(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】インストルメントパネル
(51)【国際特許分類】
B60K 37/20 20240101AFI20240319BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
B60K37/20
B60R16/02 620B
(21)【出願番号】P 2022037818
(22)【出願日】2022-03-11
【審査請求日】2022-08-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100124084
【氏名又は名称】黒岩 久人
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】平田 雄也
【審査官】角田 貴章
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-255756(JP,A)
【文献】特開2011-143797(JP,A)
【文献】特開平10-006814(JP,A)
【文献】特開2001-277902(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 35/00-37/20
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室に車幅方向に沿って設けられたインストルメントパネルであって、
前記車室のフロントガラスに取り付けられた機器に対向する位置に設けられた対向部と、
前記対向部を貫通するように設けられ、前記機器に連結可能なコネクタがワイヤーの先端に設けられたハーネスが挿通可能な挿通部と、
を備え、
前記ハーネスは、前記ワイヤーを覆うように設けられたプロテクタを有し、
前記挿通部は、
前記コネクタが挿通可能な第1穴部と、
前記第1穴部と連通するように形成され
、前記プロテクタの直径よりも小さい第2穴部と、を有
し、
前記対向部は、前記第1穴部と繋がっており前記プロテクタの軸方向と直交する直交方向に延びている第1面と、前記第1面よりも下方に位置し前記直交方向に延びている第2面との間に段差が形成された段差部を有し、
前記第2穴部は、前記段差部において前記第1面から前記第2面に亘って形成されている、
インストルメントパネル。
【請求項2】
前記プロテクタは、半径方向に伸縮可能な弾性を有する、
請求項
1に記載のインストルメントパネル。
【請求項3】
前記段差部は、
前記第1面と前記第2面の間に前記軸方向に沿って設けられた立壁を有し、
前記立壁は、前記第2穴部の両側に位置している、
請求項1
又は2に記載のインストルメントパネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インストルメントパネルの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
トラック等の車両の車室には、車幅方向に沿ってインストルメントパネルが配置されている。このインストルメントパネルは、フロントガラスに面している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フロントガラスには、センサ等の機器が取り付けられている。この場合、インストルメントパネルの貫通穴を下方から挿通してきたハーネスをパネルの上部に仮保持した状態で、車体に取り付けたフロントガラスの機器にハーネスのコネクタを連結させている。
しかし、上記の作業の場合には、パネルの上部に仮保持したハーネスが、機器との連結前に挿通穴から落下してしまうおそれがある。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、仮保持したハーネスが落下することを防止できるインストルメントパネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一の態様においては、車室に車幅方向に沿って設けられたインストルメントパネルであって、前記車室のフロントガラスに取り付けられた機器に対向する位置に設けられた対向部と、前記対向部を貫通するように設けられ、前記機器に連結可能なコネクタがワイヤーの先端に設けられたハーネスが挿通可能な挿通部と、を備え、前記ハーネスは、前記ワイヤーを覆うように設けられたプロテクタを有し、前記挿通部は、前記コネクタが挿通可能な第1穴部と、前記第1穴部と繋がった段差部に前記第1穴部と連通するように形成され、幅が前記ハーネスの前記ワイヤーの直径よりも小さく、かつ前記プロテクタの直径よりも小さい第2穴部と、を有する、インストルメントパネルを提供する。
【0007】
また、前記第2穴部は、前記段差部に沿って通路状に形成されていることとしてもよい。
【0008】
また、前記プロテクタは、半径方向に伸縮可能な弾性を有することとしてもよい。
【0009】
また、前記段差部は、段差を形成する立壁を有し、前記立壁は、前記第2穴部の両側に位置していることとしてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、仮保持したハーネスが落下することを防止できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】一の実施形態に係るインストルメントパネル10にハーネス70が仮保持された状態を示す模式図である。
【
図2】インストルメントパネル10を下側から見た模式図である。
【
図3】プロテクタ76の第2穴部26における移動形態を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<インストルメントパネルの構成>
一の実施形態に係るインストルメントパネルの構成について、
図1及び
図2を参照しながら説明する。
【0013】
図1は、一の実施形態に係るインストルメントパネル10にハーネス70が仮保持された状態を示す模式図である。
図2は、インストルメントパネル10を下側から見た模式図である。なお、
図1及び
図2では、説明の便宜上、インストルメントパネル10の一部の構成のみが示されている。
【0014】
インストルメントパネル10は、車両の車室に車幅方向に沿って設けられている。例えば、インストルメントパネル10は、トラックのキャブ内において、運転席及び助手席の前側に配置されている。インストルメントパネル10には、各種のメータ等が装着されうる。
【0015】
インストルメントパネル10は、前側に位置するフロントガラス(不図示)に面している。フロントガラスには、センサ等の機器が取り付けられている。センサは、一例として、オートワイパー用の雨滴感知センサである。
【0016】
フロントガラスに取り付けられた機器は、インストルメントパネル10の下方から配策されてきたハーネス70と連結される。ハーネス70は、
図1に示すように、ワイヤー72と、コネクタ74と、プロテクタ76を有する。
【0017】
ワイヤー72は、例えば一又は複数の電線を束ねたものである。ワイヤー72は、ここでは、インストルメントパネル10の下方からインストルメントパネル10を挿通するように延びてきている。
【0018】
コネクタ74は、ワイヤー72の先端に設けられている。コネクタ74は、フロントガラスに取り付けられた機器の差込口に連結可能である。
図1では、説明の便宜上、コネクタ74が機器に連結されていない状態が示されている。
【0019】
プロテクタ76は、ワイヤー72を覆うように設けられている。プロテクタ76は、ワイヤー72においてコネクタ74側に設けられている。例えば、プロテクタ76とコネクタ74の間の距離は、プロテクタ76の軸方向の長さに近い。プロテクタ76は、円柱状に形成されており、プロテクタ76の直径は、ワイヤー72の直径よりも大きい。また、プロテクタ76は、半径方向に伸縮可能な弾性を有する。プロテクタ76は、例えば弾性を有する樹脂材料から成る。
【0020】
ところで、車両の製造工程においては、作業者は、インストルメントパネル10をキャブに取り付けた後に、ハーネス70をインストルメントパネル10の穴部を介して挿通するように配策し、インストルメントパネル10上にハーネス70のコネクタ74側を仮保持させる。その後、作業者は、フロントガラスをキャブに取り付け、フロントガラスの機器(センサ)の差込口にハーネス70のコネクタ74を連結させる。
本実施形態のインストルメントパネル10は、詳細は後述するが、仮保持されたハーネス70のコネクタ74が穴部から落下することを防止できるハーネス70の仮保持構造を有する。仮保持構造を有することで、製造時の作業性を向上させることができる。
【0021】
インストルメントパネル10は、
図1に示すように、前面部12と、対向部14と、挿通部16を有する。
【0022】
前面部12は、車両のフロントガラスに面する部分である。前面部12は、フロントガラスの傾きに合わせた傾斜面となっている。
【0023】
対向部14は、フロントガラスに対向する部分である。対向部14は、ここでは前面部12の一部を凹ませて形成されている。対向部14は、フロントガラスに取り付けられた機器(センサ)に対向する位置に設けられている。対向部14は、ハーネス70のコネクタ74が機器に連結された後に、不図示のカバー部材によって覆われる。
【0024】
挿通部16は、対向部14を貫通するように設けられている(
図2参照)。挿通部16は、ハーネス70が挿通可能な穴部となっている。挿通部16は、
図1及び
図2に示すように、第1穴部22と、段差部24と、第2穴部26を有する。
【0025】
第1穴部22は、ここでは上下方向に沿って貫通した穴部である。第1穴部22の大きさは、ハーネス70のコネクタ74が挿通可能な大きさとなっている。これにより、インストルメントパネル10の下方から上方へハーネス70を配策させることができる。
【0026】
段差部24は、第1穴部22と繋がっており、
図1に示すように階段状に形成されている。段差部24は、段差を形成する立壁25a及び支え部25bを有する。立壁25aは、第2穴部26の両側に位置している。ハーネス70を仮保持する際に、
図1に示すように、立壁25aがプロテクタ76の外周面に接し、支え部25bがプロテクタ76の端面に接している。
【0027】
第2穴部26は、第1穴部22の上部と連通している。第2穴部26は、ここでは第1穴部22の直交する方向に形成されている。第2穴部26は、段差部24に形成されている。具体的には、第2穴部26は、段差部24に沿って通路状に形成されている。また、第2穴部26の幅は、ハーネス70のワイヤー72の直径よりも小さく、かつプロテクタ76の直径よりも小さい。なお、第2穴部26の幅は、半径方向に圧縮した状態のプロテクタ76であれば通過可能な大きさである。
【0028】
上述した構成の挿通部16を設けることで、
図1に示すように、プロテクタ76が段差部24に接した状態で、ハーネス70が仮保持されることになる。特に、段差部24を設けることで、プロテクタ76が段差部24の立壁25aを乗り越え難いため、プロテクタ76が第1穴部22に移動しない。この結果、プロテクタ76が第1穴部22に移動してコネクタ74が第1穴部22から落下することを防止できる。
【0029】
また、幅がプロテクタ76の直径よりも小さく通路状になっている第2穴部26が、第1穴部22に連通するように設けている場合には、プロテクタ76が第2穴部26の縁部26a(
図1)に接しながら段差部24の支え部25bへ移動させる際に、プロテクタ76が第1穴部22へ戻ることを防止できる。
【0030】
図3は、プロテクタ76の第2穴部26における移動形態を説明するための模式図である。ここでは、作業者が、プロテクタ76を第1穴部22から第2穴部26へ移動させているものとする。プロテクタ76が半径方向に伸縮可能な弾性を有するため、プロテクタ76は、第1穴部22から第2穴部26へ移動する際に、
図3に示すように、第2穴部26が形成する通路の両側の縁部26aに挟まって縮む。
そして、作業者は、半径方向に縮んだ状態のプロテクタ76を支え部25bへ向かわせるべく、プロテクタ76を
図3に示す矢印方向に移動させる。プロテクタ76の外周面が第2穴部26の縁部26aに接しているため、例えば作業者がプロテクタ76から手を離しても、その場で留まり、第1穴部22へ戻るおそれがない。よって、プロテクタ76が第2穴部26を移動する際に、コネクタ74が第1穴部22から落下することを防止できる。
【0031】
<本実施形態における効果>
上述した実施形態のインストルメントパネル10は、フロントガラスに設けられた機器に連結可能なコネクタ74を有するハーネス70が挿通可能な挿通部16を備える。挿通部16は、コネクタ74が挿通可能な第1穴部22と、第1穴部22と繋がった段差部24に第1穴部22と連通するように形成され、幅がハーネス70のプロテクタ76の直径よりも小さい第2穴部26を有する。
これにより、第1穴部22から延ばしてきたハーネス70のプロテクタ76を、第2穴部26を通過した後に段差部24に仮保持することができる。仮保持されたプロテクタ76は段差部24を乗り越え難いので、コネクタ74を機器に連結する前に第1穴部22に移動して落下することを防止できる。
【0032】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0033】
10 インストルメントパネル
14 対向部
16 挿通部
22 第1穴部
24 段差部
26 第2穴部
70 ハーネス
72 ワイヤー
74 コネクタ
76 プロテクタ