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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】エレベーターのかご制御装置
(51)【国際特許分類】
   B66B 3/00 20060101AFI20240319BHJP
   B66B 1/14 20060101ALI20240319BHJP
   B66B 1/34 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
B66B3/00 R
B66B1/14 H
B66B1/34 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023113435
(22)【出願日】2023-07-11
【審査請求日】2023-07-11
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原田 徹
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-109041(JP,A)
【文献】特開2014-234284(JP,A)
【文献】特開2023-088579(JP,A)
【文献】国際公開第2018/003014(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/250408(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/00-20/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定時間エレベーターが利用されないと、かごの扉を閉じた状態でかご内の照明及びファンを停止させる休止モードを備えたエレベーターのかご制御装置において、
電源投入後、所定の運転を継続した時の時間と対象素子の温度上昇との関係を示す第1の時間対温度上昇データと、
電源投入後、休止モードを継続した時の時間と前記対象素子の温度上昇との関係を示す第2の時間対温度上昇データと、
所定の運転を継続後、休止モードを継続した時の時間と前記対象素子の温度下降との関係を示す第1の時間対温度下降データと、
を記憶したデータ記憶部と、
記データ記憶部に記憶された前記第1の時間対温度上昇データが示す第1の温度上昇カーブと、前記第2の時間対温度上昇データが示す第2の温度上昇カーブと、前記第1の時間対温度下降データが示す第1の温度下降カーブとを用いて、運転と休止の時間に対応した、第1の温度上昇カーブと前記第2の温度上昇カーブと前記第1の温度下降カーブとを、連結点の温度上昇値が等しくなるようにして連結することにより温度上昇値の曲線を推定する温度推定部と、
装置の周囲温度を測定する温度測定部と、
前記温度推定部で推定された温度上昇値に前記温度測定部で測定された周囲温度を加算した値を前記対象素子の温度として算出する制御部と、
を備えたエレベーターのかご制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記対象素子の温度が基準値を超えた場合に休止モードに移行する請求項1に記載のエレベーターのかご制御装置。
【請求項3】
前記データ記憶部は、所定の運転を継続後、主電源がOFFしている時の時間と前記対象素子の温度下降との関係を示す第2の時間対温度下降データをさらに記憶しており、
前記主電源がOFFした時に、既設の停電制御回路を利用することにより主電源OFF期間を計測し、
前記温度推定部は、前記主電源のOFF状態からの前記主電源の復帰時に、前記主電源OFF期間における前記第2の時間対温度下降データが示す第2の温度下降カーブを、連結点の温度上昇値が等しくなるようにして、前記主電源OFF期間の前の前記温度上昇値の曲線に連結することにより、前記主電源の復帰時の前記対象素子の温度を補正する請求項1または請求項2に記載のエレベーターのかご制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、算出された前記対象素子の温度と動作時間に基づいて当該対象素子の残寿命を予測する請求項1または請求項2に記載のエレベーターのかご制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エレベーターのかご制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電解コンデンサーの残寿命の予測算出としては、特開2010-038671号公報にあるように、製品内で最も寿命の短い電解コンデンサーの近傍に温度センサーを設け、所定のサンプリング区間毎の電解コンデンサー近傍温度および温度補正により、製品の残寿命を予測算出する構成が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-038671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の電解コンデンサーの残寿命の予測算出では、最も寿命が短い電解コンデンサーを特定する必要があるが、エレベーターのかご制御装置では、複数の電源回路などの熱源があり、運転モードやオプション仕様などによっては、各回路の発熱量が異なり、最も寿命が短い素子を特定することは困難であるといった問題点があった。
【0005】
本開示は、上述のような課題を解決するためになされた。本開示の目的は、素子の温度を精度良く推定することのできるエレベーターのかご制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るエレベーターのかご制御装置は、所定時間エレベーターが利用されないと、かごの扉を閉じた状態でかご内の照明及びファンを停止させる休止モードを備えたエレベーターのかご制御装置において、電源投入後、所定の運転を継続した時の時間と対象素子の温度上昇との関係を示す第1の時間対温度上昇データと、電源投入後、休止モードを継続した時の時間と対象素子の温度上昇との関係を示す第2の時間対温度上昇データと、所定の運転を継続後、休止モードを継続した時の時間と対象素子の温度下降との関係を示す第1の時間対温度下降データと、を記憶したデータ記憶部と、データ記憶部に記憶された第1の時間対温度上昇データが示す第1の温度上昇カーブと、第2の時間対温度上昇データが示す第2の温度上昇カーブと、第1の時間対温度下降データが示す第1の温度下降カーブとを用いて、運転と休止の時間に対応した、第1の温度上昇カーブと第2の温度上昇カーブと第1の温度下降カーブとを、連結点の温度上昇値が等しくなるようにして連結することにより温度上昇値の曲線を推定する温度推定部と、装置の周囲温度を測定する温度測定部と、温度推定部で推定された温度上昇値に温度測定部で測定された周囲温度を加算した値を対象素子の温度として算出する制御部と、を備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、素子の温度を精度良く推定することのできるエレベーターのかご制御装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係るエレベーターのかご制御装置を示す図である。
図2】通常運転モード時の温度上昇を示す熱モデル式のグラフである。
図3】休止運転モード時の温度上昇を示す熱モデル式のグラフである。
図4】休止運転モード時の温度下降を示す熱モデル式のグラフである。
図5】実施の形態1における温度上昇値の推定例を示す図である。
図6】主電源がOFF時の温度下降を示す熱モデル式のグラフである。
図7】実施の形態2における温度上昇値の推定例を示す図である。
図8】実施の形態1における演算装置の機能を実現する構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。各図において共通または対応する要素には、同一の符号を付して、説明を簡略化または省略する。以下に示す実施の形態に示した構成は、本開示に係る技術的思想の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本開示に記載の複数の技術的思想を組み合わせることも可能である。また、本開示の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略または変更することも可能である。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係るエレベーターのかご制御装置を示す図である。図1に示すように、実施の形態1に係るエレベーターのかご制御装置は、インバーター素子1と、インバーター素子1に接続されたドアモータ2と、第一電解コンデンサー3と、第二電解コンデンサー4と、第三電解コンデンサー5と、各素子の温度を推定算出する演算装置6と、遠隔装置7と、ドア制御用の第一制御電源8と、第一制御電源8に接続される負荷α9と、ドア以外の機器を制御するための第二制御電源10と、第二制御電源10に接続される負荷β11と、バッテリーから生成される第三制御電源12と、停電灯14と、停電時に停電灯14を点灯させたるための停電灯制御回路13と、各素子の温度を記憶させる記憶装置15とを備える。記憶装置15は、第三制御電源12より電源供給される。
【0011】
本実施の形態におけるインバーター素子1、第一電解コンデンサー3、第二電解コンデンサー4、第三電解コンデンサー5のそれぞれは、対象素子の例である。
【0012】
このような構成にしたエレベーターのかご制御装置では、それぞれの対象素子が運転モードごとに個々の時定数のもと、それぞれの飽和温度点に対し、熱モデル式に沿って温度変動する。演算装置6は、以下のような熱モデル式を記憶したデータ記憶部16を有している。
【0013】
図2は、通常運転モード時の温度上昇を示す熱モデル式のグラフである。このグラフは、T(t)=A×(1-e^(-t/τ))で表される。なお、Aは通常運転モード時の飽和温度点、τは温度上昇値0から通常運転モードで飽和温度点Aに至るまでの時間に対応する。図2は、電源投入後、所定の運転を継続した時の時間と対象素子の温度上昇との関係を示す第1の時間対温度上昇データに相当する。
【0014】
図3は、休止運転モード時の温度上昇を示す熱モデル式のグラフである。このグラフは、T(t)=A×(1-e^(-t/τ))で表される。なお、Aは休止運転モード時の飽和温度点、τは温度上昇値0から休止運転モードで飽和温度点Aに至るまでの時間に対応する。図3は、電源投入後、休止モードを継続した時の時間と対象素子の温度上昇との関係を示す第2の時間対温度上昇データに相当する。
【0015】
図4は、休止運転モード時の温度下降を示す熱モデル式のグラフである。このグラフは、T(t)=A×e^(-t/τ)+Aで表される。なお、τは温度上昇値Aから休止運転モードで飽和温度点Aに至るまでの時間に対応する。図4は、所定の運転を継続後、休止モードを継続した時の時間と対象素子の温度下降との関係を示す第1の時間対温度下降データに相当する。
【0016】
演算装置6は、温度推定部17をさらに有している。温度推定部17は、通常運転と休止モードの時間に応じて、データ記憶部16に記憶された第1の時間対温度上昇データ、第2の時間対温度上昇データ及び第1の時間対温度下降データを、温度を基準にして連結することにより温度上昇値を推定する。図5は、実施の形態1における温度上昇値の推定例を示す図である。図5中、A,C,E,G,Iは、通常運転モードの温度上昇カーブである第1の時間対温度上昇データに相当する。図5中のBは、休止運転モードの温度上昇カーブである第2の時間対温度上昇データに相当する。図5中のD,F,Hは、休止運転モードの温度下降カーブである第1の時間対温度下降データに相当する。
【0017】
ここで、運転モードが切り換わる際、温度推定部17は、現時点の温度上昇値T(n)より、一旦、熱モデル式から時間tを逆算出したうえ、次時点の温度値T(n+1)を熱モデル式に当てはめ算出させる。
【0018】
演算装置6は、制御部18をさらに有している。本実施の形態のエレベーターのかご制御装置は、装置の周囲温度を測定する温度測定部19を有している。温度測定部19は、例えば、対象素子の周囲温度を測定する。制御部18は、温度推定部17で推定された温度上昇値に温度測定部19で測定された周囲温度を加算した値を対象素子の温度として算出する。これにより、本実施の形態であれば、対象素子の温度を精度良く推定することが可能となる。それゆえ、素子の熱故障あるいは素子の寿命を精度良く予測することが可能となる。その結果、素子が突然故障してエレベーターが停止し、かご内に利用者が閉じ込められるようなことを確実に防止できる。
【0019】
制御部18は、算出された対象素子の温度の平均値である平均温度:Taveを算出してもよい。制御部18は、例えば、対象素子が電解コンデンサーの場合、一般的な寿命算出式であるアレニウスの式より、当該電解コンデンサーの寿命を、
(m)=L×2^(T-Tave/10)
により算出してもよい。これにより、電解コンデンサーの残寿命を、
REST=L(m)-(稼働日数)
により算出できる。このとき、保守点検周期:Nヶ月よりも、残寿命LRESTが短くなったときに、遠隔装置7より、保守会社へ寿命を知らせるため、情報を発報させる。これにより、保守会社に対して適正な機器交換時期を知らせることが可能となる。
【0020】
本実施の形態であれば、素子の温度と動作時間が正確に把握できるので、精度の良い残寿命予測を行うことができる。
【0021】
制御部18は、算出された対象素子の温度が、基準値である素子保護温度TMAXを超えた場合に、かごを最寄り階に停止させて休止モードに移行するようにしてもよい。その後、制御部18は、対象素子の温度が予め設定された素子安全温度TSAFになるまで冷却させてもよい。これにより、当該対象素子の寿命を延ばすことができ、当該対象素子が故障に至ることを確実に抑制できる。
【0022】
実施の形態2.
次に、図6及び図7を参照して、実施の形態2について説明するが、前述した実施の形態1との相違点を中心に説明し、共通する説明を簡略化または省略する。また、前述した要素と共通または対応する要素には、同一の符号を付す。
【0023】
上記実施の形態1では、通電状態での各素子の推定温度を算出させる構成としたが、停電発生時など、主電源がOFFになった際、その期間の温度は下降していくため、電源復帰した時に正確な温度推定ができない。
【0024】
そこで、本実施の形態では、主電源がOFFになった場合、その時の推定温度を記憶装置15に記憶させ、バッテリーからの電源供給がある既存の停電灯制御回路13により、主電源OFF期間をカウントし、主電源復帰時に、主電源がOFF時の温度下降を示すT(t)=A×e^(-t/τ)の熱モデル式に沿って温度補正復帰させる。図6は、主電源がOFF時の温度下降を示す熱モデル式のグラフである。なお、τは温度上昇値Aから主電源OFFモードで温度上昇値0に至るまでの時間に対応する。図6は、所定の運転を継続後、主電源がOFFしている時の時間と対象素子の温度下降との関係を示す第2の時間対温度下降データに相当している。本実施の形態では、データ記憶部16は、図6に示す第2の時間対温度下降データをさらに記憶している。
【0025】
図7は、実施の形態2における温度上昇値の推定例を示す図である。図7中、AからIまでは図5と同じである。図7中のJは、主電源がOFF時の温度下降カーブである第2の時間対温度下降データに相当する。上述したように、本実施の形態であれば、主電源がOFFした時に、既設の停電灯制御回路13を利用することにより主電源OFF期間を計測し、温度推定部17は、主電源の復帰時に、上記計測された主電源OFF期間と、第2の時間対温度下降データとを用いて対象素子の温度を補正することができる。これにより、主電源がOFFした場合であっても対象素子の温度を精度良く推定することが可能となる。
【0026】
図8は、実施の形態1における演算装置6の機能を実現する構成の一例を示す図である。演算装置6の各機能は、例えば、処理回路により実現される。処理回路は、専用ハードウェア600であってもよい。処理回路は、プロセッサ601およびメモリ602を備えていてもよい。処理回路の一部が専用ハードウェア600として形成され、且つ、当該処理回路は更にプロセッサ601およびメモリ602を備えていてもよい。図8に示す例において、処理回路の一部は専用ハードウェア600として形成されている。また、図8に示す例において、処理回路は、専用ハードウェア600に加えて、プロセッサ601およびメモリ602を更に備えている。
【0027】
一部が少なくとも1つの専用ハードウェア600である処理回路には、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、またはこれらを組み合わせたものが該当する。
【0028】
処理回路が少なくとも1つのプロセッサ601および少なくとも1つのメモリ602を備える場合、演算装置6の各部の機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。
【0029】
ソフトウェアおよびファームウェアはプログラムとして記述され、メモリ602に格納される。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されていてもよい。プロセッサ601は、メモリ602に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、各部の機能を実現する。プロセッサ601は、CPU(Central Processing Unit)、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータあるいはDSPともいう。メモリ602には、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリー、EPROMおよびEEPROM等の不揮発性または揮発性の半導体メモリ、または磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスクおよびDVD等が該当する。
【0030】
このように、処理回路は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせによって、演算装置6の機能を実現することができる。なお、演算装置6の各機能は、複数の機器が連携することで実現されてもよいし、単一の機器によって実現されてもよい。また、演算装置6の各機能の少なくとも一部は、外部ネットワーク上のサーバ等に実装されていてもよい。
【0031】
なお、上述した複数の実施の形態が有する特徴のうち、組み合わせることが可能な二つ以上の特徴を組み合わせて実施してもよい。
【0032】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0033】
(付記1)
所定時間エレベーターが利用されないと、かごの扉を閉じた状態でかご内の照明及びファンを停止させる休止モードを備えたエレベーターのかご制御装置において、
電源投入後、所定の運転を継続した時の時間と対象素子の温度上昇との関係を示す第1の時間対温度上昇データと、
電源投入後、休止モードを継続した時の時間と前記対象素子の温度上昇との関係を示す第2の時間対温度上昇データと、
所定の運転を継続後、休止モードを継続した時の時間と前記対象素子の温度下降との関係を示す第1の時間対温度下降データと、
を記憶したデータ記憶部と、
運転と休止の時間に応じて、前記データ記憶部に記憶された前記第1の時間対温度上昇データ前記第2の時間対温度上昇データ及び前記第1の時間対温度下降データを、温度を基準にして連結することにより温度上昇値を推定する温度推定部と、
装置の周囲温度を測定する温度測定部と、
前記温度推定部で推定された温度上昇値に前記温度測定部で測定された周囲温度を加算した値を前記対象素子の温度として算出する制御部と、
を備えたエレベーターのかご制御装置。
(付記2)
前記制御部は、前記対象素子の温度が基準値を超えた場合に休止モードに移行する付記1に記載のエレベーターのかご制御装置。
(付記3)
前記データ記憶部は、所定の運転を継続後、主電源がOFFしている時の時間と前記対象素子の温度下降との関係を示す第2の時間対温度下降データをさらに記憶しており、
前記主電源がOFFした時に、既設の停電制御回路を利用することにより主電源OFF期間を計測し、
前記温度推定部は、主電源の復帰時に、前記主電源OFF期間と、前記第2の時間対温度下降データとを用いて前記対象素子の温度を補正する付記1または付記2に記載のエレベーターのかご制御装置。
(付記4)
前記制御部は、算出された前記対象素子の温度と動作時間に基づいて当該対象素子の残寿命を予測する付記1から付記3のいずれか一項に記載のエレベーターのかご制御装置。
【符号の説明】
【0034】
1 インバーター素子、 2 ドアモータ、 3 第一電解コンデンサー、 4 第二電解コンデンサー、 5 第三電解コンデンサー、 6 演算装置、 7 遠隔装置、 8 第一制御電源、 10 第二制御電源、 12 第三制御電源、 13 停電灯制御回路、 14 停電灯、 15 記憶装置、 16 データ記憶部、 17 温度推定部、 18 制御部、 19 温度測定部、 600 専用ハードウェア、 601 プロセッサ、 602 メモリ
【要約】
【課題】素子の温度を精度良く推定することのできるエレベーターのかご制御装置を提供する。
【解決手段】本開示に係るエレベーターのかご制御装置は、電源投入後、所定の運転を継続した時の時間と対象素子の温度上昇との関係を示す第1の時間対温度上昇データと、電源投入後、休止モードを継続した時の時間と対象素子の温度上昇との関係を示す第2の時間対温度上昇データと、所定の運転を継続後、休止モードを継続した時の時間と対象素子の温度下降との関係を示す第1の時間対温度下降データと、を記憶したデータ記憶部と、運転と休止の時間に応じて、第1の時間対温度上昇データ、第2の時間対温度上昇データ及び第1の時間対温度下降データを、温度を基準にして連結することにより温度上昇値を推定する温度推定部と、推定された温度上昇値に温度測定部で測定された周囲温度を加算した値を対象素子の温度として算出する制御部と、を備えたものである。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8