(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】チャットボットシステム,選択肢整形装置,選択肢整形方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 16/90 20190101AFI20240319BHJP
【FI】
G06F16/90 100
(21)【出願番号】P 2022512932
(86)(22)【出願日】2020-03-30
(86)【国際出願番号】 JP2020014651
(87)【国際公開番号】W WO2021199198
(87)【国際公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-09-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】坂森 康宏
【審査官】三橋 竜太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-139574(JP,A)
【文献】特開2020-013514(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 16/00-16/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ端末からの問い合わせデータを受信し,問い合わせ内容を選択肢生成部に送信するチャットボット部と,
前記問い合わせ内容に対する回答の選択肢を作成する選択肢生成部と,
前記選択肢を優先度順にソートする選択肢整形部と,
ユーザの所属組織に関連づけられ,前記ユーザの所属組織では表示されない選択肢を示す情報を記憶する追加情報データベースを参照して,前記選択肢整形部がソートした前記選択肢から,前記情報が示す選択肢を削除して前記チャットボット部に出力する情報削除部と,を備え,
前記チャットボット部は,
前記情報削除部が出力した前記選択肢を前記優先度順に
表示するデータを前記ユーザ端末に送信するチャットボットシステム。
【請求項2】
前記選択肢整形部は,
前記問い合わせ内容別
に選択肢の優先度を記録する
選択行動データベースを参照して個々の前記選択肢の優先度を判定する選択肢優先度判定部と,
前記選択肢優先度判定部の判定結果に基づいて前記選択肢をソートする選択肢ソート部とを備える請求項1に記載のチャットボットシステム。
【請求項3】
前記問い合わせ内容別に,過去に選択された選択肢を優先度の高い選択肢として前記選択行動データベースに記録し、過去に選択されていない選択肢を優先度の低い選択肢として前記選択行動データベースに記録する選択肢記録部をさらに備える請求項2に記載のチャットボットシステム。
【請求項4】
前記選択行動データベースの類似の意味を持つ文言をグループ化する含意クラスタリング部をさらに備える請求項2または3に記載のチャットボットシステム。
【請求項5】
問い合わせ内容別
に選択肢の優先度を記録する選択行動データベー
スを参照して
,個々の前記選択肢の優先度を判定する選択肢優先度判定部と,
前記選択肢優先度判定部の判定結果に基づいて前記選択肢をソートする選択肢ソート部と
,
ユーザの所属組織に関連づけられ,前記ユーザの所属組織では表示されない選択肢を示す情報を記憶する追加情報データベースを参照して,前記選択肢ソート部がソートした前記選択肢から,前記情報が示す選択肢を削除する情報削除部と,
を備える選択肢整形装置。
【請求項6】
前記問い合わせ内容別に,過去に選択された選択肢を優先度の高い選択肢として前記選択行動データベースに記録し、過去に選択されていない選択肢を優先度の低い選択肢として前記選択行動データベースに記録する選択肢記録部をさらに備える請求項
5に記載の選択肢整形装置。
【請求項7】
前記選択行動データベースの類似の意味を持つ文言をグループ化する含意クラスタリング部をさらに備える請求項
5に記載の選択肢整形装置。
【請求項8】
チャットボットへの問い合わせに対する回答の選択肢に対して,選択行動データベースを参照して個々の選択肢の優先度を判定し,
前記優先度の判定結果に基づいて前記選択肢をソートし,
追加情報データベースを参照して,ユーザの所属組織に関連づけられ,前記ユーザの所属組織では表示されない選択肢を示す情報が示す選択肢をソート後の前記選択肢から削除して前記チャットボットに返す選択肢整形方法。
【請求項9】
チャットボットへの問い合わせに対する回答の選択肢に対して,選択行動データベースを参照して個々の選択肢の優先度を判定するステップと,
前記優先度の判定結果に基づいて前記選択肢をソートするステップと,
追加情報データベースを参照して,ユーザの所属組織に関連づけられ,前記ユーザの所属組織では表示されない選択肢を示す情報が示す選択肢をソート後の前記選択肢から削除して前記チャットボットに返すステップとをコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はチャットボットシステム,選択肢整形装置,選択肢整形方法及び非一時的なコンピュータ可読媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
人工知能技術を用いて,利用者からの問い合わせに対して自動的に適切な回答情報を提供することのできるAI(Artificial Intelligence)チャットボットの利用が広がっている。このようなAIチャットボットを用いることにより,利用者からの多種多様な問い合わせに対して,人手をかけることなく,適切な回答情報を提供することができる。
【0003】
例えば特許文献1には,ログ情報に含まれるチャットのテキストを解析することにより,AIチャットボットサーバー装置の信頼度を評価するチャットボットシステムが記載されている。
【0004】
このようなAIチャットボットでは,論理思考AIにより自動生成された対話シナリオを実行する場合,入力された質問に合わない選択肢などは除外されるという最適化が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら,提示された選択肢同士の間においては優先順位や優先度の検証がなされないため,必ずしも有望な選択肢が上位に表示されるとは限らないという問題があった。これにより選択肢の視認性,利便性に問題が生じ,ユーザの選択行動に非効率を強いることになる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態のチャットボットシステムは,ユーザ端末からの問い合わせデータを受信し,問い合わせ内容を選択肢生成部に送信するチャットボット部と,前記問い合わせ内容に対する回答の選択肢を作成する選択肢生成部と,前記選択肢を優先度順にソートする選択肢整形部と,を備え,前記チャットボット部は,前記優先度順に前記選択肢を表示するデータを前記ユーザ端末に送信するようにした。
【0008】
一実施形態の選択肢整形装置は、問い合わせ内容別に,選択肢の優先度を記録する選択行動データベースと,前記選択行動データベースを参照して個々の選択肢の優先度を判定する選択肢優先度判定部と,選択肢優先度判定部の判定結果に基づいて選択肢をソートする選択肢ソート部とを備えるようにした。
【0009】
一実施形態の選択肢整形方法は、チャットボットへの問い合わせに対する回答の選択肢に対して,選択行動データベースを参照して個々の選択肢の優先度を判定し,前記優先度の判定結果に基づいて前記選択肢をソートし,ソート後の前記選択肢を前記チャットボットに返すようにした。
【0010】
一実施形態の非一時的なコンピュータ可読媒体は、チャットボットへの問い合わせに対する回答の選択肢に対して,選択行動データベースを参照して個々の選択肢の優先度を判定するステップと,前記優先度の判定結果に基づいて前記選択肢をソートするステップと,ソート後の前記選択肢を前記チャットボットに返すステップとをコンピュータに実行させるプログラムが格納されるようにした。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば,有望な選択肢が上位に表示され、対話の効率化ができるチャットボットシステム,選択肢整形装置,選択肢整形方法及び非一時的なコンピュータ可読媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施の形態1に係るチャットボットシステムの構成を示すブロック図である。
【
図2】実施の形態1に係るチャットボット部の詳細構成を示すブロック図である。
【
図3】実施の形態1に係る選択肢整形部の詳細構成を示すブロック図である。
【
図4】実施の形態1に係るチャットボットシステムの動作の一例を示すフローチャートである。
【
図5】実施の形態1に係るチャットボットシステムにおける表示例を示す図である。
【
図6】実施の形態1に係るチャットボットシステムにおける表示例を示す図である。
【
図7】実施の形態1に係るチャットボットシステムにおける表示例を示す図である。
【
図8】実施の形態1に係るチャットボットシステムにおける表示例を示す図である。
【
図9】実施の形態1に係るチャットボットシステムの動作の一例を示すフローチャートである。
【
図10】実施の形態1に係る選択肢整形部の選択行動テーブルを示す図である。
【
図11】実施の形態1に係る選択肢整形部の優先度決定の例を示す図である。
【
図12】実施の形態2に係るチャットボットシステムの構成を示すブロック図である。
【
図13】実施の形態2に係るチャットボットシステムにおける表示例を示す図である。
【
図14】実施の形態2に係るチャットボットシステムにおける表示例を示す図である。
【
図15】実施の形態2に係るチャットボットシステムにおける表示例を示す図である。
【
図16】実施の形態2に係るチャットボットシステムにおける表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の形態1
以下,図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は,実施の形態1に係るチャットボットシステムの構成を示すブロック図である。
図1において,チャットボットシステム100は,チャットボット部110と,選択肢生成部120と,選択肢整形部130とを備える。
【0014】
チャットボット部110,選択肢生成部120及び選択肢整形部130は,同じ装置にまとめて備えるようにしてもよい。また,チャットボット部110,選択肢生成部120及び選択肢整形部130は,それぞれ別の装置とし,装置間をネットワークで接続するようにしてもよい。また,チャットボット部110,選択肢生成部120及び選択肢整形部130は,一部の機能をクラウドサーバ,クラウドストレージに備えるようにしてもよい。また,また,チャットボット部110,選択肢生成部120及び選択肢整形部130は,それぞれの構成を複数の装置(例えば複数のサーバ)で実現しても良い。したがって,チャットボット部110,選択肢生成部120及び選択肢整形部130を同一の物理サーバ上に構成することは必須ではなくモジュールごとに分散することが可能である。そのため,AIのみ,データベースのみなど負荷が高まったモジュールのみをスケールアウト(サーバ台数増設)して拡張することが可能である。
【0015】
また,チャットボット部110,選択肢生成部120及び選択肢整形部130は,CPU及びメモリを備えるコンピュータと,コンピュータ上で実行するプログラムで実現してもよい。また,チャットボット部110,選択肢生成部120及び選択肢整形部130は,電子回路によるハードウェアで実現しても良い。
【0016】
チャットボット部110は,ユーザ端末140から送信されるデータを受信できるインターフェースを備える。そして,チャットボット部110は,このデータを選択肢生成部120に送信する。ユーザ端末140から送信されるデータは,問い合わせに関するデータであれば,いずれの形式であってもよい。例えばユーザ端末140から送信されるデータは,テキストデータである。またユーザ端末140から送信されるデータは,音声データであってもよい。例えば,問い合わせに関するデータが音声データである場合,チャットボット部110は,音声認識回路(またはプログラム)を用いてテキストデータに変換する。
【0017】
選択肢生成部120は,チャットボット部110から送信された問い合わせの入力内容をもとに返却テキスト(問い返し)と返却テキストに付随する選択肢を生成する。選択肢生成部120は,問い合わせ内容に対して回答できるAIであればいずれも適用可能である。例えば,選択肢生成部120は,論理思考AIであってもよい。論理思考AIとは、対話式のチャットボットにおいて対話を行うためのシナリオ(ユーザの入力に対する問い返しを規定した情報)をWorldWideWebページやテキストやPDF(Portable Document Format)形式のマニュアルから抽出した情報をもとに、自動的に構成する仕組みを持つAIである。
【0018】
選択肢整形部130は,選択肢生成部選択肢生成部120から選択肢のデータを受け取る。そして,選択肢整形部130は,蓄積された行動データと照合することで優先度を判別し,優先度の高さで選択肢をソートする。そして,選択肢整形部130は,ソートされた選択肢のデータを(直接,または選択肢生成部120を介して)チャットボット部110に送信する。
【0019】
なお,ユーザ端末140は1つに限定されず,複数のユーザ端末であってもよい。例えばユーザ端末の数に対応するチャットボット部110のエージェントがあってもよい。なお,エージェントとは,ユーザや他のソフトウェアとの仲介的関係において動作するソフトウェアである。すなわち,チャットボット部110内にそれぞれのユーザ端末に対応するエージェントを有するようにしてもよい。
【0020】
以上の構成により、チャットボットシステム100はユーザとのインターフェースとなるチャットボット部110,チャットボット部110を介してユーザと対話する選択肢生成部120,論理思考AIの生成した選択肢を最適化する選択肢整形部130を含む。チャットボット部110と選択肢生成部120はネットワークを介して接続されるようにしてもよい。選択肢生成部120と選択肢整形部130もネットワークを介して接続されるようにしてもよい。
【0021】
次にチャットボット部110の詳細構成について説明する。
図2は,実施の形態1に係るチャットボット部の詳細構成を示すブロック図である。
図2において,チャットボット部110は,ユーザインターフェース部111と,入力テキスト解析部112と,ネットワークインターフェース部113とを備える。
【0022】
ユーザインターフェース部111は,ユーザ端末140とデータをやりとりするユーザインターフェースである。例えば,ユーザインターフェース部111は,ユーザ端末とデータを送信及び受信可能なネットワーク回路を備える。
【0023】
入力テキスト解析部112は,ユーザ端末140からのテキストデータを解析し,問い合わせ内容を認識する。そして,入力テキスト解析部112は,ネットワークインターフェース部113を介して問い合わせ内容を選択肢生成部120に送信する。
【0024】
ネットワークインターフェース部113は,選択肢生成部120とデータをやりとりするネットワークインターフェースである。例えば,ネットワークインターフェース部113は,選択肢生成部120とデータを送信及び受信可能なネットワーク回路を備える。
【0025】
次に選択肢整形部130の詳細構成について説明する。
図3は,実施の形態1に係る選択肢整形部の詳細構成を示すブロック図である。
図3において,選択肢整形部130は,インターフェース部131と,選択肢優先度判定部132と,選択行動DB133と,選択肢ソート部134と,含意クラスタリング部135とを備える。
【0026】
インターフェース部131は,選択肢生成部120とデータをやりとりするネットワークインターフェースである。例えば,インターフェース部131は,選択肢生成部120とデータを送信及び受信可能なネットワーク回路を備える。選択肢優先度判定部132は,選択肢と優先度の組み合わせを選択肢ソート部134に送信する。
【0027】
選択肢優先度判定部132は,選択行動DB133を参照して,選択肢生成部120から送信された選択肢のデータそれぞれの優先度を読み出す。
【0028】
選択行動DB133は,選択肢と優先度とを関連づけて記憶するデータベースである。例えば、選択行動DB133は,選択肢と、選択肢が選ばれた回数とを関連付けた選択行動集計テーブルを記憶する。例えば、優先度は、選択肢が選ばれた回数に基づいて決定される。
【0029】
選択肢ソート部134は,優先度順に選択肢をソートする。そして,選択肢ソート部134は,インターフェース部131を介して,ソート後の選択肢をチャットボット部110に送信する。
【0030】
含意クラスタリング部135は,選択行動DB133の類似の意味を持つ文言をグループ化する。具体的には、選択行動DB133の選択行動集計テーブルの内容は選択行動テーブルの質問文を含意クラスタリング(類似の意味を持つ文言をグループ化する技術)により定期的(日次,週次,月次のいずれか)に集計したデータとする。含意クラスタリングは,二つの文が同じ意味を含むかどうかを判定するテキスト含意認識技術を用い、事前に分類の観点を設定することなく、文書データを高速かつ自動でグループ化することである。例えば,含意クラスタリング部135は,定期的なタイミングで、含意クラスタリング手法により、類似の意味を持つ質問文ごとに複数の質問文をグループ化する。
【0031】
選択肢記録部136は,ユーザ端末において選択された選択肢の情報を問い合わせ内容別に選択行動DB133に反映させる。
【0032】
次にチャットボットシステム100の動作について説明する。
図4は,実施の形態1に係るチャットボットシステムの動作の一例を示すフローチャートである。
まず,ステップS401において,ユーザはユーザ端末140を用い,チャットボット部1
10を介して選択肢生成部120と対話を開始する。そしてステップS402に進む。
【0033】
次に,ステップS402において,選択肢生成部120は対話の内容に応じて選択肢を生成する。そしてステップS403に進む。
【0034】
次に,ステップS403において,選択肢生成部120は質問と生成した選択肢を選択肢整形部130に送信する。そしてステップS404に進む。
【0035】
ステップS404において,選択肢整形部130は質問と受け取った選択肢をもとに選択行動DB133を参照し,選択肢の優先度を判別する。そして,選択肢整形部130は選択肢の優先度を選択肢生成部120に返却する。ここで,選択肢の優先度判別は,過去に同じまたは類似の質問と選択肢が提示された時のユーザの選択行動の蓄積をもとに,今回の選択肢で選択される可能性の高いものを優先度高として判定される。そしてステップS405に進む。
【0036】
ステップS405において,選択肢生成部120は選択肢情報をチャットボット部110に送信する。そしてステップS406に進む。
【0037】
ステップS406において,チャットボット部100は選択肢とその優先度をもとに,上位に表示するもの,下位に表示するもの,初期状態では折りたたまれて表示されるものに分けて表示するデータをユーザ端末140に返す。具体的な表示内容は後述する。そしてステップS407に進む。
【0038】
ステップS407において,ユーザが選択した選択肢をチャットボット部100が受け付ける。ユーザが選択した選択肢をチャットボット部100が受けていない場合,ステップS407を繰り返す。ユーザが選択した選択肢をチャットボット部100が受け付けた場合ステップS408に進む。
【0039】
ステップS408において,チャットボット部110は選択内容を選択肢生成部120に送信する。そしてステップS409に進む。
【0040】
ステップS409において,選択肢生成部120は質問と選択肢と選択内容を,インターフェース部131を介して選択肢記録部136に送信する。そしてステップS410に進む。
【0041】
ステップS410において,選択肢記録部136は選択行動DB133に記録する。なお,選択行動が蓄積されるまでの間は,選択肢が生成された順に,すべて優先度高として処理する。そして処理を終了する。
【0042】
次に,問い合わせに対する回答の表示例について説明する。
図5は,実施の形態1に係るチャットボットシステムにおける表示例を示す図である。
図5では,「東京から大阪への移動手段」に関する問い合わせと,その回答を表示する例である。
【0043】
図5において,「東京から大阪への移動手段」への問い合わせに対して,3つの選択肢が表示されている。1番上の選択肢「新幹線」は最も優先度が高いと判断された選択肢である。上から2番目の選択肢「飛行機」は「新幹線」の次に優先度優先度が高いと判断された選択肢である。上から3番目の選択肢「夜行バス」は「飛行機」の次に優先度が高いと判断された選択肢である。
【0044】
また,上位3つ以外の選択肢はその他の表示として省略されている(いわゆる折り畳まれ表示)。この「その他」の表示は,例えば上位3つの選択肢より小さいフォントで表示されてもよい。すなわちフォントサイズの大小で優先度の大小を表現することができる。また,
図5では,上位3つの選択肢が同じフォントサイズで表示されているが,優先度が高い選択肢のフォントサイズが,優先度が低い選択肢のフォントサイズより大きく表示するようにしてもよい。なお,優先度の違いは,フォントサイズの大小に限定されるものではない。例えば,優先度の違いは,フォントの太さを変える,フォントの色を変える,フォントを変える,背景色を変える,及び優先度の高いもの/低いもののどちらかをポップアップ表示する,の少なくとも1つで表現されてもよい。また音声チャットボットの場合,優先度の違いは,ソートした順番で回答の音声を流す,最初は優先度の高い3つだけ音声を流し、その他の選択肢はユーザからの問合せに応じて更に音声で流す,の少なくとも1つで表現されてもよい。
【0045】
図5の例では,「その他」の選択肢を選択することにより,具体的に表示された上位3つの選択肢「新幹線」「飛行機」「
夜行バス」以外の選択肢が表示されるようになる。
図6は,実施の形態1に係るチャットボットシステムにおける表示例を示す図である。
図6では,上位3つ以外の選択肢が表示される。
【0046】
図6では,上位3つの選択肢の次に優先度が高いと判断された選択肢「フェリー」「在来線」「自家用車」が上から順に表示される。また選択肢「フェリー」の上に,上位3つの選択肢を再表示するための「新幹線 他」が表示される。この「新幹線 他」の表示は,例えば選択肢「フェリー」「在来線」「自家用車」より小さいフォントで表示されてもよい。また,
図5と同様に,選択肢「フェリー」「在来線」「自家用車」は,優先度が高い選択肢のフォントサイズが,優先度が低い選択肢のフォントサイズより大きく表示するようにしてもよい。
【0047】
図5及び
図6では,選択肢が6つである場合に選択肢を3つずつ表示する例を説明しているが,選択肢が7つ以上ある場合について説明する。
図7は,実施の形態1に係るチャットボットシステムにおける表示例を示す図である。
【0048】
図7では,
図5から「その他」の選択肢を選択することにより
表示される例である。
図7は,
図6と同様の表示内容に加えて,6番目の選択肢「自家用車」の下に「次へ・・・」が表示される。この「次へ・・・」を選択することにより,具体的に表示された上位6つの選択肢以外の選択肢が表示されるようになる。また,「次へ・・・」の表示は,例えば他の選択肢より小さいフォントで表示されてもよい。
【0049】
図8は,実施の形態1に係るチャットボットシステムにおける表示例を示す図である。
図8は,
図7の表示例において「次へ・・・」を選択した場合に表示される例である。
図8では,上位6つの選択肢の次に優先度が高いと判断された選択肢「社用車」「タクシー」「チャーター機」が上から順に表示される。また選択肢「
社用車」の上に,上位4番目から6番目の選択肢を再表示するための「前へ・・・」が表示される。さらにその上に「その他」が表示される。また,上位3つの選択肢を再表示するための「新幹線 他」が表示される。
【0050】
この「前へ・・・」及び「新幹線 他」の表示は,例えば選択肢「社用車」「タクシー」「チャーター機」より小さいフォントで表示されてもよい。また,
図5と同様に,選択肢「社用車」「タクシー」「チャーター機」は,優先度が高い選択肢のフォントサイズが,優先度が低い選択肢のフォントサイズより大きく表示するようにしてもよい。また,
図7と同様に更に優先度が低い選択肢を選択する「次へ・・・」が一番下に表示される。
【0051】
これらの表示は,選択肢整形部130において決定された優先度に基づき,チャットボット部110において,選択肢及び選択肢の優先度のデータとともに,選択肢の表示サイズを指定するデータを作成する。そして,チャットボット部110からユーザ端末140に選択肢及び選択肢の優先度のデータとともに,選択肢の表示サイズを指定するデータを送信することにより実現できる。
【0052】
なお,
図5~7の例では,優先度が高い順に3つずつ表示しているが,同時に表示する選択肢の数は3に限定されるものではなく,ユーザ端末の表示能力,またはユーザの設定により任意の数に決定してもよい。
【0053】
次に選択肢整形部130の動作について説明する。
図9は,実施の形態1に係るチャットボットシステムの動作の一例を示すフローチャートである。
【0054】
ステップS801において,質問部で含意検索(類似の意味を持つ文を検索する技術)が実行される。例えば,選択行動集計テーブルの質問文に対し質問部で含意検索が実行される。そして,ステップS802に進む。
【0055】
ステップS802において,含意検索の結果が1件以上ヒットするか否か判断される。含意検索の結果が1件以上ヒットしない場合,ステップS803に進む。また,含意検索の結果が1件以上ヒットする場合,ステップS804に進む。
【0056】
ステップS803において,入力された検索のまま返し,処理を終了する。優先度は全て高い設定とする。
【0057】
ステップS804において,ヒットした質問からスコア上位(例えば上位3件)に対応する選択肢の組を取得する,そしてステップS805に進む。
【0058】
ステップS805において,選択肢に重みが算出される。そしてステップS806に進む。
【0059】
ステップS806において,入力された選択肢がステップS806の処理に全て含まれているか否か判断する。入力された選択肢がステップS806の処理に全て含まれていない場合,ステップS807に進む。入力された選択肢がステップS806の処理に全て含まれている場合,ステップS808に進む。
【0060】
ステップS807において,ステップS806の処理に含まれていない選択肢が優先度の高い選択肢の末尾に追加される。そして,ステップS808に進む。
【0061】
ステップS808において,重みに従って選択肢に優先度付けされる(すなわちソートされる)。そしてステップS809に進む。
【0062】
ステップS809において,並べ替え後の選択肢を選択肢生成部120に返し,処理を終了する。
【0063】
以上の動作により、渡された選択肢を選択行動データ(選択行動集計テーブル)と含意検索を用いて照合し,選択肢ごとの優先度が決定される。そして、優先度に従って選択肢をソートすることにより,新しい選択肢の並びが生成される。
【0064】
次に優先度の決定方法について説明する。
図10は,実施の形態1に係る選択肢整形部130の選択行動テーブルを示す図である。
図10の上部に示すように,選択行動テーブルは、No(数値型),質問文(文字列),選択肢(文字列),及び選択済み選択肢の欄を有する。なお,選択済み選択肢は,過去に同じ又は類似した質問文に対してユーザが選択したことのある選択肢である。
【0065】
そして,優先度の決定は,選択済み選択肢が優先度の高い選択肢となる。次に残りの選択肢は,選択済み選択肢より優先度の低い選択肢となる。優先度は質問文別に設定される。
【0066】
図10の例では,選択肢生成部120において,質問文1に対する回答として,選択肢1,選択肢2及び選択肢4が選ばれる。これらの選択肢は,選択肢生成部120から,選択肢整形部130に送信される。
【0067】
そして,選択肢1が優先度の高い選択肢となる。質問文1に対して,選択肢2及び選択肢4は,選択肢1より優先度の低い選択肢となる。そして,優先順位で並べ替えられた選択肢1,選択肢2及び選択肢4が選択肢整形部130から選択肢生成部120に返される。
【0068】
また,優先度は,選択された回数に基づいて決定されてもよい。この場合に、
図10の下部に示すように,選択行動集計テーブルは,No(数値型),質問文(文字列),選択肢(文字列),選択肢(json型),及び選択回数(数値型)の欄を有するようにしてもよい。
【0069】
そして,優先度の決定は以下のように行われる。
・入力された選択肢の組と同じ組み合わせがあれば,その組み合わせの中での選択回数の順に優先度が高いものとする。この場合,全選択回数のうち各選択肢の選択された回数が期待値の半分を下回った場合にランク低とする。
例:選択肢が4つあった場合,8回に1回未満しか選択されない選択肢をランク低とする。
・入力された選択肢の組と同じ組み合わせがない場合を
図11で説明する。
図11は,実施の形態1に係る選択肢整形部の優先度決定の例を示す図である。
はじめに入力された選択肢を含む選択肢の組をすべて抽出する。それぞれの選択肢が各組の中でどれだけの割合で選択されているのかを算出し,それぞれの割合を単純加算する。単純加算した値に全選択回数に対する各選択肢の選択割合を乗算した値を優先度とする。ランク低とみなす基準は前項に準じる。
単純加算により多くの組に出現する選択肢を重要であるとみなすとともに,全選択回数に対する選択割合を乗じることで実際の選択回数の影響を組み込んでいる。
・入力された選択肢に,蓄積されたデータに存在しない選択肢が存在した場合,その選択肢は,優先度高と判定された選択肢の末尾に優先度高の選択肢として位置付ける。
このように実施の形態1のチャットボットシステムによれば,選択肢としての優先度の高いものを選択しやすくし,低いものの優先度を下げる,もしくは折りたたむ/除外することで対話の効率化ができる。
【0070】
実施の形態2
実施の形態2では,ユーザの属性情報に基づいて選択肢に情報を追加する例について説明する。
図12は,実施の形態2に係るチャットボットシステムの構成を示すブロック図である。
図12において、チャットボットシステム1100は、チャットボット部110と、選択肢生成部120と、選択肢整形部130と、情報追加部1101と、追加情報DB1102とを備える。
図12において、
図1と同一の構成は、同じ番号を付して説明を省略する。
【0071】
情報追加部1101は、追加情報DB1102を参照して、選択肢整形部130において、ソートされた選択肢に情報を追加する。そして、情報追加部1101は、情報を追加されたソート後の選択肢をチャットボット部110に送信する。
【0072】
追加情報DB1102は、ユーザの属性と、選択肢に追加する情報とを関連付けて記憶するデータベースである。
【0073】
この追加情報は、ユーザの属性では表示しない選択肢を消す情報であってもよい。
図13は、実施の形態2に係るチャットボットシステムにおける表示例を示す図である。
図13は、
図5で示された選択肢のうち、ユーザの属性(例えば所属組織)により飛行機が選択できない例である。情報追加部1101は、追加情報DB1102を参照して、選択肢の「飛行機」がユーザの属性(所属組織)により選択できないものであると判断する。そして、情報追加部1101は、選択肢から「飛行機」を削除した後、チャットボット部110に選択肢を送信する。
【0074】
また、追加情報は、ユーザの属性により異なるものであっても良い。
図14は、実施の形態2に係るチャットボットシステムにおける表示例を示す図である。
図14では、情報を追加する前の表示内容を示している。この
図14の表示内容の選択肢にユーザの属性(例えば年齢)により異なる情報が追加される。
【0075】
図15は、実施の形態2に係るチャットボットシステムにおける表示例を示す図である。
図15では、年齢が所定の値より高い場合の情報が追加された表示例である。
図15において、中華の選択肢に(オススメ!:AA楼)が追加されている。同様に和食の選択肢に(オススメ!:割烹BB)が追加されている。更にイタリアンの選択肢に(オススメ!:リストランテCCC)が追加されている。
【0076】
そして、
図16は、年齢が所定の値以下である場合の情報が追加された表示例である。
図16において、中華の選択肢に(オススメ!:DD飯店)が追加されている。同様に和食の選択肢に(オススメ!:EE茶屋)が追加されている。更にイタリアンの選択肢に(オススメ!:ピッツァFF)が追加されている。
【0077】
このように、これらの追加情報は選択肢別且つユーザの属性別に追加情報DB1102に記憶されている。
【0078】
なお、追加情報についても前回選択したものを優先的に表示するなどの制御をおこなってもよい。
【0079】
このように実施の形態2のチャットボットシステムによれば,チャットボットのシステムがユーザの属性情報を取得できる場合,ユーザの特性に応じて選択肢の制御や情報追加ができる。
【0080】
以上,実施の形態を参照して本願発明を説明したが,本願発明は上記によって限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には,発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0081】
上述の実施の形態では,本発明をハードウェアの構成として説明したが,本発明は,これに限定されるものではない。本発明は,任意の処理を,CPU(Central Processing Unit)にコンピュータプログラムを実行させることにより実現することも可能である。
【0082】
プログラムは,様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され,コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は,様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は,磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク,磁気テープ,ハードディスクドライブ),光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク),CD-ROM(Read Only Memory),CD-R,CD-R/W,半導体メモリ(例えば,マスクROM,PROM(Programmable ROM),EPROM(Erasable PROM),フラッシュROM,RAM(random access memory))を含む。また,プログラムは,様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は,電気信号,光信号,及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は,電線及び光ファイバ等の有線通信路,又は無線通信路を介して,プログラムをコンピュータに供給できる。
【符号の説明】
【0083】
100 チャットボットシステム
110 チャットボット部
111 ユーザインターフェース部
112 入力テキスト解析部
113 ネットワークインターフェース部
120 選択肢生成部
130 選択肢整形部
131 インターフェース部
132 選択肢優先度判定部
133 選択行動DB
134 選択肢ソート部
135 含意クラスタリング部
136 選択肢記録部
140 ユーザ端末
1101 情報追加部
1102 追加情報DB