(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】デュアルモーション基板キャリアを備えたシステム
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20240319BHJP
【FI】
H01L21/68 A
(21)【出願番号】P 2022519234
(86)(22)【出願日】2019-10-17
(86)【国際出願番号】 US2019056823
(87)【国際公開番号】W WO2021061169
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-10-12
(32)【優先日】2019-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】507310307
【氏名又は名称】インテヴァック インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】ブラック,テリー
【審査官】内田 正和
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-062534(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0025469(US,A1)
【文献】中国実用新案第204124714(CN,U)
【文献】特表2015-504248(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板処理システムであって、
複数の処理ウィンドウと内部に配置されている連続トラックとを有する真空エンクロージャと、
前記真空エンクロージャの側壁に取り付けられたそれぞれが前記処理ウィンドウの1つについてのものである複数の処理チャンバと、
前記真空エンクロージャの一端に取り付けられ、内部にロードトラックが配置されているロードロックと、
前記ロードロックを前記真空エンクロージャから分離する少なくとも1つのゲート弁と、
前記連続トラックおよびロードトラック上を移動するように構成されている複数の基板キャリアと、
前記真空エンクロージャ内に配置されている少なくとも1つのトラック交換器であって、基板キャリアが前記連続トラック上を連続して移動するようにする第1の位置と、前記基板キャリアが前記連続トラックと前記ロードトラックとの間を移送されるようにする第2の位置との間で移動可能なトラック交換器と、
前記真空エンクロージャ内に配置されているエンドレスベルトと、
前記ロードロック内に配置されている複数のモータ車輪と、を備え、
前記基板キャリアは、前記連続トラックを走行するときに前記エンドレスベルトに係合し、前記ロードトラックを走行するときに前記モータ車輪に係合し、
前記エンドレスベルトは、複数の駆動フォークを含み、
前記基板キャリアのそれぞれは、
前記連続トラックと前記ロードトラックとに係合するように構成されている複数の自由に回転する車輪と、
前記モータ車輪に係合するように構成されている駆動バーと、
前記駆動フォークに係合するように構成されている駆動ピンと、を備える基板処理システム。
【請求項2】
前記ロードロックの前記真空エンクロージャとは反対側に取り付けられている大気部をさらに含み、前記大気部は、
リターントラックと、
複数の駆動フォークが取り付けられた駆動輪と、を備える請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記連続トラックはレーストラックモノレールを含み、且つ前記ロードトラックは直線モノレールを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記トラック交換器は、ベースと、前記ベース上に配置されている湾曲モノレール部と、前記ベース上に配置されている直線モノレール部とを含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記処理チャンバのそれぞれは、回転ヒンジを介して前記真空エンクロージャに取り付けられている、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記複数の処理チャンバのうちの少なくとも1つは、シャッタを有するスパッタ源を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
基板処理システムであって、
第1の側および前記第1の側と反対側の第2の側を有するロードロック部と、
前記ロードロック部の前記第1の側に結合されている大気部と、
前記ロードロック部の前記第2の側に取り付けられ、複数の処理チャンバが取り付けられている真空部と、
キャリア輸送機構であって、
i. レーストラックの形に成形され前記真空部内に配置されている第1のモノレール部、前記ロードロック部内に配置されている2つの平行な線形モノレールと前記大気部および前記真空部への延長とを有する第2のモノレール部、ならびに前記大気部内に配置され、一方の端が前記線形モノレールのうちの1つの前記延長に接し、もう一方の端が前記線形モノレールのうちの別の1つの前記延長に接する曲線として成形されている第3のモノレール部として形成されているモノレールと、
ii. 前記レーストラックに配置されている動力要素と、
iii.前記第2のモノレール部に沿って配置されている複数のモータ車輪と、
iv. 前記第1のモノレール部の一端に配置されている2つのトラック交換器であって、各トラック交換器は、可動テーブル、前記テーブル上に配置されている直線モノレール部、および前記テーブル上に配置されている湾曲モノレール部を含むトラック交換器と、を含むキャリア輸送機構と、
複数の車輪を有し、前記モノレールに係合して前記モノレール上に乗るように構成されている複数のキャリアと、を備え
、
前記複数のキャリアのそれぞれは、ベースに取り付けられている駆動バーを含み、前記駆動バーは、前記キャリアが前記第2のモノレール部に乗っている間に前記キャリアを動かすように前記複数のモータ車輪に係合するように構成され、
前記複数のキャリアのそれぞれは、前記ベースに取り付けられ、且つ、前記キャリアが前記第1のモノレール部にある間に前記キャリアを動かすように前記動力要素に係合するように構成されている係合機構をさらに備える基板処理システム。
【請求項8】
前記トラック交換器が第1の位置にあるとき、前記湾曲モノレール部が前記第1のモノレール部と整列し、前記キャリアは前記第1のモノレール部に沿って連続して移動するようにし、前記トラック交換器が第2の位置にあるとき、前記直線モノレール部が前記第1のモノレール部を前記第2のモノレール部に接続し、前記キャリアは前記ロードロック部と前記真空部との間で交換されるようにする、請求項
7に記載のシステム。
【請求項9】
前記大気部はアンロード部とロード部とを含み、且つキャリアを前記アンロード部から前記ロード部に移送させる交換器をさらに含む、請求項
7に記載のシステム。
【請求項10】
前記交換器は、駆動輪を備える、請求項
9に記載のシステム。
【請求項11】
前記動力要素は、前記レーストラックに配置され、複数の駆動フォークが取り付けられているエンドレスベルトを備える、請求項7に記載のシステム。
【請求項12】
基板処理システムであって、
第1の側および前記第1の側と反対側の第2の側を有するロードロック部と、
前記ロードロック部の前記第1の側に結合されている大気部と、
前記ロードロック部の前記第2の側に取り付けられ、複数の処理チャンバが取り付けられている真空部と、
キャリア輸送機構であって、
i. レーストラックの形に成形され前記真空部内に配置されている第1のモノレール部、前記ロードロック部内に配置されている2つの平行な線形モノレールと前記大気部および前記真空部への延長とを有する第2のモノレール部、ならびに前記大気部内に配置され、一方の端が前記線形モノレールのうちの1つの前記延長に接し、もう一方の端が前記線形モノレールのうちの別の1つの前記延長に接する曲線として成形されている第3のモノレール部として形成されているモノレールと、
ii. 前記レーストラックに配置され、複数の駆動フォークが取り付けられているエンドレスベルトと、
iii.前記大気部に配置され、複数の駆動フォークが取り付けられている駆動輪と、
iv. 前記第2のモノレール部に沿って配置されている複数のモータ車輪と、
v. 前記第1のモノレール部の一端に配置されている2つのトラック交換器であって、各トラック交換器は、可動テーブル、前記テーブル上に配置されている線形モノレール部、および前記テーブル上に配置されている湾曲モノレール部を含むトラック交換器と、を含むキャリア輸送機構と、
複数のキャリアであって、各キャリアはベースと、前記ベースに取り付けられ且つ前記モノレールに係合し前記キャリアを前記モノレール上で自由に乗せるように構成されている複数の車輪と、前記複数のモータ車輪に係合して前記キャリアが前記第2のモノレール上に乗っている間に前記キャリアを移動させるように構成されている駆動バーと、前記ベースに取り付けられ且つ前記駆動フォークに係合し前記キャリアが前記第1または第3のモノレール部にある間に前記キャリアを移動させるように構成されている駆動ピンとを含む複数のキャリアと、を備え、
前記トラック交換器が第1の位置にあるとき、前記湾曲モノレール部が前記第1のモノレール部と整列し、前記キャリアは前記駆動フォークによって前記第1のモノレール部に沿って連続して移動するようにし、前記トラック交換器が第2の位置にあるとき、前記線形モノレール部が前記第1のモノレール部を前記第2のモノレール部に接続し、前記キャリアは前記ロードロック部と前記真空部との間で交換されるようにする、基板処理システム。
【請求項13】
前
記キャリアのそれぞれは、前記ベースに取り外し可能に取付けられている基板ホルダをさらに含む、請求項
12に記載のシステム。
【請求項14】
前記複数の処理チャンバのそれぞれは、シャッタを含む、請求項
12に記載のシステム。
【請求項15】
前記ロードロック部は、互いに独立した真空環境を有するロード用ロードロックとアンロード用ロードロックとを含む、請求項
12に記載のシステム。
【請求項16】
前記複数の処理チャンバのうちの少なくとも1つは、シャッタを有するスパッタ源を含む、請求項
12に記載のシステム。
【請求項17】
前記複数の処理チャンバは、それらの間の弁ゲートが無い共通の真空雰囲気に接続されている、請求項
12に記載のシステム。
【請求項18】
前記大気部は、ロード部とアンロード部とを含む、請求項
12に記載のシステム。
【請求項19】
前記ロードロック部は、共通の真空雰囲気を維持し且つ同期して動作するゲート弁を有する、ロード用ロードロックとアンロード用ロードロックとを備える、請求項
12に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、一般に、基板の薄膜コーティングなどの基板処理の分野に関連する。
【背景技術】
【0002】
(関連技術)
基板の真空処理は当技術分野でよく知られており、薄膜処理と呼ばれることもある。一般に、薄膜処理システムは、バッチ処理、クラスターシステム、インラインシステムの3つのアーキテクチャのいずれかに分類できる。これらのアーキテクチャのそれぞれの長所と短所は、当技術分野でよく知られている。
【0003】
一部のシステムアーキテクチャ、特にマイクロチップの製造に使用されるアーキテクチャでは、基板は個別に処理チャンバに輸送され、チャックまたは支持台に配置される。逆に、他のシステム、例えば、ハードディスクドライブまたは太陽電池の製造に使用されるシステムでは、基板は、基板キャリア上に配置された状態で輸送および処理される。
【0004】
異なるタイプの基板上に薄膜を形成するために使用することができる改善されたシステムアーキテクチャに対する必要性が当技術分野に存在する。さらに、高スループットおよび商業的に許容可能なコストで薄膜コーティングを形成することができる機械装置が当技術分野で必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
本発明のいくつかの態様および特徴の基本的な理解を提供するために、本開示の以下の発明の概要が含まれている。この発明の概要は、本発明の広範な概要ではなく、したがって、本発明の重要な要素もしくは決定的な要素を特に特定すること、または本発明の範囲を叙述することを意図するものではない。その唯一の目的は、以下に提示されるより詳細な説明の前置きとして、本発明のいくつかの概念を簡略化された形で提示することである。
【0006】
開示された実施形態は、大量生産において、許容可能な商業的コストで、改善された薄膜コーティングを形成するよう具体的に設計されたシステムを提供する。
【0007】
開示された実施形態では、真空エンクロージャは、それに取り付けられている複数の処理チャンバを有する。処理中、キャリアは真空エンクロージャ内を一斉に連続して移動し、処理チャンバによって処理される。ロードロック部は、真空エンクロージャに取り付けられており、ロード側とアンロード側を有し、これらは独立した真空環境を共有しまたは有することができる。ゲート弁は、ロードロック部を真空エンクロージャから分離する。トラック交換器は真空エンクロージャ内に配置されている。トラック交換器は、キャリアが真空エンクロージャ内を連続して移動する第1の位置と、キャリアが真空エンクロージャとロードロック部との間を移動するようにされる第2の位置との間で移動可能である。
【0008】
一般的な態様によれば、処理システムであって、複数の処理ウィンドウと内部に配置されている連続トラックとを有する真空エンクロージャと、前記真空エンクロージャの側壁に取り付けられたそれぞれが前記処理ウィンドウの1つについてのものである複数の処理チャンバと、前記真空エンクロージャの一端に取り付けられ、内部にロードトラックが配置されているロードロックと、前記ロードロックを前記真空エンクロージャから分離する少なくとも1つのゲート弁と、前記連続トラックおよびロードトラック上を移動するように構成されている複数の基板キャリアと、前記真空エンクロージャ内に配置されている少なくとも1つのトラック交換器であって、基板キャリアが連続トラック上を連続して移動するようにする第1の位置と、前記基板キャリアが前記連続トラックと前記ロードトラックとの間を移送されるようにする第2の位置との間で移動可能なトラック交換器と、を備える処理システムが提供される。
【0009】
さらなる態様では、基板処理システムであって、第1の側および前記第1の側と反対側の第2の側を有するロードロック部と、前記ロードロック部の前記第1の側に結合されている大気部と、前記ロードロック部の前記第2の側に取り付けられ、複数の処理チャンバが取り付けられている真空部と、キャリア輸送機構であって、
i. レーストラックの形に成形され前記真空部内に配置されている第1のモノレール部、前記ロードロック部内に配置されている2つの平行な線形モノレールと前記大気部および前記真空部への延長とを有する第2のモノレール部、ならびに前記大気部内に配置され、一方の端が前記線形モノレールのうちの1つの前記延長に接し、もう一方の端が前記線形モノレールのうちの別の1つの前記延長に接する曲線として成形されている第3のモノレール部として形成されているモノレールと、
ii. 前記レーストラックに配置されている動力要素と、
iii. 前記第2のモノレール部に沿って配置されている複数のモータ車輪と、
iv. 前記第1のモノレール部の一端に配置されている2つのトラック交換器であって、各トラック交換器は、可動テーブル、前記テーブル上に配置されている直線モノレール部、および前記テーブル上に配置されている湾曲モノレール部を含むトラック交換器と、を含むキャリア輸送機構と、
複数の車輪を有し、前記モノレールに係合して前記モノレール上に乗るように構成されている複数のキャリアと、を備える基板処理システムが提供される。
【0010】
一実施形態では、前記システムは、第1の側および前記第1の側と反対側の第2の側を有するロードロック部と、前記ロードロック部の前記第1の側に結合されている大気部と、前記ロードロック部の前記第2の側に取り付けられ、複数の処理チャンバが取り付けられている真空部と、キャリア輸送機構であって、
i. レーストラックの形に成形され前記真空部内に配置されている第1のモノレール部、前記ロードロック部内に配置されている2つの平行な線形モノレールと前記大気部および前記真空部への延長とを有する第2のモノレール部、ならびに前記大気部内に配置され、一方の端が前記線形モノレールのうちの1つの前記延長に接し、もう一方の端が前記線形モノレールのうちの別の1つの前記延長に接する曲線として成形されている第3のモノレール部として形成されているモノレールと、
ii. 前記レーストラックに配置され、複数の駆動フォークが取り付けられているエンドレスベルトと、
iii. 前記大気部に配置され、複数の駆動フォークが取り付けられている駆動輪と、
iv. 前記第2のモノレール部に沿って配置されている複数のモータ車輪と、
v. 前記第1のモノレール部の一端に配置されている2つのトラック交換器であって、各トラック交換器は、可動テーブル、前記テーブル上に配置されている線形モノレール部、および前記テーブル上に配置されている湾曲モノレール部を含むトラック交換器と、を含むキャリア輸送機構と、
複数のキャリアであって、各キャリアはベースと、前記ベースに取り付けられ且つ前記モノレールに係合し前記キャリアを前記モノレール上で自由に乗せるように構成されている複数の車輪と、前記複数のモータ車輪に係合して前記キャリアが前記第2のモノレール上に乗っている間に前記キャリアを移動させるように構成されている駆動バーと、前記ベースに取り付けられ且つ前記駆動フォークに係合し前記キャリアが前記第1または第3のモノレール部にある間に前記キャリアを移動させるように構成されている駆動ピンとを含む複数のキャリアと、を備え、前記トラック交換器が第1の位置にあるとき、前記湾曲モノレール部は前記第1のモノレール部と整列し、前記キャリアが前記駆動フォークによって前記第1のモノレール部に沿って連続して移動するようにし、前記トラック交換器が第2の位置にあるとき、前記線形モノレール部は前記第1のモノレール部を前記第2のモノレール部に接続し、前記キャリアが前記ロードロック部と前記真空部との間で交換されるようにする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明の他の態様および特徴は、以下の図面を参照して行われる詳細な説明から明らかであろう。詳細な説明および図面は、添付の特許請求の範囲によって定義される、本発明の様々な実施形態の様々な非限定的な例を提供することを理解されたい。
【0012】
本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付の図面は、説明とともに本発明の実施形態を例示し、本発明の原理を説明し且つ例示するのに役立つ。図面は、例示的な実施形態の主要な特徴を図式的に示すことを意図している。図面は、実際の実施形態のすべての特徴も、描写された要素の相対的寸法も記載することを意図しておらず、一定の縮尺で描かれているわけではない。
【
図1】
図1は、デュアルモーションキャリアを使用して薄膜コーティングを形成するためのモジュラーシステムの実施形態を示す。
【
図1A】
図1Aは、デュアルモーションキャリアを使用して薄膜コーティングを形成するためのモジュラーシステムの実施形態を示す。
【
図1B】
図1Bは、デュアルモーションキャリアを使用して薄膜コーティングを形成するためのモジュラーシステムの実施形態を示す。
【
図2A】
図2Aは、デュアルモーション基板キャリアの一実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、薄膜コーティングおよびそのデュアルモーションキャリアを製造するための本発明のシステムの実施形態を、図面を参照して説明する。異なる実施形態またはそれらの組み合わせは、異なる用途のために、または異なる利益を達成するために使用され得る。達成しようとする結果に応じて、本明細書に開示される異なる機能を、部分的にもしくは最大限に、単独でもしくは他の機能と組み合わせて利用し、利点と要件および制約とのバランスをとることができる。したがって、特定の利点は、種々の実施形態を参照して強調されるが、開示された実施形態に限定されない。すなわち、本明細書に開示される特徴は、それらが説明される実施形態に限定されず、他の特徴と「混合および適合」をされ、他の実施形態に組み込まれ得る。
【0014】
開示された実施形態は、キャリア運動の第1のモードを使用して真空チャンバ内の基板の連続処理を可能にするシステムアーキテクチャと、キャリア運動の第2のモードを使用して真空チャンバからキャリアを輸送するメカニズムとを備えている。キャリア運動のどちらのモードでも、キャリアはトラック上に自由に乗ることができるが、キャリアをトラックに乗せるためにキャリアに加えられる動力は、キャリア運動モードのモードごとに異なる。真空チャンバ内では、すべてのキャリアは一斉に移動するが、真空チャンバを出るとき、キャリアは独立して移動できる。
【0015】
次に、第1の実施形態を、
図2Aおよび2Bと併せて、
図1を参照して説明する。
図1はシステムの上面概略図を示し、
図2Aはキャリアを示し、
図2Bは
図2Aのキャリアの交換用基板ホルダを示す。
【0016】
図1では、システム100は、大気部105と、ロードロック部110と、真空部115と、から構成される。キャリアは、大気部105でロードおよびアンロードされ、ロードロック部110を介して大気部105と真空部115との間で移送される。基板は、真空部115内で処理される。この実施例では、4つの処理チャンバ120A~120Dが示されているが、以下にさらに示されるように、任意の数の処理チャンバを備えることができる。処理チャンバ120A~120Dのそれぞれは、エッチングチャンバ、スパッタリングチャンバ、イオン注入チャンバなどであり得る。図示のように、この実施形態では、処理チャンバは、それらの間の弁ゲートが無く共通の真空雰囲気に接続されている。
【0017】
モノレール部125は、3つの部105、110、および115に設けられ、基板キャリアが3つの部すべてを横断することを可能にする。モノレール部は、真空部内にレーストラックモノレール127を形成し、ロードロック部を横断し、部分的に大気部に、部分的に真空部に延びる線形トラック128Aおよび128Bを形成し、大気部内で湾曲した三日月形の回転トラック129を形成する。エンドレスベルト130は、真空部115内の回転ドラム131Aおよび131B上に設けられ、エンドレスベルト130は、それに取り付けられている複数の動力フォーク132を有する。線形トラックの隣に複数の通電車輪135が設けられ、大気部には動力フォーク132を備えている回転車輪137が設けられている。
【0018】
2つのトラック交換器140は真空部の内側に設けられ、その拡大図がコールアウトに提供されている。トラック交換器は、その上に2つのトラック部が設けられているテーブル141、湾曲したトラック部142、および直線のトラック部144を備える。
図1の両方向矢印によって示されるように、トラック交換器は、2つの位置の1つに移動可能である。1つの位置では、湾曲したトラック部がレーストラック127を完成させ、真空部内のキャリアがレーストラックに沿って連続して移動し、チャンバ120A~120Dによって基板を連続して処理する。真空チャンバ内の基板の処理が完了すると、トラック交換器は第2の位置に移動し、線形トラックは、線形トラック128Aおよび128Bとレーストラック127の直線部との間の接続を形成し、その結果、真空チャンバ内部のキャリアは、ロードロックに出て、ロードロック内のキャリアは真空部に入る。
【0019】
基板キャリア150の実施形態を
図2Aに示す。この実施形態では、キャリア150は、ベース152および基板ホルダ154を有する。基板ホルダ154は、異なる形状および数の基板の処理を可能にするために、ベースから取り外し可能である。例えば、
図2Aに示されるホルダ154は、3つのレベルで正方形または長方形の基板を保持し、一方、
図2Bに示されるホルダ154’は、円形の基板を保持する。
【0020】
図2Aに示すように、ベース152は、モノレール125に係合して乗るローラー装置153を含む。このローラー装置は、モータ式ではなく、ベースがモノレールに自由に乗ることができるように、複数の自由に回転する車輪を含むことができる。動力は、駆動バー156に係合している車輪135、または駆動ピン158に係合しているフォーク132の1つのいずれかから来る。
【0021】
次に、システム100で実行される処理の例を説明する。空のキャリアがロードステーション160に駆動され、基板がキャリアにロードされ、そこでローラー装置153が線形トラック1Aに係合し、モータ車輪135が駆動バー156に係合する。新しい基板は、基板ホルダ154にロードされる。一方、処理済みの基板は、アンロードステーション161に位置している別のキャリアから取り外すことができる。ロードおよびアンロードが完了すると、ロード部160のロードロックの入口ゲート弁ENが開かれる。任意選択で、アンロード部161のロードロックの出口ゲート弁EXが開かれる。ロード用ロードロックの出口ゲート弁EXは閉じたままである。また、アンロード部の出口ゲート弁が開くと、それの入口ゲート弁が閉じる。いくつかの実施形態では、2つのロードロックは、破線の仕切り170によって例示されるように独立しており、その結果、それぞれが互いに独立して真空を維持することができる。このような場合、新しいキャリアがロード用ロードロックにロードされている間に、処理済みのキャリアを真空部からアンロード用ロードロック161にロードすることができる。入口および出口ゲート弁は、キャリアの移動方向に関して識別されるものの、入口ゲート弁および出口ゲート弁の構造は同一である。つまり、進行方向が反転すると、入口弁および出口弁の指定も反転する。
【0022】
この状態では、モータ車輪135に通電され、ロードステーション内のキャリアはそれぞれのロードロックに移送され、他のロードロック内のキャリアが大気部105に移動したり、処理済みキャリアがアンロード用ロードロックに移動したりできる。ただし、これらの操作を同時に実行する必要はないことに注意する必要がある。あるいは、アンロード部のモータ車輪が通電されていない状態で、新しい基板を備えたキャリアの入口弁のみが開かれロードロックに移動するように、別々に丁度よい時にロードを行うことができる。すなわち、線形トラック部内のモータ車輪は、モータ車輪のサブグループのみが通電されるように、独立してまたはグループで通電することができる。また、ロードロックが独立している場合、つまり、独立して専用のポンプ装置を備えている場合、さまざまなゲート弁にも独立して通電できるため、ロードとアンロードを同期させる必要はない。もちろん、運用効率のためには、運用を同期させることが有益である。
【0023】
ロードロックが共通の真空雰囲気を維持し、ポンプが共通で使用される実施形態では、例えば、仕切り170がない場合、ゲート弁は同期して作動する。たとえば、ロード用ロードロックのゲート弁ENは、アンロード用ロードロックのEXゲート弁と連動し、ロード用ロードロックのEXゲート弁は、アンロード用ロードロックのENゲート弁と連動する。
【0024】
キャリアがロードロックに入ると、入口ゲート弁が閉じられ、真空が引かれる。処理済みキャリアが出口ロードロックから引き出された場合も、ポンプで真空状態に引かれる。適切な真空レベルが達成されると、ロード用ロードロックの出口ゲート弁EXが開かれ、適切なモータ車輪が作動して、キャリアを真空部115に移動させる。このとき、トラック交換器140は、線形トラック144がレーストラックモノレール127の直線部と整列する位置を取る。その結果、車輪が通電されてキャリアを真空部に移動させると、キャリアはレーストラック回路に入り、動力フォークが駆動ピン158と係合する。次に、トラック交換器140が動かされて、湾曲したトラック部142がレーストラックモノレール127の直線部と整列する位置を取る。この位置では、キャリアは、モータ車輪135ではなく、エンドレスベルト130によって動かされる。また、この状態では、エンドレスベルトが回転すると、キャリアは、処理部を出る準備ができるまで、必要な数の回路だけレーストラックに沿って移動する。その結果、キャリア上の基板は、チャンバ120A~120Dのそれぞれによって、必要な回数だけ繰り返し処理することができる。
【0025】
処理が完了すると、アンロード部のトラック交換器140が移動して、線形トラック部144がレーストラックモノレール127の直線部と整列する位置を取る。エンドレスベルトが回転し続けると、キャリアはトラック交換器に移動させられ、動力フォークの係合から外れると同時に、駆動バー156がモータ車輪135と係合する。次に、モータ車輪に通電し、キャリアをレーストラック回路から外部に駆動することができる。
【0026】
見てわかるように、説明した実施形態では、キャリアは2つの動力モードを有し、レーストラックおよび大気リターン回路ARCにおいて動力フォークに係合しながら、線形トラック上でモータ車輪に係合する。レーストラックでは、フォークはエンドレスベルトに取り付けられているが、大気リターン回路では、フォークは駆動輪に取り付けられている。また、トラック交換機は、キャリアをレーストラックに出し入れするために使用されている。トラック交換器により、1番目の位置では、キャリアをレーストラックの周りで際限なく駆動でき、2番目の位置では、キャリアをレーストラックに出し入れすることができる。
【0027】
前に述べたように、システムは必要な数の処理チャンバを含むように適応可能である。
図1Aに実施例を示す。
図1Aに示す実施例は、
図1に示す実施例と類似しており、類似した要素は同じ参照で示されている。主な違いは、この実施例のシステムには6つの処理チャンバ120A~120Fが含まれていることである。それ以外では、すべての要素が
図1の要素と同一であってよく、このアーキテクチャが多目的に使用され得ることを示す。
【0028】
図1Bは、6つの処理チャンバを有する実施形態の外観を提供し、本視点では120A~120Cを見ることができる。この場合も、システムは、3つの部、すなわち、大気部105と、ロードロック110と、および処理チャンバが取り付けられている真空エンクロージャ163を含む真空部115と、から構成されている。この図では、真空エンクロージャの内部を可視化できるように、サービスアクセスウィンドウ166、167、および168が開いた状態で示されている。例えば、回転ドラム131Aおよび131Bは、それぞれ、サービスアクセスウィンドウ166および168から見ることができる。レーストラックモノレール127およびエンドレスベルト130の一部は、サービスアクセスウィンドウ167から見ることができる。
【0029】
この例では、チャンバ120Bは開いた位置において示され、処理ウィンドウ172を介して処理チャンバおよび真空エンクロージャの内部に容易にアクセスできるようにされている。具体的には、この例では、プロセスチャンバ120A~120Cは、回転可能なヒンジ170(
図1Bでは見えないが、
図1Aには示されている)を介して真空エンクロージャ163に取り付けられている。チャンバ120Bは、そのヒンジ上で回転すると、真空エンクロージャ163の内部を露出させ、そこに4つの基板を備えたキャリア150が示されている。
【0030】
これまでに開示されたアーキテクチャは、大気部105と、ロードロック部110と、複数の処理室120が取り付けられた真空部115と、を有する基板処理システムを提供する。キャリア輸送機構は、レーストラックの形に成形され真空部内に配置されている第1のモノレール部127、ロードロック部内に配置されている2つの平行な線形モノレール128Aおよび128Bと大気部および真空部への延長とを有する第2のモノレール部、ならびに大気部内に配置され、一方の端が線形モノレールのうちの1つの延長に接し、もう一方の端が線形モノレールのうちの別の1つの延長に接する、三日月形の回転トラック129の形状の第3のモノレール部として形成されているモノレールと、レーストラックに配置され、複数の駆動フォーク132が取り付けられているエンドレスベルト130と、大気部に配置され複数の駆動フォークが取り付けられている駆動輪137と、第2のモノレール部に沿って配置されている複数のモータ車輪135と、第1のモノレール部の一端に配置されている2つのトラック交換器140であって、各トラック交換器140は、可動テーブル141、該テーブル上に配置されている線形モノレール部144、および当該テーブル上に配置されている湾曲モノレール部142を含むトラック交換器と、を備えている。
【0031】
複数のキャリアは、処理すべき基板を支持し、各キャリアは、ベース152と、該ベースに取り付けられ且つモノレールに係合しキャリアをモノレール上で自由に乗せるように構成されている複数の自由回転車輪153と、複数のモータ車輪135に係合してキャリアが第2のモノレール上に乗っている間にキャリアを移動させるように構成されている駆動バー156と、当該ベースに取り付けられ且つ駆動フォーク132に係合しキャリアが第1または第3のモノレール部にある間にキャリアを移動させるように構成されている駆動ピン158と、を備える。
【0032】
トラック交換器が第1の位置にあるとき、湾曲モノレール部が第1のモノレール部と整列し、キャリアは駆動フォークによって第1のモノレール部に沿って連続して移動するようにし、トラック交換器が第2の位置にあるとき、線形モノレール部が第1のモノレール部を第2のモノレール部に接続し、キャリアはロードロック部と前空部との間で交換されるようにする。
【0033】
開示された処理システムにおいて基板を処理するための方法は、基板をキャリア上にロードするステップと、輸送トラック上のキャリアをロードロックに輸送するステップと、ポンプでロードロック内部を真空に引くステップと、複数の処理チャンバが取り付けられた処理エンクロージャに輸送トラック上のキャリアを輸送するステップと、トラック交換器を操作して第1の位置を取らせることにより、輸送トラックと処理トラックとの間の接続を形成し、トラック交換器上のキャリアを移動させ、そこから処理エンクロージャ内の処理トラックに移動させるステップと、トラック交換器を操作して第2の位置を取らせることにより、処理トラックを輸送トラックから分離するステップと、処理チャンバに通電しながら、キャリアを処理トラック上で連続して移動させるステップと、そして、処理が完了したら、トラック交換器を操作して第1の位置を取らせ、キャリアを処理トラックから輸送トラックに輸送するステップと、を含み得る。キャリアを連続して移動させるステップは、例えば、複数のキャリアをエンドレスベルトに結合することによって、複数のキャリアを一斉に連続して移動させることを含み得る。
【0034】
本明細書に記載のプロセスおよび技術は、本質的に特定の装置に関連するものではなく、構成要素の任意の適切な組み合わせによって実施され得ることを理解されたい。さらに、本明細書に記載の教示に従って、様々なタイプの汎用装置を使用することができる。本発明は、特定の実施例に関連して説明されており、これらの実施例は、すべての点において、限定的ではなく例示的であることが意図されている。当業者は、多くの異なる組み合わせが本発明を実施するのに適していることを理解するであろう。
【0035】
さらに、本発明の他の実施については、ここに開示された本発明の明細書および実施を考慮することから当業者には明らかであろう。記載された実施形態の様々な態様および/または構成要素は、単独でまたは任意の組み合わせで使用することができる。本明細書および実施例は例示としてのみ考慮され、本発明の真の範囲および精神は以下の特許請求の範囲によって示されることが意図されている。