(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】センサシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G01N 27/414 20060101AFI20240319BHJP
G01N 27/00 20060101ALI20240319BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20240319BHJP
G01N 33/92 20060101ALI20240319BHJP
G01N 33/569 20060101ALI20240319BHJP
C07K 16/08 20060101ALN20240319BHJP
C07K 16/18 20060101ALN20240319BHJP
【FI】
G01N27/414 301V
G01N27/00 Z
G01N27/414 301K
G01N33/53 D
G01N33/53 S
G01N33/92
G01N33/569 G
C07K16/08
C07K16/18
(21)【出願番号】P 2022539012
(86)(22)【出願日】2020-12-23
(86)【国際出願番号】 US2020066765
(87)【国際公開番号】W WO2021133869
(87)【国際公開日】2021-07-01
【審査請求日】2023-12-22
(32)【優先日】2019-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522250828
【氏名又は名称】ナノディーエックス,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】NanoDX, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【氏名又は名称】徳山 英浩
(74)【代理人】
【識別番号】100125922
【氏名又は名称】三宅 章子
(72)【発明者】
【氏名】ホスラビ,ファルハド
(72)【発明者】
【氏名】バステーブル,デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ドライガ,セルゲイ エイ.
【審査官】小澤 理
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2004/041719(WO,A1)
【文献】特開2012-163578(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0112546(US,A1)
【文献】特表2005-537498(JP,A)
【文献】特開2011-135002(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0093092(US,A1)
【文献】LEE, C. et al.,Flash-induced nanowelding of silver nanowire networks for transparent stretchable electrochromic devices,Scientific Reports,2018年,Vol.8, No.2763,p.1-10,doi:10.1038/s41598-018-20368-3
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/414
G01N 27/00
G01N 33/53
G01N 33/92
G01N 33/569
C07K 16/08
C07K 16/18
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心点の周りに円形構造を形成するように配置され
、少なくとも30のナノワイヤを含む複数のナノワイヤと、
前記複数のナノワイヤ上に配置された複数の電極と、
前記複数のナノワイヤ上に配置されたブロッキング層と、
を備え
、
前記ブロッキング層は、タンパク質を含む、センサ。
【請求項2】
ナノワイヤは、少なくとも1対の電極を互いに電気的に連通させている、請求項
1に記載のセンサ。
【請求項3】
前記複数のナノワイヤの平均長さが5ミクロン以上50ミクロン以下である、請求項
1に記載のセンサ。
【請求項4】
前記複数のナノワイヤは、単結晶シリコンを含む、請求項
1に記載のセンサ。
【請求項5】
前記複数のナノワイヤは、帯電した表面を有するナノワイヤ
、および/または、官能基が表面に位置するナノワイヤを含
み、前記官能基は、被分析物と結合するように構成されている、請求項
1に記載のセンサ。
【請求項6】
前記被分析物は生体タンパク質または小分子である、請求項5に記載のセンサ。
【請求項7】
前記官能基は、ヒドロキシル官能基、アミノ官能基、エポキシ官能基、および/またはアルデヒド官能基を含む、請求項5に記載のセンサ。
【請求項8】
前記複数のナノワイヤは、結合エンティティ(binding entity)を有する、請求項
1に記載のセンサ。
【請求項9】
前記複数のナノワイヤは、脳損傷のバイオマーカーに対する結合エンティティを有する、請求項
1に記載のセンサ。
【請求項10】
前記複数のナノワイヤは、小分子バイオマーカーに対する結合エンティティを有する、請求項
1に記載のセンサ。
【請求項11】
前記複数のナノワイヤは、脂質に対する結合エンティティを有する、請求項
1に記載のセンサ。
【請求項12】
前記複数のナノワイヤは、ウイルスタンパク質に対する結合エンティティを有する、請求項
1に記載のセンサ。
【請求項13】
前記ブロッキング層は、液体との接触により除去される安定剤を含む、請求項
1に記載のセンサ。
【請求項14】
前記複数の電極は、中心点から等距離にある複数対の電極を含む、請求項1に記載のセンサ。
【請求項15】
前記複数のナノワイヤは、異なる化学物質で官能化された2つ以上のナノワイヤ群を含む、請求項1に記載のセンサ。
【請求項16】
前記複数のナノワイヤは、グリア線維性酸性タンパク質(GFAP)、UCH-L1、S100β、ICH、NFL-1、および/または、Dダイマーに対する結合エンティティを有する、請求項1に記載のセンサ。
【請求項17】
前記複数のナノワイヤは、ウイルスタンパク質、小分子、および/または、脂質に対する結合エンティティを有する、請求項1に記載のセンサ。
【請求項18】
前記複数のナノワイヤは、SARS-CoV-2タンパク質に対する結合エンティティを有する、請求項1に記載のセンサ。
【請求項19】
前記SARS-CoV-2タンパク質は、スパイク
(S)タンパク質、ヌクレオカプシド
(N)タンパク質、および/またはエンベロープ
(E)タンパク質を含む、請求項
18に記載のセンサ。
【請求項20】
前記複数のナノワイヤは、インフルエンザウイルスタンパク質、ジカウイルスタンパク質、パラインフルエンザウイルスタンパク質、HIV1ウイルスタンパク質、CMVタンパク質、および/またはHHVウイルスタンパク質に対する結合エンティティを有する、請求項1に記載のセンサ。
【請求項21】
中心点の周りに放射対称となるように配置され、少なくとも10対の電極を含む複数対の電極と、
複数のナノワイヤ上に配置されたブロッキング層と、を備え、
前記ブロッキング層は、タンパク質を含む、センサ。
【請求項22】
センサを、体液を含む流体にさらすことを含む方法であって、
前記センサは、
中心点の周りに円形構造を形成するように配置され、少なくとも30のナノワイヤを含む複数のナノワイヤと、
前記複数のナノワイヤ上に配置された複数の電極と、を備える、方法。
【請求項23】
前記体液は、血液、血漿、唾液、涙、尿、鼻腔液(nasal fluid)、または鼻咽頭液(nasopharyngeal fluid)である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記複数のナノワイヤは、グリア線維性酸性タンパク質(GFAP)、UCH-L1、S100β、ICH、NFL-1、および/または、Dダイマーに対する結合エンティティを有し、
前記方法は、前記グリア線維性酸性タンパク質(GFAP)、UCH-L1、S100β、ICH、NFL-1、および/またはDダイマーの特性を決定することを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記複数のナノワイヤは、ウイルスタンパク質、小分子、および/または、脂質に対する結合エンティティを有し、
前記方法は、前記ウイルスタンパク質、小分子、および/または脂質の特性を決定することを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記複数のナノワイヤは、SARS-CoV-2タンパク質に対するに対する結合エンティティを有し、
前記方法は、前記SARS-CoV-2タンパク質の特性を決定することを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
前記SARS-CoV-2タンパク質は、スパイク(S)タンパク質、ヌクレオカプシド(N)タンパク質、および/またはエンベロープ(E)タンパク質を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記複数のナノワイヤは、インフルエンザウイルスタンパク質、ジカウイルスタンパク質、パラインフルエンザウイルスタンパク質、HIV1ウイルスタンパク質、CMVタンパク質、および/またはHHVウイルスタンパク質に対する結合エンティティを有し、
前記方法は、前記インフルエンザウイルスタンパク質、ジカウイルスタンパク質、パラインフルエンザウイルスタンパク質、HIV1ウイルスタンパク質、CMVタンパク質、および/またはHHVウイルスタンパク質の特性を決定することを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項29】
前記体液は、指刺しによって得られたもの、綿棒を用いて採取されたもの、および/または、他の流体に再懸濁された固体または粘性の試料を含むものである、請求項22に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年12月23日に出願され、「Sensor System and Methods」と題する米国仮出願第62/953,140号、2019年12月23日に出願され、「Sensor System and Electrodes」と題する米国仮出願第62/953,143号、および「Sensor System and Methods of Making」と題する米国仮出願第62/953,148号の、35U.S.C.119(e)に基づく優先権を主張しており、これらの各出願は、その全体が参照により本出願に組み込まれる。
【0002】
(本発明の分野)
本発明は、概して、センサに関するものであり、特に、本発明は、体液のセンシングに適したセンサに関する。
【背景技術】
【0003】
センサは、体液の1つ以上の特徴を検出するために用いられ得る。しかしながら、センサのなかには、対象の被分析物(analytes of interest)に対して望ましくないほど低い感度を有するものもある。従って、センサの改良が必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
センサ、関連部品(関連する構成要素)、および関連方法について一般的に説明する。
【0005】
いくつかの実施形態は、センサに関する。いくつかの実施形態において、センサは、中心点の周りに(中心点を中心に)放射対称(radial symmetry)となるように配置された複数対の電極を備える。複数対の電極は、少なくとも10対の電極を含む。
【0006】
いくつかの実施形態では、センサは、中心点の周りに(中心点を中心に)円形構造を形成するように配置された複数のナノワイヤと、複数のナノワイヤ上に配置された複数の電極とを備える。複数のナノワイヤは、少なくとも30のナノワイヤを含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、センサは、1対の電極を備える。1対の電極は、第1電極を備える。第1電極は、第1部分と、第2部分と、第1部分と第2部分とを接続する第3部分とを有する。1対の電極は、また、第2電極を備える。第2電極は、第1電極の第1部分と実質的に平行な第1部分と、第1電極の第2部分と実質的に平行な第2部分と、第1部分と第2部分とを接続する第3部分とを有する。第2電極の第1部分および第2部分は、第1電極の第1部分と第2部分との間に位置している。
【0008】
いくつかの実施形態では、センサは、第1電極と、第2電極と、ナノワイヤとを備える。ナノワイヤは、第1電極および第2電極と電気的に連通(electrical communication)している。第1電極と第2電極との間の距離は、5ミクロン以上15ミクロン以下である。第1電極と第2電極との間の当該距離に対するナノワイヤの長さの比は1以上5以下である。
【0009】
いくつかの実施形態では、センサは、複数対の電極と、複数のナノワイヤとを備える。複数対の電極の10%以上について、その対を構成する2つの電極は、まさに1つ(exactly one)のナノワイヤによって電気的に連通している。
【0010】
いくつかの実施形態は、方法に関する。いくつかの実施形態では、方法は、複数のナノワイヤを含む流体をノズルから基板上に吐出すること、流体の少なくとも一部を蒸発させること、ノズルからさらなる量の流体を吐出させることによって、蒸発させた流体の少なくとも一部を補充すること、および、複数のナノワイヤを含む流体を基板と接触させて、0.2秒以上の時間にわたって保持することを含む。保持、補充および蒸発の工程の間、流体は、基板およびノズルの両方に接触している。
【0011】
本発明の他の利点および新規な特徴は、添付の図と合わせて考慮すると、本発明の様々な非限定的な実施形態の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。本明細書と、参照により組み込まれる文献とが、矛盾するおよび/または整合しない開示を含む場合、本明細書が支配的であるものとする。参照により組み込まれる2つ以上の文献が、互いに関して矛盾するおよび/または整合しない開示を含む場合、より遅い発効日を有する文献が支配的であるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明の非限定的な実施形態は、添付の図を参照して例示的に説明されるが、これらは概略的なものであり、縮尺通りに描かれることを意図していない。これらの図において、図示された同一またはほぼ同一の構成要素のそれぞれは、典型的には、単一の数字によって表される。明確にするために、すべての図においてすべての構成要素が符号付け(ラベリング)されているわけではなく、また、当業者が本発明を理解するために図示が必要でない場合には、本発明の各実施形態のすべての構成要素が示されているわけでもない。
【0013】
【
図1】
図1は、いくつかの実施形態による、単一のナノワイヤによって電気的に連通している1対の電極を示す。
【
図2】
図2は、いくつかの実施形態による、1対の電極の側面図である。
【
図3】
図3は、いくつかの実施形態による、1対の電極を示す。
【
図4】
図4は、いくつかの実施形態による、単一のナノワイヤによって電気的に連通している1対の電極を示す。
【
図5】
図5は、いくつかの実施形態による、ブロッキング層を有するセンサにおける1対の電極の側面図である。
【
図6A】
図6Aは、いくつかの実施形態による、中心点の周りに放射対称となるように配置された複数対の電極を備えるセンサを示す。
【
図6B】
図6Bは、いくつかの実施形態による、中心点の周りに放射対称となるように配置された複数対の電極を備えるセンサを示す。
【
図7A】
図7Aは、いくつかの実施形態による、複数のナノワイヤを有する円形構造上に配置される複数対の電極を備えるセンサを示す。
【
図7B】
図7Bは、いくつかの実施形態による、複数のナノワイヤを有する円形構造上に配置される複数対の電極を備えるセンサを示す。
【
図7C】
図7Cは、いくつかの実施形態による、複数のナノワイヤを有する円形構造上に配置される複数対の電極を備えるセンサを示す。
【
図7D】
図7Dは、いくつかの実施形態による、複数のナノワイヤを有する円形構造上に配置される複数対の電極を備えるセンサを示す。
【
図7E】
図7Eは、いくつかの実施形態による、複数のナノワイヤを有する円形構造上に配置される複数対の電極を備えるセンサを示す。
【
図8A】
図8Aは、いくつかの実施形態による、センサ製造中に行われ得るいくつかの工程を示す。
【
図8B】
図8Bは、いくつかの実施形態による、センサ製造中に行われ得るいくつかの工程を示す。
【
図8C】
図8Cは、いくつかの実施形態による、センサ製造中に行われ得るいくつかの工程を示す。
【
図8D】
図8Dは、いくつかの実施形態による、センサ製造中に行われ得るいくつかの工程を示す。
【
図8E】
図8Eは、いくつかの実施形態による、センサ製造中に行われ得るいくつかの工程を示す。
【
図9A】
図9Aは、いくつかの実施形態による、基板から表面層の一部を除去する1つの方法を示す。
【
図9B】
図9Bは、いくつかの実施形態による、基板から表面層の一部を除去する1つの方法を示す。
【
図10A】
図10Aは、いくつかの実施形態による、複数のナノワイヤが配置された基板の上に1対の電極を堆積させる1つの方法を示す。
【
図10B】
図10Bは、いくつかの実施形態による、複数のナノワイヤが配置された基板の上に1対の電極を堆積させる1つの方法を示す。
【
図10C】
図10Cは、いくつかの実施形態による、複数のナノワイヤが配置された基板の上に1対の電極を堆積させる1つの方法を示す。
【
図10D】
図10Dは、いくつかの実施形態による、複数のナノワイヤが配置された基板の上に1対の電極を堆積させる1つの方法を示す。
【
図10E】
図10Eは、いくつかの実施形態による、複数のナノワイヤが配置された基板の上に1対の電極を堆積させる1つの方法を示す。
【
図11】
図11は、いくつかの実施形態による、電極材料上に配置されたパッシベーション層を形成する1つの方法を示す。
【
図12】
図12は、いくつかの実施形態による、基板と、基板上に配置された表面層と、表面層上に配置された複数のナノワイヤと、表面層および複数のナノワイヤ上に配置された1対の不動態化電極(passivated electrodes)とを備える物品の一例を示している。
【
図13】
図13は、いくつかの実施形態による、1対の電極と電極の外部の環境との間に位置する層を備える物品の非限定的な一実施形態を示す。
【
図14】
図14は、いくつかの実施形態による、1対の電極上に配置された層が、複数のナノワイヤの一部、表面層の一部、および1対の電極の各メンバの一部をその外部の環境に露出させている物品の一例を示している。
【
図15】
図15は、いくつかの実施形態による、1対の電極の各メンバの一部上に配置されたワイヤボンディング組成物を備えるセンサの一例を示す。
【
図16】
図16は、いくつかの実施形態による、1対の電極を電気的に連通させるナノワイヤの上方に配置されるが、センサの他の部分には存在しないブロッキング層を備えるセンサの一例を示す。
【
図17A】
図17Aは、いくつかの実施形態による、1対の電極を備え、バックゲート電極、ウォーターゲート電極、および接地電極をさらに備えるセンサの非限定的な一実施形態を示す。
【
図17B】
図17Bは、いくつかの実施形態による、複数対の電極に加えて2つのさらなる電極を備えるセンサの例示的な1つの実施形態の上面図である。
【
図17C】
図17Cは、いくつかの実施形態による、複数対の電極に加えて1つのさらなる電極を備えるセンサの例示的な1つの実施形態の上面図である。
【
図18】
図18は、いくつかの実施形態による、外部層を備えるセンサの非限定的な一例を示す。
【
図19】
図19は、いくつかの実施形態による、3つの副部を含む接続部を有する1つの電極を含む1対の電極の一例を示す図である。
【
図20】
図20は、いくつかの実施形態による、時間の関数としての電流を示すプロットである。
【
図21】
図21は、いくつかの実施形態による、時間の関数としての等価表面電位(equivalent surface potential)を示すプロットである。
【
図22】
図22は、いくつかの実施形態による、時間の関数としての等価表面電位を示すプロットである。
【
図23】
図23は、いくつかの実施形態による、時間の関数としての等価表面電位を示すプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
センサ、センサを製造する方法、およびセンサを使用して被分析物を検知する方法が一般に提供される。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるセンサは、1つ以上の対象被分析物に対する感度を高める構造を有する。
【0015】
例えば、センサは、ある被分析物に対して高い感度を有する構成要素を介して電気的に連通している1対の電極を備えてもよい。例えば、センサは、ナノワイヤによって電気的に連通している1対の電極を備えてもよい。ナノワイヤは、被分析物に対して特に高い結合親和性を有する化学成分を有していてもよく、および/または、被分析物との結合時に等価表面電位の有意の変化を生じてもよい。
【0016】
他の例として、センサは、互いから有利な間隔を空けて配置された複数の電極を含んでもよい。この間隔は、これらの電極が絶縁材料によって互いに電気的に分離され得るように十分に大きく(例えば、これらの電極を電気的に分離する構造を形成するためにフォトリソグラフィを採用することができるように十分に大きく)、かつ十分に大量に商業的に製造することができるナノワイヤによって電気的に連通され得るように十分に小さくなるように選択されてもよい。いくつかの実施形態では、電極に対して垂直に近い角度を形成するようにナノワイヤを方向付ける(上記角度を形成するような方位に合わせる)製造プロセスを採用することによって、ナノワイヤによって電気的に連通している電極間に比較的大きな間隔を確保することができる。例えば、ナノワイヤは、コーヒーリング構造を形成するように基板上に堆積されてよい。コーヒーリング構造では、ナノワイヤは1つ以上の円の接線方向に方向付けられている。ナノワイヤのこのような配置は、本明細書の他の箇所でさらに詳細に説明するように、放射状に配置された電極との組み合わせにおいて特に有用であり得る。
【0017】
第3の例として、センサはブロッキング層を含んでいてもよい。ブロッキング層は、センサの1つ以上の構成要素と、センサの外部の環境との間に位置してもよい。いくつかの実施形態では、ブロッキング層は、センサの1つ以上の構成要素とセンサによって分析される流体との間の直接接触を防止する。ブロッキング層は、所望の方法で、センサとセンサによって分析される流体との間の相互作用を促進してもよい。例えば、センサの1つ以上の構成要素と分析される流体の1つ以上の成分との間の非特異的相互作用(non-specific interactions)を低減してもよく、および/または、分析される流体とセンサとの間の電荷遮蔽(charge screening)を低減してもよい。これは、体液のような高いイオン強度を有する、および/または多数の成分を含む流体中の1つ以上の被分析物を検知するように設計されたセンサにとって特に望ましいと考えられる。
【0018】
上述したように、本明細書に記載されるいくつかのセンサは、2つの電極がナノワイヤによって電気的に連通しているセンサの形成を容易にするような電極配置を有してもよい。いくつかの実施形態では、まさに1つの(1本だけの)ナノワイヤによって電気的に連通している電極が、その間に予測可能な抵抗率を有し得る、および/または対象被分析物に対して高い感度を有し得る場合には、センサは、まさに1つのナノワイヤによって電気的に連通している2つの電極を備えることが有益であり得る。例えば、前段落で説明したように、センサは、複数対の電極が中心点の周りに放射対称性を有する電極対配列を有してもよい。円形構造を形成するように配置されたナノワイヤ上に配置された放射対称性を有する複数対の電極は、円形構造(1つまたは複数)におけるナノワイヤの濃度(concentration)が適切に選択されている場合、1つのそのようなナノワイヤによって接続される可能性が特に高い。
【0019】
いくつかの実施形態では、センサは、1つ以上の望ましい特性を有するセンサの形成を容易にする構造(design)を有する複数の電極を備える。例えば、センサは、外側電極の内側に入れ子になった(nested)内側電極を含む電極の対を備えてもよい。このような構造の電極は、同じ長さの平行電極よりも2倍長く、従って、ナノワイヤが電気的に連通させることができるように、2倍の長さを有し得る。
【0020】
明細書に記載されるいくつかの実施形態は、1つ以上の望ましい特性を有するセンサを製造する方法に関する。そのような方法は、望ましい密度および/または配置でナノワイヤを堆積させるプロセスによってセンサを形成することを含んでもよい。例えば、上述したように、いくつかの方法は、ナノワイヤの1つ以上の円形構造(例えば、コーヒーリング構造)を形成することを含んでもよい。ナノワイヤは、円形構造の接線方向にあってもよく、および/または有利な密度で円形構造中に存在してもよい。いくつかの実施形態では、ある方法は、基板と接触して保持された流体からナノワイヤを堆積させることを含む。流体は、基板と接触して保持されている間、少なくとも部分的に蒸発してもよく、および/または補充されてもよい。蒸発および/または補充は、所望の位置で、所望の半径を有し、および/または所望のナノワイヤ密度を有するコーヒーリング構造(1つまたは複数)(例えば、円形の形態を有する)の形成を促進するように選択されてもよい。
【0021】
図1は、単一のナノワイヤによって電気的に連通している1対の電極の非限定的な一実施形態を示す。
図1において、1対の電極100は、電極10および電極11を含む。電極10および電極11は、ナノワイヤ200によって電気的に連通している。
図1に示す実施形態のようないくつかの実施形態では、1対の電極は、実質的に平行である電極を備え、および/または、互いに実質的に平行な部分を含む電極を備える。互いに比較的平行な電極(および/またはその部分)は、その対の両方の電極(および/または部分)と交差する直線を引いた場合、その直線が当該対の2つの電極(および/または部分)となす角度が比較的小さい量(例えば、5°以下、2°以下、1°以下)だけ異なるように方向付けられていてもよい。いくつかの実施形態では、互いに比較的平行な1対の電極(および/またはその部分)は、各電極(および/または各電極の部分)の各副部(sub-portion)と、他の電極(および/または他の電極の部分)のそれに最も近い副部との間の距離が比較的小さい量(例えば、2ミクロン以下、1.75ミクロン以下、1.5ミクロン以下、1.25ミクロン以下、1ミクロン以下、0.75ミクロン以下、または0.5ミクロン以下)だけ変化するように方向付けられていてもよい。さらに、実質的に平行な部分を有していない電極の対も想定されることが理解されるべきである。
【0022】
ナノワイヤは、それ自体が1対の電極の両方のメンバと電気的に連通しているとき、および1対の電極の間を電流が流れることができる経路を提供するとき、1対の電極を電気的に連通させることができる。これは、1対の電極間に0.1Vの電位を印加し、その間に生じる電流を測定することで判断され得る。電極間に生じた電流が1nA以上であれば、1対の電極は互いに電気的に連通しているとみなすことができる。
【0023】
いくつかの実施形態では、2つの電極を電気的に連通状態にさせるナノワイヤは、一方または両方の電極に対して90°に近い角度になるように方向付けられていてもよい。
図1を参照すると、ナノワイヤ(
図1のナノワイヤ200)と電極に垂直な方向(
図1では、電極10に垂直な方向300)との間の角度(角度0)は、比較的小さくてもよい。本明細書の他の箇所で説明したように、この特性を有するナノワイヤは、ナノワイヤの長さに近い距離を空けて配置された(離隔した)電極同士を電気的に連通状態にさせることができる。これは、有利には、フォトリソグラフィ構造によって分離することができる距離を空けて電極を配置させることが可能になり、および/または、経済的および/または比較的欠陥のない方法で商業的プロセスによって製造され得る長さのナノワイヤの使用が可能になり得る。しかしながら、いくつかのナノワイヤは、当該ナノワイヤが電気的に連通状態にさせる2つの電極に対して、様々な角度に方向付けられてもよいことも理解されるべきである。
【0024】
図2は、
図1に示された1対の電極の側面図である。
図2のように、いくつかの実施形態は、ナノワイヤ上に配置された1対の電極を備える。また、(例えば、1対の電極がナノワイヤ上に配置されることに代えて)ナノワイヤが1対の電極上に配置されることも可能である。本明細書に記載され、および/または本明細書の図に示されるように互いの上に配置された構成要素は、互いの上に直接配置されてもよいし、互いの上に間接的に配置されてもよい。言い換えれば、本明細書で使用されるように、ある構成要素が他の構成要素の「上に配置される」または「隣接する」と記述される場合、それは、その構成要素上またはそれに隣接して直接配置されてもよいし、あるいは、他の構成要素上に配置された1以上の介在構成要素上に配置されてもよい。他の構成要素上に「直接配置される」、「直接隣接する」、または「接触する」構成要素は、介在する構成要素が存在しないような態様で他の構成要素上に配置されることを意味する。
【0025】
図3は、別の可能な電極の構造を示す。
図3において、1対の電極102は、電極12(例えば、第1電極)および電極22(例えば、第2電極)を含む。
図1および
図2に示された電極と同様に、この構造を有する電極はまた、ナノワイヤによって電気的に連通していてもよい(例えば、
図4に示されるように、これらの電極がナノワイヤ202によって電気的に接続されている)。
図3および
図4に示す電極のそれぞれは、3つの部分を有する。3つの部分は、互いに実質的に平行な第1部分および第2部分(
図3に示す電極22の部分22Aおよび22Bと、電極12の部分12Aおよび12B)、および、第1部分および第2部分を接続する1つの部分(
図3に示す電極22の部分22Cと、電極12の部分12C)である。
図3および
図4に示されるように、第2電極の第1部分および第2部分が、第1電極の第1部分および第2部分の間に位置するように(例えば、
図3に示す電極12の部分12Aおよび12Bが、
図3に示す電極22の部分22Aおよび22Bの間に位置するように)、電極が入れ子になっていてもよい。同様に、
図3および
図4に示されるように、各電極の一部が他の電極の一部と平行になるように、電極が配置されてもよい。一例として、
図3を参照すると、電極12の部分12Aは、電極22の部分22Aと平行であり、電極12の部分12Bは、電極22の部分22Bと平行である。
【0026】
本明細書に記載される電極は、本明細書に記載されるセンサ内に位置してもよい。センサは、1つ以上の追加の構成要素をさらに備えてもよい。そのような構成要素の一例は、ブロッキング層である。上述したように、ブロッキング層は、センサの1つ以上の部分上に配置されてもよく、および/または、センサの1つ以上の部分とセンサの外部の環境との間の直接接触を防止するように構成されてもよい。
図5は、ブロッキング層を含むセンサにおける1対の電極の側面図の一例を示す。
図5において、1対の電極14および24は、ナノワイヤ204によって電気的に連通している。ブロッキング層404は、ナノワイヤ204の上方に配置されている。いくつかの実施形態では、ブロッキング層は、ナノワイヤとセンサの外部の環境との間に位置する唯一の層であってよい。従って、ブロッキング層は、センサ外部の環境とナノワイヤとの間の相互作用(例えば、センサ上に配置された流体とナノワイヤとの間の相互作用)を媒介する(mediate)ことができる。
【0027】
図5は単に例示的なものであり、いくつかのブロッキング層は、
図5に示されたものと異なっていてもよいことを理解されたい。例えば、いくつかのブロッキング層は、ナノワイヤおよび/または電極に対して、
図5に示されるブロッキング層とは異なる厚さを有していてもよい。別の例として、いくつかのブロッキング層は、1対の電極における一方または両方の電極上にも少なくとも部分的に配置されるように延在していてもよい。同様に、いくつかのセンサは、
図5に示されたものよりもさらなる構成要素を備えてもよいことを理解されたい。さらなる構成要素の非限定的な例としては、基板、表面層、ワイヤボンディングパッド、および/またはさらなる電極が挙げられる。
【0028】
いくつかの実施形態では、センサは、複数対の電極を含む。いくつかの対の電極は、(例えば、単一のナノワイヤによって、複数のナノワイヤによって)互いに電気的に連通していてもよく、および/またはいくつかの対の電極は、互いに電気的に連通していなくてもよい。本明細書の他の箇所で説明するように、いくつかの実施形態では、センサは、単一のナノワイヤによって電極対間の電気的な連通状態の形成を促進するように配置された複数対の電極を備える。例えば、いくつかの実施形態において、センサは、中心点の周りに放射対称となる(放射対称性を有する)ように配置された複数対の電極を備える。
図6Aは、この特性を有するセンサの非限定的な1つの実施形態を示す。
図6Aにおいて、センサ1006は、中心点506の周りに放射状に対称的に配置された電極の対(電極対)106A~106Jを備える。いくつかのセンサは、
図6Aに示されるセンサのような1つ以上の特徴を有してよく(例えば、いくつかのセンサは、ちょうど10対の電極を備えてもよい)、いくつかのセンサは、1つ以上の点で
図6Aに示されるセンサと異なってよい(例えば、いくつかのセンサは、異なる数の電極対を備えてもよく、
図6Aに示される電極とは異なる構造を有する電極を備えてもよく、および/または、中心点から
図6Aに示される距離以外の距離だけ間隔を空けられていてよい)。
【0029】
また、中心点は、任意の顕著な(区別される)特徴を有していなくてもよく(例えば、中心点は、その周りを電極が放射対称となるように位置する幾何学的中心であるが、それ以外の点では、それが隣接するセンサの部分と一致する化学および/または構造を有してもよい)、またはセンサの他の部分と区別(差別化)される1つ以上の構造的および/または化学的特徴を有してもよい(例えば、センサの電極または他の機能部分を含んでもよい)ことが理解されるべきである。
【0030】
図6Bは、中心点の周りに放射対称となるように配置された複数対の電極を備えるセンサの他の例を示す図である。
図6Bでは、13対の電極を含むモチーフ(motif)106Kが、中心点506の周りに放射対称となるように配置されている。モチーフが中心点の周りに放射対称性を有するように配置される実施形態において、モチーフは、様々な好適な数の対の電極を含んでいてもよい。例えば、モチーフは、2対以上、3対以上、4対以上、5対以上、6対以上、7対以上、8対以上、9対以上、10対以上、11対以上、12対以上、13対以上、14対以上、15対以上、16対以上、17対以上、18対以上、19対以上、または20対以上の電極を含んでいてもよい。
【0031】
ある点の周りに(ある点を中心として)放射対称性を有する複数対の電極は、所定の角度(例えば、放射対称性を有する10の電極では36°)の電極対の回転によって、回転前の複数対の電極の構造と実質的に同一の構造を有する複数対の電極が得られるように、その点に対して位置づけられていてもよい。いくつかの実施形態において、ある点の周りに放射対称性を有する複数対の電極は、所定の角度(例えば、放射対称性を有する10の電極では36°)の電極対の回転によって、回転前に配置されていた態様と実質的に同一に配置された構造モチーフが得られるように、その点に対して位置付けられた構造モチーフ(例えば、1対の電極、その1対の電極対をセンサの別の構成要素および/またはセンサの外部の環境に接続する任意のリード線を除く1対の電極)を有してもよい。いくつかの実施形態では、放射対称性を有する複数対の電極は、それらの電極(および/またはその中の構造モチーフ)が等しい角度だけ互いから離れるように位置付けられてもよい。例として、複数の電極は、10対の電極を含み、各対の電極(各電極対)は、中心点を中心として任意の電極対を時計回りまたは反時計回りに36°回転させると、その電極対(および/またはその中の構造モチーフ)が、それぞれ、それらの時計回りまたは反時計回りに最も近傍する電極対と実質的に重なるように、最も近接する電極対に対して方向付けられている。別の例として、複数の電極は20対の電極を含み、各電極対は、中心点を中心に任意の電極対を時計回りまたは反時計回りに18°回転させると、その電極対(および/またはその中の構造モチーフ)が、それぞれ、それらの時計回りまたは反時計回りに最も近傍する電極対と実質的に重なるように、最も近接する電極対に対して方向付けられている。
【0032】
図6Aおよび
図6Bから分かるように、中心点の周りに放射状の対称性を有するように配置された複数対の電極のなかには、中心点を中心とする回転によって各電極対を他の電極対に対応付けされ(map onto)得るように中心点に対して方向付けられた電極対から構成されたものもあり、複数対の電極のなかには、そのような回転によって他の電極対に対応付けられない少なくともいくつかの電極対を含むものもある。いくつかの実施形態では、複数対の電極は、中心点を中心とする回転によって各構造モチーフを他の構造モチーフに対応付けされ得るように、中心点の周りに放射対称性を有する複数の構造モチーフを形成する。
【0033】
いくつかの実施形態において、複数対の電極は、(例えば、放射対称性に加えて、放射対称性の代わりに)放射状以外のタイプの対称性を有する。例えば、いくつかの実施形態では、複数対の電極は、反射対称性(鏡映反射性)(reflection symmetry)を有する。そのような場合、複数対の電極は、1つ以上のミラー面(鏡映面)を横切る(across)1対の電極の鏡映によって、反射前の複数対の電極の構造と実質的に同一の構造を有する複数対の電極が得られるように、1つ以上のミラー面に対して位置付けられていてもよい。同様に、複数対の電極は、1つ以上のミラー面を横切る1対の電極の鏡映が構造モチーフの配置を変更しないように、1つ以上のミラー面に対して位置付けられた構造モチーフ(例えば、1対の電極、その1対の電極をセンサの別の構成要素および/またはセンサの外部の環境に接続する任意のリード線を除く1対の電極)を含んでいてもよい。
【0034】
さらに、いくつかのセンサは、中心点から等距離にあるが、必ずしも中心点の周りに放射対称ではない複数対の電極を備えていてもよい。例として、センサは、中心点から等距離になるように位置付けられているが、中心点の周りに等角に位置付けられていない複数対の電極を備えていてもよい。例えば、センサは4つの電極を備え、各電極は、90°未満(例えば、85°以下、80°以下、85°以下、70°以下、75°以下、60°以下)の回転によって離された1つの最近接の電極を有してもよい、および/または90°より大きい(例えば、95°以上、95°以上、100°以上、105°以上、110°以上、115°以上、または120°以上)の回転によって離された1つの最近接の電極を有してもよい。別の例として、センサは、中心点から等距離に位置しているが中心点の周りに放射対称となるように位置していない1対以上の電極(例えば、
図6Bに示すように)を含む複数の構造モチーフを備えてもよい。例えば、センサは、4つのそのような構造モチーフを備えてもよく、各構造モチーフは、90°未満の回転によって離された1つの最近接の構造モチーフを有し、および/または、90°より大きい回転によって離された1つの最近接の構造モチーフを有してもよい。例えば、
図7Eに関して、角度6は、90°以外の値(例えば、90°未満または90°より大きい)であってもよい。
【0035】
いくつかの実施形態では、センサは、中心点から等距離にあるが、任意の電極対を別の複数の電極と重なるように回転させることができる360°未満の角度を有しない複数の電極を備える。これは、電極の方向が異なること、電極の形状が異なること、および/または、電極のサイズが異なることに起因し得る。同様に、センサは、中心点から等距離であるが、任意のモチーフが別の構造モチーフと重なるように回転させることができる360°未満の角度を有しない、1対以上の電極を含む複数の構造モチーフを備えてもよい。これは、構造モチーフおよび/またはその中の電極の方向が異なること、構造モチーフおよび/またはその中の電極の形状が異なること、および/または、構造モチーフおよび/またはその中の電極のサイズが異なることに起因し得る。
【0036】
さらに、センサでは、中心点から等距離ではなく、中心点からのある距離範囲内に位置する複数対の電極および/または複数の構造モチーフを備えてもよい。例えば、以下でさらに詳細に説明するように、複数対の電極および/または複数の構造モチーフは、複数のナノワイヤを有する円形構造と(例えば、部分的に、完全に)重なる中心点からの距離範囲内に位置していてもよい。
【0037】
図7Aおよび
図7Bに示すように、センサが、複数のナノワイヤを含むおよび/または複数のナノワイヤから形成された円形構造の上に(例えば、
図7Aおよび7Bに示される円形構造606上に)配置された複数対の電極を備えることも可能である。
図7Aおよび
図7Bに示すように、そのような電極は、中心点を中心とする放射対称性を有していてもよい。円形構造はまた、上記と同じ中心点を中心とする放射対称性を有してよく、および/または、当該同じ中心点から等距離に位置する電極の対を有してもよい。いくつかの実施形態では、円形構造を形成するナノワイヤの少なくとも一部は、円形構造の実質的に接線方向に方向づけられていてもよい。本明細書の他の箇所に記載されているように、そのようなナノワイヤは、90°に近い角度で1つ以上の電極と交差してもよく、および/または、1対の電極における2つの電極と電気的に連通し、これらの電極間の距離に比較的近い長さを有してもよい。円形構造内のナノワイヤがその中でランダムな方向を向いていること、および/または、円形構造内のナノワイヤの1つ以上の部分は、(例えば、円形構造に対して実質的に接線方向に方向づけられた1つ以上の部分に加えて)ランダムな方向を向いていることも可能である。本明細書における「円形構造」という表現は、完全な幾何学的円を形成する構造を指してもよいし、完全な幾何学的円に近い形状を形成するが、1つ以上の態様で完全な幾何学的円とは非実質的に異なる構造を指してもよいことが理解されるべきである。
【0038】
図7Aおよび
図7Bに示された円形構造は、そこに示された複数対の電極と比較して比較的小さな幅を有するが、円形構造の幅が、これらの複数対の電極および/またはこれらの複数対の電極によって形成されるモチーフのサイズのオーダーであることも可能である。例えば、
図7Cおよび
図7Dは、そこに示される複数の電極を覆うのに十分な大きさの幅を有する円形構造を示す。これらの幅は、
図7Cおよび
図7Dの両方においてWで表わされている。
【0039】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のセンサは、単一の被分析物を検知するように構成されてもよい。そのような実施形態では、ナノワイヤの全ては、単一種類の化学物質(例えば、単一種類の官能基、単一種類の結合エンティティ(binding entity))を有するように官能化されてもよい。他のセンサは、2つ以上の被分析物を検知するように構成されてもよい。そのようなセンサは、異なる化学物質(例えば、異なる種類の官能基、異なる種類の結合エンティティ)で官能化された2つ以上のナノワイヤ群(groups of nanowaires)を有してもよい。いくつかの実施形態では、複数対の電極は、異なる化学物質で官能化されたナノワイヤ群に対応する電極の群が存在するように配置されてもよい。そのような電極の群は、対応する群のナノワイヤによって互いに電気的に連通される電極の数が比較的多くなり、および/または、対応する群以外のナノワイヤによって互いに電気的に連通する電極の数が比較的少なく(またはゼロ)なるような、数および/または配列の電極を備えてもよい。そのような電極群は、ナノワイヤを官能化するために採用された種(species)が容易に分散(dispense)され得る領域にほぼ対応する形状を有してもよい。例えば、
図7Eは、ナノワイヤを官能化するために採用された種が容易に分散され得る領域の4つの例(領域696A、696B、696C、および696D)を示している。
図7Eから分かるように、電極群は、各領域内に位置している。これらの領域はまた、中心点を中心とする放射対称性を有し、中心点から等距離に位置し、および/または、中心点(例えば、その周りに複数の電極対および/または構造モチーフが放射対称となる同じ中心点、その周りにナノワイヤの円形構造が放射対称となる同じ中心点)からある距離範囲内に位置し得る。
【0040】
図6および
図7に示されるものと同様の構造を有するセンサは、様々な好適な構造を有する電極を備えてもよいことが理解されるべきである。いくつかの実施形態では、複数の電極対は、
図3に示されるものと類似の構造を有する。また、複数の電極対は、
図1に示されるものと同様の構造を有することも可能である(例えば、センサは、それらの長軸が互いに隣り合うように位置する線状電極のアレイを備えてもよい)。
【0041】
本明細書の他の箇所で説明するように、いくつかの実施形態は、センサを製造する方法および/またはセンサ(例えば、本明細書で説明する1つ以上の特徴を有するセンサ)の製造中に行われ得る方法に関する。
図8A~
図8Dは、センサの製造中に(例えば、他のさらなる工程と組み合わせて)行われ得る1つの方法を示す。
図8A~
図8Dに示された方法は、複数のナノワイヤを基板上に堆積させる1つの方法を表している。この方法は、複数のナノワイヤを含む流体をノズルから吐出することと、複数のナノワイヤを含む流体を基板およびノズルの両方に接触させた状態で有限期間保持することとを含む。この有限の期間の間、流体の少なくとも一部は蒸発し、ノズルからのさらなる流体によって補充される。
図8A-
図8Bは、ノズル808から基板908上への複数のナノワイヤを含む流体708の吐出を示す図である。
図8Cは、部分的に蒸発した後のナノワイヤを含む流体708を示し、
図8Dは、補充した後のナノワイヤを含む流体708を示す。
図8Eは、
図8Dの上面図である。
図8Cおよび
図8Dは、流体の蒸発および補充を別個の工程として示しているが、両者は同時に起こり得ることが理解されるべきである。例えば、流体は、
図8A~
図8Dに示されるプロセス全体を通して、ナノワイヤを含む流体から継続的に蒸発することができる。別の例として、流体は、
図8A~8Dに示されるプロセス全体を通して継続的に補充されてもよく、および/または、蒸発も生じる離散的な時間に(例えば、周期的に)補充されてもよい。
【0042】
図8A~
図8Dに示される方法は、有利な位置および/または有利な角度に方向づけられたナノワイヤを含む円形構造を形成するために有利であり得る。特定の理論に拘束されることを望むことなく、この方法は、コーヒーリング効果に起因するような構造を形成するのに適していると考えられている。コーヒーリング効果は、固体(本明細書に記載されるいくつかの実施形態では、複数のナノワイヤ)を含む流体がその表面(例えば、流体と空気との間の界面)で少なくとも部分的に蒸発するときに生じ得る。流体がその表面から蒸発するとき、そこに懸濁および/または溶解している固体は蒸発しないので、流体の表面でますます濃縮され得る。また、流体が表面から蒸発することによって、流体の内部から表面への流体の移送がさらに進み、流体の内部から表面へさらに固体が移送され得る。その結果、蒸発が起こる流体の外部境界(例えば、流体と空気の境界、流体と空気と流体が配置された基板との境界、流体の外縁)に、比較的大きな濃度の固体が形成されると考えられる。このような蒸発の間に、流体が基板上の特定の場所に(例えば、表面張力により)固定されると、流体の蒸発後に、その場所に配置されたその中の固体(例えば、ナノワイヤ)を含むコーヒーリングまたは円形構造が形成され得る。
【0043】
図8A~
図8Dに示される方法のような本明細書に記載される方法は、コーヒーリング構造または円形構造を所望の位置に形成するのに適し得る。蒸発が起こり得る流体の表面の配置(および、いくつかの実施形態では、蒸発中に流体が配置される基板上に、流体中の固体を関連付けて配置すること)を可能にするからである。例えば、複数のナノワイヤを含む流体の初期体積は、基板上の流体の外側境界が、コーヒーリングおよび/または円形構造が形成されることが望ましい位置にあるように選択されてもよい。別の例として、流体中のナノワイヤの初期濃度、流体が補充される速度、および/または蒸発した流体の総量は、形成されるコーヒーリングおよび/または円形構造が望ましいナノワイヤの密度を有するように選択されてもよい。いくつかの実施形態では、流体が蒸発する速度は、1つ以上の望ましい特性を有するコーヒーリングまたは円形構造の形成を促進するように(例えば、流体の選択によって、基板の温度によって)調整されてもよい。上述のパラメータの組み合わせは、複数のナノワイヤの堆積を調整するために様々に変更させてもよい。
【0044】
本明細書に記載されるように、いくつかの実施形態では、方法は、複数のナノワイヤを含む円形構造を形成することを含んでもよい。この方法はまた、少なくとも1つのナノワイヤが1対の電極と電気的に連通するように、中心点の周りに放射対称となるように配置された複数対の電極(例えば、少なくとも10対の電極)を形成することを含んでもよい。その結果、いくつかの実施形態では、センサは、円形構造(例えば、中心点の周りに放射対称性を有する円形構造)を形成するように配置された複数のナノワイヤと、その上に配置された複数の電極(例えば、同じ中心点の周りに放射対称性を有する複数の電極)とを備える。いくつかの実施形態では、複数対の電極の10%以上について、その対を構成する2つの電極は、まさに1つの(1本だけの)ナノワイヤによって電気的に連通している。
【0045】
いくつかの実施形態では、複数のナノワイヤは、(例えば、本明細書の他の箇所に記載されているように)プラズマエッチングされた基板上に堆積される。プラズマエッチングは、有利には、その表面の均一性を向上させることができる。シリコン基板の場合、プラズマエッチングによって、複数のナノワイヤと基板表面との間の結合を強化するヒドロキシル基が形成され得る。
【0046】
上述したように、いくつかの実施形態は、(例えば、
図1~
図7のうちの1つ以上に示される構成要素に加えて)
図1~
図7に示される以外の構成要素を備えるセンサ、および/または、(例えば、
図8A~8Dに示される工程に加えて)
図8A~
図8Dに示される以外の工程を含むセンサの製造方法に関するものである。センサが製造される1セットの工程の概要を以下に提供する。センサが有し得る構成要素は、それらが製造され得る工程と組み合わせて以下に示される。しかしながら、いくつかのセンサは、記載されている以外の方法で製造された、そのような構成要素を備えてもよいことが理解されるべきである。また、いくつかのセンサは、以下の構成要素のすべてを備えてもよく、いくつかのセンサは、以下の構成要素の一部(subset)を備えてもよく、および/またはいくつかのセンサは、以下に記載される構成要素以外の構成要素を備えてもよいことが理解されるべきである。同様に、いくつかの方法は、以下の全ての工程を含んでもよく、いくつかの方法は、以下の工程の一部を含んでもよく、および/またはいくつかの方法は、以下に記載される工程以外の工程を含んでもよいことが理解されるべきである。
【0047】
いくつかの実施形態では、センサは基板上に配置される。一部の基板には、その上面に、基板バルクとは異なる化学成分を有する層がもともと、および/または意図的に配置されている。センサの1つ以上の構成要素が基板上に直接製造されるように、および/または、基板のうち表面の層(表面層)によって覆われていない部分(複数でもよい)が基準(fiducial)アライメントマークとして機能するように、基板から表面層の少なくとも一部を除去することが望ましいことがある。基板がゲート電極として用いられる場合および/または基板が接地される場合など、対応する構成要素が基板と直接電気的に連通されることが望ましい場合に、センサの1つ以上の構成要素が基板上に直接製造され得る。基準アライメントマークは、実行されるプロセスが基板上の正しい位置で行われることを保証するために、その後のセンサの製造工程で用いられることがある。例えば、センサのその後の製造工程が行われる位置は、1つ以上の基準アライメントマークを参照して決定されてもよい。複数の工程が基準アライメントマークから既知の距離にある場所で行われる場合には、それらの工程は互いに既知の距離で行われ得る。
【0048】
図9A~
図9Bは、基板から表面層の一部を除去する1つの方法を示す。
図9A~
図9Bにおいて、表面層2010の一部は、基板910から除去され、表面層が部分的に配置された基板を含む物品が形成される。いくつかの実施形態では、このようなプロセスは、基板の1つ以上の部分が表面層によって覆われており、基板の1つ以上の部分が表面層によって覆われていない(例えば、それらは基板の外部の環境に直接露出されてもよい)物品を形成するために行われてもよい。このようなプロセスはまた、基板から表面層の全体を除去するために行われてもよい(図示せず)。
【0049】
表面層は、様々な好適な技術によって基板から除去されてもよい。いくつかの実施形態では、エッチング技術が使用されてもよく、その非限定的な例としては、ウェットエッチング技術およびドライエッチング技術が挙げられる。ウェットエッチング技術は、基板をウェットエッチャントにさらすことを含んでよい。好適なウェットエッチャントの一例は、酸(例えば、フッ化水素酸)および緩衝剤(例えば、フッ化アンモニウム)を含む溶液である。酸および緩衝剤は、様々な比率で混合され得る。例えば、緩衝剤:酸の比率は1:6である。好適なウェットエッチャントの別の例は、酸(例えば、フッ化水素酸)である。ドライエッチング技術は、反応性プラズマ(例えば、反応性酸素プラズマ)などのドライエッチャントに基板をさらすことを含んでいてもよい。プラズマは、低圧環境を電磁場にさらして高エネルギーイオンを発生させることによって生成され得る。高エネルギーイオンは、パッシベーション層を攻撃し、パッシベーション層をエッチング除去し得る。1つの例示的な実施形態では、プラズマエッチングは、プラズマリン115プラズマエッチャーにおいて、1Torrの圧力および50Wの電力で基板を酸素プラズマにさらすことによって行われる。
【0050】
エッチング技術が行われる時間は、表面層は除去されるが、その下の基板が大きくエッチングされないように選択されてもよい。このため、当該時間は、表面層の厚さによって異なり得る。酸および緩衝剤を含む溶液であって、約100nm/分の速度で表面層を除去することができる溶液の場合、ナノメートル単位の表面層の厚さを100で割ることによって、溶液への基板の適切な曝露時間(分)が決定され得る。
【0051】
表面層の全てではないが一部を除去するためにエッチングプロセスが行われるとき、表面層のうち保持されるように設計された部分は、エッチングプロセス中のエッチャントへの曝露から保護されてもよい。いくつかの実施形態では、表面層のうち保持されるように設計された部分は、エッチングプロセス中にフォトレジストによって覆われ、一方、表面層のうち除去されるように設計された部分は、フォトレジストで覆われていなくてもよい。エッチングプロセスの後、残存するフォトレジストが除去され得る。好適なフォトレジスト(およびフォトレジストをパターニングする関連方法)には、最終的なセンサに含まれるフォトレジスト層を形成するためのオプションとして本明細書の他の箇所で説明されるもの(例えば、AZ-5214E-IR、SU8などの、選択的な露光およびその後の現像によってパターニングされ得るフォトレジスト)が含まれる。
【0052】
また、いくつかのセンサは、基板上に配置されたパッシベーション層の一部をエッチング除去することによって形成された基準アライメントマーク以外の基準アライメントマークを有してもよいことが留意されるべきである。例として、いくつかのセンサは、基板上に材料を堆積させることによって形成された基準アライメントマークを有していてもよい。そのような材料に適した非限定的な例として、金属(例えば、ニッケル、クロム、金、チタン、プラチナ、アルミニウム、それらの合金、それらの組み合わせ)が挙げられる。
【0053】
上述したように、いくつかの実施形態は、基板上に配置された複数のナノワイヤを含んでよい。複数のナノワイヤは、基板上に配置された表面層の少なくとも一部が基板から除去された後、および/または基準アライメントマークが基板上に形成された後、基板上に堆積されてもよい。いくつかの実施形態では、複数のナノワイヤは、基板上に配置された表面層上に堆積される。
【0054】
上記でも説明したように、いくつかの実施形態は、基板上に配置された複数対の電極を含んでいてもよい。複数対の電極は、基板上に(例えば、その上に配置された表面層上に直接)配置されてもよく、および/または複数のナノワイヤの一部上に(例えば、その上に直接)配置されてもよい。基板上に一対の電極を堆積させるために、様々な好適な技術が採用され得る。いくつかの実施形態では、一対の電極は、蒸着によって基板上に堆積される。電極の蒸着の前に、フォトレジストが基板上に堆積され、電極が蒸着されるべき位置から選択的に除去されてもよい。例えば、フォトレジストが基板上に堆積され、電極対が堆積されるべき位置でマスクを通して光(例えば、UV光)に曝露され、次いで現像液に曝露されてもよい。現像液は、フォトレジストのうちの光に曝露された部分(露光された部分)を除去してもよい。次に、フォトレジストと、その下の露出されたナノワイヤおよび/または基板との両方に、電極対を形成する材料を堆積させてもよい。このように、電極対を形成する材料は、フォトレジストが除去された位置のナノワイヤおよび/または基板の上に直接堆積してもよい。
【0055】
図10A~
図10Eは、複数のナノワイヤが配置された基板上に1対の電極を堆積させる方法の一例を示す。
図10Aは、表面層2012が配置された基板912を示す。その上に、複数のナノワイヤ212が配置されている。
図10Bでは、フォトレジスト3012が、複数のナノワイヤ212上に堆積されている。
図10Cは、フォトレジストの部分3112および3212を光に曝露(露光)することを示す。
図10Dは、現像液への曝露によってフォトレジストの部分3112および3212が除去された後の基板、ナノワイヤ、およびフォトレジストを示す。
図10Eは、フォトレジスト、複数のナノワイヤ、および基板上に電極材料を堆積させて1対の電極112を形成することを示す。複数のナノワイヤ212におけるナノワイヤ213は、1対の電極112中の両方の電極に直接接触し、電気的に連通していることに留意されたい。また、1対の電極112は、ナノワイヤ213によって互いに電気的に連通していることに留意されたい。
【0056】
いくつかの実施形態では、
図10Dに示す工程と
図10Eに示す工程の後に、あるプロセスが行われてもよい。一例として、基板および/またはその上に配置されたナノワイヤは、電極材料の堆積のために準備されてもよい。例えば、電極材料とのオーミックコンタクトを形成するのに適さないナノワイヤの任意の部分は、除去されてもよい(例えば、ナノワイヤの上の任意の酸化物など)。これは、ナノワイヤをエッチャントにさらす(例えば、基板をエッチャントに浸すことによって、プラズマエッチングを行うことによって)等、ナノワイヤの表面をエッチングすることによって実現されてもよい。エッチャントは、上述した、基板から表面層を除去するのに適したエッチャントと同じ種類のエッチャントであってもよく、および/または、エッチングプロセスは、表面層に基準アライメントマークを形成することに関して上述したエッチングプロセスと同じプロセスであってもよい。エッチング時間は、ナノワイヤから所望の材料(例えば、ナノワイヤ上の任意の酸化物)を除去するのに十分であるが、基板の望ましい成分(例えば、基板上の全ての酸化物)を除去するには不十分であるように選択されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、エッチング時間は、およそ数ナノメートルの酸化物を除去するのに十分であるが、数百ナノメートルの酸化物を除去するには不十分(例えば、2~5nmの酸化物を除去するには十分であるが、300~600nmの酸化物を除去するには不十分)であるように選択されてもよい。
図10Dおよび
図10Eに示された工程後に行われるプロセスの別の例として、基板および/またはその上に配置されたナノワイヤは、溶媒に曝露することによって洗浄され、その後スピン乾燥されてもよい。溶媒は、有機溶媒を含んでもよく、および/または水(例えば、脱イオン水)を含んでもよい。好適な有機溶媒の非限定的な例としては、アセトンおよびアルコール類(例えば、メタノール、イソプロパノール)が挙げられる。
【0057】
電極対を形成した後、電極対の表面を不動態化してもよい。例えば、その上にパッシベーション層が形成されてもよい。電極対の表面は、電極と反応してその表面化学を変化させるガスに曝露することによって不動態化されてもよく、および/または、その上に(例えば、ガスから、液体から)材料を堆積させることによって不動態化されてもよい。
図10A~
図10Eに示されるように、電極対がフォトレジストを利用して形成される場合、電極材料の表面全体(例えば、電極対を形成する電極材料の表面と、フォトレジスト上に配置された電極材料の表面)が不動態化されてもよい。また、電極表面のみが不動態化されることも可能である(例えば、電極対を他の方法で製造する場合、不動態化プロセスの前に電極対を形成しない電極材料を除去する場合など)。
図11は、電極材料上に配置されたパッシベーション層4014の形成方法の一例を示す図である。電極対の表面を不動態化することは、有利には、電極を形成する材料の反応性を低下させ、および/またはその後の製造工程の間に電極を形成する材料を保護することができる。
【0058】
上記のように、フォトレジストを利用して電極を形成することを含む方法は、基板からフォトレジストおよびその上に配置された任意の電極材料を除去することを含んでもよい。この工程により、基板のうち電極形成中にフォトレジストで覆われた1つ以上の部分に、さらなる非電極材料を堆積させることが可能になる。フォトレジストは、電極材料の堆積の直後(例えば、電極材料の表面の不動態化または他の追加の工程の前)、電極材料の表面の不動態化の直後(例えば、他の追加の工程の前)、または後の時点(例えば、電極とそれらが直接隣接するナノワイヤとの間のオーミックコンタクト形成後)に除去されてもよい。フォトレジストは、例えば、そのフォトレジストが溶解可能な溶媒にさらすことによって、基板から除去され得る。
図12は、基板916と、基板上に配置された表面層2016と、表面層上に配置された複数のナノワイヤ216と、表面層および複数のナノワイヤ上に配置された1対の不動態化電極116とを備える物品の一例を示している。
【0059】
電極対の堆積に続いて行われる別の工程は、電極と、その電極が直接隣接しているナノワイヤとの間にオーミックコンタクトを形成することである。この工程は、電極対の表面を不動態化した後、電極対の表面を不動態化する前、または電極対の表面を不動態化しない方法における1つの工程として行われ得る。いくつかの実施形態では、オーミックコンタクトの形成前に電極対の表面を不動態化することが有利であり得る。オーミックコンタクトを形成するために採用される方法は、不動態化されていない電極表面において1つ以上の有害な反応を促進するが、不動態化された電極表面は比較的反応しないような環境に電極を曝すような態様で行われ得るからである。例として、いくつかの実施形態では、電極および複数のナノワイヤを、加熱された環境および/または電極表面と反応性の1つ以上のガスを含む環境に曝露することによって、オーミックコンタクトが形成され得る。また、同様の理由で、オーミックコンタクトの形成前に、基板上に配置されたフォトレジストを除去することが有利であり得る。電極の形成に使用することが望ましい多くのフォトレジストは、オーミックコンタクトの形成中に存在する条件下では望ましくないほど高い反応性を有することがある。
【0060】
電極対の堆積に続いて行われ得る第4の工程は、電極対と電極の外部の環境との間に位置する層の形成である。この特性を有する層は、電極をその外部の環境から電気的に絶縁することができ、有利には、電極が導電性の環境(例えば、水性環境)にさらされたときに短絡の発生を防止することができる。この工程は、通常、電極の表面を不動態化する工程に続いて行われる。本工程は、基板上に堆積したフォトレジストを除去する工程、および/または電極とそれらが直接隣接するナノワイヤとの間にオーミックコンタクトを形成する工程に続いて行われてもよい。電極対と電極の外部の環境との間に位置する層は、蒸着および/またはスピンコーティングを含む様々な好適なプロセスによって形成され得る。
【0061】
図13は、1対の電極と電極の外部の環境との間に位置する層を含む物品の非限定的な一実施形態を示している。
図13において、層5018は、1対の電極118、複数のナノワイヤ218、および表面層2018(これらは全て基板918上に配置されている)上に配置されている。この層は、上記物品のこれらの構成要素を、その外部の環境から隔離(isolate)する。実施例1は、この場所に位置する電気絶縁層が形成され得る1つの例示的な方法を説明する。
【0062】
1対の電極とその外部の環境との間に位置するいくつかの層は、(例えば、
図13に示されるように)1対の電極を備える物品の外部表面の全体にわたって配置されてもよい。他の実施形態では、物品は、1対の電極と電極の外部環境との間に位置し、物品の1つ以上の部分を電極の外部環境に露出させる層を備えてもよい。一例として、いくつかの実施形態では、1対の電極と電極外部の環境との間に位置する層は、複数のナノワイヤ(例えば、当該1対の電極における電極の一方または両方と電気的に連通する1つ以上のナノワイヤ)におけるナノワイヤの一部、基板上に配置された表面層の1つ以上の部分、基板の1つ以上の部分(例えば、基板のうち、その上に配置された表面層がエッチング除去されて基準アライメントマークを形成した1つ以上の部分)、および/または、電極のうち、異なる構成要素によってその外部の環境から隔離されるように構成された1つ以上の部分を覆っていない。
図14は、1対の電極120上に配置された層5020が、複数のナノワイヤ220の一部、表面層2020の一部、および1対の電極120の各メンバの一部をその外部環境に露出している物品の一例を示している。1対の電極と電極の外部環境との間に位置し、それが位置する物品の1つ以上の他の構成要素を露出させる層は、本明細書の他の箇所に記載されるように、マスクによってパターニングされ得るフォトレジストを使用することによって、上記のように製造されてもよい。
【0063】
いくつかの実施形態では、センサを製造する方法は、その中の1対以上の電極をセンサの外部の環境と電気的に連通させる構成要素を形成することを含む。この工程は、典型的には、電極対の形成後、電極対と電極の外部環境との間に位置する層の形成後に行われる。このような場合、電極対と電極の外部環境との間に位置する層の1以上の部分が(例えば、前段に記載したように)そこから除去されてもよく、電極とその外部環境とを連通させるように構成された組成物が、この層が除去された位置で電極上に堆積されてもよい。また、1対以上の電極をセンサの外部の環境と電気的に連通させる構成要素は、電極対と電極の外部環境との間に位置する層の形成前に形成されること、および/または電極対と電極の外部環境との間に位置する層を有していない実施形態において形成されることが可能である。
【0064】
同様に、いくつかのセンサは、センサの外部の環境と電気的に連通する1対の電極を備えている。このような電気的な連通は、センサが曝される環境を示す電気データを出力させるために望ましい場合がある。例えば、いくつかのセンサは、その中の1対以上の電極間の等価表面電位を出力するように構成されていてもよい。電極は、例えば、その外部の環境と連通する構成要素と電気的に連通するように配置されることによって、その外部の環境と電気的に連通するように配置されてもよい。これは、電極を対応する構成要素と直接接触するように配置することによって実現されてもよい。いくつかの実施形態では、この目的のために、ワイヤボンディング組成物が、本明細書に記載の電極の外部表面の一部上に配置される。ワイヤボンディング組成物は、また、センサの使用者および/またはコンピュータプログラムが容易に解釈できる方法で(例えば、電圧計を用いて)電極からデータを出力することができる構成要素と電気的に連通するように構成されてもよい。
【0065】
図15は、1対の電極122の各メンバの一部に配置されたワイヤボンディング組成物6022を備えるセンサの一例を示す。実施例2は、1対の電極上にワイヤボンディング組成物を配置するために採用され得る1つのプロセスをより詳細に説明する。
図15に示すように、ワイヤボンディング組成物は、電極内の電極材料上に直接配置されてもよい。また、ワイヤボンディング組成物は、ワイヤボンディング組成物と電極材料との間に1つ以上の介在要素(intervening components)が存在するように、電極上に配置されることも可能である。例えば、ワイヤボンディング組成物は、電極材料上に配置された導電性材料、例えば、電極材料とワイヤボンディング組成物との間の接合を容易にする導電性材料などの上に配置されてもよい。この目的に適した導電性材料の一例として、チタンと金との合金が挙げられる。電極における電極材料の一部にワイヤボンディング組成物が直接配置され、異なる部分にパッシベーション層が直接配置されている場合、電極における電極材料は、その上に配置されているパッシベーション層の一部を除去することによって、ワイヤボンディング組成物との接触のために露出されてもよい。これは、例えば、本明細書の他の箇所に記載されるフォトリソグラフィ技術を採用することによって実現されてもよい。
【0066】
本明細書に記載されるセンサの製造中に実施され得る工程の別の例は、センサと1つ以上の対象被分析物との間の相互作用を望ましい方法で促進する1つ以上の構成要素を形成することである。一例として、センサの1つ以上の構成要素の表面化学は、1つ以上の対象被分析物との望ましい相互作用を促進するように変更(改変)されてもよい(言い換えれば、センサの1つ以上の構成要素は官能化されてもよい)。例えば、1種類以上の分子が複数のナノワイヤの表面に結合されてもよい。そのような分子は、対象被分析物と結合するように構成された分子(例えば、対象の抗原に対する抗体を含んでいてもよい)を含んでいてもよい。対象の分子は、共有結合によってナノワイヤに結合されていてもよい。いくつかの実施形態では、ナノワイヤへの対象の分子の共有結合は、シラン誘導体の使用によって促進され得る。対象の分子と結合するのに適した官能基(例えば、一級アミノ基などのアミノ基、アルデヒド基、エポキシ基)を含むシラン誘導体を、ナノワイヤに共有結合させてもよい。次に、対象の分子は、シラン誘導体との結合を促進するために任意に活性化された後、シラン誘導体と反応してそれと共有結合を形成することができる。いくつかの実施形態では、センサ製造時の後の方で行われる工程の1つとして、および/または対象の分子が分解され得る工程の後(例えば、任意のフォトリソグラフィ工程の後、任意のエッチング工程の後)に、複数のナノワイヤの表面化学を変更することが有利であり得る。
【0067】
別の例として、また本明細書の他の箇所でも説明されるように、いくつかの実施形態では、ブロッキング層は、センサの1つ以上の構成要素上に形成される。ブロッキング層は、これらの構成要素とセンサの外部の環境との間に位置してもよい。いくつかの実施形態では、ブロッキング層は、センサの外部の環境の1つ以上の成分(例えば、分析される1つ以上の試料および/またはその中の1つ以上の被分析物などの1つ以上の成分)との相互作用を媒介する。例えば、ブロッキング層は、試料および/またはその中の成分とセンサの1つ以上の構成要素(例えば、その中の複数のナノワイヤ)との非特異的相互作用を低減することができる。この目的に適したブロッキング層は、対象被分析物以外のサンプル成分(例えば、タンパク質)と容易に結合しない材料から形成され、および/または、そのような材料を含んでもよい。別の例として、ブロッキング層は、センサの1つ以上の構成要素(例えば、その中の複数のナノワイヤ)を用いて分析される試料による静電遮蔽(electrostatic charge screening)を低減してもよい。
【0068】
ブロッキング層は、様々な好適なプロセスによってセンサに導入され得る。好適なプロセスの一例は、ブロッキング層の成分を含む溶液をセンサおよび/またはその1つ以上の構成要素上に分散させ、次いで、溶液が配置されたセンサを培養(incubate)してブロッキング層の成分とセンサおよび/またはその構成要素との間の結合を可能にすることを含む。
【0069】
ブロッキング層が存在する場合、ブロッキング層は、センサの1つ以上の離散的な部分上に配置されてもよく、またはセンサのかなりの部分を覆うコーティングを形成してもよい(例えば、ブロッキング層は、その外部の環境と電気的に連通していないセンサの部分のすべて、または大部分を覆ってもよい)。
図16は、1対の電極124を電気的に連通させるナノワイヤの上方に配置されるが、センサの他の部分には存在しないブロッキング層7024を含むセンサの一例を示す。
【0070】
いくつかの方法は、本明細書の他の箇所で説明される電極対以外の電極を形成することを含んでいてもよく、いくつかのセンサは、そのような電極を備えてもよい。例として、センサは、バックゲート電極、ウォーターゲート電極(water gate electrode)、および/または接地電極をさらに備えてもよい。これらの電極が存在する場合、これらの電極は、(例えば、本明細書の他の箇所で説明されるような)フォトリソグラフィプロセスによって形成されてもよい。これらは、単一の工程で実行されてもよいし、別々の工程によって製造されてもよい。これらの電極(複数可)を形成するために採用される工程は、任意の適切な時点に実行されてもよい。いくつかの実施形態では、これらの電極の1つ以上は、電極対の形成と同時に形成されてもよい。例えば、本明細書の他の箇所に記載されるような1対の電極を形成するために採用されるフォトリソグラフィプロセスは、1対の電極が形成されるべき位置からのフォトレジストの除去と同時にこれらの電極が形成されるべき位置からフォトレジストを除去することも含み、1対の電極の形成材料の堆積と同時にこのプロセスによって露出した基板の部分にこれらの電極の形成材料を堆積することも含むことによって、1以上のさらなる電極を形成することを含んでもよい。
【0071】
図17Aは、1対の電極126を含み、バックゲート電極8026、ウォーターゲート電極9026、および接地電極10026をさらに含むセンサの非限定的な一実施形態を示す。これらの電極が存在する場合、このような電極は、センサの外部の環境に直接さらされてもよく、および/または、その上に配置されたパッシベーション層および/または電気絶縁層を有していなくてもよい。他の実施形態では、1つ以上のパッシベーション層および/または電気絶縁層が、これらの電極の1つ以上とその外部の環境との間に位置してもよい。
【0072】
いくつかの実施形態では、バックゲート電極、ウォーターゲート電極、および/または接地電極は、(例えば、表面層の代わりに)基板のバルクを形成する材料と直接接触するように、基板上に配置されてもよい。例として、いくつかの実施形態では、電極(例えば、バックゲート電極)は、基板のうち表面層がエッチングされた部分上に堆積される。特定の理論に拘束されることを望まないが、バックゲート電極が、基板のバルクを形成する材料と直接接触するように基板上に配置されることは有利であると考えられる。この配置は、バックゲート電極によって提供されるゲーティングの一貫性を高め、複数のナノワイヤのドライゲーティング(dry gating)を可能にし、および/またはバルク基板を接地するための容易な方法を提供することができると考えられる。
【0073】
図17Bは、複数対の電極に加えて、さらに2つの電極を備えるセンサの1つの例示的な実施形態の上面図を示している。
図17Bにおいて、複数対の電極128は、中心点の周りに放射対称性を有するように配置された電極である。第1電極AAは、中心点上および中心点を中心として対称に配置される。第2電極BBは、第1電極AAと電気的に連通している。各電極は、電極をコンタクトパッド1328と接続するワイヤによって、センサの外部の環境と電気的に連通している。コンタクトパッドは、電圧計、コンピュータ、または他のデバイスと電気的に連通するように配置されてもよい。
図17Bに示されるような構造を有するセンサは、第1電極および第2電極の両方が接地電極であるように構成されてもよい。また、
図17Bに示されるような構造を有するセンサは、第1電極および第2電極の両方が参照電極(reference electrode)であるように構成されることも可能である。または、そのようなセンサが、
図17Bに示される第1電極および第2電極の一方を採用し他方を採用しないように構成されることも可能である。
図17Cは、
図17Bに示された第2電極を含むが、第1電極を含まないセンサの一例を示す。他の点では、このセンサは、
図17Bに示されたセンサと同じである。
【0074】
いくつかの実施形態において、センサは、その使用前および/または使用中に除去されるように構成された外部層をさらに備える。外部層は、使用前(例えば、輸送中)にセンサを保護し、その後、所望のときにセンサが機能できるように除去されてもよい。いくつかの実施形態において、外部層は、(例えば、層を除去する目的で、センシング中に)センサがさらされるように構成された流体に可溶な層である。例として、いくつかの実施形態では、外部層は、緩衝生理食塩水および/または1つ以上の体液に可溶な層であってよい。そのような層は、対応する流体への溶解によって除去されてもよい。外部層に適した組成物の非限定的な例としては、糖および/またはタンパク質が挙げられる。
【0075】
図18は、外部層11030を含むセンサの非限定的な一例を示す。
図18に示すように、外部層は、センサの外部表面の全体上に配置されてもよい。また、センサが、その1つ以上の部分(例えば、センサ内のナノワイヤおよび/またはそこに露出された1つ以上の対象被分析物と結合するように構成された分子等の特に繊細な部分)上にのみ配置される外部層を含み、および/またはコンフォーマル(絶縁保護)コーティングを形成することが可能である。
【0076】
本明細書に記載されるセンサは、流体デバイスに組み込まれてもよい。例として、いくつかの実施形態では、流体デバイスは、本明細書に記載の1つ以上のセンサを備える。流体デバイスは、流体を受け取り、流体をセンサ上に通過させ、次いで、流体に曝露した時のセンサの特性に基づいて、流体に関する情報(例えば、1以上の被分析物の存在および/または濃度)を出力するように構成されていてもよい。いくつかの実施形態では、流体デバイスは、複数のセンサを備えてもよい。流体デバイスは、2つ以上のセンサの上に流体を順次通過させるように構成されてもよく(例えば、各センサは、流体中の異なる被分析物の存在および/または濃度など、流体の異なる特性を検知するように構成されてもよい)、および/または互いに流体的に連通していない2つ以上のセンサを備えてもよい(例えば、流体が通ることの可能な複数の異なる流路を有し、流路のそれぞれは、そこに導入された流体に同一の態様で作用するように構成されていてもよい)。本明細書に記載されるセンサを備えるいくつかの流体デバイスは、マイクロ流体デバイスであってもよい。
【0077】
本明細書に記載されるセンサに含まれ得る様々な構成要素の概要と、本明細書に記載されるセンサを形成するために採用され得る方法を説明したが、特定のセンサ構成要素および製造工程に関するさらなる詳細を以下に説明する。
【0078】
本明細書の他の箇所に記載されているように、いくつかのセンサは、複数のナノワイヤを含む。ナノワイヤが存在する場合、ナノワイヤは、センサ性能を向上させる1つ以上の物理的または化学的特徴を有してもよい。そのような物理的および化学的特徴を、以下に記載する。
【0079】
複数のナノワイヤは、様々な好適な数のナノワイヤを含んでもよい。いくつかの実施形態では、複数のナノワイヤは、少なくとも30ナノワイヤ、少なくとも50ナノワイヤ、少なくとも75ナノワイヤ、少なくとも100ナノワイヤ、少なくとも200ナノワイヤ、少なくとも500ナノワイヤ、少なくとも750ナノワイヤ、少なくとも1,000ナノワイヤ、少なくとも1,250ナノワイヤ、少なくとも1,500ナノワイヤ、少なくとも1,750ナノワイヤ、少なくとも2,000ナノワイヤ、少なくとも2,500ナノワイヤ、少なくとも3,000ナノワイヤ、少なくとも4,000ナノワイヤ、少なくとも5,000ナノワイヤ、少なくとも7,500ナノワイヤ、少なくとも10,000ナノワイヤ、少なくとも20,000ナノワイヤ、少なくとも50,000ナノワイヤ、または少なくとも75,000ナノワイヤを含む。いくつかの実施形態では、複数のナノワイヤは、最大100,000ナノワイヤ、最大75,000ナノワイヤ、最大50,000ナノワイヤ、最大20,000ナノワイヤ、最大10,000ナノワイヤ、最大7,500ナノワイヤ、最大5,000ナノワイヤ、最大4,000ナノワイヤ、最大3,000ナノワイヤ、最大2,500ナノワイヤ、最大2,000ナノワイヤ、最大1,750ナノワイヤ、最大1,500ナノワイヤ、最大1,250ナノワイヤ、最大1,000ナノワイヤ、最大750ナノワイヤ、最大500ナノワイヤ、最大200ナノワイヤ、最大100ナノワイヤ、最大75ナノワイヤまたは最大50ナノワイヤを含む。上記の範囲の組み合わせも可能である(例えば、少なくとも30ナノワイヤ且つ最大100,000ナノワイヤ、または、少なくとも30ナノワイヤ且つ最大1,000ナノワイヤ)。その他の範囲も可能である。
【0080】
いくつかの実施形態では、複数のナノワイヤは、円形構造に対して実質的に接線方向に方向づけられたナノワイヤを含む。そのようなナノワイヤは、円形構造に対して、70°以上、72.5°以上、75°以上、77.5°以上、80°以上、82.5°以上、85°以上、87.5°以上、または89°以上の角度を有してもよい。いくつかの実施形態では、円形構造に対して実質的に接線方向に方向づけられたナノワイヤは、円形構造に対して、90°以下、89°以下、87.5°以下、85°以下、82.5°以下、80°以下、77.5°以下、75°以下、または72.5°以下の角度を有する。上記の範囲の組み合わせも可能である(例えば、70°以上90°以下、または、80°以上90°以下など)。その他の範囲も可能である。
【0081】
ある複数のナノワイヤは、円形構造に対して実質的に接線方向に方向づけられた比較的多数のナノワイヤを含んでいてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、複数のナノワイヤのうちの、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、97.5%以上、または99%以上のナノワイヤの円形構造に対する角度は、上述の範囲のうちの1つ以上の範囲にある。いくつかの実施形態では、複数のナノワイヤのうちの、100%以下、99%以下、97.5%以下、95%以下、90%以下、85%以下、80%以下、75%以下、70%以下、60%以下、50%以下、または40%以下のナノワイヤの円形構造に対する角度は、上述の範囲のうちの1つ以上の範囲にある。上記範囲の組み合わせも可能である(例えば、30%以上100%以下、75%以上100%以下)。その他の範囲も可能である。
【0082】
いくつかの実施形態では、複数のナノワイヤは、望ましい化学成分を有するナノワイヤを含む。一例として、ナノワイヤは、対象となる1つ以上の化学物質(例えば、対象被分析物と望ましい相互作用を有する1つ以上の化学物質、および/または対象被分析物と望ましい相互作用を有する分子とさらに反応できる化学物質)で官能化(functionalized)され得る材料から形成されてもよく、および/または、そのような材料を含んでもよい。別の例として、ナノワイヤは、望ましい電気伝導率および/または等価表面電位(equivalent surface potential)を有する材料から(例えば、半導体から、対象被分析物に曝露されると電気伝導率が変化する材料から、および/または対象被分析物に曝露されると等価表面電位が変化する材料から)形成されてもよく、および/または、そのような材料を含んでもよい。この特性を有する材料の非限定的な例としては、選択された元素(例えば、シリコン)、セラミック(例えば、窒化ガリウム、ヒ化ガリウム、酸化インジウム、リン化インジウム、二硫化モリブデン、二硫化タングステン)、ポリマー(例えば、半導体ポリマー)、一次元材料(例えば、カーボンナノチューブ、上記材料の1つ以上を含む一次元材料)、および二次元材料(例えば、グラフェン、上記材料の1つ以上を含む二次元材料)が挙げられる。いくつかの実施形態では、ナノワイヤは、単結晶の形態の上記材料のうちの1つ以上(例えば、単結晶シリコン)から形成され、および/またはそのような材料を含む。
【0083】
ナノワイヤの表面を官能化し得る官能基の非限定的な例としては、ヒドロキシル基、エポキシ基、アルデヒド基、アミノ基(例えば、(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン)、およびハロゲン基を含むものが挙げられる。いくつかの官能基によって、ナノワイヤは帯電した表面(例えば、正帯電、負帯電、双性イオン性)を有してもよい。いくつかの実施形態では、ナノワイヤの表面は、結合エンティティ(binding entity)(例えば、センサによって検出される被分析物に対する(被分析物用の)結合エンティティ)で官能化される。例として、ナノワイヤは、グリア線維性酸性タンパク質(GFAP)、UCH-L1、S100β、ICH、NFL-1、Dダイマー、ウイルスタンパク質(例えば、ヒトウイルスタンパク質、非ヒト動物ウイルスタンパク質、植物ウイルスタンパク質)、小分子(small molecule)および/または脂質に対する結合エンティティを有してもよい。ウイルスタンパク質のさらなる非限定的な例としては、SARS-CoV-2タンパク質(例えば、スパイク(S)タンパク質、ヌクレオカプシド(N)タンパク質、エンベロープ(E)タンパク質)、インフルエンザウイルスタンパク質(例えば、ヘマグルチニン(HA)タンパク質、ノイラミニダーゼ(NA)タンパク質、マトリックスタンパク質(M1、M2))、ジカウイルスタンパク質、パラインフルエンザウイルスタンパク質、HIV1タンパク質、CMVタンパク質およびHHVタンパク質が挙げられる。
【0084】
本明細書に記載されるセンサで使用するのに適したいくつかのナノワイヤは、望ましい範囲の電気伝導率(導電率)を有する。例として、いくつかの実施形態では、複数のナノワイヤは、0.333S/cm以上、0.667S/cm以上、1S/cm以上、2.22S/cm以上、6.67S/cm以上、10S/cm以上、12S/cm以上、14.3S/cm以上、20S/cm以上、50S/cm以上、75S/cm以上、100S/cm以上、200S/cm以上、286S/cm以上、350S/cm以上、500S/cm以上、750S/cm以上、1,000S/cm以上、2,000S/cm以上、5,000S/cm以上、7,500S/cm以上、10,000S/cm以上、20,000S/cm以上、30,000S/cm以上、または40,000S/cm以上の電気伝導率を有するナノワイヤを含む。いくつかの実施形態では、複数のナノワイヤは、50,000S/cm以下、40,000S/cm以下、30,000S/cm以下、20,000S/cm以下、10,000S/cm以下、7,500S/cm以下、5,000S/cm以下、2,000S/cm以下、1,000S/cm以下、750S/cm以下、500S/cm以下、350S/cm以下、286S/cm以下、200S/cm以下、100S/cm以下、75S/cm以下、50S/cm以下、20S/cm以下、14.3S/cm以下、12S/cm以下、10S/cm以下、6.67S/cm以下、2.22S/cm以下、1S/cm以下、または0.67S/cm以下の電気伝導率を有するナノワイヤを含む。上記の範囲の組み合わせも可能である(例えば、0.333S/cm以上50,000S/cm以下、2.22S/cm以上286S/cm以下、または14.3S/cm以上286S/cm以下)。その他の範囲も可能である。複数のナノワイヤの電気伝導率は、半導体パラメータアナライザを使用して決定され得る。
【0085】
いくつかの実施形態では、複数のナノワイヤにおけるナノワイヤの平均導電率は、上述の1以上の範囲内にある。上記の範囲は、ナノワイヤの初期導電率(例えば、製造時のナノワイヤの導電率、基板への堆積後であるが官能化前のナノワイヤの導電率、センサ製造後であるがその使用前のナノワイヤの導電率)および/または別の時点(例えば、分単位、時間単位、日単位、または、それよりも長い期間のセンサの使用後)におけるナノワイヤの導電率を独立して特徴付けることができる。
【0086】
本明細書に記載されたセンサで使用するのに適したいくつかのナノワイヤは、有利なオン/オフ比を有する。例えば、複数のナノワイヤは、2以上、5以上、7.5以上、10以上、20以上、50以上、75以上、100以上、200以上、500以上、750以上、1,000以上、2,000以上、5,000以上、7,500以上、10,000以上、20,000以上、50,000以上、75,000以上、100,000以上、200,000以上、500,000以上、または750,000以上のオン/オフ比を有するナノワイヤを含んでもよい。いくつかの実施形態では、複数のナノワイヤは、1,000,000以下、750,000以下、500,000以下、200,000以下、100,000以下、75,000以下、50,000以下、20,000以下、10,000以下、7,500以下、5,000以下、2,000以下、1,000以下、750以下、500以下、200以下、100以下、75以下、50以下、20以下、10以下、7.5以下、または5以下のオン/オフ比を有するナノワイヤを含む。上記範囲の組み合わせも可能である(例えば、2以上1,000,000以下、1000以上1,000,000以下、10,000以上1,000,000以下)。その他の範囲も可能である。
【0087】
ナノワイヤのオン/オフ比は、ゲートスイープを行うことによってIV曲線を生成し、次に、デバイスが「オフ」状態にあるときの電流に対するデバイスが「オン」状態にあるときの電流の比をIV曲線から決定することによって決定され得る。簡単に説明すると、以下の手順で行うことができる。(1)1対の電極間に一定の直流電圧を印加する。(2)同時にゲート電極に印加される電圧を-0.5Vから0.5Vに変化させる。(3)「オフ」状態の電流は、ゲート電極に印加される電圧を変化させている間に測定された最小電流に決定され得る。(4)「オン」状態の電流は、ゲート電極に印加される電圧を変化させている間に測定された最大電流に決定され得る。(5)オン/オフ比は、「オン」状態の電流を「オフ」状態の電流で割ることによって決定され得る。
【0088】
いくつかの実施形態では、複数のナノワイヤにおけるナノワイヤの平均オン/オフ比は、上述の1以上の範囲にある。上記の範囲は、ナノワイヤの初期オン/オフ比(例えば、製造時のナノワイヤのオン/オフ比、基板への堆積後であるが官能化前のナノワイヤのオン/オフ比、センサ製造後であるがその使用前のナノワイヤのオン/オフ比)および/または別の時点(例えば、分単位、時間単位、日単位、または、それより長い期間のセンサ使用後)のナノワイヤのオン/オフ比を独立して特徴づけることができる。
【0089】
本明細書に記載されるナノワイヤは、様々な好適な長さを有することができる。いくつかの実施形態では、複数のナノワイヤは、4ミクロン以上、5ミクロン以上、6ミクロン以上、8ミクロン以上、10ミクロン以上、11ミクロン以上、12ミクロン以上、13ミクロン以上、14ミクロン以上、15ミクロン以上、16ミクロン以上、17ミクロン以上、18ミクロン以上、19ミクロン以上、20ミクロン以上、22ミクロン以上、25ミクロン以上、27.5ミクロン、30ミクロン以上、35ミクロン以上、40ミクロン以上、または45ミクロン以上の長さを有するナノワイヤを含む。いくつかの実施形態では、複数のナノワイヤは、50ミクロン以下、45ミクロン以下、40ミクロン以下、35ミクロン以下、30ミクロン以下、27.5ミクロン以下、25ミクロン以下、22ミクロン以下、20ミクロン以下、19ミクロン以下、18ミクロン以下、17ミクロン以下、16ミクロン以下、15ミクロン以下、14ミクロン以下、13ミクロン以下、12ミクロン以下、11ミクロン以下、10ミクロン以下、8ミクロン以下、または6ミクロン以下の長さを有するナノワイヤを含む。上記の範囲の組み合わせも可能である(例えば、4ミクロン以上40ミクロン以下、5ミクロン以上50ミクロン以下、10ミクロン以上25ミクロン以下、12ミクロン以上20ミクロン以下、または14ミクロン以上16ミクロン以下)。他の範囲も可能である。いくつかの実施形態では、複数のナノワイヤにおけるナノワイヤの平均長さは、上述の範囲のうちの1つ以上の範囲にある。
【0090】
本明細書に記載されるナノワイヤは、様々な好適な直径を有することができる。いくつかの実施形態では、複数のナノワイヤは、12nm以上、13nm以上、14nm以上、15nm以上、16nm以上、17nm以上、18nm以上、19nm以上、20nm以上、21nm以上、22nm以上、23nm以上、24nm以上、25nm以上、27nm以上、30nm以上、32.5nm以上、または35nm以上の直径を有するナノワイヤを含む。いくつかの実施形態では、複数のナノワイヤは、40nm以下、35nm以下、32.5nm以下、30nm以下、27nm以下、25nm以下、24nm以下、23nm以下、22nm以下、21nm以下、20nm以下、19nm以下、18nm以下、17nm以下、16nm以下、15nm以下、14nm以下、または13nm以下の直径を有するナノワイヤを含む。上記の範囲の組み合わせも可能である(例えば、12nm以上40nm以下、15nm以上25nm以下、または19nm以上21nm以下)。その他の範囲も可能である。いくつかの実施形態では、複数のナノワイヤにおけるナノワイヤの平均直径は、上述の範囲のうちの1つ以上の範囲にある。
【0091】
本明細書の他の箇所で説明するように、いくつかの実施形態では、センサは、例えばセンサ内の複数のナノワイヤ上などの、センサの一部上に配置されたブロッキング層を含む。ブロッキング層が存在する場合、ブロッキング層は、例えば、タンパク質(例えば、カゼイン、ウシ血清アルブミン)、オリゴ糖、多糖類(例えば、カルボキシメチルセルロース)、合成ポリマー(例えば,ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(エチレンイミン)、ポリ(エチレングリコール))、および/または上記ポリマーの誘導体(例えば、アセチル化ウシ血清アルブミンのようなアセチル化ポリマー)などのような、高分子材料を含んでもよい。いくつかの実施形態では、ブロッキング層は、例えば、フリーラジカル吸収剤(例えば、ヒスチジン、β-メルカプタン、チオール)、pH安定剤、および/または水分制御剤などの、1つ以上の安定剤をさらに含む。安定剤は、センサの貯蔵寿命を増加させてもよく、および/または、緩衝生理食塩水および/または1つ以上の体液などの、センサが曝されるように構成された流体と接触すると除去されるように構成されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、安定剤は、センサが曝されるように構成された流体中に溶解するように構成されている。
【0092】
本明細書の他の箇所に記載されているように、いくつかの実施形態において、センサは、1対以上の電極を含んでいる。以下、そのような電極についてより詳細に説明する。
【0093】
本明細書に記載されるセンサは、様々な好適な数の(例えば、中心点の周りに放射対称性を有するように配置される)電極の対を含んでもよい。いくつかの実施形態において、センサは、5対以上、6対以上、7対以上、8対以上、9対以上、10対以上、11対以上、12対以上、13対以上、14対以上、15対以上、16対以上、17対以上、18対以上、19対以上、20対以上、21対以上、22対以上、23対以上、24対以上、25対以上、26対以上、27対以上、28対以上、29対以上、30対以上、31対以上、32対以上、34対以上、36対以上、38対以上、40対以上、または45対以上の電極を含む。いくつかの実施形態において、センサは、50対以下、45対以下、40対以下、38対以下、36対以下、34対以下、32対以下、31対以下、30対以下、29対以下、28対以下、27対以下、26対以下、25対以下、24対以下、23対以下、22対以下、21対以下、20対以下、19対以下、18対以下、17対以下、16対以下、15対以下、14対以下、13対以下、12対以下、11対以下、10対以下、9対以下、8対以下、7対以下、または6対以下の電極を含む。上記の範囲の組み合わせも可能である(例えば、5対以上50対以下、10対以上50対以下、10対以上40対以下、または15対以上25対以下)。その他の範囲も可能である。
【0094】
本明細書に記載されるセンサは、中心点の周りに放射対称性を有するように配置された様々な好適な数のモチーフ(例えば、電極の対を含む)を有してもよい。いくつかの実施形態では、センサは、2以上または3以上のモチーフを有する。いくつかの実施形態では、センサは、4以下または3以下のモチーフを有する。上記範囲の組合せも可能である(例えば、2以上4以下)。その他の範囲も可能である。
【0095】
いくつかの実施形態では、センサ(例えば、中心点の周りに放射対称性を有するように配置された複数の電極対を含むセンサ)内の好適な割合の電極対が、まさに(exactly)1つのナノワイヤによって電気的に連通されていてもよい。まさに1つのナノワイヤによって連通状態にある電極対の割合は、0%以上、1%以上、2%以上、5%以上、7.5%以上、10%以上、12.5%以上、15%以上、17.5%以上、20%以上、22.5%以上、25%以上、27.5%以上、30%以上、35%以上、40%以上、45%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、または90%以上であってもよい。いくつかの実施形態において、まさに1つのナノワイヤによって連通状態にある電極対の割合は、100%以下、90%以下、80%以下、70%以下、60%以下、50%以下、45%以下、40%以下、35%以下、30%以下、27.5%以下、25%以下、22.5%以下、20%以下、17.5%以下、15%以下、12.5%以下、10%以下、7.5%以下、5%以下、2%以下、または1%以下であってもよい。上記範囲の組み合わせも可能である(例えば、0%以上100%以下、10%以上50%以下、15%以上25%以下など)。その他の範囲も可能である。
【0096】
いくつかの実施形態では、まさに1つのナノワイヤによって電気的に連通している電極対も、本明細書の他の箇所に記載されているように、流体中の被分析物の測定を行うために好適に構成される。したがって、いくつかの実施形態において、センサは、上記範囲のうちの1つ以上の範囲内にある割合で、センシング用に適用可能な電極対を有していてもよい。
【0097】
センサは、内側電極が外側電極の内側に入れ子状に配置された1対の電極を備えてもよい。内側電極および外側電極の両方は、2つの被接続部(connected portions)と、2つの被接続部を接続する1つの部分とを有してもよい。接続部(connecting portion)は、2つの被接続部を互いに電気的に連通させることができる。これらの被接続部は、実質的に平行であってもよいし、他の態様で互いに対して方向づけられていてもよい(例えば、2つの被接続部は、中心点から放射状に外側に向けられていてもよい)。また、被接続部は実質的に直線状(真っ直ぐ)であってもよいし、1つ以上の曲線、角度、および/またはキンクを含むことも可能である。同様に、2つの被接続部を接続する部分は、実質的に直線状(真っ直ぐ)であってもよいし、1つ以上の曲線、角度、および/またはキンクを含んでもよい。例として、いくつかの実施形態では、2つの被接続部を接続する部分は、それぞれが実質的に直線状である3つの副部を有していてもよい。
【0098】
図19は、3つの副部を含む接続部を有する1つの電極を含む1対の電極の一例を示す。
図19では、外側電極30は、被接続部30Aおよび30Bを有する。外側電極30は、さらに、副部30C
1、30C
2および30C
3を含む接続部30Cを有する。
図19はまた、被接続部40Aおよび40Bを有する内側電極40を示す。内側電極40は、実質的に直線状(真っ直ぐ)である接続部40Cをさらに有する。
図19のように、内側電極が実質的に直線である接続部を有し、外側電極が3つの副部を含む接続部を有する実施形態では、内側電極用の被接続部の長さは、外側電極用の被接続部と実質的に同じであってよい(例えば、それらの長さの差は、互いの5%、2%、1%の範囲内であってよい)。また、
図19にも示すように、互いに隣接する、内側電極および外側電極の被接続部は、実質的に平行であってもよい。
図19を参照すると、内側電極40の被接続部40Aは、外側電極30の被接続部30Aと実質的に平行であり、内側電極40の被接続部40Bは、外側電極30の被接続部30Bと実質的に平行である。
【0099】
なお、1対の電極が内側電極および外側電極を有する場合、どちらか一方の電極はソース電極であり、どちらか一方の電極はドレイン電極であってもよい。
【0100】
電極の各部の寸法は、一般に、所望に応じて選択され得る。いくつかの実施形態において、外側電極(例えば、内側電極の被接続部の周囲に位置する被接続部を含む電極)は、100ミクロン以上、125ミクロン以上、150ミクロン以上、175ミクロン以上、200ミクロン以上、225ミクロン以上、250ミクロン以上、275ミクロン以上、300ミクロン以上、325ミクロン以上、344ミクロン以上、375ミクロン以上、400ミクロン以上、450ミクロン以上、500ミクロン以上、600ミクロン以上、または800ミクロン以上の長さの被接続部を有する。いくつかの実施形態では、外部電極は、1000ミクロン以下、800ミクロン以下、600ミクロン以下、500ミクロン以下、450ミクロン以下、400ミクロン以下、375ミクロン以下、344ミクロン以下、325ミクロン以下、300ミクロン以下、275ミクロン以下、250ミクロン以下、225ミクロン以下、200ミクロン以下、175ミクロン以下、150ミクロン以下、または125ミクロン以下の長さの被接続部を有する。上記の範囲の組み合わせも可能である(例えば、100ミクロン以上1000ミクロン以下、または300ミクロン以上400ミクロン以下)。その他の範囲も可能である。
【0101】
外部電極の2つの被接続部は、実質的に同じ長さを有していてもよく(例えば、互いの5%、2%、または1%以内の長さの差を有していてもよい)、または、互いに異なる長さを有していてもよい。外部電極の1対の被接続部が異なる長さを有する場合、そのような電極部分のそれぞれは、独立して、上述した範囲のうち1つ以上の範囲にある長さを有してもよい。
【0102】
いくつかの実施形態において、外側電極(例えば、内側電極の被接続部の周囲に位置する被接続部を有する電極)は、1ミクロン以上、1.5ミクロン以上、2ミクロン以上、2.5ミクロン以上、3ミクロン以上、3.5ミクロン以上、4ミクロン以上、4.5ミクロン以上、5ミクロン以上、5.5ミクロン以下、6ミクロン以下、6.5ミクロン以上、7ミクロン以上、7.5ミクロン以上、8ミクロン以上、9ミクロン以上、10ミクロン以上、15ミクロン以上、20ミクロン以上、50ミクロン以上、75ミクロン以上、100ミクロン以上、150ミクロン以上、200ミクロン以上、または250ミクロン以上の幅の被接続部を有する。いくつかの実施形態では、外部電極は、300ミクロン以下、250ミクロン以下、200ミクロン以下、150ミクロン以下、100ミクロン以下、75ミクロン以下、50ミクロン以下、20ミクロン以下、15ミクロン以下、10ミクロン以下、9ミクロン以下、8ミクロン以下、7.5ミクロン以下、7ミクロン以下、6.5ミクロン以下、6ミクロン以下、5.5ミクロン以下、5ミクロン以下、4.5ミクロン以下、4ミクロン以下、3.5ミクロン以下、3ミクロン以下、2.5ミクロン以下、2ミクロン以下、または1.5ミクロン以下の幅の被接続部を有する。上記の範囲の組み合わせも可能である(例えば、1ミクロン以上300ミクロン以下、または3ミクロン以上7ミクロン以下)。その他の範囲も可能である。
【0103】
外部電極の2つの被接続部は、実質的に同じ幅を有してもよく(例えば、互いの10%、5%、2%、または1%以内の幅の差を有してもよい)、または、互いに異なる幅を有してもよい。外側電極の1対の被接続部が異なる幅を有する場合、そのような電極部分のそれぞれは独立して、上述の範囲のうちの1つ以上の範囲にある幅を有してもよい。また、上に挙げた値は、外側電極の被接続部の平均幅または外側電極の被接続部の幅の中央値(median width)を独立して表し得ることが理解されるべきである。
【0104】
いくつかの実施形態において、外側電極(例えば、内側電極の被接続部の周囲に位置する被接続部を有する電極)は、0.05ミクロン以上、0.01ミクロン以上、0.02ミクロン以上、0.05ミクロン以上、0.075ミクロン以上、0.1ミクロン以上、0.15ミクロン以上、0.175ミクロン以上、0.2ミクロン以上、0.225ミクロン以上、0.25ミクロン以上、0.275ミクロン以上、0.3ミクロン、0.325ミクロン以上、0.35ミクロン以上、0.375ミクロン以上、0.4ミクロン以上、または、0.45ミクロン以上の高さの被接続部を有する。いくつかの実施形態では、外部電極は、0.5ミクロン以下、0.45ミクロン以下、0.4ミクロン以下、0.375ミクロン以下、0.35ミクロン以下、0.325ミクロン以下、0.3ミクロン以下、0.275ミクロン、0.25ミクロン以下、0.225ミクロン以下、0.2ミクロン以下、0.175ミクロン以下、0.15ミクロン以下、0.1ミクロン以下、0.075ミクロン以下、0.05ミクロン以下、0.02ミクロン以下、または0.01ミクロン以下の高さの被接続部を有する。上記の範囲の組み合わせも可能である(例えば、0.05ミクロン以上0.5ミクロン以下、または0.15ミクロン以上0.35ミクロン以下)。その他の範囲も可能である。
【0105】
外部電極の2つの被接続部は、実質的に同じ高さを有していてもよく(例えば、互いの10%、5%、2%、または1%以内の高さの差を有していてもよい)、または、互いに異なる高さを有していてもよい。外側電極の1対の被接続部が異なる高さを有する場合、そのような電極部分のそれぞれは独立して、上述の範囲のうちの1つ以上の範囲にある高さを有していてもよい。また、上に挙げた値は、外側電極の被接続部の平均高さまたは外側電極の被接続部の高さの中央値を独立して表し得ることが理解されるべきである。
【0106】
外側電極(例えば、内側電極の被接続部の周囲に位置する被接続部を有する電極)における、その2つの被接続部を接続する部分は、50ミクロン以上、52ミクロン以上、55ミクロン以上、57ミクロン以上、60ミクロン以上、62ミクロン以上、65ミクロン以上、67ミクロン以上、70ミクロン以上、72ミクロン以上、75ミクロン以上、または77ミクロン以上の長さを有してもよい。いくつかの実施形態では、外部電極における2つの被接続部を接続する部分は、80ミクロン以下、77ミクロン以下、75ミクロン以下、72ミクロン以下、70ミクロン以下、67ミクロン以下、65ミクロン以下、62ミクロン以下、60ミクロン以下、57ミクロン以下、55ミクロン以下、52ミクロン以下、または50ミクロン以下の長さを有する。上記の範囲の組み合わせも可能である(例えば、50ミクロン以上80ミクロン以下、または60ミクロン以上67ミクロン以下)。その他の範囲も可能である。
【0107】
また、上に挙げた値は、外側電極の接続部の一端から他端までの長さ、外側電極の被接続部間の間隔、接続部の最長部分の長さ、および/または被接続部に対して最大の角度に方向づけられた接続部の長さを独立して表し得ることが理解されるべきである。
【0108】
外側電極(例えば、内側電極の被接続部の周囲に位置する被接続部を含む電極)における、その2つの被接続部を接続する部分は、5ミクロン以上、6ミクロン以上、7ミクロン以上、8ミクロン以上、9ミクロン以上、10ミクロン以上、11ミクロン以上、12ミクロン以上、13ミクロン以上、または14ミクロン以上の幅を有していてもよい。いくつかの実施形態では、外部電極における2つの被接続部を接続する部分は、15ミクロン以下、14ミクロン以下、13ミクロン以下、12ミクロン以下、11ミクロン以下、10ミクロン以下、9ミクロン以下、8ミクロン以下、7ミクロン以下、または6ミクロン以下の幅を有する。上記の範囲の組み合わせも可能である(例えば、5ミクロン以上10ミクロン以下)。その他の範囲も可能である。
【0109】
また、上に挙げた値は、外側電極における2つの被接続部を接続する部分の平均幅、または、外側電極における2つの被接続部を接続する部分の幅の中央値を独立して表し得ることが理解されるべきである。
【0110】
外側電極(例えば、内側電極の被接続部の周囲に位置する被接続部を含む電極)における、その2つの被接続部を接続する部分は、0.005ミクロン以上、0.0075ミクロン以上、0.01ミクロン以上、0.02ミクロン以上、0.05ミクロン以上、0.075ミクロン以上、0.1ミクロン以下、0.15ミクロン以上、0.175ミクロン以上、0.2ミクロン以上、0.225ミクロン以上、0.25ミクロン以上、0.275ミクロン、0.3ミクロン以上、0.325ミクロン以上、0.35ミクロン以上、0.375ミクロン以上、0.4ミクロン以上、または0.45ミクロン以上の高さを有してもよい。いくつかの実施形態では、外部電極における2つの被接続部を接続する部分は、0.5ミクロン以下、0.45ミクロン以下、0.4ミクロン以下、0.375ミクロン以下、0.35ミクロン以下、0.325ミクロン以下、0.3ミクロン以下、0.275ミクロン以下、0.25ミクロン以下、0.225ミクロン以下、0.2ミクロン以下、0.175ミクロン以下、0.15ミクロン以下、0.1ミクロン、0.075ミクロン以下、0.05ミクロン以下、0.02ミクロン以下、0.01ミクロン以下、または0.0075ミクロン以下の高さを有する。上記の範囲の組み合わせも可能である(例えば、0.005ミクロン以上0.5ミクロン以下、0.05ミクロン以上0.5ミクロン以下、または0.15ミクロン以上0.35ミクロン以下)。その他の範囲も可能である。
【0111】
また、上に挙げた値は、外側電極における2つの被接続部を接続する部分の平均高さ、または、外側電極における2つの被接続部を接続する部分の中央高さ(高さの中央値)を独立して表し得ることが理解されるべきである。
【0112】
いくつかの実施形態において、内側電極(例えば、外側電極の被接続部の間に位置する被接続部を有する電極)は、100ミクロン以上、125ミクロン以上、150ミクロン以上、175ミクロン以上、200ミクロン以上、225ミクロン以上、250ミクロン以上、275ミクロン以上、300ミクロン以上、325ミクロン以上、344ミクロン以上、375ミクロン以上、400ミクロン以上、450ミクロン以上、500ミクロン以上、600ミクロン以上、または800ミクロン以上の長さの被接続部を有する。いくつかの実施形態では、内側電極は、1000ミクロン以下、800ミクロン以下、600ミクロン以下、500ミクロン以下、450ミクロン以下、400ミクロン以下、375ミクロン以下、344ミクロン以下、325ミクロン以下、300ミクロン以下、275ミクロン以下、250ミクロン以下、225ミクロン以下、200ミクロン以下、175ミクロン以下、150ミクロン以下、または125ミクロン以下の長さの被接続部を有する。上記の範囲の組み合わせも可能である(例えば、100ミクロン以上1000ミクロン以下、または300ミクロン以上400ミクロン以下など)。その他の範囲も可能である。
【0113】
内側電極の2つの被接続部は、実質的に同じ長さを有していてもよく(例えば、互いの5%、2%、または1%以内の長さの差を有していてもよい)、または、互いに異なる長さを有していてもよい。内側電極の1対の被接続部が異なる長さを有する場合、そのような電極部分のそれぞれは独立して、上述の範囲のうちの1つ以上の範囲にある長さを有していてもよい。
【0114】
いくつかの実施形態において、内側電極(例えば、外側電極の被接続部の間に位置する被接続部を有する電極)は、1ミクロン以上、1.5ミクロン以上、2ミクロン以上、2.5ミクロン以上、3ミクロン以上、3.5ミクロン以上、4ミクロン以上、4.5ミクロン以上、5ミクロン以上、5.5ミクロン以上、6ミクロン以上、6.5ミクロン以上、7ミクロン以上、7.5ミクロン以上、8ミクロン以上、9ミクロン以上、10ミクロン以上、15ミクロン以上、20ミクロン以上、50ミクロン以上、75ミクロン以上、100ミクロン以上、150ミクロン以上、200ミクロン以上、または250ミクロン以上の幅の被接続部を有する。いくつかの実施形態では、内側電極は、300ミクロン以下、250ミクロン以下、200ミクロン以下、150ミクロン以下、100ミクロン以下、75ミクロン以下、50ミクロン以下、20ミクロン以下、15ミクロン以下、10ミクロン以下、9ミクロン以下、8ミクロン以下、7.5ミクロン以下、7ミクロン以下、6.5ミクロン以下、6ミクロン以下、5.5ミクロン以下、5ミクロン以下、4.5ミクロン以下、4ミクロン以下、3.5ミクロン以下、3ミクロン以下、2.5ミクロン以下、2ミクロン以下、または1.5ミクロン以下の幅の被接続部を有する。上記範囲の組み合わせも可能である(例えば、1ミクロン以上300ミクロン以下、または3ミクロン以上7ミクロン以下)。その他の範囲も可能である。
【0115】
内側電極の2つの被接続部は、実質的に同じ幅を有してもよいし(例えば、互いの5%、2%、または1%以内の幅の差を有してもよい)、または、互いに異なる幅を有してもよい。内側電極の1対の被接続部が異なる幅を有する場合、そのような電極部分のそれぞれは独立して、上述の範囲のうちの1つ以上の範囲にある幅を有していてもよい。また、上に挙げた値は、内側電極の被接続部の平均幅または内側電極の被接続部の中央幅(幅の中央値)を独立して表し得ることが理解されるべきである。
【0116】
いくつかの実施形態では、内側電極(例えば、外側電極の被接続部の間に位置する被接続部を有する電極)は、0.05ミクロン以上、0.01ミクロン以上、0.02ミクロン以上、0.05ミクロン以上、0.075ミクロン以上、0.1ミクロン以上、0.15ミクロン以上、0.175ミクロン以上、0.2ミクロン以上、0.225ミクロン以上、0.25ミクロン以上、0.275ミクロン以上、0.3ミクロン、0.325ミクロン以上、0.35ミクロン以上、0.375ミクロン以上、0.4ミクロン以上、または0.45ミクロン以上の高さの被接続部を有する。いくつかの実施形態では、内側電極は、0.5ミクロン以下、0.45ミクロン以下、0.4ミクロン以下、0.375ミクロン以下、0.35ミクロン以下、0.325ミクロン以下、0.3ミクロン以下、0.275ミクロン、0.25ミクロン以下、0.225ミクロン以下、0.2ミクロン以下、0.175ミクロン以下、0.15ミクロン以下、0.1ミクロン以下、0.075ミクロン以下、0.05ミクロン以下、0.02ミクロン以下、または0.01ミクロン以下の高さの被接続部を有する。上記の範囲の組み合わせも可能である(例えば、0.05ミクロン以上0.5ミクロン以下、または0.15ミクロン以上0.35ミクロン以下)。その他の範囲も可能である。
【0117】
内側電極の2つの被接続部は、実質的に同じ高さを有していてもよく(例えば、それらは、互いの10%、5%、2%、または1%以内の高さの差を有していてもよい)、または、互いに異なる高さを有していてもよい。内側電極の1対の被接続部が異なる高さを有する場合、そのような電極部分のそれぞれは独立して、上述の範囲のうちの1つ以上の範囲にある高さを有していてもよい。また、上に挙げた値は、内側電極の被接続部の平均高さまたは内側電極の被接続部の中央高さ(高さの中央値)を独立して表し得ることが理解されるべきである。
【0118】
内側電極(例えば、外側電極の被接続部の間に位置する被接続部を有する電極)における、その2つの被接続部を接続する部分は、40ミクロン以上、41ミクロン以上、42ミクロン以上、43ミクロン以上、44ミクロン以上、45ミクロン以上、46ミクロン以上、47ミクロン以上、48ミクロン以上、49ミクロン以上、50ミクロン以上、51ミクロン以上、52ミクロン以上、53ミクロン以上、または54ミクロン以上の長さを有していてもよい。いくつかの実施形態において、内側電極における2つの被接続部を接続する部分は、55ミクロン以下、54ミクロン以下、53ミクロン以下、52ミクロン以下、51ミクロン以下、50ミクロン以下、49ミクロン以下、48ミクロン以下、47ミクロン以下、46ミクロン以下、45ミクロン以下、44ミクロン以下、43ミクロン以下、42ミクロン以下、または41ミクロン以下の長さを有する。上記の範囲の組み合わせも可能である(例えば、40ミクロン以上50ミクロン以下、または、45ミクロン以上55ミクロン以下など)。その他の範囲も可能である。
【0119】
また、上記の値は、内側電極の接続部の一端から他端までの長さ、内側電極の被接続部間の間隔、接続部の最長部分の長さ、および/または被接続部に対して最大の角度に方向づけられた接続部の長さを独立して表し得ることが理解されるべきである。
【0120】
内側電極(例えば、外側電極の被接続部の間に位置する被接続部を有する電極)における、その2つの被接続部を接続する部分は、1ミクロン以上、1.5ミクロン以上、2ミクロン以上、2.5ミクロン以上、3ミクロン以上、3.5ミクロン以上、4ミクロン以上、4.5ミクロン以上、5ミクロン以上、5.5ミクロン以上、6ミクロン以上、6.5ミクロン以上、7ミクロン以上、7.5ミクロン以上、8ミクロン以上、9ミクロン以上、10ミクロン以上、15ミクロン以上、20ミクロン以上、50ミクロン以上、75ミクロン以上、100ミクロン以上、150ミクロン以上、200ミクロン以上、または250ミクロン以上の幅を有してもよい。いくつかの実施形態では、内側電極における2つの被接続部を接続する部分は、300ミクロン以下、250ミクロン以下、200ミクロン以下、150ミクロン以下、100ミクロン以下、75ミクロン以下、50ミクロン以下、20ミクロン以下、15ミクロン以下、10ミクロン以下、9ミクロン以下、8ミクロン以下、7.5ミクロン以下、7ミクロン以下、6.5ミクロン以下、6ミクロン以下、5.5ミクロン以下、5ミクロン以下、4.5ミクロン以下、4ミクロン以下、3.5ミクロン以下、3ミクロン以下、2.5ミクロン以下、2ミクロン以下、または1.5ミクロン以下の幅を有する。上記の範囲の組み合わせも可能である(例えば、1ミクロン以上300ミクロン以下、または3ミクロン以上7ミクロン以下)。また、その他の範囲も可能である。
【0121】
また、上に挙げた値は、内側電極における2つの被接続部を接続する部分の平均幅、または、内側電極における2つの被接続部を接続する部分の中央幅(幅の中央値)を独立して表し得ることが理解されるべきである。
【0122】
内側電極(例えば、外側電極の被接続部の間に位置する被接続部を有する電極)における、その2つの被接続部を接続する部分は、0.005ミクロン以上、0.0075ミクロン以上、0.01ミクロン以上、0.02ミクロン以上、0.05ミクロン以上、0.075ミクロン以上、0.1ミクロン以上、0.15ミクロン以上、0.175ミクロン以上、0.2ミクロン以上、0.225ミクロン以上、0.25ミクロン以上、0.275ミクロン、0.3ミクロン以上、0.325ミクロン以上、0.35ミクロン以上、0.375ミクロン以上、0.4ミクロン以上、または0.45ミクロン以上の高さを有してもよい。いくつかの実施形態では、内側電極における2つの被接続部を接続する部分は、0.5ミクロン以下、0.45ミクロン以下、0.4ミクロン以下、0.375ミクロン以下、0.35ミクロン以下、0.325ミクロン以下、0.3ミクロン以下、0.275ミクロン以下、0.25ミクロン以下、0.225ミクロン以下、0.2ミクロン以下、0.175ミクロン以下、0.15ミクロン以下、0.1ミクロン、0.075ミクロン以下、0.05ミクロン以下、0.02ミクロン以下、0.01ミクロン以下、または0.0075ミクロン以下の高さを有する。上記の範囲の組み合わせも可能である(例えば、0.05ミクロン以上0.5ミクロン以下、または、0.15ミクロン以上0.35ミクロン以下など)。その他の範囲も可能である。
【0123】
また、上に挙げた値は、内側電極における2つの被接続部を接続する部分の平均高さ、または、内側電極における2つの被接続部を接続する部分の中央高さ(高さの中央値)を独立して表し得ることが理解されるべきである。
【0124】
1対の電極が外側電極と内側電極とを有する場合、その間の間隔は任意に選択することができる。いくつかの実施形態では、外側電極の被接続部の1つと、それが最も近い内側電極の被接続部との間の距離(例えば、
図19の部分30Aと部分40Aとの間の距離、または
図19の部分30Bと部分40Bとの間の距離)は、1ミクロン以上、1.25ミクロン以上、1.5ミクロン以上、1.75ミクロン以上、2ミクロン以上、2.25ミクロン以上、2.5ミクロン以上、3ミクロン以上、3.5ミクロン以上、4ミクロン以上、5ミクロン以上、6ミクロン以上、7ミクロン以上、8ミクロン以上、8.5ミクロン以上、9ミクロン以上、9.25ミクロン以上、9.5ミクロン以上、9.75ミクロン以上、10ミクロン以上、10.5ミクロン以上、11ミクロン以上、11.5ミクロン以上、12ミクロン以上、12.5ミクロン以上、13ミクロン以上、13.5ミクロン、14ミクロン以上、15ミクロン以上、17.5ミクロン以上、20ミクロン以上、25ミクロン以上、30ミクロン以上、35ミクロン以上、または40ミクロン以上である。いくつかの実施形態において、外側電極の被接続部の1つと、それが最も近い内側電極の被接続部との間の距離は、50ミクロン以下、40ミクロン以下、35ミクロン以下、25ミクロン以下、20ミクロン以下、17.5ミクロン、15ミクロン以下、14ミクロン以下、13.5ミクロン以下、13ミクロン以下、12.5ミクロン以下、12ミクロン以下、11.5ミクロン以下、11ミクロン以下、10.5ミクロン以下、10ミクロン以下、9.75ミクロン以下、9.5ミクロン以下、9.25ミクロン以下、9ミクロン以下、8.5ミクロン以下、8ミクロン以下、7ミクロン以下、6ミクロン以下、5ミクロン以下、4ミクロン以下、3.5ミクロン以下、3ミクロン以下、2.5ミクロン以下、2.25ミクロン以下、2ミクロン以下、1.75ミクロン以下、1.5ミクロン以下、1.25ミクロン以下である。上記の範囲の組み合わせも可能である(例えば、1ミクロン以上50ミクロン以下、1.5ミクロン以上12ミクロン以下、5ミクロン以上15ミクロン以下、または9ミクロン以上10ミクロン以下)。その他の範囲も可能である。
【0125】
また、上に挙げた値は、外部電極の被接続部の1つとそれが最も近い内側電極の被接続部との間の平均距離、外部電極の被接続部の1つとそれが最も近い内側電極の被接続部との間の中央距離(距離の中央値)、または外部電極の被接続部の1つとそれが最も近い内側電極の被接続部との間の最小距離を独立して表し得ることが理解されるべきである。
【0126】
いくつかの実施形態では、外側電極の被接続部の1つと、それが最も近い内側電極の被接続部との間の距離は、内側電極と外側電極とを電気的に連通させるナノワイヤの長さに比較的近くてもよい。いくつかの実施形態では、外側電極の被接続部の1つとそれが最も近い内側電極の被接続部との間の距離に対するナノワイヤの長さの比は、1以上、1.5以上、2以上、2.5以上、3以上、3.5以上、4以上、または4.5以上である。いくつかの実施形態では、外側電極の被接続部の1つとそれが最も近い内側電極の被接続部との間の距離に対するナノワイヤの長さの比は、5以下、4.5以下、4以下、3.5以下、3以下、2.5以下、2以下、または1.5以下である。上記範囲の組み合わせも可能である(例えば、1以上5以下)。その他の範囲も可能である。
【0127】
上に挙げた比率は、また、外部電極の被接続部の1つとそれが最も近い内側電極の被接続部との間の平均距離に対するナノワイヤの長さの比率、外部電極の被接続部の1つとそれが最も近い内側電極の被接続部との間の距離の中央値に対するナノワイヤの長さの比率、または外部電極の被接続部の1つとそれが最も近い内側電極の被接続部との間の最小距離に対するナノワイヤの長さの比率を独立して表し得ることが理解されるべきである。
【0128】
本明細書の他の箇所で説明したように、いくつかの実施形態では、1対の電極は、直線状(真っ直ぐ)で互いに平行である2つの電極を有し(例えば、それらは
図1に示されるような構造を有していてもよい)、および/または、複数の電極は、直線状で互いに平行である電極のアレイを有する。
【0129】
直線状で互いに平行な電極の寸法は、一般に、所望に応じて選択することができる。いくつかの実施形態において、そのような電極は、100ミクロン以上、125ミクロン以上、150ミクロン以上、175ミクロン以上、200ミクロン以上、225ミクロン以上、250ミクロン以上、275ミクロン以上、300ミクロン以上、325ミクロン以上、344ミクロン以上、375ミクロン以上、400ミクロン以上、450ミクロン以上、500ミクロン以上、600ミクロン以上、または800ミクロン以上の長さを有する。いくつかの実施形態では、直線状の(真っ直ぐな)電極は、1000ミクロン以下、800ミクロン以下、600ミクロン以下、500ミクロン以下、450ミクロン以下、400ミクロン以下、375ミクロン以下、344ミクロン以下、325ミクロン以下、300ミクロン以下、275ミクロン以下、250ミクロン以下、225ミクロン以下、200ミクロン以下、175ミクロン以下、150ミクロン以下、または125ミクロン以下の長さを有する。上記の範囲の組み合わせも可能である(例えば、100ミクロン以上1000ミクロン以下、または300ミクロン以上400ミクロン以下)。その他の範囲も可能である。
【0130】
直線状で平行な電極は、実質的に同じ長さを有していてもよく(例えば、互いの5%、2%、または1%以内の長さの差を有していてもよい)、互いに異なる長さを有していてもよい。複数の直線状で平行な電極が異なる長さを有する電極を含む場合、このような電極のそれぞれは独立して、上述の範囲のうちの1つ以上の範囲にある長さを有していてもよい。
【0131】
いくつかの実施形態では、直線状の電極は、1ミクロン以上、1.5ミクロン以上、2ミクロン以上、2.5ミクロン以上、3ミクロン以上、3.5ミクロン以上、4ミクロン以上、4.5ミクロン以上、5ミクロン以上、5.5ミクロン以上、6ミクロン以上、6.5ミクロン以上、7ミクロン以上、7.5ミクロン以上、8ミクロン以上、9ミクロン以上、10ミクロン以上、15ミクロン以上、20ミクロン以上、50ミクロン以上、75ミクロン以上、100ミクロン以上、150ミクロン以上、200ミクロン以上、または250ミクロン以上の幅を有する。いくつかの実施形態では、直線状の電極は、300ミクロン以下、250ミクロン以下、200ミクロン以下、150ミクロン以下、100ミクロン以下、75ミクロン以下、50ミクロン以下、20ミクロン以下、15ミクロン以下、10ミクロン以下、9ミクロン以下、8ミクロン以下、7.5ミクロン以下、7ミクロン以下、6.5ミクロン以下、6ミクロン以下、5.5ミクロン以下、5ミクロン以下、4.5ミクロン以下、4ミクロン以下、3.5ミクロン以下、3ミクロン以下、2.5ミクロン以下、2ミクロン以下、または1.5ミクロン以下の幅を有する。上記の範囲の組み合わせも可能である(例えば、1ミクロン以上300ミクロン以下、または3ミクロン以上7ミクロン以下)。その他の範囲も可能である。
【0132】
直線状で平行な電極は、実質的に同じ幅を有していてもよいし(例えば、互いの5%、2%、または1%以内の幅の差を有していてもよい)、互いに異なる幅を有していてもよい。複数の直線状で平行な電極が異なる幅を有する電極を含む場合、そのような電極のそれぞれは独立して、上述の範囲のうちの1つ以上の範囲にある幅を有していてもよい。
【0133】
いくつかの実施形態では、直線状の電極は、0.05ミクロン以上、0.01ミクロン以上、0.02ミクロン以上、0.05ミクロン以上、0.075ミクロン以上、0.1ミクロン以上、0.15ミクロン以上、0.175ミクロン以上、0.2ミクロン、0.225ミクロン以上、0.25ミクロン以上、0.275ミクロン以上、0.3ミクロン以上、0.325ミクロン以上、0.35ミクロン以上、0.375ミクロン以上、0.4ミクロン以上、または0.45ミクロン以上の高さを有する。いくつかの実施形態では、直線状の電極は、0.5ミクロン以下、0.45ミクロン以下、0.4ミクロン以下、0.375ミクロン以下、0.35ミクロン以下、0.325ミクロン以下、0.3ミクロン以下、0.275ミクロン以下、0.25ミクロン、0.225ミクロン以下、0.2ミクロン以下、0.175ミクロン以下、0.15ミクロン以下、0.1ミクロン以下、0.075ミクロン以下、0.05ミクロン以下、0.02ミクロン以下、または0.01ミクロン以下の高さを有する。上記の範囲の組み合わせも可能である(例えば、0.05ミクロン以上0.5ミクロン以下、または0.15ミクロン以上0.35ミクロン以下)。その他の範囲も可能である。
【0134】
直線状で平行な電極は、実質的に同じ高さを有していてもよく(例えば、互いの5%、2%、または1%以内の高さの差を有していてもよい)、または、互いに異なる高さを有していてもよい。複数の直線状で平行な電極が異なる高さを有する電極を含む場合、そのような電極のそれぞれは独立して、上述の範囲のうちの1つ以上の範囲にある高さを有していてもよい。
【0135】
いくつかの実施形態では、直線状で平行な電極の間の距離は、1ミクロン以上、1.25ミクロン以上、1.5ミクロン以上、1.75ミクロン以上、2ミクロン以上、2.25ミクロン以上、2.5ミクロン以上、3ミクロン以上、3.5ミクロン以上、4ミクロン以上、5ミクロン以上、6ミクロン以上、7ミクロン以上、8ミクロン以上、8.5ミクロン以上、9ミクロン以上、9.25ミクロン以上、9.5ミクロン以上、9.75ミクロン以上、10ミクロン以上、10.5ミクロン以上、11ミクロン以上、11.5ミクロン以上、12ミクロン以上、12.5ミクロン以上、13ミクロン以上、13.5ミクロン、14ミクロン以上、15ミクロン以上、17.5ミクロン以上、20ミクロン以上、25ミクロン以上、30ミクロン以上、35ミクロン以上、または40ミクロン以上である。いくつかの実施形態では、直線状で平行な電極の間の距離は、50ミクロン以下、40ミクロン以下、35ミクロン以下、25ミクロン以下、20ミクロン以下、17.5ミクロン以下、15ミクロン以下、14ミクロン以下、13.5ミクロン以下、13ミクロン以下、12.5ミクロン以下、12ミクロン以下、11.5ミクロン以下、11ミクロン以下、10.5ミクロン以下、10ミクロン以下、9.75ミクロン以下、9.5ミクロン以下、9.25ミクロン以下、9ミクロン以下、8.5ミクロン以下、8ミクロン以下、7ミクロン以下、6ミクロン以下、5ミクロン以下、4ミクロン以下、3.5ミクロン以下、3ミクロン以下、2.5ミクロン以下、2.25ミクロン以下、2ミクロン以下、1.75ミクロン以下、1.5ミクロン以下、または1.25ミクロン以下である。上記の範囲の組み合わせも可能である(例えば、1ミクロン以上50ミクロン以下、1.5ミクロン以上12ミクロン以下、5ミクロン以上15ミクロン以下、または9ミクロン以上10ミクロン以下)。その他の範囲も可能である。
【0136】
最近接の直線状で平行な電極の複数の対では、電極間が実質的に同じ距離だけ空けられていてもよく(例えば、互いの5%、2%、または1%以内の距離の差だけ離されていてもよい)、または、互いに異なる距離だけ離されていてもよい。複数の直線状で平行な電極が、異なる距離だけ離された最近接電極からなる電極対を含む場合、最近接電極の距離のそれぞれは、独立して、上述の1つ以上の範囲にあってよい。
【0137】
いくつかの実施形態では、直線状で平行な2つの電極間の距離は、それらを電気的に連通させるナノワイヤの長さに比較的近くてもよい。いくつかの実施形態では、直線状で平行な2つの電極間の距離に対するナノワイヤの長さの比は、1以上、1.5以上、2以上、2.5以上、3以上、3.5以上、4以上、または4.5以上である。いくつかの実施形態では、直線状で平行な2つの電極間の距離に対するナノワイヤの長さの比は、5以下、4.5以下、4以下、3.5以下、3以下、2.5以下、2以下、または1.5以下である。また、上記範囲の組み合わせも可能である(例えば、1以上5以下)。その他の範囲も可能である。
【0138】
本明細書に記載される電極は、様々な好適な材料を含み、および/またはそのような材料から形成され得る。一例として、いくつかの実施形態では、本明細書に記載される1つ以上の電極は、金属を含み、および/または金属から形成される。好適な金属の非限定的な例としては、ニッケル、金、アルミニウム、チタン、およびプラチナが挙げられる。
【0139】
本明細書の他の箇所に記載されるように、いくつかの実施形態において、パッシベーション層は、電極表面の少なくとも一部に配置される。パッシベーション層が存在する場合、パッシベーション層は、様々な好適な厚さを有し得る。いくつかの実施形態では、電極上に配置されたパッシベーション層は、300nm以上、325nm以上、350nm以上、375nm以上、400nm以上、425nm以上、450nm以上、475nm以上、500nm以上、525nm以上、550nm以上、または575nm以上の厚さを有する。いくつかの実施形態では、電極上に配置されたパッシベーション層は、600nm以下、575nm以下、550nm以下、525nm以下、500nm以下、475nm以下、450nm以下、425nm以下、400nm以下、375nm以下、350nm以下、または325nm以下の厚さを有する。上記の範囲の組み合わせも可能である(例えば、300nm以上600nm以下)。その他の範囲も可能である。パッシベーション層の厚さは、エリプソメトリーによって決定されてもよい。
【0140】
本明細書に記載されるパッシベーション層は、様々な好適な材料を含み、および/または、そのような材料から形成され得る。一例として、いくつかの実施形態では、電極上に配置されたパッシベーション層は、ポリマーおよび/またはセラミックを含み、および/または、ポリマーおよび/またはセラミックから形成される。好適なそのような材料の非限定的な例としては、フォトレジスト(例えば、AZシリーズフォトレジスト、S1800シリーズフォトレジスト、SU8フォトレジスト、Futurrexフォトレジスト、ポリイミドフォトレジストポリイミドベースのフォトレジスト、)、窒化物(例えば、シリコンナイトライド)、酸化物(例えば、酸化シリコン)およびケイ酸塩(例えば、テトラエチルオルソシリケート)などが挙げられる。
【0141】
本明細書の他の箇所でも説明するように、いくつかの実施形態では、ワイヤボンディング組成物は、電極表面の少なくとも一部上に配置される。ワイヤボンディング組成物は、電極と1つ以上のワイヤ(例えば、電極をセンサの外部の環境と電気的に連通させるワイヤ)との結合を促進してもよい。好適なワイヤボンディング組成物は、チタンおよび/または金などの金属を含み、および/または、そのような金属から形成されていてもよい。
【0142】
本明細書の他の箇所で説明するように、いくつかのセンサは、1対以上の電極に加えて、さらなる電極を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、センサ内の複数対の電極のうちの1対以上の電極は、対象被分析物を検知するように構成されている。1対以上のさらなる電極もまた、被分析物を検知する以外の機能を提供するためにセンサに含まれる。このような電極については、以下でさらに詳細に説明する。
【0143】
いくつかの実施形態では、センサは、ウォーターゲート電極を備える。ウォーターゲート電極は、複数対の電極のうちの1対以上の電極が曝される流体の電位の調節を補助することができる。有利には、ウォーターゲート電極は、流体を、当該電極の対との流体の相互作用であって、流体中の1つ以上の被分析物に対するセンサの感度を高める相互作用を促進する電位にしてもよい。例として、ウォーターゲート電極は、流体を、その電荷感度(charge sensitivity)を向上させる電位にしてもよい。いくつかの実施形態では、ウォーターゲート電極が、検出されるべき被分析物を含む流体と直接接触しているときに、ウォーターゲート電極の有用性が高められる。したがって、いくつかの実施形態では、ウォーターゲート電極は、センサによって分析されるべき流体に直接接触するように構成され、および/または1つ以上の時点(例えば、センサの使用中)でセンサによって分析されるべき流体に直接接触するように構成されている。
【0144】
ウォーターゲート電極が存在する場合、ウォーターゲート電極は、様々な好適な構造を有し得る。いくつかの実施形態において、ウォーターゲート電極は、円形であり、および/または円形の断面を有する(例えば、円筒形であってもよい)。ウォーターゲート電極は、様々な好適な厚さを有してもよい。いくつかの実施形態では、ウォーターゲート電極は、100ミクロン以上、150ミクロン以上、200ミクロン以上、250ミクロン以上、300ミクロン以上、350ミクロン以上、400ミクロン以上、または450ミクロン以上の厚さを有する。いくつかの実施形態では、ウォーターゲート電極は、500ミクロン以下、450ミクロン以下、400ミクロン以下、350ミクロン以下、300ミクロン以下、250ミクロン以下、200ミクロン以下、または150ミクロン以下の厚さを有する。上記の範囲の組み合わせも可能である(例えば、100ミクロン以上500ミクロン以下)。その他の範囲も可能である。
【0145】
上に挙げられた値は、また、ウォーターゲート電極の平均厚さまたはウォーターゲート電極の厚さの中央値を独立して表し得ることが理解されるべきである。
【0146】
ウォーターゲート電極を形成するために、様々な好適な組成物が採用され得る。いくつかの実施形態では、ウォーターゲート電極は、銀、金、および/または白金を含む組成物を含み、および/またはそのような組成物から形成される。例えば、ウォーターゲート電極は、銀および/または塩化銀を含み、および/または、銀および/または塩化銀から形成されてもよい。いくつかの実施形態では、ウォーターゲート電極は、銀および塩化銀を含むエポキシインクおよび/またはペーストをプラズマエッチングされた基板に直接付与(塗布)することによって形成される。別の例として、ワイヤボンディングパッドとの電気的な連通を容易にするために、銀および塩化銀を含むエポキシインクおよび/またはペーストが、金を含む電極に付与(塗布)されてもよい。
【0147】
いくつかの実施形態では、センサは接地電極を備える。接地電極は、センサが曝される流体を電気的に接地するように構成されてもよい。これは、流体が過充電される可能性があるセンサにおいて有利である。接地電極は、接地線と電気的に連通していてもよい。いくつかの実施形態では、接地電極はまた、特定の条件下で(例えば、流体が過充電されたとき)、センサによって分析されるべき流体と電気的に連通するように構成される。これは、流体を接地電極に直接接触させることによって実現されてもよい。
【0148】
接地電極を形成するために、様々な好適な組成物が採用され得る。いくつかの実施形態では、接地電極は、金属を含み、および/または金属から形成される。例えば、接地電極は、金および/または白金を含み、および/または、金および/または白金から形成されてもよい。
【0149】
いくつかの実施形態では、センサは、バックゲート電極を備える。バックゲート電極は、1対の電極を電気的に連通させるナノワイヤの固体ゲーティング(solid state gating)を提供するように構成されてもよい。バックゲート電極の電位を変化させることで、例えば、ナノワイヤの導電率を変化させることができる。有利には、これにより、分析対象物に対するセンサの感度を変化させることができる。
【0150】
バックゲート電極を形成するために、様々な好適な組成物が採用され得る。いくつかの実施形態では、バックゲート電極は、金属または半導体を含み、および/または、金属または半導体から形成される。例えば、バックゲート電極は、金および/またはシリコン(例えば、ドープされたシリコン)を含み、および/または、それらから形成されてもよい。
【0151】
本明細書の他の箇所でも説明するように、いくつかの実施形態では、センサは、電気絶縁層を含む。電気絶縁層は、センサの1つ以上の部分を、その外部の環境との直接接触から隔離してもよい(例えば、センサが曝される流体から電極表面の1つ以上の部分を電気的に分離(絶縁)してもよい)。
【0152】
電気絶縁層が存在する場合、電気絶縁層は、様々な好適な厚さを有し得る。いくつかの実施形態では、電気絶縁層は、0.1ミクロン以上、0.2ミクロン以上、0.5ミクロン以上、0.75ミクロン以上、1ミクロン以上、1.1ミクロン以上、1.2ミクロン以上、1.3ミクロン以上、1.4ミクロン以上、1.5ミクロン以上、1.6ミクロン以上、1.7ミクロン以上、1.8ミクロン以上、1.9ミクロン以上、2ミクロン以上、2.1ミクロン以上、2.2ミクロン以上、2.5ミクロン以上、2.75ミクロン以上、3ミクロン以上、5ミクロン以上、10ミクロン以上、20ミクロン以上、50ミクロン以上、75ミクロン以上、100ミクロン以上、200ミクロン以上、500ミクロン以上、750ミクロン以上、または1000ミクロン以上の厚さを有してもよい。いくつかの実施形態では、電気絶縁層は、2,000ミクロン以下、1,000ミクロン以下、750ミクロン以下、500ミクロン以下、200ミクロン以下、100ミクロン以下、75ミクロン以下、50ミクロン以下、20ミクロン以下、10ミクロン以下、5ミクロン以下、3ミクロン以下、2.75ミクロン以下、2.5ミクロン以下、2.2ミクロン以下、2.1ミクロン以下、2ミクロン以下、1.9ミクロン以下、1.8ミクロン以下、1.7ミクロン以下、1.6ミクロン以下、1.5ミクロン以下、1.4ミクロン以下、1.3ミクロン以下、1.2ミクロン以下、1.1ミクロン以下、1ミクロン以下、0.75ミクロン以下、0.5ミクロン以下、または0.2ミクロン以下の厚さを有する。上記の範囲の組み合わせも可能である(例えば、0.1ミクロン以上200ミクロン以下、0.2ミクロン以上200ミクロン以下、1ミクロン以上2ミクロン以下、1.4ミクロン以上1.6ミクロン以下など)。その他の範囲も可能である。
【0153】
上に挙げられた値は、また、電気絶縁層の平均厚さまたは電気絶縁層の中央厚さ(厚さの中央値)を独立して表し得ることが理解されるべきである。
【0154】
いくつかの実施形態では、1対の電極の間および/または1対の電極内の1つの電極と参照電極(例えば、ウォーターゲート電極)との間のリーク電流が3×10-11A未満となるように、電気絶縁層が位置している。
【0155】
電気絶縁層が存在する場合、電気絶縁層は、フォトレジスト(例えば、AZシリーズフォトレジスト、S1800シリーズフォトレジスト、SU8フォトレジスト、Futurrexフォトレジスト)を含んでもよい。電気絶縁層の形成に好適に使用されるフォトレジストは、また、本明細書の他の箇所に記載されるフォトリソグラフィプロセス(例えば、電極、パッシベーション層、ワイヤボンディング組成物などを所望の位置に形成するために用いられる)を行うためにも好適であり得る。電気絶縁層での使用および/またはフォトリソグラフィに好適ないくつかのフォトレジストが、生体に適合し(例えば、いくつかの実施形態では、それに曝されたIgGなどの抗体は、ELISAによって決定される過剰な変性を受けない)および/または化学的に不活性である(例えば、いくつかの実施形態では、フォトレジストは、その後のセンサ製造工程の間、および/またはセンサによって分析される流体への曝露時に、水の接触角測定、光の回折、および/または厚さによって決定される疎水性の顕著な変化を受けない)ことも可能である。有利には、好適なフォトレジストは、接着促進剤の非存在下(例えば、ヘキサメチルジシランの非存在下)、センサの他の1つ以上の構成要素(例えば、表面層、電極、パッシベーション層)に容易に接着し得る。適切な接着は、センサの製造中および/または使用中に、フォトレジストが対応する構成要素から剥離しないような接着であってもよい。
【0156】
上述したように、いくつかの実施形態において、センサは基板を備える。センサの他の1つ以上の構成要素は、基板上に配置されてもよい。好適な基板の非限定的な例としては、シリコン、酸化シリコン、ガラス、石英、および/またはサファイアを含む基板が挙げられる。いくつかの実施形態では、基板は、上記材料の1つ以上を含むウエハ、および/または、上記材料の1つ以上から形成されたウエハであってもよい。基板は、比較的低い抵抗率を有していてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、センサは、0.005Ω・cm未満の抵抗率を有する基板上に配置される。
【0157】
また、上述したように、いくつかの実施形態では、表面層が基板上に配置されていてもよい。表面層は、その一部をエッチング除去することによって基準アライメントマークを形成することを可能にし、および/または、その上にさらなるセンサ構成要素を形成するための好適な表面を提供し得る。
【0158】
本明細書に記載される表面層は、様々な好適な厚さを有し得る。いくつかの実施形態では、表面層は、50nm以上、75nm以上、100nm以上、150nm以上、200nm以上、250nm以上、300nm以上、350nm以上、400nm以上、500nm以上、600nm以上、700nm以上、800nm以上、900nm以上、1ミクロン以上、1.25ミクロン以上、1.5ミクロン以上、または1.75ミクロン以上の厚さを有する。いくつかの実施形態では、表面層は、2ミクロン以下、1.75ミクロン以下、1.5ミクロン以下、1.25ミクロン以下、1ミクロン以下、900nm以下、800nm以下、700nm以下、600nm以下、500nm以下、400nm以下、350nm以下、300nm以下、250nm以下、200nm以下、150nm以下、100nm以下、または75nm以下の厚さを有する。上記の範囲の組み合わせも可能である(例えば、50nm以上2ミクロン以下、300nm以上1ミクロン以下、または300nm以上600nm以下)。その他の範囲も可能である。
【0159】
上に挙げられた値は、また、表面層の平均厚さまたは表面層の厚さの中央値を独立して表し得ることが理解されるべきである。
【0160】
本明細書に記載される表面層は、様々な好適な組成を有し得る。一例として、以下の種類の層の1つ以上が基板上に配置される。酸化物を含む層(例えば、湿式熱処理により形成された二酸化ケイ素を含む層および/または乾式熱処理により形成された二酸化ケイ素層、酸化アルミニウムを含む層、酸化ハフニウムを含む層、酸化ゲルマニウムを含む層)、および/または、窒化物を含む層(例えば、窒化珪素を含む層)。
【0161】
本明細書の他の箇所で説明するように、いくつかの実施形態では、複数のナノワイヤは、流体から基板上へ堆積される。このプロセスの更なる詳細を、以下に説明する。
【0162】
ナノワイヤは、様々な好適な流体から堆積され得る。一般に、ナノワイヤ以外の流体の成分は、比較的無毒であることが有利であり得る。また、センサに組み込まれないように設計された流体の成分(例えば、ナノワイヤ以外の成分および/またはナノワイヤとともに含まれる成分)が、その流体からナノワイヤが堆積される温度で比較的揮発性であることも有利であり得る。いくつかの実施形態では、流体は、有機溶媒および/または水などの液体を含む。有機溶媒は、アルコール(例えば、エタノール、イソプロパノール)および/またはアルカン(例えば、ヘキサン)であってもよい。いくつかの実施形態では、流体は、非イオン性界面活性剤(例えば、Tween20)などの界面活性剤をさらに含む。好適な流体の一例は、脱イオン水中に1wt%/volでTween20を含む流体である。
【0163】
ナノワイヤを堆積させるのに適した液体は、比較的低い沸点を有していてもよい。いくつかの実施形態では、液体は、120℃以下、115℃以下、110℃以下、105℃以下、100℃以下、95℃以下、90℃以下、85℃以下、80℃以下、75℃以下、70℃以下、65℃以下、60℃以下、または55℃以下の沸点を有する。いくつかの実施形態では、液体は、50℃以上、55℃以上、60℃以上、65℃以上、70℃以上、75℃以上、80℃以上、85℃以上、90℃以上、95℃以上、100℃以上、105℃以上、110℃以上、または115℃以上の沸点を有する。上記の範囲の組み合わせも可能である(例えば、120℃以下50℃以上、または、80℃以下50℃以上)。その他の範囲も可能である。液体の沸点は、蒸留によって決定され得る。
【0164】
いくつかの実施形態では、そこからナノワイヤが堆積される液体は、有利な値の比重を有する。例えば、比重は、0.7g/cm3以上、0.75g/cm3以上、0.8g/cm3以上、0.85g/cm3以上、0.9g/cm3以上、0.95g/cm3以上、1g/cm3以上、1.05g/cm3以上であってもよい。いくつかの実施形態では、比重は、1.1g/cm3以下、1.05g/cm3以下、1g/cm3以下、0.95g/cm3以下、0.9g/cm3以下、0.85g/cm3以下、0.8g/cm3以下、または0.75g/cm3以下であってもよい。上記の範囲を組み合わせることも可能である(例えば、0.75g/cm3以上および1.1g/cm3以下)。その他の範囲も可能である。
【0165】
複数のナノワイヤが流体から基板上に堆積されるとき、ナノワイヤは、様々な好適な態様で流体中に存在することができる。例えば、ナノワイヤは、流体中に懸濁していてもよく、および/または、流体の他の成分と共に(例えば、その中の任意の水、有機溶媒、および/または界面活性剤と共に)、コロイドを形成していてもよい。流体中のナノワイヤの濃度は、一般に、所望に応じて選択され得る。いくつかの実施形態では、流体は、420nmにおいてナノワイヤが0.45以上、0.46以上、0.47以上、0.48以上、0.49以上、0.5以上、0.51以上、0.52以上、0.53以上、または0.54以上の吸光度を有するような濃度でナノワイヤを含む。いくつかの実施形態では、流体は、420nmにおいてナノワイヤが0.55以下、0.54以下、0.53以下、0.52以下、0.51以下、0.5以下、0.49以下、0.48以下、0.47以下、または0.46以下の吸光度を有するような濃度でナノワイヤを含む。また、上記範囲の組み合わせも可能である(例えば、0.45以上0.55以下など)。その他の範囲も可能である。流体中のナノワイヤの吸光度は、分光光度計を用いて決定され得る。
【0166】
基板上に流体を堆積させる前に、流体は、その中に分散しているナノワイヤの均一性を高めるため、および/またはその中のナノワイヤの塊や凝集体を破壊するために、1つ以上の処理を受けてもよい。これは、例えば、流体を超音波処理することによって実現され得る。流体は、様々な好適な時間、超音波処理されてもよい。いくつかの実施形態では、ナノワイヤを含む流体は、1.5分以上、1.75分以上、2分以上、2.25分以上、2.5分以上、2.75分以上、3分以上、3.5分以上、4分以上、または4.5分以上超音波処理される。いくつかの実施形態では、ナノワイヤを含む流体は、5分以下、4.5分以下、4分以下、3.5分以下、3分以下、2.75分以下、2.5分以下、2.25分以下、2分以下、または1.75分以下超音波処理される。上記の範囲の組み合わせも可能である(例えば、1.5分以上5分以下)。その他の範囲も可能である。
【0167】
ナノワイヤを含む流体は、様々な好適な初期体積を有する分量(quantity)の流体から、そこからのナノワイヤを堆積させることができる。いくつかの実施形態では、上記分量の流体は、0.05マイクロリットル以上、0.075マイクロリットル以上、0.1マイクロリットル以上、0.125マイクロリットル以上、0.15マイクロリットル以上、0.175マイクロリットル以上、0.2マイクロリットル以上、0.225マイクロリットル以上、0.25マイクロリットル以上、0.275マイクロリットル以上、0.3マイクロリットル以上、0.35マイクロリットル以上、0.4マイクロリットル以上、0.5マイクロリットル以上、0.6マイクロリットル以上、または0.8マイクロリットル以上の初期体積を有する。いくつかの実施形態では、上記分量の流体は、1マイクロリットル以下、0.8マイクロリットル以下、0.6マイクロリットル以下、0.5マイクロリットル以下、0.4マイクロリットル以下、0.35マイクロリットル以下、0.3マイクロリットル以下、0.275マイクロリットル以下、0.25マイクロリットル以下、0.225マイクロリットル以下、0.2マイクロリットル以下、0.175マイクロリットル以下、0.15マイクロリットル以下、0.125マイクロリットル以下、0.1マイクロリットル以下、0.075マイクロリットル以下の初期体積を有する。上記の範囲の組み合わせも可能である(例えば、0.05マイクロリットル以上1マイクロリットル以下、0.1マイクロリットル以上1マイクロリットル以下、0.1マイクロリットル以上0.3マイクロリットル以下、または0.2マイクロリットル以上0.25マイクロリットル以下)。その他の範囲も可能である。
【0168】
本明細書の他の箇所に記載されているように、方法は、複数のナノワイヤを含む流体を基板上に吐き出して、基板上に配置されたある分量の流体を形成することと、流体の少なくとも一部を蒸発させることと、蒸発した流体の少なくとも一部を補充することとを含んでよい。本明細書で使用されるように、当該分量の流体の初期体積は、そこから蒸発した流体を補充する前の分量の流体の最大体積である。言い換えると、それは、流体が基板上に吐出されることによって完全に形成された後であり、かつ、その後に生じる蒸発の前の分量の流体の体積である。
【0169】
ナノワイヤを含む流体を表面から蒸発させる場合、様々な好適な時間にわたってそのようにすることができる。いくつかの実施形態では、0.05秒以上、0.075秒以上、0.1秒以上、0.125秒以上、0.15秒以上、0.175秒以上、0.2秒以上、0.225秒以上、0.25秒以上、0.275秒以上、0.3秒以上、0.325秒以上、0.35秒以上、0.375秒以上、0.4秒以上、0.45秒以上、0.5秒以上、0.55秒以上、0.6秒以上、0.8秒以上、1秒以上、1.5秒以上、2秒以上、2.5秒以上、3秒以上、または4秒以上の時間にわたって、ナノワイヤを含む流体を表面から蒸発させることができる。いくつかの実施形態では、5秒以下、4秒以下、3秒以下、2.5秒以下、2秒以下、1.5秒以下、1秒以下、0.8秒以下、0.6秒以下、0.55秒以下、0.5秒以下、0.45秒以下、0.4秒以下、0.375秒以下、0.35秒以下、0.325秒以下、0.3秒以下、0.275秒以下、0.25秒以下、0.225秒以下、0.2秒以下、0.175秒以下、0.15秒以下、0.125秒以下、0.1秒以下、または0.075秒以下の時間にわたって、ナノワイヤを含む流体を表面から蒸発させることができる。上記の範囲の組み合わせも可能である(例えば、0.05秒以上5秒以下、0.1秒以上0.5秒以下、または0.2秒以上0.3秒以下)。その他の範囲も可能である。
【0170】
基板から蒸発するとき、複数のナノワイヤを含む流体の接触角は、様々な好適な値を有し得る。いくつかの実施形態では、流体は、20°以上、25°以上、30°以上、35°以上、40°以上、45°以上、50°以上、55°以上、60°以上、65°以上、70°以上、75°以上、80°以上、または85°以上の接触角を有する。いくつかの実施形態では、流体は、90°以下、85°以下、80°以下、75°以下、70°以下、65°以下、60°以下、55°以下、50°以下、45°以下、40°以下、35°以下、30°以下、または25°以下の接触角を有する。上記の範囲の組み合わせも可能である(例えば、20°以上90°以下)。その他の範囲も可能である。接触角は、ゴニオメータを用いて測定され得る。
【0171】
ナノワイヤを含む流体の接触角は、それが蒸発するにつれて変化し得ることが理解されるべきである。従って、ナノワイヤを含む流体は、蒸発中の異なる時点で、独立して上述の範囲のうちの1つ以上の範囲にある接触角を有してもよく、および/または蒸発中の異なる時点で2つ以上の異なる範囲にある接触角を有してもよいことが理解されるべきである。例として、蒸発する流体は、上述の範囲のうちの1つ以上の範囲にある初期接触角(例えば、初期体積に関して上述した時点における接触角)、上述の範囲のうちの1つ以上の範囲にある蒸発中の1つ以上の時点における接触角、上述の範囲のうちの1つ以上の範囲にある補充中の1つ以上の時点における接触角、および/または上述の範囲のうちの1つ以上の範囲にある蒸発中および補充中の平均接触角を有してもよい。
【0172】
本明細書の他の箇所にも記載されているように、ナノワイヤを含む流体は、ノズルから基板上に堆積させることができる。ノズルは、流体の蒸発中および/または補充中、基板から様々な好適な距離に位置付けられてもよい。いくつかの実施形態では、ノズルは、基板から、0.01mm以上、0.015mm以上、0.02mm以上、0.025mm以上、0.03mm以上、0.035mm以上、0.04mm以上、0.045mm以上、0.0475mm以上、0.05mm以上、0.0525mm以上、0.055mm以上、0.0575mm以上、0.06mm以上、0.0625mm以上、0.065mm以上、0.07mm以上、0.08mm以上、0.09mm以上、0.1mm以上、0.125mm以上、0.15mm以上、0.175mm以上、0.2mm以上、または0.25mm以上の距離に位置付けられる。いくつかの実施形態では、ノズルは、基板から、0.3mm以下、0.25mm以下、0.2mm以下、0.175mm以下、0.15mm以下、0.125mm以下、0.1mm以下、0.09mm以下、0.08mm以下、0.07mm以下、0.065mm以下、0.0625mm以下、0.06mm以下、0.0575mm以下、0.055mm以下、0.0525mm以下、0.05mm以下、0.0475mm以下、0.045mm以下、0.04mm以下、0.035mm以下、0.03mm以下、0.025mm以下、0.02mm以下、または基板から0.015mm以下の距離に位置付けられる。上記の範囲の組み合わせも可能である(例えば、0.01mm以上0.3mm以下、0.01mm以上0.2mm以下、0.03mm以上0.1mm以下、または0.05mm以上0.06mm以下)。その他の範囲も可能である。
【0173】
流体が基板上に堆積されるとき、基板は、様々な好適な温度に保持されてもよい。いくつかの実施形態では、基板は、流体の蒸発を促進する温度で保持される(例えば、基板は加熱されてもよい)。基板の温度は、55℃以上、56℃以上、57℃以上、58℃以上、59℃以上、60℃以上、61℃以上、62℃以上、63℃以上、64℃以上、65℃以上、66℃以上、67℃以上、68℃以上、69℃以上、70℃以上、71℃以上、72℃以上、73℃以上、74℃以上、75℃以上、76℃以上、77℃以上、78℃以上、または79℃以上であってもよい。基板の温度は、80℃以下、79℃以下、78℃以下、77℃以下、76℃以下、75℃以下、74℃以下、73℃以下、72℃以下、71℃以下、70℃以下、69℃以下、68℃以下、67℃以下、66℃以下、65℃以下、64℃以下、63℃以下、62℃以下、61℃以下、60℃以下、59℃以下、58℃以下、57℃以下、または56℃以下であってもよい。上記の範囲の組み合わせも可能である(例えば、55℃以上80℃以下、60℃以上70℃以下、64℃以上66℃以下)。その他の範囲も可能である。基板の温度は、流体が堆積された基板の表面に位置する熱電対によって決定され得る。
【0174】
本明細書の他の箇所に記載されるように、いくつかの実施形態において、製造されているセンサは、電極とその中のナノワイヤとの間のオーミックコンタクトの形成を促進するために、製造中に加熱される。このプロセスの更なる詳細を、以下に説明する。
【0175】
いくつかの実施形態は、製造中のセンサを、380℃以上、382.5℃以上、385℃以上、387.5℃以上、390℃以上、392.5℃以上、395℃以上、397.5℃以上、400℃以上、または402.5℃以上の温度に曝すことを含んでもよい。いくつかの実施形態は、製造中のセンサを、405℃以下、402.5℃以下、400℃以下、397.5℃以下、395℃以下、392.5℃以下、390℃以下、387.5℃以下、385℃以下、または382.5℃以下の温度に曝すことを含んでもよい。上記の範囲の組み合わせも可能である(例えば、380℃以上400℃以下、または395℃以上405℃以下)。他の範囲も可能である。センサは、例えば、加熱炉、ラピッドサーマルアニーラ(高速熱アニーラ)、および/またはオーブンによって、上述の範囲のうちの1つ以上の範囲にある温度に曝されてもよい。
【0176】
製造中のセンサは、様々な好適な時間、高温に曝されてもよい。いくつかの実施形態では、センサは、1分以上、1.2分以上、1.4分以上、1.6分以上、1.7分以上、1.8分以上、1.9分以上、2分以上、2.1分以上、2.2分以上、2.3分以上、2.4分以上、2.6分以上、2.8分以上、3分以上、3.25分以上、3.5分以上、3.75分以上、4分以上、4.5分以上、5分以上、6分以上、または8分以上の時間、上述の範囲のうち1以上の範囲にある温度にさらされてもよい。いくつかの実施形態において、センサは、10分以下、8分以下、6分以下、5分以下、4.5分以下、4分以下、3.75分以下、3.5分以下、3.25分以下、3分以下、2.8分以下、2.6分以下、2.4分以下、2.3分以下、2.2分以下、2.1分以下、2分以下、1.9分以下、1.8分以下、1.7分以下、1.6分以下、1.4分以下、または1.2分以下の時間、上述の範囲のうち1以上の範囲にある温度にさらされてもよい。上記の範囲の組み合わせも可能である(例えば、1分以上10分以下、1.9分以上2.1分以下)。その他の範囲も可能である。
【0177】
前段落の値は、製造中のセンサが、上述の範囲のうちの1つ以上の範囲にある単一の温度に曝される時間を指してもよく、および/または、製造中のセンサが、上述の範囲のうちの1つ以上の範囲にある任意の温度に曝される時間(例えば、センサが380℃以上400℃以下の任意の温度にさらされる時間の総量)を指してもよいことが理解されるべきである。
【0178】
製造中のセンサが高温に曝されるとき、製造中のセンサはまた、その中の電極材料とその中のナノワイヤとの間のオーミックコンタクトの形成を促進する周囲環境にもさらされてもよい。一例として、センサは、高温と形成ガス(forming gas)に同時に曝されてもよい。形成ガスは、水素および窒素の混合物を含んでもよく、および/または、水素および窒素の混合物からなるものであっていてもよい。水素は、混合物の1wt%以上、2wt%以上、3wt%以上、4wt%以上、5wt%以上、6wt%以上、7wt%以上、8wt%以上、または9wt%以上を構成してもよい。水素は、混合物の10wt%以下、9wt%以下、8wt%以下、7wt%以下、6wt%以下、5wt%以下、4wt%以下、3wt%以下、または2wt%以下を構成してもよい。上記範囲の組み合わせも可能である(例えば、1wt%以上10wt%以下の水素)。その他の範囲も可能である。
【0179】
オーミックコンタクトの存在は、オン/オフ比に関して上述したIV曲線を生成するための技術に従ってIV曲線を生成することによって決定され得る。IV曲線が線形および/または実質的に線形である場合、オーミックコンタクトが形成されているとみなされる。
【0180】
いくつかの実施形態では、センサは、全体として、特に望ましい方法で1つまたは複数の対象被分析物を検知するように構成されてもよい。例えば、センサは、再現可能、予測可能、および/または観察可能な方法で比較的低レベルの被分析物に応答してもよい。いくつかの実施形態では、流体中の被分析物の濃度は、1対の電極を電気的に連通させているナノワイヤの等価表面電位の変化の大きさによって決定され得る。ナノワイヤの等価表面電位の変化は、1対の電極間の電流の変化を測定し、次に、測定された電流の変化をナノワイヤの相互コンダクタンスで割ることによって決定されてもよい。1対の電極間の電流の変化は、既知の印加電圧で、ピコアンメータを使用して測定され得る。ナノワイヤの相互コンダクタンスは、以下の方法で決定され得る。(1)1対の電極間に0.1Vの電位を印加すると同時に、ウォーターゲート電極に印加される電位を-0.5Vから0.5Vの間で変化させる。(2)1対の電極間の測定電流をウォーターゲート電極に印加される電位の関数としてプロットする。(3)このプロットの最大傾斜をナノワイヤの相互コンダクタンスとして特定する。
【0181】
いくつかの実施形態では、センサは、被分析物への曝露時に等価表面電位の変化を示し、この等価表面電位の変化は、0.005V以上、0.006V以上、0.007V以上、0.008V以上、0.009V以上、0.01V以上、0.015V以上、0.02V以上、0.025V以上、0.03V以上、0.04V以上、0.05V以上、0.06V以上、または0.08V以上の絶対値を有する。いくつかの実施形態では、センサは、被分析物への曝露時に等価表面電位の変化を示し、この等価表面電位の変化は、0.1V以下、0.08V以下、0.06V以下、0.05V以下、0.04V以下、0.03V以下、0.025V以下、0.02V以下、0.015V以下、0.01V以下、0.009V以下、0.008V以下、0.007V以下、または0.006V以下の絶対値を有する。上記の範囲の組み合わせも可能である(例えば、0.005V以上0.1V以下)。上記の範囲は、等価表面電位の正方向の変化を指してもよいし、または等価表面電位の負方向の変化を指してもよいことが理解されるべきである。したがって、好適な範囲のさらなる例としては、例えば、-0.005V以上0.005V以下、-0.01V以上0.01V以下、または、-0.1V以上0.1V以下が挙げられる。その他の範囲も可能である。
【0182】
本明細書の他の箇所に記載されるように、本明細書に記載されるセンサは、様々な流体中の様々な被分析物を検知するのに適していてもよい。いくつかの実施形態では、流体は、体液であり、および/または体液を含む。例えば、流体は、別の流体(例えば、ウイルス輸送媒体、緩衝塩溶液)中に再懸濁された体液(例えば、固体体液、粘性体液)を含んでいてもよい。センサは、ヒトの体液中および/またはヒト以外の動物の体液中の被分析物を検知するのに適していてもよい。好適な体液の非限定的な種類としては、血液の種類(例えば、静脈全血、毛細血管全血)、血液の成分(例えば、血漿、血清)、尿、唾液、涙、脳脊髄液、鼻汁(nasal secretions)、および/または鼻咽頭分泌液(nasopharyngeal secretions)が挙げられる。体液は、例えば、指刺し(finger stick)によって得ることができる。また、体液を、綿棒を用いた採取によって得ることも可能である。
【0183】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるセンサは、静電相互作用を介して流体中の被分析物を検知することができる。例として、帯電した被分析物は、ナノワイヤおよび/またはその上に配置されたブロッキング層に静電吸着(electrostatic attraction)され得る。この静電吸着により、被分析物は、ナノワイヤおよび/またはブロッキング層上に堆積され得る。いくつかの実施形態では、被分析物は、荷電生体高分子および/または荷電生体小分子などの荷電分子(帯電した分子)(charged molecule)である。好適な被分析物(例えば、荷電被分析物)の非限定的な例としては、タンパク質(例えば、GFAP、UCH-L1、S100β、ICH、NFL-1)、ペプチド、核酸(例えば、DNA、RNA、PNA)、脂質、炭水化物、小分子および上記の誘導体などが挙げられる。
【0184】
本明細書に記載されたセンサは、患者から得られた流体中に1つ以上の被分析物が存在するかまたは存在しないかに基づいて、患者の1つ以上の特徴を検出するのに適していてもよい。いくつかの方法は、この目的のために本明細書に記載されたセンサを採用することを含んでいてもよい。一例として、方法は、センサを流体にさらすことを含んでいてもよい。次いで、センサは、流体の1つ以上の特性(例えば、その中の被分析物の濃度および/または存在)を示すことができる1つ以上の特性(例えば、等価表面電位)の検出可能な変化を受けてもよい。いくつかの実施形態では、センサは、流体の1つ以上の特性を示す信号を出力してもよい(例えば、流体中のタンパク質などの被分析物の濃度および/または存在を示す、等価表面電位の検出可能な変化を出力してもよい)。
【0185】
検出され得る患者の特徴の一例は、患者が外傷性脳損傷(TBI)を受けたかどうかである。特定の理論に拘束されることを望むものではないが、TBIは、外部の機械的な力による脳への非変性、非先天性の損傷であり、おそらく認知機能、身体機能、および/または心理社会的機能の永久的または一時的な障害につながる可能性があると考えられている。また、TBIは意識の低下または変容を引き起こす可能性があると考えられている。TBIのような閉鎖性脳損傷は、頭蓋骨内の脳の前方、後方、および/または回転運動における急激な加速または減速により、脳組織および/または血管の打撲および/または裂傷が生じることによって引き起こされる場合がある。閉鎖性脳損傷の最も一般的な原因は、交通事故、転倒、スポーツ関連傷害であると考えられている。また、脳損傷は、自分自身や他の人によって引き起こされ得ると考えられている(例えば、揺さぶられっ子症候群の場合)。外傷性脳損傷の早期診断により、損傷の結果、頭蓋内出血が起こっていないことを早期に確認することができると考えられている。頭部に大きな外傷を受けた患者は、脳やその周辺に出血する危険性がある(例えば、頭蓋内出血、IHの発生など)。例えば、これは、事故、暴行、転倒などの後に救急外来に来院する患者にとって懸念事項となり得る。
【0186】
本明細書に記載のセンサが、患者がTBIを有するか否かを検知するために採用される場合、センサは、患者からの体液中(例えば、患者からの血清中)のTBIの1つ以上のバイオマーカーを検知するように構成されてもよい。特定の理論に拘束されることを望まないが、これらには、GFAP、UCH-L1、S100β、ICH、およびNFL-1が含まれると考えられる。
【0187】
<実施例1>
本実施例では、1対の電極が配置された電気絶縁層を形成するための例示的なプロセスについて説明する。同様のプロセスが、フォトレジストから他の層(例えば、パッシベーション層、1つ以上の構成要素を適切に位置付けるために1つの製造工程中に形成されるが、その後の製造工程中にセンサから除去される層)を形成するためにも採用され得ることが留意される。
【0188】
まず、基板およびその上に配置された構成要素が、フォトレジスト堆積のために準備される。これは、基板およびその上に配置された構成要素を溶剤で洗浄した後、基板を乾燥させることによって実現される。次に、基板およびその上に配置された構成要素は、残留する水分を除去するために加熱される。
【0189】
洗浄後、フォトレジストが、基板およびその上に配置された構成要素に塗布され、パターニングために準備される。SU-8 TF 6000.5(ネガ型フォトレジスト)が基板の直径の約50%を覆うように塗布された後、基板を回転させてフォトレジストを基板表面に行き渡らせる。次に、基板およびその上に配置された構成要素はソフトベークされ、冷却される。
【0190】
その後、フォトリソグラフィプロセスにより、フォトレジストの一部がパターニングされる。まず、フォトレジストの残存させたい部分が、フォトレジストが化学反応を起こす波長の光に曝露(露光)される。露光後、基板およびその上に配置された構成要素がベークされる。この間、フォトレジストの露光された部分のパターンの像が視認され得る。その後、基板およびその上に配置された構成要素がホットプレートから取り外され、冷却される。
【0191】
パターニング後、フォトレジストのパターニングされた部分が基板から剥離される。基板およびその上に配置された構成要素はSU-8現像液に浸される。この間、(例えば、オービタルシェーカーを使用して)穏やかに攪拌される。その後、ウエハおよびその上に配置された構成要素はSU-8現像液から取り出され、新しいSU-8現像液で噴霧および洗浄される。この後、基板およびその上に配置された構成要素は溶剤で洗浄され、乾燥される。
【0192】
次に、パターニングプロセスで露光されたが、その後の現像プロセスで除去されなかったフォトレジスト残渣が、酸素プラズマエッチングプロセスによって除去される。ウエハとその上に配置された構成要素は酸素プラズマに曝される。
【0193】
最後に、基板およびその上に配置された構成要素(露光されずに、基板上に配置されたままのフォトレジストを含む)をハードベークする。ハードベーク時間は、フォトレジストの剥離が確認された場合、上方または下方に調整され得る。
【0194】
<実施例2>
本実施例では、1対の電極上にワイヤボンディング組成物を配置するための例示的なプロセスを説明する。同様のプロセスが、フォトリソグラフィを利用して他の構成要素(例えば、電極、パッシベーション層)を形成するためにも採用され得ることが留意される。
【0195】
まず、フォトレジストが、基板およびその上に配置された構成要素に塗布され、パターニングのために準備される。AZ-5214E-IR(ポジ型フォトレジスト)が基板の直径の約50%を覆うように塗布された後、基板を回転させてフォトレジストを基板表面に行き渡らせる。次に、基板およびその上に配置された構成要素はソフトベークされ、冷却される。
【0196】
その後、フォトリソグラフィプロセスにより、フォトレジストの一部がパターニングされる。まず、フォトレジストの除去したい部分が、フォトレジストが化学反応を起こす波長の光に曝露(露光)される。
【0197】
パターニング後、フォトレジストのパターニングされた部分が基板から剥離される。基板およびその上に配置された構成要素はAZ400K現像液と脱イオン水の混合液に浸される。浸漬時間は、露光されたフォトレジストを除去できるように選択されるべきである。この後、基板およびその上に配置された構成要素は脱イオン水で洗浄され、乾燥される。最後に、基板およびその上に配置された構成要素は乾燥される。
【0198】
次に、フォトレジストの除去によって露出した電極の部分は、ワイヤボンディング組成物の堆積のために準備される。フッ化水素酸とフッ化アンモニウムとの比率が6:1の溶液に基板およびその上に配置された構成要素を10~20秒間浸漬することにより、電極表面からパッシベーション層を除去する。基板およびその上に配置された構成要素を上記溶液から取り出した後、基板およびその上に配置された構成要素は脱イオン水で洗浄され、乾燥され、次いで、残留する水分を除去するために加熱される。その後、基板およびその上に配置された構成要素は真空チャンバーに移される。
【0199】
真空チャンバー内に移されると、露出した電極表面にワイヤボンディング用組成物が堆積(蒸着)される。電子ビーム真空蒸着法が行われ、まず厚さが10nm±1nmのチタン層と厚さが250nm±25nmの金層を蒸着する。その後、基板およびその上に配置された構成要素をアセトン浴に1~3時間浸した後、アセトンで洗浄することにより、チタン層および金層のうち電極上に直接配置されていない部分が除去される。
【0200】
<実施例3>
本実施例では、ナノワイヤによって電気的な連通状態にある1対の電極を備えるセンサの使用について説明する。
【0201】
2つのセンサが形成された。1つのセンサは、シリコンナノワイヤを備え(センサA)、もう1つのセンサは、(3-アミノプロピル)トリエトキシシランで修飾された(官能化された)表面を有するシリコンナノワイヤを備える(センサB)。それぞれのセンサは、連続して減少する値のpHに曝され、その間に1対の電極間の電流が測定された。
図20~
図21は、この実験の結果を示す。両方の図から以下のことが明らかである。センサBは、ナノワイヤを通る電流を測定したとき、センサAと比較してpHの変化に対してより高い感度を示した(
図20に示すように)。しかしながら、2つのセンサは、pHに対する等価表面電位において同様の変動を示した(
図21に示すように)。センサBは、表面に-OH基と-NH
2基との両方が存在し、これらはpHの変化に伴ってプロトン化反応および脱プロトン化反応を起こすため、広い範囲のpH値に亘って、pH変化に対して線形応答を示したと考えられる。センサAは、純粋な酸化ケイ素と同様のpH変化に対する応答性を示したと考えられる。
【0202】
さらに2つのセンサが形成された。1つのセンサは、ナノワイヤの表面が抗S100β抗体で官能化された(functionalized)ナノワイヤを備え(センサC)、もう1つのセンサは、ナノワイヤの表面が抗DDK抗体で官能化されたナノワイヤを備える(センサD)。センサCおよびDは、まず未修飾の血漿に曝され、次に2.5ng/mLのレベルでS100βをスパイクした血漿に曝された。
図22は、両センサについての時間の関数としての等価表面電位を示す(センサは、260秒の時点でS100βスパイクされた血漿に曝された)。
図22から分かるように、センサCおよびDの両方は、スパイクされた血漿に曝されると等価表面電位の増加を示した。その後、センサCの等価表面電位は比較的一定であったが、センサDの等価表面電位は上昇し続けた。センサCの等価表面電位の初期の上昇は、曝された液体の組成が変化したためであり、その後等価表面電位が変化しなかったのは、特異的結合を有していないことを示すと考えられる。センサDの等価表面電位の経時的な上昇は、センサD内のナノワイヤへのS100βの継続的な特異的結合を示しており、等価表面電位の変化率は、S100βのナノワイヤへの結合定数とセンサDが曝された液体中のS100βの濃度とに直接依存すると考えられる。
【0203】
<実施例4>
本実施例では、官能化されたナノワイヤによって電気的な連通状態にある1対の電極を備えるセンサについて説明する。
【0204】
2つのタイプのセンサが形成された。第1のタイプのセンサは、抗SARS-CoV-2スパイクタンパク質抗体で官能化された表面を有するシリコンナノワイヤを備え(センサタイプE)、第2のセンサは、コントロール抗体で官能化された表面を有するシリコンナノワイヤを備える(センサタイプF)。各タイプのセンサは、様々なレベルの濃度でSARS-CoV-2スパイクタンパク質を含むヒト唾液に曝された。
図23は、これらのセンサの等価表面電位を、時間の関数として示す。
図23に示された測定が行われた期間の間、この等価表面電位の時間に対する変化は、SARS-CoV-2スパイクタンパク質がシリコンナノワイヤに結合する初期速度に比例すると考えられる。したがって、
図23から、センサタイプEのセンサでは、等価表面電位の時間変化がセンサを曝した流体中のSARS-CoV-2スパイクタンパク質の濃度によって変化したことが明らかである。これは、SARS-CoV-2スパイクタンパク質のシリコンナノワイヤへの結合速度が、センサを曝した流体中のSARS-CoV-2スパイクタンパク質の濃度に依存することを示す。一方、センサタイプFのセンサは、センサを曝した流体中のSARS-CoV-2スパイクタンパク質の濃度には比較的依存しない等価表面電位の時間変化を示した。これは、SARS-CoV-2スパイクタンパク質のシリコンナノワイヤへの結合がほとんど起こっていないことを示す。したがって、抗SARS-CoV-2スパイクタンパク質抗体で官能化された表面を有するセンサは、流体中のそのような抗体の存在を検出する、および/または、流体中のそのような抗体の濃度を決定するために採用され得ると考えられる。
【0205】
本発明のいくつかの実施形態が本明細書で説明および図示されたが、当業者であれば、本明細書に記載された機能を実行するため、および/または、本明細書に記載された結果および/または1以上の利点を得るための様々な他の手段および/または構造を容易に想定し、そのような変形および/または改変の各々は、本発明の範囲内にあるとみなされる。より一般的には、当業者は、本明細書に記載された全てのパラメータ、寸法、材料、および構成が例示的であることを意味し、実際のパラメータ、寸法、材料、および/または構成が、特定の用途、または本発明の教示が用いられる用途に依存することを容易に理解するであろう。当業者は、本明細書に記載される本発明の特定の実施形態に対する多くの等価物を認識するか、または日常的な実験以上のことを用いずに確認することができるであろう。したがって、前述の実施形態は例示としてのみ提示され、添付の特許請求の範囲およびその均等物の範囲内で、本発明は具体的に説明され、特許請求の範囲に記載されたものとは別の方法で実施され得ることが理解されるであろう。本発明は、本明細書に記載された個々の特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法に関する。さらに、そのような特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法が相互に矛盾しない場合、2つ以上のそのような特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法の任意の組み合わせが、本発明の範囲内に含まれる。
【0206】
本明細書で定義され使用されるすべての定義は、辞書の定義、参照により組み込まれる文書における定義、および/または定義された用語の通常の意味よりも支配的である(control over)と理解されるべきである。
【0207】
本明細書および特許請求の範囲で使用される不定冠詞「a」および「an」(1つの)は、明確に反対の指示がない限り、「少なくとも1つ」を意味すると理解されるべきである。
【0208】
本明細書および特許請求の範囲で使用される「および/または」という文言は、そのように等位接続された要素の「いずれかまたは両方」、すなわち、ある場合には合接して(conjunctively)存在し、他の場合には離接して(disjunctively)存在する要素を意味すると理解されるべきである。「および/または」で列挙された複数の要素は、同様に、すなわち、そのように等位接続された要素の「1つ以上」を指すと解釈されるべきである。「および/または」節によって具体的に特定された要素以外に、具体的に特定された要素に関連するか否かにかかわらず、他の要素が任意に存在することができる。したがって、非限定的な例として、「Aおよび/またはB」という表現は、「含む、備える、有する(comprising)」などのオープンエンドの言語と組み合わせて使用される場合、ある実施形態では、Aのみ(任意にB以外の要素を含む)、別の実施形態では、Bのみ(任意にA以外の要素を含む)、さらに別の実施形態では、AおよびBの両方(任意に他の要素を含む)などを指すことができる。
【0209】
本明細書および特許請求の範囲で使用されているように、「または」は、上記で定義された「および/または」と同じ意味を有すると理解されるべきである。例えば、リスト内の項目を区切る場合、「または」または「および/または」は、包括的であること、すなわち、複数の要素または要素のリストのうちの少なくとも1つの要素を含むが、1つよりも多い要素も含み、任意に、リストにない追加の項目も含むと解釈される。「の1つのみ」または「のまさに1つ」のような明確に反対を示す用語、または、特許請求の範囲で使用される場合の「からなる(consisting of)」は、複数の要素または要素のリストのうちのまさに1つの要素を含むことを指す。一般に、本明細書で使用される用語「または」は、「どちらか」、「の1つ」、「の1つのみ」、または「のまさに1つ」などの排他性の用語に先行される場合にのみ、排他的選択肢(すなわち「一方または他方であって両方ではない」)を示すものと解釈される。特許請求の範囲において使用される場合の「本質的にからなる」は、特許法の分野で使用される通常の意味を有する。
【0210】
本明細書および特許請求の範囲で使用されるように、1つ以上の要素のリストに関して、「少なくとも1つ」という文言は、要素のリスト内の任意の1つ以上の要素から選択される少なくとも1つの要素を意味すると理解すべきであるが、必ずしも要素のリスト内に具体的にリストされた各々および全ての要素の少なくとも1つを含む必要はなく、要素のリスト内の任意の要素の組み合わせを除外しないものと理解すべきである。また、この定義では、「少なくとも1つ」という文言が言及する要素のリスト内で具体的に特定された要素以外の要素が、具体的に特定された要素に関連するか否かにかかわらず、任意に存在することができる。したがって、非限定的な例として、「AおよびBの少なくとも1つ」(または、同義的に、「AまたはBの少なくとも1つ」、または、同義的に「Aおよび/またはBの少なくとも1つ」)は、ある実施形態において、Bが存在しない(および、任意にB以外の要素を含む)場合の、少なくとも1つの(任意に複数の)Aを指し、別の実施形態では、Aが存在しない(および任意にA以外の要素を含む)場合の、少なくとも1つの(任意に複数の)Bを指し、さらに別の実施形態では、少なくとも1つの(任意に複数の)Aおよび少なくとも1つ(任意に複数の)B(および任意に他の要素を含む)を指すことなどが可能である。
【0211】
また、明確に反対の指示がない限り、複数の工程または行為を含む本明細書で特許請求の範囲に記載の任意の方法において、方法の工程または行為の順序は、記載された方法の工程または行為の順序に必ずしも限定されないことが理解されるべきである。
【0212】
特許請求の範囲において、上記明細書と同様に、「含む(備える、有する)(comprising)」、「含む(including)」、「運ぶ(carrying)」、「有する(having)」、「含む(containing)」、「含む(involving)」、「保持する(holding)」、「からなる(composed of)」等のすべての移行句は、オープンエンド、すなわち、包含するがこれに限定されないという意味に理解される。移行句「からなる(consisting of)」および「から本質的になる(consisting essentially of)」のみは、米国特許庁特許審査手続要覧のセクション211.03に記載されているように、それぞれクローズドまたはセミクローズドの移行句である。