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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】天井搬送車
(51)【国際特許分類】
   B61B 3/02 20060101AFI20240319BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20240319BHJP
   B65G 49/07 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
B61B3/02 B
H01L21/68 A
B65G49/07 L
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022563583
(86)(22)【出願日】2021-09-02
(86)【国際出願番号】 JP2021032284
(87)【国際公開番号】W WO2022107415
(87)【国際公開日】2022-05-27
【審査請求日】2023-04-10
(31)【優先権主張番号】P 2020190779
(32)【優先日】2020-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100176245
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100156395
【弁理士】
【氏名又は名称】荒井 寿王
(72)【発明者】
【氏名】小林 誠
【審査官】山本 賢明
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/179931(WO,A1)
【文献】特開2016-163001(JP,A)
【文献】特開2006-008354(JP,A)
【文献】特開2014-076729(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61B 3/02
H01L 21/68
B65G 49/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器を移載する昇降台と、
前記容器の上面に接触し、前記昇降台に対して高さ方向に沿って移動自在に設けられた容器接触部と、
前記昇降台に対する前記容器接触部の相対的な高さ位置を検出する高さ検出部と、
前記昇降台に取り付けられ、前記容器接触部に対して水平方向に沿って摺動可能な摺動部材と、を備え、
前記容器接触部は、前記昇降台に対して水平方向に沿って移動自在に設けられており、
前記容器接触部は、前記摺動部材を収容する収容空間を含む、天井搬送車。
【請求項2】
前記容器接触部は、前記容器の上面に形成された凹部に嵌まり込む位置決め部である、請求項1に記載の天井搬送車。
【請求項3】
前記摺動部材が前記収容空間内の所定位置に位置されるように前記容器接触部を付勢する付勢部を備える、請求項1又は2に記載の天井搬送車。
【請求項4】
前記付勢部は、前記摺動部材に設けられた第1磁石と、前記容器接触部に設けられた第2磁石と、を含む、請求項に記載の天井搬送車。
【請求項5】
前記収容空間は、前記容器接触部に設けられ上方に開口する開口部により画設され、
前記開口部の開口の一部を塞ぐ蓋部材を更に備える、請求項の何れか一項に記載の天井搬送車。
【請求項6】
前記容器接触部と前記摺動部材との間には、前記容器接触部よりも摩擦係数の小さいシート部材が設けられている、請求項の何れか一項に記載の天井搬送車。
【請求項7】
前記容器接触部は、前記容器接触部よりも摩擦係数の大きい摩擦部材を介して前記容器の上面に接触する、請求項1~の何れか一項に記載の天井搬送車。
【請求項8】
前記容器接触部は、前記昇降台に対して、水平方向に沿う第1方向、及び、水平方向に沿い且つ前記第1方向に直交する第2方向に移動自在である、請求項1~の何れか一項に記載の天井搬送車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一側面は、天井搬送車に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、容器を移載する昇降台(保持部)と、昇降台に設けられ容器の上面に接触する容器接触部(位置決め部)と、を備えた天井搬送車が記載されている。特許文献1に記載された天井搬送車では、容器接触部が昇降台に対して高さ方向に移動自在に設けられ、昇降台に対する容器接触部の相対的な高さ位置が高さ検出部(検出部)により検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開2018/179931号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような天井搬送車では、昇降台で容器を移載する際、容器が水平方向にずれた場合に、容器の上面に接触している容器接触部が高さ方向に動いてしまう(例えば、容器の上面の凹部、凸部又は傾き等によって、当該ずれが容器接触部の高さ方向への動きに変換されてしまう)可能性がある。この場合、高さ検出部により容器接触部の高さ位置を正確に求めることは困難である。
【0005】
そこで、本発明の一側面は、昇降台に対する容器接触部の相対的な高さ位置を正確に求めることが可能な天井搬送車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る天井搬送車は、容器を移載する昇降台と、容器の上面に接触し、昇降台に対して高さ方向に沿って移動自在に設けられた容器接触部と、昇降台に対する容器接触部の相対的な高さ位置を検出する高さ検出部と、を備え、容器接触部は、昇降台に対して水平方向に沿って移動自在に設けられている。
【0007】
この天井搬送車では、容器が水平方向にずれた場合、当該ずれに応じて容器接触部が水平方向に動くことができる。その結果、当該ずれが容器接触部の高さ方向への動きへと変換されてしまうことを抑制することができる。よって、昇降台に対する容器接触部の相対的な高さ位置を正確に求めることが可能となる。
【0008】
本発明の一側面に係る天井搬送車では、容器接触部は、容器の上面に形成された凹部に嵌まり込む位置決め部であってもよい。この場合、容器接触部により、容器に対して昇降台を位置決めすることが可能となる。
【0009】
本発明の一側面に係る天井搬送車は、昇降台に取り付けられ、容器接触部に対して水平方向に沿って摺動可能な摺動部材を備え、容器接触部は、摺動部材を収容する収容空間を含んでいてもよい。これにより、容器接触部が昇降台に対して水平方向に沿って移動自在となる構成を具体的に実現できる。
【0010】
本発明の一側面に係る天井搬送車は、摺動部材が収容空間内の所定位置に位置されるように容器接触部を付勢する付勢部を備えていてもよい。これにより、例えば容器接触部が容器の上面に接触していない無負荷時には、昇降台に対する容器接触部の位置を一定に維持させることができる。
【0011】
本発明の一側面に係る天井搬送車では、付勢部は、摺動部材に設けられた第1磁石と、容器接触部に設けられた第2磁石と、を含んでいてもよい。この場合、第1磁石及び第2磁石の磁力を利用して、昇降台に対する容器接触部の位置を一定に維持させることができる。
【0012】
本発明の一側面に係る天井搬送車では、収容空間は、容器接触部に設けられ上方に開口する開口部により画設され、開口部の開口の一部を塞ぐ蓋部材を更に備えていてもよい。この場合、蓋部材により、収容空間からの摺動部材の抜け外れを阻止することが可能となる。
【0013】
本発明の一側面に係る天井搬送車では、容器接触部と摺動部材との間には、容器接触部よりも摩擦係数の小さいシート部材が設けられていてもよい。この場合、例えば容器の上面に容器接触部が接触している状態において、当該容器が水平方向にずれた場合に、シート部材により摺動部材と容器接触部とが摺動しやすくなる。これにより、容器の上面と容器接触部とが摺動することを抑制することができ、容器の上面の損傷を抑制することが可能となる。
【0014】
本発明の一側面に係る天井搬送車では、容器接触部は、容器接触部よりも摩擦係数の大きい摩擦部材を介して容器の上面に接触してもよい。これにより、例えば容器の上面に容器接触部が接触している状態において、当該容器が水平方向にずれた場合に、摩擦部材により容器の上面と容器接触部とが摺動することを抑制することができ、容器の上面の損傷を抑制することが可能となる。
【0015】
本発明の一側面に係る天井搬送車では、容器接触部は、昇降台に対して、水平方向に沿う第1方向、及び、水平方向に沿い且つ第1方向に直交する第2方向に移動自在であってもよい。これにより、容器が水平方向に沿う第1方向だけでなく第2方向にもずれた場合でも、当該ずれに応じて容器接触部が水平方向に動くことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一側面によれば、昇降台に対する容器接触部の相対的な高さ位置を正確に求めることが可能な天井搬送車を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、第1実施形態に係る天井搬送車を示す正面図である。
図2図2は、図1のセンターコーンの周辺構成を示す断面図である。
図3図3は、図1の昇降台を示す下方斜視図である。
図4図4は、図1のセンターコーンの周辺構成を示す一部切欠き斜視断面図である。
図5図5(a)は、通常時の図1のセンターコーンの周辺構成を示す断面図である。図5(b)は、図5(a)の一部を拡大して示す断面図である。
図6図6(a)は、FOUPが水平方向にずれた場合における図1のセンターコーンの周辺構成を示す断面図である。図6(b)は、図6(a)の一部を拡大して示す断面図である。
図7図7は、第2実施形態に係るセンターコーンの周辺構成を示す概略断面図である。
図8図8は、PODが水平方向にずれた場合における図7のセンターコーンの周辺構成を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0019】
[第1実施形態]
第1実施形態について説明する。図1に示されるように、第1実施形態に係る天井搬送車1は、半導体デバイスが製造されるクリーンルームの天井付近に敷設された走行レール101に沿って走行する。天井搬送車1は、複数枚の半導体ウェハが収容されたFOUP(容器)90を搬送する。天井搬送車1は、半導体ウェハに各種処理を施す処理装置に設けられたロードポート(移載先)102に対してFOUP90の移載を行う。すなわち、天井搬送車1は、ロードポート102の載置面102aに配置されているFOUP90を回収したり、ロードポート102の載置面102aにFOUP90を配置したりする。
【0020】
天井搬送車1は、走行部2と、ラテラルユニット3と、シータユニット4と、昇降駆動ユニット5と、昇降台6と、制御部7と、を備える。走行部2は、例えば、走行レール101に沿って敷設された高周波電流線から無接触で電力の供給を受けることにより、走行レール101に沿って走行する。ラテラルユニット3は、走行レール101が延在する方向に対して横方向に、シータユニット4、昇降駆動ユニット5及び昇降台6を移動させる。シータユニット4は、昇降駆動ユニット5及び昇降台6を水平面内において回動させる。
【0021】
昇降駆動ユニット5は、下端部に昇降台6が取り付けられた複数本のベルト5aを繰り出す又は巻き取ることにより、昇降台6を昇降(高さ方向に移動)させる。昇降台6は、FOUP90を移載する。昇降台6は、一対の爪部材6aを開閉させることにより、FOUP90が有するフランジ部91を保持又は開放する。制御部7は、天井搬送車1の各部の動作を制御する。
【0022】
天井搬送車1は、センターコーン8と、ドグ10と、高さ検出部20と、を更に備えている。センターコーン8は、FOUP90の上面に接触する容器接触部である。センターコーン8は、FOUP90に対する昇降台6の位置決めのために、フランジ部91の上面に形成された凹部91aに嵌まり込む位置決め部である。ここでは、センターコーン8は、下方から見て昇降台6の中央に位置しており、FOUP90に対して昇降台6の中心位置を位置決め(センタリング)するセンタリング部材を構成する。センターコーン8、ドグ10及び高さ検出部20は、昇降台6に設けられている。
【0023】
図2及び図3に示されるように、センターコーン8、ドグ10及び高さ検出部20は、昇降台6のベース61に設けられた支持部材62によって支持されている。支持部材62には、一対のガイド63が固定されている。各ガイド63は、鉛直方向に延在する筒状の部材である。各ガイド63には、ロッド64が挿入されている。各ロッド64の上端は、連結部材65によって互いに連結されている。センターコーン8は、各ロッド64の下端に取り付けられている。センターコーン8と各ガイド63との間には、各ロッド64が挿通された状態でコイルスプリング66が配置されている。一対のコイルスプリング66は、支持部材62に対して下側にセンターコーン8を付勢している。
【0024】
以上の構成により、センターコーン8、ロッド64及び連結部材65は、連結部材65が各ガイド63の上端に当接する位置を初期位置として、昇降台6に対して高さ方向(上下方向及び昇降方向)に沿って移動自在である。換言すると、センターコーン8、ロッド64及び連結部材65は、昇降台6に対して上下動自在である。
【0025】
図2に示されるように、ドグ10は、第1遮光板11と、第2遮光板12と、を含む。第1遮光板11及び第2遮光板12は、例えば金属板によって一体的に形成されており、連結部材65に固定されている。これにより、第1遮光板11及び第2遮光板12は、昇降台6に対するセンターコーン8の相対的な昇降動作に連動して昇降自在である。第1遮光板11は、水平方向に平行な第1上端11a及び第1下端11bを有している。第2遮光板12は、水平方向に平行な第2上端12a及び第2下端12bを有している。第1上端11aと第1下端11bとの距離は、第2上端12aと第2下端12bとの距離と等しい。第1下端11b及び第2上端12aは、同一高さ(上下方向において同一の位置)に位置している。
【0026】
高さ検出部20は、第1フォトインタラプタ21と、第2フォトインタラプタ22と、を含んでいる。第1フォトインタラプタ21は、その光軸21a上(第1フォトインタラプタ21の投光部と受光部との間)を第1遮光板11が通過し得るように、支持部材62に取り付けられている。これにより、第1フォトインタラプタ21は、第1遮光板11の位置を検出可能である。第2フォトインタラプタ22は、その光軸22a上(第2フォトインタラプタ22の投光部と受光部との間)を第2遮光板12が通過し得るように、支持部材62に取り付けられている。これにより、第2フォトインタラプタ22は、第2遮光板12の位置を検出可能である。第1フォトインタラプタ21の光軸21a及び第2フォトインタラプタ22の光軸22aは、同一高さ(上下方向において同一の位置)に位置している。センターコーン8が初期位置(すなわち、連結部材65が各ガイド63の上端に当接する位置)にある状態では、第1遮光板11の第1上端11aは、第1フォトインタラプタ21の光軸21aよりも下側に位置している。
【0027】
上述したようにドグ10を構成する第1遮光板11及び第2遮光板12は、昇降台6に対するセンターコーン8の相対的な昇降の動作に連動して昇降自在である。高さ検出部20を構成する第1フォトインタラプタ21及び第2フォトインタラプタ22は、それぞれ、第1遮光板11及び第2遮光板12の位置(第1フォトインタラプタ21及び第2フォトインタラプタ22の各受光部からの出力のON/OFF)を検出可能である。つまり、高さ検出部20は、ドグ10の位置を検出することにより、昇降台6に対するセンターコーン8の相対的な高さ位置を検出する。これにより、制御部7は、昇降台6に対するセンターコーン8の相対的な高さ位置に基づいて、例えば、FOUP90がロードポート102に存在しているか否か、昇降台6が保持位置に到達したか否か、及び、昇降台6がFOUP90のフランジ部91を保持しているか否かを認識する。
【0028】
次に、センターコーン8の周辺構成について詳説する。
【0029】
図4図5(a)及び図5(b)に示されるように、天井搬送車1は、センターコーン8、摺動部材35、蓋部材92、第1磁石93、第2磁石94及びシート部材95を有する。センターコーン8は、下側に凸の外形を呈し、放物面状の下面8aを含む。センターコーン8は、非磁性体で形成され、例えば樹脂で形成されている。センターコーン8の上面8bには、その縁部以外が凹んでなる段差81が形成されている。段差81の底面には、上方視におけるセンターコーン8の中央を含む位置に、上方に開口する開口部82が形成されている。開口部82は、上方視においてセンターコーン8と同心の円形状を呈する。開口部82内には、摺動部材35が収容されている。開口部82は、摺動部材35を収容する収容空間Rを画設する。
【0030】
摺動部材35は、円柱状を呈する部材である。摺動部材35は、非磁性体で形成され、例えば樹脂で形成されている。摺動部材35は、例えばステンレス鋼で形成された固定フランジ96を介して、各ロッド64(図2参照)の下端を連結する不図示の連結部材に固定されている。これにより、摺動部材35は、昇降台6に取り付けられる。摺動部材35は、上述したように、開口部82(収容空間R)の内部に配置されている。摺動部材35の径は、開口部82の径よりも小さい。摺動部材35の厚さは、開口部82の深さよりも小さい。摺動部材35は、収容空間Rの内部において、センターコーン8に対して水平方向に沿って摺動可能(移動可能)である。
【0031】
蓋部材92は、開口部82の開口の一部を塞ぐ部材である。蓋部材92は、孔92aを中心に有する円板状を呈する部材である。蓋部材92は、非磁性体で形成され、例えば樹脂で形成されている。蓋部材92は、センターコーン8と同軸となる状態で段差81内に配置されると共に、センターコーン8に固定されている。蓋部材92は、開口部82の開口の外周部を塞ぐ。孔92aには、摺動部材35に固定された固定フランジ96の一部が挿通される。蓋部材92は、摺動部材35を収容する収容空間Rを画設する。
【0032】
第1磁石93は、円柱状を呈する部材である。第1磁石93は、例えばネオジウムで形成されている。第1磁石93は、摺動部材35の中央に埋設されている。第2磁石94は、円柱状を呈する部材である。第2磁石94は、例えばネオジウムで形成されている。第2磁石94は、センターコーン8の底面における中央に埋設されている。第2磁石94は、第1磁石93の磁極とは異なる磁極を有している。これにより、第1磁石93と第2磁石94との間には、引き合う力(吸引力)が作用している。第1磁石93及び第2磁石94は、摺動部材35が収容空間R内の中央(所定位置)に位置するように、センターコーン8を付勢する付勢部を構成する。
【0033】
シート部材95は、センターコーン8と摺動部材35との間に設けられている。シート部材95は、センターコーン8よりも摩擦係数の小さい円形シート状の部材である。シート部材95は、開口部82の底面に敷設されている。
【0034】
このような本実施形態の構成では、FOUP90のフランジ部91と接触していない無負荷時には、第1磁石93と第2磁石94との間の吸引力により、センターコーン8の位置が摺動部材35と同軸になる中心位置を維持(中心位置に復帰)するように自動的に調心される。この状態では、センターコーン8は、摺動部材35及び摺動部材35が取り付けられた昇降台6に対して、水平方向に沿う第1方向、及び、水平方向に沿い且つ第1方向に直交する第2方向に移動自在である。つまり、センターコーン8は、昇降台6に対して水平方向のあらゆる方向に、一定量(収容空間Rの半径と摺動部材35の半径との差)だけ移動自在(水平動自在)である。
【0035】
次に、昇降台6の一対の爪部材6aによりFOUP90を保持する動作を例示する。
【0036】
昇降台6が下降され、フランジ部91の凹部91aにセンターコーン8が嵌合する。昇降台6が保持位置に到達したとき、昇降台6の下降が停止される。一対の爪部材6aが閉じ、一対の爪部材6aがフランジ部91の下側に進出する。その後、昇降台6が上昇され、フランジ部91の下側に進出した一対の爪部材6aとフランジ部91の下面とが当接し、FOUP90が持ち上げられる。これにより、図5(a)に示されるように、FOUP90が保持される。通常時では、水平方向において各爪部材6aとフランジ部91との間には、例えば1mm程度のクリアランスが設けられている。通常時では、図5(b)に示されるように、センターコーン8は、開口部82の底面にシート部材95を介して当接すると共に、摺動部材35と同軸になる中心位置に位置している。
【0037】
このとき、図6(a)に示されるように、FOUP90に何らかの力が加わり、例えば爪部材6aとフランジ部91との間のクリアランスの分、水平方向にフランジ部91がずれしてしまう場合がある。この点、本実施形態は、上述したように、センターコーン8の内部に水平方向に沿って摺動可能な構造を有しており、すなわち、センターコーン8が摺動部材35(昇降台6)に対して水平方向に移動自在である。よって、当該ずれが発生した場合でも、センターコーン8は、摺動部材35に対して水平方向に摺動し、フランジ部91の動きに追従するようにフランジ部91と一体で水平方向に移動する。その結果、センターコーン8の凹部91aへの嵌合をそのまま維持でき、凹部91a外に向かってセンターコーン8が乗り上がる又は凹部91a内に向かってセンターコーン8が降下することを抑制できる。
【0038】
以上、本実施形態の天井搬送車1によれば、FOUP90が水平方向にずれた場合、当該ずれに応じてセンターコーン8が水平方向に動くことができる。その結果、当該ずれがセンターコーン8の高さ方向への動きへと変換されてしまうことを抑制することができる。よって、高さ検出部20により、昇降台6に対するセンターコーン8の相対的な高さ位置を正確に求めることが可能となる。フランジ部91の水平方向の動きにセンターコーン8を追従させることで、高さ検出部20の誤検知を防止することができる。また、水平方向においてセンターコーン8を介した振動伝達を低減することができる。また、フランジ部91の上面とセンターコーン8とが摺動することを抑制することができ、フランジ部91の上面の損傷(擦れ)を抑制することが可能となる。
【0039】
天井搬送車1では、センターコーン8は、FOUP90のフランジ部91の上面に形成された凹部91aに嵌まり込む位置決め部である。この場合、センターコーン8により、FOUP90に対して昇降台6を位置決めすることが可能となる。
【0040】
天井搬送車1は、昇降台6に取り付けられセンターコーン8に対して水平方向に沿って摺動可能な摺動部材35を備える。センターコーン8は、摺動部材35を収容する収容空間Rを含む。これにより、センターコーン8が昇降台6に対して水平方向に沿って移動自在となる構成を具体的に実現できる。
【0041】
天井搬送車1は、摺動部材35が収容空間R内の中央に位置されるようにセンターコーン8を付勢する付勢部として、第1磁石93及び第2磁石94を備える。これにより、例えばセンターコーン8がフランジ部91の上面に接触していない無負荷時には、昇降台6に対するセンターコーン8の位置を一定に維持させることができる。ここでは、センターコーン8が摺動部材35と同軸になる中心位置を維持するように自動的に調心することができる。また、付勢部として第1磁石93及び第2磁石94を備えることから、第1磁石93及び第2磁石94の磁力を利用して、昇降台6に対するセンターコーン8の位置を一定に維持させることができる。無負荷での天井搬送車1の走行時において、異音の発生を抑制することができる。
【0042】
天井搬送車1では、収容空間Rを画設する開口部82の開口の一部を塞ぐ蓋部材92を備える。この場合、蓋部材92により、収容空間Rからの摺動部材35の抜け外れを阻止することが可能となる。
【0043】
天井搬送車1では、センターコーン8と摺動部材35との間には、センターコーン8よりも摩擦係数の小さいシート部材95が設けられている。この場合、例えばフランジ部91の上面にセンターコーン8が接触している状態において、当該フランジ部91が水平方向にずれた場合に、シート部材95により摺動部材35とセンターコーン8とが摺動しやすくなる。これにより、フランジ部91の上面とセンターコーン8とが摺動することを抑制することができる。フランジ部91の上面の損傷を抑制することが可能となる。
【0044】
天井搬送車1では、センターコーン8は、昇降台6に対して、水平方向に沿う第1方向、及び、水平方向に沿い且つ第1方向に直交する第2方向に移動自在である。これにより、フランジ部91が水平方向に沿う第1方向だけでなく第2方向にもずれた場合でも、当該ずれに応じてセンターコーン8が水平方向に動くことができる。
【0045】
[第2実施形態]
第2実施形態について説明する。本実施形態の説明では、第1実施形態と異なる点につて説明し、重複する説明は省略する。
【0046】
図7及び図8に示されるように、第2実施形態に係る天井搬送車100が第1実施形態と異なる点は、容器としてPOD190を対象とし、センターコーン8(図2参照)に代えてセンターパッド108を容器接触部として備える点である。センターパッド108は、円柱状の外形を呈し、平面状の下面108aを含む。センターパッド108は、POD190の平面状の上面191に当接する。センターパッド108の下面108aには、センターパッド108よりも摩擦係数の大きいシート状の摩擦部材105が設けられている。センターパッド108は、摩擦部材105を介してPOD190の上面191に接触する。摩擦部材105は、例えばウレタンゴムにより形成されている。
【0047】
本実施形態において、一対の爪部材6aによりPOD190を保持する場合には、昇降台6が下降されてPOD190の上面191にセンターパッド108が当接した後、一対の爪部材6aが閉じ、POD190の側面のフランジ部192の下側に一対の爪部材6aが進出する。昇降台6が上昇され、一対の爪部材6aによりフランジ部192を介してPOD190が持ち上げられる。
【0048】
ここで、図7に示されるように、例えば一対の爪部材6aが閉じる際、爪部材6aがPOD190に接触してしまう場合がある。この場合、一般的な天井搬送車の構成では、一対の爪部材6aが閉じ切らずにエラーとなったり、センターパッド108が上面191に対して擦れてしまったりする可能性がある。この点、本実施形態では、センターパッド108の内部に水平方向に沿って摺動可能な構造を有しており、すなわち、センターパッド108が摺動部材35(昇降台6)に対して水平方向に移動自在である。よって、図8に示されるように、一対の爪部材6aが閉じる際に爪部材6aがPOD190に接触した場合、爪部材6aにより水平方向にPOD190が押し込まれてずれるのに併せて、センターパッド108は、摺動部材35に対して水平方向に摺動し、POD190の動きに追従するように当該POD190と一体で水平方向に移動する。その結果、センターパッド108とPOD190の上面191と当接を、両者を摺動させずにそのまま維持することができる。
【0049】
以上、本実施形態の天井搬送車100においても、昇降台6に対するセンターパッド108の相対的な高さ位置を正確に求めることが可能となる。また、POD190の上面191とセンターパッド108とが摺動することを抑制することができ、POD190の上面191の損傷(擦れ)を抑制することが可能となる。
【0050】
天井搬送車100では、センターパッド108よりも摩擦係数の大きい摩擦部材105を介して、センターパッド108がPOD190の上面191に接触している。これにより、POD190の上面191にセンターパッド108が接触している状態において、POD190が水平方向にずれた場合に、摩擦部材105によりPOD190の上面191とセンターパッド108とが摺動することを抑制することができ、POD190の上面191の損傷を抑制することが可能となる。
【0051】
以上、実施形態について説明したが、本発明の一態様は上記実施形態に限定されない。
【0052】
上記実施形態では、昇降台6に対するセンターコーン8の相対的な上昇動作を検出することが可能であれば、高さ検出部20は上述した構成に限定されない。上記実施形態では、容器の上面に接触することが可能であれば、容器接触部はセンターコーン8及びセンターパッド108に限定されず、FOUP90及びPOD190以外の容器が適用されてもよい。
【0053】
上記実施形態は、容器接触部を付勢する付勢部として第1磁石93及び第2磁石94を備えるが、付勢部は特に限定されない。容器接触部を付勢する(力を加える)ことができれば、種々の構成を付勢部として採用してもよい。例えばバネ又はゴムを付勢部として備え、その弾性力を利用して容器接触部を付勢してもよい。
【0054】
上記実施形態及び変形例における各構成には、上述した材料及び形状に限定されず、様々な材料及び形状を適用することができる。上記実施形態又は変形例における各構成は、他の実施形態又は変形例における各構成に任意に適用することができる。上記実施形態又は変形例における各構成の一部は、本発明の一態様の要旨を逸脱しない範囲で適宜に省略可能である。
【符号の説明】
【0055】
1,100…天井搬送車、6…昇降台、8…センターコーン(容器接触部)、20…高さ検出部、35…摺動部材、82…開口部、90…FOUP(容器)、91a…凹部、92…蓋部材、93…第1磁石(付勢部)、94…第2磁石(付勢部)、95…シート部材、105…摩擦部材、108…センターパッド(容器接触部)、190…POD(容器)、191…上面、R…収容空間。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8