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特許7456689カットソー及び前記カットソーの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】カットソー及び前記カットソーの製造方法
(51)【国際特許分類】
   A41D 27/18 20060101AFI20240319BHJP
   A41D 1/04 20060101ALI20240319BHJP
   A41H 43/00 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
A41D27/18 Z
A41D1/04 K
A41H43/00 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023132743
(22)【出願日】2023-08-17
【審査請求日】2023-09-05
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519009839
【氏名又は名称】小池 純
(74)【代理人】
【識別番号】100125645
【弁理士】
【氏名又は名称】是枝 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100145609
【弁理士】
【氏名又は名称】楠屋 宏行
(74)【代理人】
【識別番号】100149490
【弁理士】
【氏名又は名称】羽柴 拓司
(72)【発明者】
【氏名】小池 純
【審査官】冨江 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-122281(JP,A)
【文献】特開2013-53393(JP,A)
【文献】実開昭59-12820(JP,U)
【文献】登録実用新案第3098099(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D1/04、27/18
A41H1/00-43/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前身頃の襟ぐりと後身頃の襟ぐりとで形状が異なるカットソーであって、前身頃と後身頃の襟ぐりがともに伸縮性素材で形成されるものにおいて、前身頃の襟ぐりは、前記前身頃に設ける環状の凹所に沿って縫着された状態にある所定幅の帯状の生地で形成され、後身頃の襟ぐりは、着用時において頸椎を被覆する頸椎被覆領域を備え、前記頸椎被覆領域は、前記前身頃の襟ぐりの左右端部の位置において、外面側から内面側へと折り返された状態にある折り返し部を形成する内面側の後身頃の生地と、前記折り返し部と対向する位置にある外面側の後身頃の生地との内外一対の後身頃の生地で形成されると共に、前記内面側の後身頃の生地と、前記外面側の後身頃の生地とが、折り返された部分を除いて前記前身頃の襟ぐりの左右端部を挟持した状態で縫着された状態にあることを特徴とするカットソー。
【請求項2】
折り返し部を形成する内面側の後身頃の生地の形状が、後中心に向かって上下の幅が幅広となる形状であることを特徴とする請求項1に記載のカットソー。
【請求項3】
折り返し部を形成する内面側の後身頃の生地の左右端部の身幅方向の水平線に対する傾斜角度と、外面側の後身頃の生地の左右端部の身幅方向の水平線に対する傾斜角度との両方の傾斜角度が、それぞれの左右端部に対応する前身頃の襟ぐりの左右端部の身幅方向の水平線に対する傾斜角度と略同一であると共に、前記折り返し部を形成する内面側の後身頃の生地の左右端部の幅が、前身頃の襟ぐりを形成する帯状の生地の幅と略同一であることを特徴とする請求項1又は2に記載のカットソー。
【請求項4】
請求項1に記載のカットソーの製造方法であって、前中心を挟む位置に環状の凹所を備える所定形状の前身頃の生地と、後中心を挟む位置の肩線よりも上方位置に折り返し部を形成する生地を備える所定形状の後身頃の生地と、前身頃の襟ぐりを構成する所定幅の帯状の生地とを準備する生地準備工程と、中表にした状態で、前記前身頃の生地に備える環状の凹所に沿って前記帯状の生地を縫着して前身頃の襟ぐりを形成する前身頃襟ぐり形成工程と、中表にした状態で、前記前身頃の襟ぐりの左右端部の位置において、前記折り返し部を形成する後身頃の生地を内面側から外面側へと折り返すと共に、前記前身頃の襟ぐりの左右端部を、外面側に配置される前記折り返し部を形成する後身頃の生地の左右端部と、前記折り返し部を形成する後身頃の生地と対向する内面側に配置される後身頃の生地の左右端部とで挟持した状態で、挟持部分における内外一対に重なる後身頃の生地同士を縫着して後身頃の襟ぐり端部を形成する後身頃襟ぐり端部形成工程と、中表にした状態で、前記折り返し部を形成する後身頃の生地のうち、左右端部を除く先端部分の生地と、前記先端部分の生地と対向する内面側に配置される後身頃の生地との内外一対に重なる後身頃の生地同士を縫着して頸椎被覆領域を形成する頸椎被覆領域形成工程と、中表にした状態で、前記前身頃の生地と前記後身頃の生地との縫着箇所のうち、まだ縫着されていない箇所を縫着する全体縫着工程とをこの順で備えることを特徴とする請求項1に記載のカットソーの製造方法。
【請求項5】
生地準備工程において、折り返し部を形成する後身頃の生地として、後中心に向かって上下の幅が幅広となる形状を備えた生地を準備することを特徴とする請求項4に記載のカットソーの製造方法。
【請求項6】
生地準備工程において、後身頃の生地として、折り返し部を形成する後身頃の生地の左右端部の身幅方向の水平線に対する傾斜角度と、後身頃襟ぐり端部形成工程において前記折り返し部を形成する後身頃の生地と対向する後身頃の生地の左右端部の身幅方向の水平線に対する傾斜角度との両方の傾斜角度が、後身頃襟ぐり端部形成工程においてそれぞれの前記左右端部で挟持される前身頃の襟ぐりの左右端部の身幅方向の水平線に対する傾斜角度と略同一であると共に、前記折り返し部の左右端部の幅が、前身頃の襟ぐりを形成する帯状の生地の幅と略同一である生地を準備することを特徴とする請求項4又は5に記載のカットソーの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前身頃の襟ぐりと後身頃の襟ぐりとで形状が異なるカットソー及び前記カットソーの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カットソーは、比較的薄手の生地で形成されており、着心地が良く、特に前身頃の襟ぐりが半円形状のカットソーは1枚で着ても、重ね着でも着ることができ、季節を問わず着回すことができることから、老若男女を問わず広く愛用されているものであると共に、複数枚を常備している人も多いものである。
このような従来のカットソーを示す従来技術として、例えば、下記特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5925284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1は、衣服に関する発明で、特に、ジャージ、ニット素材製品の上衣における人体の胸部の膨らみを立体表現できるメリットがある。
しかしながら、上記特許文献1の図1のような型紙を用いて製造されるカットソー、特に、図8に示すような前身頃の襟ぐりが半円形状の従来のカットソー2においては、前身頃2aと後身頃2bとに環状の生地を縫着させて襟ぐり2cが形成されているものが一般的であることから、カットソー2の着用時において、頸椎が露出することとなる。よって、首は身体の他の部分に比べて筋肉量が少なく、神経や血管が集まった場所であることから、夏場であっても冷房が効いている場所では、首が冷えることで、自律神経の乱れ、肩こり、頭痛、吐き気、不眠などの症状を引き起こす原因となるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は上記従来における問題点を解決し、特に前身頃の襟ぐりが半円形状のカットソーにおいて、着用時に頸椎を被覆することが可能なカットソー及び前記カットソーの製造方法の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を達成するため、本発明のカットソーは、前身頃の襟ぐりと後身頃の襟ぐりとで形状が異なるカットソーであって、前身頃と後身頃の襟ぐりがともに伸縮性素材で形成されるものにおいて、前身頃の襟ぐりは、前記前身頃に設ける環状の凹所に沿って縫着された状態にある所定幅の帯状の生地で形成され、後身頃の襟ぐりは、着用時において頸椎を被覆する頸椎被覆領域を備え、前記頸椎被覆領域は、前記前身頃の襟ぐりの左右端部の位置において、外面側から内面側へと折り返された状態にある折り返し部を形成する内面側の後身頃の生地と、前記折り返し部と対向する位置にある外面側の後身頃の生地との内外一対の後身頃の生地で形成されると共に、前記内面側の後身頃の生地と、前記外面側の後身頃の生地とが、折り返された部分を除いて前記前身頃の襟ぐりの左右端部を挟持した状態で縫着された状態にあることを第1の特徴としている。
また、本発明のカットソーは、上記第1の特徴に加えて、折り返し部を形成する内面側の後身頃の生地の形状が、後中心に向かって上下の幅が幅広となる形状であることを第2の特徴としている。
また、本発明のカットソーは、上記第1又は第2の特徴に加えて、折り返し部を形成する内面側の後身頃の生地の左右端部の身幅方向の水平線に対する傾斜角度と、外面側の後身頃の生地の左右端部の身幅方向の水平線に対する傾斜角度との両方の傾斜角度が、それぞれの左右端部に対応する前身頃の襟ぐりの左右端部の身幅方向の水平線に対する傾斜角度と略同一であると共に、前記折り返し部を形成する内面側の後身頃の生地の左右端部の幅が、前身頃の襟ぐりを形成する帯状の生地の幅と略同一であることを第3の特徴としている。
また、本発明のカットソーの製造方法は、請求項1に記載のカットソーの製造方法であって、前中心を挟む位置に環状の凹所を備える所定形状の前身頃の生地と、後中心を挟む位置の肩線よりも上方位置に折り返し部を形成する生地を備える所定形状の後身頃の生地と、前身頃の襟ぐりを構成する所定幅の帯状の生地とを準備する生地準備工程と、中表にした状態で、前記前身頃の生地に備える環状の凹所に沿って前記帯状の生地を縫着して前身頃の襟ぐりを形成する前身頃襟ぐり形成工程と、中表にした状態で、前記前身頃の襟ぐりの左右端部の位置において、前記折り返し部を形成する後身頃の生地を内面側から外面側へと折り返すと共に、前記前身頃の襟ぐりの左右端部を、外面側に配置される前記折り返し部を形成する後身頃の生地の左右端部と、前記折り返し部を形成する後身頃の生地と対向する内面側に配置される後身頃の生地の左右端部とで挟持した状態で、挟持部分における内外一対に重なる後身頃の生地同士を縫着して後身頃の襟ぐり端部を形成する後身頃襟ぐり端部形成工程と、中表にした状態で、前記折り返し部を形成する後身頃の生地のうち、左右端部を除く先端部分の生地と、前記先端部分の生地と対向する内面側に配置される後身頃の生地との内外一対に重なる後身頃の生地同士を縫着して頸椎被覆領域を形成する頸椎被覆領域形成工程と、中表にした状態で、前記前身頃の生地と前記後身頃の生地との縫着箇所のうち、まだ縫着されていない箇所を縫着する全体縫着工程とをこの順で備えることを第4の特徴としている。
また、本発明のカットソーの製造方法は、上記第4の特徴に加えて、生地準備工程において、折り返し部を形成する後身頃の生地として、後中心に向かって上下の幅が幅広となる形状を備えた生地を準備することを第5の特徴としている。
また、本発明のカットソーは、上記第4又は第5の特徴に加えて、生地準備工程において、後身頃の生地として、折り返し部を形成する後身頃の生地の左右端部の身幅方向の水平線に対する傾斜角度と、後身頃襟ぐり端部形成工程において前記折り返し部を形成する後身頃の生地と対向する後身頃の生地の左右端部の身幅方向の水平線に対する傾斜角度との両方の傾斜角度が、後身頃襟ぐり端部形成工程においてそれぞれの前記左右端部で挟持される前身頃の襟ぐりの左右端部の身幅方向の水平線に対する傾斜角度と略同一であると共に、前記折り返し部の左右端部の幅が、前身頃の襟ぐりを形成する帯状の生地の幅と略同一である生地を準備することを第6の特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
上記第1の特徴によるカットソーによれば、後身頃に頸椎被覆領域を備えることで、着用時に頸椎を被覆することが可能となる。よって、首の冷えに伴い、自律神経の乱れ、肩こり、頭痛、吐き気、不眠などの症状が出ることを効果的に防止することができる。
また、頸椎被覆領域の構成として、前身頃の襟ぐりの左右端部の位置において、外面側から内面側へと折り返された状態にある折り返し部を形成する内面側の後身頃の生地と、折り返し部と対向する位置にある外面側の後身頃の生地との内外一対の後身頃の生地で形成すると共に、内面側の後身頃の生地と、外面側の後身頃の生地とが、前身頃の襟ぐりの左右端部を挟持した状態で縫着された状態にある構成とすることで、後身頃の生地自体を折り返して縫着させることで頸椎被覆領域を形成することができ、頸椎被覆領域を形成するための別部材が不要で製造効率が良く、しわ寄せの少ないカットソーとすることができる。
また、内外一対に重なる後身頃の生地で頸椎被覆領域を形成することで、簡易な構造でありながらも保温力の高い頸椎被覆領域とすることができる。
更に、前身頃の襟ぐりの左右端部を挟持した状態で内外一対の後身頃の生地が縫着された状態にあることで、強度の高い頸椎被覆領域を形成することができ、繰り返し着用した場合などでも型崩れや糸のほつれが生じ難い後身頃の襟ぐりを形成することができる。
【0008】
また、上記第2の特徴によるカットソーによれば、上記第1の特徴による作用効果に加えて、頸椎被覆領域において、着用時に頸椎と重なる部分の面積を広くとることができ、一段と保温力の高い頸椎被覆領域とすることができる。
【0009】
また、上記第3の特徴によるカットソーによれば、上記第1又は第2の特徴による作用効果に加えて、前身頃の襟ぐりと頸椎被覆領域との境界部分の構成を、同じ傾斜角度、同じ幅とすることができ、所望の強度を備えながら見栄えが良く、襟ぐりのおさまりが良いカットソーとすることができる。
【0010】
また、上記第4の特徴によるカットソーの製造方法によれば、後身頃に頸椎被覆領域を備えることで、着用時に頸椎を被覆することが可能なカットソーを製造することができる。よって、首の冷えに伴い、自律神経の乱れ、肩こり、頭痛、吐き気、不眠などの症状が出ることを効果的に防止することが可能なカットソーを製造することができる。
また、後身頃襟ぐり端部形成工程と頸椎被覆領域形成工程とを備えることで、後身頃の生地自体を折り返して縫着させることで頸椎被覆領域を形成することができ、頸椎被覆領域を形成するための別部材が不要で製造効率が良いカットソーの製造方法とすることができると共に、しわ寄せの少ないカットソーを製造することができる。
また、内外一対に重なる後身頃の生地で頸椎被覆領域を形成することで、簡易な構造でありながらも保温力の高い頸椎被覆領域を備えるカットソーを製造することができる。
更に、前身頃の襟ぐりの左右端部を挟持した状態で内外一対の後身頃の生地を縫着することで、強度の高い頸椎被覆領域を形成することができ、繰り返し着用した場合などでも型崩れや糸のほつれが生じ難い後身頃の襟ぐりを備えるカットソーを製造することができる。
【0011】
また、上記第5の特徴によるカットソーの製造方法によれば、上記第4の特徴による作用効果に加えて、頸椎被覆領域において、着用時に頸椎と重なる部分の面積を広くとることができ、一段と保温力の高い頸椎被覆領域を備えるカットソーを製造することができる。
【0012】
また、上記第6のカットソーの製造方法によれば、上記第4又は第5の特徴による作用効果に加えて、前身頃の襟ぐりと頸椎被覆領域との境界部分の構成を、同じ傾斜角度、同じ幅とすることができ、所望の強度を備えながら見栄えが良く、襟ぐりのおさまりが良いカットソーを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係るカットソーを示す全体図で、(a)は正面図、(b)は背面図である。
図2】本発明の実施形態に係るカット―を着用した状態を示す図で、(a)は要部の斜視図、(b)は要部の側面図である。
図3】本発明の実施形態に係るカットソーの分解図である。
図4】本発明の実施形態に係るカットソーを形成する前身頃の生地と後身頃の生地の要部を示す図であり、(a)は後身頃の生地の要部を示す図、(b)は前身頃の生地の要部を示す図である。
図5】本発明の実施形態に係るカットソーの製造工程を模式的に示す図であり、(a)は前身頃襟ぐり形成工程を示す図、(b)は後身頃襟ぐり端部形成工程を示す図である。
図6】本発明の実施形態に係るカットソーの製造工程のうち、後身頃襟ぐり端部形成工程を模式的に示す図である。
図7】本発明の実施形態に係るカットソーの製造工程を模式的に示す図であり、(a)は後身頃襟ぐり端部形成工程を示す図、(b)は後身頃襟ぐり端部形成工程を示す図、(c)は後身頃の襟ぐりの端部の断面図の要部を示す図である。
図8】従来のカットソーを示す全体図で、(a)は正面図、(b)は背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、各図面を参照して、本発明の実施形態に係るカットソーを説明し、本発明の理解に供する。しかし、以下の説明は特許請求の範囲に記載の本発明を限定するものではない。
【0015】
本発明の実施形態に係るカットソー1は、前身頃の襟ぐりと後身頃の襟ぐりとで形状が異なるカットソーであると共に、前身頃と後身頃の襟ぐりがともに伸縮性素材で形成されるものである。また、後身頃に頸椎を被覆する頸椎被覆領域を備えるカットソーである。
このカットソー1は、図1図2に示すように、前身頃10と、後身頃20と、前身頃10の襟ぐり11を形成する帯状の生地30とで構成される。
【0016】
前記前身頃10は、図1図3に示すように、いわゆる丸首の半袖カットソーの前身頃を構成するものであり、図3に示すように、上側の前中心の位置に配置される環状の凹所12と、環状の凹所12を挟んで左右に配置される肩線13を形成する袖部14と、袖部14の下方に配置される身部15とで構成される。
本実施形態においては、前身頃10を形成する生地として、綿100%の生地を用いる構成としてあるが、前身頃10を形成する生地は綿100%のものに限るものではなく、如何なるものを用いてもよい。また、半袖に限るものでもなく、長袖であってもよい。
また、図1図2に示すように、環状の凹所12に沿って所定幅の帯状の生地13が縫着されることで、前身頃10の襟ぐり11が形成されていると共に、襟ぐり11を備える前身頃10と後身頃20とが所定位置で縫着されることでカットソー1が形成されている。
【0017】
前記後身頃20は、図1図3に示すように、着用時に頸椎K(少なくとも第7頸椎)を被覆する頸椎被覆領域Hを備えるいわゆる半袖カットソーの後身頃を構成するものであり、図3に示す前身頃10と縫着される前の状態において、上側の前中心の位置で肩線24よりも上方へ延出する折り返し部22と、折り返し部22を挟んで左右に配置される肩線24を形成する袖部25と、袖部25の下方に配置される身部26とで構成される。
なお、図3(b)に示すように、本実施形態においては肩線24の上方側の左右端部の身幅方向の水平線に対する傾斜角度を、それらを除く肩線24の身幅方向の水平線に対する傾斜角度と異なる傾斜角度にする構成としてあるが、必ずしもこのような構成に限るものではなく、肩線24の身幅方向の水平線に対する傾斜角度が全て同じ傾斜角度である構成としてもよい。
【0018】
前記折り返し部22は、カットソー1が完成した状態において、後身頃20の襟ぐり21の内面側の生地を形成すると共に、前身頃10の襟ぐり11の左右端部の位置において、外面側から内面側へと折り返されて頸椎被覆領域Hの内面側の生地を形成するものである。
図3図4(a)に示すように、本実施形態の折り返し部22は、後中心に向かって上下の幅が幅広となる形状で形成されている。より具体的には、左右の肩線24の上端の位置から外側に向かって斜め上方に傾斜させて配置する一対の直線と、前記一対の直線の上端を結び、且つ後中心の位置が頂点となる円弧とで形成される略扇形状で形成されている。勿論、折り返し部22の形状は略扇形状に限るものではなく、後中心に向かって上下の幅が幅広となる形状であれば、三角形状など、如何なる形状としてもよいが、好適には略扇形状とすることが望ましい。
なお、図4に示す折り返し部22の幅Qは、5cm~7cm程度であることが望ましく、より好適には5cm程度であることが望ましい。
【0019】
更に、図4(a)に示すように、本実施形態においては、カットソー1が完成した状態において内面側に配置される折り返し部22を形成する後身頃20の生地の左端部22a、右端部22bの身幅方向の水平線に対する傾斜角度L1、L2と、カットソー1が完成した状態において折り返し部22と対向して外面側に配置される後身頃22の生地23の左端部23a、右端部23bの身幅方向の水平線に対する傾斜角度M1、M2との両方の傾斜角度が、それぞれの左右端部に対応する前身頃10の襟ぐり11の左端部11a、右端部11bの身幅方向の水平線に対する傾斜角度N1、N2と略同一であると共に、折り返し部22を形成する後身頃20の生地の左右端部の幅Pが、前身頃10の襟ぐり11を形成する帯状の生地30の幅Rと略同一である構成としてある。
なお、幅Pは、2.5cm程度とすることが望ましい。
【0020】
以上の構成からなる折り返し部22が、前身頃10の襟ぐり11の左端部11a、右端部11bの位置において、外面側から内面側へと折り返され、内面側の後身頃20の生地と、外面側の後身頃20の生地23とが、折り返された部分を除いて前身頃10の襟ぐり11の左右端部を挟持した状態で縫着されることで、後身頃20の襟ぐり21の左右端部が形成されている。また、折り返し部22を形成する後身頃20の生地のうち、左右端部を除く先端部分の生地と、先端部分の生地と対向する外面側に配置される後身頃の生地23との内外一対に重なる後身頃20の生地同士が縫着されることで、頸椎被覆領域Hが形成されている。
【0021】
また図3に示すように、本実施形態においては、後身頃20の構成として、後中心を対称軸として線対称な形状である2枚の生地を左右に配置した状態で後中心にて縫着させて形成される後身頃20を用いる構成としてある。勿論、このような構成に限るものではなく、1枚の生地で形成される後身頃20を用いる構成としてもよい。
また図1(a)に破線で示すように、頸椎被覆領域Hの上端から所定長さの範囲の縫着領域Tにおいて、内外一対に重なる内面側の後身頃20の生地と外面側の後身頃20の生地23とを縫着させてある。なお、所定長さの範囲とは、頸椎被覆領域Hの上端から下方に向かって2cm~3cm程度であると共に、後中心を挟んで左右に1cm程度の範囲を意味するものである。また、縫着箇所としては、後中心で縫着させてある左右一対の後身頃20の生地の縫着痕の左右何れかの片側だけを縫着するものであってもよいし、縫着痕の左右両側を縫着するものであってもよい。が、着用時にこれらの縫着痕が左右にズレることを確実に防ぐ意味では、縫着痕の左右両側を縫着することが望ましい。
また、図3に示すように、折り返し部22の左右端部を含む領域と、2枚の生地を後中心で縫着させる領域とには、強度向上、型くずれ防止を目的として、芯材Sを予め貼り付ける構成としてある。なお、芯材Sとしては、いわゆるニット用の接着芯など、カットソーの芯材として汎用されているものを用いることができる。なお、図3においては説明の便宜上、芯材Sを実線で示すものとする。
また、本実施形態においては、後身頃20を形成する生地として、綿100%の生地を用いる構成としてあるが、後身頃20を形成する生地は綿100%のものに限るものではなく、如何なるものを用いてもよい。また、半袖に限るものでもなく、長袖であってもよい。但し、後身頃20の襟ぐり21と頸椎被覆領域Hとを形成する生地は、伸縮性素材の生地であることが必要である。
【0022】
前記帯状の生地30は、前身頃10の襟ぐりを形成するものである。
図示していないが、本実施形態においては、伸縮性を備えた所定幅の細長い矩形状の生地を複数回折り畳むことで均一な幅の帯状の生地30を形成する構成としてある。勿論、帯状の生地30の形成方法はこのようなものに限るものではなく、適宜変更可能である。
また、図3に示すように、帯状の生地30の左右端部を含む領域には、強度向上、型くずれ防止を目的として、芯材Sを予め貼り付ける構成としてある。なお、芯材Sとしては、いわゆるニット用の接着芯など、カットソーの芯材として汎用されているものを用いることができる。なお、図3においては説明の便宜上、芯材Sを実線で示すものとする。
また、本実施形態においては、帯状の生地30を形成する生地として、綿100%の生地を用いる構成としてあるが、帯状の生地30を形成する生地は綿100%のものに限るものではなく、伸縮性のある生地であれば如何なるものを用いてもよい。
【0023】
次に、図1図3図7を参照して、本発明の実施形態に係るカットソー1の製造方法を説明する。
【0024】
本発明の実施形態に係るカットソー1の製造方法は、生地準備工程Aと、前身頃襟ぐり形成工程Bと、後身頃襟ぐり端部形成工程Cと、頸椎被覆領域形成工程Dと、全体縫着工程Eとをこの順で備えている。
【0025】
まず図3を参照して、生地準備工程Aにより、前身頃10、後身頃20、帯状の生地30として所定形状、所定大きさの生地を準備する。
具体的には、図3に示すように、上側の前中心の位置に配置される環状の凹所12と、環状の凹所12を挟んで左右に配置される肩線13を形成する袖部14と、袖部14の下方に配置される身部15とを備える所定大きさの綿100%の生地で形成される前身頃10の生地を準備する。
【0026】
また、図3に示すように、上側の前中心の位置で肩線24よりも上方へ延出する折り返し部22と、折り返し部22を挟んで左右に配置される肩線24を形成する袖部25と、袖部25の下方に配置される身部26とを備える所定大きさの綿100%の生地で形成される後身頃20の生地を準備する。なお、本実施形態においては、後中心で線対称に二分割される2枚の生地を用いる構成であることから、上記構成の2枚の生地を準備する。
この際、図4に示すように、折り返し部22としては、後中心に向かって上下の幅が幅広となる形状で形成される生地を準備することが必要である。本実施形態においては、左右の肩線24の上端の位置から外側に向かって斜め上方に傾斜させて配置する一対の直線と、前記一対の直線の上端を結び、且つ後中心の位置が頂点となる円弧とで形成される略扇形状で形成される折り返し部22を備える生地を準備する。
また、カットソー1が完成した状態において内面側に配置される折り返し部22を形成する後身頃20の生地の左端部22a、右端部22bの身幅方向の水平線に対する傾斜角度L1、L2と、カットソー1が完成した状態において折り返し部22と対向して外面側に配置される後身頃22の生地23の左端部23a、右端部23bの身幅方向の水平線に対する傾斜角度M1、M2との両方の傾斜角度が、それぞれの左右端部に対応する前身頃10の襟ぐり11の左端部11a、右端部11bの身幅方向の水平線に対する傾斜角度N1、N2と略同一であると共に、折り返し部22を形成する後身頃20の生地の左右端部の幅Pが、前身頃10の襟ぐり11を形成する帯状の生地30の幅Rと略同一である生地を準備することが必要である。
更に、本実施形態においては、所定の後身頃20の生地が準備できた後、二分割されている左右の生地を後中心で縫着させると共に、後中心と、折り返し部22の左右端部を含む領域との位置にアイロンを用いて予め芯材Sを貼り付けておく。
【0027】
また、図3に示すように、所定長さ(前身頃10の環状の凹所12の長さと略同一長さ)、所定幅(2.5cm程度の均一な幅)の綿100%の生地で形成される帯状の生地30を準備する。
具体的には、本実施形態においては、所定幅の細長い矩形状の生地を複数回折り畳んで縫着することで均一な幅の帯状の生地30を形成する構成としてある。勿論、帯状の生地30の形成方法はこのようなものに限るものではなく、適宜変更可能である。
また、図3に示すように、帯状の生地30の左右端部を含む領域にアイロンを用いて予め芯材Sを貼り付けておく。
【0028】
前記生地準備工程Aにより、各生地が準備できた後、前身頃襟ぐり形成工程Bにより、前身頃10の襟ぐり11を形成する。
具体的には、図5(a)に示すように、中表にした状態で、前身頃10の生地に備える環状の凹所12に沿って帯状の生地30を縫着する。
これにより、前身頃10に襟ぐり11が形成される。
【0029】
次に、後身頃襟ぐり端部形成工程Cにより、後身頃20の襟ぐり21を形成する。
具体的には、図4図5(b)、図6図7に示すように、中表にした状態で、前身頃10の襟ぐり11の左端部11a、右端部11bの位置において、折り返し部22を形成する後身頃20の生地を内面側から外面側へと折り返すと共に、前身頃10の襟ぐり11の左端部11a、右端部11bを、外面側に配置される折り返し部22を形成する後身頃20の生地の左端部22a、右端部22bと、折り返し部22を形成する後身頃20の生地と対向する内面側に配置される後身頃20の生地23の左端部23a、右端部23bとで挟持した状態で、挟持部分における内外一対に重なる後身頃20の生地同士を縫着する。
これにより、後身頃20の襟ぐり21の左右端部と襟ぐり21が形成される。
なお、本実施形態においては、この後身頃襟ぐり端部形成工程Cにおいて、挟持部分における内外一対に重なる後身頃20の生地同士を縫着する前に、図1(a)に示す縫着領域Tの内面側の後身頃20の生地と外面側の後身頃20の生地23とを縫着させる工程も行う。
また、本実施形態においては、図5(b)、図6(a)に二点鎖線で示すように、前身頃10の襟ぐり11の左右端部を通る水平線の位置で折り返し部22を折り返す構成としてある。つまり、本実施形態においては、図6(a)に示すように、折り返し部22が折り返された状態において、後身頃20の襟ぐり21が凹凸のない水平線で形成される構成としてある。
【0030】
次に、頸椎被覆領域形成工程Dにより、後身頃20に頸椎被覆領域Hを形成する。
具体的には、中表にした状態で、折り返し部22を形成する後身頃20の生地のうち、左端部22a、右端部22bを除く先端部分の生地と、先端部分の生地と対向する内面側に配置される後身頃20の生地との内外一対に重なる後身頃20の生地同士を縫着する。
これにより、後身頃20に頸椎被覆領域Hが形成される。
【0031】
次に、全体縫着工程Eにより、カットソー1を完成させる。
具体的には、中表にした状態で、前身頃10の生地と後身頃20の生地とが重なる箇所うち、未だ縫着されていない全ての箇所を縫着する。
その後、中表の状態からひっくり返すことで、図1に示すカットソー1が完成する。
【0032】
以上の構成からなる本発明の実施形態に係るカットソー1、カットソー1の製造方法は以下の効果を奏する。
【0033】
まずカットソー1においては、後身頃20に頸椎被覆領域Hを備えることで、着用時に頸椎Kを被覆することが可能となる。よって、首の冷えを抑えることができ、首の冷えに伴う自律神経の乱れ、肩こり、頭痛、吐き気、不眠などの症状が出ることを効果的に防止することができる。
また、頸椎被覆領域Hの構成として、前身頃10の襟ぐり11の左右端部の位置において、外面側から内面側へと折り返された状態にある折り返し部22を形成する内面側の後身頃20の生地と、折り返し部22と対向する位置にある外面側の後身頃20の生地との内外一対の後身頃20の生地で形成すると共に、内面側の後身頃20の生地と、外面側の後身頃20の生地とが、前身頃10の襟ぐり11の左右端部を挟持した状態で縫着された状態にある構成とすることで、後身頃20の生地自体を折り返して縫着させることで頸椎被覆領域Hを形成することができ、頸椎被覆領域Hを形成するための別部材が不要で製造効率が良く、しわ寄せの少ないカットソー1とすることができる。
また、内外一対に重なる後身頃20の生地で頸椎被覆領域Hを形成することで、簡易な構造でありながらも保温力の高い頸椎被覆領域Hとすることができる。
更に、前身頃10の襟ぐり11の左右端部を挟持した状態で内外一対の後身頃20の生地が縫着された状態にあることで、強度の高い頸椎被覆領域Hを形成することができ、繰り返し着用した場合などでも型崩れや糸のほつれが生じ難い後身頃20の襟ぐりを形成することができる。
【0034】
また、折り返し部22を形成する内面側の後身頃20の生地の形状を、後中心に向かって上下の幅が幅広となる形状とすることで、頸椎被覆領域Hにおいて、着用時に頸椎Kと重なる部分の面積を広くとることができ、一段と保温力の高い頸椎被覆領域Hとすることができる。加えて、本実施形態においては、折り返し部22の形状を略扇形状とすることで、使用する生地の分量を効果的に抑えることができると共に、見栄えが良く、おさまりの良い折り返し部22とすることができる。
【0035】
また、折り返し部22を形成する内面側の後身頃20の生地の左端部22a、右端部22bの身幅方向の水平線に対する傾斜角度L1、L2と、外面側の後身頃20の生地23の左端部23a、右端部23bの身幅方向の水平線に対する傾斜角度M1、M2との両方の傾斜角度が、それぞれの左右端部に対応する前身頃10の襟ぐり11の左端部11a、右端部11bの身幅方向の水平線に対する傾斜角度N1、N2と略同一であると共に、折り返し部22を形成する内面側の後身頃20の生地の左端部22a、右端部22bの幅Pが、前身頃10の襟ぐり11を形成する帯状の生地30の幅Rと略同一である構成とすることで、前身頃10の襟ぐり11と頸椎被覆領域Hとの境界部分の構成を、同じ傾斜角度、同じ幅とすることができ、所望の強度を備えながら見栄えが良く、襟ぐりのおさまりが良いカットソー1とすることができる。
【0036】
また、後身頃20の2枚の生地が縫着される位置と、折り返し部22の左右端部を含む位置と、帯状の生地30の左右端部を含む位置との各位置に芯材Sを設けることで、各位置における強度を向上させることができると共に、各位置における型くずれを防止可能なカットソー1とすることができる。
【0037】
また、2枚の生地が後中心で縫着されて形成される後身頃20とすることで、着用時に頸椎被覆領域Hの後中心の位置が安定すると共に、繰り返し着用しても型くずれし難いカットソー1とすることができる。
更に、縫着領域Tにおいて、内面側の後身頃20の生地と外面側の後身頃20の生地23とを縫着させてあることで、頸椎被覆領域Hにおいては、後中心で縫着させてある左右一対の後身頃20の生地の縫着痕が内外に重なるところ、着用時にこれらの縫着痕が左右にズレることを確実に防ぐことができ、着心地が良く、一段と型くずれし難いカットソー1とすることができる。
【0038】
次に、カットソー1の製造方法においては、後身頃20に頸椎被覆領域Hを備えることで、着用時に頸椎Kを被覆することが可能なカットソー1を製造することができる。よって、首の冷えを抑えることができ、首の冷えに伴う自律神経の乱れ、肩こり、頭痛、吐き気、不眠などの症状が出ることを効果的に防止することが可能なカットソー1を製造することができる。
また、後身頃襟ぐり端部形成工程とCと頸椎被覆領域形成工程Dとを備えることで、後身頃20の生地自体を折り返して縫着させることで頸椎被覆領域Hを形成することができ、頸椎被覆領域Hを形成するための別部材が不要で製造効率が良いカットソー1の製造方法とすることができると共に、しわ寄せの少ないカットソー1を製造することができる。
また、内外一対に重なる後身頃20の生地で頸椎被覆領域Hを形成することで、簡易な構造でありながらも保温力の高い頸椎被覆領域Hを備えるカットソー1を製造することができる。
更に、前身頃10の襟ぐり11の左右端部を挟持した状態で内外一対の後身頃20の生地を縫着することで、強度の高い頸椎被覆領域Hを形成することができ、繰り返し着用した場合などでも型崩れや糸のほつれが生じ難い後身頃20の襟ぐりを備えるカットソー1を製造することができる。
【0039】
また、生地準備工程Aにおいて、折り返し部22を形成する後身頃20の生地として、後中心に向かって上下の幅が幅広となる形状である生地を準備することで、頸椎被覆領域Hにおいて、着用時に頸椎Kと重なる部分の面積を広くとることができ、一段と保温力の高い頸椎被覆領域Hを備えるカットソー1を製造することができる。
【0040】
また、生地準備工程Aにおいて、後身頃20の生地として、折り返し部22を形成する後身頃20の生地の左端部22a、右端部22bの身幅方向の水平線に対する傾斜角度L1、L2と、後身頃襟ぐり端部形成工程Cにおいて折り返し部22を形成する後身頃20の生地と対向する後身頃20の生地23の左端部23a、右端部23bの身幅方向の水平線に対する傾斜角度M1、M2との両方の傾斜角度が、後身頃襟ぐり端部形成工程Cにおいてそれぞれの左右端部で挟持される前身頃10の襟ぐり11の左端部11a、右端部11bの身幅方向の水平線に対する傾斜角度N1、N2と略同一であると共に、折り返し部22の左端部22a、右端部22bの幅Pが、前身頃10の襟ぐり11を形成する帯状の生地30の幅Rと略同一である生地を準備することで、前身頃10の襟ぐり11と頸椎被覆領域Hとの境界部分の構成を、同じ傾斜角度、同じ幅とすることができ、所望の強度を備えながら見栄えが良く、襟ぐりのおさまりが良いカットソー1を製造することができる。
【0041】
また、生地準備工程Aにおいて、後身頃20の2枚の生地が縫着される位置と、折り返し部22の左右端部を含む位置と、帯状の生地30の左右端部を含む位置との各位置に芯材Sを貼り付けておくことで、各位置における強度を向上させることができると共に、各位置における型くずれを防止可能なカットソー1を製造することができる。
【0042】
また、生地準備工程Aにおいて、2枚の生地を後中心で縫着させて後身頃20を形成する構成とすることで、着用時に頸椎被覆領域Hの後中心の位置が安定すると共に、繰り返し着用しても型くずれし難いカットソー1を製造することができる。
更に、縫着領域Tにおいて、内面側の後身頃20の生地と外面側の後身頃20の生地23とを縫着させることで、頸椎被覆領域Hにおいては、後中心で縫着させてある左右一対の後身頃20の生地の縫着痕が内外に重なるところ、着用時にこれらの縫着痕が左右にズレることを確実に防ぐことができ、着心地が良く、一段と型くずれし難いカットソー1を製造することができる。
【0043】
なお、既述した本発明の実施形態におけるカットソー1においては、いわゆる半袖のカットソーとする構成としたが、必ずしもこのような構成に限るものではなく、前身頃の襟ぐりと後身頃の襟ぐりとが本発明の構成を備えるものであれば、袖部、身部の構成は適宜変更してもよい。例えば、上側の生地と下側の生地とで全く異なる素材の生地を用い、それら上下の生地が縫着された状態にある身部を備えるカットソーとしてもよい。
また、既述した本発明の実施形態におけるカットソー1においては、折り返し部22を形成する内面側の後身頃20の生地の左右端部の幅が、前身頃10の襟ぐり11を形成する帯状の生地30の幅と略同一である構成としたが、必ずしもこのような構成に限るものではなく、折り返し部22を形成する内面側の後身頃20の生地の左右端部の幅が、前身頃10の襟ぐり11を形成する帯状の生地30の幅よりも小さくならない構成であれば、折り返し部22を形成する内面側の後身頃20の生地の左右端部の幅が、前身頃10の襟ぐり11を形成する帯状の生地30の幅よりも大きくなる構成としてもよい。例えば、図4(a)に示す幅Pが2.5cm程度、図4(b)に示す幅Rが1cm程度とする構成としてもよい。
また、既述した本発明の実施形態におけるカットソー1においては、前身頃10の襟ぐり11を形成する帯状の生地30の構成として、均一な幅の帯状の生地30を用いる構成としたが、必ずしもこのような構成に限るものではなく、帯状の生地30において端部と中央部とで幅が異なるものを用いる構成としてもよい。
【0044】
また、既述した本発明の実施形態におけるカットソー1においては、図6(a)に示すように、折り返し部22が折り返された状態において、後身頃20の襟ぐり21が凹凸のない水平線で形成されると共に、頸椎被覆領域Hにて少なくとも第7頸椎を被覆できる構成としたが、折り返し部22が前身頃10の襟ぐり11の左右端部の位置において外面側から内面側へと折り返される構成を満たすものであれば、必ずしもこのような構成に限るものではない。例えば、後身頃20の襟ぐり21が形成された状態において、襟ぐり21が後中心に向かってやや凸状或いは凸条の弧線で形成される構成としてもよい。このような構成とすることで、第7頸椎だけでなく、第6頸椎やそれら以外の頸椎も被覆可能なカットソーとすることができる。よって、一段と首の冷えを抑えることができ、首の冷えに伴い自律神経の乱れ、肩こり、頭痛、吐き気、不眠などの症状が出ることを一段と効果的に防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明によれば、特に前身頃の襟ぐりが半円形状のカットソーにおいて、着用時に頸椎を被覆することが可能となることから、カットソーの分野における産業上の利用性が高い。
【符号の説明】
【0046】
1 カットソー
2 従来のカットソー
2a 前身頃
2b 後身頃
2c 襟ぐり
10 前身頃
11 襟ぐり
11a 左端部
11b 右端部
12 環状の凹所
13 肩線
14 袖部
15 身部
20 後身頃
21 襟ぐり
22 折り返し部
22a 左端部
22b 右端部
23 後身頃の生地
23a 左端部
23b 右端部
24 肩線
25 袖部
26 身部
30 帯状の生地
A 生地準備工程
B 前身頃襟ぐり形成工程
C 後身頃襟ぐり端部形成工程
D 頸椎被覆領域形成工程
E 全体縫着工程
H 頸椎被覆領域
K 頸椎
L1 角度
L2 角度
M1 角度
M2 角度
N1 角度
N2 角度
P 幅
Q 幅
R 幅
S 芯材
T 縫着領域
【要約】
【課題】特に前身頃の襟ぐりが半円形状のカットソーにおいて、着用時に頸椎を被覆することが可能なカットソー及び前記カットソーの製造方法の提供を課題とする。
【解決手段】前身頃10の襟ぐり11は、前身頃10に設ける環状の凹所12に沿って縫着された状態にある所定幅の帯状の生地30で形成され、後身頃20の襟ぐり21は、着用時において頸椎Kを被覆する頸椎被覆領域Hを備え、頸椎被覆領域Hは、前身頃10の襟ぐり11の左右端部の位置において、外面側から内面側へと折り返された状態にある折り返し部22を形成する内面側の後身頃20の生地と、折り返し部22と対向する位置にある外面側の後身頃20の生地との内外一対の後身頃20の生地で形成されると共に、内面側の後身頃20の生地と、外面側の後身頃20の生地とが、折り返された部分を除いて前身頃10の襟ぐり11の左右端部を挟持した状態で縫着された状態にあるカットソー1である。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8