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特許7456668ワイセラ・シバリアWIKIM28を有効成分として含む癌の予防又は治療用薬学組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】ワイセラ・シバリアWIKIM28を有効成分として含む癌の予防又は治療用薬学組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/744 20150101AFI20240319BHJP
   A23K 10/16 20160101ALI20240319BHJP
   A23K 10/18 20160101ALI20240319BHJP
   A23L 33/135 20160101ALI20240319BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240319BHJP
   C12N 1/20 20060101ALN20240319BHJP
【FI】
A61K35/744 ZNA
A23K10/16
A23K10/18
A23L33/135
A61P35/00
C12N1/20 E
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022546683
(86)(22)【出願日】2021-01-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-30
(86)【国際出願番号】 KR2021001059
(87)【国際公開番号】W WO2021153980
(87)【国際公開日】2021-08-05
【審査請求日】2022-07-29
(31)【優先権主張番号】10-2020-0012144
(32)【優先日】2020-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0056138
(32)【優先日】2020-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【微生物の受託番号】KCCM  KCCM11879P
(73)【特許権者】
【識別番号】522304257
【氏名又は名称】リスキュア・バイオサイエンシーズ・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LISCURE BIOSCIENCES CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】(SAMPYEONG-DONG) 4F, 68, PANGYO-RO 255BEON-GIL, BUNDANG-GU, SEONGNAM-SI GYEONGGI-DO 13486, REPUBLIC OF KOREA
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】チン,ファ・スプ
【審査官】愛清 哲
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2010-0074928(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0054029(KR,A)
【文献】韓国登録特許第10-1667496(KR,B1)
【文献】特表2022-511893(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1834383(KR,B1)
【文献】Journal of Cancer Prevention,2014年,Vol.19, No.4,pp.253-258
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 35/66-35/768
A61P 35/00
A23L 33/00-33/29
A23K 10/00-10/40
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイセラ・シバリア(Weissella cibaria)WIKIM28(寄託番号KCCM11879P)又はその培養物を有効成分として含む癌の予防又は治療用医薬組成物であって、
前記癌は、肺癌、膵臓癌、膀胱癌、皮膚癌、又は、メラノーマである、癌の予防又は治療用医薬組成物
【請求項2】
前記ワイセラ・シバリアWIKIM28のDNAの配列は、配列番号1の核酸配列を有することを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物は、経口投与又は非経口投与の方法で投与可能であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記非経口投与の方法は、静脈内注入、皮下注入、筋肉注入、腹腔注入、皮内投与、局所投与、鼻内投与、肺内投与および直腸内投与である、請求項に記載の癌の予防又は治療用医薬組成物。
【請求項5】
前記ワイセラ・シバリアWIKIM28は、生菌又は死菌の形態であることを特徴とする、請求項1に記載の癌の予防又は治療用医薬組成物。
【請求項6】
前記培養物は、生菌培養物又は死菌上澄み液であることを特徴とする、請求項1に記載の癌の予防又は治療用医薬組成物。
【請求項7】
前記死菌は、前記ワイセラ・シバリアWIKIM28を25~37℃で4時間~48時間静置培養したことを特徴とする、請求項に記載の癌の予防又は治療用医薬組成物。
【請求項8】
ワイセラ・シバリア(Weissella cibaria)WIKIM28(寄託番号KCCM11879P)又はその培養物を有効成分として含む、癌の予防又は改善用食品組成物であって、
前記癌は、肺癌、膵臓癌、膀胱癌、皮膚癌、又は、メラノーマである、癌の予防又は改善用食品組成物
【請求項9】
前記食品は、健康機能食品である、請求項に記載の癌の予防又は改善用食品組成物。
【請求項10】
前記食品は、パン、餅、キャンディ、チョコレート、ガム、アイスクリーム、ミルク、チーズ、食肉加工品、魚肉加工品、キムチ、醤油、味噌、コチュジャン、チュンジャン、清麹醤、酢、ケチャップ、カレー、ドレッシング、飲料および発酵乳からなる群から選択されるいずれかの食品であることを特徴とする、請求項に記載の癌の予防又は改善用食品組成物。
【請求項11】
ワイセラ・シバリア(Weissella cibaria)WIKIM28(寄託番号KCCM11879P)又はその培養物を有効成分として含む、癌の予防又は改善用食品添加剤組成物であって、
前記癌は、肺癌、膵臓癌、膀胱癌、皮膚癌、又は、メラノーマである、癌の予防又は改善用食品添加剤組成物
【請求項12】
ワイセラ・シバリア(Weissella cibaria)WIKIM28(寄託番号KCCM11879P)又はその培養物を有効成分として含む、家畜における癌の予防又は改善用飼料組成物であって、
前記癌は、肺癌、膵臓癌、膀胱癌、皮膚癌、又は、メラノーマである、家畜における癌の予防又は改善用飼料組成物
【請求項13】
前記家畜は、豚、牛、馬、羊、ウサギ、ヤギ、ラット、ハムスター、モルモット、犬、猫、鶏、七面鳥、アヒル、ガチョウ、キジ、ウズラ、コイ、フナ、マスからなる群から選択されるいずれかである、請求項12に記載の家畜における癌の予防又は改善用飼料組成物。
【請求項14】
ワイセラ・シバリア(Weissella cibaria)WIKIM28(寄託番号KCCM11879P)又はその培養物を有効成分として含む、家畜における癌の予防又は改善用飼料添加剤組成物であって、
前記癌は、肺癌、膵臓癌、膀胱癌、皮膚癌、又は、メラノーマである、家畜における癌の予防又は改善用飼料添加剤組成物
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キムチから分離されたワイセラ・シバリアWIKIM28(Weissella cibaria WIKIM28、寄託番号KCCM11879P)を有効成分として含む癌の予防又は治療用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
癌は、世界的に高い死亡率を見せ、西欧社会では、心血管疾患の次に最も一般的な死亡原因である。特に、食生活が欧米化し、高脂肪食の摂取が一般化し、環境汚染物質の急激な増加、飲酒量の増加などにより大腸癌、乳癌、前立腺癌などが持続的に増加する傾向にあり、人口の高齢化に加え、喫煙人口の増加及び大気汚染による肺癌が増加しているのが実情である。このような実情から、癌の早期予防及び治療を可能にし、ヒトの健康増進、健康的な生活の質の向上、及び人類の保健健康増進に寄与することができる抗癌物質の創出が切実に求められている。
【0003】
一方、乳酸菌は、ヒトと動物の口腔、腸、膣、糞便、そしてキムチのような発酵食品などに広く分布しながら、ヒトと動物の健康と密接な関連がある。乳酸菌は整腸作用、有害菌の抑制、免疫調節、血中コレステロールの低下、抗癌など、様々な健康増進効果を示している。
【0004】
現在、韓国登録特許第10-2009742号において、ワイセラ・シバリア株の抗癌活性が開示されているが、大腸癌に対する予防又は治療効果についてのみ具体的な実施例が記載されているだけであり、これ以外の癌腫については、具体的な実験例や実施例が記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】韓国登録特許第10-2009742号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、ワイセラ・シバリア菌株を有効成分として含む癌の予防又は治療用薬学組成物を提供することである。
【0007】
また、本発明のもう一つの目的は、ワイセラ・シバリア菌株を有効成分として含む癌の予防、改善用食品組成物、又は食品添加剤組成物を提供することである。
【0008】
また、本発明のもう一つの目的は、ワイセラ・シバリア菌株を有効成分として含む癌の予防、改善用飼料組成物、又は飼料添加剤組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本発明者らは、韓国微生物保存センターに寄託されているワイセラ・シバリア株(Weissella cibaria、WIKIM28、寄託番号KCCM11879P)の分譲を受け、大腸癌以外の癌腫に対する予防及び治療効果を確認しようと努力した結果、他の癌腫に対する予防および治療効果を確認し、本発明を完成した。
【0010】
本発明は、ワイセラ・シバリアWIKIM28又はその培養物を有効成分として含む癌の予防又は治療用薬学組成物を提供する。
【0011】
また、本発明は、ワイセラ・シバリアWIKIM28(Weissella cibaria、WIKIM28、寄託番号KCCM11879P)又はその培養物を有効成分として含む癌の予防又は改善用食品組成物又は食品添加剤組成物を提供する。
【0012】
また、本発明は、ワイセラ・シバリアWIKIM28(Weissella cibaria、WIKIM28、寄託番号KCCM11879P)又はその培養物を有効成分として含む家畜の癌の予防、改善用飼料組成物、又は飼料添加剤組成物を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るワイセラ・シバリアWIKIM28は、従来の動物モデル及びヒトの癌細胞が移植された動物モデルにおいて優れた抗癌活性を示すので、ヒトや動物の癌の治療、予防、又は改善などの用途のための組成物として有用に用いられることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】非小細胞肺癌H1650およびA549細胞株に本発明による組成物を処理し、細胞生存アッセイ(cell viability assay)を測定したグラフを示す図である。
図2】膵臓癌AsPC-1細胞株に本発明による組成物を処理し、細胞生存アッセイ(cell viability assay)を測定したグラフを示す図である。
図3】膀胱癌T24細胞株に本発明による組成物を処理し、細胞生存アッセイ(cell viability assay)を測定したグラフを示す図である。
図4】メラノーマB16-F10、A375P、およびA375SM細胞株に本発明による組成物を処理し、細胞生存アッセイ(cell viability assay)を測定したグラフを示す図である。
図5】正常NIH/3T3細胞株にワイセラ・シバリアWIKIM28生菌体を処理し、細胞生存アッセイ(cell viabily assay)を測定したグラフを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、実施例を通して本発明をさらに詳しく説明する。これらの実施例は、唯一本発明をより具体的に説明するためのものであり、本発明の要旨に基づいて、本発明の範囲がこれらの実施例により制限されないことは当業界における通常の知識を有する者にとって自明なことであろう。
【0016】
本発明におけるワイセラ・シバリアWIKIM28(Weissella cibaria、WIKIM28、寄託番号KCCM11879P)又はその培養物を有効成分として含む組成物は、癌の予防又は治療効果を有し、医薬組成物として用いることができる。
【0017】
本発明におけるワイセラ・シバリアWIKIM28(Weissella cibaria、WIKIM28)は、キムチ由来の乳酸菌株である。ワイセラ・シバリアWIKIM28は、プロバイオティクスであり、乳酸菌の一般的な整腸効果および免疫増強効果を有する。ラクトバチルス属の乳酸菌が整腸効果及び免疫増強効果を有することは周知の事実である。
【0018】
前記ワイセラ・シバリアWIKIM28は、配列番号1(SEQ ID NO:1)の核酸配列を有することを特徴とする。
【0019】
前記ワイセラ・シバリアWIKIM28は、MRS液体培地に0.1~10%接種し、25~37℃で4時間~48時間培養して用いることができる。
【0020】
前記培養の方法は、静置培養方法が好ましいが、これに限定されるものではない。
【0021】
本発明において、「プロバイオティクス(probiotics)」とは、「ヒトを含む動物の消化管内で宿主の腸内微生物環境を改善し、宿主の健康に有益な影響を与える生きている微生物」という意味で理解される。プロバイオティクスは、プロバイオティクス活性を有する生きている微生物であって、単一又は複合菌株の形で、ヒトや動物に乾燥した細胞の形態や発酵産物の形態で供給される場合、宿主の腸内菌叢に有益な影響を及ぼすことができる。
【0022】
前記癌は、膀胱癌、乳癌、メラノーマ、甲状腺癌、副甲状腺癌、直腸癌、咽頭癌、喉頭癌、食道癌、膵臓癌、胃癌、舌癌、皮膚癌、脳腫瘍、子宮癌、胆嚢癌、口腔癌、結腸癌、肛門周囲癌、肝臓癌、肺癌、及び大腸癌からなる群から選択されるいずれかの癌であることができ、好ましくは、肺癌、膵臓癌、膀胱癌、皮膚癌、又は、メラノーマであることができるが、これらに限定されない。
【0023】
本発明に係る組成物に含まれるワイセラ・シバリアWIKIM28は、生菌体又は死菌体として存在することができ、また、乾燥又は凍結乾燥された形態で存在することもできる。様々な組成物内に含ませるのに適した乳酸菌の形態及び製剤化の方法は、当業者に広く知られている。
【0024】
前記組成物は、経口又は非経口投与することができる。非経口投与の場合には、静脈内注入、皮下注入、筋肉注入、腹腔注入、皮内投与、局所投与、鼻内投与、肺内投与、及び直腸内投与などで投与することができ、好ましくは静脈内注入方法で投与することができるが、これらに限定されない。
【0025】
前記組成物の適切な投与量は、製剤化方法、投与方式、患者の年齢、体重、性別、病態、食べ物、投与時間、投与経路、排泄速度、及び反応性などの要因に応じて多様に処方することができる。
【0026】
本発明の組成物が薬剤学的組成物に活用される場合、本発明の薬剤学的組成物は、前記の有効成分の外に、薬剤学的に適切で生理学的に許容される補助剤を用いて製造することができ、前記補助剤としては、賦形剤、崩壊剤、甘味料、結合剤、被覆剤、膨張剤、潤滑剤、滑沢剤又は香味剤などが用いられることができる。
【0027】
前記薬剤学的組成物は、投与のために、上述した有効成分に加えて、さらに薬剤学的に許容可能な担体を1種以上含んで薬剤学的組成物として好ましく製剤化することができる。
【0028】
例えば、錠剤又はカプセル剤の形態に製剤化するために、有効成分は、エタノール、グリセロール、水などのような経口、非毒性の薬剤学的に許容可能な不活性担体と結合することができる。また、所望する又は必要な場合、適合する結合剤、潤滑剤、崩壊剤、及び発色剤もまた混合物として含まれることができる。適合する結合剤は、これらに限定されるものではないが、澱粉、ゼラチン、グルコース又はベータ-ラクトースのような天然糖、トウモロコシ甘味料、アカシア、トラガント又はオレイン酸ナトリウムのような天然及び合成ガム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム等を含む。崩壊剤は、これらに限定されるものではないが、澱粉、メチルセルロース、アガー、ベントナイト、キサンタンガムなどが含まれる。液状溶液に製剤化される組成物において、許容可能な薬剤学的担体としては、滅菌及び生体に適したものとして、食塩水、滅菌水、リンゲル液、緩衝食塩水、アルブミン注射溶液、デキストロース溶液、マルトデキストリン溶液、グリセロール、エタノール、及びこれらの成分のうち1成分以上を混合して用いることができ、必要に応じて抗酸化剤、緩衝液、静菌剤など他の通常の添加剤を添加することができる。また、希釈剤、分散剤、界面活性剤、結合剤、及び潤滑剤を付加的に添加し、水溶液、懸濁液、乳濁液などのような注射用剤形、丸薬、カプセル、顆粒又は錠剤に製剤化することができる。
【0029】
さらに、当該分野の適切な方法として、Remington´s Pharmaceutical Science、Mack Publishing Company、Easton PAに開示されている方法を用いて、各疾患に応じて又は成分に応じて好ましく製剤化することができる。
【0030】
本発明のワイセラ・シバリアWIKIM28(Weissella cibaria, WIKIM28、寄託番号KCCM11879P)又はその培養物を有効成分として含む組成物は、癌の予防又は改善用食品組成物又は食品添加剤組成物として用いられることができる。
【0031】
前記食品組成物は、健康機能食品の形態であることができる。
【0032】
前記「健康機能食品」は、健康機能食品に関する法律に従って人体に有用な機能性を有する原料や成分を用いて製造し、加工した食品を意味(第3条第1号)し、「機能性」とは、人体の構造及び機能に対して栄養素を調整したり、生理学的作用などのような保健用途に有用な効果を得ること(同条第2号)を意味する。
【0033】
前記食品組成物は、食品添加物をさらに含むことができ、「食品添加物」としての適否は、他の規定がない限り、食品医薬品安全処にて承認された食品添加物公典の総則及び一般試験法等に従って当該品目に関する規格及び基準により判定する。
【0034】
前記「食品添加物公典」に収載された品目としては、例えば、ケトン類、グリシン、クエン酸カリウム、ニコチン酸、ケイ皮酸などの化学的合成品、カキ色素、カンゾウエキス、結晶セルロース、グアーガムなどの天然添加物、L-グルタミン酸ナトリウム製剤、麺類添加アルカリ剤、保存料製剤、タール色素製剤などの混合製剤類が挙げられる。
【0035】
本発明の有効成分が含まれた食品としては、パン、餅類、堅果類、キャンディ類、チョコレート類、チューインガム、ジャム類のような菓子類、アイスクリーム類、氷菓類、アイスクリーム粉末類のようなアイスクリーム製品類、牛乳類、低脂肪牛乳類、乳糖分解牛乳、加工乳類、ヤギ乳、発酵乳類、バター乳類、濃縮乳類、乳クリーム類、バター類、天然チーズ、加工チーズ、粉乳類、乳清類のような乳加工品類、食肉加工品、鶏卵加工品、ハンバーガーのような食肉製品類、練り物、ハム、ソーセージ、ベーコンなどの魚肉加工品のような魚肉製品類、ラーメン類、乾麺類、生麺類、揚げ麺類、糊化乾麺類、改良半生類、冷凍麺類、パスタ類のような麺類、果実飲料、野菜類飲料、炭酸飲料、豆乳類、ヨーグルトなどの乳酸菌飲料、混合飲料のような飲料、醤油、味噌、コチュジャン、春醤、納豆、混合醤油、酢、ソース類、トマトケチャップ、カレー、ドレッシングのような調味食品、マーガリン、ショートニング及びピザが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0036】
前記の他に、本発明の組成物は、種々の栄養剤、ビタミン、電解質、風味剤、着色剤、エフェクト酸及びその塩、アルギン酸及びその塩、有機酸、保護性コロイド増粘剤、pH調整剤、安定化剤、防腐剤、グリセリン、アルコール、炭酸飲料に用いられる炭酸化剤などを含むことができる。その他に本発明の組成物は、天然フルーツジュース、フルーツジュース飲料、及び野菜飲料を製造するための果肉を含むことができる。これらの成分は、独立して又は組み合わせて用いられることができる。
【0037】
本発明の有効成分を含む飲料組成物は、他の成分には特別な制限はなく、通常の飲料のように様々な香味剤又は天然炭水化物などを追加成分として含有することができる。上述した天然炭水化物の例は、単糖類(例えば、ブドウ糖、フルクトースなど); 二糖類(例えば、マルトース、スクロースなど); 及び多糖類(例えば、デキストリン、シクロデキストリンなど)のような通常の糖、及びキシリトール、ソルビトール、エリスリトールなどの糖アルコールである。上述したもの以外の香味剤として天然香味剤(ソーマチン、ステビア抽出物(例えば、レバウジオシドA、グリシルヒジンなど))、及び合成香味剤(サッカリン、アスパルテームなど)を有利に用いることができる。
【0038】
また、本発明のワイセラ・シバリアWIKIM28(Weissella cibaria, WIKIM28、寄託番号KCCM11879P)又はその培養物を有効成分として含む組成物は、家畜の癌の予防、改善用飼料組成物、又は飼料添加剤組成物として用いられることができる。
【0039】
前記組成物が飼料添加剤として製造される場合、前記組成物は20~90%の高濃縮液、粉末、又は顆粒の形態で製造することができる。前記の飼料添加剤は、クエン酸、フマル酸、アジピン酸、乳酸、リンゴ酸などの有機酸やリン酸ナトリウム、リン酸カリウム、酸性ピロリン酸、ポリリン酸塩(重合リン酸塩)などのリン酸塩や、ポリフェノール、カテキン、α-トコフェロール、ローズマリーエキス、ビタミンC、緑茶抽出物、甘草エキス、キトサン、タンニン酸、フィチン酸などの天然抗酸化剤のいずれか又は一つ以上をさらに含むことができる。飼料として製造される場合、前記組成物は、通常の飼料の形態で製剤化されることができ、通常の飼料成分を共に含むことができる。
【0040】
前記飼料及び飼料添加剤は、穀物、例えば、粉砕又は破砕された小麦、オーツ麦、大麦、トウモロコシ、及び米;植物性タンパク質飼料、例えば、菜の花、大豆、及びヒマワリを主成分とする飼料;動物性タンパク質飼料、例えば、血粉、肉骨粉、骨粉、及び魚粉;糖分及び乳製品、例えば、各種粉乳及び乳清粉末からなる乾燥成分などをさらに含むことができ、それ以外にも栄養補助食品剤、消化及び吸収向上剤、成長促進剤などをさらに含むことができる。
【0041】
前記飼料添加剤は、動物に単独で投与したり、食用担体中において他の飼料添加物と組み合わせて投与することもできる。また、前記飼料添加剤は、トップドレッシングとして、又はこれらの動物飼料に直接混合するか、又は飼料とは別途の経口剤形として、容易に動物に投与することができる。前記飼料添加剤を動物飼料とは別途に投与する場合、当該技術分野において周知のごとく、薬剤学的に許容可能な食用担体と組み合わせて、即時放出又は徐放性製剤で製造することができる。これらの食用担体は、固体又は液体、例えば、トウモロコシのでんぷん、ラクトース、スクロース、大豆フレーク、ピーナッツ油、オリーブ油、ゴマ油及びプロピレングリコールであることができる。固体担体が使用される場合、飼料添加物は錠剤、カプセル剤、散剤、トローチ又は含浸錠剤又は微分散性形態のトップドレッシングであることができる。液体担体が用いられる場合、飼料添加剤はゼラチン軟質カプセル剤、シロップ剤、懸濁液、エマルジョン剤、又は溶液剤の剤形であることができる。
【0042】
また、前記飼料及び飼料添加剤は補助剤、例えば、保存剤、安定化剤、湿潤剤、又は乳化剤、溶液促進剤などを含有することができる。前記の飼料添加剤は、浸漬、噴霧、又は混合し、動物の飼料に添加して用いられることができる。
【0043】
本発明の飼料又は飼料添加剤は、哺乳類、家禽及び魚類を含む多数の動物の食餌に適用することができる。
【0044】
前記哺乳類として豚、牛、馬、羊、ウサギ、ヤギ、実験用動物、及び 実験用のラット、ハムスター、モルモットだけでなく、愛玩動物(例:犬、猫)などに用いることができ、前記家禽として鶏、七面鳥、アヒル、ガチョウ、キジ、及びウズラなどにも用いることができ、前記魚類として、コイ、フナ、マスなどに用いられることができるが、これらに限定されるものではない。
【実施例
【0045】
実施例1.菌株の培養
【0046】
1-1.菌株および培養液の調製
分譲を受けたワイセラ・シバリアWIKIM28をMRS液体培地30mlに1%接種し、37℃で6時間静置培養した。培養後、3500rpmで10分間遠心分離し、培養液は除去し、菌体をPBS(リン酸緩衝生理食塩水:phosphate buffered saline)溶液で2回洗浄し、残っている培地成分を除去した。洗浄した菌体中の半分を細胞培養培地に入れ、37℃、5%CO培養器で4時間静置培養した後、培養液を0.22μmフィルターで濾過し、細胞に処理した。洗浄した菌体中の半分を細胞培養培地で希釈して生菌で処理した。
【0047】
1-2.死菌上澄み液の調製
分譲を受けたワイセラ・シバリアWIKIM28をMRS液体培地30mlに1%接種し、37℃で24時間静置培養した。培養後、3500rpmで10分間遠心分離し、培養液を除去し、菌体をPBS(phosphate buffered saline)溶液で2回洗浄し、残っている培地成分を除去した。菌体をPBS溶液に懸濁し、90℃で30分間熱処理した。熱処理後、菌体と菌体から溶出した細菌内物質を含有した上澄み液を遠心分離により分離した。上澄み液を0.22μmフィルターで濾過した後、細胞に処理した。
【0048】
実施例2.In vitro抗癌活性効能の分析
【0049】
2-1.細胞株の調製
ワイセラ・シバリアWIKIM28の抗癌活性効果を観察するために、Cell counting Kit-8を用いて細胞生存アッセイ(cell viability assay)を測定した。抗癌活性効能実験に用いられた細胞は、非小細胞肺癌H1650、A549細胞株、膵臓癌AsPC-1細胞株、膀胱癌T24細胞株、メラノーマB16-F10、A375P、A375SM細胞株、および正常細胞株であるNIH/3T3である。
【0050】
H1650、A549、AsPC-1、T24細胞株は、RPMI培地に、B16-F10、A375P、A375SM、NIH/3T3細胞株は、DMEM培地に10%FBS(胎児ウシ血清:fetal bovine serum)と1%抗生物質(ペニシリン/ストレプトマイシン:penicillin/streptomycin)を添加し、5%CO、37℃条件で継代培養し、成長期の細胞を用いて実験した。培養した細胞は、0.25%trypsin-EDTAを37℃のインキュベーターで3分間処理し、細胞を脱着した後、DPBSで2回洗浄した後、96ウェルプレートに80%コンフルエント(confluency)になるように調製した。
【0051】
2-2.細胞生存アッセイ(cell viability assay)の測定結果
本発明は、肺癌(2種)、膵臓癌(1種)、膀胱癌(1種)、メラノーマ(3種)細胞および正常細胞(1種)を培養した後、前記実施例1にて調製したワイセラ・シバリアWIKIM28菌体、生菌培養液又は死菌上澄み液を処理し、細胞生存(cell viability)を測定した。
【0052】
細胞生存アッセイ(cell viability)は、ワイセラ・シバリアWIKIM28菌体をMOI 50又は100、生菌培養液又は死菌上澄み液5%(v/v)を各細胞に処理した後、24、48、又は72時間培養しており、培養した後、Cell counting Kit-8試薬を処理し、吸光度(OD 450nm)を測定した。ワイセラ・シバリアWIKIM28菌体、培養液又は上澄み液を処理していない細胞の吸光度を100%基準で、ワイセラ・シバリアWIKIM28菌体、培養液又は上澄み液を処理した細胞の成長率を計算し、実験結果を下記に記載した。
【0053】
非小細胞肺癌H1650およびA549細胞株に前記実施例1にて調製したワイセラ・シバリアWIKIM28菌体、生菌培養液又は死菌上澄み液を処理し、細胞成長率を測定した結果を図1に示した。
【0054】
図1に示すように、ワイセラ・シバリアWIKIM28の菌体、生菌培養液又は上澄み液を処理した後、H1650細胞株の細胞増殖率がそれぞれ32.9%、66.8%、17.8%が減少することを確認し、A549細胞株の場合、ワイセラ・シバリアWIKIM28の菌体、生菌培養液又は死菌上澄み液により、細胞成長率がそれぞれ92.5%、65.3%、24.7%減少することを確認することにより、ワイセラ・シバリアWIKIM28株が肺癌に対して優れた抗癌活性効能を有することを確認することができる。
【0055】
また、膵臓癌AsPC-1細胞株に前記実施例1にて調製したワイセラ・シバリアWIKIM28菌体、生菌培養液又は死菌上澄み液を処理し、細胞成長率を測定した結果を図2に示した。
【0056】
図2に示すように、ワイセラ・シバリアWIKIM28の菌体、生菌培養液又は死菌上澄み液を処理した後、AsPC-1膵臓癌細胞株の細胞成長率が菌体、生菌培養液又は死菌上澄み液によりそれぞれ75.7%、33.7%、12.8%減少することを確認したことにより、ワイセラ・シバリアWIKIM28株が膵臓癌に対して優れた抗癌活性効能を有することを確認することができる。
【0057】
また、膀胱癌T24細胞株に前記実施例1にて調製したワイセラ・シバリアWIKIM28菌体、生菌培養液又は死菌上澄み液を処理し、細胞成長率を測定した結果を図3に示した。
【0058】
図3に示すように、ワイセラ・シバリアWIKIM28の菌体、生菌培養液又は死菌上澄み液を処理した後、膀胱癌T24細胞株の細胞成長率が菌体、生菌培養液又は死菌上澄み液によりそれぞれ61.2%、62.7%、20.5%減少することを確認したことにより、ワイセラ・シバリアWIKIM28株が膀胱癌に対して優れた抗癌活性効果を有することが確認することができる。
【0059】
また、メラノーマB16-F10、A375P、及びA375SM細胞株に前記実施例1にて調製したワイセラ・シバリアWIKIM28菌体、生菌培養液又は死菌上澄み液を処理し、細胞成長率を測定した結果を図4に示した。
【0060】
図4に示すように、ワイセラ・シバリアWIKIM28の菌体、生菌培養液又は死菌上澄み液を処理した後、細胞成長率結果を測定した。測定の結果、メラノーマB16-F10細胞株の場合、菌体又は生菌培養液により細胞成長率がそれぞれ84.5%、53.3%が減少し、A375P細胞株の場合、菌体、生菌培養液又は死菌上澄み液により細胞成長率がそれぞれ35.8%、70.4%、42.4%減少しており、A375SM細胞株の場合、菌体、生菌培養液又は死菌上澄み液により、細胞増殖率がそれぞれ24.9%、79.6%、37.2%減少することを確認した。
【0061】
前記の結果から、ワイセラ・シバリアWIKIM28株がメラノーマおよび皮膚癌に対して優れた抗癌活性効果を有することを確認することができる。
【0062】
前記実験に対比し、正常NIH/3T3細胞株に前記実施例1にて調製したワイセラ・シバリアWIKIM28菌体を処理し、細胞成長率を測定した結果を図5に示した。
【0063】
図5に示すように、ワイセラ・シバリアWIKIM28菌体を処理していない対照群に対する正常NIH/3T3細胞株の細胞成長率が75.9%増加することを確認することにより、正常細胞株に対しては毒性を示さないことが確認することができる。
【0064】
[受託番号]
寄託機関名:韓国微生物保存センター(国外)
受託番号:KCCM11879P
受託日:20151008
図1
図2
図3
図4
図5
【配列表】
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