IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ カシオ計算機株式会社の特許一覧

特許7456465液晶制御回路、電子時計、及び液晶制御方法
<>
  • 特許-液晶制御回路、電子時計、及び液晶制御方法 図1
  • 特許-液晶制御回路、電子時計、及び液晶制御方法 図2
  • 特許-液晶制御回路、電子時計、及び液晶制御方法 図3
  • 特許-液晶制御回路、電子時計、及び液晶制御方法 図4
  • 特許-液晶制御回路、電子時計、及び液晶制御方法 図5
  • 特許-液晶制御回路、電子時計、及び液晶制御方法 図6
  • 特許-液晶制御回路、電子時計、及び液晶制御方法 図7
  • 特許-液晶制御回路、電子時計、及び液晶制御方法 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】液晶制御回路、電子時計、及び液晶制御方法
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/36 20060101AFI20240319BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20240319BHJP
   G02F 1/133 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
G09G3/36
G09G3/20 612J
G09G3/20 621B
G09G3/20 621A
G09G3/20 624B
G09G3/20 A
G09G3/20 633P
G09G3/20 633G
G09G3/20 633U
G02F1/133 550
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022127507
(22)【出願日】2022-08-10
(62)【分割の表示】P 2018054658の分割
【原出願日】2018-03-22
(65)【公開番号】P2022161961
(43)【公開日】2022-10-21
【審査請求日】2022-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小野 貴大
(72)【発明者】
【氏名】落合 史章
(72)【発明者】
【氏名】浅見 吉律
(72)【発明者】
【氏名】山川 英司
【審査官】西島 篤宏
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/084813(WO,A1)
【文献】特開2015-087437(JP,A)
【文献】国際公開第2011/102349(WO,A1)
【文献】国際公開第2011/102202(WO,A1)
【文献】中国実用新案第206258659(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/00 - 3/38
G02F 1/133
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素の各々に画像データを格納するメモリを備えた液晶パネルに接続される液晶制御回路において、
前記液晶パネルにおける共通電極に対して印加される電圧の極性を所定のタイミングで切り替える反転部と、
前記反転部による極性の切替タイミングが前記メモリへの画像データの送信開始タイミングと当該送信開始タイミングから所定の時間前のタイミングとの間にあるか否かを判定する第1の判定部と、
前記画像データの送信開始タイミングにおいて送信開始すべき画像データが存在するか否かを判定する第2の判定部と、
を備え、
前記反転部は、
前記第1の判定部により極性の切替タイミングが前記メモリへの画像データの送信開始タイミングと当該送信開始タイミングから所定の時間前のタイミングとの間にあると判定され、且つ、前記第2の判定部により前記画像データの送信開始タイミングにおいて送信開始すべき画像データが存在すると判定された場合に当該画像データの送信完了を待ってから極性を切り替える一方で、
前記第1の判定部により極性の切替タイミングが前記メモリへの画像データの送信開始タイミングと当該送信開始タイミングから所定の時間前のタイミングとの間にあると判定され、且つ、前記第2の判定部により前記画像データの送信開始タイミングにおいて送信開始すべき画像データが存在しないと判定された場合には前記送信開始タイミングに基づいて極性を切り替える、
ことを特徴とする液晶制御回路。
【請求項2】
前記所定の時間は、前記液晶パネルの特性により規定される極性変化時間と極性反転時間を足した時間である、
ことを特徴とする請求項1に記載の液晶制御回路。
【請求項3】
前記反転部は、前記第1の判定部により極性の切替タイミングが前記メモリへの画像データの送信開始タイミングと当該送信開始タイミングから所定の時間前のタイミングとの間にないと判定された場合に前記送信開始タイミングまで待たずに極性を切り替える、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の液晶制御回路。
【請求項4】
複数の画素の各々に画像データを格納するメモリを備えた液晶パネルに接続される液晶制御回路において実行される液晶制御方法は、
前記液晶パネルにおける共通電極に対して印加される電圧の極性を所定のタイミングで切り替える反転ステップ、
前記反転ステップによる極性の切替タイミングが前記メモリへの画像データの送信開始タイミングと当該送信開始タイミングから所定の時間前のタイミングとの間にあるか否かを判定する第1の判定ステップ、
前記画像データの送信開始タイミングにおいて送信開始すべき画像データが存在するか否かを判定する第2の判定ステップ、
を含み、
前記反転ステップでは、
前記第1の判定ステップにより極性の切替タイミングが前記メモリへの画像データの送信開始タイミングと当該送信開始タイミングから所定の時間前のタイミングとの間にあると判定され、且つ、前記第2の判定ステップにより前記画像データの送信開始タイミングにおいて送信開始すべき画像データが存在すると判定された場合に当該画像データの送信完了を待ってから極性を切り替える一方で、
前記第1の判定ステップにより極性の切替タイミングが前記メモリへの画像データの送信開始タイミングと当該送信開始タイミングから所定の時間前のタイミングとの間にあると判定され、且つ、前記第2の判定ステップにより前記画像データの送信開始タイミングにおいて送信開始すべき画像データが存在しないと判定された場合には前記送信開始タイミングに基づいて極性を切り替える、
ことを特徴とする液晶制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶制御回路、電子時計、及び液晶制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶パネルは、画素に交流電圧を印加し、液晶の信頼性を保持することが行われている。例えば、液晶パネルを構成する複数の画素の一方の電極を共通にし、その共通電極の電位を反転させる構成にしている。また、MIP(Memory In Pixel)液晶は、画素毎にメモリを備え、画素に印加する交流電圧の極性を規定するVCOM信号の反転と画像データ信号の書き込みタイミングとが非同期で行われる。
【0003】
VCOM信号と画像データ信号のタイミングとが非同期であると、極性の反転タイミングと画像データの出力期間とが重なってしまい、正常に画像データの書き込みが行われないことがある。このため、液晶パネルを制御する液晶制御回路は、2つの信号の競合を避けるタイミング制御が必要である。
【0004】
例えば、特許文献1に記載の液晶表示装置は、画像信号を液晶パネルに出力し終わるまでの転送期間が転送待機期間に含まれていると判定した場合、該転送待機期間が終了した後に、画像信号を液晶パネルに出力するようにしている。ここで、転送待機期間は交流電圧の極性を反転させる基準時間から極性反転期間及び極性変化時間を含む期間である。
【0005】
また、マイコン等を用いて液晶を制御する場合、画像データの送信命令をCPUが行い、その送信タイミングをタイマ回路を用いて設定することが一般的である。その場合、データ送信の度にCPU割り込み処理が発生し、その分、処理時間が掛かったり、処理中はCPUが占有されてしまい他の処理が一時停止したりする問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第5450784号公報(図7
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の技術は、転送期間が転送待機期間に含まれている場合、転送待機期間が終了するまで、画像信号(画像データ)を液晶パネルに出力しないものである。これにより、液晶パネルに表示される動画のフレーム周期が乱れ、動きが不自然になる。
【0008】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、転送を待機することなく画像データを出力することができる液晶制御回路、電子時計、及び液晶制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本発明は、複数の画素の各々に画像データを格納するメモリを備えた液晶パネルに接続される液晶制御回路において、前記液晶パネルにおける共通電極に対して印加される電圧の極性を所定のタイミングで切り替える反転部と、前記反転部による極性の切替タイミングが前記メモリへの画像データの送信開始タイミングと当該送信開始タイミングから所定の時間前のタイミングとの間にあるか否かを判定する第1の判定部と、前記画像データの送信開始タイミングにおいて送信開始すべき画像データが存在するか否かを判定する第2の判定部と、を備え、前記反転部は、前記第1の判定部により極性の切替タイミングが前記メモリへの画像データの送信開始タイミングと当該送信開始タイミングから所定の時間前のタイミングとの間にあると判定され、且つ、前記第2の判定部により前記画像データの送信開始タイミングにおいて送信開始すべき画像データが存在すると判定された場合に当該画像データの送信完了を待ってから極性を切り替える一方で、前記第1の判定部により極性の切替タイミングが前記メモリへの画像データの送信開始タイミングと当該送信開始タイミングから所定の時間前のタイミングとの間にあると判定され、且つ、前記第2の判定部により前記画像データの送信開始タイミングにおいて送信開始すべき画像データが存在しないと判定された場合には前記送信開始タイミングに基づいて極性を切り替える、ことを特徴とする。

【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、転送を待機することなく画像データを出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態における液晶制御回路を含む電子時計の構成図である。
図2】第1実施形態における電子時計の外観図である。
図3】第1実施形態における液晶制御回路のVCOM信号を説明するためのタイミングチャートである。
図4】第1実施形態における液晶制御回路のタイミングチャートである。
図5】第2実施形態における液晶制御回路のタイミングチャートである。
図6】第3実施形態における液晶制御回路の動作を説明するためのフローチャート(1)である。
図7】第3実施形態における液晶制御回路の動作を説明するためのフローチャート(2)である。
図8】第3実施形態における液晶制御回路の動作を説明するためのフローチャート(3)である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」と称する)につき詳細に説明する。なお、各図は、本実施形態を十分に理解できる程度に、概略的に示してあるに過ぎない。また、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0013】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態における液晶制御回路を含む電子時計の構成図であり、図2は、第1実施形態における電子時計の外観図である。
電子時計200は、MIP(Memory In Pixel)液晶パネル120と、制御部としてのCPU(Central Processing Unit)130と、液晶制御回路100と、発振源・分周回路140と、VRAM150と、DMA(Direct Memory Access)コントローラ160とを有する液晶表示装置を備える。
【0014】
MIP液晶パネル120は、2次元配列した複数の画素を備え、図2に示すように、静止画や動きの有る画像を表示することができるものである。液晶は、直流駆動すると液晶内部の僅かな不純物が電荷となり、一方に偏って蓄積し、液晶が劣化してしまう。このため、MIP液晶パネル120は、複数の画素に交流電圧を印加し、いわゆる焼き付き等を抑えている。また、MIP液晶パネル120は、複数の画素の各々に画像データ(輝度データ)を格納するメモリを有し、画素に印加される交流電圧の極性を指定するVCOM信号の反転タイミングと画像データ信号の書き込みタイミングとが非同期で行われる。
【0015】
液晶制御回路100は、MIP液晶パネル120とCPU130との間に接続され、CPU130の制御に基づいて、MIP液晶パネル120を駆動制御する。
液晶制御回路100は、CPU130からモード切替信号、タイミング間隔信号、データ送信命令を受信し、CPU130にデータ送信中フラグ、データ送信終了割込を出力する。液晶制御回路100は、MIP液晶パネル120に対して、ENBG信号及びENBS信号からなるENB(Enable)信号、VCOM信号、及び画像データを出力する。このため、液晶制御回路100は、極性信号出力端子としてのVCOM出力端子41と、書換信号出力端子としての、ENBG端子42及びENBS端子43と、タイミング入力端子44と、データ送信命令入力端子45と、モード切替端子46と、タイミング間隔設定端子47と、データ送信終了割込端子48と、データ送信中フラグ端子49とを備える。
【0016】
CPU130は、画像データを生成すると共に、各部を制御する。このため、CPU130は、VRAM150、液晶制御回路100、及びDMAコントローラ160とバスラインで接続されている。発振源・分周回路140は、水晶振動子を内蔵し、CPU130にクロックを供給するとともに、CPU130が設定する所定間隔のデータ送信タイミングをMIP液晶パネル120及びDMAコントローラ160に与える。VRAM150は、画像データを格納する。データ送信タイミングの間隔は、標準モードの約1秒、又は予め設定された約20msec~約100msecである。
【0017】
DMAコントローラ160は、CPU130が生成した画像データをVRAM150に格納し、VRAM150に格納された画像データを液晶制御回路100まで転送する。なお、液晶制御回路100に転送された画像データは、MIP液晶パネル120に出力される。また、DMAコントローラ160の転送タイミングは、発振源・分周回路140が出力するデータ送信タイミングに基づいている。
【0018】
液晶制御回路100は、設定部5と、VCOM信号生成部10と、書換信号生成部としてのENB(Enable)信号生成部20との機能をハードウェアロジックで実現する。
設定部5は、CPU130からのモード切替信号に基づいて、通常モードと、VCOM同期送信モードとの何れかにモード設定する。通常モードは、データ送信タイミングの間隔を、約1秒に固定するモードである。タイミング固定送信モードは、データ送信タイミングの間隔を可変するモードである。設定部5は、タイミング固定送信モードの場合、データ送信タイミングの間隔を、約20msec~約100msecの範囲で設定する。例えば、33msecに設定すれば、30フレーム/secの動きの有る画像を表示することができる。また、設定部5は、VCOM信号の反転間隔tcVCOMを設定する。
【0019】
VCOM信号生成部10は、計時回路としての計時部1と、判定回路としての判定部2と、反転回路としての反転部3と、演算部4とを備える。ENB信号生成部20は、画像データに基づいて、書換信号としてのENB信号(ENBG信号、ENBS信号)を出力する。
【0020】
図3は、第1実施形態における液晶制御回路のVCOM信号を説明するためのタイミングチャートである。
前記したように、MIP液晶パネル120は、複数の画素の一方の電極を共通にし、その複数の画素に交流電圧を印加するものである。図3は、MIP液晶パネル120のGNDレベルを基準に、太い実線で示す液晶の共通端子の電位(VCOM)と、非共通端子の白レベル電位(破線)と、非共通端子の黒レベル電位(一点鎖線)とを示している。なお、共通端子の電位(VCOM)から下向きの矢印は、負の印加電圧を示し、上向きの矢印は、正の印加電圧を示す。
【0021】
つまり、MIP液晶パネル120は、共通端子の電位、及び非共通電極の電位を、GND電位に対して反転させて、画素に交流電圧を印加している。VCOM信号(図1)は、液晶に印加される交流電圧の極性を指定する信号である。なお、黒レベルの電位差は、白レベルの電位差よりも大きい。
【0022】
図4は、第1実施形態における液晶制御回路のVCOM信号を説明するためのタイミングチャートである。図4は、上段から、データ送信命令、データ送信タイミング、VCOM信号、ENB信号、データ送信中フラグ、データ送信中割込みが記載されている。
計時部1は、VCOM信号の任意の反転タイミング(第1反転タイミングT1)を基準に、次の反転タイミング(第2反転タイミングT2)までを計時する計時回路である。つまり、計時部1は、第1反転タイミングT1から反転間隔tcVCOMだけ経過した第2反転タイミングT2を計時する。
【0023】
また、演算部4は、データ送信タイミングの列に基づいて、第1反転タイミングT1の後の第1開始タイミングT0を演算する。つまり、演算部4は、第1反転タイミングT1の次のデータ送信タイミングT3まで計時し、データ送信タイミングT3を基準にデータ送信タイミング間隔を加算した第1開始タイミングT0を演算する。このデータ送信タイミング間隔は、例えば、周期的に受信するデータ送信タイミングの列を用いて、液晶制御回路100の内部に備えるPLL(Phase Locked Loop)等で演算可能である。
【0024】
判定部2は、計時部1が計時した第2反転タイミングT2がデータ送信タイミングの第1開始タイミングT0の所定時間前T4から該第1開始タイミングT0までの反転禁止期間に入るか否か判定する判定回路である。ここで、所定時間は、液晶の特性により規定される極性変化時間trVCOMと極性反転期間tsVCOMとの和である。第2反転タイミングT2が反転禁止期間に入らないと判定されたとき、反転部3は、破線のように、第2反転タイミングT2でVCOM信号を反転させる。ここでは、第2反転タイミングT2が反転禁止期間に入ると判定されたとき、反転部3は、実線のように、第2反転タイミングT2でVCOM信号を反転させずに、ENB信号の終了時T5から所定時間(thVCOM)経過後T6に、VCOM信号を反転させる。
【0025】
ENB信号生成部20は、データ送信タイミングT3,T0,T7・・・のときに、ENB信号の出力を開始する。また、ENB信号生成部20は、ENB信号の出力中、データ送信中フラグをハイレベルに設定し、ENB信号の終了時、データ送信終了割込を発生する。
【0026】
以上説明したように、本実施形態の液晶制御回路100は、第2反転タイミングT2が反転禁止期間に入るとき、VCOM信号を反転させないように構成されている。ここで、反転禁止期間とは、第1開始タイミングT0の所定時間前T4から第1開始タイミングT0までを意味する。つまり、VCOM信号が反転しないので、画像データを書き換えるENB信号を出力させることができる。そして、画像データの書き換えが終了し、ENB信号の出力が停止したとき(T5)、反転部3は、所定時間(thVCOM)待機して、時刻T6でVCOM信号を反転させる。つまり、反転部3は、ENB信号の出力期間、及びその前後の期間(trVCOM+tsVCOM、thVCOM)において、VCOM信号が待機される。
【0027】
これにより、データ送信とVCOM信号の反転タイミングとの競合を避けることが可能となる。また、一定周期でデータの送信を行いたい場合、タイマ回路によるカウントやCPU130への割り込みを行うことなく、CPU130は、データ送信タイミング間隔内の任意のタイミングでデータ送信命令を出力すればよい。また、CPU130によるデータ送信命令は、データ送信の頭に限らず、任意のタイミングで行うことができる。
【0028】
(第2実施形態)
前記第1実施形態の液晶制御回路100は、データ送信タイミングの第1開始タイミングT0で、画像データが有り、ENB信号が出力されたが、第1開始タイミングT0で、画像データが無いこともある。以下、第1開始タイミングT0で、画像データが無い場合について説明する。本実施形態の電子時計200の構成は、前記実施形態の電子時計200の構成と同一である。
【0029】
図5は、第2実施形態における液晶制御回路のタイミングチャートである。
計時部1と、判定部2との動作は、前記第1実施形態と同様である。
第2反転タイミングT2がT4~T0までの反転禁止期間に入らないと判定されたとき、反転部3は、破線のように、第2反転タイミングT2でVCOM信号を反転させる。一方、第2反転タイミングT2が反転禁止期間に入ると判定されたとき、反転部3は、実線のように、第1開始タイミングT0でVCOM信号を反転させる。つまり、液晶制御回路100は、第1開始タイミングT0になるまでは、画像データの有無を判定できないので、反転部3は、第2反転タイミングT2でVCOM信号を反転させることなく、第1開始タイミングT0でVCOM信号を反転させる。
【0030】
なお、第1開始タイミングT0の次のデータ送信タイミング(第2開始タイミングT7)で、ENB信号生成部20は、ENB信号の出力を開始する。ENB信号生成部20は、ENB信号の出力に伴い、データ送信中フラグをハイレベルに設定する。そして、ENB信号の出力が停止したら、反転部3は、ENB信号の終了時T8から所定時間(thVCOM)経過後T9に、VCOM信号を反転させる。そして、ENB信号生成部20は、ENB信号の停止に伴い、データ送信中フラグをローレベルに設定すると共に、データ送信終了割込を発生する。
【0031】
本実施形態の液晶制御回路100によれば、反転禁止期間に入ったとき、反転部3は、第1開始タイミングT0で、VCOM信号を反転させる。ここで、反転禁止期間とは、第2反転タイミングT2が第1開始タイミングT0の所定時間前T4から第1開始タイミングT0までを意味する。そして、第1開始タイミングT0の次のデータ送信タイミング(第2開始タイミングT7)で、ENB信号生成部20は、ENB信号の出力を開始する。そして、画像データの書き換えが無くなり、ENB信号の出力が停止したとき(T8)、反転部3は、所定時間(thVCOM)待機して、時刻T9でVCOM信号を再反転させる。
【0032】
(第3実施形態)
前記第1,2実施形態の液晶制御回路100(100a)は、ハードウェアロジックで設定部5と、VCOM信号生成部10と、ENB(Enable)信号生成部20との機能を実現していた。本実施形態の液晶制御回路100(100b)では、CPU130と異なる他のCPU(制御部)がプログラムを実行し、各機能を実現するものとする。つまり、他のCPUは、プログラムの実行により、設定部5と、VCOM信号生成部10と、ENB信号生成部20との全部又は一部の機能を実現する。また、他のCPUは、T4~T0までの反転禁止期間であることを示す反転禁止期間フラグを有する。なお、他のCPUは、プログラムの実行によって、液晶制御方法を使用する。
【0033】
図6は、第3実施形態における液晶制御回路の動作を説明するためのフローチャート(1)である。このルーチンS10は、電源投入時又はリセット時であって、最初にデータ送信命令を受信した時T1に割込起動する。
VCOM信号生成部10は、最初にデータ送信命令を受信した時T1にVCOM信号を反転させる(S11)。S11の処理後、VCOM信号生成部10は、反転禁止期間フラグをリセットし(S12)、処理を終了する。
【0034】
図7は、第3実施形態における液晶制御回路の動作を説明するためのフローチャート(2)である。このルーチンS20は、発振源・分周回路140が出力するデータ送信タイミングT3,T0,T7,・・・(図4,5)を受信したときに、逐次、割込起動する。
ENB信号生成部20は、データ送信タイミングの周期(データ送信タイミング間隔)を取得する(S21)。例えば、ENB信号生成部20は、CPU130が発振源・分周回路140に設定したパラメータを取得したり、任意のデータ送信タイミングT3から次のデータ送信タイミング(第1開始タイミングT0)までのデータ送信タイミング間隔を計時したりすればよい。
【0035】
S21の処理後、ENB信号生成部20は、次のデータ送信タイミング(第1開始タイミングT0)から所定時間前T4の時刻を演算し(S22)、反転禁止期間フラグを設定する(S23)。
【0036】
S23の処理後、ENB信号生成部20は、画像データの有無を判定する(S24)。画像データが有るとき(S24で有り)、データ送信中フラグをHighレベルにし(S25)、画像データに基づいて、ENB信号を出力する(S26)。S26の処理後、ENB信号生成部20は、データ送信中フラグをLowレベルにし(S27)、データ送信終了割込を発生させ(S28)、反転禁止期間フラグの設定を解除する(S29)。一方、S24の判定において、画像データが無いとき(S24で無し)、反転禁止期間フラグの設定を解除する(S29)。
【0037】
図8は、第3実施形態における液晶制御回路の動作を説明するためのフローチャート(3)である。このルーチンS30は、VCOM信号の反転があったとき(例えば、T1)、割込起動する。
VCOM信号生成部10は、反転間隔(tcVCOM)だけ計時し、次の反転タイミング(第2反転タイミングT2)を取得する(S31)。S31の処理後、VCOM信号生成部10は、S23で設定した反転禁止フラグの状態を確認し(S32)、S31で取得した第2反転タイミングT2が反転禁止期間に入るか否か判定する(S33)。
【0038】
第2反転タイミングT2が反転禁止期間に入れば(S33で入る)、VCOM信号生成部10は、データ送信中フラグの状態を判定する(S34)。データ送信中フラグがHighレベル-であれば(S34でH)、VCOM信号生成部10は、データ送信中フラグがLowレベルになるまで待機する(S35)。データ送信中フラグがLowレベルになったら(S35でL、T5)、VCOM信号生成部10は、所定時間thVCOM待機し(S36)、VCOM信号を反転させる(S37、T6)。
【0039】
一方、第2反転タイミングT2が反転禁止期間に入らない場合や(S33で入らない)、データ送信中フラグがLowレベルであったりした場合(S34でL)、VCOM信号生成部10は、データ送信タイミング(第1開始タイミングT0)が有ったときに、VCOM信号を反転させ(S37)、処理を終了する。
【0040】
以上説明したように、本実施形態によれば、最小限のハードウェアロジックで、液晶制御回路を実現することができる。また、CPU130の機能を液晶制御回路に取り込めば、単一CPUで実現することができる。
【0041】
〔付記〕
<請求項1>
交流電圧を複数の画素に印加する液晶表示パネルと制御部との間に接続される液晶制御回路であって、
前記画素を書き換える書換信号を前記液晶表示パネルに出力する書換信号出力と、
前記書換信号の開始タイミングを周期的に指定するタイミング入力端子と、
前記交流電圧の極性を指定する極性信号を前記液晶表示パネルに出力する極性信号出力端子と、
前記極性が反転する任意の第1反転タイミングの次の第2反転タイミングを計時する計時回路と、
前記開始タイミングに基づいて、前記第1反転タイミング後の第1開始タイミングを演算する演算部と、
前記第2反転タイミングが前記第1開始タイミングの所定時間前から該第1開始タイミングまでの反転禁止期間に入るか否か判定する判定回路と、
前記第2反転タイミングが前記反転禁止期間に入ると前記判定回路が判定したとき、前記第1開始タイミングから開始する前記書換信号が停止した後に、前記極性信号の状態を反転させる反転部と、
を備えることを特徴とする液晶制御回路。
<請求項2>
請求項1に記載の液晶制御装置であって、
前記第1開始タイミングから前記書換信号を出力する書換信号生成部をさらに備えることを特徴とする液晶制御回路。
<請求項3>
請求項1に記載の液晶制御回路であって、
前記第1開始タイミングで前記書換信号が無い場合、
前記反転部は、前記極性信号を前記第1開始タイミングで反転させ、その後、前記書換信号が停止した後に再反転させる
ことを特徴とする液晶制御回路。
<請求項4>
請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の液晶制御回路であって、
前記液晶表示パネルは、前記書換信号のタイミングで、格納された画像データを前記画素に出力するメモリを、前記画素毎に備える
ことを特徴とする液晶制御回路。
<請求項5>
請求項4に記載の液晶制御回路であって、
第1反転タイミング及び第2反転タイミングは、前記書換信号の開始タイミングと非同期である
ことを特徴とする液晶制御回路。
<請求項6>
請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載の液晶制御回路を備えた電子時計。
<請求項7>
交流電圧を複数の画素に印加する液晶表示パネルに接続される液晶制御回路の制御部が実行する液晶制御方法であって、
前記液晶制御回路は、
前記画素を書き換える書換信号を前記液晶表示パネルに出力する書換信号出力端子と、
前記書換信号の開始タイミングを周期的に指定するタイミング入力端子と、
前記交流電圧の極性を指定する極性信号を前記液晶表示パネルに出力する極性信号入力端子とを備えたものであり、
前記極性が反転する任意の第1反転タイミングの次の第2反転タイミングを計時する計時ステップと、
前記開始タイミングを用いて、前記第1反転タイミングの2つ後の第1開始タイミングを演算する演算ステップと、
前記第2反転タイミングが前記第1開始タイミングの所定時間前から該第1開始タイミングまでの反転禁止期間に入るか否か判定する判定ステップと、
前記第2反転タイミングが前記反転禁止期間に入ると前記判定ステップが判定したとき、前記第1開始タイミングから開始する前記書換信号が停止した後に、前記極性信号の状態を反転させる反転ステップと、
を前記制御部が実行することを特徴とする液晶制御方法。
<請求項8>
交流電圧を複数の画素に印加する液晶表示パネルに接続される液晶制御回路が実行する液晶制御方法であって、
前記液晶制御回路は、
前記画素を書き換える書換信号を前記液晶表示パネルに出力する書換信号出力端子と、
前記交流電圧の極性を指定する極性信号を前記液晶表示パネルに出力する極性信号入力端子と、
を備えたものであり、
前記書換信号の出力中の期間、及びその前後の期間において、前記極性信号の反転が待機されるステップを実行することを特徴とする液晶制御方法。
【符号の説明】
【0042】
1 計時部
2 判定部
3 反転部
4 演算部
10 VCOM信号生成部
20 ENB信号生成部(書換信号生成部)
41 VCOM出力端子(極性信号出力端子)
42 ENBG端子(書換信号出力端子)
43 ENBS端子(書換信号出力端子)
44 タイミング入力端子
45 データ送信命令入力端子
100 液晶制御回路
120 MIP液晶パネル
130 CPU(制御部)
200 電子時計(液晶表示装置)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8