(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】ファイルボックス
(51)【国際特許分類】
B42F 7/14 20060101AFI20240319BHJP
【FI】
B42F7/14 B
(21)【出願番号】P 2023048466
(22)【出願日】2023-03-24
(62)【分割の表示】P 2019007748の分割
【原出願日】2019-01-21
【審査請求日】2023-03-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000001351
【氏名又は名称】コクヨ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085338
【氏名又は名称】赤澤 一博
(72)【発明者】
【氏名】扶川 祥平
【審査官】三橋 健二
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-156060(JP,A)
【文献】特開平08-175531(JP,A)
【文献】実開昭49-024315(JP,U)
【文献】特開2012-121580(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02484597(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42F 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
扁平に折畳可能な樹脂製のファイルボックスにおいて、
収納空間を囲繞する周壁のうち左右の側壁を内板の外面又は外板の内面に化粧板を張り付けてなる二重構造のものにし、前後の端壁及び底壁は一重構造とし
、
前記化粧板の下端部又は後端部が、底壁又は後の端壁に優先して接地面に接地し得るように突出させてあるファイルボックス。
【請求項2】
前記化粧板の厚さ寸法が、前記内板の厚さ寸法よりも大きく設定されている請求項1記載のファイルボックス。
【請求項3】
前記側壁の内板のみが端壁に接続されている請求項1記載のファイルボックス。
【請求項4】
前記化粧板が、前記内板又は前記外板に略一致する形状をなす請求項1記載のファイルボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扁平に折りたたみ可能なファイルボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、流通段階等において嵩張らないようにすべく折りたたみ可能にしているファイルボックスが知られている。このようなファイルボックスにおいて、板厚を薄くするとノックダウン性が高まる、換言すれば折りたたみ作業を容易に行うことができる一方、使用時においてファイルボックスが不安定なものとなるという背反が発生する。そこで、一枚の板紙を折り曲げて側板を二重構造とすることにより、板厚を薄くしつつファイルボックスとしての安定性を確保することが考えられている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
ところで、特許文献1記載のファイルボックスは紙製のものであるが、樹脂製のシートを折り曲げて形成するファイルボックスにおいて、側板の二重構造を折り曲げ操作により実現しようとすると、以下に述べるような不具合が生じる。すなわち、樹脂製シートを折り返して二重構造を実現しようとすると折り返し箇所が白化するという問題が生じるとともに、一枚の樹脂製シートのみを折り曲げることによりこのようなファイルボックスを形成しようとすると、ファイルボックスを形成するためのシートが大きくなるので、取り回しや加工がしにくくなるという問題も生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、樹脂製かつ折りたたみ可能なファイルボックスにおいて、シートの厚みを薄くしつつファイルボックスとしての安定性を確保することを、著しい白化を招くことなく、また材料の取り回しや加工をしやすくしつつ実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明に係るファイルボックスは、扁平に折畳可能な樹脂製のファイルボックスにおいて、収納空間を囲繞する周壁のうち左右の側壁を内板の外面又は外板の内面に化粧板を張り付けてなる二重構造のものにし、前後の端壁及び底壁は一重構造とし、前記化粧板の下端部又は後端部が、底壁又は後の端壁に優先して接地面に接地し得るように突出させてあることを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明に係るファイルボックスは、請求項1記載のものにおいて、前記化粧板の厚さ寸法が、前記内板の厚さ寸法よりも大きく設定されている。
【0009】
請求項3記載の発明に係るファイルボックスは、請求項1記載のものにおいて、前記側壁の内板のみが端壁に接続されている。
【0010】
請求項4記載の発明に係るファイルボックスは、請求項1記載のものにおいて、前記化粧板が、前記内板又は前記外板に略一致する形状をなす。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、樹脂製かつ折りたたみ可能なファイルボックスにおいて、シートの厚みを薄くしつつファイルボックスとしての安定性を確保することを、著しい白化を招くことなく、また材料の取り回しや加工をしやすくしつつ実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明
に関連するファイルボックスを示す斜視図。
【
図2】同ファイルボックスを示す正面図及び背面図。
【
図3】同ファイルボックスを示す平面図及び底面図。
【
図5】同ファイルボックスを扁平に折り畳んだ状態を示す右側面図。
【
図6】同ファイルボックスを扁平に折り畳んだ状態を示す左側面図。
【
図7】
図2におけるX-X線に沿った平断面を示す拡大図。
【
図8】同ファイルボックスを折り畳む途中を示す部分平断面図。
【
図9】同ファイルボックスを折り畳んだ状態を示す部分平断面図。
【
図12】同
ファイルボックスのボックス本体及び仕切りを示す分解斜視図。
【
図13】同
ファイルボックスの左の側壁を構成する内板を外面側から見た展開図。
【
図14】同
ファイルボックスの右の側壁を構成する内板を外面側から見た展開図。
【
図15】同
ファイルボックスの化粧板を示す側面図。
【
図16】同
ファイルボックスの底壁の組み立て操作の手順を示す説明図。
【
図17】同
ファイルボックスの底壁の組み立て操作の手順を示す説明図。
【
図18】同
ファイルボックスの底壁の組み立て操作の手順を示す説明図。
【
図19】同
ファイルボックスの底壁の組み立て操作の手順を示す説明図。
【
図20】同
ファイルボックスの仕切りを外面側から見た展開図。
【
図21】同
ファイルボックスの取っ手を示す側面図。
【
図23】本発明
の一実施形態に係るファイルボックスを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態を、
図1~
図23を参照しつつ述べる。
【0014】
本実施形態のファイルボックスFは、底壁15を構成する底面フラップ151~153を有したボックス本体1と、このボックス本体1の内側に固定され底面フラップ151~153を内側へ折り曲げることを阻害する本体固定部材たる仕切り2と、対をなす底面フラップ151、152同士を内側に折り曲げることなく係合させるフラップ係合手段Kとを具備してなる。換言すれば、このファイルボックスFは、ボックス本体1と、このボックス本体1内を区画する仕切り2と、この仕切り2の両端をボックス本体1に固定する固定部3とを備えてなり、固定部3と仕切り2との相対角度を変化させつつボックス本体1を扁平に折り畳むことができるようにしたものである。
【0015】
ここで、
図1は
、ファイルボックスFを示す斜視図、
図2(a)は、同正面図、
図2(b)は、同背面図、
図3(a)は、同平面図、
図3(b)は、同底面図、
図4は、右側面図である。そして、
図5は、ファイルボックスFを扁平に折り畳んだ状態を示す右側面図、
図6は同左側面図である。なお、この明細書においては、説明の便宜上
図2(a)の正面図を基準にして「上」「下」「左」「右」という文言を使用しており、同正面図における手前を「前」、奥を「後」と称している。
【0016】
詳述すれば、このファイルボックスFは、対をなして対向する第一の周壁たる端壁11、12及び対をなして対向する第二の周壁たる側壁13、14を有するボックス本体1と、このボックス本体1内を左右に二等分するように区画する仕切り2と、この仕切り2の前後両端を端壁11、12にそれぞれ固定する固定部31、32とを備えてなり、ボックス本体1を左右の側壁13、14が仕切り2に当接又は近接するまで折り畳むことができるようになっている。
図7は、ボックス本体1の使用姿勢(U)を示すX-X線に沿った平断面図であり、
図8は、折り畳んでいる途中を示す部分平断面図であり、
図9は扁平に折り畳んだ状態を示す部分平断面図である。そして、
図10は、
図7におけるA部を拡大して示す拡大図、
図11は、
図9におけるB部を拡大して示す拡大図である。
【0017】
ボックス本体1は、左右の側壁13、14と、前後の端壁11、12と、底壁15とを備えた箱形のもので、上面が開放されている。前の端壁11は後の端壁12よりも背が低く、側壁13、14の上縁は前方に向かって漸次低くなるように傾斜している。
図12は、ボックス本体1を後述する仕切り2とともに分解して示す斜視図である。
【0018】
左右の側壁13、14は、
図7~
図9、
図11及び
図12に示すように、それぞれ内板131、141の外面に化粧板132、142を張り付けた二重構造をなす周壁であり、化粧板132、142の厚さ寸法t2(例えば、1.2mm)は、内板131、141の厚さ寸法t1(例えば、0.7mm)よりも大きく設定されている。内板131、141及び化粧板132、142は、ポリプロピレン等の合成樹脂により作られたもので、化粧板132、142は溶着あるいは接着等により内板131、141の外面に張り付けられている。
【0019】
前の端壁11は、例えば、左の内板131の前縁から右方向に延出させた前外板111を主体に構成されたもので、前外板111の内面における左半部には、後述する仕切り2の前端に設けられた固定部31が溶着等により張り付けられている。また、前外板111の内面における右半部には、右の内板141の前縁から左方向に延出させた前内板112が溶着等により張り付けられている。
【0020】
後の端壁12は、例えば、右の内板141の後縁から左方向に延出させた後外板121を主体に構成されたもので、後外板121の内面における右半部には、後述する仕切り2の後端に設けられた固定部32が溶着等により張り付けられている。また、後外板121の内面における左半部には、左の内板131の後縁から右方向に延出させた後内板122が溶着等により張り付けられている。
【0021】
すなわち、端壁11、12には側壁13、14の内板131、141のみが接続されており、化粧板132、142は端壁11、12及び底壁15と独立である。
【0022】
図13は、左の側壁13を構成する内板131を外面側から見た展開図であり、この内板131の前端(図中右端)には山折り線L1を介して前の端壁11を構成する前外板111が一体に連続させてあるとともに、内板131の後端には山折り線L2を介して後の端壁12を構成する後内板122が一体に連続させてある。そして、内板131の下端には、山折り線L3を介して底壁15を構成する一方の底面フラップ151が一体に連続させてある。L11は、前外板111と後述する底面フラップ153との境界を形成する山折り線である。
【0023】
図14は、右の側壁14を構成する内板141を外面側から見た展開図であり、この内板141の後端(図中右端)には山折り線L4を介して後の端壁12を構成する後外板121が一体に連続させてあるとともに、内板131の後端には山折り線L5を介して前の端壁11を構成する前内板112が一体に連続させてある。そして、内板141の下端には、山折り線L6を介して底壁15を構成する他方の底面フラップ152が一体に連続させてある。L12は、後外板111と後述する底面フラップ153との境界を形成する山折り線である。
【0024】
図15は、前述した左の側壁13を構成する内板131の外面に張り付けられる化粧板132を示す左側面図であ
る。右の化粧板142は左の化粧板132に準じたもので、右の側壁14を構成する内板141の外面に張り付けられている。
【0025】
底壁15は、左右の側壁13、14の下縁に連続する対をなす底面フラップ151、152と、前後の端壁11、12の下縁に連続するそれ以外の底面フラップ153とを備えたもので、これらの底面フラップ151~153に関連させてフラップ係合手段Kを備えている。フラップ係合手段Kは、左の側壁13に連続する一方の底面フラップ151に設けられたスリット151aと、右の側壁14に連続する他方の底面フラップ152に設けられ前述のスリット151aに差し込まれる差込み部152aとを備えたものである。そして、差込み部152aの突出寸法dは、その突出端152bを仕切り2に係止されている一方の底面フラップ151のスリット151aに部材の弾性変形を利用して到達させ得る値に設定されている。また、これら一対の底面フラップ151、152以外の底面フラップ153には凸部153aをそれぞれ設け、それらの凸部153aをスリット151aに差し込んでいる。これらの凸部153aは、差込み部152aに先んじてスリット151aに挿入されるものであり、当該凸部153aは、差込み部152aの前記スリット151aへの差し込み動作を案内する案内面である平滑面153bを備えたものである。
【0026】
折り畳み状態における底壁15は、
図5及び
図6に示すように、各底面フラップ151,152、153同士の係合が解かれ、対をなす底面フラップ151、152が側壁12、13と略面一に連続するように外方に展開されるとともに、他の底面フラップ153が前後の端壁11、12に略面一に連続するように展開されている。この状態から
図16~
図19の操作を行うことによって、底壁15を組み立てることができる。まず、扁平に折り畳まれているボックス本体1を使用姿勢(U)に準じた筒形にした上で、
図16に示すように、後述する仕切り2の下端鍔部24、25を水平に折り曲げてボックス本体1の下面開口部分を覆う状態とする。その上で、
図17に示すように、スリット151aを有する一方の底面フラップ151を仕切り2の下端鍔部24、25の外面に被せ、しかる後に、
図18に示すように、他の底面フラップ153に設けられた凸部153aをその底面フラップ151のスリット151aに係合させる。これによって、底壁15を構成するための3枚の底面フラップ151、153が相互に仮止めされ、曲げ癖によってボックス本体1が元の折り畳み姿勢(S)方向に戻ろうとするのを抑止することができる。この状態から、
図19に示すように、他方の底面フラップ152を厚み方向に弾性的に湾曲させながら差込み部152aの先端を一方の底面フラップ151のスリット151aに到達させ、その湾曲形状を平面形状に戻しつつその差込み部152aをスリット151a内に深く挿入することにより底壁15の組立てが完了する。すなわち、このファイルボックスFにおいては、差込み部152aの突出寸法dを従来のものに比べて小さく設定し、他方の底面フラップ152の弾性変形を利用してその差込み部152aを一方の底面フラップ151のスリット151aに係合させることができるようにしている。そのため、一方の底面フラップ151をボックス本体1の内部に一旦折り込むような動作を行うことなく、底壁15を組み立てることができるようになっている。
【0027】
仕切り2は、対をなす対面板21、22を備え、これら対面板21、22の上縁同士を接続部23により接続した二重構造のものであり、その前後両端に固定部31、32がそれぞれ設けられている。この仕切り2の一端(前端)をボックス本体1に固定する一方の固定部31は、当該仕切り2の一面(左側面)側に突出して第一の周壁である前の端壁11に固定されたものであり、仕切り2の他端(後端)をボックス本体1に固定する他方の固定部32は、当該仕切り2の他面(右側面)側に突出して第一の周壁である後の端壁12に固定されたものである。これらの固定部31、32は、仕切り2の各対面板21、22に折り曲げ線L7、L8を介してそれぞれ一体に接続されている。そして、ボックス本体1を折り畳んだ状態で相互に近くなるもの同士の対面板21、22と固定部31、32とがそれぞれ接続されている。具体的には、
図7~
図9及び
図20に示すように、この実施形態においては、左の対面板21の後端に後の固定部32が一体に接続されているとともに、右の対面板22の前端に前の固定部31が接続されている。そして、前の固定部31が前の端壁11の前外板111の左半部に溶着等により止着されているとともに、後の固定部32が後の端壁12の後外板121の右半部に溶着等により止着されている。そして、左右の対面板21、22の各下端には、折り曲げ線L9、L10を介して下端鍔部24、25がそれぞれ一体に接続されている。なお、右の対面板22の後縁には突起26が突設されているとともに、左の対面壁21の後縁に接続された後の固定部32の基端近傍部にはスリット27が形成されており、後の固定部32が対面板21、22に対して直角となる使用姿勢(U)においては、
図10に示すように、突起26がスリット27に嵌合するようになっている。L13は、対面板21、22と接続部23との境界を形成する折り曲げ線である。なお、
図1~
図3、
図5、
図7~
図12及び
図20においては、以上説明した仕切り2の下端鍔部24、25以外の部分にパターンを施して当該仕切り2の存在が目立つようにしてある。
【0028】
しかして、ボックス本体1を折り畳む前の使用姿勢(U)においては、
図3、
図7及び
図12に示すように、仕切り2と両固定部31、32とが全体としてS字状に配されている。そして、ボックス本体1は、仕切り2と両固定部31、32とが全体としてS字状から一直線状となる方向に、換言すれば仕切り2と両固定部31、32とが正面視S字状をなす使用姿勢(U)から略一直線状に展開される展開姿勢たる折り畳み姿勢(S)まで変形する方向に折り畳み可能である。
図9及び
図11は、ボックス本体1を折り畳むことにより仕切り2と両固定部31、32とが略一直線状になった状態を示している。なお、接続部23には、その長手方向中間部に取っ手4が通過可能なスリット状をなす把手挿通部分23aが形成されている。
図11においては、端壁12を構成する外板121及び内板122の厚みを誇張して示しているため、仕切り2の対面板21と固定部32との間に比較的大きな段差が存在するように見えるが、実際には外板121及び内板122は薄いものであるため、これら対面板21と固定部32とは折り畳み姿勢(S)では略一直線状をなしている。
【0029】
取っ手4は、仕切り2に対して、その上縁が後の端壁12の上縁とほぼ同じ高さ位置又は低い位置となる没入位置(P)と、その上縁が後の端壁12の上縁よりも上方となる引き出し位置(Q)との間で突没動作可能に設けられたものである。
図4における実線はこの取っ手4を没入位置(P)に収納させた状態を示しており、
図4における想像線はこの取っ手4を引き出し位置(Q)に引き出した状態を示している。没入位置(P)においては、取っ手4の上縁が後の端壁12の上縁とほぼ同じ高さ位置又は低い位置となるが、この取っ手4の把持部4aはこの没入位置(P)においても露出するように構成されている。把持部4aは、
図4、
図5及び
図22に示すように、前後に伸びる長円形の貫通孔により構成されており、その貫通孔の前後両縁及び上縁には、肉厚部分4a1、4a2が形成されている。前後両縁の肉厚部分4a1は、上端側が上縁の肉厚部分4a2と同じ厚みを有し、下方に向かって漸次厚みが減少するような形状をなしている。
【0030】
このような構成のものであれば、収納空間を囲繞する周壁の全部又は一部、すなわちこの実施形態の場合は左右の側壁13、14を、内板131、141の外面に化粧板132、142を貼り付けてなる二重構造のものにしているので、このような樹脂製のファイルボックスFにおいて、内板131、141を構成するシートの厚みを薄くしつつ使用時の安定性を確保することを、著しい白化を招くことなく、また材料の取り回しや加工をしやすくしつつ実現することができる。すなわち、内板131、141を構成するシートの厚みを薄くすることにより、ノックダウン作業時(折り畳み作業時)に折り曲げる箇所である折り曲げ線L1~L6、L11、L12が形成された箇所も薄くできるので、ノックダウン作業(折り畳み作業)を容易に行うことができる。さらに、一枚の樹脂製シートを折り返して二重構造を実現した場合には側壁の厚みは樹脂製シートの2倍にしかならないのに対し、このような構成であれば内板131、141と化粧板132、142とを別個の材料により構成しているので、側壁13、14全体の厚さ寸法を自由に設定することができる。
【0031】
この実施形態のように、化粧板132、142の厚さ寸法t2が、内板131、141の厚さ寸法t1よりも大きく設定すれば、側壁13、14全体の厚さ寸法を確保しつつ、内板131、141を含むシート状の材料の厚さ寸法を小さくして折りたたみ作業を容易に行うようにすることができる。
【0032】
さらに、内板131、141の外面に化粧板132、142を張り付けた二重構造をなす周壁が左右の側壁13、14であるので、少ない部品点数でより大きな面積の部分に強度を付与することができる。
【0033】
加えて、厚さ寸法t1が小さな側壁13、14の内板131、141のみが端壁11、12に接続されており、化粧板132、142は端壁11、12と独立であるので、側壁13、14全体としての強度は確保しつつ、折りたたみ作業を容易に行うことができる。
【0034】
そして、前の端壁11の前外板111の内面における一半部(右半部)に一方の内板(右の内板141)の前縁から延出させた前内板112が溶着等により張り付けられているとともに、後の端壁12の後外板121の内面における一半部(左半部)に他方の内板(左の内板131)の前縁から延出させた前内板112が溶着等により張り付けられ、前外板111及び後外板121の内面における他半部には仕切り2の前後両端にそれぞれ設けられた固定部31、32が溶着等により張り付けられているので、前、後の端壁11、12も二重構造を有することになり、仕切り2を有するこのようなファイルボックスFのこれら前、後の端壁11、12にも効果的に強度を付与することができる。
【0036】
上記では、化粧板の厚さ寸法を1.2mmとしており、内板の厚さ寸法を0.7mmとしているが、化粧板及び内板の厚さ寸法は任意に設定してよい。
【0038】
その上で、
図23に示すボックスファイルF2のように、左右の側壁13、14の化粧板132、142の下端部を、底壁15に優先して接地面Gに接地し得るように突出させるようにしてもよい。この
ファイルボックスF2においても、側壁13、14の内板131のみが端壁11、12に接続されており、化粧板132、142は端壁11、12及び底壁15とは独立している。なお、
図23に示す
ファイルボックスF2において、その他の箇所は上述した
図1~図22におけるものと同様の構成を有しており、対応する各部位には、同一の符号を付している。
【0039】
また、左右の側壁の化粧板の後端部を後の端壁よりも後方に突出させてもよい。このようなものであれば、後の端壁を底面とした姿勢でファイルボックスを立てて使用する際に、化粧板の後端が後の端壁に優先して接地面に接地することとなる。
【0040】
加えて、左右の側壁のみならず、前後の端壁をも内板の外面に化粧板を張り付けた二重構造をなす周壁としてもよく、前後の端壁のみを内板の外面に化粧板を張り付けた二重構造をなす周壁とする態様を採用してもよい。なお、左右の側壁及び前後の端壁の全てを二重構造とした場合、内板のみを相互に接続し、化粧板はそれぞれ独立のものとすると、強度を確保しつつ、内板及び化粧板をそれぞれ互いに接続する態様のものと比較して折りたたみ作業を容易に行うことができる。
【0041】
そして、上述した実施形態では、収納空間を囲繞する周壁の全部又は一部を、内板の外面に化粧板を張り付けてなる二重構造としたものについて説明しているが、収納空間を囲繞する周壁の全部又は一部を、外板の内面に化粧板を張り付けてなる二重構造とする構成を採用してもよい。一例として、収納空間を囲繞する周壁である側壁が、上述した実施形態における内板と同様の構成を有する外板と、その外板の内面に張り付けられた化粧板とからなる二重構造を有するものが挙げられる。
【0042】
なお、本発明は以上に述べた実施形態に限らない。その他、本発明の趣旨を損ねない範囲で種々に変形してよい。
【符号の説明】
【0043】
F…ファイルボックス
13、14…周壁
131、132…内板
132、142…化粧板
15…底壁
t1…内板の厚さ寸法
t2…化粧板の厚さ寸法
G…接地面