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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】往復動工具
(51)【国際特許分類】
   B23D 51/16 20060101AFI20240319BHJP
   B23D 49/14 20060101ALI20240319BHJP
   B23D 49/16 20060101ALI20240319BHJP
   B27B 11/02 20060101ALI20240319BHJP
   B27B 19/04 20060101ALI20240319BHJP
   B27B 19/09 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
B23D51/16
B23D49/14
B23D49/16
B27B11/02
B27B19/04
B27B19/09
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021567104
(86)(22)【出願日】2020-11-30
(86)【国際出願番号】 JP2020044491
(87)【国際公開番号】W WO2021131511
(87)【国際公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-06-20
(31)【優先権主張番号】P 2019239921
(32)【優先日】2019-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019239919
(32)【優先日】2019-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019239920
(32)【優先日】2019-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】工機ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003258
【氏名又は名称】弁理士法人北澤・小泉特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊縫 賢
(72)【発明者】
【氏名】仲野 領祐
【審査官】永井 友子
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-291762(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0341166(US,A1)
【文献】特開2015-188952(JP,A)
【文献】特開2016-137630(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23D 51/16
B23D 49/14
B23D 49/16
B27B 11/02
B27B 19/04
B27B 19/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、
前記モータによって駆動され第1方向への移動と前記第1方向とは反対の第2方向への移動とを交互に繰り返す往復動を行うように構成された出力シャフト部と、
前記出力シャフト部を前記往復動が可能なように支持するシャフト支持部と、を備え、
前記シャフト支持部は、前記出力シャフト部と接触して前記出力シャフト部を支持するとともに前記出力シャフト部の前記往復動に伴って前記出力シャフト部に沿って転動しながら往復動を行う複数の転動部材を有し、
前記複数の転動部材は、1以上の転動部材列を形成し、
前記1以上の転動部材列のそれぞれは、前記出力シャフト部の周方向に並ぶ2以上の前記転動部材によって形成されていることを特徴とする往復動工具。
【請求項2】
前記1以上の転動部材列は、複数の転動部材列であり、
前記複数の転動部材列は、前記第1方向に並んでいることを特徴とする請求項1に記載の往復動工具。
【請求項3】
モータと、
前記モータによって駆動され第1方向への移動と前記第1方向とは反対の第2方向への移動とを交互に繰り返す往復動を行うように構成された出力シャフト部と、
前記出力シャフト部を前記往復動が可能なように支持するシャフト支持部と、を備え、
前記シャフト支持部は、前記出力シャフト部と接触して前記出力シャフト部を支持するとともに前記出力シャフト部の前記往復動に伴って前記出力シャフト部に沿って転動しながら往復動を行う複数の転動部材を有し、
前記複数の転動部材は、1以上の転動部材列を形成し、
前記1以上の転動部材列のそれぞれは、前記第1方向に並ぶ2以上の前記転動部材によって形成されていることを特徴とする往復動工具。
【請求項4】
前記1以上の転動部材列は、複数の転動部材列であり、
前記複数の転動部材列は、前記出力シャフト部の周方向に並んでいることを特徴とする請求項3に記載の往復動工具。
【請求項5】
モータと、
前記モータによって駆動され第1方向への移動と前記第1方向とは反対の第2方向への移動とを交互に繰り返す往復動を行うように構成された出力シャフト部と、
前記出力シャフト部を前記往復動が可能なように支持するシャフト支持部と、を備え、
前記シャフト支持部は、前記出力シャフト部と接触して前記出力シャフト部を支持するとともに前記出力シャフト部の前記往復動に伴って前記出力シャフト部に沿って転動しながら往復動を行う1以上の転動部材を有し、
前記1以上の転動部材のそれぞれは、球体形状であることを特徴とする往復動工具。
【請求項6】
前記シャフト支持部は、前記1以上の転動部材を支持する支持壁部を有し、
前記1以上の転動部材のそれぞれは、前記支持壁部と前記出力シャフト部との間に位置し、前記出力シャフト部と1つのシャフト接触点で接触するとともに前記支持壁部と2つの壁接触点で接触し、
前記2つの壁接触点は、前記1つのシャフト接触点及び前記転動部材の中心を通る第1軸に関して、互いに反対側に位置し、
前記2つの壁接触点のそれぞれは、前記第1方向及び前記第1軸と直交し且つ前記転動部材の中心を通る第2軸に関して、前記シャフト接触点とは反対側に位置し、
前記転動部材の前記転動の中心は、前記第2軸であり、
前記2つの壁接触点のうちの一方と前記第2軸との距離、及び、前記2つの壁接触点のうちの他方と前記第2軸との距離は、前記1つのシャフト接触点と前記第2軸との距離よりも短いことを特徴とする請求項5に記載の往復動工具。
【請求項7】
前記1以上の転動部材のそれぞれの前記往復動のストロークは、前記出力シャフト部の前記往復動のストロークよりも短いことを特徴とする請求項5又は6に記載の往復動工具。
【請求項8】
前記支持壁部は、前記第1方向及び前記第2方向の少なくとも一方の前記転動部材の移動を規制可能な突出壁を有することを特徴とする請求項6に記載の往復動工具。
【請求項9】
前記突出壁は前記転動部材の前記第1方向側と前記第2方向側に設けられ、
前記往復動の方向において、前記突出壁と前記転動部材との間の距離は、前記出力シャフト部の前記第1方向の移動に伴う前記転動部材の転動距離以上であることを特徴とする請求項8に記載の往復動工具。
【請求項10】
モータと、
前記モータによって駆動され第1方向への移動と前記第1方向とは反対の第2方向への移動とを交互に繰り返す往復動を行うように構成された出力シャフト部と、
前記出力シャフト部を前記往復動が可能に支持するシャフト支持部と、を備え、
前記シャフト支持部は、前記出力シャフト部と接触して前記出力シャフト部を支持するとともに前記出力シャフト部の前記往復動に伴って前記出力シャフト部に沿って転動しながら往復動を行う1以上のボール部材を有することを特徴とする往復動工具。
【請求項11】
モータと、
前記モータの回転によって第1方向への移動と前記第1方向とは反対の第2方向への移動とを交互に繰り返す往復動を行うように構成された出力シャフト部と、
前記モータの回転を前記出力シャフト部の前記往復動に変換するための運動変換部と、
前記出力シャフト部の前記往復動による振動を低減する振動低減動作を行うように構成されたカウンタウェイト部と、を備え、
前記運動変換部は、前記モータが回転することによって前記第1方向と交差する第3方向に延びる回転軸を中心に回転する回転部を有し、
前記カウンタウェイト部は、
前記回転部が回転することによって、前記出力シャフト部が前記第1方向に移動する際に前記第2方向に移動し且つ前記出力シャフト部が前記第2方向に移動する際に前記第1方向に移動する駆動力伝達部材と、
前記駆動力伝達部材と係合する係合部を有し、前記駆動力伝達部材から前記係合部を介して動力を伝達され、前記駆動力伝達部材の前記第1方向への移動によって前記第1方向に移動し且つ前記駆動力伝達部材の前記第2方向への移動によって前記第2方向に移動するウェイト本体と、
前記ウェイト本体に対して前記回転部とは反対側に位置し、記ウェイト本体と接触して前記ウェイト本体を支持するとともに前記ウェイト本体の往復動作に伴って転動しながら往復動を行う1以上の転動部材と、ることを特徴とする往復動工具。
【請求項12】
前記転動部材はボール状である、請求項11に記載の往復動工具。
【請求項13】
前記運動変換部を収容する収容部を有し、
前記収容部は、前記ウェイト本体に対して前記回転部とは反対側に位置する壁を有し、
前記転動部材は前記ウェイト本体と前記収容部の前記壁とに挟まれている、請求項11に記載の往復動工具。
【請求項14】
前記収容部は、往復駆動する前記出力シャフト部の一部を収容する基部と、前記基部に取り付けられて前記ウェイト本体を覆う覆い部と、を有し、
前記壁は前記覆い部に設けられる、請求項13に記載の往復動工具。
【請求項15】
記ウェイト本体には、前記転動部材が係合する係合溝が設けられる、請求項11に記載の往復動工具。
【請求項16】
前記転動部材は2つある、請求項11に記載の往復動工具。
【請求項17】
2つある前記転動部材のうち、1つは前記ウェイト本体の左部を支持し、他の1つは前記ウェイト本体の右部を支持する、請求項16に記載の往復動工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は往復動工具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被加工材を切断するための往復動工具が知られている。例えば、特許文献1には、モータと、被加工材を切断するための鋸刃が取付可能な出力シャフト部(プランジャ)と、出力シャフト部を前後方向に往復動可能に支持する2つの軸受部材と、モータの回転力を出力シャフト部の前後方向の往復動に変換する運動変換部と、出力シャフト部の往復動に起因する振動を低減するための2つカウンタウェイトと、を備えたセーバソーが開示されている。
【0003】
上記セーバソーにおいては、2つの軸受部材として第1軸受メタル及び第2軸受メタルを採用しており、第1軸受メタルには出力シャフト部の前部が挿入され、第2軸受メタルには第1軸受メタルには出力シャフト部の後部が挿入されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-180382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、上述のセーバソーのような往復動工具においては、出力シャフト部の第1軸受メタルよりも前方に取り付けられた鋸刃を被加工材に押し付けながら切断作業が行う。このため、上記セーバソーにおいては、第1軸受メタルの内周面と出力シャフト部の外周面との摺動抵抗が大きく、出力シャフト部の往復動によって第1軸受メタルと出力シャフト部との間に発生する摩擦熱が高くなる。このため、上記セーバソーにおいては、第1軸受メタルの摩耗が激しく第1軸受メタルの寿命が短くなる虞があり、ひいてはセーバソー自体の寿命が短くなる虞があった。
【0006】
そこで本発明は、出力シャフト部を往復動可能に支持する軸受部材の摩耗を抑制し、長寿命化を図ることが可能な往復動工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明は、モータと、前記モータによって駆動され第1方向への移動と前記第1方向とは反対の第2方向への移動とを交互に繰り返す往復動を行うように構成された出力シャフト部と、前記出力シャフト部を前記往復動が可能なように支持するシャフト支持部と、を備え、前記シャフト支持部は、前記出力シャフト部と接触して前記出力シャフト部を支持するとともに前記出力シャフト部の前記往復動に伴って前記出力シャフト部に沿って転動しながら往復動を行う1以上の転動部材を有することを特徴とする往復動工具を提供する。
【0008】
このような構成によれば、出力シャフト部を往復動可能に支持する1以上の転動部材が出力シャフト部と接触した状態で出力シャフト部の往復動に伴って出力シャフト部に沿って転動しながら往復動を行うため、出力シャフト部とシャフト支持部との間に発生する摩擦熱を抑制することができる。これにより、シャフト支持部及び出力シャフト部の摩耗を抑制し、長寿命化を図ることが可能となる。
【0009】
上記構成において、前記1以上の転動部材は、複数の転動部材であることが好ましい。
【0010】
このような構成によれば、複数の転動部材で出力シャフト部を往復動可能に支持するため、安定した出力シャフト部の往復動を実現することができる。
【0011】
上記構成において、前記複数の転動部材は、1以上の転動部材列を形成し、前記1以上の転動部材列のそれぞれは、前記出力シャフト部の周方向に並ぶ2以上の前記転動部材によって形成されていることが好ましい。
【0012】
このような構成によれば、出力シャフト部の周方向に並ぶ2以上の転動部材によって形成された転動部材列によって出力シャフト部が往復動可能に支持される。このため、より安定した出力シャフト部の往復動を実現することができる。
【0013】
上記構成において、前記1以上の転動部材列は、複数の転動部材列であり、前記複数の転動部材列は、前記第1方向に並んでいることが好ましい。
【0014】
このような構成によれば、第1方向に並んだ複数の転動部材列によって出力シャフト部が往復動可能に支持される。このため、さらに安定した出力シャフト部の往復動を実現することができる。
【0015】
上記構成において、前記複数の転動部材は、1以上の転動部材列を形成し、前記1以上の転動部材列のそれぞれは、前記第1方向に並ぶ2以上の前記転動部材によって形成されていることが好ましい。
【0016】
このような構成によれば、第1方向に並ぶ2以上の転動部材によって形成された転動部材列によって出力シャフト部が往復動可能に支持される。このため、より安定した出力シャフト部の往復動を実現することができる。
【0017】
上記構成において、前記1以上の転動部材列は、複数の転動部材列であり、前記複数の転動部材列は、前記出力シャフト部の周方向に並んでいることが好ましい。
【0018】
このような構成によれば、出力シャフト部の周方向に並んだ複数の転動部材列によって出力シャフト部が往復動可能に支持される。このため、さらに安定した出力シャフト部の往復動を実現することができる。
【0019】
上記構成において、前記1以上の転動部材のそれぞれは、球体形状であることが好ましい。
【0020】
このような構成によれば、出力シャフト部とシャフト支持部との間に発生する摩擦熱をより抑制することができる。
【0021】
上記構成において、前記シャフト支持部は、前記1以上の転動部材を支持する支持壁部を有し、前記1以上の転動部材のそれぞれは、前記支持壁部と前記出力シャフト部との間に位置し、前記出力シャフト部と1つのシャフト接触点で接触するとともに前記支持壁部と2つの壁接触点で接触し、前記2つの壁接触点は、前記1つのシャフト接触点及び前記転動部材の中心を通る第1軸に関して、互いに反対側に位置し、前記2つの壁接触点のそれぞれは、前記第1方向及び前記第1軸と直交し且つ前記転動部材の中心を通る第2軸に関して、前記シャフト接触点とは反対側に位置し、前記転動部材の前記転動の中心は、前記第2軸であり、前記2つの壁接触点のうちの一方と前記第2軸との距離、及び、前記2つの壁接触点のうちの他方と前記第2軸との距離は、前記1つのシャフト接触点と前記第2軸との距離よりも短いことが好ましい。
【0022】
このような構成によれば、1以上の転動部材のそれぞれの往復動のストロークを出力シャフト部の往復動のストロークよりも短くすることができる。これにより、1以上の転動部材を支持する部材の第1方向の寸法を小さくすることができ、生産コストを低減することができる。
【0023】
上記構成において、前記1以上の転動部材のそれぞれの前記往復動のストロークは、前記出力シャフト部の前記往復動のストロークよりも短いことが好ましい。
【0024】
このような構成によれば、1以上の転動部材を支持する部材の第1方向の寸法を小さくすることができ、生産コストを低減することができる。
【0025】
また、上記構成において、前記支持壁部は、前記第1方向及び前記第2方向の少なくとも一方の前記転動部材の移動を規制可能な突出壁を有することが好ましい。
【0026】
また、上記構成において、前記突出壁は前記転動部材の前記第1方向側と前記第2方向側に設けられ、前記往復動の方向において、前記突出壁と前記転動部材との間の距離は、前記出力シャフト部の前記第1方向の移動に伴う前記転動部材の転動距離以上であることが好ましい。
【0027】
上記課題を解決するために、本発明はさらに、モータと、前記モータによって駆動され前記第1方向への移動と前記第1方向とは反対の第2方向への移動とを交互に繰り返す往復動を行うように構成された出力シャフト部と、前記出力シャフト部を前記往復動が可能に支持するシャフト支持部と、を備え、前記シャフト支持部は、前記出力シャフト部と接触して前記出力シャフト部を支持するとともに前記出力シャフト部の前記往復動に伴って前記出力シャフト部に沿って転動しながら往復動を行う1以上のボール部材を有することを特徴とする往復動工具を提供する。
【0028】
このような構成によれば、出力シャフト部を往復動可能に支持する1以上のボール部材が出力シャフト部と接触した状態で出力シャフト部の往復動に伴って出力シャフト部に沿って転動しながら往復動を行うため、出力シャフト部とシャフト支持部との間に発生する摩擦熱を抑制することができる。これにより、シャフト支持部及び出力シャフト部の摩耗を抑制し、長寿命化を図ることが可能となる。
上記課題を解決するために、本発明はさらに、モータと、前記モータの回転によって第1方向への移動と前記第1方向とは反対の第2方向への移動とを交互に繰り返す往復動を行うように構成された出力シャフト部と、前記モータの回転を前記出力シャフト部の前記往復動に変換するための運動変換部と、前記出力シャフト部の前記往復動による振動を低減する振動低減動作を行うように構成されたカウンタウェイト部と、を備え、前記運動変換部は、前記モータが回転することによって前記第1方向と交差する第3方向に延びる回転軸を中心に回転する回転部を有し、
前記カウンタウェイト部は、前記回転部が回転することによって、前記出力シャフト部が前記第1方向に移動する際に前記第2方向に移動し且つ前記出力シャフト部が前記第2方向に移動する際に前記第1方向に移動する第1ウェイト部及び第2ウェイト部と、前記第2ウェイト部と接触して前記第2ウェイト部を支持するとともに前記第2ウェイト部の往復動作に伴って転動しながら往復動を行う1以上の転動部材と、を有し、前記第2ウェイト部は前記第1ウェイト部によって駆動されることを特徴とする往復動工具を提供する。
また、上記構成において、前記転動部材はボール状であることが好ましい。
また、上記構成において、往復動工具は前記運動変換部を収容する収容部を有し、前記収容部は、前記第2ウェイト部に対して前記回転部材とは反対側に位置する壁を有し、前記転動部材は前記第2ウェイト部と前記収容部の前記壁とに挟まれていることが好ましい。
また、上記構成において、前記収容部は、往復駆動する前記出力シャフト部の一部を収容する基部と、前記基部に取り付けられて前記第2ウェイト部を覆う覆い部と、を有し、前記壁は前記覆い部に設けられることが好ましい。
また、上記構成において、前記第2ウェイト部には、前記転動部材が係合する係合溝が設けられることが好ましい。
また、上記構成において、前記転動部材は2つあることが好ましい。
また、上記構成において、2つある前記転動部材のうち、一つは前記第2ウェイト部の左部を支持し、他の一つは前記第2ウェイト部の右部を支持することが好ましい。
上記課題を解決するために、本発明はさらに、モータと、前記モータの回転によって第1方向への移動と前記第1方向とは反対の第2方向への移動とを交互に繰り返す往復動を行うように構成された出力シャフト部と、前記モータの回転を前記出力シャフト部の前記往復動に変換するための運動変換部と、前記出力シャフト部の前記往復動による振動を低減する振動低減動作を行うように構成されたカウンタウェイト部と、を備え、前記運動変換部は、前記モータが回転することによって前記第1方向と交差する第3方向に延びる回転軸を中心に回転する回転部を有し、前記カウンタウェイト部は、前記回転部が回転することによって、前記出力シャフト部が前記第1方向に移動する際に前記第2方向に移動し且つ前記出力シャフト部が前記第2方向に移動する際に前記第1方向に移動する駆動力伝達部材と、前記駆動力伝達部材と係合する係合部を有し、前記駆動力伝達部材から前記係合部を介して動力を伝達され、前記駆動力伝達部材の前記第1方向への移動によって前記第1方向に移動し且つ前記駆動力伝達部材の前記第2方向への移動によって前記第2方向に移動するウェイト本体と、前記ウェイト本体に対して前記回転部とは反対側に位置し、前記ウェイト本体と接触して前記ウェイト本体を支持するとともに前記ウェイト本体の往復動作に伴って転動しながら往復動を行う1以上の転動部材と、を有することを特徴とする往復動工具を提供する。
また、上記構成において、前記転動部材はボール状であることが好ましい。
また、上記構成において、前記運動変換部を収容する収容部を有し、前記収容部は、前記ウェイト本体に対して前記回転部とは反対側に位置する壁を有し、前記転動部材は前記ウェイト本体と前記収容部の前記壁とに挟まれていることが好ましい。
また、上記構成において、前記収容部は、往復駆動する前記出力シャフト部の一部を収容する基部と、前記基部に取り付けられて前記ウェイト本体を覆う覆い部と、を有し、前記壁は前記覆い部に設けられることが好ましい。
また、上記構成において、前記ウェイト本体には、前記転動部材が係合する係合溝が設けられることが好ましい。
また、上記構成において、前記転動部材は2つあることが好ましい。
また、上記構成において、2つある前記転動部材のうち、1つは前記ウェイト本体の左部を支持し、他の1つは前記ウェイト本体の右部を支持することが好ましい。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、シャフト部を往復動可能に支持する軸受部材の摩耗を抑制し、長寿命化を図ることが可能な往復動工具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の実施の形態によるセーバソーの外観を示す側面図である。
図2】本発明の実施の形態によるセーバソーの内部構造を示す縦断面図である。
図3】本発明の実施の形態によるセーバソーの電気的構成を示すブロック図を含む回路図である。
図4】本発明の実施の形態によるセーバソーの運動変換部、シャフト支持部、出力シャフト部、及びカウンタウェイト部を示す部分拡大断面図である。
図5】本発明の実施の形態によるセーバソーのベベルギヤに形成された駆動溝を説明するための図である。図5(A)は、出力シャフト部がシャフト下死点に位置している状態におけるベベルギヤの斜視図である。図5(B)は出力シャフト部がシャフト下死点に位置している状態におけるベベルギヤの底面図である。
図6】本発明の実施の形態によるセーバソーの揺動ガイドプレートを説明するための図である。図6(A)は、出力シャフト部がシャフト下死点に位置している状態における揺動ガイドプレートの平面図である。図6(B)は、図6(A)のVIB-VIB断面図である。
図7】本発明の実施の形態によるセーバソーの揺動ガイドプレートの周壁部の第1部分P1を0°として周壁部及び円板部の周縁部を平面的に展開した平面展開図である。
図8】本発明の実施の形態によるセーバソーのシャフト支持部及び出力シャフト部を示す分解斜視図である。
図9】本発明の実施の形態によるセーバソーの第1リニア軸受部の支持壁部及び複数の転動部材を説明するための図である。図9(A)は、図4のIXA-IXA断面図である。図9(B)は、図9(A)の部分拡大図である。図9(C)は、図9(A)のIXCD-IXCD断面図であり、出力シャフト部がシャフト上死点に位置している状態における複数の第1転動部材及び複数の第4転動部材の位置を示している。図9(D)は、図9(A)のIXCD-IXCD断面図であり、出力シャフト部がシャフト下死点に位置している状態における複数の第1転動部材及び複数の第4転動部材の位置を示している。
図10】本発明の実施の形態によるセーバソーの第1リニア軸受部の複数の転動部材の往復動のストローク及び出力シャフト部の往復動のストロークを説明するための図であり、上段は出力シャフト部がシャフト上死点に位置している状態を示しており、下段は出力シャフト部がシャフト上死点に位置している状態を示している。
図11】本発明の実施の形態によるセーバソーの第2メカハウジングを説明するための図である。図11(A)は、第2メカハウジングの斜視図である。図11(B)は、第2メカハウジングの平面図である。
図12】本発明の実施の形態によるセーバソーのカウンタウェイト部を説明するための図である。図12(A)は、出力シャフト部がシャフト下死点に位置している状態のカウンタウェイト部、回転シャフト、ベベルギヤ、及び第2メカハウジングを示す分解斜視図である。図12(B)は、出力シャフト部がシャフト下死点に位置している状態のカウンタウェイト部、回転シャフト、ベベルギヤ、及び第2メカハウジングを示す他の分解斜視図である。
図13】本発明の実施の形態によるセーバソーのシャフト支持部、シャフト部、及びカウンタウェイト部の動作を説明するための図であり、回転部の第1回転角度が0°の状態を示している。
図14】本発明の実施の形態によるセーバソーのシャフト支持部、シャフト部、及びカウンタウェイト部の動作を説明するための図であり、回転部の第1回転角度が180°の状態を示している。
図15】本発明の実施の形態によるセーバソーのシャフト支持部、シャフト部、及びカウンタウェイト部の動作を説明するための図であり、回転部の第1回転角度が300°の状態を示している。
図16】本発明の実施の形態によるセーバソーのカウンタウェイト部の動作を説明するための図であり、上段はウェイト本体の縦断面図、中段は図4のXVI-XVI断面図、下段は図4のXVII-XVII断面図である。図16(A)は回転部の第1回転角度が0°の状態、図16(B)は回転部の第1回転角度が45°の状態、図16(C)は回転部の第1回転角度が90°の状態、図16(D)は回転部の第1回転角度が135°の状態を示している。
図17】本発明の実施の形態によるセーバソーのカウンタウェイト部の動作を説明するための図であり、上段はウェイト本体の縦断面図、中段は図4のXVI-XVI断面図、下段は図4のXVII-XVII断面図である。図17(A)は回転部の第1回転角度が180°の状態、図17(B)は回転部の第1回転角度が225°の状態、図17(C)は回転部の第1回転角度が270°の状態、図17(D)は回転部の第1回転角度が315°の状態を示している。
図18】本発明の実施の形態によるセーバソーの第1切断動作モードにおけるシャフト部、周壁部の後端部、当接ボールベアリング、シャフト支持部の前端、及びカウンタウェイト部の動作及び位置と回転部の第1回転角度との関係を示す図である。
図19】本発明の実施の形態によるセーバソーの第2切断動作モードにおけるシャフト部、周壁部の後端部、当接ボールベアリング、シャフト支持部の前端、及びカウンタウェイト部の動作及び位置と回転部の第2回転角度との関係を示す図である。
図20】本発明の実施の形態によるセーバソーの第1切断動作モード及び第2切断動作モードにおける鋸刃取付部の軌道を示す図である。
図21】本発明の実施の形態によるセーバソーの第1切断動作モードにおける鋸刃取付部の動作を示す図である。
図22】本発明の実施の形態によるセーバソーの第2切断動作モードにおける鋸刃取付部の動作を示す図である。
図23】従来の往復動工具を示す図であり、図23(A)は第1の従来の往復動工具を示し、図23(B)は第2の従来の往復動工具を示している。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態にかかる往復動工具の一例であるセーバソー1について図1図22を参照しながら説明する。以降の説明においては、図中の矢印で示されている「上」を上方向、「下」を下方向、「前」を前方向、「後」を後方向、「右」を右方向、「左」を左方向と定義する。
【0032】
<1.セーバソー1の全体構成の概要> 最初に、図1及び図2を参照しながら、セーバソー1の全体構成の概要について説明する。図1は、セーバソー1の外観を示す側面図である。図2は、セーバソー1の内部構造を示す縦断面図である。
【0033】
セーバソー1は、木材、鋼材、パイプ等の被加工材を切断するための電動式の往復動工具である。図1及び図2に示されているように、セーバソー1は、電池パックPを着脱可能なハウジング2と、ベース部3と、正転方向及び逆転方向に回転可能なモータ4と、制御部57(図3)を有する基板部5と、運動変換部6と、シャフト支持部7と、被加工材を切断するための鋸刃Bを取付可能な出力シャフト部8と、カウンタウェイト部9と、を備えている。
【0034】
セーバソー1においては、モータ4の回転によって出力シャフト部8をシャフト下死点(ベース部3から最も離間した最離間位置)とシャフト上死点(ベース部3に最も近接する最近接位置)との間で前後方向に往復動させることで、出力シャフト部8に取付けられた鋸刃Bを往復動させて切断作業を行う。また、セーバソー1においては、切断動作モードを、切断速度を優先した第1切断動作モードと鋸刃Bの寿命を考慮した第2切断動作モードと間で切替可能に構成されている。第1切断動作モードは、モータ4を正転方向に回転させることにより実現され、第2切断動作モードはモータ4を逆転方向に回転させることにより実現される。このように、セーバソー1においては、モータ4の回転方向を切替えることで、切断動作モードを第1切断動作モードと第2切断動作モードと間で切替えることができる。
【0035】
ハウジング2は、セーバソー1の外郭をなす部分である。ハウジング2は、図1及び図2に示されているように、ハンドルハウジング21と、モータハウジング22と、メカハウジング23と、ハウジングカバー24と、を有している。
【0036】
ハンドルハウジング21は、樹脂製であり、ハウジング2の後部を構成している。ハンドルハウジング21は、図2に示されているように、把持部211と、電池装着部212と、第1接続部213と、第2接続部214と、モータハウジング収容部215と、を有している。
【0037】
把持部211は、作業者によって把持される部分であり、上下方向に延びる略円筒形状を有している。把持部211内の上部には、スイッチ機構211Aが収容されており、スイッチ機構211Aの前方には、モータ4の始動及び停止を制御するための手動操作可能なトリガスイッチ211Bが設けられている。
【0038】
スイッチ機構211Aは、制御部57に接続されており、トリガスイッチ211Bに対して引操作が行われている間(すなわち、トリガスイッチ211Bが後方に押し込まれている間)、モータ4を始動するための始動信号を制御部57に出力する。また、スイッチ機構211Aは、当該引操作が解除されると、当該始動信号の出力を停止するように構成されている。
【0039】
電池装着部212は、把持部211の下部に接続されており、前後方向に延びている。電池装着部212は、基板部5を収容しており、電池装着部212の下部は、電池パックPを装着可能に構成されている。なお、電池パックPは、その内部にモータ4の駆動電源となる電池組を収容している。本実施形態において、電池組は、リチウムイオン等の二次電池を複数有している。
【0040】
第1接続部213は、把持部211の前上部から前方に延びており、把持部211の上部とモータハウジング収容部215の後上部とを接続している。
【0041】
第2接続部214は、電池装着部212の前部から前方斜め上方に延びており、電池装着部212の前部とモータハウジング収容部215の後下部とを接続している。第2接続部214は、把持部211と対向する壁部214Aを有しており、壁部214Aには、モード設定スイッチ214Bが設けられている。
【0042】
モード設定スイッチ214Bは、セーバソー1の切断動作モードを設定するための手動操作可能な操作部である。モード設定スイッチ214Bは、押圧式のボタンスイッチであり、ユーザによって押圧される毎に、切断動作モードを第1切断動作モードと第2切断モードとの間で切り替えるように構成されている。モード設定スイッチ214Bは、制御部57に接続されており、設定されている切断動作モードに対応する信号を制御部57に出力する。
【0043】
より詳細には、モード設定スイッチ214Bは、切断動作モードが第1切断動作モードに設定されている場合、モータ4を正転方向にさせるための正転信号を制御部57に出力し、切断動作モードが第2切断動作モードに設定されている場合、モータ4を逆転方向に回転させるための逆転信号を制御部57に出力する。なお、上記のように構成されたモード設定スイッチ214Bは、モータ4の回転方向を正転方向と逆転方向との間で切替えるための手動操作可能な操作部と捉えることもできる。
【0044】
モータハウジング収容部215は、把持部211の前方に位置しており、前後方向に延びる略円筒形状をなしている。モータハウジング収容部215は、モータハウジング22を収容している。
【0045】
モータハウジング22は、一体成形された樹脂製の部材であり、図2に示されているように、前後方向に延びるとともに前方に開口する有底円筒形状を有している。モータハウジング22は、モータ4を収容している。モータハウジングの底部分にはベアリング22Aが設けられる。
【0046】
メカハウジング23は、モータハウジング22の前部に接続されており、運動変換部6、シャフト支持部7、出力シャフト部8、及びカウンタウェイト部9を収容している。メカハウジング23は、第1メカハウジング231及び第2メカハウジング232を有している。
【0047】
第1メカハウジング231は、金属製であり、モータハウジング22の前部から前方に延びている。第1メカハウジング231は、運動変換部6、シャフト支持部7、及び出力シャフト部8を収容している。
【0048】
第2メカハウジング232は、金属製であり、第1メカハウジング231の下部に設けられている。第2メカハウジング232は、カウンタウェイト部9を収容している。第2メカハウジング232の詳細については、後述する。
【0049】
ハウジングカバー24は、樹脂製であり、メカハウジング23の全体を覆うように設けられている。
【0050】
ベース部3は、切断作業時に被加工材に当接させる部分であり、第1メカハウジング231の前方に設けられており、出力シャフト部8の前方に位置している。ベース部3は、切断作業時に被加工材に当接させる当接壁31を有している。
【0051】
当接壁31は、前後方向を厚み方向とする壁部であり、正面視において上下方向に延びる矩形状をなしている。当接壁31の前面は、切断作業時に被加工材に当接させるための当接面31Aを構成している。また、当接壁31の正面視略中央には、当接壁31を前後方向に貫通する挿通孔31aが形成されている。挿通孔31aには、出力シャフト部8に装着された状態の鋸刃Bが挿通される。
【0052】
モータ4は、正転方向及び逆転方向に回転可能なブラシレスモータであり、セーバソー1の駆動源(すなわち、運動変換部6、シャフト支持部7、出力シャフト部8、及びカウンタウェイト部9を駆動するための駆動源)である。モータ4は、モータシャフト41と、ピニオン42と、ロータ43と、ステータ44と、を有している。本実施の形態においては、モータ4を前方から見た場合の時計回り方向(正面視における時計回り方向)を正転方向、モータ4を前方から見た場合の反時計回り方向(正面視における反時計回り方向)を逆転方向と定義する。しかしながら、これに限られず、モータ4を前方から見た場合の時計回り方向を逆転方向、モータ4を前方から見た場合の反時計回り方向を正転方向と定義してもよい。
【0053】
モータシャフト41は、前後方向に延びており、モータハウジング22に設けられたベアリング22A及び第1メカハウジング231に設けられたベアリング231Aによって、回転可能に支持されている。
【0054】
ピニオン42は、モータシャフト41と同軸一体回転するようにモータシャフト41の前端部に設けられている。ピニオン42は、運動変換部6と噛合している。
【0055】
ロータ43は、モータシャフト41と同軸一体回転するようにモータシャフト41に固定されている。ロータ43の後端には、センサマグネット43Aがロータ43と一体に回転するように設けられている。
【0056】
ステータ44は、前後方向に延びる略円筒形状をなしており、ロータ43の周面を取囲むように設けられている。ステータ44の後方には、センサ基板45が設けられており、ステータ44の前方にはファン46が設けられている。
【0057】
センサ基板45は、正面視において円環形状をなす基板である。センサ基板45の前面には、ロータ43の回転位置を検出するための3つのホールIC45A(図3)が搭載されている。3つのホールIC45Aのそれぞれは、制御部57に接続されており、ロータ43の回転位置(すなわち、センサマグネット43Aの回転位置)を検出するための信号を制御部57に出力する。
【0058】
ファン46は、モータ4や基板部5を冷却するための冷却風をハウジング2の内部に発生させるための遠心ファンである。ファン46は、モータシャフト41と同軸一体回転するようにモータシャフト41に固定されている。
【0059】
運動変換部6は、モータ4の回転をシャフト支持部7の揺動、出力シャフト部8の前後方向の往復動、及びカウンタウェイト部9の前後方向の往復動に変換するための機構である。運動変換部6は、モータ4の回転によって駆動されることで上述の運動変換を行う。運動変換部6の詳細については、後述する。
【0060】
シャフト支持部7は、出力シャフト部8を前後方向に往復動可能に支持する部材であり、前後方向に延びている。シャフト支持部7は、第1メカハウジング231によって、揺動軸7Aを中心に揺動可能に支持されている。シャフト支持部7は、運動変換部6によって駆動されることで揺動軸7Aを中心に揺動する。揺動軸7Aは、前後方向に交差する方向に延びる軸、本実施形態においては、左右方向に延びる軸である。シャフト支持部7の詳細については後述する。
【0061】
出力シャフト部8は、シャフト下死点とシャフト上死点との間で前後方向に往復動を行う部材であり、前後方向に延びている。出力シャフト部8は、鋸刃Bが取付可能且つ取外し可能に構成されている。出力シャフト部8は、運動変換部6と係合しており、運動変換部6によって駆動されることで前後方向に往復動を行う。出力シャフト部8の詳細については後述する。
【0062】
鋸刃Bは、被加工材を切断するための先端工具であり、被取付部B1及び鋸本体B2を有している。被取付部B1は、出力シャフト部8に対して取付けられる部分であり、鋸刃Bの後端部を構成している。鋸本体B2は、鋸刃Bが出力シャフト部8に取付けられた状態において、被取付部B1から前方向に延びている。また、鋸本体B2の下縁部の略全域には、後斜め下方に突出する複数の刃が前後方向に並んで形成されている。
【0063】
カウンタウェイト部9は、出力シャフト部8の往復動に起因して発生する振動を低減するための部材であり、運動変換部6と係合している。カウンタウェイト部9は、運動変換部6によって駆動されることで、出力シャフト部8の移動方向とは反対方向に移動するように前後方向においてウェイト下死点(ベース部3から最も離れた最離間位置)とウェイト上死点(ベース部3に最も近接した最近接位置)との間で往復動を行う。具体的には、カウンタウェイト部9は、出力シャフト部8が前方向に移動する際には後方向に移動し且つ出力シャフト部8が後方向に移動する際には前方向に移動するようにウェイト下死点とウェイト上死点との間で往復動を行う。すなわち、カウンタウェイト部9は、出力シャフト部8の前後方向の往復動に起因する振動を低減するための振動低減動作を行う。カウンタウェイト部9の詳細については後述する。前方向は、本発明における「第1方向」の一例である。後方向は、本発明における「第2方向」の一例である。
【0064】
<2.セーバソー1の電気的構成> 次に、図3を参照しながらセーバソー1の電気的構成について説明する。図3は、セーバソー1の電気的構成を示すブロック図を含む回路図である。
【0065】
図3に示されているように、モータ4のロータ43は、N極及びS極を有する永久磁石を2組有している。また、ステータ44には、スター結線された3相のステータコイルU、V、Wが設けられている。
【0066】
基板部5は、電池接続端子部51と、インバータ回路52と、制御電源回路53と、電流検出回路54と、回転位置検出回路55と、駆動信号出力回路56と、制御部57と、を有している。
【0067】
電池接続端子部51は、電池パックPと電気的に接続される端子部であり、電池装着部212に設けられている。電池接続端子部51は、電池装着部212に電池パックPが装着された状態で、電池パックPに収容された電池組に接続されるように構成されている。
【0068】
インバータ回路52は、電池パックPの電力をモータ4に供給する回路である。インバータ回路52は、3相ブリッジ形式に接続された6個のFET52A~52Fを有している。6個のFET52A~51Fは、モータ4及び駆動信号出力回路56に接続されている。本実施の形態におけるインバータ回路52は、6個のFET52A~52Fを有しているが、これらに替えてIGBT等の他のスイッチング素子を有していてもよい。
【0069】
制御電源回路53は、制御部57等のセーバソー1の駆動に必要な回路に制御電源を供給する定電圧電源回路である。
【0070】
電流検出回路54は、モータ4に流れる電流を検出し、検出した電流の値を示す信号を制御部57に出力する回路である。
【0071】
回転位置検出回路55は、3個のホールIC45Aのそれぞれから出力された信号に基づいてロータ43の回転位置を検出し、検出した回転位置を示す回転位置信号を制御部57に出力する回路である。
【0072】
駆動信号出力回路56は、制御部57に接続されており、制御部57から出力される制御信号に基づいて、駆動信号を6個のFET52A~52Fのゲートに出力する回路である。
【0073】
制御部57は、図示せぬCPU、ROM、RAM等を備えており、モータ4の駆動制御を行うように構成されている。制御部57は、スイッチ機構211Aから出力される始動信号、モード設定スイッチ214Bから出力される信号、回転位置検出回路55から出力される回転位置信号等に基づいて、モータ4の回転を制御する。
【0074】
より詳細には、制御部57は、スイッチ機構211Aから始動信号が出力されており且つモード設定スイッチ214Bから正転信号が出力されている場合、6個のFET52A~56Fを正転スイッチングシーケンスに従ってスイッチングするための制御信号を駆動信号出力回路56に出力する。これにより、制御部57は、モータ4(ロータ43)を正転方向に回転させて、セーバソー1を第1切断動作モードで駆動する。一方、制御部57は、スイッチ機構211Aから始動信号が出力されており且つモード設定スイッチ214Bから逆転信号が出力されている場合、6個のFET52A~52Fを逆転スイッチングシーケンスに従ってスイッチングするための制御信号を駆動信号出力回路56に出力する。これにより、制御部57は、モータ4(ロータ43)を逆転方向に回転させて、セーバソー1を第2切断動作モードで駆動する。
【0075】
<3.運動変換部6、シャフト支持部7、出力シャフト部8、カウンタウェイト部9、及び第2メカハウジング232の詳細な説明> 次に、図4図12を参照しながら、運動変換部6、シャフト支持部7、出力シャフト部8、カウンタウェイト部9、及び第2メカハウジング232について詳細に説明する。図4は、運動変換部6、シャフト支持部7、出力シャフト部8、及びカウンタウェイト部9を示す部分拡大断面図である。
【0076】
<3-1.運動変換部6の詳細> 最初に、運動変換部6の詳細について説明する。運動変換部6は、図4に示されているように、軸受部61及び回転部62を有している。
【0077】
軸受部61は、回転部62を回転可能に支持するボールベアリングであり、第1メカハウジング231に設けられている。
【0078】
回転部62は、モータ4の回転によってその全体が回転軸6Aを中心に一体に回転する部分であり、回転シャフト621と、ベベルギヤ622と、揺動ガイドプレート623と、偏心ピン部624と、を有している。回転軸6Aは、上下方向に延びるとともに回転シャフト621の中心軸を通る軸である。
【0079】
回転部62の重心Gは、回転シャフト621、ベベルギヤ622、揺動ガイドプレート623、及び偏心ピン部624のそれぞれの重心や重量等を適宜決定することにより、回転シャフト621の内部(すなわち、回転シャフト621が占有する空間内)に位置するように構成されている。なお、本実施の形態においては、回転部62の重心Gは、回転軸6A上に位置するように構成されている。
【0080】
回転シャフト621は、上下方向に延びる円柱形状をなしており、軸受部61によって回転軸6Aを中心に回転可能(自転可能)に支持されている。
【0081】
ベベルギヤ622は、回転シャフト621の下端部に回転シャフト621と一体に設けられており、ベベルギヤ622の底面視における中心は回転軸6A上に位置している。ベベルギヤ622は、モータ4のピニオン42と噛合しており、モータ4が回転することで回転シャフト621と一体に回転軸6Aを中心に回転する。
【0082】
また、図5(A)及び図5(B)に示されているように、ベベルギヤ622には、カウンタウェイト部9を前後方向に往復動させるための駆動溝622aが形成されている。図5は、ベベルギヤ622に形成された駆動溝622aを説明するための図であり、図5(A)は、出力シャフト部8がシャフト下死点に位置している状態におけるベベルギヤ622の斜視図、図5(B)は、出力シャフト部8がシャフト下死点に位置している状態におけるベベルギヤ622の底面図である。
【0083】
駆動溝622aは、ベベルギヤ622の底面から上方に窪むカム溝であり、底面視においてカージオイド曲線形状をなしている。駆動溝622aにおける当該カージオイド曲線形状の尖点に対応する部分は、回転軸6A上に位置しており、駆動溝622aの幅方向の寸法は略一定である。
【0084】
図4に戻り、揺動ガイドプレート623は、シャフト支持部7を揺動軸7Aを中心にして揺動させるための部材である。揺動ガイドプレート623は、略円板形状をなしており、揺動ガイドプレート623の平面視における中心は回転軸6A上に位置している。揺動ガイドプレート623は、回転シャフト621の上部に固定されており、回転シャフト621と一体に回転軸6Aを中心に回転する。
【0085】
揺動ガイドプレート623は、図4図6(A)及び図6(B)に示されているように、円板部623A及び周壁部623Bを有している。図6は、揺動ガイドプレート623を説明するための図であり、図6(A)は、出力シャフト部8が下死点に位置している状態における揺動ガイドプレート623の平面図、図6(B)は、図6(A)のVIB-VIB断面図である。
【0086】
円板部623Aは、平面視において円形状をなす平板状の部分である。円板部623Aの平面視における中央部分には、上下方向に貫通する第1圧入孔623aが形成されている。第1圧入孔623aには、回転シャフト621の上部が圧入されている。これにより、揺動ガイドプレート623と回転シャフト621とが固定されている。また、円板部623Aの平面視における中心から回転シャフト621の径方向に離間した部分には、上下方向に貫通する第2圧入孔623bが形成されている。
【0087】
周壁部623Bは、シャフト支持部7の揺動軸7Aを中心とした揺動をガイドする部分である。周壁部623Bは、円板部623Aの周縁部全体から上方に突出するとともに平面視において円環状をなす壁部であり、円板部623Aと一体に形成されている。周壁部623Bは、回転シャフト621の周方向(すなわち、回転部62の回転方向)に沿って形状が連続的に変化している。具体的には、周壁部623Bは、その上下方向の寸法が回転シャフト621の周方向(すなわち、回転部62の回転方向)において一定ではなく異なっている。このため、円板部623Aの底面から周壁部623Bの上面までの高さ(以下、単に「高さ」とも呼ぶ)は、回転シャフト621の周方向において一定ではなく異なっている。
【0088】
また、図4に示されているように、周壁部623Bの最も後方に位置する部分は、シャフト支持部7に当接している。これにより、揺動ガイドプレート623が回転軸6Aを中心に回転することによって、周壁部623Bのうちのシャフト支持部7に当接している部分(周壁部623Bの後端部)の高さが変化し、シャフト支持部7が揺動軸7Aを中心に揺動駆動される。
【0089】
ここで、図6(A)、図6(B)、及び図7を参照しながら、周壁部623Bの高さについて詳細に説明する。図7は、図6(A)の状態における周壁部623Bの後端部である第1部分P1を0°として周壁部623B及び円板部623Aの周縁部を平面的に展開した平面展開図である。図6(A)に示されている周壁部623Bの第1部分P1、第2部分P2、第3部分P3、及び第4部分P4、及び第5部分P5は、それぞれ、図7における0°、90°、180°、270°、及び300°に対応する。なお、第1部分P1、第2部分P2、第3部分P3、及び第4部分P4は、それぞれ、図6(A)の状態における周壁部623Bの後端部、左端部、前端部、及び右端部である。
【0090】
図7に示されているように、周壁部623Bの高さは、第1部分P1から第2部分P2を経由して第3部分P3に至るまでは単調減少しており、図6(B)及び図7に示されているように、第3部分P3において最も低いH1となる。なお、図7に示されているように、高さの減少の程度は、第1部分P1から第2部分P2に向かうにつれて徐々に大きくなっており、第2部分P2から第3部分P3に向かうにつれて徐々に小さくなっている。一方、第3部分P3から第4部分P4及び第5部分P5を経由して第1部分P1に至るまではサイン関数的に変化しており、図6(B)及び図7に示されているように、第5部分P5において最も高いH2(>H1)となる。
【0091】
偏心ピン部624は、図4に示されているように、上下方向に延びる略円柱形状をなしており、出力シャフト部8と係合している。偏心ピン部624は、回転軸6Aから回転シャフト621の径方向に離間して位置しており、揺動ガイドプレート623が回転することで回転軸6Aの周りを周回する周回運動を行う。偏心ピン部624は、偏心ピン624A及びニードルベアリング624Bを有している。
【0092】
偏心ピン624Aは、上下方向に延びる略円柱形状をなしており、揺動ガイドプレート623の第2圧入孔623bに圧入されている。これにより、偏心ピン624Aは、揺動ガイドプレート623に対して固定される。ニードルベアリング624Bは、偏心ピン624Aの周面を囲むように設けられている。
【0093】
<3-2.シャフト支持部7の詳細> 次に、シャフト支持部7の詳細について説明する。シャフト支持部7は、図4及び図8に示されているように、フレーム部71と、第1リニア軸受部72と、第2リニア軸受部73と、当接ボールベアリング74と、第1固定プレート75と、第2固定プレート76と、を有している。図8は、シャフト支持部7及び出力シャフト部8を示す分解斜視図である。なお、図8においては、図面の煩雑を避けるため、シャフト支持部7のフレーム部71及び出力シャフト部8の取付機構83B(後述)の図示が省略されている。
【0094】
フレーム部71は、シャフト支持部7の外郭をなす金属性の部分であり、前後方向に延びている。また、フレーム部71は、第1メカハウジング231の内部に設けられた揺動シャフト231Cによって揺動軸7Aを中心にして揺動可能に支持されている。揺動シャフト231Cは、左右方向に延びる円柱形状をなしており、揺動シャフト231Cの中心軸は揺動軸7A上に位置している。揺動シャフト231Cの左右方向における両端部は、第1メカハウジング231の内面に固定されている。
【0095】
フレーム部71は、図4に示されているように、角筒フレーム711と、第1U字状フレーム712と、第2U字状フレーム713と、左側接続フレーム714と、図示せぬ右側接続フレームと、左側揺動シャフト受部715と、図示せぬ右側揺動シャフト受部と、を有している。
【0096】
角筒フレーム711は、フレーム部71の前端部を構成する部分であり、前方に開口するとともに正面視において矩形状をなす有底角筒形状を有している。角筒フレーム711には、シャフト挿通孔711aが形成されている。シャフト挿通孔711aは、角筒フレーム711の底部(後壁)を前後方向に貫通する孔であり、正面視において円形状をなしている。シャフト挿通孔711aには、出力シャフト部8が挿通されている。
【0097】
第1U字状フレーム712は、角筒フレーム711の後端部から後方に延びる部分であり、前後方向に直交する断面形状が下方に開口するU字形状をなしている。第1U字状フレーム712は、当該U字形状を形成する上壁部、左壁部、及び右壁部を有している。第1U字状フレーム712の左壁部及び右壁部のそれぞれには、それらの下面から上方に窪む図示せぬネジ孔が形成されており、第1固定プレート75が第1U字状フレーム712の左壁部の下面と右壁部の下面とに跨るように図示せぬ2本のボルトによって固定されている。
【0098】
第2U字状フレーム713は、図4に示されているように、フレーム部71の後端部を構成する部分であり、第1U字状フレーム712と前後方向に所定の間隔を空けて第1U字状フレーム712の後方に設けられている。第2U字状フレーム713は、背面視において下方に開口するU字形状をなしており、前後方向に延びている。第2U字状フレーム713は、当該U字形状を形成する上壁部、左壁部、及び右壁部を有している。
【0099】
第2U字状フレーム713の左壁部及び右壁部のそれぞれには、それらの下面から上方に窪む図示せぬネジ孔が形成されており、第2固定プレート76が第2U字状フレーム713の左壁部の下面と右壁部の下面とに跨るように図示せぬ2本のボルトによって固定されている。また、第2U字状フレーム713の後上部と第1メカハウジング231の上部の内側面との間には、第2U字状フレーム713(すなわち、シャフト支持部7の後部)を下方に付勢するスプリング231Bが設けられている。
【0100】
左側接続フレーム714は、図4に示されているように、前後方向に延びており、第1U字状フレーム712の後端部の左上部と第2U字状フレーム713の前端部の左上部とを接続している。右側接続フレームは、前後方向に延びており、第1U字状フレーム712の後端部の右上部と第2U字状フレーム713の前端部の右上部とを接続する部分である。
【0101】
左側揺動シャフト受部715は、第1U字状フレーム712の左壁部の下端部から下方に延びており、側面視において下方に凸となる略半円形状をなしている。左側揺動シャフト受部715には、揺動シャフト231Cを挿通するための左右方向に貫通する貫通孔715aが形成されている。
【0102】
右側揺動シャフト受部は、左側揺動シャフト受部715と同一の形状を有しており、第1U字状フレーム712の右壁部の下端部から下方に延びている。左側揺動シャフト受部715と同様に、右側揺動シャフト受部にも、揺動シャフト231Cを挿通するための左右方向に貫通する貫通孔が形成されている。
【0103】
左側揺動シャフト受部715に形成された貫通孔715aには、揺動シャフト231Cの左端部が挿通され、右側揺動シャフト受部に形成された貫通孔には、揺動シャフト231Cの右端部が挿通されている。これにより、シャフト支持部7(フレーム部71)が揺動軸7Aを中心にして揺動可能に支持される。
【0104】
第1リニア軸受部72は、出力シャフト部8の前部(詳細には、後述の第1シャフト82)を前後方向に往復動可能に支持する部材である。第1リニア軸受部72は、図8に示されているように、支持壁部72A及び複数の転動部材72Bを備えている。
【0105】
支持壁部72Aは、複数の転動部材72Bを支持する部分であり、左側壁部材721及び右側壁部材722を有している。図4に示されているように、左側壁部材721及び右側壁部材722は、第1U字状フレーム712の上壁部の下面と、左壁部の右側面と、右壁部の左側面と、第1固定プレート75の上面とによって画成された空間に収容されており、第1U字状フレーム712(すなわち、フレーム部71)に対して固定されている。
【0106】
左側壁部材721は、基壁721Aと、上側突出壁721Bと、下側突出壁721Cと、前側突出壁721Dと、後側突出壁721Eと、を有している。
【0107】
基壁721Aは、左右方向を厚み方向とする壁であり、側面視において前後方向に延びる矩形状をなしている。上側突出壁721Bは、基壁721Aの上端部から右方に突出する壁であり、上下方向を厚み方向とするとともに前後方向に延びている。上側突出壁721Bは、基壁721Aの下端部から右方に突出する壁であり、上下方向を厚み方向とするとともに前後方向に延びている。前側突出壁721Dは、基壁721Aの前端部から右方に突出する壁であり、前後方向を厚み方向とするとともに上下方向に延びている。後側突出壁721Eは、基壁721Aの後端部から右方に突出する壁であり、前後方向を厚み方向とするとともに上下方向に延びている。
【0108】
また、図9(A)に示されているように、基壁721Aと上側突出壁721Bとの接続部分は背面視において左上方に凸となるように湾曲し、基壁721Aと下側突出壁721Cとの接続部分は背面視において左下方に凸となるように湾曲している。また、基壁721Aと前側突出壁721Dとの接続部分は平面視において左前方に凸となるように湾曲し、基壁721Aと後側突出壁721Eとの接続部分は平面視において左後方に凸となるように湾曲している。図9は、支持壁部72A及び複数の転動部材72Bを説明するための図であり、図9(A)は、図4のIXA-IXA断面図である。
【0109】
右側壁部材722は、図8に示されているように、基壁722Aと、上側突出壁722Bと、下側突出壁722Cと、前側突出壁722Dと、後側突出壁722Eと、を有している。なお、第1リニア軸受部72は、左右対称且つ上下対称に構成されているため、左側壁部材721と右側壁部材722とは、左右方向に直交し且つ第1リニア軸受部72の中心を通る平面に関して対称である。このため、右側壁部材722の構成についての詳細な説明は省略する。
【0110】
複数の転動部材72Bは、金属製の球体状の部材であり、互いに同一の形状である。複数の転動部材72Bは、出力シャフト部8を前後方向に往復動可能に支持している。複数の転動部材72Bは、出力シャフト部8の前後方向の往復動に伴って、支持壁部72A及び出力シャフト部8と接触した状態で転動しながら前後方向に往復動を行う。転動部材72Bは、本発明における「ボール部材」の一例である。
【0111】
複数の転動部材72Bは、図8図9(A)~図9(D)に示されているように、複数の第1転動部材723と、複数の第2転動部材724と、複数の第3転動部材725と、複数の第4転動部材726と、を有している。なお、本実施の形態においては、第1リニア軸受部72は、第1転動部材723、第2転動部材724、第3転動部材725、及び第4転動部材726をそれぞれ3個ずつ有している。図9(B)は、図9(A)の部分拡大図である。図9(C)は、図9(A)のIXCD-IXCD断面図であり、出力シャフト部8がシャフト上死点に位置している状態における複数の第1転動部材723及び複数の第4転動部材726の位置を示している。図9(D)は、図9(A)のIXCD-IXCD断面図であり、出力シャフト部8がシャフト下死点に位置している状態における複数の第1転動部材723及び複数の第4転動部材726の位置を示している。
【0112】
複数の第1転動部材723及び複数の第2転動部材724は、第1シャフト82と左側壁部材721との間に介在しており、複数の第3転動部材725及び複数の第4転動部材726は、第1シャフト82と右側壁部材722との間に介在している。複数の第1転動部材723は、互いに接触した状態で前後方向に並んでいる。複数の第2転動部材724、複数の第3転動部材725、及び複数の第4転動部材726についても同様である。
【0113】
複数の第1転動部材723、複数の第2転動部材724、複数の第3転動部材725、及び複数の第4転動部材726のそれぞれのうちの最も前側に位置する転動部材72Bは、第1シャフト82の周方向(出力シャフト部8の周方向)に等間隔で並んでおり、これらの前後方向の位置は一致している。複数の第1転動部材723、複数の第2転動部材724、複数の第3転動部材725、及び複数の第4転動部材726のそれぞれのうちの最も後側に位置する転動部材72Bの互いの位置関係及び中間に位置する転動部材72Bの互いの位置関係も上記と同様である。
【0114】
すなわち、複数の転動部材72Bは、前後方向に並ぶ3個の転動部材72Bによって形成される転動部材列を4つ形成しており、当該4つの転動部材列は、第1シャフト82の周方向に等間隔で並んでいる。また、別の観点から見ると、複数の転動部材72Bは、第1シャフト82の周方向に等間隔で並ぶ4個の転動部材72Bによって形成される転動部材列を3つ形成しており、当該3つの転動部材列は、前後方向に並んでいる。
【0115】
また、複数の転動部材72Bのそれぞれは、支持壁部72Aに2点で接触し且つ第1シャフト82(出力シャフト部8)と一点で接触している。ここで、図9(B)を参照しながら、複数の転動部材72Bと支持壁部72A及び第1シャフト82(出力シャフト部8)との接触点について説明する。なお、第1リニア軸受部72は左右対称且つ上下対称に構成されているため、複数の第1転動部材723の最も前側に位置する第1転動部材723を例にとって説明する。
【0116】
第1転動部材723は、図9(B)に示されているように、左側壁部材721の基壁721Aの右面と第1壁接触点C1で接触し、左側壁部材721の上側突出壁721Bの下面と第2壁接触点C2で接触し、第1シャフト82とシャフト接触点C3で接触している。第1壁接触点C1及び第2壁接触点C2は、第1転動部材723の中心Xとシャフト接触点C3とを通る第1軸A1に関して、互いに反対側に位置している。また、第1壁接触点C1及び第2壁接触点C2のそれぞれは、第1軸A1及び前後方向の両方に直交し且つ中心Xを通る第2軸A2に関して、シャフト接触点C3とは反対側に位置している。
【0117】
上記のように構成された第1転動部材723は、出力シャフト部8がシャフト下死点からシャフト上死点に向かって前方向に移動する際に、左側壁部材721及び第1シャフト82に対して略滑ることなく第2軸A2を中心として転動しながら前方向に移動する。一方、第1転動部材723は、出力シャフト部8がシャフト上死点からシャフト下死点に向かって後方向に移動する際には、左側壁部材721及び第1シャフト82に対して略滑ることなく第2軸A2を中心として転動しながら後方向に移動する。すなわち、第1転動部材723は、出力シャフト部8の前後方向の往復動に伴って、左側壁部材221及び第1シャフト82に対して略滑ることなく第2軸A2を中心に転動しながら出力シャフト部8(第1シャフト82)に沿って前後方向に往復動を行う。
【0118】
また、第1壁接触点C1と第2軸A2との距離D1(すなわち、第1軸A1の延びる方向における第1壁接触点C1と第2軸A2との距離)は、第2壁接触点C2と第2軸A2との距離D2(すなわち、第1軸A1の延びる方向における第2壁接触点C2と第2軸A2との距離)と同一である。さらに、距離D1及び距離D2は、シャフト接触点C3と第2軸A2との距離D3(すなわち、第1軸A1の延びる方向におけるシャフト接触点C3と第2軸A2との距離)よりも短く構成されている。
【0119】
このため、第1転動部材723が前後方向に往復動した場合の第1転動部材723の左側壁部材721に対する相対移動距離は、第1転動部材723の第1シャフト82に対する相対移動距離よりも短くなり、図10に示されているように、複数の転動部材72Bの前後方向の往復動のストロークS1は、出力シャフト部8の前後方向の往復動のストロークS2よりも短くなる。図10は、複数の転動部材72Bの往復動のストロークS1及び出力シャフト部8の往復動のストロークS2を説明するための図であり、上段は出力シャフト部8がシャフト上死点に位置している状態を示しており、下段は出力シャフト部8がシャフト上死点に位置している状態を示している。
【0120】
また、図9(C)に示されているように、出力シャフト部8がシャフト上死点に位置する状態においては、複数の第1転動部材723のうちの最も前側に位置する第1転動部材723が左側壁部材721の前側突出壁721Dの後面に接触する。一方、出力シャフト部8がシャフト下死点に位置する状態においては、図9(D)に示されているように、複数の第1転動部材723のうちの最も後側に位置する第1転動部材723が左側壁部材721の後側突出壁721Eの前面に接触する。これにより、複数の第1転動部材723の移動が規制され、複数の第1転動部材723が左側壁部材721と出力シャフト部8(第1シャフト82)との間の空間から外部へ脱落することが防止される。なお、前側突出壁721Dと後側突出壁721Eとで区画される第1転動部材723の転動可能な領域においては、出力シャフト部8がシャフト上死点からシャフト下死点までの移動に伴って転動する第1転動部材723の移動量以上の空間が確保される。これによって、第1転動部材723は略滑ることがない。すなわち、出力シャフト部8がシャフト下死点に位置している状態における前側突出壁721Dと第1転動部材723との間の距離は、出力シャフト部8の前方向への移動に伴う第1転動部材723の転動距離以上(前方への移動距離以上)である。
【0121】
図4に戻り、第2リニア軸受部73は、出力シャフト部8の後部(詳細には、後述の第2シャフト84)を前後方向に往復動可能に支持するメタル軸受である。第2リニア軸受部73は、フレーム部71の第2U字状フレーム713の上壁部の下面と、左壁部の右面と、右壁部の左面と、第2固定プレート76の上面とによって画成される空間に収容されており、第2U字状フレーム713に対して固定されている。
【0122】
第2リニア軸受部73は、図4及び図8に示されているように、前後方向に延びる直方体部73Aと、直方体部73Aの前端から前方に突出する円筒部73Bと、を有している。また、第2リニア軸受部73には、直方体部73A及び円筒部73Bを前後方向に貫通する挿通孔73aが形成されており、挿通孔73aには出力シャフト部8の第2シャフト84が挿通されている。これにより、第2リニア軸受部73は、第2シャフト84を前後方向に往復動可能に支持している。
【0123】
当接ボールベアリング74は、図4に示されているように、第2リニア軸受部73の円筒部73Bに設けられている。当接ボールベアリング74の内輪は、円筒部73Bの外周面に固定されており、当接ボールベアリング74の外輪は、シャフト支持部7の後部を下方に付勢するスプリング231Bの付勢力によって、揺動ガイドプレート623の周壁部623Bの後端部の上面に押圧されている。このため、当接ボールベアリング74の外輪は、揺動ガイドプレート623が回転軸6Aを中心に回転すると、当接ボールベアリング74の内輪に対して回転しながら、周壁部623Bの後端部の上面の高さの変化に追従して上下方向に往復動する。これにより、シャフト支持部7は、揺動ガイドプレート623(回転部62)の回転に伴って揺動軸7Aを中心に揺動する。
【0124】
<3-3.出力シャフト部8の詳細> 次に、出力シャフト部8の詳細について説明する。出力シャフト部8は、鋸刃Bが取付可能に構成されており、鋸刃Bが取付けられた状態で切断作業を行う部分である。出力シャフト部8は、図4及び図8に示されているように、往復動変換部材81と、第1シャフト82と、鋸刃取付部83と、第2シャフト84と、を有している。
【0125】
往復動変換部材81は、図4に示されているように、側面視において下方に開口するU字形状をなすとともに左右方向に延びる部材であり、フレーム部71の第1U字状フレーム712と第2U字状フレーム713との間に位置している。往復動変換部材81には、偏心ピン部624が挿入されている。往復動変換部材81は、偏心ピン部624の周回運動における前後方向の成分のみを受け取って出力シャフト部8の前後方向の往復動に変換する。
【0126】
第1シャフト82は、図8に示されているように、往復動変換部材81から前方に延びる円筒形状の部分である。第1シャフト82は、第1リニア軸受部72に挿通されており、第1リニア軸受部72によって前後方向に往復動可能に支持されている。
【0127】
鋸刃取付部83は、図4に示されているように、第1シャフト82の前端に設けられており、鋸刃Bが取付可能且つ取外し可能に構成されている。鋸刃取付部83は、円筒部83A及び取付機構83Bを有している。
【0128】
円筒部83Aは、図8に示されているように、第1シャフト82から前方向に延びる円柱形状をなす部分である。円筒部83Aには、鋸刃Bの被取付部B1を受け入れるための取付スリット83aが形成されている。取付スリット83aは、円筒部83Aを上下方向に貫通するとともに円筒部83Aの前面から後方に延びている。
【0129】
取付機構83Bは、取付スリット83aに挿入された被取付部B1の円筒部83Aに対する固定及び当該固定の解除を行うための機構であり、図4に示されているように、円筒部83Aの外周面に設けられている。鋸刃取付部83に対する鋸刃Bの取付及び取外しは、取付機構83Bに対するユーザの操作によって行われる。
【0130】
第2シャフト84は、図8に示されているように、往復動変換部材81から後方に延びる円筒形状の部分である。第2シャフト84は、第2リニア軸受部73の挿通孔73aに挿通されており、第2リニア軸受部73によって前後方向に往復動可能に支持されている。また、第2シャフト84の中心軸は、第1シャフト82の中心軸と一致している。
【0131】
<3-4.第2メカハウジング232の詳細> 次に、第2メカハウジング232の詳細について説明する。第2メカハウジング232は、図11(A)及び図11(B)に示されているように、上下方向に延びる略有底円筒形状をなしており、底壁232Aと、周壁232Bと、4つのボルト挿通部232Cと、を有している。図11は、第2メカハウジング232を説明するための図であり、図11(A)は、第2メカハウジング232の斜視図、図11(B)は、第2メカハウジング232の平面図である。
【0132】
底壁232Aは、平面視において円形状をなしており、底壁232Aの平面視における中心は回転軸6A上に位置している。底壁232Aには、第1ガイド溝232a及び第2ガイド溝232bが形成されている。
【0133】
第1ガイド溝232a及び第2ガイド溝232bは、カウンタウェイト部9が往復動軸9Aに沿って前後方向に直線的に往復動するようにカウンタウェイト部9をガイドするための溝である。なお、往復動軸9Aは、回転軸6Aを通り前後方向に延びる軸である。第1ガイド溝232a及び第2ガイド溝232bは、それぞれ、底壁232Aの左部及び右部に形成されている。第1ガイド溝232a及び第2ガイド溝232bは、互いに同一形状であり、底壁232Aの上面から下方に窪むとともに前後方向に直線状に延びている。
【0134】
周壁232Bは、底壁232Aの周縁部全域から上方向に延びており、平面視において円環形状をなしている。4つのボルト挿通部232Cは、周壁232Bの外周面に等間隔で設けられており、上下方向に延びる略円筒形状をなしている。第2メカハウジング232は、4つのボルト挿通部232Cにそれぞれ挿通された4本の図示せぬボルトによって、第1メカハウジング231の下部に固定されている。
【0135】
<3-5.カウンタウェイト部9の詳細> 次に、カウンタウェイト部9の詳細について説明する。カウンタウェイト部9は、図12(A)及び図12(B)に示されているように、ウェイト本体91と、第1駆動力伝達部材92と、第2駆動力伝達部材93と、第1被ガイド部材94と、第2被ガイド部材95と、を有している。図12は、カウンタウェイト部9を説明するための図であり、図12(A)は、出力シャフト部8が下死点に位置している状態のカウンタウェイト部9、回転シャフト621、ベベルギヤ622、及び第2メカハウジング232を示す分解斜視図、図12(B)は、出力シャフト部8が下死点に位置している状態のカウンタウェイト部9、回転シャフト621、ベベルギヤ622、及び第2メカハウジング232を示す他の分解斜視図である。
【0136】
ウェイト本体91は、出力シャフト部8の往復動に起因する振動を低減するために必要な重量のうちの大部分を担うウェイトであり、平面視において対称的な曲線2つを繋ぎ合わせたような外形(紡錘形、アーモンド形状)をなしている。ウェイト本体91は、第1駆動力伝達部材92、第2駆動力伝達部材93、第1被ガイド部材94、及び第2被ガイド部材95を介して、ベベルギヤ622と第2メカハウジング232の底壁232Aとによって前後方向に往復動可能に支持されている。ウェイト本体91には、第1係合溝91aと、第2係合溝91bと、第3係合溝91cと、第4係合溝91dとが形成されている。
【0137】
第1係合溝91a及び第2係合溝91bは、図11(A)に示されているように、ウェイト本体91の上面から下方に窪む溝である。第1係合溝91a及び第2係合溝91bは、それぞれ、ウェイト本体91の上部の前端部及び後端部に形成されている。第1係合溝91a及び第2係合溝91bは、互いに同一形状であり、平面視において円形状をなしている。
【0138】
第3係合溝91c及び第4係合溝91dは、図11(B)に示されているように、ウェイト本体91の下面から上方に窪む溝である。第3係合溝91c及び第4係合溝91dは、それぞれ、ウェイト本体91の下部の左端部及び右端部に形成されている。第3係合溝91c及び第4係合溝91dは、互いに同一形状であり、底面視において円形状をなしている。
【0139】
第1駆動力伝達部材92及び第2駆動力伝達部材93は、ベベルギヤ622の駆動溝622aから駆動力を受けて当該駆動力をウェイト本体91に伝達する部材であり、球体形状をなしている。第1駆動力伝達部材92及び第2駆動力伝達部材93は、互いに同一形状であり、これらの直径は、第1係合溝91a及び第2係合溝91bの直径よりも大きく且つ駆動溝622aの幅よりも大きく構成されている。
【0140】
第1駆動力伝達部材92の上部及び第2駆動力伝達部材93の上部は、駆動溝622aに係合しており、第1駆動力伝達部材92及び第2駆動力伝達部材93は、駆動溝622aに沿ってベベルギヤ622に対して相対移動可能である。
【0141】
一方、第1駆動力伝達部材92の下部及び第2駆動力伝達部材93の下部は、それぞれ、第1係合溝91a及び第2係合溝91bに係合している。このため、第1駆動力伝達部材92及び第2駆動力伝達部材93は、互いに相対移動不能であり且つウェイト本体91に対しても相対移動不能である。すなわち、第1駆動力伝達部材92及び第2駆動力伝達部材93は、ウェイト本体91と一体に前後方向に往復動を行う。このため、第1駆動力伝達部材92及び第2駆動力伝達部材93も、ウェイト本体91と同様に、出力シャフト部8の往復動に起因する振動を低減するために必要な重量のうちの一部を担うウェイトである。
【0142】
上記のように構成された第1駆動力伝達部材92及び第2駆動力伝達部材93は、ウェイト本体91とベベルギヤ622との間に介在しており、ウェイト本体91とベベルギヤ622との間で自転可能に構成されている。言い換えれば、第1駆動力伝達部材92は第1係合溝91a及び駆動溝622aに係合した状態で自転可能であり、第2駆動力伝達部材93は第2係合溝91b及び駆動溝622aに係合した状態で自転可能である。このため、カウンタウェイト部9が往復動駆動されている間、第1駆動力伝達部材92及び第2駆動力伝達部材93は自転を行いながらウェイト本体91と一体に移動する。
【0143】
第1被ガイド部材94及び第2被ガイド部材95は、それぞれ、第1ガイド溝232a及び第2ガイド溝232bにガイドされる部材である。第1被ガイド部材94及び第2被ガイド部材95は、互いに同一形状であり、球体形状をなしている。第1被ガイド部材94及び第2被ガイド部材95の直径は、第3係合溝91c及び第4係合溝91dの直径よりも大きく且つ第1ガイド溝232a及び第2ガイド溝232bの左右方向の幅よりも大きく構成されている。
【0144】
第1被ガイド部材94の下部及び第2被ガイド部材95の下部は、それぞれ、第1ガイド溝232a及び第2ガイド溝232bに係合している。このため、第1被ガイド部材94及び第2被ガイド部材95は、それぞれ、第1ガイド溝232a及び第2ガイド溝232bに対する左右方向への移動が規制されるとともに、第1ガイド溝232a及び第2ガイド溝232bに沿って底壁232Aに対して前後方向に相対移動可能である。
【0145】
一方、第1被ガイド部材94の上部及び第2被ガイド部材95の上部は、それぞれ、第3係合溝91c及び第4係合溝91dに係合している。このため、第1被ガイド部材94及び第2被ガイド部材95は、互いに相対移動不能であり且つウェイト本体91に対しても相対移動不能である。すなわち、第1被ガイド部材94及び第2被ガイド部材95は、ウェイト本体91、第1駆動力伝達部材92、及び第2駆動力伝達部材93と一体に前後方向に往復動を行う。このため、第1被ガイド部材94及び第2被ガイド部材95も、ウェイト本体91と同様に、出力シャフト部8の往復動に起因する振動を低減するために必要な重量のうちの一部を担うウェイトである。なお、ウェイト本体91、第1駆動力伝達部材92、第2駆動力伝達部材93、第1被ガイド部材94、及び第2被ガイド部材95のそれぞれの重量は、カウンタウェイト部9の往復動のストローク、出力シャフト部8全体の重量、出力シャフト部8のストロークS1等を考慮して、出力シャフト部8の往復動に起因した前後方向の振動を相殺できるよう適宜決定される。
【0146】
上記のように構成された第1被ガイド部材94及び第2被ガイド部材95は、ウェイト本体91と第2メカハウジング232の底壁232Aとの間に介在しており、ウェイト本体91と底壁232Aとの間で自転可能に構成されている。言い換えれば、第1被ガイド部材94は第3係合溝91c及び第1ガイド溝232aに係合した状態で自転可能であり、第2被ガイド部材95は第4係合溝91d及び第2ガイド溝232bに係合した状態で自転可能である。このため、カウンタウェイト部9が往復動駆動されている間、第1被ガイド部材94及び第2被ガイド部材95は自転を行いながらウェイト本体91と一体に移動する。
【0147】
上記のように構成されたカウンタウェイト部9は、底壁232Aに対して左右方向への移動が規制され前後方向の直線的な移動のみが許容されているため、ベベルギヤ622が回転すると、第1駆動力伝達部材92及び第2駆動力伝達部材93が駆動溝622aに沿ってベベルギヤ622に対して相対移動し、カウンタウェイト部9全体が一体に往復動軸9Aに沿って前後方向に直線的に往復動を行う。なお、第2メカハウジング232は、底壁232Aと周壁232Bとからなる有底の容器形状を成すが、周壁232Bはベベルギヤ622の外径よりわずかに大きい径をなし、ベベルギヤ622の一部は周壁232Bによって囲われている。これによって、容器状の第2メカハウジング232の開放領域(上方への開口部分)がベベルギヤ622によって閉塞されるため、カウンタウェイト部9に対応する潤滑材が第2メカハウジング232から漏れ出ることを抑制でき、カウンタウェイト部9の寿命向上を実現している。
【0148】
<4.セーバソー1の動作> 次に、セーバソー1の動作について説明する。セーバソー1の動作の説明においては、第1切断動作モードにおけるセーバソー1の動作概略、第1切断動作モードにおけるシャフト支持部7、出力シャフト部8、及びカウンタウェイト部9の動作詳細、第2切断動作モードにおけるシャフト支持部7、出力シャフト部8、及びカウンタウェイト部9の動作、及び第1切断動作モード及び第2切断動作モードにおける鋸刃取付部83の動作詳細について説明する。
【0149】
<4-1.第1切断動作モードにおけるセーバソー1の動作概略> 最初に、第1切断動作モードにおけるセーバソー1の動作概略を説明する。切断動作モードが第1切断動作モードに設定されている状態でユーザがトリガスイッチ211Bに対して引操作を行うと、スイッチ機構211Aが始動信号の出力を開始する。これにより、制御部57がモータ4を正転方向に回転させるための制御信号の出力を開始し、モータ4の駆動が開始される。
【0150】
モータ4の駆動が開始されると、ロータ43、モータシャフト41、及びピニオン42が一体に正転方向に回転し、ピニオン42と噛合しているベベルギヤ622が平面視反時計回り(上方から見て反時計回り)に回転する。これにより、回転部62全体が一体に回転軸6Aを中心として平面視反時計回りに回転する。すなわち、回転シャフト621、ベベルギヤ622、及び揺動ガイドプレート623が回転軸6Aを中心として平面視反時計回りに回転し、偏心ピン部624が平面視反時計回りに回転軸6Aの周りを周回する。
【0151】
回転部62全体が一体に回転すると、揺動ガイドプレート623の回転によってシャフト支持部7全体が揺動軸7Aを中心として揺動し、偏心ピン部624の周回運動によって出力シャフト部8全体が前後方向に往復動を行い、ベベルギヤ622の回転によってカウンタウェイト部9全体が出力シャフト部8の移動方向とは反対方向に移動するように往復動軸9Aに沿って前後方向に往復動を行う。また、出力シャフト部8の鋸刃取付部83は、シャフト支持部7の揺動動作と出力シャフト部8の前後方向の往復動によって第1切断動作モードにおける動作を行う。
【0152】
なお、切断動作モードが第2切断動作モードに設定されている場合、第1切断モードの場合とは異なり、モータ4が逆転方向に回転して回転部62全体が平面視時計回りに回転するが、その他の動作概略は第1切断モードと同様である。このため、第2切断モードにおけるセーバソー1の動作概略については省略する。
【0153】
<4-2.第1切断動作モードにおけるシャフト支持部7、出力シャフト部8、及びカウンタウェイト部9の動作詳細> 次に、図13図18を参照しながら、第1切断動作モードにおけるシャフト支持部7、出力シャフト部8、及びカウンタウェイト部9の動作について詳細に説明する。以下においては、出力シャフト部8がシャフト下死点に位置しているときの回転部62の回転角度を0°とし、回転部62の平面視反時計回りの回転角度を第1回転角度と呼ぶ。また、シャフト上死点とシャフト下死点との中間の位置をシャフト中間点と呼び、ウェイト上死点とウェイト下死点との中間の位置をウェイト中間点と呼ぶ。なお、上述したように、第1切断動作モードにおいては、モータ4は正転方向に回転し、回転部62は平面視反時計回り方向に回転する。
【0154】
図13乃至図15は、シャフト支持部7、出力シャフト部8、及びカウンタウェイト部9の動作を説明するための図であり、セーバソー1の縦断面図である。図13は回転部62の第1回転角度が0°の状態、図14は回転部62の第1回転角度が180°の状態、図15は回転部62の第1回転角度が300°の状態を示している。図16及び図17は、カウンタウェイト部9の動作を説明するための図であり、上段はウェイト本体91の縦断面図、中段は図4のXVI-XVI断面図、下段は図4のXVII-XVII断面図である。図16(A)は回転部62の第1回転角度が0°の状態、図16(B)は回転部62の第1回転角度が45°の状態、図16(C)は回転部62の第1回転角度が90°の状態、図16(D)は回転部62の第1回転角度が135°の状態、図17(A)は回転部62の第1回転角度が180°の状態、図17(B)は回転部62の第1回転角度が225°の状態、図17(C)は回転部62の第1回転角度が270°の状態、図17(D)は回転部62の第1回転角度が315°の状態を示している。図18は、第1切断動作モードにおける出力シャフト部8、周壁部623Bの後端部、当接ボールベアリング74、シャフト支持部7の前端、及びカウンタウェイト部9の動作及び位置と回転部62の第1回転角度との関係を示す図である。
【0155】
図13及び図18に示されているように、出力シャフト部8がシャフト下死点に位置するとき、すなわち、回転部62の第1回転角度が0°のとき、シャフト支持部7の当接ボールベアリング74は、揺動ガイドプレート623の周壁部623Bの第1部分P1と当接している。また、カウンタウェイト部9は、図13図16(A)、及び図18に示されているように、ウェイト上死点に位置している。
【0156】
回転部62が第1回転角度0°の状態(図13の状態)から平面視反時計回り方向に90°回転すると、図18に示されているように、出力シャフト部8はシャフト下死点からシャフト中間点まで前方に移動する。また、回転部62の当該回転に伴って、周壁部623Bのうちの当接ボールベアリング74に当接している部分(すなわち、周壁部623Bの後端部)は第1部分P1から第1部分P1よりも低い第2部分P2まで遷移し、当接ボールベアリング74は図13の状態から僅かに下方に移動する。これにより、シャフト支持部7は、その後端(第2リニア軸受部73の後端)が下方に移動するように揺動軸7Aを中心に揺動し、揺動軸7Aよりも前方に位置するシャフト支持部7の前端(角筒フレーム711の前端)は、図13の状態から僅かに上方に移動する。その結果、シャフト支持部7に支持された出力シャフト部8もシャフト支持部7と同様に揺動する。
【0157】
さらに、回転部62の上記回転に伴って、ベベルギヤ622の駆動溝622aは、図16(A)の状態から図16(B)の状態を経由して図16(C)の状態まで回転軸6Aを中心として底面視時計回り方向に90°回転する。これにより、駆動溝622aに係合しているカウンタウェイト部9の第1駆動力伝達部材92及び第2駆動力伝達部材93は互いの離間距離を所定距離に維持した状態で後方に移動するように駆動される。その結果、カウンタウェイト部9全体(ウェイト本体91、第1駆動力伝達部材92、第2駆動力伝達部材93、第1被ガイド部材94、及び第2被ガイド部材95)が、ウェイト上死点(図16(A)の状態)からウェイト中間点(図16(C)の状態)まで後方に移動する。すなわち、カウンタウェイト部9は、出力シャフト部8のシャフト下死点からシャフト中間点までの前方への移動に同期して、ウェイト上死点からウェイト中間点まで出力シャフト部8の移動方向とは反対方向の後方に移動する。
【0158】
回転部62が第1回転角度90°の状態から平面視反時計回り方向に第1回転角度180°の状態(図14の状態)までさらに回転すると、図18に示されているように、出力シャフト部8はシャフト中間点からさらに前方に移動してシャフト上死点(図14の状態)に到達する。また、回転部62の当該回転に伴って、周壁部623Bのうちの当接ボールベアリング74に当接している部分は第2部分P2から最も低い第3部分P3まで遷移し、当接ボールベアリング74はさらに下方に移動して最下位置(図14の状態)に到達する。これにより、シャフト支持部7は、その後端がさらに下方に移動するように揺動軸7Aを中心に揺動し、シャフト支持部7の前端は、さらに上方に移動して最上位置(図14の状態)に到達する。その結果、シャフト支持部7に支持された出力シャフト部8もシャフト支持部7と同様に揺動する。
【0159】
さらに、回転部62の上記回転に伴って、ベベルギヤ622の駆動溝622aは図16(C)の状態から図16(D)の状態を経由して図17(A)の状態まで回転軸6Aを中心として底面視時計回り方向に90°回転する。これにより、カウンタウェイト部9の第1駆動力伝達部材92及び第2駆動力伝達部材93が互いの離間距離を維持した状態でさらに後方に移動するように駆動される。その結果、カウンタウェイト部9全体がウェイト中間点(図16(C)の状態)からさらに後方に移動してウェイト下死点(図17(A)の状態)に到達する。すなわち、カウンタウェイト部9は、出力シャフト部8のシャフト中間点からシャフト上死点までの前方への移動に同期して、ウェイト中間点からウェイト下死点まで出力シャフト部8の移動方向とは反対方向の後方に移動する。
【0160】
回転部62が第1回転角度180°の状態(図14の状態)から平面視反時計回りに第1回転角度270°の状態までさらに回転すると、図18に示されているように、出力シャフト部8はシャフト上死点(図14の状態)からシャフト中間点まで後方に移動する。また、回転部62の当該回転に伴って、周壁部623Bのうちの当接ボールベアリング74に当接している部分は最も低い第3部分P3から第4部分P4まで遷移し、当接ボールベアリング74は最下位置(図14の状態)から上方に移動する。これにより、シャフト支持部7は、その後端が上方に移動するように揺動軸7Aを中心に揺動し、シャフト支持部7の前端は、最上位置(図14の状態)から下方に移動する。その結果、シャフト支持部7に支持された出力シャフト部8もシャフト支持部7と同様に揺動する。
【0161】
さらに、回転部62の上記回転に伴って、ベベルギヤ622の駆動溝622aは図17(A)の状態から図17(B)の状態を経由して図17(C)の状態まで回転軸6Aを中心として底面視時計回りに90°回転する。これにより、第1駆動力伝達部材92及び第2駆動力伝達部材93が互いの離間距離を維持した状態で前方に移動するように駆動される。その結果、カウンタウェイト部9全体がウェイト下死点(図17(A)の状態)からウェイト中間点(図17(C)の状態)まで前方に移動する。すなわち、カウンタウェイト部9は、出力シャフト部8のシャフト上死点からシャフト中間点までの後方への移動に同期して、ウェイト下死点からウェイト中間点まで出力シャフト部8の移動方向とは反対方向の前方に移動する。
【0162】
回転部62が第1回転角度270°から平面視反時計回り方向に第1回転角度300°までさらに回転すると、出力シャフト部8はシャフト中間点からシャフト中間点とシャフト下死点との間の位置までさらに後方に移動する。また、図18に示されているように、回転部62の当該回転に伴って、周壁部623Bのうちの当接ボールベアリング74に当接している部分は第4部分P4から最も高い第5部分P5まで遷移し、当接ボールベアリング74はさらに上方に移動して最上位置(図15の状態)に到達する。これにより、シャフト支持部7は、その後端がさらに上方に移動するように揺動軸7Aを中心に揺動し、シャフト支持部7の前端は、さらに下方に移動して最下位置(図15の状態)に到達する。その結果、シャフト支持部7に支持された出力シャフト部8もシャフト支持部7と同様に揺動する。
【0163】
回転部62が第1回転角度300°から平面視反時計回り方向に第2回転角度360°(すなわち0°)までさらに回転すると、図18に示されているように、出力シャフト部8はさらに後方に移動して下死点に戻る。また、回転部62の当該回転に伴って、周壁部623Bのうちの当接ボールベアリング74に当接している部分は最も高い第5部分P5から第1部分P1まで遷移し、当接ボールベアリング74は最上位置(図15の状態)から下方に移動して図13の状態に戻る。これにより、シャフト支持部7は、その後端が下方に移動するように揺動軸7Aを中心に揺動し、シャフト支持部7の前端は、最下位置(図15の状態)から上方に移動して図13の状態に戻る。その結果、シャフト支持部7に支持された出力シャフト部8もシャフト支持部7と同様に揺動する。
【0164】
また、上述の回転部62の第1回転角度270°から360°までの回転に伴って、ベベルギヤ622の駆動溝622aは、図17(C)の状態から図17(D)の状態を経由して図16(A)の状態まで回転軸6Aを中心として底面視時計回りに90°回転する。これにより、第1駆動力伝達部材92及び第2駆動力伝達部材93は互いの離間距離を維持した状態でさらに前方に移動するように駆動される。その結果、カウンタウェイト部9全体がウェイト中間点(図17Cの状態)からさらに前方に移動してウェイト上死点(図16(A)の状態)に戻る。すなわち、カウンタウェイト部9は、出力シャフト部8のシャフト中間点からシャフト下死点までの後方への移動に同期して、ウェイト中間点からウェイト上死点まで出力シャフト部8の移動方向とは反対方向の前方に移動する。
【0165】
その後、回転部62がさらに平面視反時計回り方向に回転を継続すると、シャフト支持部7、出力シャフト部8、及びカウンタウェイト部9は、上述の動作を繰り返す。
【0166】
<4-3.第2切断動作モードにおけるシャフト支持部7、出力シャフト部8、及びカウンタウェイト部9の動作> 次に、図19を参照しながら、第2切断動作モードにおけるシャフト支持部7、出力シャフト部8、及びカウンタウェイト部9の動作について説明する。なお、第2切断動作モードの説明においては、主に、第1切断動作モードとは異なる点について説明し、詳細な説明は省略する。また、以下においては、回転部62の平面視時計回りの回転角度を第2回転角度と呼ぶ。図19は、第2切断動作モードにおける出力シャフト部8、周壁部623Bの後端部、当接ボールベアリング74、シャフト支持部7の前端、及びカウンタウェイト部9の動作及び位置と回転部62の第2回転角度との関係を示す図である。
【0167】
第2切断動作モードにおいては、上述したように、モータ4は逆転方向に回転し、回転部62は平面視時計回り方向に回転する。回転部62が第2回転角度0°から平面視時計回り方向に第2回転角度360°まで回転(すなわち、一回転)すると、図19に示されているように、出力シャフト部8は、第1切断動作モード時と同様に、回転部62が平面視時計回りに90°回転する毎に、シャフト下死点、シャフト中間点、シャフト上死点、シャフト中間点、シャフト下死点の順に移動する。また、カウンタウェイト部9も、第1切断動作モード時と同様に、出力シャフト部8のシャフト下死点からシャフト上死点までの前方への移動に同期して、ウェイト上死点からウェイト下死点まで後方に移動し、その後、出力シャフト部8のシャフト上死点からシャフト下死点までの後方への移動に同期して、ウェイト下死点からウェイト上死点まで前方に移動する。
【0168】
一方、周壁部623Bのうちの当接ボールベアリング74に当接する部分(周壁部623Bの後端部)は、第1切断動作モード時とは異なり、回転部62の上記一回転に伴い、第1部分P1(第2回転角度0°)、第5部分P5(第2回転角度60°)、第4部分P4(第2回転角度90°)、第3部分P3(第2回転角度180°)、第2部分P2(第2回転角度270°)、第1部分P1(第2回転角度360°)の順で遷移する。このため、シャフト支持部7の前端の位置及び動作も第1切断動作モード時とは異なる。
【0169】
具体的には、第2切断動作モードにおいて回転部62が平面視時計回りに回転を開始すると、シャフト支持部7の前端は下方向へ移動し、回転部62の第2回転角度が60°になったときに最下位置に到達する。その後、回転部62の第2回転角度が60°を超えると、シャフト支持部7の前端は上方向に移動し、回転部62の第2回転角度が180°になったときに最上位置に到達する。そして、回転部62の第2回転角度が180°を超えると、再び下方向に移動し、回転部62の第2回転角度が360°を経て420°(60°)となるまで下方向への移動を継続する。なお、当接ボールベアリング74の位置及び動作は、図19に示されているように、シャフト支持部7の前端の位置及び動作と逆になっているだけなので、シャフト支持部7の前端の位置及び動作についての説明は省略する。
【0170】
<4-4.第1切断動作モード及び第2切断動作モードにおける鋸刃取付部83の動作詳細> 次に、図20乃至図22を参照しながら、第1切断動作モード及び第2切断動作モードにおける鋸刃取付部83の動作について詳細に説明する。なお、鋸刃取付部83に取付けられた鋸刃Bの動作は鋸刃取付部83の動作と同様となるため、鋸刃取付部83に取付けられた鋸刃Bの動作については詳細な説明を省略する。図20は、第1切断動作モード及び第2切断動作モードにおける鋸刃取付部83の軌道Oを示す図である。図21は、第1切断動作モードにおける鋸刃取付部83の動作を示す図である。図22は、第2切断動作モードにおける鋸刃取付部83の動作を示す図である。
【0171】
第1切断動作モード及び第2切断動作モードにおいては、上述の出力シャフト部8の前後方向の往復動作に上述の出力シャフト部8の揺動動作(シャフト支持部7の揺動動作に起因する揺動)が合成され、鋸刃取付部83は図20に示されている軌道Oを描くように動作する。なお、軌道Oは、第1切断動作モード及び第2切断動作モードにおける鋸刃取付部83の中心(鋸刃取付部83の平面視中心且つ正面視中心)の軌道である。
【0172】
軌道Oは、図20に示されているように、後側端点E1と、前側端点E2と、下側軌道O1と、上側軌道O2と、を有している。後側端点E1は、軌道O上の最も後方に位置する点、すなわち、軌道O上おいてベース部3から最も遠い点である。前側端点E2は、軌道O上の最も前方に位置する点、すなわち、軌道O上においてベース部3に最も近い点である。
【0173】
ここで、図20に示されている直線L1、切断方向C、第1領域、及び第2領域について説明する。直線L1は、後側端点E1と前側端点E2とを結ぶ直線である。切断方向Cは、切断作業時に被加工材を切断する方向であり、本実施の形態においては、鋸刃取付部83に取付けられた状態の鋸刃Bの側面と直交する直線(本実施の形態においては、左右方向に延びる直線)及び直線L1の両方と直交する方向において、鋸刃Bの背部から刃に向かう方向である。
【0174】
第1領域及び第2領域は、切断方向Cと直交し且つ直線L1を含む平面Fによって分けられる2つの領域である。第1領域は、当該2つの領域のうち、より切断方向C側に位置する領域である。なお、平面Fは、鋸刃取付部83に取付けられた状態の鋸刃Bの側面と直交するとともに直線L1を通る直線と、直線L1と、を含む平面と捉えることもできる。
【0175】
図20に示されているように、下側軌道O1及び上側軌道O2は、後側端点E1と前側端点E2とを結ぶ互いに異なった湾曲軌道である。より具体的には、下側軌道O1及び上側軌道O2は切断方向Cに凸となる凸形状を有しており、下側軌道O1の全体及び上側軌道O2の全体は第1領域内に位置している。また、下側軌道O1の湾曲の程度は上側軌道O2よりも大きく、下側軌道O1上において最も直線L1から離れた点である最離間点K1と直線L1との距離D4は、上側軌道O2上において最も直線L1から離れた点である最離間点K2と直線L1との距離D5よりも大きい。また、後側端点E1における下側軌道O1と直線L1との交差角度は、後側端点E1における上側軌道O2と直線L1との交差角度よりも大きく、且つ、前側端点E2における下側軌道O1と直線L1との交差角度は、前側端点E2における上側軌道O2と直線L1との交差角度よりも大きい。
【0176】
図21に示されているように、第1切断動作モードにおける鋸刃取付部83は、軌道O上を右側面視において時計回りに移動する。より詳細には、回転部62が第1回転角度0°から90°まで平面視反時計回りに回転すると、矢印M1で示されているように、鋸刃取付部83は後側端点E1から最離間点K2まで上側軌道O2上を移動する。その後、回転部62が第1回転角度90°から180°まで平面視反時計回りに回転すると、矢印M2に示されているように、最離間点K2から前側端点E2まで上側軌道O2上を移動する。
【0177】
さらに、回転部62が第1回転角度180°から270°まで平面視反時計回りに回転すると、矢印M3に示されているように、鋸刃取付部83は前側端点E2から最離間点K1まで下側軌道O1上を移動する。その後、回転部62が第1回転角度270°から360°まで平面視反時計回りに回転すると、矢印M4に示されているように、鋸刃取付部83は最離間点K1から点K3を経由して後側端点E1まで下側軌道O1上を移動する。なお、点K3は、第1切断動作モードにおいて回転部62が第1回転角度0°から300°まで平面視反時計回りに回転したときに鋸刃取付部83が到達する点であり、鋸刃取付部83が点K3に到達したとき、シャフト支持部7の前端の位置が最下位置に位置する。
【0178】
このように、第1切断動作モードにおける鋸刃取付部83の後側端点E1から前側端点E2までの前方への移動(すなわち、被加工材の切断に寄与しない非切断動作)の際の軌道(以下、第1往路軌道)は、湾曲の程度が小さい上側軌道O2である。一方、第1切断動作モードにおける鋸刃取付部83の前側端点E2から後側端点E1までの後方への移動(すなわち、被加工材の切断を行うための切断動作)の際の軌道(以下、第1復路軌道)は、湾曲の程度が大きい下側軌道O1である。すなわち、第1切断動作モードにおいては、湾曲の程度が小さい上側軌道O2を非切断動作の際の軌道である第1往路軌道に割り当て、湾曲の程度が大きい下側軌道O1を切断動作の際の軌道である第1復路軌道に割り当てることで、鋸刃取付部83に取付けられた鋸刃Bによる切断力を向上させ、切断速度を優先した切断動作モードを実現している。
【0179】
また、第1切断動作モードにおいては、鋸刃取付部83の後側端点E1から最離間点K2までの移動(矢印M1)及び前側端点E2から最離間点K1までの移動(矢印M3)は、被加工材に近接する方向の移動(以下、近接移動)であるが、最離間点K2から前側端点E2までの移動(矢印M2)及び最離間点K1から後側端点E1までの移動(矢印M4)は、被加工材から離間する方向の移動(以下、離間移動)である。すなわち、第1切断動作モードにおける鋸刃取付部83の動作は、鋸刃取付部83が軌道Oを一周する間(回転部62が1回転する間)に、近接移動、離間移動、近接移動、離間移動の順に変化する。このため、第1切断動作モードにおける離間移動の継続時間は、鋸刃取付部83が軌道Oを一周するために要する時間の4分の1である。すなわち、第1切断動作モードにおいては、鋸刃取付部83の離間移動の継続時間を、図23(A)に示されているような従来の楕円軌道を用いた構成の約半分とすることができる。
【0180】
なお、軌道Oを一周する間に離間移動する総時間は、軌道Oを一周するために必要な時間の約半分であり、総時間においては図23(A)に示される例と比較してさほど変化はない。また、本構成によれば引接してから離間する際の離間距離(K1またはK2から第2領域側に移動する距離)も大幅に小さくすることができ、図23(A)に示す例と比較して半分以下にすることができる。なお、上側軌道O2は直線L1と同様の軌道とし、上側軌道O2では近接と離間の移動が行われないように構成してもよい。この場合でも、離間移動の継続時間を減少させることができる。また、離間距離を小さくすることもできる。また、上側軌道O2を直線とし、これを復路として動作させる場合、前側端点E2における復路軌道と直線L2との交差角度は0度となる。
【0181】
図22に示されているように、第2切断動作モードにおける鋸刃取付部83は、軌道O上を右側面視において反時計回りに移動する。より詳細には、回転部62が第2回転角度0°から90°まで平面視時計回りに回転すると、矢印M5で示されているように、鋸刃取付部83は後側端点E1から点K3を経由して最離間点K1まで下側軌道O1上を移動する。なお、点K3は、第2切断動作モードにおいて回転部62が第2回転角度0°から60°まで平面視時計回りに回転したときに鋸刃取付部83が到達する点である。その後、回転部62が第2回転角度90°から180°まで平面視時計回りに回転すると、矢印M6に示されているように、最離間点K1から前側端点E2まで下側軌道O1上を移動する。
【0182】
さらに、回転部62が第2回転角度180°から270°まで平面視時計回りに回転すると、矢印M7に示されているように、鋸刃取付部83は前側端点E2から最離間点K2まで上側軌道O2上を移動する。その後、回転部62が第2回転角度270°から360°まで平面視時計回りに回転すると、矢印M8に示されているように、鋸刃取付部83は最離間点K2から後側端点E1まで上側軌道O2上を移動する。
【0183】
このように、第2切断動作モードにおける鋸刃取付部83の後側端点E1から前側端点E2までの前方への移動(すなわち、被加工材の切断に寄与しない非切断動作)の際の軌道(以下、第2往路軌道)は、湾曲の程度が大きい下側軌道O1である。一方、第2切断動作モードにおける鋸刃取付部83の前側端点E2から後側端点E1までの後方への移動(すなわち、被加工材の切断を行うための切断動作)の際の軌道(以下、第2復路軌道)は、湾曲の程度が小さい上側軌道O2である。すなわち、第2切断動作モードにおいては、湾曲の程度が大きい下側軌道O1を非切断動作の際の軌道である第2往路軌道に割り当て、湾曲の程度が小さい上側軌道O2を切断動作の際の軌道である第2復路軌道に割り当てることで、鋸刃取付部83に取付けられた鋸刃Bの刃の摩耗を抑制し、鋸刃Bの寿命を考慮した切断動作モードを実現している。第1往路軌道、第1復路軌道、第2往路軌道、及び第2復路軌道は、出力シャフト部8がシャフト支持部7に支持された状態でシャフト上死点とシャフト下死点との間を往復動するとともにシャフト支持部7が揺動軸7Aを中心に揺動することで画定される。
【0184】
また、第2切断動作モードにおいては、鋸刃取付部83の後側端点E1から最離間点K1までの移動(矢印M5)及び前側端点E2から最離間点K2までの移動(矢印M7)は、近接移動であるが、最離間点K1から前側端点E2までの移動(矢印M6)及び最離間点K2から後側端点E1までの移動(矢印M8)は、離間移動である。すなわち、第2切断動作モードにおいても、第1切断動作モードと同様に、離間移動の継続時間は鋸刃取付部83が軌道Oを一周するために要する時間の4分の1である。すなわち、第2切断動作モードにおいても、鋸刃取付部83の離間移動の継続時間を、図23(A)に示されているような従来の楕円軌道を用いた構成の約半分とすることができる。
【0185】
<5.セーバソー1における作用及び効果> 本実施形態によるセーバソー1においては、モータ4と、被加工材を切断するための鋸刃Bが取付可能であり且つモータ4の回転によって前方への移動と後方への移動とを交互に繰返す往復動を行う鋸刃取付部83と、被加工材に当接させるための当接面31Aを有し鋸刃取付部83よりも前方に位置するベース部3と、を備えている。また、上記の鋸刃取付部83の前方への移動は後側端点E1(始点)から後側端点E1よりもベース部3に近い前側端点E2(終点)までの移動であり、上記の鋸刃取付部83の後方への移動は前側端点E2(終点)から後側端点E1(始点)までの移動である。また、上述の第1切断動作モードにおける第1往路軌道(上側軌道O2)及び第1復路軌道(下側軌道O1)は、切断方向Cに凸となる凸形状を有する湾曲軌道である。さらに、第1往路軌道の全体及び前記第1復路軌道の全体は、平面Fよりも前記切断方向側に位置し、第1復路軌道上における直線L1から最も離間した最離間点K1と直線L1との距離D4は、第1往路軌道上における直線L1から最も離間した最離間点K2と直線L1との距離D5よりも大きい。
【0186】
上記構成によれば、図23(A)に示されているような楕円軌道を用いた従来の構成と比較して、鋸刃取付部83及び鋸刃取付部83に取付けられた鋸刃Bの離間移動の継続時間を短くすることができる。これにより、安定した切断作業の開始を行うことが可能となる。また、上記構成においては、非切断動作の際の軌道である第1往路軌道が湾曲の程度が小さい上側軌道O2であり且つ切断動作の際の軌道である第1復路軌道が湾曲の程度が大きい下側軌道O1である。このため、図23(B)に示されているような鋸刃の切断動作の際の軌道である復路軌道が鋸刃の非切断動作の際の往路軌道と同一である従来の構成と比較して、鋸刃Bの摩耗及び変形の進行を抑制することができる。これにより、鋸刃Bの寿命を長くすることができ、作業性を良好に保つことができる。
【0187】
また、本実施形態によるセーバソー1においては、第1切断動作モード(モータ4の回転方向が正転方向である場合)における鋸刃取付部83の前方への移動の際の軌道である第1往路軌道は、第1切断動作モード(モータ4の回転方向が正転方向である場合)における鋸刃取付部83の後方への移動の際の軌道である第1復路軌道とは異なる。また、第2切断動作モード(モータ4の回転方向が逆転方向である場合)における鋸刃取付部83の前方への移動の際の軌道である第2往路軌道は、第2切断動作モード(モータ4の回転方向が逆転方向である場合)における鋸刃取付部83の後方への移動の際の軌道である第2復路軌道とは異なる。さらに、第1復路軌道と前記第2復路軌道とが互いに異なっており、且つモータ4は正転方向及び逆転方向に回転可能である。
【0188】
上記構成によれば、モータ4の回転方向を正転方向と逆転方向との間で切り替えるだけで、鋸刃取付部83の後方への移動の際の軌道(すなわち、切断動作の際の軌道)を、第1復路軌道と前記第2復路軌道との間で切り替えることができる。言い換えれば、鋸刃取付部83の軌道を機械的に切り替えるための部材を設けることなく、モータ4の回転方向の切替のみで、鋸刃取付部83の軌道(すなわち、鋸刃取付部83に取付けられた鋸刃Bの軌道)を切り替えることができる。このため、鋸刃Bの軌道を機械的に切替えるための部材を設ける必要がなく、当該部材の摩耗、変形、破損等に起因したセーバソー1の寿命低下が起こり得ない。さらに、鋸刃の軌道の切替えを機械的に行う従来の構成と比較して、部品点数を少なくすることができる。これにより、切断動作モードを変更可能な構成において、長寿命化、組立性の向上、及び生産コストの低減が可能である。
【0189】
上記構成において、前記第1復路軌道は、前記被加工材を切断する方向である切断方向に凸となる凸形状をなすとともに前記切断方向における端点である第1端点を有し、前記第2復路軌道は、前記切断方向に凸となる凸形状をなすとともに前記切断方向における端点である第2端点を有し、前記第1端点及び前記第2端点のうちの一方は、前記第1端点及び前記第2端点のうちの他方よりも前記切断方向側に位置していることが好ましい。
【0190】
このような構成によれば、切断動作モードとして、切断速度を優先したモード及び鋸刃Bの寿命を考慮したモードの2種類のモードを実現することができる。
【0191】
また、本実施の形態によるセーバソー1においては、モータ4の回転方向を切替えるための手動操作可能なモード設定スイッチ214Bを備えている。このため、モード設定スイッチ214Bを操作するという簡易な操作のみで切断動作モードの切替え行うことができる。
【0192】
また、本実施の形態によるセーバソー1においては、モータ4の回転によって前方に延びる往復動軸9Aに沿って直線的に往復動し鋸刃取付部83の往復動に起因する振動を低減するカウンタウェイト部9を有している。このため、鋸刃取付部83の往復動に起因する振動を低減することができ、セーバソー1の操作性を向上させることができる。
【0193】
また、本実施の形態によるセーバソー1においては、出力シャフト部8が前方向に移動する際に後方向に移動し且つ出力シャフト部8が後方向に移動する際に前方向に移動する振動低減動作を行うように構成されたカウンタウェイト部9を備えている。また、運動変換部6は、モータ4が回転することによって上下方向に延びる回転軸6Aを中心に回転する回転部62を有し、回転部62にはカウンタウェイト部9を駆動するための駆動溝622aが形成されている。さらに、カウンタウェイト部9は、駆動溝622aと係合するとともに回転部62が回転することによって駆動溝622aから駆動力を受ける第1駆動力伝達部材92を有しており、第1駆動力伝達部材92が受ける駆動力によって振動低減動作を行う。
【0194】
このような構成によれば、回転部62に形成された駆動溝622aによってカウンタウェイト部9が駆動される。別の観点から見ると、駆動溝622aから駆動力を受ける第1駆動力伝達部材92によってカウンタウェイト部9全体が駆動されるため、第1駆動力伝達部材92はカウンタウェイト部9を駆動する駆動部材として機能するとともに出力シャフト部8の往復動に起因する振動の低減にも寄与する。このため、カウンタウェイト部9を駆動するための駆動部材として出力シャフト部8の往復動による振動の低減に寄与しない部材を別途設ける必要がない。これにより、全体重量を軽量化し且つ生産コストを低減しつつ、出力シャフト部8の往復動による振動を好適に低減することができる。
【0195】
また、セーバソー1における第1駆動力伝達部材92は、駆動溝622a及びウェイト本体91と係合するとともに駆動溝622aとウェイト本体91との間で自転可能である。このため、駆動溝622aよるカウンタウェイト部9の駆動を円滑にすることができる。
【0196】
また、セーバソー1においては、駆動溝622a及びウェイト本体91と係合するとともに駆動溝622aとウェイト本体91との間で自転可能な第2駆動力伝達部材93をさらに有しており、第1駆動力伝達部材92及び第2駆動力伝達部材93は、カウンタウェイト部9の振動低減動作の間、互いの離間距離を所定距離に保った状態で移動する。
【0197】
このような構成によれば、第1駆動力伝達部材92及び第2駆動力伝達部材93によって駆動溝622aから駆動力を受けるため、カウンタウェイト部9の振動低減動作を安定して行うことができる。
【0198】
また、セーバソー1における第1駆動力伝達部材92は、回転部62が回転することによって、出力シャフト部8が前方向に移動する際に後方向に移動し且つ出力シャフト部8が後方向に移動する際に前方向に移動する往復動作を行う。また、ウェイト本体91は、第1駆動力伝達部材92の往復動作によって駆動され、出力シャフト部8が前方向に移動する際に後方向に移動し且つ出力シャフト部8が後方向に移動する際に前方向に移動する往復動作を行う。
【0199】
このような構成によれば、カウンタウェイト部9の第1駆動力伝達部材92がカウンタウェイト部9のウェイト本体91を駆動する駆動部材として機能するとともに出力シャフト部8の往復動に起因する振動の低減にも寄与する。このため、ウェイト本体91を駆動するための駆動部材として出力シャフト部8の往復動による振動の低減に寄与しない部材を別途設ける必要がない。これにより、全体重量を軽量化し且つ生産コストを低減しつつ、出力シャフト部の往復動による振動を好適に低減することができる。
【0200】
また、セーバソー1における第1駆動力伝達部材92は、駆動溝622aと係合するとともに回転部62が回転することによって駆動溝622aから駆動力を受けて往復動を行う。このため、第1駆動力伝達部材92を駆動するための駆動部材として出力シャフト部8の往復動による振動の低減に寄与しない部材を別途設ける必要がない。これにより、全体重量をより軽量化でき且つ生産コストをさらに低減することができる。
【0201】
また、本実施の形態によるセーバソー1において、駆動溝622aは、底面視においてカージオイド曲線形状をなしているため、好適にカウンタウェイト部9を駆動することができる。
【0202】
また、本実施の形態によるセーバソー1において、回転部62の重心Gは、回転軸6A上に位置しているため、回転部62の回転によって振動が発生することを防止することができる。なお、回転部62の重心Gが回転シャフト621の内部に位置する構成であれば、回転部62の重心Gが回転軸6Aの近傍に位置するため、回転部62の回転に起因する振動を十分に抑制することができる。
【0203】
また、セーバソー1においては、カウンタウェイト部9は、前方向に延びる往復動軸9Aに沿って直線的に往復動する振動低減動作を行うようメカハウジング23によってガイドされている。このため、カウンタウェイト部9の振動低減動作によって左右方向の振動が発生することを防止できる。
【0204】
また、本実施の形態によるセーバソー1におけるシャフト支持部7は、出力シャフト部8と接触して出力シャフト部8を支持するとともに出力シャフト部8の往復動に伴って出力シャフト部8に沿って転動しながら往復動を行う1以上の転動部材72Bを有している。
【0205】
このような構成によれば、出力シャフト部8を往復動可能に支持する1以上の転動部材72Bが出力シャフト部8と接触した状態で出力シャフト部8の往復動に伴って出力シャフト部8に沿って転動しながら往復動を行うため、出力シャフト部8とシャフト支持部7との間に発生する摩擦熱を抑制することができる。これにより、シャフト支持部7及び出力シャフト部8の摩耗を抑制し、セーバソー1の長寿命化を図ることが可能となる。
【0206】
また、本実施の形態によるセーバソー1において、1以上の転動部材72Bは複数の転動部材72Bである。このため、複数の転動部材72Bで出力シャフト部8を往復動可能に支持するため、安定した出力シャフト部8の往復動を実現することができる。
【0207】
また、セーバソー1における複数の転動部材72Bは1以上の転動部材列を形成しており、当該1以上の転動部材列のそれぞれは、出力シャフト部8の周方向に並ぶ2以上の転動部材72Bによって形成されている。このため、出力シャフト部8の周方向に並ぶ2以上の転動部材72Bによって形成された転動部材列によって出力シャフト部8が往復動可能に支持される。これにより、より安定した出力シャフト部8の往復動を実現することができる。
【0208】
また、本実施の形態によるセーバソー1において、上記の1以上の転動部材列は複数の転動部材列であり、当該複数の転動部材列は前後方向に並んでいる。このため、前後方向に並んだ複数の転動部材列によって出力シャフト部8が往復動可能に支持される。このため、さらに安定した出力シャフト部8の往復動を実現することができる。
【0209】
また、セーバソー1において、複数の転動部材72Bは1以上の転動部材列を形成しており、当該1以上の転動部材列のそれぞれは前後方向に並ぶ2以上の前記転動部材72Bによって形成されている。このため、前後方向に並ぶ2以上の転動部材72Bによって形成された転動部材列によって出力シャフト部8が往復動可能に支持される。これにより、より安定した出力シャフト部の往復動を実現することができる。
【0210】
また、本実施の形態によるセーバソー1において、上記の1以上の転動部材列は複数の転動部材列であり、当該複数の転動部材列は出力シャフト部8の周方向に並んでいる。このため、出力シャフト部8の周方向に並んだ複数の転動部材列によって出力シャフト部8が往復動可能に支持される。このため、さらに安定した出力シャフト部の往復動を実現することができる。
【0211】
また、セーバソー1において、1以上の転動部材72Bのそれぞれは球体形状であるため、出力シャフト部8とシャフト支持部7との間に発生する摩擦熱をより抑制することができる。
【0212】
また、本実施の形態によるセーバソー1においては、1以上の転動部材72Bのそれぞれの往復動のストロークS2は、出力シャフト部8の往復動のストロークS1よりも短い。このため、1以上の転動部材72Bを支持する支持壁部72Aの前後方向の寸法を小さくすることができ、生産コストを低減することができる。
【0213】
また、セーバソー1においては、モータ4と、始点(後側端点E1)から終点(前側端点E2)への移動及び当該終点から当該始点への移動を交互に繰返す往復動を行う鋸刃取付部83と、被加工材に当接させるための当接面31Aを有し鋸刃取付部83の前記終点側(前方)に位置するベース部3と、モータ4を制御する制御部57と、を備えており、制御部57は、モータ4の回転方向を正転方向及び逆転方向との間で切替えることで、上記終点から上記始点への移動の際の鋸刃取付部83の軌道を、第1復路軌道と第2復路軌道との間で切替え可能である。さらに、第1復路軌道は、上記始点と上記終点とを結ぶ直線L1から、被加工材を切断する方向である切断方向Cに凸となるような凸形状を有しており、且つ、上記終点において直線L1と所定角度で交差する湾曲軌道である。また、第2復路軌道は、上記終点における直線L1との交差角度がゼロ(0)となるような直線、又は、上記終点における交差角度が上記所定角度よりも小さくゼロよりも大きい切断方向Cに凸となる湾曲軌道である。
【0214】
また、セーバソー1においては、第1復路軌道と直線L1との始点(後側端点E1)における交差角度は、第1往路軌道と直線L1との当該始点における交差角度よりも大きい。このような構成によると、第1往路軌道は切断に寄与しないため、鋸刃Bにかかる必要以上の押付け作用を低減することができる。
【0215】
また、セーバソー1においては、第1復路軌道の直線L1との終点(前側端点E2)における交差角度は、第1往路軌道と直線L1との当該終点における交差角度よりも大きい。このような構成によると、第1往路軌道は切断に寄与しないため、鋸刃Bにかかる必要以上の押付け作用を低減することができる。
【0216】
このような構成によると、第1復路軌道及び第2復路軌道のどちらも切込開始部分で材料に噛みこむように作用する。このため、良好な切断ができるとともに、材料に合わせてその噛みこみの度合いを変更することができる。これにより、鋸刃の寿命を長くすることができ、作業性を良好に保つことができる。
【0217】
また、セーバソー1におけるモータ4は、ブラシレスモータである。このため、軽量化及び小型化を図ることができる。また、モータを逆転方向に回転させるための逆転制御を行う場合、当該逆転制御用の特別な回路構成を必要とせず、モータの回転制御用の回路構成(インバータ、回転位置検出センサ、マイコン等)を用いて当該逆転制御を実行することができる。
【0218】
<6.変形例> 以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明による往復動工具は、上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明の要旨の範囲内で種々の変更が可能である。
【0219】
上記実施形態においては、セーバソー1を例に説明したが、これに限られず、往復動する部材によって作業を行う往復動工具であれば、本発明を適用することができる。例えば、セーバソー以外の往復動工具としては、ジグソーやハンマドリル等が挙げられる。
【0220】
また、上記の実施形態においては、ブラシレスモータであるモータ4を備えるセーバソー1を例に説明したが、これに限られず、正転方向及び逆転方向に回転可能なモータを採用している往復動工具であれば本発明を適用することができる。
【0221】
本実施の形態によるセーバソー1においては、上側軌道O2が湾曲軌道であったが、後側端点E1及び前側端点E2を通る直線軌道、又は、直線L1と平行な直線軌道(すなわち、切断方向Cと交差する直線形状の軌道)であってもよい。この場合においても、上述のセーバソー1と同様の効果を奏する。なお、セーバソー1の揺動ガイドプレート623の周壁部623Bの第1部分P1から第2部分P2を経由して第3部分P3に至るまでの部分の高さを適宜変更することで、上側軌道O2を直線軌道とすることができる。
【0222】
本実施の形態によるセーバソー1においては、第1リニア軸受部72は、第1転動部材723、第2転動部材724、第3転動部材725、及び第4転動部材726をそれぞれ3個ずつ有していたが、第1転動部材723、第2転動部材724、第3転動部材725、及び第4転動部材726のそれぞれの個数は3個に限定されず、第1リニア軸受部72は、第1転動部材723、第2転動部材724、第3転動部材725、及び第4転動部材726をそれぞれ1個でも5個でもよい。
【0223】
また、セーバソー1においては、第1リニア軸受部72は、複数の転動部材72Bを有していたが、出力シャフト部8を前後方向に往復動可能に支持できる構成であれば、1個の転動部材72Bのみを有する構成であってもよい。
【0224】
また、上記実施形態における転動部材72Bは、球体形状であったが、円柱状の部材であってもよい。
【符号の説明】
【0225】
1…セーバソー、2…ハウジング、232…第2メカハウジング、232A…底壁、232a…第1ガイド溝、232b…第2ガイド溝、3…ベース部、31A…当接面、4…モータ、6…運動変換部、6A…回転軸、62…回転部、621…回転シャフト、622…ベベルギヤ、622a…駆動溝、623…揺動ガイドプレート、623B…周壁部、624…偏心ピン部、7…シャフト支持部、7A…揺動軸、72…第1リニア軸受部、72A…支持壁部、72B…転動部材、8…出力シャフト部、83…鋸刃取付部、9…カウンタウェイト部、9A…往復動軸、91…ウェイト本体、92…第1駆動力伝達部材、93…第2駆動力伝達部材、94…第1被ガイド部材、95…第2被ガイド部材、B…鋸刃、G…重心
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図21
図22
図23