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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】パネル連結具、かご車
(51)【国際特許分類】
   F16B 7/04 20060101AFI20240319BHJP
   B62B 3/02 20060101ALI20240319BHJP
   F16B 5/06 20060101ALI20240319BHJP
   F16B 2/10 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
F16B7/04 301G
B62B3/02 B
F16B5/06 E
F16B2/10 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021107572
(22)【出願日】2021-06-29
(65)【公開番号】P2023005570
(43)【公開日】2023-01-18
【審査請求日】2023-06-13
(73)【特許権者】
【識別番号】391022315
【氏名又は名称】株式会社カイスイマレン
(74)【代理人】
【識別番号】100136331
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 陽一
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 燎哉
【審査官】田村 佳孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-136646(JP,A)
【文献】実開平01-148121(JP,U)
【文献】特開平07-149345(JP,A)
【文献】登録実用新案第3039570(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 7/04
B62B 3/02
F16B 5/06
F16B 2/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方のパネルのフレームに取付けられる一方側部材と、他方のパネルのフレームに取付けられる他方側部材とを備え、一方側部材と他方側部材は、樹脂で形成した同一の部材であって、一方のパネルのフレームの周囲と他方のパネルのフレームの周囲にそれぞれ嵌装される断面C字形の嵌装部と、嵌装部のC字の両端部より外方に平行に延設した重合片と、一方のパネルのフレームの突部と嵌合する嵌合部を有し、一方側部材を、嵌合部を突部に嵌合した状態で嵌装部を一方のパネルのフレームに嵌装することで、一方のパネルのフレームに対して移動不能且つ回転不能に取り付け、他方側部材を、嵌装部を他方のパネルのフレームに嵌装することで、他方のパネルのフレームに対して回転可能に取付け、一方側部材と他方側部材の重合片を相対するようにして、しかも、互い違いに重合し、その重合部をボルトナットで締結したことを特徴とするパネル連結具。
【請求項2】
背面パネルと、側面パネルと、両パネルを連結する請求項1記載のパネル連結具を備えていることを特徴とするかご車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネル同士を連結するパネル連結具と、そのパネル連結具を備えるかご車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、かご車の背面パネルと側面パネルとを連結する連結具は、背面パネルのフレームと側面パネルのフレームを金属製の一対の挟持板で挟み、両挟持板をボルトナットで締結した構造となっている(例えば、特許文献1参照。)。この連結具は、背面パネルのフレームを部分的に角柱状に加工したり、背面パネルのフレームに溶接するなどして、背面パネルのフレームに対して回転しないように固定されている。一方、側面パネルのフレームは、側面パネルを内側に折りたためるようにするために、連結具に回転可能に取付けられている。
【0003】
従来の連結具は、背面パネルのフレームに回転不能に取付けるために、フレームを部分的に角柱状に加工したり、フレームに溶接したりする必要があるため、パネル同士を連結するのに非常に手間がかかっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-302175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は以上に述べた実情に鑑み、パネル同士の連結作業を簡略化できるパネル連結具及びかご車の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を達成するために請求項1記載の発明によるパネル連結具は、一方のパネルのフレームに取付けられる一方側部材と、他方のパネルのフレームに取付けられる他方側部材とを備え、一方側部材と他方側部材は、樹脂で形成した同一の部材であって、一方のパネルのフレームの周囲と他方のパネルのフレームの周囲にそれぞれ嵌装される断面C字形の嵌装部と、嵌装部のC字の両端部より外方に平行に延設した重合片と、一方のパネルのフレームの突部と嵌合する嵌合部を有し、一方側部材を、嵌合部を突部に嵌合した状態で嵌装部を一方のパネルのフレームに嵌装することで、一方のパネルのフレームに対して移動不能且つ回転不能に取り付け、他方側部材を、嵌装部を他方のパネルのフレームに嵌装することで、他方のパネルのフレームに対して回転可能に取付け、一方側部材と他方側部材の重合片を相対するようにして、しかも、互い違いに重合し、その重合部をボルトナットで締結したことを特徴とする。
【0007】
請求項2記載のかご車は、背面パネルと、側面パネルと、両パネルを連結する請求項1記載のパネル連結具を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の発明によるパネル連結具は、一方のパネルのフレームに取付けられる一方側部材と、他方のパネルのフレームに取付けられる他方側部材とを備え、一方側部材を、嵌合部をフレームの突部に嵌合した状態で嵌装部を一方のパネルのフレームに嵌装することで、一方のパネルのフレームに対して移動不能且つ回転不能に取り付け、他方側部材を、嵌装部を他方のパネルのフレームに嵌装することで、他方のパネルのフレームに対して回転可能に取付け、一方側部材と他方側部材の重合片を相対するようにして、しかも、互い違いに重合し、その重合部をボルトナットで締結するようにしたので、一方のパネルのフレームを角柱状に加工したり、フレームに溶接したりする必要がなく、パネル同士の連結作業を簡略化できる。しかも、一方側部材と他方側部材は、樹脂で形成した同一の部材であるため、一種類の部材だけを製作すればよいためコストを削減でき、一方のパネルのフレームと他方のパネルのフレームに同じ部材を取り付ければよいため、部材を間違えて取付けるミスが生じないため、組立て作業を効率化できる。
【0009】
請求項2記載の発明によるかご車は、背面パネルと側面パネルとを請求項1記載のパネル連結具により連結することで、組立作業を簡略化できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】(a)は背面パネルと側面パネルとの連結部を拡大して示す平面図であり、(b)は同正面図、(c)はA-A断面図である。
図2】(a)は一方側部材の平面図、(b)は同正面図、(c)は同側面図、(d)は同背面図である。
図3-1】パネル連結具により背面パネルと側面パネルを連結する手順を順に示す平面図と正面図である。
図3-2】パネル連結具により背面パネルと側面パネルを連結する手順(図3-1の続き)を順に示す平面図と正面図である。
図3-3】パネル連結具により背面パネルと側面パネルを連結する手順(図3-2の続き)を順に示す平面図と正面図である。
図4】(a)は本発明のかご車の一実施形態を示す平面図、(b)は同正面図、(c)は同側面図である。
図5】(a)は本発明のパネル連結具の他の実施形態を示す平面図、(b)は同正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1,2は、本発明のパネル連結具14の一実施形態を示しており、図4は、そのパネル連結具14を使用したかご車を示している。本かご車は、商品をトラックからコンビニエンスストア等の店舗に運ぶ際に使用されるものであって、図4に示すように、商品を載せる底板15と、底板15の三方を囲むように立設した背面パネル3と左右の側面パネル5,5と、キャスター16を備えている。背面パネル3と側面パネル5は、丸パイプをコ字状に曲げたフレーム4,6を有しており、背面パネル3のフレーム4と側面パネル5のフレーム6とをパネル連結具14で連結してある。
底板15は、後端部の軸17を支点に上側に回動させることができ、右側の側面パネル5は、パネル連結具14で連結されたフレーム6を支点に内側に回動させることができ、そうすることで複数台のかご車を前後方向に重ねてコンパクトに収納できるようになっている。
【0012】
図1に示すように、背面パネル3のフレーム4のパネル連結具14が取付けられる位置には、前後方向に貫通して孔18を開け、その孔18に丸棒19を差し入れることで、側面パネル5側に向けて突出する突部10が形成してある。
【0013】
パネル連結具14は、図1に示すように、背面パネル3のフレーム4に取付けられる一方側部材1と、側面パネル5のフレーム6に取付けられる他方側部材2とを備えている。一方側部材1と他方側部材2は、何れも樹脂製で、全く同一の部材となっている。
【0014】
一方側部材1は、図1,2に示すように、背面パネル3のフレーム4の周囲に嵌装される断面C字形の嵌装部7と、嵌装部7のC字の両端部より外方に平行に延設した外側重合片8及び内側重合片9と、背面パネル3のフレーム4の突部10と嵌合する嵌合部11を有している。外側重合片8は、図1(a)に示すように、他方側部材2と結合させたときに外側に位置し、内側重合片9は内側に位置するものである。外側重合片8と内側重合片9は、フレーム4の中心に対して左右方向の一方側に偏心して配置され、内側重合片9の内面がフレーム4の中心と左右方向の同じ位置にある。嵌合部11は、図2に示すように、嵌装部7と内側重合片9とに跨って四角い窓状に形成してある。内側重合片9の先端部には、矩形の切欠き20が設けてある。この切欠き20は、側面パネル5のフレーム6に取付けて他方側部材2として使用したときに、背面パネル3のフレーム4の突部10を逃がすために設けてあるものである。外側重合片8と内側重合片9には、一方側部材1の重合片8,9と他方側部材2の重合片8,9を締結するためのボルト12を挿通するためのボルト挿通孔21が、上下2箇所に設けてある。
一方側部材1は、図1に示すように、嵌合部11をフレーム4の突部10に嵌合した状態で嵌装部7を背面パネル3のフレーム4に嵌装して取付けてある。嵌合部11がフレーム4の突部10に嵌合していることで、一方側部材1は背面パネル3のフレーム4に対して上下方向の移動が規制され、且つ回転が規制されている。
【0015】
他方側部材2は、図1に示すように、一方側部材1を垂直軸回りに180°回転し、一方側部材1と前後を逆にして使用している。他方側部材2は、嵌装部7を側面パネル5のフレーム6の周囲に嵌装して取付けてある。側面パネル5のフレーム6には突部10が設けてないので、他方側部材2は側面パネル5のフレーム6に対して回転可能となっている。
【0016】
一方側部材1と他方側部材2は、図1に示すように、お互いの外側重合片8と内側重合片9の間の隙間に相手方の内側重合片9を挿入する形で重合片8,9同士を互い違いに重合し、ボルト挿通孔21にボルト12を通し、ボルト12にナット13を螺合させて締め付けることにより、一体に結合される。
【0017】
次に、本パネル連結具を使用して背面パネル3と側面パネル5を連結する手順を説明する。まず、図3-1(a)に示すように、一方側部材1の外側重合片8と内側重合片9を外側に広げるようにしながら両重合片8,9の間に背面パネル3のフレーム4を挿入し、図3-1(b)に示すように、嵌装部7を背面パネル3のフレーム4に嵌装させる。すると、フレーム4の突部10が嵌合部11に嵌合して、一方側部材1の上下方向の移動と回転が規制される。
次に、図3-2(c)に示すように、他方側部材2の外側重合片8と内側重合片9を外側に広げるようにしながら両重合片8,9の間に側面パネル5のフレーム6を挿入し、図3-2(d)に示すように、嵌装部7を側面パネル5のフレーム6に嵌装させる。
その後、図3-3(e)に示すように、お互いの重合片8,9の間の隙間に相手方の内側重合片9を差し入れるようにして、一方側部材1と他方側部材2の重合片8,9を相対させて互い違いに重合させる。このとき、他方側部材2の内側重合片9の先端部に設けた切欠き20が背面パネル3のフレーム4の突部10と係合し、他方側部材2が上下方向に位置決めされる。
その後、図3-3(f)に示すように、重合させた重合片8,9,8,9をボルト12とナット13で締結する。
【0018】
図5は、本発明のパネル連結具14の他の実施形態を示している。背面パネル3のフレーム4には、表面に縦長の角棒状の突部10が溶接して設けてあり、一方側部材1にはその突部10が嵌合する嵌合部11が縦長の長孔状に設けてある。側面パネル5のフレーム6には突部10が設けてないが、他方側部材2にも一方側部材1と同様に長孔状の嵌合部11が設けてある。
【0019】
以上に述べたように本パネル連結具14は、一方のパネル(背面パネル)3のフレーム4に取付けられる一方側部材1と、他方のパネル(側面パネル)5のフレーム6に取付けられる他方側部材2とを備え、一方側部材1を、嵌合部11をフレーム4の突部10に嵌合した状態で嵌装部7を一方のパネル3のフレーム4に嵌装することで、一方のパネル3のフレーム4に対して移動不能且つ回転不能に取り付け、他方側部材2を、嵌装部7を他方のパネル5のフレーム6に嵌装することで、他方のパネル5のフレーム6に対して回転可能に取付け、一方側部材1と他方側部材2の重合片8,9を相対するようにして、しかも、互い違いに重合し、その重合部をボルトナット12,13で締結するようにしたので、一方のパネル3のフレーム4を角柱状に加工したり、フレーム4に溶接したりする必要がなく、パネル3,5同士の連結作業を簡略化できる。しかも、一方側部材1と他方側部材2は、樹脂で形成した同一の部材であるため、一種類の部材だけを製作すればよいためコストを削減でき、一方のパネル3のフレーム4と他方のパネル5のフレーム6に同じ部材を取り付ければよいため、部材を間違えて取付けるミスが生じないため、組立て作業を効率化できる。フレーム4に溶接しないことで、連結したパネル3,5を分解したり、パネル連結具14を再利用したりすることも容易である。
他方側部材2にも嵌合部11を有しているため、他方のパネル5のフレーム6にも突部10を設けることで、一方のパネル3のフレーム4と他方のパネル5のフレーム6を両方とも回転しない状態で連結することもできる。
図1に示す実施形態のものは、一方のフレーム4に孔18を開けて丸棒19を通すだけで、突部10を簡単に形成することができる。
【0020】
本かご車は、背面パネル3と側面パネル5とを上記パネル連結具14により連結することで、組立作業を簡略化できる。また、分解も容易に行える。
【0021】
本発明は以上に述べた実施形態に限定されない。一方側部材及び他方側部材の形状、材質は、適宜変更することができる。本発明は、かご車に限らず、パネル同士を連結するための連結具として、広く用いることができる。
【符号の説明】
【0022】
1 一方側部材
2 他方側部材
3 背面パネル(一方のパネル)
4 背面パネルのフレーム
5 側面パネル(他方のパネル)
6 側面パネルのフレーム
7 嵌装部
8 外側重合片
9 内側重合片
10 突部
11 嵌合部
12 ボルト
13 ナット
14 パネル連結具
図1
図2
図3-1】
図3-2】
図3-3】
図4
図5