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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】センサ
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20240319BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
G06F3/041 430
G06F3/044 120
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020561432
(86)(22)【出願日】2019-12-17
(86)【国際出願番号】 JP2019049278
(87)【国際公開番号】W WO2020129932
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2022-09-20
(31)【優先権主張番号】P 2018237083
(32)【優先日】2018-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】313001332
【氏名又は名称】積水ポリマテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106220
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 正悟
(72)【発明者】
【氏名】友岡 真一
【審査官】木内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-221947(JP,A)
【文献】特開2016-219049(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0090661(US,A1)
【文献】国際公開第2016/039047(WO,A1)
【文献】特開2018-060411(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0253830(US,A1)
【文献】米国特許第11385737(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
G06F 3/044
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース基材と、フィルムシートに複数のセンサ電極と前記センサ電極に導通する複数の配線とを形成したセンサシートとを備えるセンサにおいて、
前記センサシートは、前記ベース基材の天面と側面に固着しており、
前記複数のセンサ電極を有する検知部と、
前記検知部から前記ベース基材の底面側に伸長し、前記複数の配線を有するテール部とを有しており、
前記テール部は、前記ベース基材の底面外縁に沿って接触しつつ前記ベース基材の底面に向けて前記テール部の基端部を折り曲げて形成される屈曲部を有しており、
前記屈曲部を通過する前記複数の配線は、前記屈曲部にある前記フィルムシートの外側屈曲面に形成されていることを特徴とするセンサ。
【請求項2】
前記屈曲部を通過する前記複数の配線は、前記テール部の伸長方向に対する交差方向で並列に配置されており、少なくとも前記底面外縁と接触する前記テール部の屈曲接触位置にある1以上の前記配線が前記外側屈曲面に形成されている
請求項1記載のセンサ。
【請求項3】
前記ベース基材と前記検知部は、センサ本体部を形成しており、
前記センサ本体部は、天面部と側面部とを有する立体形状である
請求項1又は請求項記載のセンサ。
【請求項4】
前記ベース基材は、少なくとも前記テール部の前記屈曲部側が平板形状であり、
前記底面外縁が前記ベース基材の前記底面の外縁部である
請求項1又は請求項記載のセンサ。
【請求項5】
前記底面外縁は、少なくとも前記屈曲部と対向位置する部分が円弧形状である
請求項1~請求項何れか1項記載のセンサ。
【請求項6】
前記複数のセンサ電極と前記複数の配線とを覆うレジスト層を有する
請求項1~請求項何れか1項記載のセンサ。
【請求項7】
前記複数のセンサ電極が静電容量変化を検出する静電容量センサ用電極である
請求項1~請求項何れか1項記載のセンサ。
【請求項8】
前記ベース基材は、
天面部と、
側面部とを有し、
前記検知部は、前記天面部と前記側面部とに積層して固着しており、
前記テール部は、前記ベース基材の前記側面部の底面外縁の位置で前記ベース基材の底面に向けて屈曲する屈曲部を有する
請求項1記載のセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種電子機器の入力操作等に用いるセンサに関し、特に静電容量センサに関する。
【背景技術】
【0002】
各種電子機器において、タッチによる入力操作を行うための操作デバイスが用いられている。入力操作を検知するセンサには、例えば静電容量センサが使用されている。静電容量センサは、例えば、硬質樹脂等でなるベース基材と、樹脂フィルムでなるフィルムシートとを有する。フィルムシートは、ベース基材に保持される検知部と、検知部から突出して伸長するテール部とを有する。
【0003】
検知部は、ベース基材に保持されている。検知部には、導電性インキ等によって、複数のセンサ電極と各センサ電極から伸長する配線が印刷により形成されている。テール部は、検知部から突出して伸長している。即ちテール部は、電子機器の筐体内部の部品のレイアウトに応じて配線を自由に引き回すことができるように、ベース基材に保持されていない。テール部には、複数のセンサ電極から伸長する配線が検知部から連続して形成されている。各配線の端部には、端子部が形成されている。端子部は、電子機器の筐体に配置される回路基板のコネクタに対して接続される。こうした従来の静電容量センサは、例えば、特開2013-247029号公報(特許文献1)に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-247029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の静電容量センサは、テール部が折れ曲がってしまうことがある。テール部の折れ曲がりは、例えば、電子機器の筐体に配置する際、端子部をコネクタに接続する際に起こりうる。また、テール部は、回路基板の配置に応じて、敢えて折り曲げて配置しなければならない場合もある。しかしながら、テール部が折れ曲がると、折れ曲がり部分にある配線がフィルムシートに対して捲れ上がり、それによって断線することがある。
【0006】
以上のような従来技術を背景になされたのが本発明である。その目的は、静電容量センサ等のセンサについて、検知部から伸長するテール部を折り曲げた際の断線リスクを低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明の一態様のセンサは、以下のように構成される。
【0008】
即ち本発明の一態様は、ベース基材と、フィルムシートに複数のセンサ電極と前記センサ電極に導通する複数の配線とを形成したセンサシートとを備えるセンサについて、前記センサシートは、前記ベース基材に保持されており、前記複数のセンサ電極を有する検知部と、前記検知部から前記ベース基材の底面側に伸長し、前記複数の配線を有するテール部とを有しており、前記テール部は、前記ベース基材の底面外縁の位置で前記ベース基材の底面に向けて屈曲する屈曲部を有しており、前記屈曲部を通過する前記複数の配線は、前記屈曲部にある前記フィルムシートの外側屈曲面に形成されていることを特徴とする。
【0009】
本発明の一態様によれば、テール部がベース基材の底面側に伸長する。このためテール部をベース基材の底面側に配置することができ、本発明の一態様のセンサをテール部の配置を含めて小型化することができる。また、本発明の一態様によれば、前記ベース基材の底面外縁の位置で前記ベース基材の底面に向けて屈曲する屈曲部を有しており、前記屈曲部を通過する前記複数の配線は、前記屈曲部にある前記フィルムシートの外側屈曲面に形成されている。屈曲部を通過する配線をフィルムシートの外側屈曲面(フィルムシートの山折り側の面)に形成すると、配線の断線リスクを低減することができる。即ち、配線が屈曲部の内側屈曲面(フィルムシートの谷折り側の面)にあると、配線が屈曲部分で圧縮されて縮こまることで、フィルムシートに対して捲れ易くなる。他方、配線が屈曲部の外側屈曲面にあると、配線は圧縮されて縮こまることはなく、フィルムシート上で伸ばされるだけである。よって配線がフィルムシートから捲れて断線することを防ぐことができる。
【0010】
前記屈曲部を通過する前記複数の配線は、前記テール部の伸長方向に対する交差方向で並列に配置されており、少なくとも前記底面外縁と接触する前記テール部の屈曲接触位置にある1以上の前記配線が前記外側屈曲面に形成されるように構成できる。
【0011】
各センサ電極から伸長する配線が、テール部の伸長方向に対する交差方向(後記実施形態ではテール部の幅方向)で並列に配置されている場合、特にベース基材の底面外縁に接触する屈曲部の屈曲接触位置にある配線が、フィルムシートの折れ曲がりによって断線するリスクが高い。そこで本発明の一態様では、前記テール部の中央位置にある1以上の前記配線が前記外側屈曲面に形成することで、中央位置に配置されている配線の断線リスクを低減することができる。
【0012】
前記屈曲部は、前記底面外縁に沿って接触しつつ折れ曲がる形状として構成できる。
【0013】
本発明の一態様によれば、ベース基材の底面外縁に沿って接触しつつ折れ曲がる形状としているので、ベース基材の底面に近接してテール部を配置することができる。よってテール部の配置を含めてセンサ全体を小型化することができる。
【0014】
前記ベース基材と前記検知部は、センサ本体部を形成しており、前記センサ本体部は、天面部と側面部とを有する立体形状として構成できる。
【0015】
本発明の一態様によれば、センサ本体部が天面部と側面部を有する立体形状であるため、デザイン性を高めるための立体的な形状的工夫を、センサ自体に設けることができる。その一例として、センサ本体部の天面部は、平面形状、湾曲面形状等として形成することができる。センサ本体部の側面部は、円柱状、多角柱状の外周面形状等として形成することができる。
【0016】
前記ベース基材は、少なくとも前記テール部の前記屈曲部側が平板形状であり、前記底面外縁が前記ベース基材の前記底面の外縁部であるように構成できる。
【0017】
本発明の一態様によれば、ベース基材の少なくともテール部の屈曲部側が平板形状であり、底面外縁がベース基材の底面の外縁部である構成としても、検知部から伸長するテール部を折り曲げた際の断線リスクを低減できる。
【0018】
前記底面外縁は、少なくとも前記屈曲部と対向位置する部分が円弧形状であるように構成できる。
【0019】
本発明の一態様によれば、ベース基材を、ベース基材の底面外縁が円弧形状となるような形状に形成することができる。したがって、センサは、立体形状のデザインの自由度を高めることができる。よって、センサは、ベース基材の形状を多様化しても、底面外縁における配線の断線リスクを低減できる。
【0020】
前記本発明の一態様は、前記複数のセンサ電極と前記複数の配線とを覆うレジスト層を有するように構成できる。
【0021】
本発明の一態様によれば、レジスト層によってセンサ電極と配線を確実に保護できる。また、本発明の一態様によれば、センサ電極どうしを確実に絶縁できる。
【0022】
前記本発明の一態様は、前記複数のセンサ電極が静電容量変化を検出する静電容量センサ用電極として構成できる。
【0023】
本発明の一態様によれば、前記特徴を有する本発明の一態様のセンサを静電容量センサとして実現できる。
【0024】
前記センサ電極は、前記フィルムシートの表面又は裏面に形成することができる。また、前記センサ電極は、前記フィルムシートの両面に形成することができる。本発明の一態様によれば、センサ電極の配置を多様化することができ、様々なセンサ及び静電容量センサを実現できる。
【0025】
前記検知部と前記ベース基材は、一体の成形体として構成できる。本発明の一態様によれば、ベース基材と検知部とが一体物となる。このためベース基材のデザイン形状に合わせて検知部を形成することができ、多様なデザインのセンサ及び静電容量センサを実現できる。
【0026】
前記本発明の一態様のセンサは、前記ベース基材の底面と対向位置するコネクタを実装した回路基板を有するものとして構成できる。これによればベース基材の底面に近接してコネクタ及び回路基板を配置できるので、センサ及び静電容量センサをコネクタ及び回路基板を含めて小型化できる。
【0027】
前記本発明の一態様のベース基材は、天面部と筒状の側面部とを有し、前記テール部は、前記側面部の内側に向けて配置するように構成できる。これによればテール部がベース基材の内側の筒状空間に配置されるので、センサ及び静電容量センサを小型化できる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の一態様のセンサによれば、検知部から伸長するテール部を折り曲げた際の配線の断線リスクを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】第1実施形態の静電容量センサであり、分図Aは、その概略平面図、分図Bはその概略正面図である。
図2図1AのII-II線断面図である。
図3図2で示すテール部を屈曲した状態の図2相当の断面図である。
図4図3で示すテール部をベース基材の裏面に屈曲した状態を示す図2相当の断面図である。
図5】第1実施形態の変形例の静電容量センサであり、分図Aはその概略平面図、分図Bはその概略正面図である。
図6】第2実施形態の静電容量センサであり、分図Aはテール部の概略平面図、分図Bは概略正面図、分図C図2相当の断面図である。
図7】比較例1の静電容量センサであり、分図Aはテール部の概略平面図、分図Bは概略正面図、分図C図2相当の断面図である。
図8】比較例2の静電容量センサであり、分図Aはテール部の概略平面図、分図Bは概略正面図、分図C図2相当の断面図である。
図9】第3実施形態の静電容量センサの概略構成図であり、分図Aはテール部を屈曲させる前の断面図、分図Bはテール部を屈曲した状態の分図A相当の断面図、分図Cはテール部をベース基材の裏面に屈曲した状態を示す分図A相当の断面図である。
図10】第3実施形態の変形例の静電容量センサの概略構成図であり、分図Aはテール部を屈曲させる前の断面図、分図Bはテール部を屈曲した状態の分図A相当の断面図、分図Cはテール部をベース基材の裏面に屈曲した状態を示す分図A相当の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
実施形態に基づいて本発明の一態様をさらに詳細に説明する。以下の実施形態では本発明の一態様に係るセンサの具体例として静電容量センサを例示して説明する。なお、各実施形態で共通する部材については、同一の符号を付して重複説明を省略する。また、各実施形態で共通する材質、作用、効果等についても重複説明を省略する。
【0031】
第1実施形態〔図1図4
【0032】
本実施形態の静電容量センサ1は、センサシート10と、ベース基材20とを備える。
【0033】
センサシート10は、検知部10aとテール部10bとを有する。検知部10aは、ベース基材20の天面部20aと側面部20bに積層して固着している。検知部10aとベース基材20とは、センサ本体部1Aを構成する。テール部10bは、センサ本体部1Aから伸長して、「接続対象物」としての回路基板30のコネクタ31に導通接続する配線接続部1Bを構成している。
【0034】
センサシート10は、樹脂フィルムでなるフィルムシート11を有する。フィルムシート11には、積層して形成した複数のセンサ電極12と、端子部13と、複数の配線14(14a~14h)とを有する。センサシート10の最表面には、端子部13を除き、センサ電極12と配線14を保護するレジスト層15が形成されている。センサ電極12、端子部13、配線14、レジスト層15は、フィルムシート11に形成した印刷層として設けられている。
【0035】
複数のセンサ電極12は、図1Aで示すように、それぞれひし形面を形成している。複数のセンサ電極12は、静電容量センサ1の回路パターン(第1の回路パターン12a、第2の回路パターン12b)を形成している。図1Aにおいて左右方向をX軸方向、上下方向をY軸方向とすると、第1の回路パターン12aは、対角線の長い方の頂点が図1Aの左右方向(X軸方向)で連続して繋がる複数のセンサ電極12で構成される。第1の回路パターン12aは、X軸方向に伸長する回路パターンがY軸に交差して並んで配置するため、検知部10aにおけるY座標を検出することができる。第2の回路パターン12bは、対角線の長い方の頂点が図1Aの上下方向(Y軸方向)で連続して繋がる複数のセンサ電極12で構成される。第2の回路パターン12bは、Y軸方向に伸長する回路パターンがX軸方向に交差して並んで配置するため、検知部10aにおけるX座標を検出することができる。したがって、第1の回路パターン12aと第2の回路パターン12bのそれぞれの静電容量の変化を組合せることによって、タッチ操作が行われたXY座標を検知することができる。
【0036】
図2の部分拡大図で示すように、第1の回路パターン12aは、フィルムシート11の裏面11bに形成されている。第2の回路パターン12bは、フィルムシート11の表面11aに形成されている。第1の回路パターン12aと第2の回路パターン12bは、平面視で、第1の回路パターン12aをなすセンサ電極12のひし形の頂点と第2の回路パターン12bをなすセンサ電極12のひし形の頂点とが、フィルムシート11の厚み方向で交差する位置に配置されている。他方、第1の回路パターン12aをなすセンサ電極12のひし形と第2の回路パターン12bをなすセンサ電極12のひし形とは、フィルムシート11の厚み方向で互いに重ならないように配置されている。このように相互に配置される第1の回路パターン12aをなすセンサ電極12と第2の回路パターン12bをなすセンサ電極12は、タッチ操作が行われたXY座標を検知するための操作座標を形成している。
【0037】
センサシート10の表面10c、即ちレジスト層15の表面は、タッチ操作を行う操作面を形成する。センサシート10の検知部10aの裏面10dは、ベース基材20に固着され積層されている。よってセンサシート10とベース基材20とは、一体物として形成されている。そして一体物であることで、検知部10aがベース基材20の外形面に沿った形状に形成することができる。そのためフィルムシート11は、材料としては平坦なフィルムであるが、ベース基材20の外形面の形状に応じて、ドーム状又は円弧状などの立体操作面を有するように形成することができる。また、センサシート10は、ベース基材20の天面部20aだけでなく、その筒状の側面部20bも覆う。これにより、ベース基材20の天面部20aから側面部20bに至る角部分に丸みを持たせたセンサシート10として形成することができる。センサシート10の検知部10aの裏面10dには、さらにレジスト層を設け、センサシート10とベース基材20に固着して積層してもよい。
【0038】
テール部10bは、ベース基材20の筒状の側面部20bの底面外縁20dから、ベース基材20に固着せずに伸長する部分である。テール部10bは、検知部10aから突出しており、突出した先端部に端子部13を備える。配線14は、フィルムシート11にあるセンサシート10の検知部10aから、フィルムシート11の側面11cとテール部10bとを通じて端子部13に伸長する。
【0039】
具体的には、センサ電極12の第1の回路パターン12aは、フィルムシート11の裏面11bに形成されている。このため、第1の回路パターン12aから伸長する配線14は、第1の回路パターン12aからテール部10bの端子部13に至るまで、フィルムシート11の裏面11bに形成されている。
【0040】
これに対して、第2の回路パターン12bは、フィルムシート11の表面11aに形成されている。このため、第2の回路パターン12bから伸長する配線14は、第2の回路パターン12bからテール部10bのスルーホール10b1に至るまで、フィルムシート11の表面11aに形成されている。そして、配線14は、スルーホール10b1を貫通してフィルムシート11の裏面11bに到達した後、端子部13bまで伸長する。
【0041】
したがって、複数の配線14は、スルーホール10b1と端子部13bとの間では、すべてフィルムシート11の裏面11bに形成されている。これに対して、検知部10aとスルーホール10b1との間では、複数の配線14のうち、テール部10bの幅方向で中央位置にある配線14c、14d、14e、14fがフィルムシート11の表面11aに形成されている。また、テール部10bの両端部側にある配線14a、14b、14g、14hは、フィルムシート11の裏面11bに形成されている。このように配線したのは次の理由による。
【0042】
静電容量センサ1は、センサ電極12、端子部13、配線14を形成したセンサシート10に、ベース基材20を一体成形することで形成される。図2は、センサシート10にベース基材20を一体成形して得られる一体成形体である。この一体成形体では、センサ本体部1Aの側方に配線接続部1Bが伸長する形状となっている。そして、配線接続部1B(テール部10b)は、先ず図3で示すように、ベース基材20の側面部20bに沿うように下方に曲げられる。さらに、配線接続部1B(テール部10b)は、図4で示すように、ベース基材20の底面部20cに向けて折り曲げられ、その折曲げ部分(テール部10bの基端部)には屈曲部16が形成される。配線接続部1B(テール部10b)をベース基材20の底面部20cに折り曲げるのは、底面部20cと対向配置されているコネクタ31に端子部13を接続するためである。
【0043】
図3の状態から図4で示すように配線接続部1B(テール部10b)を折り曲げて屈曲部16を形成する際には、配線接続部1B(テール部10b)をベース基材20の底面部20cの底面外縁20dに沿って折り曲げる。配線接続部1B(テール部10b)の基端部における底面外縁20dとの接触部分は、屈曲部16の屈曲点となる。屈曲部16は、配線接続部1B(テール部10b)の幅方向の全長に亘って形成される。
【0044】
屈曲部16のうち、底面外縁20dとの屈曲接触位置(屈曲部16の内側屈曲面16b)は、屈曲部16の屈曲点となり、底面外縁20dの外形に沿って折り曲げられることから、大きな応力が作用する。このため、フィルムシート11の裏面11bの屈曲接触位置に配線14を設けると、配線14をなす導電性印刷層は、屈曲部16の谷折り面に挟まれて縮こまるように圧縮されることで、フィルムシート11の裏面11bに対して捲れ上がり、断線し易くなる。
【0045】
これに対して、底面外縁20dと対向しない屈曲部16の外側屈曲面16a(フィルムシート11の表面11a)に配線14を設けると、配線14をなす印刷層は、屈曲部16の山折り面に沿って伸ばされるだけであり断線することはない。このように、屈曲部16では、底面外縁20dと対向する内側屈曲面16b(フィルムシート11の裏面11b)に配線14を設けると断線しやすいのに対し、裏面11bの反対側の外側屈曲面16a(フィルムシート11の表面11a)に配線14を設ければ断線は起こりにくくなる。
【0046】
本実施形態の屈曲部16における底面外縁20dとの屈曲接触位置は、配線接続部1B(テール部10b)の幅方向の中央位置となっている。そこで本実施形態では、複数の配線14のうち、テール部10bの幅方向で中央位置にある配線14c、14d、14e、14fは、屈曲部16の外側屈曲面16aに形成し、テール部10bのスルーホール10b1を通じてフィルムシート11の裏面11bに導き、端子部13にまで配線するようにしている。また、テール部10bの両端部側にある配線14a、14b、14g、14hは、底面外縁20dに沿って折り曲げられておらず中央位置よりも断線リスクが少ないため、屈曲部16の内側屈曲面16bに形成されている。ベース基材20が筒状の側面部を有する立体形状であると、ベース基材20の底面外縁20dは平面視で円弧状等の曲線となり、側方に伸びたテール部10bが底面外縁20dを支点に折り曲げられると、その折り曲げ線は直線に近いため、テール部1bの幅方向の中央位置では底面外縁20dに当接するが、テール部1bの両端部側では底面外縁20dから離れて折り曲げられる。
【0047】
一例として、屈曲部16と接触する底面外縁20dの形状が、平面視で円弧状に形成されている場合において、円弧の半径が30mm未満であれば、テール部10bの中央位置となる7mm前後の配置幅の中に設ける配線14は、屈曲部16の山折り面側となるフィルムシート11の表面11aに配線することが好ましい。また、円弧の半径が30mm以上60mm未満であれば、テール部10bの中央位置となる9mm前後の配置幅の中に設ける配線14は、屈曲部16の山折り面側となるフィルムシート11の表面11aに配線することが好ましい。そして、円弧の半径が60mm以上90mm未満であれば、テール部10bの中央位置となる12mm前後の配置幅の中に設ける配線14は、屈曲部16の山折り面側となるフィルムシート11の表面11aに配線することが好ましい。
【0048】
このように、ベース基材20の半径が大きくなるほど底面外縁20dの円弧形状は直線形状に近づくため、テール部10bの屈曲部16が底面外縁20dに接触する中央位置が広がることになる。そこで、この接触する範囲の広がりに応じてフィルムシート11の表面11aに配線14を配置することとしている。
【0049】
次に、静電容量センサ1を形成する各部位の材質、機能等について説明する。
【0050】
フィルムシート11は、センサシート10の基材であり、熱可塑性樹脂からなる樹脂フィルムを用いる。熱可塑性樹脂であれば、加熱することでベース基材20の形状に対応した形状に容易に成形することができるからである。こうした樹脂フィルムの材質としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリウレタン(PU)樹脂、ポリアミド(PA)樹脂、ポリエーテルサルフォン(PES)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)樹脂、ポリイミド(PI)樹脂、シクロオレフィンポリマー(COP)などを挙げることができる。センサシート10の裏面10dに記号又は数字等、何らかの表示を表す表示部(図示せず)を設ける場合などは、透明性のある樹脂フィルムを用いることが好ましい。
【0051】
フィルムシート11の厚さは、形状保持のための定形性、折曲げが可能な可撓性等を有する必要から、10~500μmであることが好ましい。またフィルムシート11には、後述するセンサ電極12の材料となる導電性高分子との密着性を高めるプライマー層又は表面保護層、帯電防止等を目的とするオーバーコート層などを設けたり、予め表面処理を施しておいたりすることもできる。
【0052】
センサ電極12は、導電インキ又は導電性高分子を含む導電層からなる。導電性高分子を用いればベース基材20との一体成形の際にセンサ電極12が伸ばされても、断線し難い。また、液状の塗液を形成し印刷形成することができ、ITO等と比べて安価にセンサ電極12が得られる点でも好ましい。一方、透明性が必要でない場合には、銀インキ又はカーボンペースト等の導電インキでセンサ電極12を形成することができる。銀インキは、低抵抗で感度の優れたセンサ電極12を形成できる点で好ましい。一方、カーボンペーストは、導電性高分子よりも安価にセンサ電極12が得られる点、又は耐候性に優れる点で好ましい。
【0053】
センサ電極12となる導電性高分子の材質には、透明な層を形成できる導電性高分子が用いられる。こうした透明性のある導電性高分子には、ポリパラフェニレン又はポリアセチレン、PEDOT-PSS(ポリ-3,4-エチレンジオキシチオフェン-ポリスチレンスルホン酸)等が例示できる。センサ電極12の層厚は、0.04~1.0μmが好ましく、0.06~0.4μmがさらに好ましい。層厚が0.04μm未満であるとセンサ電極12の抵抗値が高くなるおそれがあり、層厚が1.0μmを超えると透明性が低くなるおそれがある。なお、センサ電極12の層厚は、フィルムシート11にセンサ電極12を形成して原子間力顕微鏡(AFM)を用いて測定することができる。
【0054】
配線14は、センサ電極12を端子部13まで導通接続するものである。配線14の材質は、銅、アルミニウム、銀又はそれらの金属を含む合金等の高導電性金属を含む導電ペースト又は導電インキから形成されることが好ましい。また、これらの金属又は合金の中でも導電性が高く、銅よりも酸化し難いという理由から銀配線とすることが好ましい。
【0055】
配線14の厚さは1.0~20μmとすることが好ましい。配線14の厚さが1.0μm未満では配線の抵抗値が上昇し易く、ノイズの原因になるおそれがある。一方、配線14の厚さが20μmを超えると、段差が大きくなることから、レジスト層15を塗布するときに気泡が入るおそれが高くなる。気泡が入ると破裂して穴ができ、配線14に含まれる高導電性金属が腐食しやすくなるという不具合がある。また、配線14の抵抗値は300Ω以下とすることが好ましい。配線14の抵抗値が300Ωを超えるとノイズが増加して感度が悪くなるおそれがある。
【0056】
端子部13は、静電容量センサ1を回路基板30のコネクタ31に導電接続するための接続部である。端子部13は、配線14の先端をカーボンインキで覆うこと等により形成することができる。
【0057】
レジスト層15は、隣接するセンサ電極12どうしの導通防止と、センサ電極12を紫外線及び引っ掻き等から保護するために設けられる絶縁性の保護膜である。レジスト層15は、透明性である。また、レジスト層15は、銀ペースト又は金属からなる配線14の腐食を防止する機能も有する。レジスト層15となる樹脂には、硬質の樹脂が選択され、例えば、アクリル系又はウレタン系、エポキシ系、ポリオレフィン系の樹脂、その他の樹脂を用いることができる。レジスト層15の厚さは、通常は、6~30μmであり、好ましくは10~20μmである。その理由は、レジスト層15の厚さが30μmを超えると柔軟性に乏しくなり、厚さが6μm未満であるとセンサ電極12の保護が不十分となるおそれがあるからである。
【0058】
次に、既に説明済みのものを除き、本実施形態の静電容量センサ1の作用・効果を説明する。
【0059】
静電容量センサ1は、センサ本体部1A、検知部10aから伸長する配線接続部1B、テール部10bを、ベース基材20の底面外縁20dに沿って折り曲げても、配線14の断線リスクを低減することができる。
【0060】
静電容量センサ1は、ベース基材20の底面外縁20dに沿って接触しつつ折れ曲がる形状であるため、ベース基材20の底面部20cに近接してテール部10bを配置することができる。よってテール部10bの配置を含めて静電容量センサ1の全体を小型化することができる。
【0061】
テール部10bは、ベース基材20の底面部20cと対向する位置に伸長する。このため静電容量センサ1をテール部10bを配置した状態で小型化することができる。したがって、電子機器自体も小型化できる。
【0062】
ベース基材20は、電子機器の第1の分割筐体として構成できる。ベース基材20の開口部20eには、第2の分割筐体32と組み合わせることができる。第1の分割筐体(ベース基材20)と第2の分割筐体32で組み合わされる筐体の内側には収容空間が形成される。収容空間には回路基板30を配置することができる。テール部10bの端子部13は、筐体の内部でコネクタ31と接続することができる。
【0063】
センサ本体部1Aは、天面部1A1と側面部1A2を有する立体形状であるため、デザイン性を高めるための立体的な形状的工夫を、静電容量センサ1自体に設けることができる。例えば、操作面となるセンサ本体部1Aの天面部1A1は、平面形状、湾曲面形状等として形成することができる。側面部1A2は、円柱状、多角柱状の外周面形状等として形成することができる。
【0064】
レジスト層15は、センサ電極12と配線14を確実に保護できる。また、レジスト層15はセンサ電極12どうしを確実に絶縁できる。
【0065】
第1実施形態の変形例〔図5
【0066】
第1実施形態の変形例による静電容量センサ2の概略平面図と正面図を図5に示す。静電容量センサ2は、ベース基材20の天面部20aの平面形状が多角形である点で、静電容量センサ1と異なる。そして、静電容量センサ2では、平面視で二辺の交点となる丸みを帯びた角の一つに対応する位置からテール部10bが突出している。その他の構成は静電容量センサ1と同様である。
【0067】
第2実施形態〔図6
【0068】
第2実施形態の静電容量センサ3を図6に示す。静電容量センサ3は、第1の回路パターン12aと第2の回路パターン12bを、フィルムシート11の表面11aに形成した点で、第1実施形態と異なる。第1の回路パターン12aと第2の回路パターン12bとが交差する交差位置には、レジスト(図示せず)を設けて相互に絶縁している。このレジストは、レジスト層15と同じ材質のものを用いて形成することができる。または、例えば、第1の回路パターン12aの形成した後、その表面全体にレジスト層15を設け、そのレジスト層15の表面に第2の回路パターン12bを設けても良い。この場合にはさらに第2の回路パターン12bを覆うレジスト層15を設けて、レジスト層15を2層に形成するような態様としても良い。
【0069】
こうした構成とすると、センサ本体部1Aの側面部1A2及び配線接続部1Bの何れにおいても、フィルムシート11の表面11aに配線14が配置される。このためテール部10bの折曲げによる配線14の断線を防止できる。また、フィルムシート11の表面11aに全ての配線14を配置できるため、スルーホール10b1を設ける必要がなく、より容易にすることができる。
【0070】
比較例〔図7
【0071】
以上の各実施形態とは異なり、配線14が断線し易い第1の比較例1としての静電容量センサを図7に示す。比較例1の静電容量センサでは、テール部10bをベース基材20の底面部20cに向けて折り曲げた際に、ベース基材20の底面外縁20dとの接触位置では、全ての配線14がフィルムシート11の裏面11bに形成されている。比較例1の静電容量センサでは、テール部10bをベース基材20の底面部20cに向けて折り曲げると配線14の断線が生じ易い。配線14が断線しやすい理由は、配線14が屈曲部分の谷折り面に配置されているため、配線14が谷折り面に挟まれて縮こまるように圧縮されることで、フィルムシート11の裏面11bに対して捲れ上がり易くなるからである。
【0072】
比較例〔図8
【0073】
配線14が断線し易い第2の比較例として静電容量センサを図8に示す。比較例2の静電容量センサでは、テール部10bをベース基材20の底面部20cに向けて折り曲げた際に、ベース基材20の底面外縁20dとの接触位置にある配線14のうち、テール部10bの幅方向の中央位置にある配線14がフィルムシート11の裏面11bに設けられている。その中央位置にある配線14は、折り曲げた部分で潰され、これを元の状態に戻した後、再び折り曲げると配線14を構成する導電性印刷層が開裂し、フィルムシート11に対して捲れ上がることで、断線する。
【0074】
第3実施形態〔図9
【0075】
第3実施形態の静電容量センサ4の概略構成を図9に示す。なお、分図Aは、図2に示す図1AのII-II線断面図と同様に、第3実施形態の静電容量センサ4をセンサ本体部1Aの一端から配線接続部1Bの端子部13に亘って長手方向に沿って切断した断面図である。
【0076】
本実施形態の静電容量センサ4は、ベース基材21の形状を平板形状とした点で、ベース基材20が立体形状である第1実施形態と異なる。すなわち、本実施形態では、図9Aに示すように、ベース基材21は、少なくともテール部10bの屈曲部側が平板形状であり、底面外縁21dがベース基材21の底面21cの外縁部となっている。その他の構成は、第1実施形態の静電容量センサ1と同様である。
【0077】
すなわち、本実施形態では、第1実施形態と同様に、ベース基材21の天面部側にセンサシート10が設けられている。センサシート10は、検知部10aとテール部10bとを有する。検知部10aは、ベース基材21の天面部側に積層して固着している。検知部10aとベース基材21とは、センサ本体部1Aを構成する。テール部10bは、センサ本体部1Aから伸長して、「接続対象物」としての回路基板30(図4参照)のコネクタ31(図4参照)に導通接続する配線接続部1Bを構成している。
【0078】
静電容量センサ4は、センサ電極12、端子部13、配線14を形成したセンサシート10に、ベース基材21を一体成形することで形成される一体成形体である。この一体成形体では、図9Aに示すように、センサ本体部1Aの側方に配線接続部1Bが伸長する形状となっている。そして、配線接続部1B(テール部10b)は、先ず図9Bに示すように、ベース基材21の端部21bに沿うように下方に曲げられる。その後、配線接続部1B(テール部10b)は、図9Cに示すように、ベース基材21の底面部21cに向けて折り曲げられ、その折曲げ部分(テール部10bの基端部)には屈曲部16が形成される。配線接続部1B(テール部10b)は、底面部21cと対向配置されているコネクタ31に端子部13を接続するために、ベース基材21の底面部20cに折り曲げる。
【0079】
図9Bの状態から図9Cで示すように配線接続部1B(テール部10b)を折り曲げて屈曲部16を形成する際には、配線接続部1B(テール部10b)をベース基材21の底面部21cの底面外縁21dに沿って折り曲げる。配線接続部1B(テール部10b)の基端部における底面外縁21dとの接触部分は、屈曲部16の屈曲点となる。屈曲部16は、配線接続部1B(テール部10b)の幅方向の全長に亘って形成される。
【0080】
屈曲部16のうち、底面外縁21dとの屈曲接触位置(屈曲部16の内側屈曲面16b)は、屈曲部16の屈曲点となり、底面外縁21dの外形に沿って折り曲げられることから、大きな応力が作用する。このため、フィルムシート11の裏面11bの屈曲接触位置に配線14を設けると、配線14をなす導電性印刷層は、屈曲部16の谷折り面に挟まれて縮こまるように圧縮されることで、フィルムシート11の裏面11bに対して捲れ上がり、断線し易くなる。
【0081】
これに対して、底面外縁21dと対向しない屈曲部16の外側屈曲面16aに配線14を設けると、配線14をなす印刷層は、屈曲部16の山折り面に沿って伸ばされるだけであり断線することがない。このように、屈曲部16では、底面外縁21dと対向する内側屈曲面16bに配線14を設けると断線しやすいのに対し、裏面11bの反対側の外側屈曲面16aに配線14を設ければ断線は起こりにくくなる。このようにして、本実施形態では、ベース基材21を平板形状として、ベース基材21の底面21cの外縁部が底面外縁21dとなるような構成としても、テール部10bを折り曲げた際の配線14の断線リスクを低減できる。また、本実施形態では、ベース基材21が平板形状となっているので、静電容量センサ4の薄型化が図れるようになる。
【0082】
第3実施形態の変形例〔図10
【0083】
第3実施形態の変形例による静電容量センサ5の概略構成を図10に示す。なお、分図Aは、図2に示す図1AのII-II線断面図と同様に、第3実施形態の変形例の静電容量センサ5をセンサ本体部1Aの一端から配線接続部1Bの端子部13に亘って長手方向に沿って切断した断面図である。
【0084】
本実施形態の静電容量センサ5は、図10Aに示すように、平板形状のベース基材21の天面部側に設けられているセンサシート10の一端がベース基材21と揃っている点で、第3実施形態と異なる。その他の構成に関しては、第3実施形態の静電容量センサ4と同様である。すなわち、本実施形態では、図10Aに示すように、ベース基材21は、少なくともテール部10bの屈曲部側が平板形状であり、底面外縁21dがベース基材21の底面21cの外縁部となっており、その他の構成は、第1実施形態の静電容量センサ1と同様である。
【0085】
本実施形態では、ベース基材21を平板形状として、ベース基材21の底面21cの外縁部が底面外縁21dとなるようにして、かつ、センサシート10の一端がベース基材21と揃っている構成としても、テール部10bを折り曲げた際の配線14の断線リスクを低減できる。また、本実施形態では、ベース基材21が平板形状となっているので、静電容量センサ5の薄型化が図れるようになる。
【0086】
なお、前述した第3実施形態の静電容量センサ4及びその変形例となる静電容量センサ5では、ベース基材21が全体に亘って平板形状となっているが、少なくともテール部10bの屈曲部側が平板形状となっていればよい。すなわち、ベース基材21は、テール部10bの屈曲部側が平板形状となっていれば、当該屈曲部側を除くその他の部位で凹凸形状を有していても良い。
【0087】
また、前述した各実施形態は、本発明の例示であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、各実施形態の変更又は公知技術の付加、組合せ等を行い得るものであり、それらの技術もまた本発明の範囲に含まれるものである。例えば、テール部10bの両端側に配置される配線14は、フィルムシート11の表面11a又は裏面11bのどちらに設けても良い。
【0088】
また、前述した各実施形態の静電容量センサ1、2、3、4、5は、着色や文字・数字・記号等の表示部を含む加飾層を設けてもよい。レジスト層15を加飾層として構成してもよく、この場合には加飾層を保護する保護層を設けてもよい。
【符号の説明】
【0089】
1 静電容量センサ(センサ、第1実施形態)
1A センサ本体部
1A1 天面部
1A2 側面部
1B 配線接続部
2 静電容量センサ(センサ、第1実施形態の変形例)
3 静電容量センサ(センサ、第2実施形態)
4 静電容量センサ(センサ、第3実施形態)
5 静電容量センサ(センサ、第3実施形態の変形例)
10 センサシート
10a 検知部
10b テール部
10b1 スルーホール
10c 表面
10d 裏面
11 フィルムシート
11a 表面
11b 裏面
11c 側面
12 センサ電極
12a 第1の回路パターン
12b 第2の回路パターン
13 端子部
14 配線
15 レジスト層
16 屈曲部
16a 外側屈曲面
16b 内側屈曲面
20、21 ベース基材
20a 天面部
20b 側面部
20c、21c 底面部
20d、21d 底面外縁
30 回路基板
31 コネクタ
32 第2の筐体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10