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特許7456582情報処理方法、情報処理装置及びプログラム。
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】情報処理方法、情報処理装置及びプログラム。
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20240319BHJP
   G01C 21/26 20060101ALI20240319BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20240319BHJP
   G16Y 20/20 20200101ALI20240319BHJP
   G16Y 40/10 20200101ALI20240319BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G01C21/26 C
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/10
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021160140
(22)【出願日】2021-09-29
(65)【公開番号】P2023050017
(43)【公開日】2023-04-10
【審査請求日】2023-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】514235341
【氏名又は名称】株式会社スマートドライブ
(72)【発明者】
【氏名】中村 圭佐
(72)【発明者】
【氏名】大野 良
【審査官】佐藤 吉信
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-178260(JP,A)
【文献】特開2020-166386(JP,A)
【文献】特開2019-109794(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0023812(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報表示装置を含むシステムによって実行される情報処理方法であって、
移動体に関する情報であって、少なくとも前記移動体の位置に関する位置情報を含む移動体情報を取得することと、
地図を前記情報表示装置に表示させることと、
前記移動体情報の閲覧に関する制限設定がされていない場合、前記移動体に関する表示を前記地図の前記位置情報に対応する位置に表示させ、前記制限設定がされている場合、前記移動体に関する表示を前記地図とは異なる領域に表示することと、
を含む、情報処理方法。
【請求項2】
情報表示装置を含むシステムによって実行される情報処理方法であって、
移動体に関する情報であって、少なくとも前記移動体の位置に関する位置情報を含む移動体情報を取得することと、
地図を前記情報表示装置に表示させることと、
前記移動体情報の閲覧に関する制限設定がされていない場合、前記移動体に関する表示を前記地図の前記位置情報に対応する位置に表示させ、前記制限設定がされている場合、前記位置情報に基づいて、前記地図に設定された複数の地図領域のうち前記位置情報に対応する地図領域内の所定領域に前記移動体に関する表示を行うことと、
を含む、情報処理方法。
【請求項3】
請求項2の情報処理方法であって、
第1地図領域は、第2地図領域と重畳する重畳領域を有し、
前記位置情報に対応する座標が前記重畳領域に含まれる場合に、前記移動体に関する表示を前記第1地図領域内の所定領域と前記第2地図領域内の所定領域の何れか一方に表示させる
情報処理方法。
【請求項4】
請求項3の情報処理方法であって、
前記位置情報に対応する座標が前記重畳領域に含まれる場合に、第1条件に基づいて、前記移動体に関する表示を前記第1地図領域内の所定領域と前記第2地図領域内の所定領域の何れに表示させるかを決定した後、前記位置情報に対応する座標が前記重畳領域に再度含まれる場合に、前記第1条件とは異なる第2条件に基づいて、前記移動体に関する表示を前記第1地図領域内の所定領域と前記第2地図領域内の所定領域の何れに表示させるかを決定することが可能である 情報処理方法。
【請求項5】
請求項3の情報処理方法であって、
前記重畳領域内の仮想境界線に基づいて、前記移動体に関する表示を前記第1地図領域内の所定領域と前記第2地図領域内の所定領域の何れに表示させるかを決定することが可能であり、
前記仮想境界線は、前記情報表示装置に関連付けられたユーザによる閲覧が制限される
情報処理方法。
【請求項6】
請求項3の情報処理方法であって、
前記位置情報に対応する座標が、前記第1地図領域のうちの前記重畳領域を除く領域に含まれた後に前記重畳領域に含まれる場合に、前記移動体に関する表示を前記第1地図領域内の所定領域に表示させ、前記第2地図領域のうちの前記重畳領域を除く領域に含まれる場合に、前記移動体に関する表示を前記第2地図領域内の所定領域に表示させる
情報処理方法。
【請求項7】
請求項3の情報処理方法であって、
前記位置情報に対応する座標が、前記第1地図領域のうちの前記重畳領域を除く領域に含まれる場合に、前記移動体に関する表示を前記第1地図領域内の所定領域に表示させ、前記重畳領域に含まれる場合に、前記移動体に関する表示を前記第2地図領域内の所定領域に表示させる
情報処理方法。
【請求項8】
請求項2の情報処理方法であって、
第1地図領域は、第2地図領域と重畳する重畳領域を有し、
前記位置情報に対応する座標が前記重畳領域に含まれる場合に、前記移動体に関する表示を前記第1地図領域内の所定領域と、前記第2地図領域内の所定領域とにそれぞれ表示させる
情報処理方法。
【請求項9】
請求項3から請求項8の何れか1項に記載の情報処理方法であって、
前記位置情報に対応する座標が、前記重畳領域を除く前記第1地図領域に含まれる場合と、前記重畳領域に含まれる場合とで、前記移動体に関する表示の表示態様が異なる
情報処理方法。
【請求項10】
コンピュータに、
移動体に関する情報であって、少なくとも前記移動体の位置に関する位置情報を含む移動体情報を取得することと、
地図を情報表示装置に表示させることと、
前記移動体情報の閲覧に関する制限設定がされていない場合、前記移動体に関する表示を前記地図の前記位置情報に対応する位置に表示させ、前記制限設定がされている場合、前記移動体に関する表示を前記地図とは異なる領域に表示することと、
を実行させる、プログラム。
【請求項11】
コンピュータに、
移動体に関する情報であって、少なくとも前記移動体の位置に関する位置情報を含む移動体情報を取得することと、
地図を情報表示装置に表示させることと、
前記移動体情報の閲覧に関する制限設定がされていない場合、前記移動体に関する表示を前記地図の前記位置情報に対応する位置に表示させ、前記制限設定がされている場合、前記位置情報に基づいて、前記地図に設定された複数の地図領域のうち前記位置情報に対応する地図領域内の所定領域に前記移動体に関する表示を行うことと、
を実行させる、プログラム。
【請求項12】
情報処理装置であって、
移動体に関する情報であって、少なくとも前記移動体の位置に関する位置情報を含む移動体情報を取得する取得部と、
地図を情報表示装置に表示させる表示部と、
を備え、
前記表示部は、前記移動体情報の閲覧に関する制限設定がされていない場合、前記移動体に関する表示を前記地図の前記位置情報に対応する位置に表示させ、前記制限設定がされている場合、前記移動体に関する表示を前記地図とは異なる領域に表示する、
情報処理装置。
【請求項13】
情報処理装置であって、
移動体に関する情報であって、少なくとも前記移動体の位置に関する位置情報を含む移動体情報を取得する取得部と、
地図を情報表示装置に表示させる表示部と、
を備え、
前記表示部は、前記移動体情報の閲覧に関する制限設定がされていない場合、前記移動体に関する表示を前記地図の前記位置情報に対応する位置に表示させ、前記制限設定がされている場合、前記位置情報に基づいて、前記地図に設定された複数の地図領域のうち前記位置情報に対応する地図領域内の所定領域に前記移動体に関する表示を行う、
情報処理装置。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体の移動履歴情報を管理する情報処理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の移動体を管理するフリートマネジメント等、移動体や移動体の利用者(ドライバー)の管理を行うにあたり、その管理を効率化したいという社会的需要がある。例えば、特許文献1には、車両の運行状況を管理するための運行管理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-38672号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、移動体に関する移動履歴等を収集する場合、収集された移動履歴等がシステムの管理者や他の利用者等に必要以上に閲覧され、移動体の利用者が過度に監視されているかのような違和感を覚えるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記の問題を解決するために、移動体に関する移動履歴等の適切な開示制限を実現することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、情報表示装置を含むシステムによって実行される情報処理方法であって、移動体に関する移動体情報を取得することを含み、移動体情報の閲覧に関する制限設定がされていない場合、移動体情報を情報表示装置に表示させ、制限設定がされている場合、移動体情報の情報表示装置への表示を制限する。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る情報処理方法によれば、移動体情報の閲覧に関する制限設定に基づいて、情報表示装置に移動体情報を表示させるか否かを決定することができるため、移動体の利用者に快適な業務環境を提供することができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る移動体管理システムのシステム構成の一例を示す図。
図2】第1実施例に係るサーバの記憶部に記憶される情報の一例を示すブロック図。
図3】第1実施例に係る車両登録データの一例を示す図。
図4】第1実施例に係るユーザ登録データの一例を示す図。
図5】第1実施例に係る運行管理データベースの一例を示す図。
図6】第1実施例に係る情報処理の流れの一例を示すフローチャート。
図7】第1実施例に係る車載端末の表示部に表示される表示画面の一例を示す図。
図8】第1実施例に係る管理者端末の表示部に表示される表示画面の一例を示す図。
図9】第1変形例に係るユーザ登録データの一例を示す図。
図10】第1変形例に係る制限対象項目テーブルの一例を示す図。
図11】第2実施例に係る情報処理の流れの一例を示すフローチャート。
図12】第2実施例に係る情報処理の流れの一例を示すフローチャート。
図13】第2実施例に係る管理者端末の表示部に表示される表示画面の一例を示す図。
図14】第2変形例に係る情報処理の流れの一例を示すフローチャート。
図15】第3実施例に係る情報処理の流れの一例を示すフローチャート。
図16】第3実施例に係る管理者端末の表示部に表示される表示画面の一例を示す図。
図17】第3変形例に係る電子地図領域と車両位置座標の関係についての具体例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態の一例について図面を参照して説明する。
なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する場合がある。
また、これらの実施形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、本発明の範囲をそれらに限定する趣旨のものではない。
【0010】
[実施形態]
以下、本発明の情報処理技術を実現するための実施形態について説明する。
本実施形態に記載の内容は、他の各実施例や各変形例のいずれにも適用可能である。
【0011】
図1は、本実施形態における移動体管理システム1のシステム構成の一例を示す図である。
システムとは、複数の情報処理装置を有して構成され、それらの情報処理装置が協働し処理を実行する仕組みである。
移動体管理システム1では、例えば、ネットワーク30(例えば、インターネット)を介して、サーバ10と、複数の車載端末40と、管理者端末20とが通信可能に接続される。なお、図1では、車載端末40は代表となる1つの構成要素のみを図示している。また、移動体管理システム1では、サーバ10を複数接続してもよいし、管理者端末20を複数接続してもよい。
【0012】
サーバ10は、例えば、ユーザが運転する移動体に関する移動体情報を車載端末40によって取得し、移動体情報や状況情報等の処理を行う機能を有する。
ここで、移動体情報とは、移動体に関して時系列的に取得される情報であり、例えば、移動体の位置情報、加速度情報、稼働情報、貨物部分の温度情報、タイヤの空気圧情報などが含まれるが、これらに限られず、その他の適宜の情報で構成されていてもよい。
また、状況情報とは、例えば、ユーザにより車載端末40に入力される、ユーザの状況に関する情報であり、その詳細については後述する。
【0013】
図1に、サーバ10の機能構成の一例を示す。サーバ10は、例えば単一のサーバとして、あるいは機能ごとに別々のサーバから構成される分散サーバとして構成される。クラウドサーバと呼ばれるクラウド環境に作られた分散型の仮想サーバとしてサーバ10を構成することもできる。サーバ10は、図1に示すように、例えば、処理部11と、記憶部12と、通信部17等を備えて構成される。
【0014】
処理部11は、記憶部12に記憶されているシステムプログラム等の各種プログラムに従ってサーバ10の各部を統括的に制御し、情報処理に係る各種の処理を行う処理装置であり、CPUやGPU、DSP等のプロセッサーやASIC等の集積回路を有して構成される。
【0015】
記憶部12は、ROMやEEPROM、フラッシュメモリ、RAM等の揮発性又は不揮発性のメモリや、ハードディスク装置等を有して構成される記憶装置である。記憶部12には、例えば、本実施形態にて行われる各処理に対応するプログラムやシステムプログラム等の各種プログラムや、車載端末40から受信した移動体情報及び各種プログラムによる処理結果等が記憶される。
【0016】
通信部17は、サーバ10内部で利用される情報を外部の装置との間でネットワークを介して送受信するための通信装置である。通信部17の通信方式としては、イーサネットやUSB(Universal Serial Bus)等所定の通信規格に準拠したケーブルを介して有線接続する形式や、Wi-Fi(登録商標)や5G(第5世代移動通信システム)等所定の通信規格に準拠した無線通信技術を用いて無線接続する形式、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信を利用して接続する形式等、種々の方式を適用可能である。
【0017】
管理者端末20は、例えば、移動体を管理する管理者が、移動体の状況を把握する等の目的で使用する装置である。管理者端末20は、例えば、ラップトップ型パーソナルコンピュータやタブレット端末等により実現される。管理者端末20は、サーバ10によって処理された結果等の情報を受け、移動体管理に関連する表示を行う。移動体管理に関連する表示として、例えば、取得した移動体の位置情報に基づいて、電子地図上に各移動体の位置座標を示すオブジェクト(車両アイコン)を重畳して表示させるものが挙げられる。
【0018】
図1に、管理者端末20の機能構成の一例を示す。管理者端末20は、図1に示すように、例えば、処理部21と、記憶部22と、操作部23と、表示部24と、音入力部25と、音出力部26と、通信部27等を備えて構成される。
【0019】
処理部21は、記憶部22に記憶されているシステムプログラム等の各種プログラムに従って管理者端末20の各部を統括的に制御し、情報処理に係る各種の処理を行う処理装置であり、CPUやGPU、DSP等のプロセッサーやASIC等の集積回路を有して構成される。
【0020】
記憶部22は、記憶部12と同様にROMやEEPROM、フラッシュメモリ、RAM等の揮発性又は不揮発性のメモリや、ハードディスク装置等を有して構成される記憶装置である。記憶部22には、例えば、本実施形態にて行われる各処理に対応するプログラムやシステムプログラム等の各種プログラムや、サーバ10等から受信した情報及び各種プログラムによる処理結果等が記憶される。
【0021】
操作部23は、キーボードやマウス等の、ユーザがサーバに対する各種の操作入力を行うための入力装置を有して構成される。操作部23からは、ユーザ操作に対応した操作信号が処理部21に出力される。
【0022】
表示部24は、LCD(Liquid Crystal Display)やOELD(Organic Electro-luminescence Display)等を有して構成される表示装置であり、処理部21から出力される表示信号に基づいた各種の表示を行う。
【0023】
なお、操作部23は、表示部24と一体的に構成された不図示のタッチパネルを有し、このタッチパネルは、ユーザ(管理者)と管理者端末20との間の入力インターフェースとして機能するようにしてもよい。
【0024】
音入力部25は、マイクロフォンやA/Dコンバータ等を有して構成される音入力装置であり、処理部21へ入力される音入力信号に基づいた各種の音入力を行う。
【0025】
音出力部26は、D/Aコンバータやスピーカ等を有して構成される音出力装置であり、処理部21から出力される音出力信号に基づいた各種の音出力を行う。
【0026】
通信部27は、管理者端末20内部で利用される情報を外部の装置との間でネットワーク30を介して送受信するための通信装置である。通信部27の構成は、例えば、通信部17と同様に構成可能であるため、その詳細説明は省略する。
【0027】
車載端末40は、例えば、ユーザ(ドライバー)が運転する移動体に関する移動体情報を取得し、サーバ10に送信する処理を行う機能を有する。なお、車載端末40は、サーバ10等の外部から情報を受信し、表示等の処理を行うこととしてもよい。
【0028】
図1に、車載端末40の機能構成の一例を示す。車載端末40は、図1に示すように、例えば、処理部41と、記憶部42と、操作部43と、表示部44と、音入力部45と、音出力部46と、通信部47と、撮像部48と、時計部49Aと、位置情報取得部49B等を備えて構成される。
【0029】
処理部41~音出力部46は、例えば、管理者端末20の処理部21~音出力部26と同様に構成可能であるため、その詳細説明は省略する。
【0030】
通信部47は、インターネット等のネットワークNWと通信可能に構成される。通信部27の構成は、例えば、通信部17と同様に構成可能である。なお、通信部47による通信は、例えば、道路脇に設置された路側機に対して情報送信を行い、その路側機がネットワーク30と接続されていることで、間接的にサーバ10等と通信を行うこととしてもよい。
【0031】
撮像部48は、カメラ等で構成される撮像装置であり、処理部21へ入力される画像データ(静止画像・動画像)の取得を行う。なお、撮像部48は、特定のイベント(例えば、急加速・急減速の検知、急ハンドルの検知等により検出される車両の危険事態)が発生したときにのみ撮像を実行するようにしてもよい。
【0032】
時計部49Aは、車載端末40の内蔵時計であり、例えば、水晶発振器を利用したクロックに基づいて取得した時刻情報(計時情報)を出力する。なお、時計部49Aは、NITZ(Network Identity and Time Zone)規格等に準じて、通信部47とネットワーク30とを介して時刻情報を取得するようにしてもよい。
【0033】
位置情報取得部49Bは、例えば、GNSS衛星(例えばGPS衛星)から到来する電波に基づいて車載端末40の位置情報(例えば、緯度経度情報)を時系列的に取得する。すなわち、車載端末40が設置された移動体の位置情報を時系列的に取得することができる。なお、位置情報取得部49Bはかかる構成に限定されず、任意の位置情報取得方式を適用してよい。例えば、道路脇に設置された路側機により発せられる当該路側機に固有の位置情報を含んだ電波を、車載端末40を搭載した移動体が近接した際に受信することで、車載端末40の位置情報を取得することとしてもよい。
【0034】
なお、車載端末40は、車両に設置して移動体情報を収集するための装置(例えば、シガーソケット型センシングデバイスやドライブレコーダー一体型センシングデバイス)と、移動体の乗車者であるユーザによって保持される装置(例えば、スマートフォン)との複数の装置で構成されるようにしてもよい。
【0035】
この場合、移動体の乗車者であるユーザによって保持される装置は、スマートフォン等に特に限定されない。例えば、ヘッドアップディスプレイやカーナビ装置であってもよい。または、スマートスピーカ等、音声による入出力でユーザとやり取りを行うものであってもよい。
【0036】
また、この場合、移動体情報を収集するための装置は、任意のIoT機器、更には、移動体の一部などであってよく、それらが単体で、またはそれらを組み合わせることで、車載端末40の各構成要素を備えていればよく、その構成は特に限定されない。
【0037】
ネットワーク30は、各装置間を、有線接続あるいは無線接続、あるいはその両方で接続する通信網である。
【0038】
[第1実施例]
第1実施例は、移動体の乗車者であるユーザ(ドライバー)が共有する移動体情報を選択することで、管理者等による移動体情報の閲覧等を制限する実施例である。
第1実施例に記載の内容は、他の各実施例や各変形例のいずれにも適用可能である。
【0039】
本実施例では、移動体管理システムの一例として、車両管理システムについて例示する。また、車両管理システムにおいて提供されるユーザ(例えば、管理者やドライバー)向けアプリケーションを、車両管理アプリケーションと称する。また、管理者端末20のユーザ(以下、「管理者」と称する。)と車載端末40のユーザ(以下、「ドライバー」と称する。)とをまとめて車両管理システムの「ユーザ」と称する。なお、管理者がドライバーを兼任する場合、管理者端末20と車載端末40とを区別しなくてもよい。
【0040】
図2は、本実施例においてサーバ10の記憶部12に記憶される情報の一例である。
記憶部12には、例えば、車両登録データ121と、ユーザ登録データ123と、電子地図データ125と、運行管理データベース127とが記憶される。
【0041】
車両登録データ121は、車両管理システムにおいて管理される車両に関する登録データであり、そのデータ構成の一例を図3に示す。
車両登録データ121には、例えば、車輛IDと、車両名と、車両ナンバーと、その他登録情報とが関連付けて記憶される。
【0042】
車両IDは、車両管理システムにおいて管理される車両を識別するために用いられる情報である。この車両IDは、好ましくは車両ごとに一意な値であり、例えば、サーバ10によって車両ごとに固有の値が設定されて記憶される。
【0043】
車両名は、車両管理システムにおける車両の名称であり、例えば、管理者が車両を車両管理システムに登録する際に指定する名称が記憶される。
【0044】
車両ナンバーは、車両のナンバープレート(自動車登録番号標)に書かれる番号である。なお、車両ナンバーを車両IDとしてもよい。
【0045】
その他登録情報には、例えば、車両に搭載される車載端末40の端末ID(例えば、IMEI(International Mobile Equipment Identity))、車種、車両製造メーカ、初年度登録年月、走行距離等の各種の情報を含めるようにすることができる。
【0046】
ユーザ登録データ123は、車両管理システム(車両管理アプリケーション)の利用ユーザ(アカウント)ごとの登録データであり、そのデータ構成の一例である第1のユーザ登録データ123Aのデータ構成例を図4に示す。
ユーザ登録データ123Aには、例えば、ユーザIDと、ユーザ名と、役職クラスと、業務ステータスと、その他登録情報とが関連付けて記憶される。
【0047】
ユーザIDは、車両管理システム(車両管理アプリケーション)を利用するユーザ(アカウント)を識別するための情報である。このユーザIDは、好ましくはユーザごとに一意な値であり、例えば、サーバ10によってユーザごとに固有の値が設定されて記憶される。
なお、特定の車両を運行するユーザが一意に決まっている場合、車両ID=ユーザIDとしてもよい。この場合、車載端末40は、移動体情報を収集するための装置と移動体のドライバーによって保持される装置とが一体である構成とすることができる。
【0048】
ユーザ名は、車両管理システムを利用するユーザの名称であり、例えば、ユーザが車両管理アプリケーションを利用する際に登録する名称が記憶される。
【0049】
役職クラスは、車両管理システムにおけるこのユーザの役割ごとの種別についての情報であり、例えば、管理者によって設定される識別フラグが記憶される。この例では、例えば、車両の管理者の役職クラスを「マネージャー」、車両のドライバーの役職クラスを「スタッフ」として表記している。
なお、役職クラスは、2段階の種別に限定されない。例えば、車両管理システムの全操作権限を持つ管理者の役職クラスを「ディレクター」として定義してもよい。また、マネージャーやスタッフをさらに細分化してもよい。
【0050】
業務ステータスは、ユーザの就業状況ごとの種別についての情報であり、例えば、車載端末40または管理者端末20に対して逐次入力される情報である。業務ステータスは、状況情報の一例である。
この例では、業務ステータスとして、以下の4種類を例示する。
・職務対応中(目的地へ運行中である場合等。)
・勤務中(勤務時間内であり待機・巡回中である場合等。)
・休息中(勤務時間内であるが一時休憩している場合等。)
・勤務時間外
なお、業務ステータスは、例えば、その他登録情報に記憶される勤務スケジュールに従って自動的に更新されるようにしてもよい。また、他の業務ステータスを定義してもよい。
【0051】
その他登録情報には、例えば、車両管理アプリケーションの認証情報や車両のドライバーによって保持される装置の端末ID、そのユーザの自宅住所や事業所住所等の各種の情報を含めるようにすることができる。
【0052】
電子地図データ125は、電子地図の情報である。なお、サーバ10は、電子地図データ125を記憶せず、不図示の電子地図データサーバから逐次受信するようにしてもよい。
【0053】
運行管理データベース127は、車両の運行に関する情報を記憶・管理するためのデータベースであり、そのデータ構成の一例を図5に示す。
運行管理データベース127には、車両の運行単位(例えば、車両のイグニッションONからイグニッションOFFまで)ごとの管理データとして、運行管理データが記憶される。運行管理データは、移動体情報の一例である。
【0054】
各々の運行管理データには、例えば、運行管理IDと、ユーザIDと、車両IDと、業務ステータスと、車両運行データと、操作権限管理データとが記憶される。なお、運行管理データに、車両の出発地や経由地、目的地に関する情報を記憶させるようにしてもよい。車両の出発地や目的地に関する情報は、状況情報の一例である。
【0055】
運行管理IDは、運行管理データを識別するための識別情報であり、例えば、サーバ10によって固有の値が設定され記憶される。
ユーザIDには、車両を運行したユーザのユーザIDが記憶される。
車両IDには、運行された車両の車両IDが記憶される。
業務ステータスには、例えば、車両運行時のユーザの業務ステータスが記憶される。
【0056】
車両運行データは、運行された車両の各種情報を記憶させるためのデータであり、例えば、日時と、車両位置座標と、加速度ステータスと、ドライブレコーダー画像URIと、その他情報とが関連付けて記憶される。車両運行データは、移動体情報の一例である。
【0057】
日時には、例えば、単位時間(例えば、10秒)ごとに、車両が運行された日時が記憶される。
車両位置座標には、その日時における車両の位置情報(例えば、緯度・経度・高度)が記憶される。なお、車両位置座標として、例えば、車載端末40の電子コンパスで取得される車両の進行方向に関する情報(進行情報)を含めるようにしてもよい。
加速度ステータスには、その日時における車両の加速度に関する情報が記憶される。なお、加速度ステータスとして、その日時における車両速度に関する情報(速度情報)を含めるようにしてもよい。
ドライブレコーダー画像URIには、その日時の前後(例えば、5秒間)におけるドライブレコーダー画像の格納先URIが記憶される。
その他情報には、例えば、加速度ステータスに基づいて算出される運転スコア等が記憶される。なお、その他情報として、日時ごとの業務ステータスを記憶させるようにしてもよい。
【0058】
操作権限管理データは、この運行管理データに対して操作を行う操作ユーザと、操作ユーザが可能な操作である操作権限との組み合わせを記憶させるためのデータである。
ここで、運行管理データに対する操作権限としては、例えば、運行管理データを閲覧する操作が可能な権限である「閲覧」や、ユーザID・車両ID・業務ステータス・目的地等の変更操作が可能な権限である「編集」、運行管理データを消去する操作が可能な権限である「削除」といった操作権限を定義することができる。
また、操作ユーザとしては、運行管理データに記憶されるユーザIDで識別されるユーザが操作を行う場合である「自身」や、ユーザIDで識別されるユーザと同じ役職クラスに所属するユーザが操作を行う場合である「同役職クラス」、ユーザを限定しない「全員」といった種別を定義することができる。
【0059】
例えば、図5の操作権限管理データでは、「自身」は「閲覧」・「編集」の操作権限を持つが「削除」の操作権限を持たないことが記憶されている。また、「同役職クラス」のユーザは「閲覧」操作権限のみを保有し、「全員」は一切の操作権限を持たないことが記憶されている。
【0060】
なお、操作権限管理データとして、「閲覧」のみや、「閲覧」と「削除」といった任意の操作権限の組み合わせのみを記憶させるようにしてもよい。また、「自身」の役職クラス(例えば、スタッフ)より上位の役職クラス(例えば、マネージャー)であるユーザは、「同役職クラス」のユーザと同様の操作権限を保有するようにしてもよい。特権をもつ役職クラス(例えば、ディレクター)のユーザは、操作権限管理データの制限に縛られず任意の操作が可能であることとしてもよい。
【0061】
管理者端末20の記憶部22には、例えば、管理者端末20のユーザのユーザIDが記憶される。また、車載端末40の記憶部42には、例えば、車載端末40のユーザのユーザIDと、車載端末40が搭載される車両の車両IDとが記憶される。なお、ユーザIDと、車両IDとに代えて、各端末の端末IDを記憶させるようにしてもよい。
【0062】
以下、第1実施例における処理の手順例について説明する。図6は、サーバ10、管理者端末20、車載端末40が協働して行う、車両運行開始から車両運行終了、車両運行データ閲覧までの処理のフローチャートである。
【0063】
図6のフローチャートにおける各記号A,B,Sは、それぞれ、管理者端末20、車載端末40、サーバ10の各制御部が実行するステップを意味する。
また、以下説明するフローチャートは、あくまでも本実施例における情報処理の手順の一例を示すものに過ぎず、他のステップを追加したり、一部のステップを削除したり、一部のステップを他の装置の制御部において実行してもよい。
【0064】
まず、車載端末40の制御部41は、例えば、操作部43に対する操作入力に基づいて、運行設定情報を取得すると、通信部47を介してサーバ10に運行設定情報を送信する(B110)。ここで、運行設定情報には、例えば、車載端末40が搭載される車両を運行するユーザのユーザIDや業務ステータス、運行される車両の車両ID、車両を運行するユーザによって設定されたこの運行の運行管理データに関する操作権限に関する情報や目的地等を含む。
【0065】
なお、運行設定情報は、例えば、管理者端末20または車両の運行を行うユーザとは異なるユーザの車載端末40(例えば、車両の運行を行うユーザが設定を許可した他のユーザの車載端末40)によって設定され、サーバ10に送信されるようにしてもよい。
【0066】
サーバ10の制御部11は、車載端末40から運行設定情報を受信すると、運行管理データベース127にレコードを追加し、受信した運行設定情報に基づいて追加した運行管理データを初期化する(S110)。
【0067】
次いで、車載端末40の制御部41は、撮像部48や時計部49A、位置情報取得部49B等によって車両情報を取得し、取得した車両情報を、通信部47を介してサーバ10に送信する(B120)。ここで、車両情報には、例えば、日時と関連付けられた車両位置座標、加速度ステータス、ドライブレコーダー画像情報等を含む。
【0068】
サーバ10の制御部11は、車載端末40から車両情報を受信すると、運行管理データの車両運行データに追記して記憶させる(S120)。
【0069】
車載端末40の制御部41は、例えば、操作部43に対する操作入力や、不図示の車載ECUからの信号入力に基づいて、車両の運行が終了するか否かを判定する(B130)。車両の運行が終了すると判定される場合(B130:YES)、車載端末40の制御部41は、車両の運行が終了することを示す車両運行終了情報を、通信部47を介してサーバ10に送信する(B140)。
車両の運行が終了しないと判定される場合(B130:NO)、車載端末40の制御部41は、B120のステップに処理を戻す。
【0070】
車載端末40から車両運行終了情報を受信したと判定する場合(S130:YES)、サーバ10の制御部11は、記録中の運行管理データをクローズする(S140)。車載端末40から車両運行終了情報を受信したと判定されない場合(S130:NO)、サーバ10の制御部11は、再度車両情報の受信を待機し、S120のステップを実行する。
【0071】
なお、車載端末40から車両運行終了情報を受信したと判定する場合(S130:YES)、サーバ10の制御部11は、記録中の運行管理データをクローズせず、運転していない状態に設定し車両情報の取得を継続するようにしてもよい。
【0072】
管理者端末20の制御部21は、例えば、操作部23に対する操作入力に基づいて、運行管理IDで指定される運行管理データを閲覧するための運行管理データ閲覧要求情報を、通信部47を介してサーバ10に送信する(A110)。なお、本ステップに先立ち、管理者端末20の制御部21は、運行管理データベース127に記憶される運行管理IDの一覧情報をサーバ10から受信するようにしてもよい。
【0073】
管理者端末20から運行管理データ閲覧要求情報を受信すると、サーバ10の制御部11は、受信した運行管理データ閲覧要求情報に基づいて、指定された運行管理IDの運行管理データを閲覧操作することが可能か否かを判定する(S150)。より具体的には、管理者端末20のユーザの役職クラスと、指定された運行管理データのユーザIDの役職クラスと、指定された運行管理データの操作権限管理データとを参照し、管理者端末20のユーザが閲覧可能か否かを判定する。なお、閲覧操作以外の操作権限についても同様に判定可能である。
【0074】
管理者端末20のユーザが運行管理データを閲覧操作可能であると判定した場合(S150:YES)、サーバ10の制御部11は、その運行管理データを、通信部17を介して管理者端末20に送信する(S160)。
閲覧操作が許可されていないと判定した場合(S150:NO)、サーバ10の制御部11は、処理を終了させる。なお、閲覧操作が許可されていないと判定した場合(S150:NO)、サーバ10の制御部11は、閲覧操作が許可されていないことを示す情報を管理者端末20に送信し、管理者端末20の制御部21は、受信した閲覧操作が許可されていないことを示す情報を表示部24に表示させるようにしてもよい。また、サーバ10の制御部11は、運行管理データのうち、車両運行データ以外のデータを送信し、管理者端末20の制御部21は、受信した運行管理データの一部分を表示部24に表示させるようにしてもよい。
【0075】
サーバ10から運行管理データを受信したと判定する場合(A120:YES)、管理者端末20の制御部21は、受信した運行管理データを表示部24に表示させる(A130)。
【0076】
上記の処理では、車両の運行後、運行管理データを管理者端末20において参照する場合について例示したが、運行中の車両における運行管理データを管理者端末20において参照する(リアルタイム表示する)場合、A110~A130およびS150~S160のステップを、例えば、S120とS130とのステップ間で実行することで実現することができる。
【0077】
また、車載端末40の制御部41は、任意のタイミングで運行設定情報を取得し、サーバ10に運行設定情報を送信するようにしてもよい。この場合、車両の運行中や運行終了後においても運行管理データに対する操作権限を変更することができる。
【0078】
図7は、車載端末40の表示部44に表示される、運行設定情報取得画面の一例である。この例では、車載端末40の構成の一部である、ドライバーによって保持されるスマートフォンの表示画面の一例を示す。
【0079】
図7は、役職クラス「スタッフ」であるユーザ「B.B」が「2021年8月8日」における車両の運行後、運行した車両の運行管理データを閲覧するための走行履歴閲覧画面の一例である。この画面では、最上部に運行管理データを収集した日付が表示され、その下には、収集された車両運行データの車両位置座標に基づいて、電子地図上に車両の運行経路が表示されている。なお、運行経路と併せて、急ブレーキや急ハンドル等の危険操作を行った場所を表示させるようにしてもよい。運行経路の下には、例えば、車両運行データの加速度ステータスに基づいて100点満点で算出される運転スコアが表示されている。運転スコアは、例えば、特開2006-243856号広報の発明に従って算出することができる。また、最下部には、この運行で車両が走行した距離と時間とが表示され、その下には、各時刻における車両の位置が住所と紐付けられてリスト表示されている。
【0080】
例えば、走行履歴閲覧画面の設定メニューボタンから閲覧操作権限の変更が選択されると、例えば、閲覧制限設定オブジェクトSOBが画面の下からせり上がり表示される。閲覧制限設定オブジェクトSOBには、閲覧許可を「自身」のみに設定する「B.Bのみ閲覧可能」の選択項目と、「自身」および「同役職クラス」に閲覧許可を与える「スタッフのみ閲覧可能」の設定項目と、「自身」を含む「全員」に閲覧許可を設定する「全員閲覧可能」の選択項目とが表示されるように構成されている。これらの選択項目がタップ操作によって選択されると、運行設定情報が車載端末40からサーバ10に送信される。
【0081】
図8は、図7において、例えば、閲覧制限設定オブジェクトSOBにおいて「B.Bのみ閲覧可能」の選択項目が選択された場合における管理者端末20の表示部24に表示される車両管理アプリケーション管理画面の一例である。この画面では、例えば、左ペインの管理メニュー選択領域において、走行履歴の閲覧を行うための「走行履歴」メニューが選択されている。また、管理者端末20には役職クラス「マネージャー」のユーザ「A.A」がログインしていることが最上部右側のユーザ情報表示領域に表示されている。
管理メニュー選択領域の右には、「走行履歴」メニューが選択されたことに基づいて、運行管理データの概要一覧を表示するための走行履歴一覧表示が表示されるように構成されている。走行履歴一覧表示では、各運行管理データから、運行日時と、運行したユーザ名と、役職クラスとが一列に関連付けて表示されている。
例えば、ユーザ「B.B」が「自身」のみ閲覧可能と設定した、「8月8日 8:02~10:34 スタッフ B.B」の列がタップ操作されると、走行履歴一覧表示の右側に車両の運行経路を表示する電子地図領域MRが表示される。しかし、ユーザ「A.A」がこの運行管理データを閲覧する権限を保有していないことに基づいて、電子地図領域MRには運行経路の閲覧が制限されている旨の閲覧制限オブジェクトRDが表示され、ユーザ「A.A」は、運行経路を確認することができない。
【0082】
[第1実施例の効果]
本実施例における情報処理方法は、情報表示装置(例えば、管理者端末20)を含むシステムによって実行される情報処理方法であって、移動体(例えば、車両)に関する移動体情報(例えば、車両情報)を取得することを含み、移動体情報の閲覧に関する制限設定がされていない場合(例えば、管理者端末20のユーザが閲覧権限を持つ場合)、移動体情報を情報表示装置に表示させ、制限設定がされている場合(例えば、管理者端末20のユーザが閲覧権限を持たない場合)、移動体情報の情報表示装置への表示を制限する構成を示している。
これによれば、移動体情報の閲覧に関する制限設定に基づいて、情報表示装置に移動体情報を表示させるか否かを決定することができ、移動体の利用者が過度に監視されているかのような違和感や嫌悪感を覚えにくくすることにより快適な業務環境を提供することができる、という効果が得られる。
【0083】
また、本実施例は、移動体に関連付けられた第1ユーザ(例えば、車載端末40のユーザ)の端末(例えば、車載端末40)における操作に基づいて、制限設定を行うことと、制限設定を解除することとが可能である構成を示している。
これによれば、第1ユーザ自身によって移動体情報の閲覧に関する制限設定を行うことが可能となり、ユーザの利便性を向上させることができる、という効果が得られる。
【0084】
[第1変形例(1)]
第1実施例では、運行管理データごとに操作権限を設定する例について例示したが、これに限定されない。例えば、ユーザごとに規定の操作権限を設定可能であるようにしてもよい。
【0085】
本変形例におけるユーザ登録データ123のデータ構成の一例である第2のユーザ登録データ123Bのデータ構成例を図9に示す。
ユーザ登録データ123Bには、例えば、ユーザIDと、ユーザ名と、役職クラスと、情報制限レベルと、業務ステータスと、その他登録情報とが関連付けて記憶される。
ユーザIDと、ユーザ名と、役職クラスと、業務ステータスと、その他登録情報とについては、例えば、第1のユーザ登録データ123Aと同様に構成することができる。
【0086】
情報制限レベルは、このユーザが操作可能な運行管理データの範囲を設定するための情報であり、例えば、管理者によって設定されるレベル識別フラグが記憶される。
情報制限レベルは、例えば、以下のように設定することができる。
・「レベル0」:全てのユーザはこのユーザに紐付けられた運行管理データを閲覧可能。
・「レベル1」:同じ役職クラスのユーザがこのユーザに紐付けられた運行管理データを閲覧可能。
・「レベル2」:このユーザに紐付けられた運行管理データを閲覧可能であるのは自身のみ。
なお、上記の3レベルの他、このユーザの役職クラスより上位の役職クラスのユーザおよび自身が、このユーザに紐付けられた運行管理データを閲覧可能である情報制限レベル等を設定してもよい。また、閲覧以外の操作においても同様に情報制限レベルを設定するようにしてもよい。特権をもつ役職クラスのユーザは、情報制限レベルに縛られず任意の操作が可能であることとしてもよい。
【0087】
図9の例では、ユーザ「A.A」の情報制限レベルは「レベル2」であるため、ユーザ「A.A」が運行した車両の運行管理データは、ユーザ「A.A」以外は閲覧することができない。また、ユーザ「C.C」の情報制限レベルは「レベル1」であるため、ユーザ「C.C」が運行した車両の運行管理データは、役職クラス「スタッフ」のユーザ以外は閲覧することができない。
【0088】
なお、情報制限レベルを設定する場合、運行管理データの操作権限管理データを設定できないようにしてもよい。また、情報制限レベルと、運行管理データの操作権限管理データとを併用する場合、情報制限レベルによる操作権限を優先するようにしてもよいし、操作権限管理データによる操作権限を優先するようにしてもよい。
【0089】
また、情報制限レベルは、管理者等によって手動で設定されることに限定されない。例えば、サーバ10の制御部11は、運行管理データベース127を参照し、例えば、運転スコアの平均値に基づいて、各ユーザの情報制限レベルを設定するようにしてもよい。この場合、例えば、ユーザの所定の期間(例えば、直近1ヵ月間)における運転スコアの平均値が安全運転設定値(例えば、90点)を超える場合、そのユーザの情報制限レベルを「レベル2」に設定し、下回る場合にはそのユーザの情報制限レベルを「レベル1」に設定する。また、運転スコアの平均値が危険運転設定値(例えば、50点)を下回ると、そのユーザの情報制限レベルを「レベル0」に設定する。
これにより、ユーザの運転スコアが高い場合、そのユーザを優良運転者と判断し、運行管理データの閲覧範囲を狭めることができる。また、ユーザの運転スコアが低い場合、運行管理データを全員に開示することで、相互監視の目を光らせると共に、危険運転をしがちなユーザの運転行動への警告を与えることができる。
【0090】
本変形例は、制限設定は、情報表示装置(例えば、車載端末40や管理者端末20)に関連付けられた第2ユーザ毎に行うことが可能である構成を示している。
これによれば、ユーザに対して個別に制限設定を設定する必要がなくなり、一定の範囲ごとに設定制限をより簡易かつ適切に設定することができる、という効果が得られる。
【0091】
[第1変形例(2)]
第1実施例では、運行管理データ全体を対象として操作権限を設定する例について例示したが、これに限定されない。例えば、運行管理データの項目や、車両運行データの項目ごとに、操作権限を設定可能であるようにしてもよい。
【0092】
図10に、本変形における、制限対象項目と閲覧モードとの設定に対する操作内容の制限の一例を表にして示す。ここで、制限対象項目とは、運行管理データのうち、操作権限の制限を行う項目である。ここでは、操作権限の一例として、「閲覧」の例を示す。また、閲覧モードとは、運行管理データを閲覧する場合の閲覧方法に関する種別である。ここでは、閲覧モードの一例として、以下の3種類の表示モードを例示する。
・車両の運行中にリアルタイムで運行管理データを閲覧するための「リアルタイム表示」。
・所定期間(例えば、一日)の特定ユーザの運行管理データをまとめて閲覧するための「ドライバー日報表示」。
・所定期間(例えば、一日)の特定車両の運行管理データをまとめて閲覧するための「車両日報表示」。
なお、「ドライバー日報表示」や「車両日報表示」における所定期間は、車両を運行するユーザの業務開始から業務終了までの期間とし、業務が終了すると自動的にそれぞれの日報が作成されるようにしてもよい。
【0093】
項目「ユーザ名」を非表示に設定する場合、「リアルタイム表示」と「車両日報表示」とでは、車両を運行するユーザ名を閲覧不可とする。すなわち、サーバ10の制御部11は、管理者端末20に、ユーザ名を匿名化した運行管理データを送信する。また、「ドライバー日報表示」では、そのユーザに関する運行管理データを閲覧不可とする。
項目「車両位置情報」を非表示に設定する場合、「リアルタイム表示」と「ドライバー日報表示」とでは、車両運行データの車両位置座標を閲覧不可とする。また、「車両日報表示」では、その車両に関する運行管理データを閲覧不可とする。
その他の制限対象項目についても同様に、その項目を非表示に設定する場合、運行管理データのうちその項目を閲覧不可とする。
【0094】
なお、制限対象項目を閲覧不可とする場合、サーバ10は運行管理データを秘匿化せずに送信し、管理者端末40において制限対象項目を秘匿化して表示させる、または表示させないようにしてもよい。
【0095】
また、制限対象項目の設定は、各ユーザが、例えば、閲覧制限設定オブジェクトSOB等から設定できるようにしてもよいし、管理者が一括して設定できるようにしてもよい。また、例えば、運転スコアに基づいて、ユーザが設定可能な制限対象項目が選択されるようにしてもよい。この場合、運転スコアが高スコアのユーザは「ドライブレコーダー画像」を非表示に設定できるが、低スコアのユーザは非表示に設定できない、といった選択が可能である。
【0096】
なお、制限対象項目の制限が及ぶ対象ユーザを「自身」以外の「全員」としてもよいし、操作権限管理データと同様にユーザごとに異なる制限を設定できるようにしてもよい。「閲覧」以外の操作権限についても、制限対象項目ごとに操作権限を設定できるようにしてもよい。また、制限対象項目の設定は、各運行管理データの操作権限管理データに追加することで、運行管理データ単位で設定できるようにしてもよいし、情報制限レベルに組み込むことで、ユーザ単位で設定できるようにしてもよい。
【0097】
また、制限対象項目の設定を、閲覧モードごとに設定できるようにしてもよい。例えば、制限対象項目として「車両位置座標」の閲覧を制限する場合、閲覧モード「リアルタイム表示」では車両位置座標を閲覧不可とするが、閲覧モード「ドライバー日報表示」や「車両日報表示」では車両位置座標を閲覧可とする設定が可能である。
【0098】
本変形例は、制限設定は、移動体情報の種類(例えば、制限対象項目「ユーザ名」や制限対象項目「車両位置情報」)毎に行うことが可能である構成を示している。
これによれば、移動体情報の種類に応じてより柔軟に制限設定を行うことが可能となるという効果が得られる。
【0099】
また、本変形例は、移動体に関連付けられた第1ユーザ(例えば、車載端末40のユーザ)の業務終了に対応して移動体情報に基づく日報(例えば、閲覧モード「ドライバー日報表示」表示用の情報)を生成することを含み、制限設定がされていない場合と、制限設定がされている場合とで、共通の移動体情報に基づく日報を生成する構成を示している。
これによれば、情報表示装置のユーザは、日報においては、制限設定に関わらず移動体情報を表示させることができ、第1ユーザの業務を的確に把握することができる、という効果が得られる。
【0100】
また、本変形例は、移動体情報は、移動体に関連付けられた第1ユーザの運転に関する評価情報(例えば、運転スコア)を含み、評価情報に関する所定条件が成立している場合に制限設定をすることが可能である構成を示している。
これによれば、評価情報に基づいて、第1ユーザの運転状況が良好である場合にのみ制限設定を行うことができ、第1ユーザの安全運転に対するモチベーション向上を図ることができる、という効果が得られる。
【0101】
[第1変形例(3)]
第1実施例では、ユーザ操作に基づいて操作権限を設定する例について例示したが、これに限定されない。例えば、ユーザの車両運行時における業務ステータスに基づいて、自動的に操作権限が設定されるようにしてもよい。
【0102】
例えば、あるユーザの業務ステータスが「勤務時間外」である場合、そのユーザが運行する車両の運行管理データはプライベートな行動に関わる可能性が高いため、自動的に「自身」以外による操作を制限するように設定されるようにしてもよい。
【0103】
[第1変形例(4)]
第1実施例では、移動体管理システムの一例として、自動車における車両管理システムについて例示したが、これに限定されない。例えば、自動車以外の車両として、自転車やオートバイ等の二輪車、トラクター等の農業機械や建設機械、鉄道車両等、様々な車両に適用することができる。また、車載端末40を車両以外の移動体に搭載することで、例えば、訪問看護士管理システムや、ドローン管理システム、船舶管理システム等、様々な移動体の管理システムに応用することができる。
【0104】
[第2実施例]
第2実施例は、例えば、管理者が、車両を運行するドライバーの設定等で制限された移動体情報の操作権限の変更を要請することで、必要に応じて操作権限を取得する実施例である。
第2実施例に記載の内容は、他の各実施例や各変形例のいずれにも適用可能である。
【0105】
以下、第2実施例における処理の手順例について説明する。図11図12は、サーバ10、管理者端末20、車載端末40が協働して行う、車両運行および運行管理データ閲覧権限の委譲、車両運行データ閲覧までの処理のフローチャートである。
【0106】
サーバ10から運行管理データを受信しないと判定された場合(A120:NO)、管理者端末20の制御部21は、閲覧不可とされた運行管理データの閲覧権限を要求するか否かの判定用画面を表示部24に表示させる(A220)。
例えば、操作部23に対する操作入力に基づいて、閲覧権限を要求することが選択されたと判定された場合(A220:YES)、管理者端末20の制御部21は、例えば、運行管理IDを含む運行管理データ閲覧権限要求情報を、通信部27を介してサーバ10に送信する(A230)。なお、運行管理データ閲覧権限要求情報には、閲覧操作権限を要求する理由等のコメントを含めるようにしてもよい。
【0107】
管理者端末20から運行管理データ閲覧権限要求情報を受信したと判定された場合(S220:YES)、サーバ10の制御部11は、運行管理データの操作権限を持つユーザ(例えば、ユーザIDに記録されているユーザ)に、閲覧操作権限を管理者端末20のユーザに対して与えることを要請するための運行管理データ閲覧権限要請情報を、通信部17を介して車載端末40に送信する(S230)。
【0108】
サーバ10から運行管理データ閲覧権限要請情報を受信したと判定された場合(B210:YES)、車載端末40の制御部41は、管理者端末20のユーザに運行管理データの閲覧操作権限を与えるか否かの判定用画面を表示部44に表示させる(B220)。
例えば、操作部43に対する操作入力に基づいて、閲覧を許可することが選択されたと判定された場合(B220:YES)、車載端末40の制御部41は、管理者端末20のユーザに運行管理データの閲覧操作権限を与えることを示す運行管理データ閲覧許可情報を、通信部47を介してサーバ10に送信する(B230)。
【0109】
車載端末40から運行管理データ閲覧許可情報を受信したと判定された場合(S240:YES)、サーバ10の制御部11は、運行管理データを管理者端末20に送信する(S260)。なお、運行管理データ閲覧許可情報を受信したと判定する場合、サーバ10の制御部11は、運行管理データの操作権限管理データを上書きすることで、永続的に管理者端末20のユーザに対する操作制限を解除するようにしてもよいし、運行管理データ閲覧許可情報の受信から所定期間(例えば、1時間)のみ操作制限を解除するようにしてもよいし、操作制限の解除に対して都度運行管理データ閲覧許可情報の受信が必要であるようにしてもよい。
【0110】
なお、サーバ10の制御部11は、S240の判定結果に関わらず、運行管理データを管理者端末20に送信するようにしてもよい。この場合、車載端末40に、閲覧操作を許可していない運行管理データが閲覧される通知は表示されるが、管理者は車載端末40のユーザの承認無しで運行管理データの閲覧が可能である。
【0111】
サーバ10から運行管理データを受信したと判定された場合(A240:YES)、管理者端末20の制御部21は、受信した運行管理データを表示部24に表示させる(A250)。
【0112】
上記の処理では、車両の運行後、運行管理データを管理者端末20において参照する場合について例示したが、運行中の車両における運行管理データを管理者端末20において参照する(リアルタイム表示する)場合、A220~A250およびB210~B230、S220~S260のステップを、例えば、S120とS130とのステップ間で実行することで実現することができる。
【0113】
また、閲覧操作以外の操作制限についても、閲覧操作と同様にして操作制限の解除を要請することができる。
【0114】
図13は、図7と同様に、例えば、ユーザ「B.B」の車載端末40において、閲覧制限設定オブジェクトSOBにおいて「B.Bのみ閲覧可」の選択項目が選択された場合における管理者端末20の表示部24に表示される車両管理アプリケーション管理画面の一例である。この画面では、例えば、左ペインの管理メニュー選択領域において、現在の車両運行状況を確認するための「リアルタイム」メニューが選択されている。
管理メニュー選択領域の右には、「リアルタイム」メニューが選択されたことに基づいて、電子地図領域MRに、車両アイコンと車両名とが、現在の車両位置座標と関連付けて表示されている。電子地図領域MRの右側には、車両管理アプリケーションにおいて管理されている車両の状態を一覧で表示させるための車両状況一覧表示領域が表示されるように構成されている。車両状況一覧表示領域では、車両ごとに、車両名と、車両を運行するユーザ名と、車両状態(例えば、走行中か停止中か)とが関連付けて表示されるように構成されている。
【0115】
この例では、ユーザ「B.B」が車両名「東京002」の運行中であるが、ユーザ設定に従い車両位置座標が「自身」以外非表示と設定されていることに基づいて、電子地図領域MR内に車両名「東京002」の車両位置が表示されていない。また、車両状況一覧表示領域では、車両名「東京002」の車両状態として、走行中であるが車両位置座標は非表示であることが表示されている。
【0116】
例えば、管理者端末20のユーザが車両名「東京002」の車両位置座標を確認する必要がある状況が発生する。このとき、車両状況一覧表示領域の車両状態表示がタップ操作されると、「車両位置の表示許可を要請します」のタイトルで示される運行管理データ閲覧権限要求判定オブジェクトARDが表示される。この運行管理データ閲覧権限要求判定オブジェクトARDには、閲覧権限を要求する理由をユーザ「B.B」に通知するためのコメント入力欄が設けられている。なお、コメントの入力は必須としてもよいし、そうしなくてもよい。
コメント入力欄の下には、運行管理データ閲覧権限を要求するための「要請」の文字で示される運行管理データ閲覧権限要求ボタンと、操作のキャンセルを行うキャンセルボタンとが表示されるように構成されている。
【0117】
運行管理データ閲覧権限要求ボタンがタップ操作されると、ユーザ「B.B」の車載端末40に、ユーザ「A.A」から車両位置座標の閲覧操作制限解除を要請された旨の通知が表示される。ユーザ「B.B」が閲覧操作制限解除に承諾すると、電子地図領域MRに車両名「東京002」の車両アイコンが表示され、ユーザ「A.A」は車両位置を把握することができる。
【0118】
[第2実施例の効果]
本実施例は、情報表示装置(例えば、管理者端末20)に関連付けられた第2ユーザ(例えば、管理者)の操作に基づいて、制限設定を解除するための要求を端末(例えば、車載端末40)に送信する構成を示している。
これによれば、制限設定がされている場合でも、第2ユーザは、必要に応じて端末の第1ユーザに制限設定の解除を要求することができ、第1ユーザの情報閲覧に対する違和感や嫌悪感等に配慮しつつ(例えば、過度に監視されている感覚等をドライバーに生じさせないようにしつつ)、第2ユーザの利便性を向上することができる、という効果が得られる。
【0119】
[第2変形例(1)]
第2実施例では、管理者端末20のユーザ操作に基づいて、操作制限が解除される例を例示したが、これに限定されない。例えば、車載端末40から受信する車両情報に基づいて、車両に対する特定のイベント(例えば、車両の危険)が検出された場合、自動的にその運行管理データの操作制限が解除されるようにしてもよい。
【0120】
図14は、本変形例におけるフローチャートの一例である。
管理者端末20から運行管理データ閲覧権限要求情報を受信したと判定する場合(S220:YES)、サーバ10の制御部11は、運行管理データの車両運行データに基づいて、車両の挙動に特定イベントが発生したか否かを判定する(S250)。ここで、車両の挙動の特定イベントとしては、例えば、以下の例が挙げられる。
・加速度ステータスにおいて所定の閾値を超える急加速・急減速・急操作が検出された場合。
・運転スコアの減少幅が一定値を超えた場合。
・タイヤの空気圧やエンジン冷却水温が規定範囲外となった場合。
・車両位置座標の近隣で交通事故が探知された場合。
・ドライブレコーダー画像の自動解析から、居眠り運転や携帯電話の使用、車線逸脱が検出された場合。
・車両の衝突が検出された場合。
・エアバッグの作動が確認された場合。
・1日で所定距離(例えば、「200km」)以上を走行した場合。
・車両の利用者によってトリガー(例えば、非常通報ボタンの押下)が発せられた場合。
【0121】
サーバ10の制御部11は、車両の挙動に特定イベントが発生したと判定した場合(S250:YES)、運行管理データを管理者端末20に送信する(S260)。
なお、サーバ10の制御部11は、運行管理データと併せて、車両の挙動に特定イベントが発生したことを示す車両異常検出情報を管理者端末20に送信するようにしてもよい。
【0122】
なお、運行中の車両における運行管理データをリアルタイム表示させる場合、サーバ10の制御部11は、S220のステップの判定結果に関わらずS250のステップを実行するようにしてもよい。この場合、車両の挙動に特定イベントが発生したと判定した場合(S250:YES)、車両IDや車両を運行するユーザIDと紐付けられた特定のユーザ(例えば、運行管理者)の管理者端末20に、車両異常検出情報を送信するようにしてもよい。そして、管理者端末20は受信した車両異常検出情報を表示させるようにしてもよい。
【0123】
この場合、閲覧制限が設定された運行管理データの閲覧には、車載端末40のユーザの承諾が必要であることとしてもよいし、そうしなくてもよい。
【0124】
また、操作権限管理データの操作権限区分として、操作可・操作不可の他、特定イベントが検出された場合には操作可とする条件付き可とする操作権限を設定できるようにしてもよい。また、制限対象項目ごとに操作制限の解除を要請できるようにしてもよい。例えば、ドライブレコーダー画像については「自身」のみ閲覧可、車両位置座標については「全員」閲覧可と設定されている場合、特定イベントが検出されると、その検出時点の所定期間(例えば、前後30秒)のドライブレコーダー画像について閲覧権限を要求することができるようにしてもよい。
【0125】
また、運行管理データの操作制限の解除は、次の操作制限のための設定操作が行われるまで継続するものとしてもよいし、一時的なもの(例えば、24時間)としてもよい。
【0126】
[第3実施例]
第3実施例は、閲覧制限下にある移動体情報について、電子地図上での表示態様を変化させて表示させる実施例である。
第3実施例に記載の内容は、他の各実施例や各変形例のいずれにも適用可能である。
【0127】
以下、第3実施例における処理の手順例について説明する。図15は、サーバ10、管理者端末20、車載端末40が協働して行う、車両運行開始から車両運行終了、車両運行データ閲覧までの処理のフローチャートである。
【0128】
管理者端末20から運行管理データ閲覧要求情報を受信すると、サーバ10の制御部11は、図6のS150と同様にして、指定された運行管理IDの運行管理データを閲覧操作することが可能か否かを判定する(S310)。管理者端末20のユーザが運行管理データを閲覧操作可であると判定した場合(S310:YES)、サーバ10の制御部11は、その運行管理データを管理者端末20に送信する(S160)。
閲覧操作不可であると判定した場合(S310:NO)、サーバ10の制御部11は、例えば、運行管理データのうち、車両位置座標の座標識別性低下処理を実行する。座標識別性低下処理は、車載端末40の位置情報(例えば、緯度経度情報)に基づく車両位置座標を電子地図上で識別し難くする処理である。例えば、座標識別性低下処理が実行されると、座標識別性低下処理が実行されない場合と比較して、電子地図上で、車両位置座標とは異なる位置に車両アイコンが表示される確率が高くなる(車両アイコンの表示上の位置精度が低下する一例)。なお、車両位置座標の座標識別性低下処理は、低解像度化処理といってもよい。
【0129】
座標識別性低下処理では、電子地図を規定の格子状領域(以下、「低識別性車両位置領域」と称する。)に区切り、車両位置座標がどの低識別性車両位置領域に属するかを判定する。そして、サーバ10の制御部11は、車両位置座標に代えて、低識別性車両位置領域の識別情報を含む低識別性運行管理データを管理者端末20に送信する(S320)。
【0130】
ここで、電子地図内における低識別性車両位置領域の区切り方としては、例えば、以下の様な区切り方が挙げられる。
・既定の長辺、短辺(例えば、500m四方)で規定される矩形領域で区切る。なお、矩形領域以外に、正三角形や正六角形等の多面体領域で区切るようにしてもよい。
・地名で規定される住所領域で区切る。例えば、「XX町」で規定される住所領域には、「丁目」や「番地」に関わらず、「XX町」内と判定される車両位置座標が属する。
・自宅周辺領域(例えば、車両運行中のユーザの自宅周辺)では粗い領域(例えば、1km四方の矩形領域)で区切り、職務領域(例えば、自社周辺や訪問先周辺)では細かな領域(例えば、200m四方の矩形領域)で区切る。
なお、低識別性車両位置領域の区切り方は全ユーザで統一してもよいし、ユーザごとに区切り方を変えてもよい。例えば、あるユーザの低識別性車両位置領域は「丁目」で区切られる住所領域に、別なユーザの低識別性車両位置領域は「番地」で区切られる住所領域に設定するようにしてもよい。
【0131】
また、一定期間(例えば、6時間)ごとに低識別性車両位置領域の区切り方(例えば、矩形領域の位置)を変更するようにしてもよい。
【0132】
図16は、管理者端末20の表示部24に表示される車両管理アプリケーション管理画面の表示画面の一例である。この図において、電子地図領域MRは、例えば、2点鎖線で示される4つの低識別性車両位置領域に分割されている。ここで、4つの低識別性車両位置領域を、向かって左上方の低識別性車両位置領域から時計回りにそれぞれ領域「A」~領域「D」として識別することとする。なお、この図における低識別性車両位置領域の領域境界を示す2点鎖線のバウンディングボックスおよび各領域の名称は説明の便宜上の表示であり、実際の表示画面上には表示させなくてもよい。
【0133】
各低識別性車両位置領域の下方には、車両位置座標の座標識別性低下処理が実行された運行管理データにおける車両位置を表示させるための車両位置確認ボックスBXが表示されるように構成されている。例えば、領域「A」において、車両位置確認ボックスBXには、車両名「東京002」と、車両名「東京003」との車両アイコンが表示されており、この2車両が領域「A」内のいずれかの位置に存在することが示されている。
なお、車両位置確認ボックスBX内において、例えば、速度が大きい車両の車両アイコンをより左側に配置するようにしてもよい。また、車両アイコンに車両の進行方向を示す矢印アイコンを付与するようにしてもよい。これにより、低識別性車両位置領域内における車両の動きを大まかに把握することができる。また、車両アイコンにおいて、例えば、駐車中の車両については、例えば、「停」のアイコンを付与し区別可能であるようにしてもよい。
【0134】
例えば、領域「B」において、デフォルトで車両位置確認ボックスBXが表示される領域内には、位置情報の閲覧が許可されている車両名「東京004」の車両アイコンが表示されている。この場合、車両位置確認ボックスBXを、位置情報の閲覧が承認されている車両アイコンの表示を妨げない領域(例えば、上方)に自動的に移動させて表示させるように構成することができる。また、車両状況一覧表示領域において、位置情報の閲覧が承認されている車両名「東京004」の車両状態として、例えば、走行中の速度や加速度(減速中・加速中)等を、位置情報の閲覧が承認されていない車両の車両状態(例えば、走行中か停止中か)に加えてより詳細に表示させるように構成することができる。走行中の速度は、車両アイコンに重畳させて表示させるように構成してもよい。
【0135】
なお、電子地図領域MRにおいて、位置情報の閲覧が許可されている車両については、車両アイコン内に進行方向を示す矢印アイコンおよび走行中か否かの情報を表示させ、位置情報の閲覧が許可されていない車両については、車両アイコン内に矢印アイコンおよび走行中か停止中かの情報を表示させないように構成してもよい。また、位置情報の閲覧が許可されている車両については、車両アイコン内に走行中の速度(または加速度)を表示させ、位置情報の閲覧が許可されていない車両については、車両アイコン内に走行中の速度(または加速度)を表示させないように構成してもよい。
【0136】
例えば、領域「D」において、この低識別性車両位置領域内に車両が存在しない場合、車両位置確認ボックスBXを表示させないように構成してもよい。これにより、車両が存在する低識別性車両位置領域を迅速に把握することができる。
【0137】
なお、業務ステータスが「勤務時間外」に設定されている車両、または、「勤務時間外」となってから所定時間(例えば、1時間)が経過した車両については、プライバシー保護の観点から、車両位置確認ボックスBX内にすら車両アイコンを表示させないようにしてもよい。
【0138】
また、閲覧モードによって詳細な車両位置を表示させるか否かを変更させるようにしてもよい。例えば、閲覧モード「リアルタイム表示」では、位置情報の閲覧が承認されていない車両を車両位置確認ボックスBX内に表示し、閲覧モード「車両日報表示」では、位置情報の閲覧が承認されていない車両においても、具体的な車両位置座標に基づき電子地図上に車両アイコンを表示させるようにしてもよい。
【0139】
また、上記の表示例で例示した電子地図領域MRとは異なり、例えば、車両位置確認ボックスBXを低識別性車両位置領域ごとに配置しなくてもよい。この場合、電子地図領域MR内、あるいは電子地図領域MR外に1つの車両位置確認ボックスBXを配置し、車両が属する低識別性車両位置領域に関わらず、その車両位置確認ボックスBX内に車両アイコンを表示させるように構成することができる。これにより、車両が広範囲に分布している場合においても、位置座標が低識別性化されている車両を容易に把握することができる。
【0140】
[第3実施例の効果]
本実施例は、移動体情報は、少なくとも移動体の位置に関する位置情報(例えば、車両位置座標)を含み、地図(例えば、電子地図領域MR)を情報表示装置に表示させることを含み、制限設定がされていない場合、位置情報に関連付けられた移動体表示(例えば、車両アイコン)を、電子地図上における車両位置座標に対応する位置に重畳表示させ、制限設定がされている場合、制限設定がされていない場合よりも移動体表示の表示上の位置精度を低下させる構成を示している。
これによれば、移動体の位置情報の閲覧制限設定がされている場合においても、表示上の位置精度が低い態様で移動体表示を行うことで、情報表示装置のユーザは、移動体の正確な位置までは把握できなくとも移動体のおおよその位置を把握することができ、業務上適切な範囲で状況の把握を行うことができる、という効果が得られる。
【0141】
また、本実施例は、移動体情報は、移動体の位置情報の閲覧制限設定がされている場合、移動体表示を地図とは異なる領域(例えば、電子地図領域MR外の車両位置確認ボックスBX)に表示させる構成を示している。
これによれば、情報表示装置のユーザは、各移動体の位置情報の閲覧制限設定がされているか否かを一目で識別できる、という効果が得られる。
【0142】
また、本実施例は、移動体の位置情報の閲覧制限設定がされている場合、位置情報に基づいて、地図に設定された複数の地図領域(例えば、低識別性車両位置領域)のうち位置情報に対応する地図領域内の所定領域(例えば、車両位置確認ボックスBX)に移動体表示を重畳表示させる構成を示している。
これによれば、情報表示装置のユーザは、各移動体の位置情報の閲覧制限設定がされているか否かについての情報と、その移動体の詳細な位置情報または大まかな位置情報を一度に、かつ容易に識別できる、という効果が得られる。
【0143】
また、本実施例は、移動体情報は、移動体の進行方向に関する進行情報を含み、移動体の位置情報の閲覧制限設定がされていない場合、進行情報に関連した第1態様(例えば、矢印アイコンが付与される表示態様)で移動体表示(例えば、車両アイコン)を情報表示装置に表示させ、移動体の位置情報の閲覧制限設定がされている場合、移動体情報の第1態様での表示を制限する構成を示している。
これによれば、情報表示装置のユーザは、移動体の位置情報の閲覧制限設定がされている場合、移動体の進行方向を把握できないため、移動体のユーザに、過度な監視が行われていると感じさせてしまうことを防止することができる、という効果が得られる。
【0144】
また、本実施例は、移動体情報は、移動体の移動速度に関する速度情報又は移動体の加速度に関する加速度情報を含み、移動体の位置情報の閲覧制限設定がされていない場合、速度情報又は加速度情報に関連した第2態様(例えば、車両の走行速度を加える表示態様)で移動体表示(車両位置確認ボックスBXの車両状態表示)を情報表示装置に表示させ、移動体の位置情報の閲覧制限設定がされている場合、移動体情報の第2態様での表示を制限する構成を示している。
これによれば、情報表示装置のユーザは、移動体の位置情報の閲覧制限設定がされている場合、移動体の移動速度を把握できないため、移動体のユーザに、過度な監視が行われていると感じさせてしまうことを防止することができる、という効果が得られる。
【0145】
[第3変形例(1)]
第3実施例では、例えば、車両を運行するユーザ設定に従って、位置情報の閲覧が制限されるか否かの判定を行うが、これに限定されない。例えば、閲覧制限の設定として、以下の3種類の設定が可能であるようにしてもよい。
・閲覧不可(電子地図上および車両位置確認ボックスBX内に車両位置座標が表示されない)。
・低識別性で閲覧可(車両位置確認ボックスBX内に車両位置座標に基づく車両アイコンが表示される)。
・高識別性で閲覧可(電子地図上に車両位置座標に基づく車両アイコンが表示される)。
【0146】
なお、閲覧制限の設定はユーザ設定に基づくことに限定されない。例えば、以下に挙げる自動設定を行うようにしてもよい。
・ユーザの自宅住所付近では閲覧不可または低識別性で閲覧可。
・ユーザの事業所住所付近や目的地付近では高識別性で閲覧可。
・ユーザの運転スコアが所定合格値(例えば、80点)以上であれば閲覧不可。また、ユーザの運転スコアが所定失格値(例えば、40点)以下であれば高識別性で閲覧可。ユーザの運転スコアがそれ以外の値であれば、低識別性で閲覧可。
・通常はユーザ設定に従うが、加速度ステータス等に基づいて、急ハンドルや急ブレーキ等の急制動が検知された場合には所定期間内において高識別性で閲覧可。
・通常はユーザ設定に従うが、運行終了から所定期間(例えば、1週間)経過後は高識別性で閲覧可能。
・通常はユーザ設定に従うが、業務上の指定時間(訪問時間や配送時間等)の前後所定期間(例えば、5分間)では高識別性で閲覧可。また、勤務時間外や一時休憩中の時間内は閲覧不可または低識別性で閲覧可。
【0147】
[第3変形例(2)]
第3実施例では、低識別性車両位置領域の区切り方として、隣接する低識別性車両位置領域を重畳させない例を示したが、これに限定されない。例えば、隣接する低識別性車両位置領域の領域境界を重畳させるようにしてもよい。
図17に、本変形例における電子地図領域MRの低識別性車両位置領域の一例を示す。この図では、領域「A」と領域「B」とは、破線で示される領域「A」と領域「B」の重畳領域において重なっている。
ここで、位置情報の閲覧が許可されていない車両名「東京001」の車両位置座標が車両位置「X」から車両位置「Y」を経て車両位置「Z」に移動する場合を考える。このとき、車両位置「X」においては、領域「A」と対応する車両位置確認ボックスBXに車両アイコンが表示される。その後、車両位置が領域「A」と領域「B」との重畳領域に移動する場合、領域「A」を外れるまでは、領域「A」と領域「B」のうち領域「A」に車両位置が存在していたことに基づいて、領域「A」と対応する車両位置確認ボックスBXに車両アイコンが表示されるように構成することができる。そのため、車両位置「Y」においては、領域「A」と対応する車両位置確認ボックスBXに車両アイコンが表示される。そして、車両位置が領域「A」と領域「B」の重畳領域を抜ける場合、領域「B」と対応する車両位置確認ボックスBXに車両アイコンが表示されるように構成することができる。そのため、車両位置「Z」においては、領域「B」と対応する車両位置確認ボックスBXに車両アイコンが表示される。
【0148】
このように低識別性車両位置領域を重畳させることで、車両位置座標が低識別性車両位置領域をまたいで行き来する場合、車両位置確認ボックスBX内の表示が敏感に反応することを防ぎ、車両アイコンの閲覧を容易にすることができるとともに、車両位置確認ボックスBX内の表示変化から車両位置が具体的に推定されることを防ぐことができる。
【0149】
なお、車両位置が領域「A」と領域「B」との重畳領域に移動する場合、領域「A」のうちの重畳領域を除いた領域「A」から領域「B」(領域「B」のうちの重畳領域)に車両位置が移動したことに基づいて、領域「B」と対応する車両位置確認ボックスBXに車両アイコンが表示されるように構成するようにしてもよい。
【0150】
また、車両位置が領域「A」と領域「B」との重畳領域に移動する場合、領域「A」に対応する車両位置確認ボックスBXと、領域「B」に対応する車両位置確認ボックスBXの、それぞれに車両アイコンが表示されるように構成するようにしてもよい。
【0151】
なお、車両位置が領域「A」と領域「B」との重畳領域を移動する場合、車両位置確認ボックスBXにおいて、車両が領域間を移動中であることを示すために、車両アイコンを点滅表示させる等、車両位置が単一の低識別性車両位置領域内に存在する場合と異なる表示態様で表示させるように構成してもよい。
【0152】
また、車両位置が領域「A」と領域「B」との重畳領域を移動する場合、領域「A」に対応する車両位置確認ボックスBXと、領域「B」に対応する車両位置確認ボックスBXの、何れの車両位置確認ボックスBXに車両アイコンを表示させるかをランダムに決定するようにしてもよい。
【0153】
例えば、何れの車両位置確認ボックスBXに車両アイコンを表示させるかを決定する条件として、車両位置のみならず、車両位置に加えて車両位置とは異なる条件を用いるようにしてもよい。この条件として、例えば、車両の加速度情報や速度情報(例えば、重畳領域進入時または進入前の加速度や速度)などの位置情報とは異なる車両に関するパラメータ、時刻情報(例えば、重畳領域進入時刻、重畳領域内における現時刻)、気象情報(重畳領域進入時または重畳領域内における現時点での天気、気温、湿度、風向き、風速)などの環境に関するパラメータのうちの1以上を用いてもよい。
【0154】
そして、複数のパラメータのそれぞれについて状況(各パラメータの内容や数値)に応じた重み付けを行い、重畳領域に車両が進入する毎に、それら複数のパラメータ(複数のパラメータの合算値)に基づいて上記の決定を行うようにしてもよく、重み付けを行った結果、優先度の高い上位(1または複数)のパラメータに基づいて上記の決定を行うようにしてもよい。例えば、速度または加速度が所定値を超えている車両については、領域「A」側から重畳領域に進入した直後に領域「B」に車両アイコンを表示させる等して、早いタイミングでの表示切替によって動きを把握し易いようにしてもよい。
【0155】
なお、何れのパラメータに基づいて上記の決定を行うかについて、予めディレクターが任意に選択できるようにしてもよく、車両位置が重畳領域に進入する毎に、乱数値等に基づいて自動的に選択されるようにしてもよい。
【0156】
このように、重畳領域に進入する際の状況が異なることに応じて、上記の決定に寄与するパラメータが異なること、あるいは、上記の決定に寄与するパラメータの内容や数値等が異なること等、によって、何れの車両位置確認ボックスBXに車両アイコンが表示されるのかに不規則性を持たせることができる。
【0157】
なお、重畳領域内に領域「A」と領域「B」との仮想境界線を設定し、車両位置が仮想境界線をまたいで領域「A」から領域「B」に移動する場合、領域「B」と対応する車両位置確認ボックスBXに車両アイコンが表示されるようにしてもよい。また、仮想境界線は、直線に限らず曲線であってもよく、例えば、前述した各種パラメータに基づき設定されてもよく、所定のタイミングで更新されるようにしてもよい。また、仮想境界線はユーザ毎に設定されるようにしてもよい。
この場合、重畳領域内の仮想境界線を表示させないようにすること等により、第2ユーザ(管理者)が仮想境界線を視認することができないようにしてもよい。すなわち、第2ユーザに対する仮想境界線の表示を制限してもよい。
【0158】
本変形例は、第1地図領域(例えば、低識別性車両位置領域の領域「A」)は、第2地図領域(例えば、低識別性車両位置領域の領域「B」)と重畳する重畳領域を有し、位置情報に対応する座標が重畳領域に含まれる場合に、移動体表示を第1地図領域内の所定領域(領域「A」と対応する車両位置確認ボックスBX)と第2地図領域内の所定領域(領域「B」と対応する車両位置確認ボックスBX)の何れか一方に表示させる構成を示している。
これによれば、移動体の位置情報に対応する座標が第1地図領域と第2地図領域とをまたいで移動する場合、重畳領域を設けることで、情報表示装置のユーザによって移動体の位置が具体的に推測されることを困難にすることができ、結果として、移動体のユーザに対して過度な監視が行われているという意識を生じさせることなく快適な業務環境を提供することができる、という効果が得られる。
【0159】
また、本変形例は、位置情報に対応する座標が、第1地図領域のうちの重畳領域を除く領域に含まれた後に重畳領域に含まれる場合に、移動体表示を第1地図領域内の所定領域に表示させ、第2地図領域のうちの重畳領域を除く領域に含まれる場合に、移動体表示を第2地図領域内の所定領域に表示させる構成を示している。
これによれば、第2ユーザが、移動体の正確な位置までは把握できないまでも、少なくとも移動体が移動中であることと、移動体の大まかな位置とを把握することができる。また、移動体が重畳領域内における第1地図領域と第2地図領域との境界付近を行き来する場合、移動体表示が第1地図領域内の所定領域と第2地図領域内の所定領域とを頻繁に移り変わることを防ぐことができる、という効果が得られる。
【0160】
また、本変形例は、位置情報に対応する座標が、第1地図領域のうちの重畳領域を除く領域に含まれる場合に、移動体表示を第1地図領域内の所定領域に表示させ、重畳領域に含まれる場合に、移動体表示を第2地図領域内の所定領域に表示させる構成を示している。
これによれば、第2ユーザが、移動体の正確な位置までは把握できないまでも、少なくとも移動体が移動中であることと、移動体の大まかな位置とを把握することができる。また、移動体が重畳領域内における第1地図領域と第2地図領域との境界付近を行き来する場合、移動体表示が第1地図領域内の所定領域と第2地図領域内の所定領域とを頻繁に移り変わることを防ぐことができる、という効果が得られる。
【0161】
また、本変形例は、第1地図領域は、第2地図領域と重畳する重畳領域を有し、位置情報に対応する座標が重畳領域に含まれる場合に、移動体表示を第1地図領域内の所定領域と、第2地図領域内の所定領域とにそれぞれ表示させる構成を示している。
これによれば、第2ユーザが、移動体の正確な位置までは把握できないまでも、少なくとも移動体が移動中であることと、移動体の大まかな位置とを把握することができる。また、移動体が重畳領域内における第1地図領域と第2地図領域との境界付近を行き来する場合、移動体表示が第1地図領域内の所定領域と第2地図領域内の所定領域とを頻繁に移り変わることを防ぐことができる、という効果が得られる。
【0162】
また、本変形例は、位置情報に対応する座標が、重畳領域を除く第1地図領域に含まれる場合と、重畳領域に含まれる場合とで、移動体表示の表示態様が異なる(例えば、点滅か点灯か)構成を示している。
これによれば、情報表示装置のユーザは、位置情報に対応する座標が重畳領域か否かを容易に識別することができる、という効果が得られる。
【0163】
[第3変形例(3)]
低識別性車両位置領域の区切り方として、低識別性に段階を設けて区切るようにしてもよい。例えば、第3実施例では、管理者端末20の表示部24に表示される電子地図領域MRを縦横2×2で4分割する場合について例示した。
これに対して、例えば、電子地図領域MRを縦横3×3で9分割する第1低識別性車両位置領域と、電子地図領域MRを縦横2×2で4分割する第2低識別性車両位置領域とを設定できるようにしてもよい。
【0164】
管理者端末20において、第1低識別性車両位置領域で区切る場合、第2低識別性車両位置領域で区切る場合よりもより識別性の低下の度合いが低い車両位置座標に基づき車両アイコンが表示される。そのため、管理者は、第1低識別性車両位置領域で区切る場合には、第2低識別性車両位置領域で区切る場合に比べてより正確な車両位置座標を把握することができる。
【0165】
第1低識別性車両位置領域と第2低識別性車両位置領域との何れの低識別性領域を用いるかに関する識別性低下段階設定は、各ユーザが、例えば、閲覧制限設定オブジェクトSOB等から設定できるようにしてもよいし、管理者が一括して設定できるようにしてもよい。また、例えば、運転スコアに基づいて、ユーザが設定可能な識別性低下段階設定が選択されるようにしてもよい。この場合、運転スコアが高スコアのユーザは第2低識別性車両位置領域を選択可能であるが、低スコアのユーザは第1低識別性車両位置領域のみを選択可能である、といった設定が可能である。
【0166】
なお、例えば、識別性低下段階設定を2段階以上の任意の段階に設定できるようにしてもよい。また、第1低識別性車両位置領域の識別性低下の度合いが第2低識別性車両位置領域よりも小さい条件を満たす場合、それぞれの低識別性車両位置領域は矩形領域以外の任意の領域に設定できるようにしてもよい。
【0167】
[その他]
一の態様として、情報表示装置を含むシステムであって、移動体に関する移動体情報を取得する制御部を含み、前記制御部は、前記移動体情報の閲覧に関する制限設定がされていない場合、前記移動体情報を前記情報表示装置に表示させ、前記制限設定がされている場合、前記移動体情報の前記情報表示装置への表示を制限するシステムを構成してもよい。
【符号の説明】
【0168】
1 移動体管理システム
10 サーバ
20 管理者端末
30 ネットワーク
40 車載端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図16
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