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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】ワーク端面クリーンローラ装置
(51)【国際特許分類】
   B08B 7/00 20060101AFI20240319BHJP
   B08B 13/00 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
B08B7/00
B08B13/00
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021187071
(22)【出願日】2021-11-17
(62)【分割の表示】P 2016187280の分割
【原出願日】2016-09-26
(65)【公開番号】P2022024089
(43)【公開日】2022-02-08
【審査請求日】2021-11-17
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2016年4月25日 インテルコーポレーションに納入
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】392009342
【氏名又は名称】株式会社レヨーン工業
(74)【代理人】
【識別番号】110000121
【氏名又は名称】IAT弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】安嶌 秀一
(72)【発明者】
【氏名】三村 博信
【審査官】新井 浩士
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-121380(JP,A)
【文献】特開2014-231026(JP,A)
【文献】特開2002-009431(JP,A)
【文献】特開2003-305415(JP,A)
【文献】特開2009-172514(JP,A)
【文献】特開2002-151404(JP,A)
【文献】特開平07-263394(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 1/00-11/04
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム状もしくはシート状のワーク(パネル材を除く)の端面の塵埃を除去するワーク端面クリーンローラ装置であって、
前記ワークの2つの平面のうち少なくともいずれか一方の平面には、接触禁止範囲が形成されていて、
前記ワークの前記接触禁止範囲以外の範囲であって、少なくとも前記ワークの縁部は、接触可能範囲であり、
前記ワークの前記接触可能範囲に接触して前記ワークを、前記ワークの平面もしくはほぼ平面方向に搬送する搬送部を有する搬送装置と、
前記搬送装置の前記搬送部により搬送された前記ワークの前記接触可能範囲のうち、少なくとも前記ワークの縁部を、前記ワークの平面に対して垂直もしくはほぼ垂直方向に挟み込んで保持する保持装置と、
前記保持装置により保持された前記ワークの1辺に沿って移動して前記ワークの端面に付着した塵埃を除去するクリーニング装置と、
を備え、
前記保持装置は、
前記ワークの上平面の前記接触可能範囲に当接する第1当接面を有する第1保持部材と、
前記ワークの下平面の前記接触可能範囲に当接する第2当接面を有する第2保持部材と、
を有し、
前記第2保持部材のうち、前記搬送装置の前記搬送部に対応する箇所には、空所部が設けられている、
ことを特徴とするワーク端面クリーンローラ装置。
【請求項2】
前記クリーニング装置は、前記ワーク端面クリーンローラ装置の前側に装備されている前側のクリーニング装置と、前記ワーク端面クリーンローラ装置の後側に装備されている後側のクリーニング装置と、前記ワーク端面クリーンローラ装置の左側に装備されている左側のクリーニング装置と、前記ワーク端面クリーンローラ装置の右側に装備されている右側のクリーニング装置と、を有し、
前記前側のクリーニング装置と前記後側のクリーニング装置とは、前記搬送装置の上側を跨ぐように立体交差的に設けられていて、
前記左側のクリーニング装置と前記右側のクリーニング装置とは、前記搬送装置の左側と右側とに、前記搬送装置と並列に設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載のワーク端面クリーンローラ装置。
【請求項3】
前記接触可能範囲は、前記ワークの2つの平面の4辺の縁部からなる範囲であり、または、前記ワークの2つの平面の4辺の縁部と、前記ワークの2つの平面の中央の十字部と、からなる前記ワークの2つの平面の田の字の範囲であり、
前記クリーニング装置は、4個装備されていて、前記ワークの4つの端面の塵埃を4個同時に除去する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のワーク端面クリーンローラ装置。
【請求項4】
前記搬送装置と、検出部と、制御部と、を備え、
前記搬送装置は、
前記ワークを搬入する搬入機構と、
前記ワークを搬出する搬出機構と、
前記搬入機構と前記搬出機構との間に配置されていて、前記搬送部を有する中間搬送機構と、
を有し、
前記検出部は、前記中間搬送機構の前記搬送部の駆動により搬送された前記ワークを検出し、
前記制御部は、前記検出部からの検出信号により前記中間搬送機構の前記搬送部の駆動を停止させて、前記ワークを前記ワークの平面もしくはほぼ平面方向の所定位置に位置させる、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のワーク端面クリーンローラ装置。
【請求項5】
前記保持装置と、制御部と、を備え、
前記保持装置は、
前記第1保持部材を前記ワークの平面に対して垂直もしくはほぼ垂直方向に移動させる第1アクチュエータと、
前記第2保持部材を前記ワークの平面に対して垂直もしくはほぼ垂直方向に移動させる第2アクチュエータと、
を有し、
前記制御部は、前記第1保持部材を前記ワークの平面に対して垂直もしくはほぼ垂直方向の所定位置に位置させ、かつ、前記所定位置を変動させるように前記第1アクチュエータを制御し、前記第2保持部材を前記所定位置近傍に位置させて、前記第2当接面を前記ワークの他平面の前記接触可能範囲に当接させ、かつ、前記ワークの一平面の前記接触可能範囲を前記第1当接面に当接させて、前記第1保持部材と前記第2保持部材とにより前記ワークの前記接触可能範囲を挟み込んで保持するように前記第2アクチュエータを制御する、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のワーク端面クリーンローラ装置。
【請求項6】
前記クリーニング装置と、検出部と、制御部と、を備え、
前記クリーニング装置は、
第1移動部と、
前記第1移動部を前記ワークの1辺に対して平行もしくはほぼ平行方向に移動可能にガイドする第1ガイド部と、
前記第1移動部を前記第1ガイド部に沿って移動させる第1駆動部と、
前記ワークの端面に付着した塵埃を取る塵埃取ロールを有する第2移動部と、
前記第2移動部を前記第1移動部に、前記ワークの1辺に対して垂直もしくはほぼ垂直方向に移動可能に取り付けると共にガイドする第2ガイド部と、
前記第2移動部を前記第2ガイド部に沿って移動させる第2駆動部と、
を有し、
前記検出部は、前記保持装置により保持された前記ワークの端面を検出し、
前記制御部は、前記検出部からの検出信号に基づいて前記ワークの1辺の基準辺に対する傾斜を演算し、かつ、演算結果に基づいて前記第1駆動部および前記第2駆動部を制御して、前記塵埃取ロールを傾斜している前記ワークの1辺に沿って移動させる、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のワーク端面クリーンローラ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ワーク端面クリーンローラ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のワーク端面クリーンローラ装置には、たとえば、特許文献1、特許文献2に示すように、載置板と押圧板とを備えるものがある。このようなワーク端面クリーンローラ装置は、載置板と押圧板とでワーク(パネル材)の中央部分を挟み込んで保持し、粘着ラバーロールを移動させて粘着ラバーロールでワークの端面に付着している塵埃を吸着除去する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-121380号公報
【文献】特開2001-205210号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、従来のワーク端面クリーンローラ装置は、載置板と押圧板とでワークの中央部分を挟み込んで保持するものであるから、ワークの端面に近い縁部が載置板と押圧板とで挟み込まれて保持されていない。このため、従来のワーク端面クリーンローラ装置は、ワークの厚さが、たとえば、約0.1~0.25mmと、薄いと、粘着ラバーロールをワークの端面に押し付けた際に、ワークが垂れたり歪んだりしてしまい、ワークの縁部の位置が垂れや歪みのないものに比較してずれる場合がある。この場合においては、粘着ラバーロールの押圧力が一定とはならず、厚さが薄いワークの端面の塵埃を確実に除去することが難しい。
【0005】
また、従来のワーク端面クリーンローラ装置は、ワークを載置板と押圧板とで挟み込んだ際に、ワークが所定もしくは正規の位置に対してずれたり傾いたりする場合があり、また、加工誤差などによりワークの端面が設計通りに加工されていない場合がある。この場合においては、ワークが所定もしくは正規の位置にあるものとして、粘着ラバーロールを移動させても、粘着ラバーロールの押圧力が一定とはならず、塵埃を粘着ラバーロールで確実に除去することが難しい。
【0006】
この発明が解決しようとする課題は、厚さが薄いワークの端面の塵埃を確実に除去することができるワーク端面クリーンローラ装置を提供することにある。
【0007】
また、この発明が解決しようとする課題は、ずれたり傾いたりしている状態で保持されているワークの端面、あるいは、加工誤差があるワークの端面に付着した塵埃を確実に除去することができるワーク端面クリーンローラ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明のワーク端面クリーンローラ装置は、フィルム状もしくはシート状のワークの端面の塵埃を除去するワーク端面クリーンローラ装置であって、ワークの2つの平面のうち少なくともいずれか一方の平面には、接触禁止範囲が形成されていて、ワークの接触禁止範囲以外の範囲であって、少なくともワークの縁部が、接触可能範囲であり、ワークの接触可能範囲に接触してワークを、ワークの平面もしくはほぼ平面方向に搬送する搬送部を有する搬送装置と、搬送装置の搬送部により搬送されたワークの接触可能範囲を、ワークの平面に対して垂直もしくはほぼ垂直方向に挟み込んで保持する保持装置と、保持装置により保持されたワークの1辺に沿って移動してワークの端面に付着した塵埃を除去するクリーニング装置と、を備え、保持装置が、ワークの上平面の接触可能範囲に当接する第1当接面を有する第1保持部材と、ワークの下平面の接触可能範囲に当接する第2当接面を有する第2保持部材と、を有し、第2保持部材のうち、搬送装置の搬送部に対応する箇所には、空所部が設けられている、ことを特徴とする。
【0009】
この発明のワーク端面クリーンローラ装置は、クリーニング装置が、ワーク端面クリーンローラ装置の前側に装備されている前側のクリーニング装置と、ワーク端面クリーンローラ装置の後側に装備されている後側のクリーニング装置と、ワーク端面クリーンローラ装置の左側に装備されている左側のクリーニング装置と、ワーク端面クリーンローラ装置の右側に装備されている右側のクリーニング装置と、を有し、前側のクリーニング装置と後側のクリーニング装置とが、搬送装置の上側を跨ぐように立体交差的に設けられていて、左側のクリーニング装置と右側のクリーニング装置とが、搬送装置の左側と右側とに、搬送装置と並列に設けられている、ことが好ましい。
【0010】
この発明のワーク端面クリーンローラ装置は、接触可能範囲が、ワークの2つの平面の4辺の縁部からなる範囲であり、または、ワークの2つの平面の4辺の縁部と、ワークの2つの平面の中央の十字部と、からなるワークの2つの平面の田の字の範囲であり、クリーニング装置が、4個装備されていて、ワークの4つの端面の塵埃を4個同時に除去する、ことが好ましい。
【0011】
この発明のワーク端面クリーンローラ装置は、搬送装置と、検出部と、制御部と、を備え、搬送装置が、ワークを搬入する搬入機構と、ワークを搬出する搬出機構と、搬入機構と搬出機構との間に配置されていて、搬送部を有する中間搬送機構と、を有し、検出部が、中間搬送機構の搬送部の駆動により搬送されたワークを検出し、制御部が、検出部からの検出信号により中間搬送機構の搬送部の駆動を停止させて、ワークをワークの平面もしくはほぼ平面方向の所定位置に位置させる、ことが好ましい。
【0012】
この発明のワーク端面クリーンローラ装置は、保持装置と、制御部と、を備え、保持装置が、第1保持部材をワークの平面に対して垂直もしくはほぼ垂直方向に移動させる第1アクチュエータと、第2保持部材をワークの平面に対して垂直もしくはほぼ垂直方向に移動させる第2アクチュエータと、を有し、制御部が、第1保持部材をワークの平面に対して垂直もしくはほぼ垂直方向の所定位置に位置させ、かつ、所定位置を変動させるように第1アクチュエータを制御し、第2保持部材を所定位置近傍に位置させて、第2当接面をワークの他平面の接触可能範囲に当接させ、かつ、ワークの一平面の接触可能範囲を第1当接面に当接させて、第1保持部材と第2保持部材とによりワークの接触可能範囲を挟み込んで保持するように第2アクチュエータを制御する、ことが好ましい。
【0013】
この発明のワーク端面クリーンローラ装置は、クリーニング装置と、検出部と、制御部と、を備え、クリーニング装置が、第1移動部と、第1移動部をワークの1辺に対して平行もしくはほぼ平行方向に移動可能にガイドする第1ガイド部と、第1移動部を第1ガイド部に沿って移動させる第1駆動部と、ワークの端面に付着した塵埃(いわゆる、ゴミ)を取る塵埃取ロール(いわゆる、ゴミ取ロール)を有する第2移動部と、第2移動部を第1移動部に、ワークの1辺に対して垂直もしくはほぼ垂直方向に移動可能に取り付けると共にガイドする第2ガイド部と、第2移動部を第2ガイド部に沿って移動させる第2駆動部と、を有し、検出部が、保持装置により保持されたワークの端面を検出し、制御部が、検出部からの検出信号に基づいてワークの1辺の基準辺に対する傾斜を演算し、かつ、演算結果に基づいて第1駆動部および第2駆動部を制御して、塵埃取ロールを傾斜しているワークの1辺に沿って移動させる、ことが好ましい。
【0014】
この発明のワーク端面クリーンローラ装置は、フィルム状もしくはシート状のワークの端面の塵埃を除去するワーク端面クリーンローラ装置であって、ワークを、ワークの平面もしくはほぼ平面方向に搬送する搬送装置と、搬送装置により搬送されたワークの縁部を、ワークの平面に対して垂直もしくはほぼ垂直方向に挟み込んで保持する保持装置と、保持装置により保持されたワークの1辺に沿って移動してワークの端面に付着した塵埃を除去するクリーニング装置と、を備え、クリーニング装置が、ワーク端面クリーンローラ装置の前側に装備されている前側のクリーニング装置と、ワーク端面クリーンローラ装置の後側に装備されている後側のクリーニング装置と、ワーク端面クリーンローラ装置の左側に装備されている左側のクリーニング装置と、ワーク端面クリーンローラ装置の右側に装備されている右側のクリーニング装置と、を有し、前側のクリーニング装置と後側のクリーニング装置とが、搬送装置の上側を跨ぐように立体交差的に設けられていて、左側のクリーニング装置と右側のクリーニング装置とが、搬送装置の左側と右側とに、搬送装置と並列に設けられている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
この発明のワーク端面クリーンローラ装置は、厚さが薄いワークの端面の塵埃を確実に除去することができる。また、この発明のワーク端面クリーンローラ装置は、ずれたり傾いたりしている状態で保持されているワークの端面、あるいは、加工誤差があるワークの端面に付着した塵埃を確実に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、この発明にかかるワーク端面クリーンローラ装置の実施形態を示す要部の概略断面図である。
図2図2は、ワークと保持装置との相対位置関係を示す説明図(図1におけるII-II線矢視図)である。
図3図3は、ワークの接触可能範囲と接触禁止範囲とを示す説明図である。
図4図4は、保持装置の第1保持部材の第1当接面と第2保持部材の第2当接面とを示す説明図である。
図5図5は、4個のクリーニング装置でワークの4つの端面を同時にクリーニングする状態を示す概略正面図である。
図6図6は、4個のクリーニング装置でワークの4つの端面を同時にクリーニングする状態を示す概略正面図(図5におけるVI矢視図)である。
図7図7は、ワークが中間搬送機構上の所定位置に停止している状態を示す概略側面図である。
図8図8は、第1保持部材が所定位置に位置している状態を示す概略側面図である。
図9図9は、ワークが保持装置により保持されている状態を示す概略側面図である。
図10図10は、ワークの端面の基準辺に対する傾斜の演算の一例を示す説明図である。
図11図11は、塵埃取ロールを傾斜しているワークの端面に沿って移動させる状態を示す説明図である。
図12図12は、ワークが中間搬送機構上の所定位置に停止している状態を示す概略側面図(図7図8に対応する側面図)である。
図13図13は、ワークが第2保持部材により中間搬送機構上から持ち上げられている状態を示す概略側面図(図9に対応する側面図)である。
図14図14は、中間搬送機構を示す概略平面図(図13におけるXIV-XIV線矢視図)である。
図15図15は、クリーニング装置を示す概略側面図である。
図16図16は、クリーニング装置を示す概略平面図(図15におけるXVI矢視図)である。
図17図17は、搬送装置、保持装置、4個のクリーニング装置を示す概略側面図である。
図18図18は、搬送装置、保持装置、4個のクリーニング装置を示す概略平面図(図17におけるXVIII矢視図)である。
図19図19は、検出部、制御部、駆動部を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明にかかるワーク端面クリーンローラ装置の実施形態(実施例)の1例を図面に基づいて詳細に説明する。図において、符号「F」は、ワーク端面クリーンローラ装置1の前側であって、ワークWの搬送方向の上流側である。「B」は、ワーク端面クリーンローラ装置1の後側であって、ワークWの搬送方向の下流側である。「U」、「D」、「L」、「R」は、それぞれ、ワーク端面クリーンローラ装置1の上側、下側、左側、右側である。
【0018】
(実施形態の構成の説明)
以下、この実施形態にかかるワーク端面クリーンローラ装置1の構成について説明する。この実施形態にかかるワーク端面クリーンローラ装置1は、ワークWの端面に付着した塵埃を除去する。
【0019】
(ワークWの説明)
ワークWは、金属、ガラス、樹脂などの材料からなり、たとえば、電子部品が実装されている基板や液晶パネルなどの各種の基板、あるいは、基板の原料となるフィルム状やシート状の部材等であり、具体的には、銅箔や薄いガラス板である。ワークWの厚さは、たとえば、約0.1~0.25mmと薄い。なお、図面では、ワークWの厚さを厚く図示する。
【0020】
ワークWは、図1図3図5図13に示すように、2つの平面W1と、4つの端面W4と、を有する。ワークWの2つの平面W1のうち少なくともいずれか一方の平面W1には、電子部品が実装されたり、回路パターン等が形成されている。そのような電子部品が実装されたり回路パターン等が形成されている範囲は、他の物が接触してはならない接触禁止範囲である。一方、接触禁止範囲以外の範囲は、他の物が接触することができる接触可能範囲である。この例のワークWにおいて、接触禁止範囲は、図3中の格子状のハッチングが施されている範囲である。一方、接触可能範囲は、図3中の白地の範囲であって、「田」の字の範囲である。すなわち、接触可能範囲は、ワークWの4辺の縁部と、ワークWの中央の「十字」部と、からなる。
【0021】
(ワーク端面クリーンローラ装置1の説明)
ワーク端面クリーンローラ装置1は、図17図18および図19に示すように、搬送装置2と、保持装置3と、4個のクリーニング装置4(4F、4B、4L、4R)と、検出部51、52、53、54と、制御部6と、を備える。ワーク端面クリーンローラ装置1は、ワークWの4つの端面W4に付着した塵埃を除去する。ワーク端面クリーンローラ装置1は、搬送装置2、保持装置3、クリーニング装置4、制御部6を保持する保持枠材10を有する。
【0022】
(検出部51、52、53、54の説明)
検出部51、52、53、54は、ワークWを検出するセンサであって、この例では、透過式の光センサである。光が遮蔽されることにより、ワークWが検出される。なお、検出部51、52、53、54としては、ワークWを検出するセンサであれば、透過式の光センサ以外のセンサでも良い。
【0023】
(搬送装置2の説明)
搬送装置2は、図7図9図17図18に示すように、ワークWを、ワークWの平面もしくはほぼ平面方向(以下、「ワークWの平面方向」と称する)に、ワーク端面クリーンローラ装置1の前側Fから後側Bに搬送する。搬送装置2は、搬入機構20、搬出機構21と、中間搬送機構22と、備える。
【0024】
(搬入機構20の説明)
搬入機構20は、ワーク端面クリーンローラ装置1の前側Fすなわち上流側に配置されている。搬入機構20は、図18に示すように、ワーク端面クリーンローラ装置1の前側Fから後側Bに配置されている複数枚(この例では3枚)のフレーム200を有する。フレーム200には、複数本(この例では6本)の回転軸201が回転可能に軸支されている。回転軸201には、搬送ローラ202と補助搬送ローラ203とが設けられている。搬送ローラ202には、搬送ベルト(図示せず)が掛け回されている。搬送ローラ202の搬送ベルトは、ワークWの接触可能範囲に接触してワークWを搬送する。なお、搬送ベルトが掛け回されず、搬送ローラ202が直接ワークWの接触可能範囲に接触してワークWを搬送する場合がある。補助搬送ローラ203は、薄いワークWが搬送中に自重で垂れ下がった際に、ワークWを支えて、ワークWの接触禁止範囲が他の物に接触するのを防ぐ。回転軸201は、駆動部204の駆動力が駆動力伝達機構(図示せず)を介して伝達される。駆動部204は、この例では、ステッピングモータを使用する。なお、駆動部204としては、ステッピングモータ以外のものを使用しても良い。搬入機構20の後側Bには、検出部(第1検出部、待機側検出部)51が設けられている(図7参照)。検出部51は、搬入機構20により搬入されたワークWの前端を検出する。
【0025】
(搬出機構21の説明)
搬出機構21は、ワーク端面クリーンローラ装置1の後側Bすなわち下流側に配置されている。搬出機構21は、図18に示すように、フレーム210と、回転軸211と、搬送ローラ212と、補助搬送ローラ213と、駆動部214と、を有する。搬出機構21のフレーム210、回転軸211、搬送ローラ212、補助搬送ローラ213、駆動部214の構成は、搬入機構20のフレーム200、回転軸201、搬送ローラ202、補助搬送ローラ203、駆動部204の構成と同様もしくはほぼ同様であるから、説明を省略する。
【0026】
(中間搬送機構22の説明)
中間搬送機構22は、搬入機構20と搬出機構21との間に配置されている。中間搬送機構22は、図12図14に示すように、ワーク端面クリーンローラ装置1の前側Fから後側Bに配置されている複数枚(この例では5枚。なお、図14においては、左側と右側と中間の3枚を図示)のフレーム220を有する。フレーム220の下側の部分には、複数本(この例では8本)の回転軸221が回転可能に軸支されている。回転軸221には、駆動ローラ225が設けられている。また、フレーム220の上側の部分であって、回転軸221に対応する箇所(8箇所)には、搬送ローラ222と補助搬送ローラ223とが回転可能に設けられている。なお、補助搬送ローラ223が設けられているフレーム220の図示は、省略されている。補助搬送ローラ223は、搬入機構20の補助搬送ローラ203、搬出機構21の補助搬送ローラ213と同様に、薄いワークWが搬送中に自重で垂れ下がった際に、ワークWを支えて、ワークWの接触禁止範囲が他の物に接触するのを防ぐ。
【0027】
上側の搬送ローラ222と下側の駆動ローラ225とは、ワーク端面クリーンローラ装置1の左側Lと右側Rと中間とにおいて、それぞれ、8個ずつ有する。上側の搬送ローラ222と下側の駆動ローラ225とには、それぞれ、搬送ベルト226が掛け回されている。ワーク端面クリーンローラ装置1の左側Lと右側Rとにおける隣り合う2個の駆動ローラ225には、それぞれ、駆動ベルト227が掛け回されている。駆動ベルト227は、ワーク端面クリーンローラ装置1の左側L(図14参照)と右側R(図14参照)とにおいて、互い違いに配置されている。左側Lの駆動ベルト227は、図12図13中破線にて示されていて、右側Rの駆動ベルト227は、図12図13中実線にて示されている。1本の回転軸221には、駆動部224が連結されている。これにより、駆動部224の駆動力は、回転軸221、駆動ローラ225、駆動ベルト227、搬送ベルト226、搬送ローラ222にそれぞれ伝達される。搬送ベルト226は、ワークWの接触可能範囲に接触してワークWを搬送する。また、駆動部224は、搬入機構20の駆動部204、搬出機構21の駆動部214と同様に、ステッピングモータを使用する。なお、駆動部224としては、ステッピングモータ以外のものを使用しても良い。
【0028】
中間搬送機構22の後側B、前側Fには、検出部(第2検出部、後側検出部、下流側検出部)52、(第3検出部、前側検出部、上流側検出部)53が設けられている(図7参照)。検出部52は、中間搬送機構22により搬送されたワークWの前端を検出し、検出部53は、中間搬送機構22により搬送されたワークWの後端を検出する。
【0029】
(保持装置3の説明)
保持装置3は、図1図2図4図14図17図18に示すように、搬送装置2により搬送されたワークWの縁部を、ワークWの平面に対して垂直もしくはほぼ垂直方向(以下、「ワークWの垂直方向」と称する)に挟み込んで保持する。保持装置3は、第1保持部材(上テーブル)30と、第1アクチュエータ31と、第2保持部材(下テーブル)32と、第2アクチュエータ33と、を備える。
【0030】
(第1保持部材30の説明)
第1保持部材30は、図1図2図4、に示すように、第1当接面300を有する。第1当接面300は、ワークWの一平面(一方の平面であって、以下、「上平面」と称する)W1の接触可能範囲内にワークWの垂直方向(この例では、上下方向)に当接する(図2を参照)。第1当接面300は、図2中の破線、図4に示すように、ワークWの接触可能範囲よりも一回り小さい「田」の字形状をなす。
【0031】
(第1アクチュエータ31の説明)
第1アクチュエータ31は、保持枠材10に保持されている。第1アクチュエータ31は、第1保持部材30をワークWの垂直方向に移動させて、第1当接面300をワークWの上平面W1の接触可能範囲内にワークWの垂直方向に当接させる。第1アクチュエータ31は、この例では、エアシリンダを使用する。なお、第1アクチュエータ31としては、エアシリンダ以外のアクチュエータを使用しても良い。
【0032】
(第2保持部材32の説明)
第2保持部材32は、図1図2図4図12図14に示すように、第2当接面320を有する。第2当接面320は、ワークWの他平面(他方の平面であって、以下、「下平面」と称する)W1の接触可能範囲内にワークWの垂直方向に当接する(図2を参照)。第2当接面320は、第1当接面300と同様に図2中の破線、図4に示すように、ワークWの接触可能範囲よりも一回り小さい「田」の字形状をなす。図14に示すように、テーブル形状の第2保持部材32のうち、中間搬送機構22の搬送ローラ222、補助搬送ローラ223に対応する箇所には、空所部、すなわち、切欠き321や透孔322が設けられていて、中間搬送機構22の搬送作用の妨げとならないように構成されている。このために、第2当接面320のうち前後方向(ワークWの搬送方向)の第2当接面320は、上下方向に凹凸形状をなしている。
【0033】
(第2アクチュエータ33の説明)
第2アクチュエータ33は、保持枠材10に保持されている。第2アクチュエータ33は、第2保持部材32をワークWの垂直方向に移動させて、第2当接面320をワークWの下平面W1の接触可能範囲内にワークWの垂直方向に当接させる。第2アクチュエータ33は、第1アクチュエータ31と同様に、エアシリンダを使用する。なお、第2アクチュエータ33としては、エアシリンダ以外のアクチュエータを使用しても良い。
【0034】
(クリーニング装置4の説明)
クリーニング装置4は、保持装置3により保持されたワークWの1辺に沿って移動してワークWの端面W4に付着した塵埃を除去する。クリーニング装置4は、図5図6図11図15図18に示すように、第1移動部40と、第1ガイド部41と、第1駆動部42と、第2移動部43と、第2ガイド部44と、第2駆動部45と、第3ガイド部46と、第3駆動部47と、検出部54と、塵埃取ロール7と、回転保持部材80、81と、を備える。
【0035】
クリーニング装置4は、保持枠材10に、この例では、4個装備されている。すなわち、ワーク端面クリーンローラ装置1の前側Fに装備されて前後方向に移動するクリーニング装置4、4Fと、ワーク端面クリーンローラ装置1の後側Bに装備されて前後方向に移動するクリーニング装置4、4Bと、ワーク端面クリーンローラ装置1の左側Lに装備されて左右方向に移動するクリーニング装置4、4Lと、ワーク端面クリーンローラ装置1の右側Rに装備されて左右方向に移動するクリーニング装置4、4Rと、である。なお、図5においては、左側のクリーニング装置4、4Lと、右側のクリーニング装置4、4Rとの図示は、省略してある。また、図17においては、前側のクリーニング装置4、4Fと、左側のクリーニング装置4、4Lとの図示は、省略してある。さらに、図18において、前側のクリーニング装置4、4Fの第1ガイド部41などと、後側のクリーニング装置4、4Bの第1ガイド部41などとの図示は、省略してある。図18は、4個のクリーニング装置4(4F、4B、4L、4R)がワークWの4つの端面W4をクリーニングする前の待機位置に位置している状態(この状態の時には、塵埃取ロール7は、ワークWの4つの端面W4に接触していない)を示す平面図である。
【0036】
4本の第1ガイド部41は、保持装置3により保持されているワークWの4辺に対して平行もしくはほぼ平行に敷設されている。また、4本の第1ガイド部41には、4個の第1移動部40が保持装置3により保持されているワークWの4辺に対して平行もしくはほぼ平行方向(図6図10中のY方向であって、以下、「Y方向」と称する)に移動可能にガイドされている。なお、4本の第1ガイド部41のうち、前側の第1ガイド部41と後側の第1ガイド部41とは、搬送装置2の搬入機構20と搬出機構21とのワークWの搬入搬出の妨げとならないように、それらの上側を跨ぐように立体交差的に敷設されている。このために、前側の第1移動部40と後側の第1移動部40とは、第1ガイド部41から吊り下げられている。一方、左側の第1ガイド部41と右側の第1ガイド部41とは、搬送装置2のワークWの搬送の妨げとならないように、搬送装置2の左側と右側とに、搬送装置2と並列に敷設されている。このために、左側の第1移動部40と右側の第1移動部40とは、第1ガイド部41上に載置されている。
【0037】
4個の第1移動部40には、第1駆動部42がそれぞれ装備されている。第1駆動部42は、第1移動部40を第1ガイド部41に沿って移動させる。第1駆動部42は、この例では、サーボモータを使用する。なお、第1駆動部42としては、サーボモータ以外のアクチュエータを使用しても良い。また、4個の第1移動部40には、第2移動部43がそれぞれ第2ガイド部44を介してワークWの1辺に対して垂直もしくはほぼ垂直方向(図10中のX方向であって、以下、「X方向」と称する)に移動可能に取り付けられていると共にガイドされている。
【0038】
4個の第2移動部43には、第2駆動部45がそれぞれ装備されている。第2駆動部45は、第2移動部43を第2ガイド部44に沿って移動させる。第2駆動部45は、第1駆動部42と同様に、この例では、サーボモータを使用する。なお、第2駆動部45としては、サーボモータ以外のアクチュエータを使用しても良い。また、4個の第2移動部43は、それぞれ、検出部54と、塵埃取ロール7と、回転保持部材80、81と、を有する。検出部54は、第2移動部43のうちワークWの端面W4に対向する箇所に設けられていて、ワークWの端面W4(辺)を検出する。
【0039】
塵埃取ロール7は、回転軸と、ラバーロール体と、から構成されていて、ラバーロール体で、ワークWの端面W4に付着した塵埃を取る。回転軸は、第2移動部43に回転可能に支持されている。ラバーロール体は、回転軸の外側に回転軸の軸心方向に所定の長さに亘って設けられている。ラバーロール体は、表面側に、たとえば、シリコンゴムなどの塵埃を取る性能に優れている材質から構成されている層が設けられ、ワークWの端面W4に付着した塵埃を取ることができる。塵埃取ロール7は、第2駆動部45の駆動により、ワークWの端面W4に所定の押し付け力で押し付けられる。
【0040】
回転保持部材80、81は、第2移動部43に第3ガイド部46を介して第2ガイド部44のガイド方向と同方向、すなわち、X方向に移動可能に取り付けられていると共にガイドされている。回転保持部材80、81は、粘着テープロール8を第2移動部43に回転可能にかつ着脱可能に保持するものである。粘着テープロール8は、中空の円筒形状のコアと、そのコアの外側に多数枚巻回した粘着テープと、から構成されている。回転保持部材は、ホルダ80と、回転軸81と、から構成されている。ホルダ80は、粘着テープロール8のコアに着脱可能に取り付けられている。回転軸81の一端は、ホルダ80に回転可能にかつ着脱可能に取り付けられている。回転軸81の他端は、第2移動部43に回転可能にかつ着脱可能に取り付けられている。この結果、粘着テープロール8は、回転保持部材のホルダ80および回転軸81を介して、第2移動部43に回転可能にかつ着脱可能に保持される。
【0041】
4個の第2移動部43には、第3駆動部47がそれぞれ装備されている。第3駆動部47は、回転保持部材のホルダ80および回転軸81を介して粘着テープロール8を第3ガイド部46に沿って移動させる。すなわち、粘着テープロール8を塵埃取ロール7に所定の押圧力で押圧させる。第3駆動部47は、この例では、エアシリンダを使用する。なお、第3駆動部47としては、エアシリンダ以外のアクチュエータを使用しても良い。
【0042】
(制御部6の説明)
制御部6は、たとえば中央演算装置やメモリなどを備えている。制御部6は、メモリに記憶されているプログラムやデータなどに基づいて、検出部51からの検出信号(搬入機構20により搬入されたワークWの前端を検出した信号)により搬入機構20の駆動部204の駆動を停止させるように制御する。すなわち、制御部6は、中間搬送機構22により搬送されたワークWの4つの端面W4が4個のクリーニング装置4(4F、4B、4L、4R)によりそれぞれクリーニングされている間、搬入機構20により搬入されたワークWを中間搬送機構22に搬入させずに搬入機構20にて待機させるように制御する。
【0043】
制御部6は、検出部52からの検出信号(中間搬送機構22により搬送されたワークWの前端を検出した信号)により中間搬送機構22の駆動部224の駆動を一旦停止させてかつ駆動部224を逆駆動させてワークWを若干逆搬送(ワーク端面クリーンローラ装置1の後側Bから前側Fに搬送)させ、検出部53からの検出信号(中間搬送機構22により逆搬送されたワークWの後端を検出した信号)により中間搬送機構22の駆動部224の駆動を停止させるように制御する。制御部6は、中間搬送機構22により搬送されたワークWをワークWの平面方向(この例では、前後方向)の所定の位置(4個のクリーニング装置4(4F、4B、4L、4R)がワークWの4つの端面W4をクリーニングする位置)に停止させる制御を行う。
【0044】
また、制御部6は、第1保持部材30をワークWの垂直方向の所定位置(4個のクリーニング装置4(4F、4B、4L、4R)がワークWの4つの端面W4をクリーニングする位置であって、中間搬送機構22よりも上側の位置)に位置させ、かつ、その所定位置をワークWの垂直方向に変動させるように第1アクチュエータ31の駆動を制御する。また、制御部6は、第2保持部材32をワークWの垂直方向の所定位置近傍に位置させて、第2当接面320をワークWの下平面の縁部に当接させ、かつ、ワークWの上平面の縁部を第1当接面300に当接させて、第1保持部材30と第2保持部材32とによりワークWの縁部を挟み込んで保持するように第2アクチュエータ33の駆動を制御する。
【0045】
制御部6は、検出部54からの検出信号(ワークWの端面W4を検出した信号)に基づいてワークWの1辺の基準辺に対する傾斜を演算し、かつ、演算結果に基づいてクリーニング装置4の第1駆動部42および第2駆動部45を制御して、塵埃取ロール7を傾斜しているワークWの1辺に沿って移動させる。すなわち、ワークWは、搬入機構20のガイド(図示せず)により搬入方向の前後方向に対して左右方向にずれないようにガイドされながら中間搬送機構22に搬入されるが、実際には、中間搬送機構22に搬入された時点で左右方向に若干ずれている。また、ワークWは、切断加工されるが、切断加工の誤差を有する。このため、保持装置3により保持されているワークWの4つの端面W4(辺)は、基準辺に対して傾斜している。ここで、塵埃取ロール7を基準辺に沿って移動させて基準辺に対して傾斜している端面W4に押し付けた場合、塵埃取ロール7の端面W4に対する押し付け力は、端面W4全体に亘って均一ではない。これにより、基準辺に沿って移動させる塵埃取ロール7で基準辺に対して傾斜している端面W4に付着している塵埃を確実に取って除去することが難しい。そこで、制御部6は、保持装置3により保持されているワークWの4つの端面W4の基準辺に対する傾斜を求め、かつ、塵埃取ロール7を傾斜しているワークの端面W4に沿って移動させるように第1駆動部42および第2駆動部45を制御する。
【0046】
以下、図10を参照して、クリーニング装置4の検出部54および制御部6によるワークWの1辺の基準辺に対する傾斜の演算について説明する。まず、検出部54を原点0に位置させる。ここで、原点0は、4個のクリーニング装置4(4F、4B、4L、4R)が図18に示す待機位置に位置するときの検出部54が位置する箇所である。次に、検出部54を第1駆動部42によりY方向に第1検出位置Y1まで移動させる。続いて、検出部54を第2駆動部45によりX方向に検出部54がワークWの端面W4を検出する位置X1まで移動させる。それから、検出部54を第1検出位置Y1まで戻してかつY方向に第2検出位置Y2まで移動させる。続いて、検出部54をX方向に検出部54がワークWの端面W4を検出する位置X2まで移動させる。これにより、原点0から第1検出位置Y1までの距離Y1と、第1検出位置Y1からワークWの端面W4の第1検出位置X1までの距離X1と、原点0から第2検出位置Y2までの距離Y2と、第2検出位置Y2からワークWの端面W4の第2検出位置X2までの距離X2と、がそれぞれサーボモータの第1駆動部42および第2駆動部45の駆動量により計測される。制御部6は、計測された距離X1、X2、Y1、Y2からワークWの1辺の基準辺に対する傾斜を演算(すなわち、Y2-Y1/X2-X1)する。なお、ワークWの他の辺についても、同様にして計測演算を行う。
【0047】
以下、図11を参照して、制御部6による演算結果に基づくクリーニング装置4の第1駆動部42のサーボモータおよび第2駆動部45のサーボモータの制御について説明する。まず、第1駆動部42のサーボモータおよび第2駆動部45のサーボモータを駆動させて塵埃取ロール7を座標(X1、Y1)の点においてワークWの端面W4に押し付ける。次に、第1駆動部42のサーボモータおよび第2駆動部45のサーボモータを駆動させて塵埃取ロール7を座標(X1、Y1)の点から座標(X2、Y2)の点までの間を傾斜しているワークWの1辺に沿って移動させる。塵埃取ロール7の移動は、第1駆動部42のサーボモータによるY方向の単位移動量と、第2駆動部45のサーボモータによるX方向の単位移動量と、の組み合わせにより行われる。なお、図11中の鋸刃形状の塵埃取ロール7の移動は、イメージであって、実際の塵埃取ロール7の移動は、図11中の実線矢印に示すように、ほぼ直線移動である。
【0048】
(実施形態の作用の説明)
この実施形態にかかるワーク端面クリーンローラ装置1は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。
【0049】
ワーク端面クリーンローラ装置1は、制御部6の制御により作動する。まず、ワークWを搬入機構20により中間搬送機構22に搬入させ、かつ、中間搬送機構22に搬入されたワークWをワークWの平面方向の所定位置に停止させる(図7参照)。次に、中間搬送機構22上の所定位置に停止するワークWを保持装置3により保持する。すなわち、第1保持部材30をワークWの垂直方向の所定位置に位置させる(図8参照)。それから、第2保持部材32をワークWの垂直方向の所定位置近傍に位置させて、第1保持部材30と第2保持部材32とによりワークWの縁部を挟み込んで保持する(図9参照)。このとき、図1図2に示すように、第1保持部材30の第1当接面300と第2保持部材32の第2当接面320とは、ワークWの縁部の接触可能範囲に当接していて、ワークWの接触禁止範囲には当接していない。
【0050】
それから、4個のクリーニング装置4(4F、4B、4L、4R)によりワークWの4つの端面W4の基準辺に対する傾斜を同時に演算する。次に、4個のクリーニング装置4(4F、4B、4L、4R)の塵埃取ロール7を演算結果に基づいて傾斜しているワークWの4つの端面W4に沿って同時に移動させる。すると、4個の塵埃取ロール7は、ワークWの4つの端面W4に付着している塵埃を同時に取って除去する。塵埃取ロール7で取られた塵埃は、塵埃取ロール7に所定の押圧力で当接している粘着テープロール8に粘着(粘着転写)される。
【0051】
ワークWの4つの端面W4のクリーニングが完了した時点で、第2保持部材32を下降させてワークWを中間搬送機構22上に載置させる。なお、第1保持部材30は、上昇して初期位置に位置する。クリーニングが完了したワークWを、中間搬送機構22から搬出機構21に搬送し、搬出機構21からワーク端面クリーンローラ装置1の外部に搬出させる。一方、クリーニングが完了したワークWが中間搬送機構22から搬出機構21に搬送された時点で、搬入機構20において待機しているワークWが搬入機構20から中間搬送機構22に搬入される。以下、同様にして、ワークWの4つの端面W4をクリーニングする。
【0052】
(実施形態の効果の説明)
この実施形態にかかるワーク端面クリーンローラ装置1は、以上のごとき構成および作用からなり、以下、その効果について説明する。
【0053】
本実施形態にかかるワーク端面クリーンローラ装置1は、搬送装置2と、保持装置3と、クリーニング装置4(4F、4B、4L、4R)と、備え、保持装置3が搬送装置2により搬送されたワークWの縁部を挟み込んで保持するので、クリーニング装置4を厚さが薄いワークWの端面W4に押し付けても、ワークWが垂れたり歪んだりすることが無く、ワークWの縁部の位置ずれが無い。この結果、本実施形態にかかるワーク端面クリーンローラ装置1は、クリーニング装置4の押圧力が一定となり、厚さが薄いワークWの端面W4の塵埃を確実に除去することができる。
【0054】
本実施形態にかかるワーク端面クリーンローラ装置1は、搬送装置2と、保持装置3と、クリーニング装置4(4F、4B、4L、4R)と、備え、保持装置3により保持されたワークWが所定もしくは正規の位置に位置していなくとも、クリーニング装置4(4F、4B、4L、4R)が所定もしくは正規の位置に位置していないワークWの1辺に沿って移動する。この結果、本実施形態にかかるワーク端面クリーンローラ装置1は、クリーニング装置4の押圧力が一定となり、所定もしくは正規の位置に位置していないワークWの端面W4に付着した塵埃を確実に除去することができる。
【0055】
本実施形態にかかるワーク端面クリーンローラ装置1は、第2保持部材32のうち、搬送装置2の搬送部(搬送ローラ202の搬送ベルト、搬送ローラ202、搬送ベルト226)に対応する箇所には、切欠き321や透孔322が設けられているものである。この結果、本実施形態にかかるワーク端面クリーンローラ装置1は、搬送装置2のワークWの搬送作用の妨げとならない。
【0056】
本実施形態にかかるワーク端面クリーンローラ装置1は、ワーク端面クリーンローラ装置1の前側Fに装備されている前側のクリーニング装置4(4F)と、ワーク端面クリーンローラ装置1の後側Bに装備されている後側のクリーニング装置4(4B)と、ワーク端面クリーンローラ装置1の左側Lに装備されている左側のクリーニング装置4(4L)と、ワーク端面クリーンローラ装置1の右側Rに装備されている右側のクリーニング装置4(4R)と、を有し、前側のクリーニング装置4(4F)と後側のクリーニング装置4(4B)とが、搬送装置2の上側Uを跨ぐように立体交差的に設けられていて、左側のクリーニング装置4(4L)と右側のクリーニング装置4(4R)とが、搬送装置2の左側Lと右側Rとに、搬送装置2と並列に設けられているものである。この結果、本実施形態にかかるワーク端面クリーンローラ装置1は、搬送装置2のワークWの搬送の妨げとならない。
【0057】
本実施形態にかかるワーク端面クリーンローラ装置1は、接触可能範囲が、ワークWの2つの平面W1の4辺の縁部からなる範囲であり、または、ワークWの2つの平面W1の4辺の縁部と、ワークWの2つの平面W1の中央の十字部と、からなるワークWの2つの平面W1の田の字の範囲であり、クリーニング装置4(4F、4B、4L、4R)が、4個装備されていて、ワークWの4つの端面W4の塵埃を4個同時に除去するものである。この結果、本実施形態にかかるワーク端面クリーンローラ装置1は、厚さが薄いワークWの端面W4の塵埃を確実に除去することができる。
【0058】
また、本実施形態にかかるワーク端面クリーンローラ装置1は、搬送装置2と、検出部52、53と、制御部6と、を備え、搬送装置2が、搬入機構20と、搬出機構21と、中間搬送機構22と、を有し、検出部52、53が、中間搬送機構22の駆動により搬送されたワークWを検出し、制御部6が、検出部52、53からの検出信号により中間搬送機構22の駆動を停止させて、ワークWをワークWの平面方向の所定位置に位置させる。この結果、本実施形態にかかるワーク端面クリーンローラ装置1は、中間搬送機構22の所定位置に位置するワークWの縁部を保持装置3により確実に挟み込んで保持するので、厚さが薄いワークWの端面W4の塵埃を確実に除去することができ、また、所定もしくは正規の位置に位置していないワークWの端面W4に付着した塵埃を確実に除去することができる。
【0059】
また、本実施形態にかかるワーク端面クリーンローラ装置1は、保持装置3と、制御部6と、を備え、保持装置3が、第1保持部材30と、第1アクチュエータ31と、第2保持部材32と、第2アクチュエータ33と、を有し、制御部6が、第1保持部材30を所定位置に位置させ、第2保持部材32を所定位置近傍に位置させて、第1保持部材30と第2保持部材32とによりワークWの縁部を挟み込んで保持する。この結果、本実施形態にかかるワーク端面クリーンローラ装置1は、保持装置3の第1保持部材30と第2保持部材32とによりワークWの縁部を確実に挟み込んで保持するので、厚さが薄いワークWの端面W4の塵埃を確実に除去することができ、また、所定もしくは正規の位置に位置していないワークWの端面W4に付着した塵埃を確実に除去することができる。
【0060】
また、本実施形態にかかるワーク端面クリーンローラ装置1は、第1保持部材30と第2保持部材32とによりワークWの縁部を挟み込んで保持する位置を変動させるので、厚さが薄いワークWの端面W4のエッジにより、クリーニング装置4(4F、4B、4L、4R)特に塵埃取ロール7へのダメージ集中を避けることができ、クリーニング装置4(4F、4B、4L、4R)特に塵埃取ロール7の耐久性を向上させることができる。
【0061】
また、本実施形態にかかるワーク端面クリーンローラ装置1は、第1保持部材30がワークWの一平面の縁部に当接する第1当接面300を有し、第2保持部材32がワークWの他平面の縁部に当接する第2当接面320を有するので、第1保持部材30の第1当接面300と第2保持部材32の第2当接面320とがワークWの縁部であって、接触可能範囲に当接し、接触禁止範囲に当接しない。これにより、ワークW上に実装されている電子部品への接触負荷(ストレス)を抑制することができる。
【0062】
また、本実施形態にかかるワーク端面クリーンローラ装置1は、クリーニング装置4(4F、4B、4L、4R)と、検出部54と、制御部6と、を備え、クリーニング装置4(4F、4B、4L、4R)が、第1移動部40と、第1ガイド部41と、第1駆動部42と、塵埃取ロール7を有する第2移動部43と、第2ガイド部44と、第2駆動部45と、を有し、検出部54が、保持装置3により保持されたワークWの端面W4を検出し、制御部6が、検出部54からの検出信号に基づいてワークWの1辺の基準辺に対する傾斜を演算し、かつ、演算結果に基づいて第1駆動部42および第2駆動部45を制御して、塵埃取ロール7を傾斜しているワークWの1辺に沿って移動させるので、所定もしくは正規の位置に位置していないワークWの端面W4に付着した塵埃を確実に除去することができる。
【0063】
さらに、本実施形態にかかるワーク端面クリーンローラ装置1は、フィルム状もしくはシート状のワークWの端面W4の塵埃を除去するワーク端面クリーンローラ装置1であって、搬送装置2と、保持装置3と、クリーニング装置4(4F、4B、4L、4R)と、を備え、クリーニング装置4(4F、4B、4L、4R)が、ワーク端面クリーンローラ装置1の前側Fに装備されている前側のクリーニング装置4(4F)と、ワーク端面クリーンローラ装置1の後側Bに装備されている後側のクリーニング装置4(4B)と、ワーク端面クリーンローラ装置1の左側Lに装備されている左側のクリーニング装置4(4L)と、ワーク端面クリーンローラ装置1の右側Rに装備されている右側のクリーニング装置4(4R)と、を有し、前側のクリーニング装置4(4F)と後側のクリーニング装置4(4B)とが、搬送装置2の上側Uを跨ぐように立体交差的に設けられていて、左側のクリーニング装置4(4L)と右側のクリーニング装置4(4R)とが、搬送装置2の左側Lと右側Rとに、搬送装置2と並列に設けられているものである。この結果、本実施形態にかかるワーク端面クリーンローラ装置1は、搬送装置2のワークWの搬送の妨げとならない。
【0064】
(実施形態以外の例の説明)
なお、前記の実施形態においては、ワークWの接触可能範囲が図3中の白地の範囲に示す「田」の字の範囲である。しかしながら、この発明においては、ワークWの接触可能範囲を特に限定しない。ただし、ワークWの接触可能範囲は、少なくとも、ワークWの縁部であって、第1保持部材30の第1当接面300と第2保持部材32の第2当接面320とが当接する箇所には必要である。
【0065】
また、前記の実施形態においては、4個のクリーニング装置4(4F、4B、4L、4R)を備えるものである。しかしながら、この発明においては、1個、2個、もしくは3個のクリーニング装置4を備えるものであっても良い。そして、より少数のクリーニング装置4によって、ワークWの複数の端面W4を除塵するようにしても良い。
【0066】
さらに、前記の実施形態においては、搬入機構20により搬入されたワークWの前端を検出する検出部51と、中間搬送機構22により搬送されたワークWの前端を検出する検出部52と、中間搬送機構22により搬送されたワークWの後端を検出する検出部53と、を有するものである。しかしながら、この発明においては、少なくとも、検出部52を有すれば良い。
【0067】
なお、この発明は、前記の実施形態により限定されるものではない。
【符号の説明】
【0068】
1…ワーク端面クリーンローラ装置、10…保持枠材、2…搬送装置、20…搬入機構、200…フレーム、201…回転軸、202…搬送ローラ、203…補助搬送ローラ、204…駆動部、21…搬出機構、210…フレーム、211…回転軸、212…搬送ローラ、213…補助搬送ローラ、214…駆動部、22…中間搬送機構、220…フレーム、221…回転軸、222…搬送ローラ、223…補助搬送ローラ、224…駆動部、225…駆動ローラ、226…搬送ベルト、227…駆動ベルト、3…保持装置、30…第1保持部材、300…第1当接面、31…第1アクチュエータ、32…第2保持部材、320…第2当接面、321…切欠き、322…透孔、4(4F、4B、4L、4R)…クリーニング装置、40…第1移動部、41…第1ガイド部、42…第1駆動部、43…第2移動部、44…第2ガイド部、45…第2駆動部、46…第3ガイド部、47…第3駆動部、51、52、53、54…検出部、6…制御部、7…塵埃取ロール、8…粘着テープロール、80…ホルダ、81…回転軸、B…後側(下流側)、D…下側、F…前側(上流側)、L…左側、R…右側、U…上側、W…ワーク、W1…平面、W4…端面、X…ワークWの4辺に対して垂直もしくはほぼ垂直方向、Y…ワークWの4辺に対して平行もしくはほぼ平行方向、0…原点。


図1
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