(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】筋膜マッサージ器
(51)【国際特許分類】
A61H 7/00 20060101AFI20240319BHJP
【FI】
A61H7/00 300B
(21)【出願番号】P 2023162863
(22)【出願日】2023-09-26
【審査請求日】2023-11-13
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521209959
【氏名又は名称】株式会社カミヤ
(74)【代理人】
【識別番号】100092901
【氏名又は名称】岩橋 祐司
(74)【代理人】
【識別番号】100188260
【氏名又は名称】加藤 愼二
(72)【発明者】
【氏名】神谷 章平
【審査官】岡本 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】実開昭62-160935(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
片手で握ることができる大きさの取手部と、
前記取手部の先端に並んだ3つの突部を有する板状の接触部と、を備え、
前記接触部は、前記取手部の先端からさらに延びて形成された第1板部と、当該第1板部の先端から90度方向に曲がって形成された第2板部と、を有し、前記3つの突部は、前記第2板部の先端に形成された板状の突部であり、これらの突部を身体の皮膚に押し当てた状態で
、皮膚を擦ることなく、細かくゆっくり前記取手部の長手方向に前後させて使用する
のに適した筋膜マッサージ器であって、
前記取手部の長手方向および前記3つの突部が並ぶ方向からなる平面を直角方向から見た場合に、前記第2板部が前記取手部とは反対方向へ膨らんだカーブ形状に形成され
、
前記取手部の先端部分の表面または前記第1板部の表面には、前記取手部を握った手の人差し指または中指を伸ばした際に、当該指の先による押し付け力を受ける位置を示すマークが形成されていることを特徴とする筋膜マッサージ器。
【請求項2】
請求項1記載の筋膜マッサージ器であって、
前記取手部は、前記板状の接触部と同じ厚さの板状で
あることを特徴とする筋膜マッサージ器。
【請求項3】
請求項1記載の筋膜マッサージ器であって、
前記第1板部および前記第2板部の接続部は、5mm以上、20mm以下の曲率半径(R2)で曲がっていることを特徴とする筋膜マッサージ器。
【請求項4】
請求項1記載の筋膜マッサージ器であって、
前記第1板部および前記第2板部の板厚(T)は、3mm以上、8mm以下であることを特徴とする筋膜マッサージ器。
【請求項5】
請求項1記載の筋膜マッサージ器であって、
前記突部の板面上での形状は、5mm以上、15mm以下の曲率半径(R3)のカーブ形状であることを特徴とする筋膜マッサージ器。
【請求項6】
請求項1記載の筋膜マッサージ器であって、
前記突部の先端形状について、当該3つの突部が並ぶ方向に直交する断面の形状は、1.5mm以上、5mm以下の曲率半径(R4)のカーブ形状であり、かつ、前記第1板部および前記第2板部の板厚(T)の半分よりも大きいことを特徴とする筋膜マッサージ器。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の筋膜マッサージ器は、樹脂製の一体形状であり、前記取手部は樹脂製の板と金属製の板の2層構造であることを特徴とする筋膜マッサージ器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は頭や首などの身体をマッサージするための器具に関し、特に、筋肉等を包む筋膜(ファシア)のマッサージに適したものに関する。
【背景技術】
【0002】
筋膜(ファシア)は、筋肉や血管、頭部など、生体の器官や組織を包んでいる立体的な編み目状の結合組織であり、繊維状部分と基質部分とからなり、基質部分は水を多く含んだゼリー状になっている。ファシアには、滑走性という性質があり、筋肉が稼働する際にファシアの滑りが良いと、力が伝わり易くなり、各筋肉が円滑に稼働する。一方、ファシアの滑走性が悪いと、ファシアにある感覚受容器によって痛みやこりなどとして感知されることになる。
【0003】
発明者は、これまでに筋膜(ファシア)の滑走性を改善させるためのマッサージ器の開発を進めてきており(特許文献1~3)、これらの筋膜マッサージ器は、片手で握り易い大きさの取手部と、取手部の先端に設けられた3つの突部を有する板状の接触部と、を含み、これらの突部を首、肩、背中などの身体の各部に接触させた状態で取手部の長手方向に前後させることでマッサージを行う。3つの突起は、それぞれ丸みを帯びており、そのうちの中央の突起は、両側の突起よりも僅かに突出している点で共通している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】意匠登録第1703607号公報
【文献】意匠登録第1712785号公報
【文献】意匠登録第1737036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発明者は、上記の3つの突部を有する板状の接触部をベースに、筋膜のマッサージ効果の高いマッサージ器の開発に鋭意取り組んだところ、接触部の形状を工夫することで、筋膜のマッサージ効果の高いマッサージ器が得られることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明の筋膜マッサージ器(10)は、
片手で握ることができる大きさの取手部(2)と、
前記取手部(2)の先端に並んだ3つの突部(8a~8c)を有する板状の接触部(4)と、を備え、
前記接触部(4)は、前記取手部(2)の先端からさらに延びて形成された第1板部(6)と、当該第1板部(6)の先端から90度方向に曲がって形成された第2板部(8)と、を有し、前記3つの突部(8a~8c)は、前記第2板部(8)の先端に形成された板状の突部であり、これらの突部(8a~8c)を身体の皮膚に押し当てた状態で、皮膚を擦ることなく、細かくゆっくり前記取手部(2)の長手方向に前後させて使用するのに適した筋膜マッサージ器(10)であって、
前記取手部(2)の長手方向および前記3つの突部(8a~8c)が並ぶ方向からなる平面を直角方向から見た場合に、前記第2板部(8)が前記取手部(2)側とは反対方向へ膨らんだカーブ形状に形成され、
前記取手部(2)の先端部分の表面または前記第1板部(6)の表面には、前記取手部(2)を握った手の人差し指または中指を伸ばした際に、当該指の先による押し付け力を受ける位置を示すマーク(12)が形成されていることを特徴とする。
【0007】
なお、前記第2板部(8)のカーブ形状の曲率半径(R1)は、50mm以上、200mm以下であるとよい。好ましくは、100mm以上、150mm以下の曲率半径(R1)のカーブ形状であるとよい。
【0008】
ここで、前記取手部(2)は、前記板状の接触部(4)と同じ厚さの板状であることを特徴とする。
【0009】
ここで、前記第1板部(6)および前記第2板部(8)の接続部は、5mm以上、20mm以下の曲率半径(R2)で曲がっているとよい。
【0010】
ここで、前記第1板部(6)および前記第2板部(8)の板厚(T)は、3mm以上、8mm以下であるとよい。
【0011】
ここで、前記突部(8a~8c)の板面上での形状は、5mm以上、15mm以下の曲率半径(R3)のカーブ形状であるとよい。
【0012】
ここで、前記突部(8a~8c)の先端形状について、当該3つの突部(8a~8c)が並ぶ方向に直交する断面の形状は、1.6mm以上、5mm以下の曲率半径(R4)のカーブ形状であり、かつ、前記第1板部(6)および前記第2板部(8)の板厚(T)の半分よりも大きいとよい。
【0013】
ここで、本発明の筋膜マッサージ器(10)は、樹脂製の一体形状であり、前記取手部(2)は樹脂製の板と金属製の板の2層構造であるとよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の構成によれば、まず、接触部(4)が、取手部(2)の先端からさらに延びて形成された第1板部(6)と、当該第1板部(6)の先端から90度方向に曲がって形成された第2板部(8)と、を有して構成されていて、加えて、第2板部(8)が取手部(2)とは反対方向へ膨らんだカーブ形状に形成されているから、このような第1板部(6)と第2板部(8)からなる立体的な構造により、第2板部(8)の3つの突部(8a~8c)が板状であるとしても身体表面に対して十分な圧力を加えることが可能で、マッサージの動作(皮膚を軽く押しつつ、皮膚を擦ることなく、細かくゆっくり前後に移動させること)が安定し、筋膜のマッサージ効果の高いマッサージ器を提供できる。
【0015】
特に、本発明の構成によれば、板状の取手部(2)または第1板部(6)に、握った手の人差し指または中指を伸ばして当該指の先で押し付ける位置を示すマーク(12)が形成されているので、マッサージを行う使用者は、そのマーク(12)を目印にして伸ばした指の先で、突部(8a~8c)が身体表面を押す力を加減しやすくなる。これによって、身体表面を押す突部(8a~8c)に力を効率的に集中させることができ、適切な圧力で皮膚表面より深いところにある筋膜を直接的に揺することができて、筋膜のマッサージ効果の高いマッサージを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態に係る筋膜マッサージ器を立体的に示す図である。
【
図2】前記筋膜マッサージ器の第2板部のカーブ形状の曲率半径R1を示す図。
【
図3】
図2の筋膜マッサージ器の表裏を逆に置いた状態を示す図である。
【
図4】前記筋膜マッサージ器の突部の曲率半径R3を示す図である。
【
図5】前記筋膜マッサージ器の第1板部から第2板部に至るカーブ形状の曲率半径R2を示す図である。
【
図6】前記筋膜マッサージ器の突部の先端部の曲率半径R4を示す拡大図である。
【
図7】前記筋膜マッサージ器の使用状態を示す図である。
【
図8】前記筋膜マッサージ器の突部を身体の表面に押し付けた状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<筋膜マッサージ器の構成>
以下、図面に基づき、本発明の一実施形態に係る筋膜マッサージ器について説明する。
図1は、本実施形態の筋膜マッサージ器10の全体図である。筋膜マッサージ器10は、片手で握ることができる大きさの板状の取手部2と、取手部2の先端に連続する同じ厚さの板状の接触部4とによる一体形状であり、接触部4の板幅は取手部2の板幅よりも広く、全体が樹脂(例えばABS樹脂)製である。
【0018】
接触部4は、取手部2の先端からさらに延びて形成された第1板部6と、当該第1板部6の先端から同じ板幅のまま90度方向に曲がって形成された第2板部8と、を有する。
第2板部8の先端には、3つの板状の突部8a~8cが並んで形成されており、ちょうど山形の形状になっている。
【0019】
ここで、第2板部8を特定の向きから観察した場合の形状について説明する。
図2に示すように、取手部2の長手方向(図の左右方向)および3つの突部8a~8cが並ぶ方向(図の上下方向)からなる平面を直角方向から見た場合に、第2板部8は、取手部2とは反対方向へ曲率半径R1で膨らんだカーブ形状に形成されている。曲率半径R1は、50mm以上、200mm以下にするとよく、好ましくは、100mm以上、150mm以下にするとよい。
【0020】
また、
図3は、
図2の筋膜マッサージ器10の表裏を逆に置いた状態を示す図である。取手部2の先端部分または第1板部6の表面には、取手部2を握った使用者が人差し指または中指を伸ばした際に、当該指の先で本マッサージ器10を押し付ける位置のマーク12が形成されている。或いは、第1板部6の表面にマーク12’を形成してもよい。このようなマーク12(12’)は、正面にプリント表示したものでもよく、或いは、凹部や凸部として形成してもよい。また、取手部2の表面に点線で示した部分は、樹脂製の取手部2にアルミニウム合金の板14を貼り合わせて2層構造を形成する場合の範囲を示している。
【0021】
次に、第2板部8を別の向きから観察した場合の形状について説明する。
図4は、取手部2の先端側から第2板部8を見た図であり、3つの突部8a~8cからなる山形の形状に対する正面図である。
図4に示すように、第2板部8の板面上での突部8a~8cの形状は、それぞれ5mm以上、15mm以下の曲率半径R3のカーブ形状になっている。好ましくは、曲率半径R3は10mm前後である。このようなカーブ形状を設けることで、突部8a~8cを身体に押し付けて前後に移動させても痛みが生じにくい。
【0022】
なお、3つの突部8a~8cのうちの中央の突部8bは、その両側の突部8a,8cよりも僅かに突出している。つまり、中央の突部8bの山が一番高い。また、中央の突部8bと、その両側の突部8a,8cとの間には、なだらかな谷部が形成されている。
【0023】
次に、第1板部6から第2板部8に至る連結部分の形状が分かる図を示す。
図5は、筋膜マッサージ器10を、3つの板状の突部8a~8cが並んだ方向(取手部2の幅方向と同じ)から観察したものであり、第1板部6と第2板部8の連結部分の形状は、曲率半径R2のカーブ形状になっている。ここで、第1板部6と第2板部8の板厚Tは、3mm以上、8mm以下とすることができて、好ましくは、板厚Tは5mm前後である。
図5のカーブ形状の曲率半径R2は、板厚Tの2倍~4倍程度がよく、5mm以上、20mm以下とすることができる。好ましくは、曲率半径R2は10~15mmである。このようなカーブ形状を設けることで、第1板部6から第2板部8に至る連結部分が弾性変形しやすくなり、板状の突部8a~8cを身体に押し付ける力を伝えやすく、筋膜マッサージ器10の操作性がよくなる。
【0024】
また、板状の突部8a~8cの先端形状について、
図6を用いて説明する。
図6は、
図5と同じ方向から中央の突部8bの先端部分を観察した拡大図であり、中央の突部8bの先端部分の形状は、1.6mm以上、5mm以下の曲率半径R4のカーブ形状になっている。なお、突部8bの先端部分の断面図も
図6の拡大図と同じ形状になる。また、曲率半径R4は、第2板部8の板厚Tの半分よりも大きい方がよい。例えば、板厚Tが約5mmであれば、曲率半径R4は3mm前後がよい。両側の突部8a,8cは、
図5の中央の突部8bと同様の先端形状にすることができる。このような先端形状によって、突部8a~8cを身体に押し付けて前後に移動させる動作がスムーズになる。
【0025】
なお、
図6のように、中央の突部8bの曲率半径R4の中心が、第2板部8の厚さの中心よりも僅かにマッサージ器10の先端側に偏った位置になるようにしてもよい。
【0026】
なお、取手部2は、
図3で説明したように樹脂製の板と金属(例えばアルミニウム合金)製の板14との2層構造にしてもよく、こうすることで取手部2の強度が確保されて、接触部16に力が伝わりやすくなる効果がある。
【0027】
<使用方法>
次に本実施形態の筋膜マッサージ器10の使用方法を説明する。
図7の上の図は、筋膜マッサージ器10を用いて頭皮をマッサージする状態を示し、同図の下の図は首をマッサージする状態を示している。いずれの場合も、使用者は、筋膜マッサージ器10の取手部2を片手で握って、3つの突部8a~8cを身体の皮膚(または頭皮)に軽く押し当てた状態にして、皮膚を擦ることなく、細かくゆっくり取手部2の長手方向に前後に移動させることで、各部位の皮膚の下にある筋膜をマッサージする。
図7には、3つの突部8a~8cの前後の移動によって、接触部分の周囲の皮膚(または頭皮)に皺が寄る状態を模式的に描いている。また、取手部2を握っている手の人差し指(または中指)を延ばし、延ばした指の先で
図3に示したマークの部分に力を加えることで、3つの突部8a~8cの押し付け力を加減しやすくなる。
【0028】
<本実施形態の効果>
本実施形態の筋膜マッサージ器10の構成によれば、まず、接触部4が、取手部2の先端からさらに延びて形成された第1板部6と、当該第1板部6の先端から90度方向に曲がって形成された第2板部8と、を有して構成されていて、加えて、第2板部8が取手部2とは反対方向へ膨らんだカーブ形状に形成されているから、このような第1板部6と第2板部8からなる立体的な構造により、第2板部8の3つの突部8a~8cが板状であるとしても身体表面に対して十分な圧力を加えることが可能となり、マッサージの動作(つまり、皮膚を軽く押しつつ、皮膚を擦ることなく、細かくゆっくり前後に移動させること)を安定させることができる。
【0029】
また、第2板部8をカーブ形状に形成したことで、3つの突部8a~8cの作用範囲が広がるので、効率的に筋膜をマッサージできる。例えば、
図8には、中央の突部8bを皮膚に軽く押し当てて前後移動した場合の状態を模式的に示している。本実施形態の板状の突部8bの先端形状では、軽く押し当てるだけで皮膚に食い込みやすく、皮下の筋肉および筋膜組織に直接刺激を伝えやすい。本実施形態では、第2板部8をカーブ形状に形成したことで、両側の突部8a,8cの作用点が、中央の突部8bの作用点よりも僅かに取手部2側に(例えば、板厚の半分程度)ずれるので、3つの突部8a~8cの作用点が三角形の頂点となって、このようにして3つの突部8a~8cの作用範囲が広がっていることが理解されよう。
【0030】
特に、板状の取手部2または第1板部6に、握った手の人差し指または中指を伸ばして当該指の先で押し付ける位置を示すマーク12が形成されているので、マッサージを行う使用者は、そのマーク12を目印にして伸ばした指の先で、突部8a~8cが身体表面を押す力を加減しやすくなる。これによって、身体表面を押す突部8a~8cに力を効率的に集中させることができ、適切な圧力で皮膚表面より深いところにある筋膜を直接的に揺することができて、筋膜のマッサージ効果の高いマッサージを行うことができる。例えば、頭皮へのマッサージでは、筋膜のマッサージ効果によって血行も良くなり、痛みを和らげる効果が得られる。
【0031】
以上のことから、本実施形態の筋膜マッサージ器10を用いれば、弾力性が低下した筋膜をほぐして柔らかくしやすくなり、筋肉および筋膜組織の癒着をリリースしてコリや痛みを速やかに解消することができる。
【0032】
また、本実施形態の筋膜マッサージ器10の構成は、非常にシンプルであるので、製造も容易で、かつ、誰もが場所を選ばすにいつでも手軽に筋膜マッサージを行うことができる。
【実施例】
【0033】
次に、
図1~
図5に示した筋膜マッサージ器10を使用した筋膜マッサージによるコリや痛みの解消の効果を確認するための試験例について説明する。
[試験例]
試験例では、20代から80代までの被験者27名が、
図7の使用方法で毎日、首の皮膚および頭皮の筋膜マッサージを行い、首のコリ、首の痛み、頭皮の痛みの3項目について、使用前、7日目、14日目に、それぞれのコリや痛みの程度をVAS法によって評価した。左端に「無症状」、右端に「強症状」と記載された100mmの直線を用意し、100mmの直線に10mm間隔の目盛りを付し、被験者は評価時の感覚の程度に合わせて、直線上のいずれかの目盛りに印を付けた。左端から印を付けた目盛りまでの距離を0から10の整数値で読み取り、使用前、7日目、14日目の読み取り値の変化を評価した。なお、評価なしを「-」で示す。
被験者ごとの評価結果を次表に示す。
【0034】
【0035】
表1の評価結果に基づき、3つの条件(使用前、7日目、14日目)で一元配置分散分析を行って平均値を比較したところ、首のコリ(p<0.0001)、首の痛み(p<0.0001)、頭皮の痛み(p<0.001)の全ての部位で有意に差があった。
さらに、それぞれのBonferroniの多重比較を行った結果、首のコリでは、使用前と7日目、使用前と14日目で有意に差があった。首の痛みと頭皮の痛みでは、使用前と7日目で有意に差があった。
以上の評価結果および解析結果から、首のコリ、首の痛み、頭部の痛みの全ての項目において良好な有意差のある効果(つまり、筋膜マッサージ器10を使用した筋膜マッサージによるコリや痛みの解消の効果)が得られることが分かった。
【符号の説明】
【0036】
2 取手部
4 接触部
6 第1板部
8 第2板部
8a~8c 突部
10 筋膜マッサージ器
12 マーク
14 金属板
【要約】
【課題】3つの突部を有する板状の接触部をベースに、筋膜のマッサージ効果の高いマッサージ器を提供すること。
【解決手段】筋膜マッサージ器10は、片手で握ることができる大きさの取手部2と、取手部2の先端に並んだ3つの突部8a~8cを有する板状の接触部4とを含む。接触部4は、取手部2の先端からさらに延びて形成された第1板部6と、当該第1板部6の先端から90度方向に曲がって形成された第2板部8とを有する。3つの突部8a~8cは、第2板部8の先端に形成された板状の突部であり、これらの突部8a~8cを身体の皮膚に押し当てた状態で取手部2の長手方向に前後させて使用する。取手部2の長手方向および3つの突部8a~8cが並ぶ方向からなる平面を直角方向から見た場合に、第2板部8が取手部12とは反対方向へ膨らんだカーブ形状に形成されている。
【選択図】
図1