる。
【0017】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0018】
<実施形態1>
実施形態1は、コネクタ10を例示する。コネクタ10は、図1に示すように、互いに嵌合する第1コネクタ11及び第2コネクタ12を備えている。なお、以下の説明では、前後方向については、図6から図8における下方を前方とし、上方を後方とする。左右方向については、図6から図8にあらわれる向きをそのまま左右方向とする。上下方向については、図6から図8の紙面と直交する方向を上下方向とする。また、前方が第1コネクタ11の「嵌合方向」に相当し、後方が第1コネクタ11の「離脱方向」に相当する。なお、図面においては、前方を「F」、後方を「B」、上方を「U」、下方を「D」、左方を「L」、右方を「R」と表記する。
【0019】
第1コネクタ11は、レバー式コネクタである。第1コネクタ11は、図1及び図2に示すように、第1ハウジング20と、一対の嵌合補助部材40と、操作部材50と、を備えている。
【0020】
第1ハウジング20は、合成樹脂製である。第1ハウジング20は、図2に示すように、左右方向に長いブロック状のハウジング本体21と、ハウジング本体21の後側に取り付けられる電線カバー22と、を有している。
【0021】
ハウジング本体21の内部には、図示しない複数の端子金具が収容される。端子金具に取り付けられる電線98(図7参照)は、ハウジング本体21の後面の開口から導出される。図2及び図7に示すように、ハウジング本体21には、左右方向に延びる上下一対のガイド凹部23が形成されている。ガイド凹部23の左右両端は、ハウジング本体21の左右両面に開口している。ガイド凹部23には、嵌合補助部材40が収容される。ハウジング本体21には、図7に示すように、上下一対の回動軸受け部24が形成されている(図7では一方のみ表示している)。一対の回動軸受け部24は、ハウジング本体21の右端側に配置されている。回動軸受け部24は、操作部材50を初期位置と嵌合位置との間で回動可能に支持する。
【0022】
電線カバー22は、図2に示すように、カバー本体28と、上下一対の第1係止部35と、上下一対の第2係止部36と、を有している。カバー本体28は、図7に示すように、ハウジング本体21に対しハウジング本体21の後面を覆うように取り付けられる。カバー本体28は、前面及び右面に開口した形態をなしており、ハウジング本体21の後面の開口から後方へ導出された電線98を右方に曲げた状態で保持する。上下一対の第1係止部35及び上下一対の第2係止部36は、図2に示すように、カバー本体28の左面に設けられている。上下一対の第1係止部35及び上下一対の第2係止部36は、嵌合位置に配置された操作部材50を係止する。
【0023】
一対の嵌合補助部材40は、合成樹脂製であり、本実施形態では第1ハウジング20に対して左右方向に摺動するスライダである。一対の嵌合補助部材40は、図3に示すように、それぞれ平面視形状が左右方向に長い長方形の板状をなしている。一対の嵌合補助部材40は、図7に示すように、板厚方向を上下方向に向けてガイド凹部23に挿入された状態で第1ハウジング20に取り付けられる。ガイド凹部23に挿入された嵌合補助部材40は、ガイド凹部23によって前後方向及び上下方向への変位が規制された状態で左右方向に移動し得る。一対の嵌合補助部材40は、それぞれ駆動軸受け部41及びカム溝42を有している。
【0024】
駆動軸受け部41は、図3及び図7に示すように、一対の嵌合補助部材40の外側面(嵌合補助部材40がガイド凹部23に挿入された状態で上下方向外方を向く面)に形成されている。駆動軸受け部41は、嵌合補助部材40の右端側に配置されている。駆動軸受け部41は、嵌合補助部材40の後面に開口している。駆動軸受け部41には、操作部材50の駆動軸55が収容される。嵌合補助部材40は、操作部材50の回動に伴って、駆動軸受け部41が駆動軸55に押圧されることにより、左右方向に移動する。
【0025】
カム溝42は、図3及び図4に示すように、一対の嵌合補助部材40の内側面(嵌合補助部材40がガイド凹部23に挿入された状態で上下方向内方を向く面)に凹み形成されている。カム溝42は、左右方向に並んで複数設けられている。カム溝42は、嵌合補助部材40の前面に開口した入口42Aから奥端42Bにかけて延びる形態をなしている。カム溝42は、前後方向において互いに対向する嵌合用カム面43及び離脱用カム面44と、凹部45と、奥端面46と、を有している。嵌合用カム面43は、カム溝42の前側に設けられ、離脱用カム面44は、カム溝42の後側に設けられる。嵌合用カム面43は、入口42Aの右端部から後方に向けて右方に傾斜した形態をなしている。凹部45は、嵌合用カム面43の奥端42B側の端部43Aに連なり嵌合用カム面43の奥端42B側の端部43Aよりも前方に凹んだ形態をなしている。具体的には、凹部45は、端部43Aを通る左右方向の仮想線(図8の「開口幅45W」を示す破線を参照)から前方に凹む形態をなしている。凹部45は、カム溝42の上下方向(深さ方向)の全体にわたって凹んでいる。凹部45は、嵌合用カム面43の奥端42B側の端部43Aに段差なく連なり奥端42B側に向けて前方に傾斜する第1傾斜面45Aと、第1傾斜面45Aの右端部(奥端42B側の端部)に屈曲して連なり奥端42B側に向けて後方に傾斜する第2傾斜面45Bと、を有している。第1傾斜面45Aは、「傾斜面」の一例に相当する。第2傾斜面45Bの右端部(奥端42B側の端部)は、奥端面46の前端部に連なる。凹部45の内面は、第1傾斜面45A及び第2傾斜面45Bによって構成される。
【0026】
離脱用カム面44は、図4に示すように、入口42Aの左端部から後方に向けて右方に傾斜した傾斜カム面44Aと、傾斜カム面44Aの右端部(傾斜カム面44Aの奥端42B側の端部)から奥端42B側に延びる平坦な平坦カム面44Bと、を有している。平坦カム面44Bは、凹部45と前後方向に対向して配置される。平坦カム面44Bの右端部(平坦カム面44Bの奥端42B側の端部)は、奥端面46の後端部に直交して連なる。カム溝42は、平坦カム面44Bと奥端面46とで構成される隅部47を有している。平坦カム面44Bは、左右方向に沿って配置され、奥端面46は、上下方向に沿って配置される。
【0027】
操作部材50は、合成樹脂製である。操作部材50は、第1コネクタ11を第2コネクタ12に嵌合させるときに作業者に摘まれて操作される部材であり、本実施形態ではレバーである。操作部材50は、図5に示すように、全体として枠状をなしている。具体的には、操作部材50は、上下一対のアーム部51と、一対のアーム部51の基端側(後述する回動軸54側)同士を連結する第1連結部52と、一対のアーム部51の先端側(作業者に摘まれる側)同士を連結する第2連結部53と、を有している。アーム部51、第1連結部52及び第2連結部53は、それぞれ板状をなしている。
【0028】
操作部材50は、図5及び図7に示すように、上下一対の回動軸54と、上下一対の駆動軸55と、を有している。一対の回動軸54及び一対の駆動軸55は、それぞれ操作部材50の基端側において、上下方向に軸線を向けて配置される。一対の回動軸54及び一対の駆動軸55は、それぞれ一対のアーム部51の内側面から上下方向内方に向けて突出した形態をなしている。一対の駆動軸55は、一対の回動軸54よりも操作部材50の先端側に配置される。
【0029】
操作部材50は、図5に示すように、上下一対の第1係止受け部62と、上下一対の第2係止受け部63と、を有している。一対の第1係止受け部62及び一対の第2係止受け部63は、第2連結部53の内側面に形成されている。第1係止受け部62は、第1ハウジング20の第1係止部35に係止される。これにより、嵌合位置に配置された操作部材50の初期位置側への変位が規制される。第2係止受け部63は、第1ハウジング20の第2係止部36に係止される。これにより、嵌合位置に配置された操作部材50の初期位置側とは反対側への変位が規制される。
【0030】
第2コネクタ12は、合成樹脂製の第2ハウジング90を有している。第2ハウジング90には、図示しない雄型の端子金具が取り付けられる。第2ハウジング90は、図6及び図7に示すように、上下方向外方に突出したカムピン91を有している。カムピン91は、図8に示すように、カムピン91の軸方向(上方向)から見て角張った角部92を有している。カムピン91は、カムピン91の軸方向から見た場合に、角部92を除いて、円弧状をなしている。角部92は、カムピン91の後側に設けられており、円柱状の本体部分から右斜め後方に突出した形態をなしている。具体的には、カムピン91は、外周面に、左右方向に延びる第1面93と、第1面93の右端部に連なり前後方向に延びる第2面94と、第2面94の前端部から第1面93の左端部にかけて円弧状に延びる第3面95と、を有している。そして、第1面93及び第2面94が角部92を直角に区画している。カムピン91の左右方向の幅寸法は、凹部45の左右方向の開口幅45Wよりも大きい。
【0031】
次の説明は、コネクタ10の作用及び効果に関する。
第1コネクタ11は、次のように組み付けられる。まず、一対の嵌合補助部材40がハウジング本体21に取り付けられる。そして、操作部材50が、ハウジング本体21の後方から取り付けられる。その後、図示しない端子金具が、ハウジング本体21内に挿入され、電線カバー22が、ハウジング本体21に組付けられる。以上により、第1コネクタ11の組付けが完了する。
【0032】
第1ハウジング20を第2ハウジング90に嵌合する際、図6に示すように、操作部材50が初期位置に配置される。初期位置では、アーム部51の先端側が電線カバー22よりも後方に配置される。操作部材50の回動軸54は、ハウジング本体21の回動軸受け部24に嵌合され、操作部材50の駆動軸55は、嵌合補助部材40の駆動軸受け部41に嵌合される。また、駆動軸55は、回動軸54よりも後方且つ右方に配置される。そして、第1ハウジング20の前方から第2ハウジング90が浅く嵌合され、第2ハウジング90のカムピン91がカム溝42の入口42Aに配置される。この状態から、操作部材50が回動軸54を中心として嵌合位置側へ回動されると、嵌合補助部材40が操作部材50に押されて左方に移動し、カムピン91が嵌合用カム面43に沿って奥端42B側に摺動する。これにより、嵌合用カム面43がカムピン91から前方に押圧され、第1ハウジング20と第2ハウジング90との嵌合が進む。第1ハウジング20と第2ハウジング90との嵌合が進む過程の終盤で、カムピン91は、嵌合用カム面43の奥端42B側の端部43Aを越える。
【0033】
第1ハウジング20及び第2ハウジング90が互いに嵌合された嵌合状態においては、図8に示すように、カムピン91は、凹部45の内面(具体的には、第1傾斜面45A及び第2傾斜面45B)に非接触で配置される。また、カムピン91は、前端部が凹部45内に進入した状態で配置される。また、カムピン91の角部92は、カム溝42の隅部47と対向して配置される。具体的には、角部92の第1面93が、平坦カム面44Bと非接触で前後方向に対向し、角部92の第2面94が、カム溝42の奥端面46と近接又は接触した状態で左右方向に対向する。
【0034】
操作部材50が初期位置側に回動すると、嵌合補助部材40が右方に移動し、カムピン91が離脱用カム面44に沿って入口42A側に摺動する。これにより、離脱用カム面44にカムピン91が摺動し、第1ハウジング20が第2ハウジング90から離脱する。
【0035】
以上のように、このコネクタ10は、嵌合補助部材40を備えている。そして、嵌合補助部材40のカム溝42は、第1ハウジング20の前方にカムピン91から押圧される嵌合用カム面43を有している。このため、嵌合補助部材40によって第1ハウジング20を第2ハウジング90に嵌合させることができる。更に、嵌合補助部材40のカム溝42は、嵌合用カム面43の奥端42B側の端部43Aに連なり嵌合用カム面43の奥端42B側の端部43Aよりも前方に凹んだ凹部45を有している。そして、嵌合状態において、カムピン91が凹部45の内面に非接触で配置される。このため、このコネクタ10は、外部から振動が伝達された場合であっても、カムピン91がカム溝42と接触しにくくなり、その結果、嵌合状態においてカムピン91に加わる応力を低減することができる。
【0036】
更に、カムピン91は角部92を有するため、角部92を有さない構成と比較して、強度が高くなる。更に、角部92がカムピン91の後側に設けられているため、角部92が凹部45の内面に接触してカムピン91に応力が加わることを回避することができる。
【0037】
更に、このコネクタ10は、嵌合状態において、カムピン91が凹部45の内面だけでなく嵌合用カム面43にも非接触で配置されるため、カムピン91がカム溝42から受ける応力をより一層低減することができる。
【0038】
更に、このコネクタ10は、凹部45に第1傾斜面45Aが設けられているため、カムピン91を凹部45の内面により一層接触しにくくすることができる。
【0039】
[本開示の他の実施形態]
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えるべきである。
(1)上記実施形態1では、嵌合状態において、カムピンが凹部内に進入した状態で配置される構成としたが、カムピンが凹部の内面に非接触であればよく、凹部内に進入しない構成としてもよい。
(2)上記実施形態1では、嵌合補助部材は、操作部材を介して第1ハウジングに対して左右方向に移動可能とされていたが、操作部材を要さないスライド動作によって第1コネクタ及び第2コネクタを嵌合離脱させるスライド式レバーであってもよいし、嵌合補助部材自身が操作部材のように第1ハウジングに回動可能に支持され、回動動作によって第1コネクタ及び第2コネクタを嵌合離脱させるいわゆる回動式レバーであってもよい。
【符号の説明】
【0040】
10…コネクタ
11…第1コネクタ
12…第2コネクタ
20…第1ハウジング
21…ハウジング本体
22…電線カバー
23…ガイド凹部
24…回動軸受け部
28…カバー本体
35…第1係止部
36…第2係止部
40…嵌合補助部材
41…駆動軸受け部
42…カム溝
42A…カム溝の入口
42B…カム溝の奥端
43…嵌合用カム面
43A…嵌合用カム面の奥端側の端部
44…離脱用カム面
44A…傾斜カム面
44B…平坦カム面
45…凹部
45A…第1傾斜面(傾斜面)
45B…第2傾斜面
45W…凹部の左右方向の開口幅
46…奥端面
47…隅部
50…操作部材
51…アーム部
52…第1連結部
53…第2連結部
54…回動軸
55…駆動軸
62…第1係止受け部
63…第2係止受け部
90…第2ハウジング
91…カムピン
92…角部
93…第1面
94…第2面
95…第3面
98…電線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8