IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 京セラドキュメントソリューションズ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-画像読取装置 図1
  • 特許-画像読取装置 図2
  • 特許-画像読取装置 図3
  • 特許-画像読取装置 図4
  • 特許-画像読取装置 図5
  • 特許-画像読取装置 図6
  • 特許-画像読取装置 図7
  • 特許-画像読取装置 図8
  • 特許-画像読取装置 図9
  • 特許-画像読取装置 図10
  • 特許-画像読取装置 図11
  • 特許-画像読取装置 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】画像読取装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20240319BHJP
   H04N 1/04 20060101ALI20240319BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20240319BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20240319BHJP
   B65H 29/60 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
H04N1/00 567M
H04N1/12 Z
G03G21/00 386
G03G15/00 107
B65H29/60 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022537932
(86)(22)【出願日】2021-07-12
(86)【国際出願番号】 JP2021026132
(87)【国際公開番号】W WO2022019163
(87)【国際公開日】2022-01-27
【審査請求日】2023-01-16
(31)【優先権主張番号】P 2020124555
(32)【優先日】2020-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 新一
【審査官】豊田 好一
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-141542(JP,A)
【文献】特開2004-357287(JP,A)
【文献】特開2002-354201(JP,A)
【文献】特開2020-28012(JP,A)
【文献】特開2014-230189(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
H04N 1/04
G03G 21/00
G03G 15/00
B65H 29/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を読み取って画像データを生成する読取ジョブの設定を受け付ける操作パネルと、
前記読取ジョブで読み取るジョブ原稿がセットされるセット部を有し、前記ジョブ原稿を前記セット部から給紙して搬送する原稿搬送ユニットと、
搬送中の前記ジョブ原稿を第1位置で読み取る第1読取部と、
搬送中の前記ジョブ原稿を第2位置で読み取る第2読取部と、
前記操作パネルが受け付けた前記読取ジョブの設定内容に基づき、前記読取ジョブを制御する制御部と、を備え、
前記ジョブ原稿の搬送経路には、一方側から前記第1位置を経由して他方側に向かい、途中で前記一方側に向けて折り返して前記第2位置を経由する第1搬送経路と、途中で折り返すことなく、前記第1位置および前記第2位置の一方である所定読取位置を経由する第2搬送経路とがあり、
前記セット部に複数枚の前記ジョブ原稿がセットされているとき、前記原稿搬送ユニットは、最上層の前記ジョブ原稿から順に給紙し、
前記ジョブ原稿の片面を読み取る前記読取ジョブで前記第1搬送経路を使用する旨の設定がなされているとき、
前記第2読取部は、前記ジョブ原稿の両面のうち、前記セット部にセットされた状態では上方に向く第1面を読み取り、
前記原稿搬送ユニットは、前記第1面を下向きにして前記ジョブ原稿を排出し、
前記ジョブ原稿の片面を読み取る前記読取ジョブで前記第2搬送経路を使用する旨の設定がなされているとき、
前記第1読取部および前記第2読取部のうち前記所定読取位置で読み取りを行う所定読取部は、前記ジョブ原稿の両面のうち、前記セット部にセットされた状態では下方に向く第2面を読み取り、
前記原稿搬送ユニットは、前記第2面を下向きにして前記ジョブ原稿を排出し、
前記第2搬送経路を使用する旨の設定がなされているとき、前記制御部は、前記読取ジョブの実行前に、排出後の前記ジョブ原稿の順番に関する警告メッセージを前記操作パネルに表示させることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記ジョブ原稿の種類が普通紙であり、かつ、前記第2搬送経路を使用する旨の設定がなされているとき、前記制御部は、前記警告メッセージを表示させることを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記ジョブ原稿の種類が普通紙ではない特定種類であれば、前記第2搬送経路を使用する旨の設定がなされていても、前記制御部は、前記警告メッセージを表示させないことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1搬送経路の使用を推奨するメッセージを前記警告メッセージに含めることを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記ジョブ原稿の種類が普通紙であり、かつ、前記第1搬送経路を使用する旨の設定がなされているとき、前記制御部は、前記警告メッセージを表示させないことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿を読み取る画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、原稿を搬送し、搬送中の原稿を読み取るジョブの実行が可能な画像読取装置が知られている。このような画像読取装置は、たとえば、特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1の画像読取装置は、原稿がセットされる給紙トレイを有する。複数枚の原稿が給紙トレイにセットされている場合には、最上層の原稿から順に給紙され搬送される。
【0004】
特許文献1の画像読取装置は、原稿の搬送経路を2つ有する。一方の搬送経路に沿って搬送される原稿は、給紙された後、表裏が反転され、Uターンパス用の排紙トレイに排出される。他方の搬送経路に沿って搬送される原稿は、給紙された後、表裏が反転されることなく、ストレートパス用の排紙トレイに排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-52929号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の画像読取装置で複数枚の原稿を読み取る場合、ユーザーは、給紙トレイに複数枚の原稿(原稿束)をセットする。通常、複数枚の原稿は、ユーザー所望の順番(たとえば、ページ順)でセットされる。
【0007】
複数枚の原稿を読み取る場合において、原稿の表裏が反転する搬送経路が使用された場合、排紙トレイ上の原稿束の状態は、給紙トレイへの原稿セット時と同じ状態に維持される。
【0008】
一方で、複数枚の原稿を読み取る場合において、原稿の表裏が反転しない搬送経路が使用された場合、排紙トレイ上の原稿束の状態は、給紙トレイへの原稿セット時と同じ状態にはならない。この場合には、複数枚の原稿の読み取り後、排紙トレイから取り出した複数枚の原稿を並び替える作業などを行わなければならず、ユーザーにとっては煩わしく利便性が悪い。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、給紙した原稿(読み取る原稿)の表裏を反転させて当該原稿を排出する搬送経路および給紙した原稿の表裏を反転させずに当該原稿を排出する搬送経路を有する構成において、複数枚の原稿を読み取る場合の利便性を向上させることが可能な画像読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の一局面による画像読取装置は、原稿を読み取って画像データを生成する読取ジョブの設定を受け付ける操作パネルと、読取ジョブで読み取るジョブ原稿がセットされるセット部を有し、ジョブ原稿をセット部から給紙して搬送する原稿搬送ユニットと、搬送中のジョブ原稿を第1位置で読み取る第1読取部と、搬送中のジョブ原稿を第2位置で読み取る第2読取部と、操作パネルが受け付けた読取ジョブの設定内容に基づき、読取ジョブを制御する制御部と、を備える。ジョブ原稿の搬送経路には、一方側から第1位置を経由して他方側に向かい、途中で一方側に向けて折り返して第2位置を経由する第1搬送経路と、途中で折り返すことなく、第1位置および第2位置の一方である所定読取位置を経由する第2搬送経路とがある。セット部に複数枚のジョブ原稿がセットされているとき、原稿搬送ユニットは、最上層のジョブ原稿から順に給紙する。ジョブ原稿の片面を読み取る読取ジョブで第1搬送経路を使用する旨の設定がなされているとき、第2読取部は、ジョブ原稿の両面のうち、セット部にセットされた状態では上方に向く第1面を読み取る。原稿搬送ユニットは、第1面を下向きにしてジョブ原稿を排出する。ジョブ原稿の片面を読み取る読取ジョブで第2搬送経路を使用する旨の設定がなされているとき、第1読取部および第2読取部のうち所定読取位置で読み取りを行う所定読取部は、ジョブ原稿の両面のうち、セット部にセットされた状態では下方に向く第2面を読み取る。原稿搬送ユニットは、第2面を下向きにしてジョブ原稿を排出する。第2搬送経路を使用する旨の設定がなされているとき、制御部は、読取ジョブの実行前に、排出後のジョブ原稿の順番に関する警告メッセージを操作パネルに表示させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の構成では、複数枚の原稿を読み取る場合の利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態による複合機の概略図である。
図2】本発明の一実施形態による原稿搬送ユニットの概略図である。
図3】本発明の一実施形態による原稿搬送ユニットにより搬送される原稿の搬送経路を示す図である。
図4】本発明の一実施形態による複合機のブロック図である。
図5】本発明の一実施形態による原稿搬送ユニットにセットされた複数枚の原稿および原稿搬送ユニットから排出された複数枚の原稿の各状態を示す図(第1搬送経路が使用される場合の図)である。
図6】本発明の一実施形態による原稿搬送ユニットにセットされた複数枚の原稿および原稿搬送ユニットから排出された複数枚の原稿の各状態を示す図(第2搬送経路が使用される場合の図)である。
図7】本発明の一実施形態による複合機がジョブを実行する前に行う処理の流れを示すフローチャートである。
図8】本発明の一実施形態による複合機が表示する第1警告メッセージを示す図である。
図9】本発明の一実施形態による複合機が表示する第2警告メッセージを示す図である。
図10】本発明の一実施形態による複合機が表示する第3警告メッセージを示す図である。
図11】本発明の変形例による原稿搬送ユニットの概略図である。
図12】本発明の変形例による原稿搬送ユニットにより搬送される原稿の搬送経路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<複合機の構成>
図1に示すように、本実施形態の複合機100(「画像読取装置」に相当)は、読取部1を備える。読取部1は、原稿Dを読み取る。
【0014】
読取部1は、光源11およびイメージセンサー12を備える。光源11は、原稿Dに光を照射する。イメージセンサー12は、原稿Dで反射された反射光を受光して光電変換する。光源11およびイメージセンサー12は、読取部1の筐体内部に設置される。
【0015】
読取部1の筐体上面には、コンタクトガラスG1およびG2が取り付けられる。コンタクトガラスG1は、搬送読取ジョブで使用される。コンタクトガラスG2は、載置読取ジョブで使用される。
【0016】
複合機100は、原稿搬送ユニット2を備える。原稿搬送ユニット2は、読取部1の筐体に対して回動可能に取り付けられる。原稿搬送ユニット2は、第1原稿トレイ210および第1排出トレイ201を有する。また、原稿搬送ユニット2には、第2排出トレイ202が設けられる。
【0017】
第1原稿トレイ210は、複合機100の正面から見て右側(一方側)に位置する。第1排出トレイ201は、複合機100の正面から見て右側であって第1原稿トレイ210の下方に位置する。第2排出トレイ202は、複合機100の正面から見て左側(一方側とは逆の他方側)に位置する。
【0018】
図2に示すように、原稿搬送ユニット2は、原稿搬送路20を有する。原稿搬送路20は、搬送読取ジョブで読み取る原稿Dの搬送をガイドする。搬送読取ジョブで読み取る原稿Dは、第1原稿トレイ210にセットされる。原稿搬送ユニット2は、第1原稿トレイ210から原稿搬送路20に原稿Dを給紙して搬送する。すなわち、第1原稿トレイ210が「セット部」に相当する。第1原稿トレイ210に複数枚の原稿Dがセットされている場合、原稿搬送ユニット2は、第1原稿トレイ210上の複数枚の原稿Dを最上層の原稿Dから順に1枚ずつ原稿搬送路20に給紙する。原稿搬送ユニット2は、第1排出トレイ201および第2排出トレイ202のいずれかに原稿Dを排出する。
【0019】
以下の説明では、第1原稿トレイ210から原稿搬送路20への原稿Dの給紙口に符号20Aを付す。また、原稿搬送路20から第1排出トレイ201への原稿Dの排出口に符号20Bを付する。原稿搬送路20から第2排出トレイ202への原稿Dの排出口に符号20Cを付す。
【0020】
第2排出トレイ202は、原稿搬送ユニット2の筐体に回動可能(開閉可能)に取り付けられる。第2排出トレイ202は、開位置(図2に示す位置)と閉位置(図示せず)との間で回動する。第2排出トレイ202は、開位置にあるとき、排出口20Cを開放する。そして、第2排出トレイ202は、閉じられる(開位置から閉位置に回動する)ことにより、排出口20Cを塞ぐ。
【0021】
原稿搬送ユニット2により搬送される原稿Dの搬送経路は2つある。原稿搬送ユニット2は、第1搬送経路R1(図3参照)および第2搬送経路R2(図3参照)のいずれかの経路に沿って原稿Dを搬送する。図3では、第1搬送経路R1を一点鎖線で示し、第2搬送経路R2を二点鎖線で示す。図2には、第1搬送経路R1および第2搬送経路R2を図示しない。
【0022】
第1搬送経路R1は、原稿搬送路20の給紙口20Aを始点とし、原稿搬送路20の排出口20Bを終点とする。第1搬送経路R1は、原稿搬送ユニット2の右側(一方側)から第1位置RP1を経由して左側(他方側)に向かい、途中で右側に向けて折り返して第2位置RP2を経由する。すなわち、第1搬送経路R1は、一部で略U字状に湾曲する。第1搬送経路R1を使用する場合、原稿搬送ユニット2は、第1原稿トレイ210から原稿搬送路20に原稿Dを給紙し、第1排出トレイ201に原稿Dを排出する。
【0023】
第2搬送経路R2は、原稿搬送路20の給紙口20Aを始点とし、原稿搬送路20の排出口20Cを終点とする。第1搬送経路R1および第2搬送経路R2の各始点は互いに同じである。第2搬送経路R2は、原稿搬送ユニット2の右側(一方側)から第1位置RP1を経由し、途中で折り返すことなく左側(他方側)に向かう。第2搬送経路R2は第1搬送経路R1と異なり、右側から左側に向かって直線的に延びる。この構成では、第1位置RP1が「所定読取位置」に相当する。第2搬送経路R2を使用する場合、原稿搬送ユニット2は、第1原稿トレイ210から原稿搬送路20に原稿Dを給紙し、第2排出トレイ202に原稿Dを排出する。
【0024】
原稿搬送路20は、図2に示すように、共通部分CPを有する。共通部分CPは、原稿搬送路20のうち給紙口20Aから分岐位置Pまでの部分である。原稿搬送路20は、分岐位置Pにおいて第1部分P1と第2部分P2とに分岐する。第1部分P1は、分岐位置Pから第1排出トレイ201に至る。第2部分P2は、分岐位置Pから第2排出トレイ202に至る。第1原稿トレイ210から共通部分CPおよび第1部分P1を経由して第1排出トレイ201に至る原稿Dの搬送経路が第1搬送経路R1である。第1原稿トレイ210から共通部分CPおよび第2部分P2を経由して第2排出トレイ202に至る原稿Dの搬送経路が第2搬送経路R2である。
【0025】
第1位置RP1には、読取センサー21が設けられる。読取センサー21は、CIS(Contact Image Sensor)である。読取センサー21は、第1位置RP1で読み取りを行う。すなわち、読取センサー21が「第1読取部」および「所定読取部」に相当する。
【0026】
第2位置RP2は、コンタクトガラスG1上に設定される。第2位置RP2では、読取部1による読み取りが行われる。すなわち、読取部1が「第2読取部」に相当する。
【0027】
また、原稿搬送ユニット2は、給紙ローラー23を備える。給紙ローラー23は、原稿搬送路20の給紙口20Aに設置される。給紙ローラー23は、第1原稿トレイ210にセットされた原稿Dに当接し、その状態で回転する。これにより、第1原稿トレイ210から原稿搬送路20に原稿Dが給紙される。
【0028】
第1原稿トレイ210は、リフト板24を含む。第1原稿トレイ210上の原稿Dは、リフト板24に載置される。リフト板24は、給紙方向の一方側(右側)の端部に回動支点を有する。リフト板24は、給紙方向の他方側(左側)の端部を上下に振るように回動する。リフト板24が上昇することにより、第1原稿トレイ210上の原稿Dが給紙ローラー23に当接する。
【0029】
原稿搬送路20には、複数の搬送ローラー対25が設置される。各搬送ローラー対25は、駆動ローラーおよび従動ローラーを含む。駆動ローラーおよび従動ローラーは、互いに圧接し、搬送ニップを形成する。各搬送ローラー対25は、回転することにより、搬送ニップに進入した原稿Dを搬送する。
【0030】
実行ジョブが搬送読取ジョブである場合には、第1原稿トレイ210に原稿Dがセットされる。原稿搬送ユニット2は、第1原稿トレイ210上の原稿Dを原稿搬送路20に給紙して搬送する。搬送読取ジョブでは、搬送中の原稿Dに対する読み取りが行われ、原稿Dの画像データが生成される。
【0031】
なお、実行ジョブが載置読取ジョブである場合には、コンタクトガラスG2に原稿Dがセットされる。載置読取ジョブでは、コンタクトガラスG2上の原稿Dに対する読み取りが読取部1によって行われ、原稿Dの画像データが生成される。
【0032】
搬送読取ジョブは、第1モードおよび第2モードのいずれかのモードで実行される。第1モードは、第1搬送経路R1を使用するモードである。第2モードは、第2搬送経路R2を使用するモードである。
【0033】
第1モードの搬送読取ジョブの実行時、原稿搬送ユニット2は、第1原稿トレイ210にセットされた原稿Dを給紙して第1搬送経路R1に沿って搬送する。
【0034】
第1モードの搬送読取ジョブで原稿Dの片面を読み取る場合、読取部1は、搬送中の原稿Dが第2位置RP2を通過するとき、原稿Dの両面のうち第1面を読み取る。原稿Dの第1面は、第1原稿トレイ210にセットされた状態では上方に向く面である。
【0035】
第1モードの搬送読取ジョブで原稿Dの両面を読み取る場合、読取部1は、第2位置RP2で原稿Dの第1面を読み取る。読取センサー21は、搬送中の原稿Dが第1位置RP1を通過するとき、原稿Dの両面のうち第1面とは逆の第2面を読み取る。原稿Dの第2面は、第1原稿トレイ210にセットされた状態では下方に向く面である。
【0036】
第1モードの搬送読取ジョブでは、原稿搬送ユニット2は、読み取り後の原稿Dを第1排出トレイ201に排出する。このとき、原稿搬送ユニット2は、原稿Dの第1面を下向き(第2面を上向き)にして原稿Dを排出する。すなわち、原稿搬送ユニット2は、原稿Dの給紙後、原稿Dの表裏を反転させ、原稿Dを排出する。
【0037】
第2モードの搬送読取ジョブの実行時、原稿搬送ユニット2は、第1原稿トレイ210にセットされた原稿Dを給紙して第2搬送経路R2に沿って搬送する。
【0038】
第2モードの搬送読取ジョブで原稿Dの片面を読み取る場合、読取センサー21は、搬送中の原稿Dが第1位置RP1を通過するとき、原稿Dの第2面を読み取る。なお、第2モードの搬送読取ジョブでは、原稿Dの両面読取は実行できない。
【0039】
第2モードの搬送読取ジョブでは、原稿搬送ユニット2は、読み取り後の原稿Dを第2排出トレイ202に排出する。このとき、原稿搬送ユニット2は、原稿Dの第2面を下向き(第1面を上向き)にして原稿Dを排出する。すなわち、原稿搬送ユニット2は、原稿Dの給紙後、原稿Dの表裏を反転させず、原稿Dを排出する。
【0040】
ここで、第1モードの搬送読取ジョブ(片面読取)では、原稿Dの第1面の読み取りが行われる。このため、第1原稿トレイ210に原稿Dをセットするとき、原稿Dの読取対象面を上方に向ければよい。一方で、第2モードの搬送読取ジョブでは、原稿Dの第2面の読み取りが行われる。したがって、第1原稿トレイ210に原稿Dをセットするとき、原稿Dの読取対象面を下方に向ける必要がある。
【0041】
ユーザーは、搬送読取ジョブのモードを任意に選択する。たとえば、デフォルトモードは第1モードである。通常では、原稿Dが普通紙である場合、ユーザーは第1モードを選択する。
【0042】
原稿Dが普通紙ではない特定種類である場合の推奨モードは第2モードである。このため、原稿Dが特定種類である場合、ユーザーは第2モードを選択する。特定種類の原稿Dとしては、厚紙、プラスチックカード、名刺および光沢紙などが挙げられる。すなわち、特定種類の原稿Dは、普通紙よりも厚く腰が強い。このため、原稿Dが特定種類である場合には、原稿Dを曲げずに搬送可能な第2モードが推奨される。
【0043】
図1に戻り、複合機100は、印刷部3を備える。印刷部3は、用紙搬送路30(図1では、破線で示す)に沿って用紙Sを搬送する。そして、印刷部3は、搬送中の用紙Sに画像を印刷する。たとえば、印刷部3は、用紙Sに印刷する画像として、読取ジョブで得られた画像データに基づく画像を形成する。
【0044】
印刷部3は、用紙給紙部31を備える。印刷に用いる用紙Sは、用紙カセット301に収容される。用紙給紙部31は、用紙カセット301から用紙搬送路30に用紙Sを給紙する。
【0045】
印刷部3は、転写部32を備える。転写部32は、感光体ドラムおよび転写ローラーを含む。感光体ドラムは、その周面上にトナー像を担持する。転写ローラーは、感光体ドラムに圧接し、感光体ドラムとの間で転写ニップを形成する。転写部32は、転写ニップに進入した用紙Sを搬送しつつ、用紙Sにトナー像を転写する。
【0046】
図示しないが、印刷部3は、帯電装置、露光装置および現像装置をさらに備える。帯電装置は、感光体ドラムの周面を帯電させる。露光装置は、感光体ドラムの周面上に静電潜像を形成する。現像装置は、感光体ドラムの周面上の静電潜像をトナー像に現像する。
【0047】
また、印刷部3は、定着部33を備える。定着部33は、加熱ローラーおよび加圧ローラーを含む。加熱ローラーは、ヒーターを内蔵する。加圧ローラーは、加熱ローラーに圧接し、加熱ローラーとの間で定着ニップを形成する。定着部33は、定着ニップに進入した用紙Sを搬送しつつ、用紙Sにトナー像を定着させる。印刷済みの用紙Sは、用紙排出トレイ302に排出される。
【0048】
また、図4に示すように、複合機100は、制御部4および記憶部5を備える。制御部4は、CPUを含む。記憶部5は、ROM、RAMおよびHDDなどの記憶デバイスを含む。制御部4は、読取ジョブおよび印刷ジョブなど、複合機100で実行されるジョブを制御する。
【0049】
制御部4は、読取部1による原稿Dの読取動作を制御する。また、制御部4は、原稿搬送ユニット2による原稿Dの搬送動作を制御する。すなわち、制御部4は、給紙ローラー23など、原稿Dの給送を担う種々のローラー部材を回転させる給送モーターM1を制御する。制御部4は、リフト板24を昇降させるリフトモーターM2を制御する。制御部4は、読取センサー21による原稿Dの読取動作を制御する。
【0050】
制御部4には、セットセンサーSSが接続される。セットセンサーSSは、第1原稿トレイ210に設置される。セットセンサーSSは、第1原稿トレイ210上における原稿Dの有無に応じて出力値を変化させる。制御部4は、セットセンサーSSの出力に基づき、第1原稿トレイ210に原稿Dがセットされているか否か(第1原稿トレイ210に原稿Dが残っているか否か)を検知する。
【0051】
また、制御部4には、カバーセンサーCSが接続される。カバーセンサーCSは、第2排出トレイ202が開位置にあるときと閉位置にあるときとで出力値を変化させる。たとえば、カバーセンサーCSは、発光部および受光部を有する透過型の光センサーである。第2排出トレイ202が開位置にあるとき、第2排出トレイ202に設けられた検知片がカバーセンサーCSの発光素子と受光素子との間の光路を遮蔽(または開放)する。一方で、第2排出トレイ202が閉位置にあるとき、第2排出トレイ202の検知片がカバーセンサーCSの発光素子と受光素子との間の光路を開放(または遮蔽)する。
【0052】
制御部4は、カバーセンサーCSの出力に基づき、第2排出トレイ202が開位置にあるか閉位置にあるか(第2排出トレイ202の開閉状態)を検知する。すなわち、制御部4は、カバーセンサーCSの出力に基づき、第2排出トレイ202によって原稿搬送路20の排出口20Cが塞がれているか否かを検知する。
【0053】
また、制御部4には、第1排出センサーES1が接続される。第1排出センサーES1は、第1排出トレイ201上の原稿Dの有無に応じて出力値を変化させる。制御部4は、第1排出センサーES1の出力に基づき、第1排出トレイ201に原稿Dが排出されているか否か(第1排出トレイ201に原稿Dが残っているか否か)を検知する。
【0054】
また、制御部4には、第2排出センサーES2が接続される。第2排出センサーES2は、第2排出トレイ202上の原稿Dの有無に応じて出力値を変化させる。制御部4は、第2排出センサーES2の出力に基づき、第2排出トレイ202に原稿Dが排出されているか否か(第2排出トレイ202に原稿Dが残っているか否か)を検知する。
【0055】
複合機100は、操作パネル6を備える。操作パネル6には、タッチスクリーンが設けられる。タッチスクリーンは、ソフトウェアボタンを配した画面を表示し、表示画面に対するタッチ操作をユーザーから受け付ける。操作パネル6には、複数のハードウェアボタンが設けられる。複数のハードウェアボタンの中には、ジョブの実行指示をユーザーから受け付けるスタートボタンがある。
【0056】
操作パネル6は、制御部4に接続される。制御部4は、操作パネル6の表示動作を制御する。また、制御部4は、操作パネル6に対して行われた操作を検知する。制御部4は、操作パネル6がジョブの実行指示を受け付けると、ジョブを実行する。実行指示を受けたジョブが搬送読取ジョブである場合、制御部4は、搬送読取ジョブで読み取る原稿D(すなわち、第1原稿トレイ210にセットされた原稿D)の搬送を原稿搬送ユニット2に行わせる。
【0057】
複合機100は、通信部7を備える。通信部7は、通信回路を含む。通信部7は、ネットワークNTを介して、外部機器1000と通信可能に接続される。外部機器1000は、パーソナルコンピューター(ユーザー端末)、サーバーおよびFAXなどである。
【0058】
通信部7は、制御部4に接続される。制御部4は、通信部7を用いて、外部機器1000との間でデータを送受信する。たとえば、読取ジョブで得られた原稿Dの画像データを外部機器1000に送信することができる。
【0059】
<読取ジョブの設定>
操作パネル6は、搬送読取ジョブに関する設定をユーザーから受け付ける。読取解像度の設定、読取サイズの設定および両面読取の有効無効の設定など、種々の設定受付が行われる。
【0060】
ここで、操作パネル6は、搬送読取ジョブに関する設定として、第1搬送経路R1および第2搬送経路R2のいずれを搬送読取ジョブで使用するかの設定(経路設定)を受け付ける。デフォルトの搬送経路は第1搬送経路R1である。
【0061】
また、操作パネル6は、搬送読取ジョブに関する設定として、搬送読取ジョブでどのような種類の原稿Dを読み取るかの設定(種類設定)を受け付ける。たとえば、普通紙、厚紙、プラスチックカード、名刺および光沢紙など、複数の種類のそれぞれごとに予め定められた厚さ(坪量)が対応付けられる。種類設定では、複数の種類のいずれかが読取対象として設定される。デフォルトの種類は普通紙である。
【0062】
<警告メッセージの表示>
搬送読取ジョブで読み取る原稿Dが複数枚の場合、ユーザーは、複数枚の原稿Dの読取対象面の向き(表裏)を合わせる。また、ユーザーは、複数枚の原稿Dをページ順に並べる。そして、ユーザーは、読取対象面の向きを合わせ、かつ、ページ順に並べた複数枚の原稿Dの束を第1原稿トレイ210にセットする。
【0063】
ここで、原稿Dの読取枚数が6枚の場合を例にとって説明する。以下の説明では、1ページ目の原稿Dに符号D1を付し、2ページ目の原稿Dに符号D2を付し、3ページ目の原稿Dに符号D3を付し、4ページ目の原稿Dに符号D4を付し、5ページ目の原稿Dに符号D5を付し、6ページ目の原稿Dに符号D6を付す。また、原稿D1、D2、D3、D4、D5およびD6を含む束に符号DSを付す。また、読取対象面に符号TRを付す。なお、図5および図6では、原稿D1の読取対象面に符号TRを付す。原稿D2~D6の読取対象面の符号TRは省略するが、原稿D2~D6の読取対象面は原稿D1の読取対象面と同方向に向いているとする。
【0064】
第1モードの搬送読取ジョブの片面読取では、第1原稿トレイ210に原稿Dをセットするとき、原稿Dの読取対象面を上方に向けることにより、原稿Dの読取対象面(第1面)の読み取りが行われる。このため、第1モードの搬送読取ジョブの片面読取において、原稿D1~D6が読取対象である場合、ユーザーは、図5上図に示す状態となるよう束DSを第1原稿トレイ210にセットする。原稿D1、D2、D3、D4、D5およびD6は、上から下に向かってこの順番で並ぶ(1ページ目の原稿Dが最上層となる)。また、原稿D1~D6の各読取対象面TRが上方に向く。
【0065】
図5上図に示す状態で第1モードの搬送読取ジョブが実行された場合には、図5下図に示すように、原稿D1~D6が正しい順番および向きで第1排出トレイ201に排出される。具体的には、下から上に向かって、原稿D1、D2、D3、D4、D5およびD6がこの順番で並ぶ。また、原稿D1~D6の各読取対象面TRが下方に向く。すなわち、束DSがセット時と同じ状態に維持される。
【0066】
第2モードの搬送読取ジョブの片面読取では、第1原稿トレイ210に原稿Dをセットするとき、原稿Dの読取対象面を下方に向けることにより、原稿Dの読取対象面(第2面)の読み取りが行われる。このため、第2モードの搬送読取ジョブの片面読取において、原稿D1~D6が読取対象である場合、ユーザーは、図6上図に示す状態となるよう束DSを第1原稿トレイ210にセットする。原稿D1、D2、D3、D4、D5およびD6は、下から上に向かってこの順番で並ぶ(最終ページの原稿Dが最上層となる)。また、原稿D1~D6の各読取対象面TRが下方に向く。
【0067】
ここで、第2モードでは第1モードと同様、第1原稿トレイ210上の最上層の原稿Dから順に給紙される。しかし、第1モードでは、原稿Dは表裏が反転されて排出されるのに対し、第2モードでは、原稿Dは表裏が反転されずに排出される。
【0068】
このため、図6上図に示す状態で第2モードの搬送読取ジョブが実行された場合、第2排出トレイ202に排出される束DSはセット時と同じ状態にはならない。具体的には、図6下図に示すように、上から下に向かって、原稿D1、D2、D3、D4、D5およびD6がこの順番で並ぶ。また、原稿D1~D6の各読取対象面TRが下方に向く。
【0069】
図6下図に示す状態となった場合、第2排出トレイ202から複数枚の原稿D(D1~D6)を取り出した後、複数枚の原稿Dを並び替える作業が必要となる。当該作業は、ユーザーにとっては煩わしい。
【0070】
また、第1モードの搬送読取ジョブ(略U字状に湾曲する第1搬送経路R1に沿って原稿Dを搬送するジョブ)において、厚紙およびプラスチックカードなど特定種類の原稿Dが読取対象となっている場合、原稿Dの搬送に異常が発生し易い。
【0071】
たとえば、第2モードの搬送読取ジョブ(略直線的に延びる第2搬送経路R2に沿って原稿Dを搬送するジョブ)に比べて、原稿Dに折れ目が付き易くなる。場合によっては、原稿Dが折れ曲がってしまう。すなわち、原稿Dが破損し易い。
【0072】
また、原稿Dの腰が強いので、原稿Dがスムーズに搬送されない。その結果、原稿Dの読取位置への到達タイミングが遅れ、原稿Dの一部が読み取れないという読取不良(読取画質の低下)が発生し得る。さらに、ジャムが発生し易くなる。
【0073】
そこで、搬送読取ジョブの実行前、制御部4は、警告条件が満たされているか否かを判断する。警告条件が満たされている場合、制御部4は、搬送読取ジョブの実行前に、ユーザーに対するメッセージMS(図8図10参照)を操作パネル6に表示させる。
【0074】
以下に、図7に示すフローチャートを参照し、搬送読取ジョブの実行前に制御部4が行う処理の流れを説明する。図7に示すフローは、搬送読取ジョブの準備作業をユーザーが行っていると制御部4が判断したときにスタートする。たとえば、制御部4は、第1原稿トレイ210に原稿Dがセットされたとき、搬送読取ジョブの準備作業が行われていると判断する。また、制御部4は、第2排出トレイ202が開けられたとき(排出口20Cが開放されたとき)、搬送読取ジョブの準備作業が行われていると判断する。また、制御部4は、搬送読取ジョブの設定操作を操作パネル6がユーザーから受け付けたとき(搬送読取ジョブの設定画面を操作パネル6が表示したとき)、搬送読取ジョブの準備作業が行われていると判断する。
【0075】
ステップS1において、制御部4は、セットセンサーSSの出力に基づき、原稿Dのセット状態を確認する。言い換えると、制御部4は、搬送読取ジョブで搬送して読み取る原稿Dであるジョブ原稿Dが第1原稿トレイ210にセットされているか否かを確認する。
【0076】
ステップS2において、制御部4は、原稿Dの排出先の状態を確認する。具体的には、制御部4は、カバーセンサーCSの出力に基づき、第2排出トレイ202の開閉状態を確認する。言い換えると、制御部4は、排出口20Cが塞がれているか否か(第2排出トレイ202が閉じられているか否か)を確認する。また、制御部4は、第1排出センサーES1の出力に基づき、第1排出トレイ201に残っている原稿Dの有無を確認する。また、制御部4は、第2排出センサーES2の出力に基づき、第2排出トレイ202に残っている原稿Dの有無を確認する。
【0077】
ステップS3において、制御部4は、操作パネル6がユーザーから受け付けた搬送読取ジョブの設定内容を確認する。制御部4は、経路設定および種類設定の各設定内容を確認する。
【0078】
具体的には、制御部4は、第1搬送経路R1および第2搬送経路R2のうちいずれの搬送経路を使用する旨を操作パネル6が受け付けたかを確認する。言い換えると、制御部4は、第1モードおよび第2モードのうちいずれのモードで搬送読取ジョブを実行する旨を操作パネル6が受け付けたかを確認する。
【0079】
たとえば、経路設定を受け付けるとき、操作パネル6は、第1モードおよび第2モードのいずれかを選択するモード選択操作をユーザーから受け付ける。制御部4は、モード選択操作で選択されたモードで搬送読取ジョブを実行する旨を受け付けたと判断する。モード選択操作が行われなかった場合、制御部4は、デフォルトモードである第1モードで搬送読取ジョブを実行する旨を受け付けたと判断する。
【0080】
また、制御部4は、予め定められた複数の種類のいずれがジョブ原稿Dの種類として設定されたかを確認する。そして、制御部4は、複数の種類のうち設定された種類に対応付けられた厚さ(坪量)をジョブ原稿Dの厚さと認識する。
【0081】
たとえば、種類設定を受け付けるとき、操作パネル6は、複数の種類のいずれかを選択する種類選択操作をユーザーから受け付ける。制御部4は、種類選択操作で選択された種類に対応付けられた厚さ(坪量)をジョブ原稿Dの厚さと認識する。種類選択操作が行われなかった場合、制御部4は、ジョブ原稿Dを普通紙(デフォルトの種類)と認識する。
【0082】
ステップS4において、制御部4は、警告条件が満たされているか否かを判断する。以下に、ステップS4の処理について、具体的に説明する。
【0083】
搬送読取ジョブで読み取る原稿Dが複数枚の場合、第1モードでは、複数枚の原稿Dの束状態はジョブの前後で変わらない(図5参照)。一方で、第2モードでは、複数枚の原稿Dの束状態がジョブの前後で変わってしまう(図6参照)。
【0084】
このため、排出後の複数枚の原稿Dの並び替え作業を省略するには、搬送読取ジョブが第1モードで実行されるのが好ましい。しかし、第1モードの搬送読取ジョブで読み取る原稿Dの種類が特定種類である場合、原稿Dが破損し易くなる。原稿Dの種類が普通紙であれば、搬送読取ジョブを第1モードで実行しても、原稿Dは破損し難い。また、原稿Dの種類が特定種類であっても、搬送読取ジョブを第2モードで実行すれば、原稿Dの破損が抑制される。
【0085】
そこで、ジョブ原稿Dの種類が普通紙のとき、第2搬送経路R2を使用する旨の設定がなされていれば、制御部4は、警告条件としての第1条件が満たされていると判断する。ジョブ原稿Dの種類が特定種類であれば、第2搬送経路R2を使用する旨の設定がなされていても、制御部4は、第1条件が満たされていないと判断する。また、ジョブ原稿Dの種類が普通紙のとき、第1搬送経路R1を使用する旨の設定がなされていれば、制御部4は、第1条件が満たされていないと判断する。
【0086】
なお、第2搬送経路R2を使用する旨の設定がなされていれば、ジョブ原稿Dの種類にかかわらず、第1条件が満たされていると制御部4が判断してもよい。
【0087】
また、制御部4は、搬送読取ジョブをこのまま実行すると原稿Dの搬送に異常が発生する可能性があるか否かを判断する。そして、原稿Dの搬送に異常が発生する可能性がある場合、制御部4は、警告条件としての第2条件が満たされていると判断する。
【0088】
具体的には、ジョブ原稿Dの種類が特定種類のとき、ジョブ原稿Dの搬送経路として第1搬送経路R1を使用すると、ジョブ原稿Dの破損、ジョブ原稿Dの読取不良およびジョブ原稿Dによるジャムなどが発生する可能性がある。このため、ジョブ原稿Dの種類が特定種類のとき、第1搬送経路R1を使用する旨の設定がなされていれば、制御部4は、第2条件が満たされていると判断する。第1搬送経路R1を使用する旨の設定がなされていても、ジョブ原稿Dの種類が特定種類でなければ、制御部4は、第2条件が満たされていないと判断する。
【0089】
また、制御部4は、原稿Dの排出先の状態に基づき、警告条件としての第3条件が満たされているか否かを判断する。
【0090】
具体的には、第1搬送経路R1を使用する旨の設定がなされているとき、第1排出トレイ201に原稿Dが残っていれば、制御部4は、第3条件が満たされていると判断する。また、第2搬送経路R2を使用する旨の設定がなされているとき、第2排出トレイ202によって排出口20Cが塞がれていれば、すなわち、第2排出トレイ202が閉じられていれば、制御部4は、第3条件が満たされていると判断する。また、第2搬送経路R2を使用する旨の設定がなされているとき、第2排出トレイ202によって排出口20Cが塞がれていなくても、第2排出トレイ202に原稿Dが残っていれば、制御部4は、第3条件が満たされていると判断する。
【0091】
ステップS4において、警告条件が満たされていないと制御部4が判断した場合には、ステップS5に移行する。ステップS5に移行すると、制御部4は、搬送読取ジョブの開始条件が満たされたか否かを判断する。操作パネル6のスタートボタンに対する操作を検知したとき、制御部4は、搬送読取ジョブの開始条件が満たされたと判断する。
【0092】
なお、操作パネル6のスタートボタンに対する操作に先立って、ユーザーは、搬送読取ジョブの準備作業を行う。搬送読取ジョブの準備作業としては、第1原稿トレイ210に原稿Dをセットする作業、第2排出トレイ202を回動させて給紙口20Cを開放する作業(第2排出トレイ202を開く作業)、第1排出トレイ201に残っている原稿Dを除去する作業、第2排出トレイ202に残っている原稿Dを除去する作業、および、操作パネル6に対する搬送読取ジョブの設定操作、などがある。
【0093】
ステップS5において、搬送読取ジョブの開始条件が満たされたと制御部4が判断した場合には、ステップS6に移行する。ステップS6に移行すると、制御部4は、搬送読取ジョブを開始する。
【0094】
ステップS5において、搬送読取ジョブの開始条件が満たされていないと制御部4が判断した場合には、ステップS4に移行する。ここで、ユーザーによっては、搬送読取ジョブの開始前、メッセージMSが表示されていなくても、搬送読取ジョブの設定を変更するなどの作業を行う。したがって、ステップS3からステップS4に移行した時点では警告条件が満たされていなくても、ステップS5からステップS4に移行した時点では警告条件が満たされている場合がある。
【0095】
ステップS4において、警告条件が満たされていると制御部4が判断した場合には、ステップS7に移行する。ステップS7に移行すると、制御部4は、図8図10に示すような警告画面60を操作パネル6に表示させる。警告画面60には、メッセージMSが配される。以下、図8に示すメッセージMSを第1警告メッセージMS1と称し、図9に示すメッセージMSを第2警告メッセージMS2と称し、図10に示すメッセージMSを第3警告メッセージMS3と称して区別する。
【0096】
図8に示す第1警告メッセージMS1は「警告メッセージ」に相当する。すなわち、第1警告メッセージMS1は、排出後のジョブ原稿Dの順番に関するメッセージである。第1警告メッセージMS1は、警告条件としての第1条件が満たされている場合に表示される。
【0097】
ジョブ原稿Dの種類が普通紙であり、かつ、第2搬送経路R2を使用する旨の設定がなされていれば、第1条件が満たされる。ここで、ジョブ原稿Dの種類が普通紙であれば、第1搬送経路R1を使用しても、ジョブ原稿Dが破損する可能性は低い。また、第1搬送経路R1を使用すれば、排出後のジョブ原稿Dの並び替え作業が不要となる。そこで、ジョブ原稿Dの種類が普通紙のとき、第2搬送経路R2を使用する旨の設定がなされていれば、制御部4は、第1搬送経路R1の使用を推奨するメッセージを第1警告メッセージMS1に含める。たとえば、搬送読取ジョブのモードとして第1モードを推奨するメッセージが第1警告メッセージMS1に含められる。
【0098】
図9に示す第2警告メッセージMS2は、ジョブ原稿Dの搬送異常が発生する可能性がある旨のメッセージである。第2警告メッセージMS2は、警告条件としての第2条件が満たされている場合に表示される。
【0099】
ジョブ原稿Dの種類が特定種類であり、かつ、第1搬送経路R1を使用する旨の設定がなされていれば、第2条件が満たされる。第2条件が満たされている場合に表示される第2警告メッセージMS2には、ジョブ原稿Dを痛める可能性がある旨のメッセージおよびジョブ原稿Dを正しく読み取れない可能性がある旨のメッセージなどが含められる。また、第2警告メッセージMS2には、搬送読取ジョブの設定内容の確認を促すメッセージが含められる。
【0100】
図10に示す第3警告メッセージMS3は、排出先の状態に関するメッセージである。第3警告メッセージMS3は、警告条件としての第3条件が満たされている場合に表示される。
【0101】
第2搬送経路R2を使用する旨の設定がなされているとき、第2排出トレイ202によって排出口20Cが塞がれていれば、図10に示す第3警告メッセージMS3が操作パネル6に表示される。たとえば、排出口20Cが塞がれている旨のメッセージが第3警告メッセージMS3とされる。
【0102】
また、図示しないが、第1搬送経路R1を使用する旨の設定がなされているとき、第1排出トレイ201に原稿Dが残っていれば、第1排出トレイ201に原稿Dが残っている旨のメッセージが第3警告メッセージMS3として表示される。第2搬送経路R2を使用する旨の設定がなされているとき、第2排出トレイ202に原稿Dが残っていれば、第2排出トレイ202に原稿Dが残っている旨のメッセージが第3警告メッセージMS3として表示される。
【0103】
なお、図示しないが、第1原稿トレイ210に原稿Dがセットされていない場合には、原稿Dのセット状態の確認を促すメッセージを配した警告画面60が表示される。すなわち、ステップS4において、制御部4は、第1原稿トレイ210に原稿Dがセットされているか否かを判断する。そして、原稿Dがセットされていないとき、制御部4は、警告条件が満たされていると判断する。
【0104】
図7に戻り、警告画面60の表示後、ステップS8に移行する。ここで、警告画面60の確認後、必要であれば、ユーザーは何らかの対策をとる。
【0105】
たとえば、図8に示すような第1警告メッセージMS1が表示された場合、ユーザーはジョブ設定を見直し、ジョブ原稿Dの搬送経路を第2搬送経路R2から第1搬送経路R1に変更する。また、第1原稿トレイ210にセットされた原稿Dの表裏の向きを変える(ジョブ原稿Dの読取対象面を上向きにする)。図6上図に示すセット状態であった場合には、図5上図に示すセット状態に変更される。
【0106】
図9に示すような第2警告メッセージMS2が表示された場合、ユーザーはジョブ設定を見直し、ジョブ原稿Dの搬送経路を第1搬送経路R1から第2搬送経路R2に変更する。また、第1原稿トレイ210にセットされた原稿Dの表裏の向きを変える(ジョブ原稿Dの読取対象面を下向きにする)。
【0107】
図10に示すような第3警告メッセージMS3が表示された場合、ユーザーは第2排出トレイ202を閉位置から開位置に回動させ、排出口20Cを開放する。すなわち、図2に示す状態にする。図示しないが、第1排出トレイ201に原稿Dが残っている旨の第3警告メッセージMS3が表示された場合には、ユーザーは第1排出トレイ201から原稿Dを除去する。第2排出トレイ202に原稿Dが残っている旨の第3警告メッセージMS3が表示された場合には、ユーザーは第2排出トレイ202から原稿Dを除去する。
【0108】
また、図示しないが、原稿Dのセット状態の確認を促すメッセージを配した警告画面60が表示された場合には、ユーザーは第1原稿トレイ210に原稿Dをセットする。
【0109】
このように、操作パネル6に警告画面60が表示された場合、ユーザーは、表示中の警告画面60のメッセージ内容に応じた作業を行う。警告画面60のメッセージ内容に応じた作業が行われたことを制御部4が検知した場合、ステップS4に移行する。制御部4は、再度、警告条件が満たされているか否かを判断する。
【0110】
ステップS8において、警告画面60のメッセージ内容に応じた作業が行われていないと制御部4が判断した場合には、ステップS9に移行する。ステップS9に移行すると、制御部4は、搬送読取ジョブの開始条件が満たされたか否かを判断する。ステップS9の処理は、ステップS5の処理と同じである。開始条件が満たされたと制御部4が判断した場合には、ステップS6に移行する。一方で、開始条件が満たされていないと制御部4が判断した場合には、ステップS8に移行する。
【0111】
なお、この構成では、ユーザーは、警告画面60のメッセージ内容に応じた作業を行わなくても、搬送読取ジョブを開始できる。ただし、警告画面60のメッセージ内容に応じた作業を行わなければ、搬送読取ジョブが開始できなくてもよい。すなわち、警告画面60のメッセージ内容に応じた作業が行われるまで、ステップS8の処理が繰り返されてもよい。
【0112】
本実施形態では、上記のように、第2搬送経路R2を使用する旨の設定がなされているとき、制御部4は、搬送読取ジョブの実行前に、排出後のジョブ原稿Dの順番に関する第1警告メッセージMS1を操作パネル6に表示させる。これにより、複数枚の原稿Dからなる束の状態が図6下図に示す状態になることをユーザーに認識させることができる。言い換えると、排出された複数枚の原稿Dの並び替え作業が必要であることをユーザーに認識させることができる。並び替え作業を行いたくないユーザーからすると、搬送読取ジョブの設定を見直すことができるので、利便性が良い。
【0113】
ここで、ジョブ原稿Dの種類が普通紙であれば、第1搬送経路R1を使用しても、ジョブ原稿Dが破損する可能性は低い。一方で、ジョブ原稿Dの種類が特定種類であれば、第1搬送経路R1を使用すると、ジョブ原稿Dが破損し易くなる。
【0114】
そこで、本実施形態では、上記のように、ジョブ原稿Dの種類が普通紙であり、かつ、第2搬送経路R2を使用する旨の設定がなされているとき、制御部4は、第1警告メッセージMS1を表示させる。一方で、ジョブ原稿Dの種類が普通紙ではない特定種類であれば、第2搬送経路R2を使用する旨の設定がなされていても、制御部4は、第1警告メッセージMS1を表示させない。これにより、ジョブ原稿Dの種類が特定種類のとき、ジョブ原稿Dの搬送経路が第2搬送経路R2から第1搬送経路R1に変更されるのを抑制できる。すなわち、ジョブ原稿Dの破損を抑制できる。
【0115】
また、本実施形態では、上記のように、制御部4は、第1搬送経路R1の使用を推奨するメッセージを第1警告メッセージMS1に含める。これにより、容易に、どの設定項目を変更すべきかをユーザーに認識させることができる。
【0116】
また、本実施形態では、ジョブ原稿Dの種類が普通紙であり、かつ、第1搬送経路R1を使用する旨の設定がなされているとき、制御部4は、第1警告メッセージMS1を表示させない。これにより、第1警告メッセージMS1が不必要に表示されることはない。
【0117】
また、本実施形態では、ジョブ原稿Dの種類が普通紙ではない特定種類のとき、第1搬送経路R1を使用する旨の設定がなされていれば、制御部4は、搬送読取ジョブの実行前に、ジョブ原稿Dの搬送に異常が発生する可能性がある旨の第2警告メッセージMS2を操作パネル6に表示させる。第2警告メッセージMS2が表示されると、ユーザーはジョブ設定を見直す。すなわち、ジョブ原稿Dの搬送経路が第1搬送経路R1から第2搬送経路R2に変更される。これにより、ジョブ原稿Dが破損するのを抑制できる。また、読取不良が発生するのを抑制できる。さらに、ジョブ原稿Dによるジャムも発生し難くなる。
【0118】
また、本実施形態では、上記のように、第2搬送経路R2を使用する旨の設定がなされているとき、第2排出トレイ202が閉じられていれば、制御部4は、搬送読取ジョブの実行前に、ジョブ原稿Dの排出先の確認を促す第3警告メッセージMS3を操作パネル6に表示させる。これにより、搬送読取ジョブが実行できない(ジョブ原稿Dの排出口20Cが塞がれている)ことをユーザーに認識させることができる。第3警告メッセージMS3を確認したユーザーは、第2排出トレイ202を開けて、搬送読取ジョブの実行が可能な状態にする。
【0119】
なお、第1排出トレイ201に原稿Dが残っている場合にも、第3警告メッセージMS3が表示される。また、第2排出トレイ202に原稿Dが残っている場合にも、第3警告メッセージMS3が表示される。このような第3警告メッセージMS3をユーザーが確認すると、搬送読取ジョブの開始前に、排出されている原稿Dが除去される。これにより、或るジョブで読み取った原稿Dと他のジョブで読み取った原稿Dとが混ざるのを抑制できる。
【0120】
今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0121】
たとえば、上記実施形態の第2搬送経路R2は第1位置RP1を経由するが、本発明はこれに限らず、第2位置RP2を経由する搬送経路を第2搬送経路としてもよい。変形例の構成では、第2位置RP2が「所定読取位置」に相当する。また、読取部1が「所定読取部」に相当する。
【0122】
以下、図11および図12を参照し、変形例の構成について説明する。なお、変形例の基本的な構成は上記実施形態と同じである。このため、以下の説明では、上記実施形態と共通する構成要素には同じ名称および同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0123】
変形例による原稿搬送ユニット200は、搬送読取ジョブで読み取る原稿Dの搬送をガイドする原稿搬送路20´を有する。また、原稿搬送ユニット200には、第2原稿トレイ220が設けられる。第2原稿トレイ220は、複合機100の正面から見て左側に位置する。変形例による原稿搬送ユニット200には、第2排出トレイ202が設けられていない。
【0124】
第1原稿トレイ210には、第1モードの搬送読取ジョブで読み取る原稿Dがセットされる。第2原稿トレイ220には、第2モードの搬送読取ジョブで読み取る原稿Dがセットされる。変形例では、第1原稿トレイ210および第2原稿トレイ220がそれぞれ「セット部」に相当する。
【0125】
第1モードの搬送読取ジョブ(片面読取)では、原稿搬送ユニット200は、第1原稿トレイ210から原稿搬送路20´への原稿Dの給紙口20Aを介して、第1原稿トレイ210上の原稿Dを給紙する。そして、原稿搬送ユニット200は、給紙した原稿Dを搬送し、第1排出トレイ201に原稿Dを排出する。第1排出トレイ201に排出される原稿Dの第1面は下方を向き、第2面は上方を向く。また、読取部1は、第2位置RP2で原稿Dの第1面を読み取る。すなわち、上記実施形態と同じである。
【0126】
第2モードの搬送読取ジョブでは、原稿搬送ユニット200は、第2原稿トレイ220から原稿搬送路20´への原稿Dの給紙口20Dを介して、第2原稿トレイ220上の原稿Dを給紙する。そして、原稿搬送ユニット200は、給紙した原稿Dを搬送し、第1排出トレイ201に原稿Dを排出する。第1排出トレイ201に排出される原稿Dの第1面は上方を向き、第2面は下方を向く。また、読取部1は、第2位置RP2で原稿Dの第2面を読み取る。
【0127】
以下の説明では、原稿搬送ユニット200により搬送される原稿Dの2つの搬送経路のうち、第1モード用の搬送経路を第1搬送経路R1´と称し、第2モード用の搬送経路を第2搬送経路R2´と称する。第1搬送経路R1´および第2搬送経路R2´を図12に示す。図11には、第1搬送経路R1´および第2搬送経路R2´を図示しない。
【0128】
変形例の第1搬送経路R1´は、上記実施形態の第1搬送経路R1と同じである。変形例の第2搬送経路R2´は、左側から右側に向かう。変形例の第2搬送経路R2´は、上記実施形態の第2搬送経路R2と同様、途中で逆側に向かって折り返さない。
【0129】
原稿搬送路20´は、図11に示すように、第1部分P1´および第2部分P2´を有する。また、原稿搬送路20´は、共通部分CP´を有する。共通部分CP´は、原稿搬送路20´のうち合流位置P´から排出口20Bまでの部分である。第1部分P1´は、給紙口20Aから合流位置P´までの部分である。第2部分P2´は、給紙口20Dから合流位置P´までの部分である。第1原稿トレイ210から第1部分P1´および共通部分CP´を経由して第1排出トレイ201に至る原稿Dの搬送経路が第1搬送経路R1´である。第2原稿トレイ220から第2部分P2´および共通部分CP´を経由して第1排出トレイ201に至る原稿Dの搬送経路が第2搬送経路R2´である。
【0130】
変形例では、第2モードの搬送読取ジョブにおいて、第2原稿トレイ220にセットされた複数枚の原稿D(原稿Dの束)を読取対象とする場合、上記実施形態と同様の不都合が生じる。すなわち、複数枚の原稿Dの並び替え作業が必要となる。
【0131】
そこで、変形例では、上記実施形態と同様、ジョブ原稿Dの種類が普通紙のとき、第2搬送経路R2´を使用する旨の設定がなされていれば、制御部4は、警告条件としての第1条件が満たされていると判断する。ジョブ原稿Dの種類が特定種類であれば、第2搬送経路R2´を使用する旨の設定がなされていても、制御部4は、第1条件が満たされていないと判断する。また、ジョブ原稿Dの種類が普通紙のとき、第1搬送経路R1´を使用する旨の設定がなされていれば、制御部4は、第1条件が満たされていないと判断する。
【0132】
第1条件が満たされている場合、制御部4は、排出後のジョブ原稿Dの順番に関する第1警告メッセージを操作パネル6に表示させる。このとき、制御部4は、第1搬送経路R1´の使用を推奨するメッセージを第1警告メッセージに含める。
【0133】
また、変形例の第1搬送経路R1´は、上記実施形態の第1搬送経路R1と同様、右側から左側に向かい、途中で右側に折り返す。変形例の第2搬送経路R2´は、上記実施形態の第2搬送経路R2´と同様、途中で折り返さない。このため、搬送読取ジョブで読み取る原稿Dの種類が特定種類である場合には、第1搬送経路R1´を使用する第1モードではなく、第2搬送経路R2´を使用する第2モードで搬送読取ジョブを実行するのが好ましい。
【0134】
そこで、変形例では、上記実施形態と同様、ジョブ原稿Dの種類が特定種類のとき、第1搬送経路R1´を使用する旨の設定がなされていれば、制御部4は、警告条件としての第2条件が満たされていると判断する。第1搬送経路R1´を使用する旨の設定がなされていても、ジョブ原稿Dの種類が特定種類でなければ、制御部4は、第2条件が満たされていないと判断する。第2条件が満たされている場合、制御部4は、ジョブ原稿Dの搬送異常が発生する可能性がある旨の第2警告メッセージを操作パネル6に表示させる。
【0135】
また、変形例では、制御部4は、第1排出トレイ201(原稿Dの排出先)の状態に基づき、警告条件としての第3条件が満たされているか否かを判断する。変形例では、第1モードおよび第2モードのいずれであっても、第1排出トレイ201に原稿Dが排出される。このため、制御部4は、第1排出トレイ201に原稿Dが残っていれば、ジョブ原稿Dの搬送経路が第1搬送経路R1´であるか第2搬送経路R2´であるかにかかわらず、第3条件が満たされていると判断する。第3条件が満たされている場合、制御部4は、第1排出トレイ201に原稿Dが残っている旨の第3警告メッセージを操作パネル6に表示させる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12