(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】車止めブロック
(51)【国際特許分類】
E04H 6/42 20060101AFI20240319BHJP
【FI】
E04H6/42 A
(21)【出願番号】P 2023150919
(22)【出願日】2023-09-19
【審査請求日】2023-09-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596076621
【氏名又は名称】中里産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】中里 大作
【審査官】兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-188946(JP,A)
【文献】特開平08-120609(JP,A)
【文献】特開平11-159182(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-0784506(KR,B1)
【文献】韓国登録実用新案第20-0375382(KR,Y1)
【文献】車止めブロック類 製品CADデータ 近畿・東海版,松阪興産株式会社,2023年02月,https://www.matsusaka-kosan.co.jp/files/cad/f47/car_stop_pdf.pdf
【文献】九州セキスイ商事インフラテック株式会社 埋込型パーキングブロック『Hブロック』,株式会社イプロス,2020年01月07日,https://www.ipros.jp/product/detail/2000488078/,イプロスものづくり
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 6/42
E01C 11/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一部を地面に埋設させた状態で設けられ、車両の左右の車輪を受けて車両の駐車位置を定めるための車止めブロックであって、
少なくとも一部を地中に埋没させるとともに水平状の基準面を有する長手状の基礎ブロック部と、
前記基礎ブロック部とともに一体のブロック体を構成する部分であり、前記基礎ブロック部の上側に前記基準面から突出した態様で設けられた本体ブロック部と、を備え、
前記基礎ブロック部および前記本体ブロック部により全体として直線的な長手状ブロックとして構成されており、
前記本体ブロック部は、
前記基礎ブロック部の長手方向の両側に設けられ、車両の車輪を受ける車輪受面を有する車輪止め部と、
前記長手方向の両側の前記車輪止め部の間に設けられ、前記車輪止め部よりも前記基準面からの高さが低い中間ブロック部と、を有
し、
前記車輪止め部は、水平状の上面部である第1の上面部を有し、
前記中間ブロック部は、前記基準面に対して、前記第1の上面部よりも低い位置に形成された水平状の上面部である第2の上面部を有し、前記長手方向の両側の前記車輪止め部とともに凹部をなしている
ことを特徴とする車止めブロック。
【請求項2】
前記第2の上面部には、光を反射する反射部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の車止めブロック。
【請求項3】
前記車輪止め部および前記中間ブロック部の少なくともいずれか一方は、前記基準面とともに、平面視で前記長手方向に直交する方向に貫通した水抜き穴を形成している
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車止めブロック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車場などの地面に設けられて車両等の駐車位置を定めるための車止めブロックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、積荷の高さ制限の関係で、荷台の床面を地面に近づけることで積載量を確保した低床型の大型トラックが増加している。この低床型トラックは、タイヤの外径を小さくすることにより車体を低くしているため、走行時に路面から受ける振動が比較的荷物に伝わりやすい。そこで、低床型トラックには、例えば左右前後輪のタイヤの近傍に、走行時に荷台が路面から受ける振動を抑制するためのエアサスペンション(空気バネ)を設けた車両が増加している。
【0003】
エアサスペンションを設けることにより、トラックにおいて次のような利点が得られる。振動が少なくなり乗り心地が良くなる。また、荷物に振動が伝わりにくくなるため、精密機械や生鮮食品等の運搬に好適となる。また、エアサスペンションによって荷台の高さ調整ができるため、荷台への荷物の積込み作業において効率的な作業を行うことができる。
【0004】
低床型トラックにおいて、エアサスペンションは、例えば、車両の後輪の車軸の後方の位置において下方に突出するように設けられている。そのため、車止めブロックを備えた駐車場に低床型トラックを駐車する際、エアサスペンションが車止めブロックに接触することがある。エアサスペンションが車止めブロックに接触することは、エアサスペンションや車止めブロックを傷付けたり破損させたりする原因となり得る。
【0005】
そこで、例えば、特許文献1には、車が傷付いたり人が怪我をしたりすることを課題として、コンクリートや金属などの剛体で形成された芯材の表面を弾性体から成るゴムチップ層で覆った車止めが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示されているような車止めによれば、車止めにエアサスペンション等の車両部品が接触したとしても、エアサスペンションの傷付きや破損は抑制できると考えられるが、車止めと車両部品との接触自体を回避するものではない。このため、車止めの傷付きや破損が生じるおそれがあり、また、車止めに対する接触の勢いが強い場合、エアサスペンション等の車両部品が傷付いたり破損したりすることが生じ得る。また、特許文献1に開示されているような車止めは、互いに異なる材料による二重構造であるため、構造が複雑となり、製造工程が複雑になるという問題がある。
【0008】
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、簡単な構成により、エアサスペンション等の車両部品との接触を避けることができ、車両部品の傷付きや破損を抑制することができるとともに、高い剛性を得ることができ、タイヤ衝突時の耐衝撃性を向上することができる車止めブロックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様は、一部を地面に埋設させた状態で設けられ、車両の左右の車輪を受けて車両の駐車位置を定めるための車止めブロックであって、少なくとも一部を地中に埋没させるとともに水平状の基準面を有する長手状の基礎ブロック部と、前記基礎ブロック部の上側に前記基準面から突出した態様で設けられた本体ブロック部と、を備え、前記本体ブロック部は、前記基礎ブロック部の長手方向の両側に設けられ、車両の車輪を受ける車輪受面を有する車輪止め部と、前記長手方向の両側の前記車輪止め部の間に設けられ、前記車輪止め部よりも前記基準面からの高さが低い中間ブロック部と、を有する、ものである。
【0010】
本発明の第2の態様は、車輪止め部は、水平状の上面部である第1の上面部を有し、前記中間ブロック部は、前記基準面に対して、前記第1の上面部よりも低い位置に形成された水平状の上面部である第2の上面部を有し、前記長手方向の両側の前記車輪止め部とともに凹部をなしている、ものである。
【0011】
本発明の第3の態様は、前記第2の上面部には、光を反射する反射部が設けられている、ものである。
【0012】
本発明の第4の態様は、前記車輪止め部および前記中間ブロック部の少なくともいずれか一方は、前記基準面とともに、平面視で前記長手方向に直交する方向に貫通した水抜き穴を形成している、ものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、一部を地面に埋設させた状態で設けられ、車両の左右の車輪を受けて車両の駐車位置を定めるための車止めブロックであって、少なくとも一部を地中に埋没させるとともに水平状の基準面を有する長手状の基礎ブロック部と、前記基礎ブロック部の上側に前記基準面から突出した態様で設けられた本体ブロック部と、を備え、前記本体ブロック部は、前記基礎ブロック部の長手方向の両側に設けられ、車両の車輪を受ける車輪受面を有する車輪止め部と、前記長手方向の両側の前記車輪止め部の間に設けられ、前記車輪止め部よりも前記基準面からの高さが低い中間ブロック部と、を有することにより、簡単な構成により、エアサスペンション等の車両部品との接触を避けることができ、車両部品の傷付きや破損を抑制することができるとともに、高い剛性を得ることができ、タイヤ衝突時の耐衝撃性を向上することができる
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係る車止めブロックを示す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る車止めブロックを示す正面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る車止めブロックを示す平面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る車止めブロックを示す左側面図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る車止めブロックを設置した状態を示す斜視図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る車止めブロックの作用についての説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、車両の左右の車輪を受けて車両の駐車位置を定めるための車止めブロックにおいて、地中に埋設した基礎ブロック部の上側に突出した態様で設けられる本体ブロック部の形態を工夫することにより、車両の駐車時における車両部品との接触を回避し、車両部品やブロック自体の傷付きや破損を抑制しようとするものである。本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0016】
本実施形態に係る車止めブロックMについて
図1から
図9を用いて説明する。
図1は、車止めブロックMの斜視図である。
図2は、車止めブロックMの正面図である。
図3は、車止めブロックMの平面図である。
図4は、車止めブロックMを示す左側面図である。
図5は、中間ブロック部30を示すための
図2のA-A線端面図である。
図6は、水抜き穴26,39を示すための
図2のB-B線断面図である。
図7は、反射板28を示すための
図2のD-D線断面図である。
図8は、車止めブロックMを地面Gに設置した状態を示す斜視図である。
図9は、
図2のC-C線で切断した車止めブロックMに車両(トラックT)の車輪tを接触させた状態を示す図である。なお、本実施形態を説明する上で
図3における左右方向を車止めブロックMの左右方向とし、
図3における上下方向を車止めブロックMにおける前後方向とする。また、
図9においては、便宜上、車止めブロックMの中間ブロック部30のみ断面を示している。
【0017】
本実施形態における車両は、
図9に示すように、車輪tの外径を小さくすることにより荷台の床面を低く形成した低床型で大型のトラックTである。低床型のトラックTは、トラックT後方の左右車輪t,tの間であって、左右車輪t、tの近傍に、車両部品としてのエアサスペンション(空気バネ)Cを有する。エアサスペンションCは、左右の車輪t,tの間であって、車幅方向の中間部において、車両の床部から下方に突出するように設けられている。
【0018】
車止めブロックMは、一部を地面に埋設させた状態で設けられ、車両の左右の車輪を受けて車両の駐車位置を定めるためのものである。車止めブロックMは、
図1に示すように、地面への設置状態において少なくとも一部を地中に埋没させる基礎ブロック部1と、基礎ブロック部1の上側に突出した態様で設けられた本体ブロック部2とを備える。車止めブロックMは、全体として左右方向を長手方向とした直線的な長手状のブロックとして構成されている。また、車止めブロックMは、全体として左右方向および前後方向の各方向について対称または略対称に構成されている。
【0019】
基礎ブロック部1は、
図2および
図3に示すように、その上面部に水平状の基準面10を有する長手状のブロック部分である。基礎ブロック部1は、基準面10の周縁部から下側に伸延した四方の側面部11と、基準面10と反対側の面であって基準面10と平行状に設けられた底面部12とを有する。基礎ブロック部1は、基準面10、側面部11、および底面部12により、上側を四角錐の頂部側とするとともに左右方向を長手方向とした細長い略四角錐台状に形成されている。
【0020】
四方の側面部11は、
図2および
図4に示すように、鉛直面に対する傾斜角度が同一の傾斜角度αとなるように形成されている。本実施形態において、傾斜角度αは、例えば略8°に設定される。ただし、傾斜角度αの大きさは限定されない。
【0021】
また、基礎ブロック部1は、基準面10と四方の各側面部11とによる角部分、底面部12と四方の各側面部11とによる角部分、および隣り合う側面部11による角部分を、面取り形状の角面部としている。すなわち、基礎ブロック部1においては、隣り合う面部によって形成される角部分(稜線部分)がいずれも面取り形状部(丸め形状部)となっている。
【0022】
このように構成された基礎ブロック部1を備えた車止めブロックMは、例えば
図8に示すように、基礎ブロック部1の全体または略全体を地中に埋没させた状態で設置される。
図8に示す例において、車止めブロックMは、基礎ブロック部1の基準面10を地面Gと略面一とした状態で設置されており、本体ブロック部2の全体を地面Gから突出させている。
【0023】
本体ブロック部2は、
図2に示すように、基礎ブロック部1の上面部を構成する基準面10から上側に突出した態様で設けられたブロック部分である。本体ブロック部2は、基礎ブロック部1の上面部に対し、平面視において基礎ブロック部1の矩形状の外形に沿って全周にわたって連続するように基準面10が形成されるように、周縁部を除いた部分から段差状に突出している。したがって、基準面10は、その領域部分として、基礎ブロック部1の長手方向の全体にわたって形成された前後の長辺部と、基礎ブロック部1の短手方向の全体にわたって形成された左右の短辺部とを有する。
【0024】
本体ブロック部2は、基礎ブロック部1と一体に設けられている。つまり、本体ブロック部2は、車止めブロックMにおいて、基礎ブロック部1とともに一体のブロック体を構成している。このブロック体は、左右方向について対称または略対称な形状を有する。本体ブロック部2は、基礎ブロック部1の長手方向の両側に設けられた車輪止め部20と、長手方向の両側の車輪止め部20の間に設けられた中間ブロック部30とを有する。
【0025】
左右両側の車輪止め部20は、車両が有する左右の車輪を受けるブロック部分である。車輪止め部20は、本体ブロック部2の左右両側の上面部であって水平状の上面部である第1の上面部21を有する。車輪止め部20は、略直方体状の外形に沿った突出部分であり、その外形をなす面部として、第1の上面部21と、車輪止め部20の正面側の面である車輪受面22と、左右方向の外側の側面部である外側傾斜面部23と、左右方向の内側の側面部である内側傾斜面部24と、車輪止め部20の後面側の面である後傾斜面部25とを有する。車輪止め部20は、第1の上面部21、車輪受面22、外側傾斜面部23、内側傾斜面部24、および後傾斜面部25により、上側を四角錐の頂部側とするとともに左右方向を長手方向とし、前後方向を短手方向とする略四角錐台状に形成されている。
【0026】
第1の上面部21は、基礎ブロック部1の基準面10に対して平行に設けられている。第1の上面部21は、車輪受面22を含む車輪止め部20の前後左右の各傾斜面と円弧状をなす曲面部を介してつながっている。また、車輪止め部20において、隣り合う傾斜面部同士は、円弧状をなす曲面部を介してつながっている。すなわち、車輪止め部20においては、隣り合う面部によって形成される角部分(稜線部分)がいずれも湾曲面により形成された丸め形状部となっている。
【0027】
車輪受面22は、
図2および
図4に示すように、上下方向について、基礎ブロック部1の基準面10から第1の上面部21にかけてやや後方傾斜状に形成されている。本実施形態において、車輪受面22の鉛直面に対する傾斜角度βは、例えば傾斜角度αと同様の約8°に設定される。ただし、傾斜角度βの大きさは限定されない。傾斜角度βの大きさは、例えば、本体ブロック部2の基準面10からの高さHの大きさ等に応じて、車両の車輪が車輪止め部20を容易に乗り越えないように設定される。
【0028】
また、車輪止め部20において、外側傾斜面部23は、
図2に示すように、上下方向について、基礎ブロック部1の基準面10から第1の上面部21にかけて左右外側から内側に向かうように傾斜状に形成されている。本実施形態において、外側傾斜面部23の鉛直面に対する傾斜角度γは、例えば車輪受面22の傾斜角度βの約2倍の約16°に設定される。ただし、傾斜角度γの大きさは限定されない。
【0029】
内側傾斜面部24は、
図2に示すように、後述する中間ブロック部30の第2の上面部31から第1の上面部21にかけて左右内側から外側に向かうように傾斜状に形成されている。本実施形態において、内側傾斜面部24の鉛直面に対する傾斜角度は、外側傾斜面部23と同様の傾斜角度γに設定している。
【0030】
後傾斜面部25は、
図3および
図4に示すように、基礎ブロック部1の基準面10から第1の上面部21にかけてやや前方傾斜状に形成されている。本実施形態において、後傾斜面部25は、車輪受面22と前後方向について対称な傾斜面として形成されている。ただし、後傾斜面部25は、車輪受面22と前後対称でなくてもよい。
【0031】
中間ブロック部30は、本体ブロック部2において左右の車輪止め部20の間の部分であって、車輪止め部20よりも基準面10からの高さが低いブロック部分である。中間ブロック部30は、
図2、
図3、および
図5に示すように、基礎ブロック部1の基準面10から上側に突出した態様で左右の車輪止め部20の間に設けられている。中間ブロック部30は、本体ブロック部2の左右中間部の上面部であって水平状の上面部である第2の上面部31を有する。中間ブロック部30は、前後方向について車輪止め部20と略同じ寸法を有し略直方体状の外形に沿った突出部分であり、その外形をなす面部として、第2の上面部31と、中間ブロック部30の前側の面部である正面部33と、中間ブロック部30の後側の面部である背面部32とを有する。中間ブロック部30は、左右の両側をそれぞれ車輪止め部20につなげ、左右の車輪止め部20とともに一体的な本体ブロック部2を形成している。
【0032】
第2の上面部31は、基準面10に対して、第1の上面部21よりも低い位置に形成されている。すなわち、第2の上面部31は、
図2に示すように、基礎ブロック部1の基準面10に対して略平行状であって、第1の上面部21よりも低く形成されている。本実施形態において、第2の上面部31の基準面10に対する高さhは、第1の上面部21の基準面10に対する高さHに対して略半分の高さに形成されている。つまり、高さhと高さHとは、h=1/2Hの関係性を有する。ただし、第2の上面部31の高さhは、第1の上面部21の高さHよりも低ければよく、これらの高さ同士の大きさの比等は限定されない。また、第1の上面部21の高さHは、低床型のトラックTに対応するため、一般的な既製品よりも地面Gに対する高さが低くなるように、かつ、タイヤをしっかりと受け止めることができる高さに設定されている。
【0033】
正面部33および背面部32は、それぞれ基礎ブロック部1の基準面10から第2の上面部31にかけて鉛直面に対して一定の傾斜角度をなす傾斜面部として形成されている。本実施形態において、中間ブロック部30の正面部33および背面部32は、それぞれ車輪止め部20の車輪受面22および後傾斜面部25と側面視で重なるように形成されており、これらの面部の傾斜角度βと同じ角度で傾斜している。
【0034】
中間ブロック部30は、本体ブロック部2において、基礎ブロック部1の長手方向の両側の車輪止め部20とともに凹部37をなしている。凹部37は、中間ブロック部30の第2の上面部31と、左右の車輪止め部20の内側傾斜面部24とによって形成されている。すなわち、本体ブロック部2は、左右両側の車輪止め部20の第1の上面部21に対して中間ブロック部30の第2の上面部31を低くすることにより、長手方向の中間部において凹状の段差部を形成している。本実施形態では、車止めブロックMの長手方向について、車止めブロックM全体の中間部の略1/3の範囲が、中間ブロック部30の形成範囲、つまり凹部37の形成範囲となっている。
【0035】
このように本体ブロック部2において凹部37を形成した構成においては、左右の車輪止め部20の内側傾斜面部24の傾斜角度γを大きく形成することにより、下側から上側にかけての凹部37の左右方向の寸法の広がり度合を大きくすることができる。
【0036】
中間ブロック部30において、第2の上面部31の中央部には、光を反射する反射部35が設けられている。反射部35は、第2の上面部31において円形状に凹設された反射板固定凹部35aに、円形状の反射板35bを嵌合固定した構成を有する。
【0037】
反射板35bは、上方に凸状の略ドーム状または扁平な円錐台状の外形を有し、平面視において、反射板固定凹部35aの内径と略同じ外径を有する。反射板35bは、例えば、照射された光を入射した方向に反射する、いわゆる、再帰反射の特性を有するコーナーキューブリフレクターで構成されている。反射板35bは、上側の大部分を第2の上面部31から突出させた状態で反射板固定凹部35aに固定されている。なお、中間ブロック部30に対する反射板35bの固定方法は、例えば接着剤や両面テープやネジ等、反射板35bが容易に外れなければどのような手段であってもよい。
【0038】
中間ブロック部30の左右方向の中央部には、中央溝部34が形成されている。中央溝部34は、左右方向について垂直な面に沿うように、反射板固定凹部35aの形成部位を除いて、第2の上面部31、背面部32および正面部33の全体にわたって形成されている。すなわち、中央溝部34は、第2の上面部31においては反射板固定凹部35aの前後両側につながるように形成されており、背面部32および正面部33それぞれに形成された溝部32c,33cを有する。中央溝部34は、第2の上面部31における反射板固定凹部35aの深さと同一または略同一の深さに形成されている。
【0039】
また、中間ブロック部30と、左右の車輪止め部20との境界部分には、中央溝部34と同様に左右方向について垂直な面に沿うように形成された溝部である境界溝部36が形成されている。境界溝部36は、第2の上面部31、背面部32および正面部33の各面部に沿って形成された部分を有する。
【0040】
また、左右の車輪止め部20において、車輪受面22側に、反射板28が取り付けられている。反射板28は、各車輪止め部20の車輪受面22において、左右方向について中央位置に対して外側寄りの位置に設けられている。
【0041】
反射板28は、矩形状の外形を有し、車輪受面22に形成された矩形状の反射板固定凹部27に嵌合した態様で車輪止め部20に固定されている。反射板固定凹部27は、正面視において、反射板28の外形に対応した略方形状の凹部として形成されており、車輪受面22から後方に向けて水平状に凹設されている。反射板固定凹部27は、
図7に示すように、側面断面視において、上辺よりも下辺が長い略"コ"字状をなすように形成されている。反射板28は、反射板固定凹部27の後面に接触するように取り付けられている。なお、車輪止め部20に対する反射板28の固定方法は、例えば接着剤や両面テープやネジ等、反射板28が容易に外れなければどのような手段であってもよい。
【0042】
反射板28は、正面視において、反射板固定凹部27と略同形状に形成されており、本実施形態においては、略方形状に形成されている。反射板28は、反射板固定凹部27に取り付けられた状態において、その表面が車輪受面22よりも後退した位置に位置するように設けられている。すなわち、反射板固定凹部27に反射板28を設置した状態において、反射板28は、車輪受面22から突出しないように設けられている(
図7参照)。また、反射板28は、例えば、再帰反射の特性を有するコーナーキューブリフレクターで構成されている。
【0043】
また、本実施形態に係る車止めブロックMにおいて、車輪止め部20および中間ブロック部30の各部は、基準面10とともに、平面視で長手方向に直交する方向(前後方向)に貫通した水抜き穴26,39を形成している。各車輪止め部20における水抜き穴26は、左右方向の中央部に形成されている。また、中間ブロック部30における水抜き穴39は、左右両側の2箇所に形成されている。
【0044】
車輪止め部20の形成部位における水抜き穴26は、前側を車輪受面22に臨んで開口させるとともに、後側を後傾斜面部25に臨んで開口させ、前後方向に沿った略直線状の貫通孔部として形成されている。車輪止め部20は、基準面10とともに水抜き穴26を形成する溝部を有する。この溝部は、前後方向に貫通するとともに正面視で逆「U」字状をなす凹面により形成されている。水抜き穴26は、車輪止め部20側に形成された溝部により、下面を基準面10としたトンネル状の貫通部として形成されている。
【0045】
水抜き穴26は、
図2および
図6に示すように、車輪受面22側の開口部26aの開口面積よりも後傾斜面部25側の開口部26bの開口面積の方が大きく形成されている。水抜き穴26は、前側の開口部26aから後側の開口部26bにかけて水の流通する流路面積を漸次拡大するように形成されている。言い換えると、水抜き穴26は、後側から前側にかけて徐々に幅寸法(左右方向の寸法)を徐々に狭くしたテーパ状に形成されている。
【0046】
中間ブロック部30の形成部位における水抜き穴39は、車輪止め部20の水抜き穴26と同様の形状部分として形成されている。すなわち、中間ブロック部30は、基準面10とともに水抜き穴39を形成する凹面により形成された溝部を有し、水抜き穴39は、中間ブロック部30側に形成された溝部により、下面を基準面10としたトンネル状の貫通部として形成されている。そして、水抜き穴39は、前側の開口部39aから後側の開口部39bにかけて水の流通する流路面積を漸次拡大するように形成されている。
【0047】
以上のように車止めブロックMにおいて合計4箇所に形成された水抜き穴26,39は、左右方向について略等間隔で配置されている。言い換えると、
図2に示すように、中間ブロック部30の水抜き穴39は、左右の車輪止め部20の水抜き穴26,26の間隔Rを略3等分する位置に設けられている。すなわち、左右方向に隣り合う水抜き穴26,39の間隔rは、間隔Rの1/3の長さとなっている。なお、本実施形態では、車輪止め部20および中間ブロック部30の両方の形成部位に水抜き穴26,39が設けられているが、水抜き穴は、車輪止め部20および中間ブロック部30の少なくともいずれか一方の形成部位に設けられればよい。
【0048】
以上のような構成を備えた本実施形態における車止めブロックMによれば、以下の効果を奏する。すなわち、車止めブロックMによれば、簡単な構成により、エアサスペンションC等の車両部品との接触を避けることができ、車両部品の傷付きや破損を抑制することができるとともに、高い剛性を得ることができ、タイヤ衝突時の耐衝撃性を向上することができる。
【0049】
車止めブロックMにおいて、基礎ブロック部1上に形成された本体ブロック部2は、基礎ブロック部1の長手方向の両側に設けられ、車両(トラックT)の車輪tを受ける車輪受面22を有する車輪止め部20と、長手方向の両側の車輪止め部20の間に設けられ、車輪止め部20よりも基準面10からの高さが低い中間ブロック部30とを有する。つまり、車止めブロックMは、左右方向について、タイヤが当たらない部分であってエアサスペンションC等の下方突出の車両部品が位置する部分を相対的に低くした構成を有する。
【0050】
このような構成によれば、例えば、
図9に示すように、駐車場に設置された車止めブロックMに対して、トラックTが車輪tを車輪受面22に接触させるように駐車された際に、車幅方向について左右の後部車輪t,tの間に位置するエアサスペンションCが、中間ブロック部30の上方、つまり凹部37内に位置することとなる。これにより、エアサスペンションCが車止めブロックMの本体ブロック部2も接触する虞を可及的に低減することができるため、車止めブロックMを用いて駐車したトラックTの車両部品および車止めブロックMの傷付きや破損を抑制することができる。
【0051】
したがって、車止めブロックMによれば、例えば低床型の大型トラックの運転者は、駐車場において、安心して車両を車止めブロックMの位置まで、つまり後輪が車止めブロックMの車輪受面22に接触する位置までバックさせた状態で駐車することができる。このことは、駐車場において規定された車両の駐車スペースからの車両のはみ出しを抑制し、駐車場における整然とした車両の駐車状態を実現し、安全性の向上に寄与する。なお、車両の後部底側に設けられた下方突出の車両部品としては、例えば、エアサスペンションCのアームや、ゲートリフト等のリア昇降機器や、車両の後部に設けられた道具入れ等がある。
【0052】
また、車止めブロックMは、基礎ブロック部1および本体ブロック部2を含む基礎一体型のブロックとして構成されている。このような構成によれば、一体のブロック体という簡単な構成を実現することができるとともに、例えば、左右方向に間隔をあけて左右の各車輪に対応した位置の2箇所にブロックを設けた車止めとの比較において、高い剛性を得ることができ、タイヤ衝突時の衝撃に強い構成を得ることができる。
【0053】
また、例えば、駐車時にトラックTの車輪tが本体ブロック部2に接触したとしても基礎ブロック部1から独立して本体ブロック部2が移動することがない。これにより、トラックTの車輪tと本体ブロック部2との衝突時に本体ブロック部2が移動して車両部品と接触する虞を可及的に低減することができる。
【0054】
また、車輪止め部20は、水平状の上面部である第1の上面部21を有し、中間ブロック部30は、基準面10に対して、第1の上面部21よりも低い位置に形成された水平状の上面部である第2の上面部31を有し、長手方向の両側の車輪止め部20とともに凹部37をなしている。このような構成によれば、車輪tを車輪止め部20の車輪受面22で受けた際に左右の車輪t,tの間に設けられたエアサスペンションCを凹部37に位置させることができるので、エアサスペンションC等の車両部品と車止めブロックMとの接触を回避して、トラックTの底部や車両部品、車止めブロックMが傷付いたり破損したりすることを防止することができる。
【0055】
また、第2の上面部31には、光を反射する反射部35が設けられている。このような構成によれば、トラックTの駐車に際しての後進時に、トラックTの底部や車両部品と車止めブロックMとの干渉を回避可能とする凹部37の位置について、例えばトラックTの後部に設けられた後方確認用カメラ等による良好な視認性を得ることができ、車止めブロックMに対するトラックTの車幅方向の位置が合わせやすくなる。これにより、トラックTの後方底部の位置やエアサスペンションC等の位置を本体ブロック部2の中間ブロック部30の上方に位置させやすくなり、トラックTの車両部品と車止めブロックMとの接触を効果的に回避することができる。特に、反射部35において円形状の反射板35bを設けた構成によれば、360°どの角度からの光でも反射することができるので、反射部35について良好な視認性を得ることができる。
【0056】
また、車輪止め部20および中間ブロック部30の少なくともいずれか一方は、基準面10とともに、平面視で長手方向に直交する方向に貫通した水抜き穴26,39を形成している。このような構成によれば、車止めブロックMの近傍に水が滞留することを防止できる。
【0057】
さらに、本実施形態に記載の車止めブロックMは、基礎ブロック部1と本体ブロック部2とを一体に形成し、基礎ブロック部1を地面Gに埋没した状態で設置されている。このような構成によれば、ブロック体を地面Gに固定する打ち付け用のボルトを必要としないことから、地面Gからボルト等のピンが露出して、駐車しようとしたトラックTのタイヤや車両を傷つけることがなく、安全に駐車させることができる。
【0058】
本発明の一実施の形態を説明したが、上述した説明は本発明の一例であり、本発明は上述の実施の形態に限定されることはない。このため、上述した各実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0059】
1 基礎ブロック部
2 本体ブロック部
10 基準面
20 車輪止め部
21 第1の上面部
22 車輪受面
26 水抜き穴
30 中間ブロック部
31 第2の上面部
35 反射部
37 凹部
39 水抜き穴
【要約】
【課題】エアサスペンション等の車両部品との接触を避けることができ、車両部品の傷付きや破損を抑制することができるとともに、高い剛性を得ることができ、タイヤ衝突時の耐衝撃性を向上した車止めブロックを提供する。
【解決手段】この発明は、一部を地面に埋設させた状態で設けられ、車両の左右の車輪を受けて車両の駐車位置を定めるための車止めブロックであって、少なくとも一部を地中に埋没させるとともに水平状の基準面を有する長手状の基礎ブロック部と、前記基礎ブロック部の上側に前記基準面から突出した態様で設けられた本体ブロック部と、を備え、前記本体ブロック部は、前記基礎ブロック部の長手方向の両側に設けられ、車両の車輪を受ける車輪受面を有する車輪止め部と、前記長手方向の両側の前記車輪止め部の間に設けられ、前記車輪止め部よりも前記基準面からの高さが低い中間ブロック部と、を有することを特徴とする車止めブロックである。
【選択図】
図1