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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】包装袋
(51)【国際特許分類】
   B65D 65/40 20060101AFI20240319BHJP
   B32B 27/32 20060101ALI20240319BHJP
   B65D 30/02 20060101ALI20240319BHJP
   B65D 75/00 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
B65D65/40 D
B32B27/32 C
B65D30/02
B65D75/00
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021194626
(22)【出願日】2021-11-30
(65)【公開番号】P2022089780
(43)【公開日】2022-06-16
【審査請求日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】P 2020202067
(32)【優先日】2020-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】710006932
【氏名又は名称】株式会社パックプラス
(74)【代理人】
【識別番号】100114764
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100178124
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 英樹
(72)【発明者】
【氏名】北下 友理
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-194172(JP,A)
【文献】特開2010-254361(JP,A)
【文献】特開2017-001737(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 65/40
B32B 27/32
B65D 30/02
B65D 75/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の樹脂層が積層された積層シートを製袋してなり、ヒドロキシピリドン系化合物を含む内容物を収容する包装袋であって、
前記積層シートは、外側に配置されたポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂またはポリオレフィン樹脂からなる最外層と、該最外層の内側に配置されたポリエステル樹脂からなる中間層と、該中間層の内側に配置されたポリオレフィン樹脂からなるシーラント層とを備え、
内容物が300g以上500g以下の場合には、前記中間層と前記シーラント層が積層された複合層は、柔軟性の指標のF5値が20MPa未満であり、
内容物が500gを超え2000g以下の場合には、前記中間層と前記シーラント層が積層された複合層は、柔軟性の指標のF5値が17MPa未満であることを特徴とする包装袋。
【請求項2】
前記中間層と前記シーラント層が積層された複合層は、柔軟性の指標のF5値が5MPa以上である請求項1に記載の包装袋。
【請求項3】
前記最外層と前記中間層との間に金属からなるバリア層が積層されている請求項1または請求項2に記載の包装袋。
【請求項4】
前記包装袋は、容量が300ml~3000mlのヒドロキシピリドン系化合物を含む内容物が収容された請求項1から請求項3のいずれかに記載の包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒドロキシピリドン系化合物を含む内容物を収容する包装袋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、飲食品、医薬品、化学品、化粧品、その他種々の物品を収容するパウチ等の包装袋が知られている。このような包装袋は、一般に、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂からなる最外層と、最外層の内側に設けられたバリア層と、バリア層の内側に設けられたポリアミド樹脂からなる中間層と、中間層の内側に設けられたシーラント層とからなる積層シートにより製袋される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところが、このような構成の包装袋は、収容する内容物が抗菌・抗酸化成分のヒドロキシピリドン系化合物(例えば、ピロクトンオラミン)を含む場合、ヒドロキシピリドン系化合物が積層シートの内側から浸透して、主にバリア層と中間層の間においてデラミネーション(層間剥離)が生じ、包装袋の耐久性や外観が大きく低下する問題があった。
【0004】
そこで、ポリエステル樹脂またはナイロン樹脂からなる最外層と、最外層の内側に設けられたバリア層と、バリア層の内側に設けられたポリエステル樹脂からなる中間層と、中間層の内側に設けられたポリオレフィン樹脂からなる最内層(シーラント層)とを備える積層シートを製袋してなる包装袋が提案されている(特許文献2参照)。
【0005】
この包装袋によれば、ヒドロキシピリドン系化合物が中間層を通過し得ず、積層シートの外側近くまで浸透しないため、積層シートのデラミネーションを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2019-1149号公報
【文献】特開2019-194172号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、この包装袋は、該包装袋に対して落下等により衝撃が加わった場合、特にヒートシールされている部分とヒートシールされていない部分の境界において、中間層およびシーラント層が厚さ方向に裂けるエッジ切れが生じて、包装袋が破袋するという問題があった。
【0008】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、ヒドロキシピリドン系化合物を含む内容物を収容する包装袋において、積層シートのデラミネーションおよび破袋のいずれも防止することができる包装袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本出願人は、上記目的を達成するために検討を重ねた結果、上述の構成の積層シートを製袋してなる包装袋が破袋する原因として、ポリオレフィン樹脂からなるシーラント層が伸びやすい一方、ポリエステル樹脂からなる中間層が伸びにくいため、衝撃が加わったときに中間層がシーラント層の伸びを吸収しきれず歪が生じることに着目して発明するに至った。すなわち、本発明は、複数の樹脂層が積層された積層シートを製袋してなり、ヒドロキシピリドン系化合物を含む内容物を収容する包装袋であって、前記積層シートは、外側に配置されたポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂またはポリオレフィン樹脂からなる最外層と、該最外層の内側に配置されたポリエステル樹脂からなる中間層と、該中間層の内側に配置されたポリオレフィン樹脂からなるシーラント層とを備え、前記中間層と前記シーラント層が積層された複合層は、柔軟性の指標のF5値が20MPa未満、好ましくは17MPa未満であることを特徴とする。
【0010】
これによれば、内容物に含まれるヒドロキシピリドン系化合物が内側に配置されたポリエステル樹脂からなる中間層を通過することができないため、積層シートのデラミネーション(層間剥離)を防止することができる。また、前記中間層と前記シーラント層が積層された複合層における柔軟性の指標のF5値が20MPa未満、好ましくは17MPa未満であることによって、該複合層の柔軟性が向上するため、包装袋に対して落下等により衝撃が加わった場合、該複合層(中間層およびシーラント層)が厚さ方向に裂けるエッジ切れが生じにくくなり、包装袋の破袋を防止することができる。
【0011】
また、前記中間層と前記シーラント層が積層された複合層は、柔軟性の指標のF5値が5MPa以上であってもよい。これによれば、包装袋が通常の使用時において必要な剛性や手切れ性(包装袋を手で引きちぎるときのちぎれやすさを示す性質)を備えることができる。
【0012】
また、前記最外層と前記中間層との間に金属からなるバリア層が積層されていてもよい。これによれば、包装袋がバリア層によりガスバリア性や遮光性などを備えることができる。
【0013】
また、前記包装袋は、容量が300ml~3000mlであってもよい。これによれば、包装袋の容量が300ml以上であるため、十分な量の内容物を収容することができる。また、包装袋の容量が3000ml以下であるため、包装袋に対して落下等により衝撃が加わった場合、包装袋の破袋を確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、内容物に含まれるヒドロキシピリドン系化合物が内側に配置されたポリエステル樹脂からなる中間層を通過することができないため、積層シートのデラミネーション(層間剥離)を防止することができる。また、前記中間層と前記シーラント層が積層された複合層における柔軟性の指標のF5値が20MPa未満、好ましくは17MPa未満であることによって、該複合層の柔軟性が向上するため、包装袋に対して落下等により衝撃が加わった場合、該複合層(中間層およびシーラント層)が厚さ方向に裂けるエッジ切れが生じにくくなり、包装袋の破袋を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1の実施形態に係る包装袋の正面図である。
図2図1の包装袋の積層シートの断面図である。
図3】F5値の測定方法を示す斜視図である。
図4】包装袋(内容量300g)の落下試験の結果を示す表を示す図である。
図5】包装袋(内容量300g)の落下試験の結果を点数化したものの(a)表および(b)グラフを示す図である。
図6】包装袋(内容量500g)の落下試験の結果を示す表を示す図である。
図7】包装袋(内容量500g)の落下試験の結果を点数化したものの(a)表および(b)グラフを示す図である。
図8】包装袋(内容量1000g)の落下試験の結果を示す表を示す図である。
図9】包装袋(内容量1000g)の落下試験の結果を点数化したものの(a)表および(b)グラフを示す図である。
図10】包装袋(内容量1500g)の落下試験の結果を示す表を示す図である。
図11】包装袋(内容量1500g)の落下試験の結果を点数化したものの(a)表および(b)グラフを示す図である。
図12】包装袋(内容量2000g)の落下試験の結果を示す表を示す図である。
図13】包装袋(内容量2000g)の落下試験の結果を点数化したものの(a)表および(b)グラフを示す図である。
図14】各包装袋の落下試験の結果のグラフを合成したものを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<第1の実施形態>
次に、本発明に係る包装袋の第1の実施形態について図1図14を参照しつつ説明する。
【0017】
本包装袋は、図1に示すように、ヒドロキシピリドン系化合物(例えば、ピロクトンオラミン)を含むシャンプー、リンス等の内容物を収容する詰替用の包装袋である。この包装袋は、複数の樹脂層が積層された表側、裏側、底側の各積層シート1の周縁部がヒートシールされたスタンディングパウチである。
【0018】
前記積層シート1は、図2に示すように、外側に配置された最外層11と、最外層11の内側に配置されたバリア層12と、バリア層12の内側に配置された中間層13と、中間層13の内側に配置されたシーラント層14とを備えている。
【0019】
前記最外層11は、積層シート1の第1の基材となる層であって、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂またはポリオレフィン樹脂からなる。ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等が挙げられる。また、ポリアミドとしては、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン9、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6/66、ナイロン66/610、ナイロンMXD6等が挙げられる。また、ポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。なお、前記最外層11は、好ましくは厚さが10μm~30μmである。
【0020】
前記バリア層12は、積層シート1にバリア性を付与する層であって、例えばアルミニウム箔からなるフィルム層からなる。このバリア層12は、好ましくは厚さが5μm~30μmである。なお、説明の便宜上、図2においてバリア層12の厚さを実際の厚さより大きく図示している。これによれば、包装袋がバリア層12によりガスバリア性や遮光性などを備えることができる。
【0021】
前記中間層13は、積層シート1の中間に位置する樹脂層であって、ポリエステル樹脂からなる。ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等が挙げられるところ、本実施形態ではポリエチレンテレフタレート(PET)からなる。これによれば、内容物に含まれるヒドロキシピリドン系化合物が内側に配置されたポリエステル樹脂からなる中間層13を通過することができないため、積層シート1のデラミネーション(層間剥離)を防止することができる。
【0022】
前記シーラント層14は、積層シート1を製袋する際に別の積層シート1のシーラント層14と熱融着される層であって、ポリオレフィン樹脂からなる。ポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられ、さらに、ポリエチレン樹脂としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)等が挙げられる。このシーラント層14は、単層であっても、多層であってもよい。この前記シーラント層14は、好ましくは厚さが80μm~200μmである。
【0023】
なお、前記シーラント層14は、プロピレン・エチレンブロック共重合体を含んでもよいし、熱可塑性エラストマーを更に含んでもよい。この場合、包装袋の耐衝撃性と耐突き刺し性を高めることができる。
【0024】
以下において、前記中間層13と前記シーラント層14とが積層されたものを複合層15という。
【0025】
前記複合層15は、柔軟性の指標のF5値が20MPa未満、好ましくは17MPa未満である。ここで、F5値とは、図3に示すように、測定対象を平面方向に引っ張り、平面方向の長さが元の長さLの5%伸びたときに加わる単位面積当たりの引張力をいう。測定対象は、そのF5値が大きいほど伸びにくく硬いといえる。
【0026】
次に、本実施形態に係る包装袋の試験方法および試験結果について、最外層がポリアミド、バリア層がアルミニウム箔、中間層がポリエチレンテレフタレート(PET)、シーラント層が直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)からなる包装袋の内容量300g、500g、1000g、1500g、2000gに応じて説明する。
【0027】
なお、本試験では、フィルムの試験片の幅が15mm、標線間距離が50mm、引張速度が300mm/分の条件下で、試験片が2.5mm伸びたときに測定される引張荷重を試験片の断面積で除したものをフィルムのF5値として測定する。
【0028】
<内容量300gの包装袋の場合>
まず、図4の表に示すように、F5値が異なるフィルムNo.1~No.11の積層シート1を製袋してなる包装袋を用意する。なお、図4の表に示すN(N=1、2、3)は、いずれも同じF5値の標本の番号を示す。
【0029】
そして、各包装袋に水道水300gを充填し、5℃の環境下で4.5時間以上冷却する。これにより各包装袋の袋内部の条件を同一にする。
【0030】
次に、包装袋を落下させる落下試験を行った。この落下試験では、包装袋を50cmの高さから3回落下させ、破袋しなければ70cmの高さから同一の向きで3回落下させる。それでも破袋しなければ、100cm、120cm、150cmの高さから同一の向きでそれぞれ3回ずつ落下させ、破袋した時点でその包装袋の落下試験を終了する。
【0031】
この包装袋の落下試験の結果は、図4の表に示すとおりである。なお、図4の表において、破袋しなかった場合には○と評価して、破袋した場合には×と評価している。
【0032】
例えば、フィルムNo.1~3の包装袋は、いずれの標本も150cmの高さまで破袋しなかった。また、フィルムNo.4~8の包装袋は、一部の標本において150cmの高さで破袋した。また、フィルムNo.9の包装袋は、いずれの標本も100cmの高さで破袋した。また、フィルムNo.10、11の包装袋は、70cmの高さで破袋した。
【0033】
ここでフィルムNo.1~11の包装袋の落下試験の結果を点数化したものの表を図5(a)に示す。この落下試験の点数の算出方法について説明すると、各標本について、落下高さに破袋しなかった落下回数を乗算して、各高さでの点数を全て加算したあと、各標本(N=1,2、3)の点数の平均値を落下試験の点数とする。例えば、フィルムNo.10の包装袋を例に挙げると、下記の計算式により落下試験の点数が算出される。
<フィルムNo.10の包装袋>
N=1の標本:50(cm)×3(回)=150点
N=2の標本:50(cm)×3(回)+70(cm)×1(回)=220点
N=3の標本:50(cm)×3(回)=150点
N=1、N=2、N=3の標本の平均値:(150+220+150)/3=約173点
【0034】
そして、フィルムNo.1~11の包装袋のF5値を横軸として、各包装袋の落下試験の点数を縦軸としたグラフを図5(b)に示す。本グラフから、内容量300gの包装袋の場合、F5値が20MPa未満から点数が急に高くなり、F5値が17MPa未満になると安定して点数が高いため、F5値が20MPa未満であると包装袋が破袋しにくく、さらにはF5値が17MPa未満であると包袋袋がほとんど破袋しないことが確認できる。
【0035】
<内容量500gの包装袋の場合>
まず、図6の表に示すように、F5値が異なるフィルムNo.1~No.11の積層シート1を製袋してなる包装袋を用意する。なお、図6の表に示すN(N=1、2、3)は、いずれも同じF5値の標本の番号を示す。
【0036】
そして、各包装袋に水道水500gを充填し、5℃の環境下で4.5時間以上冷却する。これにより各包装袋の袋内部の条件を同一にする。
【0037】
次に、包装袋を落下させる落下試験を行った。この落下試験では、包装袋を50cmの高さから3回落下させ、破袋しなければ70cmの高さから同一の向きで3回落下させる。それでも破袋しなければ、100cm、120cm、150cmの高さから同一の向きでそれぞれ3回ずつ落下させ、破袋した時点でその包装袋の落下試験を終了する。
【0038】
この包装袋の落下試験の結果は、図6の表に示すとおりである。なお、図6の表において、破袋しなかった場合には○と評価して、破袋した場合には×と評価している。
【0039】
例えば、フィルムNo.1~3の包装袋は、いずれの標本も150cmの高さまで破袋しなかった。また、フィルムNo.4~6の包装袋は、一部の標本において150cmの高さで破袋した。また、フィルムNo.7,8の包装袋は、一部の標本において120cmの高さで破袋した。また、フィルムNo.9の包装袋は、70cm~100cmの高さで破袋した。また、フィルムNo.10,11の包装袋は、いずれの標本も50cmの高さで破袋した。
【0040】
ここでフィルムNo.1~11の包装袋の落下試験の結果を点数化したものの表を図7(a)に示す。この落下試験の点数の算出方法については上述のとおりである。
【0041】
そして、フィルムNo.1~11の包装袋のF5値を横軸として、各包装袋の落下試験の点数を縦軸としたグラフを図7(b)に示す。本グラフから、内容量500gの包装袋の場合、F5値が20MPa未満から点数が急に高くなり、F5値が17MPa未満になると安定して点数が高いため、F5値が20MPa未満であると包装袋が破袋しにくく、さらにはF5値が17MPa未満であると包袋袋がほとんど破袋しないことが確認できる。
【0042】
<内容量1000gの包装袋の場合>
まず、図8の表に示すように、F5値が異なるフィルムNo.1~No.11の積層シート1を製袋してなる包装袋を用意する。なお、図8の表に示すN(N=1、2、3)は、いずれも同じF5値の標本の番号を示す。
【0043】
そして、各包装袋に水道水1000gを充填し、5℃の環境下で4.5時間以上冷却する。これにより各包装袋の袋内部の条件を同一にする。
【0044】
次に、包装袋を落下させる落下試験を行った。この落下試験では、包装袋を50cmの高さから3回落下させ、破袋しなければ70cmの高さから同一の向きで3回落下させる。それでも破袋しなければ、100cm、120cm、150cmの高さから同一の向きでそれぞれ3回ずつ落下させ、破袋した時点でその包装袋の落下試験を終了する。
【0045】
この包装袋の落下試験の結果は、図8の表に示すとおりである。なお、図8の表において、破袋しなかった場合には○と評価して、破袋した場合には×と評価している。
【0046】
例えば、フィルムNo.1~3の包装袋は、いずれの標本も150cmの高さまで破袋しなかった。また、フィルムNo.4、5の包装袋は、一部の標本において150cmの高さで破袋した。また、フィルムNo.6~8の包装袋は、70cm~100cmの高さで破袋した。また、フィルムNo.9~11の包装袋は、50cm~70cmの高さで破袋した。
【0047】
ここでフィルムNo.1~11の包装袋の落下試験の結果を点数化したものの表を図9(a)に示す。この落下試験の点数の算出方法については上述のとおりである。
【0048】
そして、フィルムNo.1~11の包装袋のF5値を横軸として、各包装袋の落下試験の点数を縦軸としたグラフを図9(b)に示す。本グラフから、内容量1000gの包装袋の場合、F5値が20MPa未満から点数が高くなりはじめ、F5値が17MPa未満になると急に点数が高くなるため、F5値が20MPa未満であると包装袋が破袋しにくくなりはじめ、さらにはF5値が17MPa未満であると包袋袋がほとんど破袋しないことが確認できる。
【0049】
<内容量1500gの包装袋の場合>
まず、図10の表に示すように、F5値が異なるフィルムNo.1~No.11の積層シート1を製袋してなる包装袋を用意する。なお、図10の表に示すN(N=1、2、3)は、いずれも同じF5値の標本の番号を示す。
【0050】
そして、各包装袋に水道水1500gを充填し、5℃の環境下で4.5時間以上冷却する。これにより各包装袋の袋内部の条件を同一にする。
【0051】
次に、包装袋を落下させる落下試験を行った。この落下試験では、包装袋を50cmの高さから3回落下させ、破袋しなければ70cmの高さから同一の向きで3回落下させる。それでも破袋しなければ、100cm、120cm、150cmの高さから同一の向きでそれぞれ3回ずつ落下させ、破袋した時点でその包装袋の落下試験を終了する。
【0052】
この包装袋の落下試験の結果は、図10の表に示すとおりである。なお、図10の表において、破袋しなかった場合には○と評価して、破袋した場合には×と評価している。
【0053】
例えば、フィルムNo.1~4の包装袋は、いずれの標本も150cmの高さまで破袋しなかった。また、フィルムNo.5の包装袋は、一部の標本において150cmの高さで破袋した。また、フィルムNo.6、7の包装袋は、70cmの高さで破袋した。また、フィルムNo.8~11の包装袋は、50cmの高さで破袋した。
【0054】
ここでフィルムNo.1~11の包装袋の落下試験の結果を点数化したものの表を図11(a)に示す。この落下試験の点数の算出方法については上述のとおりである。
【0055】
そして、フィルムNo.1~11の包装袋のF5値を横軸として、各包装袋の落下試験の点数を縦軸としたグラフを図11(b)に示す。本グラフから、内容量1500gの包装袋の場合、F5値が20MPa未満から点数が高くなりはじめ、F5値が17MPa未満になると急に点数が高くなるため、F5値が20MPa未満であると包装袋が破袋しにくくなりはじめ、さらにはF5値が17MPa未満であると包袋袋がほとんど破袋しないことが確認できる。
【0056】
<内容量2000gの包装袋の場合>
まず、図12の表に示すように、F5値が異なるフィルムNo.1~No.11の積層シート1を製袋してなる包装袋を用意する。なお、図12の表に示すN(N=1、2、3)は、いずれも同じF5値の標本の番号を示す。
【0057】
そして、各包装袋に水道水2000gを充填し、5℃の環境下で4.5時間以上冷却する。これにより各包装袋の袋内部の条件を同一にする。
【0058】
次に、包装袋を落下させる落下試験を行った。この落下試験では、包装袋を50cmの高さから3回落下させ、破袋しなければ70cmの高さから同一の向きで3回落下させる。それでも破袋しなければ、100cm、120cm、150cmの高さから同一の向きでそれぞれ3回ずつ落下させ、破袋した時点でその包装袋の落下試験を終了する。
【0059】
この包装袋の落下試験の結果は、図12の表に示すとおりである。なお、図12の表において、破袋しなかった場合には○と評価して、破袋した場合には×と評価している。
【0060】
例えば、フィルムNo.1~4の包装袋は、いずれの標本も150cmの高さまで破袋しなかった。また、フィルムNo.5の包装袋は、150cmの高さで破袋した。また、フィルムNo.6の包装袋は、50cm~100cmの高さで破袋した。また、フィルムNo.7~11の包装袋は、50cmの高さで破袋した。
【0061】
ここでフィルムNo.1~11の包装袋の落下試験の結果を点数化したものの表を図13(a)に示す。この落下試験の点数の算出方法については上述のとおりである。
【0062】
そして、フィルムNo.1~11の包装袋のF5値を横軸として、各包装袋の落下試験の点数を縦軸としたグラフを図13(b)に示す。本グラフから、内容量2000gの包装袋の場合、F5値が20MPa未満から点数が高くなりはじめ、F5値が17MPa未満になると急に点数が高くなるため、F5値が20MPa未満であると包装袋が破袋しにくくなりはじめ、さらにはF5値が17MPa未満であると包袋袋がほとんど破袋しないことが確認できる。
【0063】
<まとめ>
上述の内容量300g、500g、1000g、1500g、2000gの各包装袋の落下試験の結果を点数化したグラフ(図5(b)、図7(b)、図9(b)、図11(b)、図13(b)のグラフ)を合成したものを図14に示す。この図14から明らかなとおり、内容量300g、500gの場合、F5値が20MPa未満であれば包装袋がほとんど破袋せず、内容量が1000g~2000gの場合でも、F5値が20MPa未満から破袋しにくくなりはじめ、F5値が17MPa未満であれば包装袋がほとんど破袋しないことがわかる。なお、内容量が500gを超え、かつ1000g未満の場合、図14において、内容量が500gの場合と1000gの場合の間を通過するグラフになると推測されることから、F5値が20MPa未満から包装袋が破袋しにくくなりはじめ、F5値が17MPa未満になれば包装袋がほとんど破袋しなくなる。よって、内容量が500g以下の場合、F5値が20MPa未満が好ましく、内容量が500gを超える場合でも2000g以下の場合は、F5の値が17MPa未満が特に好ましい。
【0064】
而して、前記中間層13と前記シーラント層14が積層された複合層15における柔軟性の指標のF5値が20MPa未満、好ましくは17MPa未満であることによって、該複合層15の柔軟性が向上するため、包装袋に対して落下等により衝撃が加わった場合、該複合層15(中間層13およびシーラント層14)が厚さ方向に裂けるエッジ切れが生じにくくなり、包装袋の破袋を防止することができる。
【0065】
なお、前記中間層13と前記シーラント層14が積層された複合層15は、柔軟性の指標のF5値が5MPa以上であるのが好ましい。これによれば、包装袋が通常の使用時において必要な剛性や手切れ性を備えることができる。
【0066】
また、前記中間層13と前記シーラント層14が積層された複合層15は、柔軟性の指標のF5値が最も好ましいのは17MPa未満としたが、20MPa未満であればよい。
【0067】
なお、上記実施形態では、前記バリア層12は、アルミニウムからなるものとしたが、その他の金属あるいはケイ素酸化物等の非金属からなってもよい。また、バリア層12は、アルミニウム箔からなるものとしたが、蒸着膜やその他の薄い部材からなってもよい。
【0068】
また、前記最外層11と前記中間層13との間にバリア層12が積層されるものとして説明したが、バリア層12が積層されなくてもよい。
【0069】
また、包装袋は、容量が300ml~3000mlであるのが好ましく、さらには300ml~2000mlであるのが好ましい。これによれば、包装袋の容量が300ml以上であるため、十分な量の内容物を収容することができる。また、包装袋の容量が3000ml以下、さらには2000ml以下であるため、包装袋に対して落下等により衝撃が加わった場合、包装袋の破袋を確実に防止することができる。
【0070】
以上、図面を参照して本発明の実施形態を説明したが、本発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示された実施形態に対して、本発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0071】
1…積層シート
11…最外層
12…バリア層
13…中間層
14…シーラント層
15…複合層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
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図14