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7456611シートトリミング装置の制御方法、及びシート成形システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】シートトリミング装置の制御方法、及びシート成形システム
(51)【国際特許分類】
   B29C 51/46 20060101AFI20240319BHJP
【FI】
B29C51/46
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020074707
(22)【出願日】2020-04-20
(65)【公開番号】P2021171928
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-03-02
(73)【特許権者】
【識別番号】304050369
【氏名又は名称】株式会社浅野研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】横井 広良
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 利征
【審査官】北澤 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-334568(JP,A)
【文献】特開昭54-062263(JP,A)
【文献】特開昭58-053415(JP,A)
【文献】特開2016-198995(JP,A)
【文献】特開昭61-254455(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 51/00-51/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート加熱成形装置により、シートを加熱して、該シート面内の一部が成形された状態にある半成形品に対し、製品を得るのに必要な成形品要部以外の不要部を、トリミングするシートトリミング装置の制御方法において、
送出される前記半成形品に対し、前記成形品要部を、周期的な運動に基づく切断動作により、不要な部分と分離させる切断部と、
前記切断部の運動を制御する制御部と、を有し、
前記シート加熱成形装置による前記半成形品の加工時間を含む第1タクトタイムで、定常時を、第1基準時間とし、当該シートトリミング装置により前記成形品要部を得るのに要する時間を含む第2タクトタイムで、定常時を、前記第1基準時間に基づいた第2基準時間とすると、
前記制御部は、
前記シート加熱成形装置で、前記第1基準時間に調整時間Δt分長くする前記第1タクトタイムの制御を行うのに対応して、前記第2基準時間に、少なくとも前記調整時間Δtを加えた前記第2タクトタイムに調整できるよう、前記切断部に対し、前記切断動作の周期を制御すること、または、
前記シート加熱成形装置で、調整時間Δt分短くして前記第1基準時間に戻す前記第1タクトタイムの制御を行うのに対応して、設定された前記第2タクトタイムから、少なくとも前記調整時間Δtを減じて前記第2基準時間に調整できるよう、前記切断部に対し、前記切断動作の周期を制御すること、
を特徴とするシートトリミング装置の制御方法。
【請求項2】
請求項1に記載するシートトリミング装置の制御方法において、
前記第1タクトタイムは、前記半成形品の加工を、断続的に複数回繰り返して行う加熱成形工程1サイクルあたりの時間であり、前記第2タクトタイムは、前記成形品要部の取得を、断続的に複数回繰り返して行うトリミング工程1サイクルあたりの時間であり、
前記制御部により、前記第2タクトタイムの調整は、前記第1タクトタイムの調整に合わせて、段階的に行われ、更新する前記第2タクトタイムは、最後に調整された先の前記第1タクトタイムに基づいて、調整されること、
を特徴とするシートトリミング装置の制御方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載するシートトリミング装置の制御方法において、
前記制御部により、前記第2タクトタイムは、調整される前記第1タクトタイムに追従して調整され、更新されること、
を特徴とするシートトリミング装置の制御方法。
【請求項4】
シートを加熱して、該シート面内の一部が成形された半成形品を製造するシート加熱成形装置と、該半成形品に対し、製品を得るのに必要な成形品要部以外の不要部を、トリミングするシートトリミング装置と、を備え、請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載するシートトリミング装置の制御方法を行うシート成形システムにおいて、
前記シート加熱成形装置には、送出される前記シートと連動した断続的な動作により、前記シートを、前記半成形品に加工する加熱成形部と、
前記シートトリミング装置には、供給される前記半成形品に対し、前記成形品要部を、周期的な運動に基づく切断動作により、不要な部分と分離させる切断部と、
前記加熱成形部及び前記切断部を制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、前記切断部に対し、前記切断動作の周期を、前記加熱成形部の動作に基づいて、制御すること、
を特徴とするシート成形システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート加熱成形装置において、シートを加熱し、シート面内に成形された成形品要部を、次工程で、そのシート面内から取り出すシートトリミング装置の制御方法、及びこのシートトリミング装置とシート加熱成形装置とを構成したシート成形システムに関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂製品の中には、シート成形品がある。シート成形品は、シート加熱成形装置とシートトリミング装置を用いて製造される。加熱成形工程では、シート加熱成形装置は、自動運転下で、シート捲回ロールより断続的に供給される長尺状のシートに対し、加熱を行い、金型により、シート面内の一部を成形した状態にある半成形品を、次々と連続的に製造する。トリミング工程は、加熱成形工程の次工程にあり、シートトリミング装置は、シート加熱成形装置とインライン上に設備されている。シートトリミング装置は、シート加熱成形装置から送出される半成形品から、後に製品となる成形品要部を取り出すのにあたり、半成形品のうち、成形品要部の周囲にある成形品不要部のトリミングを行う。製造時には通常、シートトリミング装置は、加熱成形工程に合わせたタクトタイムで稼働している。
【0003】
ところで、シート成形品を製造する上で、シート加熱成形装置を運転開始した直後の状況や、運転中に、新しいシート捲回ロールに交換してシートをシート加熱成形装置に供給する状況等では、通常のタクトタイムでシート加熱成形装置の運転を行うと、一般的に、シートの加熱状態や半成形品の成形状態は、品質管理上、安定していない。そのため、シート加熱成形装置は、自動運転の下、運転開始直後の成形スタート時の加工条件や、シート捲回ロール交換時の加工条件等にも対応できる制御を行っている。
【0004】
他方、従来のシートトリミング装置は、トリミング工程のタクトタイムを、手動で可変することはできるが、自動制御下で、シート加熱成形装置と連動して、加熱成形工程のタクトタイムとの整合を図ることはできていない。なお、このような従来のシートトリミング装置は、公然実施されている技術であるので、先行技術文献を開示しない。
【0005】
半成形品の製造を始めるとき、シートの加熱状態や半成形品の成形状態が安定化するまで、シート加熱成形装置は、運転開始直後、タクトタイムを、通常時よりも長く調整しながら加熱成形工程を行っている。このとき、自動制御された加熱成形工程のタクトタイムに対し、調整を行ったトリミング工程のタクトタイム次第によって、シート加熱成形装置から供給される半成形品の数が、従来のシートトリミング装置での処理能力を超えてしまうこともあり得る(第1の事態)。
【0006】
また、半成形品を量産で製造している途中に、加熱成形工程でシート捲回ロールを交換する場合、加熱成形工程のタクトタイムを、交換前に一旦、徐々に長くするほか、交換後にも段階的に通常時に戻さなければならない。そのため、シートトリミング装置では、手動でトリミング工程のタクトタイムを個別に設定する必要がある。このとき、自動制御された加熱成形工程のタクトタイムに対し、調整を行ったトリミング工程のタクトタイム次第によって、シート加熱成形装置から供給される半成形品の数が、従来のシートトリミング装置での処理能力を超えてしまうこともあり得る(第2の事態)。
【0007】
第1の事態や第2の事態が生じてしまうと、次述する特許文献1に開示された技術のように、稼働しているシートトリミング装置を、一時的に停止する必要があった。
【0008】
特許文献1は、樹脂シートの交換時に、新たに供給される樹脂シートを、搬送装置により、成形装置のセット位置に正確に送り込む印刷模様を付した樹脂シートの送り制御方法である。特許文献1の技術では、成形装置で成形する樹脂シートが、交換前のシート捲回ロールの終端部から、交換後のシート捲回ロールの始端部に替わるまでに、搬送装置による樹脂シートの送出が停止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特許平11-228002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来のシートトリミング装置を用いてシート成形品を製造すると、以下の問題があった。
【0011】
(1)トリミング工程のタクトタイムの設定に困難を伴う問題
半成形品の製造開始時や、シート捲回ロールの交換時には、加熱成形工程において、シートの加熱状態や、半成形品の成形状態が安定化するまで、シート加熱成形装置は、調整されたタクトタイムで稼働する。この過程で、作業者は、自らの判断で、加熱成形工程のタクトタイムに合わせて、適切なトリミング工程のタクトタイムを選定し、シートトリミング装置に手動で設定しなければならず、適切なタクトタイムの選定に、困難性を伴う。特に、トリミング工程が、適切なタクトタイムで実施されないと、前述した第1の事態や第2の事態を招来する虞がある。また、シート成形品を効率良く製造できない虞もある。
(2)生産性が低下する問題
また、第1の事態や第2の事態が生じると、シート成形品の生産性が低下してしまい、シート成形品を量産で製造する場合には、特に問題となる。
【0012】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、シート加熱成形装置により、シートを加熱して、シート面内の一部が成形された状態にある半成形品から、シートの不要部をトリミングして製造されるシート成形品を、より生産性が高く、かつ効率良く製造することができるシートトリミング装置の制御方法、及びこのシートトリミング装置とシート加熱成形装置とを構成したシート成形システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明に係るシートトリミング装置の制御方法は、以下の構成を有する。
(1)シート加熱成形装置により、シートを加熱して、該シート面内の一部が成形された状態にある半成形品に対し、製品を得るのに必要な成形品要部以外の不要部を、トリミングするシートトリミング装置の制御方法において、送出される前記半成形品に対し、前記成形品要部を、周期的な運動に基づく切断動作により、不要な部分と分離させる切断部と、前記切断部の運動を制御する制御部と、を有し、前記シート加熱成形装置による前記半成形品の加工時間を含む第1タクトタイムで、定常時を、第1基準時間とし、当該シートトリミング装置により前記成形品要部を得るのに要する時間を含む第2タクトタイムで、定常時を、前記第1基準時間に基づいた第2基準時間とすると、前記制御部は、前記シート加熱成形装置で、前記第1基準時間に調整時間Δt分長くする前記第1タクトタイムの制御を行うのに対応して、前記第2基準時間に、少なくとも前記調整時間Δtを加えた前記第2タクトタイムに調整できるよう、前記切断部に対し、前記切断動作の周期を制御すること、または、前記シート加熱成形装置で、調整時間Δt分短くして前記第1基準時間に戻す前記第1タクトタイムの制御を行うのに対応して、設定された前記第2タクトタイムから、少なくとも前記調整時間Δtを減じて前記第2基準時間に調整できるよう、前記切断部に対し、前記切断動作の周期を制御すること、を特徴とする。
(2)(1)に記載するシートトリミング装置の制御方法において、前記第1タクトタイムは、前記半成形品の加工を、断続的に複数回繰り返して行う加熱成形工程1サイクルあたりの時間であり、前記第2タクトタイムは、前記成形品要部の取得を、断続的に複数回繰り返して行うトリミング工程1サイクルあたりの時間であり、前記制御部により、前記第2タクトタイムの調整は、前記第1タクトタイムの調整に合わせて、段階的に行われ、更新する前記第2タクトタイムは、最後に調整された先の前記第1タクトタイムに基づいて、調整されること、を特徴とする。
(3)(1)または(2)に記載するシートトリミング装置の制御方法において、前記制御部により、前記第2タクトタイムは、調整される前記第1タクトタイムに追従して調整され、更新されること、を特徴とする。
【0014】
また、上記目的を達成するために、本発明に係るシート成形システムは、以下の構成を有する。
(4)シートを加熱して、該シート面内の一部が成形された半成形品を製造するシート加熱成形装置と、該半成形品に対し、製品を得るのに必要な成形品要部以外の不要部を、トリミングするシートトリミング装置と、を備えたシート成形システムにおいて、前記シート加熱成形装置には、送出される前記シートと連動した断続的な動作により、前記シートを、前記半成形品に加工する加熱成形部と、前記シートトリミング装置には、供給される前記半成形品に対し、前記成形品要部を、周期的な運動に基づく切断動作により、不要な部分と分離させる切断部と、前記加熱成形部及び前記切断部を制御する制御部と、を有し、前記制御部は、前記切断部に対し、前記切断動作の周期を、前記加熱成形部の動作に基づいて、制御すること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
上記構成を有する本発明に係るシートトリミング装置の制御方法の作用・効果について説明する。
(1)シート加熱成形装置により、シートを加熱して、該シート面内の一部が成形された状態にある半成形品に対し、製品を得るのに必要な成形品要部以外の不要部を、トリミングするシートトリミング装置の制御方法において、送出される半成形品に対し、成形品要部を、周期的な運動に基づく切断動作により、不要な部分と分離させる切断部と、切断部の運動を制御する制御部と、を有し、シート加熱成形装置による半成形品の加工時間を含む第1タクトタイムで、定常時を、第1基準時間とし、当該シートトリミング装置により成形品要部を得るのに要する時間を含む第2タクトタイムで、定常時を、第1基準時間に基づいた第2基準時間とすると、制御部は、シート加熱成形装置で、第1基準時間に調整時間Δt分長くする第1タクトタイムの制御を行うのに対応して、第2基準時間に、少なくとも調整時間Δtを加えた第2タクトタイムに調整できるよう、切断部に対し、切断動作の周期を制御すること、または、シート加熱成形装置で、調整時間Δt分短くして第1基準時間に戻す第1タクトタイムの制御を行うのに対応して、設定された第2タクトタイムから、少なくとも調整時間Δtを減じて第2基準時間に調整できるよう、切断部に対し、切断動作の周期を制御すること、を特徴とする。
【0016】
この特徴により、製品の製造開始直後、製品の生産を行っている最中、シートの供給元であるシート捲回ロールを交換する場合や、製品の製造にあたり、ファースト生産体制のタクトタイムを変更する場合等の事由により、加熱成形工程の所要時間が変更されても、トリミング工程の所要時間を、適切な加工時間の状態に、自動で調整することができる。そのため、このような事由がある場合に、シート加熱成形装置から供給される加工途中の製品に対し、シートトリミング装置では、シート内にある不要部のトリミングの処理能力が超えることはないため、シートトリミング装置の運転を停止することなく、製品を継続して製造することができる。
【0017】
従って、本発明に係るシートトリミング装置の制御方法によれば、シート加熱成形装置により、シートを加熱して、シート面内の一部が成形された状態にある半成形品から、シートの不要部をトリミングして製造されるシート成形品を、より生産性が高く、かつ効率良く製造することができる、という優れた効果を奏する。
【0018】
(2)に記載するシートトリミング装置の制御方法において、第1タクトタイムは、半成形品の加工を、断続的に複数回繰り返して行う加熱成形工程1サイクルあたりの時間であり、第2タクトタイムは、成形品要部の取得を、断続的に複数回繰り返して行うトリミング工程1サイクルあたりの時間であり、制御部により、第2タクトタイムの調整は、第1タクトタイムの調整に合わせて、段階的に行われ、更新する第2タクトタイムは、最後に調整された先の第1タクトタイムに基づいて、調整されること、を特徴とする。
【0019】
この特徴により、製造される製品の品質により大きなバラツキが生じるのを抑制することができるため、品質管理上、安定した状態で製品を製造することができている。
【0020】
(3)に記載するシートトリミング装置の制御方法において、制御部により、第2タクトタイムは、調整される第1タクトタイムに追従して調整され、更新されること、を特徴とする。
【0021】
この特徴により、製造される製品の品質により大きなバラツキが生じるのを抑制することができるため、品質管理上、安定した状態で製品を製造することができている。
【0022】
また、上記構成を有する本発明に係るシート成形システムの作用・効果について説明する。
(4)シートを加熱して、該シート面内の一部が成形された半成形品を製造するシート加熱成形装置と、該半成形品に対し、製品を得るのに必要な成形品要部以外の不要部を、トリミングするシートトリミング装置と、を備えたシート成形システムにおいて、シート加熱成形装置には、送出されるシートと連動した断続的な動作により、シートを、半成形品に加工する加熱成形部と、シートトリミング装置には、供給される半成形品に対し、成形品要部を、周期的な運動に基づく切断動作により、不要な部分と分離させる切断部と、加熱成形部及び切断部を制御する制御部と、を有し、制御部は、切断部に対し、切断動作の周期を、加熱成形部の動作に基づいて、制御すること、を特徴とする。
【0023】
この特徴により、製品の製造開始直後、製品の生産を行っている最中、シートの供給元であるシート捲回ロールを交換する場合や、製品の製造にあたり、ファースト生産体制のタクトタイムを変更する場合の事由により、加熱成形工程の所要時間が変更されても、トリミング工程の所要時間を、適切な加工時間の状態に、自動で調整することができる。そのため、このような事由がある場合に、シート加熱成形装置から供給される加工途中の製品に対し、シートトリミング装置では、シート内にある不要部のトリミングの処理能力が超えることはないため、シートトリミング装置の運転を停止することなく、製品を継続して製造することができる。
【0024】
従って、本発明に係るシート成形システムによれば、シート加熱成形装置により、シートを加熱して、シート面内の一部が成形された状態にある半成形品から、シートの不要部をトリミングして製造されるシート成形品を、より生産性が高く、かつ効率良く製造することができる、という優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】実施形態に係るシート成形システムの構成を模式的に示す概略図である。
図2】実施形態で例示したトリミング装置の要部を示す図である。
図3図2に示すトリミング装置を、上方から示す平面図である。
図4図2に示すトリミング装置を、送出方向上流側から示す側面図である。
図5図2に示すトリミング装置のトリミング機構を、一部に断面視を用いて模式的に示す概略図である。
図6】実施形態に係るシート成形システムによる製品の製造工程で、加熱成形工程1サイクル当たりのタイムチャートを示す図である。
図7】実施形態に係るシート成形システムによる製品の製造工程で、トリミング工程1サイクル当たりのタイムチャートを示す図である。
図8】実施形態に係るシート成形システムによる製品の製造工程のうち、加熱成形工程で、加熱に伴う制御の流れを示すフローチャート図である。
図9】半成形品の送出に伴う制御の流れを示すフローチャート図である。
図10】実施形態に係るシート成形システムによる製品の製造工程のうち、トリミング工程で行う一連の制御の流れを示すフローチャート図である。
図11図10に示すフローチャート図内のトリミング動作の速度増大処理で行う一連の制御の流れを示すフローチャート図である。
図12】実施形態に係るシートトリミング装置の制御方法に基づいて制御された加熱成形工程のタクトタイムを示すタイムチャート図であり、加熱成形工程の実施中に、シート捲回ロールの交換を行う場合の図である。
図13】実施形態に係るシートトリミング装置の制御方法に基づいて制御された加熱成形工程のタクトタイムを示すタイムチャート図であり、加熱成形工程の実施中に、そのタクトタイムの変更を行う場合の図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係るシート成形システム、及びシートトリミング装置の制御方法を具体化した実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。本発明に係るシート成形システムは、シートを加熱して、このシート面内の一部を成形した半成形品を加工するシート加熱成形装置と、この半成形品に対し、製品を得るのに必要な成形品要部以外の不要な部分をトリミングするシートトリミング装置を備えている。
【0027】
はじめに、シート成形システムの概要について、図1を用いて説明する。図1は、実施形態に係るシート成形システムの構成を模式的に示す概略図である。なお、図1中、左右方向左側を、送出方向HZ上流側とし、右側を、送出方向HZ下流側とし、上下方向を、上下方向VTとする。また、図1の紙面と垂直な方向を、幅方向WDとして、各方向を定義する。図2以降の各図の方向についても、この定義に準ずる。
【0028】
図1に示すように、シート成形システム1は、シート成形品の製造を行うための生産設備であり、トリミング装置3(シートトリミング装置)を、加熱成形装置10(シート加熱成形装置)とインライン上に配設してなる。加熱成形装置10は、シート92を加熱して、シート92面内の一部を成形した状態にある半成形品93を製造する。トリミング装置3は、この半成形品93のうち、成形品要部の周囲にあるシート不要部94のトリミングを行い、成形品要部である製品90を得る。製品90は、一例として、食品向け容器等の容器類や、家電製品の内箱等のケース類、操作パネル等の日常生活品類に挙げられるようなシート成形品である。
【0029】
シート92は、例えば、ポリエチレン(PE:polyethylene)、ポリプロピレン(PP:polypropylene)等の一般的な熱可塑性の樹脂製シートであり、単層構造のほか、他のシート材をラミネートした積層構造等、種々の層構造からなるシートである。また、シート92の厚みは、本実施形態では、主として、200~1000μm程度を対象としているが、シート厚は、厚さ200~1000μmの範囲外であっても良い。
【0030】
なお、JIS(日本工業規格)の包装用語による規格は、厚さ250μm以上の薄板状のプラスチック材をシートとし、厚さ250μm未満の膜状のプラスチック材をフィルムとして、規定している。しかしながら、本実施形態では、シート成形システム1で熱成形するプラスチック材をその厚みで区別せず、フィルムの範疇にある厚さのプラスチック材であっても、シートと総称している。
【0031】
シート成形システム1では、加熱成形装置10は、送出される長尺状のシート92と連動した断続的な動作により、シート92を、半成形品93に加工する加熱成形部10Bを備える。また、トリミング装置20は、供給される半成形品93に対し、後に製品90となる成形品要部を、周期的な運動に基づく切断動作により、不要な部分(シート不要部94)と分離させるトリミング部20A(切断部)を備える。シート成形システム1は、加熱成形装置10の加熱成形部10B及び搬送部11と、トリミング装置20のトリミング部20A及び搬送部21等に対し、電気的に制御を行う制御部2を備える。
【0032】
なお、シート成形システム1では、加熱成形装置10は、本実施形態に係るトリミング装置3の構成に合わせた仕様で、構成された装置であるほか、既設または新設に関わらず、外部から調達した加熱成形装置に、本実施形態に係るトリミング装置3の構成に合わせた仕様に改造を施して構成された装置であっても良い。
【0033】
次に、加熱成形装置10について、説明する。加熱成形装置10は、シート成形品である製品90の製造工程のうち、加熱成形工程を担う。加熱成形工程で行うシート92の成形方法は、例えば、真空成形法のほか、圧空成形法または圧空真空成形法等の差圧成形法、プレス成形法等である。加熱成形装置10は、シート供給部10Aと、加熱成形部10Bとを有している。
【0034】
シート供給部10Aでは、長尺状のシート92が、搬送部11により、シート捲回ロール91から水平に引き延ばされた姿勢で、加熱成形部10Bに断続的に供給される。加熱成形部10Bの加熱側10Baでは、上下方向VTに対向して配置されたヒータ群12により、このシート92の両面側が加熱される。加熱されたシート92の温度は、ヒータ群12近傍に設けたシート温度センサ(図示省略)により、測定される。加熱側10Baに続く成形側10Bbでは、加熱状態のシート92に対し、面内の一部が、金型(図示省略)により、半成形品93として成形される。半成形品93は、次々と連続的に製造される。
【0035】
搬送部11は、制御部2により、ヒータ群12によるシート92の加熱処理制御と連動した下で、加熱処理前のシート92を、1処理毎に間欠動作で送出方向HZ下流側に送出すると同時に、金型によるシート92の成形処理制御と連動した下で、成形処理後の半成形品93を、1処理毎に間欠動作で送出方向HZ下流側に送出する。
【0036】
次に、トリミング装置30について、図2図5に例示した構造で構成された装置を挙げて、説明する。図2は、実施形態で例示したトリミング装置の要部を示す図である。図3は、図2に示すトリミング装置を、上方から示す平面図であり、送出方向上流側から示す側面図を、図4に示す。図5は、図2に示すトリミング装置のトリミング機構を、一部に断面視を用いて模式的に示す概略図である。
【0037】
トリミング装置3は、加熱成形工程に続くトリミング工程を担う。トリミング装置3は、トリミング部20A(切断部)と、スクラップ回収部20Bと、製品載置部20Cとを有する。トリミング装置3は、加熱成形装置10から送出される半成形品93から、後に製品90となる成形品要部を取り出すのにあたり、半成形品93のうち、成形品要部の周囲にあるシート不要部94のトリミングを行う装置である。半成形品93は、加熱成形装置10から排出された後、加熱成形装置10とトリミング装置3との間に設けた緩衝ゾーンSPを経て、トリミング装置3内の搬送部21により、トリミング部20Aに搬入される。
【0038】
トリミング部20Aには、図2図5に示すように、上側金型ユニット22と、下側金型ユニット23と、テーブル駆動機構30が、設けられている。上側金型ユニット22は、上テーブル22Aと上抜き型22Bを有し、上抜き型22Bは、上テーブル22Aの下に、交換可能な状態で取付けられている。下側金型ユニット23は、下テーブル23Aと下抜き型23Bを有しており、下抜き型23Bは、テーブル23Aの上に、交換可能な状態で取付けられている。上抜き型22Bと下抜き型23Bとは対で、トリミングエリアPAに配置されている。
【0039】
上下方向VTに対し、下テーブル23Aは、固定されている一方、上テーブル22Aは、テーブル駆動機構30により、昇降可能に配設されている。これにより、上抜き型22Bは、下抜き型23Bから離れた離隔位置P1と、下抜き型23Bに接近した近接位置P2との間を昇降する。上抜き型22Bと下抜き型23Bとは、加熱成形装置10から送出される半成形品93から、後に製品90となる成形品要部と、その周囲にあるシート不要部94とを切り分ける切断手段を構成している。
【0040】
切断手段は、トムソン刃(切刃)を受け部材に押圧してシート92を切断する手段、半成形品93を位置決めする型の周囲に形成された切刃で、シート92を打ち抜く手段、上刃と下刃とを摺接させる等してシート92を打ち抜く手段等、周知の手段である。なお、切断手段は、特に限定されるものではなく、適宜変更可能である。
【0041】
トリミング部20Aでは、一続きになった長尺状の半成形品93は、上抜き型22Bと下抜き型23Bとの間に配される。上抜き型22Bが近接位置P2まで下降したとき、長尺状の半成形品93は、上抜き型22Bと下抜き型23Bに挟み込まれて切断され、一続きになった長尺状のシート不要部94が、上抜き型22Bと下抜き型23Bによってトリミングされる。これにより、成形品要部(製品90)が、一つひとつ独立した態様で得られる。
【0042】
テーブル駆動機構30は、周期的な運動に基づいた上抜き型22Bと下抜き型23Bとによる切断動作として、本実施形態では、動力源であるサーボモータ31から出力される回転駆動力を、周知のクランク機構を介して、上下方向の直線運動に変換して上テーブル22Aに伝達する機構である。テーブル駆動機構30では、上テーブル22Aは、サーボモータ31の回転に基づいて、離隔位置P1と近接位置P2との間で、連続して上下動を繰り返す。この上テーブル22Aの上下動作速度は、サーボモータ31の回転を制御することにより、可変可能となっている。
【0043】
搬送部21は、制御部2により、上抜き型22Bと下抜き型23Bとの切断によるシート不要部94のトリミング処理制御と連動した下で、駆動する。具体的には、搬送部21は、上抜き型22Bを下抜き型23Bから離間させてトリミング処理を終えた長尺状のシート不要部94を、1処理毎に間欠動作で、送出方向HZ下流側のスクラップ回収部20Bに送出しながら、スクラップ回収部20Bで巻き取られる。また、このシート不要部94の送出と同時に、半成形品93から取り除かれた個々の製品90は、搬送部21によって製品載置部20Cに運び出され、製品載置部20Cでは、断続的に載置される。
【0044】
制御部2は、加熱成形装置10の搬送部11、成形金型、トリミング装置20の搬送部21、サーボモータ31等の動作を制御する駆動制御部のほか、シート成形システム1全体の動作を制御する中央制御回路、シート温度センサに基づくヒータ群12の温度制御、接続するセンサの入力I/O、情報出力部、及び操作入力部等を備えている。中央制御回路は、内部のバスに、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、タイマ回路、及び不揮発性メモリ等を電気的に接続し配線された回路である。CPUは、ROMや不揮発性メモリに記録された制御プログラムに基づいて。RAMをワークエリアとして利用しながら、加熱成形装置10とトリミング装置20の各部を制御する。
【0045】
次に、シート成形システム1による製品90の製造工程について、説明する。図6は、実施形態に係るシート成形システムによる製品の製造工程で、加熱成形工程1サイクル当たりのタイムチャートを示す図である。図7は、実施形態に係るシート成形システムによる製品の製造工程で、トリミング工程1サイクル当たりのタイムチャートを示す図である。
【0046】
加熱成形装置10で行う加熱成形工程では、長尺状のシート92が、搬送部11により、シート供給部10Aにセットしたシート捲回ロール91から送出され、加熱成形部10Bの加熱側10Baに、ショット単位(1処理毎)で断続的に供給される。これにより、加熱側10Baでは、長尺状のシート92が、ヒータ群12によって加熱される。
【0047】
具体的に説明する。加熱成形工程は、その一処理分として、長尺状のシート92のうちの一部で、成形品要部(後に複数の製品90となる部分)とその周囲に形成される不要部(後にシート不要部94となる部分)とを含んだショット単位による生産体制で、シート92の加熱を行う。図6に示すように、加熱成形工程では、その1サイクル分としてのショット数z=n(0<n)が、予め制御部2に設定されている。
【0048】
ショット当たりのシート92の加熱時間は、th(sec)である。また、搬送部11により、シート92で加熱処理をした部分が成形側10Bbに送出されると同時に、シート92で加熱処理を待つ部分が加熱側10Baに送出される時間として、加熱成形間隔の実測時間WTm(sec)が、必要となっている。すなわち、加熱成形工程1サイクル当たりのサイクルタイムCTH(第1タクトタイム)は、n×(th+WTm)の積に対応した時間である。
【0049】
シート92が、加熱側10Baで加熱された後、成形側10Bbでは、加熱後のシート92が、金型形状に倣う所望の形状に成形された長尺状の半成形品93に、次々と連続的に加工される。長尺状の半成形品93は、緩衝ゾーンSPで、ある程度たるませた状態で、引き続きトリミング工程を行うトリミング装置20に供給される。
【0050】
トリミング工程では、加熱成形装置10から供給される長尺状の半成形品93は、裁断されないままの状態で、トリミング装置20の搬送部21によって送出され、トリミング部20Aに、ショット単位で断続的に供給される。トリミング部20Aでは、長尺状の半成形品93は、下抜き型23Bと相対的な上抜き型22Bの上下運動を連続的に繰り返すことにより、シート不要部94のトリミングを、連続的に次々と行って、製品90が量産体制で製造される。
【0051】
具体的に説明する。トリミング工程は、その一処理分として、長尺状の半成形品93のうちの一部で、複数の製品90となる成形品要部とそのシート不要部94とを含んだショット単位による生産体制で、シート不要部94のトリミングを行う。図7に示すように、トリミング工程では、その1サイクル分としてのショット数z=n(0<n)が、予め制御部2に設定されている。
【0052】
半成形品93のトリミング処理で、ショット当たりの所要時間は、STt(sec)である。トリミング処理時間STtは、シート不要部94のトリミングを行うのに要する実質的なトリミング動作時間と、搬送部21による送出を行うのに要する実質的なシート送出時間との和に対応した時間である。この送出シート時間は、トリミング処理後のシート不要部94をスクラップ回収部20Bに送出すると同時に、トリミング処理前の半成形品93を、図3に示すように、トリミング部20AのトリミングエリアPAに送出するまでに要する時間である。
【0053】
また、トリミング工程で、シート不要部94のトリミング処理後、製品90は、搬送部21により、製品載置部20Cに断続的に運び出されて載置され、予め制御部2に設定登録された設定数量になるまで、製品載置部20Cで一時的に保管される。設定数量に達した複数の製品90は、図示しない製品払出し部による払出し動作で、製品載置部20Cからその外部に排出される。
【0054】
このとき、図7に示すように、製品90の払出し動作を完了するまでの間(時間SUt)、シート不要部94のトリミング処理動作と、トリミング処理後のシート不要部94をスクラップ回収部20Bに送出する動作と、トリミング処理前の半成形品93をトリミング部20AのトリミングエリアPAに送出する動作が、一時的に停止される。すなわち、トリミング工程1サイクル当たりのサイクルタイムCTT(第2タクトタイム)は、n×STt+SUtの和に対応した時間である。
【0055】
シート成形システム1は、制御部2により、加熱成形装置10とトリミング装置3とを相互に制御し、加熱成形装置10に対し、加熱成形工程1サイクル当たりのサイクルタイムを制御しつつ、トリミング装置20に対し、トリミング工程1サイクル当たりのサイクルタイムを制御しながら、自動運転の下、連動した動作で稼働する。すなわち、制御部2は、トリミング装置20のトリミング部20Aに対し、シート不要部94のトリミング処理動作の周期を、加熱成形部10Bの動作に基づいて、制御する。
【0056】
次に、実施形態に係るシートトリミング装置(トリミング装置20)の制御方法について、説明する。図12は、実施形態に係るシートトリミング装置の制御方法に基づいて制御された加熱成形工程のタクトタイムを示すタイムチャート図であり、加熱成形工程の 実施中に、シート捲回ロールの交換を行う場合の図である。図13は、実施形態に係るシートトリミング装置の制御方法に基づいて制御された加熱成形工程のタクトタイムを示すタイムチャート図であり、加熱成形工程の実施中に、そのタクトタイムの変更を行う場合の図である。
【0057】
実施形態に係るトリミング装置20の制御方法では、制御部2が、テーブル駆動機構30において、下抜き型23Bに対し、上抜き型22Bによる周期的な上下運動を制御する。ここで、加熱成形装置10による半成形品93の加工に要する第1タクトタイムで、定常時を、第1基準時間とし、トリミング装置20による成形品要部(製品90)の加工に要する第2タクトタイムで、定常時を、第1基準時間に基づいた第2基準時間とする。
【0058】
製品90の製造にあたり、シート成形システム1の稼働状況が、図12及び図13に示すように、減速生産モードIIにある場合には、制御部2は、加熱成形装置10で、第1基準時間に調整時間Δt分長くする第1タクトタイムの制御を行うのに対応して、第2基準時間に、少なくとも調整時間Δtを加えた第2タクトタイムに調整できるよう、トリミング部20Aに対し、上抜き型22Bの上下動作の周期を制御する。
【0059】
その反対に、シート成形システム1の稼働状況が、図12及び図13に示すように、加速生産モードIにある場合には、加熱成形装置10で、調整時間Δt分短くして第1基準時間に戻す第1タクトタイムの制御が行われるのに対応して、制御部2は、設定された第2タクトタイムから、少なくとも調整時間Δtを減じて第2基準時間に調整できるよう、トリミング部20Aに対し、上抜き型22Bの上下動作の周期を制御する。
【0060】
第1タクトタイムは、半成形品93の加工を、少なくとも1回以上繰り返して行うのに要す1サイクル処理あたりの時間、すなわち加熱成形工程1サイクル当たりのサイクルタイムCTHである。第2タクトタイムは、半成形品93からシート不要部94のトリミング処理を、少なくとも1回以上繰り返すと共に、これらの処理により得た複数の製品90を、製品載置部20Cから所定の場所に払出を行うのに要す1サイクル処理あたりの時間、すなわちトリミング工程1サイクル当たりのサイクルタイムCTTである。
【0061】
制御部2により、トリミング工程のサイクルタイムCTTの調整は、加熱成形工程のサイクルタイムCTHの調整に合わせて、段階的に行われ、更新するトリミング工程のサイクルタイムCTTは、最後に調整された先の加熱成形工程のサイクルタイムCTHに基づいて、調整される。また、制御部2により、トリミング工程のサイクルタイムCTTは、調整される加熱成形工程のサイクルタイムCTHに追従して調整され、更新される。
【0062】
具体的に説明する。シート成形システム1を自動運転の下で稼働し、製品90を量産体制で連続的に製造するにあたり、シート成形システム1の稼働状況は、第1の場合として、図12に示すように、加速生産モードIと、減速生産モードIIと、スロー生産モードIIIと、第1定常生産モードIVで、4つの生産モードに大別される。また、第2の場合として、図13に示すように、加速生産モードIと、減速生産モードIIと、スロー生産モードIIIと、第2定常生産モードVで、4つの生産モードに大別されることもある。
【0063】
加速生産モードIでは、製品90の製造を開始した以降、半成形品93の品質状態が安定するまでの間、加熱成形工程1サイクル当たりのタクトタイムCTHは、半成形品93を定常な状態で加工可能なファースト生産体制の時間t1(0<t1)より遅くなっている。特に、製品90の製造開始直後には、図6に示すように、シート92の加熱時間thや加熱成形間隔の実測時間WTmが、ファースト生産体制時に比して速いと、加熱された状態のシート92が金型で成形されても、品質管理上、安定した状態の半成形品93が得られない。
【0064】
そのため、製品90の製造開始直後の加工では、まずタクトタイムCTHを、時間t4(0<t1<t4)でスロースタートし、半成形品93の品質を確認しながら、段階的にタクトタイムCTHを、時間t4より少し早い時間t3(t1<t3<t4)に一旦変更する。この後、さらに時間t3より少し早い時間t2(t1<t2<t3)に変更して半成形品93の品質を確認し、ファースト生産体制時の時間t1に変更する。第1定常生産モードIVでは、シート捲回ロール91からのシート92の供給ができなり、次のシート捲回ロール91への交換が必要となるまで、タクトタイムCTHが時間t1のまま、シート成形システム1は、稼働し続ける。
【0065】
シート成形システム1の稼働中、次のシート捲回ロール91を交換する場合、トリミング装置20では、トリミング工程1サイクル当たりのサイクルタイムCTTは一定に維持する一方で、加熱成形装置10では、加速生産モードIから減速生産モードIIに切り替えられる。減速生産モードIIでは、ファースト生産体制下にあったタクトタイムCTHを、時間t1より少し遅い時間t2に一旦変更する。この後、使用している先のシート捲回ロール91からのシート92の送出状況と、緩衝ゾーンSPに位置する長尺状の半成形品93の数量等を勘案しながら、必要に応じてさらに、時間t2より少し遅い時間t3に一旦変更する。そして、時間t3から時間t4に変更し、シート捲回ロール91の交換を行うときのモードであるスロー生産モードIIIにする。
【0066】
スロー生産モードIIIでは、作業者は、シート成形システム1を停止させず、加熱成形装置10で加熱成形工程の実施を継続したまま、交換前のシート捲回ロール91に巻かれていたシート92の終端部と、新たにセットされた交換後のシート捲回ロール91に巻かれているシート92の始端部とを、シート92に貼付したテープで連結する等の連結手段で、繋ぎ合わせる。これにより、加熱成形装置10が、スロー生産モードIIIで運転して半成形品93を加工し続けていると、スロー生産モードIIIの間、成形側10Bbから緩衝ゾーンSPに供給される半成形品93の長さ、すなわちこの半成形品93から取得可能な製品90の数量は、第1定常生産モードIV時に比べ、次第に増大していく。
【0067】
その一方で、緩衝ゾーンSPに滞留する半成形品93の長さは、より長くなってきているため、トリミング装置20は、交換前のシート捲回ロール91に由来したシート不要部94のトリミング処理を途切れることなく、トリミング工程1サイクル当たりのサイクルタイムCTTを一定に維持することが可能となる。
【0068】
また、シート捲回ロール91の交換後、作業者は、トリミング装置20において、シート捲回ロール91の交換に伴う種々の段取り作業を行う時間を、時間的に余裕を持たせて確保することが可能になる。トリミング装置20におけるその段取り作業の一例として、交換後のシート捲回ロール91に巻かれているシート92の始端部に基づいて成形されたシート交換後の半成形品93を、搬送部21にセットする作業や、上抜き型22Bと下抜き型23Bの間に配する作業、スクラップ回収部20Bで、トリミング処理を終えたシート不要部94を回収するためにロール軸にセットする作業等である。なお、シート92の始端部と終端部は、半成形品93として使用不可な状態になっているため、半成形品93の加工に使用されず、シート92の最先端付近及び最尾端付近は、廃棄されることがある。
【0069】
スロー生産モードIIIの間、加熱成形装置10が、交換後のシート捲回ロール91から送出されるシート92に基づいて、半成形品93の加工を、品質管理上、安定した状態になり、第1定常生産モードIVに向けた生産体制に切り替える状況となった状態で、制御部2は、スロー生産モードIIIに代えて第1定常生産モードIVに変更する。スロー生産モードIIIでは、前述したように、タクトタイムCTHを、時間t4から段階的に、時間t3及び時間t2を経て、ファースト生産体制時のタクトタイムt1に変更する。
【0070】
ところで、ファースト生産体制で製品90を製造する場合でも、例えば、日勤時の生産体制と夜勤時の生産体制や、繁忙期の生産体制と閑散期の生産体制等のように、製品90を生産する時間帯や時期によって、ファースト生産体制のタクトタイムを変更することがある。例えば、図13に示すように、半成形品93が、第1定常生産モードIVで時間t1の下で生産を行っていた状態で、シート捲回ロール91の交換が、前述したように、減速生産モードII、スロー生産モードIII、及び加速生産モードIのモード変換を経て、行われる。交換後のシート捲回ロール91に基づく半成形品93の加工は、交換前のシート捲回ロール91のシート92に基づいて半成形品93を加工した第1定常生産モードIVの時間t1より、やや遅い時間t2の第2定常生産モードVで行われる。そして、減速生産モードII、スロー生産モードIII、及び加速生産モードIのモード変換を経て、シート捲回ロール91が交換され、半成形品93の加工が、第2定常生産モードVで継続される。
【0071】
次に、加速生産モードI、減速生産モードII、スロー生産モードIII、第1定常生産モードIV(第2定常生産モードVの場合もある)を行うための具体的な制御方法について、説明する。なお、制御部2は、加熱成形装置10とトリミング装置20との双方を、常に同時に制御を行っているが、説明の便宜上、はじめに加熱成形装置10側の制御について、図8及び図9を用いて説明した後、トリミング装置20側の制御について、図10及び図11を用いて説明する。
【0072】
<加熱成形装置10側の制御について>
図8は、実施形態に係るシート成形システムによる製品の製造工程のうち、加熱成形工程で、加熱に伴う制御の流れを示すフローチャート図である。
【0073】
シート成形システム1では、加熱成形装置10が、現況下で、加速生産モードIまたは減速生産モードIIにある状況、あるいは加速生産モードIまたは減速生産モードIIにまさに差し掛かろうとする状況である。
【0074】
このような現況の下、図8に示すように、制御部2は、予め設定されている加熱成形時間の目標値FTkを読み込む(S1)。次に、加熱成形部10Bの加熱側10Baに設置されたシート温度センサ(図示省略)により、上抜き型22Bと下抜き型23Bとの間に配されたシート92の表面温度を測定し、制御部2は、このシート92の表面温度の実測値Smを読み込む(S2)。
【0075】
次に、制御部2は、予め設定されているシート温度の設定値Skを読み込む(S3)。次に、制御部2は、加熱成形部10Bの加熱側10Baにおいて、調整された設定値Hknによるヒータ温度で、シート92を加熱する(S4)。
【0076】
そして、その加熱時間がアップする時点で、シート92の表面温度の実測値Smと、シート温度の設定値Skとの差を算出して、その温度差の絶対値|表面温度の実測値Sm-シート温度の設定値Sk|が、所望の温度差の範囲内にあるか否かを判断する(S5)。「YES」の場合には、S7に進み、「NO」の場合には、S6に進む。
【0077】
S6では、温度差の絶対値|表面温度の実測値Sm-シート温度の設定値Sk|が、所望の温度差の範囲内にない場合、制御部2は、次回に行うシート92の加熱に備え、ヒータ群12のヒータ温度を、設定値Hkから、調整後設定値Hknに変更しておく。次に、S4で加熱したシート92を、搬送部11により、加熱成形部10Bの成形側10Bbに送出する(S7)。かくして、シート92の加熱制御が行われる。
【0078】
次に、半成形品93の送出制御処理について、具体的に、図9に示すフローチャートを用いて説明する。図9は、半成形品93の送出に伴う制御の流れを示すフローチャート図である。
【0079】
図9に示すように、制御部2は、加熱成形工程1サイクル当たりに対し、搬送部11により、送出方向HZ下流側に半成形品93の送出で、予め設定された回数である送出設定回数Wkを読み込む(S21)。次に、制御部2は、シート成形システム1の稼働中、加熱成形工程1サイクル当たりに対し、搬送部11により半成形品93の送出を実際に行った回数である送出実施回数Wmを読み込む(S22)。
【0080】
次に、制御部2は、半成形品93の送出設定回数Wkと、半成形品93の送出実施回数Wmを対比し、送出設定回数Wkが送出実施回数Wmより大きいか否かを判断する(S23)。「NO」の場合には、終了に進み、送出設定回数Wkに基づいた半成形品93の送出を、そのまま継続して行う。「YES」の場合には、S24に進む。制御部2は、図6に示すように、ヒータ群12によりシート92の加熱を行う加熱時間thと、搬送部11で送出した加熱後のシート92に、金型による成形を行う加熱成間隔の実測時間WTmとの和(th+WTm)となる加熱成形時間に対し、予め設定された目標値FTkを読み込む(S24)。
【0081】
次に、制御部2は、シート成形システム1の稼働中、実際に要したS24の加熱成形時間の実施値FTmを読み込む(S25)。次に、制御部2は、加熱成形時間の目標値FTkと、加熱成形時間の実施値FTmを対比し、目標値FTkが実施値FTmより大きいか否かを判断する(S26)。「NO」の場合には、S28に進み、「YES」の場合には、S27に進む。
【0082】
次に、S27では、加熱成形時間の実施値FTmに調整時間Δtを加算する。すなわち、製品90の製造にあたり、シート成形システム1の稼働状況が、減速生産モードIIにある場合に、制御部2は、加熱成形装置10で、加熱成形時間の実施値FTm(第1基準時間)に調整時間Δt分長くして、加熱成形工程の第1タクトタイムCTHの調整を行うためである。後に詳述するように、トリミング工程のサイクルタイムCTTは、この第1タクトタイムCTHの調整に対応して、調整される。次に、S28では、制御部2は、加熱成形時間の新たな目標時間として、目標値FTkに代えて加算後設定時間FTpに変更し、この加算後設定時間FTpを設定登録する(S29)。
【0083】
次に、制御部2は、加熱成形時間の目標値FTkと、加熱成形時間の実施値FTmとの対比で、実施値FTmが目標値FTkより大きいか否かを判断する(S30)。「NO」の場合には、終了に進み、目標値FTkに基づく加熱成形時間で、半成形品93の加工を、そのまま継続して行う。「YES」の場合には、S31に進む。
【0084】
次に、S31では、加熱成形時間の実施値FTmから調整時間Δtを減算する。すなわち、製品90の製造にあたり、シート成形システム1の稼働状況が、加速生産モードIにある場合に、制御部2は、加熱成形装置10で、加熱成形時間の実施値FTmから調整時間Δt分短くして、定常時の第1基準時間である加熱成形工程の第1タクトタイムCTHに戻す調整を行うためである。後に詳述するように、トリミング工程のサイクルタイムCTTは、この第1タクトタイムCTHの調整に対応して調整される。次に、S32では、制御部2は、加熱成形時間の新たな目標時間として、目標値FTkに代えて減算後設定時間FTpに変更し、この減算後設定時間FTpを設定登録する(S33)。かくして、制御部2は、搬送部11に対し、緩衝ゾーンSPに向けて半成形品93を送出するための制御を行う。
【0085】
<トリミング装置20側の制御について>
図10は、実施形態に係るシート成形システムによる製品の製造工程のうち、トリミング工程で行う一連の制御の流れを示すフローチャート図である。図10に示すように、S51では、制御部2は、シート成形システム1の稼働中、トリミング装置20で、図6に示すように、トリミング処理1動作(1ショット)当たりの所要時間STtを計測して読み込む。次に、制御部2は、加熱成形装置10で、加熱成形間隔の実測時間WTmを計測して読み込む。
【0086】
次に、制御部2は、加熱成形間隔の実測時間WTmと、トリミング処理の所要時間STtとを対比し、トリミング処理の所要時間STtが加熱成形間隔の実測時間WTmより大きいか否かを判断する(S53)。「NO」の場合には、終了に進み、現状のトリミング処理の所要時間STtに基づいたシート不要部94のトリミング処理を、そのまま継続して行う。「YES」の場合には、S54に進む。次に、制御部2は、搬送部21に対し、緩衝ゾーンSPから供給される半成形品93に対し、シート不要部94をトリミングする動作速度を、加熱成形工程での加熱成形時間(th+WTm)と相対的に増大させる処理を行うための制御を行う(S54)。
【0087】
次に、図10に示すフローチャートのS54で、シート不要部94のトリミング動作の速度増大処理について、具体的に、図11に示すフローチャートを用いて説明する。図11は、図10に示すフローチャート図内のトリミング動作の速度増大処理で行う一連の制御の流れを示すフローチャート図である。
【0088】
図11に示すように、制御部2は、予め設定された数量で製品載置部20Cに運び出されて、一時的に保管する製品90の数量PGkを読み込む(S61)。次に、制御部2は、シート成形システム1の稼働中、トリミング工程1サイクル当たりに対し、実際に製品載置部20Cに運び出されて保管された製品90の数量PGmを読み込む(S62)。
【0089】
次に、制御部2は、設定された製品90の数量PGkと、実際に保管された製品90の数量PGmとを対比し、実際の製品90の数量PGmが、設定された製品90の数量PGkより大きいか否かを判断する(S63)。「YES」の場合には、S67に進み、「NO」の場合には、S64に進む。S64では、トリミング工程1サイクル当たりで行うトリミング処理で、設定された動作目標回数TRkを読み込む。次に、制御部2は、シート成形システム1の稼働中、トリミング工程1サイクル当たりに対し、実際に行ったトリミング処理で計測した動作実施回数TRm(図7では、TRk=n(回))を読み込む(S65)。
【0090】
次に、制御部2は、トリミング処理の動作目標回数TRkと、トリミング処理を実施に行った動作実施回数TRmとを対比し、動作実施回数TRmが動作目標回数TRkより大きいか否かを判断する(S66)。「NO」の場合には、S63に戻り、S63以降のステップを再度実行する。「YES」の場合には、S67に進む。S67では、製品払出し部による払出し動作により、製品載置部20Cに保管された複数の製品90を、製品載置部20Cの外部へ払出すと共に、S68では、制御部2は、製品載置部20Cから製品90を払出すための所要時間SUtを計測し、次の払出し動作にために読み込んでおく。かくして、制御部2は、シート不要部94をトリミングする動作速度を、加熱成形工程での加熱成形時間(th+WTm)と相対的に増大させる処理を行うための制御を行う。
【0091】
次に、本実施形態に係るトリミング装置20の制御方法、及びシート成形システム1の作用・効果について説明する。本実施形態に係るトリミング装置20の制御方法では、加熱成形装置10により、シート92を加熱して、このシート面92内の一部が成形された状態にある半成形品93に対し、製品90を得るのに必要な成形品要部以外のシート不要部94を、トリミングするシートトリミング装置の制御方法において、送出される半成形品93に対し、成形品要部(製品90)を、周期的な運動に基づく切断動作により、シート不要部94と分離させるトリミング部20Aと、トリミング部20Aの上抜き型22Bでの上下運動を制御する制御部2と、を有し、加熱成形装置10による半成形品93の加工時間を含む第1タクトタイムで、定常時を、第1基準時間とし、当該トリミング装置20により製品90を得るのに要する時間を含む第2タクトタイムで、定常時を、第1基準時間に基づいた第2基準時間とすると、制御部2は、加熱成形装置10で、第1基準時間に調整時間Δt分長くする第1タクトタイムCTHの制御を行うのに対応して、第2基準時間に、少なくとも調整時間Δtを加えた第2タクトタイムCTTに調整できるよう、トリミング部20Aで、上抜き型22Bの上下動の周期と搬送部21の送り速度を制御すること、または、加熱成形装置10で、調整時間Δt分短くして第1基準時間に戻す第1タクトタイムの制御を行うのに対応して、設定された第2タクトタイムCTTから、少なくとも調整時間Δtを減じて第2基準時間に調整できるよう、トリミング部20Aで、上抜き型22Bの上下動の周期と、搬送部21による半成形品93(シート不要部94を含む)の送り速度を制御すること、を特徴とする。
【0092】
この特徴により、製品90の製造開始直後、シート成形システム1の稼働中、シート捲回ロール91を交換する場合や、製品90の製造にあたり、ファースト生産体制のタクトタイムを変更する場合の事由により、加熱成形工程のサイクルタイムCTHが変更されても、トリミング工程のサイクルタイムCTTを、適切なタクトタイムの状態に、自動で調整することができる。そのため、このような事由がある場合に、加熱成形装置10から供給される半成形品93に対し、トリミング装置20では、シート不要部94のトリミングの処理能力が超えることはないため、トリミング装置20の運転を停止することなく、製品90を継続して製造することができる。
【0093】
従って、本実施形態のトリミング装置20の制御方法によれば、加熱成形装置10により、シート92を加熱して、シート92面内の一部が成形された状態にある半成形品93から、シート不要部94をトリミングして製造される製品90を、より生産性が高く、かつ効率良く製造することができる、という優れた効果を奏する。
【0094】
また、本実施形態のトリミング装置20の制御方法では、第1タクトタイムCTHは、半成形品93の加工を、断続的に複数回繰り返して行う加熱成形工程1サイクルあたりの時間であり、第2タクトタイムCTTは、製品90の取得を、断続的に複数回繰り返して行うトリミング工程1サイクルあたりの時間であり、制御部2により、第2タクトタイムCTTの調整は、第1タクトタイムCTHの調整に合わせて、段階的に行われ、更新する第2タクトタイムCTTは、最後に調整された先の第1タクトタイムCTHに基づいて、調整されること、を特徴とする。
【0095】
この特徴により、製造される製品90の品質により大きなバラツキが生じるのを抑制することができるため、品質管理上、安定した状態で製品90を製造することができている。
【0096】
また、本実施形態のトリミング装置20の制御方法では、制御部2により、第2タクトタイムCTTは、調整される第1タクトタイムCTHに追従して調整され、更新されること、を特徴とする。
【0097】
この特徴により、製造される製品90の品質により大きなバラツキが生じるのを抑制することができるため、品質管理上、安定した状態で製品90を製造することができている。
【0098】
また、本実施形態に係るシート成形システム1では、シート92を加熱して、このシート92面内の一部が成形された半成形品93を製造する加熱成形装置10と、この半成形品93に対し、製品90を得るのに必要な成形品要部以外のシート不要部94を、トリミングするトリミング装置20と、を備えたシート成形システムにおいて、加熱成形装置10には、送出されるシート92と連動した断続的な動作により、シート92を、半成形品93に加工する加熱成形部10Bと、トリミング装置20には、供給される半成形品93に対し、製品90を、周期的な運動に基づく切断動作により、シート不要部94と分離させるトリミング部20Aと、加熱成形部10B及びトリミング部20Aを制御する制御部2と、を有し、制御部2は、トリミング部20Aに対し、上抜き型22Bの上下動の周期と、搬送部21による半成形品93(シート不要部94を含む)の送り速度を、加熱成形部10Bの動作に基づいて、制御すること、を特徴とする。
【0099】
この特徴により、製品90の製造開始直後、シート成形システム1の稼働中、シート捲回ロール91を交換する場合や、製品90の製造にあたり、ファースト生産体制のタクトタイムを変更する場合の事由により、加熱成形工程のサイクルタイムCTHが変更されても、トリミング工程のサイクルタイムCTTを、適切なタクトタイムの状態に、自動で調整することができる。そのため、このような事由がある場合に、加熱成形装置10から供給される半成形品93に対し、トリミング装置20では、シート不要部94のトリミングの処理能力が超えることはないため、トリミング装置20の運転を停止することなく、製品90を継続して製造することができる。
【0100】
従って、本実施形態のシート成形システム1によれば、加熱成形装置10により、シート92を加熱して、シート92面内の一部が成形された状態にある半成形品93から、シート不要部94をトリミングして製造される製品90を、より生産性が高く、かつ効率良く製造することができる、という優れた効果を奏する。
【0101】
以上において、本発明を実施形態に即して説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できる。
【0102】
例えば、実施形態では、加熱成形装置10とトリミング装置20とを構成するシート成形システム1を挙げ、加熱成形装置10は、本実施形態に係るトリミング装置20の構成に合わせた仕様で、構成された装置とした。そして、シート成形システム1に設けた制御部2が、加熱成形工程の実施に必要な加熱成形装置10側の種々の制御と、トリミング工程の実施に必要なトリミング装置20側の種々の制御との双方を行った。
【0103】
しかしながら、前述したように、既設または新設に関わらず、外部から調達したシート加熱成形装置を、本実施形態に係るトリミング装置20と共にシステム化して使用したい場合も考えられる。この場合には、外部のシート加熱成形装置は一般的に、加熱成形工程の実施に必要な制御を行う第1の制御部を有している。そのため、トリミング工程の実施に必要な種々の制御を行う第2の制御部を、トリミング装置20に設ける。第1の制御部と第2の制御部との協働に基づき、制御部2と実質的に等価な制御手段によって、外部からのシート加熱成形装置とトリミング装置20をシステムで、制御を施しても良い。
【符号の説明】
【0104】
1 シート成形システム
2 制御部
10 加熱成形装置(シート加熱成形装置)
10B 加熱成形部
20 トリミング装置(シートトリミング装置)
20A トリミング部(切断部)
92 シート
93 半成形品
90 製品、成形品要部
94 シート不要部(不要な部分)
CTH 第1タクトタイム
CTT 第2タクトタイム
図1
図2
図3
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