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特許7456610デジタル医療情報提供装置、デジタル医療情報提供方法およびデジタル医療情報提供プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】デジタル医療情報提供装置、デジタル医療情報提供方法およびデジタル医療情報提供プログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 80/00 20180101AFI20240319BHJP
【FI】
G16H80/00
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020061554
(22)【出願日】2020-03-30
(65)【公開番号】P2021162943
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2022-12-02
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 公開者 Contrea株式会社 公開ウェブサイトのアドレス https://twitter.com/kazu_bou21/status/1176858078370660352?s=20 公開日 令和1年9月25日 〔刊行物等〕 公開者 Contrea株式会社 公開イベント ジャパンヘルスケアビジネスコンテスト 公開日 令和1年10月9日 〔刊行物等〕 公開者 株式会社日経BP 公開ウェブサイトのアドレス https://project.nikkeibp.co.jp/behealth/atcl/feature/00004/102800089/?P=7 公開日 令和1年10月29日 〔刊行物等〕 公開者 Contrea株式会社 公開ウェブサイトのアドレス https://twitter.com/kazu_bou21/status/1220346915574800385?s=20 公開日 令和2年1月23日 〔刊行物等〕 公開者 Contrea株式会社 公開ウェブサイトのアドレス https://www.contrea.jp/product 公開日 令和2年3月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】520111752
【氏名又は名称】Contrea株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】川端 一広
【審査官】松尾 真人
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-250967(JP,A)
【文献】特表2010-509681(JP,A)
【文献】特表2010-517611(JP,A)
【文献】特開2012-157683(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0005949(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0174079(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
A61B 5/00-5/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療従事者が操作端末に入力した医療従事者情報、動画オーダー情報、電子カルテ情報を含むカルテ情報または患者情報、及び患者が操作端末に入力した患者情報を受信する受信部と、
疾患に関する複数の動画を記憶する記憶部と、
前記受信部が受信した前記医療従事者情報および前記患者情報に基づいて前記疾患に関する動画を生成する生成部であって、前記受信部が受信した前記医療従事者情報および前記患者情報に基づいて、前記記憶部に記憶されている複数の動画の中から、前記医療従事者が前記医療従事者の前記操作端末で選択した項目に基づいて、それらの項目に該当する複数の動画を組み合わせて、前記患者の疾患の治療段階ごとに最適な一の動画を生成する生成部と、
前記生成部が生成した前記動画を前記患者の操作端末に配信する動画配信部と、
を備え
前記動画配信部が前記動画を配信した前記患者の通信端末に、前記患者の理解度および関心度を確認する事項および医療従事者に確認したい事項に関するアンケートを配信するアンケート配信部をさらに備え、
前記アンケート配信部は、前記操作端末に備えられたカメラで撮影または集音する前記患者の表情または音声の解析に応じて配信するアンケート項目を自動的に切り換える配信項目切換部を備えるデジタル医療情報提供装置。
【請求項2】
前記生成部が生成した前記動画の内容を検知する検知部と、
前記動画配信部が前記複数の動画から少なくとも一の動画を配信する時期を制御する制御部と、をさらに備え、
前記検知部が前記患者の診察状況を検知し、前記検知部の検知結果に基づいて、前記制御部が適切なタイミングで前記動画配信部が配信した動画を前記患者の操作端末に送信するよう制御することを特徴とする請求項1に記載のデジタル医療情報提供装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記患者のステータスに応じて、前記動画配信部が配信した動画のうち重複する動画を除いて前記患者の操作端末に配信するよう制御することを特徴とする請求項2に記載のデジタル医療情報提供装置。
【請求項4】
前記受信部は、前記医療従事者からの前記医療従事者情報を受信する医療従事者情報受信部と、前記医療従事者からの前記動画オーダー情報を受信する動画オーダー情報受信部と、前記医療従事者からの前記カルテ情報を受信するカルテ情報受信部と、前記患者からの前記患者情報を受信する患者情報受信部とを備え、前記医療従事者情報受信部は、選択された治療部位を示す部位情報を受信する部位情報受信部と、選択された治療法を示す治療法情報を受信する治療法情報受信部と、を備え、前記部位情報と前記治療法情報とを提供する動画は、前記医療従事者の氏名およびIDにより自動的に生成されることを特徴とする請求項1に記載のデジタル医療情報提供装置。
【請求項5】
前記生成部は、前記記憶部が記憶している前記動画のうち、前記医療従事者が選択した項目の動画を組み合わせて一の動画を生成することを特徴とする請求項に記載のデジタル医療情報提供装置。
【請求項6】
前記生成部は、前記一の動画のうち前記医療従事者が前記患者に注視してほしい部分に注視情報を付加する注視情報付加部を備えることを特徴とする請求項に記載のデジタル医療情報提供装置。
【請求項7】
前記配信項目切換部は、前記患者の理解度および関心度を確認する事項の回答に応じて前記医療従事者に確認したい事項の表示順を切り換えることを特徴とする請求項1に記載のデジタル医療情報提供装置。
【請求項8】
医療従事者の端末に保存された電子カルテから患者の診察結果を示す情報を取得する取得部と、前記取得部が取得した前記情報を出力する出力部とをさらに備える請求項に記載のデジタル医療情報提供装置。
【請求項9】
前記医療従事者からの前記電子カルテへの入力を受け付ける受付部と、動画配信部が配信した動画を前記電子カルテに反映する反映部とをさらに備える請求項に記載のデジタル医療情報提供装置。
【請求項10】
受信部と、記憶部と、生成部と、動画配信部と、を備えるデジタル医療情報提供装置が実行するデジタル医療情報提供方法であって、
前記デジタル医療情報提供方法は、
医療従事者が操作端末に入力した医療従事者情報、動画オーダー情報、電子カルテ情報を含むカルテ情報または患者情報、及び患者が操作端末に入力した患者情報受信部が受信する受信ステップと、
疾患に関する複数の動画を記憶部が記憶する記憶ステップと、
前記受信ステップで受信された前記医療従事者情報および前記患者情報に基づいて前記疾患に関する動画を生成部が生成する生成ステップであって、前記生成部は、前記受信部が受信した前記医療従事者情報および前記患者情報に基づいて、前記記憶部に記憶されている複数の動画の中から、前記医療従事者が前記医療従事者の前記操作端末で選択した項目に基づいて、それらの項目に該当する複数の動画を組み合わせて、前記患者の疾患の治療段階ごとに最適な一の動画を生成する、生成ステップと、
前記生成ステップで生成された前記動画を患者の操作端末に動画配信部が配信する動画配信ステップと、を備え
前記動画配信部が前記動画を配信した前記患者の通信端末に、前記患者の理解度および関心度を確認する事項および医療従事者に確認したい事項に関するアンケートを配信するアンケート配信ステップをさらに備え、
前記アンケート配信ステップは、前記操作端末に備えられたカメラで撮影または集音する前記患者の表情または音声の解析に応じて配信するアンケート項目を自動的に切り換える配信項目切換ステップを備えるデジタル医療情報提供方法。
【請求項11】
コンピュータに、
医療従事者が操作端末に入力した医療従事者情報、動画オーダー情報、電子カルテ情報を含むカルテ情報または患者情報、及び患者が操作端末に入力した患者情報を受信する受信機能と、
疾患に関する複数の動画を記憶する記憶機能と、
前記受信機能により受信された前記医療従事者情報および前記患者情報に基づいて前記疾患に関する動画を生成する生成機能であって、前記受信機能により受信した前記医療従事者情報および前記患者情報に基づいて、前記記憶機能により記憶されている複数の動画の中から、前記医療従事者が前記医療従事者の前記操作端末で選択した項目に基づいて、それらの項目に該当する複数の動画を組み合わせて、前記患者の疾患の治療段階ごとに最適な一の動画を生成する、生成機能と、
前記生成機能により生成された前記動画を患者の操作端末に配信する動画配信機能と
前記動画を配信した前記患者の通信端末に、前記患者の理解度および関心度を確認する事項および医療従事者に確認したい事項に関するアンケートを配信するアンケート配信機能をさらに備え、
前記アンケート配信機能は、前記操作端末に備えられたカメラで撮影または集音する前記患者の表情または音声の解析に応じて配信するアンケート項目を自動的に切り換える配信項目切換機能と、を実現させる、デジタル医療情報提供プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル医療情報提供装置、デジタル医療情報提供方法およびデジタル医療情報提供プログラムに関する。具体的には、患者に説明を行うための動画データのうち医療従事者が必要と判断して選択した動画データを患者の操作端末に送信し、その後に理解度および関心度や質問したい項目のアンケートを配信するデジタル医療情報提供装置、デジタル医療情報提供方法およびデジタル医療情報提供プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1のように、保健医療提供者、保健医療提供施設、保健医療提供システムなどの複数のデータソースからモバイル機器(例えば、スマートフォンやタブレット)上に患者情報を示す動画データを提供する方法、システムおよび装置が知られている。
【0003】
また、下記特許文献2のように、手術等の治療行為中に手術部位を撮影した動画映像を複数の外部端末に配信することができる映像配信装置が知られている。
【0004】
また、下記特許文献3のように、遠隔診療によって患者の生活習慣を改善することができる支援装置が知られている。特に、動画を用いた遠隔診療に関する情報を送受信する処理を医療従事者端末と遠隔改善指導を行う指導者の指導者端末との間で行う処理を行う支援装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-75148号公報
【文献】特開2002-58017号公報
【文献】特開2019-57171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1のような動画データ提供方法等では、操作端末に患者情報および患者の生理学データに関する動画を提供することができるが、患者に対して疾患の症状や治療方針について説明を行う内容に関する動画データを提供することはできない。
【0007】
また、上記特許文献2のような映像配信装置では、外部の端末に手術動画を配信することができるが、患者に対して説明を行う内容に関する動画データを提供することはできない。
【0008】
また、上記特許文献3のような支援装置では、医療従事者と患者とがビデオチャットをすることで遠隔診療を行うことができるが、患者に対して説明を行う内容に関する動画データを提供することはできない。
【0009】
そこで本発明は、患者の疾患の症状や治療方針について説明を行う内容に関する動画データを提供するデジタル医療情報提供装置、デジタル医療情報提供方法およびデジタル医療情報提供プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明のデジタル医療情報提供装置は、医療従事者または患者が操作端末に入力した医療従事者情報、動画オーダー情報、カルテ情報または患者情報を受信する受信部と、疾患に関する複数の動画を記憶する記憶部と、受信部が受信した医療従事者情報および患者情報に基づいて疾患に関する動画を生成する生成部と、生成部が生成した動画を患者の通信端末に配信する動画配信部とを備える。
【0011】
生成部が生成した動画の内容を検知する検知部と、動画配信部が複数の動画から少なくとも一の動画を配信する時期を制御する制御部とをさらに備え、患者の診察状況を検知し、検知部の検知結果に基づいて、制御部が適切なタイミングで動画配信部が配信した動画を患者の操作端末に送信するよう制御してもよい。
【0012】
制御部は、患者の処方歴に応じて、動画配信部が配信した動画のうち重複する動画を除いて患者の操作端末に配信するよう制御してもよい。
【0013】
動画配信部が動画を配信した患者の通信端末に、患者の理解度および関心度を確認する事項および医療従事者に確認したい事項に関するアンケートを配信するアンケート配信部をさらに備えてもよい。
【0014】
受信部は、医療従事者からの医療従事者情報を受信する医療従事者情報受信部と、医療従事者からの動画オーダー情報を受信する動画オーダー情報受信部と、医療従事者からのカルテ情報を受信するカルテ情報受信部と、患者からの患者情報を受信する患者情報受信部とを備え、医療従事者情報受信部は、選択された治療部位を示す部位情報を受信する部位情報受信部と、選択された治療法を示す治療法情報を受信する治療法情報受信部と、を備え、部位情報と治療法情報とは、医療従事者の氏名およびIDにより自動的に生成されてもよい。
【0015】
生成部は、記憶部が記憶している動画のうち、医療従事者が選択した項目の動画を組み合わせて一の動画を生成してもよい。
【0016】
生成部は、一の動画のうち医療従事者が患者に注視してほしい部分に注視情報を付加する注視情報付加部を備えてもよい。
【0017】
アンケート配信部は、端末に備えられたカメラで撮影または集音する患者の表情または音声の解析に応じて配信するアンケート項目を自動的に切り換える配信項目切換部を備えてもよい。
【0018】
配信項目切換部は、患者の理解度および関心度を確認する事項に対する回答に応じて医療従事者に確認したい事項の表示順を切り換えてもよい。
【0019】
患者同士の複数のコミュニティを作成するコミュニティ作成部をさらに備えてもよい。
【0020】
コミュニティ作成部が作成した複数のコミュニティのうちどのコミュニティに複数の患者のうちどの患者を配属させるかを患者の属性により決定する配属先決定部をさらに備えてもよい。
【0021】
配属先決定部は、複数の動画のうちどの動画を複数のコミュニティのうちどのコミュニティに配信するかを決定してもよい。
【0022】
本発明のデジタル医療情報提供装置は、医療従事者の端末に保存された電子カルテから患者の診察結果を示す情報を取得する取得部と、取得部が取得した情報を出力する出力部とをさらに備えてもよい。
【0023】
医療従事者からの電子カルテへの入力を受け付ける受付部と、動画配信部が配信した動画を電子カルテに反映する反映部とをさらに備えてもよい。
【0024】
また、上記課題を解決するために、本発明のデジタル医療情報提供方法は、医療従事者または患者が操作端末に入力した医療従事者情報、動画オーダー情報、カルテ情報または患者情報を受信する受信ステップと、疾患に関する複数の動画を記憶する記憶ステップと、受信ステップで受信された医療従事者情報および患者情報に基づいて疾患に関する動画を生成する生成ステップと、生成ステップで生成された動画を患者の通信端末に配信する動画配信ステップとを備える。
【0025】
また、上記課題を解決するために、本発明のデジタル医療情報提供プログラムは、コンピュータに、医療従事者または患者が操作端末に入力した医療従事者情報、動画オーダー情報、カルテ情報または患者情報を受信する受信機能と、疾患に関する複数の動画を記憶する記憶機能と、受信機能により受信された医療従事者情報および患者情報に基づいて疾患に関する動画を生成する生成機能と、生成機能により生成された動画を患者の通信端末に配信する動画配信機能とを実現させる。
【発明の効果】
【0026】
本発明のデジタル医療情報提供装置、デジタル医療情報提供方法およびデジタル医療情報提供プログラムによれば、患者は疾患の症状や治療方針について情報を受け取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の一の実施形態においてデジタル医療情報が提供される全体構成を示す図である。
図2】本発明の一の実施形態におけるデジタル医療情報提供装置の構成例を示す図である。
図3】本発明の一の実施形態に係るデジタル医療情報提供装置における動画作成フローを示す図である。
図4】本発明の一の実施形態に係るデジタル医療情報提供装置における検知部および制御部の機能を説明する図である。
図5】本発明の一の実施形態における医療従事者の操作端末の画面を示す図である。
図6】本発明の一の実施形態における医療従事者の操作端末の画面を示す図である。
図7】本発明の一の実施形態における医療従事者の操作端末の画面を示す図である。
図8】本発明の一の実施形態における医療従事者の操作端末の画面を示す図である。
図9】本発明の一の実施形態における医療従事者の操作端末の画面を示す図である。
図10】本発明の一の実施形態における医療従事者の操作端末の画面を示す図である。
図11】本発明の一の実施形態における医療従事者の操作端末の画面を示す図である。
図12】本発明の一の実施形態における医療従事者の操作端末の画面を示す図である。
図13】本発明の他の実施形態における医療従事者の操作端末の画面を示す図である。
図14】本発明の他の実施形態における医療従事者の操作端末の画面を示す図である。
図15】本発明の一の実施形態における医療従事者の操作端末の画面を示す図である。
図16】(a)は、本発明の一の実施形態に係るデジタル医療情報提供装置のデータベースの一例を示す図である。(b)は、本発明の一の実施形態に係るデジタル医療情報提供装置のデータベースの一例を示す他の図である。
図17】本発明の一の実施形態に係るデジタル医療情報提供装置のデータベースの一例を示す他の図である。
図18】本発明の他の実施形態における医療従事者の操作端末の画面を示す図である。
図19】本発明の一の実施形態における患者の操作端末の画面を示す図である。
図20】本発明の一の実施形態における患者の操作端末の画面を示す図である。
図21】本発明の一の実施形態における患者の操作端末の画面を示す図である。
図22】本発明の一の実施形態における患者の操作端末の画面を示す図である。
図23】本発明の一の実施形態における患者の操作端末の画面を示す図である。
図24】本発明の一の実施形態における患者の操作端末の画面を示す図である。
図25】本発明の一の実施形態における患者の操作端末の画面を示す図である。
図26】本発明の一の実施形態における患者の操作端末の画面を示す図である。
図27】本発明の一の実施形態における患者の操作端末の画面を示す図である。
図28】(a)~(c)は、本発明の一の実施形態に係るデジタル医療情報提供装置が保持しているテーブルを示す図である。
図29】本発明の一の実施形態に係るデジタル医療情報提供装置が保持しているテーブルを示す図である。
図30】本発明の一の実施形態に係るデジタル医療情報提供装置における画像にマーキングを施した図である。
図31】本発明の一の実施形態に係るデジタル医療情報提供装置におけるコミュニティ作成部が作成した患者同士のコミュニティの画面を示す図である。
図32】本発明の一の実施形態に係るデジタル医療情報提供装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
[デジタル医療情報提供装置]
本発明のデジタル医療情報提供装置1によりデジタル医療情報が提供されるデジタル医療情報提供システムの全体構成を図1に示す。デジタル医療情報提供装置1は、医療に関する情報を提供する装置である。デジタル医療情報提供装置1は、患者2の疾患の治療の複数の段階に基づいて、各段階において最適な治療等を受けられるよう動画を配信する装置である。デジタル医療情報提供装置1は、一例として、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、サーバ装置などに代表される情報処理装置によって実現されるものである。疾患とは正常な精神または身体の機能が撹乱された状態をいい、例えばがんなどが挙げられる。
【0029】
図1に示すように、患者2は、第1の病院3を受診した結果、第2の病院4への紹介状を受け取る。第1の病院3とは、例えば、患者2が居住する地域の中小病院であり、第2の病院4とは、例えば、大都市の総合病院である。患者2は第2の病院4を受診し、診断を下される。第2の病院4の医療従事者は電子カルテに患者2の患者情報を入力し、その入力結果をデジタル医療情報提供装置1が取得する。医療従事者とは、医師の他、例えば、看護師、理学療法士、放射線技師、臨床検査技師など医療に従事する者全般をいう。
【0030】
医療従事者の操作端末6はネットワーク7を介してデジタル医療情報提供装置1と接続されており、例えば、PC、タブレット、スマートフォンである。患者の操作端末5も、ネットワーク7を介してデジタル医療情報提供装置1と接続されており、例えば、PC、タブレット、スマートフォンである。医療従事者は医療従事者の操作端末6に医療従事者情報、動画オーダー情報、カルテ情報または患者情報を入力し、その入力結果をデジタル医療情報提供装置1が受信すると、適切なタイミングで患者2に動画を患者の操作端末5に配信する。医療従事者情報とは医療従事者を特定するための情報であり後述するように例えば医療従事者の氏名やID(例えば、厚生労働省発行のIDであり、他の例として、デジタル医療情報提供装置1が発行するIDであってもよい)である。動画オーダー情報とはどの動画を配信するかをオーダーするための情報であり、例えば動画の番号である。カルテ情報とは患者2のカルテに記載された情報であり、例えば診察記録や検査情報である。患者情報とは患者を特定するための情報であり後述するように例えば患者の氏名やID(例えば、診察券番号であり、他の例として、デジタル医療情報提供装置1が発行するIDであってもよい)である。
【0031】
次に、デジタル医療情報提供装置1の各構成要素を、図2を用いて説明する。デジタル医療情報提供装置1は、受信部10、取得部20A、受付部20B、出力部20C、反映部20D、記憶部30、生成部40、コミュニティ作成部50、動画配信部60、アンケート配信部70、検知部80および制御部90を備える。各構成要素については後述する。
【0032】
図3に、本実施形態におけるデジタル医療情報提供装置1の動画作成フローを示す。医師を起点として、医療従事者が医療従事者の操作端末6に動画オーダー情報を入力すると、その動画オーダー情報がネットワークに送信される。そして、ネットワークがデジタル医療情報提供装置1の記憶部30に動画オーダー情報を送信すると、記憶部30に記憶された複数の動画のうち必要な動画をピックアップしてネットワークに返す。次に、動画配信部60が配信した複数の動画のうち、検知部80および制御部90がフィルタをかけて患者2の操作端末に送信する。
【0033】
図4に示すように、検知部80および制御部90が、動画配信部60が配信した複数の動画を、適切なタイミングで患者2の操作端末5に送信する。まず、取得部20Aが患者2のステータス(例えば、初診後かつ告知前)情報を取得し、取得部20Aが取得した患者2のステータス情報を出力部20Cが検知部80に出力する。検知部80は、動画配信部60が配信した複数の動画と、出力部20Cが出力した患者2のステータス情報とを結合させる。具体的には、図4の中央に示すように、「臓器の働き+初診後かつ告知前」、「CT検査+初診後かつ告知前」、「手術方法+初診後かつ告知前」、「疾患説明+初診後かつ告知前」、「合併症(1)+初診後かつ告知前」、「合併症+初診後かつ告知前」というように結合させる。
【0034】
制御部90は、図4の中央に示すように動画配信部60が配信した複数の動画と出力部20Cが出力した患者2のステータス情報とを結合させたものを、患者2の操作端末5に送信してよいか否かを制御する。例えば、図4下部に示すように、初診後かつ告知前であれば、「臓器の働き」、「CT検査」、「疾患説明」などについては送信してよいと判断して患者2の操作端末5に送信し、「手術方法」、「合併症(1)」、「合併症(2)」などについては送信するにはまだ早いと判断して患者2の操作端末5に送信しないというように制御することができる。
【0035】
また、制御部90は、告知後であれば、残りの動画、すなわち、「手術方法」、「合併症(1)」、「合併症(2)」の動画が配信されるように制御する。つまり、重複する動画が配信されないように制御する。
【0036】
以下に、デジタル医療情報提供装置1により医療従事者の操作端末6に提供される情報とその流れの一例について説明する。医療従事者は医療従事者の操作端末6に、図5~12に示すように、医療従事者情報および患者情報を入力する。入力には直接入力と提示されている項目の中から所望の項目を選択する選択入力とが含まれる。以下、疾患ががんである場合、特に胃がんである場合について、具体的に説明するが、胃がんに限定するものではない。
【0037】
まず、図5に示すように、医療従事者は、ログイン画面に自身のユーザネーム(氏名)とデジタル医療情報システムにログインするためのパスワード(ID)とを入力する。
【0038】
次に、図6に示すように、医療従事者は、対象の患者2のIDを入力する。
【0039】
これにより、図7に示すように、患者2の氏名とIDとが表示され、その下に、医療従事者の氏名とIDとに紐づいた部位選択項目および治療法選択項目が表示される。例えば、同図に示すように、部位としては、例えば「胃」、「食道」などが表示され、治療法としては例えば「外科的」、「化学療法」、「内視鏡」、「放射線」などが表示される。医療従事者はこれらの部位選択項目および治療法選択項目のうち患者2に提供したい情報を示す項目を少なくとも一つずつ選択する。右下には「確定」ボタン401が表示され、医療従事者は項目を選択後に、この「確定」ボタン401を押下する。
【0040】
医療従事者が「確定」ボタン401を押下すると、図8に示す画面が表示される。この図8に示す画面は、上述のように医療従事者が図7で選択した項目にしたがって表示される。例えば、この図8に示す画面は、医療従事者が図7の部位選択で「胃」を選択し、治療法選択で「外科的」を選択した場合の表示項目であり、「解剖」、「病態」、「検査」、「治療法」、「術式」、「再建法」、「合併症」、「補助的化学療法」、「補助的放射線療法」などの項目が表示される。
【0041】
「解剖」としては「働き」、「構造」などの項目を選択するボタンが表示される。医療従事者は、これらの項目のうち少なくとも一つを選択してもよく、全て選択してもよく、全て選択しなくてもよい。また、「病態」としては「進行度」、「転移」、「症状」などの項目を選択するボタンが表示される。医療従事者は、これらの項目のうち少なくとも一つを選択してもよく、全て選択してもよく、全て選択しなくてもよい。
【0042】
「検査」としては「肺機能」、「心電図」、「レントゲン」、「上部内視鏡」、「下部内視鏡」、「胃透視」、「CT」、「PET/CT」、「MRI」などの項目を選択するボタンが表示される。医療従事者は、これらの項目のうち少なくとも一つを選択してもよく、全て選択してもよく、全て選択しなくてもよい。「治療法」としては「開腹」、「腹腔鏡」、「内視鏡」などの項目を選択するボタンが表示される。医療従事者は、これらの項目のうち少なくとも一つを選択する。
【0043】
「術式」としては「胃全摘手術」、「幽門側胃切除術」、「幽門側保存胃切除術」、「噴門側胃切除術」などの項目を選択するボタンが表示される。医療従事者は、これらの項目のうち少なくとも一つを選択する。「再建法」としては「Roux-en-Y法」、「Billroth I法」、「Billroth II法」、「空腸間置法」、「double tract法」、「胃胃吻合法」などの項目を選択するボタンが表示される。医療従事者は、これらの項目のうち少なくとも一つを選択する。
【0044】
「合併症」としては「術後出血」、「膵液漏」、「縫合不全」、「腸閉塞」、「胆嚢炎」、「腹腔内腫瘍」、「他臓器損傷」、「吻合部狭窄」などの項目を選択するボタンが表示される。医療従事者は、これらの項目のうち少なくとも一つを選択してもよく、全て選択してもよく、全て選択しなくてもよい。「補助的化学療法」としては「術前」、「術後」の項目を選択するボタンが表示される。医療従事者はこれらの項目のうち少なくとも一つを選択してもよく、「なし」を選択してもよく、全て選択しなくてもよい。
【0045】
「補助的放射線療法」としては「術前」、「術後」の項目を選択するボタンが表示される。医療従事者は、これらの項目のうち少なくとも一つを選択してもよく、「なし」を選択してもよく、全て選択しなくてもよい。右下には「確定」ボタン501が表示され、医療従事者は項目を選択後この「確定」ボタン501を押下する。ただし、医療従事者は、表示された項目のうち少なくとも一つは選択する必要がある。即ち、図8の例で言えば、「解剖」から「補助的放射線療法」に示される項目全てのうち、いずれか一つは選択しなければならない。
【0046】
医療従事者が「確定」ボタン501を押下すると、図9に示すように、例えば、胃がんの臓器説明から治療までの動画が表示される。この動画は、医療従事者が図8で選択された項目に対応付けられている動画を結合して一つの動画として表示するものであるが、これは、選択された項目に対応付けられている動画各々を羅列して表示するものであってもよい。動画の下には、医療従事者が図8で選択したキーワードが表示される。ここで、表示されるキーワードは、医療従事者が選択したキーワードに限定するものではなく、医療従事者が選択したキーワードに応じて選択される動画に対応付けられ、動画の内容を示すタグデータなどであってもよい。右下には「処方」ボタン601が表示され、医療従事者はこの「処方」ボタン601を押下する。
【0047】
医療従事者が「処方」ボタン601を押下すると、図10に示すように、医療情報が処方された旨の表示がされる。医療情報を処方するとは、図9に示す情報を、患者のIDに宛てて送信することである。また、図11は、図8で一つずつ入力しなくても済むよう、医療従事者が(または自動で)処方動画をカスタマイズし登録することができることを示した図である。処方動画をカスタマイズするとは、具体的には、図8に示される選択項目を選択すると、選択された順序で結合された動画が生成されることをいう。図11に示すように、例えば、胃がんについての説明項目と、食道がんについての説明項目とを示す画面が表示される。
【0048】
図12は、後述するデジタル医療情報提供装置1のアンケート配信部70が患者に配信するアンケート項目を示す画面である。患者がこのアンケートに回答した後、医療従事者は回答結果を見ることができる。また、患者2が医療従事者の操作端末6を用いて回答することもできる。この画面は、図29に示すような、後述する記憶部30に保存されているアンケート情報テーブル36に基づいて作成される。アンケート情報テーブル36は、医療従事者が選択した部位や疾患などに応じて定まる患者に対して質問するアンケート内容を規定した情報を記憶しているテーブルである。アンケート情報テーブル36には、1列目に胃等の部位が、2列目にがん等の疾患が、3列目に胃の働きについて等のアンケートとして質問する内容が記憶されており、この情報に基づいてアンケート項目が表示される。
【0049】
以下に、患者2が患者の操作端末5に情報を入力することについて説明する。図19に示すように、患者2は患者の操作端末5に患者情報を入力する。患者情報には患者2の氏名、ID(例えば、診察券番号であり、他の例として、デジタル医療情報提供装置1が発行するIDであってもよい)、デジタル医療情報提供システムにログインするためのパスワード、パスワード(確認のため再入力)が含まれる。そうすると、図20に示すように、主治医を選択する画面が表示される。患者2はその中から主治医を選択し、「次のページへ」ボタン701を押下する。
【0050】
患者2が「次のページへ」ボタン701を押下すると、図21に示すように、主治医からメッセージが届いている画面が表示される。主治医からメッセージが届いていない場合には、図21に示すような画面は表示されないか、もしくは過去の診察結果が表示される。「確認」ボタン801を押下すると、図22に示すように、主治医からのメッセージと動画開始画面が表示される。「再生」ボタン901を押すと、図23に示すように、動画再生画面が表示される。中央の再生ボタンを押すと、動画が再生される。
【0051】
図23では、画面に拡大して再生される例を示しているが、図24に示すような動画の画像部分での再生でもよい。動画の再生が終わると、図24に示すように、動画をもう一度見たい場合には「もう一度見る」ボタン1001を押下し、項目別に見たい場合には「項目別に見る」ボタン1002を押下する。患者2が動画を見た後、「次へ」ボタン1003を押下すると、図25に示すようなアンケート画面が表示される。
【0052】
アンケート画面は、動画を見た後の患者2の理解度および関心度を確認する質問が表示される。例えば、「胃の働きについて」、「がんの進行度・転移について」、「必要な検査について」、「受ける治療法について」の項目について、「1:全く分からない」、「2:分からない」、「3:どちらでもない」、「4:分かった」、「5:良く分かった」の五段階で理解度および関心度を回答する。さらに、医療従事者に聞きたいこととして、例えば、「入院・治療期間」、「治療費用」、「他の治療法について」、「仕事について」、「治療後の生活について」などの項目があり、これらの項目のチェックボックスにチェックを入れることで回答を受けることができる。
【0053】
例えば、胃の働きについて、「4:分かった」、がんの進行度・転移について、「2:分からない」、必要な検査について、「5:良く分かった」、受ける治療法について、「3:どちらでもない」、のように回答することができる。また、医療従事者に聞きたいこととして、「入院・治療期間」、「他の治療法について」、「仕事について」にチェックを入れることができる。
【0054】
「次へ」ボタン1101を押すと、図26に示すように、「以上で質問は終わりです。診察に呼ばれるまでお待ちください。」というメッセージが表示される。「ホーム」ボタンを押下すると、図27に示すようなホーム画面が表示される。ホーム画面とは、複数のページの中で最も基本となるページをいう。ホーム画面には、基本メニューとして、患者名、病院名、医療従事者名、動画一覧、予定表、コミュニティ、設定などの項目が表示される。これらの各ボタンをタッチする、つまりメニューを選択することで、その選択された項目の詳細な情報を閲覧することができる。「動画一覧」ボタンを押下すると、図30に示すように、医師から処方された項目別の動画一覧が表示される。なお、動画の再生やアンケートへの入力は、医療従事者の操作端末6を利用しても行うことができる。
【0055】
以下に、図2に示した本実施形態におけるデジタル医療情報提供装置1の構成について、具体的に説明する。
【0056】
受信部10は、医療従事者情報受信部11と、動画オーダー情報受信部12と、カルテ情報受信部13と、患者情報受信部14と、を備える。医療従事者情報受信部11は、医療従事者から、ネットワーク7を介して医療従事者の操作端末6において図5に示すような医療従事者情報と、図6に示すような患者情報と、図7に示すように医療従事者が選択した項目の情報を受信する。医療従事者情報受信部11は、部位情報受信部111と、治療法情報受信部112と、を備える。動画オーダー情報受信部12は、医療従事者から、どの動画を配信するかを決める動画オーダー情報を受信する。動画オーダー情報とは例えば動画の番号である。カルテ情報受信部13は、医療従事者から、患者2のカルテに記載されたカルテ情報を受信する。カルテ情報とは例えば患者2の診察記録や検査結果である。また、患者情報受信部14は、患者2から、患者2を特定する患者情報を受信する。患者2を特定する患者情報とは、一例として、図13に示すように、氏名、ID(例えば、診察券番号であり、他の例として、デジタル医療情報提供装置1が発行するIDであってもよい)、パスワード、パスワード(確認のため再入力)などである。患者2は、例えば、氏名に山田太郎、ID(例えば、診察券番号であり、デジタル医療情報提供装置1が発行するIDであってもよい)に00991122などを入力する。
【0057】
取得部20Aは、医療従事者の操作端末6に病院内システムとして保存されている電子カルテから情報を取得する。電子カルテからの情報は、医療従事者が対象患者の診察結果を電子カルテに入力した結果得られる情報である。
【0058】
受付部20Bは、医療従事者からの電子カルテへの入力を受け付ける。
【0059】
出力部20Cは、生成部40が生成した動画データを電子カルテに出力する。出力は医療従事者の操作端末6への単なる表示であってもよく、データのコピーであってもよい。
【0060】
反映部20Dは、出力部20Cが出力した動画を電子カルテに反映させる。
【0061】
記憶部30は、疾患情報の動画データベースを記憶している。疾患情報とは、医療従事者が疾患の症状や治療方針について説明を行う内容に関する動画データである。動画データベースは、治療する部位について説明を行う部位データベース31と、所定の疾患の治療法について説明を行う治療法データベース32とを含む。図16(a)に示すように、部位データベース31は、例えば、胃データベース311、食道データベース312、肝臓データベース313、膵臓データベース314などを保持しているが、これらに限定するものではない。図16(b)に示すように、治療法データベース32は、例えば、外科的治療データベース321、化学療法データベース322、内視鏡検査データベース323、放射線治療データベース324などを保持しているが、これらに限定するものではない。
【0062】
図17に示すように、外科的治療データベース321は、例えば、臓器データベース3211、病態データベース3212、検査データベース3213、治療データベース3214、術式データベース3215、再建法データベース3216、合併症データベース3217、補助的化学療法データベース3218および補助的放射線療法データベース3219などを保持している。臓器データベース3211は、臓器の働き等について説明するための動画のことであり、例えば、胃の働きについて説明する動画データが保持されている。
【0063】
病態データベース3212は、疾患の状態等について説明するための動画のことであり、例えば、胃がんの状態を示す動画データが保持されている。検査データベース3213は、疾患の診断のための検査方法等について説明するための動画のことであり、例えば、上部内視鏡などの検査方法を説明する動画データが保持されている。治療データベース3214は、疾患を治療する方法等について説明するための動画のことであり、例えば、開腹などの治療法を説明する動画データが保持されている。術式データベース3215は、手術の方式等について説明するための動画のことであり、例えば、胃全摘手術の手法を説明する動画データが保持されている。
【0064】
再建法データベース3216は、手術で除去した部分を再建する方法等について説明する動画のことであり、例えば、Roux-en-Y法などの再建法を説明する動画データが保持されている。合併症データベース3217は、がんに合併して発現する疾患等について説明するための動画のことであり、例えば、術後出血などの合併症について説明する動画データが保持されている。
【0065】
補助的化学療法データベース3218は、手術の補助として行う化学療法等について説明するための動画のことであり、例えば、術前および術後の補助的化学療法について説明する動画データが保持されている。補助的放射線療法データベース3219は、手術の補助として行う放射線療法等について説明するための動画のことであり、例えば、術前および術後の補助的放射線療法について説明する動画データが保持されている。同様に、化学療法データベース322も、内視鏡検査データベース323も、放射線治療データベース324も、同様なデータベースを保持している。
【0066】
記憶部30はまた、医療従事者の氏名とIDとを、当該医療従事者の専門領域(専門部位)と専門の診療科とに対応付けた医療従事者情報テーブル33を保持している。図28(a)に示すように、1列目には医療従事者の氏名が、2列目には医療従事者のIDが、3列目には医療従事者の専門部位が、4列目には医療従事者の診療科が記載されている。
【0067】
医療従事者が医療従事者の氏名とIDとを入力すれば、この医療従事者情報テーブル33により、当該医療従事者の専門部位と専門の診療科との情報が自動的に生成される。この入力は基本的には医療従事者により全て手入力されるが、医療従事者のID(例えば、厚生労働省発行のIDであり、他の例として、デジタル医療情報提供装置1が発行するIDであってもよい)と名前を入力するだけで、インターネットでクローリングすることにより、その専門分野や診療科を特定できる。例えば、医療従事者の氏名にAB、医療従事者のIDに001と入力すると、部位として胃が、診療科として外科が選択される。これらの医療従事者ごとの専門部位、診療科の情報は、クラウドコンピューティングシステムに保存されており、当該クラウドコンピューティングシステムからこれらの情報が取得される。
【0068】
例えば、図28(b)に示すように、表示項目情報テーブル34に、例えば「外科」には解剖、病態などの情報が保存されており、図28(c)に示すように、動画内容テーブル35に、例えば「解剖」には全て選択、働き、構造などの情報が保存されている。したがって、医療従事者のデータが入力されれば、その医療従事者に対応付けられている診療科や専門部位が医療従事者情報テーブル33から特定でき、特定された診療科や専門部位から表示されるべき項目が、図28(b)の表示項目情報テーブル34から特定され、配信される動画の内容が図28(c)の動画内容テーブル35から特定されて、図9に示すような、各医療従事者に特化した画面を提供できる。
【0069】
記憶部30はまた、後述するアンケート配信部70が配信するアンケート項目の患者2の理解度および関心度と配信するアンケート項目の順序とを対応付けるアンケート情報テーブル36を保持している。
【0070】
記憶部30はまた、取得部20Aが取得した情報の履歴(ログデータ)、生成部40が生成したログデータ、動画配信部60が配信したログデータを記憶する履歴情報テーブル37を保持している。出力部20Cは、履歴情報テーブル37に記憶されているログデータを電子カルテに出力する。
【0071】
生成部40は、受信部10が受信した医療従事者情報および患者情報に基づいて、記憶部30に記憶されている複数の動画の中から、医療従事者が医療従事者の操作端末6で選択した項目に基づいて、それらの項目に該当する複数の動画を組み合わせて、患者2の疾患の治療段階ごとに最適な一の動画を生成することができる。複数の動画の一つ一つは、外部のクラウドコンピューティングシステムに保存されており、クラウドコンピューティングシステムから取得した複数の動画を、生成部40が組み合わせる。
【0072】
生成部40は、取得部20Aが取得した電子カルテの情報に基づいて、患者2に提供する動画を生成することができる。例えば、医療従事者が患者2に会う前に紹介状などを受け取ったときは紹介状を受け取ったことを医療従事者が電子カルテに入力し、その情報を取得部20Aが取得すると、生成部40は、医療従事者が紹介状を受け取ったタイミングであると認識し、検査や臓器の機能説明などの情報を提供する動画を生成することができる。また、電子カルテ情報、例えば、検査オーダリングの情報を取得すると、自動的に検査の説明動画を生成し、医師にレコメンド(もしくは医師を介さず患者に直接配信)することができる。レコメンドするとは、具体的には、カルテ情報に含まれる文章等から、患者2の病状(例えば、何の疾患で、どの段階にあるか)や、治療の段階(進行度)等の情報を解析し、解析結果に対応する動画を特定して合成した動画を医療従事者に提案(操作端末6に送信)することをいう。
【0073】
また、例えば、医療従事者が患者2に会い、疾患や検査内容などを説明したことを医療従事者が電子カルテに入力し、その情報を取得部20Aが取得すると、生成部40は、医療従事者が患者2に疾患や検査内容などを説明したタイミングであると認識し、検査や臓器の機能説明や、がんの特徴や治療方法についての情報を提供する動画を生成する。また、例えば、全ての検査が終わり、告知と治療方針の説明が終了し、その情報を取得部20Aが取得すると、生成部40は、全ての検査が終わり、告知と治療方針の説明が終了したと認識し、必要な全ての情報を生成する。
【0074】
また、例えば、医療従事者が専門の診療科に紹介状を書いたときには、専門の診療科に紹介状を書いたことを医療従事者が電子カルテに入力し、その情報を取得部20Aが取得すると、生成部40は、医療従事者が専門の診療科に紹介状を書いたタイミングであると認識し、抗がん剤の薬理機序などの治療内容についての情報を提供する動画を生成する。
【0075】
生成するとは、動画の最後と次の動画の先頭とを結合させて一つの動画とすることである。この順序は、例えば、動画に優先度が設定されていて、その優先度順であってもよく、医療従事者が指定した順序であってもよく、患者が興味を持ちそうな順序であってもよい。これらの順序をデジタル医療情報提供装置1が取得して実現させる方法として、動画に優先度が設定されている場合には、例えば、項目Aが優先度20、項目Bが優先度30、項目Cが優先度10という風に設定しておいて、優先度の高い順、つまりB→A→Cの順で動画が生成される。また、医療従事者が表示順序を項目Aが1番目、項目Bが2番目、項目Cが3番目、という風に設定(若しくは動画選択時に指定)している場合には、タイミングの早い順、つまりA→B→Cの順で動画が生成される。また、患者が自身の操作端末5で遠隔診療を受けているような場合には、その操作端末5のインカメラにより撮像された患者2の画像を用いて、患者2が興味を持ちそうな画像(動画)を特定して、その興味を持ちそうな画像を優先して生成するようにするなどして実現させる。
【0076】
生成部40は、医療従事者が患者2に特に見てほしい情報に重み付けする、つまりマーキングする注視情報付加部41を有する。一つ一つの動画を組み合わせて生成された一の動画のうち、ここだけはよく見てほしいと思うチャプターや瞬間を、その部分にマーキングを施すなどでエフェクトを付けて目立たせる加工を施し、患者2の注意を喚起する。エフェクトの付け方は、動画を点滅させることであってもよく、動画の枠をカラーにすることであってもよく、スロー再生を行うことであってもよく、静止画としてサムネイルを付けることであってもよい。また、図30に示すように、このサムネイル画像に対して、マーカ75で示すように一の画像の枠に医療従事者がマーキングを施してもよいし、マーカ76で示すように一の画像の一部分を、例えばこの部分ががんであるというようなことが分かるようにその部分に医療従事者がマーキングを施してもよい。このように動画を加工することにより、医療従事者が患者2に特に注意して見てほしいと思う部分を患者2が特に注意して見ることが可能になる。
【0077】
コミュニティ作成部50は、デジタル医療情報システム内に患者同士のコミュニティを作成する。コミュニティ作成部50は、ネットワーク7を介して、例えば、がん患者グループなどのコミュニティを作成する。ここでいうコミュニティとは、複数の患者同士あるいは患者と医療従事者との間で意見等の交換などコミュニケーションを行う場のことをいう。図31は、コミュニティ作成部50が作成したコミュニティであって、コミュニティに参加した場合に提供される情報を示すコミュニティ画面の一例である。図31に示すように、コミュニティ画面には、コミュニティに参加しているユーザ(医療従事者、患者などを含む)の識別情報や、コミュニティに参加しているユーザによるチャットの内容や、コミュニティに関連する動画などが含まれてよい。ユーザの識別情報は、ユーザ本人の名前であってもよいし、偽名であってもよいし、何らかのニックネームであってもよい。また、投稿とは、コミュニティに参加しているユーザによるコミュニティのメンバーに有益と思われる情報の提供であってもよい。ファイルとは、コミュニティのメンバーに有益と思われる情報を文書にしたWORDファイルやPDFファイルであってもよい。コミュニティ作成部50は、デジタル医療情報システム内にプラットフォームを作成し、そのプラットフォーム上にコミュニティを作成する。このコミュニティの作成は、医療従事者が指定するものに加えてまたはそれに代わり、システムが自動的に生成することができる。例えば、部位ごと、疾患ごと、住んでいる地域ごとに患者をグループ分けして、そのグループごとにコミュニティを自動的に生成することができる。例えば、胃がんのステージ1の患者のグループのコミュニティが挙げられる。コミュニティ内では、例えば、がんになっても完治した「がんサバイバー」の体験談の動画を閲覧することもできる。このようにがんを克服した人の動画はがん患者の希望になる。また、コミュニティに参加しているユーザを選択して、選択したユーザと1対1でのチャットを行うことができ、選択したユーザが複数である場合には複数のユーザとチャットを行うことができる。
【0078】
例えば、同じ部位(例えば、胃)に疾患(例えば、がん)を有している患者が一定数(例えば、10人)いればその部位にその疾患を有する患者同士のコミュニティを自動的に生成することができる。同じ部位でなくても、同じ疾患(例えば、胃以外のがん)を有している患者が一定数(例えば、10人)いればその疾患を有する患者同士のコミュニティを自動的に生成することができる。また、同じ部位でもなく、同じ疾患でもなくても、他の部位の他の疾患(例えば、糖尿病)を有している患者同士でもコミュニティを自動的に生成することができる。また、同じ地域(例えば、東京都)に住んでいる患者が一定数(例えば、10人)いればその地域に住んでいる患者同士でもコミュニティを自動的に生成することができる。デジタル医療情報システムは、患者の操作端末5にコミュニティへの招待メッセージを送信し、患者2は参加ボタンを押下することでコミュニティに参加することができる。
【0079】
コミュニティ作成部50は、配属先決定部51を含む。コミュニティは大きなものから小さなものまで複数あり、配属先決定部51は、複数の患者を、患者の属性により、複数のコミュニティのうちどのコミュニティに配属させるかを決定する。例えば、胃がんのステージ1の患者であれば、胃がんのステージ1の患者のコミュニティに配属させる、という具合である。即ち、一例として、配属先決定部51は、コミュニティの属性(例えば、どのような症状に関するものであるか、病状としての進行度、どの部位に関するものであるかなど)と、配属させる患者の属性(例えば、どのような病状を有しているか(あるいは有していないか)、現在の病状の進行度がどの段階か、どの部位を患っているかなど)との相関の度合から、配属先を決定する。
【0080】
このようにコミュニティ作成部50および配属先決定部51を備えることにより、コミュニティが作成され、動画を配信するコミュニティが選択されることが可能になる。
【0081】
動画配信部60は、生成部40が生成した動画を患者の操作端末5に配信する。なお、動画の配信は、患者の操作端末5だけに限るものではなく、医療従事者の操作端末6に対して、また、患者が配信を希望する者、例えば家族やかかりつけ医の医師などに対して行ってもよい。また、動画配信部60は、コミュニティ作成部50が作成した患者同士のコミュニティにも動画を配信することができる。
【0082】
アンケート配信部70は、動画配信部60が配信した動画を確認した患者2の操作端末5に対して、患者2の理解度および関心度を確認する事項および医療従事者に確認したい事項に関するアンケートを配信する。
【0083】
図25に示すように、患者2は、動画を見たうえで質問に答えることになる。質問とは例えば、「胃の働きについて」、「がんの進行度・転移について」、「必要な検査について」、「受ける治療法について」などの質問である。これらの質問について、「1:全く分からない」、「2:分からない」、「3:どちらでもない」、「4:分かった」、「5:良く分かった」の五段階で理解度および関心度を回答する。さらに、医療従事者に聞きたいこととして、例えば、「入院・治療期間」、「治療費用」、「他の治療法について」、「仕事について」、「治療後の生活について」などの項目があり、これらの項目のチェックボックスにチェックを入れることで回答を受けることができる。
【0084】
アンケート配信部70は、患者2の許可を得て、患者2の表情を撮像するとともに音声を取得する。そして、患者2の撮影画像から、その時々の患者2の感情を解析する。また、音声認識によっても患者2の感情を解析する。そして解析により、患者2の理解度および関心度を特定し、特定した理解度および関心度に応じて、患者2の表情のトラッキングや音声解析により、アンケート項目を切り換える配信項目切換部71を備える。この配信項目の切り換えは、先述した記憶部30が保持しているアンケート情報テーブル36に基づいて、理解度および関心度に対応する配信項目が順番付けされる。例えば、患者2の説明時の相槌の回数が少ない場合は理解度および関心度が低い、もしくは不安が大きいと判断して、「がんの進行度・転移について」を一番上に表示させることができる。また、患者2が興味を示した動画に対するアンケートを表示してもよい。これは遠隔操作により行うことができ、この遠隔操作はウェブサービスにより行ってもよく、アプリケーションを用いて行ってもよい。この構成を備えることにより、医療従事者は患者の理解度および関心度に応じたアンケートを配信することができる。
【0085】
配信項目切換部71は、アンケート画面上部の理解度および関心度の項目と、下部の医療従事者に聞きたい項目とを連動させることもできる。この医療従事者に聞きたい項目との連動は、先述した記憶部30が保持しているテーブルに基づいて、理解度および関心度に対応する医療従事者に聞きたい項目が順番付けされる。例えば、「がんの進行度・転移について」についての理解度が「1:全く分からない」または「2:分からない」であれば、「入院・治療期間」を一番上に表示させることができる。また、例えば、「受ける治療法について」についての理解度が「4:分かった」または「5:良く分かった」であれば、「他の治療法について」を一番上に表示させることができる。
【0086】
また、配信項目切換部71は、患者2の年代に応じて、医療従事者に聞きたい項目の順番を変えることもできる。例えば、70代、80代の老人なら「仕事について」は一番下に表示させ、30代、40代の働き盛りの人なら「仕事について」を一番上に表示させる、とかいう具合である。
【0087】
図8に示す「解剖」は、図12に示す「胃の働きについて」に、図8に示す「病態」は、図12に示す「がんの進行度・転移について」に、図8に示す「検査」は、図12に示す「必要な検査について」に、図8に示す「治療法、術式、再建法」は、図12に示す「受ける治療法について」に、図8に示す「合併症」は、図12に示す「合併症について」に、それぞれ対応している。
【0088】
本実施形態におけるデジタル医療情報提供装置1によれば、上記のような構成を備えることにより、患者一人一人にカスタマイズされた、患者2の疾患の治療の各状態において、最適な医療情報を受け取ることができる。
[デジタル医療情報提供方法]
【0089】
以下、図32を用いて、本発明に係るデジタル医療情報提供方法について説明する。本発明に係るデジタル医療情報提供方法は、患者2の疾患の治療の複数の段階に基づいて、各段階において最適な治療等を受けられるよう動画を配信するプロセスである。
【0090】
まず、受信ステップS11では、受信部10が、医療従事者から、ネットワーク7を介して医療従事者の操作端末6において図5に示すような医療従事者情報と、図6に示すような患者情報と、図7に示すように医療従事者が選択した項目の情報と、患者2から、患者の操作端末5において図19に示すように患者2が入力した氏名、ID(例えば、診察券番号であり、他の例として、デジタル医療情報提供装置1が発行するIDであってもよい)、パスワードなどの患者情報を受信する。
【0091】
次に、取得ステップS12では、取得部20Aが、医療従事者の操作端末6に病院内システムとして保存されている電子カルテから情報を取得する。
【0092】
次に、受付ステップS13では、受付部20Bが、医療従事者からの電子カルテへの入力を受け付ける。
【0093】
次に、出力ステップS14では、出力部20Cが、生成部40が生成した動画データを電子カルテに出力する。
【0094】
次に、反映ステップS15では、反映部20Dが、出力ステップS14で出力部20Cが出力した動画を電子カルテに反映させる。
【0095】
次に、生成ステップS16では、生成部40が、記憶部30に記憶された複数の動画の中から、複数の動画を組み合わせて加工して、患者2の疾患の治療の各段階において最適な一の動画を生成する。
【0096】
生成ステップS16は、注視情報付加ステップS161を備えてもよい。注視情報付加ステップS161では、注視情報付加部41が、医療従事者が患者に特に見てほしい情報に重み付け、つまりマーキングする。一つ一つの動画を組み合わせて生成された一の動画のうち、ここだけはよく見てほしいと思うチャプターや瞬間を、その部分にマーキングを施すなどのエフェクトを付ける等の加工を施すことで目立たせ、患者の注意を喚起する。エフェクトの付け方は、例えば、動画を点滅させることであってもよく、動画の枠をカラーにすることであってもよく、スロー再生を行うことであってもよく、静止画としてサムネイルを付けることであってもよい。また、図30に示すように、このサムネイル画像に対して、マーカ75で示すように一の画像の枠に医療従事者がマーキングを施してもよいし、マーカ76で示すように一の画像の一部分を、例えばこの部分ががんであるというようなことが分かるようにその部分に医療従事者がマーキングを施してもよい。このように動画を加工することにより、医療従事者が患者に特に注意して見てほしいと思う部分を患者が特に注意して見ることが可能になる。
【0097】
検知ステップS17では、検知部80が、生成部40が生成した動画の内容を検知する。詳しくは後述する。
【0098】
制御ステップS18では、動画配信部60が動画を配信するタイミングを制御する。詳しくは後述する。
【0099】
動画配信ステップS19では、動画配信部60が、生成ステップS16で生成された一の動画を患者の操作端末5に配信する。
【0100】
動画配信ステップS19では、生成ステップS16で生成部40が生成した動画を患者の操作端末5に動画配信部60が配信する。なお、動画の配信は、患者の操作端末5だけに限るものではなく、医療従事者の操作端末6に対して行ってもよい。
【0101】
次に、配信項目切換ステップS20では、配信項目切換部71が、患者2の理解度および関心度によってアンケート項目を切り換える。先述の医療従事者の操作端末6に備え付けられているカメラで、患者2の許可を得て、患者2の表情を撮像するとともに音声を取得する。そして、患者2の撮像画像から、その時々の患者2の感情を解析する。また、音声認識によっても患者2の感情を解析する。そして解析により、患者2の理解度および関心度を特定し、特定した理解度および関心度に応じて、患者2の表情のトラッキングや音声解析により、配信項目を切り換えることができる。この配信項目の切り換えは、先述した記憶部30が保持しているテーブルに基づいて、理解度および関心度に対応する配信項目が順番付けされる。例えば、患者2の説明時の相槌の回数が少ない場合は理解度および関心度が低い、もしくは不安が大きいと判断して、「がんの進行度・転移について」を一番上に表示させることができる。また、患者2が興味を示した動画に対するアンケートを表示してもよい。これは遠隔操作により行うことができ、この遠隔操作はウェブサービスにより行ってもよく、アプリケーションを用いて行ってもよい。
【0102】
また、配信項目切換ステップS20では、アンケート画面の上部の理解度および関心度の項目と、下部の医療従事者に聞きたい項目とを連動させることもできる。この医療従事者に聞きたい項目との連動は、先述した記憶部30が保持しているテーブルに基づいて、理解度および関心度に対応する医療従事者に聞きたい項目が順番付けされる。例えば、「がんの進行度・転移について」についての理解度が「1:全く分からない」または「2:分からない」であれば、「入院・治療期間」を一番上に表示させることができる。
【0103】
次に、アンケート配信ステップS21では、配信項目切換ステップS20で決定された順番で、アンケート配信部70が、患者の理解度および関心度を確認する事項および医療従事者に確認したい事項に関するアンケートを配信する。このアンケート配信ステップS21は、診察を受けた後の、患者の理解度および関心度を把握するために行われる。図25に示すように、患者は、動画を見たうえで質問に答えることになる。質問とは例えば、「胃の働きについて」、「がんの進行度・転移について」、「必要な検査について」、「受ける治療法について」、「合併症について」などの質問である。これらの質問について、「1:全く分からない」、「2:分からない」、「3:どちらでもない」、「4:分かった」、「5:良く分かった」の五段階で理解度を回答する。さらに、医療従事者に聞きたいこととして、例えば、「入院・治療期間」、「治療費用」、「他の治療法について」、「仕事について」、「治療後の生活について」などの項目があり、これらの項目のチェックボックスにチェックを入れることで回答を受けることができる。
【0104】
制御ステップS18では、検知部80および制御部90が、動画配信部60が配信した複数の動画を、適切なタイミングで患者2の操作端末5に送信する。
【0105】
本実施形態のこのような構成によれば、上記のような構成を備えることにより、患者一人一人にカスタマイズされた、患者2の各状態において、最適な医療情報を受け取ることができる。
[デジタル医療情報提供プログラム]
【0106】
本発明に係るデジタル医療情報提供プログラムでは、本発明のデジタル医療情報提供装置1が有する機能をコンピュータに実現させる。
[他の実施形態]
【0107】
本実施形態では、患者の疾患ががんであり、がんが胃がんまたは食道がんである場合について説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば、肝臓がん、胆嚢がん、胆管がん、膵臓がんである場合にも適用できる。図13において、部位選択として、例えば、「肝臓」、「胆嚢」、「胆管」、「膵臓」などのボタンが表示される。医療従事者は、これらの項目のうち少なくとも一つを選択してもよく、全て選択してもよく、全て選択しなくてもよい。また、治療法選択としては「外科的」、「化学療法」、「放射線」などのボタンが表示される。医療従事者は、これらの項目のうち少なくとも一つを選択してもよく、全て選択してもよく、全て選択しなくてもよい。右下には「確定」ボタン1201が表示され、医療従事者がこの「確定」ボタン1201を押下する。
【0108】
また、本実施形態では、図8に示されるような選択項目が表示される画面について説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、図14に示されるような選択項目が表示される画面も可能である。図14では、図13で医療従事者が選択した項目にしたがって、選択すべき項目が表示される。
【0109】
この画面では、図8で表示されていた「術式」、「再建法」、「合併症」、「補助的化学療法」および「補助的放射線療法」に替えて、「抗がん剤種類」および「副作用」の項目が表示される。医療従事者は、これらの項目のうち少なくとも一つを選択してもよく、全て選択してもよく、全て選択しなくてもよい。「解剖」としては「働き」、「構造」などの項目を選択するボタンが表示される。「病態」としては「進行度」、「転移」、「症状」などの項目を選択するボタンが表示される。医療従事者は、これらの項目のうち少なくとも一つを選択してもよく、全て選択してもよく、全て選択しなくてもよい。
【0110】
「検査」としては「超音波」、「EUS」、「レントゲン」、「上部内視鏡」、「下部内視鏡」、「胃透視」、「CT」、「PET/CT」、「MRI」などの項目を選択するボタンが表示される。医療従事者は、これらの項目のうち少なくとも一つを選択してもよく、全て選択してもよく、全て選択しなくてもよい。「抗がん剤種類」としては「FOLFRINOX」、「Gem/nab-PTX」、「ゲムシタビン」、「S1」などの項目を選択するボタンが表示される。医療従事者は、これらの項目のうち少なくとも一つを選択してもよく、全て選択してもよく、全て選択しなくてもよい。「副作用」としては「骨髄抑制」、「嘔気・嘔吐」、「粘膜炎」、「痺れ」、「脱毛」、「下痢」、「間質性肺炎」などの項目を選択するボタンが表示される。医療従事者は、これらの項目のうち少なくとも一つを選択してもよく、全て選択してもよく、全て選択しなくてもよい。「確定」ボタン1301を押すと、選択した項目の動画を組み合わせて一の動画が生成される。ただし、「解剖」から「副作用」の中から少なくとも一つは選択しなければならない。
【0111】
この場合、外科的治療データベース321は、抗がん剤種類データベース3220および副作用データベース3221をさらに含む。
【0112】
また、外科的治療データベース321は、リハビリデータベース3222および栄養指導データベース3223をさらに含む。リハビリデータベース3222は理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などリハビリを担当する医療従事者が利用するためのものであり、栄養指導データベース3223は栄養士が利用するためのものである。
【0113】
次に、また、本実施形態では、図12に示されるようなアンケート項目が表示される画面について説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、図18に示されるようなアンケート項目が表示される画面でもよい。図18に示すように、患者の理解度を確認する事項として、「がんの進行度・転移について」、「必要な検査について」、「受ける治療法について」の3項目だけでもよい。この3項目について、患者は、「1:全く分からない」、「2:分からない」、「3:どちらでもない」、「4:分かった」、「5:良く分かった」、の五段階で理解度を回答する。
【0114】
本実施形態では、患者の疾患ががんである場合について説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、がん以外の疾患であってもよい。例えば、呼吸器感染症、消化器感染症、尿路感染症、皮膚感染症等の感染症である場合にも適用でき、高血圧、不整脈、狭心症、心筋梗塞等の虚血性心疾患等の心血管疾患、全身性エリテマトーデス、慢性関節リウマチ等の膠原病、糖尿病、高脂血症、高コレステロール血症等のメタボリックシンドローム、パーキンソン病(PD)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、多発性硬化症(MS)等の脳神経系疾患である場合にも適用できる。
【0115】
また、動画を処方するのが医師に限らず、リハビリは理学療法士等、栄養指導は栄養士、検査説明は放射線技師・臨床検査技師、入院説明などは看護師など、医療従事者であれば自分の専門領域に応じて処方が可能である。
【0116】
また、本実施形態ではデジタル医療情報提供装置1がオンプレミス環境で利用される場合について述べたが、本発明はこれに限られるものではなく、クラウドコンピューティングシステムを利用する環境で利用される場合にも適用できる。
【符号の説明】
【0117】
1 デジタル医療情報提供装置
2 患者
3 第1の病院
4 第2の病院
5 患者の操作端末
6 医療従事者の操作端末
7 ネットワーク
10 受信部
11 医療従事者情報受信部
12 動画オーダー情報受信部
13 カルテ情報受信部
14 患者情報受信部
20A 取得部
20B 受付部
20C 出力部
20D 反映部
30 記憶部
31 部位データベース
32 治療法データベース
33 医療従事者情報テーブル
34 表示項目テーブル
35 動画内容テーブル
36 アンケート情報テーブル
40 生成部
41 注視情報付加部
50 コミュニティ作成部
51 配属先決定部
60 動画配信部
70 アンケート配信部
71 配信項目切換部
111 部位情報受信部
112 治療法情報受信部
321 外科的治療データベース
322 化学療法データベース
323 内視鏡検査データベース
324 放射線治療データベース
311 胃データベース
312 食道データベース
313 肝臓データベース
314 膵臓データベース
3211 臓器データベース
3212 病態データベース
3213 検査データベース
3214 治療法データベース
3215 術式データベース
3216 再建法データベース
3217 合併症データベース
3218 補助的化学療法データベース
3219 補助的放射線療法データベース
3220 抗がん剤種類データベース
3221 副作用データベース
3222 リハビリデータベース
3223 栄養指導データベース
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