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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】新規な細胞透過性ペプチド及びその用途
(51)【国際特許分類】
   C07K 7/08 20060101AFI20240319BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20240319BHJP
   C12N 15/62 20060101ALN20240319BHJP
【FI】
C07K7/08 ZNA
C07K19/00
C12N15/62 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022564549
(86)(22)【出願日】2020-04-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-02
(86)【国際出願番号】 KR2020005557
(87)【国際公開番号】W WO2021215568
(87)【国際公開日】2021-10-28
【審査請求日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】10-2020-0049621
(32)【優先日】2020-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】522413320
【氏名又は名称】イムニューラン・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム,ハン・ジョー
(72)【発明者】
【氏名】ソ,ミンア
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヨン・ホ
(72)【発明者】
【氏名】イ,ジェイ・チョル
(72)【発明者】
【氏名】イ,ヨナ
(72)【発明者】
【氏名】ナム,ジ・ヨン
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ホ・ジェイ
【審査官】大久保 元浩
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-522020(JP,A)
【文献】特表2009-527251(JP,A)
【文献】日薬理誌,2013年,141,P.220-221
【文献】J. PEPT. SCI.,2014年,20, P.760-784
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K
C12N
A61K
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式Iで表示されるアミノ酸からなる、細胞透過性ペプチドであって、配列番号1~12からなる群から選択されるいずれか1つのアミノ酸配列からなる、細胞透過性ペプチド。
[一般式I]
-X-...Xn-1-X
前記一般式Iにおいて、
n≧16であり、
は、His(H)及びXは、Leu(L)であり、
前記X及びXを除いたアミノ酸は、Gly(G)、His(H)、Glu(E)、Arg(R)、Lys(K)、Ser(S)、Asp(D)、Trp(W)、Val(V)、Thr(T)、Ala(A)、Asn(N)及びTyr(Y)からなる群から選択されるいずれか1つである。
【請求項2】
前記細胞は、血液脳関門内皮細胞(brain endothelial cell)、癌細胞、血液細胞(blood cell)、リンパ球(lymphocyte)、兔疫細胞、幹細胞、多能性幹細胞(induced pluripotent stem cell; iPSC)、神経幹細胞(neural stem cell; NSC)、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞(natural Killer cell; NK cell)、大食細胞(macrophage)、ミクログリア細胞(microglia)、神経細胞(neuron)、星状細胞(astrocyte)及び筋肉細胞(muscle cell)からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の細胞透過性ペプチド。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の細胞透過性ペプチド及び生物学的活性物質を含む、複合体であって、前記生物学的活性物質は、タンパク質又はペプチドである、複合体
【請求項4】
前記タンパク質又はペプチド、糖タンパク質、抗体(antibody)、酵素(enzyme)、核酸分解酵素(nuclease)、ホルモン、サイトカイン(cytokine)、転写因子(transcription factor)及び素からなる群から選択される1つ以上であることを特徴とする請求項3に記載の複合体。
【請求項5】
前記核酸分解酵素は、CAS9(CRISPR associated protein 9), CAS12, CAS13, CAS14, CAS variants, Cfp1(CxxC-finger protein-1), ZEN(Zinc-finger nucleases)及びTALEN(Transcription activator-like effector nuclease)からなる群から選択されることを特徴とする請求項4に記載の複合体。
【請求項6】
請求項3に記載の複合体を含む、生物学的活性物質を細胞に送達するための組成物であって、前記生物学的活性物質は、タンパク質又はペプチドである、組成物
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物学的活性物質を細胞内に伝達するための細胞内伝達技術に係り、さらに具体的に、細胞透過能に優れた新規な細胞透過性ペプチド及びその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
現在まで多様な低分子化合物、タンパク質、ペプチド、RNA、DNAなど高分子物質の細胞内伝達及びその応用のための研究が進められてきており、特にSOD、Catalase、SOCSのような酵素(enzyme)、dnPI3K、ZAP70突然変異のような細胞内信号伝逹タンパク質の阻害形態のタンパク質、Foxp3、RORgtのような転写因子タンパク質あるいは転写因子のDNA binding domain部分のように多様なタンパク質伝達を通じて細胞内機能を調節しようとする試みが進められてきた。また、シクロスポリンA(cyclosporin A)のような低分子化合物薬物を細胞内及び組織内に伝達して臓器及び細胞移植時に発生する拒絶反応を調節しようとする試み、乾癬のような自家免疫を調節しようとする試みが進められてきた。
【0003】
しかし、一般的に親水性であるか、分子量が大きく、巨大な物質は、細胞膜という障壁によって細胞内に入ることができない。細胞膜は、ペプチドやタンパク質、核酸のような巨大分子が細胞内に入ることを阻止し、細胞膜受容体によるエンドサイトーシス(endocytosis)という生理的メカニズムを通じて細胞内に入ってきても、細胞のリソソームコンパートメント(lysosomal compartment)と融合され、結局、分解されるので、前記巨大分子を用いた疾病の治療及び予防において多くの制約が伴う。また、抗癌剤の場合、細胞内に薬物を伝達するためには、多剤耐性(multidrug resistance)のような障害物を克服せねばならない。そこで、薬物分解を阻止するために多様な巨大分子及び薬物が含有された輸送体をエンドサイトーシス過程を介さず、直接細胞内に伝達する多くの方法が提示された。そのような方法には、マイクロ注入(microinjection)、電気穿孔法(electroporation)などがあるが、これは、細胞膜に損傷を与える可能性がある。さらに他の方法として、細胞透過性物質を用いる方法などがある。しかし、そのような方法を通じて細胞内に薬物を伝達したとしても、薬効を発揮するためには、特定の器官に移動されねばならない問題がある。
【0004】
したがって、前記のような限界点を克服し、安定性及び物質伝達効率を高める多様な薬物輸送体が多く研究開発されてきており、代表的に、リポソーム(liposome)とマイセル(micelle)がある。リポソームは、人工的なリン脂質輸送体であって、親油性及び親水性薬物をいずれも封入することができ、生体適合性物質なので、毒性がなく、薬物を外部環境から保護する。しかし、吸収が遅延され、分布の制限を受けて代謝率が低くなり、肝臓や脾臓の細胞に捕獲されて血液から迅速に除去される短所がある。マイセルは、薬物の溶解度及び生体利用率を高める特徴があるが、物質の細胞内への移動に係わる効果と基礎医学的及び臨床的適用可能性についてはまだ多くの研究が必要である。このような限界点のために、生体物質を生体内に効率よく伝達することができ、細胞毒性がなく、特にエンドサイトーシスを通じて入らない新規な製剤が必要である。
【0005】
そのような側面で、細胞透過性ペプチド(cell penetrating peptide)が新たな代案として注目されてきた。細胞透過性ペプチドは、一種の信号ペプチド(Signal Peptide)であって、タンパク質、DNA、RNAのような高分子物質を細胞内に伝達する目的で使用される一種の特定アミノ酸配列の組合わせであるペプチドである。例えば、HIVウイルスに由来するTATタンパク質に存在する11個アミノ酸配列が、β-ガラクトシダーゼ(β-galactosidase)(120kDa)タンパク質の細胞内及び組織内伝達が可能であるということを示した1990年代以降から、本格的に関連研究が進められた。ショウジョウバエのタンパク質に由来したアンテナペディア(Antennapedia(Penetratin))、HSV-1ウイルスに由来したVP22(Elliott, G. et al., Cell, 88:223, 1997)、シミアンウイルス40巨大抗原T(Simian Virus 40 large antigen T)に由来したPep-1が代表的な1世代細胞透過性ペプチドとされ、TATと共に多用されてきた。また、ポリアルギニン(poly Arginine)、ポリリシン(poly Lysine)のように単にアルギニン及びリシンのような陽イオン性アミノ酸が繰り返して複数個連結されたペプチドも細胞透過能に優れていると報告され、多様な物質伝達に応用されている。しかし、ほとんどの細胞透過性ペプチドは、免疫原性、毒性の可能性を内包しており、ヒト細胞に伝達する効能が落ちるとされている。したがって、毒性を誘発せず、生体内での安定性を持って効果的に物質を伝達することができる細胞透過性ペプチドの開発が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者らは、前記のような限界点を克服することができる新たな細胞透過性ペプチドの開発に鋭意研究した結果、従来の細胞透過性ペプチドよりも透過性に優れた新規ペプチドを設計及び合成し、前記ペプチドで2番目及び6番目位置のアミノ酸が細胞透過性を決定する重要なアミノ酸であることをin vitro 及びin vivoで実験的に確認したところ、これに基づいて本発明を完成した。
【0007】
そこで、本発明は、新規の細胞透過性ペプチドを提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明は、前記細胞透過性ペプチド及び生物学的活性物質を含む複合体を提供することを他の目的とする。
【0009】
また、本発明は、前記複合体を含む物質伝達用組成物及び前記組成物を細胞に処理する段階を含む物質伝達方法を提供することをさらに他の目的とする。
【0010】
しかし、本発明が解決しようとする技術的課題は、前述した課題に制限されず、言及されていないさらに他の課題は、下記の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記のような本発明の目的を達成するために、本発明は、一般式Iで表示されるアミノ酸からなる、細胞透過性ペプチドを提供する。
【0012】
[一般式I]
-X-...Xn-1-X
前記一般式Iにおいて、
n≧16であり、
は、His(H)及びXは、Leu(L)であり、
前記X及びXを除いたアミノ酸は、Gly(G)、His(H)、Glu(E)、Arg(R)、Lys(K)、Ser(S)、Asp(D)、Trp(W)、Val(V)、Thr(T)、Ala(A)、Asn(N)及びTyr(Y)からなる群から選択されるいずれか1つである。
【0013】
本発明の一実施形態として、前記一般式Iにおいて、nは、16でもある。
【0014】
本発明の他の実施形態として、前記細胞透過性ペプチドは、配列番号1ないし配列番号12からなる群から選択されるいずれか1つのアミノ酸配列からなってもいる。
【0015】
本発明のさらに他の実施形態として、前記細胞は、血液脳関門内皮細胞(brain endothelial cell)、癌細胞、血液細胞(blood cell)、リンパ球(lymphocyte)、兔疫細胞、幹細胞、多能性幹細胞(induced pluripotent stem cell; iPSC)、神経幹細胞(neural stem cell; NSC)、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞(natural Killer cell; NK cell)、大食細胞(macrophage)、ミクログリア細胞(microglia)、神経細胞(neuron)、星状細胞(astrocyte)及び筋肉細胞(muscle cell)からなる群から選択されるものでもある。
【0016】
また、本発明は、前記細胞透過性ペプチド及び生物学的活性物質を含む複合体を提供する。
【0017】
本発明の一実施形態として、前記生物学的活性物質は、化合物(chemical compound)、タンパク質、糖タンパク質、ペプチド、抗体(antibody)、酵素(enzyme)、核酸分解酵素(nuclease)、ホルモン、サイトカイン(cytokine)、転写因子(transcription factor)、毒素、核酸、炭水化物、脂質、糖脂質、天然物(natural product)、半合成物質(semi-synthetic drug)、薬物(drug)、マイクロ粒子、ナノ粒子、リポソーム、ウイルス、量子点(quantum dots)及び蛍光色素(fluorochrome)からなる群から選択される1つ以上のものでもある。
【0018】
本発明の他の実施形態として、前記核酸分解酵素は、CAS9(CRISPR associated protein 9), CAS12, CAS13, CAS14, CAS variants, Cfp1(CxxC-finger protein-1), ZEN(Zinc-finger nucleases)及びTALEN(Transcription activator-like effector nuclease)からなる群から選択されるものでもある。
【0019】
本発明の他の実施形態として、前記核酸は、DNA、RNA、ASO(Antisense oligonucleotide)、マイクロRNA(microRNA; miRNA)、小さい干渉RNA(small interfering RNA; siRNA)、アプタマー(aptamer)、LNA(locked nucleic acid)、PNA(peptide nucleic acid)及びモルフォリノ(morpholino)からなる群から選択されるものでもある。
【0020】
また、本発明は、前記複合体を含む物質伝達用組成物を提供する。
【0021】
また、本発明は、前記組成物を細胞に処理する段階を含む物質伝達方法を提供する。
【発明の効果】
【0022】
本発明では、新規な細胞透過性ペプチドを合成し、in vitro及びin vivoでその優秀な細胞透過能及び物質伝達効果を実験的に確認した。したがって、本発明による細胞透過性ペプチドは、生物学的活性を有する物質を、細胞、組織など生体内に効率よく伝達することができ、研究分野、多様な疾病の診断または治療分野などで有用に活用されうると期待される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】合成された12個ペプチドにFITCが連結された物質を4μM濃度で細胞に処理してin vitroで細胞透過性を検証した結果である。
図2A】本発明による細胞透過性ペプチドで2番目及び6番目アミノ酸が細胞透過性に与える影響を分析するために、表2のように前記2箇所のアミノ酸に単一突然変異を誘発した変異体ペプチドを用いてin vitro細胞透過性分析を実施した結果である。
図2B】本発明による細胞透過性ペプチドで2番目及び6番目アミノ酸が細胞透過性に与える影響を分析するために、表3のように前記2箇所のアミノ酸を含めて二重突然変異を誘発した変異体ペプチドを用いてin vitro細胞透過性分析を実施した結果である。
図3A】本発明の細胞透過性ペプチドのうち、代表的に配列番号1ペプチドにGFPタンパク質を結合させてペプチド融合体を製造した後、マウスの大脳皮質及び海馬組織への透過能及び物質伝達効果を分析した in vivo 蛍光イメージ結果である。
図3B】前記図3Aの蛍光イメージに対する定量結果を示す図面である。
図4】transpep-1-FITC及びangiopep-2-FITCを用いたフローサイトメトリー法を通じて当該技術分野に公知された細胞透過性ペプチドであるangiopep-2と、本発明によるtranspap-1の細胞透過性を比較分析した結果である。
図5A】本発明によるtranspap-1とangiopep-2のBBB透過度を比較分析するために、transpep-1-FITC及びangiopep-2-FITCをマウスに静脈投与し、5分後、2光子顕微鏡を通じてin vivo BBB透過度を分析した結果である。
図5B】前記図5Aにおいてtranspep-1-FITC及びangiopep-2-FITCをマウスに静脈投与し、10分後、2光子顕微鏡を通じてin vivo BBB透過度を分析した結果である。
図5C】前記図5Aにおいてtranspep-1-FITC及びangiopep-2-FITCをマウスに静脈投与し、30分後、2光子顕微鏡を通じてin vivo BBB透過度を分析した結果である。
図5D】前記図5Aにおいてtranspep-1-FITC及びangiopep-2-FITCをマウスに静脈投与し、60分後、2光子顕微鏡を通じてin vivo BBB透過度を分析した結果である。
図5E】前記図5Aにおいてtranspep-1-FITC及びangiopep-2-FITCをマウスに静脈投与し、90分後、2光子顕微鏡を通じてin vivo BBB透過度を分析した結果である。
図5F】前記図5Aないし図5Eのイメージング結果を定量化して示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、研究分野、多様な疾病の診断または治療分野などで有用に活用されうる細胞透過性ペプチドに係り、無制限の数のデザインに拡張可能な基本プラットホームペプチド構造に関するものである。
【0025】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0026】
本発明は、下記のような一般式Iで表されるアミノ酸からなる細胞透過性ペプチドを提供する。
【0027】
[一般式I]
-X-...Xn-1-X
前記一般式Iにおいて、
n≧16であり、
は、His(H)及びXは、Leu(L)であり、
前記X及びXを除いたアミノ酸は、Gly(G)、His(H)、Glu(E)、Arg(R)、Lys(K)、Ser(S)、Asp(D)、Trp(W)、Val(V)、Thr(T)、Ala(A)、Asn(N)及びTyr(Y)からなる群から選択されるいずれか1つである。
【0028】
本発明において、「細胞透過性」とは、ペプチドが細胞(膜)を透過して細胞内に取り込まれる能力または性質を意味する。
【0029】
本発明において、「ペプチド(peptide)」とは、アミノ酸の重合体であって、通常、少数のアミノ酸が連結された形態をペプチドと称し、多くのアミノ酸が連結されれば、タンパク質と称する。そのようなペプチド及びタンパク質構造において、アミノ酸どうしの連結は、アミド(amide)結合またはペプチド結合からなっている。ペプチド結合とは、カルボキシ基(-COOH)とアミノ基(-NH)との間で、水(HO)が除去され、-CO-NH-形態をなす結合である。
【0030】
本発明において、前記一般式Iで表される細胞透過性ペプチドは、N末端から2番目位置のアミノ酸は、His(H)及び6番目位置のアミノ酸は、Leu(L)が位置しつつ、1ないし16個の連続したアミノ酸配列を含むが、そのC末端には、前記細胞透過性ペプチドとしての効果を増大させうる多様なアミノ酸をさらに付け加えてもよい。
【0031】
さらに具体的に、本発明による細胞透過性ペプチドは、これに制限されるものではないが、配列番号1ないし配列番号12からなる群から選択されるいずれか1つのアミノ酸配列からなってもいる。この際、前記細胞透過性ペプチドは、前記配列番号1ないし12で表示されるアミノ酸配列と、それぞれ70%以上、望ましくは、80%以上、さらに望ましくは、90%以上、最も望ましくは、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上の配列相同性を有するアミノ酸配列を含んでもよい。
【0032】
本発明において、前記細胞透過性ペプチドが透過可能な細胞の種類としては、それに制限されるものではないが、血液脳関門内皮細胞(brain endothelial cell)、癌細胞、血液細胞(blood cell)、リンパ球(lymphocyte)、兔疫細胞、幹細胞、多能性幹細胞(induced pluripotent stem cell; iPSC)、神経幹細胞(neural stem cell; NSC)、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞(natural Killer cell; NK cell)、大食細胞(macrophage)、ミクログリア細胞(microglia)、神経細胞(neuron)、星状細胞(astrocyte)及び筋肉細胞(muscle cell)からなる群から選択されるいずれか1つでもある。
【0033】
本発明のペプチドは、当業者に知られた通常のペプチド合成方法あるいは製造方法を通じて各ペプチドの純度が90%以上になるように作製し、例えば、直接合成するか、ペプチド製造会社に製造を依頼した後、購入して使用することができる。前記ペプチドは、当業者に知られた通常のペプチド合成方法あるいは製造方法を通じて、D-formやL-form、配列のうち、一部だけD-formやL-formで構成されたペプチド、またはそれらのラセミ体形態にいずれも作製して使用されうる。また、ペプチドの安定性を高めるために、それ以外の当業界に公知された通常の変形が可能である。本発明において、望ましくは、固相ペプチド合成(Solid phase peptide synthesis)方法を用いてペプチドを合成したが、前述したようにペプチド合成方法及び条件が、それに制限されるものではない。
【0034】
本発明者らは、既知の人工の細胞透過性ペプチドまたは人体由来細胞透過性ドメインに係わる配列及び構造分析に係わる先行研究に基づいた多様な配列及び長さを有する細胞透過性ペプチドを設計及び合成した。その結果、優秀な細胞透過能及び物質伝達効果を示す配列番号1のアミノ酸配列からなる細胞透過性ペプチドを発掘し、これを「transpep-1」と名付けた。
【0035】
また、前記transpep-1ペプチドの3次元構造に基づいて配列番号1のアミノ酸配列で2番目及び6番目位置のアミノ酸が細胞透過性に重要な影響を与えると予想した。
【0036】
そのような仮説に基づいて、本発明者は、2番目及び/または6番目位置のアミノ酸を置換するか、残り位置のアミノ酸を置換した多様なペプチドを合成して細胞透過能を比較することで、前記仮説を立証した。
【0037】
さらに具体的に、本発明の一実施形態では、本発明によるプラットホームペプチド構造に相応する12個細胞透過性ペプチドを合成した後、その細胞透過性をin vitroで検証した結果、本発明によるプラットホームペプチド構造を満足する12個の細胞透過性ペプチドがいずれも優秀な細胞透過性を示すことを確認した(実施例2参照)。
【0038】
本発明のさらに他の実施例では、N末端から2番目及び/または6番目位置のアミノ酸を置換した単一または二重突然変異ペプチドを合成した後、in vitro細胞透過性分析を実施した。その結果、2番目及び6番目位置のアミノ酸が、単独で置換されるか、あるいは両方とも置換される場合、ペプチドの細胞透過性を顕著に減少させることを確認したところ、前記2箇所のアミノ酸が本発明による細胞透過性ペプチドの機能に重要であることを具体的に立証した(実施例3参照)。
【0039】
本発明のさらに他の実施例では、本発明による12個ペプチドの細胞透過性及び物質伝達効果をin vivoで検証するために、代表的に配列番号1のアミノ酸配列を有するペプチドに伝達物質(cargo)として蛍光タンパク質であるGFPを結合させて細胞透過性ペプチド-GFPを製造した(実施例4参照)。また、マウスにそれぞれ陰性対照群であるGFP及び細胞透過性ペプチド-GFPを尾静脈に注入し、24時間後、前記マウスから脳を摘出して大脳皮質及び海馬組織切片を作製した。前記切片を用いてIHCを遂行して蛍光イメージ及びその定量結果を分析した結果、本発明による細胞透過性ペプチドがin vivoでも優秀な細胞透過性があり、輸送体として効果的に物質を細胞内に輸送可能であることを確認した(実施例5参照)。
【0040】
本発明のさらに他の実施例では、当該技術分野で公知された細胞透過性ペプチドと本発明によるペプチドの細胞透過能を比較しようとした。そのために、公知された細胞透過性ペプチドであるangiopep-2を用いてangiopep-2-FITCを製造し、前記で製造したtranspep-1-FITCを用いてそれぞれin vitro細胞透過度分析及びin vivo BBB透過度分析実験を実施した。その結果、angiopep-2と比較して本発明による細胞透過性ペプチドが顕著に高い細胞透過性を有し、優秀な生体内安定性及び伝達効率を有することが分かった(実施例6参照)。
【0041】
前記実施例の結果から、本発明によるペプチドは、前記ペプチドと結合した任意の物質を細胞内に流入させうる輸送体として活用可能であることが分かる。
【0042】
そこで、本発明の他の態様として、本発明は、前記細胞透過性ペプチド及び生物学的活性物質を含む複合体を提供する。
【0043】
本発明において前記複合体は、ペプチドと物質とが単に混合(mixing)されたこと、ペプチドと物質とが混合されて形成されたこと、またはそれらが化学結合によって連結されるか、コンジュゲーションされて生成されたことを、いずれも含む。また、複合体は、物理的結合、化学的結合、共有結合、非共有結合、自己組立化によって連結されるか、媒介体を用いて統合または融合された形態に連結されうる。
【0044】
また、前記複合体は、前記ペプチドと生物学的活性物質が互いに融合(fusion)された状態に発現される複合体にもなる。例えば、1つのベクター内に前記ペプチドと生物学的活性物質を発現する遺伝子を挿入した後、前記ベクターによって生物を形質転換させ、ベクターに挿入された遺伝子を発現させれば、前記ペプチドと生物学的活性物質が融合タンパク質(fusion protein)として発現されうる。融合タンパク質として発現されるとき、前記ペプチドと生物学的活性物質との間に任意のリンカーが含まれる。
【0045】
また、本発明による複合体において、前記細胞透過性ペプチドは、生物学的活性物質を細胞内に効率的に伝達するために、単一または複数個が結合された形態をいずれも含み、伝達しようとする生物学的活性物質によって細胞透過性ペプチドの結合個数は、当業者に容易に選択または調節されうる。
【0046】
本発明において、細胞透過性ペプチドに結合されて複合体を形成することができる生物学的活性物質は、望ましくは「生物学的または薬剤学的活性を有する物質」を意味し、これは、細胞内(細胞質または核内)に透過されて生理活性調節に関与するか、薬理効果を発現すること、または運ばれて作用せねばならない細胞内、組織内、細胞間質、血液など多様な生体内部位でも生物学的活性を有する物質を意味する。例えば、それに制限されないが、化合物(chemical compound)、タンパク質、糖タンパク質、ペプチド抗体(antibody)、酵素(enzyme)、核酸分解酵素(nuclease)、ホルモン、サイトカイン(cytokine)、転写因子(transcription factor)、毒素、核酸、炭水化物、脂質、糖脂質、天然物(natural product)、半合成物質(semi-synthetic drug)、薬物(drug)、マイクロ粒子、ナノ粒子、リポソーム、ウイルス、量子点(quantum dots)、及び蛍光色素(fluorochrome)からなる群から選択される1つ以上のものでもある。
【0047】
前記核酸分解酵素は、CAS9(CRISPR associated protein 9), CAS12, CAS13, CAS14, CAS variants, Cfp1(CxxC-finger protein-1), ZEN(Zinc-finger nucleases)及びTALEN(Transcription activator-like effector nuclease)からなる群から選択されるものでもあるが、それらに制限されるものではない。
【0048】
前記核酸は、DNA、RNA、ASO(Antisense oligonucleotide)、マイクロRNA(microRNA; miRNA)、小さい干渉RNA(small interfering RNA; siRNA)、(アプタマー(aptamer)、LNA(locked nucleic acid)、PNA(peptide nucleic acid)、及びモルフォリノ(morpholino)からなる群から選択され、追加的に、decoy DNA, plasmid, shRNA、アンチセンスRNA、オリゴリボヌクレオチド、または転移RNA (transfer RNA)などを含んでもよいが、それらに制限されない。
【0049】
前記薬物(drug)は、化合物薬物(chemical drug)、バイオ薬物(biodrug)、核酸薬物(nucleic acid drug)、ペプチド薬物(peptide drug)、タンパク質薬物(protein drug)、天然物薬物(natural product drug)、ホルモン(hormone)、造影剤(contrast agent)及び抗体(antibody)からなる群から選択されうるが、それらに制限されるものではない。
【0050】
前記「バイオ薬物」は、(オリジナル)生物学的治療剤(biologics)及びバイオジェネリック(biogenerics)、バイオベター(biobetters)、バイオスペリア(biosuperiors)など多様なバイオ医薬品を意味する。前記バイオ薬物は、生物学的起源から製造、分泌または半合成された任意の薬物を意味し、ワクチン、血液製剤、抗原、細胞製剤、遺伝子治療剤、幹細胞などをいずれも含み、それらに制限されない。
【0051】
前記ナノ粒子は、酸化鉄、金、炭素ナノチューブ、及び磁気ビードからなる群から選択されるものでもあるが、それらに制限されない。
【0052】
本発明のさらに他の態様として、本発明は、前記複合体を有効成分として含む物質伝達用組成物を提供する。
【0053】
前記物質伝達用組成物は、生物学的活性物質を生体組織または血中に伝達させるか、細胞透過を促進させるために使用されうる。前記組成物は、生体組織を構成する細胞または細胞間連接を通じて伝達されうるが、伝達方式には制限がない。
【0054】
前記生体組織は、1つ以上の上皮組織、筋肉組織、神経組織、結合組織を意味し、各臓器は、1つ以上の組織からなるので、粘膜、皮膚、脳、肺臓、肝臓、腎臓、脾臓、心臓、胃腸、大腸、消化管、膀胱、尿管、尿道、卵巣、精巣、生殖器、筋肉、血液、血管、リンパ管、リンパ節、胸腺、膵膓、副腎、甲状腺、副甲状線、喉頭、扁桃、気管支、肺胞の多様な生体臓器が含まれうるが、それらに制限されない。
【0055】
前記複合体を特定の細胞、組織または臓器に伝達しようとする場合、前記生物学的活性を有する物質は、特定の細胞、組織または臓器で特異的に発現する受容体と選択的に結合可能なリガンドの細胞外部分タンパク質、またはそれらの受容体またはリガンドと特異的に結合可能な単一クローン抗体(mAb)及び変形された形態と結合して複合体を形成しうる。前記ペプチドと生物学的活性を有する物質の結合は、ヌクレオチドレベルで発現ベクターを用いたクローニング技法による間接的な連結によるか、あるいはペプチドと生物学的活性を有する物質との化学的または物理的共有結合または非共有結合による直接的な連結によるものでもある。
【0056】
本発明において、前記複合体を含む組成物が薬剤学的組成物に用いられる場合、前記組成物は、組成物の総重量に対して、前記有効成分を0.0001~50重量%含む。
【0057】
本発明の組成物は、前記有効成分にさらに同一か、あるいは類似した機能を示す有効成分を1種以上含む。
【0058】
本発明の組成物は、投与のために前記有効成分以外にさらに薬剤学的に許容可能な担体を1種以上含めて製造することができる。薬剤学的に許容可能な担体は、食塩水、滅菌水、リンゲル液、緩衝食塩水、 デキストロース溶液、マルトデキストリン溶液、グリセロール、エタノール、リポソーム及びそれら成分のうち、1成分以上を混合して使用し、必要によって、抗酸化剤、緩衝液、静菌剤など他の通常の添加剤を添加してもよい。また、希釈剤、分散剤、界面活性剤、結合剤及び潤滑剤をさらに添加して、水溶液、懸濁液、乳濁液のような注射用剤形、丸薬、カプセル、顆粒または精製によって製剤化することができ、標的器官に特異的に作用するように標的器官特異的抗体またはその他リガンドを前記担体と結合させて使用することができる。また、当該技術分野の適正な方法によって、またはレミントンの文献に開示されている方法を用いて、各疾患によって、または成分によって、望ましく製剤化することができる。
【0059】
前記複合体を有効成分として含む組成物は、静脈内(intravenous)、腹膜内(intraperitoneal)、筋肉内(intramuscular)、髄腔内(intrathecal)、脳室内(intracerebroventricular)、皮下内(subcutaneous)、皮内(intradermal)、鼻内(nasal)、粘膜内(mucosal)、吸入(inhalation)及び経口(oral)などの経路に注入することで、生体内に伝達することができる。投与量は、対象の体重、年齢、性別、健康状態、食餌、投与時間、投与方法、排泄率及び疾患の重症度などによって、その範囲が多様である。
【0060】
本発明のさらに他の態様として、本発明は、前記物質伝達用組成物を細胞に処理する段階を含む細胞内への物質伝達方法を提供する。
【0061】
本発明による物質伝達機能を有する細胞透過性ペプチドは、極小ペプチドなので、発生可能な活性物質に対する生物学的干渉を最小化することができる。
【0062】
以下、本発明の理解の一助とするために望ましい実施例を提示する。しかし、下記実施例は、単に本発明をさらに容易に理解するために提供されるものであって、下記実施例によって本発明の内容が限定されるものではない。
【実施例
【0063】
実施例1.細胞透過性ペプチド候補群の製造
1-1.細胞透過性ペプチド候補群の設計
本発明者らは、先行研究で従来の多くの細胞透過性ペプチドに対する分析結果に基づいて多様な配列及び長さを有する細胞透過性ペプチドを設計及び合成し、その細胞透過性を検証した。その結果、最も高い細胞透過性を示した配列番号1のアミノ酸配列からなる細胞透過性ペプチドを発掘し、それをtranspep-1と名付けた。
【0064】
さらに、本発明者らは、追加的に細胞透過性ペプチドを発掘するために、前記transpep-1配列で1個または2個アミノ酸を置換した11個ペプチド変異体を合成した。この際、前記transpep-1ペプチドの3次元的構造に基づいて2番目及び6番目アミノ酸が細胞透過性に影響を与えると予想され、前記2箇所のアミノ酸は、変形させず、残り位置のアミノ酸を変形させて細胞透過性ペプチド候補群を合成した。総合的に、本発明で合成した総12個ペプチド及びその配列を下記表1に示した。
【0065】
【表1】
【0066】
1-2.ペプチド候補群の合成及び分離精製
本発明者らは、前記実施例1-1に記載の各ペプチドを合成するために固相ペプチド合成(Solid phase peptide synthesis, SPPS)方法を用いた。前記方法は、レジンのN末端に、N末端がF-mocで保護されているアミノ酸のC末端を1つずつ結合する有機合成法である。全ての反応溶媒は、N,N-ジメチルホルムアミド (N,N-dimethylformamide, DMF)を利用し、アミノ酸のカップリングは、2M濃度のアミノ酸溶液を0.5MのN,N’-ジイソプロピルカルボジイミド(N,N′-Diisopropylcarbodiimide, DIC)1ml、1Mのエチルシアノ(ヒドロキシイミノ)アセテート(Ethyl cyano(hydroxyimino)acetate, Oxyma)0.5mlと混合してマイクロウエーブ合成機(Microwave synthesizer)で反応させて進めた。また、各アミノ酸配列ごとに反応時間、温度またはマイクロウエーブの電圧を異ならせてアミノ酸を製造した。この際、次のアミノ酸を合成するためには、以前アミノ酸のF-mocを除去せねばならないので、このために、80%DMFと20%ピペリジン(piperidine)溶液を使用して、F-moc保護基を、80℃で2分間2回デプロテクティング(deprotecting)させた。全てのカップリング過程及びデプロテクティング過程の間には、DMFと塩化メチレン(dichloromethane、DCM)を用いて互いに3回ずつ洗浄する過程を遂行した。
【0067】
前記方法を通じて合成されたペプチドに対して、追って細胞透過性を観察し、定量化するために、ペプチドのN末端にカルボキシ基(-COOH)を含む蛍光物質を化学的結合方法で連結する。この際、使用可能な前記蛍光物質としては、 FITC(Fluorescein-5-isothiocyanate)、シアニン3カルボン酸(Cyanine 3 carboxylic acid)、シアニン5カルボン酸(Cyanine5 carboxylic acid)、シアニン7カルボン酸(Cyanine 7 carboxylic acid)などがある。具体的に、前記のような蛍光物質のうち、本実施例では、FITCを合成されたペプチドに連結しようとした。そのために、まず固相のレジンに合成されたペプチドの最後のアミノ酸を合成した後、FITC:DIC:Oxyma:レジンを、2:2.5:4:1割合でよく混合させた後、前記レジンでの反応を常温で2時間進めるが、攪拌機(magnetic stirrer)を用いた。次いで、前記合成過程において、レジン色が黄色から濃黄色または橙色に変われば、DMFと塩化メチレンを互いに3回ずつ洗浄する過程を実施した。次いで、固状レジンからペプチド/FITCを分離するために、トリフルオロ酢酸(Trifluoroacetic acid; TFA):トリイソプロピルシラン(Triisopropylsilane; TIS):蒸溜水が95:2.5:2.5で混合されたクリーヴィジ溶液で合成済のレジンを攪拌機を用いて2時間反応させた後、石綿フィルタでレジンをろ過した。ろ過された溶液から、窒素気体下で、溶液を蒸発させ、沈殿物が発生すれば、保冷保管したジエチルエーテル(diethylether)で沈澱させた。沈澱されたペプチド/FITCは、真空状態で乾燥させた後、蒸溜水で溶かして凍結乾燥した。
【0068】
凍結乾燥されたペプチドは、蒸溜水やアセトニトリル(Acetonitrile、ACN)などで溶解させ、逆相高性能液体クロマトグラフィー(Reverse phase High-performance liquid chromatography)を使用して分離及び精製した。この際、前記HPLCの移動相溶媒としては、Solvent A(蒸溜水99.9%、TFA 0.1%)とSolvent B(蒸溜水9.9%、アセトニトリル90%、TFA 0.1%)を使用した。HPLC移動相は、Solvent A 90%とSolvent B 10%で開始し、Solvent Bを1%/min gradientに増加させつつ分離を進めた。次いで、分離されたペプチド溶液は、凍結乾燥して溶媒を除去した後、所望の溶媒に溶かして実験を進めた。
【0069】
実施例2.in vitro細胞透過性分析
本発明者らは、前記実施例1で合成した、総12個ペプチド候補群に対してin vitroで細胞透過性分析を実施した。具体的に、ヒト血液脳関門細胞であるhCMEC/D3細胞を96ウェルプレートに18,000cells/wellで分注し、細胞がプレート面積の80~90%に到逹するまで、上皮細胞成長培地である EGM(endothelial cell growth medium)で37℃、CO条件で一晩培養した。次いで、前記実施例1-2で製造したFITCが連結された12個候補群ペプチドと陰性対照群であるFITC単独を4μMで前記培地に希釈し、各ウェル当たり100μlずつ処理する量を製造した。次いで、細胞を培養したプレートで培養液を吸入(suction)して除去し、前記ペプチドを希釈し、予め製造した溶液を処理した後、2時間37℃、CO条件で培養した。次いで、各ウェルでペプチドを処理した溶液をいずれもsoakingして除去し、EGM100μlを添加して5~6回tappingした後、吸入して除去する過程を2回繰り返した。以後、Hoechst 33342をEGMに1:5000に希釈し、各ウェルに100μlずつ添加し、30分間37℃、CO条件で培養した。培養後、Cytation 5装備でDAPIとGFP蛍光をイメージリーディング(image reading)した後、映像処理してDAPIで細胞核を区画した。次いで、細胞核周辺20μMのFITC値を測定し、DAPIで割ってMean-FITC値を求め、FITC実験群を陰性対照群として補正して血液脳関門細胞に対する透過度を計算した。
【0070】
その結果、図1に示されたように、FITCが連結された各ペプチドを4μM濃度で処理した場合において、FITC蛍光を通じて前記12個ペプチドがいずれも細胞透過性を有することを確認した。
【0071】
実施例3.細胞透過性に重要なアミノ酸位置検証
本発明者らは、前記実施例1で説明したように、前記transpep-1細胞透過性ペプチドにおいて2番目(AA2)及び6番目(AA6)アミノ酸残基が細胞透過性に重要な影響を与えると予想したところ、それを検証するために、下記のような実験を進めた。
【0072】
そのために、まず、前記transpep-1ペプチドの2番目アミノ酸であるヒスチジン(Histidine; H)または6番目アミノ酸であるロイシン(Leucine;L)を下記表2に示されたように、それぞれアラニン(Alaninen;A)、またはアルギニン(Arginine;R)とバリン(Valine;V)でそれぞれ置換した単一突然変異ペプチドを合成し、前記実施例2と同様の方法で細胞透過性を分析した。
【0073】
【表2】
【0074】
その結果、図2Aに示されたように、前記実施例2において細胞透過性を有すると確認されたtranspep-1と比較するとき、2番目または6番目アミノ酸残基が変異された4個の変異体ペプチドの場合には、細胞透過性が顕著に減少したことを確認した。
【0075】
また、前記2個アミノ酸残基の重要性をさらに確認するために、下記表3のように前記2番目及び6番目アミノ酸がいずれもアラニンで置換されたペプチドを合成し、これに付け加えて、前記実施例1で合成した細胞透過性が確認された表1の2、3、及び4番ペプチドにおいて2番目または6番目アミノ酸を共にアラニンで置換させ、二重突然変異を誘発した変異体ペプチドを合成して前記と同じ実験を進めた。
【0076】
【表3】
【0077】
その結果、図2Bに示されたように、二重突然変異を誘発させた7個の変異体ペプチドいずれもで細胞透過性が顕著に減少したと示された。そのような結果から、本発明の細胞透過性ペプチドで2番目位置のヒスチジンと6番目位置のロイシンが細胞透過性を決定する重要な残基であることが分かった。
【0078】
実施例4.蛍光タンパク質であるGFPが結合された細胞透過性ペプチドの製造
本発明者らは、下記in vivo細胞透過性分析において本発明による細胞透過性ペプチドの体内組織への伝達をイメージングし、そのcargo輸送体としての機能を検証するために、蛍光を帯びるタンパク質であるGFP(Green Fluorescence Protein)を、本発明の細胞透過性ペプチドに結合させて細胞透過性ペプチド-GFPを製造しようとした。GFPは、代表的な蛍光タンパク質であって、27kDaの大きさを有し、395nmと475nmで励起ピーク(emission peak)を有し、509nmで放出ピーク(emission peak)を有する。
【0079】
具体的に、細胞透過性ペプチド-GFPを製造するために、GFPのC末端にポリヌクレオチド酵素を用いて配列番号1のtranspep-1ペプチド配列を挿入し、それを鋳型としてN末端、C末端に結合するプライマーをデザインした。それをPCRで増幅させた後、pET28a発現ベクターに挿入して細胞透過性ペプチド-GFPタンパク質の組換え発現ベクターを製造した。前記組換え発現ベクターでE.Coli BL21(DE3)を形質転換させた後、O.D.値が0.5になるまでE.Coliを培養した後、1mMの濃度でIPTGを添加して細胞透過性ペプチド-GFPタンパク質の発現を誘導した。その後、SDS-PAGEを遂行し、前記タンパク質の発現レベルを確認し、それを、Hisタグ(His-tag)アフィニティークロマトグラフィーを用いてタンパク質を分離及び精製した。
【0080】
実施例5.in vivo細胞透過性分析
本発明者らは、本発明による細胞透過性ペプチドに対してin vivoで細胞透過性を検証しようとした。
【0081】
このために、前記12個ペプチドのうち、代表的にtranspep-1を用いて下記のような実験を進めた。具体的に、前記実施例4に記載の方法で製造した細胞透過性ペプチド-GFPまたは陰性対照群であるGFPを500μMの濃度でPBSに希釈して100μlの量をC57BL/6マウスの尾静脈を通じて注射(tail vein, i.v. injection)した。24時間後、ゾレチル(zoletyl)を0.625ml/kgの容量で腹腔注射(i.p.injection)してマウスを麻酔させた後、トーピンチテスト(toe-pinch test)を実施して完全な麻酔状態を確認した。次いで、心房灌流を通じて生理食塩水30mlを3ml/minの速度で灌流して体内で血液を除去し、4%パラホルムアルデヒド溶液(Paraformaldehyde solution)30mlを3ml/minの速度で灌流して組織を固定した。固定されたマウスの頭蓋骨から脳を摘出した後、4℃の4%パラホルムアルデヒド溶液に24時間、後固定(post-fixation)を実施した。以後、準備された組織の切片作製時、細胞の損傷を防止するために、30% サッカロース溶液(Sucrose solution)に脳組織を移して4℃で48時間、組織内の溶液を置換した。脳組織に残っているサッカロース溶液を除去した後、組織をOptimal cutting temperature compoundを使用して急速冷凍した後、凍結切片器(Cryomicrotome)を用いて50μmの組織切片を作製した。
【0082】
前記方法によって作製された組織切片を用いてGFPタンパク質に対する免疫組織化学染色(Immunohistochemistry, IHC)を実施するために、まず4℃で100%メタノール溶液に組織切片を10分間浸漬しておき、PBSで5分間2回洗浄を繰り返した。洗浄後、ブロッキング溶液(CAS blocking solution)で組織を覆って常温で1時間培養した後、ブロッキング溶液を除去した。次いで、抗体反応を誘導するために、1次抗体であるRabbit anti-GFPを1:200でPBSに希釈した後、準備された組織を覆って4℃で24時間培養し、PBSで5分間洗浄する作業を3回繰り返した後、Goat anti-Rabbit IgG/Alexa488 2次抗体を1:200でPBSに希釈した後、1次反応済の組織を覆って2時間常温で培養し、PBSで5分間洗浄する作業を2回繰り返した。
【0083】
一方、細胞核を染色するために、DAPI溶液を1:400でPBSに希釈した後、組織を覆って10分間常温で培養した後、PBSで5分間洗浄する作業を2回繰り返した。免疫組織化学染色実験が終了した組織は、イメージングのためにマウンティング溶液(mounting solution)で組織を封入し、カバーガラスを覆った後、カバーガラスの周囲をマニキュア(nail polish)で密封し、30分間乾燥させた。カバーガラスにマウンティングされた脳組織は、共焦点顕微鏡を用いて伝達されたGFP及び細胞核を映像化し、分析のための組織の映像獲得範囲は、大脳皮質(Cerebral cortex)及び海馬(Hippocampus)が含まれうる範囲で20倍率のレンズを用いて獲得した。また、共焦点顕微鏡を用いて獲得した映像は、2.5mm×2.5mm×40μmの範囲(Field of view, FOV)で0.38μm×0.38μm×2.99μm(width×height×depth)の解像度で撮影した。獲得した映像の定量化は、FOVの範囲で映像の損失がある部分を切り取り(cropping)、ガウシアンフィルタ(Gaussian filter)を通じて信号対雑音比(signal-to-noise ratio, SNR)を増加させる前処理(Pre-processing)過程を経た。前処理された映像を用いて大脳皮質部及び海馬領域でのGFPを定量するために、DAPIで染色された細胞核部分を基準に皮質領域及び海馬領域を分けて区画化(Parcellation)して組織内の皮質、海馬領域のATLASを作製した後、GFPの蛍光強度を測定して免疫反応(Immunoreactivity)程度を示した。
【0084】
実験結果、図3Aのイメージ結果から分かるように、ペプチドなしにGFPのみ注入した対照群の場合には、大脳皮質及び海馬組織で緑色蛍光が観察されておらず、一方、細胞透過性ペプチド-GFPを注入した場合には、対照群と比較して大脳皮質及び海馬組織で緑色蛍光が明確に観察されることを確認した。図3Bの定量結果を通じて細胞透過性ペプチド-GFPを注射した場合、GFPにのみ注射したときより、大脳皮質で約2.2倍(p=0.009)、海馬で約1.78倍(p=0.009)蛍光が高く検出されることを確認した。そのような結果から、本発明による細胞透過性ペプチドがin vivoでも優秀な細胞透過性があることを確認し、物質輸送体として効果的にcargoを細胞内に伝達可能であることが分かった。
【0085】
実施例6.従来の細胞透過性ペプチドとの効果比較
本発明者らは、本発明による12個細胞透過性ペプチドに対して、当該技術分野で公知されている細胞透過性ペプチドと細胞透過程度を比較しようとした。このために、下記のようにそれぞれフローサイトメトリー法による細胞透過能及びin vivo 血液脳関門(BBB)透過度分析実験を実施し、前記公知された細胞透過性ペプチドとしては、angiopep-2を用いた。angiopep-2ペプチドは、19個のアミノ酸配列からなるものであって、BBBで発現される受容体である低密度脂質タンパク質受容体関連のタンパク質-1(low-density lipoprotein receptor-related protein-1; LRP-1)に結合して細胞内に流入されると知られている。
【0086】
6-1.フローサイトメトリー法を通じる細胞透過効果比較分析
まず、前記実施例1-2で製造したtranspep-1-FITC及びangiopep-2-FITCに対してフローサイトメトリー法(Flow cytometry)を通じて単一細胞内部の蛍光物質の流入量を確認し、それを定量化した。具体的に、hCMEC/D3細胞株を2% BCS(bovine calf serum)が含有されたEGM培養液を用いて15,000cells/wellで分注し、24時間後、前記2個のペプチドをそれぞれ10μM濃度で細胞に処理した後、、37℃、CO条件で2時間培養した。以後、1X PBSで細胞を洗浄し、1.1% TE(Trypsinase-EDTA)を入れ、3分間培養して細胞をプレート底から離した後、TEの3倍程度のEGM細胞培養液を入れ、100rpmで5分間遠心分離した。次いで、上澄液は、吸入して除去し、細胞を250μl 1xPBSで再懸濁させた後、BD Falcon 12 x 75 mm Tubewith Cell Strainer Capに移して各ペプチドによる蛍光物質の流入量をフローサイトメータで分析した。
【0087】
その結果、図4に示されたように、angiopep-2-FITCペプチドと比較するとき、transpep-1ペプチドを処理した場合、蛍光強度が顕著に高いと示された(p<0.0001)。これにより、本発明によるtranspep-1ペプチドがangiopep-2ペプチドよりも顕著に高い細胞透過性を有するということを確認した。
【0088】
6-2.in vivo 血液脳関門(BBB)透過度比較分析
次いで、本発明によるtranspep-1とangiopep-2の in vivo BBB透過度を比較するために、下記のような方法で実験を進めた。
【0089】
具体的に、2光子顕微鏡(two photon microscopy)を用いて生体内リアルタイムイメージング(in vivo live imaging)を施行するために、生きているマウス(C57BL/6)で頭蓋窓(cranial window)取付手術を施した。頭蓋窓を作る前に、マウスを3%イソフルラン(isoflurane)で呼吸麻酔を誘導した後、温熱パッドを用いてマウスの体温を36.5-37.5℃に保持されるようにした。麻酔誘導後には、イソフルランの濃度を1.5%に調節して麻酔が保持されるようにした。また、麻酔の保持程度を確認するために、心拍及びSpOをリアルタイムで確認した。以後、開頭術の位置は、ML, +2.5 mm, AP, -1.5 mmの頭蓋骨座標において3mmの直径を有するように歯科用ドリルを用いて施した。開頭術で頭蓋骨を除去した後、4mmの直径を有するカバーガラスを用いて覆い、シアノアクリレート(cyanoacrylate)ボンドを用いて接着した。次いで、2光子顕微鏡下でマウスの頭を固定するヘッドフレーム(head frame)をカバーガラスが真ん中に位置するように接着した。ボンドを用いたカバーガラス及びフレーム(frame)の1次接着後、2次接着及び water immersionレンズを使用してイメージングを実施するように歯科用レジンを用いてカバーガラスの境界から、露出された全ての頭蓋骨を覆った。手術以後には、手術による炎症緩和のために、エンロフロキサシン(enrofloxacin)及びメロキシカム(meloxicam)薬物を5mg/kg注射した。
【0090】
前記過程によって頭蓋窓手術後、4-6週間の回復期間を経た後、2次蒸溜水及び70%アルコールを用いて頭蓋窓カバーガラスを拭いて浮遊物を除去し、実験時、レンズとカバーガラスとの間に純粋な蒸溜水のみ存在するように洗浄した。次いで、マウスを2%イソフルランで麻酔させた後、定位フレーム(stereotaxic frame)に移して頭フレームを固定し、1.5%イソフルランで麻酔状態を保持し、体温は、36.5~37.5℃に一定に保持させた後、尾静脈にチューブを連結して固定した。Water immersion lens (25X, NA: 0.9)を使用するために、洗浄作業を経た頭蓋窓に蒸溜水を満たし、焦点を合わ、70kDaのテキサスレッドが接合されたデキストラン(Texas red conjugated dextran)を尾静脈チューブを通じて1.5ml/kg(body weight, concentration: 5%(w/v))の容量で注入した。
【0091】
次いで、血管構造映像イメージング(1)を施し、Pial artery, penetrating arteriole, venule, pial veinがいずれも含まれるように映像化範囲(FOV)を設定して血管構造映像イメージングを施した。血管構造映像(1)は、前述したようにPial vesselを含めて350-400μm程度の深さに映像化した。次に、生体内リアルタイムイメージング(2)のために視解像度を1分になるように映像変数を調節して354μm×354μmの範囲を512×512の解像度でイメージングした。z軸の解像度は、2μmで75枚を獲得し、すなわち、150μm厚さを、Pial vesselを除いた50~200μm深さまでの範囲に設定した。前記生体内リアルタイムイメージング(2)を施するための設定後、尾静脈チューブを通じて15mg/kgのtranspep1-FITCまたはangiopep-2-FITCを注入した後、前記設定と同じ映像変数を用いて90分間イメージングを進めた。
【0092】
前記方法を通じて2光子顕微鏡から獲得した血管構造映像(1)及び生体内リアルタイムイメージング映像(2)を3次元マトリックス(matrix)で再構成した後、血管構造映像マトリックスに生体内リアルタイムイメージングマトリックスを整合した。整合方法は、線形整合(linear registration)を原則とし、映像獲得時の動的なアーティファクト(movement artifacts)によって剛体(rigid body)及び相似変数(similarity parameter)を選択的に使用した。整合されたリアルタイムイメージングマトリックスのうち、70kDa-Texas red dextranを用いて2進化(binarization)した血管内部領域を血管内領域と定義し、外部領域を血管外領域と定義した。
【0093】
2進化(Binarization)は、imageJ及びmatlabを用いて施することができる。imageJの場合、CLAHE(local contrast enhanced thresholding)を使用し、matlabの場合、Mexican hat, otsu及びlocal contrastを用いたアルゴリズムを使用して施した。血管の内部及び外部領域を決定した後、その座標をリアルタイムイメージングマトリックスの座標に適用して血管内/外部領域のtranspep1-FITCまたはangiopep-2-FITCの変化を観察した。
【0094】
また、前記イメージング映像に観察された結果を定量するために、測定された最初の血管内部領域の強度(intensity)平均値を100%に設定し、最初の血管外部領域の強度平均値を0%に設定し、全ての視界域上に存在するマトリックスのボクセル値を正規化して百分率を生体内リアルタイムイメージングマトリックスにマッピング(mapping)した。正規化された強度値は、下記数式によって導出した。この際、下記数式において averaged Intra Intensity0は、最初の血管内部領域の強度平均値であり、 averaged extra Intensity0は、最初の血管外部領域の強度平均値を示すものである。
【0095】
【数1】
【0096】
実験結果、図5Aないし図5Fに示されたように、transpep-1-FITCを注射した場合、angiopep-2-FITCを注射した場合よりも血管内領域でさらに長く高いレベルに蛍光が観察されることを確認し、さらに高い生体内安定性を有していることを確認した。また、transpep-1-FITCを注射した場合、angiopep-2-FITCを注射した場合よりも血管外領域に伝達される量が多いことを確認した。結論的に、本発明によるtranspep-1がangiopep-2ペプチドよりも優秀な生体内安定性及び伝達効率を有していることを確認した。
【0097】
前述した本発明の説明は、ただ例示のためのものであって、本発明が属する技術分野での通常の知識を有する者であれば、本発明の技術的思想や必須な特徴を変更せずとも、他の具体的な形態に容易に変形可能であるということを理解するであろう。したがって、前記実施例は、あらゆる面で例示的なものであって、限定的なものではないと理解せねばならない。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明による新規な細胞透過性ペプチドは、優秀な細胞透過能及び物質伝達効果を有するところ、多様な生物学的活性を有する物質を、細胞及び組織など、生体内に効率よく伝達することで、研究分野、多様な疾病の診断または治療分野などで有用に適用可能であると期待される。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
【配列表】
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