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  • 特許-洋上研究所 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-18
(45)【発行日】2024-03-27
(54)【発明の名称】洋上研究所
(51)【国際特許分類】
   B63B 35/44 20060101AFI20240319BHJP
【FI】
B63B35/44 C
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2024000967
(22)【出願日】2024-01-09
【審査請求日】2024-02-01
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】715008687
【氏名又は名称】廣田 祐次
(72)【発明者】
【氏名】廣田 祐次
【審査官】三宅 龍平
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-4733(JP,A)
【文献】特開平8-150989(JP,A)
【文献】特開2001-231387(JP,A)
【文献】特開2015-146788(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0244005(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第111003112(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第116473002(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63C 35/44
A01G 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洋上に浮かべた木造人工島ユニットの下側又は複数の木造人工島ユニット間にて、複数の密閉木箱の浮力により、培養土ユニットの重量を軽くしたうえで、
4本のワイヤーで該培養土ユニットを吊り下げ、該培養土ユニット上で藻の養殖・研究を行う洋上研究所であって、該木造人工島の上には住居を設定し、複数の研究員が住めるようにする洋上研究所であって、海流の流れに向けて、複数の木造人工島の間に狭い流路を設定し、該流路に沿って大型水車を設置し、また該木造人工島に海流ガイドを設定し、広い海流の流れを狭めることで海流の流速を増し、該大型水車を海流の流れより高速で回転させ、波力発電を行なう洋上研究所であって、該木造人工島に複数のAI制御のスクリューを設置し、
該AIが該スクリューを稼働させ、海流の流れによって該木造人工島が移動するのを防止し、GPS上の位置を維持することができる洋上研究所。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海上や湖上に浮遊型の木造人工島を浮かべ、該木造人工島から、ワイヤーで吊った培養土ユニットで海藻又は淡水藻を育成し、該海藻又は淡水藻の光合成によってCO2を削減するシステム、いわゆるブルーカーボンの技術に関する洋上研究所の提案である。

ブルーカーボンとは、海洋生物の働きによって海洋環境に吸収・貯留されている炭素のことである。人間活動によるCO2の排出量は炭素換算にして年間約94億tにのぼりますが、陸上の森林などの植物は約19億t吸収し、海洋全体で約25億t、そのうちブルーカーボン生態系によるCO2吸収が約11億tであることがわかってきている。

陸上の植物によって固定化された炭素は、数十年単位で微生物によって再び分解されてCO2として大気中に放出されます。一方、海底に蓄積された炭素は、無酸素状態のため微生物による分解が抑制されることで、その分解が数千年単位と非常にゆっくりとしたものとなっている。
このような特徴から、ブルーカーボンは、地球温暖化の原因とされるCO2の新たな吸収源として注目されている。
【背景技術】
【0002】
従来では、ブルーカーボンを生み出す海藻類は自然環境での育成にゆだねられ、太陽光がいきわたる浅瀬にごく限られており(=海洋全体の0.2%)、港の設置や海水浴場等の観光開発・商業施設の拡張により、育成域が減ることはあっても、増加することはなかった。
また、天候や潮の満ち引きにて太陽光が十分に届かないときがあり、十分な育成状態とはいえなかった。さらに赤潮の発生によっても、藻の育成が阻害されることがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特願2017-121921
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
藻を養殖するための培養土ユニットの重量を、複数の密閉木箱の浮力によって軽くしたうえで、複数の木造人工島ユニットから4本のワイヤーで吊り下げ、該培養土ユニットにて藻を育成し、効率のよい光合成を行う藻の種の品種改良を行い、また藻にとって最も育成条件がよい海面からの距離の検討や該藻にとって最も栄養価の高い培養土にて育成するための研究・検討 を行うことができる、住居が付帯した洋上研究所をつくる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
洋上に浮かべた木造人工島ユニットの下側や複数の木造人工島ユニットの間にて、複数の密閉木箱の浮力によって、該培養土ユニットを軽くしたうえで、4本のワイヤーで該培養土ユニットを吊り下げ、該培養土ユニット上で藻の養殖を行う。
また、該木造人工島の上には住居を設定し、研究員及び研究員の家族が住めるようにする。

海流の流れに向けて、複数の木造人工島ユニットの間に狭い流路を設定し、該流路に沿って大型水車を設置し、また該木造人工島ユニットの間に海流ガイドを設定し、比較的広い海流の流れを狭めることで海流の流速を増し、該大型水車を比較的高速で回転させ、波力発電を行なう。(研究や生活のための電力の供給)

該木造人工島にAIで制御される複数の電動スクリューを設置し、該電動スクリューを稼働させ、海流の流れによって該木造人工島が移動するのを防止し、洋上でのGPS上の位置を維持するようにする。
尚、洋上でのGPS上の位置を維持するためのスクリューの稼働の電力が足りない場合は別途「ツリー型太陽光発電システム」を該木造人工島の上に設置する。
【発明の効果】
【0006】
ブルーカーボンの研究をする洋上研究所が増加し、複数の該洋上研究所同士の共同研究や情報共有によって、効率のよい光合成を行う藻の種類や育成条件が見つかり、世界中に木造人工島のブルーカーボンを展開することで、2050年を待たずに、カーボンニュートラルを達成する可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】洋上研究所の概要を示す。
図2】木造人工島上の藻の養殖の概要を示す。
図3】木造人工島の概要を示す。
図4】木造人工島の波力発電の概要を示す。
図5】ツリー型太陽光発電システムの概要を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
洋上に浮かべた木造人工島ユニットの下側や複数の木造人工島ユニットの間にて、複数の密閉木箱の浮力によって、該培養土ユニットを軽くしたうえで、4本のワイヤーで該培養土ユニットを吊り下げ、該培養土ユニット上で藻の養殖を行う。
また、該木造人工島の上には住居を設定し、研究員が住めるようにする。

海流の流れに向けて、複数の木造人工島ユニットの間に狭い流路を設定し、該流路に沿って大型水車を設置し、また該木造人工島ユニットの間に海流ガイドを設定し、比較的広い海流の流れを狭めることで海流の流速を増し、該大型水車を比較的高速で回転させ、波力発電を行なう。

該木造人工島にAIで制御される複数のスクリューを設置し、該スクリューを稼働させ、海流の流れによって該木造人工島が移動するのを防止し、洋上でのGPS上の位置を維持するようにする。
尚、洋上でのGPS上の位置を維持するためのスクリューの稼働の電力が足りない場合は別途ツリー型太陽光発電システムを該木造人工島の上に設置する。
【0009】
図1において、木造人工島ユニットとは□12mの木枠のことで、下側から必要な大きさや個数の密閉木箱の浮力で、該木造人工島ユニットの積載物の重量と相殺する形で浮力バランスを保つ。(図3参照)
培養土ユニットとは、藻の生育に必要な栄養分を備えた土を木枠の上に乗せたもので、重量物なので複数の該密閉木箱で浮力バランスを保った上で、該木枠の4隅をワイヤーで、該木造人工島ユニットから吊り下げる。

洋上に浮かべた木造人工島ユニットの下側又は複数の木造人工島ユニット間にて、複数の密閉木箱の浮力により、培養土ユニットの重量を軽くしたうえで、
4本のワイヤーで該培養土ユニットを吊り下げ、該培養土ユニット上で藻の養殖・研究を行う洋上研究所であって、該木造人工島の上には住居を設定し、複数の研究員が住めるようにする洋上研究所であって、海流の流れに向けて、複数の木造人工島の間に狭い流路を設定し、該流路に沿って大型水車を設置し、また該木造人工島に海流ガイドを設定し、広い海流の流れを狭めることで海流の流速を増し、該大型水車を海流の流れより高速で回転させ、波力発電を行なう洋上研究所であって、該木造人工島に複数のAI制御のスクリューを設置し、該AIが該スクリューを稼働させ、海流の流れによって該木造人工島が移動するのを防止し、GPS上の位置を維持することができる洋上研究所である。

該木造人工島にAIで制御される複数のスクリューを設置し、該AIが該スクリューを稼働させ、海流の流れによって該木造人工島が移動するのを防止し、洋上でのGPS上の位置を維持するようにする。
海流の流れの方向が変わった場合には、該AIが複数の該スクリューの稼働(回転数)バランスを調整し、該木造人工島の向きを修正し、該大型水車の回転方向が、常に海流の流れに正対するようにする。
尚、洋上でのGPS上の位置を維持するためのスクリューの稼働の電力が足りない場合は別途ツリー型太陽光発電システムを該木造人工島の上に設置する。

【0010】
図2に木造人工島上の藻の養殖の概要を示す。

図3に、木造人工島の概要を示す。
木材で□12mのアングルを組み、木造人工島の基本ユニットとする。また図2では該木造人工島の基本ユニットは6個であるが、該木造人工島の基本ユニットを矢印の方向に継ぎ足し拡張し、□数キロメートル以上の大型の人工島にすることができる。
該木造人工島の拡張に関して、該アングルの側面に穴をあけ、木製リベットで位置決めをした上で、該アングル同士の接着にて、拡張をする。
すなわち、該木造人工島の拡張により、数多くの大型水車及び発電機等の設置が可能になり、より大規模な発電を行うことができる。
また、密閉木箱(各辺2mの立方体=約8tの浮力がある)の数を増減させることで、積載重量とのバランスをとることができる。
【0011】
図4に、木造人工島の波力発電の概要を示す。
複数の木造人工島ユニットを沿岸部に設定し、該木造人工島ユニット間に狭い流路:0.6mを、海岸線に対し直角に設定し、該流路に沿って直径19mで、幅0.4mの水かきの付帯した大型水車を設定し、また海岸線の反対側の該複数の木造人工島ユニットに海流ガイドを設定し、海岸に向かってきた波の流れを、徐々に狭めながら、該狭い流路に導くことで、波の流速を増し、該大型水車を比較的高速で回転させ、発電を行なう。

また、該水車の軸や軸受けを設定し、該水車の軸には、ギアが連動しており、該ギアによって、該ギアボックス内の複数のギアが回転し、該ギアボックスによって、該水車からの回転が加速されて、発電機を高速で回すことができる。
尚、該複数の木造人工島が海流によって移動をしないように、複数の固定支柱で囲み、該固定支柱は該複数の木造人工島の水平方向での移動規制を行うが、上下の移動には何ら規制するものではなく、該複数の木造人工島は潮の満ち引きに対応して、上下には自由に動くことができる。

一般的には海流の進行方向は陸地に沿って、すなわち海岸線に平行に進行するが、「より浅い方向に波が向かう性質」がある。浅くなると、波にとって抵抗となり、波の速度を落としながら、より浅い方向に、すなわち海岸線に向かうという性質である。
一方で、ベルヌーイの定理の考え方では、「流速は流路幅にほぼ反比例」するので、可能な限り大きな比をとることで、すなわち標準の木造人工島ユニットの大きさで作れる12mの流路を0.6mにすることで、理論上24倍の加速があり、実際にも第一段の水車では10数倍、第二段でも10倍程度の流速にはなると考えられ、さらに水のエネルギーは空気のエネルギーに比べ770倍もあり、水車が大きなトルクで回転をするので、ギアボックスによる加速が効き、すなわち、24時間大容量の発電が可能になる。
【0012】
図5にツリー型太陽光発電システムの概要を示す。
ツリー型太陽光発電システム「特許第6656522号」は、標準形でメガソーラーの設置効率40倍で、収納機能があり強風に耐え、雪や砂嵐にも強い。
また周囲の自然や既存の建物と共存し、環境破壊を起こさない。さらに洋上の木造人工島上に設置すると、土台が不要で、木枠に固定するだけでよくて、
朝日や夕日でも(海上の反射光も加算され)発電量を見込むことができる。

365日分の正確な追尾角度のプログラムを内蔵したエッジ(AI)コン ピューターが付帯しており、設置場所の緯度等を入力し、また 各ワイヤー巻取り機(エンコーダー内蔵)の設置現場での校正 値を入力することで、自動で正確な太陽光追尾が可能になる。
(夜間は発電しないので)蓄電池を付帯させ、該蓄 電池とAI搭載のコンピューター及びカメラを付帯させたユニット構成とし、ラメラ画像からの木々の揺れの 状況で風の強さを知り、また降雪状況から、受光パネ ルを収納箱に収納したり、受光パネルを垂直気味にする。
該AIとスマートホンがWi-Fi通信でつながり、スマート ホンアプリでマニュアル操作が可能であり、洗浄しや すい位置に各パネルを移動し、作業員が水をかけながらブラシで太陽光パネルを洗浄することができる。
【産業上の利用可能性】
【0013】
ブルーカーボンの研究をする洋上研究所が増加し、複数の該洋上研究所同士の共同研究や情報共有によって、効率のよい光合成を行う藻の種類や育成条件が見つかり、世界中に木造人工島のブルーカーボンを展開することで、2050年を待たずに、カーボンニュートラルを達成する可能性がある。
【要約】
【課題】
従来では、ブルーカーボンを生み出す海藻類は自然環境での育成にゆだねられ、太陽光がいきわたる浅瀬にごく限られており、港の設置や海水浴場等の観光開発・商業施設の拡張により、育成域が減ることはあっても、増加することはなかった。
【解決手段】
藻を養殖するための培養土ユニットを、複数の密閉木箱の浮力によって軽くしたうえで、複数の木造人工島ユニットから4本のワイヤーで吊り下げ、該培養土ユニットにて藻を育成し、効率のよい光合成を行う藻の種の品種改良を行い、また藻にとって最も育成条件がよい海面からの距離の検討や該藻にとって最も栄養価の高い該培養土にて育成するための研究を行うことができる、住居が付帯した洋上研究所をつくる。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5