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特許7456435量子ドット色変換層における色域性能及び効率の増大
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】量子ドット色変換層における色域性能及び効率の増大
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1335 20060101AFI20240319BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20240319BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
G02F1/1335 505
G02F1/13357
G09F9/30 349B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021509992
(86)(22)【出願日】2019-08-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-16
(86)【国際出願番号】 US2019048455
(87)【国際公開番号】W WO2020047025
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2022-08-26
(31)【優先権主張番号】62/725,689
(32)【優先日】2018-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/549,276
(32)【優先日】2019-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000186762
【氏名又は名称】昭栄化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116713
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 正己
(74)【代理人】
【識別番号】100179844
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 芳國
(72)【発明者】
【氏名】リー,アーネスト シー.
(72)【発明者】
【氏名】ジェン-ラ プラント,イラン
【審査官】鈴木 俊光
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-310303(JP,A)
【文献】特開2017-167344(JP,A)
【文献】特開2004-163656(JP,A)
【文献】国際公開第2017/210821(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0033823(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0120647(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1335
G02F 1/13357
G09F 9/30 - 9/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示デバイスであって、
電磁(EM)スペクトルの第1の波長領域の一次光を発するように構成された光源を備えたバックライトユニットと、
ピクセルを含む液晶ディスプレイ(LCD)モジュールと、
を備え、
前記ピクセルはサブピクセルを有し、
前記サブピクセルは、
ルミネッセントナノ構造体の層であって、前記一次光を吸収し、前記第1の波長領域と異なる前記EMスペクトルの第2の波長領域の第2の光を発するように構成されたルミネッセントナノ構造の層と、
前記ルミネッセントナノ構造体の層を透過した前記一次光を吸収し、前記EMスペクトルの前記第2の波長領域の第3の光を発するように構成された蛍光材料の層と、
を備え、
前記LCDモジュールは、第2のサブピクセルを更に備え、
前記第2のサブピクセルは、
前記第1の波長領域及び前記第2の波長領域と異なる前記EMスペクトルの第3の波長領域の第4の光を発するように構成されたルミネッセントナノ構造体の第2の層と、
前記ルミネッセントナノ構造体の第2の層を透過した前記一次光を吸収し、前記EMスペクトルの前記第3の波長領域の第5の光を発するように構成された蛍光材料の第2の層と、
を備え、
前記ルミネッセントナノ構造体の層は、量子ドット(QD)の層を含み、かつ、可視緑色光または可視赤色光を発するように構成され、
前記蛍光材料の層は10μm未満の厚さを有する、
表示デバイス。
【請求項2】
前記蛍光材料の層は染料を含む、請求項1に記載の表示デバイス。
【請求項3】
前記蛍光材料の層は、前記ルミネッセントナノ構造体の層に直接配置される、請求項1または2に記載の表示デバイス。
【請求項4】
前記LCDモジュールは、前記EMスペクトルの前記第1の波長領域の第6の光を発するように構成された第3のサブピクセルを更に備え、前記第6の光は可視青色光である、請求項1~の何れか1項に記載の表示デバイス。
【請求項5】
ルミネッセントデバイスであって、
電磁(EM)スペクトルの第1の波長領域の一次光を発するように構成された光源と、
前記一次光を吸収し、前記第1の波長領域と異なる前記EMスペクトルの第2の波長領域の第2の光を発するように構成されたルミネッセントナノ構造を含む第1の薄膜と、
前記第1の薄膜に配置され、前記第1の薄膜を透過した前記一次光を吸収し、前記EMスペクトルの前記第2の波長領域の第3の光を発するように構成された蛍光材料を含む第2の薄膜と、
を備え、
前記一次光を吸収し、前記第1の波長領域及び前記第2の波長領域と異なる前記EMスペクトルの第3の波長領域の第4の光を発するように構成されたルミネッセントナノ構造体を含む第3の薄膜と、
前記第3の薄膜に配置され、前記第3の薄膜を透過した前記一次光を吸収し、前記EMスペクトルの前記第3の波長領域の第5の光を発するように構成された蛍光材料を含む第4の薄膜と、
を更に備え、
前記ルミネッセントナノ構造体は、量子ドット(QD)を含み、かつ、可視緑色光または可視赤色光を発するように構成され、
前記第2の薄膜は10μm未満の厚さを有する、
ルミネッセントデバイス。
【請求項6】
前記第2の薄膜における前記蛍光材料は染料を含む、請求項に記載のルミネッセントデバイス。
【請求項7】
ピクセルのアレイを含む表示デバイスであって、前記ピクセルのアレイのピクセルはサブピクセルを含み、
前記サブピクセルは、
ルミネッセントナノ構造体の層であって、電磁(EM)スペクトルの第1の波長領域の一次光を吸収し、前記第1の波長領域と異なる前記EMスペクトルの第2の波長領域の第2の光を発するように構成されたルミネッセントナノ構造の層と、
前記ルミネッセントナノ構造体の層を透過した前記一次光を吸収し、前記EMスペクトルの前記第2の波長領域の第3の光を発するように構成された蛍光材料の層と、
を備え、
前記ピクセルのアレイのピクセルは、第2のサブピクセルを更に備え、
前記第2のサブピクセルは、
前記第1の波長領域及び前記第2の波長領域と異なる前記EMスペクトルの第3の波長領域の第4の光を発するように構成されたルミネッセントナノ構造体の第2の層と、
前記ルミネッセントナノ構造体の第2の層を透過した前記一次光を吸収し、前記EMスペクトルの前記第3の波長領域の第5の光を発するように構成された蛍光材料の第2の層と、
を備え、
前記ルミネッセントナノ構造体は量子ドット(QD)を含み、かつ、可視緑色光または可視赤色光を発するように構成され、
前記蛍光材料の層は10μm未満の厚さを有する、
表示デバイス。
【請求項8】
前記蛍光材料の層は染料を含む、請求項に記載の表示デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
分野
[0001] 本発明は、量子ドット(QD)等のルミネッセントナノ構造体を有する蛍光体薄膜を含む表示デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
背景
[0002] 量子ドット(QD)等のルミネッセントナノ構造体(NS)は、狭い線幅を有する単一のスペクトルピークで発光し、高飽和色を生み出す能力を有する蛍光体の一種を表す。NSのサイズに基づいて放射波長を調整することが可能である。NSは、表示デバイス(例えば、液晶ディスプレイ(LCD)デバイス、有機発光ダイオード(OLED)表示デバイス)のカラーダウンコンバージョン層(color down conversion layer)として使用し得るNS薄膜の製造に使用される。発光型ディスプレイでのカラーダウンコンバージョン層の使用は、光がカラーフィルタを通過する前、白色光、青色光、又は紫外線(UV)光をより赤みのある光、緑みのある光、又は両方にダウンコンバートすることによりシステム効率を改善することができる。カラーダウンコンバージョン層のこの使用は、濾波に起因した光エネルギーの損失を低減し得、又は追加の濾波の必要性さえ全体的になくし得る。
【0003】
[0003] 表示デバイスの画質の定義に使用されるファクタの1つは、Rec.2020、Rec.709、DCI P3、NTSC等の標準RGB色空間又は表示デバイスにより提供されるsRGBの色域カバレッジである。図1は表示デバイスの色域カバレッジの定義を示す。図1では、1976CIE色座標101a~101c間に形成されるエリア101は、1976CIEu’-v’色度図100における標準RGB色空間(例えばRec.2020)の色域を表す。1976CIE色座標102a~102c間に形成されるエリア102は、1976CIEu’-v’色度図100における表示デバイスの色域を表す。表示デバイスの色域カバレッジは、エリア101に対するエリア101と102との間の重複エリア103の比率として定義し得る。表示デバイスの色域カバレッジが広いほど、表示デバイスによりレンダリングされる、人間の目で識別可能な色(すなわち可視スペクトル)の範囲は広くなり、したがって、画質に寄与するその他のファクタが最適化されると仮定して、表示デバイスの画質を改善する。
【0004】
[0004] 表示デバイスの色域は、個々のサブピクセルの色座標により定義し得る。カラーダウンコンバージョン層を利用した表示デバイスでは、通常、単一のカラー光源がある。青サブピクセルはこのソース光からなり、一方、緑及び赤サブピクセルは、このソース(又は励起)光をそれぞれ緑色光及び赤色光に変換するカラーダウンコンバージョン層を有する。
【0005】
[0005] カラーダウンコンバージョン層を使用した表示デバイスの色域カバレッジを最適化するために、色変換層を透過する励起光の量は、全体的にはなくせないとしても最小化する必要があり得る。これは、NS薄膜での光学密度が限られていることに起因して、そのような層を使用した薄い(約3~10μm)層では困難であり得る。フィルタを追加して、緑色及び/又は赤色変換材料を透過したいかなる残留青色光も吸収することができるが、フィルタは緑色光及び/又は赤色光を完全な効率では透過しないため、光学効率は下がる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
概要
[0006] したがって、色域カバレッジが改善され、赤色光及び緑色光を生成するダウンコンバージョン層の光学効率が改善された表示デバイスが必要とされる。本明細書における実施形態は、ダウンコンバージョン層を通して漏れる残留青色光を吸収するとともに、ダウンコンバージョン層によって発せられる光と同様の有用な波長の光を発することができる染料の使用を記載する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[0007] 実施形態によれば、表示デバイスは、液晶ディスプレイ(LCD)モジュールと、電磁(EM)スペクトルの第1の波長領域の一次光を発するように設計されたバックライトユニットとを含む。LCDモジュールは、ルミネッセントナノ構造体の層と、蛍光材料の層とを含むサブピクセルを有する少なくとも1つのピクセルを有するピクセルのアレイを含む。ルミネッセントナノ構造体の層は一次光を吸収し、第1の波長領域と異なるEMスペクトルの第2の波長領域の第2の光を発する。蛍光材料の層は、ルミネッセントナノ構造体の層を透過した一次光を吸収し、EMスペクトルの第2の波長領域の第3の光を発する。
【0008】
[0008] 実施形態によれば、ルミネッセントデバイスは、光源と、ルミネッセントナノ構造体を含む第1の薄膜と、蛍光材料を含む第2の薄膜とを含む。光源は、電磁(EM)スペクトルの第1の波長領域の一次光を発するように設計される。第1の薄膜は、一次光を吸収し、第1の波長領域と異なるEMスペクトルの第2の波長領域の第2の光を発するように設計される。第2の薄膜は、第1の薄膜を透過した一次光を吸収し、EMスペクトルの第2の波長領域の第3の光を発するように設計される。
【0009】
[0009] 実施形態によれば、表示デバイスはピクセルのアレイを含む。アレイのピクセルは、ルミネッセントナノ構造体の層と、蛍光材料の層とを含むサブピクセルを含む。ルミネッセントナノ構造体の層は一次光を吸収し、第1の波長領域と異なるEMスペクトルの第2の波長領域の第2の光を発する。蛍光材料の層は、ルミネッセントナノ構造体の層を透過した一次光を吸収し、EMスペクトルの第2の波長領域の第3の光を発する。
【0010】
[0010] 本発明の更なる特徴及び利点並びに本発明の種々の実施形態の構造及び動作について添付図面を参照して以下に詳細に説明する。なお、本発明は本明細書に記載される特定の実施形態に限定されない。そのような実施形態は例示目的のみで本明細書に提示される。本明細書に含まれる教示に基づいて、追加の実施形態が関連する技術分野の当業者に明らかになろう。
【0011】
図面の簡単な説明
[0011] 本明細書に組み込まれ本明細書の一部をなす添付図面は、本実施形態を示し、説明と一緒に本実施形態の原理を説明し、関連する技術分野の当業者が本実施形態を作製し使用できるようにするよう更に機能する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】[0012]Rec.2020色域及び表示デバイスの色域のCIE1976u’v’色度図である。
図2】[0013]実施形態による液晶ディスプレイ(LCD)デバイスの分解組立断面図である。
図3】[0013]実施形態による液晶ディスプレイ(LCD)デバイスの分解組立断面図である。
図4】[0014]実施形態による、蛍光材料の追加が全体ピーク放射に対して有する効果を示すグラフである。
図5】[0015]実施形態による、蛍光材料の追加が全体光学効率に対して有する効果を示すグラフである。
図6】[0016]実施形態によるナノ構造体の断面図の概略である。
図7】[0017]実施形態によるナノ構造体薄膜の概略である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[0018] 本発明の特徴及び利点は、同様の参照文字が全体を通して対応する要素を識別する図面と併せて解釈した場合、以下に記載される詳細な説明からより明らかになる。図面中、同様の参照番号は一般に、同一、機能的に類似、且つ/又は構造的に類似する要素を示す。要素が最初に現れた図面は対応する参照番号の左端の桁で示される。別段のことが示される場合を除き、本開示全体を通して提供される図面は一定の縮尺の図面と解釈されるべきではない。
【0014】
発明の詳細な説明
[0019] 特定の構成及び配置が考察され得るが、これが例示的な目的のみで行われることを理解されたい。本発明の趣旨及び範囲から逸脱せずに他の構成及び配置が使用可能であることを関連する技術分野の当業者は認識する。本発明が、本明細書において特に言及された用途を超えた多種多様な他の用途で利用することもできることが関連する技術分野の当業者には明らかである。本明細書に示され説明される特定の実装が例であり、その他の点では本願の範囲の限定を決して意図しないことを理解されたい。
【0015】
[0020] なお、本明細書における「一実施形態」、「実施形態」、「実施形態例」等の言及は、記載された実施形態が特定の特徴、構造、又は特性を含み得ることを示すが、あらゆる実施形態が必ずしもその特定の特徴、構造、又は特性を含む必要はない。さらに、そのような句は必ずしも同じ実施形態を指すわけではない。さらに、特定の特徴、構造、又は特性が実施形態に関連して説明される場合、明示的に記載されるか否かに関係なく、そのような特徴、構造、又は特性が他の実施形態と併せて実施されることは当業者の知識内である。
【0016】
[0021] 量、材料比率、材料の物理的特性、及び/又は使用を示すこの説明における全ての数字は、別段のことが明記される場合を除き、「約」という言葉で修飾されるものとして理解されたい。
【0017】
[0022] 実施形態では、「表示デバイス」という用語は、表示画面へのデータの視覚的表現を可能にする要素の構成を指す。適した表示画面には、種々の平坦な、湾曲した、又は他の形状の画面、薄膜、シート、又は情報を視覚的にユーザに表示する他の構造体があり得る。本明細書に記載される表示デバイスは、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)、テレビジョン、コンピュータ、携帯電話、スマートフォン、個人情報端末(PDA)、ゲームデバイス、電子リーディングデバイス、デジタルカメラ、タブレット、ウェアラブルデバイス、及びカーナビゲーションシステム等を包含するディスプレイシステムに含まれ得る。
【0018】
[0023] 「約」という用語は、本明細書で使用される場合、所与の数量の値がその値の±10%変動することを示す。例えば、「約100nm」は90nm~110nm(90nm及び110nmを含む)のサイズ範囲を包含する。
【0019】
[0024] 「実質的に」という用語は、本明細書で使用される場合、所与の数量の値がその値の±1%~±5%変動することを示す。
【0020】
[0025] 実施形態では、「反応混合物を形成する」又は「混合物を形成する」という用語は、構成要素が互いに反応し、第3の構成要素を形成するのに適した条件下で少なくとも2つの構成要素を容器内で組み合わせることを指す。
【0021】
[0026] 実施形態では、「導光板」、「導光体」、及び「導光パネル」という用語は同義で使用され、電磁放射線(光)をある位置から別の位置に導くのに適した光学構成要素を指す。
【0022】
[0027] 実施形態では、「光学的に結合される」という用語は、光がある構成要素から別の構成要素に実質的な干渉なく透過することが可能なように構成要素が位置することを意味する。
【0023】
[0028] 「ナノ構造体」という用語は、本明細書で使用される場合、約500nm未満の寸法を有する少なくとも1つの領域又は特性寸法を有する構造体を指す。幾つかの実施形態では、ナノ構造体は約200nm未満、約100nm未満、約50nm未満、約20nm未満、又は約10nm未満の寸法を有する。通常、領域又は特性寸法は構造体の最小軸に沿う。そのような構造体の例には、ナノワイヤ、ナノロッド、ナノチューブ、分岐ナノ構造体、ナノテトラポッド、トリポッド、バイポッド、ナノ結晶、ナノドット、QD、及びナノ粒子等がある。ナノ構造体は、例えば、実質的に結晶質、実質的に単結晶、多結晶、非晶性、又はそれらの組合せであることができる。幾つかの実施形態では、ナノ構造体の3つの次元の各々は、約500nm未満、約200nm未満、約100nm未満、約50nm未満、約20nm未満、又は約10nm未満の寸法を有する。
【0024】
[0029] 「QD」又は「ナノ結晶」という用語は、本明細書で使用される場合、実質的に単結晶のナノ構造体を指す。ナノ結晶は約500nm未満であり、約1nm未満のオーダまで下がる寸法を有する少なくとも1つの領域又は特性寸法を有する。「ナノ結晶」、「QD」、「ナノドット」、及び「ドット」という用語は、同様の構造体を表すものとして当業者により容易に理解され、本明細書では同義で使用される。本発明は、多結晶又は非晶性ナノ結晶の使用も包含する。
【0025】
[0030] 「ヘテロ構造」という用語は、ナノ構造体を参照して使用される場合、少なくとも2つの異なる且つ/又は区別可能な材料タイプを特徴とするナノ構造体を指す。通常、ナノ構造体のある領域は第1の材料タイプを含み、一方、ナノ構造体の第2の領域は第2の材料タイプを含む。特定の実施形態では、ナノ構造体は第1の材料のコアと、第2の(又は第3等の)材料の少なくとも1つのシェルとを備え、異なる材料タイプは例えば、ナノワイヤの長軸、分岐ナノワイヤのアームの長軸、又はナノ結晶の中心の回りで径方向に分布する。シェルは、隣接材料を完全に覆うことができるが、シェルと見なされるために又はナノ構造体がヘテロ構造と見なされるために隣接材料を完全に覆う必要はなく、例えば、第2の材料の小さな島がある状態で覆われたある材料のコアを特徴とするナノ結晶はヘテロ構造である。他の実施形態では、異なる材料タイプはナノ構造体内の異なる場所に、例えばナノワイヤの主(長)軸に沿って又は分岐ナノワイヤの長軸に沿って分布する。ヘテロ構造内の異なる領域は全体的に異なる材料を含むことができ、又は異なる領域は異なるドーパント又は異なる濃度の同じドーパントを有する基板(例えばシリコン)を含むことができる。
【0026】
[0031] 本明細書で使用される場合、ナノ構造体の「直径」という用語は、ナノ構造体の第1の軸に垂直な断面の直径を指し、ここで、第1の軸は第2及び第3の軸と比べて最大長差を有する(第2及び第3の軸は、長さが互いに最も等しい2つの軸である)。第1の軸は必ずしもナノ構造体の最長軸である必要はなく、例えば、円盤形ナノ構造体の場合、断面は円盤の長手方向短軸に垂直な実質的に円形の断面である。断面が円形ではない場合、直径はその断面の長軸と短軸との平均である。ナノワイヤ等の長尺状又は高アスペクト比のナノ構造体では、直径はナノワイヤの長軸に直交する断面にわたり測定される。球形ナノ構造体では、直径は片側から球の中心を通って他方の側まで測定される。
【0027】
[0032] 「結晶質」又は「実質的に結晶質」という用語は、ナノ構造体に関して使用される場合、ナノ構造体が通常、構造体の1つ又は複数の寸法にわたり長範囲の規則性を示すことを指す。単結晶の規則性は結晶の境界を越えて延びることができないため、「長範囲の規則性」という用語が特定のナノ構造体の絶対サイズに依存することが当業者により理解される。この場合、「長範囲の規則性」は、ナノ構造体の寸法の少なくとも大部分にわたり実質的に規則性を有することを意味する。幾つかの場合、ナノ構造体は酸化物又は他の被膜を有することができ、又はコア及び少なくとも1つのシェルで構成することができる。そのような場合、酸化物、シェル、又は他の被膜がそのような規則性を示すことができるが、そのような規則性を示す必要がない(例えば、非晶性、多結晶、又は他であることができる)ことが理解される。そのような場合、「結晶質」、「実質的に結晶質」、「実質的に単結晶」、又は「単結晶」という言い回しはナノ構造体の中心コア(被膜層又はシェルを除く)を指す。「結晶質」又は「実質的に結晶質」という用語は、本明細書で使用される場合、構造体が実質的に長範囲の規則性を示す(例えば、ナノ構造体又はそのコアの少なくとも1つの軸の長さの少なくとも約80%にわたり規則的である)限り、種々の欠陥、積層欠陥、及び原子置換等を含む構造体も包含することが意図される。加えて、ナノ構造体のコアと外部との境界面、コアと隣接シェルとの境界面、又はシェルと第2の隣接シェルとの境界面が非結晶質領域を含み得、更には非晶性を含み得ることが理解される。これは、ナノ構造体が本明細書に定義される結晶質又は実質的に結晶質であることを妨げない。
【0028】
[0033] 「単結晶」という用語は、ナノ構造体に関して使用される場合、ナノ構造体が実質的に結晶質であり、実質的に単一の結晶を含むことを示す。コア及び1つ又は複数のシェルを含むナノ構造体ヘテロ構造に関して使用される場合、「単結晶」は、コアが実質的に結晶質であり、実質的に単一の結晶を含むことを示す。
【0029】
[0034] 「リガンド」という用語は、本明細書で使用される場合、例えば共有結合、イオン、ファンデルワールス、又はナノ構造体の表面との他の分子相互作用を通してナノ構造体の1つ又は複数の面と相互作用が可能である(弱い強いに関係なく)分子を指す。
【0030】
[0035] 「量子収率」(QY)という用語は、本明細書で使用される場合、例えばナノ構造体又はナノ構造体の群により発せられた光子と吸収された光子との比率を指す。当技術分野で既知のように、量子収率は通常、既知の量子収率値を有する特徴がはっきりした標準試料を使用した比較方法により特定される。
【0031】
[0036] 「一次放出ピーク波長」という用語は、本明細書で使用される場合、放射スペクトルが最高強度を示す波長を指す。
【0032】
[0037] 「半値全幅」(FWHM)という用語は、本明細書で使用される場合、スペクトル幅の尺度を指す。放射スペクトルの場合、FWHMはピーク強度値の半分における放射スペクトルの幅を指しうる。
【0033】
[0038] 本明細書で使用されるフェルスター半径という用語は、当技術分野ではフェルスター距離とも呼ばれる。
【0034】
[0039] 「ルミナンス」及び「輝度」という用語は本明細書では同義で使用され、光源又は照明された表面の単位面積当たりの光度の測光尺度を指す。
【0035】
[0040] 「鏡面リフレクタ」、「鏡面反射面」、及び「反射表面」という用語は、本明細書では、鏡面反射可能な要素、材料、及び/又は表面を指すのに使用される。
【0036】
[0041] 「鏡面反射」という用語は、本明細書では、入射光が表面に衝突する際の表面からの光(又は他の種類の波動)の鏡のような反射を指す。
【0037】
[0042] 「ナノ構造体(NS)薄膜」という用語は、本明細書では、ルミネッセントナノ構造体を有する薄膜を指すのに使用される。
【0038】
[0043] 「赤サブピクセル」という用語は、本明細書では、可視スペクトルの赤波長領域の一次放出ピーク波長を有する光を発するピクセルのエリアを指すのに使用される。幾つかの実施形態では、赤波長領域は約620nm~約750nmの範囲の波長を含み得る。
【0039】
[0044] 「緑サブピクセル」という用語は、本明細書では、可視スペクトルの緑波長領域の一次放出ピーク波長を有する光を発するピクセルのエリアを指すのに使用される。幾つかの実施形態では、緑波長領域は約495nm~約570nmの範囲の波長を含み得る。
【0040】
[0045] 「青サブピクセル」という用語は、本明細書では、可視スペクトルの青波長領域の一次放出ピーク波長を有する光を発するピクセルのエリアを指すのに使用される。幾つかの実施形態では、青波長領域は約435nm~約495nmの範囲の波長を含み得る。
【0041】
[0046] 「サブピクセルの放射面」という用語は、本明細書では、光が表示デバイスの表示画面に向かって放射されるサブピクセルの最上層の表面を指すのに使用される。
【0042】
[0047] 本明細書で引用される公開特許、特許出願、ウェブサイト、企業名、及び科学文献は、各々が特に個々に参照により援用されることが示されているかのような程度まで全体的に参照により本明細書に援用される。本明細書で引用された任意の引用文献と本明細書の特定の教示との任意の競合は、後者が優先されて解決されるものとする。同様に、用語又は句の分野で理解される定義と本明細書で具体的に教示される用語又は句の定義との任意の競合は、後者を優先して解決されるものとする。
【0043】
[0048] 本明細書で使用される技術用語及び科学用語は、別段のことが定義される場合を除き、本願が関連する技術分野の当業者により一般に理解される意味を有する。本明細書では当業者に既知の種々の方法論及び材料が参照される。
【0044】
概説
[0049] 本開示は、表示デバイスにおける所望の輝度の達成と所望の色域の達成との間の既存のトレードオフを改善又はなくすのに役立つナノ構造体ベースの表示デバイスの種々の実施形態を提供する。これらの種々の実施形態はまた、1つ又は複数のピクセルの所望の光出力を強化しながら、表示デバイスの同じ1つ又は複数のピクセルを通る不要な光の漏れを低減又は実質的になくすことにより、ナノ構造体ベースの表示デバイスの色域カバレッジ等のディスプレイ性能を改善するのにも役立つ。本明細書における特定の実施形態はLCDデバイスに関して説明されるが、これは限定を意図せず、本明細書で考察される構成要素が任意の照明デバイスで使用可能なことを当業者は認識する。
【0045】
液晶ディスプレイ(LCD)デバイスの実施形態の例
[0050] 図2は、実施形態によるLCD表示デバイス200の分解組立断面図の概略を示す。図2の表示デバイスの図が例示目的で示され、一定の縮尺で描かれていないことがあることを当業者は認識する。LCD表示デバイス200は、実施形態によれば、バックライトユニット(BLU)202及びLCDモジュール204を含むことができる。
【0046】
[0051] BLU202は、光学キャビティ212と、光学キャビティ212に結合された発光ダイオード(LED)のアレイ210(例えば、白色LED、青色LED、UV LED、又はそれらの組合せ)とを含むことができる。実施形態では、LED210は青色LED及びUV LEDのみを所与の比率で含む。光学キャビティ212は、上側203と、下側205と、側壁207と、上側203、下側205、及び側壁207により閉じ込められた閉容積とを含むことができる。LED210は、閉容積内で下側205の上面205aに結合することができる。LED210は、LCDモジュール204を通して処理され、続けてLCD表示デバイス200の表示画面230に送信され表示画面230にわたって分布し得る一次光(例えば、青色光、白色光、UV光、又は青色光とUV光との組合せ)を提供するように構成することができる。幾つかの実施形態では、LED210は、約440nm~約470nm又は約445nm~約455nmのピーク放出波長を有する光を発する青色LEDを含む。幾つかの実施形態では、約440nm~約700nmの範囲又は他の可能な光波長範囲の光を発する白色LEDを含む。幾つかの実施形態では、LED210は、420nm未満、約400nm~約410nm、又は約360nm~約370nmであるピーク放出波長を有する光を発するUV LEDを含む。実施形態では、LEDのアレイ210は、上面205aの面積にわたって広がるLEDの二次元アレイを含むことができ、面積は表示画面230の表面積に等しい値であることができる。
【0047】
[0052] 2つの側壁207が図2に示されているが、光学キャビティ212が種々の実施形態により任意の数の側壁207を含むことができることを当業者は理解することを留意されたい。例えば、光学キャビティ212は、立方体形を有することができ、側壁207と同様に4つの側壁を含み得る。光学キャビティ212は、立方体の形状又は他の直線辺形状に限定されない。光学キャビティ212は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱せずに、種々の実施形態によれば、限定ではなく円筒形、台形、球形、又は長円形等の任意のタイプの幾何学的形状であるように構成することができる。図2に示されるように、光学キャビティ212の矩形断面形は例示を目的としており、限定ではないことにも留意されたい。光学キャビティ212は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱せずに、種々の実施形態によれば、他の断面形(例えば、台形、長円形、菱形)を有することができる。
【0048】
[0053] 光学キャビティ212の上側203は、LED210からの光が、上側203の上面203aにわたり実質的に均一な輝度分布で上側203を通って光学キャビティ212から出ることができるような光学拡散及び透過層であるように構成することができる。実施形態では、上側203は、上側203から出る光輝度に実質的に均一な分布を提供するようにLED210に戦略的に配置される光学的に透明なエリア及び光学的に半透明のエリアを含むことができる。別の実施形態では、上側203は、上側203から出る光輝度に実質的に均一な分布を提供するように戦略的に配置される、直径サイズが様々な孔及び光学的に半透明なエリアを含むことができる。
【0049】
[0054] 下側205及び/又は側壁207は、鏡面反射性上面205a及び/又は鏡面反射側壁内面207aをそれぞれ有するように構成された1つ又は複数の材料(例えば、金属、非金属、及び/又は合金)から構築することができる。例えば、上面205a及び/又は側壁内面207aは、鏡のような反射性を有する鏡のような表面であることができる。幾つかの実施形態では、上面205a及び/又は側壁内面207aは完全な鏡面反射性を有してもよく、又は部分的に鏡面反射性及び部分的に散乱性を有してもよい。幾つかの他の実施形態では、上面205a及び/又は側壁内面207aは拡散リフレクタを含む。
【0050】
[0055] 代替の実施形態では、光学キャビティ212は、側壁内面207aに結合された鏡面リフレクタ209を含むことができる。鏡面リフレクタ209は、光学的に透明な接着剤を使用して側壁内面207aに結合することができる。光学的に透明な接着剤は、テープ、種々のグルー、シリコーン等のポリマー複合材料を含み得る。追加の光学的に透明な接着剤は、種々の例によれば、限定ではなく、ポリ(ビニルブチラール)、ポリ(ビニルアセテート)、エポキシ類、及びウレタン類;限定ではなく、ポリフェニルメチルシロキサン、ポリフェニルアルキルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン、ポリジアルキルシロキサン、フッ素化シリコーン、及びビニル水素化物置換シリコーンを含むシリコーン及びシリコーン誘導体;限定ではなく、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、及びメタクリル酸ラウリルを含むモノマーから形成されたアクリルポリマー及びコポリマー;スチレンベースのポリマー;並びにジビニルベンゼン等の二官能性モノマーと架橋されるポリマーを含む種々のポリマーを含み得る。
【0051】
[0056] 鏡面反射性上面205a、側壁内面207a、及び鏡面リフレクタ209は、LED210から下側205及び/又は側壁207を通しての光の吸収を実質的に最小にし、ひいては光学キャビティ212内のルミナンスの損失を実質的に最小にし、BLU202の光出力効率を上げることができる。
【0052】
[0057] 代替の実施形態では、BLU202は、光学キャビティ212とLCDモジュール204との間に置かれた1つ又は複数の輝度強化薄膜(BEF)(図示せず)を更に含むことができる。1つ又は複数のBEFは、反射及び/又は屈折薄膜、反射偏光子薄膜、光抽出特徴、光再循環特徴、プリズム薄膜、溝薄膜、溝付きプリズム薄膜、プリズム、ピッチ、溝、又は他の適した輝度強化特徴を有することができる。BEFの輝度強化特徴は、一次光の一部を光学キャビティ212に向かって反射し、それにより一次光の再循環を提供するように構成することができる。
【0053】
[0058] LCDモジュール204は、BLU202から受け取った光を処理して、表示画面230への送信及び表示画面230にわたる分布に望ましい特性を持たせるように構成することができる。幾つかの実施形態では、LCDモジュール204は、第1及び第2の偏光フィルタ214及び222等の1つ又は複数の偏光フィルタと、第1及び第2の光学透明基板216及び228等の1つ又は複数の光学透明基板と、第1の基板216上に2Dアレイで配置されるスイッチングデバイス218.1~218.6と、液晶(LC)溶液層220と、2Dアレイで配置されたピクセル224.1及び224.2等の複数のピクセルと、表示画面230とを含むことができる。
【0054】
[0059] 幾つかの実施形態では、ピクセル224.1はサブピクセル226.1~226.3を含むことができ、ピクセル224.2はサブピクセル226.4~226.6を含むことができる。幾つかの実施形態では、ピクセル224.1及び224.2の各々は3色であることができ、例えば赤サブピクセル226.1及び226.4、緑サブピクセル226.2及び226.5、並びに青サブピクセル226.3及び226.6をそれぞれ有することができる。
【0055】
[0060] 「赤サブピクセル」という用語は、本明細書では、可視スペクトルの赤波長領域に一次放出ピーク波長を有する光を発するピクセルのエリアを指すのに使用される。幾つかの実施形態では、赤波長領域は約620nm~約750nmの範囲の波長を含み得る。「緑サブピクセル」という用語は、本明細書では、可視スペクトルの緑波長領域に一次放出ピーク波長を有する光を発するピクセルのエリアを指すのに使用される。幾つかの実施形態では、緑波長領域は約495nm~約570nmの範囲の波長を含み得る。「青サブピクセル」という用語は、本明細書では、可視スペクトルの青波長領域に一次放出ピーク波長を有する光を発するピクセルのエリアを指すのに使用される。幾つかの実施形態では、青波長領域は約435nm~約495nmの範囲の波長を含み得る。
【0056】
[0061] 各ピクセル224.1及び224.2における赤、緑、及び青サブピクセル226.1~226.6の配置順は例示であり、限定ではない。ピクセル224.1及び224.2の各々における赤、緑、及び青サブピクセルは、互いに関して任意の順序で配置することができる。幾つかの実施形態では、ピクセル224.1及び/又は224.2は、赤、緑、又は青サブピクセル226.1~226.6の何れかを有する単色であることができる。図2に示されているピクセル及びスイッチングデバイスの数は例示であり、限定ではない。LCDモジュール204は、本開示の趣旨及び範囲から逸脱せずに、任意の数のスイッチングデバイス及びピクセルを有することができる。
【0057】
[0062] BLU202からの光は第1の偏光フィルタ214を通して偏光することができ、偏光された光はLC溶液層220に送ることができる。LC溶液層220は、LC溶液層220からの光透過量を制御するシャッタとして機能し得る棒形分子を有するLC232を含むことができる。幾つかの実施形態では、LC232は3Dアレイで配置することができる。LCの3Dアレイの列234.1~234.6は、各スイッチングデバイス218.1~218.6により独立して制御し得る。幾つかの実施形態では、スイッチングデバイス218.1~218.6は、例えば、薄膜トランジスタ(TFT)等のトランジスタを備えることができる。LC232を制御することにより、列234.1~234.6から各サブピクセル226.1~226.6に移動する光の量を制御することができ、その結果、サブピクセル226.1~226.6から送られる光の量が制御される。
【0058】
[0063] LC232は、各スイッチングデバイス218.1~218.6により列234.1~234.6に印加される電圧に応じて様々な程度に捻ることができる。LC232の捻れを制御することにより、LC溶液層220を透過する光の偏光角を制御することができる。LC溶液層220から出た光は次に、第1の偏光フィルタ214に対して90度に位置し得る第2の偏光フィルタ222を透過することができる。LC溶液層220から出て第2の偏光フィルタ222に入る光の偏光角は、第2の偏光フィルタ222を透過し、第2の偏光フィルタ222から出ることが可能な光の量を決めることができる。第2の偏光フィルタ222は、偏光角に基づいて光の減衰、光のブロック、又は減衰なしでの光の透過を行うことができる。
【0059】
[0064] LCの列234.1~234.6を通って移動し第2の偏光フィルタ222から出た光の部分は次に、サブピクセル226.1~226.6の各々1つに入ることができる。光のこれらの部分はサブピクセル226.1~226.6の各々1つを通してカラーフィルタリングの段階を経て、表示画面230にわたる光分布に望ましい光学特性を達成し得る。幾つかの実施形態では、サブピクセル226.1~226.6の各々は、受け取った光のサブピクセル226.1~226.6に入る部分をダウンコンバートする要素を含み得るルミネッセントナノ構造体236の層(又は薄膜)を含むことができる。
【0060】
[0065] ルミネッセントナノ構造体236は、幾つかの実施形態によるQD(例えば、図6を参照して説明するQD600)等のナノ構造体を含むことができる。ルミネッセントナノ構造体236は、サブピクセル226.1~226.6の各々1つに入る光(一次光とも呼ばれる)の部分を例えばルミネッセントナノ構造体236により吸収し、一次光よりも低いエネルギー又は長い波長を有する二次光として再放射することができるダウンコンバータであることができる。
【0061】
[0066] 幾つかの実施形態では、赤サブピクセル226.1及び226.4のルミネッセントナノ構造体236は、一次光を吸収し、可視スペクトル光の赤波長領域に一次放出ピーク波長を有する第1の二次光を放射するナノ構造体を含むことができる。幾つかの実施形態では、緑サブピクセル226.2及び226.5のルミネッセントナノ構造体236は、一次光を吸収し、可視スペクトル光の緑波長領域に一次放出ピーク波長を有する第2の二次光を放射するナノ構造体を含むことができる。幾つかの実施形態では、青サブピクセル226.3及び226.6のルミネッセントナノ構造体236は、一次光を吸収し、可視スペクトル光の青波長領域に一次放出ピーク波長を有する第3の二次光を放射するルミネッセントナノ構造体を含むことができる。
【0062】
[0067] 幾つかの実施形態では、青サブピクセル226.3及び226.6はルミネッセントナノ構造体236を含まないことがあり、又は薄膜が全く存在しないこともある。幾つかの他の実施形態では、青サブピクセル226.3及び226.6はルミネッセントナノ構造体236の代わりに散乱材料を含む。ルミネッセントナノ構造体を除外し、BLU202が青色LEDを含む場合、青サブピクセル226.3及び226.6のために青色LEDからの一次光をダウンコンバートする必要がないため、青色光を光学的に透過し得る層又は薄膜が代わりに存在し得る。
【0063】
[0068] 幾つかの実施形態では、ルミネッセントナノ構造体236は、第2の偏光フィルタ222又は光学透明基板(図示せず)に互いに隣接して配置されたセグメント化薄膜に含まれることができる。セグメント化ルミネッセントナノ構造体236は、隣接するルミネッセントナノ構造体236間の境界面のギャップがごく僅かであり、境界面を通した一次光の漏れが妨げられるように配置することができる。代替の実施形態では、ルミネッセントナノ構造体236の各々は連続した蛍光体薄膜の異なる領域であることができる。
【0064】
[0069] 幾つかの実施形態によれば、サブピクセル226.1~226.6の各々は、ルミネッセントナノ構造体236上に直接又はルミネッセントナノ構造体236にわたり置かれた蛍光層238を含むことができる。ルミネッセントナノ構造体236から発せられた二次光は、表示画面230に移動する前、蛍光層238の対応する1つを通してフィルタリングすることができる。
【0065】
[0070] 蛍光層238は、二次光(例えば、上述した第1、第2、及び/又は第3の二次光)の実質的に全てを透過させ、ルミネッセントナノ構造体236によって吸収されず、二次光にダウンコンバートされる一次光の部分(例えば青色光又はUV光)をブロックするように構成することができる。ルミネッセントナノ構造体236から漏出した可能性がある一次光の不要な部分は、吸収によりブロックすることができる。ルミネッセントナノ構造体236から表示画面230への非コンバート一次光の漏出は、LCD表示デバイス200の色域カバレッジに影響を及ぼし得る。さらに、蛍光層238は、ルミネッセントナノ構造体236から発せられた同じ光に一致する(又は実質的に一致する)光を発するように構成することができる。例えば、赤サブピクセル226.1及び226.4では、蛍光層238は、一次光迷光(例えば青色光又はUV光)を吸収し、赤サブピクセル226.1及び226.4においてルミネッセントナノ構造体236により発せられる第1の二次光と同じ波長範囲の光を発するように構成することができる。同様に、緑サブピクセル226.2及び226.5では、蛍光層238は、一次光迷光(例えば青色光又はUV光)を吸収し、緑サブピクセル226.2及び226.5においてルミネッセントナノ構造体236により発せられる第2の二次光と同じ波長範囲の光を発するように構成することができる。幾つかの実施形態では、UV一次光迷光を吸収し、青サブピクセル226.3及び226.6においてルミネッセントナノ構造体236により発せられる第3の二次光と同じ波長範囲の光を発するのに青サブピクセル226.3及び226.6で使用される蛍光層238。青色光が一次光として使用される幾つかの実施形態では、蛍光層238は青サブピクセル226.3及び226.6に使用されない。
【0066】
[0071] 対応するサブピクセルを通した一次光漏出を回避するための蛍光層238の使用はまた、ルミネッセントナノ構造体236の密度を下げることによりLCD表示デバイス200の製造コストを低減するのに役立つこともできる。ルミネッセントナノ構造体236はもはや、一次光の略全ての部分を吸収する必要がないため、ルミネッセントナノ構造体236の密度は低減することができる。換言すれば、ルミネッセントナノ構造体236によって吸収されない一次光の任意の部分(特に赤サブピクセル及び緑サブピクセルの)は代わりに、蛍光層238により吸収し得る。さらに、蛍光層238は赤サブピクセル又は緑サブピクセルに対応するようにマッチする赤色光又は緑色光を発するため、光学効率も同時に改善することができる。
【0067】
[0072] 蛍光層238は染料材料を含むことができる。一例の染料は有機染料BODIPY(登録商標)493/503(4,4-ジフルオロ-1,3,5,7,8-ペンタメチル-4-ボラ-3a,4a-ジアザ-s-インダセン;Thermo Fisher Scientific製)であり、これは、EMスペクトルの青色部分(例えば450nm)の光を吸収し、EMスペクトルの緑色部分(例えば510nm~535nm)にピーク放出を有する。BODIPY 493/503染料のピーク放出波長は蛍光層238に存在する染料の密度に基づいて調整することができる。放射スペクトルのこの調整は、ピーク放出波長、線幅、及び量子収率を含め、対応するサブピクセルの全体光学特性に影響を及ぼすのに使用することができる。緑色光のこの放射に起因して、BODIPY 493/503は、実施形態によれば、緑サブピクセル226.2及び226.5における蛍光層238として使用することができる。青色光を吸収し、赤色光を放射する他の同様の染料は、赤サブピクセル226.1及び226.4における蛍光層238に使用し得る。
【0068】
[0073] 蛍光層238は、ルミネッセントナノ構造体236の層又はLCD表示デバイス200の任意の他の層/構造体に配置することができる。染料に加えて、蛍光層238は任意のインク、塗料、高分子材料、又は噴霧、ペイント、スピンコート、若しくはプリントが可能な任意の他の材料であることができる。プリントは、例えば、プロッタ、インクジェットプリンタ、又はスクリーンプリンタを使用して行い得る。蛍光層238は10μm未満、5μm未満、又は1μm~2μmの厚さに堆積させることができる。幾つかの実施形態では、蛍光層238はルミネッセントナノ構造体236の層に直接配置することができる。幾つかの実施形態では、蛍光層238は、蛍光材料が堆積した基板を含むことができる。
【0069】
[0074] 幾つかの実施形態では、蛍光層238は、別個にキャストされ、ルミネッセントナノ構造体236の層又は光学透明基板(図示せず)にわたり互いに隣接して配置されたセグメント化薄膜であることができる。セグメント化蛍光層238は、隣接する蛍光層238の境界面のギャップがごく僅かであるように配置することができる。代替の実施形態では、各蛍光層238は、ルミネッセントナノ構造体236の層にわたり配置され又は堆積した連続薄膜の異なる領域であることができる。
【0070】
[0075] 幾つかの実施形態では、蛍光材料は光学透明基板228に含め得、光学透明基板228はまた、下にあるLCDモジュール204及び/又はBLU202の層及び/又は構造体に環境封止を提供するように構成することもできる。
【0071】
[0076] 表示画面230は画像を生成するように構成することができる。表示画面230は、実施形態によればタッチスクリーンディスプレイであることができる。LCD表示デバイス200は、LCD表示デバイス200の任意の隣接要素間、例えば光学キャビティ212とLCDモジュール204との間、LC溶液層220の両側、又はLCD表示デバイス200の任意の他の要素間に配置された1つ又は複数の媒体材料(図示せず)を更に含むことができる。1つ又は複数の媒体材料は、限定ではなく、基板、真空、空気、ガス、光学材料、接着剤、光学接着剤、ガラス、ポリマー、固体、液体、ゲル、硬化した材料、光学結合材料、屈折率整合材料若しくは屈折率不整合材料、屈折率勾配材料、クラッディング若しくはアンチクラッディング材料、スペーサ、エポキシ、シリカゲル、シリコーン、輝度強化材料、散乱若しくは拡散材料、反射性若しくは反射防止材料、波長選択性材料、波長選択性反射防止材料、又は他の適した媒体材料を含み得る。適した材料は、シリコーン、シリコーンゲル、シリカゲル、エポキシ類(例えば、Loctite(商標)のEpoxy E-30CL)、アクリレート類(例えば、3M(商標)のAdhesive 2175)を含み得る。1つ又は複数の媒体材料は、硬化可能なゲル若しくは液体として適用されてもよく且つ、堆積の最中又は後に硬化されてもよく、又は、堆積の前に事前形成及び事前硬化されてもよい。硬化方法は、UV硬化、熱硬化、化学硬化、又は当技術分野において既知の他の適した硬化方法を含み得る。屈折率整合媒体材料は、BLU202の要素とLCDモジュール204との間の光学的損失を最小にするように選び得る。
【0072】
[0077] LCD表示デバイス200は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱せずに、種々の実施形態によれば、限定なしで、円筒形、台形、球形、又は長円形等の幾何学的形状を有し得る。LCD表示デバイス200は、形状が立方体であること又は他の直線の辺を有する形状を有することに限定されない。LCD表示デバイス200の矩形断面形は、例示を目的としたものであり、限定ではないことに留意されたい。LCD表示デバイス200は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱せずに、種々の実施形態によれば、他の断面形(例えば、台形、長円形、菱形)を有し得る。図2には、光学キャビティ212、基板216及び228、偏光フィルタ214及び222、並びに表示画面230が、X軸に沿って類似の寸法を有して示されているが、当業者は、これらの構成要素の各々が、種々の実施形態により、1つ又は複数の方向において互いに異なる寸法を有し得ることを理解することにも留意されたい。
【0073】
[0078] 図3は、実施形態によるエッジリットLCD表示デバイス300の分解組立断面図の概略を示す。LCD表示デバイス300はBLU302及びLCDモジュール204を含むことができる。図2の要素と同じ注釈を有する図3の要素については上述した。
【0074】
[0079] BLU302は、LED310(例えば、青色LED、白色LED、又はUV LED)のエッジアレイ、導光板(LGP)312、及びリフレクタ308を含むことができる。BLU302は、LCDモジュール204を通して処理し得、続けて表示画面230に送られて表示画面230にわたり分布し得る一次光(例えば、青色光、白色光、UV光、又は青色光とUV光との組合せ)を提供するように構成することができる。幾つかの実施形態では、LED310は、約440nm~約470nm又は約445nm~約455nmのピーク放出波長を有する光を発する青色LEDを含む。幾つかの実施形態では、LED310は、約440nm~約700nmの範囲又は他の可能な光波長範囲の光を発する白色LEDを含む。幾つかの実施形態では、LED210は、420nm未満、約400nm~約410nm、又は約360nm~約370nmのピーク放出波長を有する光を発するUV LEDを含む。実施形態によれば、青色LEDは、例えば、450nmの波長で青色光を発するGaN LEDであり得る。LED310は、例えばY軸に沿って延びる線に配置することができる。
【0075】
[0080] LGP312は、幾つかの実施形態によれば、高分子中実体であれガラス中実体であれ、プレート、薄膜、容器、又は他の構造体等の光ファイバケーブルを含むことができる。LGP312のサイズは、LED310の最終的な用途及び特性に依存することができる。LGP312の厚さはLED310の厚さと互換性を有することができる。LGP312の他の寸法は、LED310の寸法を超えて延びるように設計することができ、数十mmのオーダから数十cm~数百cmであり得る。
【0076】
[0081] 幾つかの実施形態では、LGP312の材料は、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、メチルメタクリレート、スチレン、アクリルポリマー樹脂、ガラス、又は他の適したLGP材料を含むことができる。LGP312の適した製造方法は射出成形、押出、又は他の適した実施形態を含むことができる。LGP312は、LCDモジュール204に入る一次光が均一な色及び輝度であることができるように均一な一次光放射を提供するように構成することができる。LGP312は、LGP312表面全体にわたり実質的に均一な厚さを含むことができる。代替的には、LGP312はくさびのような形状を有することができる。幾つかの実施形態では、LGP312はLED310に光学的に結合することができ、LED310に物理的に接続又はLED310から物理的に切り離し得る。LGP312をLED310に物理的に接続するために、光学透明接着剤を使用し得る(図示せず)。
【0077】
[0082] 幾つかの実施形態では、BLU302はLEDのアレイ(図示せず)を含むことができ、各LEDの構造及び機能はLED310と同様であり得る。LEDのアレイはLGP312に隣接し得、図2を参照して上述したように、処理し、続けて表示画面230に送るために、一次光をLCDモジュール204に提供するように構成し得る。
【0078】
[0083] 幾つかの実施形態では、リフレクタ308は、LGP312から発せられる光の量を増やすように構成することができる。リフレクタ308は、反射ミラー、リフレクタ粒子の薄膜、反射金属薄膜、又は他の適した従来のリフレクタ等の適した材料を含むことができる。幾つかの実施形態では、リフレクタ308は白色薄膜を含むことができる。幾つかの実施形態では、リフレクタ308は、散乱、拡散、又は輝度強化特徴等の追加の機能又は特徴を含むことができる。
【0079】
追加の蛍光層の光学効果
[0084] 図4は、上述した例のBODIPY 493/503染料の特性を有する蛍光染料層を使用した場合、緑サブピクセルの全体ピーク放出及びFWHMの僅かな変化を示す(ルミネッセントナノ構造体を透過した任意の残留青色光の99%吸収を仮定する)データのグラフを示す。緑サブピクセルのピーク放出は、ルミネッセントナノ構造体(例えば量子ドット)からのある範囲の吸収値で1nm未満変化する。同様に、放射スペクトルのFWHMは、ルミネッセントナノ構造体(例えば量子ドット)からの同じ範囲の吸収値で0.3nm未満変化する。これは、蛍光染料の包含が緑サブピクセルの予期される光学特性に悪影響を及ぼさなかったことを示す。
【0080】
[0085] 図5は、上述した例のBODIPY 493/503染料の特性を有する蛍光染料層あり及びなしの両方での緑サブピクセルの全体光子変換効率(PCE)を示すグラフを示す。緑サブピクセルの全体光学効率は、約96%未満の量子ドット吸収値で蛍光染料層を使用した場合、増大する。緑色インジウムベース量子ドットは一般に、約6μmの厚さの層で使用される場合、青色光の約92%吸収率を示す。
【0081】
バリア層塗膜ナノ構造体の実施形態の例
[0086] 図6は、実施形態によるバリア層塗膜ルミネッセントナノ構造体(NS)600の断面構造を示す。量子ドットはNS600の一例である。幾つかの実施形態では、NS600の群がルミネッセントナノ構造体236の層に含まれることができる。バリア層塗膜NS600はNS601及びバリア層606を含む。NS601はコア602及びシェル604を含む。コア602は、より高いエネルギー吸収時に光を発する半導体材料を含む。コア602の半導体材料の例には、リン化インジウム(InP)、セレン化カドミウム(CdSe)、硫化亜鉛(ZnS)、硫化鉛(PbS)、ヒ化インジウム(InAs)、リン化ガリウムインジウム(InGaP)、セレン化亜鉛カドミウム(CdZnSe)、セレン化亜鉛(ZnSe)、及びテルル化カドミウム(CdTe)がある。直接的なバンドギャップを示す任意の他のII-VI族、III-V族、第3級、又は第4級の半導体構造は同様に使用可能である。実施形態では、コア602は、幾つかの例を提供するために、金属、合金等の1つ又は複数のドーパントを含むこともできる。金属ドーパントの例には、限定ではなく、亜鉛(Zn)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、白金(Pt)、クロム(Cr)、タングステン(W)、パラジウム(Pd)、又はこれらの組合せがあり得る。コア602における1つ又は複数のドーパントの存在は、ドープされないNSと比較してNS601の構造的安定性及び光学的安定性及びQYを改善することができる。
【0082】
[0087] 実施形態によれば、コア602は直径20nm未満のサイズを有することができる。別の実施形態では、コア602は直径約1nm~約5nmのサイズを有することができる。コア602のサイズ、ひいてはNS601のサイズをナノメートルの範囲で調整する能力は、光学スペクトル全体での光子放出カバレッジを可能にする。一般には、大きいNSほど、スペクトルの赤端に向かう方向において光を放出し、一方、小さいNSほど、スペクトルの青端に向かう方向において光を発する。より大きいNSはより小さいNSより離間がより狭いエネルギーレベルを有するため、この効果が生じる。これは、NSがより少ないエネルギーを含む光子、即ちスペクトルの赤端により近い光子を吸収できるようにする。
【0083】
[0088] シェル604は、コア602を囲み、コア602の外面に配置される。シェル604は、硫化カドミウム(CdS)、硫化カドミウム亜鉛(ZnCdS)、セレン化硫化亜鉛(ZnSeS)、及び硫化亜鉛(ZnS)を含むことができる。実施形態では、シェル604は厚さ604t、例えば1つ又は複数の単層を有することができる。他の実施形態では、シェル604は約1nm~約5nmの厚さ604tを有することができる。シェル604は、コア602との格子不整合の低減及びNS601のQYの改善を助けるのに利用することができる。シェル604はまた、NS601のQYを増加させるために、コア602におけるダングリングボンド等の表面トラップ状態を不動態化して除去するのに役立つこともできる。表面トラップ状態の存在は、非放射性再結合中心を提供し、NS601の放出効率の低下に寄与し得る。
【0084】
[0089] 代替の実施形態では、NS601は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱せずに、シェル604に配置された第2のシェル又はコア602を囲む3つ以上のシェルを含むことができる。実施形態では、第2のシェルは、2つの単層の厚さほどであり得、必須ではないが典型的には、半導体材料でもあり得る。第2のシェルは、コア602に保護を提供し得る。第2のシェルの材料は硫化亜鉛(ZnS)であり得るが、本発明の範囲又は趣旨から逸脱せずに、他の材料も同様に使用し得る。
【0085】
[0090] バリア層606は、NS601に被膜を形成するように構成される。実施形態では、バリア層606は、シェル604の外面604aに配置され、外面604aと実質的に接触する。1つ又は複数のシェルを有するNS601の実施形態では、バリア層606は、NS601の最外郭シェルに配置され実質的に接触することができる。実施形態例では、バリア層606は、例えば、複数のNSを有する溶液、組成物、及び/又は薄膜におけるNS601と1つ又は複数のNSとの間のスペーサとして機能するように構成され、この場合、複数のNSは、NS601及び/又はバリア層で被膜されたNS600と同様であり得る。そのようなNS溶液、NS組成物、及び/又はNS薄膜では、バリア層606は、隣接するNSとのNS601の凝集を防止するのに役立つことができる。隣接するNSとのNS601の凝集は、NS601のサイズの増加に繋がり、その結果、NS601を含む凝集したNS(図示せず)の発光特性の低下又は消失に繋がることがある。更なる実施形態では、バリア層606は、NS601の構造特性及び光学特性に悪影響を及ぼし得る水分、空気、及び/又は過酷な環境(例えば、NSのリソグラフィ処理中及び/又はNSベースデバイスの製造プロセス中に使用される高温及び化学物質)からのNS601の保護を提供する。
【0086】
[0091] バリア層606は、非晶性、光学的に透明、且つ/又は電気的に非活性である1つ又は複数の材料を含む。適したバリア層は、限定ではなく、無機酸化物及び/又は窒化物等の無機材料を含む。バリア層606の材料の例には、種々の実施形態によれば、Al、Ba、Ca、Mg、Ni、Si、Ti、又はZrの酸化物及び/又は窒化物がある。バリア層606は、種々の実施形態では、約8nm~約15nmの範囲の厚さ606tを有することができる。
【0087】
[0092] 図6に示されるように、実施形態によれば、バリア層で被膜されたNS600は、追加として又は任意選択的に複数のリガンド又は界面活性剤608を含むことができる。リガンド又は界面活性剤608は、実施形態によれば、バリア層606の外面等のバリア層で被膜されたNS600の外面に吸着又は結合することができる。複数のリガンド又は界面活性剤608は、親水性又は極性の頭部608a及び疎水性又は非極性の尾部608bを含むことができる。親水性又は極性の頭部608aはバリア層606に結合することができる。リガンド又は界面活性剤608の存在は、例えば、溶液、組成物、及び/又は薄膜においてこれらの形成中に他のNSからNS600及び/又はNS601を分離するのに役立つことができる。NSがそれらの形成中に凝集することが可能な場合、NS600及び/又はNS601等のNSの量子効率が低下し得る。リガンド又は界面活性剤608はまた、非極性溶媒に混和性を提供し、又は他の化合物が結合する反応部位(例えば、逆ミセル系)を提供するために、疎水性等の特定の特性をバリア層で被膜されたNS600に付与するのに使用することもできる。
【0088】
[0093] リガンド608として使用し得る多種多様なリガンドが存在する。幾つかの実施形態では、リガンドは、ラウリン酸、カプロン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、及びオレイン酸から選択される脂肪酸である。幾つかの実施形態では、リガンドは、トリオクチルホスフィンオキシド(TOPO)、トリオクチルホスフィン(TOP)、ジフェニルホスフィン(DPP)、トリフェニルホスフィンオキシド、及びトリブチルホスフィンオキシドから選択される有機ホスフィン又は有機ホスフィンオキシドである。幾つかの実施形態では、リガンドはドデシルアミン、オレイルアミン、ヘキサデシルアミン、及びオクタデシルアミンから選択されるアミンである。幾つかの実施形態では、リガンドはトリオクチルホスフィン(TOP)である。幾つかの実施形態では、リガンドはオレイルアミンである。幾つかの実施形態では、リガンドはジフェニルホスフィンである。
【0089】
[0094] 界面活性剤608として使用することができる多種多様な界面活性剤が存在する。幾つかの実施形態では、非イオン性界面活性剤を界面活性剤608として使用し得る。非イオン性界面活性剤の幾つかの例には、ポリオキシエチレン(5)ノニルフェニルエーテル(商品名IGEPAL CO-520)、ポリオキシエチレン(9)ノニルフェニルエーテル(IGEPAL CO-630)、オクチルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノール(IGEPAL CA-630)、ポリエチレングリコールオレイルエーテル(Brij93)、ポリエチレングリコールヘキサデシルエーテル(Brij52)、ポリエチレングリコールオクタデシルエーテル(Brij S10)、ポリオキシエチレン(10)イソオクチルシクロヘキシルエーテル(Triton X-100)、及びポリオキシエチレン分岐ノニルシクロヘキシルエーテル(Triton N-101)がある。
【0090】
[0095] 幾つかの実施形態では、界面活性剤608としてアニオン性界面活性剤を使用し得る。アニオン性界面活性剤の幾つかの例には、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、モノドデシルリン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、及びミリスチル硫酸ナトリウムがある。
【0091】
[0096] 幾つかの実施形態では、NS601及び/又は600は、赤色、オレンジ色、及び/又は黄色の範囲等の1つ又は複数の種々の色範囲で光を発するように合成することができる。幾つかの実施形態では、NS601及び/又は600は、緑色及び/又は黄色の範囲の光を発するように合成することができる。幾つかの実施形態では、NS601及び/又は600は、青色、藍色、紫色、及び/又は紫外線の範囲の光を発するように合成することができる。幾つかの実施形態では、NS601及び/又は600は、約605nm~約650nm、約510nm~約550nm、又は約300nm~約480nmの一次放出ピーク波長を有するように合成することができる。
【0092】
[0097] NS601及び/又は600は、高いQYを示すように合成することができる。幾つかの実施形態では、NS601及び/又は600は80%~95%又は85%~90%のQYを示すように合成することができる。
【0093】
[0098] したがって、種々の実施形態によれば、NS600は、NS601におけるバリア層606の存在がNS601の発光特性を実質的に変化させないか又は消失させないように合成することができる。
【0094】
ナノ構造体薄膜の実施形態の例
[0099] 図7は、実施形態によるNS薄膜700の断面図を示す。幾つかの実施形態では、ルミネッセントナノ構造体236の層はNS薄膜700と同様であることができる。
【0095】
[0100] NS薄膜700は、実施形態によれば、バリア層が被膜された複数のコア-シェルNS600(図6)及びマトリックス材料710を含むことができる。NS600は、幾つかの実施形態によれば、マトリックス材料710に埋め込むか又は他の方法で配置することができる。本明細書で使用される場合、「埋め込まれる」という用語は、マトリックスの主成分を構成するマトリックス材料710内にNSが取り囲まれるか又は封入されることを示すのに使用される。実施形態では、NS600は、マトリックス材料710全体を通して均一に分布することができるが、他の実施形態では、NS600は用途特有の一様分布関数に従って分布することができることに留意されたい。NS600は同じサイズの直径を有して示されているが、NS600がサイズ分布を有することができることを当業者は理解することに留意されたい。
【0096】
[0101] 実施形態では、NS600は、青色可視波長スペクトル、緑色可視波長スペクトル、又は赤色可視波長スペクトルで発光するサイズを有するNSの均質な群を含むことができる。他の実施形態では、NS600は、青色可視波長スペクトルで発光するサイズを有するNSの第1の群、緑色可視波長スペクトルで発光するサイズを有するNSの第2の群、及び赤色可視波長スペクトルで発光するNSの第3の群を含むことができる。
【0097】
[0102] マトリックス材料710は、NS600を収容することができる任意の適したホストマトリックス材料であることができる。適したマトリックス材料は、NS薄膜700をデバイスに適用する際に使用されるNS600及び任意の周囲包装材料又は層と化学的及び光学的に互換性を有し得る。適したマトリックス材料には、一次光及び二次光の両方に対して透明である非黄変光学材料があり得、それにより、一次光及び二次光の両方がマトリックス材料を透過できるようにする。実施形態では、マトリックス材料710はNS600の各々を完全に囲むことができる。マトリックス材料710は、可撓性又は成形可能なNS薄膜700が望まれる用途では可撓性であることができる。代替的には、マトリックス材料710は高強度の非可撓性材料を含むことができる。
【0098】
[0103] マトリックス材料710は、ポリマー並びに有機酸化物及び無機酸化物を含むことができる。マトリックス材料710に使用するのに適したポリマーは、そのような目的で使用することができる当業者に既知の任意のポリマーであることができる。ポリマーは実質的に半透明又は実質的に透明であり得る。マトリックス材料710としては、限定ではなく、エポキシ、アクリレート、ノルボルネン、ポリエチレン、ポリ(ビニルブチラール):ポリ(ビニルアセテート)、ポリウレア、ポリウレタン、限定ではなくアミノシリコーン(AMS)、ポリフェニルメチルシロキサン、ポリフェニルアルキルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン、ポリジアルキルシロキサン、シルセスキオキサン、フッ素化シリコーン、並びにビニル及びヒドリド置換シリコーンを含むシリコーン及びシリコーン誘導体;限定ではなくメチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、及びラウリルメタクリレートを含むモノマーから形成されるアクリルポリマー及びコポリマー;ポリスチレン、アミノポリスチレン(APS)、及びポリ(アクリロニトリルエチレンスチレン)(AES)等のスチレン系ポリマー;ジビニルベンゼン等の二官能性モノマーで架橋されたポリマー;架橋リガンド材料に適した架橋剤、リガンドアミンと結合してエポキシを形成するエポキシド(例えば、APS又はPEIリガンドアミン)等を挙げることができる。
【0099】
[0104] 幾つかの実施形態では、マトリックス材料710は、NS薄膜700の光コンバージョン効率を改善することができるTiO2マイクロビーズ、ZnSマイクロビーズ、又はガラスマイクロビーズ等の散乱マイクロビーズを含む。幾つかの実施形態では、マトリックス材料710は、図2及び図3を参照して蛍光層238において上述した蛍光染料等の蛍光材料を含むことができる。
【0100】
[0105] 別の実施形態では、マトリックス材料710は低い酸素及び水分透過性を有し、高い光学及び化学的安定性を示し、好ましい屈折率を示し、NS600の外面に付着することができ、それにより、NS600を保護する空密封止を提供することができる。別の実施形態では、マトリックス材料710は、UV又は熱硬化法を用いて硬化可能であり、ロールツーロール処理を容易にすることができる。
【0101】
[0106] 幾つかの実施形態によれば、NS薄膜700は、ポリマー(例えば、フォトレジスト)中にNS600を混合し、NSポリマー混合物を基板にキャストし、NS600をモノマーと混合して一緒に重合させ、NS600をゾルゲル中に混合して酸化物を形成することにより、又は当業者に既知の任意の他の方法により形成することができる。
【0102】
[0107] 幾つかの実施形態によれば、NS薄膜700の形成は薄膜押出プロセスを含むことができる。薄膜押出プロセスは、マトリックス材料710とNS600等のバリア層が被膜されたコア-シェルNSとの均質な混合物を形成することと、押出機に供給する上部搭載ホッパーに均質な混合物を導入することとを含み得る。幾つかの実施形態では、均質な混合物はペレットの形態であり得る。薄膜押出プロセスは、スロットダイからNS薄膜700を押し出すことと、押し出されたNS薄膜700をチルロールに通すこととを更に含み得る。幾つかの実施形態では、押し出されたNS薄膜700は、約75μm未満の厚さ、例えば約70μm~約40μm、約65μm~約40μm、約60μm~約40μm、又は約50μm~約40μmの厚さを有することができる。幾つかの実施形態では、NS薄膜700は約10μm未満の厚さを有する。幾つかの実施形態では、NS薄膜700の形成は任意選択的に、薄膜押出プロセスが続く二次プロセスを含むことができる。二次プロセスは、NS薄膜700の上面にテクスチャを提供する共押出、熱成形、真空成形、プラズマ処理、成形、及び/又はエンボス加工等のプロセスを含み得る。テクスチャ上面NS薄膜700は、例えば、NS薄膜700の定義された光学拡散特性及び/又は定義された角度発光特性(angular optical emission property)を改善するのに役立ち得る。
【0103】
ルミネッセントナノ構造体の実施形態の例
[0108] 本明細書に記載されるのは、ルミネッセントナノ構造体(NS)を有する種々の組成物である。吸収特性、放出特性、及び屈折率特性を含め、ルミネッセントナノ構造体の種々の特性は、種々の用途に適合され調整し得る。
【0104】
[0109] NSの材料特性は実質的に均質であり得、又は幾つかの実施形態では不均質であり得る。NSの光学特性は、粒子サイズ、化学組成、又は表面組成によって決まり得る。ルミネッセントNSサイズを約1nm~約15nmの範囲で適合させる能力は、演色において大きな汎用性を提供する光学スペクトル全体での光子放出カバレッジを可能にし得る。粒子封入は、化学的及びUV劣化原因物質への頑健性を提供し得る。
【0105】
[0110] 本明細書に記載される実施形態で使用されるルミネッセントNSは、当業者に既知の任意の方法を使用して製造し得る。適した方法及びナノ結晶の例は、米国特許第7,374,807号、2004年3月10日付けで出願された米国特許出願第10/796,832号、米国特許第6,949,206号、及び2004年6月8日付けで出願された米国仮特許出願第60/578,236号に開示されており、これらの各々の開示は全体的に、参照により本明細書に援用される。
【0106】
[0111] 本明細書に記載される実施形態で使用されるルミネッセントNSは、無機材料、より適切には無機導電又は半導体材料を含め、任意の適した材料から製造し得る。適した半導体材料は、米国特許出願第10/796,832号に開示されているものを含み得、II-VI族、III-V族、IV-VI族、及びIV族半導体を含め、任意のタイプの半導体を含み得る。適した半導体材料には、限定ではなく、Si、Ge、Sn、Se、Te、B、C(ダイアモンドを含む)、P、BN、BP、BAs、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、InP、InAs、InSb、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgSe、HgTe、BeS、BeSe、BeTe、MgS、MgSe、GeS、GeSe、GeTe、SuS、SnSe、SnTe、PbO、PbS、PbSe、PbTe、CuF、CuCl、CuBr、CuI、Si、Ge、Al、(Al、Ga、In)(S、Se、Te)、AlCO、及び2つ以上のそのような半導体の適切な組合せがあり得る。
【0107】
[0112] 特定の実施形態では、ルミネッセントNSはp型ドーパント又はn型ドーパントからなる群からのドーパントを有し得る。NSはII-VI半導体又はIII-V半導体を有することもできる。II-VI又はIII-V半導体NSの例には、周期表のZn、Cd、及びHg等のII族からの元素とS、Se、Te、及びPo等のVI族からの任意の元素との任意の組合せ及び周期表のB、Al、Ga、In、及びTl等のIII族からの元素とN、P、As、Sb、及びBi等のV族からの任意の元素との任意の組合せがあり得る。
【0108】
[0113] 本明細書に記載されるルミネッセントNSは、共役、協働、関連付け、又は表面に付着したリガンドを更に含むこともできる。適したリガンドには、米国特許第8,283,412号、米国特許出願公開第2008/0237540号、米国特許出願公開第2010/0110728号、米国特許第8,563,133号、米国特許第7,645,397号、米国特許第7,374,807号、米国特許第6,949,206号、米国特許第7,572,393号、及び米国特許第7,267,875号に開示されるものを含め、当業者に既知の任意のグループがあり得、これらの各々の開示は参照により本明細書に援用される。そのようなリガンドの使用は、ポリマーを含め、種々の溶媒及びマトリックス中に組み込むルミネッセントNSの能力を強化し得る。種々の溶媒及びマトリックスへのルミネッセントNSの混和性(すなわち、分離せずに混合される能力)の増大は、NSが一緒に凝集せず、したがって、光を散乱させないようにルミネッセントNSを高分子組成物全体に分散できるようにし得る。そのようなリガンドは本明細書では「混和性強化」リガンドとして記載されている。
【0109】
[0114] 特定の実施形態では、ルミネッセントNSがマトリックス材料中に分布又は埋め込まれた組成物が提供される。適したマトリックス材料は、ポリマー材料、有機酸化物、及び無機酸化物を含め、当業者に既知の任意の材料であり得る。本明細書に記載される組成物は、層、封入剤、被膜、シート、又は薄膜であり得る。層、高分子層、マトリックス、シート、又は薄膜が参照される本明細書に記載される実施形態では、これらの用語が同義で使用され、そうして説明された実施形態が何れか1つのタイプの組成物に限定されず、本明細書に記載され、又は当技術分野で既知の任意のマトリックス材料又は層を包含することを理解されたい。
【0110】
[0115] ダウンコンバートNS(例えば、米国特許第7,374,807号に開示される)は、特定の波長の光を吸収し、次に第2の波長で発するように合わせられたルミネッセントナノ構造体の放出特性を利用し、それにより、アクティブソース(例えばLED)の性能及び効率の強化を提供する。
【0111】
[0116] ルミネッセントNSの作製に当業者に既知の任意の方法を使用し得るが、無機ナノ材料蛍光物質の成長の制御に溶液相コロイド法を使用し得る。Alivisatos, A. P.,“Semiconductor clusters, nanocrystals, and quantum dots,”Science 271:933 (1996);X. Peng, M. Schlamp, A. Kadavanich, A. P. Alivisatos,“Epitaxial growth of highly luminescent CdSe/CdS Core/Shell nanocrystals with photostability and electronic accessibility,”J. Am. Chem. Soc. 30:7019-7029 (1997);及びC. B. Murray, D. J. Norris, M. G. Bawendi,“Synthesis and characterization of nearly monodisperse CdE (E=sulfur, selenium, tellurium) semiconductor nanocrystallites,”J Am. Chem. Soc. 115:8706 (1993)参照のこと。これらの開示は全体的に、参照により本明細書に援用される。
【0112】
[0117] 実施形態によれば、一例では、可視光ダウンコンバートのために、該材料の合成の比較成熟度に起因して、CdSeがNS材料として使用され得る。一般表面化学の使用に起因して、非カドミウム含有NSで置換することが可能なこともある。
【0113】
[0118] 半導体NSでは、光誘導放出はNSのバンドエッジ状態から生じる。ルミネッセントNSからのバンドエッジ放出は、表面電子状態に端を発する放射性又は非放射性崩壊チャネルと競合する。X. Peng, et al., J Am. Chem. Soc. 30:7019-7029 (1997)。その結果、ダングリングボンド等の表面欠陥の存在は、非放射性再結合中心を提供し、放出効率の低下の一因となる。表面トラップ状態を不動態化して除去する効率的で永続的な方法は、無機シェル材料をNSの表面にエピタキシャル成長させることであり得る。X. Peng, et al., J. Am. Chem. Soc. 30:701 9-7029 (1997)。シェル材料は、電子レベルがコア材料に対してタイプ1である(例えば、より大きなバンドギャップを有して、電子及び正孔をコアに局在させる潜在的なステップを提供する)ように選び得る。その結果、非放射性再結合の確率を下げ得る。
【0114】
[0119] コア-シェル構造体は、シェル材料を含む有機金属前駆体を、コアNSを含む反応混合物に添加することにより取得し得る。この場合、成長が後に続く核生成イベントではなく、コアは核として機能し、シェルは核の表面から成長し得る。反応の温度は低く保たれて、シェル材料のナノ結晶の独立した核生成を防止しながら、コア表面へのシェル材料モノマーの付加を優先する。反応混合物中の界面活性剤は、シェル材料の制御された成長を指揮し、溶解性を保証するために存在する。均一なエピタキシャル成長したシェルは、2つの材料間の格子不整合が低い場合、取得し得る。
【0115】
[0120] コア-シェルルミネッセントNSを準備する材料の例には、限定ではなく、Si、Ge、Sn、Se、Te、B、C(ダイアモンドを含む)、P、Co、Au、BN、BP、BAs、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InN、InP、InAs、InSb、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaN、GaP、GaAs、GaSb、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgSe、HgTc、BeS、BcSe、BcTe、MgS、MgSe、GeS、GeSe、GeTe、SnS、SnSe、SnTe、PbO、PbS、PbSe、PbTe、CuP、CuCl、CuBr、CuI、Si、Ge、Al、(Al、Ga、In)(S、Se、Te)、AlCOがあり得、本発明の実施に使用されるシェルルミネッセントNSは、限定ではなく、(コア/シェルとして表される)CdSe/ZnS、InP/ZnS、InP/ZnSe、PbSe/PbS、CdSe/CdS、CdTe/CdS、CdTe/ZnS等を含む。
【0116】
[0121] 本明細書に記載される実施形態で使用されるルミネッセントNSは、約100nm未満のサイズであり、約2nm未満のサイズまでであり得、発明可視光を吸収する。本明細書で使用される場合、可視光は、人間の目に見える約380nm~約780nmの波長を有する電磁放射線である。可視光は赤色、オレンジ色、黄色、緑色、青色、藍色、及び紫色等の種々の色のスペクトルに分離することができる。青色光は約435nm~約495nmの光を含み得、緑色光は約495nm~約570nmの光を含み得、赤色光は約620nm~約750nmの波長の光を含み得る。
【0117】
[0122] 種々の実施形態によれば、ルミネッセントNSは、紫外線、近赤外線、及び/又は赤外線スペクトルにある光子を吸収するようなサイズ及び組成を有し得る。紫外線スペクトルは約100nm~約400nmの光を含み得、近赤外線スペクトルは約750nm~約100μmの波長の光を含み得、赤外線スペクトルは約750nm~約300μmの波長の光を含み得る。
【0118】
[0123] 本明細書に記載された種々の実施形態では、他の適した材料のルミネッセントNSを使用することもできるが、特定の実施形態では、NSは、ZnS、InAs、CdSe、又はそれらの任意の組合せであり得、本明細書に記載される実施形態で使用されるナノ結晶の群を形成する。上述したように、更なる実施形態では、ルミネッセントNSは、CdSe/ZnS、InP/ZnSe、CdSe/CdS、又はInP/ZnS等のコア/シェルナノ結晶であり得る。
【0119】
[0124] 適したルミネッセントナノ構造体、種々の溶解性強化リガンドの添加を含めたルミネッセントナノ構造体を準備する方法は、公開された米国特許出願公開第2012/0113672号に見出すことができ、この開示は全体的に、参照により本明細書に援用される。
【0120】
[0125] 特定の実施形態を本明細書に示し説明したが、特許請求の範囲は説明され示された部分の特定の形態又は配置に限定されるべきではないことを理解されたい。本明細書では、例示的な実施形態が開示され、特定の用語が利用されたが、それらの特定の用語は一般的で説明の意味でのみ使用され、限定を目的として使用されていない。上記教示に照らして実施形態の変更及び変形が可能である。したがって、実施形態が特に記載された以外の方法でも実施可能なことを理解されたい。
図1
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図7